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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】部品収容装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/06 20060101AFI20231212BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20231212BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20231212BHJP
   B65B 1/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65B1/06
H05K13/08 A
H05K13/02 D
B65B1/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021048934
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147614
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】小久貫 太一
(72)【発明者】
【氏名】玉村 真一
(72)【発明者】
【氏名】岩本 耕一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 敦
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073965(JP,A)
【文献】特開2009-295618(JP,A)
【文献】特開2009-267297(JP,A)
【文献】特開2009-164381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/06
B65B 1/04
H05K 13/02
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するケース内に複数の部品を前記開口から収容する部品収容装置であって、
複数の前記ケースのそれぞれが設置される複数の設置部と、
前記複数の設置部のそれぞれに対して、複数の電子部品を連続して搬送する複数の搬送部と、
前記搬送部と前記設置部との間に配置され、前記搬送部から、前記設置部に設置された前記ケースの前記開口に向けて部品を自重で落下させる排出部と、を備え、
前記搬送部は、振動により部品を搬送する振動搬送部と、前記振動搬送部と前記排出部との間に配置された無振動搬送部と、を含み、
前記無振動搬送部には、当該無振動搬送部を搬送される部品を検知する搬送部品検知部が併設されており、
前記ケースは、スライドすることにより前記開口を開閉するシャッター部材を有し、
前記設置部は、前記開口を上方に向けて前記ケースを保持可能な保持部と、前記シャッター部材を開閉する開閉機構と、を有する、部品収容装置。
【請求項2】
前記搬送部品検知部は、部品の形状を検知する形状検知部、部品の通過の有無を検知する通過検知部、部品の性能を検知する性能検知部、のうちの少なくともいずれか1つである、請求項1に記載の部品収容装置。
【請求項3】
前記ケースはRFIDタグを備え、
前記設置部は、当該設置部に設置される前記ケースの前記RFIDタグに対して情報の読み書きを行う情報読み書き部を備える、請求項1または2に記載の部品収容装置。
【請求項4】
前記情報読み書き部により、前記搬送部品検知部で検知された検知情報が前記RFIDタグに書き込まれる、請求項に記載の部品収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品等の電子部品をケースの中に収容する部品収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップ部品等の小型の電子部品を多数まとめて運搬するにあたっては、電子部品をバラの状態でまとめて収容する箱状のケースが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-295618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の部品をバラの状態で収容するケースは、一定の容積内に多数の部品を収容する収容効率の点で、キャリアテープ等よりも効率的である。効率化を促進する上では、そのようなケースの中に、多数の部品を自動的に収容できるとともに、部品管理を行うことができる装置が求められている。
