(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】遮熱構造
(51)【国際特許分類】
B60K 13/04 20060101AFI20231212BHJP
F01N 13/14 20100101ALI20231212BHJP
F01N 3/00 20060101ALI20231212BHJP
F01N 3/26 20060101ALI20231212BHJP
F02B 77/11 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60K13/04 A
F01N13/14
F01N3/00 F
F01N3/26 A
F02B77/11 D
(21)【出願番号】P 2020191797
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100192511
【氏名又は名称】柴田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】茅野 秀明
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-246863(JP,A)
【文献】特開2005-291063(JP,A)
【文献】実開昭62-023636(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
F01N 3/00 - 9/00
F01N 13/14
F02B 77/11
F02D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源体の表面に設けられた突出部品と、
前記熱源体の表面を覆うように設けられ、前記突出部品が突出するように前記突出部品を挿通させる第1挿通部を有する遮熱板と、
前記遮熱板に沿って配置され、前記突出部品を挿通させる第2挿通部が形成された遮熱布部と、を備え、
前記第2挿通部の挿通寸法は、前記第1挿通部の挿通寸法よりも小さ
く、
前記遮熱布部は、前記熱源体の前記表面に設けられた状態の前記突出部品が前記第2挿通部に挿通されることで前記突出部品に沿って弾性変形して曲がって前記突出部品の外周面に接触し、前記突出部品の前記熱源体とは反対側を前記遮熱板の表側に露出させている、遮熱構造。
【請求項2】
前記第2挿通部は、前記遮熱布部に沿う所定断面での前記突出部品の外形寸法よりも小さい開口寸法の中央貫通孔と、前記中央貫通孔を囲み可撓性を有する追従部と、を含む、請求項1に記載の遮熱構造。
【請求項3】
前記追従部は、前記中央貫通孔を中心として放射状に延びる複数の遮熱布片である、請求項2に記載の遮熱構造。
【請求項4】
前記追従部の基端は、前記第1挿通部の縁よりも径方向外側に位置している、請求項2又は3に記載の遮熱構造。
【請求項5】
前記熱源体は、内燃機関の排気通路を構成する排気系部材である、請求項1~4の何れか一項に記載の遮熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遮熱構造として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、排気浄化触媒に隣り合う変速機と排気浄化触媒との間にハーネスが配置され、ハーネスと排気浄化触媒との間を仕切るようにプロテクタが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱源体の表面に設けられた突出部品と、熱源体の表面を覆うように設けられた遮熱板と、を備える遮熱構造においては、遮熱板の表面から突出するように突出部品を挿通させる第1挿通部が遮熱板に設けられることがある。このような遮熱構造においては、通常、遮熱板に沿う所定断面での突出部品の外形寸法よりも第1挿通部の挿通寸法を大きくすることで、突出部品と遮熱板とが干渉しないように構成される(
図7参照)。この構成では、熱源体と遮熱板との間の熱気が突出部品の周囲を通って遮熱板の表側に流出し易い。その結果、遮熱板の表側に位置する突出部品の一部(例えばセンサ等の樹脂部分)が熱気の影響を受けるおそれがある。
【0005】
本発明は、熱源体と遮熱板との間の熱気の影響が遮熱板の表側に位置する突出部品の一部に及ぶことを抑制することができる遮熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る遮熱構造は、熱源体の表面に設けられた突出部品と、熱源体の表面を覆うように設けられ、突出部品が突出するように突出部品を挿通させる第1挿通部を有する遮熱板と、遮熱板に沿って配置され、突出部品を挿通させる第2挿通部が形成された遮熱布部と、を備え、第2挿通部の挿通寸法は、第1挿通部の挿通寸法よりも小さい。
