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特許7400820車載通信システム、車載装置および車両通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車載通信システム、車載装置および車両通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/243 20220101AFI20231212BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20231212BHJP
   H04L 69/14 20220101ALI20231212BHJP
【FI】
H04L45/243
H04L12/28 100A
H04L69/14
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021530500
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2020018515
(87)【国際公開番号】W WO2021005875
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2019127304
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】岩田 章人
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋祐
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104339(JP,A)
【文献】特開2017-188754(JP,A)
【文献】特開2007-013510(JP,A)
【文献】特開2017-119508(JP,A)
【文献】特開2010-288043(JP,A)
【文献】特開2020-39034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/243
H04L 12/28
H04L 69/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネットネットワークおよびCAN(Controller Area Network)に接続される複数の車載装置を備え、
前記複数の車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、同じ情報を前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信することが可能であり、
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークの異常を検知した場合、前記イーサネットネットワークへの情報の送信の一部を、前記CANへの前記情報の送信に切り替え
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークの異常を検知した場合、前記イーサネットネットワークへの情報のうち、前記CANへの送信に切り替えた情報とは異なる情報を、前記イーサネットネットワークへ継続して送信する、車載通信システム。
【請求項2】
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークが復旧したか否かを判断し、
前記イーサネットネットワークが復旧したと判断した場合、前記CANへの送信に切り替えた情報の送信を、前記イーサネットネットワークへの情報の送信に切り戻す、請求項に記載の車載通信システム。
【請求項3】
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANの両方へ同じ情報を送信し、
他の前記車載装置は、前記イーサネットネットワークから受信した情報と、前記CANから受信した情報とが重複する場合、前記イーサネットネットワークから受信した前記情報および前記CANから受信した前記情報のいずれか一方を廃棄する、請求項1または請求項2に記載の車載通信システム。
【請求項4】
送信側の前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信する情報にそれぞれ同じシーケンス番号を含めて送信し、
受信側の前記車載装置は、受信した前記情報に含まれる前記シーケンス番号を用いて前記情報の重複を検知する、請求項に記載の車載通信システム。
【請求項5】
イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備え、
前記複数の車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、同じ情報を前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信することが可能であり、
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的に前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信する、車載通信システム。
【請求項6】
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、車両または車載機器の制御に関する情報を選択的に前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信する、請求項に記載の車載通信システム。
【請求項7】
前記車載装置は、車両または車載機器の制御に関する情報のうちの、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して伝送されない情報を、専用線を介して他の前記車載装置へ送信する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車載通信システム。
【請求項8】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備え、
前記複数の車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークへ並行して送信することが可能であり、
前記車載装置は、前記第1のネットワークの異常を検知した場合、前記第1のネットワークへの情報の送信の一部を、前記第2のネットワークへの前記情報の送信に切り替え
前記車載装置は、前記第1のネットワークの異常を検知した場合、前記第1のネットワークへの情報のうち、前記第2のネットワークへの送信に切り替えた情報とは異なる情報を、前記第1のネットワークへ継続して送信する、車載通信システム。
【請求項9】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備え、
前記複数の車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークへ並行して送信することが可能であり、
前記車載装置は、前記第1のネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的に前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークへ並行して送信する、車載通信システム。
【請求項10】
イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、
他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記イーサネットネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記CANを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、
前記第1の通信部および前記第2の通信部は、同じ情報を並行して送信することが可能であり、
前記処理部は、前記イーサネットネットワークの異常を検知した場合、前記イーサネットネットワークへの情報の送信の一部を、前記CANへの前記情報の送信に切り替え
前記処理部は、前記イーサネットネットワークの異常を検知した場合、前記イーサネットネットワークへの情報のうち、前記CANへの送信に切り替えた情報とは異なる情報を、前記イーサネットネットワークへ継続して送信する、車載装置。
【請求項11】
イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、
他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記イーサネットネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記CANを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、
前記第1の通信部および前記第2の通信部は、同じ情報を並行して送信することが可能であり、
前記処理部は、前記イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的に前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信する、車載装置。
【請求項12】
イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、
他の車載装置から送信された情報を、前記イーサネットネットワークを介して受信する第1の通信部と、
前記他の車載装置から送信された情報を、前記CANを介して受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え
前記他の車載装置は、前記イーサネットネットワークの異常を検知した場合、前記イーサネットネットワークへの情報の送信の一部を、前記CANへの前記情報の送信に切り替え
前記第1の通信部は、前記イーサネットネットワークの異常が検知された場合、前記他の車載装置から前記イーサネットネットワークへ送信される情報のうち、前記CANへの送信に切り替えられた情報とは異なる情報を、前記イーサネットネットワークを介して継続して受信する、車載装置。
【請求項13】
イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、
他の車載装置から送信された情報を、前記イーサネットネットワークを介して受信する第1の通信部と、
前記他の車載装置から送信された情報を、前記CANを介して受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え、
前記第1の通信部および前記第2の通信部は、前記他の車載装置から前記イーサネットネットワークへ送信される情報のうち、前記他の車載装置によって選択された一部の情報を、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して並行して受信する、車載装置。
【請求項14】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、
他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記第1のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記第2のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、
前記第1の通信部および前記第2の通信部は、前記処理部によって生成された、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を並行して送信することが可能であり、
前記処理部は、前記第1のネットワークの異常を検知した場合、前記第1のネットワークへの情報の送信の一部を、前記第2のネットワークへの前記情報の送信に切り替え
前記処理部は、前記第1のネットワークの異常を検知した場合、前記第1のネットワークへの情報のうち、前記第2のネットワークへの送信に切り替えた情報とは異なる情報を、前記第1のネットワークへ継続して送信する、車載装置。
【請求項15】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、
他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記第1のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、
