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特許7400877光ネットワーク管理装置および光帯域の割り当て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】光ネットワーク管理装置および光帯域の割り当て方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20231212BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04B10/27
H04J14/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022085390
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2018501657の分割
【原出願日】2017-02-20
(65)【公開番号】P2022116174
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2016031563
(32)【優先日】2016-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/エラスティック光通信ネットワーク構成技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】竹下 仁士
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 慎介
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
(72)【発明者】
【氏名】田島 章雄
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/030897(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/182070(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/032844(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パス上の光信号に付加する保護帯域の帯域幅情報を含む波長選択情報を前記光パス毎に作成する波長選択情報作成手段と、
前記保護帯域の帯域幅を、前記波長選択情報に基づいて前記光パス毎に設定する保護帯域設定手段、とを有する
光ネットワーク管理装置。
【請求項2】
前記波長選択情報は、各光パスにおいて波長選択処理を行うノードの数量を含む
請求項1に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項3】
前記保護帯域設定手段は、前記光信号の品質劣化を回避可能に前記保護帯域設定を行う
請求項1または2に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項4】
前記保護帯域の設定は、前記保護帯域を付加する情報信号の変更および前記保護帯域の幅の変更の少なくとも一を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項5】
前記光パスの経路上の光ノード装置に、前記波長選択情報を通知する波長選択情報通知手段を有する
請求項1から4のいずれか一項に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項6】
第1の波長が中心波長である第1の光パスと、前記第1の波長に波長グリッド上で隣接する第2の波長が中心波長である第2の光パスとに関して、
前記保護帯域設定手段は、前記第1の光パスの前記波長選択情報と前記第2の光パスの前記波長選択情報とに基づいて、前記第1の光パスの前記保護帯域を設定する
請求項1から5のいずれか一項に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項7】
前記保護帯域設定手段は、所定のノード間において光パス設定を行う場合、前記光パス設定において取りうる波形選択処理のなかで、前記波形選択処理の回数が少ない光パスから優先的に前記光パス設定を行う
請求項1から6のいずれか一項に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項8】
光パス上の光信号に付加する保護帯域の帯域幅情報を含む波長選択情報を前記光パス毎に作成し、
前記保護帯域の帯域幅を、前記波長選択情報に基づいて前記光パス毎に設定する、
光帯域の割り当て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワーク管理装置に関し、特に、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおける光ネットワーク管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルトラフィックやビデオサービスの急速な拡大により、コアネットワークにおける通信容量の拡大が求められている。この容量拡大の要求は、今後も継続する傾向にある。限られたコストで通信容量を継続的に拡大していくためには、ネットワークのリソースを効率的に運用することによって、ネットワーク利用効率を上げることが効果的である。
【0003】
