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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像光生成モジュール及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20231212BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20231212BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20231212BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231212BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231212BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20231212BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20231212BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231212BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231212BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G02B27/02 Z
G03B21/00 D
G09F9/00 312
G09F9/00 360D
G09F9/30 365
H04N5/64 511A
H05B33/12 A
H05B33/14 A
H10K50/10
H10K59/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021074102
(22)【出願日】2021-04-26
(62)【分割の表示】P 2019175888の分割
【原出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021131549
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 英利
(72)【発明者】
【氏名】濱出 唯芽
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-062108(JP,A)
【文献】特開2018-128683(JP,A)
【文献】特開2018-205451(JP,A)
【文献】特開2000-227578(JP,A)
【文献】特開2010-118273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0096970(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109860223(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
G09F 9/00
G09F 9/30
H10K 50/10
H10K 59/10
H05B 33/12
H04N 5/64
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1画素が設けられ、偏光特性を有していない赤色波長域の第1画像光を射出する第1パネルと、
複数の第2画素が設けられ、偏光特性を有していない緑色波長域の第2画像光を射出する第2パネルと、
複数の第3画素が設けられ、偏光特性を有していない青色波長域の第3画像光を射出する第3パネルと、
前記第1画像光、前記第2画像光、および前記第3画像光が合成された合成光を射出する色合成プリズムと、を備え、
平面視において、前記複数の第1画素の各々における第1開口の大きさ、前記複数の第2画素の各々における第2開口の大きさ、および前記複数の第3画素の各々における第3開口の大きさ、はそれぞれ異なり、かつ、隣り合う前記第1開口間の距離、隣り合う前記第2開口間の距離、隣り合う前記第3開口間の距離、はそれぞれ異な
平面視において、前記第1開口の大きさは、前記第2開口の大きさより小さく、かつ、前記第2開口の大きさは、前記第3開口の大きさより小さい、
ことを特徴とする画像光生成モジュール。
【請求項2】
複数の第1画素が設けられ、偏光特性を有していない赤色波長域の第1画像光を射出する第1パネルと、
複数の第2画素が設けられ、偏光特性を有していない緑色波長域の第2画像光を射出する第2パネルと、
複数の第3画素が設けられ、偏光特性を有していない青色波長域の第3画像光を射出する第3パネルと、
前記第1画像光、前記第2画像光、および前記第3画像光が合成された合成光を射出する色合成プリズムと、を備え、
平面視において、前記複数の第1画素の各々における第1開口の大きさ、前記複数の第2画素の各々における第2開口の大きさ、および前記複数の第3画素の各々における第3開口の大きさ、はそれぞれ異なり、かつ、隣り合う前記第1開口間の距離、隣り合う前記第2開口間の距離、隣り合う前記第3開口間の距離、はそれぞれ異なり、
平面視において、隣り合う前記第1開口間の距離は、隣り合う前記第2開口間の距離より大きい、かつ、隣り合う前記第2開口間の距離は、隣り合う前記第3開口間の距離より大きい、
ことを特徴とする画像光生成モジュール。
【請求項3】
前記色合成プリズムは前記合成光を射出する射出面を有し、
前記射出面からみた平面視において、
前記第1パネルの第1画素から射出された第1画素光と、
前記第2パネルの第2画素から射出された第2画素光と、
前記第3パネルの第3画素から射出された第3画素光とは、各々の少なくとも一部が重なる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像光生成モジュール。
【請求項4】
前記色合成プリズムは前記合成光を射出する射出面を有し、
前記射出面を平面視した状態において、
前記第1画素から射出された第1画素光の前記第1画素の中心を通る第1中心軸と、
前記第2画素から射出された第2画素光の前記第2画素の中心を通る第2中心軸と、
