(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20231212BHJP
B64C 13/16 20060101ALI20231212BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20231212BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20231212BHJP
G01P 5/00 20060101ALI20231212BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01W1/10 D
B64C13/16 Z
B64C27/08
B64D47/08
G01P5/00 J
G05D1/10
(21)【出願番号】P 2021503952
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006650
(87)【国際公開番号】W WO2020179460
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2019040544
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 辰吾
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-34691(JP,A)
【文献】特開2010-96593(JP,A)
【文献】特開2005-30988(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107077153(CN,A)
【文献】特開2017-206066(JP,A)
【文献】特開2017-33232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/10
B64C 27/08
B64D 47/08
G01W 1/10
B64C 13/16
G01P 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
を備え
、
前記風力予測部は、異なる位置に設けられた複数の前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測し、
前記風力予測部は、前記移動体を風下とする前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する、
制御装置。
【請求項2】
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記外部風速計は、前記移動体と異なる他の移動体に設けられ、
前記他の移動体は、前記移動体が風下方向に存在するように制御される、
制御装置。
【請求項3】
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記外部風速計は、前記移動体と異なる他の移動体に設けられ、
前記外部風速計が設けられた前記他の移動体は、複数であり、
前記他の移動体は、前記移動体を挟んで互いに反対側にそれぞれ位置するように制御される、
制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記風力を打ち消すように前記移動体の駆動を制御する、請求項1
ないし3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記風力予測部は、前記移動体に設けられた内部風速計にて測定された風速ベクトルにさらに基づいて、所定時間後の前記移動体に加わる風力を予測する、請求項1
ないし3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記風力予測部は、前記移動体の周囲の環境情報にさらに基づいて、所定時間後の前記移動体に加わる風力を予測する、請求項1
ないし3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記風力予測部は、前記移動体から所定の距離内に存在する前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する、請求項
1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記他の移動体は、前記移動体の風上方向、及び風下方向にそれぞれ位置するように制御される、請求項
3に記載の制御装置。
【請求項9】
前記移動体は、回転翼によって飛行する飛行体である、請求項1
ないし3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記移動体は、撮像装置を備える、請求項1
ないし3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信することと、
演算装置によって、受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測することと、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御することと、
を含
み、
前記演算装置によって、異なる位置に設けられた複数の前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測することと、
前記演算装置によって、前記移動体を風下とする前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測すること、
