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  • 特許-スプレー缶の処理装置及び処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】スプレー缶の処理装置及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/35 20220101AFI20231212BHJP
   B09B 101/02 20220101ALN20231212BHJP
【FI】
B09B3/35 ZAB
B09B101:02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021513747
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 NL2019000007
(87)【国際公開番号】W WO2019216761
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】1042865
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520437571
【氏名又は名称】デスプレイ ホールディング ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DESPRAY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】オッセ, エールコ マールテン
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-211450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0145071(US,A1)
【文献】特開2008-073650(JP,A)
【文献】特開2000-342992(JP,A)
【文献】特開平05-337695(JP,A)
【文献】特開2003-154492(JP,A)
【文献】特開昭53-013561(JP,A)
【文献】実開平05-039791(JP,U)
【文献】米国特許第04459906(US,A)
【文献】特開2006-218459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/35
B09B 5/00
B02C 18/00
B02C 19/00
B65D 83/14
B30B 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー缶(2)を処理するための装置(1)であって、
第1の空間(3)と、前記第1の空間(3)内のスプレー缶(2)を分解する分解手段と、第2の空間(9)と、前記第1の空間(3)から前記第2の空間(9)に前記スプレー缶の分解に由来するガスを輸送(13)する第1の輸送手段と、前記第2の空間(9)内の前記ガス(10)を圧縮する圧縮手段とを備える、装置(1)において、
前記ガス(10)の圧縮時に放出される熱を前記第2の空間(9)から前記第1の空間(3)に輸送(14)するように構成され前記輸送に適した第2の輸送手段を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第2の輸送手段が、前記第2の空間(9)から前記第1の空間(3)に輸送するために冷却剤を流通させる導管を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記分解手段が、スプレー缶をコンパクト化するコンパクト化手段を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記コンパクト化手段が、前記第1の空間(3)内を移動可能であるラムを備えることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記分解手段が、スプレー缶を穿孔する穿孔手段を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記分解手段が、スプレー缶を細片に切断する切断手段を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の空間(3)から固体材料(7)を排出する第1の排出手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の空間(3)から液体を排出(8)する第2の排出手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の空間(9)から液体を排出(12)する第3の排出手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
スプレー缶(2)を処理するための方法であって、
その目的のために用意された分解手段によってその目的のために用意された第1の空間(3)内のスプレー缶(2)を分解するステップと、その目的のために用意された第1の輸送手段によって前記第1の空間(3)から前記スプレー缶の分解に由来するガスをその目的のために用意された第2の空間(9)に輸送(13)するステップと、その目的のために用意された圧縮手段によって前記第2の空間(9)内の前記ガス(10)を圧縮するステップとを含む方法において、
