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特許7400711表示体、転写箔、粘着ラベル及び表示体付き物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】表示体、転写箔、粘着ラベル及び表示体付き物品
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20231212BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20231212BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20231212BHJP
   B42D 25/328 20140101ALI20231212BHJP
【FI】
G02B5/18
G09F19/12 Z
G09F3/02 W
B42D25/328
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2020502846
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2019001013
(87)【国際公開番号】W WO2019167452
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2018036534
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】増永 裕子
(72)【発明者】
【氏名】永野 彰
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 康昌
(72)【発明者】
【氏名】本間 英明
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207593(JP,A)
【文献】特開2017-122836(JP,A)
【文献】特開2002-311383(JP,A)
【文献】特開2013-078891(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073611(WO,A1)
【文献】特開平06-082612(JP,A)
【文献】特開2001-116908(JP,A)
【文献】特許第6695533(JP,B1)
【文献】国際公開第2013/132024(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G09F 19/12
G09F 3/02
B42D 25/328
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出し、
前記複数の第2サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第2回折光を、前記第1角度範囲よりも広角の第2角度範囲内で及び前記第1回折光よりも低い強度で射出し、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第1サブ画素の少なくとも一部は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、前記第1回折光を前記第1角度範囲内で射出し、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第2サブ画素の少なくとも一部は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、前記第2回折光を前記第2角度範囲内で射出し、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折光によって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
【請求項2】
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値よりも小さい請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第3回折光を、前記第1角度範囲を間に挟んで前記第2角度範囲と隣り合った第3角度範囲内で及び前記第1回折光よりも低い強度で射出し、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折光によって連続変化画像を表示するように構成された請求項1に記載の表示体。
【請求項4】
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折光の射出角が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値、及び、前記2以上の第3サブ画素が射出する前記第3回折光の射出角の差の最小値の各々よりも小さい請求項3に記載の表示体。
【請求項5】
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出し、
前記複数の第2サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第2回折光を、前記第1角度範囲よりも広角の第2角度範囲内で射出し、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第1サブ画素の少なくとも一部は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、前記第1回折光を前記第1角度範囲内で射出し、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第2サブ画素の少なくとも一部は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、前記第2回折光を前記第2角度範囲内で射出し、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値よりも小さい表示体。
【請求項6】
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第3回折光を、前記第1角度範囲を間に挟んで前記第2角度範囲と隣り合った第3角度範囲内で射出し、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折光の射出角が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第3サブ画素が射出する前記第3回折光の射出角の差の最小値よりも小さい請求項5に記載の表示体。
【請求項7】
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲内にある稜又は溝からなる第1回折格子を含み、
前記複数の第2サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲とは異なる第2範囲内にある稜又は溝からなる第2回折格子を含み、前記第1サブ画素の各々と比較して面積がより小さく、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第1サブ画素の少なくとも一部は、前記第1回折格子を含み、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第2サブ画素の少なくとも一部は、前記第2回折格子を含み、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
【請求項8】
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1及び第2範囲とは異なる第3範囲内にある稜又は溝からなる第3回折格子を含み、前記第1サブ画素の各々と比較して面積がより小さく、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成された請求項7に記載の表示体。
【請求項9】
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲内にある稜又は溝からなる第1回折格子を含み、
前記複数の第2サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲とは異なる第2範囲内にある稜又は溝からなる第2回折格子を含み、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第1サブ画素の少なくとも一部は、前記第1回折格子を含み、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の第2サブ画素の少なくとも一部は、前記第2回折格子を含み、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は、前記第2回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と比較してより小さい表示体。
【請求項10】
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1及び第2範囲とは異なる第3範囲内にある稜又は溝からなる第3回折格子を含み、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、
前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は、前記第3回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と比較してより小さい請求項9に記載の表示体。
【請求項11】
前記複数の第1サブ画素の各々の第1面積S1は、前記複数の第2サブ画素の各々の第2面積S2よりも大きい請求項1、2、5及び9の何れか1項に記載の表示体。
【請求項12】
前記第1面積S1と前記第2面積S2との比S1/S2は1.2以上である請求項11に記載の表示体。
【請求項13】
前記複数の第1サブ画素の各々の第1面積S1は、前記複数の第2サブ画素の各々の第2面積S2及び前記複数の第3サブ画素の各々の第3面積S3の各々よりも大きい請求項3、4、6及び10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項14】
前記第1面積S1と前記第2面積S2との比S1/S2及び前記第1面積S1と前記第3面積S3との比S1/S3の各々は1.2以上である請求項13に記載の表示体。
【請求項15】
前記連続変化画像としてフルカラー画像を表示するように構成された請求項1乃至14の何れか1項に記載の表示体。
【請求項16】
表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、
前記表面を被覆した反射層と
を具備し、前記レリーフ構造は、前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面又は前記反射層の表面に回折格子を形成した請求項1乃至15の何れか1項に係る表示体。
【請求項17】
前記反射層は可視光透過性を有する請求項16に記載の表示体。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の表示体を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体とを具備した転写箔。
【請求項19】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体の一方の主面に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベル。
【請求項20】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の表示体と、これを支持した物品とを備えた表示体付き物品。
【請求項21】
前記物品は一方向に延びた形状を有し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記物品の長さ方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている請求項20に記載の表示体付き物品。
【請求項22】
前記物品は印刷パターンを含み、前記印刷パターンは文字を表示し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記文字の幅方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている請求項20に記載の表示体付き物品。
【請求項23】
広範囲表示用の領域と狭範囲表示用の領域とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記広範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ幅方向に配列した第1稜又は溝からなる広範囲表示用の回折格子を含み、
前記狭範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ前記幅方向に配列した第2稜又は溝からなる狭範囲表示用の回折格子を含み、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の広範囲表示用の領域の少なくとも一部は、前記広範囲表示用の回折格子を含み、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の狭範囲表示用の領域の少なくとも一部は、前記狭範囲表示用の回折格子を含み、
前記第1稜又は溝が形成する円弧は、第1中心角を有する第1円弧又はその一部であり、前記第2稜又は溝が形成する円弧は、前記第1中心角よりも小さな第2中心角を有する第2円弧又はその一部であり、
前記複数の画素は、前記広範囲表示用の回折格子が射出する回折光と前記狭範囲表示用の回折格子が射出する回折光とによって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
【請求項24】
広範囲表示用の領域と狭範囲表示用の領域とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記広範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ幅方向に配列した第1稜又は溝からなる広範囲表示用の回折格子を含み、
前記狭範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ前記幅方向に配列した第2稜又は溝からなる狭範囲表示用の回折格子を含み、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の広範囲表示用の領域の少なくとも一部は、前記広範囲表示用の回折格子を含み、
前記複数の画素の少なくとも一部において、前記複数の狭範囲表示用の領域の少なくとも一部は、前記狭範囲表示用の回折格子を含み、
前記広範囲表示用の領域と前記狭範囲表示用の領域とは、前記幅方向に垂直な方向の寸法が等しく、
前記第2稜又は溝が形成する円弧の曲率は、前記第1稜又は溝が形成する円弧の曲率と比較してより小さく、
前記複数の画素は、前記広範囲表示用の回折格子が射出する回折光と前記狭範囲表示用の回折格子が射出する回折光とによって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
【請求項25】
前記広範囲表示用の領域及び前記狭範囲表示用の領域の各々は、前記幅方向と直交する方向に配列した複数のサブ画素を含んだ請求項23又は24に記載の表示体。
【請求項26】
前記連続変化画像としてフルカラー画像を表示するように構成された請求項23乃至25の何れか1項に記載の表示体。
【請求項27】
前記複数の画素の各々は、前記広範囲表示用の領域として第1乃至第3サブ領域を含むとともに、前記狭範囲表示用の領域として第4乃至第6サブ領域を含み、前記第1及び第4サブ領域は第1色を表示するための領域であり、前記第2及び第5サブ領域は前記第1色とは異なる第2色を表示するための領域であり、前記第3及び第6サブ領域は前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示するための領域である請求項23乃至26の何れか1項に記載の表示体。
【請求項28】
前記複数の画素の各々において、
前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、
前記第1乃至第3サブ領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、
前記第4乃至第6サブ領域は、前記第2方向に配列し、
前記第1乃至第3サブ領域が形成する列と、前記第4乃至第6サブ領域が形成する列とは、前記第2方向に配列し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域との間には、前記第2、第3、第5及び第6サブ領域のうちの2つが介在し、
前記第2サブ領域と前記第5サブ領域の間には、前記第1、第3、第4及び第6サブ領域のうちの2つが介在し、
前記第3サブ領域と前記第6サブ領域との間には、前記第1、第2、第4及び第5サブ領域うちの2つが介在している請求項27に記載の表示体。
【請求項29】
前記複数の画素の各々において、
前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とは、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、
前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とは、前記第2方向に配列し、
前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とは、前記第2方向に配列し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とが形成する列と、前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とが形成する列と、前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とが形成する列とは、前記第2方向に配列している請求項27に記載の表示体。
【請求項30】
前記複数の画素の各々において、
前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、
前記第1乃至第3サブ領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、
前記第4乃至第6サブ領域は、前記第2方向に配列し、
前記第1乃至第3サブ領域が形成する列と、前記第4乃至第6サブ領域が形成する列とは、前記第1方向に配列し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とは前記第1方向に隣り合い、
前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とは前記第1方向に隣り合い、
前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とは前記第1方向に隣り合っている請求項27に記載の表示体。
【請求項31】
表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、
前記表面を被覆した反射層と
を具備し、前記レリーフ構造は、前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面又は前記反射層の表面に、前記広範囲表示用の回折格子と前記狭範囲表示用の回折格子とを形成した請求項23乃至30の何れか1項に係る表示体。
【請求項32】
前記反射層は可視光透過性を有する請求項31に記載の表示体。
【請求項33】
請求項23乃至32の何れか1項に記載の表示体を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体とを具備した転写箔。
【請求項34】
請求項23乃至32の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体の一方の主面に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベル。
