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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】映像投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20231212BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20231212BHJP
   G02F 1/295 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B26/10 C
G02F1/295
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020558339
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2019044729
(87)【国際公開番号】W WO2020110757
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2018223778
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】小川 悠介
【審査官】佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-032895(JP,A)
【文献】特開2017-125905(JP,A)
【文献】特開2006-108781(JP,A)
【文献】特開2016-071260(JP,A)
【文献】特開2003-054035(JP,A)
【文献】特開2005-173562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G02B 27/02
G02F 1/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する光導波路素子と、
前記光導波路素子から出射されたレーザ光を走査する走査ミラーと、
前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を瞳孔付近で集光させて網膜に到達させるホログラム素子と、
を備えており、
前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、
前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を投影対象に到達させる映像投影装置。
【請求項2】
前記切替部へ到達するレーザ光が、複数のレーザ光が合波されたレーザ光である、請求項1に記載の映像投影装置。
【請求項3】
前記光導波路素子から出射されたレーザ光が平行光に変換されて前記走査ミラーへ到達するように構成されている、請求項1又は2に記載の映像投影装置。
【請求項4】
前記映像投影装置は、前記切替部と前記走査ミラーとの間の光路上に、前記光導波路素子から出射されたレーザ光を平行光に変換するレンズが設けられている、請求項3に記載の映像投影装置。
【請求項5】
前記映像投影装置は、前記走査ミラーと前記瞳孔との間の光路上にレンズをさらに有している、請求項1~4のいずれか一項に記載の映像投影装置。
【請求項6】
レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する光導波路素子と、
前記光導波路素子から出射されたレーザ光を走査する走査ミラーと、
を備えており、
前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、
前記切替部へ到達するレーザ光が、複数のレーザ光が合波されたレーザ光であり、
前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を、投影光学系を介さずに又は投影光学系を介して投影面に到達させるものである、
映像投影装置。
【請求項7】
記切替部が、少なくとも一つの光スイッチを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の映像投影装置。
【請求項8】
記切替部が、少なくとも一つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の映像投影装置。
【請求項9】
前記複数の出射口のうちの少なくとも一つの出射口から出射したレーザ光の走査線が、他の出射口から出射したレーザ光の走査線とずれている、請求項1~8のいずれか一項に記載の映像投影装置。
【請求項10】
一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に、他の出射口から出射したレーザ光の走査線が配置されるように、前記複数の出射口が配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の映像投影装置。
【請求項11】
前記一つの出射口及び前記他の出射口が、これら出射口を結ぶ線が前記走査ミラーの掃引方向に対して垂直となるように配置されている、請求項10に記載の映像投影装置。
【請求項12】
一つの出射口から出射したレーザ光の走査範囲と他の出射口から出射したレーザ光の走査範囲とがずれるように、前記複数の出射口が配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の映像投影装置。
【請求項13】
前記レーザ光が出射される出射口が所定数のフレーム毎に切り替えられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の映像投影装置。
【請求項14】
前記光導波路素子と前記走査ミラーとの間の光路上に、前記出射されたレーザ光をコリメートするコリメータレンズが配置されている、請求項1又は2に記載の映像投影装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、映像投影装置に関する。より詳細には、本技術は、走査ミラーを含む映像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外界の光景に画像を重ねて表示する技術に注目が集まっている。当該技術は、拡張現実(AR)技術とも呼ばれる。ARをユーザに提供する装置の例として、走査ミラーを含む網膜走査型の映像投影装置が挙げられる。当該装置は、例えば、レーザ光源と、レーザ光を走査する走査ミラーと、当該走査ミラーにより走査された光を瞳孔付近で集光するホログラムとの組合せを含みうる。
【0003】
走査ミラーは、網膜走査型でない映像投影装置においても用いられている。例えば下記特許文献1には、レーザビームを発生する複数の光源からなる光源ユニットと、前記光源ユニットの複数の光源より発生された複数のレーザビームを反射し、走査しながらスクリーン上に投影する1つの走査部とを含み、前記複数の光源は、それぞれで発生する前記レーザビームをスクリーン上で異なる走査光路となるようにずれた状態で設けられていて、それぞれずれたレーザビームは異なる画像信号で変調されている投影装置が開示されている(請求項1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/203991号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走査ミラーを含む映像投影装置を高解像度化及び/又は高画角化することができれば、より良い映像をユーザに提示することができる。当該映像投影装置の解像度を上げるためには例えば走査ミラーの共振周波数を上げることが考えられるが、これは走査ミラーの信頼性を低下させうる。また、当該映像投影装置の画角を広げるためには走査ミラーの振り角を大きくすることも考えられるが、これも走査ミラーの信頼性を低下させうる。このように、当該映像投影装置の解像度及び画角は、走査ミラーの信頼性とトレードオフの関係にある。そのため、当該映像投影装置の解像度及び/又は画角の向上は、走査ミラーの性能によってその限界が定められる。
【0006】
