IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧

特許7400690診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器
<>
  • 特許-診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器 図1
  • 特許-診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器 図2
  • 特許-診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器 図3
  • 特許-診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器 図4
  • 特許-診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器 図5
  • 特許-診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器 図6
  • 特許-診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/22 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G01R29/22 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020177622
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068766
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】近藤 颯平
(72)【発明者】
【氏名】川元 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 史弘
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-347355(JP,A)
【文献】特開2013-54497(JP,A)
【文献】特開平5-80075(JP,A)
【文献】特表2005-526228(JP,A)
【文献】特開2002-345264(JP,A)
【文献】特開2017-102780(JP,A)
【文献】特表2015-504169(JP,A)
【文献】特開昭60-26173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/22
G01R 31/00
G01F 1/32-1/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド機器において、
圧電素子と、
単一周波数の交流信号である検査信号を発生する発生回路と、
前記検査信号に対する前記圧電素子の応答信号を直流信号に変換する変換回路と、
前記直流信号を解析して、前記圧電素子の健全性を判定する制御部と、
を備え、
前記発生回路は、前記検査信号として、前記圧電素子から出力される物理量に応じた電気信号の周波数帯には属さない周波数の交流信号を発生し、
前記制御部は、
前記直流信号を解析して、前記圧電素子の静電容量値を計算し、
前記計算された前記圧電素子の静電容量値と、過去に計算された静電容量値とに基づいて、前記圧電素子について予測される故障時期を前記健全性として判定する、
フィールド機器。
【請求項2】
前記変換回路は半波整流器を備える、請求項1に記載のフィールド機器。
【請求項3】
前記圧電素子により測定された物理量に関する情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記圧電素子から出力される物理量に応じた電気信号を受信したことに応じて、当該電気信号に基づき計算された物理量の測定値を前記記憶部に記憶させ、
前記圧電素子の健全性の判定が行われている間は、当該健全性の判定の直前に前記記憶部に記憶された前記測定値を出力する、
請求項1又は2に記載のフィールド機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記発生回路及び前記変換回路の少なくともいずれかを制御して、前記発生回路及び前記変換回路の少なくともいずれかの動作に関するパラメータを変動させつつ、前記直流信号を解析して、前記圧電素子の健全性を判定する、請求項1からのいずれか1項に記載のフィールド機器。
【請求項5】
前記発生回路と前記圧電素子との間に抵抗器を更に備え、
前記制御部は、前記発生回路から前記抵抗器を介して前記圧電素子に診断用基準電圧を印加した場合における、前記診断用基準電圧と、前記診断用基準電圧に対する前記圧電素子の出力信号と、前記抵抗器の抵抗値とに基づき、前記圧電素子の絶縁抵抗値を計算し、当該絶縁抵抗値に基づき前記圧電素子の健全性を判定する、
請求項1からのいずれか1項に記載のフィールド機器。
【請求項6】
複数の前記圧電素子を備え、
前記制御部は、前記複数の圧電素子の中から1つの前記圧電素子を選択して、当該圧電素子の健全性を判定する、請求項1からのいずれか1項に記載のフィールド機器。