をさらに含む、
制御方法。
【請求項12】
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信することと、
演算装置によって、受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測することと、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御することと、
を含み、
前記外部風速計は、前記移動体と異なる他の移動体に設けられ、
前記他の移動体は、前記移動体が風下方向に存在するように制御される、
制御方法。
【請求項13】
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信することと、
演算装置によって、受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測することと、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御することと、
を含み、
前記外部風速計は、前記移動体と異なる他の移動体に設けられ、
前記外部風速計が設けられた前記他の移動体は、複数であり、
前記他の移動体は、前記移動体を挟んで互いに反対側にそれぞれ位置するように制御される、
制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
として機能させ
、
前記風力予測部は、異なる位置に設けられた複数の前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測し、
前記風力予測部は、前記移動体を風下とする前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する、
プログラム。
【請求項15】
コンピュータを、
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
として機能させ、
前記外部風速計は、前記移動体と異なる他の移動体に設けられ、
前記他の移動体は、前記移動体が風下方向に存在するように制御される、
プログラム。
【請求項16】
コンピュータを、
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
として機能させ、
前記外部風速計は、前記移動体と異なる他の移動体に設けられ、
前記外部風速計が設けられた前記他の移動体は、複数であり、
前記他の移動体は、前記移動体を挟んで互いに反対側にそれぞれ位置するように制御される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン等の小型の飛行体を用いて、空中から広範囲の領域に対して効率的に作業を行うことが検討されている。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、飛行機体を用いて圃場に肥料等を散布する技術が開示されている。また、撮像装置を搭載したドローン等を用いて、空中から広範囲を撮像することも一般的に行われている。
【0004】
飛行体を用いて作業を行う場合、作業中に、飛行体を所定の場所に安定して留まらせること、又は飛行体を所定の軌道に沿って安定して飛行させることが重要となる。そこで、例えば、強風などによって、ホバリング中の飛行体の位置が変わってしまった場合に、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ等を用いて、強風前の位置に飛行体を自動的に戻す技術などが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した技術では、強風時に、飛行体の位置及び姿勢が一時的に不安定になることを防ぐことは困難であった。そのため、突発的な強風を受けた場合でも、飛行体を可能な限り安定した位置及び姿勢に留まらせることを可能とする技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、を備える、制御装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信することと、演算装置によって、受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測することと、予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御することと、を含む、制御方法が提供される。
【0009】
さらに、本開示によれば、コンピュータを、少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、として機能させる、プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る制御装置によって制御される移動体の一例を示す説明図である。
【
図2】同実施形態に係る制御装置の機能構成を説明するブロック図である。
【
図3】所定の環境の各位置における風速ベクトルを表すヒートマップの一例を示す模式図である。
【
図4】第2の移動体における風速ベクトルから、第1の移動体における風速ベクトルを予測する方法を説明する説明図である。
【
図5】同実施形態に係る制御装置の動作の流れを説明するフローチャート図である。
【
図6A】風速計を備える複数の第2の移動体によって、撮像装置を備える第1の移動体に安定した飛行を行わせる例を示す説明図である。
【
図6B】風速計及び撮像装置を備える複数の第1の移動体にて相互に安定した飛行を行わせる例を示す説明図である。
