(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】含フッ素共重合体組成物、架橋ゴムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 27/18 20060101AFI20231212BHJP
C08F 214/26 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C08L27/18
C08F214/26
(21)【出願番号】P 2021505021
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009647
(87)【国際公開番号】W WO2020184427
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019042729
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019171600
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019192748
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】服部 裕紀子
(72)【発明者】
【氏名】河合 剛
(72)【発明者】
【氏名】山田 武志
(72)【発明者】
【氏名】巨勢 丈裕
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/076876(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
C08F2/00-301/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含み、
前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位と、下記式(2)に基づく単位と、を有する共重合体であり、
前記含フッ素共重合体におけるテトラフルオロエチレンに基づく単位の含有量は、前記含フッ素共重合体の全単位に対して69~90モル%であり、
前記含フッ素共重合体の全単位に対する、前記式(2)に基づく単位の含有量が0.03~0.5モル%であり、
前記架橋剤の含有量が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.03~0.7質量部であり、
前記架橋助剤の含有量が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.1~2.5質量部であることを特徴とする、含フッ素共重合体組成物。
(CR
1R
2=CR
3)
aR
4 (2)
式(2)中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、aは2~6の整数を示し、R
4は、a価の炭素数1~10のパーフルオロ炭化水素基または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
【請求項2】
前記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
前記架橋剤の含有量に対する前記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、請求項1に記載の含フッ素共重合体組成物。
【請求項3】
前記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
前記架橋助剤の含有量に対する前記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、請求項1または2に記載の含フッ素共重合体組成物。
【請求項4】
前記架橋助剤の含有量に対する前記架橋剤の含有量の質量比が、0.4~7である、請求項1~3のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
【請求項5】
前記架橋剤と前記架橋助剤の含有量の合計が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、2.0質量部以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
【請求項6】
前記含フッ素共重合体以外の成分の含有量の合計が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.5~2.0質量部である、請求項1~5のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物中の含フッ素共重合体が架橋した架橋ゴム。
【請求項8】
含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含む組成物中の含フッ素共重合体を架橋して架橋ゴムを得ることを特徴とする、架橋ゴムの製造方法であって、
前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位と、下記式(2)に基づく単位と、を有する共重合体であり、
前記含フッ素共重合体における前記テトラフルオロエチレンに基づく単位の含有量は、前記含フッ素共重合体の全単位に対して69~90モル%であり、
前記含フッ素共重合体の全単位に対する、前記式(2)に基づく単位の含有量が0.03~0.5モル%であり、
前記組成物中、前記架橋剤の含有量が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.03~0.7質量部であり、
前記組成物中、前記架橋助剤の含有量が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.1~2.5質量部であり、
硬度が65~100であることを特徴とする、架橋ゴムの製造方法。
(CR
1R
2=CR
3)
aR
4 (2)
式(2)中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、aは2~6の整数を示し、R
4は、a価の炭素数1~10のパーフルオロ炭化水素基または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
【請求項9】
前記架橋ゴムの全光線透過率が、70~100%である、請求項
8に記載の架橋ゴムの製造方法。
【請求項10】
前記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
前記組成物中、前記架橋剤の含有量に対する前記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、請求項
8または
9に記載の架橋ゴムの製造方法。
【請求項11】
前記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
前記組成物中、前記架橋助剤の含有量に対する前記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、請求項
8~
10のいずれか1項に記載の架橋ゴムの製造方法。
【請求項12】
前記組成物中、前記架橋助剤の含有量に対する前記架橋剤の含有量の質量比が、0.4~7である、請求項
8~
11のいずれか1項に記載の架橋ゴムの製造方法。
【請求項13】
前記組成物中、前記架橋剤と前記架橋助剤の含有量の合計が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、2.0質量部以下である、請求項
8~
12のいずれか1項に記載の架橋ゴムの製造方法。