前記第3画素から射出された第3画素光の前記第3画素の中心を通る第3中心軸とは、互いに一致する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像光生成モジュール。
【請求項5】
前記第1パネル、前記第2パネル、および前記第3パネルにおける画素ピッチは同一である
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像光生成モジュール。
【請求項6】
前記第1パネル、前記第2パネル、および前記第3パネルは有機ELパネルである
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像光生成モジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像光生成モジュールを備える
ことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像光生成モジュール及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に、青色光を射出する第1表示ユニットと、緑色光を射出する第2表示ユニットと、赤色光を射出する第3表示ユニットと、各表示ユニットから射出される光を合成するクロスダイクロイックプリズムと、を備えた画像光生成モジュールが開示されている。この画像光生成モジュールにおいて、各表示ユニットは、液晶パネルと、各色光のバックライトとしての有機ELパネルとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-275732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記表示ユニットを有機ELパネルのみで構成することも考えられる。すなわち、各色光を射出する3つの有機ELパネルとダイクロイックプリズムとを用いて白色の合成光を射出する画像光生成モジュールを構成することが考えられる。
【0005】
しかしながら、一般的に有機EL素子の寿命特性は、発光材料や素子構成に大きく依存するため、3色の有機ELパネルを使用すると、パネル毎に寿命特性が異なることが想定される。このようにパネル毎に寿命差が生じると色毎の劣化速度に差が出てしまう。すると、画像光生成モジュールから射出される白色光に経時的な劣化に伴う色ズレが生じ、表示画像の品質が低下してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様の画像光生成モジュールは、偏光特性を有していない赤色波長域の第1画像光を射出する第1パネルと、偏光特性を有していない緑色波長域の第2画像光を射出する第2パネルと、偏光特性を有していない青色波長域の第3画像光を射出する第3パネルと、前記第1画像光、前記第2画像光、および前記第3画像光が合成された合成光を射出する色合成プリズムと、を備え、前記第1パネル、前記第2パネル、および前記第3パネルは、複数の画素が設けられた表示領域をそれぞれ有しており、前記第1パネル、前記第2パネル、および前記第3パネルの画素開口率はそれぞれ異なることを特徴とする。
【0007】
上記画像光表示モジュールにおいて、前記色合成プリズムは前記合成光を射出する射出面を有し、前記射出面を平面視した状態において、前記第1パネルの第1画素から射出された第1画素光と、前記第2パネルの第2画素から射出された第2画素光と、前記第3パネルの第3画素から射出された第3画素光とは、各々の少なくとも一部が重なる構成としてもよい。
【0008】
上記画像光表示モジュールにおいて、前記色合成プリズムは前記合成光を射出する射出面を有し、前記射出面を平面視した状態において、前記第1パネルの第1画素から射出された第1画素光の前記第1画素の中心を通る第1中心軸と、前記第2パネルの第2画素から射出された第2画素光の前記第2画素の中心を通る第2中心軸と、前記第3パネルの第3画素から射出された第3画素光の前記第3画素の中心を通る第3中心軸とは、互いに一致する構成としてもよい。
【0009】
上記画像光表示モジュールにおいて、前記第1パネル、前記第2パネル、および前記第3パネルにおける画素ピッチは同一である構成としてもよい。
【0010】
上記画像光表示モジュールにおいて、前記第1パネル、前記第2パネル、および前記第3パネルは有機ELパネルである構成としてもよい。
【0011】
本発明の第2態様の画像表示装置は、上記第1態様の画像光生成モジュールを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の画像光生成モジュールの概略構成図である。
図2】第1発光素子の構成を示す断面図である。
図3】各パネルの画素構造の要部を比較して示した拡大図である。
図4】比較例の画像光生成モジュールに関する特性を示す表である。
図5】本実施形態の画像光生成モジュールに関する特性を示す表である。
図6】ダイクロイックプリズムの射出面を平面視した図である。
図7A】画素光における重ね方の変形例を示す図である。
図7B】画素光における重ね方の変形例を示す図である。
図7C】画素光における重ね方の変形例を示す図である。
図7D】画素光における重ね方の変形例を示す図である。
図8】第2実施形態の頭部装着型表示装置の説明図である。
図9】虚像表示部の光学系の構成を模式的に示す斜視図である。
図10】光学系の光路を示す説明図である。
図11】第3実施形態の投射型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の画像光生成モジュールの概略構成図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0014】
第1実施形態の画像光生成モジュールは、例えば、有機ELパネル等の偏光特性を有していない画像光を射出する複数のパネルからの複数の色光を合成して射出するモジュールである。
【0015】
図1に示すように、画像光生成モジュール1は、第1パネル10と、第2パネル20と、第3パネル30と、ダイクロイックプリズム50(色合成プリズム)と、を備えている。第1パネル10は、複数の画素がマトリクス状に設けられた第1表示領域111と、非表示領域112と、を備えている。複数の画素の各々には、第1発光素子15が設けられている。第2パネル20は、複数の画素がマトリクス状に設けられた第2表示領域211と、非表示領域212と、を備えている。複数の画素の各々には、第2発光素子25が設けられている。第3パネル30は、複数の画素がマトリクス状に設けられた第3表示領域311と、非表示領域312と、を備えている。複数の画素の各々には、第3発光素子35が設けられている。