【請求項35】
請求項23乃至32の何れか1項に記載の表示体と、これを支持した物品とを具備した表示体付き物品。
【請求項36】
前記物品は一方向に延びた形状を有し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記物品の長さ方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記広範囲表示用の回折格子から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている請求項35に記載の表示体付き物品。
【請求項37】
前記物品は印刷パターンを含み、前記印刷パターンは文字を表示し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記文字の幅方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記広範囲表示用の回折格子から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている請求項35に記載の表示体付き物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示体、転写箔、粘着ラベル及び表示体付き物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品等の物品が真正品であることを示すために、偽造や複製が困難なレリーフ型ホログラムが用いられている。
【0003】
レリーフ型ホログラムは、複数のレリーフ型回折格子で構成されている。レリーフ型ホログラムが射出する回折光の色や射出角は、溝のピッチや長さ方向に応じて適宜設定することができる。従って、レリーフ型ホログラムに適切な設計を採用すると、照明又は観察方向の変化に応じて形状及び位置の少なくとも一方が変化する画像、例えば、アニメーション画像や立体画像(三次元画像)などの連続変化画像を表示することが可能である(日本国特開平6-281804号及び日本国特開平7-104211号)。
【発明の概要】
【0004】
狭い観察角度範囲内で連続変化画像を表示するように設計されたレリーフ型ホログラムは、上記角度範囲内の全域に亘って鮮明な画像を表示することができる。しかしながら、本発明者らは、広い観察角度範囲内で連続変化画像を表示するように設計されたレリーフ型ホログラム、特には、画像の形状及び位置の少なくとも一方が照明又は観察方向の変化に応じて大きく変化するように設計されたレリーフ型ホログラムは、それが表示する画像が観察者に違和感を与える可能性があることを見出した。
【0005】
本発明の目的は、観察者に違和感を与えることなしに、広い角度範囲内で連続変化画像を表示可能とすることにある。
【0006】
本発明の第1側面によると、複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、前記複数の画素の各々において、前記複数の第1サブ画素の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出し、前記複数の第2サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第2回折光を、前記第1角度範囲よりも広角の第2角度範囲内で及び前記第1回折光よりも低い強度で射出し、前記複数の画素は、前記第1及び第2回折光によって連続変化画像を表示するように構成された表示体が提供される。
【0007】
ここで、「連続変化画像」は、照明方向及び観察方向を一定にしたまま、それら方向に対する表示体の傾きを連続的に変化させた場合に、位置及び形状の少なくとも一方が連続的に変化する画像を意味する。「連続変化画像」は、「動画」とも称する。「連続変化画像」を表示する表示体は、照明方向及び観察方向に対する表示体の傾きを連続的に変化させた場合に、位置及び形状の少なくとも一方が僅かに異なる画像を順次表示するように設計される。
【0008】
「連続変化画像」は、照明方向を一定にしたまま観察方向を僅かに変化させた場合に、最初に表示されていた画像がフェードアウトするとともに、その画像とは位置及び形状の少なくとも一方が僅かに異なる画像がフェードインするため、それら画像の変化が連続的な変化として視認される画像である。「連続変化画像」には、アニメーション画像、立体画像等が含まれる。
【0009】
上記の表示体では、各画素が含んでいる1以上のサブ画素は、照明方向及び観察方向に対する表示体の傾きが或る角度である場合に観察者に知覚させるべき画像の一部(画像要素)に利用する。そして、この表示体は、或る画像を、複数の画素に亘って分布した或るサブ画素群で表示し、他の画像を、複数の画素に亘って分布した他のサブ画素群で表示するように設計されている。
【0010】
なお、同一の画像を右眼と左眼とで知覚するように画素を設計すると、平面画像(又はアニメーション画像)が表示される。また、同一の物体を異なる角度又は異なる位置から観察した画像に相当する右眼用画像及び左眼用画像をそれぞれ右眼と左眼とで知覚するように画素を設計すると、両眼視差を利用した立体画像が表示される。
【0011】
上記の表示体は、観察者に違和感を与えることなしに、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。また、上記の表示体は、鮮明な連続変化画像を表示できる。つまり、上記の表示体は、視認性及び鮮明度が高い画像を表示できる。このメカニズムについて、以下に説明する。
【0012】
屋内では、通常、表示体の照明に使用する光源は、点光源ではなく、また、平行光線を射出するものでもない。即ち、通常、屋内では、表示体には様々な方向から光が入射する。それ故、或る方向から表示体を観察した場合、その方向から表示体を観察した場合に見えるべき画像(以下、正像という)と、他の方向から表示体を観察した場合に見えるべき1以上の画像(以下、ゴースト像という)とが部分的に重なって見える可能性がある。
【0013】
但し、実際には、表示体には、全方向から同じ強さの光が入射する訳ではない。通常、特定の方向から表示体へ入射する光が最大強度を示し、その方向からのズレが大きくなるほど入射光の強度は低下する。
【0014】
また、最大強度を示す入射光に対する回折光の回折角と、この入射光とは入射角が僅かに異なる入射光に対する回折光の回折角との差は、それら回折角が大きくなるのに伴って増大する。即ち、回折角が小さな回折光が表示する画像を観察する観察条件下では、入射角が僅かに異なる入射光に由来する正像及びゴースト像は、形状及び位置の相違が小さい。これに対し、回折角が大きな回折光が表示する画像を観察する観察条件下では、入射角が僅かに異なる入射光に由来する正像及びゴースト像は、形状及び位置の相違が大きい。
【0015】
それ故、上記の重なり合いが画像の鮮明さに及ぼす影響は、回折角が小さな回折光が表示する画像を観察する観察条件下では、知覚不可能な程度に小さい。これに対し、回折角が大きな回折光が表示する画像を観察する観察条件下では、上記の重なり合いに起因して、画像がぼやけて見えることがある。このような画像は、観察者に違和感を与える。
【0016】
この問題は、例えば、照明又は観察方向の変化に応じた画像の形状及び位置の変化を小さくすることにより解消できる。しかしながら、この場合、表現可能な連続変化画像に大きな制限が加わる。
【0017】
或いは、この問題は、上述した画像の形状及び位置の変化を知覚可能な観察方向の角度範囲を狭めることによっても解消できる。しかしながら、この場合、観察方向を僅かに変えただけで、この方向が上記範囲から外れる。即ち、観察方向を僅かに変えただけで、上述した画像の形状及び位置の変化を知覚できなくなる。それ故、そのような構造を採用した表示体は、上記範囲が狭く、観察者に違和感を与える。
【0018】
これに対し、第1側面に係る表示体では、各画素は、例えば、第1サブ画素と第2サブ画素とのペアから構成される。第1サブ画素は第2サブより狭い観察角度範囲で回折光を射出する狭角画素であり、第2サブ画素は第1サブ画素より広い観察角度範囲で回折光を射出する広角画素である。そして、複数の画素は、第1及び第2回折光によって連続変化画像を表示するように構成されている。即ち、第1サブ画素の配列と第2サブ画素の配列とは、単一の連続変化画像を表示できる。
【0019】
第1側面に係る表示体では、より低角の第1角度範囲内で第1回折光を射出する第1サブ画素と、より広角の第2角度範囲内で第2回折光を射出する第2サブ画素とを、第1回折光が第2回折光よりも高い強度(輝度)を有するように設計している。従って、観察者は、観察方向が第1角度範囲内にある場合、第1サブ画素から射出される第1回折光が表示する鮮明な第1画像を観察可能である。
【0020】
他方、第2回折光が表示する第2画像は、第1回折光が表示する第1画像と比較してより暗い。従って、例えば、観察方向を第1角度範囲内の方向から第2角度範囲内の方向へ変化させた場合に、画像の明るさが低下する。
【0021】
表示画像が暗くなると、ゴースト像の明るさも低下し、ゴースト像が画像の鮮明さに及ぼす影響は小さくなる。また、表示画像が暗くなると、正像とゴースト像との重なり合いに起因したぼやけも知覚され難くなる。従って、この表示体は、観察方向が第1角度範囲内にある場合には鮮明な連続変化画像を表示することが可能であり、また、観察者に違和感を与えることなしに、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。つまり、この表示体は、視認性及び鮮明度が高い連続変化画像を表示できる。そのような連続変化画像は、場合によっては、観察者に芸術的な印象を与える。
【0022】
本発明の第2側面によると、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値よりも小さい第1側面に係る表示体が提供される。
【0023】
第1回折光の射出角の差の最小値を小さくすると、観察方向に応じた第1画像の変化は滑らかになる。一方、第2回折光の射出角の差の最小値を大きくすると、観察方向に応じた第2画像の変化の滑らかさは低下する。但し、上記の通り、第2回折光が表示する第2画像は、第1回折光が表示する第1画像と比較してより暗い。それ故、観察方向に応じた第2画像の変化の滑らかさが低いとしても、それが観察者に違和感を与える可能性は小さい。
【0024】
それ故、この表示体によると、各画素の面積に占める第2サブ画素の合計面積の割合を小さくすることができ、これにより、各画素の面積に占める第1サブ画素の合計面積の割合を大きくすることができる。従って、この表示体によれば、例えば、観察者に違和感を与えることなく、第1画像の変化をより滑らかにすることができる。
【0025】
本発明の第3側面によると、前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、前記複数の画素の各々において、前記複数の第3サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第3回折光を、前記第1角度範囲を間に挟んで前記第2角度範囲と隣り合った第3角度範囲内で及び前記第1回折光よりも低い強度で射出し、前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折光によって連続変化画像を表示するように構成された第1側面に係る表示体が提供される。
【0026】
この表示体は、例えば、観察方向を左右又は上下方向へ移動させた場合でも、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0027】
本発明の第4側面によると、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折光の射出角が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値、及び、前記2以上の第3サブ画素が射出する前記第3回折光の射出角の差の最小値の各々よりも小さい第3側面に係る表示体が提供される。
【0028】
この表示体によれば、例えば、観察方向を左右又は上下方向へ移動させた場合でも、観察者に違和感を与えることなしに、第1画像の変化をより滑らかにすることができる。
【0029】
本発明の第5側面によると、複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、前記複数の画素の各々において、前記複数の第1サブ画素の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出し、前記複数の第2サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第2回折光を、前記第1角度範囲よりも広角の第2角度範囲内で射出し、前記複数の画素は、前記第1及び第2回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値よりも小さい表示体が提供される。
【0030】
上記の通り、第1回折光の射出角の差の最小値を小さくすると、観察方向に応じた第1画像の変化は滑らかになる。一方、第2回折光の射出角の差の最小値を大きくすると、観察方向に応じた第2画像の変化の滑らかさは低下する。但し、第1回折光の射出角の差の最小値を小さくすると、観察方向等の変化に伴って順次表示される複数の第1画像によって表現される連続変化画像はより明るくなる。これとは逆に、第2回折光の射出角の差の最小値を大きくすると、観察方向等の変化に伴って順次表示される複数の第2画像によって表現される連続変化画像はより暗くなる。
【0031】
従って、観察方向に応じた第2画像の変化の滑らかさが低いとしても、それが観察者に違和感を与える可能性は小さい。また、第2画像を観察する場合、ゴースト像の明るさがより低いため、ゴースト像が画像の鮮明さに及ぼす影響は小さい。そして、画像が暗くなると、正像とゴースト像との重なり合いに起因したぼやけも知覚され難くなる。
【0032】
それ故、この表示体によると、各画素の面積に占める第2サブ画素の合計面積の割合を小さくすることができ、これにより、各画素の面積に占める第1サブ画素の合計面積の割合を大きくすることができる。従って、この表示体によれば、例えば、観察者に違和感を与えることなしに、第1画像の変化を滑らかにすることができる。即ち、この表示体は、観察者に違和感を与えることなしに、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。これにより、表示体の表示する画像は、一例によれば、観察者に洗練された印象を与える。
【0033】
本発明の第6側面によると、前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、前記複数の画素の各々において、前記複数の第3サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第3回折光を、前記第1角度範囲を間に挟んで前記第2角度範囲と隣り合った第3角度範囲内で射出し、前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折光の射出角が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第3サブ画素が射出する前記第3回折光の射出角の差の最小値よりも小さい第5側面に係る表示体が提供される。
【0034】
この表示体は、例えば、観察方向を左右又は上下方向へ移動させた場合でも、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0035】
本発明の第7側面によると、複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、前記複数の画素の各々において、前記複数の第1サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲内にある稜又は溝からなる第1回折格子を含み、前記複数の第2サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲とは異なる第2範囲内にある稜又は溝からなる第2回折格子を含み、前記第1サブ画素の各々と比較して面積がより小さく、前記複数の画素は、前記第1及び第2回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成された表示体が提供される。
【0036】
この表示体も、第1側面に係る表示体と同様に、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。つまり、この表示体は、視認性及び鮮明度が高い連続変化画像を表示できる。そのような連続変化画像は、場合によっては、観察者に芸術的な印象を与える。
【0037】
本発明の第8側面によると、前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、前記複数の画素の各々において、前記複数の第3サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1及び第2範囲とは異なる第3範囲内にある稜又は溝からなる第3回折格子を含み、前記第1サブ画素の各々と比較して面積がより小さく、前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成された第7側面に係る表示体が提供される。
【0038】
この表示体は、例えば、観察方向を左右又は上下方向へ移動させた場合でも、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0039】
本発明の第9側面によると、複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、前記複数の画素の各々において、前記複数の第1サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲内にある稜又は溝からなる第1回折格子を含み、前記複数の第2サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲とは異なる第2範囲内にある稜又は溝からなる第2回折格子を含み、前記複数の画素は、前記第1及び第2回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は、前記第2回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と比較してより小さい表示体が提供される。
【0040】
この表示体も、第5側面に係る表示体と同様に、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。つまり、この表示体は、視認性及び鮮明度が高い連続変化画像を表示できる。そのような連続変化画像は、場合によっては、観察者に芸術的な印象を与える。
【0041】
本発明の第10側面によると、前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、前記複数の画素の各々において、前記複数の第3サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1及び第2範囲とは異なる第3範囲内にある稜又は溝からなる第3回折格子を含み、前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は、前記第3回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と比較してより小さい第9側面に係る表示体が提供される。
【0042】
この表示体は、例えば、観察方向を左右又は上下方向へ移動させた場合でも、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0043】
前記第2回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と、前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値との差は、0.1°乃至2.0°の範囲内にあることが好ましく、0.2°乃至1.5°の範囲内にあることがより好ましい。また、前記第3回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と、前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値との差は、0.1°乃至2.0°の範囲内にあることが好ましく、0.2°乃至1.5°の範囲内にあることがより好ましい。