本技術は、走査ミラーを含む映像投影装置の解像度及び/又は画角を向上させるための新たな技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する光導波路素子と、前記光導波路素子から出射されたレーザ光を走査する走査ミラーと、を備えており、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を投影対象に到達させる映像投影装置を提供する。
前記光導波路素子は、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有しうる。
前記光導波路素子は、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、当該切替部が、少なくとも一つの光スイッチを含んでもよい。
前記光導波路素子は、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、当該切替部が、少なくとも一つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチを含んでもよい。
本技術において、前記複数の出射口のうちの少なくとも一つの出射口から出射したレーザ光の走査線が、他の出射口から出射したレーザ光の走査線とずれていてよい。
本技術の好ましい一つの実施態様に従い、一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に、他の出射口から出射したレーザ光の走査線が配置されるように、前記複数の出射口が配置されていてよい。
本技術の好ましい一つの実施態様に従い、前記一つの出射口及び前記他の出射口が、これら出射口を結ぶ線が前記走査ミラーの掃引方向に対して垂直となるように配置されていてよい。
本技術の好ましい他の実施態様に従い、一つの出射口から出射したレーザ光の走査範囲と他の出射口から出射したレーザ光の走査範囲とがずれるように、前記複数の出射口が配置されていてよい。
本技術において、前記レーザ光が出射される出射口が、所定数のフレーム毎に切り替えられうる。
本技術において、前記光導波路素子と前記走査ミラーとの間の光路上に、前記出射されたレーザ光をコリメートするコリメータレンズが配置されていてよい。
本技術の一つの実施態様に従い、前記映像投影装置は、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を瞳孔付近で集光させて網膜に到達させるホログラム素子をさらに備えていてよい。
本技術の他の実施態様に従い、前記映像投影装置は、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を、投影光学系を介さずに又は投影光学系を介して投影面に到達させるものであってよい。
また、本技術は、レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する光導波路素子と、前記光導波路素子から出射されたレーザ光を走査する走査ミラーと、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を瞳孔付近で集光させて網膜に到達させるホログラム素子と、を備えており、前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を投影対象に到達させる映像投影装置も提供する。
前記切替部へ到達するレーザ光が、複数のレーザ光が合波されたレーザ光であってよい。
前記映像投影装置は、前記光導波路素子から出射されたレーザ光が平行光に変換されて前記走査ミラーへ到達するように構成されてよい。
前記映像投影装置は、前記切替部と前記走査ミラーとの間の光路上に、前記光導波路素子から出射されたレーザ光を平行光に変換するレンズが設けられていてよい。
前記映像投影装置は、前記走査ミラーと前記瞳孔との間の光路上にレンズをさらに有してよい。
また、本技術は、レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する光導波路素子と、
前記光導波路素子から出射されたレーザ光を走査する走査ミラーと、
を備えており、
前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、
前記切替部へ到達するレーザ光が、複数のレーザ光が合波されたレーザ光であり、
前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を、投影光学系を介さずに又は投影光学系を介して投影面に到達させるものである、
映像投影装置も提供する。
前記切替部が、少なくとも一つの光スイッチを含んでよい。
前記切替部が、少なくとも一つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチを含んでよい。
前記複数の出射口のうちの少なくとも一つの出射口から出射したレーザ光の走査線が、他の出射口から出射したレーザ光の走査線とずれていてよい。
一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に、他の出射口から出射したレーザ光の走査線が配置されるように、前記複数の出射口が配置されていてよい。
前記一つの出射口及び前記他の出射口が、これら出射口を結ぶ線が前記走査ミラーの掃引方向に対して垂直となるように配置されていてよい。
一つの出射口から出射したレーザ光の走査範囲と他の出射口から出射したレーザ光の走査範囲とがずれるように、前記複数の出射口が配置されていてよい。
前記レーザ光が出射される出射口が所定数のフレーム毎に切り替えられてよい。
前記光導波路素子と前記走査ミラーとの間の光路上に、前記出射されたレーザ光をコリメートするコリメータレンズが配置されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本技術に従う映像投影装置の構成例の模式図である。
図1B】本技術に従う映像投影装置の制御を説明するためのブロック図である。
図2】本技術に従う映像投影装置により描かれる走査線の例を示す図である。
図3A】本技術に従う映像投影装置に含まれる光導波路素子の例を示す図である。
図3B】本技術に従う映像投影装置に含まれる光導波路素子の例を示す図である。
図4】光導波路素子に含まれる切替部を説明するための図である。
図5】光導波路素子と走査ミラーとの間の光路上に設けられるコリメータレンズを説明するための図である。
図6A】レーザ光源及び光導波路素子の構成例を示す図である。
図6B】レーザ光源及び光導波路素子の構成例を示す図である。
図6C】レーザ光源及び光導波路素子の構成例を示す図である。
図7】本技術に従う映像投影装置の構成例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、本技術の範囲がこれらの実施形態に限定されることはない。なお、本技術の説明は以下の順序で行う。
1.本技術の実施形態(映像投影装置)
(1)本技術の実施形態の説明
(2)本技術の実施形態の第1の例(映像投影装置の例)
(3)本技術の実施形態の第2の例(出射口の配置の例及び走査線の例)
(4)本技術の実施形態の第3の例(映像投影装置の例)
【0010】
1.本技術の実施形態(映像投影装置)
【0011】
(1)本技術の実施形態の説明
【0012】
網膜走査型の映像投影装置(例えばアイウェア型装置)を構成するために、例えばレーザ光源と、レーザ光を走査する走査ミラーと、走査した光を瞳に集光するホログラムとの組み合わせが考えられる。ホログラムを用いることによって、AR表現において外部の現実世界が歪なく見られ、且つ、外見も通常の眼鏡と変わらず自然である。
当該組み合わせを採用する当該映像投影装置の解像度及び画角は走査ミラーの性能で限界が定められている。すなわち、解像度を上げるためには、走査ミラーの共振周波数を上げることが考えられる。また、画角を拡大するためには走査ミラーの振り角を大きくすることが考えられる。
しかしながら、共振周波数を上げること及び振り角を大きくすることは、走査ミラーの信頼性とトレードオフの関係にある。そのため、信頼性を確保するためには、共振周波数及び振り角の増大は制限される。