【0016】
本実施形態において、第1パネル10の第1表示領域111に設けられた複数の第1発光素子15は、赤色光を射出する。同様に、第2パネル20の第2表示領域211に設けられた複数の第2発光素子25は、緑色光を射出する。同様に、第3パネル30の第3表示領域311に設けられた複数の第3発光素子35は、青色光を射出する。本実施形態において、第1発光素子15、第2発光素子25、および第3発光素子35の各々は、トップエミッション型の有機EL素子から構成されている。すなわち、第1パネル10、第2パネル20、および第3パネル30は有機ELパネルで構成されている。
【0017】
以下、第1パネル10、第2パネル20、および第3パネル30の構成について説明する。第1パネル10、第2パネル20、および第3パネル30のそれぞれは、有機EL材料からなる発光層および輸送層の材料は異なるものの、パネルの基本構成は同一である。したがって、以下では第1パネル10を代表して、パネルの基本構成について説明する。
【0018】
図2は、第1パネル10の一つの第1発光素子15の構成を示す断面図である。
図2に示すように、第1パネル10は、反射電極72、陽極73、発光機能層74、陰極75、封止膜76、カラーフィルター77およびカバーガラス78を有している。具体的に基板71の一面には、基板71側から順に、反射電極72、陽極73、発光機能層74および陰極75が設けられている。基板71は、例えばシリコン等の半導体材料で構成されている。反射電極72は、例えばアルミニウムや銀等を含有する光反射性の導電材料で構成されている。より具体的には、反射電極72は、例えばアルミニウムや銀などの単体材料で構成されていてもよいし、チタン(Ti)/AlCu(アルミニウム・銅合金)の積層膜などで構成されていてもよい。
【0019】
陽極73は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性を有する導電性材料で構成されている。発光機能層74は、図示を省略するが、有機EL材料を含む発光層、正孔注入層、電子注入層等を含む複数の層で構成されている。発光層は、発光色に応じた周知の有機EL材料により構成されている。なお、発光層が発光する光は蛍光或いはりん光のいずれでもよい。
【0020】
陰極75は、一部の光を透過し、残りの光を反射する性質(半透過反射性)を有する半透過反射層として機能する。半透過反射性を有する陰極75は、例えば銀やマグネシウムを含有する合金などの光反射性の導電材料を充分に薄い膜厚に形成することで実現できる。発光機能層74からの射出光は、反射電極72と陰極75との間で往復する間に特定の共振波長の成分が選択的に増幅され、陰極75を透過して観察側(基板71とは反対側)に射出される。すなわち、反射電極72から陰極75までの複数の層によって光共振器80が構成される。
【0021】
反射電極72から陰極75までの複数の層は、封止膜76によって覆われている。封止膜76は、外気や水分の侵入を防止するための膜であって、光透過性を有する無機材料や有機材料の単層または複数層で構成されている。封止膜76の一面に、カラーフィルター77が設けられている。
【0022】
第1パネル10において、カラーフィルター77は、赤色波長域以外の波長域の光を吸収し、赤色波長域の光を透過する光吸収型のフィルター層で構成されている。同様に、第2パネル20におけるカラーフィルター77は、緑色波長域以外の波長域の光を吸収し、緑色波長域の光を透過する光吸収型のフィルター層で構成されている。第3パネル10におけるカラーフィルター77は、青色波長域以外の波長域の光を吸収し、青色波長域の光を透過する光吸収型のフィルター層で構成されている。
【0023】
本実施形態では、第1パネル10、第2パネル20および第3パネル30のそれぞれが光共振器80を備えているため、共振波長での光の共振によって各色に対応した光が射出される。さらに、光共振器80の光射出側にカラーフィルター77が設けられているため、各パネル10,20,30から射出される光の色純度がより高められる。なお、カラーフィルター77は、発光機能層74から射出される光の波長域によっては省略してもよい。
【0024】
カラーフィルター77の一面に、各パネル10,20,30を保護するためのカバーガラス78が設けられている。
【0025】
図1に示すように、第1パネル10は、赤色波長域の第1画像光LRを射出する。したがって、第1パネル10から射出された画像光は、赤色波長域の第1画像光LRとしてダイクロイックプリズム50に入射する。第2パネル20は、緑色波長域の第2画像光LGを射出する。したがって、第2パネル20から射出された画像光は、緑色波長域の第2画像光LGとしてダイクロイックプリズム50に入射する。第3パネル30は、青色波長域の第3画像光LBを射出する。したがって、第3パネル30から射出された画像光は、青色波長域の第3画像光LBとしてダイクロイックプリズム50に入射する。
【0026】
赤色波長域のピーク波長は、例えば630nm以上、かつ680nm以下である。緑色波長域のピーク波長は、例えば495nm以上、かつ570nm以下である。青色波長域のピーク波長は、例えば450nm以上、かつ490nm以下である。第1画像光LR、第2画像光LG、および第3画像光LBのそれぞれは、偏光特性を有していない。すなわち、第1画像光LR、第2画像光LG、および第3画像光LBのそれぞれは、特定の振動方向を有していない無偏光の光である。なお、無偏向の光、すなわち偏光特性を有していない光は、完全に無偏光の状態ではなく、ある程度の偏光成分は含まれているが、例えばダイクロイックミラー等の光学部品に対して光学性能には積極的に影響を及ぼさないとみなされる範囲の偏光度、例えば20%以下の偏光度を有する光のことである。
【0027】
ダイクロイックプリズム50は、四角柱状の形状をなす透光性部材から構成されている。ダイクロイックプリズム50は、第1入射面51と、第1入射面51に対向する第3入射面53と、第1入射面51および第3入射面53と垂直に接する第2入射面52と、第2入射面52に対向する射出面54と、を有する。