【請求項14】
前記組成物中、前記含フッ素共重合体以外の成分の含有量の合計が、前記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.5~2.0質量部である、請求項
8~
13のいずれか1項に記載の架橋ゴムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素共重合体組成物、架橋ゴムおよびその製造方法およびに関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素共重合体を架橋させた架橋ゴム(いわゆる、フッ素ゴム)は、耐熱性、耐薬品性、耐油性および耐候性等に優れる点から、シール材(例えば、Oリング、パッキン、オイルシール、ガスケット)およびクッション材として、車両、船舶、航空機、一般機械、建築等の分野で広く使用されている。
このような架橋ゴムの製造方法として、特許文献1には、特定の特性を満たすフィラーおよび架橋性フッ素系エラストマーを含む架橋性フッ素系エラストマー組成物を架橋成形する工程を含む成形品の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、各分野において、透明な架橋ゴムが求められている。例えば、化学プラントにおいては、透明な架橋ゴムによって形成された部材を用いた場合、外部からの視認性が向上して、製造上の異常の検知や設備のメンテナンスが容易になるという利点がある。
また、架橋ゴムに求められるゴム特性の一つとして、硬度に優れることが挙げられる。 このような要求に対して、本発明者が特許文献1に記載されているような架橋ゴムを評価したところ、架橋ゴムの製造時に使用する組成物の組成によっては、硬度には優れるものの、透明性に改善の余地があることを見出した。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされ、硬度および透明性に優れた架橋ゴム、その製造方法および含フッ素共重合体組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含む組成物中の含フッ素共重合体を架橋して得られる架橋ゴムにおいて、含フッ素共重合体の構成単位の組成を特定範囲内に設定し、組成物中における架橋剤および架橋助剤の含有量を含フッ素共重合体の含有量に対して特定範囲内に設定すれば、硬度および透明性に優れた架橋ゴムが得られることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含み、
上記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体であり、
上記含フッ素共重合体におけるテトラフルオロエチレンに基づく単位の含有量は、上記含フッ素共重合体の全単位に対して69~90モル%であり、
上記架橋剤の含有量が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.03~0.7質量部であり、
上記架橋助剤の含有量が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.1~2.5質量部であることを特徴とする、含フッ素共重合体組成物。
[2]上記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
上記架橋剤の含有量に対する上記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、[1]に記載の含フッ素共重合体組成物。
[3]上記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
上記架橋助剤の含有量に対する上記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、[1]または[2]に記載の含フッ素共重合体組成物。
[4]上記架橋助剤の含有量に対する上記架橋剤の含有量の質量比が、0.4~7である、[1]~[3]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[5]上記架橋剤と上記架橋助剤の含有量の合計が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、2.0質量部以下である、[1]~[4]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[6]上記含フッ素共重合体以外の成分の含有量の合計が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.5~2.0質量部である[1]~[5]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[7]上記含フッ素共重合体がさらに下記式(2)に基づく単位を有し、上記含フッ素共重合体の全単位に対する、下記式(2)に基づく単位の含有量が0.03~0.5モル%である、[1]~[6]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
(CR1R2=CR3)aR4 (2)
式(2)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、aは2~6の整数を示し、R4は、a価の炭素数1~10のパーフルオロ炭化水素基または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
[8][1]~[7]のいずれかの含フッ素共重合体組成物中の含フッ素共重合体が架橋した架橋ゴム。
[9]含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含む組成物中の含フッ素共重合体を架橋して架橋ゴムを得ることを特徴とする、架橋ゴムの製造方法であって、
上記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体であり、
上記含フッ素共重合体における上記テトラフルオロエチレンに基づく単位の含有量は、上記含フッ素共重合体の全単位に対して69~90モル%であり、
上記組成物中、上記架橋剤の含有量が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.03~0.7質量部であり、
上記組成物中、上記架橋助剤の含有量が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.1~2.5質量部であり、
硬度が65~100であることを特徴とする、架橋ゴムの製造方法。
[10]上記架橋ゴムの全光線透過率が、70~100%である、[9]に記載の架橋ゴムの製造方法。
[11]上記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
上記組成物中、上記架橋剤の含有量に対する上記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、[9]または[10]に記載の架橋ゴムの製造方法。
[12]上記含フッ素共重合体が、ヨウ素原子を有し、
上記組成物中、上記架橋助剤の含有量に対する上記ヨウ素原子の含有量の質量比が、0.3~1.2である、[9]~[11]のいずれかの架橋ゴムの製造方法。
[13]上記組成物中、上記架橋助剤の含有量に対する上記架橋剤の含有量の質量比が、0.4~7である、[9]~[12]のいずれかの架橋ゴムの製造方法。
[14]上記組成物中、上記架橋剤と上記架橋助剤の含有量の合計が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、2.0質量部以下である、[9]~[13]のいずれかの架橋ゴムの製造方法。