【0005】
本発明は、ケースの中に多数の部品を自動的に収容できるとともに、部品管理を行うことができるような部品収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品収容装置は、開口を有するケース内に複数の部品を前記開口から収容する部品収容装置であって、複数の前記ケースのそれぞれが設置される複数の設置部と、前記複数の設置部のそれぞれに対して、複数の電子部品を連続して搬送する複数の搬送部と、前記搬送部と前記設置部との間に配置され、前記搬送部から、前記設置部に設置された前記ケースの前記開口に向けて部品を1つずつ自重で落下させる排出部と、を備え、前記搬送部は、振動により部品を搬送する振動搬送部と、前記振動搬送部と前記排出部との間に配置された無振動搬送部と、を含み、前記無振動搬送部には、当該無振動搬送部を搬送される部品を検知する搬送部品検知部が併設されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケースの中に多数の部品を自動的に収容できるとともに、部品管理を行うことができるような部品収容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るケースを斜め上側から見た斜視図であり、排出口が開いた状態を示す。
図2】実施形態に係るケースの内部状態を示す斜視図であり、排出口が開いた状態を示す。
図3】実施形態に係るケースの内部状態を示す斜視図であり、排出口が閉じた状態を示す。
図4】実施形態に係るケースを斜め下側から見た斜視図であり、排出口が閉じた状態を示す。
図5】実施形態に係る部品収容装置を模式的に示す平面図である。
図6】実施形態に係る部品収容装置の搬送部における振動搬送部から無振動搬送部に至る部分を示す側面図である。
図7】実施形態に係る排出部を模式的に示す一部断面図側面図である。
図8】実施形態に係るケース、及びケースが設置される設置部を示す一部断面側面図である。
図9】実施形態に係るケースが設置部に設置され、ケースの排出口が閉じた状態を示す一部断面側面図である。
図10】実施形態に係るケースが設置部に設置され、ケースの排出口が開口した状態を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1図4は、実施形態に係るケース1に関する図である。図5図10は、実施形態に係る部品収容装置200に関する図である。部品収容装置200は、ケース1内に複数の部品を自動的に収容する装置である。はじめに、ケース1について説明する。
【0010】
図1はケース1を斜め上側から見た斜視図である。ケース1は、その内部に、部品としての電子部品50(図2に図示)をバラの状態で収容する。ケース1は、フィーダ100に着脱可能にセットされる。なお、フィーダ100は、振動することにより、ケース1内から電子部品50を排出し、その電子部品50を不図示の実装装置に供給する装置である。本実施形態の電子部品50は、例えば長手方向の長さが1.2mm以下の微小な直方体状の電子部品である。そのような電子部品としては、コンデンサやインダクタ等が挙げられるが、本実施形態はこれらに限定されない。
【0011】
図2及び図3は、それぞれ後述する第2部材22を取り外したケース1の内部状態を示す斜視図である。図2は、電子部品50を排出する排出口6が開いた状態を示し、図3は、排出口6が閉じた状態を示す。排出口6は開口の一例である。図4は、ケース1を斜め下側から見た斜視図である。
【0012】
ケース1は、ケース本体2と、シャッター部材3と、シャッター部材3と一体のスライダ4と、RFIDタグ5と、を備える。
【0013】
ケース本体2は、第1部材21及び第2部材22を有する。ケース1は、第1部材21と、第2部材22とが合体されて接合されることにより、内部に収容空間Sが形成される容器である。ケース本体2は、天板部2Uと、底板部2Dと、前側壁部2Fと、後側壁部2Bと、第1部材21側の右側壁部2Rと、第2部材22側の左側壁部2Lと、を備える。ケース1の内部には、複数の電子部品50がバラの状態で収容される。
【0014】
なお、本明細書において、ケース1をフィーダ100にセットした状態で、鉛直方向の上下となる方向を、ケース1の上下方向とする。また、ケース1における、排出口6が設けられている側を前方、その逆側を後方とする。左側及び右側といった左右方向は、ケース1を前方から見たときの左右方向とする。第1部材21は右側にあり、第2部材22は左側にある。