【0007】
本発明の一態様に係る遮熱構造では、遮熱板に沿って遮熱布部が配置されている。遮熱布部には、突出部品を挿通させる第2挿通部が形成されている。熱源体の表面に設けられた突出部品は、遮熱板の第1挿通部及び遮熱布部の第2挿通部に挿通されて、遮熱板の表面から突出している。ここで、第2挿通部の挿通寸法が第1挿通部の挿通寸法よりも小さいため、例えば遮熱布部が設けられていない場合及び第2挿通部の挿通寸法が第1挿通部の挿通寸法以上である場合と比べて、熱源体と遮熱板との間の熱気が突出部品の周囲を通って遮熱板の表側に流出しづらくなる。したがって、本発明の一態様に係る遮熱構造によれば、熱源体と遮熱板との間の熱気の影響が遮熱板の表側に位置する突出部品の一部に及ぶことを抑制することができる。
【0008】
一実施形態において、第2挿通部は、遮熱布部に沿う所定断面での突出部品の外形寸法よりも小さい開口寸法の中央貫通孔と、中央貫通孔を囲み可撓性を有する追従部と、を含んでもよい。この場合、中央貫通孔の開口寸法が、遮熱布部に沿う所定断面での突出部品の外形寸法よりも小さいため、突出部品が中央貫通孔に挿通されると、追従部が突出部品の周囲に接触する。よって、熱源体と遮熱板との間の熱気が突出部品の周囲を通って遮熱板の表側に流出することを効果的に抑制することができる。
【0009】
一実施形態において、追従部は、中央貫通孔を中心として放射状に延びる複数の遮熱布片であってもよい。この場合、複数の遮熱布片で追従部を容易に構成することができる。
【0010】
一実施形態において、追従部の基端は、第1挿通部の縁よりも径方向外側に位置していてもよい。この場合、追従部の基端が第1挿通部の縁よりも径方向内側に位置する場合と比べて、追従部の可撓性を高めることができる。
【0011】
一実施形態において、熱源体は、内燃機関の排気通路を構成する排気系部材であってもよい。この場合、内燃機関の排気ガスで熱せられる排気系部材と遮熱板との間の熱気の影響が遮熱板の表側に位置する突出部品(例えばセンサ等)の一部に及ぶことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱源体と遮熱板との間の熱気の影響が遮熱板の表側に位置する突出部品の一部に及ぶことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の遮熱構造が適用された排気浄化触媒の概略斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1の遮熱板の斜視図である。(b)は、
図1の遮熱布部の平面図である。
【
図3】
図2の遮熱布部を遮熱板に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の遮熱布部及び遮熱板をセンサが突出するように排気浄化触媒に取り付けた状態を示す一部断面図である。
【
図6】
図5の遮熱布部及び遮熱板をセンサが突出するように排気浄化触媒に取り付けた状態を示す一部断面図である。
【
図7】従来の遮熱板をセンサが突出するように排気浄化触媒に取り付けた状態を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、実施形態の遮熱構造が適用された排気浄化触媒の概略斜視図である。本実施形態では、遮熱構造100によって遮熱される熱の熱源体として、内燃機関の排気通路を構成する排気浄化触媒(排気系部材)1を例示する。
【0016】
排気浄化触媒1は、例えば車両に搭載され、内燃機関(例えばディーゼルエンジン)から排出される排気ガスを浄化する。具体的な一例として、排気浄化触媒1は、ディーゼル酸化触媒[DOC:Diesel Oxidation Catalyst]、ディーゼル排気微粒子除去フィルタ[DPF:Diesel Particulate Filter]、及び、選択還元触媒[SCR:Selective Catalytic Reduction]などであってもよい。
【0017】
本実施形態の遮熱構造100は、突出部品2と、遮熱板3と、遮熱布(遮熱布部)4とを備えている。本実施形態の遮熱構造100では、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気の影響が遮熱板3の表側に位置する突出部品2の一部に及ぶことを抑制するため、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気が突出部品2の周囲を通って遮熱板3の表側に流出しづらくすることが図られている。
