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特許7400740ネットワーク構成装置、サーバおよび通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ネットワーク構成装置、サーバおよび通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/14 20090101AFI20231212BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20231212BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20231212BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20231212BHJP
   H04W 92/14 20090101ALI20231212BHJP
【FI】
H04W48/14
H04W48/18
H04W88/10
H04W88/18
H04W92/14
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020567392
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2019046691
(87)【国際公開番号】W WO2020152984
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019009628
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】高野 裕昭
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2017/169904(JP,A1)
【文献】3GPP TS 23.502 V15.4.1,2019年01月07日,pages 18-27,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/23_series/23.502/23502-f41.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置と、
前記共用ネットワーク識別子を受信すると自身の接続先情報を利用して接続要求を行う通信装置と、
前記接続要求に関する前記接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子を取得して供給するサーバと、
前記供給された固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能を構成して配置するネットワーク構成装置と
を具備する通信システム。
【請求項2】
共通に用いられる共用ネットワーク識別子を受信した通信装置からの接続要求に関して当該接続要求に含まれる前記通信装置の接続先情報に対応するネットワーク識別子としてサーバによって取得された固有のネットワーク識別子を供給されて、その供給された固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能を構成して配置するネットワーク構成装置。
【請求項3】
前記接続先情報は、アクセスポイント名(APN)である
請求項記載のネットワーク構成装置。
【請求項4】
前記接続先情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置から前記サーバに提供されたものである
請求項記載のネットワーク構成装置。
【請求項5】
前記接続要求はSIM情報を含み、
前記SIM情報に基づいて前記基地局装置の正当性を認証する
請求項記載のネットワーク構成装置。
【請求項6】
前記接続先情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子に対応するネットワークから前記サーバに提供されたものである
請求項記載のネットワーク構成装置。
【請求項7】
前記接続要求はSIM情報を含み、
前記SIM情報に基づいて前記共用ネットワーク識別子に対応するネットワークの正当性を認証する
請求項記載のネットワーク構成装置。
【請求項8】
前記固有のネットワーク識別子に基づいて配置される前記ネットワーク機能は、新たなコアネットワークである
請求項2記載のネットワーク構成装置。
【請求項9】
前記新たなコアネットワークを配置すべき場所に関する情報を受け付ける
請求項記載のネットワーク構成装置。
【請求項10】
前記新たなコアネットワークを配置すべき場所に関する情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置の場所に関する情報を含み、
前記新たなコアネットワークは、前記基地局装置の場所を基準として所定の距離に配置される
請求項9記載のネットワーク構成装置。
【請求項11】
前記固有のネットワーク識別子に基づいて配置される前記ネットワーク機能は、既存のコアネットワークの新たなネットワークスライスである
請求項2記載のネットワーク構成装置。
【請求項12】
前記通信装置からの前記接続要求の後に、基地局装置を使用するために必要な使用許可手続をアプリケーション層により行う
請求項2記載のネットワーク構成装置。
【請求項13】
前記使用許可手続は、前記基地局装置を使用するための費用の支払い手続を含む
請求項12記載のネットワーク構成装置。
【請求項14】
前記固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能が配置された後には、前記固有のネットワーク識別子は、同一グループの複数の基地局装置から送信される
請求項2記載のネットワーク構成装置。
【請求項15】
前記複数の基地局装置は、所定の範囲内において何れかが互いに隣接して設置される
請求項14記載のネットワーク構成装置。
【請求項16】
複数のネットワーク機能が配置されている状態において、前記複数の基地局装置の間における他の基地局装置を使用するために必要な使用許可手続を、前記複数のネットワーク機能の間で行う
請求項14記載のネットワーク構成装置。
【請求項17】
通信装置の接続先情報とその接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子とを関連付けて記憶する記憶部と、
共通に用いられる共用ネットワーク識別子を受信した通信装置から提供された当該通信装置の接続先情報に対応するネットワーク識別子として、前記固有のネットワーク識別子を前記記憶部から取得して供給する供給部と
を備えるサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ネットワーク構成装置に関する。詳しくは、ネットワーク機能を構成して配置するネットワーク構成装置、サーバおよび通信システム、および、これらにおける処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