前側壁部2F、後側壁部2B、右側壁部2R及び左側壁部2Lのそれぞれは、鉛直方向すなわち上下方向に延びる壁部である。天板部2U及び底板部2Dのそれぞれは、水平方向に延びる板部である。
【0015】
図1及び図4に示すように、ケース1は、左右対称に構成された第1部材21及び第2部材22が合体し、互いに接合されて構成される。すなわち第1部材21及び第2部材22のそれぞれは、左右に分割する半割体である。
【0016】
ケース本体2は、前側壁部2Fの下側に排出口6を有する。排出口6は、実施形態では四角形の開口部である。なお、排出口6は四角形に限定されず、例えば円形、楕円形状等の輪郭をもった開口部でもよい。
【0017】
図2に示すように、収容空間S内において、第1部材21と第2部材22との間に板部材7が延びている。板部材7の上面は、後方から前方の排出口6の下縁部6aに向かって延び、下縁部6a側が最も下側になるように傾斜した傾斜面7aとなっている。傾斜面7aの傾斜角度θは、ケース1がフィーダ100にセットされた状態で、水平方向に対して3°~10°が好ましく、5°~7°であればさらによい。
【0018】
図2に示すように、排出口6を開閉するシャッター部材3が、底板部2Dから前側壁部2Fにわたって連続して延びている。シャッター部材3は、自身の延在方向に沿ってスライドすることにより排出口6を開閉する。シャッター部材3は、底板部2Dから前側壁部2Fにわたって連続して延びており、その延在方向に沿ってスライド可能となっている。シャッター部材3は、細長い帯状のフィルム部材である。シャッター部材3は、例えばPET(Polyethylene terephthalate)等の、ある程度剛性を有し、かつ、湾曲可能な可撓性の材料からなる。シャッター部材3の幅は、排出口6の幅より若干大きく、排出口6を隙間なく覆うことができる幅を有する。
【0019】
シャッター部材3は、その前端部に、排出口6と略同形の開口部3aを有する。開口部3aと排出口6とが合致すると排出口6が開口する。シャッター部材3が排出口6を覆うと、排出口6はシャッター部材3により閉塞される。なお、開口部3aは排出口6と同形である必要はなく、排出口6を開口させる形状及び大きさを有していればよい。
【0020】
ケース本体2の前側壁部2Fにおける排出口6の上側には、ケース本体2の外側から内側に向かって窪んだ凹部61が設けられている。排出口6及び凹部61が設けられている部分の、前側壁部2Fの厚み方向すなわち左右方向の側面には、上下方向に延びる案内溝62が、左右一対の状態で設けられている。シャッター部材3の長手方向に延びる両側の部分のそれぞれが、左右の案内溝62に挿入される。シャッター部材3は、案内溝62に案内されて前側壁部2Fを上下方向にスライドする。
【0021】
図2及び図3に示すように、シャッター部材3の後端部には、円形の孔3bが設けられている。孔3bを利用してスライダ4がシャッター部材3と一体になるように取り付けられている。スライダ4は、直方体状の部材であり、図4に示すように、下方に開口する下側開口部4cを有するとともに、前端板部4d及び後端板部4eをそれぞれ有する。
【0022】
図2及び図3に示すように、スライダ4は、その上端部に、左右方向にそれぞれ延びるフランジ部4aを有する。スライダ4が、その上面に、凸部4bを有する。凸部4bは、シャッター部材3の孔3bに嵌合して上方に突き出しており、これによりスライダ4はシャッター部材3と一体となっている。
【0023】
図4に示すように、ケース1の底板部2Dには、上方に向かって窪んだ前後方向に長い凹部23が設けられている。凹部23の前面には、スリット24が設けられている。シャッター部材3の後端部は、スリット24を挿通している。シャッター部材3の後端部は、スリット24を通って凹部23の下面に沿って延びている。凹部23の下面には、窪み26a及び窪み26bが前後一対の状態に設けられている。スライダ4の凸部4bは、窪み26a及び窪み26bのそれぞれに嵌合可能となっている。
【0024】
凹部23が設けられている部分の、底板部2Dの左右方向の両側の面には、前後に延びる溝部25がそれぞれ設けられている。左右の溝部25のそれぞれにスライダ4の左右のフランジ部4aがそれぞれ挿通されている。フランジ部4aが溝部25に沿って前後に摺動することにより、スライダ4が前後方向にスライドする。このとき、スライダ4のスライド範囲は、凸部4bが前側の窪み26aに係合する位置と、後側の窪み26bに係合する位置との間である。
【0025】
