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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20231212BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20231212BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F25B47/02 550F
F25B13/00 351
F25B1/00 321C
F25B1/00 304D
F25B13/00 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022120754
(22)【出願日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】兼井 一樹
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/063846(WO,A1)
【文献】特開平07-190534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F25B 13/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させる冷媒回路に、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
室内の空気と前記冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、
室外の空気と前記冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、
蓄熱材と前記冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、
開度を調整可能な複数の膨張弁と、
前記室内熱交換器および前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室内熱交換器および前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜暖房運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切り替え弁と、が接続され、
前記複数の膨張弁の1つが、前記室外熱交換器を凝縮器として機能させる場合の、前記室外熱交換器の上流に設けられ、当該1つの膨張弁によって前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧し、
前記蓄熱暖房運転時における前記複数の膨張弁の中の前記蓄熱熱交換器の上流に位置する膨張弁を通過する単位時間当たりの冷媒の流量は、前記蓄熱熱交換器の下流に位置する膨張弁を通過する単位時間当たりの冷媒の流量よりも大きくする、
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記1つの膨張弁は、前記蓄熱熱交換器を凝縮器として機能させる場合の、前記蓄熱熱交換器の上流に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記1つの膨張弁を単位時間あたりに流れる前記冷媒の流量は、前記蓄熱暖房運転時よりも前記除霜暖房運転時の方が大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記1つの膨張弁は、前記蓄熱暖房運転から切り替えて前記除霜暖房運転を開始する際に、前記蓄熱熱交換器を凝縮器から蒸発器に切り替えた後に開度が調整される、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記1つの膨張弁は、前記除霜暖房運転から切り替えて前記蓄熱暖房運転を開始する際に、前記蓄熱熱交換器の機能を蒸発器から凝縮器に切り替える前に開度が調整される、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記室外熱交換器の温度を検出する温度検出部を有し、
前記1つの膨張弁は、前記除霜暖房運転時において、前記温度検出部が検出した温度に基づいて開度が調整される、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記除霜暖房運転時における前記1つの膨張弁を通過する単位時間当たりの冷媒の流量は、前記複数の膨張弁の中の前記蓄熱熱交換器の上流に位置する膨張弁を通過する単位時間当たりの冷媒の流量よりも小さくする、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機から吐出される冷媒を蓄熱材と熱交換させる蓄熱熱交換器を備えた空気調和装置が知られている。この空気調和機においては、暖房運転を継続しながら室外熱交換器に発生した霜を融かす除霜を行うことを目的として、蓄熱暖房運転と、除霜暖房運転とを切り替える従来技術がある。
【0003】