例えば上記特許文献1は、走査ミラーの性能を超えて高解像度化又は高画角化をするために、複数のレーザ光源から出射されたレーザ光を重なり合わないように投影することを開示する。しかし、上記特許文献1に開示された技術を前記網膜走査型の映像投影装置に適用するためには、2つの課題がある。一つ目の課題は、複数のレーザ光源を高精度(例えば<1μmの精度)且つ狭ピッチ(例えば数μm程度の間隔)に実装することに関するものである。例えば、複数のレーザ光源を高精度に実装することは、技術的に困難を伴いうる。また、1つのレーザ光源は通常は数十μm程度の幅を有するので、狭ピッチに実装することは困難でありうる。もう一つの課題は、ホログラムの回折角度の角度依存性に関するものである。例えば、複数のレーザ光源を用いる場合、個々のレーザ光源の波長ばらつきがホログラムの回折角度のばらつきを発生させてしまい、狙いの位置に複数の光を投影するのが困難となりうる。
【0013】
本技術に従う映像投影装置は、レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する光導波路素子と、前記光導波路素子から出射されたレーザ光を走査する走査ミラーとを備えており、且つ、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を投影対象に到達させるものである。すなわち、前記映像投影装置に含まれる前記光導波路素子が複数の出射口を有し、且つ、前記走査ミラーが当該複数の出射口から出射されたレーザ光を走査してレーザ光を投影対象に到達させる。
【0014】
本技術によって、前記複数の出射口のうちの1つの出射口から出射されたレーザ光の走査線の位置と、他の出射口から出射されたレーザ光の走査線の位置とをずらすことができる。これにより、例えば一方の走査線の間に他方の走査線を配置することで、投影される映像の解像度を向上することができる。また、一方の走査線の走査領域と他方の走査線の走査領域とをずらすことで、投影される映像の画角を向上することができる。このように、本技術の映像投影装置によって、走査ミラーの性能により定められる解像度及び画角の限界を超えて、解像度を向上させ及び/又は画角を拡大させることができる。
また、光導波路素子に設けられる複数の出射口の配置は高精度に制御することができる。本技術において、1つの光導波路素子の1つの面に、複数の出射口が設けられうる。当該複数の出射口の位置は固定されている。当該位置は、高精度に制御されうる。そのため、本技術の映像投影装置は、複数の発光点(出射口)を高精度に実装することができる。これにより、走査ミラーにより描かれる走査線の位置も高精度に制御することもでき、これはより適切な解像度向上及び/又は画角拡大をもたらしうる。
また、光導波路素子に設けられる複数の出射口は狭いピッチで配置することができる。そのため、本技術の映像投影装置は、複数の発光点を狭ピッチで実装することができる。これは、映像投影装置の高解像度化をもたらす。
また、本技術を映像投影装置に適用することで、光源の実装精度又はホログラムの波長依存性に影響されることなく、高精度にマルチビームの映像を投影することが可能となる。その結果、走査ミラーの性能限界を超えて、高解像度化及び/又は高画角化を実現することができる。
また、本技術の映像投影装置は、例えば1つのレーザ光源からマルチビームを生成するので、レーザ光源の数を減らすことができ、レーザ光源の数は例えば1つであってよい。そのため、本技術の映像投影装置は、環境温度の変化による光源シフト又は波長シフトの影響に対してもロバストである。
【0015】
前記光導波路素子は、レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する。前記光導波路素子は、当該少なくとも一つの入射口へ入射したレーザ光は、当該複数の出射口のいずれかから出射されるように構成されうる。当該入射したレーザ光が、当該複数の出射口のいずれかから出射されるので、互いに位置がずれている複数の走査線を描くことができる。
【0016】
前記複数の出射口の数は、必要とされるレーザ光の走査線の数に応じて選択されてよい。例えば、前記複数の出射口の数は2~10であり、好ましくは2~8であり、より好ましくは2~6であり、特に好ましくは2~4である。
また、本技術において前記複数の出射口の間隔(例えば複数の出射口のうちの、解像度向上又は画角拡大のために用いられているいずれか2つの出射口の間隔)は、例えば0.1μm~15μmであり、好ましくは0.3μm~10μmであり、より好ましくは0.5μm~10μmであり、さらにより好ましくは1μm~10μm未満である。本技術において、光導波路素子に設けられた複数の出射口が、このような狭いピッチでの複数の発光点として利用されうる。これにより、狭ピッチでのマルチビームの出射が可能となり、高解像度化及び/又は高画角化がもたらされる。
【0017】
前記少なくとも一つの入射口の数は、例えば前記光導波路素子に入射されるレーザ光を形成するレーザ光源の数に応じて選択されてよい。前記少なくとも一つの入射口の数は、例えば1~10であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~6であり、特に好ましくは1~4であり、特に好ましくは1、2、又は3であってよい。
本技術の映像投影装置に含まれるレーザ光源の数は、例えば1~10であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~6であり、特に好ましくは1~4であり、特に好ましくは1、2、又は3であってよい。本技術の映像投影装置は、光導波路素子によって複数の異なる位置に発光点としての出射口が設けられるので、レーザ光源の数は1つであってよい。
【0018】
本技術の映像投影装置は、前記複数の出射口のうちの少なくとも一つの出射口から出射したレーザ光の走査線が、他の出射口から出射したレーザ光の走査線とずれているように構成されてよい。これにより、例えば前記映像投影装置により投影される映像の解像度を向上させることができ、又は、当該映像の画角を拡大させることができる。
【0019】
好ましくは、前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有する。当該切替部によって、例えば出射口が切り替えられるタイミングを制御することができる。これにより、より適切な解像度向上及び/又は画角拡大が可能となる。
本技術の映像投影装置において、当該切替部を介して、前記少なくとも一つの入射光と前記複数の出射口とが接続されていてよい。
【0020】
前記切替部は、例えば少なくとも一つの光スイッチを含み、例えば少なくとも一つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチを含みうる。前記切替部に含まれる光スイッチの数は、例えば前記少なくとも一つの入射口及び前記複数の出射口並びに光導波路素子内の導波路の構成に基づき、設定されてよい。
例えば、前記光導波路素子が、1つの入射口及び2つの出射口を有する場合は、前記光導波路素子は1つの光スイッチを含みうる。当該1つの光スイッチが、当該2つの出射口のうちいずれかからレーザ光が出射されるかを制御しうる。また、前記光導波路素子が、1つの入射口及び3つ又は4つの出射口を有する場合は、前記光導波路素子はそれぞれ2つ又は3つの光スイッチを含みうる。同様に、当該2つ又は3つの光スイッチが、当該3つ又は4つの出射口のうちいずれかからレーザ光が出射されるかを制御しうる。
前記切替部は、例えば1~9、好ましくは1~7、より好ましくは1~5、特に好ましくは1~3の光スイッチを含みうる。
各光スイッチには、例えば1つの入力光導波路と2つの分岐導波路とが接続されていてよい。各光スイッチは、1つの入力光導波路から進んできたレーザ光を、2つの分岐導波路のいずれかへ進行させるうる。
【0021】
本技術の好ましい一つの実施態様に従い、一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に、他の出射口から出射したレーザ光の走査線が配置されるように、前記複数の出射口が配置されていてよい。この実施態様によって、映像の解像度を向上させることができる。