図3に示すように、スライダ4の凸部4bが前側の窪み26aに嵌合しているとき、シャッター部材3の開口部3aは凹部61内に位置して排出口6と合致しない。このとき、排出口6の全体がシャッター部材3により閉塞され、電子部品50は排出口6から外部に排出されない。一方、シャッター部材3が後方にスライドして、図2に示すように凸部4bが後側の窪み26bに嵌合すると、シャッター部材3の開口部3aは排出口6と合致する。このとき、排出口6は開口し、電子部品50が排出口6から排出可能となる。
【0026】
図1及び図2に示すように、ケース本体2は、上側把持部10A及び後側把持部10Bを有する。上側把持部10Aは、ケース本体2の上側の前後両端に設けられた前後一対の窪みである。後側把持部10Bは、ケース本体2の後側の上下の両端に設けられた上下一対の窪みである。上側把持部10A及び後側把持部10Bのそれぞれは、例えばロボットハンドによりケース1を運搬する際などにおいて、そのロボットハンドに把持される。
【0027】
図1及び図2に示すように、ケース本体2における下部であって上記凹部23に概ね対応する位置に、左右に貫通する貫通孔9が設けられている。貫通孔9は、前後方向に延在するスリット状の孔である。貫通孔9の内部の上面に、前後方向に長い帯状のRFIDタグ5が貼着されて装着されている。RFIDタグ5は、送受信部、メモリ及びアンテナ等を有する公知の構成を備えるものである。図1に示すように、フィーダ100には、RFIDタグ5に対して非接触で情報を読み書きするリーダーライタ105が配置される。
【0028】
図1図4に示すように、さらにケース本体2は、底板部2Dの外面から下方に延びる爪部8及びT字スロット部13を有する。
【0029】
爪部8は、前側爪部8Aと、後側爪部8Bとを含む。前側爪部8A及び後側爪部8Bは同形状であって、上方から下方に向かって延び、下端が略90°後方に屈曲した側面視L字形状を有する板片である。なお、前側爪部8Aと後側爪部8Bとは同形状でなくてもよい。
【0030】
T字スロット部13は、前側T字スロット部13Aと、後側T字スロット部13Bとを含む。前側T字スロット部13A及び後側T字スロット部13Bは、いずれも正面視が逆T字形状の突起である。前側T字スロット部13Aは、前端部に先細り形状のテーパ部13cが形成されている。
【0031】
フィーダ100は、爪部8及びT字スロット部13のそれぞれが着脱可能に係合してケース1をフィーダ100にセット可能とする不図示の係合部を有する。当該係合部に爪部8及びT字スロット部13のそれぞれが係合してフィーダ100にケース1が着脱可能にセットされる。このようにフィーダ100にセットされたケース1においては、排出口6が開口した状態でフィーダ100が振動することにより、電子部品50が傾斜面7aを下って排出口6から排出される。排出された電子部品50は、上述したように実装装置に供給される。
【0032】
次に、図5図10を参照して実施形態に係る部品収容装置200について説明する。
図5は部品収容装置200の概要を示す平面図である。
【0033】
部品収容装置200は、上述したケース1内に複数の電子部品50を、排出口6を通って収容空間Sに自動的に収容する装置である。図5に示すように、実施形態に係る部品収容装置200は、複数のケース1のそれぞれが設置される複数の設置部240と、複数の設置部240のそれぞれに対して、複数の電子部品50を直線的に連続して搬送する複数の搬送部210と、搬送部210と設置部240との間に配置され、搬送部210から、設置部240に設置されたケース1の排出口6に向けて電子部品50を1つずつ自重で落下させる排出部230と、を備える。
【0034】
実施形態においては、3つの設置部240を備え、これら3つの設置部240のそれぞれに、排出部230及び搬送部210が設けられている。設置部240の数は3つに限定されず、少なくとも2つを備えていればよく、4つ以上を備えてもよい。以下の説明では、図5に示すように、搬送部210からケース1に至る電子部品50の経路に基づく搬送ラインを、第1搬送ライン210A、第2搬送ライン210B、第3搬送ライン210Cという場合がある。すなわち実施形態の部品収容装置200は、第1搬送ライン210A、第2搬送ライン210B及び第3搬送ライン210Cを含んでいる。
【0035】
はじめに搬送部210を説明する。実施形態の搬送部210は、振動により部品を搬送する振動搬送部211と、搬送部210の終端部に配置された無振動搬送部220と、を含む。振動搬送部211と無振動搬送部220とは連続して略水平に設置されており、その上面が電子部品50の搬送経路となっている。
【0036】