前記処理部によって生成された前記情報を、前記第2のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、
前記第1の通信部および前記第2の通信部は、前記処理部によって生成された、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を並行して送信することが可能であり、
前記第1の通信部および前記第2の通信部は、前記第1のネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的に前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークへ並行して送信する、車載装置。
【請求項16】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、
他の車載装置から送信された情報を、前記第1のネットワークを介して受信する第1の通信部と、
前記他の車載装置から送信された情報を、前記第2のネットワークを介して受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え
前記他の車載装置は、前記第1のネットワークの異常を検知した場合、前記第1のネットワークへの情報の送信の一部を、前記第2のネットワークへの前記情報の送信に切り替え
前記第1の通信部は、前記第1のネットワークの異常が検知された場合、前記他の車載装置から前記第1のネットワークへ送信される情報のうち、前記第2のネットワークへの送信に切り替えられた情報とは異なる情報を、前記第1のネットワークを介して継続して受信する、車載装置。
【請求項17】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、
他の車載装置から送信された情報を、前記第1のネットワークを介して受信する第1の通信部と、
前記他の車載装置から送信された情報を、前記第2のネットワークを介して受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え、
前記第1の通信部および前記第2の通信部は、前記他の車載装置から前記第1のネットワークへ送信される情報のうち、前記他の車載装置によって選択された一部の情報を、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して並行して受信する、車載装置。
【請求項18】
イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記車載装置が、前記イーサネットネットワークの異常を検知するステップと、
前記異常を検知した前記車載装置が、前記イーサネットネットワークへの情報の送信の一部を、前記CANへの前記情報の送信に切り替えるステップと
前記異常を検知した前記車載装置が、前記イーサネットネットワークへの情報のうち、前記CANへの送信に切り替えた情報とは異なる情報を、前記イーサネットネットワークへ継続して送信するステップとを含む、車両通信方法。
【請求項19】
イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、
前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記車載装置が、前記イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的に前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信するステップを含む、車両通信方法。
【請求項20】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、
前記車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記車載装置が、前記第1のネットワークの異常を検知するステップと、
前記異常を検知した前記車載装置が、前記第1のネットワークへの情報の送信の一部を、前記第2のネットワークへの前記情報の送信に切り替えるステップと、
前記異常を検知した前記車載装置が、前記第1のネットワークへの情報のうち、前記第2のネットワークへの送信に切り替えた情報とは異なる情報を、前記第1のネットワークへ継続して送信するステップとを含む、車両通信方法。
【請求項21】
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、
前記車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記車載装置が、前記第1のネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的に前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークへ並行して送信するステップを含む、車両通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載通信システム、車載装置および車両通信方法に関する。
この出願は、2019年7月9日に出願された日本出願特願2019-127304号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2011-205444号公報)には、以下のようなネットワークシステムが開示されている。すなわち、ネットワークシステムは、複数のノードにより構成され、トポロジーが事前に確定されたネットワークシステムであって、各ノードは、前記トポロジー構築のために必要な情報を有するトポロジー情報テーブルと、障害に応じた識別情報であるトポロジーIDと前記トポロジー情報テーブルとを対応づけたトポロジー関連付けテーブルと、他のノードからのフレームを受信する際に障害を検出するトポロジー変更検出部と、前記障害に応じた前記トポロジーIDを選択するトポロジー選択部と、前記トポロジー選択部が選択したトポロジーIDを格納したフレームを隣接ノードに送信するフレーム送受信部とを有し、前記隣接ノードのトポロジー変更検出は、前記フレーム送受信部からトポロジーIDを受け取ると、当該トポロジーIDに対応したトポロジー情報テーブルを参照し、自身の設定変更を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-205444号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の車載通信システムは、イーサネットネットワークおよびCAN(Controller Area Network)に接続される複数の車載装置を備え、前記複数の車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、同じ情報を前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信することが可能である。
【0005】
本開示の車載通信システムは、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備え、前記複数の車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、前記第1のネットワークへ送信する情報のうち、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークへ並行して送信することが可能である。
【0006】
本開示の車載装置は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記イーサネットネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記CANを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、前記第1の通信部および前記第2の通信部は、同じ情報を並行して送信することが可能である。
【0007】
本開示の車載装置は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、前記イーサネットネットワークから情報を受信する第1の通信部と、前記CANから情報を受信する第2の通信部と、前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え、前記処理部は、前記第1の通信部によって受信された前記情報と、前記第2の通信部によって受信された前記情報とが重複する場合、前記第1の通信部によって受信された前記情報および前記第2の通信部によって受信された前記情報のいずれか一方を廃棄する。
【0008】
本開示の車載装置は、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記第1のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記第2のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、前記第1の通信部および前記第2の通信部は、前記処理部によって生成された、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を並行して送信することが可能である。
【0009】
本開示の車載装置は、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、前記第1のネットワークから情報を受信する第1の通信部と、前記第2のネットワークから情報を受信する第2の通信部と、前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え、前記処理部は、前記第1の通信部によって受信された、車両または車載機器の制御に関する制御情報と、前記第2の通信部によって受信された、車両または車載機器の制御に関する制御情報とが重複する場合、前記第1の通信部によって受信された前記制御情報および前記第2の通信部によって受信された前記制御情報のいずれか一方を廃棄する。
【0010】
本開示の車両通信方法は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記車載装置が、前記イーサネットネットワークの異常を検知するステップと、前記異常を検知した前記車載装置が、前記イーサネットネットワークへの情報の送信を、前記CANへの前記情報の送信に切り替えるステップとを含む。
【0011】
本開示の車両通信方法は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記車載装置が、前記イーサネットネットワークおよび前記CANの両方へ同じ情報を送信するステップと、他の前記車載装置が、前記イーサネットネットワークから受信した情報と、前記CANから受信した情報との重複を検知し、前記イーサネットネットワークから受信した前記情報および前記CANから受信した前記情報のいずれか一方を廃棄するステップとを含む。
【0012】
本開示の車両通信方法は、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、前記車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記車載装置が、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークの両方へ、車両または車載機器の制御に関する同じ制御情報を送信するステップと、他の前記車載装置が、前記第1のネットワークから受信した制御情報と、前記第2のネットワークから受信した制御情報との重複を検知し、前記第1のネットワークから受信した前記制御情報および前記第2のネットワークから受信した前記制御情報のいずれか一方を廃棄するステップとを含む。
【0013】
本開示の一態様は、車載通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。本開示の一態様は、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0014】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現され得る。
【0015】