【0044】
本発明の第11側面によると、前記複数の第1サブ画素の各々の第1面積S1は、前記複数の第2サブ画素の各々の第2面積S2よりも大きい第1、第2、第5及び第9側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0045】
例えば、第1面積S1を第2面積S2と比較してより大きくすると、第2回折光の強度を第1回折光の強度に対して相対的に低めることができる。或いは、第1サブ画素の回折効率を第2サブ画素の回折効率と比較してより高くすると、第2回折光の強度を第1回折光の強度に対して相対的に低めることができる。前者の構成を採用した場合、表示体の設計及び製造が容易である。
【0046】
本発明の第12側面によると、前記第1面積S1と前記第2面積S2との比S1/S2は1.2以上である第11側面に係る表示体が提供される。比S1/S2は、1.2乃至5の範囲内にあることが好ましく、1.4乃至3.5の範囲内にあることがより好ましい。
【0047】
この比を大きくすると、第2回折光の強度を第1回折光の強度に対して相対的により低めることができる。但し、この比を過剰に大きくすると、第2回折光の強度が低くなりすぎる可能性がある。
【0048】
本発明の第13側面によると、前記複数の第1サブ画素の各々の第1面積S1は、前記複数の第2サブ画素の各々の第2面積S2及び前記複数の第3サブ画素の各々の第3面積S3の各々よりも大きい第3、第4、第6及び第10側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0049】
例えば、第1面積S1を第2面積S2及び第3面積S3と比較してより大きくすると、第2及び第3回折光の強度を第1回折光の強度に対して相対的に低めることができる。或いは、第1サブ画素の回折効率を第2及び第3サブ画素の回折効率と比較してより高くすると、第2及び第3回折光の強度を第1回折光の強度に対して相対的に低めることができる。前者の構成を採用した場合、表示体の設計及び製造が容易である。
【0050】
本発明の第14側面によると、前記第1面積S1と前記第2面積S2との比S1/S2及び前記第1面積S1と前記第3面積S3との比S1/S3の各々は1.2以上である第13側面に係る表示体が提供される。比S1/S2及び比S1/S3の各々は、1.2乃至5の範囲内にあることが好ましく、1.4乃至3.5の範囲内にあることがより好ましい。
【0051】
これら比を大きくすると、第2及び第3回折光の強度を第1回折光の強度に対して相対的により低めることができる。但し、この比を過剰に大きくすると、第2及び第3回折光の強度が低くなりすぎる可能性がある。
【0052】
本発明の第15側面によると、前記連続変化画像としてフルカラー画像を表示するように構成された第1乃至第14側面の何れかに係る表示体が提供される。ここで、「フルカラー画像」は、肉眼で観察した場合に、色度が異なる3色以上の色を知覚可能な画像を意味している。他方、「モノクローム画像」は、肉眼で観察した場合に、全体に亘って色度が一定であると知覚される画像を意味している。フルカラー画像及びモノクローム画像の各々は、中間調画像であってもよい。
【0053】
上記の表示体には、モノクローム画像を表示する構成を採用することも、フルカラー画像を表示する構成を採用することも可能である。フルカラー画像を表示するには、例えば、各画素内に、赤色用サブ画素、緑色用サブ画素及び青色用サブ画素の組を観察方向毎に配置すればよい。青色用サブ画素は、一例によれば400nm以上490nm未満の範囲、他の例によれば435nm以上480nm以下の範囲の波長の光を回折できる。この回折した光は、画像を表示できる。緑色用サブ画素は、一例によれば490nm以上580nm以下の範囲、他の例によれば500nm以上560nm以下の範囲の波長の光を回折できる。この回折した光は、画像を表示できる。赤色用サブ画素は、一例によれば595nm以上800nm以下の範囲、他の例によれば610nm以上750nm以下の範囲の波長の光を回折できる。この回折した光は、画像を表示できる。
【0054】
本発明の他の側面によると、前記第1及び第2サブ画素の各々又は前記第1乃至第3サブ画素の各々は、幅方向に配列した複数の稜又は溝からなる回折格子である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。或いは、本発明の他の側面によると、前記第1及び第2サブ画素の各々又は前記第1乃至第3サブ画素の各々は、幅方向に配列した複数の第1稜又は溝と、幅方向に配列し且つ前記第1稜又は溝と交差した複数の第2稜又は溝とからなるクロスグレーティングである上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0055】
本発明の更に他の側面によると、前記第1サブ画素における前記稜又は溝の長さ方向は-α乃至+αの角度範囲内にあり、前記第2サブ画素における前記稜又は溝の長さ方向は-α乃至-α又は+α乃至+αの角度範囲内にあり、前記第3サブ画素における前記稜又は溝の長さ方向は+α乃至+α又は-α乃至-αの角度範囲内にある(0°<α<α<90°)。αは、10°乃至20°の範囲内にあることが好ましい。αは、15°乃至30°の範囲内にあることが好ましい。αとαとの差は、3°乃至12°の範囲内にあることが好ましい。
【0056】
本発明の更に他の側面によると、前記第1サブ画素のうち前記第1回折光を射出するものの間における、前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は1°以下である。また、前記第2サブ画素のうち前記第2回折光を射出するものの間における、前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は1°以下である。更に、前記第3サブ画素のうち前記第3回折光を射出するものの間における、前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は1°以下である。なお、局所的に1°を少し超える部分があってもよく、平均で1°以下であればよい。但し、局所的であっても1.5°は超えないようにすることが好ましい。
【0057】
本発明の第16側面によると、広範囲表示用の領域と狭範囲表示用の領域とを各々が含んだ複数の画素を備え、前記複数の画素の各々において、前記広範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ幅方向(図20乃至図24においてはY方向)に配列した第1稜又は溝からなる広範囲表示用の回折格子を含み、前記狭範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ前記幅方向に配列した第2稜又は溝からなる狭範囲表示用の回折格子を含み、前記第1稜又は溝が形成する円弧は、第1中心角を有する第1円弧又はその一部であり、前記第2稜又は溝が形成する円弧は、前記第1中心角よりも小さな第2中心角を有する第2円弧又はその一部であり、前記複数の画素は、前記広範囲表示用の回折格子が射出する回折光と前記狭範囲表示用の回折格子が射出する回折光とによって連続変化画像を表示するように構成された表示体が提供される。
【0058】
ここで、第1円弧は、複数の画素が含んでいる第1稜又は溝を平行移動させて重ね合わせることによって得られる1以上の曲線を含んだ最小の円弧である。また、第2円弧は、例えば、複数の画素が含んでいる第2稜又は溝を平行移動させて重ね合わせることによって得られる1以上の曲線を含んだ最小の円弧である。
【0059】
なお、広範囲表示用の回折格子及び狭範囲表示用の回折格子の各々が全角度範囲に亘って最大の明るさで回折光を射出するように設計された画素が存在している場合、その画素の上記幅方向と直交する方向(横方向)に並んだ第1及び第2端の一方から他方まで各々が延びた第1稜又は溝及び第2稜又は溝が上記画素に存在していることがある。そのような画素では、第1端から第2端まで各々が延びた第1稜又は溝及び第2稜又は溝が、それぞれ、第1円弧及び第2円弧である。
【0060】
従って、例えば、図23の構造では、第1中心角は、回折格子DG1が含んでいる稜又は溝のうちX方向の寸法が最大のものが形成している円弧の中心角である。また、図23の構造において、第2中心角は、回折格子DG2が含んでいる稜又は溝のうちX方向の寸法が最大のものが形成している円弧の中心角である。
【0061】
また、第1端から第2端まで延びた第1稜又は溝が、画素に存在していないことがある。そのような画素が、同一円上で互いから離間し、一方が第1端から第2端へ向けて延び、他方が第2端から第1端へ向けて延びた2つの第1稜又は溝を含んでいる場合は、これら2つの第1稜又は溝を含み且つ長さが最も短い円弧が第1円弧である。即ち、これら2つの第1稜又は溝に対応した2つの円弧を補間することによって得られる1つの円弧が第1円弧である。
【0062】
同様に、第1端から第2端まで延びた第2稜又は溝が、画素に存在していないことがある。そのような画素が、同一円上で互いから離間し、一方が第1端から第2端へ向けて延び、他方が第2端から第1端へ向けて延びた2つの第2稜又は溝を含んでいる場合は、これら2つの第2稜又は溝を含み且つ長さが最も短い円弧が第2円弧である。即ち、これら2つの第2稜又は溝に対応した2つの円弧を補間することによって得られる1つの円弧が第2円弧である。
【0063】
この表示体では、全観察範囲のうち部分観察範囲では、即ち、上記の第1角度範囲内では、広範囲表示用の回折格子が射出する回折光と狭範囲表示用の回折格子が射出する回折光とが表示に寄与する。他方、全観察範囲の残りの範囲、即ち、上記の第2及び/又は第3角度範囲内では、広範囲表示用の回折格子が射出する回折光のみが表示に寄与する。それ故、この表示体も、第1、第5、第7又は第9側面に係る表示体と同様に、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。つまり、この表示体は、視認性及び鮮明度が高い連続変化画像を表示できる。そのような連続変化画像は、場合によっては、観察者に芸術的な印象を与えることができる。この表示体は、例えば、彫刻の画像などの連続変化画像を表示できる。
【0064】
本発明の第17側面によると、前記第2円弧の曲率は前記第1円弧の曲率と比較してより小さい第16側面に係る表示体が提供される。
【0065】
この構成を採用すると、例えば、広範囲表示用の回折格子及び狭範囲表示用の回折格子の上記幅方向に垂直な方向における寸法をほぼ等しくすることができる。この場合、例えば、広範囲表示用の回折格子と狭範囲表示用の回折格子とを上記幅方向に配列させたときに、画素の面積に占めるそれら回折格子の合計面積の割合を高くすることができる。即ち、この場合、広範囲表示用の回折格子及び狭範囲表示用の回折格子のレイアウトが容易である。
【0066】
本発明の第18側面によると、広範囲表示用の領域と狭範囲表示用の領域とを各々が含んだ複数の画素を備え、前記複数の画素の各々において、前記広範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ幅方向に配列した第1稜又は溝からなる広範囲表示用の回折格子を含み、前記狭範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ前記幅方向に配列した第2稜又は溝からなる狭範囲表示用の回折格子を含み、前記広範囲表示用の領域と前記狭範囲表示用の領域とは、前記幅方向に垂直な方向の寸法が等しく、前記第2稜又は溝が形成する円弧の曲率は、前記第1稜又は溝が形成する円弧の曲率と比較してより小さく、前記複数の画素は、前記広範囲表示用の回折格子が射出する回折光と前記狭範囲表示用の回折格子が射出する回折光とによって連続変化画像を表示するように構成された表示体が提供される。
【0067】
この表示体も、第17側面に係る表示体と同様に、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。つまり、この表示体は、視認性及び鮮明度が高い連続変化画像を表示できる。そのような連続変化画像は、場合によっては、観察者に芸術的な印象を与えることができる。この表示体は、例えば、彫刻の画像などの連続変化画像を表示できる。
【0068】
また、この表示体では、広範囲表示用の領域と狭範囲表示用の領域とは、幅方向に垂直な方向の寸法が等しい。それ故、例えば、広範囲表示用の回折格子と狭範囲表示用の回折格子とを上記幅方向に配列させたときに、画素の面積に占めるそれら回折格子の合計面積の割合を高くすることができる。即ち、広範囲表示用の回折格子及び狭範囲表示用の回折格子のレイアウトが容易である。
【0069】
本発明の第19側面によると、前記広範囲表示用の領域及び前記狭範囲表示用の領域の各々は、前記幅方向と直交する方向に配列した複数のサブ画素を含んだ第16乃至第18側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0070】
この構成では、広範囲表示用の領域及び狭範囲表示用の領域の各々において、複数のサブ画素は、それぞれ、異なる観察方向のもとで観察される複数の画像の表示に寄与する。各サブ画素の面積に占める、そのサブ画素において回折格子が設けられている領域の面積の割合は、そのサブ画素が表示に寄与する画像における、そのサブ画素を含んだ画素の明るさに対応している。
【0071】
この表示体も、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲で連続変化画像を表示することが可能である。そして、この表示体は、サブ画素により、豊かな階調の画像を表示できる。
【0072】
本発明の第20側面によると、前記連続変化画像としてフルカラー画像を表示するように構成された第16乃至第19側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0073】
上記の表示体には、モノクローム画像を表示する構成を採用することも、フルカラー画像を表示する構成を採用することも可能である。フルカラー画像を表示するには、例えば、各画素内に、赤色用サブ画素、緑色用サブ画素及び青色用サブ画素の組を観察方向毎に配置すればよい。
【0074】
本発明の他の側面によると、第1円弧の一端と円の中心とを結ぶ線分が上記幅方向に対してなす角度は-γであり、第1円弧の他端と円の中心とを結ぶ線分が上記幅方向に対してなす角度は+γであり、第2円弧の一端と円の中心とを結ぶ線分が上記幅方向に対してなす角度は-γであり、第1円弧の他端と円の中心とを結ぶ線分が上記幅方向に対してなす角度は+γである(0°<γ<γ)。この場合、第1中心角は2γであり、第2中心角は2γである。
【0075】
本発明の更に他の側面によると、前記広範囲表示用の領域が含んでいる前記サブ画素間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と、前記狭範囲表示用の領域が含んでいる前記サブ画素間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値との差は、0.1°乃至2.0°の範囲内にあり、好ましくは0.2°乃至1.5°の範囲内にある。
【0076】
本発明の更に他の側面によると、前記広範囲表示用の領域の面積に対する前記狭範囲表示用の領域の面積の比は、0.5乃至2.0の範囲内にある。この面積比を小さくすると、前記狭範囲表示用の領域の表示への寄与が小さくなる。この面積比を大きくすると、前記広範囲表示用の領域の表示への寄与が小さくなる。
【0077】
本発明の更に他の側面によると、隣り合った前記稜又は溝のピッチは、500nm乃至2000nmの範囲内にある上記側面に係る表示体が提供される。
【0078】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々は、縦方向及び横方向の寸法の各々が、10μm乃至200μmの範囲内にあり、好ましくは50μm乃至100μmの範囲内にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。ここで、「縦方向」は、表示体が表示する画像の上下方向である。また、「横方向」は、表示体が表示する画像の左右方向である。
【0079】
本発明の更に他の側面によると、前記サブ画素の各々は、縦方向の寸法が0.5μm乃至50μm、横方向の寸法が50μm乃至0.5μmの範囲内にあり、面積が10μm2μm乃至100μmの範囲内にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0080】
カラー表示を行う場合は、前記サブ画素の各々は、特定の角度で赤色を表示するサブ画素(サブ画素R)、先の特定の角度で緑色を表示するサブ画素(サブ画素G)、先の特定の角度で青色を表示するサブ画素(サブ画素B)へ更に分けることができる。サブ画素R、サブ画素G、及びサブ画素Bの寸法の範囲は、上述した前記サブ画素の寸法の範囲と同様である。
【0081】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々は、前記広範囲表示用の領域として第1乃至第3サブ領域を含むとともに、前記狭範囲表示用の領域として第4乃至第6サブ領域を含み、前記第1及び第4サブ領域は第1色を表示するための領域であり、前記第2及び第5サブ領域は前記第1色とは異なる第2色を表示するための領域であり、前記第3及び第6サブ領域は前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示するための領域である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0082】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々において、前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、前記第1乃至第3サブ領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、前記第4乃至第6サブ領域は、前記第2方向に配列し、前記第1乃至第3サブ領域が形成する列と、前記第4乃至第6サブ領域が形成する列とは、前記第2方向に配列し、前記第1サブ領域と前記第4サブ領域との間には、前記第2、第3、第5及び第6サブ領域のうちの2つが介在し、前記第2サブ領域と前記第5サブ領域の間には、前記第1、第3、第4及び第6サブ領域のうちの2つが介在し、前記第3サブ領域と前記第6サブ領域との間には、前記第1、第2、第4及び第5サブ領域うちの2つが介在している上記側面に係る表示体が提供される。
【0083】
この構造を採用した表示体は、例えば、人物や動物(例えばライオン及びシマウマ)の顔画像を、高精細であり且つ中程度の鮮やかさの回折画像として表示可能である。即ち、上記の構造を採用した表示体は、観察者に自然な印象を与える回折画像を表示することができる。この構造を採用した表示体は、人物や動物、特に哺乳類の画像を好適に表示することができる。
【0084】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々において、前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とは、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とは、前記第2方向に配列し、前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とは、前記第2方向に配列し、前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とが形成する列と、前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とが形成する列と、前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とが形成する列とは、前記第2方向に配列している上記側面に係る表示体が提供される。
【0085】
この構造を採用した表示体は、例えば、建造物、花、及び動物(例えば、鳥及び熱帯魚)などのソリッドな又はカラフルな対象物の画像を、回折画像として表示することができる。この構造を採用した表示体は、建造物、花、鳥、熱帯魚、昆虫の画像を好適に表示できる。