【
図7A】第1の移動体、及び第2の移動体の配置例を示す説明図である。
【
図7B】第1の移動体、及び複数の第2の移動体の配置例を示す説明図である。
【
図8】風速ベクトルを測定する風速計を備える観測機を説明する説明図である。
【
図9】同実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.制御装置の概要
2.制御装置の構成
3.制御装置の動作
4.バリエーション
5.ハードウェア構成
【0013】
<1.制御装置の概要>
まず、
図1を参照して、本開示の一実施形態に係る制御装置の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る制御装置によって制御される移動体の一例を示す説明図である。
【0014】
なお、以下では、移動体の一例として飛行体を例示するが、本実施形態に係る制御装置にて制御される移動体は、かかる例示に限定されない。制御装置にて制御される移動体は、飛行していなくともよい。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る制御装置は、飛行する第1の移動体10の位置及び姿勢を制御する。具体的には、本実施形態に係る制御装置は、風速計を備えた第2の移動体20にて測定された風速ベクトルに基づいて、空中から広範囲の領域に対して作業を行う第1の移動体10の位置及び姿勢を制御する。なお、本実施形態に係る制御装置は、風速計を備えた第2の移動体20の位置及び姿勢もさらに制御してもよい。
【0016】
第1の移動体10は、例えば、撮像装置30を備え、回転翼によって飛行するヘリコプター又はマルチコプター等の飛行体である。第1の移動体10は、例えば、撮像装置30を用いて、広範囲の領域を空中から撮像することができる。
【0017】
ただし、第1の移動体10は、空中から広範囲の領域に対して作業を行うものであれば、撮像装置30以外の装置を備えていてもよい。例えば、第1の移動体10は、空中から広範囲の地形を測定する測定装置、又は空中から広範囲の領域に液体又は固体を散布する散布装置を備えていてもよい。
【0018】
第1の移動体10は、空中から広範囲の領域に対して作業を行うため、位置及び姿勢が安定していることが重要となる。具体的には、第1の移動体10は、突発的な強風等を受けた場合でも、位置及び姿勢を可能な限り乱されずに飛行することが重要となる。
【0019】
第2の移動体20は、例えば、風速計を備え、第1の移動体10と同様に回転翼によって飛行するヘリコプター又はマルチコプター等の飛行体である。第2の移動体20は、風速計を用いて第2の移動体20の位置における風速ベクトルを測定する。
【0020】
本実施形態に係る制御装置は、第2の移動体20にて測定された風速ベクトルに基づいて、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測し、予測した風力に基づいて第1の移動体10を制御する。これによれば、制御装置は、第1の移動体10に加わる風力を打ち消すような推進力を第1の移動体10に生じさせることができるため、第1の移動体10の位置及び姿勢が強風等の外乱によって乱されることを抑制することができる。
【0021】
本実施形態に係る制御装置は、第1の移動体10に備えられた制御ユニットであってもよい。または、本実施形態に係る制御装置は、第1の移動体10、及び第2の移動体20と無線通信することが可能な情報処理装置であってもよい。
【0022】
<2.制御装置の構成>
続いて、
図2~
図4を参照して、上記で概要を説明した本実施形態に係る制御装置の構成について、具体的に説明する。以下では、本実施形態に係る制御装置は、第1の移動体10に備えられており、第1の移動体10の駆動全般を制御するものとして説明を行う。
図2は、本実施形態に係る制御装置の機能構成を説明するブロック図である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態に係る制御装置100は、目標値生成部110と、位置制御部121と、姿勢制御部123と、駆動制御部130と、センサ部141と、位置・姿勢推定部143と、風速センサ部151と、受信部153と、風力予測部155と、FF制御部157と、を備える。
【0024】
目標値生成部110は、第1の移動体10の位置及び姿勢の目標値を生成する。具体的には、目標値生成部110は、第1の移動体10を無線操縦する送信機から送信された移動指示、又は第1の移動体10の内部で生成された移動計画に基づいて、第1の移動体10の位置及び姿勢の目標値を生成する。例えば、目標値生成部110は、所定時刻における第1の移動体10のx、y、z座標(すなわち、位置)の目標値と、ヨー角(すなわち、姿勢)の目標値とを生成してもよい。
【0025】
位置制御部121は、第1の移動体10の位置を制御する指示値を生成し、さらに第1の移動体10の姿勢角の目標値を生成する。具体的には、位置制御部121は、第1の移動体10の位置及び姿勢の目標値と、第1の移動体10の位置及び姿勢の推定値との間の誤差を算出し、算出した誤差を補正するための位置及び姿勢の制御の指示値と、姿勢角の目標値とを生成する。例えば、位置制御部121は、第1の移動体10のx、y、z座標(すなわち、位置)及びヨー角(すなわち、姿勢)を制御するための駆動部(図示せず)への指示値と、第1の移動体10のロール角及びピッチ角(すなわち、姿勢角)の目標値とを生成してもよい。
【0026】