【0028】
ダイクロイックプリズム50は、偏光分離特性を有していない第1ダイクロイックミラー56と、偏光分離特性を有していない第2ダイクロイックミラー57と、を有する。第1ダイクロイックミラー56と第2ダイクロイックミラー57とは、互いに90°の角度で交差している。第1ダイクロイックミラー56は、第1画像光LRを反射し、第2画像光LGおよび第3画像光LBを透過する特性を有する。第2ダイクロイックミラー57は、第3画像光LBを反射し、第1画像光LRおよび第2画像光LGを透過する特性を有する。
【0029】
第1パネル10は、第1入射面51に対向して配置されている。第2パネル20は、第2入射面52に対向して配置されている。第3パネル30は、第3入射面53に対向して配置されている。本実施形態では、第1パネル10は、第1入射面51に透光性を有する接着剤層17により固定されている。第2パネル20は、第2入射面52に透光性を有する接着剤層17により固定されている。第3パネル30は、第3入射面53に透光性を有する接着剤層17により固定されている。
【0030】
本実施形態の画像光生成モジュール1は、第1画像光LR、第2画像光LGおよび第3画像光LBを合成した合成画像光LLをダイクロイックプリズム50の射出面54から射出する。
【0031】
続いて、各パネル10,20,30の画素構造について説明する。
図3は各パネル10,20,30の画素構造の要部を比較して並べて示した拡大図である。なお、図3では、図を見易くするため、各パネル10,20,30の画素構造を構成する複数の画素のうちの一部を拡大した図を上下方向に沿って並べている。
【0032】
図3に示すように、第1パネル10の第1表示領域111には矩形状を有する複数の画素111aがマトリクス状に設けられている。各画素111aは同じ大きさを有しており、各々が所定の画素ピッチP1で配置されている。ここで、画素ピッチP1とは、例えば、画素111a毎にカラーフィルター77(図2参照)が分割して形成される場合、隣り合う2つの画素111aの一方の画素に設けられたカラーフィルター77の中心と、他方の画素に設けられたカラーフィルター77の中心との距離で規定される。
あるいは、カラーフィルター77が複数の画素111a間に共通に設けられることで分割して形成されない場合、画素ピッチP1は、隣り合う2つの画素111aの一方の画素に設けられた光共振器80(図2参照)の中心と、他方の画素に設けられた光共振器80の中心との距離で規定される。
【0033】
各画素111aは第1画像光LRの一部を構成する第1画素光LR1を発光する。各画素111aは第1画素光LR1を射出する開口113を含む。以下、画素111a全体に占める開口113の割合を画素111aにおける画素開口率と称す。第1発光素子15は画素開口率に応じた面積を有している。
【0034】
また、第2パネル20の第2表示領域211には矩形状を有する複数の画素211aがマトリクス状に設けられている。各画素211aは同じ大きさを有しており、各々が所定の画素ピッチP2で配置されている。ここで、画素ピッチP2とは、例えば、画素211a毎にカラーフィルター77(図2参照)が分割して形成される場合、隣り合う2つの画素211aの一方の画素に設けられたカラーフィルター77の中心と、他方の画素に設けられたカラーフィルター77の中心との距離で規定される。
あるいは、カラーフィルター77が複数の画素211a間に共通に設けられることで分割して形成されない場合、画素ピッチP2は、隣り合う2つの画素211aの一方の画素に設けられた光共振器80(図2参照)の中心と、他方の画素に設けられた光共振器80の中心との距離で規定される。
【0035】
各画素211aは第2画像光LGの一部を構成する第2画素光LG1を発光する。各画素211aは第2画素光LG1を射出する開口213を含む。以下、各画素211a全体に占める開口213の割合を画素211aにおける画素開口率と称す。第2発光素子25は画素開口率に応じた面積を有している。
【0036】
また、第3パネル30の第3表示領域311には矩形状を有する複数の画素311aがマトリクス状に設けられている。各画素311aは同じ大きさを有しており、各々が所定の画素ピッチP3で配置されている。ここで、画素ピッチP3とは、例えば、画素311a毎にカラーフィルター77(図2参照)が分割して形成される場合、隣り合う2つの画素311aの一方の画素に設けられたカラーフィルター77の中心と、他方の画素に設けられたカラーフィルター77の中心との距離で規定される。
あるいは、カラーフィルター77が複数の画素311a間に共通に設けられることで分割して形成されない場合、画素ピッチP3は、隣り合う2つの画素311aの一方の画素に設けられた光共振器80(図2参照)の中心と、他方の画素に設けられた光共振器80の中心との距離で規定される。
【0037】
各画素311aは第3画像光LBの一部を構成する第3画素光LB1を発光する。各画素311aは第3画素光LB1を射出する開口313を含む。以下、各画素311a全体に占める開口313の割合を画素311aにおける画素開口率と称す。第3発光素子35は画素開口率に応じた面積を有している。
【0038】
本実施形態において、第1パネル10、第2パネル20、および第3パネル30における画素ピッチP1,P2,P3は同一である。すなわち、第1表示領域111、第2表示領域211、および第3表示領域311における画素数は等しい。また、第1表示領域111、第2表示領域211、および第3表示領域311における画素サイズS1,S2,S3は等しい。
【0039】
ところで、一般に有機EL素子の寿命は発光材料や素子構成に依存する。そのため、異なる色を射出する第1発光素子15、第2発光素子25、および第3発光素子35の寿命には差が生じてしまう。
【0040】
ここで、比較例として、第1パネル10、第2パネル20、および第3パネル30における画素開口率を等しくした場合の画像光生成モジュールについて考える。
【0041】
本発明者は、各パネルの画素開口率を等しくした画像光生成モジュールの特性をシミュレーションで求め、その結果を表にまとめた。図4は比較例の画像光生成モジュールに関する特性を示す表である。図4は、各パネル10,20,30の開口率、寿命、白色点の座標、劣化による色ずれ(Δu´v´)を示している。なお、寿命とはLT50基準の寿命に相当し、パネルから射出される画像光の輝度が50%以下になるまでの時間(h)を意味する。