この従来技術において、蓄熱暖房運転時には、室内熱交換器および蓄熱熱交換器を凝縮器とし、室外熱交換器を蒸発器とする。また、除霜暖房運転時には、室内熱交換器および室外熱交換器を凝縮器とし、蓄熱熱交換器を蒸発器とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-17738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、除霜暖房運転時における室内熱交換器および室外熱交換器に流入する冷媒の圧力(二相域の凝縮温度)は同じになる。室内の暖房を行うため、凝縮温度は約40℃に設定されるが、室外熱交換器における霜の温度は0℃以下であるため、室外熱交換器に供給する冷媒の温度は除霜のために必要な温度よりも過剰に高くなる。その結果、室外熱交換器において過冷却した液相冷媒が多く分布し、室内熱交換器に流入する冷媒の流量が少なくなり、暖房能力が低下してしまうという問題がある。
【0006】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、除霜暖房運転時の室内の暖房能力の低下を抑えることができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による空気調和機は、冷媒を循環させる冷媒回路に、前記冷媒を圧縮する圧縮機と、室内の空気と前記冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、室外の空気と前記冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、蓄熱材と前記冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、開度を調整可能な複数の膨張弁と、前記室内熱交換器および前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室内熱交換器および前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜暖房運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切り替え弁と、が接続され、前記複数の膨張弁の1つが、前記室外熱交換器を凝縮器として機能させる場合の、前記室外熱交換器の上流に設けられ、当該1つの膨張弁によって前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧する。
【発明の効果】
【0008】
開示の空気調和機は、除霜暖房運転時の室内の暖房能力の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、実施形態にかかる空気調和機の一例を示す回路図である。
図1B図1Bは、実施形態にかかる空気調和機の一例を示す回路図である。
図2図2は、実施形態にかかる空気調和機の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかる空気調和機の動作例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態にかかる空気調和機の蓄熱・暖房運転時の状態を説明する説明図である。
図5図5は、実施形態にかかる空気調和機の除霜運転開始時のタイミングチャートの一例である。
図6図6は、実施形態にかかる空気調和機の運転状態の切り替えを説明する説明図である。
図7図7は、実施形態にかかる空気調和機の除霜・暖房運転時の状態を説明する説明図である。
図8図8は、実施形態にかかる空気調和機の除霜運転解除時のタイミングチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる空気調和機を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する空気調和機は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組み合わせてもよい。
【0011】
図1A図1Bは、実施形態にかかる空気調和機の一例を示す回路図である。図1Aに示すように、空気調和機1は、制御装置20による制御のもとで、例えば室内の冷暖房を行う装置である。空気調和機1は、R32等の冷媒を圧縮する圧縮機11と、室内の空気と冷媒とを熱交換させる室内熱交換器14と、室外の空気と冷媒とを熱交換させる室外熱交換器15と、蓄熱材16aと冷媒とを熱交換させる蓄熱熱交換器16とを有する。そして、上記の各装置が流路(冷媒管)で接続されることで冷媒が循環する冷媒回路10が形成される。
【0012】
冷媒回路10は、冷媒が流れる流路10a~10fが形成されている。この流路10a~10fには、冷媒の循環経路を切り替える第1の三方弁12a、第2の三方弁12b、第3の三方弁12cと、開度を調整可能な第1の膨張弁13a、第2の膨張弁13b、第3の膨張弁13cとが接続される。この第1の三方弁12a、第2の三方弁12b、第3の三方弁12cは、切り替え弁の一例であって、四方弁等でも代用可能である。
【0013】
なお、以下の説明において、第1の三方弁12a、第2の三方弁12b、第3の三方弁12c等を特に区別しない場合は、三方弁12と称するものとする。同様に、第1の膨張弁13a、第2の膨張弁13b、第3の膨張弁13c等を特に区別しない場合は、膨張弁13と称するものとする。
【0014】