この実施態様において、好ましくは、前記一つの出射口及び前記他の出射口が、これら出射口を結ぶ線が前記走査ミラーの掃引方向に対して垂直となるように配置されている。これにより、一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に他の出射口から出射したレーザ光の走査線を配置することが容易になる。
例えば光導波路素子が2つの出射口を有する場合、一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間の略中央に、他方の出射口から出射したレーザ光の走査線が配置されるように、当該2つの出射口が配置されうる。この場合、出射口の切り替えは、所定数のフレーム毎に行われてよく、例えば1フレーム毎に行われうる。
また、光導波路素子が3つの出射口を有する場合、一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に、当該走査線の間を、他の2つの出射口から出射したレーザ光の走査線が三等分するように、当該3つの出射口が配置されうる。この場合においても、出射口の切り替えは、所定数のフレーム毎に行われてよく、例えば1フレーム毎に行われうる。より具体的には、或るフレームについては第一の出射口からレーザ光が出射され、次のフレームについては第二の出射口からレーザ光が出射され、さらにその次のフレームでは第三の出射口からレーザ光が出射され、そして、この3つの出射がこの順で繰り返されうる。
以上のとおり、本技術において、前記レーザ光が出射される出射口が所定数のフレーム毎に切り替えられてよい。
【0022】
前記走査ミラーにより走査されたレーザ光が到達する投影対象は、例えば動物(特にはヒト)の網膜であってよく、又は、網膜以外の任意の投影面であってよい。前記投影対象が網膜である場合、当該網膜への投影のために、例えばホログラム素子が用いられうる。前記投影対象が任意の投影面である場合、当該投影面は、例えば壁、机、及びスクリーンなどを包含するがこれらに限定されない。この場合、当該映像投影装置は、当該投影面に表示された映像をユーザが認識する態様で使用される。
【0023】
本技術の一つの実施態様に従い、前記映像投影装置は、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を瞳孔付近で集光させて網膜に到達させるホログラム素子をさらに備えていてよい。レーザ光が瞳孔付近で集光されることによって、いわゆるマックスウェル視による映像提示が可能となる。
本技術において、前記走査されたレーザ光は、例えば瞳孔上で集光されてもよく又は光軸方向に瞳孔から数mm~十数mm程度(例えば1mm~20mm、特には2mm~15mm)ずれてもよい。後者のとおり焦点が瞳孔上になくても、マックスウェル視を実現することができる。焦点を光軸方向にずらすことで、映像がずれても、ユーザが映像を失いにくくすることができる。前記回折された光は、より具体的には、瞳孔上、水晶体レンズ内、又は、角膜表面と瞳孔との間において集光されうる。
【0024】
本技術の他の実施態様に従い、前記映像投影装置は、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を、投影光学系を介さずに又は投影光学系を介して投影面に到達させるものであってよい。すなわち、前記映像投影装置は、任意の投影面に対して映像を投影するプロジェクタとして構成されてもよい。当該プロジェクタは、例えば小型のプロジェクタ(ピコプロジェクタとも呼ばれる)として構成されてよい。
【0025】
(2)本技術の実施形態の第1の例(映像投影装置の例)
【0026】
本技術の一つの実施態様に従い、前記映像投影装置は、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を瞳孔付近で集光させて網膜に到達させるホログラム素子をさらに備えていてよい。当該ホログラム素子によって、網膜直描型の映像投影が可能となる。当該網膜直描型の映像投影は、マックスウェル視による映像投影とも呼ばれる。
以下で、この実施態様に従う映像投影装置の例を、図1A及び図1Bを参照しながら説明する。
【0027】
図1Aは、本技術に従う映像投影装置100の構成例を示す。映像投影装置100は、レーザ光源101、光導波路素子102、コリメータレンズ103、走査ミラー104、リレーレンズ105、及びホログラム素子106を備えられている。
図1Bは、映像投影装置100の各構成要素を駆動及び制御するための構成要素のブロック図の一例である。映像投影装置100は、さらに制御部130、レーザドライバ131、光スイッチドライバ132、及びミラードライバ133を備えられている。
【0028】
レーザ光源101は、レーザ光を光導波路素子102に向けて出力する。当該レーザ光は、例えば赤、緑、及び青のレーザ光からなる1本の光束として出力されてよい。当該光束を構成するレーザ光の色は、所望の映像に応じて当業者により適宜選択されてよく、上記3色に限定されず、例えば上記3色のうちの2色又は1色であってもよい。
レーザ光源101は、図1Bに示されるレーザドライバ131により駆動されうる。レーザドライバ131は、例えば外部から入力される映像信号に基づき、レーザ光源101の出力を変調しうる。
レーザ光源101から出射したレーザ光は、光導波路素子102の入射口111から、光導波路素子102へ入射する。
【0029】
光導波路素子102は、レーザ光が入射する1つの入射口111と、当該レーザ光が出射される2つの出射口113-1及び113-2とを有する。このように、本技術の映像投影装置は、入射口から入射したレーザ光が出射される複数の出射口を有する光導波路素子を含む。レーザ光が出射される複数の出射口によって、走査される位置が互いに異なる複数の走査線を、後述する走査ミラー104により描くことが可能となる。当該複数の走査線が描かれることによって、映像を高解像度化し及び/又は高画角化することができる。
【0030】
2つの出射口113-1及び113-2は、例えば光導波路素子102の異なる位置に設けられていてよい。例えば、2つの出射口113-1及び113-2は、光導波路素子102の一つの外側面に並んで設けられてよい。
2つの出射口113-1及び113-2の配置の仕方は、目的に応じて適宜選択されてよい。当該配置の仕方については、以下「(3)本技術の実施形態の第2の例(出射口の配置の例及び走査線の例)」において説明する。
【0031】
光導波路素子102は、入力光導波路121と、切替部112と、出力光導波路125-1及び125-2とを備えている。また、光導波路素子102は、当技術分野で市販されているものであってよく、又は、当技術分野で既知の製法により製造されてもよい。光導波路素子102は、例えば石英平面型光導波路素子であってよい。
【0032】
入力光導波路121は、入射口111から入射したレーザ光を切替部112へと導くように構成されている。
【0033】
切替部112は、入射口111から入射したレーザ光が出射される出射口を切り替える。切替部112は例えば、前記レーザ光が出射される出射口を、出射口113-1から出射口113-2へと切り替え、又は、出射口113-2から出射口113-1へと切り替える。切替部112は、前記レーザ光の出力先を切り替えて、当該レーザ光を出射口113-1及び113-2のいずれかから出射させる。レーザ光が出射される出射口をこのように切り替えることによって、上記複数の走査線を描くことが可能になる。
【0034】
切替部112は、1つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチを含む。当該光スイッチは、図1Aに示されるとおり、例えば方向性結合器122及び124、並びに、これら2つの方向性結合器を連結する2つのアーム導波路123-1及び123-2を含みうる。当該光スイッチは、アーム導波路123-1及び123-2の間の位相差に応じて、レーザ光が導かれる出力光導波路を、出力光導波路(分岐導波路ともいう)125-1及び125-2のいずれかへ切り替えることができる。
【0035】
当該光スイッチのより具体的な構成例を、図4を参照して説明する。図4には、図1Aと同じく切替部112が示されており、切替部112は、方向性結合器122及び124、並びに、これら2つの方向性結合器を連結する2つのアーム導波路123-1及び123-2を含む。アーム導波路123-2は、位相制御部126によって、位相が制御されうる。位相制御部126は例えばヒータ、特には薄膜ヒータでありうる。ヒータによりアーム導波路123-2を加熱することによって、アーム導波路123-1とアーム導波路123-2との間の位相差を制御することができる。