前記ガス(10)の圧縮時に放出される熱を、その目的のために用意された第2の輸送手段によって、前記第2の空間(9)から前記第1の空間(3)に輸送(14)するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
熱を輸送(14)する前記ステップが、その目的のために用意された導管に冷却剤を流通させることを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
分解する前記ステップが、その目的のために用意されたコンパクト化手段によってスプレー缶をコンパクト化することを含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
コンパクト化することが、前記第1の空間(3)内を移動可能であるラムによって行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
分解する前記ステップが、その目的のために用意された穿孔手段によってスプレー缶を穿孔することを含むことを特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
分解する前記ステップが、その目的のために用意された切断手段によってスプレー缶を細片に切断することを含むことを特徴とする、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
その目的のために用意された第1の排出手段によって前記第1の空間(3)から固体材料を排出するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
その目的のために用意された第2の排出手段によって前記第1の空間(3)から液体を排出(8)するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
その目的のために用意された第3の排出手段によって前記第2の空間(9)から液体を排出(12)するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の空間と、第1の空間におけるスプレー缶を分解する分解手段と、第2の空間と、第1の空間から第2の空間にガスを輸送する第1の輸送手段と、第2の空間におけるガスを圧縮する圧縮手段とを備える、スプレー缶の処理装置に関する。本発明はまた、スプレー缶の処理方法に関し、この方法は、その目的のために用意された第1の空間におけるスプレー缶を、その目的のために用意された分解手段によって分解し、その目的のために用意された第1の輸送手段によって第1の空間からその目的のために用意された第2の空間にガスを輸送し、その目的のために用意された圧縮手段によって第2の空間のガスを圧縮することを含むスプレー缶の処理方法に関する。「空間」という用語は、本発明の文脈では、「装置の所定の部分」を意味するものと理解されたい。
【背景技術】
【0002】
スプレー缶は、一般に錫、アルミニウム、プラスチック又はガラスからなる容器を含む包装形態であり、バルブが設けられている。容器は、「活性材料」、例えば塗料、ヘアスプレー、シェービングフォーム、ホイップクリーム、接着剤、スプレーフォーム、油又は毒素が充填され、また「推進剤ガス」、例えばブタン又はプロパンが充填される。バルブを押すと、活性材料はミスト、フォーム又は粉末の形で噴出する。
【0003】
「推進剤ガス」という用語は、容器内に必要な圧力上昇をもたらす化学材料を指す。スプレー缶又は容器において、本発明による装置におけるスプレー缶の処理時に、「推進剤ガス」は、ガス及び液体の両方の形態で、及び任意に溶解した形態でも発生する。液体状「推進剤ガス」は、活性材料の溶媒として働く場合もある。「液体状(推進剤)ガス」及び「ガス状(推進剤)ガス」のような紛らわしい用語及び物理的に不正確な用語を避けるために、本発明では、常に「推進剤」、「ガス状推進剤」及び「液体状推進剤」という用語を使用する。ほとんどの場合、容器内の推進剤は大部分が液体であり、その蒸気圧が必要な圧力を提供する。「ガス」及び「液体」という用語は、常に、それぞれ「ランダムガス(すなわちガス混合物)」及び「ランダム液体(すなわち液体混合物又は溶液)」を意味するものと理解されたい。
【0004】
スプレー缶を処理する方法の様々な実施形態が知られている。ここでは、ある量のガス及び/又は液体が依然としてその中に残っているスプレー缶が用いられるものとして述べるが、場合によっては未使用の、まだ完全に充填されているスプレー缶について言及する。ここでは、スプレー缶は、1つずつ、連続して、又はバッチで処理される。容器はここで空にされ、破壊され、再利用され得る。しかしながら、スプレー缶又は容器は、一般に、ここで穿孔され、及び/又は細片に刻み/切断され、及び/又はコンパクト化される。放出された気体及び液体はここで捕捉され、容器及びバルブの固体材料は、さらなる処理、破壊又は再利用のために収集され得る。
【0005】
米国特許第6178882B1号明細書には、容器を処理するための装置が記載されており、その装置において、容器は、ラムによって空間内でそれら容器をコンパクト化することにより分解され、固体材料/「破裂した容器」及び内容物/「流動性材料」は、別々に捕捉される。次いで、捕捉された内容物/「流動性材料」の気体部分はそこから分解され、圧縮/凝縮され、加圧下で貯蔵される。分解時に、容器の内容物が放出され、ガスが膨張し、及び/又は液体が蒸発し、したがって冷熱が放出され、装置の関連部分の温度が低下する。分解された気体部分の圧縮/凝縮時に、逆に熱が放出され、装置の関連部分の温度が上昇する。
【0006】