冷媒回路10における流路10aは、圧縮機11の吐出側と、第1の三方弁12a、第2の三方弁12b、第3の三方弁12cそれぞれとを接続する。具体的には、流路10aは、第1の分岐10aaにより、第1の三方弁12aに冷媒が流れる経路と、第2の三方弁12b、第3の三方弁12cに冷媒が流れる経路に分岐する。この第2の三方弁12b、第3の三方弁12cに冷媒が流れる経路については、第2の分岐10abにより、第2の三方弁12b、第3の三方弁12cそれぞれに冷媒が流れる経路に分岐する。また、第1の分岐10aaと、第2の分岐10abの間には、第3の膨張弁13cが接続される。
【0015】
なお、図1Aに例示した空気調和機1の回路例では、圧縮機11の吐出側の流路10aにおいて、室外熱交換器15および蓄熱熱交換器16で共通の第3の膨張弁13cを用いる構成としている。これに対し、図1Bに示す空気調和機1aの回路例のように、分岐10ac、分岐10adによる室外熱交換器15と蓄熱熱交換器16のそれぞれの流路において、室外熱交換器15と蓄熱熱交換器16のそれぞれに対応する第3の膨張弁13ca、第4の膨張弁13cbを用意してもよい。ただし、室外熱交換器15および蓄熱熱交換器16で共通の第3の膨張弁13cを用いる構成の方が、1つの膨張弁で済むことから、コストを低減できる。
【0016】
冷媒回路10における流路10bは、圧縮機11の吸入側と、第1の三方弁12a、第2の三方弁12b、第3の三方弁12cそれぞれとを接続する。流路10cは、第1の三方弁12aと室内熱交換器14を接続する。流路10dは、第2の三方弁12bと室外熱交換器15を接続する。流路10eは、第3の三方弁12cと蓄熱熱交換器16を接続する。
【0017】
冷媒回路10における流路10fは、室内熱交換器14と、室外熱交換器15と、蓄熱熱交換器16とを接続する。流路10fにおける室内熱交換器14と、室内熱交換器14から分流または合流する分岐10faの間には、第1の膨張弁13aが接続される。同様に、流路10fにおける蓄熱熱交換器16から分流または合流する分岐10faの間には、第2の膨張弁13bが接続される。
【0018】
また、空気調和機1は、各部の温度を検出する温度センサ17a~17fを有する。温度センサ17aは、圧縮機11から吐出した冷媒の温度を検出するセンサである。温度センサ17bは、室内熱交換器14の温度を検出するセンサである。温度センサ17cは、室外熱交換器15の温度を検出するセンサである。
【0019】
温度センサ17dは、蓄熱材16aの温度を検出するセンサである。温度センサ17eは、蓄熱熱交換器16の温度を検出するセンサである。温度センサ17fは、流路10fにおいて、蓄熱熱交換器16と第二の膨張弁13bとの間を流れる冷媒の温度(液管温度)を検出するセンサである。なお、以下の説明において、温度センサ17a~17f等を特に区別しない場合は、温度センサ17と称するものとする。なお、温度センサ17には、特に図示しないが、室内の温度等を検出する温度センサも含まれるものとする。
【0020】
ここで、冷媒回路10における蓄熱暖房運転時の冷媒の循環経路と、除霜暖房運転時の冷媒の循環経路を説明する。
【0021】
蓄熱暖房運転時において、空気調和機1の制御装置20は、複数の三方弁12の切り替えにより、室内熱交換器14および蓄熱熱交換器16を凝縮器、室外熱交換器15を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させる。
【0022】
具体的には、制御装置20は、圧縮機11より吐出した冷媒が流路10a、10cを介して室内熱交換器14に流れるように第1の三方弁12aを切り替える。同様に、制御装置20は、圧縮機11より吐出した冷媒が流路10a、第3の膨張弁13c、流路10eを介して蓄熱熱交換器16に流れるように第3の三方弁12cを切り替える。また、制御装置20は、室内熱交換器14、蓄熱熱交換器16より流路10fに入り、第1の膨張弁13a、第2の膨張弁13bにより減圧された冷媒が室外熱交換器15を経た後に、流路10d、10bを介して圧縮機11に戻るように第2の三方弁12bを切り替える。
【0023】
除霜暖房運転時において、空気調和機1の制御装置20は、複数の三方弁12の切り替えにより、室内熱交換器14および室外熱交換器15を凝縮器、蓄熱熱交換器16を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させる。
【0024】
具体的には、制御装置20は、圧縮機11より吐出した冷媒が流路10a、10cを介して室内熱交換器14に流れるように第1の三方弁12aを切り替える。同様に、制御装置20は、圧縮機11より吐出した冷媒が流路10a、10dを介して室外熱交換器15に流れるように第2の三方弁12bを切り替える。この時、室外熱交換器15に流れる冷媒は、流路10aに設けられた第3の膨張弁13cにより減圧される。また、制御装置20は、室内熱交換器14、室外熱交換器15より流路10fに入った冷媒が蓄熱熱交換器16を経た後に、流路10e、10bを介して圧縮機11に戻るように、第3の三方弁12cを切り替える。この時、室内熱交換器14から流路10fに入った冷媒については、第1の膨張弁13aにより減圧される。
【0025】