入力光導波路121へ入射したレーザ光は、方向性結合器122によって光量が1:1に分離され、分離された光はそれぞれアーム導波路123-1及び123-2に進行する。当該分離された光は、方向性結合器124で合波される。位相制御部126によって前記分離された光の一方の位相を変化させることによって、方向性結合器124で合波された光を、出力光導波路125-1及び125-2のいずれに進行させるかを制御することができる。その結果、前記光スイッチは、2つの出射口113-1及び113-2からのレーザ光の出力/非出力を制御することができる。
位相制御部126は、例えば図1Bに示されるとおり、光スイッチドライバ132により制御されうる。光スイッチドライバ132は、例えば位相制御部126を構成するヒータのオン又はオフを切り替えうる。
このような光スイッチを含む光導波路素子として、市販入手可能なものが用いられてよく、又は、当技術分野で既知の手法により製造されたものが用いられてもよい。
【0036】
前記レーザ光が出射される出射口は、切替部112によって、所定数のフレーム毎に切り替えられうる。例えば、切替部112による出射口の切り替えは、例えば投影される映像の1フレーム毎に行われてよい。すなわち、出射口113-1からのレーザ光の出射及び出射口113-2からのレーザ光の出射が、1フレーム毎に行われる。代替的には、切替部112による出射口の切り替えは、2フレーム毎若しくはそれより多い数のフレーム毎に行われてもよい。
【0037】
コリメータレンズ103は、光導波路素子102の出射口113-1又は113-2から出射されたレーザ光を平行光に変換する。当該出射されたレーザ光は発散光でありうる。一方で、眼球107の網膜に投影される光は平行光であることが望ましい。そのため、コリメータレンズ103によって、当該レーザ光が平行光に変換されることで、より好ましい映像投影が可能となる。
【0038】
コリメータレンズ103の配置の例を、図5を参照しながら以下で説明する。コリメータレンズ103の焦点距離がfである場合、図5に示されるとおり、光導波路素子102の出射口113-1及び113-2からコリメータレンズ103の主点までの距離及びコリメータレンズ103の主点から走査ミラー104までの距離が、いずれもfであることが望ましい。すなわち、前記2つの距離がいずれもコリメータレンズ103の焦点距離と同じであることが好ましい。このように、本技術において、コリメータレンズ103は、テレセントリック配置となるように配置されうる。以上のとおりに前記2つの距離を設定することによって、光導波路素子102の出射口113-1及び113-2から出射した複数の光はコリメータレンズ103によって平行光になり、さらに、複数の光の光軸は走査ミラー104の反射面で一致する。走査ミラーの反射面は一般的に、例えばΦ1mm程度であり、非常に小さい。そのため、上記のとおりに光軸が一致することで、走査ミラー104の反射面から光が外れることを防ぐことができる。
【0039】
走査ミラー104は、光導波路素子102から出射されたレーザ光を走査する。当該走査によって、当該レーザ光から、映像(例えば2次元の映像)が形成される。走査ミラー104は、図1Bに示されているミラードライバ133によって駆動されうる。走査ミラー104の走査の周期は、外部から入力されるビデオ信号と同期していてよい。
【0040】
走査ミラー104は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーであってよい。MEMSミラーとして、市販入手可能なものが用いられてよく、又は、当技術分野で既知の手法により製造されたものが用いられてもよい。MEMSミラーは、一般的には、半導体プロセスの微細加工技術によって作製されうる。MEMSミラーは、Φ1mm程度の微小なミラーが共振することによって光を走査する。
また、走査ミラー104は、2軸方向に操作可能な走査ミラーであってよく、又は、1軸方向に走査可能な2つの走査ミラーの組み合わせであってもよい。これにより、2次元の映像を投影することができる。
【0041】
リレーレンズ105は、映像投影装置100の形状及び/又は構造によって当業者により適宜選択されてよい。リレーレンズ105によって、例えば光学系を小型化することができる。
【0042】
ホログラム素子106は、例えばホログラフィック光学素子とも呼ばれるものであり、走査ミラー104により走査されたレーザ光を瞳孔付近で集光させて網膜に到達させる。ホログラム素子106は、例えば体積ホログラム素子であってよい。例えば、ホログラム素子106は、特定の波長を有し且つ特定の入射角度を有する光を、当該光が瞳孔付近で集光するように回折しうる。ホログラム素子106は、偏光及びレンズの両方の特性を有するものであってよい。
【0043】
図1Aに示されるように、ホログラム素子106により回折された光は、眼球107のうち瞳孔付近108で集光され、そして網膜に照射される。すなわち、映像投影装置100は、いわゆるマックスウェル視で映像をユーザに提示することができる。
【0044】
映像投影装置100は、図1Bに示されるとおり、制御部130を含みうる。制御部130は、映像投影装置100に含まれる各構成要素を制御して、映像をユーザに提示させる。制御部130は、例えば上記で述べたレーザドライバ131、光スイッチドライバ132、及びミラードライバ133を制御しうる。制御部130は、例えばCPU(中央演算処理装置)及びRAMを含みうる。CPUとして任意のプロセッサが用いられてよい。RAMは、例えばキャッシュ・メモリ及びメイン・メモリを含み、CPUにより使用されるプログラムなどを一時記憶しうる。
【0045】
映像投影装置100はさらに、例えばディスク、通信装置、及びドライブなどの映像投影のために用いられる種々の構成要素を備えていてよい。当該ディスクには、例えば映像投影装置100による映像投影を実現するためのプログラムなど種々のプログラム及び種々の映像データが格納されうる。当該通信装置は、例えばネットワークから映像投影装置100を制御するためのプログラム及び/又は映像データを取得しうる。当該ドライブは、例えばmicroSDメモリカード及びSDメモリカードなどの記録媒体に記録されているプログラム及び/又は映像データを読み出して、RAMに出力しうる。
【0046】
映像投影装置100は、例えば頭部装着型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ、以下HMDともいう)として構成されてよい。当該頭部装着型ディスプレイは、例えば透過型のHMDであってよく、又は、非透過型のHMDであってもよい。
当該透過型のHMDは例えば眼鏡型のディスプレイとして構成されうる。この場合、ホログラム素子106は、外界風景からの光を透過して眼に到達させるものでありうる。当該透過型のHMDによって、外界風景に、映像投影装置100により提示される映像を重畳させることができ、例えばARをユーザに提供することができる。
当該非透過型のHMDは、例えば両目を完全に覆うものであってよい。この場合、外界風景からの光は眼に到達しない。
【0047】
(3)本技術の実施形態の第2の例(出射口の配置の例及び走査線の例)
【0048】
本技術の映像投影装置に含まれる光導波路素子は、上記のとおり複数の出射口を有する。当該複数の出射口の配置の例及び走査線の例を以下で、図1A及び図2を参照しながら説明する。
【0049】
図1Aに示される光導波路素子102の出射口113-1及び113-2の間隔は、投影されるべき映像に応じて制御されてよい。
【0050】
(3-1)解像度の向上
【0051】
解像度を向上するために、図2(a)に示されるとおり、出射口113-1から出射したレーザ光により描かれる走査線(実線)の間(好ましくは略中央)に、出射口113-2から出射したレーザ光により描かれる走査線(破線)が配置されうる。これにより、図2(a)の上下方向の解像度を2倍にすることができる。