特に、扱う情報容量が非常に大きい光通信ネットワークにおいては、通信リソースである光周波数帯域を効率よく使用することが重要である。光通信ネットワークにおける光周波数帯域を利用する場合、光信号伝送における様々な物理法則による制約に起因する光信号品質の劣化を考慮する必要がある。この場合の物理的制約には、例えば、波長多重光信号伝送における隣接波長チャネル間のクロストーク、光ファイバ損失や光増幅器によって付加される光雑音に起因する光S/N(Signal/Noise)比の劣化などがある。さらに、複数の光バンドパスフィルタ(Band Pass Filter:BPF)を通過することに起因する通過帯域狭窄効果も上述した物理的制約になる。これらの物理的制約を考慮し対処することにより、光通信ネットワークにおけるリソースの利用効率を向上させることが可能となる。その結果、大容量の情報ビットの転送コストを下げることができる。
【0004】
上述した複数の光バンドパスフィルタ(BPF)を通過することに起因する受信信号品質の劣化を抑制する技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載されたパスの通過帯域の設定方法においては、通過する波長選択スイッチの数が多く、フィルタリングペナルティが大きくなるパスに対しては、通過する波長選択スイッチにおいて通過帯域を広く設定する。また、通過する波長選択スイッチの数が少ないパスに対しては、パスが通過する波長選択スイッチにおいて通過帯域を狭く設定する。そして、広い通過帯域を要するパスの隣には通過帯域が狭くてよいパスが配置されるようにすることとしている。
【0006】
このような構成としたことにより、伝送速度や光伝送ネットワークの規模をできるだけ制限せずに、各パスの信号光の受信品質を全体として良好にできる光伝送ネットワークを構築するための技術を提供できる、としている。
【0007】
また、特許文献2には、伝送距離の短い光通信路では多値数の大きい変調方式及び対応した幅の狭いフィルタを、また伝送距離の長い光通信路では多値数の少ない変調方式及び対応した幅の広いフィルタを用いることとした帯域可変通信システムが記載されている。これにより、全体で必要なスペクトル帯域を削減して周波数利用効率を向上することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-098544号公報
【文献】国際公開第2011/030897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光通信ネットワークの利用効率を向上させるためには、光パスに収容される情報が占有する1ビットあたりの光周波数帯域が可能な限り少ないことが望ましい。しかしながら、上述した物理的制約に起因する光信号品質の劣化を回避するため、情報ビットだけを伝送するのに必要な光周波数帯域よりも余分に光周波数帯域が必要となる。この余分に必要となる光周波数帯域はガードバンド(guard band:保護帯域)と呼ばれる。ガードバンドは情報ビット伝送には用いられないため、ガードバンド用に必要となる光周波数帯域が多くなるほど、光通信ネットワークの利用効率は低下する。したがって、ガードバンドは少ないほど望ましい。
【0010】
光通信ネットワークにおいて必要となるガードバンドの総量は、どのような種類の光パスが開通しているか、また、その光パスにどのような光周波数帯域が割り当てられているか、など様々な要因によって変化する。そのため、光ノード、光ファイバ、光送受信機などのハードウェアが同じであったとしても、それらの動作や制御方法によって光通信ネットワークの利用効率を改善することが可能である。ハードウェアを変更することなく、光通信ネットワークの利用効率を向上させることができれば、大容量の情報ビットの転送コストを低減することができる。そのため、様々な光パスや光周波数帯域割当方法が提案されている。
【0011】
光信号は、光信号送信元から複数の光ノードを通過して光信号受信先へと伝送される。この光信号送信元から光信号受信先へと至る経路が光パスである。光パスは通常、複数の光ノードを通過する。ここで光ノードは、波長多重された光信号を選択する波長選択処理を行うために、光バンドパスフィルタ(BPF)を備えている。したがって、光パスは複数の光BPFを通過することになる。複数の光BPFを通過すると、上述したように、帯域狭窄効果によって通過帯域が制限されるので、光信号品質が劣化する。この光BPFの帯域狭窄効果に起因する光信号品質の劣化を防止するため、予め上述したガードバンドを付与する必要がある。
【0012】
上述した特許文献1に記載されたパスの通過帯域の設定方法においては、広い通過帯域を要するパスの隣には通過帯域が狭くてよいパスが配置されるようにすることとしている。そのため、互いに隣接する複数の光パスが占める光周波数帯域の両端にガードバンドを付与することになる。この場合、個々の光パス毎にガードバンドの帯域幅を最適化することはできないので、複数の光パスを含む光通信ネットワーク全体としてみると、不要なガードバンドが付与されることになる。その結果、光通信ネットワークの利用効率を向上させることは困難である。
【0013】
このように、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおいては、波長選択処理における帯域狭窄効果のため、光通信ネットワークの利用効率を向上させることが困難である、という問題があった。
【0014】