【0086】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々において、前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、前記第1乃至第3サブ領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、前記第4乃至第6サブ領域は、前記第2方向に配列し、前記第1乃至第3サブ領域が形成する列と、前記第4乃至第6サブ領域が形成する列とは、前記第1方向に配列し、前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とは前記第1方向に隣り合い、前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とは前記第1方向に隣り合い、前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とは前記第1方向に隣り合っている上記側面に係る表示体が提供される。
【0087】
この構造を採用した表示体は、奥行き感が弱い画像を、回折画像として表示するのに適している。この構造を採用した表示体は、立体文字、カメオ、及びコインの画像を好適に表示できる。

本発明の更に他の側面によると、前記第1乃至第6サブ領域の各々は、前記第2方向の寸法に対する前記第1方向の寸法の比が1乃至5の範囲内にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0088】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々において、前記第1乃至第6サブ領域の隣り合ったものの間の距離は、300μm以下である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0089】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々において、前記第1乃至第6サブ領域の隣り合ったものの間の距離は、300μm以下である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。本発明の更に他の側面によると、前記複数の画素の各々において、前記第1乃至第6サブ領域の隣り合ったものの間の距離は、50μm以下である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0090】
本発明の更に他の側面によると、表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、前記表面を被覆した反射層とを具備し、前記レリーフ構造は、前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面又は前記反射層の表面に、前記第1及び第2回折光又は前記第1乃至第3回折光を射出する回折格子を形成した上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0091】
本発明の更に他の側面によると、表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、前記表面を被覆した反射層とを具備し、前記レリーフ構造は、前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面又は前記反射層の表面に、前記回折格子を形成した上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0092】
レリーフ構造形成層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は紫外線若しくは電子線硬化性樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂又はビニル樹脂を使用できる。熱硬化性樹脂としては、反応性水酸基を有するアクリルポリオール若しくはポリエステルポリオールにポリイソシアネートを架橋剤として添加して架橋させたウレタン樹脂、メラミン樹脂又はフェノール樹脂を使用できる。紫外線又は電子線硬化性樹脂としては、アクリル樹脂を使用できる。アクリル樹脂としては、例えば、エポキシアクリル、エポキシメタクリル、ウレタンアクリレート又はウレタンメタクリレートを使用できる。
【0093】
レリーフ構造形成層は、以下の方法より形成することができる。例えば、熱可塑性樹脂層に、レリーフ構造が設けられた原版を、熱を印加しながら押し当て、その後、熱可塑性樹脂層から原版を取り除く(離す)。或いは、紫外線硬化性樹脂からなる塗膜を支持体又はキャリア上に形成し、これに原版を押し当てながら紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、その後、塗膜から原版を取り除く(離す)。或いは、熱硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、これに原版を押し当てながら加熱して熱硬化性樹脂を硬化させ、その後、塗膜から原版を取り除く(離す)。レリーフ構造形成層の厚さは、例えば、1μm以上25μm以下とすることができる。
【0094】
反射層の材料としては、金属を使用できる。反射層としては、アルミニウム、銀、金、及びそれらの合金などの金属材料からなる金属層を使用することができる。或いは、反射層として、レリーフ構造形成層とは屈折率が異なる誘電体層を使用できる。或いは、反射層として、隣り合うもの同士の屈折率が異なる誘電体層の積層体、即ち、誘電体多層膜を使用できる。なお、誘電体多層膜が含む誘電体層のうち、レリーフ構造形成層と接触しているものの屈折率は、レリーフ構造形成層の屈折率とは異なっていることが望ましい。反射層は、物理堆積法及び/又は化学堆積法により形成できる。物理堆積法としては、真空蒸着法及びスパッタリング法などの物理気相堆積法を適用できる。誘電体層又は誘電体多層膜には、無機化合物又は有機化合物を使用できる。或いは、反射層として、無機化合物又は有機化合物からなる誘電体層と金属層から形成される多層膜を使用することができる。
【0095】
無機化合物としては、例えば、酸化物、硫化物、フッ化物及び窒化物を使用できる。酸化物としては、例えば、金属酸化物やシリコン酸化物(SiO)を用いることができる。フッ化物としては、金属フッ化物を用いることができる。窒化物としては、例えば、金属窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、金属硫化物を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、チタン酸化物(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、又はアルミナを用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)又は硫化アルミニウム(AlS)を用いることができる。窒化物としては、例えば、窒化カルシウム(CaN)又は窒化マグネシウム(MgN)を用いることができる。金属フッ化物としては、フッ化マグネシウム(MgF)又はフッ化カルシウム(CaF)を用いることができる。
【0096】
反射層は、レリーフ構造形成層の2つの主面のうち、レリーフ構造が形成された主面であるレリーフ構造面の一部又は全部を覆っている。反射層がレリーフ構造面の一部を覆っている場合、反射層の輪郭の形状に対応したパターンを表示することができる。反射層の輪郭が表示するパターンは、レリーフ構造が表示するパターンと関連したものとすることができる。反射層の輪郭が表示するパターンは、レリーフ構造を縁取るパターンとすることができる。
【0097】
反射層は、可視光を透過させない層であってもよい。或いは、反射層は、可視光透過性を有する層、例えば、透明蒸着層などの透明層であってもよい。ここでは、「可視光透過性を有する層」は、波長が550nmの光に関する光学濃度(OD)が1.5以下である層を意味することとする。なお、「光学濃度(OD)」は、上記波長を有する入射光の強度をI、上記波長を有する透過光の強度をIとした場合に、下記等式から算出される値である。
【0098】
OD=log10(I/I
反射層が可視光透過性を有する層である場合、照明光の一部は反射層によって反射され、照明光の他の一部は反射層を透過する。反射光を透過した光の一部は、表示体の背後に位置した物品によって反射され、反射層を再度透過する。即ち、表示体の背後に位置した物品が反射した光も表示に寄与し得る。
【0099】
それ故、例えば、後述する表示体付き物品は、表示体の位置に印刷パターンを有している場合、表示体が表示する画像と印刷パターンが表示する画像とを重ね合わせてなる画像を表示することが可能である。このような画像を表示する表示体付き物品を偽造することや、このような画像を複製品で再現することは困難である。なお、「表示体付き物品」は、「ラベル付き物品」とも称する。
【0100】
反射層のレリーフ構造面側とは反対側の面には、反射保護層が設けられていてもよい。反射保護層を部分的に開口した層として形成し、この反射保護層をエッチングマスクとして用いて、反射層のうち反射保護層で覆われていない部分を選択的にエッチングすることで、レリーフ構造面を部分的に覆った反射層を得ることができる。
【0101】
反射保護層には、例えば、無機化合物、ポリマー、又はそれらの組み合わせを用いることができる。無機化合物としては、例えば、酸化物又は窒化物を用いることができる。酸化物は、例えば、シリコン酸化物(SiO)又はアルミナであり、窒化物は、例えば、窒化カルシウム(CaN)、窒化チタン(TiN)又は窒化アルミニウム(AlN)である。ポリマーは、例えば、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂である。
反射層の厚さは、例えば、10nm以上500nm以下とすることができる。
【0102】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る表示体を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体又はキャリアとを具備した転写箔が提供される。
【0103】
一例によれば、転写材層は、互いに隣接した転写部及び非転写部を含んでいる。転写部は、転写材層のうち、物品へ転写される部分であって、上記の表示体を含んでいる。非転写部は、転写材層のうち、物品へ転写されずに残留する部分である。非転写部は、転写部と同様の層構成を有している。
【0104】
支持体又はキャリアは、例えば、樹脂(プラスチック)フィルム又は樹脂(プラスチック)シートである。支持体又はキャリアとしては、熱可塑性プラスチックを用いることができる。熱可塑性プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱性に優れた材料を用いることができる。支持体又はキャリアの転写材層を支持している主面には、例えばフッ素樹脂又はシリコーン樹脂を含んだ離型層が設けられていてもよい。支持体又はキャリアの厚さは、4μm以上50μm以下とすることができる。
【0105】
本発明の更に他の側面によると、前記転写材層は、前記表示体と前記支持体との間に介在した剥離保護層を更に含んだ上記側面に係る転写箔が提供される。
剥離保護層は、転写部の支持体又はキャリアからの剥離を容易にするとともに、剥離した転写部、即ち、表示体の表面を損傷及び劣化から保護する役割を果たす。剥離保護層は、例えば、光透過性を有している。剥離保護層は、例えば樹脂からなる。剥離保護層を構成している樹脂は、例えば、紫外線硬化した樹脂、熱硬化した樹脂、又は、熱可塑性樹脂である。この樹脂には、例えば、アクリル樹脂を用いることができる。剥離保護層の厚さは、例えば、0.5μm以上5μm以下とすることができる。剥離保護層は、粉体を含有していてもよい。粉体は、シリカパウダー、シリコーンパウダー、フッ素樹脂パウダー、ポリエステルパウダー、アクリルパウダー、及びETFE樹脂パウダーの何れか又はそれらの2以上を含んだブレンドとすることができる。なお、「ETFE」は、エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体の略称である。
【0106】
本発明の更に他の側面によると、前記転写材層を被覆した接着層を更に具備した転写箔が提供される。
【0107】
接着層は、例えば熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又はオレフィン樹脂を用いることができる。接着層の厚さは、例えば、0.5μm以上20μm以下とすることができる。
【0108】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る表示体と、前記表示体の一方の主面に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0109】
粘着層は、感圧接着剤などの粘着剤からなる。粘着剤としては、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、又は、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコーン系若しくはポリイソブチル系粘着剤を使用することができる。
【0110】
粘着剤は、添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン及びビニルモノマーなどの凝集成分;不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー及びアクリルニトリルなどの改質成分;重合開始剤;可塑剤;硬化剤;硬化促進剤;酸化防止;又はそれらの2つ以上を含んだ混合物を使用することができる。
【0111】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る表示体と、前記表示体を支持した物品とを具備した表示付き物品が提供される。
【0112】
物品は、どのような方法で表示体を支持していてもよい。例えば、表示体は、物品の表面に貼り付けられていてもよく、物品内に埋め込まれていてもよい。表示体付き物品は、具体的には、表示体を具備した転写箔から物品表面に表示体を転写したものや、表示体を具備したラベルを物品に貼付したものとすることができる。また、表示体付き物品は、表示体を具備した転写箔から物品本体の表面に表示体を転写し、表示体を覆うように物品表面層を設けたものや、表示体を具備したラベルを物品本体の表面に貼付し、ラベルを覆うように物品表面層を設けたものとすることができる。
【0113】
本発明の更に他の側面によると、前記物品は一方向に延びた形状を有し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記物品の長さ方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている上記側面に係る表示体付き物品が提供される。
【0114】
本発明の更に他の側面によると、前記物品は一方向に延びた形状を有し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記物品の長さ方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記広範囲表示用の回折格子から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている上記側面に係る表示体付き物品が提供される。
【0115】
物品が一方向に延びた形状を有している場合、そのような物品の多くは、その長さ方向が観察者の両眼を結ぶ線に対して平行になるように観察した場合に、画像が正しく表示されるように設計される。そして、上記の物品がそのように設計されている場合、観察者は、通常、両眼の中間点を通り且つ両眼を結ぶ線に対して垂直な平面上に物品の中心が位置するように、表示体付き物品を観察する。それ故、表示体の中心が上記平面から離間している場合、先の線分を上記のように傾けると、観察者は、例えば、物品を観察するための通常の観察条件で、表示体が表示する最も明るい画像を知覚することができる。従って、上記の構成を採用した表示体付き物品は、表示体が表示する画像の視認が容易である。
【0116】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記物品は印刷パターンを含み、前記印刷パターンは文字を表示し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記文字の幅方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている上記側面に係る表示体付き物品が提供される。
【0117】
本発明の更に他の側面によると、前記物品は印刷パターンを含み、前記印刷パターンは文字を表示し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記文字の幅方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記広範囲表示用の回折格子から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている上記側面に係る表示体付き物品が提供される。
【0118】
物品が印刷パターンを含み、この印刷パターンが文字を表示する場合、観察者は、通常、文字の幅方向が観察者の両眼を結ぶ線に対して平行になるように表示体付き物品を観察する。そして、観察者は、通常、両眼の中間点を通り且つ両眼を結ぶ線に対して垂直な平面上に物品の中心が位置するように、表示体付き物品を観察する。それ故、表示体の中心が上記平面から離間している場合、先の線分を上記のように傾けると、観察者は、例えば、物品を観察するための通常の観察条件で、表示体が表示する最も明るい画像を知覚することができる。従って、上記の構成を採用した表示体付き物品は、表示体が表示する画像の視認が容易である。
【0119】
本発明の更に他の側面によると、前記物品は、プラスチック、金属、紙、又はそれらの複合体から上記側面に係る表示体付き物品が提供される。
【0120】
本発明の更に他の側面によると、前記物品は紙を含み、前記表示体は前記紙に漉き込まれ、前記紙は前記表示体の位置で開口している上記側面の何れかに係る表示体付き物品が提供される。
【0121】
本発明の更に他の側面によると、前記表示体付き物品は、紙幣、有価証券、証明書類、クレジットカード、パスポート及びID(identification)カードなどの個人認証媒体、内容物を包装した包装体である上記側面の何れかに係る表示体付き物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】本発明の第1実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図。
図2図1の表示体の一部を拡大して示す平面図。
図3図1及び図2の表示体が含んでいる画素を拡大して示す平面図。
図4図3の画素が含んでいる第1サブ画素の一例を拡大して示す概略平面図。
図5図3の画素が含んでいる第2サブ画素の一例を拡大して示す概略平面図。
図6図3の画素が含んでいる第3サブ画素の一例を拡大して示す概略平面図。
図7図1及び図2の表示体を概略的に示す拡大断面図。
図8図1及び図2の表示体を観察者が観察している様子を示す概略図。
図9】比較例に係る表示体が、正面から観察した場合に表示する画像の一例を示す図。
図10】比較例に係る表示体が、右斜め方向から観察した場合に表示する画像の一例を示す図。
図11】比較例に係る表示体が、左斜め方向から観察した場合に表示する画像の一例を示す図。
図12】比較例に係る表示体が、右斜め方向からより深い角度で観察した場合に表示する画像の一例を示す図。
図13】比較例に係る表示体が、左斜め方向からより深い角度で観察した場合に表示する画像の一例を示す図。
図14図1及び図2の表示体が、図12と同様の条件下で表示する画像の一例を示す図。
図15図1及び図2の表示体が、図13と同様の条件下で表示する画像の一例を示す図。
図16】本発明の第2実施形態に係る表示体が含んでいる画素を拡大して示す平面図。
図17】サブ画素に採用可能な構造の一例を概略的に示す拡大平面図。
図18】サブ画素に採用可能な構造の他の例を概略的に示す拡大平面図。
図19】本発明の第3実施形態に係る表示体が含んでいる画素を拡大して示す平面図。
図20】本発明の第3実施形態に係る表示体の一部を拡大して示す平面図。
図21図20の表示体が含んでいる画素の一例を拡大して示す平面図。
図22図20の表示体が含んでいる画素の他の例を拡大して示す平面図。
図23図21に示す画素と第1及び第2円弧との関係を示す平面図。
図24】変形例に係る画素と第1及び第2円弧との関係を示す平面図。