本開示の一態様は、車載通信システムにおける処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。本開示の一態様は、車載装置における処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの詳細な構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置の構成を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における処理部により生成されるイーサネットフレームの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車載装置における処理部により生成されるCANフレームの一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の処理のシーケンスの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の処理のシーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従来、車載ネットワークにおいて障害が発生した場合にトポロジーを再構築する技術が開発されている。
【0018】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の技術を超えて、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することが可能な技術が望まれる。
【0019】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することが可能な車載通信システム、車載装置および車両通信方法を提供することである。
【0020】
[本開示の効果]
本開示によれば、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0022】
(1)本開示の実施の形態に係る車載通信システムは、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備え、前記複数の車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、同じ情報を前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信することが可能である。
【0023】
このように、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能な構成により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して他の車載装置へ送信すべき情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0024】
(2)好ましくは、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークの異常を検知した場合、前記イーサネットネットワークへの情報の送信の一部または全部を、前記CANへの前記情報の送信に切り替える。
【0025】
このような構成により、イーサネットネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車載ネットワークにおいて発生し得るノイズに対してイーサネットネットワークよりも高い耐性を有し、かつ簡易な配線で冗長経路を構築可能なCANを介して、情報の送信を行うことができる。
【0026】
(3)好ましくは、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANの両方へ同じ情報を送信し、他の前記車載装置は、前記イーサネットネットワークから受信した情報と、前記CANから受信した情報とが重複する場合、前記イーサネットネットワークから受信した前記情報および前記CANから受信した前記情報のいずれか一方を廃棄する。
【0027】
このような構成により、同じ情報を各ネットワークへ送信してノイズ等に対する耐性を高めながら、受信側の車載装置における情報の重複処理を防ぐことができる。
【0028】
(4)より好ましくは、送信側の前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信する情報にそれぞれ同じシーケンス番号を含めて送信し、受信側の前記車載装置は、受信した前記情報に含まれる前記シーケンス番号を用いて前記情報の重複を検知する。
【0029】
このような構成により、受信側の車載装置において、両方のネットワークから受信した情報の重複を容易かつより確実に検知することができる。
【0030】
(5)好ましくは、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的に前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信する。
【0031】
このような構成により、車載ネットワークにおける通信量の増加を抑制しながら、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、たとえば優先度が高い一部の情報を、より確実に受信側の車載装置へ伝送することができる。
【0032】
(6)より好ましくは、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、車両または車載機器の制御に関する情報を前記イーサネットネットワークおよび前記CANへ並行して送信する。
【0033】
このような構成により、重要度の高い情報である、車両または車載機器の制御に関する情報を、より確実に受信側の車載装置へ伝送することができる。
【0034】
(7)好ましくは、前記車載装置は、車両または車載機器の制御に関する情報のうちの、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して伝送されない情報を、専用線を介して他の前記車載装置へ送信する。
【0035】
このような構成により、たとえば、他の情報をイーサネットネットワークおよびCANを用いて安定して伝送しながら、さらに、許容される遅延時間が比較的短く、かつ優先度の高い情報を、遅延時間を抑え、かつ、より確実に受信側の車載装置へ伝送することができる。
【0036】
(8)本開示の実施の形態に係る車載通信システムは、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備え、前記複数の車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークへ並行して送信することが可能である。
【0037】
このように、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を第1のネットワークおよび第2のネットワークへ並行して送信することが可能な構成により、第1のネットワークおよび第2のネットワークのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して送信すべき重要度の高い情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0038】
(9)本開示の実施の形態に係る車載装置は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記イーサネットネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記CANを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、前記第1の通信部および前記第2の通信部は、同じ情報を並行して送信することが可能である。
【0039】
このように、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能な構成により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して他の車載装置へ送信すべき情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0040】
(10)本開示の実施の形態に係る車載装置は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置であって、前記イーサネットネットワークから情報を受信する第1の通信部と、前記CANから情報を受信する第2の通信部と、前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え、前記処理部は、前記第1の通信部によって受信された前記情報と、前記第2の通信部によって受信された前記情報とが重複する場合、前記第1の通信部によって受信された前記情報および前記第2の通信部によって受信された前記情報のいずれか一方を廃棄する。
【0041】
このような構成により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、他方のネットワークから情報を受信することができるとともに、2つのネットワークから同じ情報を重複して受信した場合における情報の重複処理を防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0042】
(11)本開示の実施の形態に係る車載装置は、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、他の車載装置へ送信すべき情報を生成する処理部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記第1のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第1の通信部と、前記処理部によって生成された前記情報を、前記第2のネットワークを介して前記他の車載装置へ送信する第2の通信部とを備え、前記第1の通信部および前記第2の通信部は、前記処理部によって生成された、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を並行して送信することが可能である。
【0043】
このように、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を第1のネットワークおよび第2のネットワークへ並行して送信することが可能な構成により、第1のネットワークおよび第2のネットワークのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して他の車載装置へ送信すべき重要度の高い情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0044】
(12)本開示の実施の形態に係る車載装置は、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置であって、前記第1のネットワークから情報を受信する第1の通信部と、前記第2のネットワークから情報を受信する第2の通信部と、前記第1の通信部によって受信された前記情報を用いた処理、および前記第2の通信部によって受信された前記情報を用いた処理を行うことが可能な処理部とを備え、前記処理部は、前記第1の通信部によって受信された、車両または車載機器の制御に関する制御情報と、前記第2の通信部によって受信された、車両または車載機器の制御に関する制御情報とが重複する場合、前記第1の通信部によって受信された前記制御情報および前記第2の通信部によって受信された前記制御情報のいずれか一方を廃棄する。
【0045】
このような構成により、第1のネットワークおよび第2のネットワークのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車両または車載機器の制御に関する重要度の高い情報を他方のネットワークから受信することができるとともに、2つのネットワークから同じ情報を重複して受信した場合における情報の重複処理を防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0046】
(13)本開示の実施の形態に係る車両通信方法は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記車載装置が、前記イーサネットネットワークの異常を検知するステップと、前記異常を検知した前記車載装置が、前記イーサネットネットワークへの情報の送信を、前記CANへの前記情報の送信に切り替えるステップとを含む。