[15]上記組成物中、上記含フッ素共重合体以外の成分の含有量の合計が、上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.5~2.0質量部である、[9]~[14]のいずれかの架橋ゴムの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬度および透明性に優れた架橋ゴム、その製造方法および含フッ素共重合体組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における用語の意味は以下の通りである。
共重合体における「単位」とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」は、以下、単に「単位」ともいう。
「ゴム」とは、JIS K 6200(2008)により定義される性質を示すゴムを意味し、「樹脂」とは区別される。
【0010】
本発明の架橋ゴムの製造方法は、含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含む組成物(以下、「含フッ素共重合体組成物」ともいう。)中の含フッ素共重合体を架橋して架橋ゴムを得る製造方法であって、上記含フッ素共重合体がテトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とを有する共重合体であり、上記含フッ素共重合体におけるテトラフルオロエチレンに基づく単位の含有量は、上記含フッ素共重合体の全単位に対して69~90モル%であり、上記含フッ素共重合体組成物中上記架橋剤の含有量が上記含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.03~0.7質量部であり、上記含フッ素共重合体組成物中上記架橋助剤の含有量が上記含フッ素共重合体の100質量部に対して0.1~2.5質量部であり、硬度が65~100である。
【0011】
上記架橋ゴムの製造方法によって得られた架橋ゴムは、硬度および透明性に優れる。この理由の詳細は明らかになっていないが、以下の理由によると推測される。
含フッ素共重合体は、シリコン樹脂等と比較して、架橋によって部分的に結晶化が起きやすい傾向にある。そのため、含フッ素共重合体が架橋した架橋ゴム中において、架橋構造が増えると、微結晶部分が生じやすくなる結果、架橋ゴムが不透明に見えると考えられる。
そこで、本発明者らは、含フッ素共重合体におけるテトラフルオロエチレンに基づく単位の含有量を増やし、含フッ素共重合体の架橋に使用する架橋剤および架橋助剤の含有量を従来よりも減らすことによって、優れた硬度を維持しつつ、透明性に優れた架橋ゴムが得られることを見出した。すなわち、ゴムとしての特性が失われない程度に架橋剤および架橋助剤の含有量を減らしたことで、優れた硬度が維持される程度の架橋点を残しつつ、架橋ゴム中の微結晶部分が減少して、透明性に優れた架橋ゴムが得られたと推測される。
【0012】
〔含フッ素共重合体組成物〕
含フッ素共重合体組成物は、含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含む。
【0013】
<含フッ素共重合体>
含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」ともいう。)単位と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」ともいう。)単位と、を有する共重合体である。
【0014】
PAVEとしては、下記式(1)で表される単量体が好ましい。
CF2=CF-O-Rf1 (1)
式(1)中、Rf1は、炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す。Rf1の炭素数は、1~6が好ましく、1~5が特に好ましい。
【0015】
PAVEの具体例としては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(以下、「PMVE」ともいう。)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(以下、「PEVE」ともいう。)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、「PPVE」ともいう。)が挙げられ、これらの中でも、PMVE、PPVEが好ましい。
【0016】
含フッ素共重合体は、TFEおよびPAVE以外の単量体に基づく単位を有していてもよく、その具体例としては、下記式(2)で表される単量体に基づく単位(以下、「式(2)単位」ともいう。)、下記式(3)で表される単量体に基づく単位(以下、「式(3)単位」ともいう。)、フッ化ビニリデン(以下、「VdF」ともいう。)単位、ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」ともいう。)単位、クロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」ともいう。)単位、エチレン単位が挙げられ、これらの中でも、式(2)単位、式(3)単位、フッ化ビニリデン(以下、「VdF」ともいう。)単位が好ましい。
【0017】
式(2)は下記の通りである。
(CR1R2=CR3)aR4 (2)
式(2)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、aは2~6の整数を示し、R4は、a価の炭素数1~10のパーフルオロ炭化水素基または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
複数のR1、複数のR2および複数のR3はそれぞれ、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに同一であるのが特に好ましい。
aは2または3が好ましく、2が特に好ましい。
【0018】
含フッ素共重合体のモノマーの重合性と架橋性および耐熱性を高める観点から、R1、R2、R3がフッ素原子または水素原子であるのが好ましく、R1、R2、R3の全てがフッ素原子であるかまたはそれら全てが水素原子であるのがより好ましく、R1、R2、R3の全てがフッ素原子であるのが特に好ましい。
R4は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がさらに好ましい。R4の炭素数は、2~8が好ましく、3~7がより好ましく、3~6がさらに好ましく、3~5が特に好ましい。また、R4におけるエーテル性酸素原子の数は0~3が好ましく、1または2が特に好ましい。1個または2個のエーテル性酸素原子はパーフルオロアルキレン基の末端に存在していることが好ましい。R4がこれらの好適な範囲にあると、架橋ゴムの硬度により優れ、高温下での圧縮永久歪が小さい。
【0019】
式(2)で表される単量体の具体例としては、炭素数1~10のパーフルオロアルキレン基の両末端の各々に、エーテル性酸素を介してまたは介することなく、ビニル基またはトリフルオロビニル基が結合した化合物が挙げられる。
