(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】凹面鏡支持装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20231212BHJP
G02B 7/182 20210101ALI20231212BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B7/182
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2020561344
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2019048516
(87)【国際公開番号】W WO2020129777
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2018236421
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】石川 椋一
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079308(WO,A1)
【文献】特開2017-078733(JP,A)
【文献】特開2004-317906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254023(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0223818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
G02B 7/182
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚像として視認される画像を表す表示光を透光部材に向けて反射させる反射面を有し、所定の軸線を中心に回転可能な凹面鏡と、
前記凹面鏡に設けられ、前記軸線に沿う軸部と、
底部を有し、前記底部の表側に前記表示光が通過する光路空間が形成されたケースと、を備え、
前記凹面鏡は、前記底部の裏側
に取り付けられ、前記底部に設けられた開口部を通し
て前記反射面が前記底部の表側に位置し、
前記ケースは、前記軸部を表側から覆う覆い部を有する、
凹面鏡支持装置。
【請求項2】
前記軸部を回転可能に支持する軸受部を備え、
前記軸受部は、前記覆い部に裏側から固定されている、
請求項1に記載の凹面鏡支持装置。
【請求項3】
前記軸部として、一対の第1軸部及び第2軸部があり、
前記軸受部として、前記第1軸部を支持する第1軸受部と、前記第2軸部を支持する第2軸受部とがあり、
前記凹面鏡を回転駆動する駆動部を備え、
前記覆い部として、前記第1軸部を表側から覆う第1覆い部と、前記第2軸部及び前記駆動部を表側から覆う第2覆い部とがある、
請求項2に記載の凹面鏡支持装置。
【請求項4】
前記凹面鏡、前記軸部、前記軸受部及び前記駆動部を有する凹面鏡ユニットが、前記底部の裏
側に取り付けられている、
請求項3に記載の凹面鏡支持装置。
【請求項5】
前記底部の裏側に設けられた回路基板と、
前記ケースに裏側から取り付けられ、少なくとも、前記回路基板と前記開口部と前記凹面鏡とを裏側から覆うカバーと、を備える、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の凹面鏡支持装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の凹面鏡支持装置と、
前記凹面鏡に到達する前記表示光を発する表示器と、を備える、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹面鏡支持装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の凹面鏡支持装置として、画像を虚像として視認させる表示装置に備えられるものが、例えば、特許文献1に開示されている。この凹面鏡支持装置は、画像を表す表示光を透光部材(例えば、車両のフロントガラス)に向けて反射させる凹面鏡を、ケースの底面部に表側から取り付ける構造を有する(同文献の
図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された装置のように、ケースの底面部に表側から凹面鏡を取り付ける構造では、凹面鏡を回転させるための軸部などの表示光が照射されると好ましくない部分(以下、遮光必要部分と言う。)を覆う覆い部材をケースと別体で設ける必要が生じる。その結果、部品点数が増加し、構成が複雑化することがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡潔な構成で、遮光必要部分を覆うことができる凹面鏡支持装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る凹面鏡支持装置は、
