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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20231212BHJP
   H04N 25/771 20230101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/771
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022145441
(22)【出願日】2022-09-13
(62)【分割の表示】P 2020204929の分割
【原出願日】2015-12-04
(65)【公開番号】P2022168343
(43)【公開日】2022-11-07
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100096770
【弁理士】
【氏名又は名称】四宮 通
(72)【発明者】
【氏名】東川 哲之
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/77
H04N 25/771
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を透過した光を電荷に変換する第1光電変換部及び第2光電変換部と、
前記第1光電変換部で変換された電荷を保持する第1電荷保持部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を保持する第2電荷保持部と、
前記第1電荷保持部に保持された電荷に基づく信号及び前記第2電荷保持部に保持される電荷に基づく信号を出力する出力部と、
前記第1光電変換部で変換された電荷を前記第1電荷保持部に転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を前記第2電荷保持部に転送する第2転送部と、
前記第1電荷保持部に保持された電荷を前記出力部に転送する第3転送部と、
前記第2電荷保持部に保持された電荷を前記出力部に転送する第4転送部と、
前記第1転送部を制御するための第1制御線と、
前記第2転送部を制御するための第2制御線と、
前記第3転送部を制御するための第3制御線と、
前記第4転送部を制御するための第4制御線と、
前記光学系の焦点検出を行う場合、前記第1光電変換部で変換された電荷と、前記第2光電変換部で変換された電荷とが異なるタイミングで前記出力部に転送されるよう前記第1転送部と前記第2転送部と前記第3転送部と前記第4転送部とを制御し、前記光学系による像を撮像する場合、前記第1光電変換部で変換された電荷と、前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく信号とを加算した電荷に基づく信号が前記出力部に転送されるよう前記第1転送部と前記第2転送部と前記第3転送部と前記第4転送部とを制御する制御部と、
を備える撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及びこれを用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサにおいて、グローバル電子シャッタ技術が知られている。グローバル電子シャッタ技術で瞳分割位相差方式による焦点検出用信号を得る構成にすると、開口率が低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-70261号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様による固体撮像素子は、入射光に応じた電荷を生成し蓄積する複数の光電変換部と、前記電荷が転送され保持される第1の電荷保持部と、前記複数の光電変換部の各々と前記第1の電荷保持部との間をそれぞれ電気的に接続及び遮断する複数の第1のスイッチと、前記第1の電荷保持部から前記電荷が転送され保持される第2の電荷保持部と、前記第1の電荷保持部と前記第2の電荷保持部との間を電気的に接続及び遮断する第2のスイッチと、前記第2の電荷保持部に保持されている電荷に応じた信号を出力する増幅部と、が設けられた複数の画素を備えるものである。
【0005】
第2の態様による固体撮像素子は、前記第1の態様において、前記画素から画像用信号を読み出す場合に、前記第2のスイッチを遮断し、前記複数の第1のスイッチを接続し、前記複数の光電変換部に蓄積されていた電荷が前記第1の電荷保持部に転送されて保持された後に、前記複数の第1のスイッチを遮断し、前記第2のスイッチを接続し、前記第1の電荷保持部に保持されていた電荷が前記第2の電荷保持部に転送されて保持されるように、前記複数の第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを制御する制御部を備えるものである。
【0006】
第3の態様による固体撮像素子は、前記第1又は第2の態様において、前記画素から焦点検出用信号を読み出す場合に、前記第2のスイッチを遮断し、前記複数の第1のスイッチのうちの一部の第1のスイッチを接続し、残りの第1のスイッチを遮断し、前記一部の第1のスイッチに対応する前記光電変換部に蓄積されていた電荷が前記第1の電荷保持部に転送されて保持された後に、前記複数の第1のスイッチを遮断し、前記第2のスイッチを接続し、前記第1の電荷保持部に保持されていた電荷が前記第2の電荷保持部に転送されて保持されるように、前記複数の第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを制御する制御部を備えるものである。
【0007】
第4の態様による固体撮像素子は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記複数の画素のうちの2つ以上の画素が、前記第2の電荷保持部及び前記増幅部を共有するものである。
【0008】
第5の態様による固体撮像素子は、入射光に応じた電荷を生成し蓄積する第1及び第2の光電変換部と、前記第1の光電変換部が生成し蓄積する前記電荷が転送され保持される第1の電荷保持部と、前記第1の光電変換部と前記第1の電荷保持部との間を電気的に接続及び遮断する第1のスイッチと、前記第1の電荷保持部及び/又は前記第2の光電変換部から前記電荷が転送され保持される第2の電荷保持部と、前記第1の電荷保持部と前記第2の電荷保持部との間を電気的に接続及び遮断する第2及び第3のスイッチと、前記第3のスイッチと共に前記第2の光電変換部と前記前記第2の電荷保持部との間を電気的に接続及び遮断する第4のスイッチと、前記第2の電荷保持部に保持されている電荷に応じた信号を出力する増幅部と、が設けられた複数の画素を備えるものである。
【0009】
第6の態様による固体撮像素子は、前記第5の態様において、前記画素から画像用信号を読み出す場合に、前記第3のスイッチを遮断し、前記第1、第2及び第4のスイッチを接続し、前記第1及び第2の光電変換部に蓄積されていた電荷が前記第1の電荷保持部に転送されて保持された後に、前記第1及び第4のスイッチを遮断し、前記第2及び第3のスイッチを接続し、前記第1の電荷保持部に保持されていた電荷が前記第2の電荷保持部に転送されて保持されるように、前記第1乃至第4のスイッチを制御する制御部を備えるものである。
【0010】
第7の態様による固体撮像素子は、前記第5又は第6の態様において、前記画素から焦点検出用信号を読み出す場合に、前記第2のスイッチを遮断し、前記第1、第3及び第4のスイッチを接続し、前記第1の光電変換部に蓄積されていた電荷が前記第1の電荷保持部に転送されて保持され、前記第2の光電変換部に蓄積されていた電荷が前記第2の電荷保持部に転送されて保持された後に、前記第1及び第4のスイッチを遮断し、前記第2及び第3のスイッチを接続し、前記第1の電荷保持部に保持されていた電荷が前記第2の電荷保持部に転送されて保持されるように、前記第1乃至第4のスイッチを制御する制御部を備えるものである。
【0011】
第8の態様による撮像装置は、前記第1乃至第7のいずれかの態様による固体撮像素子と、前記画素から得られる焦点検出用信号に基づいて、焦点調節状態を示す検出信号を出力する検出処理部と、前記検出処理部からの前記検出信号に基づいて焦点調節を行う調節部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グローバル電子シャッタによる撮像を実現することができるとともに焦点検出用信号を得ることができる上に、開口率を大きくすることができる固体撮像素子、及び、これを用いた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態による電子カメラを示す概略ブロック図である。
図2図1中の固体撮像素子の概略構成を示す回路図である。
図3図1中の固体撮像素子の1つの画素を示す回路図である。
図4図3に示す画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
図5図1中の固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。
図6】比較例による固体撮像素子の1つの画素を示す回路図である。
図7図6に示す固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。
図8】本発明の第2の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の1つの画素を示す回路図である。
図9図8に示す画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。
図11】本発明の第3の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の1つの画素を示す回路図である。
図12】本発明の第3の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。
図13】本発明の第4の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の1つの画素を示す回路図である。
図14】本発明の第4の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による固体撮像素子及び撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1を示す概略ブロック図である。
【0017】
本実施の形態による電子カメラ1は、例えば一眼レフのデジタルカメラとして構成されるが、本発明による撮像装置は、これに限らず、コンパクトカメラなどの他の電子カメラや、携帯電話に搭載された電子カメラや、動画を撮像するビデオカメラ等の電子カメラなどの種々の撮像装置に適用することができる。
【0018】
電子カメラ1には、撮影レンズ2が装着される。この撮影レンズ2は、レンズ制御部3によってフォーカスや絞りが駆動される。この撮影レンズ2の像空間には、固体撮像素子4の撮像面が配置される。
【0019】
固体撮像素子4は、撮像制御部5の指令によって駆動され、デジタルの信号を出力する。固体撮像素子4から出力される信号は、画像用信号及び焦点検出用信号のいずれかである。いずれの信号も、デジタル信号処理部6で処理された後、メモリ7に一旦蓄積される。メモリ7は、バス8に接続されている。バス8には、レンズ制御部3、撮像制御部5、CPU9、記録部10、焦点演算部11、画像処理部12、画像圧縮部13、及び、液晶表示パネル等の表示部14なども接続される。CPU9には、レリーズ釦などの操作部15が接続される。記録部10には記録媒体10aが着脱自在に装着される。
【0020】
電子カメラ1内のCPU9は、操作部15のレリーズ釦の半押し操作に同期して撮像制御部5を駆動する。撮像制御部5は、固体撮像素子4に配置された画素PXから焦点検出用信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。ここでは、後述するようにすべての画素PXは、焦点検出用信号を生成する。また、すべての画素PXは、焦点検出用信号とは異なるタイミングで画像用信号を生成する。しかし、これに限らず、焦点検出用信号を生成する画素は、固体撮像素子4に配置される画素のうち、少なくとも一部であれば良い。この場合において、その他の画素は、画像用信号を出力する。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