振動搬送部211は、搬送部210の主たる部分を占めており、不図示の振動機によって振動する。振動することにより、振動搬送部211は複数の電子部品50を排出部230に向けて矢印F方向に順次搬送する。電子部品50は、後続の電子部品50に押されながら振動搬送部211上を排出部230の方向に送られていく。
【0037】
無振動搬送部220は、振動搬送部211と排出部230との間に配置されている。振動搬送部211上を搬送される電子部品50は、無振動搬送部220上に移される。図6に示すように、電子部品50が移される無振動搬送部220の上面には、上流側から下流側に、3つの仕切り部221が間隔をあけて設けられている。仕切り部221のそれぞれは、不図示のアクチュエータ等により、上下動または側方に往復動することにより、無振動搬送部220の上側空間である電子部品50の通路を遮断したり開いたりする。図6は、無振動搬送部220上の通路を遮断した各仕切り部221により電子部品50が停止させられた状態を示している。
【0038】
仕切り部221が無振動搬送部220上の通路を遮断すると、電子部品50は仕切り部221で搬送が停止させられる。停止した1つの電子部品50は、無振動搬送部220の側方に併設された搬送部品検知部279により、電子部品50が検知される。搬送部品検知部279は、3つの仕切り部221に対応して、3つの部品検知部、すなわち第1部品検知部271、第2部品検知部272及び第3部品検知部273を含む。搬送部品検知部279については後述する。
【0039】
3つの排出部230は、3つの搬送部210における各無振動搬送部220の終端部に対応してそれぞれ配置されている。排出部230は、搬送部210により搬送された電子部品50を、設置部240に設置されたケース1の排出口6に1つずつ自重で落下させる部分である。
【0040】
図7に示すように、排出部230は、搬送部210の無振動搬送部220から電子部品50を受けるプレート212と、円筒部材231と、押下ピン236と、を備える。プレート212は、電子部品50を下方の円筒部材231に落下させる落下孔215を有する。電子部品50は、落下孔215を通って円筒部材231の内部に落下する。
【0041】
落下孔215を通過して落下する電子部品50は、漏斗形状を有する円筒部材231の内部を通過することにより、ケース1の排出口6に導かれる。円筒部材231は、上方に向かうにつれて内径が拡径する逆円錐状の上側筒部233と、上側筒部233の下端の中心から下方に延びる下側筒部234と、を有する。上側筒部233と下側筒部234とは一体である。落下孔215を通過する電子部品50は、上側筒部233の内側に落下して下側筒部234の内部に至り、下側筒部234の内部を通って落下する。電子部品50は、円筒部材231の内面232に接触しながら滑り落ちていく場合がある。
【0042】
摩擦によって生じる静電気によって電子部品50が電気的な破損を受けることを抑えるために、円筒部材231の少なくとも内面232は、導電性を有する金属等の導電性材料を含む材料で構成されていることが好ましい。また、電子部品50が円滑に滑り落ちるように、円筒部材231の内面232は平滑な低摩擦面であることが好ましく、例えばフッ素樹脂等の樹脂で表面加工されていることが好ましい。
【0043】
排出部230には、落下孔215から電子部品50を強制的に落下させる押下ピン236が設けられている。押下ピン236は、通過孔218と合致する落下孔215の上方位置に配置される。押下ピン236は上下方向に延びる棒状部材であり、不図示のアクチュエータ等によって上下方向に駆動される。押下ピン236が下方に駆動されると、落下孔215内の電子部品50が下方に押され、円筒部材231の内部に落下させられる。押下ピン236で押されることにより、電子部品50は落下孔215内に引っ掛かることなく確実に落下孔215から脱して落下する。
【0044】
なお、押下ピン236に代えて、または追加して、空気の流れで電子部品50を落下孔215から落下させる空気流発生部237を排出部230に設けてもよい。そのような空気流発生部237としては、例えば、電子部品50に上方から空気を吹き付けて落下させたり、あるいは側方から空気を吸引して電子部品50を落下させたりする機能を備えたもの等が挙げられる。
【0045】
さらに排出部230には、当該排出部230を通る電子部品50の経路を清浄化する清浄部238が設けられている。詳しくは、清浄部238は押下ピン236の上方に配置され、空気を吸入する空気吸入機構で構成される。清浄部238により空気が吸入されることにより、落下孔215及び円筒部材231の内部である電子部品50の経路の空気が吸入される。これにより、当該経路に存在する破片や塵埃等が清浄部238に吸入されて清浄化される。
