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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】タンク
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J2/175 133
B41J2/165
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022119472
(22)【出願日】2022-07-27
(62)【分割の表示】P 2018163864の分割
【原出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2022140584
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】白野 太一
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-205528(JP,A)
【文献】米国特許第06149266(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ボトルが接続されるタンクであって、
液体を貯留する貯留室と、
上記貯留室を大気に連通させる大気連通部と、
上記貯留室に位置する第1開口、及び上記貯留室の外部と連通する第2開口を接続する液体流路を区画する第1管体と、
上記貯留室に位置する第3開口、及び上記貯留室の外部と連通する第4開口を接続する気体流路を区画する第2管体と、を備えており、
上記第1開口は、上記第3開口より下方に位置しており、
上記第1管体および上記第2管体は、鉛直方向および水平方向と交差する延出方向に沿って延びる部分を有するタンク。
【請求項2】
上記第1管体および上記第2管体は、少なくとも上記タンクの内部において、上記延出方向に沿って斜め下向きに延びる請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
上記第1管体および上記第2管体は、上記タンクの内部において、鉛直方向に沿って下向きに延びる部分を有する請求項2に記載のタンク。
【請求項4】
上記第1管体及び上記第2管体は、1つの管体が仕切壁によって区画されたものであり、
上記第1管体は、上記タンクの内部において上記管体の下側部分を構成しており、
上記第2管体は、上記タンクの内部において上記管体の上側部分を構成しており、上記第1管体よりも上記延出方向に突出する端部を有しており、
上記第2管体の上記端部は、半円形状の外周壁が上記延出方向に沿って延びたものである請求項2に記載のタンク。
【請求項5】
上記第3開口は、上記第2管体の上記外周壁を貫通しており、
上記貯留室に位置する上記第2管体の端面は閉塞されている請求項4に記載のタンク。
【請求項6】
上記第1開口は、上記大気連通部の少なくとも一部よりも下方に位置する請求項1から5のいずれかに記載のタンク。
【請求項7】
上記第1管体は、上記タンクの外壁から上記タンクの外部へ突出する請求項1から6のいずれかに記載のタンク。
【請求項8】
上記第2管体は、上記タンクの外壁から上記タンクの外部へ突出する請求項1から7のいずれかに記載のタンク。
【請求項9】
上記第1管体および上記第2管体は、少なくとも上記タンクの外部において、上記延出方向に沿って斜め上向きに延びる請求項1から8のいずれかに記載のタンク。
【請求項10】
上記液体流路の流路長は、上記気体流路の流路長より長い請求項1から9のいずれかに記載のタンク。
【請求項11】
上記第1開口付近の上記液体流路の断面形状は多角形である請求項1から10のいずれかに記載のタンク。
【請求項12】
液体ボトルが接続されるタンクであって、
液体を貯留する貯留室と、
上記貯留室を大気に連通させる大気連通部と、
上記貯留室に位置する第1開口、及び上記貯留室の外部と連通する第2開口を接続する液体流路を区画する第1管体と、
上記貯留室に位置する第3開口、及び上記貯留室の外部と連通する第4開口を接続する気体流路を区画する第2管体と、を備えており、
上記第1開口は、上記第3開口より下方に位置しており、
上記第1開口付近の上記液体流路の断面形状は多角形であるタンク。
【請求項13】
上記第1管体及び上記第2管体は、1つの管体が仕切壁によって区画されたものである請求項1から12のいずれかに記載のタンク。
【請求項14】
液体ボトルが接続されるタンクであって、
液体を貯留する貯留室と、
上記貯留室を大気に連通させる大気連通部と、
上記貯留室に位置する第1開口、及び上記貯留室の外部と連通する第2開口を接続する液体流路を区画する第1管体と、
上記貯留室に位置する第3開口、及び上記貯留室の外部と連通する第4開口を接続する気体流路を区画する第2管体と、を備えており、
上記第1開口は、上記第3開口より下方に位置しており、
上記第1管体及び上記第2管体は、1つの管体が仕切壁によって区画されたものであるタンク。
【請求項15】
上記貯留室を画定しており、上記貯留室を外部に連通する貫通孔を有する筐体を更に具備しており、
上記1つの管体は、上記筐体の貫通孔に着脱可能に挿入されている請求項13または14に記載のタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ボトルが接続されるタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
タンクに貯留された液体が消費される度に、タンクに接続されたカートリッジから液体を逐次タンクへ供給することによって、タンクに貯留された液体の液面を一定に保つことができる構成として、いわゆるチキンフィード方式でカートリッジからタンクへ液体が供給されるシステムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたシステムでは、タンクは、カートリッジの下方にある。また、タンクは、大気と連通する大気連通部を備える。また、タンクは、大気流路及び液体流路の2本の流路を通じてカートリッジと連通している。タンク内の液体が消費されて液体の液面が大気流路の下端にある開口よりも低くなると、空気が大気連通部からタンクに入り込み、タンクに入り込んだ空気が大気流路を通じてカートリッジに入り込む。そして、カートリッジに入り込んだ空気の体積分の液体がカートリッジから液体流路を通じてタンクへ供給される。液体の液面が大気流路の開口に達すると、液体の供給は停止される。このようにして、タンク内の液体の液面が一定に維持される。