【0021】
撮像制御部5の指令によって固体撮像素子4から焦点検出用信号が出力されメモリ7に蓄積されると、焦点演算部11は、この信号を用いて焦点検出演算処理を実施し、デフォーカス量を算出する。ところで、後述するように、本実施形態の固体撮像素子4では、焦点検出用信号を出力する画素は2つの光電変換部を有している。そして、この2つの光電変換部上には共通する1つのマイクロレンズが配置されている。この2つの光電変換部から出力される焦点検出用信号が一対(一組)となり、デフォーカス量は、所望の位置の各画素の各組の焦点検出信号に基づいて瞳分割位相差方式に従った演算(焦点調節状態の検出処理)により算出される。
【0022】
焦点演算部11によって検出されたデフォーカス量は、レンズ制御部3に伝達される。レンズ制御部3は、このデフォーカス量に基づいて撮影レンズ2の焦点駆動を行い、撮影レンズ2を被写体に合焦させる調節部として機能する。その後、電子カメラ1内のCPU9は、レリーズ釦の全押し操作に同期して撮像制御部5を用いて、画像信号の読み出し動作を開始する。
【0023】
撮像制御部5は、画素から画像用信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。その後、CPU9は、操作部15の指令に基づき、必要に応じて画像処理部12や画像圧縮部13にて所望の処理を行い、記録部10に処理後の信号を出力させ記録媒体10aに記録する。
【0024】
図2は、図1中の固体撮像素子4の概略構成を示す回路図である。本実施の形態では、固体撮像素子4は、CMOS型の固体撮像素子として構成されているが、これに限らない。
【0025】
固体撮像素子4は、2次元マトリクス状に配置された複数の画素PXを有する画素部21と、制御部としての垂直走査回路22と、画素PXの行毎に設けられた制御線23と、画素PXの列毎に設けられ対応する列の画素PXからの信号を受け取る複数の垂直信号線24と、各垂直信号線24に設けられた定電流源25と、各垂直信号線24に対応して設けられたカラムアンプ26、CDS回路(相関2重サンプリング回路)27及びA/D変換器28と、水平読み出し回路29とを有している。
【0026】
なお、カラムアンプ26として、アナログ増幅器を用いてもよいし、いわゆるスイッチトキャパシタアンプを用いてもよい。また、カラムアンプ26は、必ずしも設けなくてもよい。
【0027】
垂直走査回路22及び水平読み出し回路29は、電子カメラ1の撮像制御部5からの指令に基づいて制御信号を出力する。各画素PXは、垂直走査回路22から出力される制御信号を所定の制御線23から受け取って駆動され、画像用信号又は焦点検出用信号を垂直信号線24に出力する。垂直走査回路22から出力される制御信号は複数あり、それに伴い制御線23も複数ある。これらについては後述する。
【0028】
画素PXから垂直信号線24に読み出された信号は、各列毎に、カラムアンプ26を経た後にCDS回路27にて所定のノイズ除去処理が施された後に、A/D変換器28にてデジタル信号に変換され、そのデジタル信号はA/D変換器28に保持される。各A/D変換器28に保持されたデジタルの画像信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、必要に応じて所定の信号形式に変換されて、外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。なお、固体撮像素子は必ずしもA/D変換器28を含む必要はなく、水平読み出し回路29からアナログ画像信号が出力されるように構成してもよい。
【0029】
なお、CDS回路27は、図1中の撮像制御部5による制御下でタイミング発生回路(図示せず)から暗信号サンプリング信号φDARKCを受け、φDARKCがハイレベル(H)からローレベル(L)に切り換わるタイミングでカラムアンプ26の出力信号を暗信号としてサンプリングするとともに、図1中の撮像制御部5による制御下で前記タイミング発生回路から光信号サンプリング信号φSIGCを受け、φSIGCがハイレベルからローレベルに切り換わるタイミングでカラムアンプ26の出力信号を光信号としてサンプリングする。そして、CDS回路27は、前記タイミング発生回路からのクロックやパルスに基づいて、サンプリングした暗信号と光信号との差分に応じた信号を出力する。このようなCDS回路27の構成としては、公知の構成を採用することができる。
【0030】
図3は、図1中の固体撮像素子4の1つの画素PXを示す回路図である。図4は、図3に示す画素PXの要部(フォトダイオードPDa,PDb及びマイクロレンズ30)を模式的に示す概略平面図である。
【0031】
画素PXは、図3に示すように、同じマイクロレンズ30に導かれる入射光に応じた電荷を生成し蓄積する2つ光電変換部としての2つフォトダイオードPDa,PDbと、前記2つフォトダイオードPDa,PDbの各々と第1のノードN1との間をそれぞれ電気的に接続及び遮断する2つの第1のスイッチとしての2つのトランジスタTXa1,TXb1と、第1のノードN1に設けられ前記電荷が転送され保持される第1の電荷保持部としてのコンデンサCHと、第1のノードN1と第2のノードN2との間を電気的に接続及び遮断する第2のスイッチとしてのトランジスタTX2と、第2のノードN2に設けられコンデンサCHから前記電荷が転送され保持される第2の電荷保持部としてのフローティング容量部FDと、フローティング容量部FDに保持されている電荷に応じた信号を出力する増幅部としての増幅トランジスタAMPと、第2のノードN2の電位をリセットするリセット部としてのリセットトランジスタFDRSTと、当該画素PXを選択する選択部としての選択トランジスタSELと、を有し、図3に示すように接続されている。図3において、VDDは電源電圧である。コンデンサCHは、両側に金属電極を備えた構造を有していてもよいし、他の構造を有していてもよい。前記第1の電荷保持部としては、コンデンサCHに限らず、例えば、ストレージダイオードやMOSキャパシタなどを用いてもよい。
【0032】
2つのフォトダイオードPDa,PDbの光入射側には、図4に示すように、1つのマイクロレンズ30が配置されている。2つのフォトダイオードPDa,PDbは、光入射側から見て画素PXの行方向に延びたマイクロレンズ30の中心線X-X’(直径を含む線)に対して線対称となるように配置されている。これにより、マイクロレンズ30により導かれる入射光は、瞳分割されて各フォトダイオードPDa,PDbに入射される。したがって、各フォトダイオードPDa,PDbは、焦点検出用信号を生成することができる。一方、2つのフォトダイオードPDa,PDbの光電荷を合算して信号を出力すれば、固体撮像素子4は、画像用信号を得ることができる。なお、2つのフォトダイオードPDa,PDbは、例えば、光入射側から見て画素PXの列方向に延びたマイクロレンズ30の中心線(直径を含む線)に対して線対称となるように配置してもよい。
【0033】
本実施形態では、各画素PXは、すべて同一の構造を有しており、焦点検出用信号と画像用信号を異なるタイミングで出力することが可能である。しかし、これに限らず、固体撮像素子4は、所定部に焦点検出エリアが設けられ、このエリアに図3に示す回路を有する画素が配置されて焦点検出用信号を生成し得るように構成され、その他のエリアに光電変換部を1つのみ有する画素が配置されて画像用信号のみを生成するよう構成されても構わない。
【0034】
また、図3において、フォトダイオードPDa,PDbの一方の端子、コンデンサCHの一方の端子、及び、フローティング容量部FDの一方の端子は、接地としている。しかし、これに限らず、接地に代えて、所定の基準電位が印加されてもよい。
【0035】
トランジスタTXa1のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTXa1が供給される。トランジスタTXb1のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTXb1が供給される。トランジスタTX2のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTX2が供給される。リセットトランジスタFDRSTのゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φFDRSTが供給される。選択トランジスタSELのゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φSELが供給される。
【0036】
なお、本実施の形態では、トランジスタTXa1,TXb1,TX2,AMP,FDRST,SELは、全てnMOSトランジスタである。したがって、これらは、ハイレベルの制御信号でオン状態とされ、ローレベルの制御信号でオフ状態とされる。
【0037】
図5(a)は、画像用信号を読み出す場合の図1中の固体撮像素子4の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T1は、全行の画素PXが同時に駆動される期間である。すなわち、期間T1において、全行において同一の制御信号が垂直走査回路22から出力される。また、期間T2は1行目が読み出される期間、期間T3は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、静止画像を取得するべく、期間T1から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDbの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。前記一連の期間を3回以上繰り返して、動画像を取得してもよい。
【0038】
まず、期間T1中の期間T11において、全行の制御信号φTXa1,φTXb1がハイレベルにされ、全行のトランジスタTXa1,TXb1がオン状態とされる。この動作により、全行の画素PXのフォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHにそれぞれ転送されて合算され保持される。1回目の前記一連の期間における期間T11においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T11においてコンデンサCHに転送される電荷は、撮像画像を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T11の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T11の開始時点までの期間が露光期間となり、この露光期間は全行について同一の期間で同一のタイミングとなる。このため、全画素PXは、タイミングずれすることなく画像情報を獲得することが可能となり、グローバル電子シャッタによる撮像が実現される。
【0039】
以下の説明では、前記露光期間の後の2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0040】
期間T2中の期間T12において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T12の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0041】
期間T12中の期間T13において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0042】
期間T13の終了時点と期間T14の開始時点との間の所定タイミングにおいて、前記暗信号サンプリング信号φDARKC(図示せず)に応答して、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0043】
期間T12中のその後の期間T14において、1行目の制御信号φTX2がハイレベルにされ、トランジスタTX2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDa,PDbからコンデンサCHに転送されて合算された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。1行目の画素PXのノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)は、ノイズ成分を除くと、この信号電荷の量と当該画素PXのフローティング容量部FDの容量値の逆数とに比例した値となる。