【0047】
このような方法により、イーサネットネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車載ネットワークにおいて発生し得るノイズに対してイーサネットネットワークよりも高い耐性を有し、かつ簡易な配線で冗長経路を構築可能なCANを介して、情報の送信を行うことができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0048】
(14)本開示の実施の形態に係る車両通信方法は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、前記車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記車載装置が、前記イーサネットネットワークおよび前記CANの両方へ同じ情報を送信するステップと、他の前記車載装置が、前記イーサネットネットワークから受信した情報と、前記CANから受信した情報との重複を検知し、前記イーサネットネットワークから受信した前記情報および前記CANから受信した前記情報のいずれか一方を廃棄するステップとを含む。
【0049】
このような方法により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、他方のネットワークを介して情報を送受信することができるとともに、受信側の車載装置における同じ情報の重複処理を防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0050】
(15)本開示の実施の形態に係る車両通信方法は、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法であって、前記車載装置は、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、前記車載装置が、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークの両方へ、車両または車載機器の制御に関する同じ制御情報を送信するステップと、他の前記車載装置が、前記第1のネットワークから受信した制御情報と、前記第2のネットワークから受信した制御情報との重複を検知し、前記第1のネットワークから受信した前記制御情報および前記第2のネットワークから受信した前記制御情報のいずれか一方を廃棄するステップとを含む。
【0051】
このような方法により、第1のネットワークおよび第2のネットワークのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車両または車載機器の制御に関する重要度の高い情報を他方のネットワークを介して送受信することができるとともに、受信側の車載装置における同じ情報の重複処理を防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0052】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形監視
【0053】
[車載通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0054】
図1を参照して、車載通信システム300は、車載装置100A,100Bを備える。車載通信システム300は、車両400に搭載される。以下、車載装置100A,100Bの各々を車載装置100とも称する。
【0055】
車載装置100は、たとえば、自動運転ECU(Electronic Control Unit)、エンジンECU、アクセル制御ECU、ブレーキ制御ECU、ステアリング制御ECU、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインタフェースおよびTCU(Telematics Communication Unit)等である。
【0056】
車載装置100は、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bに接続される。車載装置100は、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bを介して情報の送受信を行う。
【0057】
ネットワーク10Aは、第1のネットワークの一例であり、ネットワーク10Bは、第2のネットワークの一例である。ネットワーク10Aは、たとえば、イーサネット(登録商標)の通信規格に従ってイーサネットフレームの送受信が行われるネットワークである。ネットワーク10Bは、たとえば、CANの通信規格に従ってフレームの送受信が行われるネットワークである。
【0058】
車載装置100は、たとえば、車両400または車載機器の制御に関する情報、画像情報、音声情報、ナビゲーション情報、ならびに車両400の走行速度およびエンジン回転数などを含む車両情報の送受信を行う。
【0059】
車載装置100は、車両400または車載機器の制御に関する情報として、たとえばエンジンECU、アクセル制御ECU、ブレーキ制御ECUまたはステアリング制御ECUを制御するための情報の送受信を行う。以下、車両400または車載機器の制御に関する情報を、制御情報とも称する。
【0060】
車載装置100は、同じ情報をネットワーク10Aおよびネットワーク10Bへ並行して送信することが可能である。
【0061】
ここで、車載装置100が同じ情報をネットワーク10Aおよびネットワーク10Bへ並行して送信するとは、車載装置100が、生成した情報をネットワーク10Aおよびネットワーク10Bの両方へ送信することを意味する。すなわち、車載装置100は、同じ情報を同時に各ネットワークへ送信してもよいし、車載装置100によるネットワーク10Aへの情報の送信開始タイミングとネットワーク10Bへの情報の送信開始タイミングとが時間的に一致しなくてもよい。また、車載装置100は、同じ情報を含む通信信号を、異なる長さの時間にわたり各ネットワークへ送信する構成であってもよいし、同じ長さの時間にわたり各ネットワークへ送信する構成であってもよい。
【0062】
たとえば、車載装置100は、ネットワーク10Aへ送信すべき情報のうち、制御情報をネットワーク10Aおよびネットワーク10Bへ並行して送信する。
【0063】
なお、車載通信システム300は、2つの車載装置100を備える構成に限らず、3つ以上の車載装置100を備える構成であってもよい。
【0064】
図2は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの詳細な構成を示す図である。
【0065】
図2を参照して、車載通信システム300は、車載装置100A,100Bと、中継装置200A,200B,200C,200Dとを備える。以下、中継装置200A,200B,200C,200Dの各々を中継装置200とも称する。車載装置100および中継装置200は、車載ネットワーク10を構成する。
【0066】
車載装置100Aは、通信ポート1A,2A,3Aを含む。車載装置100Bは、通信ポート1B,2B,3Bを含む。以下、通信ポート1Aおよび通信ポート1Bの各々を通信ポート1とも称し、通信ポート2Aおよび通信ポート2Bの各々を通信ポート2とも称し、通信ポート3Aおよび通信ポート3Bの各々を通信ポート3とも称する。通信ポート1,2,3は、各種伝送線を接続可能な端子である。
【0067】
中継装置200Aは、通信ポート5A,6A,7Aを含む。中継装置200Bは、通信ポート5B,6B,7Bを含む。中継装置200Cは、通信ポート5C,6C,7C,8C,9Cを含む。中継装置200Dは、通信ポート5D,6D,7Dを含む。通信ポート5A,6A,7A,5B,6B,7B,5C,6C,7C,8C,9C,5D,6D,7Dは、各種伝送線を接続可能な端子である。
【0068】
中継装置200Aにおける通信ポート6Aおよび中継装置200Bにおける通信ポート5Bは、イーサネットケーブル11を介して接続される。
【0069】
また、中継装置200Aにおける通信ポート7Aおよび中継装置200Cにおける通信ポート5Cは、イーサネットケーブル11を介して接続される。
【0070】
また、中継装置200Bにおける通信ポート7Bおよび中継装置200Dにおける通信ポート6Dは、イーサネットケーブル11を介して接続される。
【0071】
また、中継装置200Cにおける通信ポート7Cおよび中継装置200Dにおける通信ポート7Dは、イーサネットケーブル11を介して接続される。
【0072】
また、中継装置200Bにおける通信ポート6Bおよび中継装置200Cにおける通信ポート6Cは、イーサネットケーブル11を介して接続される。
【0073】
中継装置200は、たとえば、ゲートウェイ装置であり、車載装置100間の情報を中継可能である。中継装置200は、たとえば、レイヤ2、およびレイヤ2よりも上位のレイヤ3に従って中継処理を行うことが可能である。
【0074】
より詳細には、中継装置200は、イーサネットの通信規格に従って、イーサネットフレームの中継処理を行う。具体的には、中継装置200は、たとえば、車載装置100間でやり取りされるイーサネットフレームを中継する。イーサネットフレームには、IP(Internet Protocol)パケットが格納される。
【0075】
また、中継装置200Cは、CANの通信規格に従って、フレームの中継処理を行う。以下、CANの通信規格に従うフレームを、CANフレームとも称する。中継装置200Cは、たとえば、車載装置100間でやり取りされるCANフレームを中継する。
【0076】
車載ネットワーク10は、図1に示すネットワーク10Aの一例であるイーサネットネットワークと、図1に示すネットワーク10Bの一例であるCANとを含む。
【0077】
車載装置100は、イーサネットネットワークに接続され、イーサネットネットワークを介して情報の送受信を行う。
【0078】
より詳細には、車載装置100Aにおける通信ポート1Aは、イーサネットケーブル11を介して、中継装置200Aにおける通信ポート5Aに接続される。
【0079】
また、車載装置100Bにおける通信ポート1Bは、イーサネットケーブル11を介して、中継装置200Dにおける通信ポート5Dに接続される。
【0080】
車載装置100は、CANに接続され、CANを介して情報の送受信を行う。
【0081】
より詳細には、車載装置100Aにおける通信ポート2Aは、CANの規格に従うバスであるCANバス12を介して、中継装置200Cにおける通信ポート8Cに接続される。
【0082】
また、車載装置100Bにおける通信ポート2Bは、CANバス12を介して、中継装置200Cにおける通信ポート9Cに接続される。
【0083】
車載装置100は、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能である。
【0084】
また、車載装置100Aにおける通信ポート3Aおよび車載装置100Bにおける通信ポート3Bは、同軸ケーブル13を介して接続される。同軸ケーブル13は、専用線の一例である。
【0085】
たとえば、車載装置100は、車両400または車載機器の制御に関する情報のうちの、イーサネットネットワークおよびCANを介して伝送されない情報を、同軸ケーブル13を介して他の車載装置100へ送信する。
【0086】
なお、車載通信システム300は、4つの中継装置200を備える構成に限らず、1つ、2つ、または4つ以上の中継装置200を備える構成であってもよい。
【0087】
[車載装置]
図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置の構成を示す図である。
【0088】
図3を参照して、車載装置100は、通信部31,32,33と、処理部50と、記憶部60と、通信ポート1,2,3とを備える。記憶部60は、たとえばフラッシュメモリである。通信部31は、第1の通信部の一例である。通信部32は、第2の通信部の一例である。
【0089】
上述のとおり、通信ポート1は、イーサネットケーブル11を介して中継装置200に接続され、通信ポート2は、CANバス12を介して中継装置200Cに接続され、通信ポート3は、同軸ケーブル13を介して他の車載装置100に接続される。
【0090】
[送信動作]
処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報を生成し、生成した情報を通信部31,32,33経由で他の車載装置100へ送信することが可能である。
【0091】