姿勢制御部123は、第1の移動体10の姿勢角、及び姿勢角速度の制御の指示値を生成する。具体的には、姿勢制御部123は、第1の移動体10の姿勢角の目標値と、第1の移動体10の姿勢角の推定値との間の誤差を算出し、算出した誤差を補正するための姿勢角の制御の指示値を生成する。また、姿勢制御部123は、姿勢角と同様に、第1の移動体10の姿勢角速度の目標値と、第1の移動体10の姿勢角速度の推定値との間の誤差を算出し、算出した誤差を補正するための姿勢角速度の制御の指示値を生成する。例えば、姿勢制御部123は、第1の移動体10のロール角及びピッチ角(すなわち、姿勢角)を制御するための駆動部(図示せず)への指示値と、ロール角速度及びピッチ角速度(すなわち、姿勢角速度)を制御するための駆動部(図示せず)への指示値とを生成してもよい。
【0027】
センサ部141は、第1の移動体10の状態をセンシングする。具体的には、センサ部141は、第1の移動体10の位置及び姿勢に関する情報をセンシングする。センサ部141は、例えば、RGBカメラ、グレースケールカメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ、赤外線カメラ、若しくはToF(Time of Flight)カメラ等の各種カメラ、IMU(Inertial Measurement Unit)、気圧センサ、磁気センサ又はGNSS(Global Navigation Satellite System)センサを備えていてもよい。なお、センサ部141は、複数のセンサを備えていてもよいことは言うまでもない。
【0028】
位置・姿勢推定部143は、センサ部141にてセンシングされた第1の移動体10の位置及び姿勢に関する情報に基づいて、第1の移動体10の位置及び姿勢を推定する。具体的には、位置・姿勢推定部143は、センサ部141が備える複数のセンサによる観測値を統合することで、第1の移動体10の位置・姿勢、速度、及び角速度を推定する。例えば、位置・姿勢推定部143は、カルマンフィルタを用いることで、第1の移動体10の位置・姿勢、速度、及び角速度を推定してもよい。
【0029】
風速センサ部151は、第1の移動体10における風速ベクトルを測定する。具体的には、風速センサ部151は、第1の移動体10における風の強さ及び風向きを測定してもよい。例えば、風速センサ部151は、第1の移動体10に搭載された風向風速計であってもよい。
【0030】
受信部153は、第1の移動体10の外部の風速計にて観測された風速ベクトルに関する情報を少なくとも1つ以上受信する。具体的には、受信部153は、第1の移動体10の周囲に存在する第2の移動体20又は観測機に備えられた風速計から、該風速計にて測定された風速ベクトルに関する情報を少なくとも1つ以上受信する。例えば、受信部153は、第2の移動体20に備えられた風速計にて測定された風の強さ及び風向きに関する情報、第2の移動体20の位置及び姿勢に関する情報、並びに風速ベクトルを測定した時刻に関する情報を第2の移動体20から受信してもよい。受信部153は、例えば、公知の方式による無線通信によって、第2の移動体20又は観測機に備えられた風速計から風速ベクトルに関する情報を受信してもよい。また、受信部153は、異なる位置の複数の風速計にて測定された風速ベクトルに関する情報をそれぞれ受信してもよい。
【0031】
風力予測部155は、第1の移動体10の外部の風速計にて観測された風速ベクトルに基づいて、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測する。具体的には、風力予測部155は、第2の移動体20の風速計にて測定された風速ベクトルに基づいて、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測する。
【0032】
例えば、風力予測部155は、第1の移動体10の外部の複数の風速計にて測定された風速ベクトルを用いて流体シミュレーションを行うことで、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測してもよい。流体シミュレーションは、ナビエ-ストークス方程式と連続の式、その他エネルギーの式、及びマクスウェルの方程式等を連立させて数値的に解くことで行うことができる。
【0033】
このような場合、風力予測部155は、第1の移動体10の周囲の環境の構造に関する情報をさらに用いることで、
図3に示すような第1の移動体10の周囲の風速ベクトルの大きさ及び方向をマッピングしたヒートマップを作成してもよい。
図3は、所定の環境の各位置における風速ベクトルを表すヒートマップの一例を示す模式図である。これによれば、風力予測部155は、第1の移動体10の位置における所定時間後の風速ベクトルを正確に予測することができるため、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を正確に予測することができる。
【0034】
または、風力予測部155は、第1の移動体10を風下とする風速計にて測定された風速ベクトルに対応する風が第1の移動体10に伝搬していくと仮定することで、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測してもよい。このような場合、風力予測部155は、計算資源、及び風速ベクトルの観測結果が少ない場合でも、流体シミュレーションよりも簡便に、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測することができる。
【0035】
以下では、かかる風力予測部155による簡便な風力の予測方法について
図4を参照して説明する。
図4は、第2の移動体20における風速ベクトルから、第1の移動体10における風速ベクトルを予測する方法を説明する説明図である。
【0036】