式(2)で表される単量体の具体例としては、CF2=CFO(CF2)2OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)3OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)4OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)6OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)8OCF=CF2、CH2=CH(CF2)6CH=CH2、CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)CF2OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)2O(CF(CF3)CF2O)2CF=CF2、CF2=CFOCF2O(CF2CF2O)2CF=CF2、CF2=CFO(CF2O)3O(CF(CF3)CF2O)2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2OCF(CF3)CF2OCF=CF2、CF2=CFOCF2CF2O(CF2O)2CF2CF2OCF=CF2が挙げられる。
式(2)で表される単量体の好適な具体例としては、CF2=CFO(CF2)3OCF=CF2(以下、「C3DVE」ともいう。)、CF2=CFO(CF2)4OCF=CF2(以下、「C4DVE」または「PBDVE」ともいう。)、CH2=CH(CF2)6CH=CH2(以下、「C6DV」ともいう。)が挙げられる。
含フッ素共重合体がこれらの単量体に基づく単位の少なくとも1種を有する場合、モノマーの重合性とポリマーの架橋性に優れ、該含フッ素共重合体から製造される架橋ゴムは、硬度により優れ、高温下での圧縮永久歪がより小さい。
【0020】
式(2)で表される単量体を共重合させると、重合中に式(2)で表される単量体の末端にある重合性二重結合の一部が反応して、分岐鎖を有する含フッ素共重合体が得られる。
【0021】
式(3)は下記の通りである。
CF2=CF-O-Rf2 (3)
式(3)中、Rf2は、炭素数1~8のエーテル性酸素原子を含むパーフルオロアルキル基を示す。Rf2の炭素数は、1~6が好ましく、1~5が特に好ましい。
【0022】
式(3)で表される単量体の具体例としては、パーフルオロ(3,6-ジオキサ-1-ヘプテン)、パーフルオロ(3,6-ジオキサ-1-オクテン)、パーフルオロ(5-メチル-3,6-ジオキサ-1-ノネン)が挙げられる。
【0023】
TFE単位の含有量は、含フッ素共重合体の全単位に対して、69~90モル%であり、69~89モル%が好ましく、69~80モル%がさらに好ましく、70~75モル%が特に好ましい。
PAVE単位の含有量は、含フッ素共重合体の全単位に対して、10~31モル%が好ましく、20~31モル%がより好ましく、25~30モル%が特に好ましい。
含フッ素共重合体が式(2)単位を有する場合、その含有量は、含フッ素共重合体の全単位に対して、0.03~0.5モル%が好ましく、0.05~0.3モル%が特に好ましい。
含フッ素共重合体が式(3)単位を有する場合、その含有量は、含フッ素共重合体の全単位に対して、1~21モル%が好ましく、5~11モル%が特に好ましい。
TFE単位の含有量とPAVE単位の含有量の合計は、含フッ素共重合体の全単位に対して、79~100モル%が好ましく、89~100モル%が特に好ましい。
【0024】
含フッ素共重合体に含まれる各単位の好適な組み合わせを以下に示す。
組み合わせ1:TFE単位と、PAVE単位(好ましくは、式(1)単位、さらに好ましくは、PPVE単位またはPMVE単位)との組み合わせ
組み合わせ2:TFE単位と、PAVE単位(好ましくは、式(1)単位、さらに好ましくは、PPVE単位またはPMVE単位)と、式(2)単位との組み合わせ
【0025】
組み合わせ1および2における共重合組成は、下記のモル比であるのが好ましい。下記のモル比であると、さらに架橋ゴムの機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐油性、および耐候性が優れる。
組み合わせ1:TFE単位/PAVE単位=69~90/10~31(モル比)
組み合わせ2:TFE単位/PAVE単位/式(2)単位=69~89/10~31/0.03~0.5(モル比)
【0026】
含フッ素共重合体は、上記以外の他の単量体に基づく単位を有していてもよい。他の単量体としては、他の含フッ素単量体や非フッ素単量体が挙げられる。
他の含フッ素単量体の具体例としては、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロシクロブテン、CH2=CHCF3、CH2=CHCF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF2CF3等の(パーフルオロアルキル)エチレン類が挙げられる。
非フッ素単量体の具体例としては、イソブチレン、ペンテン等のα-オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステル類が挙げられる。
含フッ素共重合体が他の単量体に基づく単位を有する場合、その含有量は、含フッ素共重合体の全単位に対して、0.001~2.0モル%が好ましく、0.01~1.0モル%がより好ましく、0.01~0.5モル%が特に好ましい。
【0027】
他の単量体として、ヨウ素原子を有する単量体を使用してもよい。ヨウ素原子を有する単量体を共重合させると、含フッ素共重合体の側鎖にもヨウ素原子を導入できる。
ヨウ素原子を有する単量体の具体例としては、ヨードエチレン、4-ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、2-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-1-ビニロキシエタン、2-ヨードエチルビニルエーテル、アリルヨージド、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヨード-1-(パーフルオロビニロキシ)プロパン、3,3,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、2-ヨードパーフルオロ(エチルビニルエーテル)が挙げられる。
含フッ素共重合体がヨウ素原子を有する単量体に基づく単位を有する場合、その含有量は、含フッ素共重合体の全単位に対して、0.001~2.0モル%が好ましく、0.01~1.0モル%がより好ましく、0.01~0.5モル%が特に好ましい。
【0028】
含フッ素共重合体は、ヨウ素原子を有するのが好ましく、含フッ素共重合体(高分子鎖)の末端にヨウ素原子を有するのが特に好ましい。ここで、末端とは、含フッ素共重合体の主鎖の末端および分岐鎖の末端の両方を意味する。
ヨウ素原子としては、後述の連鎖移動剤として機能するヨード化合物に由来するヨウ素原子、上述のヨウ素原子を有する単量体に基づく単位中のヨウ素原子が挙げられ、ヨード化合物に由来するヨウ素原子であるのが好ましい。
含フッ素共重合体がヨウ素原子を有する場合、その含有量は、含フッ素共重合体の全質量に対して、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~2.0質量%がより好ましく、0.05~1.0質量%が特に好ましい。ヨウ素原子の含有量が上記範囲にあると、含フッ素共重合体の架橋反応性がより優れ、架橋ゴムの機械特性がより優れる。
含フッ素共重合体がヨウ素原子を有する場合、含フッ素共重合体組成物中における架橋剤(後述)の含有量に対するヨウ素原子の含有量の質量比(ヨウ素原子の含有量/架橋剤の含有量)は、0.3~1.2が好ましく、0.3~1.0がより好ましく、0.35~0.70が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、架橋反応が進行しやすく、上記範囲の上限値以下であると、硬度がより優れる。
含フッ素共重合体がヨウ素原子を有する場合、含フッ素共重合体組成物中における架橋助剤(後述)の含有量に対するヨウ素原子の含有量の質量比(ヨウ素原子の含有量/架橋助剤の含有量)が、0.3~1.2が好ましく、0.3~1.0がより好ましく、0.35~0.70が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、架橋反応が進行しやすく、上記範囲の上限値以下であると、硬度がより優れる。