本発明の目的は、上述した課題である、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおいては、波長選択処理における帯域狭窄効果のため、光通信ネットワークの利用効率を向上させることが困難である、という課題を解決する光ネットワーク管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の光ネットワーク管理装置は、光パス上の光信号に付加する保護帯域の帯域幅情報を含む波長選択情報を光パス毎に作成する波長選択情報作成手段と、保護帯域の帯域幅を、波長選択情報に基づいて光パス毎に設定する保護帯域設定手段、とを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光ネットワーク管理装置によれば、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおいて、波長選択処理における帯域狭窄効果が生じる場合であっても、光通信ネットワークの利用効率を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワーク管理装置の構成を示すブロック図である。
図1B】本発明の第1の実施形態に係る光ノード装置の構成を示すブロック図である。
図2A】関連する光周波数帯域割当方法について説明するための図である。
図2B】関連する光周波数帯域割当方法について説明するための図である。
図3】関連する光ノードの構成を示すブロック図である。
図4】関連する光BPFの動作について説明するための図である。
図5A】本発明の第1の実施形態に係る光周波数帯域割当方法による光パスへの光周波数帯域割当について説明するための図である。
図5B】本発明の第1の実施形態に係る光周波数帯域割当方法による光パスへの光周波数帯域割当について説明するための図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る光周波数帯域割当方法による光パスへの光周波数帯域割当について説明するためのシーケンス図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワーク管理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の第2の実施形態に係る光ネットワーク管理装置が対象とする光通信ネットワークの構成を模式的に示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る光ネットワーク管理装置に登録されている、光ノード個数と所要ガードバンドのスロット個数との関係示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る光周波数帯域割当方法によって決定されるガードバンドの総量を算出した結果を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る光周波数帯域割当方法による、情報信号の光パスへの収容率を算出した結果を示す図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る光周波数帯域割当方法による光パスへの光周波数帯域割当について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
〔第1の実施形態〕
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光ネットワーク管理装置100の構成を示すブロック図である。
【0021】
光ネットワーク管理装置100は、波長選択情報作成手段110と波長選択情報通知手段120を有する。波長選択情報作成手段110は、情報信号を収容する光パスが経由する波長選択処理に関する情報である波長選択情報を、光パス毎に作成する。波長選択情報通知手段120は、この波長選択情報を光パスが経由する光ノード装置に通知する。
【0022】
このように、本実施形態による光ネットワーク管理装置100においては、光パスが経由する波長選択処理に関する情報である波長選択情報を光パス毎に作成する構成としている。そのため、波長選択処理に応じて最適な光パスの通過帯域幅を、光パス毎に決定することが可能になる。その結果、本実施形態の光ネットワーク管理装置100によれば、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおいて、波長選択処理における帯域狭窄効果が生じる場合であっても、光通信ネットワークの利用効率を向上させることができる。
【0023】
ここで、上述した波長選択情報は、情報信号に対する周波数帯域に付加する保護帯域(ガードバンド)の帯域幅に関する光パス毎の情報とすることができる。
【0024】
また、上述した波長選択情報は、光パスが経由する光帯域通過フィルタ(光バンドパスフィルタ(BPF))の個数に関する光パス毎の情報としてもよい。この場合、光ネットワーク管理装置100は、通過する光帯域通過フィルタ(光BPF)の個数が少なくなるように光パスを設定する構成とすることができる。また、光ネットワーク管理装置100は、通過する光帯域通過フィルタ(光BPF)の個数が少ない光パスから優先的に設定することとしてもよい。
【0025】
光ネットワーク管理装置100は、上述した波長選択情報に基づいて、波長選択処理における通過帯域幅を光パス毎に決定する通過帯域幅決定手段をさらに有する構成とすることができる。ここで上述した通過帯域幅は、情報信号に対する周波数帯域と、周波数帯域に付加する保護帯域(ガードバンド)を含めた帯域幅である。