図4に示すように、風力予測部155は、第1の移動体10を風下とする第2の移動体20の風速ベクトルが所定時間後に第1の移動体10に伝搬すると仮定して、所定時間後の第1の移動体10における風速ベクトルを予測してもよい。
【0037】
具体的には、風力予測部155は、第1の移動体10及び第2の移動体20を結ぶベクトルVrと、第2の移動体20にて観測した風速ベクトルVsとがなす角度θを計算する。次に、風力予測部155は、第1の移動体10との距離が所定の範囲内となる第2の移動体20の中で、角度θが最も小さくなる第2の移動体20の風速ベクトルを用いて、所定時間後の第1の移動体10における風速ベクトルを予測してもよい。または、風力予測部155は、角度θが最も小さくなる第2の移動体20の風速ベクトルを用いて、所定時間後の第1の移動体10における風速ベクトルを予測してもよい。
【0038】
もしくは、風力予測部155は、第1の移動体10との距離が最も短い第2の移動体20の風速ベクトルを用いて、所定時間後の第1の移動体10における風速ベクトルを予測してもよい。または、風力予測部155は、角度θが所定の範囲内である第2の移動体20の中で第1の移動体10との距離が最も短い第2の移動体20の風速ベクトルを用いて、所定時間後の第1の移動体10における風速ベクトルを予測してもよい。
【0039】
例えば、第1の移動体10の風速ベクトルVmと垂直であり、かつ第1の移動体10を面内に含む平面Pmと、第2の移動体20の風速ベクトルVsと垂直であり、かつ第2の移動体20を面内に含む平面Psとの距離Drが5mであるとする。また、第2の移動体20の風速ベクトルVsの風速を10m/sであるとする。
【0040】
このとき、第2の移動体20の風速ベクトルVsが第1の移動体10に伝搬する際にかかる時間Tは、T=5(m)/10(m/s)=0.5(s)と仮定することができる。したがって、所定時間t後の第1の移動体10における風速ベクトルVMは、風速ベクトルVmと、第2の移動体20の風速ベクトルVsとを以下の式1によって足し合わせることで予測することができる。
VM=Vm×(1-t/T)+Vs×t/T(ただし、t≦T) ・・・式1
したがって、例えば、t=0.1である場合、風力予測部155は、0.1秒後の第1の移動体10における風速ベクトルVMを、VM=0.8Vm+0.2Vsと予測することができる。
【0041】
これによれば、風力予測部155は、複雑な流体シミュレーションを行わずとも、所定時間後の第1の移動体10における風速ベクトルをより簡便な方法で予測し、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測することができる。
【0042】
FF制御部157は、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を打ち消す推進力を第1の移動体10の駆動部(図示せず)に発生させるための指示値を生成する。具体的には、FF制御部157は、風力予測部155にて予測された第1の移動体10に加わる風力を打ち消し、第1の移動体10の位置及び姿勢を維持する推進力を駆動部に発生させるための指示値を生成する。すなわち、FF制御部157は、駆動部に対して、第1の移動体10に加わると予測される風力を前もって打ち消すフィードフォワード(feedforward)制御を行う。
【0043】
駆動制御部130は、第1の移動体10を駆動させる駆動部(図示せず)を制御する。具体的には、駆動制御部130は、FF制御部157、位置制御部121及び姿勢制御部123からの指示値に基づいて駆動部を制御することで、第1の移動体10の位置及び姿勢を制御する。例えば、駆動制御部130は、x、y、z座標、ヨー角、ロール角、ピッチ角、ロール角速度、及びピッチ角速度を制御するための指示値に、所定時間後の風力を打ち消すための指示値を加えた指示値に基づいて、モータ又はアクチュエータ等を制御することで、第1の移動体10の位置及び姿勢を制御してもよい。
【0044】
以上の構成を備える制御装置100によれば、第1の移動体10に加わる風力をあらかじめ予測することができるため、風力によって位置及び姿勢が変化しないように第1の移動体10の駆動をフィードフォワード制御することができる。
【0045】
<3.制御装置の動作>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る制御装置100の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る制御装置100の動作の流れを説明するフローチャート図である。
【0046】
図5に示すように、まず、制御装置100は、センサ部141にてセンシングされた情報に基づいて、第1の移動体10の位置及び姿勢を推定する(S101)。次に、制御装置100は、受信部153を介して、第2の移動体20における風速ベクトルを含む風速情報を第2の移動体20から受信したか否かを判断する(S103)。第2の移動体20から風速情報を受信した場合(S103/Yes)、制御装置100は、風速センサ部151にて、第1の移動体10における風速ベクトルを含む風速情報を測定する(S105)。
【0047】
続いて、制御装置100は、風力予測部155にて、第1の移動体10における風速ベクトル、第2の移動体20における風速ベクトル、第1の移動体10の位置及び姿勢に関する情報、及び第2の移動体20の位置及び姿勢に関する情報に基づいて、所定時間後の第1の移動体10に加わる風力を算出する(S107)。次に、制御装置100は、FF制御部157にて、所定時間後の第1の移動体10に対する風力による外乱を打ち消すための推進力を算出する(S109)。一方、第2の移動体20から風速情報を受信していない場合(S103/No)、制御装置100は、FF制御部157にて、所定時間後の第1の移動体10に対する風力による外乱を打ち消すための推進力をゼロに設定する(S111)。