虚像として視認される画像を表す表示光を透光部材に向けて反射させる反射面を有し、所定の軸線を中心に回転可能な凹面鏡と、
前記凹面鏡に設けられ、前記軸線に沿う軸部と、
底部を有し、前記底部の表側に前記表示光が通過する光路空間が形成されたケースと、を備え、
前記凹面鏡は、前記底部の裏側に取り付けられ、前記底部に設けられた開口部を通して前記反射面が前記底部の表側に位置し、
前記ケースは、前記軸部を表側から覆う覆い部を有する。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る表示装置は、
前記凹面鏡支持装置と、
前記凹面鏡に到達する前記表示光を発する表示器と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡潔な構成で、遮光必要部分を覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の車両への搭載態様を示す図である。
【
図2】HUD装置の要部を表側から見た平面図である。
【
図3】HUD装置の要部を裏側から見た分解斜視図である。
【
図7】HUD装置の一部構成を裏側から見た平面図である。
【
図8】第1軸受部のケースへの取付態様を説明するための斜視図である。
【
図9】第2軸受部のケースへの取付態様を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置(HUD:Head-Up Display)装置100は、
図1に示すように、例えば、車両1のダッシュボード2内に配設される。HUD装置100は、フロントガラス3に向けて表示光Lを射出する。フロントガラス3で反射した表示光Lは、ユーザ4(主に車両1の運転者)側へと向かい、ユーザ4に表示光Lが表す画像を虚像Vとして視認させる。虚像Vは、フロントガラス3を介して車両1の前方に表示される。これにより、ユーザ4は、虚像Vを前方風景と重畳させて観察することができる。虚像Vは、車両1に関する各種情報(以下、車両情報と言う。)を表示する。なお、車両情報は、車両1自体の情報のみならず、車両1の外部情報も含む。
【0012】
HUD装置100は、主に
図2及び
図3に示すように、表示器10と、平面鏡20と、凹面鏡ユニット30と、ケース40と、回路基板50と、第1カバー60と、第2カバー70と、を備える。以下では、HUD装置100において、車両1の上方を表側とし、車両1の下方を裏側として各構成を説明する。なお、
図1、
図3~
図6、
図8、
図9において、表側を「F」、裏側を「B」と表した。また、本実施形態に係る凹面鏡支持装置は、HUD装置100に含まれ、凹面鏡ユニット30、ケース40及び第1カバー60を備えて構成される。
【0013】
表示器10は、画像を表示することで、その画像を表す表示光Lを平面鏡20に向けて発する。表示器10は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)と、LCDを背後から照明するバックライトとを含んで構成される。LCDは、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型のものである。バックライトは、例えば、LED(Light Emitting Diode)や導光部材などにより構成されている。
【0014】
平面鏡20は、例えばコールドミラーからなり、
図2に示すように、表示器10が発した表示光Lの光軸に対して斜めになるように配置されている。平面鏡20は、表示器10からの表示光Lを凹面鏡31に向けて反射させる。平面鏡20は、ホルダを介してケース40に固定されている。
【0015】
凹面鏡ユニット30は、
図3及び
図4に示すように、凹面鏡31と、第1軸受部32と、第2軸受部33と、駆動部34とを備える。
【0016】
凹面鏡31は、平面鏡20からの表示光Lを拡大しつつ、フロントガラス3に向けて反射させる反射面Rを有する。これにより、ユーザ4に視認される虚像Vは、表示器10に表示されている画像が拡大されたものとなる。凹面鏡31は、
図4に示すように、円柱状に形成された一対の第1軸部31a及び第2軸部31bと、平板状のレバー部31cとを有する。一対の第1軸部31a及び第2軸部31bは、凹面鏡31の側面から互いに逆向きに突出し、軸線AXに沿って延びて設けられている。レバー部31cは、
図4で左側に位置する第2軸部31bの下方に、凹面鏡31の側面から突出して設けられている。
【0017】