【0044】
期間T14の終了時点と期間T12の終了時点との間の所定タイミングにおいて、前記光信号サンプリング信号φSIGC(図示せず)に応答して、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0045】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタルの画像信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル画像信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0046】
同様に、期間T3において2行目の読み出しを行う。期間T3における2行目の制御信号は、期間T2における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から画像信号が出力されると、前記一連の期間を終了し、1フレームの画像の取得が終了する。
【0047】
以上の説明から理解されるように、各画素PXは、2つのフォトダイオードPDa,PDbを有しているものの、通常どおりに画像用信号を出力することができる。しかも、全画素PXの露光のタイミングを同一にしたグローバル電子シャッタが可能となる。
【0048】
図5(b)は、焦点検出用信号を読み出す場合の図1中の固体撮像素子4の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T21は1行目が読み出される期間、期間T22は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、焦点検出用信号を取得するべく、期間T21から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDbの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。
【0049】
以下の説明では、主に2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0050】
期間T21中の期間T31において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T31の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0051】
期間T31中の期間T32において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0052】
期間T31中のその後の期間T33において、1行目の制御信号φTXa1がハイレベルにされ、トランジスタTXa1がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのフォトダイオードPDaに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHに転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T33においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDaに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T33においてコンデンサCHに転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T33の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T33の開始時点までの期間が1行目の画素PXのフォトダイオードPDaの露光期間となる。
【0053】
期間T32の終了時点と期間T34の開始時点との間の所定タイミングにおいて、前記暗信号サンプリング信号φDARKC(図示せず)に応答して、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0054】
期間T31中のその後の期間T34において、1行目の制御信号φTX2がハイレベルにされ、トランジスタTX2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDaからコンデンサCHに転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。1行目の画素PXのノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)は、ノイズ成分を除くと、この信号電荷の量と当該画素PXのフローティング容量部FDの容量値の逆数とに比例した値となる。
【0055】
期間T34の終了時点と期間T35の開始時点との間の所定タイミングにおいて、前記光信号サンプリング信号φSIGC(図示せず)に応答して、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0056】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0057】
期間T31中のその後の期間T35において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0058】
期間T31中のその後の期間T36において、1行目の制御信号φTXb1がハイレベルにされ、トランジスタTXb1がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのフォトダイオードPDbに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHに転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T36においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDbに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T36においてコンデンサCHに転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T36の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T36の開始時点までの期間が1行目の画素PXのフォトダイオードPDbの露光期間となる。
【0059】
期間T35の終了時点と期間T37の開始時点との間の所定タイミングにおいて、前記暗信号サンプリング信号φDARKC(図示せず)に応答して、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0060】
期間T31中のその後の期間T37において、1行目の制御信号φTX2がハイレベルにされ、トランジスタTX2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDbからコンデンサCHに転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。1行目の画素PXのノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)は、ノイズ成分を除くと、この信号電荷の量と当該画素PXのフローティング容量部FDの容量値の逆数とに比例した値となる。
【0061】
期間T37の終了時点と期間T31の終了時点との間の所定タイミングにおいて、前記光信号サンプリング信号φSIGC(図示せず)に応答して、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0062】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0063】
同様に、期間T22において2行目の読み出しを行う。期間T22における2行目の制御信号は、期間T21における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から焦点検出用信号が出力されると、前記一連の期間を終了する。
【0064】
以上の説明から理解されるように、この固体撮像素子4によれば、焦点検出用信号を得ることができる。焦点検出用信号を得る場合には、画素PXの行毎にフォトダイオードPDa,PDbの露光期間がずれていくとともに、同じ行の画素PXであっても、フォトダイオードPDaの露光期間とフォトダイオードPDbの露光期間とがずれる。
【0065】
図6は、比較例による固体撮像素子の1つの画素を示す回路図であり、図3に対応している。図6において、図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0066】
この比較例による固体撮像素子が本実施の形態における固体撮像素子4と異なる所は、本実施の形態では、各画素PXにおいて、コンデンサCH及びトランジスタTX2の組がトランジスタTXa1及びトランジスタTXb1に対して共通して設けられているのに対し、この比較例では、各画素PXにおいて、コンデンサCHa及びトランジスタTXa2の組がトランジスタTXa1に対して個別に設けられ、コンデンサCHb及びトランジスタTXb2の組がトランジスタTXb1に対して個別に設けられている点である。
【0067】
この比較例では、トランジスタTXa2のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTXa2が供給される。また、トランジスタTXb2のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTXb2が供給される。トランジスタTXa2,TXb2も、他のトランジスタTXa1,TXb1,AMP,FDRST,SELと同様に、nMOSトランジスタである。
【0068】
図7(a)は、画像用信号を読み出す場合の図6に示す比較例による固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T41は、全行の画素PXが同時に駆動される期間である。すなわち、期間T41において、全行において同一の制御信号が垂直走査回路22から出力される。また、期間T42は1行目が読み出される期間、期間T43は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、静止画像を取得するべく、期間T41から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDbの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。
【0069】
まず、期間T41中の期間T51において、全行の制御信号φTXa1,φTXb1がハイレベルにされ、全行のトランジスタTXa1,TXb1がオン状態とされる。この動作により、全行の画素PXのフォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHa,CHbにそれぞれ転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T51においてコンデンサCHa,CHbにそれぞれ転送される電荷は、フォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T51においてコンデンサCHa,CHbにそれぞれ転送される電荷は、撮像画像を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T51の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T51の開始時点までの期間が露光期間となり、この露光期間は全行について同一の期間で同一のタイミングとなる。このため、全画素PXは、タイミングずれすることなく画像情報を獲得することが可能となり、グローバル電子シャッタによる撮像が実現される。
【0070】