4Gや5Gといった移動通信システムは、無線システムおよびコアシステムによって構成されている。無線システムを複数のオペレータ(事業者)が共用するために、従来は提携先の事業者の無線システムを利用するローミング(roaming)技術が用いられていた。例えば、無線通信の基地局を共用化する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2013-504924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のローミングにおいては、共用化される基地局から、事業者毎のネットワーク識別子をブロードキャストしていた。しかしながら、事業者の数が膨大になった場合に、それら全てのネットワーク識別子をブロードキャストすることはオーバヘッドを招くという問題がある。また、ローミングは事前の手続を前提としており、基地局の持ち主がホテルや個人である場合に膨大な数の事業者間でローミング契約を行うことは煩雑であり現実的ではないという問題がある。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、要求に応じて新たにネットワーク機能を構成して配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置と、上記共用ネットワーク識別子を受信すると自身の接続先情報を利用して接続要求を行う通信装置と、上記接続要求に関する上記接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子を取得して供給するサーバと、上記供給された固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能を構成して配置するネットワーク構成装置とを具備する通信システムである。これにより、共用ネットワーク識別子を受信した通信装置の接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子をサーバから供給して、その固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能をネットワーク構成装置が構成するという作用をもたらす。
【0007】
また、本技術の第2の側面は、通信装置から提供された情報に対応する固有のネットワーク識別子を供給されて、その供給された固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能を構成して配置するネットワーク構成装置である。これにより、通信装置から提供された情報に対応する固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能を配置するという作用をもたらす。
【0008】
また、この第2の側面において、上記通信装置から提供された上記情報は、その通信装置の接続先情報であってもよく、また、その接続先情報はアクセスポイント名(APN)であってもよい。これにより、本来はネットワークの中のアクセスポイント名を特定するために使われていた情報を利用して、固有のネットワーク識別子を特定するという作用をもたらす。
【0009】
また、この第2の側面において、上記固有のネットワーク識別子は、上記通信装置から提供された上記情報に対応するものとしてサーバから供給されたものであってもよい。これにより、サーバを利用して、通信装置から提供された情報と、固有のネットワーク識別子とを連携させるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第2の側面において、上記通信装置から提供された上記情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置から上記サーバに提供されたものであってもよい。これにより、利用可能なネットワーク機能が存在しない場合であっても、基地局装置を介してネットワーク機能を配置させるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第2の側面において、上記通信装置から提供された上記情報はSIM情報を含み、上記SIM情報に基づいて上記基地局装置の正当性を認証するようにしてもよい。これにより、通信装置から提供された情報が通信装置から提供された際に、その基地局装置の正当性を認証するという作用をもたらす。
【0012】
また、この第2の側面において、上記通信装置から提供された上記情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子に対応するネットワークから上記サーバに提供されたものであってもよい。これにより、既存の基地局装置に変更を加えることなく、利用可能なネットワークを介してネットワーク機能を配置させるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第2の側面において、上記通信装置から提供された上記情報はSIM情報を含み、上記SIM情報に基づいて上記共用ネットワーク識別子に対応するネットワークの正当性を認証するようにしてもよい。これにより、通信装置から提供された情報がネットワークから提供された際に、そのネットワークの正当性を認証するという作用をもたらす。
【0014】
また、この第2の側面において、上記固有のネットワーク識別子に基づいて配置される上記ネットワーク機能は、一例として、新たなコアネットワークであることが想定される。この場合、上記新たなコアネットワークを配置すべき場所に関する情報を受け付けるようにしてもよい。また、上記新たなコアネットワークを配置すべき場所に関する情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置の場所に関する情報を含み、上記新たなコアネットワークは、上記基地局装置の場所を基準として所定の距離に配置されるようにしてもよい。
【0015】
また、この第2の側面において、上記固有のネットワーク識別子に基づいて配置される上記ネットワーク機能は、他の例として、既存のコアネットワークの新たなネットワークスライスであることが想定される。
【0016】
また、この第2の側面において、上記通信装置から上記情報が提供された後に、基地局装置を使用するために必要な使用許可手続をアプリケーション層により行うようにしてもよい。これにより、必要に応じて使用許可手続がアプリケーション層により通信装置毎に行われるという作用をもたらす。この場合、上記使用許可手続は、上記基地局装置を使用するための費用の支払い手続を含んでもよい。
【0017】
また、この第2の側面において、上記固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能が配置された後には、上記固有のネットワーク識別子は、同一グループの複数の基地局装置から送信されるようにしてもよい。これにより、通信装置が移動した際に、1つの基地局装置の通信範囲から外れても、他の基地局装置の通信範囲において無線通信を維持させるという作用をもたらす。この場合、上記複数の基地局装置は、所定の範囲内において何れかが互いに隣接して設置されることが望ましい。