【0029】
含フッ素共重合体の含有量は、含フッ素共重合体組成物の全質量に対して、95~99質量%が好ましく、96~99質量%がより好ましく、97~99質量%が特に好ましい。
【0030】
(含フッ素共重合体の製造方法)
含フッ素共重合体の製造方法の一例としては、連鎖移動剤およびラジカル重合開始剤の存在下、上記単量体を共重合する方法が挙げられる。
【0031】
連鎖移動剤は、ヨード化合物であることが好ましく、式RI2で表されるヨード化合物であることが特に好ましい。上記式中、Rは炭素数3以上(好ましくは、炭素数3~8)のアルキレン基またはパーフルオロアルキレン基を示す。
式RI2で表されるヨード化合物の具体例としては、1,3-ジヨードプロパン、1,4-ジヨードブタン、1,6-ジヨードヘキサン、1,8-ジヨードオクタン、1,3-ジヨードパーフルオロプロパン、1,4-ジヨードパーフルオロブタン、1,6-ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8-ジヨードパーフルオロオクタンが挙げられる。
ヨード化合物としては、パーフルオロアルキレン基を有するヨード化合物が好ましく、1,4-ジヨードパーフルオロブタンが特に好ましい。
これらのヨード化合物の存在下に上記単量体を共重合させると、含フッ素共重合体の主鎖末端にヨウ素原子を導入できる。また、本発明において、分岐鎖を有する含フッ素共重合体が得られる場合には、この分岐鎖末端にも同様にヨウ素原子を導入できる。したがって、ヨウ素原子を有する高分子鎖末端は、主鎖末端であってもよいし、分岐鎖末端であってもよい。
【0032】
ラジカル重合開始剤としては、水溶性重合開始剤、レドックス重合開始剤が好ましい。
水溶性重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸類、ジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等の有機系重合開始剤類が挙げられ、これらの中でも、過硫酸類が好ましく、過硫酸アンモニウムがより好ましい。
レドックス重合開始剤としては、過硫酸類と還元剤を組み合せた重合開始剤が挙げられる。このうち、重合温度が0~60℃の範囲で各単量体を重合可能な重合開始剤が好ましい。レドックス重合開始剤を構成する過硫酸塩の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸のアルカリ金属塩が挙げられ、過硫酸アンモニウムが好ましい。過硫酸類と組み合わせる還元剤の具体例としては、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩が挙げられ、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩が好ましく、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム塩が特に好ましい。
【0033】
含フッ素共重合体の製造時に使用する上記以外の成分、製造方法の詳細については、国際公開第2010/082633号の段落0019~0034に記載の方法を参照できる。
【0034】
<架橋剤>
架橋剤は、含フッ素共重合体を架橋するために使用される。架橋剤は、含フッ素共重合体の架橋反応性がより優れる点から、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、ジアルキルパーオキシド類、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-m-ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、が挙げられる。これらのうち、ジアルキルパーオキシド類、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-m-ジイソプロピルベンゼンが好ましい。
ジアルキルパーオキシド類の具体例としては、1,1-ジ(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキシド、tert-ブチルパーオキシマレイン酸、tert-ブチルパーオキシソプロピルカーボネート、ジtert-ブチルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシンが挙げられる。これらのうち、ジクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
架橋剤は、1種のみが含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
【0035】
含フッ素共重合体組成物中、架橋剤の含有量は、含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.03~0.7質量部であり、0.1~0.6質量部が好ましく、0.3~0.6質量部が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、架橋ゴムの硬度がより優れ、上記範囲の上限値以下であれば、架橋ゴムの透明性がより優れる。
【0036】
<架橋助剤>
架橋助剤は、含フッ素共重合体の架橋反応性を向上させるために使用される。
架橋助剤は、同一分子内に反応性官能基を2個以上有する化合物が好ましい。反応性官能基の具体例としては、炭素-炭素二重結合含有基、ハロゲン原子、酸無水物残基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、水酸基が挙げられる。架橋助剤の同一分子内に存在する複数の反応性官能基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
炭素-炭素二重結合含有基の具体例としては、ビニル基、アリル基およびメタリル基等のアルケニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基等の不飽和アシル基、マレイミド基が挙げられる。炭素-炭素二重結合含有基は、炭素数2~4のアルケニル基が好ましく、アリル基が特に好ましい。
架橋助剤の具体例としては、下式(4)で表される化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、トリアリルトリメリテート、m-フェニレンジアミンビスマレイミド、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、N,N’,N’’,N’’’-テトラアリルテレフタールアミド、ビニル基含有シロキサンオリゴマー(ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン等)が挙げられる。これらの中でも、下式(4)で表される化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、下式(4)で表される化合物、トリアリルイソシアヌレートがより好ましく、架橋ゴムの透明性がより優れる点から下式(4)で表される化合物が特に好ましい。
架橋助剤は、1種のみが含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
【0037】
式(4)は下記の通りである。
(CR41R42=CR43)2R44 式(4)