たとえば、処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報を含むイーサネットフレームを生成する。
【0092】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における処理部により生成されるイーサネットフレームの一例を示す図である。
【0093】
図4を参照して、イーサネットフレームは、送信先MAC(Media Access Control)アドレスと、送信元MACアドレスと、タグフィールドと、タイプと、IPヘッダと、TCP(Transmission Control Protocol)ヘッダと、データフィールドと、FCS(Frame Check Sequence)とを有する。
【0094】
タグフィールドには、イーサネットタイプと、予備フィールドと、シーケンス番号とが格納される。
【0095】
処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報をデータフィールドに格納したイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを通信部31へ出力する。
【0096】
通信部31は、処理部50によって生成された情報を、イーサネットネットワークを介して他の車載装置100へ送信する。より詳細には、通信部31は、処理部50からイーサネットフレームを受けると、受けたイーサネットフレームを通信ポート1経由でイーサネットネットワークへ送信する。
【0097】
また、処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報を含むCANフレームを生成する。
【0098】
図5は、本開示の実施の形態に係る車載装置における処理部により生成されるCANフレームの一例を示す図である。
【0099】
図5を参照して、CANフレームは、SOF(Start Of Frame)と、IDと、RTR(Remote Transmission Request)と、コントロールフィールドと、データフィールドと、CRC(Cyclic Redundancy Check)と、ACKと、EOF(End Of Frame)とを有する。
【0100】
処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報をデータフィールドに格納したCANフレームを生成し、生成したCANフレームを通信部32へ出力する。
【0101】
通信部32は、処理部50によって生成された情報を、CANを介して他の車載装置100へ送信する。より詳細には、通信部32は、処理部50からCANフレームを受けると、受けたCANフレームを通信ポート2経由でCANへ送信する。
【0102】
また、処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報を通信部33へ出力する。
【0103】
通信部33は、処理部50から当該情報を受けると、受けた情報を含む通信信号を生成し、生成した送信信号を通信ポート3および同軸ケーブル13経由で他の車載装置100へ送信する。
【0104】
たとえば、処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報の内容に応じて、当該情報を、通信部31およびイーサネットネットワーク経由で送信するか、通信部32およびCAN経由で送信するか、または通信部33および同軸ケーブル13経由で送信するかを決定する。
【0105】
具体的には、処理部50は、たとえば、画像情報、音声情報、ナビゲーション情報、および制御情報の一部等を、通信部31およびイーサネットネットワーク経由で他の車載装置100へ送信する。また、処理部50は、たとえば、車両情報等を通信部32およびCAN経由で他の車載装置100へ送信する。
【0106】
また、処理部50は、たとえば、制御情報のうち、イーサネットネットワークおよびCAN経由で送信されない情報を、通信部33および同軸ケーブル13経由で他の車載装置100へ送信する。
【0107】
通信部31および通信部32は、処理部50によって生成された、同じ情報を並行して送信することが可能である。
【0108】
ここで、通信部31および通信部32が同じ情報を並行して送信するとは、通信部31および通信部32が、処理部50によって生成された同じ情報を、対応するネットワークへそれぞれ送信することを意味する。すなわち、通信部31および通信部32は、同じ情報を同時にイーサネットネットワークおよびCANへそれぞれ送信する構成に限定されず、通信部31によるイーサネットネットワークへの情報の送信開始タイミングと、通信部32によるCANへの情報の送信開始タイミングとが時間的に一致しなくてもよい。また、通信部31の送信タイミングおよび通信部32の送信タイミングが同期していてもよいし、非同期であってもよい。
【0109】
[送信動作の具体例1]
車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANの両方へ同じ情報を送信する。
【0110】
より詳細には、処理部50は、同じ情報を含むイーサネットフレームおよびCANフレームを生成し、生成したイーサネットフレームおよびCANフレームを、通信部31および通信部32へそれぞれ出力する。
【0111】
通信部31は、処理部50から受けた当該イーサネットフレームを通信ポート1経由でイーサネットネットワークへ送信する。通信部32は、処理部50から受けた当該CANフレームを通信ポート2経由でCANへ送信する。
【0112】
処理部50は、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的にイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する。
【0113】
より詳細には、処理部50は、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、制御情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する。
【0114】
処理部50は、イーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する情報にそれぞれ同じシーケンス番号を含める。
【0115】
より詳細には、処理部50は、並行して送信すべき情報およびシーケンス番号を含むイーサネットフレーム、ならびに当該情報および当該シーケンス番号と同じシーケンス番号をデータフィールドに格納したCANフレームを生成する。処理部50は、たとえば、シーケンス番号をフレーム単位でインクリメントする。
【0116】
処理部50は、生成したイーサネットフレームを通信部31経由でイーサネットネットワークへ送信し、また、生成したCANフレームを通信部32経由でCANへ送信する。
【0117】
[送信動作の具体例2]
車載装置100は、たとえば、画像情報、音声情報、ナビゲーション情報および制御情報の一部等をイーサネットネットワークへ送信する。また、車載装置100は、たとえば車両情報等をCANへ送信する。
【0118】
より詳細には、処理部50は、画像情報、音声情報、ナビゲーション情報または制御情報の一部を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを通信部31経由でイーサネットネットワークへ送信する。
【0119】
処理部50は、送信したイーサネットフレームに対する、受信側の車載装置100からの確認応答フレームを受信したか否かに基づいて、イーサネットネットワークにおける異常を検知する。
【0120】
より詳細には、処理部50は、送信したイーサネットフレームに対する受信側の車載装置100からの確認応答フレームを通信部31経由で受信した場合、イーサネットネットワークは正常であると判断する。
【0121】
一方で、処理部50は、送信したイーサネットフレームに対する確認応答フレームを、当該イーサネットフレームを送信してから所定時間内に通信部31経由で受信しなかった場合、イーサネットネットワークにおいて異常が発生していると判断する。
【0122】
処理部50は、イーサネットネットワークの異常を検知した場合、イーサネットネットワークへの情報の送信を、CANへの情報の送信に切り替える。
【0123】
より詳細には、処理部50は、イーサネットネットワークへの情報の送信のうちの制御情報の送信を選択的に、CANへの制御情報の送信に切り替える。
【0124】
その後、処理部50は、たとえば、送信すべき新たな画像情報、音声情報またはナビゲーション情報を生成すると、生成した新たな情報を含むイーサネットフレームを通信部31経由でイーサネットネットワークへ送信する。そして、処理部50は、送信した当該イーサネットフレームに対する確認応答フレームを通信部31経由で受信した場合、イーサネットネットワークが復旧したと判断する。
【0125】
処理部50は、イーサネットネットワークが復旧したと判断した場合、他の車載装置100へのCANを介した制御情報の送信を、イーサネットネットワークを介した制御情報の送信に切り替える。
【0126】
[受信動作]
通信部31は、イーサネットネットワークから情報を受信する。より詳細には、通信部31は、通信ポート1経由でイーサネットフレームを受信する。通信部31は、受信したイーサネットフレームを処理部50へ出力する。
【0127】
処理部50は、通信部31によって受信された情報を用いた処理を行う。より詳細には、処理部50は、通信部31からイーサネットフレームを受けると、受けたイーサネットレフレームのデータフィールドから情報を取得し、取得した情報を用いた処理を行う。
【0128】
また、処理部50は、通信部31およびイーサネットネットワーク経由で他の車載装置100から受けたイーサネットレフレームに対する確認応答フレームを生成し、生成した確認応答フレームを通信部31およびイーサネットネットワーク経由で他の車載装置100へ送信する。
【0129】
通信部32は、CANから情報を受信する。より詳細には、通信部32は、通信ポート2経由でCANフレームを受信する。通信部32は、受信したCANフレームを処理部50へ出力する。
【0130】
処理部50は、通信部32によって受信された情報を用いた処理を行う。より詳細には、処理部50は、通信部32からCANフレームを受けると、受けたCANフレームのデータフィールドから情報を取得し、取得した情報を用いた処理を行う。
【0131】
処理部50は、通信部31経由でイーサネットネットワークから受信した情報と、通信部32経由でCANから受信した情報とが重複する場合、イーサネットネットワークから受信した情報およびCANから受信した情報のいずれか一方を廃棄する。
【0132】
たとえば、処理部50は、イーサネットネットワークおよびCANの各々から受信した情報に含まれるシーケンス番号を用いて、受信した情報の重複を検知する。
【0133】
より詳細には、処理部50は、通信部31から受けたイーサネットフレームのタグに含まれるシーケンス番号を記録した番号リストA1を作成し、作成した番号リストA1を記憶部60に保存する。また、処理部50は、通信部32から受けたCANフレームのデータフィールドに含まれるシーケンス番号を記録した番号リストA2を作成し、作成した番号リストA2を記憶部60に保存する。
【0134】
処理部50は、通信部31から受けたイーサネットフレームのシーケンス番号と番号リストA2とを照合し、また、通信部32から受けたCANフレームのシーケンス番号と番号リストA1とを照合することにより、受信した情報の重複を検知する。
【0135】
たとえば、処理部50は、通信部31からイーサネットフレームを受けると、受けたイーサネットフレームのタグに含まれるシーケンス番号を取得し、取得したシーケンス番号を記憶部60における番号リストA1に追加して番号リストA1を更新する。
【0136】
そして、処理部50は、イーサネットフレームから取得したシーケンス番号と記憶部60における番号リストA2とを照合し、取得したシーケンス番号と同じ番号が記憶部60における番号リストA2に含まれる場合、当該イーサネットフレームを廃棄する。
【0137】
一方、処理部50は、取得したシーケンス番号と同じ番号が記憶部60における番号リストA2に含まれない場合、当該シーケンス番号に対応するイーサネットフレームのデータフィールドに含まれる情報を取得し、取得した情報を用いた処理を行う。
【0138】
同様に、処理部50は、通信部32からCANフレームを受けると、受けたCANフレームのデータフィールドに含まれるシーケンス番号を取得し、取得したシーケンス番号を記憶部60における番号リストA2に追加して番号リストA2を更新する。