【0018】
突出部品2は、例えば計測機能又は流体噴射機能を有する部品であり、排気浄化触媒1の表面1aに取り付けられて用いられる部品である。突出部品2は、後述するように、排気浄化触媒1の表面1aに取り付けられた状態で、遮熱板3の第1挿通部3aに挿通されて遮熱板3の表側に突出する。
【0019】
排気浄化触媒1の表面1aとは、排気浄化触媒1の外表面のうち突出部品2が取り付けられる箇所を含む一定領域を意味する。遮熱板3の表側とは、遮熱板3の表面3b側を意味する。遮熱板3の表面3bとは、排気浄化触媒1に対向しない側の遮熱板3の面である。遮熱板3の裏面3cとは、排気浄化触媒1に対向する側の遮熱板3の面である。
【0020】
本実施形態の突出部品2は、一例としてセンサ20である。センサ20は、例えば取付用の雄ネジ部を備えており、排気浄化触媒1の表面1aに設けられた雌ネジ(図示省略)に螺合させられて排気浄化触媒1の表面1aに設けられる。センサ20は、例えば、雄ネジ部の軸方向に沿って所定長さで延びるボス部21と胴部22とを有している。ボス部21及び胴部22は、雄ネジ部と同軸の円柱状を呈しており、ボス部21の外径が胴部22の外径よりも大きい。胴部22には、ハーネス等の樹脂部材(図示省略)が取り付けられている。センサ20は、排気浄化触媒1の表面1aに取り付けられた状態で、排気浄化触媒1の表面1aから所定長さで立設される。
【0021】
図2(a)は、
図1の遮熱板3の斜視図である。
図2(b)は、
図1の遮熱布4の平面図である。
図3は、
図2の遮熱布4を遮熱板3に取り付けた状態を示す斜視図である。
図1~
図3に示されるように、遮熱板3は、排気浄化触媒1からの熱を遮るための板部材である。遮熱板3は、排気浄化触媒1の表面1aのうち少なくともセンサ20が取り付けられる部分を覆うように設けられている。遮熱板3は、排気浄化触媒1の表面1aに沿う円弧状断面を有している(
図2(a)参照)。遮熱板3は、例えば、排気浄化触媒1と遮熱板3の円弧状断面とが同軸になるように、排気浄化触媒1の表面1aに設けられたステー(図示省略)に固定されて排気浄化触媒1に対して取り付けられる。遮熱板3の裏面3cは、一定範囲で排気浄化触媒1の表面1aと互いに対向している。遮熱板3は、例えば鉄板をプレスすることで成形されていてもよい。
【0022】
遮熱板3は、センサ20が突出するように突出部品2を挿通させる第1挿通部3aを有している。第1挿通部3aは、遮熱板3が排気浄化触媒1に取り付けられた状態で、例えばセンサ20に対応する位置に設けられている。第1挿通部3aは、例えば遮熱板3に形成された貫通孔である。第1挿通部3aの貫通孔は、例えば鉄板をプレスする際に形成されていてもよい。
【0023】
このような遮熱板3は、排気浄化触媒1からの輻射熱がセンサ20の胴部22側に達することを抑制する。ただし、遮熱板3だけでは、遮熱板3の第1挿通部3aを介して、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気(対流熱)がセンサ20のボス部21の周囲を通って遮熱板3の表側に流出する可能性がある。そこで、本実施形態では、遮熱布4を用いて、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気が遮熱板3の表側に流出することを抑制している。
【0024】
遮熱布4は、排気浄化触媒1からの熱を遮るための耐熱性を有する布状の部材である。遮熱布4は、遮熱板3に沿って配置されている。遮熱布4は、一例として、遮熱板3の裏面3cに取り付けられている。遮熱布4は、例えば、排気浄化触媒1の表面1aのうち内部に担体が存在する領域と対向する遮熱板の一部分に配置されている。遮熱布4は、排気浄化触媒1に遮熱板3が取り付けられた状態における排気浄化触媒1の表面1aと遮熱板3の裏面3cとの離間距離よりも小さい厚みとされている。遮熱布4としては、特に限定されないが、一例としてガラス繊維製の耐熱クロス部材(例えばニチアス社製インサルテックス(登録商標))を用いることができる。
【0025】
遮熱布4は、例えば平面視で長方形形状であってもよい(