第1軸受部32は、台座部321と、台座部321の表側に設けられ、第1軸部31aを軸線AX周りに回転可能に支持する軸受322と、を有する。また、第1軸受部32には、ケース40に設けられた、後述の穴O1,O2に挿入される、ピンP1,P2が設けられている。ピンP1は、軸受322から表側に突起して設けられている。ピンP2は、台座部321から表側に突起して設けられている。
【0018】
第2軸受部33は、台座部331と、台座部331の表側に設けられ、第2軸部31bを軸線AX周りに回転可能に支持する軸受332と、を有する。台座部331には、ケース40に設けられた、後述のピンP3,P4が挿入される、穴O3,O4が設けられている。
【0019】
駆動部34は、凹面鏡31を回転駆動するための構成であり、第2軸受部33の台座部331の裏側に固定されている。駆動部34は、モータM(
図3参照)と、モータMが取り付けられる筐体341と、レバー部31cを挟み込む挟込部342とを有する。モータMは、例えばステッピングモータからなり、回路基板50に実装された制御部の制御によって駆動される。
図4に示すように、筐体341には、レバー部31cの主面が向く方向に沿って延びるガイド軸Gが取り付けられている。挟込部342は、図示しないギア機構を介して、モータMの回転動作に応じて、レバー部31cをガイド軸Gに沿って移動させる。このように挟込部342でレバー部31cをガイド軸Gに沿って移動させることで、駆動部34は、凹面鏡31を軸線AX周りに回転駆動する。
【0020】
ケース40は、合成樹脂や金属により遮光性を有して箱状に形成され、表示器10、平面鏡20、及び凹面鏡ユニット30の各々を上記の機能を満たす位置に収容する。ケース40は、主に
図5に示すように、表側に表示器10及び平面鏡20が取り付けられる底部41と、底部41の外縁部から表側に向かって立つ外周壁部42と、第1覆い部43と、第2覆い部44と、を有する。
【0021】
底部41には、開口部41aが設けられている。凹面鏡31は、底部41の裏側から開口部41aを通してケース40に取り付けられていることで、反射面Rが底部41の表側に位置する。開口部41aは、凹面鏡31の回転動作を妨げない大きさで形成されている。
図2及び
図5に示すように、ケース40には、底部41の表側に表示光Lが通過する光路空間Sが形成されている。第1覆い部43は、
図5に示すように、凹面鏡31の右端と外周壁部42との間に位置し、第1軸部31a及び第1軸受部32を表側から覆う。第2覆い部44は、
図5に示すように、凹面鏡31の左端と外周壁部42との間に位置し、第2軸部31b、第2軸受部33及び駆動部34を表側から覆う。
【0022】
ここで、凹面鏡31のケース40への取付態様について、具体的に説明する。
図6、
図7及び
図8に示すように、第1覆い部43の裏側には、第1軸受部32が挿入される挿入部430が形成されている。挿入部430は、第1軸受部32の軸受322が挿入される窪み部431と、台座部321と接触する接触部432とを有する。窪み部431は、組み付けの際に第1軸受部32の軸受322を挿入し易いように、
図8に示すように、表側に向かって先細りとなるテーパー状に形成されている。窪み部431は、その中心が、軸線AX上に位置するように形成されている。窪み部431の中心には、軸受322に設けられたピンP1が挿入される穴O1が設けられている。穴O1は、ピンP1が嵌め合わされる大きさで形成されている。接触部432には、台座部331に設けられたピンP2が挿入される穴O2が設けられている。穴O2は、軸線AXと直交する方向において穴O1よりも長い形状に形成されている。
【0023】
図6、
図7及び
図9に示すように、第2覆い部44の裏側には、第2軸受部33が挿入される挿入部440が形成されている。挿入部440は、第2軸受部33の軸受332が挿入される窪み部441と、台座部331と接触する接触部442とを有する。窪み部441は、組み付けの際に第2軸受部33の軸受332を挿入し易いように、
図9に示すように、表側に向かって先細りとなるテーパー状に形成されている。窪み部441は、その中心が、軸線AX上に位置するように形成されている。接触部442には、それぞれ裏側に向かって突起し、第2軸受部33に設けられた穴O3に挿入されるピンP3と、第2軸受部33に設けられた穴O4に挿入されるピンP4とが設けられている。穴O3は、ピンP3が嵌め合わされる大きさで形成されている。穴O4は、軸線AXと直交する方向において穴O3よりも長い形状に形成されている。ケース40に設けられたピンP3は、軸線AX上に位置する。
【0024】
第1軸受部32は、ケース40の裏側に設けられた挿入部430に挿入され、ピンP1がケース40の穴O1に、ピンP2がケース40の穴O2に挿入されることで、ケース40に対して位置決めされている。このように位置決めされた第1軸受部32は、ビス等の固定手段により、ケース40の裏側から固定される。
【0025】