【0026】
通過帯域幅決定手段は、光パスが隣接する第1の光パスと第2の光パスを含む場合、第1の光パスに対する第1の保護帯域と第2の光パスに対する第2の保護帯域のうち、帯域幅が大きい方を保護帯域として選択する構成とすることができる。すなわち、通過帯域幅決定手段は、中心波長が第1の波長である第1の光パスに対する保護帯域となる第1の保護帯域の帯域幅を算出する。また、通過帯域幅決定手段は、中心波長が第1の波長に波長グリッド上で隣接する第2の波長である第2の光パスに対する保護帯域となる第2の保護帯域の帯域幅を算出する。そして、帯域幅が大きい方を保護帯域として選択する構成とすることができる。
【0027】
図1Bに、光ネットワーク管理装置100とともに光ネットワークシステムを構成する光ノード装置200の構成を示す。光ノード装置200は、波長選択情報受付手段210、通過帯域幅が可変である光帯域通過フィルタ(光バンドパスフィルタ(BPF))220、および制御手段230を有する。
【0028】
波長選択情報受付手段210は、光ネットワーク管理装置100が備える波長選択情報通知手段120から波長選択情報を受付ける。制御手段230は、この波長選択情報に基づいて、光帯域通過フィルタ220の通過帯域幅を光パス毎に設定する。なお、この通過帯域幅は、情報信号に対する周波数帯域と、周波数帯域に付加する保護帯域(ガードバンド)を含めた帯域幅である。
【0029】
このような構成とすることにより、光ノード装置200においては、光帯域通過フィルタ220の通過帯域幅を、波長選択処理に応じて光パス毎に最適化することができる。
【0030】
次に、本実施形態による光周波数帯域割当方法について説明する。
【0031】
本実施形態の光周波数帯域割当方法においては、まず、情報信号を収容する光パスが経由する波長選択処理に関する情報である波長選択情報を、光パス毎に作成する。そして、この選択情報に基づいて、波長選択処理における通過帯域幅を光パス毎に決定する。
【0032】
ここで、上述した波長選択情報は、光パスが経由する光帯域通過フィルタの個数に関する光パス毎の情報とすることができる。また、波長選択情報は、情報信号に対する周波数帯域に付加する保護帯域の帯域幅に関する光パス毎の情報であってもよい。
【0033】
光パスが、中心波長が第1の波長である第1の光パスと、中心波長が第1の波長に波長グリッド上で隣接する第2の波長である第2の光パスを含む場合、本実施形態による光周波数帯域割当方法ではさらに以下の処理を行うこととすることができる。すなわち、まず、第1の光パスに対する保護帯域となる第1の保護帯域の帯域幅を算出する。また、第2の光パスに対する保護帯域となる第2の保護帯域の帯域幅を算出する。そして、第1の保護帯域と第2の保護帯域のうち、帯域幅が大きい方を上述の保護帯域として選択することとすることができる。
【0034】
次に、本実施形態による光周波数帯域割当方法について、さらに詳細に説明する。
【0035】
まず、関連する光パスへの光周波数帯域割当方法について説明する。
【0036】
図2Aおよび2Bに示すように、3個のノードからなる光通信ネットワークにおいて、3個のノードを通過する第1の光パス10001(図2A)と、2個のノードを通過する第2の光パス10002(図2B)が設定されている場合を例に説明する。光信号帯域に付与するガードバンド量は、符号誤り率によって決定される通過可能な光ノードの最大数によって決定される。図2Aおよび2Bに示した例では、通過可能な光ノードの最大数は3である。なお、通過可能なノードの最大数は事前の調査により予め取得されており、すべての光パスは、その通過可能なノードの最大数を超えない範囲で設定できるものとする。
【0037】
図2Aおよび2Bに示した例では、第1の光パス10001および第2の光パス10002に割り当てられる光周波数帯域に占めるガードバンドの量は等しい。図2A、2Bでは、6.25GHzを1スロット幅とし、ガードバンド量が2スロット幅であるガードバンド12001、14001をそれぞれ付与した例を示す。付与するガードバンド量は、各光ノード10011~10031がそれぞれ備える光帯域通過フィルタ(Band Pass Filter:BPF)の通過帯域幅を可変制御することによって実現される。
【0038】
また、第1の光パス10001および第2の光パス10002における信号帯域11001、13001は3スロット幅とした。ここでは、光信号が光ノードを通過すると、光BPFを1段だけ通過するものとする。したがって、第1の光パス10001は光BPFを3段、第2の光パス10002は光BPFを2段通過することになる。
【0039】
図3に、関連する光ノードの構成を示す。関連する光ノード30003は第1の光ファイバ30001および第2の光ファイバ30002に接続され、光送受信機30005および光BPF30006を備える。光ノード30003は次の3通り動作を行う。つまり、光パスを自身の光ノードから他の光ノードに向けて送信(Add)する(光パス30020)、自身の光ノードを通過(Cut-through)させる(光パス30010)、または自身の光ノードで受信(Drop)する(光パス30030)動作を行う。ここで、光BPF30006は、これらの動作のいずれかを選択するために用いられる。
【0040】