例えば後者の走査線を前者の走査線の略中央に配置するためには、前者の走査線の走査線間隔がθ度である場合、後者の走査線が前者の走査線に対して(N+1/2)θ度だけずらされる。例えば後者の走査線を前者の走査線に対して走査線間隔の半分だけずらして上記配置を実現する場合は、Nは0である。また、例えば後者の走査線を前者の走査線に対して走査線間隔の1.5倍だけずらして上記配置を実現する場合は、Nは1である。このように、「N+1/2」は、後者の走査線を前者の走査線に対してどの程度ずらすかを表すための数である。Nは任意の整数であり、例えば0~10のいずれかであってよく、好ましくは0~5のいずれかであってよい。
図5に示されるように出射口113-1及び113-2の間隔(すなわち発光点の間隔)をdとすると、上記配置を実現するための間隔dは、コリメータレンズ103の焦点距離f、前記数「N+1/2」、及び走査線間隔θを用いて、以下の式1のとおりに表される。
式1:d =2ftan[(N+1/2)θ/2]
例えば、走査線間隔が0.03度であり且つf=5mmである場合、後者の走査線を前者の走査線に対して前者の走査線の間隔の1/2倍だけ、(1+1/2)倍だけ、又は(2+1/2)倍だけずらすためには、上記式より、間隔dはそれぞれd=1.3μm、d=3.9μm、又はd=6.5μmである。
なお、以上の説明は、前者の走査線の間隔と後者の走査線の間隔が同じであることを前提とするものである。
【0052】
以上のとおり、2つの出射口の間隔dは、光導波路素子から出射されたレーザ光をコリメートするコリメータレンズの焦点距離fと、当該2つの出射口からそれぞれ出射されたレーザ光により描かれる2つの走査線の走査線間隔θと、後者の走査線を前者の走査線に対してどの程度ずらすかを表す数「N+1/2」と、に基づき設定されてよい。
また、本技術において前記2つの出射口の間隔dは、例えば0.1μm~15μmであり、好ましくは0.3μm~10μmであり、より好ましくは0.5μm~10μmであり、さらにより好ましくは1μm~10μm未満である。本技術において、光導波路素子に設けられた複数の出射口が、このような狭いピッチでの複数の発光点として利用されうる。これにより、狭ピッチでのマルチビームの出射が可能となり、高解像度化及び/又は高画角化がもたらされる。
【0053】
また、3つの出射口によって、解像度を3倍にすることもできる。この場合は、3つの出射口が1列に配置され、第一の出射口から出射されたレーザ光の走査線(以下、「第一走査線という)の走査線間隔がθ度である場合、第二の出射口から出射されたレーザ光の走査線(以下、「第二走査線」という)は、第一走査線に対して(N+1/3)θ度だけずらされ、且つ、第三の出射口から出射されたレーザ光の走査線(以下、「第三走査線」)は、第一走査線に対して(M+2/3)θ度だけずらされうる。すなわち、第一走査線の走査線間隔が第二走査線及び第三走査線によって三等分されるように、これらの3つの走査線が配置される。例えば、(N+1/3)θ度ずらされるように3本の走査線を間隔を開けて配置した場合は、第三走査線は(2N+2/3)θ度だけずらされうる。ここで、「N+1/3」及び「M+2/3」は、上記で2つの出射口の場合について述べたものと同じく、第二走査線又は第三走査線を第一走査線に対してどの程度ずらすかを表すための数である。N及びMは任意の整数であり、同じであってよく又は異なるものであってもよい。N及びMは、例えば0~10のいずれかであってよく、好ましくは0~5のいずれかであってよい。
第一の出射口と第二の出射口との間隔d及び第二の出射口と第三の出射口との間隔dとすると、当該配置を実現するため間隔d及びdは、コリメータレンズの焦点距離f、前記数「N+1/3」、及び走査線間隔θを用いて、以下の式2のとおりに表される。
式2:d=d=ftan[(N+1/3)θ]
【0054】
以上のとおり、本技術において、一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に、他の出射口から出射したレーザ光の走査線が配置されるように、前記複数の出射口が配置されうる。複数の出射口の間隔は、光導波路素子から出射されたレーザ光をコリメートするコリメータレンズの焦点距離と、当該複数の出射口からそれぞれ出射されたレーザ光により描かれる複数の走査線の走査線間隔と、当該複数の走査線が互いにどれだけずらされるか、に基づき設定されうる。ここで、当該焦点距離及び当該走査線間隔は既定値である場合が多い。この場合、本技術に従い解像度を向上するために、前記複数の出射口の間隔は、当該複数の走査線が互いにどれだけずらされるかに基づき設定されてよい。すなわち、前記複数の出射口の間隔は、当該複数の走査線が互いにどれだけずらされるかと対応していてよい。
【0055】
(3-2)画角の拡大
【0056】
画角を拡大するために、例えば図2(b)及び(c)に示されるとおり、出射口113-1から出射したレーザ光により描かれる走査線(実線)の領域(「走査範囲」ともいう)と、出射口113-2から出射したレーザ光により描かれる走査線(破線)の領域とが、ずれるように配置されうる。図2(b)は、slow軸方向に画角を拡大する場合の走査線の配置の例である。図2(c)は、fast軸方向に画角を拡大する場合の走査線の配置の例である。このように、一方の走査線の領域を他方の走査線の領域からずらすことで、画角を拡大することができる。
画角の拡大量をΦ度とする場合、出射口113-1及び113-2の間隔(すなわち発光点の間隔)dは以下の式3により表される。
式3:d=2ftan[Φ/2]
ここで、fはコリメータレンズ103の焦点距離である。
例えば、10度画角を拡大するためには、f=5mmである場合、間隔dは約0.9mmに設定されうる。
【0057】
以上のとおり、本技術において、一つの出射口から出射したレーザ光の走査範囲と他の出射口から出射したレーザ光の走査範囲とがずれるように、前記複数の出射口が配置されうる。複数の出射口の間隔は、光導波路素子から出射されたレーザ光をコリメートするコリメータレンズの焦点距離と、画角の拡大量と、に基づき設定されうる。ここで、当該焦点距離は既定値である場合が多い。そのため、本技術に従い画角を拡大するために、前記複数の出射口の間隔は、画角の拡大量に基づき設定されてよい。すなわち、前記複数の出射口の間隔は、画角の拡大量と対応していてよい。
【0058】
(3-3)3つ以上の出射口を有する光導波路素子の例
【0059】
本技術において、光導波路素子は、3つ以上の出射口を有してもよい。当該3つ以上の出射口の全てが解像度の向上のために用いられてよく、当該3つ以上の出射口の全てが画角の向上のために用いられてよく、又は、当該3つ以上の出射口が解像度の向上及び画角拡大の両方のために用いられてもよい。
【0060】
以下で、図3A及び図3Bを参照して、3つ以上の出射口を有する光導波路素子の例を説明する。
【0061】
(3-3-1)3つの出射口を有する光導波路素子の例
【0062】
図3Aに示される光導波路素子302は、レーザ光源301から出射されたレーザ光が入射する1つの入射口311と、当該レーザ光が出射される3つの出射口313-1、313-2、及び313-3を有する。本技術において、このような3つの出射口を有する光導波路素子が用いられてよい。例えば、当該3つの出射口の全てが解像度の向上のために用いられてよく、当該3つの出射口の全てが画角の向上のために用いられてよく、又は、当該3つの出射口のうちの一部が解像度の向上のために用いられ且つ残りが画角向上のために用いられてもよい。
【0063】
3つの出射口313-1、313-2、及び313-3は、例えば光導波路素子302の異なる位置に設けられていてよい。例えば、当該3つの出射口は、光導波路素子302の一つの外側面に並んで設けられてよい。
当該3つの出射口の配置の仕方は、目的に応じて適宜選択されてよい。例えば、当該3つの出射口は、上記(3-1)において述べたとおりの間隔を空けて、配置されてよい。
【0064】
光導波路素子302は、入力光導波路321と、切替部312と、出力光導波路324-1、324-2、及び324-3を備えている。
【0065】
入力光導波路321は、入射口311から入射したレーザ光を切替部312へと導くように構成されている。
【0066】