式(4)中、R41、R42およびR43はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~5のアルキル基または炭素数1~5のフルオロアルキル基を示し、R44は、2価の炭素数1~18のフルオロ炭化水素基または該フルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。複数のR41、複数のR42および複数のR43はそれぞれ、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0038】
R41、R42およびR43がアルキル基またはフルオロアルキル基の場合、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であるのが好ましい。
R41、R42およびR43がアルキル基またはフルオロアルキル基の場合、その炭素数は、1~5であり、1~3がより好ましく、1または2が特に好ましい。
DVEの重合反応性がより優れる点から、R41、R42およびR43の全てが水素原子であるのが好ましい。
【0039】
R44におけるフルオロ炭化水素基は、架橋ゴム物品の耐熱性により優れる点から、パーフルオロ炭化水素基であるのが好ましい。
R44は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状が特に好ましい。R44の炭素数は、1~18であり、2~8が好ましく、3~7が特に好ましい。
R44がエーテル性酸素原子を有する場合、R44におけるエーテル性酸素原子の数は1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1または2が特に好ましい。R44がエーテル性酸素原子を有する場合、エーテル性酸素原子は、R44の末端に存在していることが好ましい。
式(4)で表される化合物としては、前述の式(2)で表される化合物が好ましい。式(2)で表される化合物の中でも、C3DVE、C4DVE、CH2=CH(CF2)2CH=CH2、CH2=CH(CF2)4CH=CH2、C6DVが好ましく、C6DVが特に好ましい。
【0040】
含フッ素共重合体組成物中、架橋助剤の含有量は、含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.1~2.5質量部であり、0.1~2.0質量部が好ましく、0.1~1.0質量部が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、架橋ゴムの硬度がより優れ、上記範囲の上限値以下であれば、架橋ゴムの透明性がより優れる。
【0041】
含フッ素共重合体組成物中、架橋助剤の含有量に対する架橋剤の含有量の質量比(架橋剤の含有量/架橋助剤の含有量)は、0.4~7が好ましく、0.4~7.0がより好ましく、0.4~5.0がさらに好ましく、0.5~2.0が特に好ましい。上記範囲内であれば、未反応の架橋助剤が残りにくく、架橋反応が良好に進行するため、透明性により優れる。
含フッ素共重合体組成物中、架橋剤と架橋助剤の含有量の合計が、含フッ素共重合体の100質量部に対して、2.0質量部以下が好ましく、1.8質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が特に好ましい。上記値以下であれば、架橋ゴムの透明性がより優れる。
含フッ素共重合体組成物中、架橋剤と架橋助剤の含有量の合計が、含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。上記値以上であれば、架橋ゴムの硬度がより優れる。
【0042】
<他の成分>
含フッ素共重合体組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、加工助剤(例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩等の受酸剤)、充填剤および補強剤(例えば、カーボンブラック、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、二酸化珪素、クレー、タルク)、金属酸化物(例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等の2価金属の酸化物)、加硫剤、スコーチ遅延剤(例えば、ビスフェノールA等のフェノール性水酸基含有化合物類、ハイドロキノン等のキノン類、2,4-ジ(3-イソプロピルフェニル)-4-メチル-1-ペンテン等のα-メチルスチレンダイマー類)が挙げられる。
【0043】
含フッ素共重合体組成物は充填剤および補強剤を含んでいてもよいが、架橋ゴムの透明性がより優れる点から、含フッ素共重合体組成物は充填剤および補強剤を実質的に含まないのが好ましい。ここで、「含フッ素共重合体組成物が充填剤および補強剤を実質的に含まない」とは、含フッ素共重合体組成物中、充填剤および補強剤の含有量の合計が、架橋ゴムの100質量に対して、0.1質量部以下であるのを意味し、0.01質量部以下であるのが好ましく、0質量部であるのが特に好ましい。
【0044】
含フッ素共重合体組成物中、含フッ素共重合体以外の成分、すなわち架橋剤、架橋助剤および他の成分の含有量の合計は、含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.5~2.0質量部が好ましく、0.5~1.8質量部がより好ましく、0.5~1.2質量部が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、架橋ゴムの硬度がより優れ、上記範囲の上限値以下であれば、架橋ゴムの透明性がより優れる。
【0045】
含フッ素共重合体組成物の調製方法としては、上記各成分を混合する方法が挙げられる。各成分の混合は、ロール、ニーダー、バンバリーミキサーまたは押し出し機等のゴム用混合装置を用いて実施できる。
また、上記各成分を混合した混合物を得た後、混合物を成形してもよい。すなわち、含フッ素共重合体組成物は、成形物であってもよい。混合物の成形方法の具体例としては、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、カレンダー成形、または、溶剤に溶かしてディッピングもしくはコーティングして成形する方法が挙げられる。
【0046】
〔架橋ゴムの製造方法〕
架橋ゴムは、含フッ素共重合体組成物中の含フッ素共重合体を架橋して得られる。
含フッ素共重合体組成物中の含フッ素共重合体の架橋方法としては、含フッ素共重合体組成物を加熱によって架橋する方法が好ましい。
加熱による架橋方法の具体例としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋が挙げられる。これらの方法から、含フッ素共重合体組成物の形状や用途を考慮して適宜選択すればよい。
加熱条件は、100~400℃で1秒~24時間が好ましい。
【0047】
含フッ素共重合体組成物を加熱して1次架橋してなる架橋ゴムを、さらに加熱して2次架橋してもよい。2次架橋を行うことにより、架橋ゴムの機械特性、圧縮永久歪、その他の特性を安定化または向上できる。
2次架橋を行う際の加熱条件は、100~300℃で30分間~48時間が好ましい。
【0048】
含フッ素共重合体組成物を加熱によって架橋する以外の架橋方法としては、含フッ素共重合体組成物に放射線を照射して架橋する方法が挙げられる。照射する放射線の具体例としては、電子線、紫外線が挙げられる。
【0049】
<物性>
本発明の架橋ゴムは、上記含フッ素共重合体組成物を用いて得られるため高い透明性を示す。架橋ゴムの透明性を示す指標としては、全光線透過率が挙げられる。全光線透過率(%)とは、試験片に光を当てた際に透過する光線のうち、平行成分と拡散成分の全てを含めた光線の透過率を意味する。
架橋ゴムの全光線透過率は、70~100%が好ましく、73~100%がより好ましく、75~100%が特に好ましい。本発明の架橋ゴムは、上記含フッ素共重合体組成物を用いて得られるため、上記全光線透過率の範囲を満たす。全光線透過率が70%以上であれば、架橋ゴムを観察した際の透明性が優れるといえる。