次に、光BPFの動作について図4を用いて説明する。光BPFは同図に示すような通過帯域狭窄効果を有する。すなわち、すべての光ノード20001~20003に備わっている光BPFの通過帯域幅および通過帯域中心光周波数が同じであったとしても、通過する段数が増えるに従って、実効的な通過帯域20011~20031が狭くなる。図2Aに示した例では、光ノードA、B、Cが備える光BPFの通過帯域幅は同じである。しかし、第1の光パス10001が各光ノードを多段に通過する際における実効通過帯域幅10101~10301は減少する。光BPFの通過段数が増えることは、光BPFの伝達関数が畳み込み積分される回数が増えることと等価である。したがって、光BPFの通過帯域狭窄効果は光BPFに必ず伴う物理現象である。
【0041】
上述したように、図2Aに示した第1の光パス10001が通過する光ノードの個数が増えるにしたがって、光BPFの帯域狭窄効果により光ノード10011~10031が備える光BPFの実効的な通過帯域幅は縮小する。図2Aに示す例では、ノードAにおいては、光BPFはガードバンドを含む全光周波数帯域を通過させることが可能である。ノードBでは、第1の光パス10001がノードAを通過する時の実効通過帯域幅10101よりも光BPFの実効的な通過帯域幅10201は縮小する。そのため、割り当てられた光周波数帯域の両端の1スロット分のガードバンドが、光BPFによって遮断される。このとき、信号帯域11001は遮断されることなくノードBが備える光BPFを通過することが可能であるため、光BPFの帯域狭窄効果に起因する光信号品質の劣化は生じない。次に、ノードCを通過する時には、ノードBを通過する時よりも光BPFの実効的な通過帯域幅10301はさらに縮小する。そのため、光BPFによって遮断されるガードバンドが、割り当てられた光周波数帯域の両端の2スロット分に増加している。つまり、図2Aに示した例では、第1の光パス10001が通過する光ノードの個数が1増える毎に、必要なガードバンド量が1スロット分ずつ増えている。しかしながら、ノードBを通過する時と同様に、信号帯域11001は遮断されないため、光BPFの帯域狭窄効果に起因する光信号品質の劣化は生じない。つまり、第1の光パス10001は、通過するノードの個数が通過可能な最大ノード数の範囲内であるため、光信号品質の劣化は生じない。また、通過ノード数が通過可能な最大ノード数と等しいため、ガードバンドの割り当てに無駄がない構成となっている。
【0042】
また、第2の光パス10002についても第1の光パス10001の場合と同様であり、図2Bに示すように、割り当てられた光周波数帯域に占めるガードバンド量14001は2スロット分であり、信号帯域は3スロット分である。ただし、通過する光ノードの個数が第1の光パス10001の場合と異なる。つまり、第1の光パス10001に比べて、第2の光パス10002は通過する光ノードの個数が1個だけ少ない。そのため、割り当てられたガードバンドが信号帯域の両端で1スロット分ずつ過剰になっている。
【0043】
次に、本実施形態の光周波数帯域割当方法による光パスへの光周波数帯域割当について、図5Aおよび5Bを用いて説明する。本実施形態による光パスへの光周波数帯域割当方法では、光パスが通過する光ノードまたは光BPFの個数に応じて付与するガードバンド量を可変させることを特徴としている。
【0044】
光通信ネットワーク構成は図2Aおよび2Bに示したものと同様であるが、各光ノードが光ネットワーク管理装置40041から処理対象となる光パスに設定すべきガードバンド量を取得する構成とした点が異なる。
【0045】
光ネットワーク管理装置40041は、光通信ネットワーク内のすべての光パスを管理している。そのため、光ネットワーク管理装置40041には、どの光ノードにどのような光パスが通過するかという情報が蓄積されている。したがって、各光ノード40011~40031は、処理対象となる光パスが何個のノードを通過するかという情報を光ネットワーク管理装置40041から取得することができる。
【0046】
第1の光パス40001が通過する各光ノードA(40011)、B(40021)、およびC(40031)は、波長選択処理に関する情報である波長選択情報を光ネットワーク管理装置40041から通知されている。図5Aに示した例では、第1の光パス40001が送受信端間で合計3個の光ノード、すなわち光BPFを3段通過することを光ネットワーク管理装置40041から通知されている。同時に、各光ノードA(40011)、B(40021)、およびC(40031)は、図5Bに示すように、第2の光パス40002が光BPFを2段通過することを通知されている。
【0047】
光ノードAおよび光ノードBでは、第1の光パス40001と第2の光パス40002が通過する。光ノードAおよび光ノードBは、3個のノードを通過する第1の光パス40001に対して信号帯域41001の両端に2スロットずつガードバンド42001を設定する(図5A)。一方、2個のノードだけを通過する第2の光パス40002に対しては、信号帯域43001の両端に1スロットずつガードバンド44001を設定する(図5B)。また、光ノードCには、第1の光パス40001だけが通過する。したがって、光ノードCは第1の光パス40001に対してのみ、光ノードAおよび光ノードBと同様に信号帯域の両端に2スロットずつガードバンド42001を設定する(図5A)。
【0048】