図2(b)参照)。遮熱布4の面積は、遮熱板3の裏面3cの面積以下とされており、遮熱板3の裏面3cの面積よりも小さくてもよい。遮熱布4の四隅には、遮熱板3の裏面3cに遮熱布4を取り付ける取付部材を挿通するための貫通孔が設けられていてもよい。取付部材としては、例えばリベットを用いることができる。取付部材は、その他、ボルト、クリップ、ピン等であってもよい。取付部材の数は、4個以外であってもよい。遮熱布4は、例えば、後述のように突出部品2を第2挿通部10に挿通させる際に生じる引張り力に抗することができるように、第2挿通部10の周囲の複数箇所において遮熱板3の裏面3cに取り付けられている。
【0026】
遮熱布4は、センサ20を挿通させる第2挿通部10を有している。第2挿通部10は、センサ20を挿通させると共に、遮熱板3の第1挿通部3aを熱気が流出することを遮熱布4が設けられていない場合と比べて抑制する。すなわち、第2挿通部10の挿通寸法は、第1挿通部3aの挿通寸法よりも小さい。第1挿通部3aの挿通寸法は、第1挿通部3aの開口寸法を意味し、ここでは遮熱板3の貫通孔の径寸法である。第2挿通部10の挿通寸法とは、センサ20を挿通させる前(つまり遮熱布4の変形前)における第2挿通部10の平面視での開口寸法を意味する。
【0027】
一例として、第2挿通部10は、遮熱布4に沿う所定断面でのセンサ20の外形寸法よりも小さい開口寸法の中央貫通孔11と、中央貫通孔11を囲み可撓性を有する追従部12と、を含む。遮熱布4に沿う所定断面とは、排気浄化触媒1に遮熱板3及び遮熱布4が取り付けられた状態において遮熱布4が延在する仮想曲面に沿ってのセンサ20の断面を意味する。センサ20の外形寸法は、ここではボス部21の仮想曲面に沿う断面における外径である。
【0028】
追従部12は、例えば、中央貫通孔11を中心として放射状に延びる複数の遮熱布片12aである。複数の遮熱布片12aは、例えば、第1挿通部3aの縁3eから周方向外側に向かって複数の切込みを入れることにより形成されている。追従部12は、遮熱布4の側面視で中央貫通孔11側を自由端とする片持ち梁状となっている。複数の切込みは、中央貫通孔11の径方向に交差する方向とされている。複数の切込みは、遮熱布4を遮熱板3に取り付けた状態で、第1挿通部3aの縁3eよりも径方向外側に位置している。つまり、追従部12の基端13は、第1挿通部3aの縁3eよりも径方向外側に位置している。
【0029】
図4は、
図3の遮熱布4及び遮熱板3をセンサ20が突出するように排気浄化触媒1に取り付けた状態を示す一部断面図である。
図1及び
図4に示されるように、遮熱板3は、排気浄化触媒1にセンサ20が取り付けられた状態で、排気浄化触媒1の一方側から被せられる。中央貫通孔11の開口寸法が遮熱布4に沿う所定断面でのセンサ20の外形寸法よりも小さいため、排気浄化触媒1の一方側から遮熱板3を被せる際にセンサ20のボス部21が遮熱布4の中央貫通孔11に引っかかる。複数の遮熱布片12aの先端部がセンサ20のボス部21に引っ張られて曲がるように弾性変形することで、センサ20が遮熱布4に挿通される。
【0030】
図4の例では、遮熱板3の第1挿通部3aにおいて遮熱板3とセンサ20との隙間が遮熱布4によって埋められている。更に、複数の遮熱布片12aの先端部がセンサ20のボス部21に引っ張られて曲がるように弾性変形することで、遮熱布4とセンサ20とが密着している。これにより、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気がセンサ20のボス部21の周囲を通ることが困難となっている。よって、遮熱板3だけで遮熱布4が無い場合と比べて、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気が遮熱板3の表側に流出することが抑制される。
【0031】
また、遮熱布4では複数の切込みが中央貫通孔11の径方向に交差する方向とされているため、複数の遮熱布片12aの先端部が弾性変形する際、センサ20のボス部21に引っ張られる方向に真っ直ぐ変形するというよりも、複数の遮熱布片12aの先端部の一方の角部の変形量が最大となるように複数の遮熱布片12aがねじれ変形させられる。その結果、仮にセンサ20のボス部21に引っ張られる方向に隣接する複数の遮熱布片12aが真っ直ぐ変形した場合のように隣接する複数の遮熱布片12aの側端面同士が互いに干渉して遮熱布片12aが波打つように変形することを、複数の遮熱布片12aがねじれ変形することによって抑制することができる。よって、遮熱布4とセンサ20との密着性の低下が抑制される。
【0032】