【請求項7】
圧電素子を備えるフィールド機器における診断方法であって、
発生回路が、前記圧電素子から出力される物理量に応じた電気信号の周波数帯には属さない単一周波数の交流信号である検査信号を発生する工程と、
変換回路が、前記検査信号に対する圧電素子の応答信号を直流信号に変換する工程と、
制御部が、前記直流信号を解析して、前記圧電素子の健全性を判定する工程と、
を含み、
前記判定する工程において、前記制御部は、
前記直流信号を解析して、前記圧電素子の静電容量値を計算し、
前記計算された前記圧電素子の静電容量値と、過去に計算された静電容量値とに基づいて、前記圧電素子について予測される故障時期を前記健全性として判定する、
診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器に関する。
【背景技術】
【0002】
振動、及び圧力等の物理量を電圧に変換する圧電素子を用いた、渦流量計をはじめとするフィールド機器が知られている。このようなフィールド機器では、一般に、圧電素子はフィールド機器の内部に設けられることが多い。そのため、圧電素子が正常に動作するかどうかを、フィールド機器から圧電素子を取り出すことなく診断できることが求められる。
【0003】
特許文献1には、圧電素子の診断に関する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2005-526228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成は、少なくとも2つの異なる周波数で圧電素子に交流信号を印加して、その応答を測定するため、回路構成が複雑で大規模なものになっていた。
【0006】
そこで、本開示の目的は、単純な構成で圧電素子の健全性を診断することが可能な診断装置及び診断方法、並びにフィールド機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る診断装置は、単一周波数の交流信号である検査信号を発生する発生回路と、前記検査信号に対する圧電素子の応答信号を直流信号に変換する変換回路と、前記直流信号を解析して、前記圧電素子の健全性を判定する制御部と、を備える。具体的には、前記変換回路は半波整流器を備えるようにしてもよい。このように、診断装置は、単一周波数の交流信号を圧電素子に印加して、その応答を測定するため、単純な構成で圧電素子の健全性を診断することが可能である。
【0008】
一実施形態に係る診断装置において、前記発生回路は、前記検査信号として、前記圧電素子から出力される物理量に応じた電気信号の周波数帯には属さない周波数の交流信号を発生する。したがって、診断装置は、検査信号が、圧電素子から出力される物理量に応じた電気信号に影響を与えずに、検査信号に対する圧電素子の応答を反映した直流信号を解析して、圧電素子の静電容量に関する健全性を判定することができる。
【0009】
一実施形態に係る診断装置において、前記制御部は、前記直流信号を解析して、前記圧電素子の静電容量値を計算し、当該静電容量値と、予め定められた基準値とを比較して、前記圧電素子が正常に動作するか否かを前記圧電素子の健全性として判定する。したがって、前記診断装置は、圧電素子が正常に動作するか否かを簡易かつ正確に判定することが可能である。
【0010】
一実施形態に係る診断装置において、前記制御部は、前記直流信号を解析して、前記圧電素子の静電容量値を計算し、前記計算された前記圧電素子の静電容量値と、過去に計算された静電容量値とに基づいて、前記圧電素子について予測される故障時期を前記健全性として判定する。したがって、診断装置は、過去のデータに基づき圧電素子の故障を予知することが可能である。
【0011】
一実施形態に係る診断装置は、前記圧電素子により測定された物理量に関する情報を記憶する記憶部を更に備え、前記制御部は、前記圧電素子から出力される物理量に応じた電気信号を受信したことに応じて、当該電気信号に基づき計算された物理量の測定値を前記記憶部に記憶させ、前記圧電素子の健全性の判定が行われている間は、当該健全性の判定の直前に前記記憶部に記憶された前記測定値を出力する。したがって、圧電素子の健全性の判定が行われている間であっても、ユーザーに対し、記憶部に記憶された圧電素子を用いた物理量の測定値を出力することができる。
【0012】
一実施形態に係る診断装置において、前記制御部は、前記発生回路及び前記変換回路の少なくともいずれかを制御して、前記発生回路及び前記変換回路の少なくともいずれかの動作に関するパラメータを変動させつつ、前記直流信号を解析して、前記圧電素子の健全性を判定する。したがって、診断装置は、さらに正確に圧電素子が正常に動作するか否かを判定することができる。
【0013】
一実施形態に係る診断装置は、前記発生回路と前記圧電素子との間に抵抗器を更に備え、前記制御部は、前記発生回路から前記抵抗器を介して前記圧電素子に診断用基準電圧を印加した場合における、前記診断用基準電圧と、前記診断用基準電圧に対する前記圧電素子の出力信号と、前記抵抗器の抵抗値とに基づき、前記圧電素子の絶縁抵抗値を計算し、当該絶縁抵抗値に基づき前記圧電素子の健全性を判定する。したがって、圧電素子の絶縁抵抗に関する健全性を診断することが可能である。