以下の説明では、前記露光期間の後の2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0071】
期間T42中の期間T52において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T52の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0072】
期間T52中の期間T53において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0073】
期間T53の終了時点と期間T54の開始時点との間の所定タイミングにおいて、前記暗信号サンプリング信号φDARKC(図示せず)に応答して、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0074】
期間T52中のその後の期間T54において、1行目の制御信号φTXa2,φTXb2がハイレベルにされ、トランジスタTXa2,TXb2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHaに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDaからコンデンサCHaに転送された電荷)及び1行目の画素PXのコンデンサCHbに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDbからコンデンサCHbに転送された電荷)が、フローティング容量部FDにそれぞれ転送されて合算され保持される。
【0075】
期間T54の終了時点と期間T52の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0076】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタルの画像信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル画像信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0077】
同様に、期間T43において2行目の読み出しを行う。期間T43における2行目の制御信号は、期間T42における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から画像信号が出力されると、前記一連の期間を終了し、1フレームの画像の取得が終了する。
【0078】
以上の説明から理解されるように、この比較例においても、グローバル電子シャッタによる撮像を実現することができる。
【0079】
図7(b)は、焦点検出用信号を読み出す場合の図6に示す比較例による固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T61は、全行の画素PXが同時に駆動される期間である。すなわち、期間T61において、全行において同一の制御信号が垂直走査回路22から出力される。また、期間T62は1行目が読み出される期間、期間T63は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、焦点検出用信号を取得するべく、期間T61から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDbの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。
【0080】
まず、期間T61中の期間T71において、全行の制御信号φTXa1,φTXb1がハイレベルにされ、全行のトランジスタTXa1,TXb1がオン状態とされる。この動作により、全行の画素PXのフォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHa,CHbにそれぞれ転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T71においてコンデンサCHa,CHbにそれぞれ転送される電荷は、フォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T71においてコンデンサCHa,CHbにそれぞれ転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T71の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T71の開始時点までの期間が露光期間となり、この露光期間は全行について同一の期間で同一のタイミングとなる。このため、全画素PXは、タイミングずれすることなく焦点検出情報を獲得することが可能となり、グローバル電子シャッタによる焦点検出用信号の取得が実現される。
【0081】
以下の説明では、前記露光期間の後の2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0082】
期間T62中の期間T72において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T72の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0083】
期間T72中の期間T73において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0084】
期間T73の終了時点と期間T74の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0085】
期間T72中のその後の期間T74において、1行目の制御信号φTXa2がハイレベルにされ、トランジスタTXa2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHaに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDaからコンデンサCHaに転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0086】
期間T74の終了時点と期間T75の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0087】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0088】
期間T72中のその後の期間T75において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0089】
期間T75の終了時点と期間T76の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0090】
期間T72中のその後の期間T76において、1行目の制御信号φTXb2がハイレベルにされ、トランジスタTXb2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHbに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDbからコンデンサCHbに転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0091】
期間T76の終了時点と期間T72の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0092】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0093】
同様に、期間T63において2行目の読み出しを行う。期間T63における2行目の制御信号は、期間T62における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から焦点検出用信号が出力されると、前記一連の期間を終了する。
【0094】
以上の説明から理解されるように、この比較例による固体撮像素子によれば、焦点検出用信号を得ることができる。焦点検出用信号を得る場合にも、画像用信号を得る場合と同様に、全画素PXの露光のタイミングを同一にしたグローバル電子シャッタが可能となる。
【0095】
このように、本実施の形態によっても、前記比較例と同様に、グローバル電子シャッタによる撮像を実現することができるとともに焦点検出用信号を得ることができる。
【0096】
そして、本実施の形態では、焦点検出用信号を得る場合には、画素PXの行毎にフォトダイオードPDa,PDbの露光期間がずれていくとともに、同じ行の画素PXであっても、フォトダイオードPDaの露光期間とフォトダイオードPDbの露光期間とがずれるのに対し、前記比較例では、全画素PXの露光のタイミングを同一にしたグローバル電子シャッタにより焦点検出用信号を取得することができる。したがって、前記比較例では、本実施の形態に比べて、被写体の動きが速くても、焦点検出の精度が高まる。
【0097】
しかし、前記比較例では、各画素PXにおいて2つのコンデンサCHa,CHb及び2つのトランジスタTXa2,TXb2を要するのに対し、これらに対応する要素として、本実施の形態では、各画素PXにおいて1つのコンデンサCH及び1つのトランジスタTX2で済み、各画素PXの構成要素として前記比較例に比べて1つのコンデンサ及び1つのトランジスタを削減することができる。したがって、本実施の形態によれば、前記比較例に比べて、各画素PXにおけるフォトダイオードPDa,PDbの面積の比率(すなわち、開口率)を大きくすることができ、ひいては、SN比のより高い画像を撮像することができる。
【0098】
このように、本実施の形態によれば、グローバル電子シャッタによる撮像を実現することができるとともに焦点検出用信号を得ることができる上に、前記比較例に比べて、動きの速い被写体に対する焦点検出精度はやや低下するものの、開口率をより大きくしてSN比のより高い画像を撮像することができる。
【0099】
なお、本発明では、必要に応じて、フォトダイオードPDaのカソードと電源電圧VDDとの間をオンオフしてフォトダイオードPDaの蓄積された電荷をリセットするリセット部としてのリセットトランジスタや、フォトダイオードPDbのカソードと電源電圧VDDとの間をオンオフしてフォトダイオードPDaの蓄積された電荷をリセットするリセット部としてのリセットトランジスタを追加してもよい。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
【0100】
[第2の実施の形態]
【0101】
図8は、本発明の第2の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の1つの画素PXを示す回路図であり、図3に対応している。図9は、図8に示す画素PXの要部を模式的に示す概略平面図であり、図4に対応している。
【0102】
図8及び図9において、図3及び図4中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点である。
【0103】
本実施の形態における固体撮像素子が前記第1の実施の形態における固体撮像素子4と異なる所は、前記第1の実施の形態では、各画素PXが、2つのフォトダイオードPDa,PDbと、これらの各々と第1のノードN1との間をそれぞれ電気的に接続及び遮断する2つの第1のスイッチとしての2つのトランジスタTXa1,TXb1とを有しているのに対し、本実施の形態では、4つのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdと、これらの各々と第1のノードN1との間をそれぞれ電気的に接続及び遮断する4つの第1のスイッチとしての4つのトランジスタTXa1,TXb1,TXc1,TXd1とを有している点である。
【0104】
本実施の形態では、トランジスタTXc1のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTXc1が供給される。また、トランジスタTXd1のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTXd1が供給される。トランジスタTXc1,TXd1も、他のトランジスタTXa1,TXb1,TX2,AMP,FDRST,SELと同様に、nMOSトランジスタである。
【0105】