【0139】
処理部50は、CANフレームから取得したシーケンス番号と記憶部60における番号リストA1とを照合し、取得したシーケンス番号と同じ番号が記憶部60における番号リストA1に含まれる場合、当該CANフレームを廃棄する。
【0140】
一方、処理部50は、取得したシーケンス番号と同じ番号が記憶部60における番号リストA1に含まれない場合、当該シーケンス番号に対応するCANフレームのデータフィールドに含まれる情報を取得し、取得した情報を用いた処理を行う。
【0141】
ここで、一例として、処理部50は、通信部31から受けたイーサネットフレームのタグに含まれるシーケンス番号とともに当該イーサネットフレームの受信時刻を記録した番号リストA1を作成し、作成した番号リストA1を記憶部60に保存する。また、処理部50は、通信部32から受けたCANフレームのデータフィールドに含まれるシーケンス番号とともに当該CANフレームの受信時刻を記録した番号リストA2を作成し、作成した番号リストA2を記憶部60に保存する。
【0142】
そして、処理部50は、番号リストA1およびA2におけるシーケンス番号のうち、現在時刻から所定時間以内の受信時刻に対応するシーケンス番号を、上記のようなイーサネットフレームまたはCANフレームとの照合対象とする。
【0143】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0144】
図6は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0145】
図6を参照して、まず、車載装置100Aは、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ制御情報を送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき制御情報を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS102)。
【0146】
次に、車載装置100Aは、車載装置100Bへ制御情報を送信してから所定時間内に確認応答フレームを受信した場合(ステップS104でYES)、車載装置100Bとのイーサネットネットワークを用いた制御情報の送受信を継続する(ステップS102)。
【0147】
一方、車載装置100Aは、車載装置100Bへ制御情報を送信してから所定時間内に確認応答フレームを受信しなかった場合(ステップS104でNO)、イーサネットネットワークにおいて異常が発生していると判断し、制御情報の送信に用いるネットワークをイーサネットネットワークからCANに切り替える(ステップS106)。
【0148】
次に、車載装置100Aは、CANを介して車載装置100Bへ制御情報を送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき制御情報を含むCANフレームを生成し、生成したCANフレームをCAN経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS108)。
【0149】
次に、車載装置100Aは、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ制御情報以外の情報たとえば画像情報を送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき画像情報を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS110)。
【0150】
次に、車載装置100Aは、車載装置100Bへ画像情報を送信してから所定時間内に確認応答フレームを受信しなかった場合(ステップS112でNO)、CANを介して車載装置100Bへ新たな制御情報を送信し(ステップS108)、また、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ新たな画像情報を送信する(ステップS110)。
【0151】
一方、車載装置100Aは、車載装置100Bへ画像情報を送信してから所定時間内に確認応答フレームを受信した場合(ステップS112でYES)、イーサネットネットワークが復旧したと判断し、制御情報の送信に用いるネットワークをCANからイーサネットネットワークに切り替え(ステップS114)、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ新たな制御情報を送信する(S102)。
【0152】
なお、上記ステップS108とS110との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
【0153】
図7は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【0154】
図7を参照して、まず、車載装置100Aは、車載装置100Bへ送信すべき情報が制御情報であるか否かを確認する(ステップS202)。
【0155】
次に、車載装置100Aは、送信すべき情報が制御情報である場合(ステップS202でYES)、イーサネットネットワークおよびCANを介して制御情報を並行して車載装置100Bへ送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき制御情報を含むイーサネットフレームおよびCANフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Bへ送信するとともに、生成したCANフレームをCAN経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS204)。
【0156】
次に、車載装置100Aは、送信すべき次の情報が制御情報であるか否かを確認する(ステップS202)。
【0157】
一方、車載装置100Aは、送信すべき情報が制御情報以外の情報である場合(ステップS202でNO)、イーサネットネットワークまたはCANのいずれか一方を介して当該情報を送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき画像情報を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Bへ送信する。また、車載装置100Aは、送信すべき車両情報を含むCANフレームを生成し、生成したCANフレームをCAN経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS206)。
【0158】
次に、車載装置100Aは、送信すべき次の情報が制御情報であるか否かを確認する(ステップS202)。
【0159】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の処理のシーケンスの一例を示す図である。図8は、上述した送信動作の具体例2における処理のシーケンスを示している。
【0160】
図8を参照して、まず、車載装置100Aは、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ制御情報等の情報を送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき制御情報を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS302)。
【0161】
次に、車載装置100Bは、車載装置100Aから受信したイーサネットレフレームに対する確認応答フレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Aへ送信する(ステップS304)。
【0162】
次に、車載装置100Bは、車載装置100Aから受信したイーサネットレフレームに含まれる制御情報を用いて、所定の処理を行う(ステップS306)。
【0163】
次に、車載装置100Aは、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ画像情報等の情報を送信する(ステップS308)。
【0164】
次に、車載装置100Aは、車載装置100Bへ画像情報を送信してから所定時間内に確認応答フレームを受信しなかった場合、イーサネットネットワークにおいて異常が発生したことを検知する(ステップS310)。
【0165】
次に、車載装置100Aは、車載装置100Bへの制御情報の送信に用いるネットワークをイーサネットネットワークからCANに切り替える(ステップS312)。
【0166】
次に、車載装置100Aは、CANを介して車載装置100Bへ制御情報を送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき制御情報を含むCANフレームを生成し、生成したCANフレームをCAN経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS314)。
【0167】
次に、車載装置100Bは、車載装置100Aから受信したCANフレームに含まれる制御情報を用いて、所定の処理を行う(ステップS316)。
【0168】
次に、車載装置100Aは、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ制御情報以外の情報たとえば画像情報を送信する。具体的には、車載装置100Aは、送信すべき画像情報を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS318)。
【0169】
次に、車載装置100Bは、車載装置100Aから受信したイーサネットレフレームに対する確認応答フレームを車載装置100Aへ送信する(ステップS320)。
【0170】
次に、車載装置100Bは、車載装置100Aから受信したイーサネットレフレームに含まれる画像情報を用いて、所定の処理を行う(ステップS322)。
【0171】
また、車載装置100Aは、車載装置100Bから確認応答フレームを受信すると、イーサネットネットワークが復旧したと判断する(ステップS324)。
【0172】
次に、車載装置100Aは、車載装置100Bへの制御情報の送信に用いるネットワークをCANからイーサネットネットワークに切り替える(ステップS326)。
【0173】
次に、車載装置100Aは、イーサネットネットワークを介して車載装置100Bへ制御情報を送信する(ステップS328)。
【0174】
図9は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおいて車載装置が他の車載装置へ情報を送信する際の処理のシーケンスの他の例を示す図である。図9は、上述した送信動作の具体例1における処理のシーケンスを示している。
【0175】
図9を参照して、まず、車載装置100Aは、イーサネットネットワークおよびCANを介して同じ制御情報を並行して車載装置100Bへ送信する。具体的には、車載装置100Aは、制御情報を含むイーサネットフレームをイーサネットネットワーク経由で車載装置100Bへ送信するとともに(ステップS402)、当該制御情報を含むCANフレームをCAN経由で車載装置100Bへ送信する(ステップS404)。
【0176】
次に、車載装置100Bは、イーサネットフレームおよびCANフレームを車載装置100Aから受信すると、イーサネットフレームに含まれる制御情報と、CANフレームに含まれる制御情報との重複を検知する(ステップS406)。
【0177】
次に、車載装置100Bは、車載装置100Aから受信したイーサネットフレームおよびCANフレームのうち、たとえばCANフレームを廃棄する(ステップS408)。
【0178】
次に、車載装置100Bは、車載装置100Aから受信したイーサネットレフレームに含まれる制御情報を用いて、所定の処理を行う(ステップS410)。
【0179】
なお、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100A,100Bは、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能な構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム300における少なくともいずれか1つの車載装置100が、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能な構成であればよい。たとえば、車載装置100Aは同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能である一方で、車載装置100Bは同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することができない構成であってもよい。