本発明は、熱/エネルギー管理が改善された、スプレー缶を処理するための解決手段を提供するものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ガスの圧縮時に放出された熱を第2の空間から第1の空間に輸送するよう構成されそれに適した第2の輸送手段をさらに備えることを特徴とする、上記タイプの装置を提供する。本発明はまた、ガスの圧縮時に放出された熱を、その目的のために用意された第2の輸送手段によって第2の空間から第1の空間に輸送することを含むことを特徴とする、上記のタイプの方法を提供する。第2の輸送手段は、例えば、流体、好ましくは冷却剤を流すための導管を備える。したがって、第2の空間におけるガスの圧縮時/凝縮時に放出される熱は、第1の空間におけるガスの膨張時及び/又は液体の蒸発時に放出される冷熱を補償するために使用することができる。これにより、第1の空間が冷え過ぎず、第2の空間が熱くなり過ぎないようにすることができるとともに、プロセス全体のエネルギー効率を高めることができる。
【0008】
ここで、分解手段は、第1の空間においてスプレー缶をコンパクト化するためのコンパクト化手段及び/又は穿孔手段及び/又は切断手段を含むことができる。したがって、スプレー缶又は容器及びバルブの固体材料は、より小さな細片にされ、及び/又は容器からのガス及び/又は液体又は活性材料のコンパクト化及び/又は流出が容易になる。好ましくは、第1の空間から固体材料を排出する第1の排出手段と、第1の空間から液体を排出する第2の排出手段と、第3の空間から液体を排出する第2の排出手段とを備える。
【0009】
熱流、ガス流、温度及び圧力のような処理パラメータが正しく設定されると、固体材料、活性材料及び推進剤が別個に放出され、次いで、別個にさらに処理され、破壊され又は再利用され得、ブロセスは最適なエネルギー効率を有する。
【0010】
以下、本発明を幾つかの例示的な実施形態に基づいてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による装置の好ましい実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すスプレー缶(2)の処理装置(1)は、第1の空間(3)と、第1の空間(3)内のスプレー缶(2)を分解する分解手段と、第2の空間(9)と、第1の空間(3)から第2の空間(9)にガスを輸送する(13を参照)第1の輸送手段と、第2の空間(9)内のガス(10)を圧縮する圧縮手段とを備える。また、処理装置(1)は、第1の空間(3)内にスプレー缶を供給する(4を参照)供給手段と、第1の空間(3)から容器及びバルブの固体材料を排出する(7を参照)第1の排出手段と、第1の空間(3)から液体(6)を排出する(8を参照)第2の排出手段とを備える。また、処理装置(1)は、第2の空間(9)から液体(11)を排出する(12を参照)第3の排出手段を備える。分解手段は、スプレー缶をコンパクト化するコンパクト化手段(例えば第1の空間(3)内を移動可能なラム)、及び/又は、スプレー缶を穿孔する穿孔手段、及び/又は、スプレー缶を切断して細片とする切断手段を含むことができる。
【0013】
スプレー缶(2)を処理するために、これらのスプレー缶は、供給手段によって第1の空間(3)内に供給され(4を参照)、分解手段によって第1の空間(3)内で分解が行われ、そこで活性材料及び推進剤が容器及びバルブから分解される。容器及びバルブの固体材料は第1の排出手段によって第1の空間(3)から排出される(7を参照)。
【0014】
熱流(14)、ガス流(13)、温度及び圧力のような処理パラメータが正しく設定されると、第2の排出手段によって第1の空間(3)から活性材料(6)が排出され(8を参照)、第1の輸送手段によって第1の空間(3)から第2の空間(9)にガス状推進剤が輸送され(13を参照)、第3の排出手段によって第2の空間(9)から液体状推進剤(11)が排出される(12を参照)。次いで、分解され排出された固体材料、活性材料及び液体状推進剤は、さらに別個に処理、破壊又は再使用され得る。
【0015】
本発明によれば、装置(1)は、ガス(10)の圧縮時に放出される熱を第2の空間(9)から第1の空間(3)に輸送する(14を参照)第2の輸送手段も備える。第2の輸送手段は、例えば、流体、液体又はガス、好ましくは冷却剤が流れる導管を備えることができる。これにより、第2の空間(9)におけるガス(10)又はガス状推進剤の圧縮時/凝縮時に放出される熱を利用して、第1の空間(3)内のガスの膨張時/液体又は液状推進剤の蒸発時に放出される冷熱を補償することができる。これにより、第1の空間(3)が冷え過ぎず、第2の空間(9)が熱くなり過ぎないようにすることができるとともに、全体としてエネルギー効率がよくなる。
【0016】
本発明が所定の例示的な実施形態に限定されないことは明らかであるが、本発明の範囲内では、当業者にとって明らかな様々な変形が可能である。したがって、本発明は、スプレー缶以外の内容物を有する容器の処理にも適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1…装置
2…スプレー缶
3…第1の空間
4…スプレー缶の供給(第1の空間に)
5…ガス(第1の空間内)
6…液体(第1の空間内)
7…固体材料の排出(第1の空間から)
8…液体の排出(第1の空間から)
9…第2の空間
10…ガス(第2の空間内)
11…液体(第2の空間内)
12…液体の排出(第2の空間から)
13…ガスの輸送(第1の空間から第2の空間に)
14…熱の輸送(第2の空間から第1の空間に)
図1