図2は、実施形態にかかる空気調和機1の一例を示すブロック図である。図2に示すように、空気調和機1は、圧縮機11、三方弁12、膨張弁13、室外ファン31、室内ファン32、温度センサ17と電気的に接続され、各部の制御を行う制御装置20を備えている。
【0026】
室外ファン31は、室外熱交換器15が設けられた室外機(特に図示しない)の内部に配置されている。室外ファン31は、制御装置20に制御され、室外熱交換器15に外気が熱的に接触するように、外気を送風する。室内ファン32は、室内機(特に図示しない)の内部に配置されている。室内ファン32は、制御装置20に制御され、室内熱交換器14に室内の空気が熱的に接触するように、かつ、室内熱交換器14に熱的に接触した室内の空気が室内機から室内に吹き出るように、室内の空気を送風する。
【0027】
制御装置20は、制御部の一例としてのコンピュータであり、記憶装置21とCPU22(CPU:Central Processing Unit)とを備えている。記憶装置21は、制御装置20にインストールされるコンピュータプログラムを記憶し、CPU22により利用される情報を記憶する。CPU22は、制御装置20にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理を行い、空気調和機1の動作を制御する。
【0028】
制御装置20は、操作部(図示しない)による各種設定(暖房運転または冷房運転とその設定温度等)と、温度センサ17の検出結果を受け付けて圧縮機11、三方弁12、膨張弁13、室外ファン31および室内ファン32を制御する。
【0029】
具体的には、記憶装置21には、温度センサ17の検出結果等より、圧縮機11、三方弁12、膨張弁13、室外ファン31および室内ファン32の制御に用いる制御値をCPU22が算出するためのパラメータや演算式・テーブルなどの情報が格納されている。CPU22は、この記憶装置21に格納された情報をもとに、温度センサ17の検出結果により算出した制御値等を用いて圧縮機11、三方弁12、膨張弁13、室外ファン31および室内ファン32を制御する。
【0030】
図3は、実施形態にかかる空気調和機1の動作例を示すフローチャートである。図3に示すように、制御装置20は、暖房運転の開始指示を受けて処理が開始されると、蓄熱暖房運転を開始する(S11)。
【0031】
具体的には、制御装置20は、第1の三方弁12aを流路10a、10cが接続するように切り替えて室内熱交換器14を凝縮器として機能させる。また、制御装置20は、12bを流路10d、10bが接続するように切り替えて室外熱交換器15を蒸発器として機能させる。また、制御装置20は、第3の三方弁12cを流路10a、10eが接続するように切り替えて蓄熱熱交換器16を凝縮器として機能させる。また、制御装置20は、第1の膨張弁13a、第2の膨張弁13b、第3の膨張弁13cの開度が暖房運転時の初期値となるように、初期開度制御を行う。初期値は、起動時の信頼性(と立ち上げ性)を確保するために設定される。第1の膨張弁13aは、吐出温度が過昇しないようにしつつ、圧縮機への液バックを回避できる開度が設定される。第2の膨張弁13bは、蓄熱熱交換器16への液だまりを回避しつつ、蓄熱熱交換器16へ流れる冷媒の流量が過剰にならない開度が設定される。第3の膨張弁は、第2の三方弁12bの作動差圧を確保しつつ、蓄熱熱交換器16へ流れる冷媒の流量が過剰にならない開度が設定される。また、制御装置20は、室内ファン32、室外ファン31、圧縮機11を起動させる。
【0032】
ついで、制御装置20は、温度センサ17の検出結果により算出した制御値を用いて膨張弁13の開度の制御(調整)を行う(S12)。
【0033】
具体的には、制御装置20は、第1の膨張弁13aの開度について、圧縮機11の吐出温度が目標吐出温度となるように、目標吐出温度制御を行う。また、制御装置20は、第2の膨張弁13bの開度について、蓄熱熱交換器16出口の過冷却度が目標過冷却度となるように、蓄熱熱交換器目標過冷却度制御を行う。また、制御装置20は、第3の膨張弁13cの開度について、蓄熱熱交換器16の凝縮温度が目標凝縮温度となるように、蓄熱熱交換器目標凝縮温度制御を行う。
【0034】
図4は、実施形態にかかる空気調和機の蓄熱・暖房運転時の状態を説明する説明図である。図4に示すように、蓄熱・暖房運転時において、制御装置20は、温度センサ17の検出結果の入力をもとに算出した制御値に基づいて第1の膨張弁13a、第2の膨張弁13b、第3の膨張弁13cの開度を制御する。
【0035】
具体的には、制御装置20は、温度センサ17bが検出した室内熱交換器14の温度(凝縮温度)と、温度センサ17cが検出した室外熱交換器15の温度(蒸発温度)とに基づいて目標吐出温度を算出する。ついで、制御装置20は、温度センサ17aが検出した冷媒の吐出温度が算出した目標吐出温度に近づくように第1の膨張弁13aの開度を調整する。
【0036】
また、制御装置20は、温度センサ17fが検出した蓄熱熱交換器16の液管温度と、温度センサ17eが検出した蓄熱熱交換器16の温度(凝縮温度)とに基づいて蓄熱熱交換器過冷却度を算出する。ついで、制御装置20は、算出した蓄熱熱交換器過冷却度が予め記憶された蓄熱熱交換器16の目標過冷却度に近づくように第2の膨張弁13bの開度を制御する。
【0037】