【0018】
また、複数のネットワーク機能が配置されている状態において、上記複数の基地局装置の間における他の基地局装置を使用するために必要な使用許可手続を、上記複数のネットワーク機能の間で行うようにしてもよい。これにより、新たにネットワーク機能を作り直すことなく、ネットワーク機能のサービスを維持させるという作用をもたらす。
【0019】
また、本技術の第3の側面は、通信装置の接続先情報とその接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子とを関連付けて記憶する記憶部と、ある通信装置から提供されたその接続先情報に対応する上記固有のネットワーク識別子を上記記憶部から取得して供給する供給部とを備えるサーバである。これにより、通信装置から提供されたその接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子をサーバから供給するという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本技術の実施の形態における通信システムの全体構成例を示す図である。
図2】本技術の実施の形態における連携サーバ60とアプリケーション50との関係例を示す図である。
図3】本技術の第1の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
図4】本技術の第2の実施の形態におけるネットワークスライスの例を示す図である。
図5】本技術の第2の実施の形態におけるコアネットワーク10の機能構成例を示す図である。
図6】本技術の第2の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
図7】本技術の第2の実施の形態におけるネットワークスライス生成処理の一例を示す図である。
図8】本技術の第3の実施の形態におけるネットワークスライス生成処理の一例を示す図である。
図9】本技術の第3の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
図10】本技術の第4の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
図11】本技術の第5の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(デフォルトのコアネットワークがない状態からコアネットワークを配置する例)
2.第2の実施の形態(デフォルトのコアネットワークを介して新たなコアネットワークを配置する例)
3.第3の実施の形態(端末毎に基地局装置の使用許可を受ける例)
4.第4の実施の形態(基地局装置をグループ化する例)
5.第5の実施の形態(コアネットワーク間で使用許諾のための手続を行う例)
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[通信システム]
図1は、本技術の実施の形態における通信システムの全体構成例を示す図である。この通信システムは、3GPP(Third Generation Partnership Project)規格におけるコアネットワーク10と、基地局装置30と、アプリケーション50と、連携サーバ60とを備える。
【0023】
コアネットワーク10は、パブリックネットワーク(public network)を構成する基幹回線網であり、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や、5Gコアネットワーク(5G Next Generation Core)が想定される。
【0024】
基地局装置30は、RAN(Radio Access Network)を構成して、端末40に対してネットワーク接続を提供する基地局である。この基地局装置30は、バックホール(backhaul)回線を介してコアネットワーク10に接続する。バックホール回線は、無線または有線を用いて基地局装置30のアクセス回線とコアネットワーク10のバックボーン(backbone)回線とを中継する回線である。
【0025】
基地局装置30は、定期的にシステム情報(System Information)をブロードキャスト送信する。このシステム情報には、その基地局装置30に接続されるネットワークのネットワーク識別子が含まれる。ネットワーク識別子は、地上波公共移動通信ネットワーク(PLMN:Public Land Mobile Network)の通信サービスを提供する事業者(オペレータ)の識別子(PLMN-ID)である。
【0026】
5Gのような100GHzまで使用可能な基地局は、電波の直進性が高いために、屋外に配置した基地局から屋内に配置した端末へ高いスループットでデータの送受信を行うことは困難である。基本的には、直接波が見える環境で基地局と端末を配置することが望ましい。屋内のオフィス、ホテル、個人宅内に基地局を配置する場合には、その場所の制約が大きいことから、基地局を複数のオペレータで共用することが重要になると考えられる。複数のオペレータを見分けるために用いられるのが、上述のPLMN-IDである。従来の基地局は、数種類のPLMN-IDをブロードキャストすることが可能であった。したがって、端末は、PLMN-IDを選択して基地局を介してネットワークに接続することが可能であった。しかし、PLMN-IDが2つや3つの場合には対応できても、数百種類のPLMN-IDをブロードキャストするとオーバヘッドが問題となりできなかった。そのため、共用するオペレータの数は2乃至3に限られていた。
【0027】
また、基地局装置を共用基地局として使用する場合に、その基地局装置につながるコアネットワークは、それぞれの事業者が用意するのが自然である。コアネットワークには、事業者に固有の情報である加入者情報が含まれるからである。ところが、共用基地局に、どの事業者の端末が接続するかわからない場合には、コアネットワークをどのように用意したらよいかわからない場合がある。通常は、デフォルトで一つコアネットワークを立ち上げておいて、基地局とつなげておくとしても、ローミング等が使えないとすると、結局、そのコアネットワークを立ち上げておく意味もなくなってしまう。
【0028】
なお、他の関連技術として、最低限のシステム情報(Minimum System Information)をブロードキャストしておき、それ以外の詳細なシステム情報は、端末からのリクエストに応じてネットワーク側から情報を提供するオンデマンドシステム情報という技術が知られている。この場合、PLMN-IDは最低限のシステム情報として、常に周期的にブロードキャストされる。オンデマンドシステム情報においては、追加の情報提供をリクエストできるが、その情報は周期的に提供されるわけではない。たとえば、追加的(Additional)なPLMN-IDの提供をリクエストした場合に、一度だけPLMN-IDの提供を受けることはできても、そのPLMN-IDの情報が基地局やコアネットワークに保持されているかは不明である。コアネットワークに数百にもおよぶPLMN-IDの情報を保持しておくことは、局所的に配置される基地局やコアネットワークにより構成されるシステムでは非効率である。