【0004】
また、タンク内の液体が消費されると、タンクの注入口から液体を補充可能なシステムが知られている(特許文献2参照)。このようなシステムでは、例えば、注入口に液体ボトルが挿入されることによって、液体ボトルに貯留された液体がタンクに補充される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-205528号公報
【文献】特開2012-20495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたいわゆるチキンフィード方式のシステムにおいて、液体ボトルがタンクの上方から鉛直方向下向きに接続される場合、タンクの上方に液体ボトルを位置するためのスペースが必要である。したがって、例えば複合機のように、タンクの上方にスキャナが位置する構成であれば、スキャナを移動させて、ボトルが位置するに十分なスペースをタンクの上方に確保する必要がある。
【0007】
仮に、タンクの前方から液体ボトルが接続可能であれば、液体ボトルにおいて液体流路及び気体流路が鉛直方向ではなく斜め方向に延びる。その結果、液体ボトルから液体流路を通じてタンクに流入した液体が、タンク内において気体流路へ流れて液体ボトルへ逆流するおそれがある。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクと液体ボトルとの接続が容易であり、液体ボトルからタンクへ流入した液体が液体流路へ逆流する可能性を低くすることができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、液体ボトルが接続されるタンクに関する。本タンクは、液体を貯留する貯留室と、上記貯留室を大気に連通させる大気連通部と、上記貯留室における上記大気連通部の少なくとも一部よりも下方に位置する第1開口、及び上記貯留室の外部に位置する第2開口を接続する液体流路を区画しており、上記タンクの外壁から上記タンクの内外へ突出する第1管体と、上記貯留室に位置する第3開口、及び上記貯留室の外部に位置する第4開口を接続する気体流路を区画しており、上記タンクの外壁から上記タンクの内外へ突出する第2管体と、を備える。上記第1管体及び上記第2管体は、少なくとも上記タンクの外部において、鉛直方向及び水平方向と交差する延出方向に沿って上記タンクの外壁から斜め上向きに延びている。上記第1開口は、上記第3開口より下方に位置する。
【0010】
上記構成によれば、第1開口から貯留室に流入した液体は下方へ流れ落ちるので、第1開口より上方に位置する第3開口へ至り難い。
【0011】
(2) 好ましくは、上記液体流路の流路長は、上記気体流路の流路長より長い。
【0012】
(3) 好ましくは、上記第1開口付近の上記液体流路の断面形状は多角形である。
【0013】
上記構成によれば、液体流路の第1開口付近において液体のメニスカスが形成され難い。
【0014】
(4) 好ましくは、上記第3開口は、上記第2管体の周壁を貫通しており、上記貯留室に位置する上記第2管体の端面は閉塞されている。
【0015】
上記構成によれば、第1開口から貯留室に流入した液体が、第3開口へ至り難い。
【0016】
(5) 好ましくは、上記第1管体及び上記第2管体は、1つの管体が仕切壁によって区画されたものである。
【0017】
上記構成によれば、第1管体及び第2管体が簡易に構成される。また、タンクと液体ボトルとの接続が容易である。
【0018】
(6) 好ましくは、上記貯留室を画定しており、上記貯留室を外部に連通する貫通孔を有する筐体を更に具備しており、上記1つの管体は、上記筐体の貫通孔に着脱可能に挿入されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、タンクと液体ボトルとの接続が容易であり、液体ボトルからタンクへ流入した液体が気体流路へ逆流する可能性を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー70が閉位置にある状態、(B)はカバー70が開位置にある状態を示す。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、キャリッジ23とプラテン42とガイドレール43、44とインクタンク100との配置を示す平面図である。
図4図4は、インクタンク100の斜視図である。
図5図5は、インクタンク100Mの斜視図である。
図6図6は、液体ボトル80及びインクタンク100Mの縦断面図であり、液体ボトル80がインクタンク100Mに接続されていない状態を示す。
図7図7は、液体ボトル80及びインクタンク100Mの縦断面図であり、液体ボトル80がインクタンク100Mに接続されている状態を示す。
図8図8は、インクタンク100Mの管体112付近を示す拡大図である。
図9図9は、液体ボトル80の斜視図である。
図10図10は、図6における液体ボトル80の先端部84及びインクタンク100Mの管体112周辺の拡大図である。
図11図11は、図7における液体ボトル80の先端部84及びインクタンク100Mの管体112周辺の拡大図である。
図12図12は、変形例に係るインクタンク100Mの管体112付近を示す拡大図である。