図25】フルカラー画像の表示に利用可能な構造の一例を概略的に示す平面図。
図26図25の構造と類似した構造を採用した表示体の電子顕微鏡写真。
図27】フルカラー画像の表示に利用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図。
図28】フルカラー画像の表示に利用可能な構造の更に他の例を概略的に示す平面図。
図29】本発明の一実施形態に係る転写箔を概略的に示す断面図。
図30】本発明の一実施形態に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図。
図31】本発明の一実施形態に係る表示体付き物品を概略的に示す平面図。
図32】本発明の他の実施形態に係る表示体付き物品を概略的に示す平面図。
図33図32の表示体付き物品を観察者が観察している様子を示す概略図。
図34図32の表示体付き物品が含んでいる表示体において、第1サブ画素などに採用可能な構造の一例を拡大して示す概略平面図。
図35図32の表示体付き物品が含んでいる表示体において、第2サブ画素に採用可能な構造の一例を拡大して示す概略平面図。
図36図32の表示体付き物品が含んでいる表示体において、第3サブ画素に採用可能な構造の一例を拡大して示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0123】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0124】
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。
【0125】
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図である。図2は、図1の表示体の一部を拡大して示す平面図である。図3は、図1及び図2の表示体が含んでいる画素を拡大して示す平面図である。図4は、図3の画素が含んでいる第1サブ画素の一例を拡大して示す概略平面図である。図5は、図3の画素が含んでいる第2サブ画素の一例を拡大して示す概略平面図である。図6は、図3の画素が含んでいる第3サブ画素の一例を拡大して示す概略平面図である。図7は、図1及び図2の表示体を概略的に示す拡大断面図である。
【0126】
なお、図7に示す断面は、図4に示す構造のVII-VII線に沿った断面である。また、図1乃至図7において、X方向及びY方向は、表示体1の主面に平行であり且つ互いに直交する方向である。ここでは、X方向及びY方向は、それぞれ、表示体1の横方向及び縦方向である。Z方向は、X方向及びY方向に垂直な方向であり、表示体1の厚さ方向である。
【0127】
図1図2及び図7に示す表示体1は、図7に示すように、レリーフ構造形成層11と反射層12とを含んでいる。この表示体1は、レリーフ構造形成層11側が観察者と向き合う前面であり、反射層12側が背面である。この表示体1は、反射層12側が観察者と向き合う前面であり、レリーフ構造形成層11側が背面であってもよい。何れの場合も、反射層12は、レリーフ構造形成層11のレリーフ面と接するように設置される。
【0128】
この表示体1は、図2に示すように、互いに交差する方向に配列した複数の画素PXを含んでいる。ここでは、画素PXは、X方向及びY方向に配列している。画素PXの少なくとも一方の配列方向は、X方向及びY方向に対して斜めであってもよい。
【0129】
各画素PXは、図3に示すように、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3を含んでいる。第1領域R1の面積は、第2領域R2及び第3領域R3の各々の面積と等しくてもよく、それらよりも小さくてもよい。但し、第1領域R1の面積は、第2領域R2及び第3領域R3の各々の面積よりも大きいことが好ましい。
【0130】
第1領域R1の配列には、低角度の観察条件下で表示体1が表示すべき複数の画像が記録されている。ここで、「低角度の観察条件」は、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向が成す角度が小さい観察条件下である。第1領域R1の配列は、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向を平行とした状態から、照明方向と観察方向とY方向とを一定に保ったまま、先の平面に対してZ方向が成す角度を増加させると、形状及び位置の少なくとも一方が僅かに異なる複数の画像を順次表示する。
【0131】
各第1領域R1は、複数の第1サブ画素SPX1を含んでいる。第1サブ画素SPX1の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出する。
【0132】
各画素PXが含んでいる1つの第1サブ画素SPX1は、第1領域R1の配列が表示すべき複数の画像のうちの1つが含んでいる画像要素として利用する。また、各画素PXが含んでいる他の1つの第1サブ画素SPX1は、第1領域R1の配列が表示すべき複数の画像のうちの他の1つが含んでいる画像要素として利用する。このように、各画素PXが含んでいる複数の第1サブ画素SPX1は、それぞれ、第1領域R1の配列が表示すべき複数の画像の画像要素に対応している。
【0133】
回折光を射出しない第1サブ画素SPX1は、回折格子を含んでいない。他方、第1回折光を射出する第1サブ画素SPX1は、例えば、図4に示す回折格子DGを含んでいる。この回折格子DGは、幅方向に配列した複数の稜又は溝PRからなるレリーフ型の回折格子である。1つの画素PXが、第1回折光を射出する第1サブ画素SPX1を2以上含んでいる場合、それら第1サブ画素SPX1は、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向が僅かに異なっている。第1サブ画素SPX1の回折格子DGは、稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、例えば、-α乃至+α(0°<α)の範囲内にある。なお、ここでは、X方向を基準とした角度は、X方向に対して時計回りの角度をプラスとし、X方向に対して反時計回りの角度をマイナスとしている。
【0134】
第2領域R2の配列及び第3領域R3の配列の各々には、広角度の観察条件下で表示体1が表示すべき複数の画像が記録されている。ここで、「広角度の観察条件」は、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向が成す角度が大きい観察条件下である。第2領域R2の配列は、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向を傾けた状態から、照明方向と観察方向とY方向とを一定に保ったまま、先の平面に対してZ方向が成す角度を増加させると、形状及び位置の少なくとも一方が僅かに異なる複数の画像を順次表示する。第3領域R3の配列は、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向を逆向きに傾けた状態から、照明方向と観察方向とY方向とを一定に保ったまま、先の平面に対してZ方向が成す角度を増加させると、形状及び位置の少なくとも一方が僅かに異なる複数の画像を順次表示する。
【0135】
第2領域R2は、複数の第2サブ画素SPX2を含んでいる。第2サブ画素SPX2の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第2回折光を第1角度範囲よりも広角の第2角度範囲内で及び第1回折光よりも低い強度で射出する。ここでは、各第2サブ画素SPX2の面積を、各第1サブ画素SPX1の面積よりも小さくすることにより、第2回折光の強度を第1回折光の強度よりも低くしている。
【0136】
各画素PXが含んでいる1つの第2サブ画素SPX2は、第2領域R2の配列が表示すべき複数の画像のうちの1つが含んでいる画像要素として利用する。また、各画素PXが含んでいる他の1つの第2サブ画素SPX2は、第2領域R2の配列が表示すべき複数の画像のうちの他の1つが含んでいる画像要素として利用する。このように、各画素PXが含んでいる複数の第2サブ画素SPX2は、それぞれ、第2領域R2の配列が表示すべき複数の画像の画像要素に対応している。
【0137】
回折光を射出しない第2サブ画素SPX2は、回折格子を含んでいない。他方、第2回折光を射出する第2サブ画素SPX2は、例えば、図5に示す回折格子DGを含んでいる。この回折格子DGは、幅方向に配列した複数の稜又は溝PRからなるレリーフ型の回折格子である。1つの画素PXが、第2回折光を射出する第2サブ画素SPX2を2以上含んでいる場合、それら第2サブ画素SPX2は、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向が僅かに異なっている。第2サブ画素SPX2の回折格子DGは、稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、例えば、-α乃至-α(α<α<90°)の範囲内にある。
【0138】
第3領域R3は、複数の第3サブ画素SPX3を含んでいる。第3サブ画素SPX3の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第3回折光を、第1角度範囲を間に挟んで第2角度範囲と隣り合った第3角度範囲内で及び第1回折光よりも低い強度で射出する。ここでは、各第3サブ画素SPX3の面積を、各第1サブ画素SPX1の面積よりも小さくすることにより、第3回折光の強度を第1回折光の強度よりも低くしている。
【0139】
各画素PXが含んでいる1つの第3サブ画素SPX3は、第3領域R3の配列が表示すべき複数の画像のうちの1つが含んでいる画像要素として利用する。また、各画素PXが含んでいる他の1つの第3サブ画素SPX3は、第3領域R3の配列が表示すべき複数の画像のうちの他の1つが含んでいる画像要素として利用する。このように、各画素PXが含んでいる複数の第3サブ画素SPX3は、それぞれ、第3領域R3の配列が表示すべき複数の画像の画像要素に対応している。
【0140】
回折光を射出しない第3サブ画素SPX3は、回折格子を含んでいない。他方、第3回折光を射出する第3サブ画素SPX3は、例えば、図6に示す回折格子DGを含んでいる。この回折格子DGは、幅方向に配列した複数の稜又は溝PRからなるレリーフ型の回折格子である。1つの画素PXが、第3回折光を射出する第3サブ画素SPX3を2以上含んでいる場合、それら第3サブ画素SPX3は、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向が僅かに異なっている。第3サブ画素SPX3の回折格子DGは、稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、例えば、+α乃至+αの範囲内にある。
【0141】
この表示体1は、或る画像を、複数の画素PXに亘って分布した或るサブ画素群で表示し、他の画像を、複数の画素PXに亘って分布した他のサブ画素群で表示するように設計されている。そして、この表示体1は、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向を平行とした状態から、照明方向と観察方向とY方向とを一定に保ったまま、先の平面に対してZ方向が成す角度を増加させると、各画素PXにおいて、表示に寄与するサブ画素群が順次切り替わる。その結果、形状及び位置の少なくとも一方が僅かに異なる複数の画像が順次表示され、観察者は、これを連続変化画像として知覚する。
【0142】
この表示体1は、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。これについて、図8乃至図15を参照しながら説明する。
【0143】
図8は、図1及び図2の表示体を観察者が観察している様子を示す概略図である。図9は、比較例に係る表示体が、正面から観察した場合に表示する画像の一例を示す図である。図10は、比較例に係る表示体が、右斜め方向から観察した場合に表示する画像の一例を示す図である。図11は、比較例に係る表示体が、左斜め方向から観察した場合に表示する画像の一例を示す図である。図12は、比較例に係る表示体が、右斜め方向からより深い角度で観察した場合に表示する画像の一例を示す図である。図13は、比較例に係る表示体が、左斜め方向からより深い角度で観察した場合に表示する画像の一例を示す図である。図14は、図1及び図2の表示体が、図12と同様の条件下で表示する画像の一例を示す図である。図15は、図1及び図2の表示体が、図13と同様の条件下で表示する画像の一例を示す図である。
【0144】
表示体1が表示する連続変化画像を観察する場合、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して表示体1の法線を平行とした状態から、照明方向と観察方向とを一定に保ったまま、表示体1を、その中心を通り且つ縦方向に平行な軸の周りで揺動させる。そのような観察条件下で、比較例に係る表示体は、以下に説明する画像を表示する。なお、ここでは、比較例に係る表示体として、第1サブ画素SPX1、第2サブ画素SPX2及び第3サブ画素SPX3のうち、回折光を射出するものは全て、同一の正面条件下で、波長及び強度が等しい回折光を射出するものを想定する。
【0145】
表示体の法線が、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して平行である場合、例えば、図8において、中央の観察者OBが表示体1を観察する場合、表示体1は、図9に示す画像I1を表示できる。
【0146】
表示体の法線を、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して右へ僅かに傾けると、表示体は、例えば、図10に示す画像I2aを表示する。また、表示体の法線を、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して左へ僅かに傾けると、表示体は、例えば、図11に示す画像I3aを表示できる。
【0147】
この傾きが小さい場合、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面が図8に示す角度範囲θ1内にある場合、比較例に係る表示体であっても、鮮明な画像を表示できる。しかしながら、比較例に係る表示体は、その法線を、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して大きく傾けると、不鮮明な画像を表示する。
【0148】
即ち、表示体の法線を、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して右へ大きく傾けた場合、例えば、図8において、右側の観察者OBが表示体1を観察する場合、表示体は、図12に示す画像I2b’を表示する。また、表示体の法線を、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して左へ大きく傾けた場合、例えば、図8において、左側の観察者OBが表示体1を観察する場合、表示体は、図13に示す画像I3b’を表示できる。
【0149】
即ち、この傾きが大きい場合、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面が図8に示す角度範囲θ2又はθ3内にある場合、比較例に係る表示体は、正像及びゴースト像の重なり合いに起因して不鮮明な画像を表示する。
【0150】
これに対し、図1乃至図7を参照しながら説明した表示体1は、第2及び第3回折光が第1回折光よりも低い強度を有する構成である。
【0151】
従って、表示体1の法線を、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して右へ大きく傾けた場合、例えば、図8において、右側の観察者OBが表示体1を観察する場合、表示体1は、図14に示す画像I2bを表示できる。即ち、表示体1は、図12の画像I2b’と比較して、より暗い画像I2bを表示できる。
【0152】
また、表示体1の法線を、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対して左へ大きく傾けた場合、例えば、図8において、左側の観察者OBが表示体1を観察する場合、表示体1は、図15に示す画像I3bを表示できる。即ち、表示体1は、図13の画像I3b’と比較して、より暗い画像I3bを表示できる。
【0153】
画像が暗くなると、ゴースト像の明るさも低下し、ゴースト像が画像の鮮明さに及ぼす影響は小さくなる。また、画像が暗くなると、正像とゴースト像との重なり合いに起因したぼやけも知覚され難くなる。従って、この表示体1は、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0154】
表示体1に表示させる画像は、例えば、セキュリティパターン、識別パターン、又は認証パターンとできる。セキュリティパターンとしては、例えば、立体像、幾何学模様、ランドマーク、風景、及び肖像、胸像、彫刻、動物、鳥、熱帯魚、昆虫が挙げられる。肖像は、特に高精細な画像である場合に、真正品が表示する肖像と偽造品が表示する肖像との違いが僅かであったとしても、その違いを違和感として感知しやすい画像である。それ故、肖像を表示する表示体1は、真贋を判定しやすい。また、ランドマーク及び風景などの画像も、特に高精細な画像である場合、真正品が表示する画像と偽造品が表示する画像との違いが画像の小さな部分のみであったとしても、その違いを違和感として感知しやすい画像である。それ故、ランドマークや風景などを表示する表示体1も、真贋を判定しやすい。
【0155】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。
【0156】
図16は、本発明の第2実施形態に係る表示体が含んでいる画素を拡大して示す平面図である。
【0157】
第2実施形態に係る表示体は、以下に説明する構造を画素PXに採用したこと以外は、第1実施形態に係る表示体1と同様である。
【0158】
即ち、第2実施形態に係る表示体では、図16に示すように、各画素PXは、広範囲表示用の領域RAと、狭範囲表示用の領域RBとを含んでいる。
【0159】
領域RAの配列には、低角度から広角度までの観察条件下で表示体1が表示すべき複数の画像が記録されている。領域RAの配列は、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向を大きく傾けた状態から、照明方向と観察方向とY方向とを一定に保ったまま、Z方向を逆方向へ大きく傾けると、形状及び位置の少なくとも一方が僅かに異なる複数の画像を順次表示する。
【0160】
領域RAは、領域R1aと、第1実施形態において説明した第2領域R2及び第3領域R3とを含んでいる。
【0161】
領域R1aの配列には、低角度の観察条件下で表示体1が表示すべき複数の画像が記録されている。領域R1aの配列は、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向を平行とした状態から、照明方向と観察方向とY方向とを一定に保ったまま、先の平面に対してZ方向が成す角度を増加させると、形状及び位置の少なくとも一方が僅かに異なる複数の画像を順次表示する。
【0162】
各領域R1aは、複数のサブ画素SPX1aを含んでいる。サブ画素SPX1aの各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出する。
【0163】
各画素PXが含んでいる1つのサブ画素SPX1aは、領域R1aの配列が表示すべき複数の画像のうちの1つが含んでいる画像要素として利用する。また、各画素PXが含んでいる他の1つのサブ画素SPX1aは、領域R1aの配列が表示すべき複数の画像のうちの他の1つが含んでいる画像要素として利用する。このように、各画素PXが含んでいる複数のサブ画素SPX1aは、それぞれ、領域R1aの配列が表示すべき複数の画像の画像要素に対応している。
【0164】
回折光を射出しないサブ画素SPX1aは、回折格子を含んでいない。他方、第1回折光を射出するサブ画素SPX1aは、例えば、図4に示す回折格子DGを含んでいる。この回折格子DGは、幅方向に配列した複数の稜又は溝PRからなるレリーフ型の回折格子である。1つの画素PXが、第1回折光を射出するサブ画素SPX1aを2以上含んでいる場合、それらサブ画素SPX1aは、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向が僅かに異なっている。サブ画素SPX1aの回折格子DGは、稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、例えば、-α乃至+αの範囲内にある。