【0042】
図4の表に示されるように、各パネル10,20,30の画素開口率を、例えば60%で等しく設定した画像光生成モジュールにおいては、赤色波長域の第1画像光LRを射出する第1パネル10の寿命が8000hと最も長く、青色波長域の第3画像光LBを射出する第3パネル30の寿命が5000hと最も短く、緑色波長域の第2画像光LGを射出する第2パネル20の寿命が6500hとなることが確認できた。このように各パネル10,20,30の画素開口率を等しくした場合、各パネル10,20,30の寿命に差が生じてしまう。
【0043】
具体的に比較例の画像光生成モジュールでは、時間の経過に伴って第1パネル10および第2パネル20に比べると第3パネル30の劣化が早く進行する。そのため、比較例の画像光生成モジュールから射出される合成画像光LLは、時間の経過に伴って第3パネル30から射出される青色波長域の第3画像光LBの光量が減少していく。よって、合成画像光LLは経時的に青み成分が不足していくことで、色味が黄色から赤色にシフトする色ずれが生じる。すなわち、比較例の画像光生成モジュールから射出される合成画像光LLは、図4に示されるようにLT50基準の白色点の色ずれを「0.0335」となる。
【0044】
これに対して、本実施形態の画像光生成モジュール1では、第1パネル10、第2パネル20、および第3パネル30の画素開口率をそれぞれ異ならせ、第1発光素子15、第2発光素子25、および第3発光素子35の面積を異ならせることで上記の寿命差を低減可能である。
【0045】
以下、本実施形態の画像光生成モジュール1によって得られる作用について説明する。本発明者は、各パネルの画素開口率を異ならせた本実施形態の画像光生成モジュール1の特性をシミュレーションで求め、その結果を表にまとめた。図5は本実施形態の画像光生成モジュール1に関する特性を示す表である。図5は、図4の表と同様、各パネル10,20,30の開口率、寿命、白色点の座標、劣化による色ずれ(Δu´v´)を示している。
【0046】
ここで、画素を構成する発光素子に供給する電流を一定とし、画素開口率を小さくした場合について考える。発光素子に一定の電流を供給した状態で画素開口率が小さくなると、発光素子に供給される単位面積辺りの電流、以下、電流密度が高くなる。発光素子の電流密度が高くなると、発光素子の劣化速度が増加することで発光素子の寿命が短くなる。すなわち、画素開口率を調整することで発光素子の寿命を制御できる。
【0047】
本実施形態の画像光生成モジュール1では、上記比較例で示したように、相対的に寿命の長い第1パネル10および第2パネル20の画素開口率を第3パネル30の画素開口率よりも小さくすることで、最も寿命の短い第3パネル30に対して第1パネル10および第2パネル20の寿命を合わせるようにした。
【0048】
具体的に本実施形態の画像光生成モジュール1では、図5の表に示されるように、比較例において最も寿命の長い第1パネル10の画素開口率を最も小さい45.5%に設定し、比較例において最も寿命の短い第3パネル30の画素開口率を最も大きい60.0%に設定し、中間の寿命を有する第2パネル20の画素開口率を第1パネル10より大きく第3パネル30よりも小さい51.4%に設定した。
【0049】
ここで、各パネル10,20,30の画素開口率は下式により算出される。なお、下記式において、寿命[最短色]は、3色のうち最も寿命が短い色、すなわち青色光を射出する発光素子の寿命に相当する。また、[対象色]は、上記の最短の寿命色以外の2色、本実施形態においては緑色及び赤色に相当する。また、最大開口率は、パネル設計上取りうる最も大きい開口率、本実施形態においては、例えば60%に相当する。また、「加速係数」は、対象色の光を発光する発光素子に供給する電流密度から規定される係数であり、一般的には1.4~1.9程度、本実施形態では1.7に設定した。
【0050】
開口率[対象色]=(寿命[最短色]/寿命[対象色])^(1/加速係数[対象色])*最大開口率
【0051】
本実施形態の画像光生成モジュール1は、第1パネル10の画素開口率を最小値(45.5%)に設定することで、各画素111aを構成する第1発光素子15の電流密度を大きく増加させて第1パネル10の劣化速度を上げて比較例の寿命8000hよりも大幅に短くなる。具体的に赤色波長域の第1画像光LRを射出する第1パネル10の寿命は4998hとなり、第3パネル30の寿命(5000h)と略等しくなる。
【0052】
また、本実施形態の画像光生成モジュール1は、第2パネル20の画素開口率を中間値(51.4%)に設定することで、各画素211aを構成する第2発光素子25の電流密度を少し増加させて第2パネル20の劣化速度を上げて比較例の寿命6500hよりも短くなる。具体的に緑色波長域の第2画像光LGを射出する第2パネル20の寿命は4995hとなり、第3パネル30の寿命(5000h)と略等しくなる。
【0053】
以上のように本実施形態の画像光生成モジュール1によれば、各パネル10,20,30の画素開口率を異ならせることで、各パネル10,20,30の寿命差を小さくできる。このように各パネル10,20,30の寿命差が小さくなると、時間の経過に伴って各パネル10,20,30が略同じ速度で劣化していく。そのため、本実施形態の画像光生成モジュール1から射出される合成画像光LLに含まれる第1画像光LR、第2画像光LG及び第3画像光LBの光量は時間の経過に伴って略同じ割合で減少する。よって、合成画像光LLは経時的な色味の変化が低減された状態で光量が減少するようになる。
【0054】
したがって、本実施形態の画像光生成モジュール1によれば、図5に示されるようにLT50基準の白色点の色ずれを0.001未満に抑えた合成画像光LLを射出することができる。
【0055】
また、本実施形態の画像光生成モジュール1において、射出面54から射出される合成画像光LLは複数の画素光LL1で構成される。各画素光LL1は、第1表示領域111における1つの画素111aから射出された第1画素光LR1と、第2表示領域211における1つの画素211aから射出された第2画素光LG1と、第3表示領域311における1つの画素311aから射出された第3画素光LB1とを合成した光である。
【0056】