図13図13は、変形例に係るインクタンク100Mの管体112付近を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10及び複合機10に据え付けられたインクタンク100が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1図2参照、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13(図1参照)が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交する。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0022】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(システムの一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前壁14Aに開口13が形成された筐体14を有している。
【0023】
図2に示されるように、筐体14の内部には、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、インクタンク100と、が配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0024】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿って複合機10に対して挿入及び脱抜される。開口13は、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に位置する。図2に示されるように、給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。図1及び図2に示されるように、排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されている。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
【0025】
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、給送用モータ(不図示)によって駆動される。給送アーム26は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
【0026】
[搬送経路65]
図2に示されるように、搬送経路65は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部から後方へ延び、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、図3に示されるように、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路65内における用紙12の搬送向き29は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0027】
[搬送ローラ部54]
図2に示されるように、搬送ローラ部54は、搬送経路65に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送用モータ(不図示)によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータに駆動されて回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて、搬送向き29に搬送される。
【0028】
[排出ローラ部55]
図2に示されるように、排出ローラ部55は、搬送経路65における搬送ローラ部54より搬送向き29の下流に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送用モータ(不図示)によって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータに駆動されて回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて、搬送向き29に搬送される。
【0029】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送経路65における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
【0030】
図3に示されるように、キャリッジ23は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジ駆動用モータ(不図示)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より右方及び左方にまで及ぶ。
【0031】
キャリッジ23からは、インクチューブ32とフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。
【0032】
インクチューブ32は、インクタンク100及び記録ヘッド39を接続するものである。インクチューブ32は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100M(これらを総称して、「インクタンク100」と表示することがある。)に貯留されたインク(液体の一例)を記録ヘッド39に供給する。インクタンク100は、タンクの一例である。詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32Y、32C、32M(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)が、それぞれインクタンク100B、100Y、100C、100Mから延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23と接続されている。
【0033】
フレキシブルフラットケーブル33は、複合機10の動作を制御するコントローラ(不図示)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、コントローラから出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0034】