本実施の形態では、4つのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdの光入射側には、図4に示すように、1つのマイクロレンズ30が配置されている。4つのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdは、光入射側から見て画素PXの行方向に延びたマイクロレンズ30の中心線X-X’(直径を含む線)に対して線対称となるように配置されているとともに、光入射側から見て画素PXの列方向に延びたマイクロレンズ30の中心線Y-Y’(直径を含む線)に対して線対称となるように配置されている。
【0106】
これにより、マイクロレンズ30により導かれる入射光は、瞳分割されて各フォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdに入射される。したがって、2つのPDa,PDcの光電荷を合算して信号を出力するとともに、2つのPDb,PDdの光電荷を合算して信号を出力すれば、列方向に瞳分割した入射光による焦点検出用信号を得ることができる。また、2つのPDa,PDbの光電荷を合算して信号を出力するとともに、2つのPDc,PDdの光電荷を合算して信号を出力すれば、行方向に瞳分割した入射光による焦点検出用信号を得ることができる。一方、4つのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdの光電荷を合算して信号を出力すれば、画像用信号を得ることができる。
【0107】
図10(a)は、画像用信号を読み出す場合の本実施の形態における固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T81は、全行の画素PXが同時に駆動される期間である。すなわち、期間T81において、全行において同一の制御信号が垂直走査回路22から出力される。また、期間T82は1行目が読み出される期間、期間T83は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、静止画像を取得するべく、期間T81から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。前記一連の期間を3回以上繰り返して、動画像を取得してもよい。
【0108】
まず、期間T81中の期間T91において、全行の制御信号φTXa1,φTXb1,φTXc1,φTXd1がハイレベルにされ、全行のトランジスタTXa1,TXb1,TXc1,TXd1がオン状態とされる。この動作により、全行の画素PXのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHにそれぞれ転送されて合算され保持される。1回目の前記一連の期間における期間T91においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T91においてコンデンサCHに転送される電荷は、撮像画像を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T91の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T91の開始時点までの期間が露光期間となり、この露光期間は全行について同一の期間で同一のタイミングとなる。このため、全画素PXは、タイミングずれすることなく画像情報を獲得することが可能となり、グローバル電子シャッタによる撮像が実現される。
【0109】
以下の説明では、前記露光期間の後の2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0110】
期間T82中の期間T92において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T92の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0111】
期間T92中の期間T93において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0112】
期間T93の終了時点と期間T94の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0113】
期間T92中のその後の期間T94において、1行目の制御信号φTX2がハイレベルにされ、トランジスタTX2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdからコンデンサCHに転送されて合算された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0114】
期間T94の終了時点と期間T92の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0115】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタルの画像信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル画像信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0116】
同様に、期間T83において2行目の読み出しを行う。期間T83における2行目の制御信号は、期間T82における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から画像信号が出力されると、前記一連の期間を終了し、1フレームの画像の取得が終了する。
【0117】
以上の説明から理解されるように、各画素PXは、4つのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdを有しているものの、通常どおりに画像用信号を出力することができる。しかも、全画素PXの露光のタイミングを同一にしたグローバル電子シャッタが可能となる。
【0118】
図10(b)は、焦点検出用信号を読み出す場合の本実施の形態における固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T101は1行目が読み出される期間、期間T102は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、焦点検出用信号を取得するべく、期間T101から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。
【0119】
以下の説明では、主に2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0120】
期間T101中の期間T111において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T111の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0121】
期間T111中の期間T112において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0122】
期間T111中のその後の期間T113において、1行目の制御信号φTXa1,φTXc1がハイレベルにされ、トランジスタTXa1,TXc1がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのフォトダイオードPDa,PDcに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHにそれぞれ転送されて合算され保持される。1回目の前記一連の期間における期間T113においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDa,PDcに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T113においてコンデンサCHに転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T113の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T113の開始時点までの期間が1行目の画素PXのフォトダイオードPDa,PDcの露光期間となる。
【0123】
期間T112の終了時点と期間T114の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0124】
期間T111中のその後の期間T114において、1行目の制御信号φTX2がハイレベルにされ、トランジスタTX2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDa,PDcからコンデンサCHに転送されて合算された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0125】
期間T114の終了時点と期間T115の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0126】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0127】
期間T111中のその後の期間T115において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0128】
期間T111中のその後の期間T116において、1行目の制御信号φTXb1,φTXd1がハイレベルにされ、トランジスタTXb1,TXd1がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのフォトダイオードPDb,PDdに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHにそれぞれ転送されて合算され保持される。1回目の前記一連の期間における期間T116においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDb,PDdに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T116においてコンデンサCHに転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T116の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T116の開始時点までの期間が1行目の画素PXのフォトダイオードPDb,PDdの露光期間となる。
【0129】
期間T115の終了時点と期間T117の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0130】
期間T111中のその後の期間T117において、1行目の制御信号φTX2がハイレベルにされ、トランジスタTX2がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDb,PDdからコンデンサCHに転送されて合算された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0131】
期間T117の終了時点と期間T111の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0132】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0133】
同様に、期間T102において2行目の読み出しを行う。期間T102における2行目の制御信号は、期間T101における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から焦点検出用信号が出力されると、前記一連の期間を終了する。
【0134】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態における固体撮像素子によれば、焦点検出用信号を得ることができる。焦点検出用信号を得る場合には、画素PXの行毎にフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdの露光期間がずれていくとともに、同じ行の画素PXであっても、フォトダイオードPDa,PDcの露光期間とフォトダイオードPDb,PDdの露光期間とがずれる。