【0180】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、他の車載装置へのイーサネットネットワークを介した制御情報の送信を、CANを介した制御情報の送信に切り替える動作、およびイーサネットネットワークおよびCANの両方へ同じ情報を送信する動作を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0181】
車載装置100は、他の車載装置へのイーサネットネットワークを介した制御情報の送信を、CANを介した制御情報の送信に切り替える動作を行う一方で、イーサネットネットワークおよびCANの両方へ同じ情報を送信する動作を行わない構成であってもよい。
【0182】
また、車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANの両方へ同じ情報を送信する動作を行う一方で、他の車載装置へのイーサネットネットワークを介した制御情報の送信を、CANを介した制御情報の送信に切り替える動作を行わない構成であってもよい。
【0183】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークの異常を検知した場合、イーサネットネットワークへの情報の送信を、CANへの情報の送信に切り替える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置100は、イーサネットネットワークの異常を検知した場合、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する構成であってもよい。
【0184】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークから受信した情報と、CANから受信した情報とが重複する場合、イーサネットネットワークから受信した情報およびCANから受信した情報のいずれか一方を廃棄する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置100は、重複する各情報を廃棄しない構成であってもよい。
【0185】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークから受信した情報およびCANから受信した情報に含まれるシーケンス番号を用いて情報の重複を検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置100は、シーケンス番号以外の情報を用いて上記重複を検知する構成であってもよい。
【0186】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークの異常を検知した場合、他の車載装置100へのイーサネットネットワークを介した情報の送信のうちの制御情報の送信を、CANを介した制御情報の送信に切り替える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置100は、イーサネットネットワークの異常を検知した場合、他の車載装置100へのイーサネットネットワークを介したすべての情報の送信を、CANを介した送信に切り替える構成であってもよい。
【0187】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的にイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置100は、イーサネットネットワークへ送信するすべての情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する構成であってもよい。
【0188】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、制御情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置100は、制御情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信しない一方で、制御情報とは異なる情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する構成であってもよい。
【0189】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、制御情報のうちの、イーサネットネットワークおよびCANを介して伝送されない情報を、専用線を介して他の車載装置100へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置100は、専用線を介した他の車載装置100への制御情報の送信を行わない構成であってもよい。
【0190】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100Aおよび車載装置100Bは、同軸ケーブル13を介して接続される構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム300は、同軸ケーブル13を備えない構成であってもよい。具体的には、車載装置100Aおよび車載装置100Bは、同軸ケーブル13を介して接続されない構成であってもよい。
【0191】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100における処理部50は、送信したイーサネットフレームに対する、受信側の車載装置100からの確認応答フレームを受信したか否かに基づいて、イーサネットネットワークにおける異常を検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部50は、たとえば、ICMP(Internet Control Message Protocol)を用いたネットワークの診断プログラムであるping(Packet INternet Groper)を用いて、イーサネットネットワークにおける異常を検知する構成であってもよい。
【0192】
ところで、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することが可能な技術が望まれる。
【0193】
これに対して、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置100を備える。複数の車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANを介して他の車載装置100と情報の送受信を行う。複数の車載装置100のうちの少なくともいずれか1つの車載装置100は、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能である。
【0194】
このように、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能な構成により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して他の車載装置100へ送信すべき情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。
【0195】
したがって、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0196】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークの異常を検知した場合、イーサネットネットワークへの情報の送信を、CANへの情報の送信に切り替える。
【0197】
このような構成により、イーサネットネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車載ネットワークにおいて発生し得るノイズに対してイーサネットネットワークよりも高い耐性を有し、かつ簡易な配線で冗長経路を構築可能なCANを介して、情報の送信を行うことができる。
【0198】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANの両方へ同じ情報を送信する。他の車載装置100は、イーサネットネットワークから受信した情報と、CANから受信した情報とが重複する場合、イーサネットネットワークから受信した情報およびCANから受信した情報のいずれか一方を廃棄する。
【0199】
このような構成により、同じ情報を各ネットワークへ送信してノイズ等に対する耐性を高めながら、受信側の車載装置100における情報の重複処理を防ぐことができる。
【0200】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、送信側の車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する情報にそれぞれ同じシーケンス番号を含めて送信する。受信側の車載装置100は、受信した情報に含まれるシーケンス番号を用いて情報の重複を検知する。
【0201】
このような構成により、受信側の車載装置100において、両方のネットワークから受信した情報の重複を容易かつより確実に検知することができる。
【0202】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、一部の情報を選択的にイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する。
【0203】
このような構成により、車載ネットワークにおける通信量の増加を抑制しながら、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、たとえば優先度が高い一部の情報を、より確実に受信側の車載装置100へ伝送することができる。
【0204】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、イーサネットネットワークへ送信する情報のうち、車両400または車載機器の制御に関する情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信する。
【0205】
このような構成により、重要度の高い情報である、車両400または車載機器の制御に関する情報を、より確実に受信側の車載装置100へ伝送することができる。
【0206】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載装置100は、車両400または車載機器の制御に関する情報のうちの、イーサネットネットワークおよびCANを介して伝送されない情報を、同軸ケーブル13を介して他の車載装置100へ送信する。
【0207】
このような構成により、たとえば、他の情報をイーサネットネットワークおよびCANを用いて安定して伝送しながら、さらに、許容される遅延時間が比較的短く、かつ優先度の高い情報を、遅延時間を抑え、かつ、より確実に受信側の車載装置100へ伝送することができる。
【0208】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300は、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bに接続される複数の車載装置100を備える。複数の車載装置100は、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bを介して他の車載装置100と情報の送受信を行う。複数の車載装置100のうちの少なくともいずれか1つの車載装置100は、車両400または車載機器の制御に関する同じ情報をネットワーク10Aおよびネットワーク10Bへ並行して送信することが可能である。
【0209】
このように、車両400または車載機器の制御に関する同じ情報をネットワーク10Aおよびネットワーク10Bへ並行して送信することが可能な構成により、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して送信すべき重要度の高い情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。