【0014】
幾つかの実施形態に係るフィールド機器は、上記診断装置と、上記圧電素子と、を備える。フィールド機器は、複数の前記圧電素子を備え、前記診断装置は、前記複数の圧電素子の中から1つの前記圧電素子を選択して、当該圧電素子の健全性を診断する。したがって、フィールド機器は、複数の圧電素子からの信号を用いて、各圧電素子の健全性を診断することが可能である。
【0015】
幾つかの実施形態に係る診断方法は、発生回路が、単一周波数の交流信号である検査信号を発生する工程と、変換回路が、前記検査信号に対する圧電素子の応答信号を直流信号に変換する工程と、制御部が、前記直流信号を解析して、前記圧電素子の健全性を判定する工程と、を含む。したがって、診断方法は、単純な構成で圧電素子の健全性を診断することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一実施形態によれば、単純な構成で圧電素子の健全性を診断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態に係るフィールド機器の構成例を示す図である。
図2】圧電素子の等価回路の一例を示す図である。
図3】健全性確認回路の構成例を示す図である。
図4】本開示の他の実施形態に係るフィールド機器の構成例を示す図である。
図5】圧電素子による測定タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図6】圧電素子の健全性を診断するタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図7】本開示の一実施形態に係る診断装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<比較例>
比較例として、特許文献1には、圧電センサをテストするための診断装置が記載されている。比較例に係る診断装置は、少なくとも2つの異なった周波数で交流信号を圧電センサへ印加し、印加された交流信号に応答して発生された圧電センサからの応答信号を測定する。そして、比較例に係る診断装置は、測定出力の関数として圧電センサの状態を診断する。
【0019】
しかし、比較例に係る診断装置は、少なくとも2つの異なった周波数で交流信号を圧電センサへ印加する必要があるため、回路構成が複雑で大規模なものになっていた。
<本開示の実施形態>
【0020】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本開示の一実施形態に係るフィールド機器100の構成例を示す図である。フィールド機器100は、診断装置10及び圧電素子90を備える。フィールド機器100において、診断装置10は、圧電素子90から振動及び圧力等の物理量に関する測定信号を受信して液体又は気体等の流量等を計算するとともに、圧電素子90が正常に動作するか否か(健全性)を診断する。診断装置10は、マイクロコントローラ11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、出力回路/通信回路14、表示器15、検査信号発生回路16、抵抗器17、増幅回路18、フィルタ回路19、A/D(Analog-to-Digital)変換回路20、健全性確認回路21、及びA/D変換回路22を備える。例えば、フィールド機器100には、圧電素子90を備えた流量計、圧力計等がある。
【0022】
制御部としてのマイクロコントローラ11は、フィールド機器100全体の動作を制御する制御部である。マイクロコントローラ11は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。
【0023】
ROM12は読み出し専用メモリであり、フィールド機器100の制御に必要なシステムプログラム及びデータ等を記憶する。RAM13は書き込み可能メモリであり、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能しうる。RAM13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び圧電素子が測定した測定データ等の各種情報等を記憶してもよい。ROM12及びRAM13は、圧電素子90により測定された物理量に関する情報を記憶する記憶部として機能する。
【0024】
出力回路/通信回路14は、任意の通信技術によってPC(Personal Computer)等の他の装置と通信接続可能な、任意の通信モジュールを含む。出力回路/通信回路14は、さらに、他の装置との通信を制御するための通信制御モジュール、及び他の装置との通信に必要となる通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。
【0025】
表示部としての表示器15は、ユーザーに対して情報を表示する。表示器15は、例えば、圧電素子90が測定した物理量、及び圧電素子90の健全性等を示す情報を表示する。表示器15は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、又はメーター等により実現される。