図2に示されるように、キャリッジ23は、記録ヘッド39を搭載している。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。また、これにより、インクタンク100B、100Y、100C、100Mに貯留されたインクが消費される。
【0035】
[プラテン42]
図2及び図3に示されるように、プラテン42は、搬送経路65における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路65を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
【0036】
[カバー70]
図1(B)に示されるように、筐体14の前壁14Aの右部に、開口22が形成されている。図1(A)に示されるように、カバー70が、筐体14に、開口22を覆うようにして取り付けられている。カバー70は、開口22を閉塞する閉位置(図1(A)に示される位置)と、開口22を開放する開位置(図1(B)に示される位置)との間を回動可能である。図1(A)に示されるように、カバー70が閉位置のとき、インクタンク100の管体112(図1(B)及び図4参照)は、外部から閉塞されている。図1(B)に示されるように、カバー70が開位置のとき、インクタンク100の管体112は、外部に露出されている。図1(A)に示されるように、カバー70には、開口97が形成されている。筐体14の内部のうち開口22の後方に位置する部分には、空間が拡がっている。この空間に、インクタンク100が配置される。
【0037】
[インクタンク100]
図4に示されるインクタンク100は、プリンタ部11に設けられている。インクタンク100は、プリンタ部11が備える記録部24にインクを供給するものである。インクタンク100は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを備える。
【0038】
各インクタンク100には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、ブラックインクがインクタンク100Bに貯留され、イエローインクがインクタンク100Yに貯留され、シアンインクがインクタンク100Cに貯留され、マゼンタインクがインクタンク100Mに貯留される。但し、インクタンク100の数及びインクの色は上記の例に限定されない。
【0039】
インクタンク100B、100Y、100C、100Mの各々の構成は、インクタンク100Bの左右方向9の長さが、他の3つのインクタンク100Y、100C、100Mの各々の左右方向9の長さよりも長いことを除いて、概ね同じ構成である。よって、以下では、インクタンク100Mの構成が説明され、他のインクタンク100B、100Y、100Cの構成の説明は省略される。
【0040】
図5に示されるように、インクタンク100Mは、前壁101、後壁110、上壁104、下壁105、右壁107、及び左壁108で構成されたフレームを備えている。前壁101、後壁110、上壁104、及び下壁105は、樹脂で構成されている。右壁107及び左壁108は、フィルムで構成されている。右壁107としてのフィルムは、前壁101、後壁110、上壁104、及び下壁105の右端に形成された開口に貼り付けられている。左壁108としてのフィルムは、前壁101、後壁110、上壁104、及び下壁105の左端に形成された開口に貼り付けられている。上記フレーム及び上記フィルムによってインクタンク100Mの外形を形成する筐体が構成されている。また、当該筐体の前壁101、後壁110、上壁104、下壁105、右壁107、及び左壁108によって、インク室111(図6参照、貯留室の一例)が区画される。
【0041】
なお、フレームの各壁が樹脂であるかフィルムであるかは、上記に限らない。例えば、後壁110のみがフィルムで、その他の壁が樹脂であってもよい。また、例えば、右壁107の一部が樹脂で、右壁107の残りの部分がフィルムであってもよい。更には、左壁108の一部が樹脂で、左壁108の残りの部分がフィルムであってもよい。
【0042】
フレームの樹脂の部分は、インク室111内のインクがインクタンク100の外部から視認可能な程度の透光性を有する樹脂で一体形成されている。フレームの樹脂の部分は、例えば、ポリプロピレンで形成されている。フレームの樹脂の部分は、例えば、樹脂材料の射出成形により一体成形されている。
【0043】
図1に示されるように、前壁101は、カバー70の開口97及び筐体14の開口22を介して、複合機10の外部に露出している。前壁101は、複合機10の前方から視認可能であり、ユーザはインク室111に貯留されたインクの残量を前壁101を介して複合機10の前方から確認可能である。
【0044】
図5及び図6に示されるように、前壁101は、立壁102と傾斜壁106とで構成されている。立壁102は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁106は、立壁102の上端及び上壁104の前端を繋ぐ壁である。傾斜壁106は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
【0045】
インクタンク100Mは、第1ライン146及び第2ライン147を備えている。第1ライン146及び第2ライン147は、立壁102に形成されている。
【0046】
第1ライン146は、左右方向9に延びている。第1ライン146の上下方向7の位置は、使用姿勢におけるインクタンク100Mにおいて、貯留が許容される最大量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。
【0047】