以下、図3に示される第1パネル10の複数の画素111aの1つを第1画素114と称す。また、図3に示される第2パネル20の複数の画素211aの1つを第2画素214と称す。また、図3に示される第3パネル30の複数の画素311aの1つを第3画素314と称す。
【0057】
第1パネル10における第1画素114と、第2パネル20における第2画素214と、第3パネル30における第3画素314とは互いに対応している。すなわち、第1画素114から射出された第1画素光LR1は、第2画素214から射出された第2画素光LG1および第3画素314から射出された第3画素光LB1と合成されることで合成画像光LLにおける1画素をなす画素光LL1を生成する。
【0058】
なお、各パネル10,20,30における他の画素111a,211a,311aについても同様の対応関係を有している。そのため、各パネル10,20,30の各画素111a,211a,311aから射出された画素光はそれぞれ合成されることで画素光LL1を生成する。
【0059】
以上のように本実施形態の画像光生成モジュール1では、各パネル10,20,30における対応する画素111a,211a,311aから射出した画素光LL1同士をそれぞれ合成することで複数の画素光LL1からなる合成画像光LLを生成する。
【0060】
図6はダイクロイックプリズム50の射出面54を平面視した図である。図6は、各パネル10,20,30における複数の画素111a,211a,311aのうち、第1画素114、第2画素214および第3画素314から射出された光のみを示している。第1画素114、第2画素214および第3画素314は、例えば、各パネル10,20,30の複数の画素の中で中心部分に位置する。なお、第1画素114、第2画素214および第3画素314以外の他の画素111a,211a,311aから射出された画素光についても同様のことが言える。
【0061】
図6に示されるように、射出面54を平面視した状態において、第1画素114から射出された第1画素光LR1の第1中心軸C1と、第2画素214から射出された第2画素光LG1の第2中心軸C2と、第3画素314から射出された第3画素光LB1の第3中心軸C3とは、互いに一致する。第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1における射出面54に沿う断面形状は矩形状である。
【0062】
ここで、第1画素光LR1の第1中心軸C1とは、第1画素114の中心、すなわち、第1画素114におけるカラーフィルター77(図2参照)の中心を通る軸である。また、第2画素光LG1の第2中心軸C2とは、第2画素214の中心、すなわち、第2画素214におけるカラーフィルター77(図2参照)の中心を通る軸である。また、第3画素光LB1の第3中心軸C3とは、第3画素314の中心、すなわち、第3画素314におけるカラーフィルター77(図2参照)の中心を通る軸である。
【0063】
すなわち、本実施形態の画像光生成モジュール1では、各中心軸C1,C2,C3が一致した状態で第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1が重なることで合成画像光LLの1つの画素光LL1を生成する。このように各中心軸C1,C2,C3を一致させた状態とすることで、第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1を重ねる際の位置ずれに対して公差を大きくとることができる。これにより、第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1を良好に重ねた画素光LL1が生成される。
【0064】
なお、上述のように第1画素114、第2画素214および第3画素314が各パネル10,20,30の中心画素であるとする。この場合、本実施形態の画像光生成モジュール1は、観察者の眼に視認され易い画像光の中心に位置する画素を少なくとも良好に重ねることができる。そのため、仮に画像光の周辺側で画素の重なりにずれが発生したとしても観察者に視認される画像に影響が生じ難くなる。
【0065】
以上のように本実施形態の画像光生成モジュール1から射出された合成画像光LLは、各色の画素光を精度良く重ねた複数の画素光LL1で構成されるので、LT50基準の白色点の色ずれを0.001以内に抑えることができる。この合成画像光LLによれば、例えば、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)用途等で拡大表示した場合でも、色ムラの出にくい高品質の画像を提供できる。
【0066】
図6では、各中心軸C1,C2,C3を一致させた状態で第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1を重ねる場合を例に挙げたが、第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1の重ね方はこれに限定されない。以下、図面を参照にしつつ、各画像光における異なる重なり方について説明する。
【0067】
図7Aから図7Dは3色の画素光における重ね方の変形例を示す図である。
図7Aに示すように、第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1は一辺を一致させるように各々が重なることで画素光LL1を生成してもよい。また、図7Bに示すように、第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1は1つの角部を揃えるように各々が重なることで画素光LL1を生成してもよい。また、図7Cに示すように、第1画素光LR1および第3画素光LB1は一辺を一致させるように各々が重なり、第2画素光LG1および第3画素光LB1は異なる一辺を一致させるように各々が重なることで画素光LL1を生成してもよい。すなわち、図7Cに示される態様において、第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1の光束形状は他の態様と異なり相似関係を有していない。
【0068】
図7Aから図7Cに示したように第1画素光LR1、第2画素光LG1および第3画素光LB1を重ねることで、LT50基準の白色点の色ずれを0.02以内に抑えることができる。
【0069】