【0026】
圧電素子90がフィールド機器100のセンサとして用いられた場合、圧電素子90から発生する電気信号は、一般に、測定対象に応じた特定の周波数帯に属する電気信号として出力される。本実施形態のフィールド機器100は、圧電素子90から出力される電気信号を、増幅回路18、フィルタ回路19、及びA/D変換回路20を経てマイクロコントローラ11へ入力し、マイクロコントローラ11において、電気信号に対応する物理量に変換される。
【0027】
増幅回路18は、圧電素子90から出力される電気信号の振幅を増幅する。振幅が増幅された電気信号は、フィルタ回路19へ出力される。
【0028】
フィルタ回路19は、増幅回路18から出力された電気信号のうち、予め定められた周波数帯の電気信号のみを通過させ、それ以外の周波数帯に属する電気信号を減衰させるフィルタリング処理を行う。フィルタ回路19は、LPF(Low-Pass Filter:低域通過)、HPF(High-Pass Filter:高域通過)、BPF(Band-Pass Filter:帯域通過)、BEF(Band-Elimination Filter:帯域阻止)、又はこれらの組み合わせにより実現される。フィルタリング処理が行われた電気信号は、A/D変換回路20へ出力される。
【0029】
A/D変換回路20は、アナログ(Analog)信号として入力された電気信号をデジタル(Digital)信号に変換する。デジタル信号に変換された電気信号は、マイクロコントローラ11へ出力される。
【0030】
マイクロコントローラ11は、A/D変換回路20から入力されたデジタル形式の電気信号を、その電気信号に対応する物理量に変換する。例えば、圧電素子90が渦流量計において用いられた場合、マイクロコントローラ11は、入力された電気信号を、単位時間当たりの流体の移動量(流量又は流速)に変換する。電気信号から物理量への変換は、予めROM12又はRAM13に記憶されたプログラムの制御に応じて行われる。マイクロコントローラ11は、変換により取得された物理量を、ユーザーが確認できるように、表示器15に表示させる。あるいは、マイクロコントローラ11は、取得された物理量を、出力回路/通信回路14によって他の装置へ出力し、ユーザーが物理量を確認できるようにしてもよい。
【0031】
一方、圧電素子90が正常に動作するかどうかを診断する場合、マイクロコントローラ11は、検査信号発生回路16からパルス波である単一周波数の検査信号を発生させ、その検査信号を、抵抗器17を介して圧電素子90に入力する。検査信号に対する圧電素子90の応答信号は、健全性確認回路21及びA/D変換回路22を介してマイクロコントローラ11へ入力される。マイクロコントローラ11は、検査信号に対する圧電素子90の過渡応答である応答信号に基づき、圧電素子90が正常に動作するかどうかを判定する。
【0032】
発生回路としての検査信号発生回路16は、マイクロコントローラ11の制御に基づき、圧電素子90が正常に動作するかどうかを検査するための単一周波数の検査信号を発生する。検査信号は、例えば、圧電素子90から出力される物理量の測定値に応じた電気信号の周波数帯には属さない周波数の交流信号である。検査信号は、例えば、物理量の測定値に応じた電気信号の周波数帯から十分離れた周波数の交流信号としてもよい。フィールド機器100が、例えば、配管を移動する流体の流量を測定する渦流量計として用いられる場合、検査信号の周波数は、配管の太さ(内径等)に関わらず、同一の値(例えば、12.8kHz)とすることができる。検査信号発生回路16において発生した検査信号は、抵抗器17へ出力される。
【0033】
抵抗器17は、抵抗値が予め知られた抵抗である。抵抗器17は、例えば、10MΩの高抵抗とすることができる。検査信号発生回路16から抵抗器17に出力された検査信号は、抵抗器17を通過した後、圧電素子90へ出力される。
【0034】
圧電素子90は、振動及び圧力等の機械的運動に応じて電気信号を生成する素子である。図2は、圧電素子90の等価回路の一例を示す図である。図2に示すように、圧電素子90は、絶縁抵抗R93と、絶縁抵抗R93に並列に接続された静電容量C92及び電圧源E91としてモデル化することができる。圧電素子90が正常に動作する場合、絶縁抵抗R93は、例えば、50kΩ、静電容量C92は、例えば、30pF以下となる。圧電素子90に検査信号が入力された場合、検査信号に対する圧電素子90の応答信号は、端子間94の電圧又は端子間94を流れる電流として、健全性確認回路21へ出力される。
【0035】
なお、検査信号に対する圧電素子90の応答信号は、増幅回路18へも出力されるが、前述のように、検査信号の周波数は、圧電素子90から出力される物理量の測定値に応じた電気信号の周波数帯には属さない。そのため、増幅回路18へ出力された検査信号に対する圧電素子90の応答信号は、フィルタ回路19において除去される。
【0036】
変換回路としての健全性確認回路21は、圧電素子90の応答信号を、絶縁抵抗R93の抵抗値及び静電容量C92の静電容量値を反映した直流信号に変換する。図3は、健全性確認回路21の構成例を示す図である。健全性確認回路21は、HPF半波整流器211及びLPF増幅回路212を備える。