【0210】
したがって、本開示の実施の形態に係る車載通信システム300では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0211】
また、本開示の実施の形態に係る車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される。処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報を生成する。通信部31は、処理部50によって生成された情報を、イーサネットネットワークを介して他の車載装置100へ送信する。通信部32は、処理部50によって生成された情報を、CANを介して他の車載装置100へ送信する。通信部31および通信部32は、同じ情報を並行して送信することが可能である。
【0212】
このように、同じ情報をイーサネットネットワークおよびCANへ並行して送信することが可能な構成により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して他の車載装置100へ送信すべき情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。
【0213】
したがって、本開示の実施の形態に係る車載装置100では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0214】
また、本開示の実施の形態に係る車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される。通信部31は、イーサネットネットワークから情報を受信する。通信部32は、CANから情報を受信する。処理部50は、通信部31によって受信された情報を用いた処理、および通信部32によって受信された情報を用いた処理を行うことが可能である。処理部50は、通信部31によって受信された情報と、通信部32によって受信された情報とが重複する場合、通信部31によって受信された情報および通信部32によって受信された情報のいずれか一方を廃棄する。
【0215】
このような構成により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、他方のネットワークから情報を受信することができるとともに、2つのネットワークから同じ情報を重複して受信した場合における情報の重複処理を防ぐことができる。
【0216】
したがって、本開示の実施の形態に係る車載装置100では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0217】
また、本開示の実施の形態に係る車載装置100は、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bに接続される。処理部50は、他の車載装置100へ送信すべき情報を生成する。通信部31は、処理部50によって生成された情報を、ネットワーク10Aを介して他の車載装置100へ送信する。通信部32は、処理部50によって生成された情報を、ネットワーク10Bを介して他の車載装置100へ送信する。通信部31および通信部32は、処理部50によって生成された、車両400または車載機器の制御に関する同じ情報を並行して送信することが可能である。
【0218】
このように、車両400または車載機器の制御に関する同じ情報をネットワーク10Aおよびネットワーク10Bへ並行して送信することが可能な構成により、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、当該ネットワークを介して他の車載装置100へ送信すべき重要度の高い情報を、他方のネットワークを介して送信することができる。
【0219】
したがって、本開示の実施の形態に係る車載装置100では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0220】
また、本開示の実施の形態に係る車載装置100は、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bに接続される。通信部31は、ネットワーク10Aから情報を受信する。通信部32は、ネットワーク10Bから情報を受信する。処理部50は、通信部31によって受信された情報を用いた処理、および通信部32によって受信された情報を用いた処理を行うことが可能である。処理部50は、通信部31によって受信された、車両400または車載機器の制御に関する制御情報と、通信部32によって受信された、車両400または車載機器の制御に関する制御情報とが重複する場合、通信部31によって受信された制御情報および通信部32によって受信された制御情報のいずれか一方を廃棄する。
【0221】
このような構成により、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車両400または車載機器の制御に関する重要度の高い情報を他方のネットワークから受信することができるとともに、2つのネットワークから同じ情報を重複して受信した場合における情報の重複処理を防ぐことができる。
【0222】
したがって、本開示の実施の形態に係る車載装置100では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0223】
また、本開示の実施の形態に係る車両通信方法は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置100を備える車載通信システム300における車両通信方法である。車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANを介して他の車載装置100と情報の送受信を行う。この車両通信方法では、まず、車載装置100が、イーサネットネットワークの異常を検知する。次に、異常を検知した車載装置100が、他の車載装置100へのイーサネットネットワークを介した情報の送信を、CANを介した情報の送信に切り替える。
【0224】
このような方法により、イーサネットネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車載ネットワークにおいて発生し得るノイズに対してイーサネットネットワークよりも高い耐性を有し、かつ簡易な配線で冗長経路を構築可能なCANを介して、情報の送信を行うことができる。
【0225】
したがって、本開示の実施の形態に係る車両通信方法では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0226】
また、本開示の実施の形態に係る車両通信方法は、イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法である。車載装置100は、イーサネットネットワークおよびCANを介して他の車載装置100と情報の送受信を行う。この車両通信方法では、まず、車載装置100が、イーサネットネットワークおよびCANの両方へ同じ情報を送信する。次に、他の車載装置100が、イーサネットネットワークから受信した情報と、CANから受信した情報との重複を検知し、イーサネットネットワークから受信した情報およびCANから受信した情報のいずれか一方を廃棄する。
【0227】
このような方法により、イーサネットネットワークおよびCANのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、他方のネットワークを介して情報を送受信することができるとともに、受信側の車載装置100における同じ情報の重複処理を防ぐことができる。
【0228】
したがって、本開示の実施の形態に係る車両通信方法では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0229】
また、本開示の実施の形態に係る車両通信方法は、第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される複数の車載装置を備える車載通信システムにおける車両通信方法である。車載装置100は、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bを介して他の車載装置100と情報の送受信を行う。この車両通信方法では、まず、車載装置100が、ネットワーク10Aおよびネットワーク10Bの両方へ、車両400または車載機器の制御に関する同じ制御情報を送信する。次に、他の車載装置100が、ネットワーク10Aから受信した制御情報と、ネットワーク10Bから受信した制御情報との重複を検知し、ネットワーク10Aから受信した制御情報およびネットワーク10Bから受信した制御情報のいずれか一方を廃棄する。
【0230】
このような方法により、第1のネットワークおよび第2のネットワークのいずれか一方のネットワークにおいて異常が発生した場合であっても、車両400または車載機器の制御に関する重要度の高い情報を他方のネットワークを介して送受信することができるとともに、受信側の車載装置100における同じ情報の重複処理を防ぐことができる。
【0231】
したがって、本開示の実施の形態に係る車両通信方法では、車載ネットワークにおける安定した通信を実現することができる。
【0232】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0233】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
イーサネットネットワークおよびCANに接続される複数の車載装置を備え、
前記複数の車載装置は、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して他の前記車載装置と情報の送受信を行い、
前記複数の車載装置のうちの少なくともいずれか1つの前記車載装置は、前記イーサネットネットワークの異常を検知した場合、前記イーサネットネットワークへの制御情報の送信を、前記CANへの前記制御情報の送信に切り替える、車載通信システム。
【0234】
[付記2]
イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置における車両通信方法であって、
他の車載装置へ送信すべき情報を生成するステップと、
生成した同じ前記情報を、前記イーサネットネットワークおよび前記CANを介して前記他の車載装置へ並行して送信するステップとを含む、車両通信方法。
【0235】
[付記3]
イーサネットネットワークおよびCANに接続される車載装置における車両通信方法であって、
前記イーサネットネットワークから情報を受信するステップと、
前記CANから情報を受信するステップと、
前記イーサネットネットワークから受信した情報と、前記CANから受信した情報とが重複する場合、前記イーサネットネットワークから受信した前記情報および前記CANから受信した前記情報のいずれか一方を廃棄するステップとを含む、車両通信方法。
【0236】
[付記4]
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置における車両通信方法であって、
他の車載装置へ送信すべき情報を生成するステップと、
生成した、車両または車載機器の制御に関する同じ情報を、前記第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介して前記他の車載装置へ並行して送信するステップとを含む、車両通信方法。
【0237】
[付記5]
第1のネットワークおよび第2のネットワークに接続される車載装置における車両通信方法であって、
前記第1のネットワークから情報を受信するステップと、
前記第2のネットワークから情報を受信するステップと、
前記第1のネットワークから受信した、車両または車載機器の制御に関する制御情報と、前記第2のネットワークから受信した、車両または車載機器の制御に関する制御情報とが重複する場合、前記第1のネットワークから受信した前記制御情報および前記第2のネットワークから受信した前記制御情報のいずれか一方を廃棄するステップとを含む、車両通信方法。
【符号の説明】
【0238】
10 車載ネットワーク
10A,10B ネットワーク
11 イーサネットケーブル
12 CANバス
13 同軸ケーブル
31 通信部
32 通信部
33 通信部
50 処理部
60 記憶部
100 車載装置
200 中継装置
300 車載通信システム
400 車両

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9