【0029】
そこで、この実施の形態においては、基地局装置30は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子をシステム情報に含めて送信する。この共用ネットワーク識別子は、複数の事業者が共通に用いることができる共用(common)のネットワーク識別子である。現状のMVNO(Mobile Virtual Network Operator)は、一つのPLMN-IDにおいて、異なるアクセスポイント名(APN:Access Point Name)によってネットワークを区別している。しかし、それらのMVNOは、コアネットワークを借りたものになっており、実質的にはMNO(Mobile Network Operator)のコアネットワーク上で動作している。コアネットワークを完全に独自のものとして用意した所謂フルMVNOは、異なるPLMN-IDを用意する必要がある。このようなフルMVNOのような事業者が数多く存在する場合に、多くの個別のPLMN-IDを用意するのではなく、フルMVNOであることを識別するための共用ネットワーク識別子を用いることにより、基地局装置30は非常に多くのPLMN-IDを提供する必要がなくなる。
【0030】
端末40は、ユーザが利用するユーザ端末(UE:User Equipment)である。この端末40は、システム情報を受信すると、そのシステム情報に含まれる共用ネットワーク識別子および自身の接続先情報を利用して接続要求を行う。端末40の接続先情報は、例えば、上述のアクセスポイント名(APN)である。一般に、端末は、電源投入後に、最後に接続していたPLMN-IDをブロードキャストしている基地局に接続しようとする。そのような基地局がない場合には、その端末にあらかじめ登録してあったホームのPLMN-IDに接続を試みる。さらに、そのような基地局がない場合には、ローミング契約をしているPLMN-IDのリストを順に試して接続しようとするのが通常である。基地局とその基地局で使われる周波数を共用で使用するという従来の共用RAN(RAN sharing)の場合には、端末のPLMNに対応するPLMN-IDが提供されておらず、また、ローミング契約が煩雑であるためにローミング契約のリスト順に試してから接続するということもできないと考えられる。この点、この実施の形態においては、共用ネットワーク識別子および自身の接続先情報を利用して接続要求を行うことにより、これらの問題を解決する。なお、端末40は、特許請求の範囲に記載の通信装置の一例である。
【0031】
アプリケーション50は、通信サービスを提供する事業者のアプリケーションである。通信サービスを提供する事業者は、将来的には数千程度が存在し得る。なお、アプリケーション50は、特許請求の範囲に記載のネットワーク構成装置の一例である。このアプリケーション50は、コアネットワーク10の中にも外にも配置することができる。したがって、特許請求の範囲に記載のネットワーク構成装置は、後述するコアネットワーク10のアプリケーションや、アプリケーション層における処理についても含み得る。
【0032】
連携サーバ60は、端末40からの接続要求に関する接続先情報に対応して、固有のネットワーク識別子を供給するサーバである。すなわち、この連携サーバ60は、接続先情報と固有のネットワーク識別子とを連携(association)させるものである。この固有のネットワーク識別子は、共用ネットワーク識別子とは異なり、事業者毎の固有のネットワーク識別子である。この連携サーバ60は、例えばクラウド上に配置される。この連携サーバ60により、ローミング契約がなくても、端末40が接続したいと考える接続先情報(APN)から、事業者を特定することができる。すなわち、この連携サーバ60は、上述のように将来的には数千程度存在し得る事業者を、束ねる役割を有する。なお、連携サーバ60は、特許請求の範囲に記載のサーバの一例である。
【0033】
[連携サーバとアプリケーション]
図2は、本技術の実施の形態における連携サーバ60とアプリケーション50との関係例を示す図である。
【0034】
連携サーバ60は、記憶部610と、供給部620とを備える。記憶部610は、端末40の接続先情報と、その接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子とを関連付けて記憶するものである。この例では、端末40のアクセスポイント名(APN)とネットワークのPLMN-IDとの対についてN組分を記憶する例を示している。これにより、連携サーバ60は、端末40の接続先情報と、その接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子とを連携させることができる。
【0035】
供給部620は、端末40から提供されたその接続先情報に基づいて、その接続先情報に関連付けて記憶部610に記憶されているネットワーク識別子を取得して、そのネットワーク識別子をアプリケーション50に供給するものである。
【0036】
アプリケーション50は、連携サーバ60に関する機能として、コアネットワーク配置要求受付機能510と、認証機能520と、コアネットワーク構成機能530とを備える。なお、これらの機能は、連携サーバ60の内部または外部の何れに備えるものであってもよい。
【0037】
コアネットワーク配置要求受付機能510は、基地局装置30からコアネットワークの配置要求を受け付ける機能である。
【0038】
認証機能520は、コアネットワーク配置要求受付機能510によって受け付けられた配置要求が正当な配置要求であるか否かを判別する機能である。この認証機能520は、基地局装置30との間の認証を行うことにより、正当な配置要求であるか否かを判別する。
【0039】
なお、この認証機能520における認証においては、端末40が接続要求をしたときのIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等のSIM(Subscriber Identity Module)情報に基づいて、その端末40の認証を行うことにより、その基地局装置30が正当なものとみなすようにしてもよい。基地局装置30を共用基地局としてそのPLMNが使うことができるか否かの権利関係まで確認することとすると、ローミングと同様に契約関係の調整が複雑になるからである。
【0040】
コアネットワーク構成機能530は、供給部620から供給されたネットワーク識別子に基づいてコアネットワークを構成して配置(deployment、activation)する機能である。
【0041】
[動作]
図3は、本技術の第1の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【0042】