第2ライン147は、左右方向9に延びている。第2ライン147は、第1ライン146よりも下方に位置している。第2ライン147の上下方向7の位置は、使用姿勢におけるインクタンク100Mにおいて、上記最大量よりも少ない量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。本実施形態において、第2ライン147の上下方向7の位置は、使用姿勢におけるインクタンク100Mにおいて、インクの補充が必要となる最小量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。
【0048】
インクタンク100Mは、大気連通孔113(大気連通部の一例)を備えている。本実施形態において、大気連通孔113は、上壁104に形成されているが、上壁104以外の壁に形成されていてもよい。大気連通孔113は、インクタンク100Mの外部の大気とインク室111とを連通する孔である。なお、大気連通孔113とインク室111とは、図6に示されるように直接連通されていてもよいし、空気が通過する大気流路を介して連通されていてもよい。大気連通孔113または大気流路に、半透膜(不図示)が貼り付けられていてもよい。半透膜は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜である。大気連通孔113とインク室111とが大気流路を介して連通されており、大気連通孔113または大気流路に半透膜が貼り付けられた構成の場合、大気連通孔113、大気流路、及び半透膜が大気連通部に相当し、大気連通孔113が大気連通口に相当する。
【0049】
図6に示されるように、インクタンク100Mは、インク室111に貯留されたインクが流出する流出口115を備えている。流出口115は、後壁110に形成された開口である。流出口115には、インクチューブ32が接続されている。図3に示されるように、インク室111に貯留されたインクは、流出口115及びインクチューブ32を介して記録ヘッド39に供給される。
【0050】
図5及び図6に示されるように、インクタンク100Mは、傾斜壁106の外面106Aから前方且つ上方へ向けて斜めに突出した突出部120を備えている。突出部120は、管体112よりも上方に形成されている。突出部120は、外部から力が作用することによって撓むことが可能である。突出部120は、その先端部に、前方且つ下方へ突出した突起120Aを備えている。突起120Aは、後述する液体ボトル80の突起86と係合可能である。
【0051】
図5に示されるように、インクタンク100Mは、傾斜壁106の外面106Aにリブ148を備える。リブ148は、管体112よりも下方に形成されている。リブ148は、傾斜壁106の右端近傍から左端近傍に亘って概ね左右方向9へ延びている。詳細には、リブ148は、左右方向9の中央よりも右方へ向かうにしたがって下方へ向かうように傾斜しており、且つ左右方向9の中央よりも左方へ向かうにしたがって下方へ向かうように傾斜している。
【0052】
リブ148が傾斜壁106の外面106Aに形成されていることによって、管体112を通じてインク室111にインクが注入される際にインクが管体112から漏れた場合であっても、漏れたインクが立壁102の外面、特に立壁102の外面における第1ライン146よりも下方に付着することが、リブ148によって阻害される。また、リブ148が傾斜していることによって、上方からリブ148に付着したインクは、リブ148に沿って左右方向9におけるインクタンク100の外方へ導かれる。これらにより、立壁102の外面にインクが付着する可能性を低くできるため、インクタンク100の外部から立壁102を通じてインク室111内のインクを視認することが、付着したインクによって阻害される可能性を低くできる。なお、リブ148は、図5に示されるような形状に限らないし、必ずしも設けられなくてもよい。
【0053】
[管体112]
図5に示されるように、インクタンク100Mは、管体112(第1管体及び第2管体の一例)を備えている。管体112は、インクタンク100Mの傾斜壁106を貫通する貫通孔109に挿入されている。なお、管体112には、貫通孔109に対する挿入位置を決定するために、外周壁から突出するフランジが設けられていてもよい。
【0054】
傾斜壁106の貫通孔109に挿入された管体112は、傾斜壁106の外面106Aから前方且つ上方へ向けて斜めに突出している。つまり、管体112は、前後方向8(水平方向)及び上下方向7(鉛直方向)の成分を有する方向へ延びている。本実施形態では、管体112は、水平方向に対して45度に傾斜した方向へ延びている。管体112は、傾斜壁106における突出部120より下方の位置から突出している。管体112は、液体ボトル80の供給口85に挿入される(図7参照)。これにより、液体ボトル80に貯留されたインクが、インク室111に注入される。
【0055】
管体112が傾斜壁106の外面から突出する部分は、円筒形状である。なお、管体112は、筒形状であれば、円筒形状に限らず、例えば四角筒形状等の多角筒形状であってもよい。
【0056】
図8に示されるように、管体112は、その先端部(インク室111の外部に位置する端部)に、管体112の周壁を貫通する2つの貫通孔112C(第4開口の一例)、貫通孔112D(第2開口の一例)を備えている。2つの貫通孔112C,112Dは独立している。つまり、2つの貫通孔112C,112Dの間には、管体112の周壁が存在する。貫通孔112Cは、管体112の上側(詳細には、管体112の外面のうち上方向の成分を有する面)に形成されている。貫通孔112Dは、管体112の下側(詳細には、管体112の外面のうち下方向の成分を有する面)に形成されている。管体112の先端部は、外壁112Aによって開口せずに閉塞されている。
【0057】
貫通孔112Cは、管体112が延出する方向において、貫通孔112Dと同じ位置にある。なお、管体112が延出する方向において、貫通孔112Cと貫通孔112Dとは同じ位置にあっても、異なる位置にあってもよい。
【0058】
図6に示されるように、インク室111における管体112の外周壁103は、傾斜壁106の内面106Bから下方へ延びている。外周壁103の前部103Aは、外周壁103の後部103Bよりも下方まで延びている。