本発明における架橋ゴムの全光線透過率は、架橋ゴムの板状の成形物(厚み2mm)を用いて、JIS K7361-1:1997に準拠して測定される値である。
【0050】
架橋ゴムの架橋特性の指標として、後述する実施例の方法で測定されるMH-ML(以下、「架橋度」ともいう。)が挙げられる。架橋度の数値が大きいほど、架橋ゴムの架橋構造が多く、架橋ゴム中に微結晶部分が多数存在する状態にあるといえる。したがって、架橋度の数値が小さい場合には、架橋ゴムの透明性が優れるといえ、架橋度の数値が大きい場合には、架橋ゴムのゴム特性に優れる(例えば、硬度や引張強度が高い)といえる。 架橋ゴムの架橋度は、3~50dNmが好ましく、3~45dNmがより好ましく、5~40dNmが特に好ましい。架橋ゴムの架橋度が上記範囲であると、ゴム特性および透明性を高いレベルで両立できる。
【0051】
架橋ゴムの引張強度は、1~50MPaが好ましく、10~35MPaが特に好ましい。架橋ゴムの引張強度が上記範囲内であれば、架橋ゴムのゴム特性および透明性がより優れる。
架橋ゴムの100%モジュラスは、ゴム特性に優れる点から、0.2~5.0MPaが好ましく、0.5~3.5MPaが特に好ましい。
架橋ゴムの切断時伸び率は、ゴム特性に優れる点から、100~1000%が好ましく、150~600%が特に好ましい。
架橋ゴムの引張強度、100%モジュラスおよび切断時伸び率は、架橋ゴムの板状の成形物(厚み2mm)を3号ダンベルで打ち抜いた試料を用いて、JIS K6251:2017に準拠して測定される値である。
【0052】
架橋ゴムの硬度(Shore-A)は、65~100であり、ゴム特性に優れる点から、65~80が好ましく、65~75が特に好ましい。架橋ゴムは、上述の含フッ素共重合体組成物を用いて得られるため、上記硬度の値を満たす。
架橋ゴムの硬度(Shore-A)は、架橋ゴムの板状の成形物(厚み2mm)を用いて、JIS K6253-3:2012に準拠して、タイプAデュロメータを用いて測定される値である。
【0053】
<用途>
架橋ゴムは、O-リング、シート、ガスケット、オイルシール、ダイヤフラム、V-リング等の材料に好適である。また、耐熱性耐薬品性シール材、耐熱性耐油性シール材、電線被覆材、半導体装置用シール材、耐蝕性ゴム塗料、耐ウレア系グリース用シール材等、ゴム塗料、接着ゴム、ホース、チューブ、カレンダーシート(ロール)、スポンジ、ゴムロール、石油掘削用部材、放熱シート、溶液架橋体、ゴムスポンジ、ベアリングシール(耐ウレアグリース等)、ライニング(耐薬品)、自動車用絶縁シート、電子機器向け絶縁シート、時計向けゴムバンド、内視鏡用パッキン(耐アミン)、蛇腹ホース(カレンダーシートからの加工)、給湯器パッキン/弁、防舷材(海洋土木、船舶)、繊維・不織布(防護服等)、基盤シール材、ゴム手袋、一軸偏心ねじポンプのステータ、尿素SCRシステム用部品、防振剤、制振剤、シーリング剤、他材料への添加剤、玩具の用途にも適用できる。
架橋ゴムは、透明性に優れるため、外部からの視認性が求められる用途に特に好適である。透明性が要求される用途の具体例としては、半導体製造装置用のシール材が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。例1~例3は実施例であり、例4~例9は比較例である。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、後述する表中における各成分の配合量は、質量基準である。
【0055】
[共重合組成の測定]
核磁気共鳴(NMR)分析により、共重合体中の各単位の含有量を算出した。
また、自動試料燃焼装置イオンクロマトフラフ用前処理装置(三菱ケミカルアナリテック社製、AQF-100型)とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置により、共重合体中のヨウ素原子の含有量を算出した。
【0056】
[全光線透過率]
全光線透過率は、架橋ゴムの板状の成形物(厚み2mm)を用いて、JIS K7361-1:1997に準拠し、ヘーズメータ(日本電色社製、NDH5000)を用いて測定した。
全光線透過率が70%以上であれば、架橋ゴムの透明性に優れているといえる。
全光線透過率が75%以上である場合を「◎」、70%以上、75%未満である場合を「○」、70%未満である場合を「×」と評価した。
【0057】
[架橋度]
後述の表1に示す成分および配合量に調合し、2本ロールにより、室温下にて10分間混練し、混合された組成物を得た。
得られた組成物について、架橋特性測定機(アルファーテクノロジーズ社製、商品名「RPA2000」)を用いて150℃で20分間、振幅3度の条件にて架橋特性を測定した。
測定されるMHはトルクの最大値を示し、MLはトルクの最小値を示し、MH-ML(MHからMLを差し引いた値)は架橋度(単位:dNm)を示す。
【0058】
[引張強度、100%モジュラス、切断時伸び率、硬度]
架橋度の測定と同様にして得られた組成物を、後述の表に示す架橋条件にて熱プレス(1次架橋)して、厚さ2mmの架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートを3号ダンベルで打ち抜き、測定試料を作製した。
得られた測定試料を用いて、JIS K6251:2017に準拠する方法にて、引張強度、100%モジュラスおよび切断時伸び率を測定した。
引張強度、100%モジュラスおよび切断時伸び率はデータ処理付引張試験機(クイックリーダー)TS-2530(上島製作所社製)を用いて測定を行った。
引張強度が1MPa以上であれば、架橋ゴムの引張強度に優れているといえる。
また、得られた測定試料を用いて、JIS K6253-3:2012に準拠して、デジテスト ショアーA(H.バーレイス試験機社製)を用いて硬度(Shore-A)を測定した。
硬度が65以上であれば、架橋ゴムの硬度に優れているといえる。
【0059】
[含フッ素共重合体の製造]
以下に示す通り、含フッ素共重合体である共重合体1~4を製造した。
(共重合体1)
アンカー翼を備えた内容積20Lのステンレス製耐圧反応器を脱気した後、超純水の8.2L、C2F5OCF2CF2OCF2COONH4の30質量%溶液の733g、C3DVEの10.0g、リン酸水素二ナトリウム・12水和物の5質量%水溶液の15.9gを仕込み、気相を窒素置換した。アンカー翼を用いて375rpmの速度で撹拌しながら、内温が80℃になってからTFEの198g、PMVEの454gを容器内に圧入した。反応器内圧は0.90MPa[gauge]であった。過硫酸アンモニウムの1質量%水溶液の40mLを添加し、重合を開始した。重合開始前に圧入する単量体(以下、初期単量体と記す。)の添加比をモル比で表すと、TFE:PMVE:C3DVE=41.74:57.64:0.61であった。
【0060】
重合の進行に伴い反応器内圧が0.89MPa[gauge]に低下した時点でTFEを圧入し、反応器内圧を0.90MPa[gauge]に昇圧させた。これを繰り返し、TFEの80gを圧入するたびにPMVEの62gも圧入した。また、1,4-ジヨードペルフルオロブタンの7.0gを、TFEを60g圧入した時点で、超純水50mLとともにアンプル管より反応器に圧入した。
TFEの総添加質量が1200gとなった時点で、重合開始後に圧入する単量体(以下、「後添加単量体」と記す。)の添加を停止し、反応器内温を10℃に冷却させ、重合反応を停止させ、含フッ素共重合体を含むラテックスを得た。重合時間は360分間であった。また、後添加単量体の総添加質量は、TFEが1200g、PMVEが868gであり、これをモル比に換算すると、TFE:PMVE=68:32であった。