第2軸受部33は、ケース40の裏側に設けられた挿入部440に挿入され、ケース40のピンP3が穴O3に、ケース40のピンP4が穴O4に挿入されることで、ケース40に対して位置決めされている。前述のように、第2軸受部33には駆動部34が固定されているため、駆動部34もケース40に対して位置決めされる。このように位置決めされた第2軸受部33及び駆動部34は、ビス等の固定手段により、ケース40の裏側から固定される。なお、駆動部34の筐体341に、穴O3及び穴O4の各々と連通する穴を設け、ケース40のピンP3,P4が、第2軸受部33を介して、当該穴に達する構成としてもよい。
【0026】
以上のように、凹面鏡31は、第1軸受部32及び第2軸受部33を介して、ケース40に裏側から取り付けられる。前述のように、ケース40の裏側に設けられた穴O1とピンP3とは、軸線AX上に位置している。これにより、所望の軸線AXに対する誤差を抑制して、第1軸受部32及び第2軸受部33に回転可能に支持された凹面鏡31をケース40に対して取り付けることができる。
【0027】
また、
図6に示すように、ケース40の底部41の裏側には、回路基板50が固定される基板固定部41bが設けられている。基板固定部41bは、底部41のうち、表示器10が設けられた部分の裏側に位置する。
【0028】
回路基板50は、各種回路が形成され、マイクロコンピュータからなる制御部が実装されたプリント回路板である。制御部は、HUD装置の全体動作を制御するものであり、駆動部34を介して凹面鏡31の回転駆動を制御し、表示器10の表示動作を制御する。制御部は、車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)などのシステムと通信を行い、車両情報を示す画像を表示器10に表示させる。
【0029】
第1カバー60は、遮光性を有する部材から構成され、
図3に示すように、ケース40に裏側から取り付けられ、回路基板50と開口部と41aと凹面鏡ユニット30とを裏側から覆う。第1カバー60は、フックを利用した係合手段H1により、ケース40に固定される。
【0030】
第2カバー70は、遮光性を有する部材から構成され、
図3に示すように、フックを利用した係合手段H2により、ケース40に表側から取り付けられる。第2カバー70には、フロントガラス3に向かって開口する射出口71(
図1参照)が設けられている。射出口71には、図示しない透光性カバーが取り付けられている。
【0031】
以上の構成からなるHUD装置100において、表示器10から発せられ、平面鏡20、凹面鏡31の順で反射した表示光Lは、射出口71から外部に射出され、フロントガラス3へと向かう。この表示光Lがフロントガラス3で反射することで、ユーザ4から見てフロントガラス3の前方に虚像Vが表示される。
【0032】
ここで、HUD装置100の製造方法のうち、主に、凹面鏡31をケース40に対して取り付ける工程の一例について説明する。
まず、予め組み立てられてユニット化された凹面鏡ユニット30を、凹面鏡31が開口部41a内に位置するように、ケース40の裏側に組み付ける。具体的には、凹面鏡ユニット30の第1軸受部32を、ケース40の裏側に設けられた挿入部430に挿入する。この際、第1軸受部32のピンP1をケース40の穴O1に挿入するとともに、第1軸受部32のピンP2をケース40の穴O2に挿入する。また、凹面鏡ユニット30の第2軸受部33を、ケース40の裏側に設けられた挿入部440に挿入する。この際、第2軸受部33の穴O3にケース40のピンP3を挿入するとともに、第2軸受部33の穴O4にケース40のピンP4を挿入する。これにより、凹面鏡ユニット30は、ケース40に対して位置決めされる。
このように位置決めされた後に、第1軸受部32をケース40に対し、ビス等の固定手段により裏側から固定する。第2軸受部33及び駆動部34をケース40に対し、ビス等の固定手段によりケース40の裏側から固定する。
そして、ケース40に固定された回路基板50、開口部41a及び凹面鏡ユニット30を裏側から覆う第1カバー60を係合手段H1によりケース40に取り付ける。なお、ケース40に回路基板50を固定する工程は、ケース40に凹面鏡ユニット30を取り付ける工程の前であっても後であってもよい。
以上のようにして、凹面鏡ユニット30がケース40に取り付けられ、また、ケース40の裏側の主要部材が第1カバー60によって覆われ、保護される。
【0033】
(1)以上に説明したHUD装置100に含まれる凹面鏡支持装置は、凹面鏡31と、凹面鏡31に設けられ、軸線AXに沿う軸部(第1軸部31a、第2軸部31b)と、ケース40と、を備える。凹面鏡31は、虚像Vとして視認される画像を表す表示光Lをフロントガラス3(透光部材の一例)に向けて反射させる反射面Rを有し、所定の軸線AXを中心に回転可能である。ケース40は、底部41を有し、底部41の表側に表示光Lが通過する光路空間Sが形成されている。凹面鏡31は、底部41の裏側から、底部41に設けられた開口部41aを通してケース40に取り付けられていることで、反射面Rが底部41の表側に位置する。ケース40は、軸部を表側から覆う覆い部(第1覆い部43、第2覆い部44)を有する。