【0059】
図6に示されるように、管体112は、その内部空間に、隔壁117(仕切壁の一例)を備えている。隔壁117は、管体112の内部空間において、先端の外壁112Aから、インク室111における外周壁103に囲まれた空間に亘って延びている。隔壁117は、管体112の内部空間内を、管体112の軸方向(換言すると、管体112の突出方向)に沿って延びている。また、隔壁117は、インク室111における外周壁103に囲まれた空間内を、外周壁103の延設方向(換言すると、上下方向7)に沿って延びている。
【0060】
隔壁117は、管体112の内部空間、及びインク室111における外周壁103に囲まれた空間を、2つの空間に区画している。2つの空間の一方は、気体流路121である。2つの空間の他方は、液体流路122である。
【0061】
気体流路121は、管体112の内部空間のうち隔壁117より後方且つ上方の部分と、インク室111における外周壁103に囲まれた空間のうち隔壁117より後方の部分とで構成されている。つまり、気体流路121は、インク室111において、外周壁103の後部103Bと隔壁117とで囲まれた空間である。
【0062】
液体流路122は、管体112の内部空間のうち隔壁117より前方且つ下方の部分と、インク室111における外周壁103に囲まれた空間のうち隔壁117より前方の部分とで構成されている。つまり、液体流路122は、インク室111において、外周壁103の前部103Aと隔壁117とで囲まれた空間である。
【0063】
気体流路121の開口121A(第3開口の一例)は、インク室111における外周壁103の後部103Bにおいて下方へ開口している。液体流路122の開口122A(第1開口の一例)は、インク室111における外周壁103の前部103Aにおいて下方へ開口している。つまり、気体流路121の開口121Aは、液体流路122の開口122Aより上方に位置している。気体流路121の開口121Aは、上下方向7において、第1ライン146と同位置である。気体流路121及び液体流路122は、大気連通孔113より下方に位置している。
【0064】
管体112の外周壁103と隔壁117とで画定される開口122Aの断面形状(水平方向の断面形状)は、四角形である。つまり、外周壁103の外形は、インク室111内において円形であるが、前部103Aは隔壁117と共に外形が四角形である。
【0065】
気体流路121の他端は、管体112の貫通孔112Cにおいて、インクタンク100Mの外部と連通している。液体流路122の他端は、管体112の貫通孔112Dにおいて、インクタンク100Mの外部と連通している。
【0066】
液体流路122の流路長L2は、気体流路121の流路長L1より長い(L2>L1)。気体流路121の流路長L1は、管体112の軸線に沿った貫通孔112Cから開口121Aまでの長さである。液体流路122の流路長L2は、管体112の軸線に沿った貫通孔112Dから開口122Aまでの長さである。
【0067】
なお、液体流路122の開口122Aが気体流路121の開口121Aより下方に位置していることを条件として、気体流路121の開口121A以外の部分の少なくとも一部が、液体流路122の開口122Aより下方に位置していてもよい。
【0068】
また、大気連通部が大気連通孔113と大気流路で構成されている場合、大気連通孔113が気体流路121の開口121A及び液体流路122の開口122Aより上方に位置していることを条件として、大気流路の少なくとも一部が気体流路121の開口121A及び液体流路122の開口122Aより下方に位置していてもよい。
【0069】
[液体ボトル80]
図9に示される液体ボトル80は、インクタンク100に接続されるものであり、概ね円筒形状である。液体ボトル80は、内部空間を有しており、当該内部空間にインクが貯留される容器である。
【0070】
液体ボトル80は、インクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応して設けられており、対応したインクタンク100と同色のインクが貯留されている。つまり、インクタンク100Bに対応した液体ボトル80の内部空間には、ブラックインクが貯留されており、インクタンク100Yに対応した液体ボトル80の内部空間には、イエローインクが貯留されており、インクタンク100Cに対応した液体ボトル80の内部空間には、シアンインクが貯留されており、インクタンク100Mに対応した液体ボトル80の内部空間には、マゼンタインクが貯留されている。なお、本実施形態において、貯留されたインクの色にかかわらず、液体ボトル80は同構成であるが、貯留されているインクの色に応じて、液体ボトル80は異なる構成(例えば外観形状が異なる。)であってもよい。
【0071】
液体ボトル80は、外壁81によって構成されている。外壁81は、液体ボトル80の内部空間を区画している。外壁81は、本体部82と、テーパ部83と、先端部84とを備えている。
【0072】
本体部82は、円筒形状である。テーパ部83は、円錐台形状である。テーパ部83は、液体ボトル80の軸方向151(換言すると本体部82の長手方向)の一端から軸方向151に沿って縮径しつつ延びている。つまり、テーパ部83は、液体ボトル80の先端(換言すると、先端部84及び後述する供給口85)へ向かうにしたがって、液体ボトル80の径方向152(換言すると軸方向151と交差する方向)において細くなっている。
【0073】
先端部84は、テーパ部83の一端(テーパ部83における本体部82と反対側の端)から軸方向151に沿って突出している。先端部84は、供給口85を備えている。供給口85は、液体ボトル80の内部空間の一部である。図6に示されるように、供給口85は、先端部84を軸方向151に貫通している。供給口85の一端(先端部84の基端側の端)は、テーパ部83の内部空間と連通している。供給口85の他端(先端部84の先端側の端)は、液体ボトル80の外部に開口しており、当該外部と連通している。つまり、液体ボトル80の内部空間は、供給口85を通じて外部と連通している。先端部84の外面に、突起86が形成されている。