以上説明したように遮熱構造100では、遮熱板3に沿って遮熱布4が配置されている。遮熱布4には、センサ20を挿通させる第2挿通部10が形成されている。排気浄化触媒1の表面1aに設けられたセンサ20は、遮熱板3の第1挿通部3a及び遮熱布4の第2挿通部10に挿通されて、遮熱板3の表面3bから突出している。ここで、第2挿通部10の挿通寸法が第1挿通部3aの挿通寸法よりも小さいため、例えば遮熱布4が設けられていない場合及び第2挿通部10の挿通寸法が第1挿通部3aの挿通寸法以上である場合と比べて、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気がセンサ20の周囲を通って遮熱板3の表側に流出しづらくなる。したがって、遮熱構造100によれば、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気の影響が遮熱板3の表側に位置するセンサ20の一部に及ぶことを抑制することができる。
【0033】
遮熱構造100では、第2挿通部10は、遮熱布4に沿う所定断面でのセンサ20の外形寸法よりも小さい開口寸法の中央貫通孔11と、中央貫通孔11を囲み可撓性を有する追従部12と、を含んでいる。これにより、中央貫通孔11の開口寸法が、遮熱布4に沿う所定断面でのセンサ20の外形寸法よりも小さいため、センサ20が中央貫通孔11に挿通されると、追従部12がセンサ20の周囲に接触する。よって、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気がセンサ20の周囲を通って遮熱板3の表側に流出することを効果的に抑制することができる。
【0034】
遮熱構造100では、追従部12は、中央貫通孔11を中心として放射状に延びる複数の遮熱布片12aである。これにより、複数の遮熱布片12aで追従部12を容易に構成することができる。
【0035】
遮熱構造100では、追従部12の基端13は、第1挿通部3aの縁3eよりも径方向外側に位置している。これにより、追従部12の基端13が第1挿通部3aの縁3eよりも径方向内側に位置する場合と比べて、追従部12の可撓性を高めることができる。
【0036】
遮熱構造100では、内燃機関の排気通路を構成する排気浄化触媒1を熱源体としている。これにより、内燃機関の排気ガスで熱せられる排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気の影響が遮熱板3の表側に位置するセンサ20の一部に及ぶことを抑制することができる。
【0037】
なお、
図4に示されるように、排気浄化触媒1にセンサ20が取り付けられた状態で、排気浄化触媒1の一方側から遮熱板3を被せることにより、センサ20が遮熱布4に挿通される。このとき、複数の遮熱布片12aの先端部がセンサ20のボス部21に引っ張られて曲がるように弾性変形することで、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気がセンサ20の周囲を通って遮熱板3の表側に流出することが効果的に抑制される。このような取付け手法が可能となることから、例えば遮熱板とは別体の板金部材などでセンサの周囲の遮熱板との隙間を塞ぐような構成と比べて、良好な組付け性を実現しつつ、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気の影響が遮熱板3の表側に位置するセンサ20の一部に及ぶことを抑制することができる。
【0038】
ちなみに、
図7のように排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気がセンサ20の周囲を通って遮熱板3の表側に流出する従来技術では、この熱気は鉛直上方に向かって流れ易い。そのため、遮熱板3の表面3bから鉛直上方に沿って突出するようにセンサ20を配設する構成を採用すると、センサ20が熱気の影響を受け易い。これに対し、遮熱構造100では、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気がセンサ20の周囲を通って遮熱板3の表側に流出することが効果的に抑制されるため、遮熱板3の表面3bから鉛直上方に沿って突出するようにセンサ20を配設する構成を採用し易くなる。
【0039】
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0040】
上記実施形態において、追従部12は、遮熱布4の側面視で中央貫通孔11側を自由端とする片持ち梁状となっていたが、これに限定されない。例えば、