切替部312は、入射口311から入射したレーザ光が出射される出射口を切り替える。切替部312は例えば、前記レーザ光が出射される出射口を、出射口313-1から他の出射口のいずれかへと切り替え、出射口313-2から他の出射口のいずれかへと切り替え、又は、出射口313-3から他の出射口のいずれかへと切り替える。切替部312は、前記レーザ光の出力先を切り替えて、当該レーザ光を当該3つの出射口のいずれかから出射させる。レーザ光が出射される出射口をこのように切り替えることによって、上記複数の走査線を描くことが可能になる。
【0067】
切替部312は、2つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチ322及び323を含む。光スイッチ322及び323は、図1A図1B、及び図4を参照して上記で説明したものと同じであってよい。これら2つの光スイッチ322及び323を制御することによって、レーザ光が出射される出射口を切り替えることができる。
【0068】
(3-3-2)4つの出射口を有する光導波路素子の例
【0069】
図3Bに示される光導波路素子352は、レーザ光源301から出射されたレーザ光が入射する1つの入射口361と、当該レーザ光が出射される4つの出射口363-1、363-2、363-3、及び363-4を有する。本技術において、このような4つの出射口を有する光導波路素子が用いられてもよい。例えば、当該4つの出射口の全てが解像度向上若しくは画角拡大のために用いられてよく、又は、当該4つの出射口が解像度向上及び画角拡大のために用いられてもよい。
【0070】
4つの出射口363-1、363-2、363-3、及び363-4は、例えば光導波路素子352の異なる位置に設けられていてよい。当該4つの出射口の配置の仕方は、目的に応じて適宜選択されてよい。
【0071】
例えば、図3Bに示されるとおり、当該4つの出射口は、光導波路素子352の一つの外側面に並んで設けられてよい。
当該4つの出射口全てが、上記(3-1)において述べたように、解像度の向上のために用いられてよい。例えば、当該4つの出射口のうちの1つ出射口から出射されたレーザ光により描かれる走査線の1つの走査線間隔の間に、他の3つの出射口から出射されたレーザ光により描かれる走査線の全てが配置されてよい。
又は、例えば出射口363-1及び363-2のセット並びに出射口363-3及び363-4のセットのそれぞれにより解像度の向上が行われ、且つ、当該2つのセットにより画角の拡大が行われてもよい。
【0072】
代替的には、当該4つの出射口が矩形(正方形又は長方形)の四隅を形成するように並んでいてもよい。例えば、当該4つの出射口は2つずつの2組に分けられ、当該2組のそれぞれを構成する2つの出射口が上記(3-1)において述べたとおりの間隔を空けて配置される。これにより、解像度の向上が行われる。さらに、一方の組が他方の組に対して、上記(3-2)において述べたとおりの間隔を空けて配置されてよい。例えば、図3Bに示される出射口363-3及び363-4が、それぞれ出射口363-1及び363-2に対して紙面の奥側又は手前側に配置されうる。これにより、画角の拡大が行われる。このようにして、解像度の向上及び画角の拡大が可能となる。
【0073】
光導波路素子352は、入力光導波路371と、切替部362と、出力光導波路375-1、375-2、375-3、及び375-4を備えている。
【0074】
入力光導波路371は、入射口361から入射したレーザ光を切替部362へと導くように構成されている。
【0075】
切替部362は、入射口361から入射したレーザ光が出射される出射口を切り替える。切替部362は例えば、前記レーザ光が出射される出射口を、出射口363-1から他の出射口のいずれかへと切り替え、出射口363-2から他の出射口のいずれかへと切り替え、出射口363-3から他の出射口のいずれかへと切り替え、又は出射口363-4から他の出射口のいずれかへと切り替える。切替部362は、前記レーザ光の出力先を切り替えて、当該レーザ光を当該34の出射口のいずれかから出射させる。レーザ光が出射される出射口をこのように切り替えることによって、上記複数の走査線を描くことが可能になる。
【0076】
切替部362は、3つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチ372、373、及び374を含む。当該3つの光スイッチは、図1A図1B、及び図4を参照して上記で説明したものと同じであってよい。これら3つの光スイッチを制御することによって、レーザ光が出射される出射口を切り替えることができる。
【0077】
(3-4)複数のレーザ光源を有する構成の例
【0078】
本技術に従う映像投影装置は、複数のレーザ光源を含みうる。本技術に従う映像投影装置に含まれるレーザ光源の数は、例えば2~5であり、好ましくは2~4であり、特には2~4であってよい。複数のレーザ光源を含む映像投影装置のうちのレーザ光源及び光導波路素子の部分の構成例を、以下で図6A図6B、及び図6Cを参照して説明する。
【0079】
(3-4-1)複数のレーザ光が合波されて入射光に入射する構成の例
【0080】
図6Aは、3つのレーザ光源601-1、601-2、及び601-3と光導波路素子602とが接続されている例を示す。レーザ光源601-1、601-2、及び601-3はそれぞれ赤、青、及び緑の色光のレーザ光源であってよい。これらレーザ光源から出射された3つのレーザ光は、合波部621によって合波される。合波部621は、例えばダイクロイックミラー及び/又は偏光ビームスプリッタを含みうる。合波部621に含まれる構成要素(例えばダイクロイックミラー及び/又は偏光ビームスプリッタなど)の構成は、例えばレーザ光源の配置及び入射口の位置などに応じて適宜設定されてよい。合波部621によって前記3つのレーザ光が合波され、そして、当該合波されたレーザ光が、光導波路素子602の入射口611に入射する。入射口611から入射したレーザ光は、切替部612へ進行する。切替部612の構成は、上記で図1Aを参照して説明した切替部112と同じであるので、その説明は省略する。切替部612により、出射口633-1及び633-2のうちのいずれかからレーザ光が出射されるかが切り替えられる。
【0081】
このように、本技術の映像投影装置は、複数のレーザ光源、及び、当該複数のレーザ光源から出射された複数のレーザ光を合波する合波部を含みうる。当該合波部によって合波されたレーザ光が、光導波路素子の入射光に入射しうる。
【0082】
(3-4-2)複数のレーザ光が光導波路素子内において合波される構成の例
【0083】
図6Bは、3つのレーザ光源631-1、631-2、及び631-3と光導波路素子632とが接続されている例を示す。レーザ光源631-1、631-2、及び631-3はそれぞれ赤、青、及び緑の色光のレーザ光源であってよい。レーザ光源631-1、631-2、及び631-3から出射された3つのレーザ光は、光導波路素子632の3つの入射口641-1、641-2、及び641-3にそれぞれ入射する。入射口641-1、641-2、及び641-3から入射したレーザ光は、光導波路素子632内の合波部645で合波される。そして、当該合波されたレーザ光が、切替部642へと進行する。切替部642は、図1Aを参照して説明した切替部112と同じであるので、その説明は省略する。切替部642が、出射口633-1及び633-2のうちのいずれかからレーザ光が出射されるかを切り替える。
【0084】
このように、本技術の映像投影装置は、複数のレーザ光源を含み、且つ、複数の入射口を有する光導波路素子を含みうる。当該光導波路素子は、当該複数の入射口から入射したレーザ光を合波する合波部を有してよい。当該合波部で合波されたレーザ光が、当該光導波路素子内の切替部へと進行する。当該合波部を構成する導波路は、当業者により適宜設計されてよい。
光導波路素子内に合波部を設けることによって、切替部及び合波部が光導波路素子内に集積される。これにより、装置を小型化することができる。また、1つの出射口から複数のレーザ光が出射されるので、色ずれを無くすこともできる。
【0085】
(3-4-3)複数のレーザ光が光導波路素子内において合波される構成の他の例
【0086】