なお、清浄部238は、空気を噴出して破片や塵埃等を吹き飛ばすことにより電子部品50の経路を清浄化するものでもよい。その場合、ケース1内に破片や塵埃等が入り込むことを防ぐために、シャッター部材3により排出口6を閉じた状態で作動させるとよい。
【0046】
図8は、設置部240にケース1が設置された状態を示している。ケース1は、排出部230から排出される電子部品50が排出口6に落下するように位置決めされた状態で設置部240に設置される。ケース1は、ケース1の前後方向を鉛直方向に沿った状態、すなわち縦置きの状態に設置部240に設置される。
【0047】
設置部240は、壁部241と、壁部241にケース1を縦置きの状態に保持する保持部250と、ケース1のシャッター部材3を開閉する開閉機構260と、を有する。
【0048】
壁部241は、略鉛直方向に沿った面である壁面241aを有する。
保持部250は、壁面241aから突出する上下一対のフック部、すなわち上側フック部251と、下側フック部252と、を含む。上側フック部251及び下側フック部252は同形状であって、先端が略90°上方に屈曲した側面視L字形状を有する板片である。図9に示すように、上側フック部251にケース1の前側爪部8Aが上方から着脱可能に係合し、下側フック部252にケース1の後側爪部8Bが上方から着脱可能に係合する。これにより、ケース1は、排出口6が上方に向き、かつ前後方向すなわち長さ方向が壁面241aに沿って上下方向に延びる縦置きの状態で保持部250に着脱可能に保持される。ケース1の底板部2Dが、隙間をおいて壁面241aと平行に対向する。
【0049】
壁部241には、上下方向に延在して壁面241a側に開口する凹所242が形成されている。この凹所242内に、シャッター部材3をスライドさせる開閉機構260が配置されている。開閉機構260は、凹所242の底面に沿って上下方向に移動可能に設けられた駆動ピン261を有する。駆動ピン261の先端部は、壁面241aから突出している。駆動ピン261は、例えば凹所242の底面に設けられたガイド溝に沿って上下方向に移動可能に支持され、アクチュエータ等により上下方向に往復駆動される。壁部241の凹所242には、RFIDタグ5に対して非接触で情報を読み書きするリーダーライタ243が配置されている。リーダーライタ243は、情報読み書き部の一例である。なお、上側フック部251と下側フック部252とは同形状でなくてもよい。
【0050】
図9に示すように、保持部250に保持されたケース1のスライダ4に、駆動ピン261が係合する。図9に示すケース1のシャッター部材3は、前方(図9では上方)にスライドしてスライダ4の凸部4bが前側の窪み26aに嵌合しており、排出口6がシャッター部材3により閉塞されている。一方、駆動ピン261は、上方に移動している。駆動ピン261が上方に位置しているときに、排出口6がシャッター部材3で閉塞されているケース1を保持部250に保持すると、駆動ピン261は、図4に示したスライダ4の下側開口部4cに挿入され、前端板部4dと後端板部4eとの間に位置付けられる。
【0051】
この状態から図9において駆動ピン261が下方に移動すると、駆動ピン261はスライダ4の後端板部4eに接触し、スライダ4を下方に押してスライドさせる。スライダ4が下方にスライドすることにより、シャッター部材3はケース1における後方にスライドする。すると、図10に示すように、スライダ4の凸部4bが後側の窪み26bに嵌合し、シャッター部材3の開口部3aがケース1の排出口6に合致して排出口6が開口する。この状態から駆動ピン261が上方に戻ると、駆動ピン261はスライダ4の前端板部4dに接触し、スライダ4を上方に押してスライドさせる。スライダ4が上方にスライドすることによりシャッター部材3はケース1における前方にスライドし、図9に示すように凸部4bが前側の窪み26aに嵌合し、開口部3aがシャッター部材3で閉じられる。
【0052】
実施形態の部品収容装置200は、搬送部210から設置部240に設置されたケース1の排出口6までの間の電子部品50の経路の任意の位置において電子部品50を検知する部品検知部270を備える。実施形態の部品検知部270は、図5に示した第1部品検知部271、第2部品検知部272及び第3部品検知部273を含む搬送部品検知部279と、図7に示した排出部230に設けられた第4部品検知部274と、を含む。
【0053】