【0037】
HPF半波整流器211は、検査信号に対する圧電素子90の応答信号から、予め定められた閾値以上の周波数の成分を抽出する。さらに、HPF半波整流器211は、応答信号の高周波成分について、半波整流を行う。HPF半波整流器211は、例えば、オペアンプにより実現することができる。これらの処理が行われた応答信号は、LPF増幅回路212へ出力される。
【0038】
LPF増幅回路212は、HPF半波整流器211から入力された応答信号から、予め定められた閾値未満の周波数の成分を抽出する。さらに、LPF増幅回路212は、応答信号の低周波成分の振幅を増幅する。HPF半波整流器211及びLPF増幅回路212の処理は、交流信号である応答信号を直流信号に変換することに相当する。これらの処理が行われた応答信号は、A/D変換回路22へ出力される。
【0039】
A/D変換回路22は、アナログ信号として入力された応答信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された応答信号は、マイクロコントローラ11へ出力される。
【0040】
マイクロコントローラ11は、検査信号発生回路16から抵抗器17を介して診断用基準電圧が印加された時の圧電素子90からの出力電圧を増幅回路18、フィルタ回路19、及びA/D変換回路20を介して取得する。診断用基準電圧は、検査信号発生回路16の出力端子と圧電素子90の接地された端子との間の電圧であり、直流電圧とすることができる。圧電素子90の出力電圧は、圧電素子90の絶縁抵抗R93と抵抗器17の抵抗とで診断用基準電圧を分圧した電圧である。そのため、マイクロコントローラ11は、圧電素子90の出力電圧と既知の診断用基準電圧と既知の抵抗器17の抵抗値とから、圧電素子90の絶縁抵抗R93の抵抗値を計算できる。絶縁抵抗R93は、正常時には、例えば、抵抗器17の抵抗値(例えば、10MΩ)の数分の一である数MΩ程度の抵抗値を有する。絶縁抵抗R93は、異常時には、例えば、数10kΩ以下の抵抗値を有する。したがって、この場合、出力電圧は、正常時には診断用基準電圧の数分の一の数値を示すが、異常時には限りなく0Vに近い数値を示す。
【0041】
また、マイクロコントローラ11は、圧電素子90に対して交流信号であるパルス信号を印加し、健全性確認回路21において、静電容量C92の静電容量値を反映した直流信号に変換された応答信号を解析する。静電容量のインピーダンスは、パルス波である検査信号の周波数をf、静電容量C92の静電容量値をCとすると、1/(2πf×C)となる。そこで、マイクロコントローラ11は、このような関係をもとに、検査信号の電圧値、及び、検査信号に対する圧電素子90の応答信号の電圧値から、静電容量C92の静電容量値を計算する。
【0042】
マイクロコントローラ11は、応答信号を解析して得られた、絶縁抵抗R93の抵抗値及び静電容量C92の静電容量値の少なくともいずれかの値に基づき、圧電素子90が正常に動作するか健全性の良否判断を行う。具体的には、マイクロコントローラ11は、例えば、絶縁抵抗R93の抵抗値及び静電容量C92の静電容量値として予め設定された数値(例えば絶縁抵抗50kΩ、静電容量値30pF)と、応答信号を解析して計算した値とを比較する。そして、マイクロコントローラ11は、両者の値の差分が予め定められた値を超える場合は、圧電素子90が故障していると判断し、両者の値の差分が予め定められた値に収まる場合は、圧電素子90は正常に動作すると判断してもよい。例えば、マイクロコントローラ11は、応答信号に基づき計算された抵抗値が予め設定された基準値を下回る場合、又は、応答信号に基づき計算された静電容量値が予め設定された基準値を上回る場合に、圧電素子90は故障していると判断することができる。
【0043】
あるいは、マイクロコントローラ11は、例えば、以前の測定により取得された絶縁抵抗R93の抵抗値及び静電容量C92の静電容量値の少なくともいずれかの値と、応答信号を解析して計算した値とを比較してもよい。その場合、マイクロコントローラ11は、例えば、応答信号に基づき計算された抵抗値又は静電容量値と以前測定された値との間の差分が予め定められた基準値を上回る場合は、圧電素子90が故障していると判断してもよい。
【0044】
あるいは、マイクロコントローラ11は、例えば、以前の測定により取得された、絶縁抵抗R93の抵抗値及び静電容量C92の静電容量値の少なくともいずれかの値(トレンドデータ)をROM12又はRAM13に記憶させておいてもよい。そして、マイクロコントローラ11は、例えば、応答信号に基づき計算された抵抗値又は静電容量値が、ROM12又はRAM13に記憶された変化の傾向に適合しない場合は、圧電素子90が故障していると判断してもよい。さらに、マイクロコントローラ11は、応答信号に基づき計算された抵抗値又は静電容量値と、トレンドデータ(過去に計算された抵抗値又は静電容量値)とに基づき、圧電素子90が故障する時期を予知してもよい。具体的には、例えば、マイクロコントローラ11は、1つの圧電素子90について過去に計算された抵抗値又は静電容量値の変化を示すグラフの傾きに基づき、抵抗値又は静電容量値の変化を推測して、故障時期を予知してもよい。あるいは、例えば、マイクロコントローラ11は、複数の圧電素子90について過去に計算された抵抗値又は静電容量値の変化の平均又はグラフの傾きに基づき、抵抗値又は静電容量値の変化を推測して、故障時期を予知してもよい。さらに、マイクロコントローラ11は、例えば、フィールド機器100が渦流量計として用いられた場合、圧電素子90の絶縁抵抗及び静電容量、圧電素子90の利用状況、及び故障に関する情報等を教師データとして機械学習してもよい。マイクロコントローラ11は、このような機械学習により、圧電素子90の故障時期を予測するための予測モデルを生成して活用してもよい。