図6Cは、3つのレーザ光源661-1、661-2、及び661-3と光導波路素子662とが接続されている例を示す。レーザ光源661-1、661-2、及び661-3はそれぞれ赤、青、及び緑の色光のレーザ光源であってよい。レーザ光源661-1、661-2、及び661-3から出射された3つのレーザ光は、光導波路素子662の3つの入射口671-1、671-2、及び671-3にそれぞれ入射する。入射口671-1、671-2、及び671-3から入射したレーザ光は、光導波路素子662内の切替部672へそれぞれ進行する。切替部672は、3つの光スイッチ681-1、681-2、及び681-3を備えている。入射口671-1、671-2、及び671-3から入射したレーザ光はそれぞれ、光スイッチ681-1、681-2、及び681-3へ進行する。これらの光スイッチのそれぞれが、出射口663-1及び663-2のうちのいずれかからレーザ光が出射されるかを切り替える。また、光導波路素子662は、これら光スイッチを通過したレーザ光を合波する合波部685を含む。例えば、合波部685において、上記3つのレーザ光全てが合波され、そして、合波されたレーザ光が出射口663-1又は663-2のいずれかから出射されてよい。又は、上記3つのレーザ光のうちの2つが合波され、そして、合波されたレーザ光が出射口663-1(又は663-2)から出射され、且つ、残りの1つのレーザ光は出射口663-2(又は663-1)から出射されてよい。
【0087】
このように、本技術の映像投影装置は、複数のレーザ光源を含み、且つ、複数の入射口を有する光導波路素子を含みうる。当該光導波路素子に含まれる切替部は、複数の光スイッチを含み、当該複数の入射口のそれぞれに当該複数の光スイッチが接続されていてよい。当該複数の光スイッチのそれぞれが、各レーザ光が出射される出射口を切り替える。
これにより、入力されたビデオ信号の複数ライン分を各レーザ光源及び各光スイッチで変調して同時に出力することができる。そのため、フレーム毎に映像が切り替わることなく、シームレスに高解像度化を実現することができる。
【0088】
(4)本技術の実施形態の第3の例(映像投影装置の例)
【0089】
本技術の他の実施態様に従い、前記映像投影装置は、前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を、投影光学系を介さずに又は投影光学系を介して投影面に到達させるものであってよい。当該映像投影装置は、例えば小型のプロジェクタ(ピコプロジェクタとも呼ばれる)として構成されうる。
以下で、この実施態様に従う映像投影装置の例を、図7を参照しながら説明する。
【0090】
図7は、本技術に従う映像投影装置700の構成例を示す。映像投影装置700は、レーザ光源701、光導波路素子702、コリメータレンズ703、及び走査ミラー704を備えられている。光導波路素子702、レーザ光源701から出射されたレーザ光が入射する入射口711と、切替部712、及び当該レーザ光が出射される出射口713-1及び713-2を備えている。これらの構成要素は、上記で図1Aを参照して説明したレーザ光源101、光導波路素子102、コリメータレンズ103、及び走査ミラー104とそれぞれ同じであってよく、上記で述べた説明がこれらの構成要素についても当てはまる。そのためこれらの構成要素についての説明は省略する。
また、映像投影装置700には、上記で図1Bを参照して説明した制御部130、レーザドライバ13、光スイッチドライバ132、及びミラードライバ133が備えられていてよい。
【0091】
走査ミラー704は、光導波路素子702から出射されたレーザ光を走査する。当該走査によって、当該レーザ光から、映像(例えば2次元の映像)が形成される。走査ミラー704によって走査されたレーザ光が任意の投影面705に到達して、投影面705にて映像が表示される。
【0092】
映像投影装置700は、小型プロジェクタとして構成されてよく、例えばヒトの手のひらに乗る程度のサイズを有するプロジェクタとして構成されてよい。当該サイズを有する小型プロジェクタはピコプロジェクタとも呼ばれる。
【0093】
映像投影装置700は、コリメータレンズ703を備えていなくてもよいが、備えているほうがより好ましい。
【0094】
映像投影装置700は、走査ミラー704により走査されたレーザ光を、投影光学系を介さずに投影面705に到達させるものであってよく、又は、投影光学系を介して投影面705に到達させるものであってもよい。すなわち、映像投影装置700は、走査ミラー704と投影面705との間の光路上に投影光学系が設けられていなくてよく、又は、設けられていてもよい。当該投影光学系は、例えば走査ミラー704により形成された映像を拡大又は縮小するために用いられてよい。当該投影光学系は、例えば1つ又は複数のレンズなどを含んでよい。当該投影光学系の構成は、所望の映像投影方式に従い適宜選択されてよい。
【0095】
上記「(2)本技術の実施形態の第1の例(映像投影装置の例)」及び「(3)本技術の実施形態の第2の例(出射口の配置の例及び走査線の例)」において述べた説明が、本実施形態においても当てはまる。当該説明において述べられているように、映像投影装置700によって、例えば走査ミラーの性能を超えた高解像度化及び/又は高画角化が可能となるなど、映像投影装置100と同様の効果が奏される。
【0096】
なお、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
〔1〕レーザ光が入射する少なくとも一つの入射口と当該レーザ光が出射される複数の出射口とを有する光導波路素子と、
前記光導波路素子から出射されたレーザ光を走査する走査ミラーと、
を備えており、
前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を投影対象に到達させる映像投影装置。
〔2〕前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有する、〔1〕に記載の映像投影装置。
〔3〕前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、当該切替部が、少なくとも一つの光スイッチを含む、〔1〕に記載の映像投影装置。
〔4〕前記光導波路素子が、前記レーザ光が出射される出射口を切り替える切替部を有し、当該切替部が、少なくとも一つのマッハ・ツェンダー型の光スイッチを含む、〔1〕に記載の映像投影装置。
〔5〕前記複数の出射口のうちの少なくとも一つの出射口から出射したレーザ光の走査線が、他の出射口から出射したレーザ光の走査線とずれている、〔1〕~〔4〕のいずれか一つに記載の映像投影装置。
〔6〕一つの出射口から出射したレーザ光の走査線の間に、他の出射口から出射したレーザ光の走査線が配置されるように、前記複数の出射口が配置されている、〔1〕~〔5〕のいずれか一つに記載の映像投影装置。
〔7〕前記一つの出射口及び前記他の出射口が、これら出射口を結ぶ線が前記走査ミラーの掃引方向に対して垂直となるように配置されている、〔6〕に記載の映像投影装置。
〔8〕一つの出射口から出射したレーザ光の走査範囲と他の出射口から出射したレーザ光の走査範囲とがずれるように、前記複数の出射口が配置されている、〔1〕~〔7〕のいずれか一つに記載の映像投影装置。
〔9〕前記レーザ光が出射される出射口が所定数のフレーム毎に切り替えられる、〔1〕~〔8〕のいずれか一つに記載の映像投影装置。
〔10〕前記光導波路素子と前記走査ミラーとの間の光路上に、前記出射されたレーザ光をコリメートするコリメータレンズが配置されている、〔1〕~〔9〕のいずれか一つに記載の映像投影装置。
〔11〕前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を瞳孔付近で集光させて網膜に到達させるホログラム素子をさらに備えている、〔1〕~〔10〕のいずれか一つに記載の映像投影装置。
〔12〕前記走査ミラーにより走査されたレーザ光を、投影光学系を介さずに又は投影光学系を介して投影面に到達させるものである、〔1〕~〔10〕のいずれか一つに記載の映像投影装置。
【符号の説明】
【0097】
100 映像投影装置
101 レーザ光源
102 光導波路素子
103 コリメータレンズ
104 走査ミラー
105 リレーレンズ
106 ホログラム素子
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7