【0048】
その後、制御装置100は、駆動制御部130にて、第1の移動体10の位置及び姿勢を制御するための指令値に、所定時間後の風力を打ち消す推進力を発生させるための指令値を加えた指令値に基づいて、第1の移動体10の駆動部を制御する(S113)。
【0049】
以上の動作の流れによれば、制御装置100は、第2の移動体20にて測定された風速ベクトルに基づいて、所定時間後の第1の移動体10における風力を予測することができる。したがって、制御装置100は、加えられた風力に対して位置及び姿勢を維持するように第1の移動体10の駆動を制御することが可能になる。
【0050】
<4.バリエーション>
次に、
図6A~
図8を参照して、本実施形態に係る制御装置100による制御のバリエーションについて説明する。
【0051】
まず、
図6A及び
図6Bを参照して、本実施形態に係る制御装置100によって駆動が制御される第1の移動体10と、制御装置100の制御に用いられる風速ベクトルを観測する風速計を備える第2の移動体20との関係のバリエーションについて説明する。
図6Aは、風速計を備える複数の第2の移動体20によって、撮像装置30を備える第1の移動体10に安定した飛行を行わせる例を示す説明図であり、
図6Bは、風速計及び撮像装置30を備える複数の第1の移動体10にて相互に安定した飛行を行わせる例を示す説明図である。
【0052】
図6Aに示すように、制御装置100は、撮像装置30を備える第1の移動体10の周囲に風速計を備えた複数の第2の移動体20を配置し、複数の第2の移動体20にて風速ベクトルを測定することで、第1の移動体10の位置及び姿勢を安定化させてもよい。
【0053】
第1の移動体10は、空中から撮像という作業を行うため、突発的な強風等に対しても安定した位置及び姿勢を維持することが重要となる。そこで、制御装置100は、第1の移動体10の周囲を囲むように風速計を備えた第2の移動体20を複数配置することで、風向きが時々刻々に変化した場合でも、常に、第1の移動体10が第2の移動体20の風下に位置するようにすることができる。これによれば、制御装置100は、どのような風向きの風に対しても、第1の移動体10の風上の第2の移動体20にて風速ベクトルを測定することができるため、所定時間後の第1の移動体10に加わる風力を高い精度で予測することができる。
【0054】
図6Bに示すように、制御装置100は、撮像装置30及び風速計を備える複数の第1の移動体10にて風速ベクトルを測定し、測定された風速ベクトルを相互に共有することで、第1の移動体10の位置及び姿勢を安定させてもよい。
【0055】
第1の移動体10は、位置及び姿勢の制御のために風速計を備えていることがある。そこで、測定された風速ベクトルを複数の第1の移動体10の間で共有することによって、制御装置100は、風速ベクトルを測定する第2の移動体20を用いずとも、複数の第1の移動体10の位置及び姿勢を安定に制御することが可能となる。これによれば、制御装置100は、第1の移動体10、及び第2の移動体20におけるエネルギー消費の効率を向上させることができる。
【0056】
次に、
図7A及び
図7Bを参照して、本実施形態に係る制御装置100による第1の移動体10、及び第2の移動体20の配置の制御のバリエーションについて説明する。
図7Aは、第1の移動体10、及び第2の移動体20の配置例を示す説明図であり、
図7Bは、第1の移動体10、及び複数の第2の移動体20の配置例を示す説明図である。
【0057】
図7Aに示すように、制御装置100は、第2の移動体20の風下に第1の移動体10が常に存在するように、第2の移動体20の配置を制御してもよい。具体的には、制御装置100は、第2の移動体20にて測定された風速ベクトルVwの方向に第1の移動体10が常に存在するように、第2の移動体20の配置を制御してもよい。これによれば、制御装置100は、第2の移動体20にて測定された風速ベクトルVwに基づいて、所定時間後の第1の移動体10に加わる風力をより高い精度で予測することができるようになる。
【0058】
図7Bに示すように、制御装置100は、複数の第2の移動体20が第1の移動体10を挟んで互いに反対側に位置するように、第2の移動体20の配置を制御してもよい。具体的には、制御装置100は、第1の移動体10の風上、及び風下のそれぞれに第2の移動体20が常に存在するように、第2の移動体20の配置を制御してもよい。
【0059】
例えば、制御装置100は、第1の移動体10にて測定された風速ベクトルVwの方向に、第1の移動体10の風上側に第2の移動体20Aが常に存在し、第1の移動体10の風下側に第2の移動体20Bが常に存在するように、第2の移動体20A、20Bの配置を制御してもよい。これによれば、制御装置100は、風向きが突発的に変化した場合でも、第1の移動体10の風上に第2の移動体20が常に存在するようにすることができる。したがって、制御装置100は、第1の移動体10に対する第2の移動体20の配置をより円滑に制御することができる。
【0060】
なお、制御装置100は、第1の移動体10の位置、撮像方向、及び画角等に関する情報をさらに用いることで、第1の移動体10の撮像装置30の画角に第2の移動体20が入り込まないように第2の移動体20の配置を制御してもよい。また、第2の移動体20の位置は、制御装置100ではなく、第2の移動体20自身にて制御されてもよい。
【0061】
続いて、