【0135】
図10(b)に示す例は、2つのPDa,PDcの光電荷を合算して信号を出力するとともに、2つのPDb,PDdの光電荷を合算して信号を出力することにより、列方向に瞳分割した入射光による焦点検出用信号を得る例である。図10(b)において、期間T113において制御信号φTXa1,φTXb1をハイレベルにする一方で制御信号φTXc1,φTXd1をローレベルとし、期間T116において制御信号φTXa1,φTXb1をローレベルにする一方で制御信号φTXc1,φTXd1をハイレベルにすれば、2つのPDa,PDbの光電荷を合算して信号を出力するとともに、2つのPDc,PDdの光電荷を合算して信号を出力することにより、行方向に瞳分割した入射光による焦点検出用信号を得ることができる。
【0136】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0137】
[第3の実施の形態]
【0138】
図11は、本発明の第3の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の列方向に隣り合う2つの画素PXを示す回路図であり、図3に対応している。図11において、図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点である。
【0139】
本実施の形態では、列方向に隣り合う2つの画素PX(これを「画素ブロックBL」と呼ぶ。)毎に、当該2つの画素PXが1組のフローティング容量部FD、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタFDRST、選択トランジスタSEL及びノードN2を共有している。画素ブロックBLの1行は、画素PXの2行に相当している。
【0140】
図11では、画素ブロックBL内の一方の画素PXのフォトダイオードPDa,PDb、トランジスタTXa1,TXb1及びノードN1をそれぞれ符号PDa(A),PDb(A),TXa1(A),TXb1(A),ノードN1(A)で示し、画素ブロックBL内の他方の画素PXのフォトダイオードPDa,PDb、トランジスタTXa1,TXb1及びノードN1をそれぞれ符号PDa(B),PDb(B),TXa1(B),TXb1(B),ノードN1(B)で示し、両者を区別している。また、トランジスタTXa1(A),TXb1(A),TX2(A)のゲートに供給される制御信号をφTXa1(A),φTXb1(A),φTX2(A)とし、トランジスタTXa1(B),TXb1(B),TX2(B)のゲートに供給される制御信号をφTXa1(B),φTXb1(B),φTX2(B)とし、両者を区別している。
【0141】
図12(a)は、画像用信号を読み出す場合の本実施の形態における固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T121は、全行の画素ブロックBLが同時に駆動される期間である。すなわち、期間T121において、全行の画素ブロックBLにおいて同一の制御信号が垂直走査回路22から出力される。また、期間T122は1行目の画素ブロックBLが読み出される期間、期間T123は2行目の画素ブロックBLが読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、静止画像を取得するべく、期間T121から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa(A),PDb(A),PDa(B),PDb(B)の不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の画素ブロックBLの本来の読み出し期間である。前記一連の期間を3回以上繰り返して、動画像を取得してもよい。
【0142】
まず、期間T121中の期間T131において、全行の制御信号φTXa1(A),φTXb1(A),φTXa1(B),φTXb1(B)がハイレベルにされ、全行の画素ブロックBLのトランジスタTXa1(A),TXb1(A),TXa1(B),TXb1(B)がオン状態とされる。この動作により、全行の画素ブロックBLの画素PX(A)のフォトダイオードPDa(A),PDb(A)に蓄積されている電荷が当該画素PX(A)のコンデンサCH(A)にそれぞれ転送されて合算され保持されるとともに、全行の画素ブロックBLの画素PX(B)のフォトダイオードPDa(B),PDb(B)に蓄積されている電荷が当該画素PX(B)のコンデンサCH(B)にそれぞれ転送されて合算され保持される。1回目の前記一連の期間における期間T131においてコンデンサCH(A)に転送される電荷は、フォトダイオードPDa(A),PDb(A)に蓄積されている不要電荷であり、1回目の前記一連の期間における期間T131においてコンデンサCH(B)に転送される電荷は、フォトダイオードPDa(B),PDb(B)に蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T131においてコンデンサCH(A)に転送される電荷は、撮像画像を形成する信号電荷であり、2回目の前記一連の期間における期間T131においてコンデンサCH(B)に転送される電荷は、撮像画像を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T131の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T131の開始時点までの期間が露光期間となり、この露光期間は全行について同一の期間で同一のタイミングとなる。このため、全画素PXは、タイミングずれすることなく画像情報を獲得することが可能となり、グローバル電子シャッタによる撮像が実現される。
【0143】
以下の説明では、前記露光期間の後の2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0144】
期間T122中の期間T132において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素ブロックBLが選択され、この期間T132の間、1行目の画素ブロックBLから信号が垂直信号線24に出力される。
【0145】
期間T132中の期間T133において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0146】
期間T133の終了時点と期間T134の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0147】
期間T132中のその後の期間T134において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTX2(A)がハイレベルにされ、トランジスタTX2(A)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(A)のコンデンサCH(A)に保持されていた信号電荷(当該画素PX(A)のフォトダイオードPDa(A),PDb(A)からコンデンサCH(A)に転送されて合算された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0148】
期間T134の終了時点と期間T135の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0149】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタルの画像信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル画像信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0150】
期間T132中のその後の期間T135において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0151】
期間T132中のその後の期間T136において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTX2(B)がハイレベルにされ、トランジスタTX2(B)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(B)のコンデンサCH(B)に保持されていた信号電荷(当該画素PX(B)のフォトダイオードPDa(B),PDb(B)からコンデンサCH(B)に転送されて合算された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0152】
期間T136の終了時点と期間T132の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0153】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタルの画像信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル画像信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0154】
同様に、期間T123において2行目の画素ブロックBLの読み出しを行う。期間T123における2行目の画素ブロックBLの制御信号は、期間T122における1行目の画素ブロックBLの制御信号と同様である。同様にして、すべての行の画素ブロックBLから画像信号が出力されると、前記一連の期間を終了し、1フレームの画像の取得が終了する。
【0155】
以上の説明から理解されるように、各画素PXは、2つのフォトダイオードPDa,PDbを有しているものの、通常どおりに画像用信号を出力することができる。しかも、全画素PXの露光のタイミングを同一にしたグローバル電子シャッタが可能となる。
【0156】
図12(b)は、焦点検出用信号を読み出す場合の本実施の形態における固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T141は1行目の画素ブロックBLが読み出される期間、期間T142は2行目の画素ブロックBLが読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、焦点検出用信号を取得するべく、期間T141から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa(A),PDb(A),PDa(B),PDb(B)の不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の画素ブロックBLの本来の読み出し期間である。
【0157】
以下の説明では、主に2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0158】
期間T141中の期間T151において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素ブロックBLが選択され、この期間T151の間、1行目の画素ブロックBLから信号が垂直信号線24に出力される。
【0159】
期間T151中の期間T152において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0160】
期間T151中のその後の期間T153において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTXa1(A)がハイレベルにされ、トランジスタTXa1(A)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLのフォトダイオードPDa(A)に蓄積されている電荷が当該画素ブロックBLのコンデンサCH(A)に転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T153においてコンデンサCH(A)に転送される電荷は、フォトダイオードPDa(A)に蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T153においてコンデンサCH(A)に転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T153の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T153の開始時点までの期間が1行目の画素ブロックBLのフォトダイオードPDa(A)の露光期間となる。