【0045】
圧電素子90の健全性の良否判断を行った後、マイクロコントローラ11は、その結果を、表示器15、又は、出力回路/通信回路14を介して、外部に出力する。ユーザーは、健全性の良否判断の結果を確認することで、圧電素子90が正常に動作するか否かを認識することができる。また、ユーザーは、絶縁抵抗又は静電容量の変化から、圧電素子90がいつ故障し交換する必要があるかの予知診断等を行うこともできる。
【0046】
なお、診断装置10の一部又は全ての機能は、本実施形態に係るプログラムを、マイクロコントローラ11に含まれるプロセッサで実行することにより実現されうる。すなわち、診断装置10の一部又は全ての機能は、ソフトウェアにより実現されうる。プログラムは、診断装置10の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、各ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。すなわち、プログラムは、コンピュータを本実施形態に係る診断装置10として機能させるためのプログラムである。
【0047】
以上のように、診断装置10において、検査信号発生回路16は、単一周波数の交流信号である検査信号を発生する。健全性確認回路21は、検査信号に対する圧電素子90の応答信号を直流信号に変換する。具体的には、健全性確認回路21は、HPF半波整流器211により、応答信号を直流信号に変換する。マイクロコントローラ11は、直流信号を解析して、圧電素子90の健全性を判定する。具体的には、マイクロコントローラ11は、抵抗器17における電圧値及び電流値に基づき、圧電素子90を流れる電流及び端子間電圧を計算して、圧電素子90の絶縁抵抗値を算出する。また、マイクロコントローラ11は、直流信号を解析して、圧電素子90の静電容量値を計算する。さらに、マイクロコントローラ11は、計算した値と、予め定められた基準値とを比較して、圧電素子90が正常に動作するか否かを圧電素子90の健全性として判定する。そのため、診断装置10は、単一の交流信号である検査信号を印加することで、より単純な回路構成で圧電素子90の健全性を簡易かつ正確に確認することができる。
【0048】
また、マイクロコントローラ11は、圧電素子90の絶縁抵抗値及び静電容量値の少なくともいずれかを計算し、その値と、予め計算された過去の絶縁抵抗値及び静電容量値とに基づいて圧電素子90の健全性を判定してもよい。これにより、マイクロコントローラ11は、圧電素子90について予測される故障時期を健全性として判定することができる。
【0049】
また、検査信号発生回路16は、検査信号として、圧電素子90から出力される物理量に応じた電気信号の周波数帯には属さない周波数の交流信号を発生する。そのため、診断装置10は、検査信号が、圧電素子90から出力される測定信号に影響を与えずに、静電容量C92の静電容量値を示す信号を反映した直流信号である応答信号を解析して、圧電素子90の静電容量C92に関する健全性を判断することができる。したがって、複数の動作モードによる回路構成の規模増加及び応答性が悪くなること、並びに、特別な操作及び手順の必要性を抑えられ、ユーザーの使い勝手を格段に向上させることが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
図1に例示したフィールド機器100は1つの圧電素子90を備えるが、複数の圧電素子90を備えるフィールド機器が提供されてもよい。図4は、本開示の他の実施形態に係るフィールド機器200の構成例を示す図である。フィールド機器は、2つの圧電素子A90a及び圧電素子B90bと、診断装置30とを備える。図1の構成と同様の機能及び動作をする構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0051】
診断装置30は、マイクロコントローラ11、ROM12、RAM13、出力回路/通信回路14、表示器15、検査信号発生回路16、抵抗器17、増幅回路A18a、増幅回路B18b、フィルタ回路A19a、フィルタ回路B19b、A/D変換回路A20a、A/D変換回路B20b、健全性確認回路21、及びA/D変換回路22を備える。
【0052】