基地局装置30は、共用ネットワーク識別子をシステム情報に含めて定期的にブロードキャスト送信している(711)。この共用ネットワーク識別子を含むシステム情報を受信した端末40は、基地局装置30に対して接続を試みる。その際、共用ネットワーク識別子以外に利用可能なネットワーク識別子がブロードキャストされていない場合には、その基地局装置30に対して、端末40の接続先情報(APN)を含めた接続要求(Attach request)を送信する(712)。
【0043】
なお、このようなAPNの使い方は、従来と異なる。従来は、既知のPLMNの中のAPNを特定するために使われていたが、この実施の形態では、そのAPNにより実際のPLMN―IDを特定するために用いられる。この段階では端末40のためのコアネットワークはまだ配置されていないからである。
【0044】
端末40から接続要求を受信した基地局装置30は、連携サーバ60にPLMN―IDの問合せを行う(715)。この問合せには、基地局装置30の識別子(セルID)と、端末40の接続先情報(APN)とが含まれる。
【0045】
基地局装置30からの問合せを受けた連携サーバ60は、端末40の接続先情報(APN)に対応するPLMN―IDを取得する(716)。そして、PLMN―IDに対応する事業者のアプリケーション50に対して、コアネットワークが必要な基地局装置30の場所の情報を提供するとともに、そこでコアネットワークが必要であることを通知する(717)。基地局装置30の場所は、基地局装置30のセルIDから判断することができる。これは、IP(Internet Protocol)アドレスなどであってもよい。
【0046】
通知を受けた事業者のアプリケーション50は、基地局装置30の場所の近くのクラウドのエッジに、コアネットワーク10を構成して、配置する(718、719)。すなわち、コアネットワーク10は、基地局装置30の場所を基準として所定の距離に配置される。
【0047】
配置されたコアネットワーク10と基地局装置30とを接続するために、コアネットワーク10から基地局装置30に対してコアネットワーク10のネットワークエンティティの情報を提供する(721)。ここで、ネットワークエンティティの情報としては、例えば、MME(Mobility Management Entity)やユーザプレーン(User Plane)を扱うエンティティのIPアドレスが想定される。
【0048】
基地局装置30は、コアネットワーク10に接続要求(set up request)を行う(722)。コアネットワーク10は接続要求に対する承認(accept in)を基地局装置30に送信する(723)。これにより、基地局装置30と新たに配置されたコアネットワーク10の接続が完了する。
【0049】
基地局装置30は、その事業者に対応する固有のネットワーク識別子をシステム情報に含めてブロードキャスト送信するようになる(724)。端末40は、通常の動作により、接続要求を送信する(725)。そして、接続要求に対する承認がコアネットワーク10から得られると(726)、端末40の接続が完了する。
【0050】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、ローミング契約を要することなく、端末40に対して、事業者の独自のコアネットワーク10のサービスを提供することができる。
【0051】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、当初の段階では端末40から利用可能なコアネットワーク10が存在しない状態を想定していた。この第2の実施の形態では、端末40から利用可能なデフォルトのコアネットワーク10が存在している状態において、コアネットワーク10のネットワークスライスを新たに配置することを想定する。
【0052】
[ネットワークスライス]
図4は、本技術の第2の実施の形態におけるネットワークスライスの例を示す図である。
【0053】
コアネットワーク10は、様々なユースケースの通信形態を効率的に収容するために、複数のネットワークスライスを設ける。例えば、ネットワークスライス#1(11)は低遅延ネットワークの用途、ネットワークスライス#2(12)はネットワーク機能の間の通信を容易に行うMTCの用途、ネットワークスライス#3(13)はデバイス間通信を容易に行う用途などを想定することができる。
【0054】
コアネットワーク10のネットワークスライスの独立性に関しては、VPN(Virtual Private Network)を実現するために使用されていたMPLS(Multi-Protocol Label Switch)が使用される。通常の場合、ルーティングは、各スイッチがあて先のIPヘッダを参照し、ルーティングしている。MPLSは、ラベルを付与し、MPLS対応のスイッチは、そのラベルを見てルーティングを行う。このことにより、VPN毎にネットワークを通る経路を明示的に指定することが可能になる。同様に、ネットワークスライシングを実現する時には、ネットワークスライス毎に異なる経路を通るラベルを付与することにより仮想的に複数のネットワークを配置することができる。物理的には分離されていないネットワークを使用するため、ネットワークスライス毎のVPN間で帯域を保証する制御を行うことによりネットワークスライス間を隔離(isolate)することができる。
【0055】
[通信システム]
図5は、本技術の第2の実施の形態におけるコアネットワーク10の機能構成例を示す図である。なお、通信システムの全体構成については、上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0056】
UE400は、上述の端末40に相当する。RAN300は、上述の基地局装置30に相当する。ここで、CNFAM110はこの実施の形態における新たな機能であり、これ以外は3GPPの既存のネットワーク機能である。
【0057】
これらのネットワーク機能はバス接続され、リクエストに対するレスポンスを受けることにより、所定のサービスを受けることができる(SBA:Service Based Architecture)。このSBAにおけるプロトコルはHTTP/2ベースで、ファイル形式はJSON(JavaScript Object Notation)形式(JavaScriptは登録商標)によって情報をやり取りすることができる。
【0058】
AF(Application Function)104は、サービスを供給するためにコアネットワーク10とのやりとりを行うものである。AF104は、NEF101経由で、サービスリクエストを送信し、各ネットワーク機能からレスポンスを受け取ることができる。基本的には、各ネットワーク機能の持つ情報をAF104が取得するために使用する。AF104は、UE400について位置、タイムゾーン、接続状態(アイドル状態/RRC接続状態)等の情報を、コアネットワーク10から取得することができる。なお、このAF104は、コアネットワーク10の中にも外にも配置することができる。
【0059】
NEF(Network Exposure Function)101は、コアネットワーク10内外のAF104に対して、コアネットワーク10内の各機能の情報を提供するインターフェースである。