本実施形態による光パスへの光周波数帯域割当方法によれば、図2Aおよび2Bを用いて説明した関連する光パスへの光周波数帯域割当方法と比較して、第2の光パス40002に付与するガードバンド量を削減し、過剰なガードバンド割当を解消することができる。これは、光ノードA、B、Cが光ネットワーク管理装置40041から以下の情報を知ることができるからである。すなわち、第1の光パス40001が光ノードA、B、Cを通過し、通過するノード数が3であること、および第2の光パス40002が光ノードA、Bを通過し、通過するノード数が2であること、を知ることができるからである。その結果、各光ノードA、B、Cは、第1の光パス40001および第2の光パス40002に対して必要最小限のガードバンドを設定することが可能になる。
【0049】
次に、本実施形態の光周波数帯域割当方法による光パスへの光周波数帯域割当について、図6および図7を用いてさらに詳細に説明する。図6はシーケンス図であり、図7はフローチャートである。
【0050】
まず、光ネットワーク管理装置が、時刻t1における光パス設定要求に基づいて信号向けの光周波数帯域割当を行う(図6の(1))。このときの光ネットワーク管理装置の動作を、図7を用いて説明する。
【0051】
光ネットワーク管理装置は光パス設定要求を受け付け(ステップS11)、光パス設定要求に従って光信号送信元と受信先を結ぶ最短経路を検索する(ステップS12)。次に、検索した結果から得た経路上で、利用可能な空き光周波数帯域を検索する。空き光周波数帯域が存在する場合、この空き光周波数帯域を転送信号向けの光周波数帯域として光パスへの割当を行う(ステップS13)。そして、光パスの経路長以上の距離を伝送可能な光変調方式を決定する(ステップS14)。なお、最短経路検索(ステップS12)および空き光周波数帯域検索において、経路や空き光周波数帯域が見つからなかった場合は、光パス設定は失敗となり光パス設定要求を満たせないことになる。
【0052】
信号向けの光周波数帯域割当(ステップS13)が終了した後に、ここで割当てた光パスの光周波数帯域に隣接する光パス情報の検索を行う(ステップS15)。隣接光パスの信号送信元および受信先が信号向け光パスと同一であり、光変調方式も同一である場合は、ガードバンド向けの光周波数帯域の割当は行わない。その他の場合は、図5Aおよび5Bを用いて説明した方法に従って、ガードバンド向けの光周波数帯域の割当を行う(ステップS16)。信号向けの光周波数帯域の割当およびガードバンド向けの光周波数帯域の割当が終了すると、光パスへの光周波数帯域の割当が完了する(ステップS17)。
【0053】
その後、光ネットワーク管理装置は上述した過程(図6の(1))で設定した光パスに関わる光ノードに対して、各光ノード装置が備える光BPFに設定すべき通過光周波数帯域幅を通知する(図6の(2))。ここで、光パスに関わる光ノードは送信光ノード、通過光ノード、および受信光ノードである。
上述した過程(図6の(1))で設定された光パスに関わる各光ノード装置は、時刻t2において光ネットワーク管理装置から通知された情報に基づいて、内蔵する光BPFに通過光周波数帯域幅を設定する(図6の(3))。時刻t3において、各光ノード装置が備える光BPFの通過光周波数帯域幅の設定が完了する。ここで、各光ノード装置が備える光BPFは、標準化された光周波数スロット幅である6.25GHz単位で光周波数帯域幅を変更することができる構成としている。なお、この光周波数スロット幅は、国際電気通信連合(International Telecommunication Union:ITU)電気通信標準化部門(Telecommunication Standardization Sector:ITU-T)において標準化されている(ITU-T勧告G.694.1)。
【0054】
各光ノード装置は通過光周波数帯域の設定が完了したことを光ネットワーク管理装置に通知する(図6の(4))。
【0055】
光ネットワーク管理装置は、光パスが関わる全ての光ノード装置が通過光周波数帯域幅の設定を完了したことを時刻t4において確認する。その後、光ネットワーク管理装置は送信元光ノードおよび受信先光ノードに対して、光信号送信および受信の開始通知を行う(図6の(5))。
【0056】
時刻t5において開始通知を受領した送信元光ノードおよび受信先光ノードはそれぞれ、光信号の送信および受信を開始し、送信開始および受信開始を光ネットワーク管理装置に対して通知する(図6の(6))。光ネットワーク管理装置は、光信号の送信元光ノードと受信先光ノードの間で、光信号の送受信が開始されたことを時刻t6において確認することにより、光パスが開通したものとみなす。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の光ネットワーク管理装置および光周波数帯域割当方法によれば、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおいて、波長選択処理における帯域狭窄効果が生じる場合であっても、光通信ネットワークの利用効率を向上させることができる。
【0058】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8に、本実施形態に係る光ネットワーク管理装置が対象とする光通信ネットワーク1000の構成を模式的に示す。本実施形態による光ネットワーク管理装置の構成は、第1の実施形態によるものと同様である(図1A参照)。
【0059】
同図に示すように、光通信ネットワーク1000は4×4のメッシュ型トポロジーであり、16個の光ノードからなる光通信ネットワークである。本実施形態においては、各光ノードから他の光ノードに向けて、信号帯域が4スロット分である光パスの接続要求がそれぞれ一個ずつあるものとする。すなわち、光ノードNE01からNE02~NE16、NE02からNE01、NE03~NE16、NE03からNE01、NE02、NE04~NE16等のように、異なる光ノードに対してそれぞれ1本ずつの光パスが要求されているものとする。したがって、図8に示した光通信ネットワーク1000における光パスの総数は240(=16×15)となる。