また、上記実施形態及び図7AからCに示した形態では、第1画素光LR1および第2画素光LG1は全体が第3画素光LB1上に重なる場合を例に挙げたが、図7Dに示すように、第3画素光LB1に対して第1画素光LR1および第2画素光LG1の一部をそれぞれ重ねるようにしてもよい。
【0070】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図面を用いて説明する。
上記第1実施形態で説明した画像光生成モジュール1は、以下に説明する画像表示装置に用いられる。
図8は、第2実施形態の頭部装着型表示装置1000の説明図である。図9は、図8に示す虚像表示部1010の光学系の構成を模式的に示す斜視図である。図10は、図9に示す光学系の光路を示す説明図である。
【0071】
図8に示すように、頭部装着型表示装置1000(画像表示装置)は、シースルー型のアイグラスディスプレイとして構成されており、テンプル1111,1112を左右に備えたフレーム1110を有している。頭部装着型表示装置1000において、虚像表示部1010は、フレーム1110に支持されており、虚像表示部1010から射出された画像を使用者に虚像として認識させる。本実施形態において、頭部装着型表示装置1000は、虚像表示部1010として、左眼用表示部1101と、右眼用表示部1102とを備えている。左眼用表示部1101と右眼用表示部1102とは同一の構成をもって左右対称に配置されている。
【0072】
以下の説明では、左眼用表示部1101を中心に説明し、右眼用表示部1102についての説明は省略する。
図9および図10に示すように、頭部装着型表示装置1000において、左眼用表示部1101は、画像光生成モジュール1と、画像光生成モジュール1から射出された合成画像光LLを射出部1058に導く導光系1030と、を有している。画像光生成モジュール1と導光系1030との間には、投射レンズ系1070が配置されており、画像光生成モジュール1から射出された合成画像光LLは、投射レンズ系1070を介して導光系1030に入射する。投射レンズ系1070は、正のパワーを有する1つのコリメートレンズによって構成されている。
【0073】
画像光生成モジュール1は、ダイクロイックプリズム50と、ダイクロイックプリズム50の4つの面(三角柱プリズムの第3面)のうち、3つの面に対向して設けられた3つのパネル10,20,30と、を備えている。パネル10,20,30は、例えば有機ELパネルから構成されている。
【0074】
第1パネル10から射出された画像光は、ダイクロイックプリズム50に第1波長域の第1画像光LRとして入射する。第2パネル20から射出された画像光は、ダイクロイックプリズム50に第2波長域の第2画像光LGとして入射する。第3パネル30から射出された画像光は、ダイクロイックプリズム50に第3波長域の第3画像光LBとして入射する。ダイクロイックプリズム50から、第1画像光LRと第2画像光LGと第3画像光LBとが合成された合成画像光LLが射出される。
【0075】
導光系1030は、合成画像光LLが入射する透光性の入射部1040と、一方端1051側が入射部1040に接続された透光性の導光部1050と、を備えている。本実施形態において、入射部1040と導光部1050とは、一体の透光性部材で構成されている。
【0076】
入射部1040は、画像光生成モジュール1から射出された合成画像光LLが入射する入射面1041と、入射面1041から入射した合成画像光LLを入射面1041との間で反射する反射面1042と、を備えている。入射面1041は、平面、非球面、または自由曲面等からなり、投射レンズ系1070を介して画像光生成モジュール1と対向している。投射レンズ系1070は、入射面1041の端部1412との間隔が入射面1041の端部1411との間隔より広くなるように斜めに配置されている。
【0077】
入射面1041には反射膜が形成されていないが、臨界角以上の入射角で入射した光を全反射する。したがって、入射面1041は、光透過性および光反射性を備えている。反射面1042は、入射面1041と対向する面からなり、端部1422が入射面1041の端部1421よりも入射面1041から離間するように斜めに配置されている。したがって、入射部1040は、略三角形状の形状を有している。反射面1042は、平面、非球面、または自由曲面等からなる。反射面1042は、アルミニウム、銀、マグネシウム、クロム等を主成分とする反射性の金属層が形成された構成を有する。
【0078】
導光部1050は、一方端1051から他方端1052側に向けて延在する第1面1056(第1反射面)と、第1面1056に平行に対向して一方端1051側から他方端1052側に向けて延在する第2面1057(第2反射面)と、第2面1057の入射部1040から離間する部分に設けられた射出部1058と、を備えている。第1面1056と入射部1040の反射面1042とは、斜面1043を介して繋がっている。第1面1056と第2面1057との厚さは、入射部1040より薄い。第1面1056および第2面1057は、導光部1050と外界(空気)との屈折率差に基づいて、臨界角以上の入射角で入射した光を全反射する。このため、第1面1056および第2面1057には反射膜が形成されていない。
【0079】
射出部1058は、導光部1050の厚さ方向の第2面1057側の一部に構成されている。射出部1058では、第2面1057に対する法線方向に対して斜めに傾いた複数の部分反射面1055が互いに平行に配置されている。射出部1058は、第2面1057のうち、複数の部分反射面1055に重なる部分であり、導光部1050の延在方向において所定の幅を有する領域である。複数の部分反射面1055はそれぞれ誘電体多層膜から構成されている。また、複数の部分反射面1055のうちの少なくとも1つは、誘電体多層膜と、アルミニウム、銀、マグネシウム、クロム等主成分とする反射性の金属層(薄膜)との複合層であってもよい。部分反射面1055が金属層を含んでいる場合、部分反射面1055の反射率を高める効果、もしくは、部分反射面1055の透過率および反射率の入射角依存性や偏光依存性を適正化できるという効果がある。なお、射出部1058については、回折格子やホログラム等の光学素子が設けられた態様であってもよい。
【0080】