【0165】
サブ画素SPX1a、第2サブ画素SPX2、及び第3サブ画素SPX3は、面積が互いに等しい。サブ画素SPX1aが射出する第1回折光の強度は、例えば、第2サブ画素SPX2及び第3サブ画素SPX3がそれぞれ射出する第2及び第3回折光の強度と等しい。
【0166】
領域RBの配列には、低角度の観察条件下で表示体1が表示すべき複数の画像が記録されている。領域RBの配列は、例えば、観察者の両眼を結ぶ線分に垂直な平面に対してZ方向を平行とした状態から、照明方向と観察方向とY方向とを一定に保ったまま、先の平面に対してZ方向が成す角度を増加させると、形状及び位置の少なくとも一方が僅かに異なる複数の画像を順次表示する。
【0167】
各領域RBは、複数のサブ画素SPX1bを含んでいる。サブ画素SPX1bの各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出する。
【0168】
各画素PXが含んでいる1つのサブ画素SPX1bは、領域RBの配列が表示すべき複数の画像のうちの1つが含んでいる画像要素として利用する。また、各画素PXが含んでいる他の1つのサブ画素SPX1bは、領域RBの配列が表示すべき複数の画像のうちの他の1つが含んでいる画像要素として利用する。このように、各画素PXが含んでいる複数のサブ画素SPX1bは、それぞれ、領域RBの配列が表示すべき複数の画像の画像要素に対応している。
【0169】
回折光を射出しないサブ画素SPX1bは、回折格子を含んでいない。他方、第1回折光を射出するサブ画素SPX1bは、例えば、図4に示す回折格子DGを含んでいる。この回折格子DGは、幅方向に配列した複数の稜又は溝PRからなるレリーフ型の回折格子である。1つの画素PXが、第1回折光を射出するサブ画素SPX1bを2以上含んでいる場合、それらサブ画素SPX1bは、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向が僅かに異なっている。サブ画素SPX1bの回折格子DGは、稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、例えば、-α乃至+αの範囲内にある。
【0170】
第1回折光を射出するサブ画素SPX1bは、第1回折光を射出するサブ画素SPX1aとは、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が異なっている。第1回折光を射出するサブ画素SPX1bの1以上は、第1回折光を射出するサブ画素SPX1aと、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が等しくてもよい。
【0171】
ここでは、サブ画素SPX1bの面積は、サブ画素SPX1aの面積と等しい。サブ画素SPX1bの面積は、サブ画素SPX1aの面積とは異なっていてもよい。
【0172】
第2実施形態に係る表示体も、第1実施形態に係る表示体1と同様に、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。これについて、以下に説明する。
【0173】
第1回折光の射出角の差の最小値を小さくすると、観察方向に応じた第1画像の変化は滑らかになる。一方、第2回折光の射出角の差の最小値を大きくすると、観察方向に応じた第2画像の変化の滑らかさは低下する。同様に、第3回折光の射出角の差の最小値を大きくすると、観察方向に応じた第3画像の変化の滑らかさは低下する。
【0174】
但し、第1回折光の射出角の差の最小値を小さくすると、観察方向等の変化に伴って順次表示される複数の第1画像によって表現される連続変化画像はより明るくなる。これとは逆に、第2回折光の射出角の差の最小値を大きくすると、観察方向等の変化に伴って順次表示される複数の第2画像によって表現される連続変化画像はより暗くなる。同様に、第3回折光の射出角の差の最小値を大きくすると、観察方向等の変化に伴って順次表示される複数の第3画像によって表現される連続変化画像はより暗くなる。
【0175】
従って、観察方向に応じた第2及び第3画像の変化の滑らかさが低いとしても、それが観察者に違和感を与える可能性は小さい。また、第2又は第3画像を観察する場合、ゴースト像の明るさがより低いため、ゴースト像が画像の鮮明さに及ぼす影響は小さい。そして、画像が暗くなると、正像とゴースト像との重なり合いに起因したぼやけも知覚され難くなる。
【0176】
それ故、この表示体によると、各画素の面積に占める第2及び第3サブ画素の合計面積の割合を小さくすることができ、これにより、各画素の面積に占めるサブ画素SPX1a及びSPX1bの合計面積の割合を大きくすることができる。従って、この表示体によれば、例えば、観察者に違和感を与えることなく、第1画像の変化を滑らかにすることができる。即ち、この表示体は、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0177】
以上の効果について、表1乃至表6を参照しながら、更に説明する。
表1及び表2に、それぞれ、比較例1及び2に係る表示体に採用可能な構成を示す。表3に、実施例1に係る表示体における構成を示す。表4及び表5に、実施例2に係る表示体における構成を示す。表6に、比較例1及び2並びに実施例1及び2に係る表示体に採用した構成の概要を示す。
【0178】
なお、表6において、「角度範囲」は、サブ画素に設ける回折格子の稜又は溝の長さ方向が表示体の横方向に対して成す角度の最大値と最小値との差を表している。また、表6において、「角度差」は、サブ画素に設ける回折格子の稜又は溝の長さ方向が表示体の横方向に対して成す角度のサブ画素間での差を表している。
【0179】
【表1】
【0180】
【表2】
【0181】
【表3】
【0182】
【表4】
【0183】
【表5】
【0184】
【表6】
【0185】
表1には、比較例1として、各画素に30個のサブ画素を配置した場合に採用可能な構成の一例を示している。具体的には、表1は、比較例に係る表示体において、30個のサブ画素に設ける回折格子の稜又は溝の長さ方向が表示体の横方向に対して成す角度の最小値及び最大値をそれぞれ-25°及び+25°とした場合に、各サブ画素において先の角度をどのようにすべきかを示している。
【0186】
表1に示すように、各画素に30個のサブ画素を配置し、上記角度の範囲を-25°乃至+25°とした場合、サブ画素間での上記角度の差は、表6に示すように1.7°を超える。即ち、この構成では、サブ画素間での回折光の射出角の差が大きい。従って、この構成を採用した表示体が表示する画像は、観察方向等を変化させた場合に、滑らかに変化しない。また、この構成を採用した場合、正像とゴースト像との重なり合いに起因して、画像がぼやけて見えることがある。
【0187】
なお、各画素に配置するサブ画素の数を30個としたまま、上記角度の範囲を-15°乃至+15°とした場合、この構成を採用した表示体は、回折光を低角度域にのみ射出する。そのため、正像とゴースト像との重なり合いが画像の鮮明さに及ぼす影響は十分に小さい。
【0188】
また、この構成を採用した表示体では、サブ画素間での上記角度の差を、比較例1に係る表示体よりも小さくすることができる。
【0189】
但し、この構成を採用した場合であっても、サブ画素間での上記角度の差は、1°を超える。即ち、この構成であっても、サブ画素間での回折光の射出角の差が大きい。従って、この構成を採用した表示体が表示する画像は、観察方向等を変化させた場合に、滑らかに変化しない。
【0190】
また、回折光の射出角の範囲が狭いと、観察方向等を僅かに変えただけで、観察者は画像の形状及び位置の変化を知覚できなくなる。
それ故、このような構成を採用した表示体は、観察者に違和感を与える。
【0191】
表2には、比較例2として、各画素に50個のサブ画素を配置した場合に採用可能な構成の一例を示している。具体的には、表2は、比較例に係る表示体において、50個のサブ画素に設ける回折格子の稜又は溝の長さ方向が表示体の横方向に対して成す角度の最小値及び最大値をそれぞれ-25°及び+25°とした場合に、各サブ画素において先の角度をどのようにすべきかを示している。
【0192】
表2に示すように、上記角度の範囲は-25°乃至+25°であるので、観察方向等を大きく変えたとしても、観察者は画像の形状及び位置の変化を知覚できる。
【0193】
但し、この構成を採用した場合も、サブ画素間での上記角度の差は、表6に示すように1°を超える。即ち、この構成でも、サブ画素間での回折光の射出角の差が大きい。従って、この構成を採用した表示体が表示する画像は、観察方向等を変化させた場合に、滑らかに変化しない。また、この構成を採用した場合、正像とゴースト像との重なり合いに起因して、画像がぼやけて見えることがある。
【0194】
表3には、実施例1として、図16の画素PXに採用可能な構成の一例を示している。この例では、各画素PXに、6個の第2サブ画素SPX2と、6個の第3サブ画素SPX3と、18個のサブ画素SPX1aと、30個のサブ画素SPX1bとを配置している。表3において、第1乃至第6番目のサブ画素は第3サブ画素SPX3であり、第7乃至第24番目のサブ画素はサブ画素SPX1aであり、第25乃至第30番目のサブ画素は、第2サブ画素SPX2である。また、表3において、第31乃至第60番目のサブ画素は、サブ画素SPX1bである。
【0195】
この構成では、サブ画素SPX1a及びSPX1bの各々が含んでいる回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度は、-15°乃至+15°の範囲内にある。そして、サブ画素SPX1a及びSPX1b間における上記角度の差は平均で1°未満である。即ち、これらサブ画素SPX1a及びSPX1b間では、回折光の射出角の差は十分に小さい。従って、この構成を採用した表示体が表示する画像は、低角度域で観察方向等を変化させた場合に、滑らかに変化する。また、この構成を採用した表示体では、サブ画素SPX1a及びSPX1bは回折光を低角度域にのみ射出するため、サブ画素SPX1a及びSPX1bが表示する画像の鮮明さに、正像とゴースト像との重なり合いが及ぼす影響は十分に小さい。
【0196】
更に、この構成では、サブ画素SPX1a及びSPX1bが低角度域に回折光を射出する一方、第2サブ画素SPX2並びに第3サブ画素SPX3は広角度域に回折光を射出する。それ故、観察方向等を大きく変えたとしても、観察者は画像の形状及び位置の変化を知覚できる。
【0197】
しかも、この構成では、広角度域で表現される連続変化画像は、低角度域で表現される連続変化画像と比較してより暗い。それ故、広角度域では、画像の変化の滑らかさが低いとしても、それが観察者に違和感を与える可能性は小さく、また、正像とゴースト像との重なり合いに起因したぼやけは知覚されない。
【0198】
それ故、この構成を採用した表示体によると、各画素PXの面積に占める第2サブ画素SPX2及び第3サブ画素SPX3の合計面積の割合を小さくすることができ、これにより、各画素PXの面積に占めるサブ画素SPX1a及びSPX1bの合計面積の割合を大きくすることができる。従って、この表示体によれば、例えば、観察者に違和感を与えることなく、画像の変化を滑らかにすることができる。即ち、この表示体は、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0199】
表4及び表5には、実施例2として、図16の画素PXに採用可能な構成の他の例を示している。この例では、各画素PXに、10個の第2サブ画素SPX2と、10個の第3サブ画素SPX3と、30個のサブ画素SPX1aと、50個のサブ画素SPX1bとを配置している。表4において、第1乃至第10番目のサブ画素は第3サブ画素SPX3であり、第11乃至第40番目のサブ画素はサブ画素SPX1aであり、第41乃至第50番目のサブ画素は、第2サブ画素SPX2である。また、表5において、第51乃至第100番目のサブ画素は、サブ画素SPX1bである。
【0200】
この表示体によれば、実施例1に係る表示体と同様に、例えば、観察者に違和感を与えることなく、画像の変化を滑らかにすることができる。即ち、この表示体は、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0201】
また、この表示体では、実施例1に係る表示体と比較して、より多くのサブ画素を各画素に配置している。従って、この表示体によれば、実施例1に係る表示体と比較して、観察方向等を変化させた場合における画像の変化をより滑らかにすることができる。
【0202】
第1及び第2実施形態に係る表示体には、様々な変形が可能である。
図17は、サブ画素に採用可能な構造の一例を概略的に示す拡大平面図である。図18は、サブ画素に採用可能な他の構造を概略的に示す拡大平面図である。
【0203】
第1及び第2実施形態では、図17に示すように、回折格子DGを直線状の稜又は溝PRで構成している。稜又は溝PRは、直線状でなくてもよい。例えば、図18に示すように、稜又は溝PRは、円弧状などの曲線状であってもよい。なお、この場合、稜又は溝PRの長さ方向は、曲線の近似直線の長さ方向である。
【0204】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。
【0205】
図19は、本発明の第3実施形態に係る表示体が含んでいる画素を拡大して示す平面図である。図20は、本発明の第3実施形態に係る表示体の一部を拡大して示す平面図である。図21は、図20の表示体が含んでいる画素の一例を拡大して示す平面図である。図22は、図20の表示体が含んでいる画素の他の例を拡大して示す平面図である。図23は、図21に示す画素と第1及び第2円弧との関係を示す平面図である。図24は、変形例に係る画素と第1及び第2円弧との関係を示す平面図である。
【0206】
なお、図21などでは、見易さのために、広範囲表示用の領域RAと狭範囲表示用の領域RBとを、互いから離間させて描いている。広範囲表示用の領域RAと狭範囲表示用の領域RBとは、互いから離間していてもよく、互いに隣接していてもよい。
【0207】
第3実施形態に係る表示体は、以下に説明する構造を画素PXに採用したこと以外は、第2実施形態に係る表示体と同様である。
【0208】
即ち、第3実施形態に係る表示体1では、図19に示す広範囲表示用の領域RAは、回折格子を含んでいないか、又は、図20乃至図23に示す広範囲表示用の回折格子DG1を含んでいる。回折格子DG1は、図21乃至図23に示すように、円弧状に湾曲し且つ幅方向(Y方向)に配列した稜又は溝PR(第1稜又は溝)からなる。第1稜又は溝が形成する円弧は、図23に示すように第1中心角φを有する第1円弧AR1であるか、又は、第1円弧AR1の一部である。
【0209】
また、図19に示す狭範囲表示用の領域RBは、回折格子を含んでいないか、又は、図20乃至図23に示す狭範囲表示用の回折格子DG2を含んでいる。回折格子DG2は、図21乃至図23に示すように、円弧状に湾曲し且つ幅方向(Y方向)に配列した稜又は溝PR(第2稜又は溝)からなる。第2稜又は溝が形成する円弧は、図23に示すように第2中心角φを有する第2円弧AR2であるか、又は、第2円弧AR2の一部である。
【0210】
ここで、第1円弧AR1は、複数の画素PXが含んでいる稜又は溝PRのうち、図19に示す広範囲表示用の領域RAが含んでいるもの(第1稜又は溝)を平行移動させて重ね合わせることによって得られる1以上の曲線を含んだ最小の円弧である。
【0211】
何れかの画素PXにおいて、図21及び図23に示すように、広範囲表示用の回折格子DG1が全角度範囲に亘って最大の明るさで回折光を射出するように設計されている場合、その画素PXの横方向(Y方向)に並んだ第1及び第2端の一方から他方まで各々が延びた第1稜又は溝が上記画素PXに存在していることがある。そのような画素PXを表示体1が含んでいる場合には、第1円弧AR1は、第1端から第2端まで延びた第1稜又は溝である。
【0212】
また、第1端から第2端まで延びた第1稜又は溝が、画素PXに存在していないことがある。これら画素PXの1以上が、図24に示すように、第1円C1上で互いから離間し、一方が第1端から第2端へ向けて延び、他方が第2端から第1端へ向けて延びた2つの第1稜又は溝を含んでいる場合は、これら2つの第1稜又は溝を含み且つ長さが最も短い円弧が第1円弧AR1である。即ち、これら2つの第1稜又は溝に対応した2つの円弧を補間することによって得られる1つの円弧が第1円弧AR1である。
【0213】
他方、第2円弧AR2は、複数の画素PXが含んでいる稜又は溝PRのうち、図19に示す狭範囲表示用の領域RBが含んでいるもの(第2稜又は溝)を平行移動させて重ね合わせることによって得られる1以上の曲線を含んだ最小の円弧である。
【0214】
何れかの画素PXにおいて、図21及び図23に示すように、狭範囲表示用の回折格子DG2が全角度範囲に亘って最大の明るさで回折光を射出するように設計されている場合、その画素PXの横方向(Y方向)に並んだ第1及び第2端の一方から他方まで各々が延びた第2稜又は溝が上記画素PXに存在していることがある。そのような画素PXを表示体1が含んでいる場合には、第2円弧AR2は、第1端から第2端まで延びた第2稜又は溝である。
【0215】
また、第1端から第2端まで延びた第2稜又は溝が、画素PXに存在していないことがある。これら画素PXの1以上が、図24に示すように、第2円C2上で互いから離間し、一方が第1端から第2端へ向けて延び、他方が第2端から第1端へ向けて延びた2つの第1稜又は溝を含んでいる場合は、これら2つの第2稜又は溝を含み且つ長さが最も短い円弧が第2円弧AR2である。即ち、これら2つの第2稜又は溝に対応した2つの円弧を補間することによって得られる1つの円弧が第2円弧AR2である。
【0216】
第2円弧AR2の第2中心角φは、第1円弧AR1の第1中心角φよりも小さい。また、第2円弧AR2の曲率は、第1円弧AR1の曲率と比較してより小さい。即ち、第2円弧AR2を含む第2円C2の半径は、第1円弧AR1を含む第1円C1の半径よりも大きい。
【0217】
図19に示す領域RA及びRBの各々は、上記幅方向(Y方向)と直交する方向(X方向)に配列した複数のサブ画素を含んでいる。領域RA及びRBの各々において、複数のサブ画素は、それぞれ、異なる観察方向のもとで観察される複数の画像の表示に寄与する。
【0218】
これらサブ画素のうち、図21及び図23に示す回折格子DG1の中央部DG1aの位置で配列しているものは、図16を参照しながら説明したサブ画素SPX1aに相当している。また、これらサブ画素のうち、図21及び図23に示す回折格子DG1の端部DG1bの位置で配列しているものは、図16を参照しながら説明したサブ画素SPX2に相当し、図21及び図23に示す回折格子DG1の端部DG1cの位置で配列しているものは、図16を参照しながら説明したサブ画素SPX3に相当している。そして、これらサブ画素のうち、図21及び図23に示す回折格子DG2の位置で配列しているものは、図16を参照しながら説明したサブ画素SPX1bに相当している。
【0219】
第3実施形態に係る表示体1も、第2実施形態に係る表示体と同様に、例えば、観察者に違和感を与えることなく、画像の変化を滑らかにすることができる。即ち、この表示体1は、観察者に違和感を与えることなく、広い角度範囲内で連続変化画像を表示することが可能である。
【0220】
第1乃至第3実施形態に係る表示体1には、モノクローム画像を表示する構成を採用することも、フルカラー画像を表示する構成を採用することも可能である。
【0221】
図25は、フルカラー画像の表示に利用可能な構造の一例を概略的に示す平面図である。図25に示す構造は、以下の点を除き、図19図22を参照しながら説明した構造と同様である。
【0222】
即ち、図25に示す構造では、各画素PXは、図19を参照しながら説明した広範囲表示用の領域RAとして、赤色を表示するための広範囲表示用の第1サブ領域RARと、緑色を表示するための広範囲表示用の第2サブ領域RAGと、青色を表示するための広範囲表示用の第3サブ領域RABとを含んでいる。
【0223】
各画素PXにおいて、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABは、稜又は溝PRの配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有しており、第1方向と交差する第2方向に配列している。ここでは、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABは、X方向に延びた形状を各々が有しており、Y方向に配列している。各画素PXでは、サブ領域RAR、RAG及びRABは、この順に配列している。