【0161】
期間T152の終了時点と期間T154の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0162】
期間T151中のその後の期間T154において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTX2(A)がハイレベルにされ、トランジスタTX2(A)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(A)のコンデンサCH(A)に保持されていた信号電荷(当該画素PX(A)のフォトダイオードPDa(A)からコンデンサCH(A)に転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0163】
期間T154の終了時点と期間T155の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0164】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0165】
期間T151中のその後の期間T155において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0166】
期間T151中のその後の期間T156において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTXb1(A)がハイレベルにされ、トランジスタTXb1(A)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(A)のフォトダイオードPDb(A)に蓄積されている電荷が当該画素PX(A)のコンデンサCH(A)に転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T156においてコンデンサCH(A)に転送される電荷は、フォトダイオードPDb(A)に蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T156においてコンデンサCH(A)に転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T156の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T156の開始時点までの期間が1行目の画素ブロックBLの画素PX(A)のフォトダイオードPDb(A)の露光期間となる。
【0167】
期間T155の終了時点と期間T157の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0168】
期間T151中のその後の期間T157において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTX2(A)がハイレベルにされ、トランジスタTX2(A)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(A)のコンデンサCH(A)に保持されていた信号電荷(当該画素PX(A)のフォトダイオードPDb(A)からコンデンサCH(A)に転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0169】
期間T157の終了時点と期間T158の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0170】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0171】
期間T151中のその後の期間T158において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0172】
期間T151中のその後の期間T159において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTXa1(B)がハイレベルにされ、トランジスタTXa1(B)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLのフォトダイオードPDa(B)に蓄積されている電荷が当該画素ブロックBLのコンデンサCH(B)に転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T159においてコンデンサCH(B)に転送される電荷は、フォトダイオードPDa(B)に蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T159においてコンデンサCH(B)に転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T159の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T159の開始時点までの期間が1行目の画素ブロックBLのフォトダイオードPDa(B)の露光期間となる。
【0173】
期間T158の終了時点と期間T160の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0174】
期間T151中のその後の期間T160において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTX2(B)がハイレベルにされ、トランジスタTX2(B)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(B)のコンデンサCH(B)に保持されていた信号電荷(当該画素PX(B)のフォトダイオードPDa(B)からコンデンサCH(B)に転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0175】
期間T160の終了時点と期間T161の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0176】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0177】
期間T151中のその後の期間T161において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN2の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0178】
期間T151中のその後の期間T162において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTXb1(B)がハイレベルにされ、トランジスタTXb1(B)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(B)のフォトダイオードPDb(B)に蓄積されている電荷が当該画素PX(B)のコンデンサCH(B)に転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T162においてコンデンサCH(B)に転送される電荷は、フォトダイオードPDb(B)に蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T162においてコンデンサCH(B)に転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T162の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T162の開始時点までの期間が1行目の画素ブロックBLの画素PX(B)のフォトダイオードPDb(B)の露光期間となる。
【0179】
期間T161の終了時点と期間T163の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0180】
期間T151中のその後の期間T163において、1行目の画素ブロックBLの制御信号φTX2(B)がハイレベルにされ、トランジスタTX2(B)がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素ブロックBLの画素PX(B)のコンデンサCH(B)に保持されていた信号電荷(当該画素PX(B)のフォトダイオードPDb(B)からコンデンサCH(B)に転送された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0181】
期間T163の終了時点と期間T151の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素ブロックBLの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素ブロックBLの選択トランジスタSELを経由して、当該画素ブロックBLに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0182】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0183】
同様に、期間T142において2行目の画素ブロックBLの読み出しを行う。期間T142における2行目の画素ブロックBLの制御信号は、期間T141における1行目の画素ブロックBLの制御信号と同様である。同様にして、すべての行の画素ブロックBLから焦点検出用信号が出力されると、前記一連の期間を終了する。
【0184】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態における固体撮像素子によれば、焦点検出用信号を得ることができる。焦点検出用信号を得る場合には、画素ブロックBLの行毎にフォトダイオードPDa(A),PDb(A),PDa(B),PDb(B)の露光期間がずれていくとともに、同じ行の画素ブロックBLの画素PXであっても、フォトダイオードPDa(A),PDb(A),PDa(B),PDb(B)の露光期間はずれる。
【0185】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態では、2つの画素PXが1組のフローティング容量部FD、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタFDRST及び選択トランジスタSELを共有しているので、より開口率を高めることができ、ひいては、よりSN比を高めることができる。
【0186】
なお、本実施の形態では、列方向に隣り合う2つの画素PX毎に、当該2つの画素PXが1組のフローティング容量部FD、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタFDRST、選択トランジスタSEL及びノードN2を共有しているが、本発明では、例えば、列方向に隣り合う3つ以上の所定数の画素PX毎に、当該所定数の画素PXが1組のフローティング容量部FD、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタFDRST、選択トランジスタSEL及びノードN2を共有してもよい。また、本発明では、前記第1の実施の形態を本実施の形態に変形したのと同様の変形を、前記第2の実施の形態に適用してもよい。
【0187】
[第4の実施の形態]
【0188】
図13は、本発明の第4の実施の形態による電子カメラで用いられる固体撮像素子の1つの画素PXを示す回路図であり、図3に対応している。図13において、図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点である。
【0189】