【0060】
PCF(Policy Control Function)102は、QoS(Quality of Service)のポリシーを提供するものである。
【0061】
UDM(Unified Data Management)103は、コアネットワーク10内のデータを格納するための制御を行うものである。
【0062】
AUSF(Authentication Server Function)105は、アタッチリクエスト(attach request)時にUE400が信頼できる端末であるか否かを認証(Authentication)する機能を有する。
【0063】
SMF(Session Management Function)106は、UE400のアタッチリクエスト(attach request)を処理する機能を有する。
【0064】
NSSF(Network Slice Selection Function)107は、UE400に対してネットワークスライスを割り当てる機能を有する。
【0065】
NRF(Network Repository Function)108は、サービス検出(service discovery)を行うものである。
【0066】
AMF(Access and Mobility Management Function)109は、ハンドオーバ(hand over)の制御を行うものである。
【0067】
CNFAM(Core Network Function Activation Management)110は、この実施の形態における新たなエンティティであり、コアネットワーク10の構成および配置を管理するものである。コアネットワーク10の外部、または、内部に配置されたアプリケーション50は、このCNFAM110を経由して、その事業者の特有のコアネットワークを配置するための情報を提供して、そのコアネットワークをネットワークスライスとして配置することを要求する。
【0068】
UPF(User Plane Function)201は、DN(Data Network)202との接続点である。
【0069】
[動作]
図6は、本技術の第2の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【0070】
基地局装置30は、デフォルトのコアネットワーク10のネットワーク識別子を、共用ネットワーク識別子としてシステム情報に含めて定期的にブロードキャスト送信している(731)。
【0071】
端末40は、デフォルトのコアネットワーク10のネットワーク識別子を用いて、コアネットワーク10に対して接続要求を送信する(732)。すなわち、上述の第1の実施の形態のように基地局装置30に対してではなく、従来と同様にコアネットワーク10に対して接続を要求することができる。この接続要求には、上述の第1の実施の形態と同様に、端末40の接続先情報(APN)が含まれる。
【0072】
端末40から接続要求を受信したコアネットワーク10は、連携サーバ60にPLMN―IDの問合せを行う(735)。この問合せには、基地局装置30の識別子(セルID)と、端末40の接続先情報(APN)とが含まれる。
【0073】
コアネットワーク10からの問合せを受けた連携サーバ60は、端末40の接続先情報(APN)に対応するPLMN―IDを取得する(736)。そして、PLMN―IDに対応する事業者のアプリケーション50に対して、コアネットワークが必要な場所の情報を提供するとともに、そこでコアネットワークが必要であることを通知する(737)。
【0074】
通知を受けた事業者のアプリケーション50は、コアネットワーク10に対して、そのPLMN―IDに対応するコアネットワークを配置する要求を行う(738)。これにより、コアネットワーク10におけるネットワークスライスが、PLMN―IDに対応するコアネットワークとして配置される(739)。
【0075】
コアネットワーク10は、要求された接続先情報(APN)に対応するPLMN―IDの新たなコアネットワークが、ネットワークスライスという形で配置されたことを基地局装置30に対して通知する(741)。
【0076】
基地局装置30は、その事業者に対応する固有のネットワーク識別子をシステム情報に含めてブロードキャスト送信するようになる(744)。端末40は、通常の動作により、接続要求を送信する(745)。そして、接続要求に対する承認がコアネットワーク10から得られると(746)、端末40の接続が完了する。
【0077】
なお、この第2の実施の形態では、コアネットワーク配置要求受付機能510は、デフォルトのコアネットワーク10からコアネットワークの配置要求を受け付けることになる。そして、認証機能520は、デフォルトのコアネットワーク10との間の認証を行うことにより、コアネットワーク配置要求受付機能510によって受け付けられた配置要求が正当な配置要求であるか否かを判別する。この認証機能520における認証においては、端末40が接続要求をしたときのIMSI等のSIM情報に基づいて、その端末40の認証を行うことにより、デフォルトのコアネットワーク10が正当なものとみなすようにしてもよい。
【0078】
図7は、本技術の第2の実施の形態におけるネットワークスライス生成処理の一例を示す図である。
【0079】
上述のように(738)、アプリケーション50が、デフォルトのコアネットワーク10に対して、そのPLMN―IDに対応するネットワークを配置する要求を行うと、コアネットワーク10において以下のようにネットワークスライスが生成される。
【0080】
ネットワークコントロールファンクション16は、ネットワークスライスコントロールファンクション17に対してネットワークスライスの生成を要求する。これにより、ネットワークスライスコントロールファンクション17は、デフォルトのコアネットワーク10のネットワークスライス18とは別に、PLMN―IDに対応するコアネットワークとして新たなネットワークスライス19を生成する。
【0081】
[ネットワークスライス配置に必要な情報]
ここで、コアネットワーク10の中に新たにネットワークスライスを配置するために必要な情報の例を挙げる。
【0082】
まず、ブロードバンド用であるのか、IoT(Internet of Things)用であるのか、といったネットワークスライスのユースケースが挙げられる。また、スループット(例えば、Gbps/s)や、同時接続台数、といったネットワークスライスの容量に関する情報も有用である。また、パケットのカウント方法などの課金方法も考えられる。また、事業者が提供するデータネットワーク(APN)の場所をIPアドレスによって示す必要がある。また、これら以外にも、各詳細機能のオプションを選択できるようにする必要もある。
【0083】
このように、本技術の第2の実施の形態では、デフォルトのコアネットワーク10が存在している状態において、端末40はそのコアネットワーク10に接続要求を行う。したがって、PLMN―IDの問合せ等の機能をコアネットワーク10に設ければよいため、基地局装置30を変更する必要がなく、既設の基地局装置30をそのまま利用することができる。また、基地局装置30とコアネットワーク10との間の接続は既に確立しており、新たに接続を確立する手間を省くことができる。