【0224】
広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABの各々には、図20乃至図24を参照しながら説明した回折格子DG1が設けられているか、又は、回折格子が設けられていない。第1サブ領域RARに設けられた回折格子DG1は、第1中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチも互いに等しい。第2サブ領域RAGに設けられた回折格子DG1は、第1中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチも互いに等しい。第3サブ領域RABに設けられた回折格子DG1は、第1中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチも互いに等しい。第1サブ領域RARに設けられた回折格子DG1と、第2サブ領域RAGに設けられた回折格子DG1と、第3サブ領域RABに設けられた回折格子DG1とは、第1中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチが異なっている。
【0225】
図25に示す構造では、各画素PXは、図19を参照しながら説明した狭範囲表示用の領域RBとして、赤色を表示するための狭範囲表示用の第4サブ領域RBRと、緑色を表示するための狭範囲表示用の第5サブ領域RBGと、青色を表示するための狭範囲表示用の第6サブ領域RBBとを更に含んでいる。
【0226】
各画素PXにおいて、狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBは、第1方向に延びた形状を各々が有しており、第2方向に配列している。ここでは、狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBは、X方向に延びた形状を各々が有しており、Y方向に配列している。各画素PXでは、サブ領域RBR、RBG及びRBBは、この順に配列している。
【0227】
各画素PXでは、サブ領域RAR、RAG及びRABからなる列と、サブ領域RBR、RBG及びRBBからなる列とは、Y方向に隣り合っている。第1サブ領域RARと第4サブ領域RBRとの間には、第2サブ領域RAG及び第3サブ領域RABが介在している。第2サブ領域RAGと第5サブ領域RBGとの間には、第3サブ領域RAB及び第4サブ領域RBRが介在している。第3サブ領域RABと第6サブ領域RBBとの間には、第4サブ領域RBR及び第5サブ領域RBGが介在している。
【0228】
狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBの各々には、図20乃至図24を参照しながら説明した回折格子DG2が設けられているか、又は、回折格子が設けられていない。
【0229】
第4サブ領域RBRに設けられた回折格子DG2は、第2中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチも互いに等しい。第4サブ領域RBRに設けられた回折格子DG2は、第1サブ領域RARに設けられた回折格子DG1と、稜又は溝PRのピッチが等しい。
【0230】
第5サブ領域RBGに設けられた回折格子DG2は、第2中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチも互いに等しい。第5サブ領域RBGに設けられた回折格子DG2は、第2サブ領域RAGに設けられた回折格子DG1と、稜又は溝PRのピッチが等しい。
【0231】
第6サブ領域RBBに設けられた回折格子DG2は、第2中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチも互いに等しい。第6サブ領域RBBに設けられた回折格子DG2は、第3サブ領域RABに設けられた回折格子DG1と、稜又は溝PRのピッチが等しい。
【0232】
第4サブ領域RBRに設けられた回折格子DG2と、第5サブ領域RBGに設けられた回折格子DG2と、第6サブ領域RBBに設けられた回折格子DG2とは、第2中心角φが互いに等しく、稜又は溝PRのピッチが異なっている。上記と同様に、第2中心角φは第1中心角φよりも小さい。
【0233】
この構造では、表示体1が回折画像としてフルカラー画像を表示するように、画素PXを設計している。この設計により、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABから射出される回折光の強度比や、狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBから射出される回折光の強度比を、画素PX間で適宜異なるものとすることができる。
【0234】
この構造では、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABは、第1方向に延びた形状を各々が有し、それらの幅方向である第2方向に配列している。それ故、各画素PXにおいてサブ領域RAR、RAG及びRABを互いから近く配置した場合、それらから射出される回折光の混色を生じ易い。
【0235】
また、この構造では、狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBも、第1方向に延びた形状を各々が有し、それらの幅方向である第2方向に配列している。それ故、各画素PXにおいてサブ領域RBR、RBG及びRBBを互いから近く配置した場合、それらから射出される回折光の混色を生じ易い。
【0236】
従って、この構造を採用した表示体1は、例えば、人物や動物(例えばライオン及びシマウマ)の顔画像を、高精細であり且つ中程度の鮮やかさの回折画像として表示可能である。即ち、上記の構造を採用した表示体1は、観察者に自然な印象を与える回折画像を表示することができる。
【0237】
図27は、フルカラー画像の表示に利用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図である。
【0238】
図27に示す構造は、以下の点を除き、図25を参照しながら説明した構造と同様である。即ち、図27に示す構造の各画素PXでは、第1サブ領域RARと第4サブ領域RBRとは第2方向に配列し、第2サブ領域RAGと第5サブ領域RBGとは第2方向に配列し、第3サブ領域RABと第6サブ領域RBBとは第2方向に配列している。そして、第1サブ領域RARと第4サブ領域RBRとが形成する列と、第2サブ領域RAGと第5サブ領域RBGとが形成する列と、第3サブ領域RABと第6サブ領域RBBとが形成する列とは、第2方向に配列している。
【0239】
つまり、図27に示す構造の各画素PXでは、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRAB並びに狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBは、同じ色を表示するものがそれらの幅方向に隣り合うように配列している。ここでは、各画素PXにおいて、サブ領域RAR、RBR、RAG、RBG、RAB及びRBBは、この順に配列している。
【0240】
この構造では、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABは、第1方向に延びた形状を各々が有し、それらの幅方向である第2方向に配列している。但し、広範囲表示用のサブ領域RAR及びRAG間には狭範囲表示用の第4サブ領域RBRが介在し、広範囲表示用のサブ領域RAG及びRAB間には狭範囲表示用の第5サブ領域RBGが介在している。それ故、この構造を採用した場合、各画素PXにおいてサブ領域RAR、RAG及びRABを互いから近く配置したとしても、それらから射出される回折光の混色は、図25を参照しながら説明した構造を採用した場合と比較して生じ難い。
【0241】
また、この構造では、狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBも、第1方向に延びた形状を各々が有し、それらの幅方向である第2方向に配列している。但し、狭範囲表示用のサブ領域RBR及びRBG間には広範囲表示用の第2サブ領域RAGが介在し、狭範囲表示用のサブ領域RBG及びRBB間には広範囲表示用の第3サブ領域RABが介在している。それ故、この構造を採用した場合、各画素PXにおいてサブ領域RBR、RBG及びRBBを互いから近く配置したとしても、それらから射出される回折光の混色は、図25を参照しながら説明した構造を採用した場合と比較して生じ難い。
【0242】
但し、この構造を採用した表示体1は、以下に説明するように、例えば、建造物、花、及び動物(例えば、鳥及び熱帯魚)などのソリッドな又はカラフルな対象物の画像を、回折画像として表示するのに適している。
【0243】
或る画素PXにおいて、同じ色を表示する領域間の距離が長くなると、それら領域と観察者の眼とを結ぶ線分の方向のずれが大きくなる。例えば、或る画素PXにおいて、同じ色を表示する領域を、稜又は溝PRの配列方向に大きく離間させると、それら領域と観察者の眼とを結ぶ線分の方向のずれが大きくなり、その結果、それら領域が観察者の眼へ向けて射出する回折光の波長に大きなずれを生じることとなる。
【0244】
図27を参照しながら説明した構造では、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRAB並びに狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBの幅方向は、稜又は溝PRの配列方向と等しい。そして、上記の通り、各画素PXでは、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRAB並びに狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBのうち、同じ色を表示するものは、それらの幅方向に隣り合っており、同じ色を表示する領域を、互いから近く配置することができる。それ故、上述した波長のずれを生じ難くすることができる。従って、この構造を採用した表示体1は、ソリッドな又はカラフルな対象物の画像を、回折画像として表示するのに適している。
【0245】
図28は、フルカラー画像の表示に利用可能な構造の更に他の例を概略的に示す平面図である。
【0246】
図28に示す構造は、以下の点を除き、図25を参照しながら説明した構造と同様である。即ち、図28に示す構造の各画素PXでは、サブ領域RAR、RAG及びRABは第2方向に配列し、サブ領域RBR、RBG及びRBBは第2方向に配列し、サブ領域RAR、RAG及びRABが形成する列と、サブ領域RBR、RBG及びRBBが形成する列とは第1方向に配列している。そして、第1サブ領域RARと第4サブ領域RBRとは第1方向に隣り合い、第2サブ領域RAGと第5サブ領域RBGとは第1方向に隣り合い、第3サブ領域RABと第6サブ領域RBBとは第1方向に隣り合っている。
【0247】
つまり、図28に示す構造の各画素PXでは、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRAB並びに狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBは、同じ色を表示するものがそれらの長さ方向に隣り合い、異なる色を表示するものがそれらの幅方向に隣り合うように配列している。ここでは、各画素PXにおいて、サブ領域RAR、RAG及びRABはY方向へこの順に配列し、サブ領域RBR、RBG及びRBBは、Y方向へこの順に配列し、サブ領域RAR、RAG及びRABからなる列とサブ領域RBR、RBG及びRBBからなる列とはX方向に隣り合っている。
【0248】
この構造では、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABは、第1方向に延びた形状を各々が有し、それらの幅方向である第2方向に配列している。それ故、各画素PXにおいてサブ領域RAR、RAG及びRABを互いから近く配置すると、それらから射出される回折光の混色を生じ易くすることができる。
【0249】
また、この構造では、狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBも、第1方向に延びた形状を各々が有し、それらの幅方向である第2方向に配列している。それ故、各画素PXにおいてサブ領域RBR、RBG及びRBBを互いから近く配置すると、それらから射出される回折光の混色を生じ易くすることができる。
【0250】
また、この構造では、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRAB並びに狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBの幅方向は、稜又は溝PRの配列方向と等しい。そして、上記の通り、各画素PXでは、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRAB並びに狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBのうち、同じ色を表示するものは、それらの長さ方向に隣り合っている。このような配置を採用した場合、各画素PXの同じ色を表示する領域が観察者の眼へ向けて射出する回折光の波長に大きなずれを防ぐことができる。
【0251】
但し、この構造では、上記の通り、各画素PXでは、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRAB並びに狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBのうち、同じ色を表示するものは、それらの長さ方向に隣り合っている。それ故、それら隣り合った領域の一方が右眼へ向けて射出する回折光の方向は、それら隣り合った領域の他方が右眼へ向けて射出する回折光の方向と相違する。同様に、それら隣り合った領域の一方が左眼へ向けて射出する回折光の方向も、それら隣り合った領域の他方が左眼へ向けて射出する回折光の方向と相違する。従って、表示体1に回折画像として奥行き感が強い画像を表示させる場合、この構造を採用すると、画像がぼやけていると観察者が感じる可能性が高い。それ故、この構造を採用した表示体1は、例えば、立体文字、カメオ、及びコインの画像などの奥行き感が弱い画像を、回折画像として表示するのに適している。奥行き感が弱い画像は、立体文字、カメオ、及びコインの画像などである。
【0252】
なお、図25乃至図28を参照しながら説明した構造は、表示体1に回折画像としてフルカラー画像を表示させるためのものであるが、類似の構造により、表示体1にモノクローム画像を表示させることも可能である。
【0253】
具体的には、図25乃至図28を参照しながら説明した構造を、例えば、広範囲表示用のサブ領域RAR、RAG及びRABから射出される回折光の強度比と、狭範囲表示用のサブ領域RBR、RBG及びRBBから射出される回折光の強度比とを、画素PX内で及び画素PX間で一定となるように変更する。このような構造を採用すると、表示体1に回折画像としてモノクローム画像、白黒画像を表示させることができる。
【0254】
上記の通り、図25を参照しながら説明した構造は、各画素PXにおいて、サブ領域RAR、RAG及びRABから射出される回折光の混色と、サブ領域RBR、RBG及びRBBから射出される回折光の混色とを生じさせるのに適している。従って、この構造を先の通りに変更してなる表示体1は、回折画像として、高精細であり且つ中程度の彩度のモノクローム画像、例えば白黒画像を表示するのにも適している。
【0255】
次に、本発明の一実施形態に係る転写箔について説明する。
図29は、本発明の一実施形態に係る転写箔を概略的に示す断面図である。
【0256】
図29に示す転写箔2は、支持体21と転写材層22と接着層23とを含んでいる。
支持体21は、転写材層22を剥離可能に支持している。
接着層23は、転写材層22を被覆している。
【0257】
転写材層22は、レリーフ構造形成層221と、反射層222と、剥離保護層223とを含んでいる。剥離保護層223、レリーフ構造形成層221、及び反射層222は、この順に、支持体21上に積層されている。
【0258】
転写材層22は、互いに隣接した転写部TP1及び非転写部TP2を含んでいる。
転写部TP1は、転写材層22のうち、物品へ転写される部分であって、上記の表示体1を含んでいる。非転写部TP2は、転写材層22のうち、物品へ転写されずに残留する部分である。
【0259】
次に、本発明の一実施形態に係る粘着ラベルについて説明する。
図30は、本発明の一実施形態に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図である。
【0260】
図30に示す粘着ラベル3は、基材31と表示体1と粘着層32とを含んでいる。なお、図36において、なお、参照符号4は、台紙を表している。
【0261】
基材31は、例えば、透明樹脂フィルムである。基材31は、その一方の主面に、表示体1を支持している。
【0262】
粘着層32は、表示体1の一方の主面に設けられている。粘着層32は、表示体1を間に挟んで基材31と向き合っている。粘着層32は、粘着ラベル3の使用直前まで、台紙4によって保護される。
【0263】
次に、本発明の一実施形態に係る表示体付き物品について説明する。
図31は、本発明の一実施形態に係る表示体付き物品を概略的に示す平面図である。
【0264】
図31に示す表示体付き物品5は、印刷物である。表示体付き物品5としては、例えば、商品券、有価証券、紙幣、ID(identification)カード、及びパスポートが挙げられる。
【0265】
この表示体付き物品5は、表示体1と、これを支持した物品51とを含んでいる。
物品51は、紙などの印刷基材と、これに設けられた印刷層とを含んでいる。印刷基材としては、例えば、紙基材、透明樹脂基材、又は不透明樹脂基材を用いることができる。
【0266】
表示体1は、例えば、この物品51の表面に貼り付けるか又はこの物品51内に埋め込まれることにより、物品51によって支持されている。一例によれば、表示体1は、粘着ラベル又は転写箔を用いて、物品51に貼り付けられる。
【0267】
物品51が透明である場合には、表示体1は物品51の中に埋め込まれていてもよい。このような構造は、例えば、複数の透明樹脂基材の間に表示体1を挟み込み、これら透明樹脂基材をラミネートすることにより得ることができる。
【0268】
また、印刷基材として紙基材や不透明樹脂基材を用いた場合のように、物品51が不透明である場合には、上記の構造は、例えば、以下の方法により得ることができる。先ず、複数の紙基材又は不透明樹脂基材の間に表示体1を挟み込んで、これらを一体化する。次に、表示体1を視認可能となるように、それら基材の1以上の表示体1に対応する部分にウインドウを設ける。
【0269】
物品51の印刷層は、表示体1が表示する上記画像の元となる画像を用いて作成された印刷画像を表示するものであってもよい。この場合、この印刷画像と表示体1が表示する上記画像とは対応しているため、印刷画像及び表示体1の何れか一方が不正に交換されたか又は書き換えられたとしても、不正行為がなされたことを検知できる。一例によれば、動物又は人物等の同一の画像を、印刷画像及び表示体1が表示する元画像とする。
【0270】
次に、本発明の他の実施形態に係る表示体付き物品について説明する。
図32は、本発明の他の実施形態に係る表示体付き物品を概略的に示す平面図である。
【0271】
図32において、物品51は、一方向に延びた形状、ここでは、X方向に延びた形状を有している。物品51は、紙などの印刷基材52と、これに設けられた印刷層53とを含んでいる。印刷層53は、複数の文字を表示する印刷パターンを構成している。ここでは、文字の幅方向はX方向に対して平行である。
【0272】
表示体1は、例えば、この物品51の表面に貼り付けるか又はこの物品51内に埋め込まれることにより、物品51によって支持されている。ここでは、表示体1の中心は、物品51の中心を通り且つX方向に対して垂直な平面から離間している。
【0273】
この表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、第1又は第2実施形態に係る表示体と同様である。
図33は、図32の表示体付き物品を観察者が観察している様子を示す概略図である。
【0274】