圧電素子A90aから出力される電気信号は、増幅回路A18a、フィルタ回路A19a、及びA/D変換回路A20aを経てマイクロコントローラ11へ入力され、マイクロコントローラ11において、電気信号に対応する物理量に変換される。圧電素子B90bから出力される電気信号は、増幅回路B18b、フィルタ回路B19b、及びA/D変換回路B20bを経てマイクロコントローラ11へ入力され、マイクロコントローラ11において、電気信号に対応する物理量に変換される。増幅回路A18a、増幅回路B18b、フィルタ回路A19a、フィルタ回路B19b、A/D変換回路A20a、及びA/D変換回路B20bの動作は、増幅回路18、フィルタ回路19、A/D変換回路20と同様である。このように、複数の圧電素子(圧電素子A90a及び圧電素子B90b)を備えることでより精度の高い物理量の測定を行う構成において、フィールド機器200は、複数の圧電素子からの検査信号に対する応答信号を用いて、各圧電素子の健全性を診断することが可能である。
【0053】
また、圧電素子A90a及び圧電素子B90bが正常に動作するかどうかを診断する場合、フィールド機器100と同様に、フィールド機器200は、検査信号発生回路16において検査信号を発生する。フィールド機器200は、発生した検査信号を抵抗器17を介して圧電素子A90a及び圧電素子B90bへ出力する。圧電素子A90a及び圧電素子B90bへ検査信号を出力する際は、圧電素子A90aからの応答信号と圧電素子B90bからの応答信号とを区別する必要がある。そこで、抵抗器17と、圧電素子A90a及び圧電素子B90bとの間にスイッチを設け、マイクロコントローラ11は、検査信号発生回路16からの検査信号の出力と連動して、スイッチを切り換えることで、一方の圧電素子に検査信号を印加してもよい。あるいは、マイクロコントローラ11は検査信号発生回路16を制御して、検査信号の出力先となる圧電素子90を選択し、選択された圧電素子90に対して検査信号が出力されるように検査信号発生回路16を制御してもよい。あるいは、マイクロコントローラ11は検査信号発生回路16を制御して、圧電素子A90aへの出力と圧電素子B90bへの出力のタイミングをずらしてもよい。健全性確認回路21は、圧電素子A90a又は圧電素子B90bからの検査信号に対する応答信号を直流信号に変換し、A/D変換回路22を介して、マイクロコントローラ11へ出力する。マイクロコントローラ11は、フィールド機器100と同様に、応答信号に基づき、圧電素子A90a及び圧電素子B90bが正常に動作するかどうかを診断する。したがって、図4の構成によれば、複数の圧電素子90a,90bを備えるフィールド機器200においても、各圧電素子90a,90bが正常に動作するか否かを判定することができる。
【0054】
(第3実施形態)
診断装置10は、圧電素子90が測定信号を出力するのと同時に、圧電素子90の静電容量C92の静電容量値に関する健全性を診断することはできない。そのため、マイクロコントローラ11は、圧電素子90の静電容量C92の静電容量値に関する健全性をするタイミングと、圧電素子90が物理量を測定するタイミングとが別になるように、各構成要素を制御する必要がある。もっとも、渦流量計等のフィールド機器100に診断装置10が用いられた場合、物理量の測定及びその表示は高い即応性が求められるものではなく、測定と表示との間に数秒程度の遅延が生じてもユーザーから見て問題ないことが一般的である。そこで、本実施形態では、マイクロコントローラ11は、物理量を測定する測定モードから、圧電素子90の静電容量値に関する健全性を判定する診断モードへ切り替える直前に、切り替え直前の測定モードにより測定された物理量をRAM13へ保存する。そして、マイクロコントローラ11は、診断モードにおいても、RAM13へ保存された物理量を継続して出力し、物理量を表示器15に表示させる。したがって、本実施形態の診断装置10は、健全性の診断により物理量の測定値が変動したとしても、ユーザーにはその変動を表示せず、物理量の測定と圧電素子90の静電容量値に関する診断が同時に行われるように見せることができる。
【0055】
図5は、圧電素子90による測定タイミングの一例を示すタイミングチャートである。図5の例では、250msの周期で、6回、圧電素子90による物理量の測定が行われている。マイクロコントローラ11は、各測定モード(測定1~測定6)において、その測定モードで測定された物理量の測定値をRAM13に保存させる。そして、マイクロコントローラ11は、物理量の最新の測定値を表示器15に表示させる。そのため、ユーザーは物理量の最新の測定値を確認することができる。本実施形態では、圧電素子90による物理量の測定が行われる測定モードの間は、マイクロコントローラ11は、検査信号発生回路16を検査信号を発生しないように制御する。
【0056】
図6は、圧電素子90の健全性を診断するタイミングの一例を示すタイミングチャートである。図6の例では、測定1で示される測定モードの後に、1000ms(1秒)の診断モード(診断1)において、検査信号の応答に基づく圧電素子90の健全性の診断が行われている。本実施形態では、測定1において測定された物理量は測定1の期間中にRAM13に保存される。そこで、マイクロコントローラ11は、診断1の診断モードの期間においても、その測定値1における物理量の測定値を継続して表示器15に表示させる。すなわち、マイクロコントローラ11は、圧電素子90の健全性の判定が行われている間は、健全性の判定の直前にRAM13に記憶された物理量の測定値を出力して表示器15に表示させる。したがって、圧電素子の健全性の判定が行われている間であっても、ユーザーに対し、RAM13に記憶された物理量の測定値を出力して表示することができる。