【0084】
<3.第3の実施の形態>
基地局装置30を共用基地局として使用する場合、その使用許可は端末毎に行うことが望ましい。オペレータ間のローミングのような契約ベースの使用許可では、手続が煩雑になるからである。この第3の実施の形態では、端末毎に基地局装置30の使用許可を受ける例について説明する。なお、通信システムの全体構成については、上述の第1および第2の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0085】
図8は、本技術の第3の実施の形態におけるネットワークスライス生成処理の一例を示す図である。
【0086】
この第3の実施の形態では、デフォルトのコアネットワーク10の内部に、端末契約のためのアプリケーション15が配置されていることを想定する。この例は、第2の実施の形態を前提としているが、第1の実施の形態を前提としてもよい。
【0087】
端末40は、アプリケーション15を介して、基地局装置30を使用するための費用の支払い手続等を行う。基地局装置30を共用基地局として使用できるか否かの手続は、アプリケーション層(Application layer)において処理される。端末40のWeb画面等において支払いが完了すると、アプリケーション15は、連携サーバ60にPLMN―IDの問合せを行う。この問合せには、基地局装置30の識別子(セルID)と、端末40の接続先情報(APN)とが含まれる。また、認証機能520がデフォルトのコアネットワーク10との間の認証を行うために、端末40のIMSI等のSIM情報が送信される。これにより、端末40が希望するコアネットワークの配置を許可することができる。
【0088】
[動作]
図9は、本技術の第3の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【0089】
この例は、上述の第2の実施の形態を前提としたものであり、接続手続(753)およびアプリケーション層の契約手続(754)を明示している点以外は、既に説明したものと同様である。接続手続(753)は、従前のものと同様であり、端末40とコアネットワーク10との間で接続を行うために必要な処理が行われる。
【0090】
アプリケーション層における使用許可の契約手続(754)は、上述のアプリケーション15を介した支払い手続等である。端末40のWeb画面等において支払いが完了すると、コアネットワーク10のアプリケーション15は、連携サーバ60にPLMN―IDの問合せを行う(755)。
【0091】
このように、本技術の第3の実施の形態によれば、上述の第1および第2の実施の形態において、基地局装置30を共用基地局として使用するための使用許可を端末毎に行うことにより、手続を簡素化することができる。
【0092】
<4.第4の実施の形態>
上述の実施の形態では、端末40が移動して別の基地局装置のセルの範囲に入った場合には、上述の手順により新たにコアネットワークを作り直す必要がある。しかし、端末40が移動するたびに、同様の手順を繰り返してコアネットワークを配置するのは、時間を要し、また、処理が煩雑になり非効率である。そこで、この第4の実施の形態では、基地局装置をグループ化することにより、端末40が基地局装置の間を移動してもシームレスに無線の送受信を行うことができるようにする。
【0093】
[動作]
図10は、本技術の第4の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【0094】
この第4の実施の形態では、複数の基地局装置をグループ化して管理する。グループ内の複数の基地局装置は、所定の範囲内において何れかが互いに隣接して設置されることが望ましい。基地局装置の各々には、所属するグループを示すグループIDを付与しておく。コアネットワーク10は、グループ化された基地局装置のグループ情報を保持し、各グループに所属する基地局装置を把握している(770)。グループIDは、例えば、セルIDの中の上位ビットとして表現してもよい。
【0095】
基地局装置31は、デフォルトのコアネットワーク10のネットワーク識別子を、共用ネットワーク識別子としてシステム情報に含めて定期的にブロードキャスト送信している(771)。端末40は、デフォルトのコアネットワーク10のネットワーク識別子を用いて、コアネットワーク10に対して接続先情報(APN)を含む接続要求を送信する(772)。その後、接続手続(773)およびアプリケーション層の契約手続(774)が行われる。
【0096】
コアネットワーク10は、連携サーバ60にPLMN―IDの問合せを行う(775)。連携サーバ60は、端末40の接続先情報(APN)に対応するPLMN―IDを取得して(776)、コアネットワークの配置をアプリケーション50に要求する(777)。これに対し、アプリケーション50が、コアネットワーク10に対して、そのPLMN―IDに対応するコアネットワークを配置する要求を行う(778)。これにより、コアネットワーク10におけるネットワークスライスが、PLMN―IDに対応するコアネットワークとして配置される(779)。
【0097】
コアネットワーク10は、要求された接続先情報(APN)に対応するPLMN―IDの新たなコアネットワークが、ネットワークスライスという形で配置されたことを基地局装置に対して通知する(781)。その際、通知先となる基地局装置は、接続を提供する(Serving)基地局装置31だけではなく、近隣のグループ化されている基地局装置32も含めるようにする。これにより、基地局装置31および32は、その事業者に対応する固有のネットワーク識別子をシステム情報に含めてブロードキャスト送信するようになる(784)。したがって、端末40は、基地局装置31および32の間を移動しても、シームレスに無線の送受信を行うことができる。
【0098】
このように、本技術の第4の実施の形態によれば、基地局装置をグループ化することにより、端末40が基地局装置の間を移動した場合であっても、無線サービスが途切れないようにすることができる。
【0099】
<5.第5の実施の形態>
上述の第4の実施の形態では、基地局装置の使用許可を1回行えば、近隣のグループ化した全ての基地局装置を使うことが可能であった。しかし、近隣の基地局装置が、同じ持ち主のものとは限らないため、それぞれの基地局装置の使用許可が必要とされる場合がある。その際、同様の手順を繰り返して新たにコアネットワークを配置するのは、時間を要し、また、処理が煩雑になり非効率である。そこで、この第5の実施の形態では、コアネットワークの間で使用許諾のための手続を行うことにより、ネットワークスライスを利用したサービス提供の維持を図る。
【0100】
[動作]
図11は、本技術の第5の実施の形態における通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【0101】