図5に示されるように、遮熱布4Aに形成された貫通孔Hの周囲に、複数の遮熱布片12bが放射状に貼付されることで、第2挿通部10Aが構成されていてもよい。この構成では、第2挿通部10Aの中央貫通孔11Aは、複数の遮熱布片12bの先端辺12cを接線とする円形の開口に相当する。中央貫通孔11Aの開口寸法は、遮熱布4Aに沿う所定断面でのセンサ20の外形寸法よりも小さくてもよい。遮熱布片12bは、例えば、遮熱布4と同様の素材で短冊状とされている。複数の遮熱布片12bは、中央貫通孔11Aの径方向外側の端部12dにて遮熱布4Aに固定されていてもよい。つまり、遮熱布片12bは、中央貫通孔11Aを囲み、可撓性を有する追従部12Aである。なお、追従部12は、3以上の遮熱布片12aで構成されていたが、中央貫通孔11に交差する一対の切込みによって一対の遮熱布片が構成されてもよいし、中央貫通孔11に交差する一本の切込みによって中央貫通孔11を囲むC字状又はU字状の1つの遮熱布片が構成されてもよい。遮熱布片12bについても同様である。
【0041】
上記実施形態において、第2挿通部10は、遮熱布4に沿う所定断面でのセンサ20の外形寸法よりも小さい開口寸法の中央貫通孔11と、中央貫通孔11を囲み可撓性を有する追従部12と、を含んでいたが、これに限定されない。要は、第2挿通部の挿通寸法が第1挿通部の挿通寸法よりも小さければよく、例えば
図6のように、第2挿通部10Bは、挿通寸法がセンサ20の外形寸法と等しい円形開口の貫通孔11Bであってもよい。この場合においても、第2挿通部10Bの挿通寸法(貫通孔11Bの開口寸法)が第1挿通部3aの挿通寸法よりも小さいため、例えば遮熱布4Bが設けられていない場合及び第2挿通部10Bの挿通寸法が第1挿通部3aの挿通寸法以上である場合と比べて、排気浄化触媒1と遮熱板3との間の熱気がセンサ20の周囲を通って遮熱板3の表側に流出しづらくなる。
【0042】
上記実施形態において、第2挿通部10の追従部12は、第1挿通部3aの縁3eから周方向外側に向かって複数の切込みを入れることにより形成された複数の遮熱布片12aであったが、これに限定されない。例えば、
図6の例において、円形開口の貫通孔11Bの縁に、貫通孔11Bの径方向内側に向かって突出する可撓性を有する舌部などを設けることにより、追従部として機能させてもよい。
【0043】
上記実施形態において、遮熱板として排気浄化触媒1の遮熱板3を例示したが、図示したような形態の遮熱板に限定されるものではない。例えば、遮熱板3は、
図1の例では排気浄化触媒1に対する一方側のみに配置されているが、排気浄化触媒1に対する他方側にも配置されて円筒を形成するように一体化されてもよい。また、第1挿通部として円形に開口する貫通孔を例示したが、これに限定されない。第1挿通部は、例えば、遮熱板の縁部に形成されたC字状又はU字状の切欠き等であってもよい。
【0044】
上記実施形態において、複数の遮熱布片12aを形成する複数の切込みは、中央貫通孔11の径方向に交差する方向とされていたが、中央貫通孔11の径方向に沿う方向であってもよい。また、追従部12の基端13は、第1挿通部3aの縁3eよりも径方向内側に位置していてもよい。
【0045】
上記実施形態では、熱源体の表面に設けられた突出部品としてセンサ20を例示したが、これに限定されない。突出部品としては、例えば、DPFの上流に設けられる燃料の添加弁であってもよいし、SCRの上流に設けられる尿素水の添加弁であってもよいし、その他、熱気の影響が及ぶ可能性のある部分を含む種々のものを用いることができる。
【0046】
上記実施形態では、熱源体として、内燃機関の排気通路を構成する排気系部材を例示したが、これに限定されない。熱源体としては、例えば、内燃機関のシリンダヘッドにエキゾーストマニフォールドが一体的に設けられている場合のシリンダヘッドの排気側の部分であってもよいし、ガスタービンの高温のガスを流通させる流路であってもよいし、プラント等の高温のガス又は液体を流通させる流路であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…排気浄化触媒(排気系部材、熱源体)、1a…表面、2…突出部品、3…遮熱板、3a…第1挿通部、3e…縁、4,4A,4B…遮熱布(遮熱布部)、10,10A,10B…第2挿通部、11,11A…中央貫通孔(第2挿通部)、11B…貫通孔(第2挿通部)、12,12A…追従部(第2挿通部)、12a,12b…遮熱布片(第2挿通部)、13…基端、20…センサ(突出部品)、100…遮熱構造。