【0074】
図6及び図10に示されるように、液体ボトル80は、その内部空間に、壁87と、バルブ88と、コイルバネ89と、シール90とを備えている。
【0075】
壁87は、液体ボトル80の内部空間において、供給口85の軸線(供給口85の中心を通過して軸方向151に沿って延びる仮想線150)上に位置するよう液体ボトル80の内面から突出している。壁87は、供給口85の軸線と直交する外面を有する。壁87の外面は、コイルバネ89のバネ座として機能する。
【0076】
図9に示されるように、バルブ88は、供給口85と壁87との間に位置している。コイルバネ89の一端は、壁87に当接している。コイルバネ89の他端は、バルブ88に当接している。シール90は、リング形状の部材であり、ゴムなどの弾性部材で構成されている。シール90は、バルブ88よりも供給口85の他端側(先端部84の先端側)に位置している。シール90は、供給口85を区画する内周面に密着している。
【0077】
バルブ88は、軸方向151に沿って図6及び図10に示される閉位置(第1位置の一例)と図7に示される開位置(第2位置の一例)とに移動可能である。
【0078】
バルブ88が閉位置のとき、バルブ88はシール90と当接している。これにより、供給口85の他端(供給口85における外部と連通する開口)は閉じており、液体ボトル80の内部空間と液体ボトル80の外部との間の連通は、バルブ88によって遮断されている。
【0079】
バルブ88が開位置のとき、バルブ88はシール90から離間している。これにより、供給口85の他端は開いており、液体ボトル80の内部空間と液体ボトル80の外部とは連通している。
【0080】
コイルバネ89は、バルブ88をシール90へ向けて付勢している。したがって、外力が付与されていない状態(液体ボトル80がインクタンク100に装着されていない状態)において、バルブ88は常に閉位置にある。
【0081】
[液体ボトル80及びインクタンク100の接続]
以下、液体ボトル80及びインクタンク100の接続が説明される。
【0082】
図6及び図10に示されるように、液体ボトル80がインクタンク100に接続されていない状態において、液体ボトル80のバルブ88は閉位置にある。
【0083】
液体ボトル80は、管体112への接続に際して、供給口85と管体112の外壁112Aとが対向し且つ突起86とインクタンク100の突出部120とが対向する姿勢を維持しつつ、管体112に近づけられる。
【0084】
管体112が供給口85へ挿入されると、管体112の外周面がシール90の内周面と液密に密着する。これにより、液体ボトル80と管体112との隙間からのインクの漏れが防止される。
【0085】
また、管体112が供給口85へ挿入されると、管体112の外壁112Aがバルブ88と当接して、バルブ88を液体ボトル80の内部空間へ向かって押す。これにより、バルブ88は、コイルバネ89の付勢力に抗してシール90から離間し、閉位置から開位置へ移動する。
【0086】
また、突起86が突出部120へ近づいて突起120Aと当接すると、突出部120は、突起86から反力を受けて撓む。更に、管体112が供給口85へ挿入されることで、突起86が突起120Aよりも前壁101に近い状態となると、撓んでいた突出部120は元の状態へ弾性復帰する。これにより、図7及び図11に示されるように、突起86と突起120Aとは係合する。その結果、液体ボトル80は、インクタンク100にロックされる。
【0087】
管体112が供給口85へ挿入されて、バルブ88が開位置へ移動し、バルブ118が開位置へ移動し、突起86と突起120Aとが係合した状態(図7及び図10に示される状態)が、接続状態である。接続状態において、管体112の貫通孔112C,112Dは、液体ボトル80の内部空間に位置する。
【0088】
以下、図7及び図11に示される接続状態における液体ボトル80からインクタンク100へのインクの供給が説明される。
【0089】
液体ボトル80がインクタンク100へ接続されて、管体112の貫通孔112C,112Dは、液体ボトル80の内部空間に位置すると、気体流路121及び液体流路122を通じて、液体ボトル80の内部空間と、インク室111とが連通する。これにより、液体ボトル80の内部空間に貯留されたインクが、貫通孔112Dを介して液体流路122へ流通し、液体流路122の開口122Aからインク室111へ流通する。また、インクの流通に際して、空気が大気連通孔113からインク室111に入り込み、気体流路121から貫通孔112Cを介して液体ボトル80の内部空間に流入する。ここで、液体ボトル80からインクタンク100へ流通するインクの体積と、インクタンク100から液体ボトル80へ流通する空気の体積とは、ほぼ同じである。このようにして、いわゆる気液置換が行われる。
【0090】
インク室111にインクが流入することにより、インク室111のインクの液面が上昇して気体流路121の開口121A(換言すると第1ライン146同じ高さ)に達すると、気体流路121とインク室111との間の空気の流通が遮断される。これにより、インク室111から液体ボトル80の内部空間への空気の流通が停止される。そのため、液体ボトル80の内部空間からインク室111へのインクの流通が停止される。そして、インクタンク100から液体ボトル80が取り外されると、インク室111へのインクの補充が終了する。
【0091】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、管体112の開口122Aからインク室111に流入したインクは下方へ流れ落ちるので、開口122Aより上方に位置する開口121Aへ至り難い。これにより、液体ボトル80からタンク100へ液体流路122を通じて流入したインクが、気体流路121へ逆流する可能性を低くすることができる。
【0092】
また、液体流路122の開口122Aの断面形状が四角形なので、液体流路122の開口122A付近においてインクのメニスカスが形成され難い。
【0093】