一つの基地局装置31との接続を行うためのコアネットワーク10が既に配置されている状態を想定する(791)。その状態において、端末40が近隣の基地局装置32の範囲に移動した時に、移動先の基地局装置32を介して、移動先のデフォルトのコアネットワーク14と接続し(792、793)、アプリケーション層で使用許可の契約を結ぶ(794)。
【0102】
その後、端末40は、既に配置済みのコアネットワーク10の中のネットワークスライスの情報をコアネットワーク14に通知する(795)。通知を受けた移動先のコアネットワーク14は、近隣のコアネットワークの中に配置されたネットワークスライスを使用するための許可申請を要求し、その許可を貰う(796、797)。これにより、新たにネットワークスライスを作り直す必要がなく、迅速なコアネットワークのサービスを提供することができる。
【0103】
このように、本技術の第5の実施の形態によれば、コアネットワークの間で使用許諾のための手続を行うことにより、新たにネットワークスライスを作り直すことなく、コアネットワークのサービスを維持することができる。
【0104】
すなわち、これら本技術の実施の形態によれば、基地局装置を1台、配置することにより、世界中の何れのオペレータと契約した端末も、ネットワークに接続することができる。各オペレータは、端末が使用するときにはじめてネットワーク機能(コアネットワークまたはネットワークスライス)を配置すればよいため、低コストで運用することが可能となる。
【0105】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0106】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0107】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0108】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置と、
前記共用ネットワーク識別子を受信すると自身の接続先情報を利用して接続要求を行う通信装置と、
前記接続要求に関する前記接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子を取得して供給するサーバと、
前記供給された固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能を構成して配置するネットワーク構成装置と
を具備する通信システム。
(2)通信装置から提供された情報に対応する固有のネットワーク識別子を供給されて、その供給された固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能を構成して配置するネットワーク構成装置。
(3)前記通信装置から提供された前記情報は、その通信装置の接続先情報である
前記(2)に記載のネットワーク構成装置。
(4)前記接続先情報は、アクセスポイント名(APN)である
前記(2)または(3)に記載のネットワーク構成装置。
(5)前記固有のネットワーク識別子は、前記通信装置から提供された前記情報に対応するものとしてサーバから供給されたものである
前記(2)から(4)のいずれかに記載のネットワーク構成装置。
(6)前記通信装置から提供された前記情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置から前記サーバに提供されたものである
前記(2)から(5)のいずれかに記載のネットワーク構成装置。
(7)前記通信装置から提供された前記情報はSIM情報を含み、
前記SIM情報に基づいて前記基地局装置の正当性を認証する
前記(6)に記載のネットワーク構成装置。
(8)前記通信装置から提供された前記情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子に対応するネットワークから前記サーバに提供されたものである
前記(2)から(5)のいずれかに記載のネットワーク構成装置。
(9)前記通信装置から提供された前記情報はSIM情報を含み、
前記SIM情報に基づいて前記共用ネットワーク識別子に対応するネットワークの正当性を認証する
前記(8)に記載のネットワーク構成装置。
(10)前記固有のネットワーク識別子に基づいて配置される前記ネットワーク機能は、新たなコアネットワークである
前記(2)から(7)のいずれかに記載のネットワーク構成装置。
(11)前記新たなコアネットワークを配置すべき場所に関する情報を受け付ける
前記(10)に記載のネットワーク構成装置。
(12)前記新たなコアネットワークを配置すべき場所に関する情報は、共通に用いられる共用ネットワーク識別子を送信する基地局装置の場所に関する情報を含み、
前記新たなコアネットワークは、前記基地局装置の場所を基準として所定の距離に配置される
前記(11)に記載のネットワーク構成装置。
(13)前記固有のネットワーク識別子に基づいて配置される前記ネットワーク機能は、既存のコアネットワークの新たなネットワークスライスである
(2)から(5)、(8)および(9)のいずれかに記載のネットワーク構成装置。
(14)前記通信装置から前記情報が提供された後に、基地局装置を使用するために必要な使用許可手続をアプリケーション層により行う
(2)から(13)のいずれかに記載のネットワーク構成装置。
(15)前記使用許可手続は、前記基地局装置を使用するための費用の支払い手続を含む
前記(14)に記載のネットワーク構成装置。
(16)前記固有のネットワーク識別子に基づいてネットワーク機能が配置された後には、前記固有のネットワーク識別子は、同一グループの複数の基地局装置から送信される
前記(2)から(15)のいずれかに記載のネットワーク構成装置。
(17)前記複数の基地局装置は、所定の範囲内において何れかが互いに隣接して設置される
前記(16)に記載のネットワーク構成装置。
(18)複数のネットワーク機能が配置されている状態において、前記複数の基地局装置の間における他の基地局装置を使用するために必要な使用許可手続を、前記複数のネットワーク機能の間で行う
前記(16)または(17)に記載のネットワーク構成装置。
(19)通信装置の接続先情報とその接続先情報に対応する固有のネットワーク識別子とを関連付けて記憶する記憶部と、
ある通信装置から提供されたその接続先情報に対応する前記固有のネットワーク識別子を前記記憶部から取得して供給する供給部と
を備えるサーバ。
【符号の説明】
【0109】
10、14 コアネットワーク
11~13、18、19 ネットワークスライス
15 アプリケーション
16 ネットワークコントロールファンクション
17 ネットワークスライスコントロールファンクション
30~32 基地局装置
40 端末
50 アプリケーション
510 コアネットワーク配置要求受付機能
520 認証機能
530 コアネットワーク構成機能
60 連携サーバ
610 記憶部
620 供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11