図8を参照して、本実施形態に係る制御装置100において、第1の移動体10に加わる風力の予測に用いられる風速ベクトルを取得する風速計のバリエーションについて説明する。
図8は、風速ベクトルを測定する風速計を備える観測機を説明する説明図である。
【0062】
図8に示すように、制御装置100は、位置が固定された観測機40に備えられた風速計にて測定された風速ベクトルに基づいて、所定時間後に第1の移動体10に加わる風力を予測してもよい。すなわち、制御装置100にて第1の移動体10に加わる風力の予測に用いられる風速ベクトルは、第2の移動体20のような移動可能な装置に設けられた風速計にて測定されてもよく、観測機40のような位置が固定された装置に設けられた風速計にて測定されてもよい。制御装置100は、測定位置、及び測定時刻が特定された風速ベクトルであればどのような風速ベクトルであっても、第1の移動体10に加わる風力の予測に用いることができる。
【0063】
<5.ハードウェア構成>
続いて、
図9を参照して、本実施形態に係る制御装置100のハードウェア構成について説明する。
図9は、本実施形態に係る制御装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0064】
図9に示すように、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903、ホストバス905、ブリッジ907、外部バス906、インタフェース908、入力装置911、出力装置912、ストレージ装置913、ドライブ914、接続ポート915、及び通信装置916を備える。制御装置100は、CPU901に替えて、又はCPU901と共に、電気回路、DSP(Digital Signal Processor)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の処理回路を備えてもよい。
【0065】
CPU901は、演算処理装置、及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って制御装置100内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラム、及びその実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。CPU901は、例えば、目標値生成部110、位置制御部121、姿勢制御部123、駆動制御部130、位置・姿勢推定部143、風力予測部155、及びFF制御部157の機能を実行してもよい。
【0066】
CPU901、ROM902、及びRAM903は、CPUバスなどを含むホストバス905により相互に接続されている。ホストバス905は、ブリッジ907を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス906に接続されている。なお、ホストバス905、ブリッジ907、及び外部バス906は、必ずしも分離構成されなくともよく、1つのバスにこれらの機能が実装されてもよい。
【0067】
入力装置911は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等のユーザによって情報が入力される装置である。さらに、入力装置911は、例えば、上記の入力手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成する入力制御回路などを含んでもよい。また、入力装置911は、環境又は移動体の状態を観測し、観測結果に基づいて検出信号を生成するセンサ及び回路を含んでもよい。入力装置911は、例えば、センサ部141、及び風速センサ部151の機能を実行してもよい。
【0068】
出力装置912は、情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。出力装置912は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ装置、レーザープロジェクタ、LED(Light Emitting Diode)プロジェクタ、又はランプ等の表示装置であってもよく、スピーカ、又はヘッドホン等の音声出力装置等であってもよい。
【0069】
出力装置912は、例えば、制御装置100による各種処理にて得られた結果を出力してもよい。具体的には、出力装置912は、制御装置100による各種処理にて得られた結果を、テキスト、イメージ、表、又はグラフ等の様々な形式で視覚的に表示してもよい。または、出力装置912は、音声データ又は音響データ等のオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力してもよい。
【0070】
ストレージ装置913は、制御装置100の記憶部の一例として形成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により実現されてもよい。例えば、ストレージ装置913は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出装置、及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラム、各種データ及び外部から取得した各種のデータ等を格納してもよい。
【0071】
ドライブ914は、記憶媒体用リーダライタであり、制御装置100に内蔵又は外付けされる。ドライブ914は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。また、ドライブ914は、リムーバブル記憶媒体に情報を書き込むことも可能である。