また、制御装置20は、温度センサ17dが検出した蓄熱材16aの温度に基づいて蓄熱熱交換器16の目標凝縮温度を算出する。ついで、制御装置20は、算出した目標凝縮温度に温度センサ17eが検出した蓄熱熱交換器16の温度(凝縮温度)が近づくように第3の膨張弁13cの開度を制御する。
【0038】
図3に戻り、S12についで、制御装置20は、除霜開始の条件が成立したか否かを判定する(S13)。例えば、制御装置20は、室外熱交換器15の温度が所定の温度条件(外気温度の2℃の場合-6℃以下など)を満たした場合に除霜開始の条件が成立したものとする。また、制御装置20は、室外熱交換器15の温度だけでなく、蓄熱暖房運転の時間経過が所定の条件(例えば連続運転時間が所定時間以上など)を満たした場合に除霜開始の条件が成立したものとしてもよい。
【0039】
除霜開始の条件の成立が否定された場合(S13:No)、制御装置20は処理を待機する。除霜開始の条件の成立が肯定された場合(S13:Yes)、制御装置20は、S14~S19の処理を行い、除霜・暖房運転を開始する。
【0040】
具体的には、制御装置20は、室内ファン32の回転数を除霜時回転数(a)に変更し、圧縮機11の回転数を除霜開始時回転数(b)に変更する(S14)。除霜時回転数(a)は、ユーザに冷風感を感じさせない程度の風速となる回転数が設定される。除霜開始時回転数(b)は、冷媒循環量を確保しつつ、三方弁12の切り替え時に異音が発生しないような回転数が設定される。ついで、制御装置20は、第1の膨張弁13aの開度を固定(吐出温度制御非動作)し、第3の三方弁12cを流路10e、10bが接続するように切り替えて蓄熱熱交換器16を蒸発器として機能させる(S15)。
【0041】
ついで、制御装置20は、第2の膨張弁13bを除霜時パルス(c)に固定する(S16)。除霜時パルス(c)は、除霜暖房時の循環量を確保できるような開度に対応するパルスが設定される。これにより、第2の膨張弁13bは、除霜時に対応する開度に固定される。
【0042】
ついで、制御装置20は、第2の三方弁12bを流路10a、10bが接続するように切り替えて室外熱交換器15を凝縮器として機能させ、室外ファン31を停止する(S17)。
【0043】
ついで、制御装置20は、第3の膨張弁13cを除霜時初期パルス(d)に変更し、圧縮機11の回転数を除霜時回転数(e)に変更する(S18)。除霜時初期パルス(d)は、室外熱交換器15の温度が低く室外側に比較的多量の冷媒が流れる場合でも、所望の暖房能力を発揮できるような開度に対応するパルスが設定される。除霜時回転数(e)は、除霜運転中に低圧圧力が圧縮機11の仕様下限を下回らない回転数であって、除霜時間が最も短くなるような回転数が設定される。これにより、空気調和機1では、第3の膨張弁13cが除霜開始時に初期の開度とされた上で、除霜・暖房運転が開始される。
【0044】
図5は、実施形態にかかる空気調和機の除霜運転開始時のタイミングチャートの一例である。図5に示すように、除霜運転が開始されると、空気調和機1は、時刻t1において、室内ファン32の回転数を除霜時回転数(a:Lo風)に変更する。
【0045】
ついで、時刻t2において、空気調和機1は、圧縮機11の回転数を除霜開始時回転数(図示例では87rps)に変更する。ついで、時刻t3において、空気調和機1は、第3の三方弁12cを切り替えて蓄熱熱交換器16を凝縮器(蓄熱)から蒸発器(放熱)とする。ついで、時刻t4において、空気調和機1では、第2の膨張弁13bが除霜時パルス(図示例では200pls)に固定される。
【0046】
ついで、時刻t5において、空気調和機1は、第2の三方弁12bを切り替えて室外熱交換器15を蒸発器(吸熱)から凝縮器(放熱、除霜)とする。ついで、時刻t6において、空気調和機1は、室外ファン31を停止する。ついで、時刻t7において、空気調和機1では、第3の膨張弁13cが除霜時初期パルス(図示例では125pls)に変更される。ついで、時刻t8において、空気調和機1は、圧縮機11の回転数を除霜時回転数(図示例では130rps)に変更する。
【0047】
図3に戻り、S18についで、制御装置20は、温度センサ17cが検出した室外熱交換器15の温度に応じて第3の膨張弁13cの開度を制御する(S19)。具体的には、制御装置20は、室外熱交換器15の温度の上昇に応じて第3の膨張弁13cの開度を大きくする。これにより、室外熱交換器15の流入させる冷媒の圧力を調整して、冷媒の温度を除霜に用いる必要最低限の温度に調整できるため、室外熱交換器15において過冷却した液相冷媒が多く分布し、室内熱交換器14に流入する冷媒の流量が少なくなり、暖房能力が低下してしまうことを抑制できる。
【0048】
図6は、実施形態にかかる空気調和機1の運転状態の切り替えを説明する説明図である。図6において、室内熱交換器14、室外熱交換器15および蓄熱熱交換器16の網掛けは、凝縮器(網掛けあり)または蒸発器(網掛けなし)のどちらとして機能しているかを示している。なお、網掛けの濃さは、凝縮器として機能している場合の、冷媒の温度状態(濃いほど高温)を示している。同様に、冷媒回路10の流路10a~10fにおける線種は、流路を流れる冷媒の温度(破線の間隔が細かいほど高温)を示しており、冷媒の流れがないところは実線としている。
【0049】