また、気体流路121及び液体流路122は、1つの管体112が隔壁117によって区画されて形成されているので、管体112が簡易に構成される。また、1つの管体112が液体ボトル80の供給口85に挿通されるので、液体ボトル80の構成も簡易になる。また、タンク100と液体ボトル80との接続が容易である。
【0094】
[変形例]
上記実施形態では、管体112は、インク室111において上下方向7に沿って延びており、気体流路121の開口121A及び液体流路122の開口122Aは、下方に向いているが、開口121A及び開口122Aは、下方を向いていなくてもよい。
【0095】
図12に示されるように、管体112に代えて、管体160がインクタンクMの傾斜壁106の貫通孔109に挿通されている。管体160は、傾斜壁106の外面106Aから前方且つ上方へ向けて斜めに突出している。
【0096】
管体160は、外部へ突出した部分に、管体160の外周壁164を貫通する2つの貫通孔161,162を備えている。貫通孔161は、管体160の上側に形成されている。貫通孔162は、管体160の下側に形成されている。管体160の先端部は、外壁163によって開口せずに閉塞されている。貫通孔161は、管体160が延出する方向において、貫通孔162と同じ位置にある。
【0097】
管体160は、インク室111において、傾斜壁106の外面106Aから外部へ突出する斜め方向に沿って、後方且つ下方へ斜めに突出している。換言すれば、管体160は、インク室111の内外において、直線である軸線に沿って延びている。
【0098】
管体160においてインク室111へ突出した部分は、管体160の上側部分が下側部分よりも長い。具体的には、管体160の下側部分の端部を閉塞する外壁165よりも、上側部分を構成する半円形状の外周壁166が延びており、外周壁166の下方は、隔壁167(図13参照)により閉塞されている。また、管体160の上側部分の端部は外壁168により閉塞されている。
【0099】
管体160の上側部分の外周壁166には、貫通孔170が形成されている。貫通孔170は、外壁168付近に位置する。管体160の下側部分の外周壁164には、貫通孔171が形成されている。貫通孔171は外壁165付近に位置する。なお、貫通孔170は、外周壁166のみではなく、外周壁164にも渡って形成されていてもよい。
【0100】
貫通孔170は、管体160が延出する方向において、貫通孔171と異なる位置にある。貫通孔170の上下方向7における下端位置P1は、貫通孔171の上下方向7における下端位置P2よりも上方に位置する。
【0101】
図12に示されるように、管体160は、その内部空間に、隔壁167を備えている。隔壁167は、管体160の内部空間において、インク室111の外部にある外壁163から、インク室111にある外壁165に亘って延びている。隔壁167は、管体160の内部空間内を、管体160の軸方向に沿って延びている。隔壁167は、管体160の内部空間を、上下の2つの空間に区画している。2つの空間の一方(上方の空間)は、気体流路121である。2つの空間の他方(下方の空間)は、液体流路122である。
【0102】
なお、液体流路122の流路長L2は、気体流路121の流路長L1より長い(L2>L1)。気体流路121の流路長L1は、管体160の軸線に沿った貫通孔161から貫通孔170までの長さである。液体流路122の流路長L2は、管体160の軸線に沿った貫通孔162から貫通孔171までの長さである。
【0103】
上記変形例によれば、管体160の貫通孔171からインク室111に流入したインクは下方へ流れ落ちるので、貫通孔171よりも上方に位置しており、また、管体160の端部が外壁168により閉塞されている貫通孔170へ至り難い。これにより、液体ボトル80からタンク100へ液体流路122を通じて流入したインクが、気体流路121へ逆流する可能性を低くすることができる。
【0104】
なお、上記変形例において、管体160の下側部分の端部を閉塞する外壁165は設けられなくてもよい。例えば、インク室111における液体流路122の開口は、管体160の下側部分が開口された端部であってもよい。
【0105】
[その他の変形例]
上記実施形態では、突起86及び突出部120は、液体ボトル80の上側をインクタンク100にロックしていたが、液体ボトル80をインクタンク100にロックする機構の有無は任意であり、必ずしも設けられなくてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、インクタンク100は1つの管体112を備えていた。そして、管体112の内部空間は、隔壁117によって気体流路121と液体流路122とに区画されていた。しかし、インクタンク100は、気体流路121と液体流路122とを独立して確定する2つの管体を備えていてもよい。この場合、液体ボトル80は、2つの管体が挿入されて内部空間と連通する2つの供給口を有する。
【0107】
また、液体ボトル80及びインクタンク100の形状は、適宜変更できる。例えば、液体ボトル80は、テーパ部83を備えていない円筒形状であってもよいし、四角柱形状であってもよい。また、インクタンク100は、傾斜壁106を備えていない直方体形状であってもよい。
【0108】
上記実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等が、液体の一例であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
100・・・インクタンク(タンク)
109・・・貫通孔
111・・・インク室(貯留室)
112・・・管体(第1管体、第2管体)
112C・・・貫通孔(第1開口)
112D・・・貫通孔(第2開口)
113・・・大気連通孔(大気連通部)
117・・・隔壁(仕切壁)
121・・・気体流路
121A・・・開口(第3開口)
122・・・液体流路
122A・・・開口(第4開口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13