このように、覆い部を有するケース40の裏側から凹面鏡31を取り付ける構成としたため、遮光必要部分を覆う覆い部材をケースと別体で設ける必要がなく、部品点数の増加を抑制することができる。したがって、上記構成の凹面鏡支持装置によれば、簡潔な構成で、遮光必要部分を覆うことができる。
【0034】
(2)具体的に、凹面鏡支持装置は、軸部を回転可能に支持する軸受部(第1軸受部32、第2軸受部33)を備え、軸受部は、覆い部に裏側から固定されている。
【0035】
(3)具体的に、軸部として、一対の第1軸部31a及び第2軸部31bがあり、軸受部として、第1軸部31aを支持する第1軸受部32と、第2軸部31bを支持する第2軸受部33とがあり、凹面鏡支持装置は、凹面鏡31を回転駆動する駆動部34を備える。また、覆い部として、第1軸部31aを表側から覆う第1覆い部43と、第2軸部31b及び駆動部34を表側から覆う第2覆い部44とがある。
【0036】
(4)凹面鏡支持装置においては、凹面鏡31、軸部(第1軸部31a、第2軸部31b)、軸受部(第1軸受部32、第2軸受部33)及び駆動部34を有する凹面鏡ユニット30が、底部41の裏側からケース40に取り付けられている。
このように、ユニット化された凹面鏡ユニット30をケース40の裏側から取り付け可能な構成としたため、組み付けが容易である。また、当該構成によれば、組み付けた凹面鏡ユニット30を、裏側から表側に向かう一方向で、ビス等の固定手段により固定することができる。
【0037】
(5)凹面鏡支持装置は、底部41の裏側に設けられた回路基板50と、ケース40に裏側から取り付けられ、少なくとも、回路基板50と開口部41aと凹面鏡31とを裏側から覆う第1カバー60(カバーの一例)と、を備える。
この構成により、ケース40に対する、凹面鏡31の取付方向、回路基板50の取付方向、第1カバー60の取付方向を、裏側から表側に向かう一方向にすることができるため、組み付け作業工程における効率化を図ることができる。
【0038】
(6)HUD装置100(表示装置の一例)は、前述の凹面鏡支持装置と、凹面鏡31に到達する表示光Lを発する表示器10と、を備える。
【0039】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0040】
また、表示器10は、LCDを用いたものに限られず、OLED(Organic Light-Emitting Diode)を用いたものを採用してもよい。また、表示器10は、例えば、DMD(Digital Micro mirror Device)やLCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの反射型表示デバイスを用いたものであってもよい。
【0041】
また、平面鏡20と凹面鏡31とを結ぶ表示光Lの光路において、平面鏡20以外の平面鏡を設けてもよい。平面鏡を何枚用いるかや、どのように表示光Lの光路を折り返すかは、設計に応じて適宜変更可能である。
【0042】
また、表示光Lの投射対象(透光部材)は、車両1のフロントガラス3に限定されず、板状のハーフミラー、ホログラム素子等により構成されるコンバイナであってもよい。
【0043】
また、HUD装置100が搭載される車両1の種類は限定されず、自動四輪車や、自動二輪車など様々な車両に適用可能である。また、HUD装置100は、航空機、船舶、スノーモービル等、車両1以外の乗り物に搭載されてもよい。
【0044】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0045】
100…ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置
1…車両、2…ダッシュボード、3…フロントガラス、4…ユーザ
L…表示光、V…虚像
10…表示器
20…平面鏡
30…凹面鏡ユニット
31…凹面鏡、R…反射面、AX…軸線
31a…第1軸部、31b…第2軸部、31c…レバー部
32…第1軸受部
321…台座部、P2…ピン
322…軸受、P1…ピン
33…第2軸受部
331…台座部、O3,O4…穴
332…軸受
34…駆動部
341…筐体、342…挟込部、M…モータ、G…ガイド軸
40…ケース、S…光路空間
41…底部、41a…開口部、41b…基板固定部
43…第1覆い部
430…挿入部
431…窪み部、O1…穴
432…接触部、O2…穴
44…第2覆い部
440…挿入部
441…窪み部
442…接触部、P3,P4…ピン
50…回路基板
60…第1カバー
70…第2カバー、71…射出口