図6に示すように、空気調和機1は、蓄熱・暖房運転(S1)では、室内熱交換器14および蓄熱熱交換器16を凝縮器、室外熱交換器15を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させている。ここで、第1の膨張弁13aは、開度が調整されることで、圧縮機11からの吐出される冷媒の吐出温度を調整する。また、蓄熱熱交換器16に対して冷媒の循環経路の上流にある第3の膨張弁13cと、下流にある第2の膨張弁13bとは、それぞれの開度が調整されることで、蓄熱温度(圧力)と、冷媒の流量を調整する。
【0050】
ここで、蓄熱・暖房運転(S1)から除霜・暖房運転(S3)に切り替える場合、空気調和機1は、まず蓄熱熱交換器16を蒸発器に切り替える。これにより、空気調和機1では、室内熱交換器14を凝縮器、室外熱交換器15および蓄熱熱交換器16を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させる(S2)。ついで、空気調和機1は、室外熱交換器15を凝縮器に切り替えて、除霜・暖房運転状態(S3)とする。このように切り替えることで、空気調和機1では、圧縮機11から吐出された冷媒が凝縮器、蒸発器を循環して圧縮機11に戻る循環経路が常に維持される。
【0051】
また、空気調和機1は、除霜・暖房運転(S3)では、室内熱交換器14および室外熱交換器15を凝縮器、蓄熱熱交換器16を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させている。ここで、第1の膨張弁13aは、開度が調整されることで、凝縮温度を調整する。
【0052】
また、室外熱交換器15に対して冷媒の循環経路の上流にある第3の膨張弁13cは、算出した目標凝縮温度に温度センサ17eが検出した蓄熱熱交換器16の温度(凝縮温度)が近づくように開度が調整されることで、室外熱交換器15に流れる冷媒の流量(除霜流量)と温度を調整する。これにより、空気調和機1では、室外熱交換器15に過剰な温度の冷媒が供給されることが抑止される。また、蓄熱熱交換器16に対して冷媒の循環経路の上流にある第2の膨張弁13bは、開度が調整されることで、冷媒回路10を流れる冷媒の全体流量を調整する。
【0053】
また、室外熱交換器15に対して冷媒の循環経路の上流にある第3の膨張弁13cでは、蓄熱暖房運転時よりも除霜暖房運転時の開度を大きくすることで(図5の例では、32pls→125pls)、単位時間あたりに流れる冷媒の循環量が、蓄熱暖房運転時よりも除霜暖房運転時の方が大きくなる。
【0054】
また、除霜・暖房運転時において、室外熱交換器15に対して冷媒の循環経路の上流にある第3の膨張弁13cの開度(図5の例では125pls)は、蓄熱熱交換器16の上流に位置する第2の膨張弁13bの開度(図5の例では200pls)よりも小さくする。これにより、空気調和機1では、除霜暖房運転時に室外熱交換器15の流入させる冷媒の流量を除霜に用いる必要最低限の流量に調整できるため、室内熱交換器14へ供給できる冷媒の流量が増加する。また、蓄熱熱交換器16の温度を下げすぎないように冷媒の流量を調整し、より効率の良い除霜・暖房運転を実施できる。
【0055】
図7は、実施形態にかかる空気調和機の除霜・暖房運転時の状態を説明する説明図である。図7に示すように、除霜・暖房運転時において、制御装置20は、温度センサ17の検出結果の入力をもとに第3の膨張弁13cの開度を制御する。
【0056】
具体的には、制御装置20は、除霜・暖房運転時において、第1の膨張弁13aおよび第2の膨張弁13bの開度(例えば、全開)を固定する。ついで、制御装置20は、温度センサ17cが検出した室外熱交換器15の温度をもとに膨張弁13の開度を制御する(例えば温度の上昇に応じて第3の膨張弁13cの開度を大きくする)。
【0057】
図3に戻り、S19についで、制御装置20は、除霜終了の条件が成立したか否かを判定する(S20)。例えば、制御装置20は、室外熱交換器15の温度が所定の温度条件(16℃まで到達)を満たした場合に除霜終了の条件が成立したものとする。また、制御装置20は、室外熱交換器15の温度だけでなく、除霜暖房運転の時間経過が所定の条件(例えば連続運転時間が所定時間以上など)を満たした場合に除霜終了の条件が成立したものとしてもよい。
【0058】
除霜終了の条件の成立が否定された場合(S20:No)、制御装置20は処理をS19に戻す。除霜開始の条件の成立が肯定された場合(S20:Yes)、制御装置20は、S21~S28の処理を行い、除霜・暖房運転から蓄熱・暖房運転への切り替えを行う。
【0059】
具体的には、制御装置20は、室外ファン31を起動する(S21)。ついで、制御装置20は、第3の膨張弁13cを除霜後パルス(f)に変更する(S22)。除霜後パルス(f)は、三方弁12bの作動差圧を確保しつつ、蓄熱熱交換器16に流れる冷媒の流量が過剰にならないような開度に対応するパルスが設定される。これにより、第3の膨張弁13cは、除霜後の開度に調整される。
【0060】
ついで、制御装置20は、第2の三方弁12bを流路10d、10bが接続するように切り替えて室外熱交換器15を蒸発器として機能させる(S23)。ついで、制御装置20は、第2の膨張弁13bを除霜後パルス(g)に変更する(S24)。除霜後パルス(g)は、蓄熱熱交換器16への液だまりを回避しつつ、蓄熱熱交換器16に流れる冷媒の流量が過剰にならないような開度に対応するパルスが設定される。これにより、第2の膨張弁13bは、除霜後の開度に調整される。