第1部品検知部271、第2部品検知部272及び第3部品検知部273のそれぞれは、電子部品50に関する任意の事項について検知する。第1部品検知部271は、例えば電子部品50が通過したことを検知し、電子部品50の通過数をカウントする通過検知部としてのカウンターの機能を有する。第2部品検知部272は、例えば電子部品50の形状を検知し、検知した形状から電子部品50に形状的な欠陥があるか否かを検知する形状検知部としてのイメージセンサである。第3部品検知部273は、例えば電子部品50の性能を検知する性能検知部として機能する。当該性能検知部は、例えば電子部品50がコンデンサである場合、機能としての静電容量が規定値を有しているか否かを検知する静電容量センサ等が適用される。
【0054】
第4部品検知部274は、円筒部材231の上流側と下流側のそれぞれの位置に配置された上流側通過検知部275と、下流側通過検知部276と、を含む。上流側通過検知部275は、円筒部材231の上流側であって、落下孔215を通過して円筒部材231に入る電子部品50の通過数をカウントする通過検知部としてのカウンターの機能を有する。上流側通過検知部275は、発光素子275a及び受光素子275bで構成される公知の光センサが用いられる。下流側通過検知部276は、円筒部材231の下流側であって、円筒部材231を通過してケース1の排出口6に入る電子部品50の通過数をカウントする通過検知部としてのカウンターの機能を有する。下流側通過検知部276も上流側通過検知部275と同様であって、発光素子276a及び受光素子276bで構成される公知の光センサが用いられる。なお、光センサとしては、発光した光の反射を対象物から受光する形式であって、発光素子及び受光素子が分離せず一体となったものでもよい。
【0055】
以上の実施形態に係る部品収容装置200によれば、次のようにして電子部品50がケース1に収容される。
【0056】
電子部品50は、搬送部210において振動搬送部211上を振動により排出部230の方向に連続的に搬送される。振動搬送部211から無振動搬送部220に移った電子部品50は後続の電子部品50に押されて排出部230の方向に搬送されるが、搬送途中において3つの仕切り部221で停止させられながら搬送される。各仕切り部221で停止させられるたびに、第1部品検知部271、第2部品検知部272及び第3部品検知部273により、電子部品50は検知される。
【0057】
第1部品検知部271では、例えば搬送される電子部品50の数がカウントされる。第2部品検知部272では、例えば電子部品50の形状を検知し、検知した形状から電子部品50に形状的な欠陥があるか否かが検知される。第3部品検知部273では、例えば電子部品50の性能が検知される。
【0058】
無振動搬送部220を通過した電子部品50はプレート212上に移り、落下孔215に達すると、下降する押下ピン236に押されながら落下孔215を落下する。落下孔215を通過した電子部品は円筒部材231の内部に落下し、さらに円筒部材231内を落下してケース1の排出口6からケース1内に落下して収容される。このとき、第4部品検知部274の上流側通過検知部275により、落下孔215から落下した電子部品50が円筒部材231に入ることが検知され、下流側通過検知部276により、円筒部材231から落下した電子部品50がケース1内に入ることが検知される。
【0059】
以上の動作が連続的に行われて、複数の電子部品50が複数(3つ)のケース1内に収容される。無振動搬送部220を搬送中において第1部品検知部271により電子部品50の搬送数がカウントされる。また、上流側通過検知部275及び下流側通過検知部276を含む第4部品検知部274により、落下孔215から落下して最終的にケース1内に収容された電子部品50の数がカウントされる。各ケース1内に収容された電子部品50の数が所定数に到達すると搬送部210による電子部品50の搬送が中断され、設置部240へ新たな空のケース1が付け替えられた後、ケース1への電子部品50の収容が再開される。
なお、複数の搬送ライン、すなわち第1搬送ライン210A、第2搬送ライン210B及び第3搬送ライン210Cでの上記連続動作においては、各ラインを独立で制御することが望ましいが、複数の搬送ラインの動作を同期して制御してもよい。
【0060】
実施形態に係る部品収容装置200においては、設置部240にケース1が設置された際に、各種の情報をリーダライタ243によりケース1のRFIDタグ5に書き込むことができる。書き込む情報としては、例えば、設置されたケース1のケース番号、装置自身の装置番号、設置された搬送ラインのライン番号、該当する搬送ラインの故障履歴、電子部品50のロット番号、部品収容装置200が配備される工場番号、製造に関する日付(製造日、ケース1への収容日等)、ベンダー番号等が挙げられる。