【0060】
また、光ネットワーク管理装置には、図9に示すような、光パスが通過する光ノードの個数と、所要のガードバンドのスロット個数との関係が登録されているものとする。図9には、通過光ノード個数が3である場合を境として所要ガードバンドスロット数が異なる場合を例として示す。ここで、所要のガードバンドのスロット個数とは、各光ノード装置が備える光BPFによる帯域狭窄効果に起因する光信号品質の劣化を防止するために必要となるガードバンドの帯域幅を、スロットの個数で表わしたものである。
【0061】
光ネットワーク管理装置は、例えば図8に示した光ノードNE01とNE06を最短経路で接続する光パスを探索する。この最短経路の一つはNE01→NE05→NE06の経路であり、このとき通過する光ノードの個数は3である。したがって、図9に示した例により本実施形態では、所要ガードバンドは1スロット分となるものとした。なお、各光ノード装置は光ネットワーク管理装置を介して、図9に示したような、光パスが通過する光ノードの個数と所要のガードバンドのスロット個数との関係を知ることができる。
【0062】
さらに、光パスNE01→NE05→NE06に関わる各光ノードNE01、NE05、NE06は、光パスNE01→NE05→NE06が通過するノードの個数が3であることを光ネットワーク管理装置から通知される。したがって本実施形態によれば、光ノード装置NE01、NE05、NE06は、光パスNE01→NE05→NE06を接続する際に必要最小限のガードバンド量である1スロット分の帯域を信号帯域の両端に付与する。これにより、各光ノード装置は、全体として6スロット分の帯域を有する光パスNE01→NE05→NE06を生成する。
【0063】
他の光パスについても同様に必要最小限のガードバンドが設定される。例えば、NE01からNE14へ接続する最短経路の一つはNE01→NE05→NE09→NE13→NE14である。この場合、光パスが通過する光ノードの個数は5であるから、図9の関係から付与すべき必要最小限のガードバンド量は2スロット分になる。したがって、本実施形態による光ネットワーク管理装置は、光ノード装置NE01、NE05、NE09、NE13、NE14と連携して、2スロット分のガードバンドが付与された光パスNE01→NE05→NE09→NE13→NE14を生成する。光パスNE01→NE05→NE09→NE13→NE14は、信号帯域が4スロットであり、その両端に2スロットずつのガードバンドが付与された、全体として8スロットの光周波数帯域を有する。
【0064】
図8に示した光通信ネットワーク1000において、上述した本実施形態による光周波数帯域割当方法に従って付与するガードバンド量を決定し、必要となるガードバンドの総量を算出することができる。その結果を図10に示す。
【0065】
光ノード間の光パス要求数が1である場合、すなわち、全光パス総数が240の場合を例に説明する。上述した関連する光周波数帯域割当方法では、光パスが通過する光ノード数に関係なく両端に2スロットずつのガードバンドを付与する。このとき、光パスに隣接した波長帯域に別の光パスが割り当てられていない場合があることを考慮すると、必要なガードバンドの総量は608スロットとなる。それに対して、本実施形態による光周波数帯域割当方法を適用した場合は、光パスが通過する光ノードの個数が3以下の場合、付与するガードバンドを2スロットから1スロットに減らすことができることを考慮すると、180スロットとなる。したがって、本実施形態によれば必要なガードバンド総量を約1/3に低減できることがわかる。光ノード間の光パス要求数が増加すると、所要ガードバンド総量も増加する。関連する割当方法と本実施形態による光周波数帯域割当方法を比較すると、本実施形態の光周波数帯域割当方法によれば、ガードバンド量を関連する割当方法による場合よりも平均して約20%低減することができる。このように、本実施形態の光周波数帯域割当方法によれば、光パス毎に所要ガードバンド量を最小化することが可能であり、その結果、全光パスに対するガードバンドの総量を削減する効果が得られる。
【0066】
図11に、図8に示した光通信ネットワーク1000における、情報信号の光パスへの収容率を算出した結果を示す。横軸は光ノード間の光パス要求の数であり、縦軸は光パスへの収容率である。
【0067】
ここで、収容率とは、通信したい総情報量に対して、光パスを開通させて通信に成功した情報量の比率をいう。したがって、すべての光パスの開通に成功した場合、収容率は100%となる。通信したい総情報量が増加した場合、ネットワークの波長帯域が一定であると波長帯域が不足する。そのため、通信したい総情報量(ビット毎秒)が増加するほど光パス開通に失敗する確率が増大し、収容率は100%から低下することになる。
【0068】
光ノード間の光パス要求数が5であるとき、関連技術では光周波数リソースが不足するため、光パスに収容できない情報通信ビットが発生する。そのため、収容率は100%とはならない。それに対して、本実施形態の光周波数帯域割当方法によれば、光パスに対して付与するガードバンド量を削減することができるので、収容率の低下は生じず、すべての情報通信ビットを光パスに収容することができる。すなわち、本実施形態の光周波数帯域割当方法によれば、光通信ネットワークの利用効率を向上させることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の光ネットワーク管理装置および光周波数帯域割当方法によれば、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおいて、波長選択処理における帯域狭窄効果が生じる場合であっても、光通信ネットワークの利用効率を向上させることができる。