【0057】
(第4実施形態)
本実施形態において、診断装置10は、診断モードにおいて、圧電素子90の健全性を診断する際において、検査信号発生回路16及び健全性確認回路21の少なくともいずれかの動作に関するパラメータを変動させつつ、圧電素子90からの応答信号を観察することで、圧電素子90の故障をより発見しやすくする。変動させる具体的なパラメータとしては、検査信号発生回路16の周波数及び電圧の少なくともいずれかと、健全性確認回路21の定数とが考えられる。
【0058】
すなわち、マイクロコントローラ11は、診断中に、検査信号発生回路16の動作に関するパラメータとして、検査信号発生回路16の周波数及び振幅の少なくともいずれかを可変としてもよい。検査信号に対する圧電素子90からの応答信号は、正常時は想定内のふるまいを示すが、圧電素子90に不具合が生じている等の異常時には想定外のふるまいを示す。そのため、マイクロコントローラ11は、周波数及び振幅を変化させることで圧電素子90のこのような異常を発見することが容易となる。マイクロコントローラ11は、例えば、周波数及び振幅を可変した場合の正常時のふるまいをROM12又はRAM13に記憶しておき、圧電素子90からの応答信号と比較する。異常時には異なるふるまいになるので、マイクロコントローラ11は、応答のふるまいに差があることに基づき異常を検知することが可能である。また、検査信号発生回路16の動作に関するパラメータとしては、例えば、検査信号発生回路16の電源電圧の値等も考えられる。
【0059】
あるいは、マイクロコントローラ11は、診断中に、健全性確認回路21の動作に関するパラメータとして、健全性確認回路21の定数を可変とし、定数の変化に応じた圧電素子90の応答信号の変化のふるまいにもとづき、圧電素子90の健全性を確認してもよい。マイクロコントローラ11は、健全性確認回路21の定数として、例えば、HPF半波整流器211のオペアンプの帰還率を変えることで、HPF半波整流器211の出力の波形を変化させることができる。マイクロコントローラ11は、例えば、圧電素子90が正常に動作する場合は健全性確認回路21から直流電圧(例えば、正の直流電圧)が出力されるが、異常時は出力されないように(例えば、ゼロボルト)、オペアンプの帰還率を変動させることができる。したがって、マイクロコントローラ11は、オペアンプの帰還率を変えることで、圧電素子90の異常をより容易に発見することが可能である。また、健全性確認回路21の動作に関するパラメータとしては、例えば、健全性確認回路21の電源電圧の値等も考えられる。
【0060】
<動作例>
上記実施形態に係る診断装置10の動作について、図7を参照して説明する。図7は、本開示の一実施形態に係る診断装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図7を参照して説明する診断装置10の動作は本実施形態に係る診断方法に相当する。図7の各ステップの動作は制御部としてのマイクロコントローラ11の制御に基づき実行される。本実施形態に係る診断方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、図7に示す各ステップを含む。
【0061】
ステップS1において、マイクロコントローラ11は、検査信号発生回路16を制御して、検査信号を発生させる。検査信号は、抵抗器17を介して圧電素子90へ出力される。
【0062】
ステップS2において、マイクロコントローラ11は、圧電素子90の応答信号を健全性確認回路21において受信させる。さらに、健全性確認回路21は、検査信号に対する圧電素子90の応答信号を直流信号に変換する。直流信号に変換された応答信号は、A/D変換回路22を介して、マイクロコントローラ11へ出力される。
【0063】
ステップS3において、マイクロコントローラ11は、直流信号を解析して、圧電素子90の健全性を判定する。各ステップの詳細は前述のとおりである。
【0064】
したがって、診断装置10は、単純な構成で圧電素子90の健全性を診断することが可能である。
【0065】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10,30 診断装置
11 マイクロコントローラ
12 ROM
13 RAM
14 出力回路/通信回路
15 表示器
16 検査信号発生回路
17 抵抗器
18,18a,18b 増幅回路
19,19a,19b フィルタ回路
20,20a,20b A/D変換回路
21 健全性確認回路
22 A/D変換回路
90,90a,90b 圧電素子
91 電圧源
92 静電容量
93 絶縁抵抗
94 端子間
100,200 フィールド機器
211 HPF半波整流器
212 LPF増幅回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7