【0061】
以上説明した実施形態に係る部品収容装置200によれば、以下の効果が奏される。
【0062】
(1)実施形態に係る部品収容装置200は、開口を有するケース内に複数の部品を前記開口から収容する部品収容装置であって、複数のケース1のそれぞれが設置される複数の設置部240と、複数の設置部240のそれぞれに対して、複数の電子部品50を連続して搬送する複数の搬送部210と、搬送部210と設置部240との間に配置され、搬送部210から、設置部240に設置されたケース1の排出口6に向けて電子部品50を1つずつ自重で落下させる排出部230と、を備え、搬送部210は、振動により電子部品50を搬送する振動搬送部211と、振動搬送部211と排出部230との間に配置された無振動搬送部220と、を含み、無振動搬送部220には、当該無振動搬送部220を搬送される電子部品50を検知する搬送部品検知部279が併設されている。
【0063】
これにより、ケース1の中に多数の電子部品50を短時間で自動的に収容できるとともに、搬送部品検知部279による部品検知により部品管理を行うことができる。
無振動状態の電子部品50を搬送部品検知部279により検知するため、電子部品50を高精度で検知することができる。
【0064】
(2)実施形態に係る部品収容装置200において、ケース1は、スライドすることにより排出口6を開閉するシャッター部材3を有し、設置部240は、排出口6を上方に向けてケース1を保持可能な保持部250と、シャッター部材3を開閉する開閉機構260と、を有することが好ましい。
【0065】
ケース1は、排出口6が上方に向いた状態で設置部240の保持部250に保持されるため、排出口6から電子部品50がケース1内に円滑に収容されるとともに、排出口6から電子部品50が重力により出てしまうことがなく、所定数の電子部品50を確実に収容することができる。
保持部250に保持した状態で、開閉機構260によりシャッター部材3をスライドさせてケース1の排出口6を容易に開閉することができる。排出口6をシャッター部材3で閉じた状態で保持部250からケース1から取り外すようにすることにより、取り外しの際に電子部品50が排出口6から不用意にこぼれ出ることを防ぐことができる。
【0066】
(3)実施形態に係る部品収容装置200において、搬送部品検知部279は、電子部品50の形状を検知する形状検知部、部品の通過の有無を検知する通過検知部、部品の性能を検知する性能検知部、のうちの少なくともいずれか1つであることが好ましい。
【0067】
これにより、ケース1内に収容する電子部品50の形状や性能を検知して不良品の収容を回避できたり、電子部品50の数を検知して所望数の電子部品50をケース1に的確に収容できたりする。
【0068】
(4)実施形態に係る部品収容装置200において、ケース1はRFIDタグ5を備え、設置部240は、当該設置部240に設置されるケース1のRFIDタグ5に対して情報の読み書きを行う情報読み書き部としてのリーダライタ243を備えることが好ましい。
【0069】
これにより、ケース1を設置部240に設置した状態でRFIDタグ5を読み取ることにより、ケース1やケース1内の電子部品50に関する情報を把握することができ、ケース1内に電子部品50を収容しながら部品管理を行うことができる。
【0070】
(5)実施形態に係る部品収容装置200において、リーダライタ243により、搬送部品検知部279で検知された検知情報がRFIDタグ5に書き込まれることが好ましい。
【0071】
これにより、RFIDタグ5を読み取ることでケース1内の電子部品50の検知情報を把握することができる。
【0072】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 ケース
3 シャッター部材
5 RFIDタグ
6 排出口(開口)
50 電子部品(部品)
200 部品収容装置
210 搬送部
211 振動搬送部
220 無振動搬送部
230 排出部
240 設置部
243 リーダライタ(情報読み書き部)
250 保持部
260 開閉機構
271 第1部品検知部(通過検知部)
272 第2部品検知部(形状検知部)
273 第3部品検知部(性能検知部)
274 通過検知部
279 搬送部品検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10