上記構成の頭部装着型表示装置1000において、入射部1040から入射した平行光からなる合成画像光LLは、入射面1041で屈折し、反射面1042に向かう。次に、合成画像光LLは、反射面1042で反射されて再び入射面1041に向かう。その際、合成画像光LLは、入射面1041に臨界角以上の入射角で入射するため、入射面1041で導光部1050に向けて反射され、導光部1050に向かう。なお、入射部1040では、平行光である合成画像光LLが入射面1041に入射する構成になっているが、入射面1041および反射面1042を自由曲面等によって構成し、非平行光である合成画像光LLが入射面1041に入射した後、反射面1042と入射面1041との間で反射する間に平行光に変換される構成を採用してもよい。
【0081】
導光部1050においては、合成画像光LLが第1面1056と第2面1057との間で反射して進行する。部分反射面1055に入射した合成画像光LLの一部は、部分反射面1055で反射して射出部1058から観察者の眼Eに向けて射出される。また、部分反射面1055に入射した合成画像光LLの残りは、部分反射面1055を透過し、隣り合う次の部分反射面1055に入射する。このため、複数の部分反射面1055の各々において反射した合成画像光LLは、射出部1058から観察者の眼Eに向けて射出される。これにより、観察者は、虚像を認識することができる。
【0082】
その際、外界から導光部1050に入射した光は、導光部1050に入射した後、部分反射面1055を透過して観察者の眼Eに到達する。このため、観察者は、画像光生成モジュール1から射出されたカラー画像をみることができるとともに、外界の景色等をシースルーでみることができる。
【0083】
第2実施形態の頭部装着型表示装置1000は、第1実施形態の画像光生成モジュール1を備えているため、色ムラの発生を低減した高品質の画像を表示することができる。
【0084】
なお、第2実施形態の頭部装着型表示装置1000では導光系1030として導光部1050を用いる場合を例に挙げたが、導光部を用いない光学系に第1実施形態の画像光生成モジュール1を適用することで頭部装着型表示装置を構成してもよい。
【0085】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図11を用いて説明する。
上記第1実施形態で説明した画像光生成モジュール1は、以下に説明する表示装置に用いられる。
図11は、第3実施形態の投射型表示装置2000の概略構成図である。
【0086】
図11に示すように、投射型表示装置2000(画像表示装置)は、上記実施形態に係る画像光生成モジュール1と、画像光生成モジュール1から射出された合成画像光LLをスクリーン等の被投射部材2200に拡大して投射する投射光学系2100と、を備えている。
【0087】
画像光生成モジュール1は、ダイクロイックプリズム50と、ダイクロイックプリズム50の4つの面(三角柱プリズムの第3面)のうち、3つの面に対向して設けられた3つのパネル10,20,30と、を備えている。パネル10,20,30は、例えば有機ELパネル等の偏光特性を有していない画像光を射出するパネルから構成されている。
【0088】
第3実施形態の投射型表示装置2000は、第1実施形態の画像光生成モジュール1を備えているため、色ムラの発生を低減した高品質の画像を表示することができる。
【0089】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態で例示した画像光生成モジュールおよび画像表示装置の各構成要素の材料、数、配置、形状等の具体的構成は、適宜変更が可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、青色波長域の光を射出する発光材料の寿命が最短として説明したが、発光材料や構成などに応じて寿命が最短となる色を青色以外の色として本願発明の構成を適用することもできる。
【0091】
また、上記実施形態では、画像光生成モジュールを構成する第1パネル、第2パネルおよび第3パネルとして偏光特性を有していない有機ELパネルの例を挙げたが、画像表示パネルは有機ELパネルに限ることなく、無機ELパネル、マイクロLEDパネル等の偏光特性を有していない自発光型パネルを用いてもよい。また、第1パネル、第2パネルおよび第3パネルとして偏光特性を持たせた有機ELパネルを用いてもよい。
【0092】
また、有機ELパネルとして、パネル内における画素の位置に応じて光共振器80(図2参照)に対するカラーフィルター77(図2参照)の位置をずらすことで画素光をカラーフィルター77で集光したり、発散させる構成を採用してもよい。この場合、第1パネル、第2パネルおよび第3パネルにおいて画素ピッチが場所毎に変化することになるが、画素ピッチの変化の仕方は第1パネル、第2パネルおよび第3パネル間で共通となる。
【0093】
また、本発明の開口率を画素毎に異ならせる構成、および各画素からの画像光を一部または中心軸を重ねる構成は、2枚のパネルとダイクロイックプリズムとを組み合わせた画像光生成モジュールに適用してもよい。この場合、2枚のパネルの一方は2色の画素光を射出し、2枚のパネルの他方は残り1色の画素光を射出する。一方のパネルから射出された2色の画素光と他方のパネルから射出された1色の画素光との重なり方は、図7Dに示した状態のようになる。
【0094】
また、上記実施形態で説明した画像光生成モジュールを備えた画像表示装置の例として、ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置に利用される電子式ビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…画像光生成モジュール、10…パネル、10…第1パネル、10,30…第3パネル、20…第2パネル、54…射出面、111a,211a,311a…画素、111b,211b…開口、111a1…第1画素、211a1…第2画素、311a1…第3画素、C1…第1中心軸、C2…第2中心軸、C3…第3中心軸、LB…第3画像光、LB1,LG3,LR3…第3画素光、LB2,LG1,LR2…第2画素光、LG…第2画像光、LL1…画素光、LR…第1画像光、LR1…第1画素光、P1…画素ピッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11