【0061】
ついで、制御装置20は、第3の三方弁12cを流路10a、10eが接続するように切り替えて蓄熱熱交換器16を凝縮器として機能させる(S25)。ついで、制御装置20は、第1の膨張弁13aの開度の固定を解除し、吐出温度制御動作を開始させる(S26)。
【0062】
ついで、制御装置20は、室内ファン32をリモコン操作等により設定されたユーザ指定の風量に移行させ、圧縮機11を暖房能力としての要求能力に応じた回転数に移行させる(S27)。
【0063】
ついで、制御装置20は、S12と同様に、温度センサ17の検出結果より算出した制御値を用いて第2の膨張弁13b、第3の膨張弁13cの開度の制御(調整)を行う(S28)。
【0064】
図8は、実施形態にかかる空気調和機1の除霜運転解除時のタイミングチャートの一例である。図8に示すように、除霜・暖房運転が解除されると、時刻t11において、空気調和機1は、室外ファン31を起動する。
【0065】
ついで、時刻t12において、空気調和機1は、第3の膨張弁13cを除霜後パルス(f)に変更する(図示例では125pls→32pls)。ついで、時刻t13において、空気調和機1は、第2の三方弁12bを切り替えて室外熱交換器15を凝縮器(放熱、除霜)から蒸発器(吸熱)とする。ついで、時刻t14において、空気調和機1は、第3の三方弁12cを切り替えて蓄熱熱交換器16を蒸発器(放熱)から凝縮器(蓄熱)とする。
【0066】
ついで、時刻t15において、空気調和機1では、第1の膨張弁13aの開度の固定が解除され、第1の膨張弁13aの開度調整による吐出温度制御の動作が開始される。ついで、時刻t16において、空気調和機1では、室内ファン32の風量がユーザ指定の風量(Hi風)に移行される。ついで、時刻t17において、空気調和機1は、暖房能力としての要求能力に応じた圧縮機11の自動制御(回転数制御)が開始される。
【0067】
図6に示すように、空気調和機1は、除霜・暖房運転(S3)では、室内熱交換器14および室外熱交換器15を凝縮器、蓄熱熱交換器16を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させている。
【0068】
ここで、除霜・暖房運転(S3)から蓄熱・暖房運転(S3)に切り替える場合、空気調和機1は、まず室外熱交換器15を蒸発器に切り替える。これにより、空気調和機1では、室内熱交換器14を凝縮器、室外熱交換器15および蓄熱熱交換器16を蒸発器として機能させるように冷媒を循環させる(S4)。ついで、空気調和機1は、蓄熱熱交換器16を凝縮器に切り替えて、蓄熱・暖房運転状態(S5)とする。このように切り替えることで、空気調和機1では、圧縮機11から吐出された冷媒が凝縮器、蒸発器を循環して圧縮機11に戻る循環経路が常に維持される。
【0069】
図3に戻り、S28についで、制御装置20は、ユーザ操作等による運転終了指示の有無など、運転終了の条件を満たすかを判定する(S29)。運転終了の条件を満たさない場合(S29:No)、制御装置20は、S13へ処理を戻す。運転終了の条件を満たす場合(S29:Yes)、制御装置20は、運転終了時の状態への終了動作(三方弁12の切り替え、膨張弁13の開度調整、室外ファン31、室内ファン32の停止等)を行った上で処理を終了する。
【0070】
以上、空気調和機の実施形態を説明したが、前述した内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【0071】
以上のように、空気調和機1は、冷媒を巡回させる冷媒回路10に、圧縮機11と、室内熱交換器14と、室外熱交換器15と、蓄熱熱交換器16と、複数の膨張弁13と、複数の三方弁12とが接続される。圧縮機11は、冷媒を圧縮する。室内熱交換器14は、室内の空気と冷媒とを熱交換する。室外熱交換器15は、室外の空気と冷媒とを熱交換する。蓄熱熱交換器16は、蓄熱材16aと冷媒とを熱交換する。複数の膨張弁13は、それぞれが開度を調整可能な弁である。複数の三方弁12は、室内熱交換器14および蓄熱熱交換器16を凝縮器、室外熱交換器15を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、室内熱交換器14および室外熱交換器15を凝縮器、蓄熱熱交換器16を蒸発器として機能させる除霜暖房運転とで冷媒回路10における冷媒の循環経路を切り替える。空気調和機1は、複数の膨張弁13の1つ(第3の膨張弁13c、13ca)が、室外熱交換器15を凝縮器として機能させる場合の、室外熱交換器15の上流に設けられ、この1つの膨張弁13によって室外熱交換器15に流入する冷媒を減圧する。
【0072】
このように、室外熱交換器15に流入する冷媒を減圧することで、空気調和機1では、室内熱交換器14および室外熱交換器15を凝縮器として機能させる除霜暖房運転時において、室外熱交換器15に過剰な温度の冷媒が供給されることを抑止できる。例えば、室内熱交換器14および室外熱交換器15を凝縮器として機能させる除霜暖房運転時では、除霜に用いる暖房能力が過大なものとなると、相対的に室内の暖房能力が低下することとなる。これに対し、空気調和機1では、室外熱交換器15に過剰な温度の冷媒が供給されることを抑止することで、除霜暖房運転時の室内の暖房能力の低下を抑えることができる。