【0070】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態においては図12に示すように、中心波長が隣接する第1の光パス90010(中心波長λ1)と第2の光パス90011(中心波長λ2)が多重されている場合について説明する。本実施形態による光ネットワーク管理装置および光ノード装置が備える光BPFの動作は、上述した実施形態における場合と同様である。すなわち、光ネットワーク管理装置は、信号帯域に付与するガードバンド量を決定し、光パス毎に光周波数帯域割当を行う。
【0071】
図12に示した例において、第1の光パス90010は光ノードAおよび光ノードBを通過するので、通過する光BPFの個数は2である。通過する光ノードの個数と所要ガードバンドのスロット数との関係は、図9のように予めわかっており、必要最小限のガードバンドスロット数は第1の光パス90010に対して1である。一方、第2の光パス90011は光ノードA、光ノードB、および光ノードCを通過するので、通過する光BPFの個数は3である。したがって、本実施形態では、必要最小限のガードバンドスロット数は第2の光パス900112に対しては2となるものとした。
【0072】
このように、第1の光パス90010と第2の光パス90011の中心波長が隣接し、かつ、第1の光パス90010のガードバンドスロット数と第2の光パス90011のガードバンドスロット数が異なっている。このような場合、中心波長λ1と中心波長λ2の中間に設定すべきガードバンドのスロット数は、第1の光パス90010に付与するガードバンドのスロット数である1か、または第2の光パス90011に付与すべきガードバンドのスロット数である2のいずれかとなる。
【0073】
この場合、本実施形態による光ネットワーク管理装置はガードバンドのスロット数が多い方を優先して設定する。すなわち、本実施形態による光ネットワーク管理装置は、第1の光パス90010の信号帯域90021と第2の光パス90011の信号帯域9022との間に、2スロット分のガードバンドを設定する。これにより、第1の光パス90010が光ノードBを通過する時の実効通過帯域幅90031によって、第1の光パス90010の信号帯域90021が遮断されることはない。また、第2の光パス90011が光ノードCを通過する時の実効通過帯域幅90032によって、第2の光パス90011の信号帯域90022が遮断されることはない。
【0074】
このように、光パスが隣接する第1の光パスと第2の光パスを含む場合、本実施形態の光ネットワーク管理装置は、第1の光パスに対する第1のガードバンド(保護帯域)と第2の光パスに対する第2のガードバンド(保護帯域)のうち、帯域幅が大きい方をガードバンド(保護帯域)として選択する構成とすることができる。すなわち、本実施形態の光ネットワーク管理装置は、中心波長がλ1(第1の波長)である第1の光パスに対するガードバンド(保護帯域)となる第1のガードバンド(保護帯域)の帯域幅を算出する。また、中心波長が第1の波長(λ1)に波長グリッド上で隣接する第2の波長(λ2)である第2の光パスに対するガードバンド(保護帯域)となる第2のガードバンド(保護帯域)の帯域幅を算出する。そして、帯域幅が大きい方をガードバンド(保護帯域)として選択する構成とすることができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の光ネットワーク管理装置および光周波数帯域割当方法によれば、波長分割多重方式を用いた光通信ネットワークにおいて、波長選択処理における帯域狭窄効果が生じる場合であっても、光通信ネットワークの利用効率を向上させることができる。
【0076】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0077】
この出願は、2016年2月23日に出願された日本出願特願2016-031563を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0078】
100、40041 光ネットワーク管理装置
110 波長選択情報作成手段
120 波長選択情報通知手段
200 光ノード装置
210 波長選択情報受付手段
220 光帯域通過フィルタ
230 制御手段
1000 光通信ネットワーク
10001、40001、90010 第1の光パス
10002、40002、90011 第2の光パス
10011~10031、20001~20003、40011~40031 光ノード
10101~10301、20011~20031、90031、90032 実効通過帯域幅
11001、13001、41001、90021、9022 信号帯域
12001、14001、42001、44001 ガードバンド
30001 第1の光ファイバ
30002 第2の光ファイバ
30003 関連する光ノード
30005 光送受信機
30006 光BPF
30010、30020、30030 光パス
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12