図32に示す表示体付き物品5が含んでいる表示体1では、図33に示すように、表示体1の中心から延び且つ第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分CLが、物品51の中心を通り且つX方向に対して垂直な平面に向けて傾いている。この構成は、サブ画素に以下の構造を採用することにより達成できる。
【0275】
図34は、図32の表示体付き物品が含んでいる表示体において、第1サブ画素などに採用可能な構造の一例を拡大して示す概略平面図である。図35は、図32の表示体付き物品が含んでいる表示体において、第2サブ画素に採用可能な構造の一例を拡大して示す概略平面図である。図36は、図32の表示体付き物品が含んでいる表示体において、第3サブ画素に採用可能な構造の一例を拡大して示す概略平面図である。
【0276】
図32に示す表示体付き物品5が含んでいる表示体1では、第1サブ画素SPX1又はサブ画素SPX1a及びSPX1bのうち、第1回折光を射出するものは、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、β乃至β(β<β、0°<β+β)の範囲内にある。また、第2サブ画素SPX2のうち第2回折光を射出するものは、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、β乃至β(β<β)の範囲内にある。そして、第3サブ画素SPX3のうち第3回折光を射出するものは、回折格子DGの稜又は溝PRの長さ方向がX方向に対して成す角度が、β乃至β(β<β)の範囲内にある。
【0277】
図32に示す物品51は、X方向が観察者の両眼を結ぶ線に対して平行になるように観察した場合に、画像が正しく表示されるように設計されている。物品51がそのように設計されている場合、観察者は、通常、両眼の中間点を通り且つ両眼を結ぶ線に対して垂直な平面上に物品の中心が位置するように、表示体付き物品5を観察する。
【0278】
但し、この表示体付き物品5では、表示体1の中心は、物品51の中心を通り且つX方向に対して垂直な平面から離間している。そのため、上記の配置で表示体付き物品5を観察した場合、表示体1の中心は、両眼の中間点を通り且つ両眼を結ぶ線に対して垂直な平面から離れて位置することになる。それ故、第1又は第2実施形態において説明した構成を表示体1に採用した場合、即ち、表示体1の中心から延び且つ第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分がZ方向に平行である構成を採用した場合、表示体1が表示する連続変化画像を観察するためには、例えば、表示体付き物品5を、表示体1の中心が、両眼の中間点を通り且つ両眼を結ぶ線に対して垂直な平面に位置するように移動させるなどの追加の動作が必要になる。
【0279】
これに対し、図32乃至図36を参照しながら説明した表示体付き物品5では、図33に示すように、第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分CLを上記のように傾けている。それ故、観察者OBは、例えば、物品51を観察するための通常の観察条件で、表示体1が表示する最も明るい画像を知覚することができる。従って、上記の構成を採用した表示体付き物品5は、表示体1が表示する画像の視認が容易である。
以下に、当初の請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出し、
前記複数の第2サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第2回折光を、前記第1角度範囲よりも広角の第2角度範囲内で及び前記第1回折光よりも低い強度で射出し、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折光によって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
[2]
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値よりも小さい項1に記載の表示体。
[3]
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第3回折光を、前記第1角度範囲を間に挟んで前記第2角度範囲と隣り合った第3角度範囲内で及び前記第1回折光よりも低い強度で射出し、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折光によって連続変化画像を表示するように構成された項1に記載の表示体。
[4]
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折光の射出角が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値、及び、前記2以上の第3サブ画素が射出する前記第3回折光の射出角の差の最小値の各々よりも小さい項3に記載の表示体。
[5]
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、法線方向から照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、第1回折光を第1角度範囲内で射出し、
前記複数の第2サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第2回折光を、前記第1角度範囲よりも広角の第2角度範囲内で射出し、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折光の射出角が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折光の射出角が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第2サブ画素が射出する前記第2回折光の射出角の差の最小値よりも小さい表示体。
[6]
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、前記法線方向から前記照明光で照明した場合に、回折光を射出しないか、又は、前記第1回折光と波長が等しい第3回折光を、前記第1角度範囲を間に挟んで前記第2角度範囲と隣り合った第3角度範囲内で射出し、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折光の射出角が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、
前記2以上の第1サブ画素が射出する前記第1回折光の射出角の差の最小値は、前記2以上の第3サブ画素が射出する前記第3回折光の射出角の差の最小値よりも小さい項5に記載の表示体。
[7]
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲内にある稜又は溝からなる第1回折格子を含み、
前記複数の第2サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲とは異なる第2範囲内にある稜又は溝からなる第2回折格子を含み、前記第1サブ画素の各々と比較して面積がより小さく、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
[8]
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1及び第2範囲とは異なる第3範囲内にある稜又は溝からなる第3回折格子を含み、前記第1サブ画素の各々と比較して面積がより小さく、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成された項7に記載の表示体。
[9]
複数の第1サブ画素と複数の第2サブ画素とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第1サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲内にある稜又は溝からなる第1回折格子を含み、
前記複数の第2サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1範囲とは異なる第2範囲内にある稜又は溝からなる第2回折格子を含み、
前記複数の画素は、前記第1及び第2回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第1サブ画素は、前記第1回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第1サブ画素を含み、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第2サブ画素は、前記第2回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第2サブ画素を含み、
前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は、前記第2回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と比較してより小さい表示体。
[10]
前記複数の画素の各々は複数の第3サブ画素を更に含み、
前記複数の画素の各々において、
前記複数の第3サブ画素の各々は、回折格子を含んでいないか、又は、幅方向に配列し且つ長さ方向が第1及び第2範囲とは異なる第3範囲内にある稜又は溝からなる第3回折格子を含み、
前記複数の画素は、前記第1乃至第3回折格子が射出する回折光によって連続変化画像を表示するように構成され、
前記複数の画素が含んでいる前記複数の前記第3サブ画素は、前記第3回折格子の前記稜又は溝の長さ方向が互いに異なる2以上の第3サブ画素を含み、
前記第1回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値は、前記第3回折格子間における前記稜又は溝の長さ方向の相違の最小値と比較してより小さい項9に記載の表示体。
[11]
前記複数の第1サブ画素の各々の第1面積S1は、前記複数の第2サブ画素の各々の第2面積S2よりも大きい項1、2、5及び9の何れか1項に記載の表示体。
[12]
前記第1面積S1と前記第2面積S2との比S1/S2は1.2以上である項11に記載の表示体。
[13]
前記複数の第1サブ画素の各々の第1面積S1は、前記複数の第2サブ画素の各々の第2面積S2及び前記複数の第3サブ画素の各々の第3面積S3の各々よりも大きい項3、4、6及び10の何れか1項に記載の表示体。
[14]
前記第1面積S1と前記第2面積S2との比S1/S2及び前記第1面積S1と前記第3面積S3との比S1/S3の各々は1.2以上である項13に記載の表示体。
[15]
前記連続変化画像としてフルカラー画像を表示するように構成された項1乃至14の何れか1項に記載の表示体。
[16]
表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、
前記表面を被覆した反射層と
を具備し、前記レリーフ構造は、前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面又は前記反射層の表面に回折格子を形成した項1乃至15の何れか1項に係る表示体。
[17]
前記反射層は可視光透過性を有する項16に記載の表示体。
[18]
項1乃至17の何れか1項に記載の表示体を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体とを具備した転写箔。
[19]
項1乃至17の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体の一方の主面に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベル。
[20]
項1乃至17の何れか1項に記載の表示体と、これを支持した物品とを備えた表示体付き物品。
[21]
前記物品は一方向に延びた形状を有し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記物品の長さ方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている項20に記載の表示体付き物品。
[22]
前記物品は印刷パターンを含み、前記印刷パターンは文字を表示し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記文字の幅方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記第1サブ画素から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている項20に記載の表示体付き物品。
[23]
広範囲表示用の領域と狭範囲表示用の領域とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記広範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ幅方向に配列した第1稜又は溝からなる広範囲表示用の回折格子を含み、
前記狭範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ前記幅方向に配列した第2稜又は溝からなる狭範囲表示用の回折格子を含み、
前記第1稜又は溝が形成する円弧は、第1中心角を有する第1円弧又はその一部であり、前記第2稜又は溝が形成する円弧は、前記第1中心角よりも小さな第2中心角を有する第2円弧又はその一部であり、
前記複数の画素は、前記広範囲表示用の回折格子が射出する回折光と前記狭範囲表示用の回折格子が射出する回折光とによって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
[24]
広範囲表示用の領域と狭範囲表示用の領域とを各々が含んだ複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々において、
前記広範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ幅方向に配列した第1稜又は溝からなる広範囲表示用の回折格子を含み、
前記狭範囲表示用の領域は、回折格子を含んでいないか、又は、円弧状に湾曲し且つ前記幅方向に配列した第2稜又は溝からなる狭範囲表示用の回折格子を含み、
前記広範囲表示用の領域と前記狭範囲表示用の領域とは、前記幅方向に垂直な方向の寸法が等しく、
前記第2稜又は溝が形成する円弧の曲率は、前記第1稜又は溝が形成する円弧の曲率と比較してより小さく、
前記複数の画素は、前記広範囲表示用の回折格子が射出する回折光と前記狭範囲表示用の回折格子が射出する回折光とによって連続変化画像を表示するように構成された表示体。
[25]
前記広範囲表示用の領域及び前記狭範囲表示用の領域の各々は、前記幅方向と直交する方向に配列した複数のサブ画素を含んだ項23又は24に記載の表示体。
[26]
前記連続変化画像としてフルカラー画像を表示するように構成された項23乃至25の何れか1項に記載の表示体。
[27]
前記複数の画素の各々は、前記広範囲表示用の領域として第1乃至第3サブ領域を含むとともに、前記狭範囲表示用の領域として第4乃至第6サブ領域を含み、前記第1及び第4サブ領域は第1色を表示するための領域であり、前記第2及び第5サブ領域は前記第1色とは異なる第2色を表示するための領域であり、前記第3及び第6サブ領域は前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示するための領域である項23乃至26の何れか1項に記載の表示体。
[28]
前記複数の画素の各々において、
前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、
前記第1乃至第3サブ領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、
前記第4乃至第6サブ領域は、前記第2方向に配列し、
前記第1乃至第3サブ領域が形成する列と、前記第4乃至第6サブ領域が形成する列とは、前記第2方向に配列し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域との間には、前記第2、第3、第5及び第6サブ領域のうちの2つが介在し、
前記第2サブ領域と前記第5サブ領域の間には、前記第1、第3、第4及び第6サブ領域のうちの2つが介在し、
前記第3サブ領域と前記第6サブ領域との間には、前記第1、第2、第4及び第5サブ領域うちの2つが介在している項27に記載の表示体。
[29]
前記複数の画素の各々において、
前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とは、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、
前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とは、前記第2方向に配列し、
前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とは、前記第2方向に配列し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とが形成する列と、前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とが形成する列と、前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とが形成する列とは、前記第2方向に配列している項27に記載の表示体。
[30]
前記複数の画素の各々において、
前記第1乃至第6サブ領域は、前記第1稜又は溝の配列方向及び前記第2稜又は溝の配列方向と交差する第1方向に延びた形状を各々が有し、
前記第1乃至第3サブ領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列し、
前記第4乃至第6サブ領域は、前記第2方向に配列し、
前記第1乃至第3サブ領域が形成する列と、前記第4乃至第6サブ領域が形成する列とは、前記第1方向に配列し、
前記第1サブ領域と前記第4サブ領域とは前記第1方向に隣り合い、
前記第2サブ領域と前記第5サブ領域とは前記第1方向に隣り合い、
前記第3サブ領域と前記第6サブ領域とは前記第1方向に隣り合っている項27に記載の表示体。
[31]
表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、
前記表面を被覆した反射層と
を具備し、前記レリーフ構造は、前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面又は前記反射層の表面に、前記広範囲表示用の回折格子と前記狭範囲表示用の回折格子とを形成した項23乃至30の何れか1項に係る表示体。
[32]
前記反射層は可視光透過性を有する項31に記載の表示体。
[33]
項23乃至32の何れか1項に記載の表示体を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体とを具備した転写箔。
[34]
項23乃至32の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体の一方の主面に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベル。
[35]
項23乃至32の何れか1項に記載の表示体と、これを支持した物品とを具備した表示体付き物品。
[36]
前記物品は一方向に延びた形状を有し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記物品の長さ方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記広範囲表示用の回折格子から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている項35に記載の表示体付き物品。
[37]
前記物品は印刷パターンを含み、前記印刷パターンは文字を表示し、前記表示体の中心は、前記物品の中心を通り且つ前記文字の幅方向に対して垂直な平面から離間しており、前記表示体の前記中心から延び且つ前記広範囲表示用の回折格子から射出される回折光の角度範囲を等分割する線分は、前記平面に向けて傾いている項35に記載の表示体付き物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36