【0073】
空気調和機1において、上記の1つの膨張弁13(第3の膨張弁13c)は、蓄熱熱交換器16を凝縮器として機能させる場合の、蓄熱熱交換器16上流に設けられる。これにより、空気調和機1では、室外熱交換器15または蓄熱熱交換器16を凝縮器として用いる場合に、それぞれに膨張弁を用意することなく、1つの膨張弁13(第3の膨張弁13c)で冷媒を減圧することができ、コストを低減できる。
【0074】
空気調和機1において、上記の1つの膨張弁13(第3の膨張弁13c)を単位時間あたりに流れる冷媒の循環量は、蓄熱暖房運転時よりも除霜暖房運転時の方が大きい。こにより、空気調和機1は、蓄熱暖房運転時の暖房能力の平準化を行いつつ、急速に除霜を終了できる。例えば、空気調和機1では、蓄熱暖房運転時には蓄熱熱交換器16に対する冷媒の循環量が小さくなり、室内に対する暖房能力を大きく低下させることなく蓄熱でき、室内および蓄熱材16aへの暖房能力の平準化が行われることなる。逆に、除霜暖房運転時には、室外熱交換器15に対する冷媒の循環量が大きくなり、急速に除霜することができる。
【0075】
空気調和機1において、上記の1つの膨張弁13(第3の膨張弁13c、13ca)は、蓄熱暖房運転から切り替えて除霜暖房運転を開始する際に、蓄熱熱交換器16を凝縮器から蒸発器に切り替えた後に開度が調整される。これにより、空気調和機1では、蓄熱熱交換器16が蒸発器と機能する際に、蓄熱熱交換器16に急激に冷媒が流れ込むことによる暖房能力の低下を抑止できる。
【0076】
空気調和機1において、上記の1つの膨張弁13(第3の膨張弁13c、13ca)は、除霜暖房運転から切り替えて蓄熱暖房運転を開始する際に、蓄熱熱交換器16の機能を蒸発器から凝縮器に切り替える前に開度が調整される。これにより、空気調和機1では、蓄熱熱交換器16が凝縮器として機能する際に、蓄熱熱交換器16に急激に冷媒が流れ込む事による暖房能力の低下を抑止できる。
【0077】
空気調和機1は、室外熱交換器15の温度を検出する温度センサ17cを有し、上記の1つの膨張弁13(第3の膨張弁13c、13ca)は、除霜暖房運転時において、温度センサ17cが検出した温度に基づいて開度が調整される。これにより、空気調和機1では、除霜暖房運転時における室外熱交換器15の冷媒圧力を室外熱交換器15の温度に応じて調整でき、より効率の良い除霜を行うことができる。
【0078】
空気調和機1において、除霜暖房運転時における上記の1つの膨張弁13(第3の膨張弁13c、13ca)を通過する単位時間当たりの冷媒の流量は、複数の膨張弁13の中の蓄熱熱交換器16の上流に位置する膨張弁13(第2の膨張弁13b)を通過する単位時間当たりの冷媒の流量よりも小さくする。これにより、空気調和機1では、除霜暖房運転時に室外熱交換器15の温度を上げすぎず、また、蓄熱熱交換器16の温度を下げすぎないことができるため、より効率の良い除霜暖房運転ができる。
【0079】
空気調和機1において、蓄熱暖房運転時における複数の膨張弁13の中の蓄熱熱交換器16の上流に位置する第3の膨張弁13c、13caを通過する単位時間当たりの冷媒の流量は、蓄熱熱交換器16の下流に位置する第2の膨張弁13bを通過する単位時間当たりの冷媒の流量よりも大きくする。これにより、空気調和機1では、蓄熱暖房運転時における蓄熱熱交換器16の冷媒圧力を高くすることができ、蓄熱材16aの蓄熱量を増やして除霜時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0080】
1、1a…空気調和機
10…冷媒回路
10a~10f…流路
11…圧縮機
12…三方弁
12a…第1の三方弁
12b…第2の三方弁
12c…第3の三方弁
13…膨張弁
13a…第1の膨張弁
13b…第2の膨張弁
13c、13ca…第3の膨張弁
13cb…第4の膨張弁
14…室内熱交換器
15…室外熱交換器
16…蓄熱熱交換器
16a…蓄熱材
17、17a~17f…温度センサ
20…制御装置
21…記憶装置
22…CPU
31…室外ファン
32…室内ファン
t1~t8、t11~t17…時刻
【要約】
【課題】除霜暖房運転時の室内の暖房能力の低下を抑える。
【解決手段】実施形態の空気調和機は、冷媒を循環させる冷媒回路に、冷媒を圧縮する圧縮機と、室内熱交換器と、室外熱交換器と、蓄熱材と冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、開度を調整可能な複数の膨張弁と、室内熱交換器および蓄熱熱交換器を凝縮器、室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、室内熱交換器および室外熱交換器を凝縮器、蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜暖房運転とで冷媒回路における冷媒の循環経路を切り替える複数の切り替え弁と、が接続され、複数の膨張弁の1つが、室外熱交換器を凝縮器として機能させる場合の、室外熱交換器の上流に設けられ、この1つの膨張弁によって室外熱交換器に流入する冷媒を減圧する。
【選択図】図1A
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8