【0072】
接続ポート915は、外部機器と接続されるインタフェースである。接続ポート915は、外部機器とのデータ伝送可能な接続口であり、例えばUSB(Universal Serial Bus)であってもよい。
【0073】
通信装置916は、例えば、ネットワーク920に接続するための通信デバイス等で形成されたインタフェースである。通信装置916は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等であってもよい。また、通信装置916は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデム等であってもよい。通信装置916は、例えば、インターネット、又は他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。通信装置916は、例えば、受信部153の機能を実行してもよい。
【0074】
なお、ネットワーク920は、情報の有線又は無線の伝送路である。例えば、ネットワーク920は、インターネット、電話回線網若しくは衛星通信網などの公衆回線網、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、又はWAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク920は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0075】
なお、制御装置100に内蔵されるCPU、ROM、及びRAMなどのハードウェアに対して、上述した本実施形態に係る制御装置100の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供することが可能である。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0077】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0078】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
を備える、制御装置。
(2)
前記制御部は、前記風力を打ち消すように前記移動体の駆動を制御する、前記(1)に記載の制御装置。
(3)
前記風力予測部は、前記移動体に設けられた内部風速計にて測定された風速ベクトルにさらに基づいて、所定時間後の前記移動体に加わる風力を予測する、前記(1)又は(2)に記載の制御装置。
(4)
前記風力予測部は、前記移動体の周囲の環境情報にさらに基づいて、所定時間後の前記移動体に加わる風力を予測する、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の制御装置。
(5)
前記風力予測部は、異なる位置に設けられた複数の前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の制御装置。
(6)
前記風力予測部は、前記移動体を風下とする前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する、前記(5)に記載の制御装置。
(7)
前記風力予測部は、前記移動体から所定の距離内に存在する前記外部風速計にて測定された前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する、前記(5)又は(6)に記載の制御装置。
(8)
前記外部風速計は、前記移動体と異なる他の移動体に設けられる、前記(1)~(7)のいずれか一項に記載の制御装置。
(9)
前記他の移動体は、前記移動体が風下方向に存在するように制御される、前記(8)に記載の制御装置。
(10)
前記外部風速計が設けられた前記他の移動体は、複数であり、
前記他の移動体は、前記移動体を挟んで互いに反対側にそれぞれ位置するように制御される、前記(8)に記載の制御装置。
(11)
前記他の移動体は、前記移動体の風上方向、及び風下方向にそれぞれ位置するように制御される、前記(10)に記載の制御装置。
(12)
前記移動体は、回転翼によって飛行する飛行体である、前記(1)~(11)のいずれか一項に記載の制御装置。
(13)
前記移動体は、撮像装置を備える、前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の制御装置。
(14)
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信することと、
演算装置によって、受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測することと、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御することと、
を含む、制御方法。
(15)
コンピュータを、
少なくとも1つ以上の外部風速計にて測定された任意の時刻の風速ベクトルを受信する受信部と、
受信した前記風速ベクトルに基づいて、所定時間後の移動体に加わる風力を予測する風力予測部と、
予測された前記風力に基づいて、前記移動体の駆動を制御する制御部と、
として機能させる、プログラム。
【符号の説明】
【0079】
10 第1の移動体
20 第2の移動体
30 撮像装置
40 観測機
100 制御装置
110 目標値生成部
121 位置制御部
123 姿勢制御部
130 駆動制御部
141 センサ部
143 位置・姿勢推定部
151 風速センサ部
153 受信部
155 風力予測部
157 FF制御部