【0061】
硝酸(関東化学株式会社製、特級グレード)を超純水に溶解して硝酸の3質量%水溶液を調製した。ラテックスを、TFE/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)製容器内の硝酸水溶液に添加して、含フッ素共重合体を凝集させた。ラテックス中の含フッ素共重合体100質量部に対して硝酸水溶液の量は150質量部であった。
【0062】
凝集した含フッ素共重合体をろ過によって回収し、PFA製容器内の超純水に投入し、200rpmで30分間撹拌して洗浄した。含フッ素共重合体100質量部に対して超純水の量は100質量部であった。上記洗浄を10回繰り返した。
【0063】
洗浄した含フッ素共重合体をろ過によって回収し、50℃、10kPaで減圧乾燥させ、共重合体1を得た。共重合体1における各単位のモル比は、TFE単位:PMVE単位:C3DVE単位=71.40:28.43:0.17であり、ヨウ素原子の含有量は、0.10質量%であった。
【0064】
(共重合体2)
ラテックスを凝集させる際に、硝酸水溶液に代えて硫酸アルミニウムカリウムの5質量%水溶液を用いたこと以外は、共重合体1の製造方法に従って共重合体2を製造した。ラテックス中の含フッ素共重合体100質量部に対して硫酸アルミニウムカリウム水溶液の量は150質量部であった。
凝集した含フッ素共重合体をろ過によって回収し、例1と同様にして洗浄した。
洗浄した含フッ素共重合体をろ過によって回収し、例1と同様にして乾燥させ、共重合体2を得た。共重合体2における各単位のモル比は、TFE単位:PMVE単位:C3DVE単位=71.43:28.40:0.17であり、ヨウ素原子の含有量は、0.10質量%であった。
【0065】
(共重合体3)
C3DVEの10gの代わりにC6DVの6gを用いたこと以外は、共重合体1の製造方法に従って共重合体3を製造した。初期単量体の添加比をモル比で表すと、TFE:PMVE:C6DV=41.7:57.6:0.61であった。共重合体3における各単位のモル比は、TFE単位:PMVE単位:C6DV単位=71.54:28.40:0.16であり、ヨウ素原子の含有量は、0.10質量%であった。
【0066】
(共重合体4)
PBDVEをC3DVEに変更した以外は、国際公開第2010/082633号の実施例1の方法を参考にして、共重合体4を製造した。
共重合体4の共重合組成は、TFE単位:PMVE単位:C3DVE単位=65.9:34.0:0.1(モル比)であり、ヨウ素原子の含有量は0.20質量%であった。
【0067】
[例1~例9]
表1に示す成分および配合量に調合し、2本ロールにより、室温下にて10分間混練し、混合された組成物を得た。得られた組成物を、後述の表に示す架橋条件にて熱プレス(1次架橋)して、シート状の例1~例9の架橋ゴム(架橋ゴムシート)を得た。
得られた組成物および架橋ゴムを用いて、上述の各種物性を測定した。測定結果を表1に示す。
【0068】
共重合体を除く表1に記載の各成分の概要を以下に示す。
パーカドックス14:商品名、化薬アクゾ社製、架橋剤(有機過酸化物)、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン
パーヘキサ25B:商品名、日本油脂社製、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、架橋剤(有機過酸化物)
TAIC:商品名、三菱ケミカル社製、トリアリルイソシアネート、架橋助剤
ステアリン酸Ca:ステアリン酸カルシウム、受酸剤
AEROSIL R8200:商品名、日本アエロジル社製、シリカ、充填剤および補強剤
AEROSIL R972V:商品名、日本アエロジル社製、シリカ、充填剤および補強剤
【0069】
【0070】
表1の例1~例3に示す通り、含フッ素共重合体の全単位に対してTFE単位の含有量が69~90モル%である含フッ素共重合体と、架橋剤と、架橋助剤とを含む組成物を用い、架橋剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.03~0.7質量部であり、架橋助剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.1~2.5質量部であれば、得られる架橋ゴムの透明性が優れ(全光線透過率が70%以上)、かつ、硬度にも優れる(硬度が65以上)ことが確認できた。
【0071】
これに対して、例4に示す通り、含フッ素共重合体の全単位に対するTFE単位の含有量が69モル%未満である含フッ素共重合体を用い、組成物中の架橋剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.7質量部超であり、組成物中の架橋助剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して2.5質量部超である組成物を用いた場合、得られる架橋ゴムは硬度に優れていたが、透明性に劣っていた。
【0072】
また、例5に示す通り、含フッ素共重合体の全単位に対するTFE単位の含有量が69モル%未満である含フッ素共重合体を用い、組成物中の架橋剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.03~0.7質量部であるが、架橋助剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して2.5質量部超である組成物を用いた場合、得られる架橋ゴムは、硬度および透明性に劣っていた。
【0073】
また、例6に示す通り、組成物中の架橋剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.7質量部超であり、架橋助剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して2.5質量部超である組成物を用いた場合、得られる架橋ゴムは硬度に優れていたが、透明性に劣っていた。
【0074】
また、例7、例8に示す通り、含フッ素共重合体の全単位に対するTFE単位の含有量が69モル%未満である含フッ素共重合体を用い、組成物中の架橋助剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.1~2.5質量部であるが、架橋剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.7質量部超である組成物を用いた場合、得られる架橋ゴムは硬度に優れていたが、透明性に劣っていた。
【0075】
また、例9に示す通り、含フッ素共重合体の全単位に対するTFE単位の含有量が69モル%未満である含フッ素共重合体を用い、組成物中の架橋助剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.1~2.5質量部であり、架橋剤の含有量が含フッ素共重合体の100質量部に対して0.03~0.7質量部である組成物を用いた場合、得られる架橋ゴムは透明性に優れていたが、硬度に劣っていた。
なお、2019年03月08日に出願された日本特許出願2019-042729号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容、2019年09月20日に出願された日本特許出願2019-171600号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容、2019年10月23日に出願された日本特許出願2019-192748号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容、をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。