本実施の形態では、各画素PXは、図13に示すように、同じマイクロレンズ30により導かれる入射光に応じた電荷を生成し蓄積する第1及び第2の光電変換部としての第1及び第2のフォトダイオードPDa,PDbと、第1のフォトダイオードPDaと第1のノードN11との間を電気的に接続及び遮断する第1のスイッチとしてのトランジスタTX11と、第1のノードN11に設けられ第1のフォトダイオードPDaが生成し蓄積する電荷が転送され保持される第1の電荷保持部としてのコンデンサCHと、第1のノードN11と第2のノードN12との間を電気的に接続及び遮断する第2のスイッチとしてのトランジスタTX12と、第2のノードN12と第3のノードN13との間を電気的に接続及び遮断する第3のスイッチとしてのトランジスタTX13と、第2のフォトダイオードPDbと第2のノードN12との間を電気的に接続及び遮断する第4のスイッチとしてのトランジスタTX14と、第3のノードN13に設けられコンデンサCH及び/又は第2のフォトダイオードPDbから前記電荷が転送され保持される第2の電荷保持部としてのフローティング容量部FDと、フローティング容量部FDに保持されている電荷に応じた信号を出力する増幅部としての増幅トランジスタAMPと、第3のノードN13の電位をリセットするリセット部としてのリセットトランジスタFDRSTと、当該画素PXを選択する選択部としての選択トランジスタSELと、を有し、図13に示すように接続されている。トランジスタTX12,TX13は、コンデンサCHとフローティング容量部FDとの間を電気的に接続及び遮断する。トランジスタTX4は、トランジスタTX13と共に第2のフォトダイオードPDbとの間を電気的に接続及び遮断する。本実施の形態では、コンデンサCHは、両側に金属電極を備えた構造を有していてもよいし、他の構造を有していてもよい。前記第1の電荷保持部としては、コンデンサCHに限らず、例えば、ストレージダイオードやMOSキャパシタなどを用いてもよい。
【0190】
本実施形態では、各画素PXは、すべて同一の構造を有しており、焦点検出用信号と画像用信号を異なるタイミングで出力することが可能である。しかし、これに限らず、本実施の形態における固体撮像素子は、所定部に焦点検出エリアが設けられ、このエリアに図3に示す回路を有する画素が配置されて焦点検出用信号を生成し得るように構成され、その他のエリアに光電変換部を1つのみ有する画素が配置されて画像用信号のみを生成するよう構成されても構わない。
【0191】
トランジスタTX11のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTX11が供給される。トランジスタTX12のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTX12が供給される。トランジスタTX13のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTX13が供給される。トランジスタTX14のゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φTX14が供給される。リセットトランジスタFDRSTのゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φFDRSTが供給される。選択トランジスタSELのゲートは画素行毎に共通に接続され、そこには、垂直走査回路22から制御線23のうちの所定配線を介して制御信号φSELが供給される。
【0192】
なお、本実施の形態では、トランジスタTX11,TX12,TX13,TX14,AMP,FDRST,SELは、全てnMOSトランジスタである。
【0193】
図14(a)は、画像用信号を読み出す場合の本実施の形態における固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T171は、全行の画素PXが同時に駆動される期間である。すなわち、期間T171において、全行において同一の制御信号が垂直走査回路22から出力される。また、期間T172は1行目が読み出される期間、期間T173は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、静止画像を取得するべく、期間T171から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDbの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。前記一連の期間を3回以上繰り返して、動画像を取得してもよい。
【0194】
まず、期間T171中の期間T181において、全行の制御信号φTX11,φTX12,φTX14がハイレベルにされ、全行のトランジスタTX11,TX12,TX14がオン状態とされる。この動作により、全行の画素PXのフォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHにそれぞれ転送されて合算され保持される。1回目の前記一連の期間における期間T181においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDa,PDbに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T11においてコンデンサCHに転送される電荷は、撮像画像を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T181の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T181の開始時点までの期間が露光期間となり、この露光期間は全行について同一の期間で同一のタイミングとなる。このため、全画素PXは、タイミングずれすることなく画像情報を獲得することが可能となり、グローバル電子シャッタによる撮像が実現される。
【0195】
以下の説明では、前記露光期間の後の2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0196】
期間T172中の期間T182において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T182の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0197】
期間T182中の期間T183において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN13の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0198】
期間T183の終了時点と期間T184の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0199】
期間T182中のその後の期間T184において、1行目の制御信号φTX12,φTX13がハイレベルにされ、トランジスタTX12,TX13がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDa,PDbからコンデンサCHに転送されて合算された電荷)が、フローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0200】
期間T184の終了時点と期間T182の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0201】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタルの画像信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル画像信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0202】
同様に、期間T173において2行目の読み出しを行う。期間T173における2行目の制御信号は、期間T172における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から画像信号が出力されると、前記一連の期間を終了し、1フレームの画像の取得が終了する。
【0203】
以上の説明から理解されるように、各画素PXは、2つのフォトダイオードPDa,PDbを有しているものの、通常どおりに画像用信号を出力することができる。しかも、全画素PXの露光のタイミングを同一にしたグローバル電子シャッタが可能となる。
【0204】
図14(b)は、焦点検出用信号を読み出す場合の本実施の形態における固体撮像素子の読み出し動作の例を示すタイミングチャートである。期間T191は1行目が読み出される期間、期間T192は2行目が読み出される期間であり、選択された行のみ、本図の制御信号が出力される。本例では、焦点検出用信号を取得するべく、期間T191から最終行の読み出し期間までの一連の期間を、2回繰り返す。1回目の一連の期間はフォトダイオードPDa,PDbの不要電荷を排除してリセットするリセット期間であり、2回目の一連の期間が各行の本来の読み出し期間である。
【0205】
以下の説明では、主に2回目の前記一連の期間について説明するが、1回目の前記一連の期間についても同様である。
【0206】
期間T191中の期間T201において、1行目の制御信号φSELがハイレベルにされ、選択トランジスタSELがオン状態とされる。これにより、1行目の画素PXが選択され、この期間T201の間、1行目の画素PXから信号が垂直信号線24に出力される。
【0207】
期間T201中の期間T202において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN13の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0208】
期間T202の終了時点と期間T203の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0209】
期間T201中のその後の期間T203において、1行目の制御信号φTX11,φTX13,φTX14がハイレベルにされ、トランジスタTX11,TX13,TX14がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのフォトダイオードPDaに蓄積されている電荷が当該画素PXのコンデンサCHに転送されて保持される一方で、1行目の画素PXのフォトダイオードPDbに蓄積されている電荷が当該画素PXのフローティング容量部FDに転送されて保持される。1回目の前記一連の期間における期間T203においてコンデンサCHに転送される電荷は、フォトダイオードPDaに蓄積されている不要電荷である。また、1回目の前記一連の期間における期間T203においてフローティング容量部FDに転送される電荷は、フォトダイオードPDbに蓄積されている不要電荷である。一方、2回目の前記一連の期間における期間T203においてコンデンサCHに転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。また、2回目の前記一連の期間における期間T203においてフローティング容量部FDに転送される電荷は、焦点検出用信号を形成する信号電荷である。1回目の前記一連の期間における期間T203の終了時点から2回目の前記一連の期間における期間T203の開始時点までの期間が1行目の画素PXのフォトダイオードPDa,PDbの露光期間となる。このように、同一画素PXのフォトダイオードPDa,PDbの露光期間は、互いに同一の期間で同一のタイミングとなる。
【0210】
期間T203の終了時点と期間T204の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0211】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0212】
期間T201中のその後の期間T204において、1行目の制御信号φFDRSTがハイレベルにされ、リセットトランジスタFDRSTがオン状態とされる。この動作により、ノードN13の電位(フローティング容量部FDの電位、増幅トランジスタAMPのゲートの電位)が一旦電源電圧VDDにリセットされる。
【0213】
期間T204の終了時点と期間T205の開始時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、暗信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0214】
期間T201中のその後の期間T205において、1行目の制御信号φTX12,φTX13がハイレベルにされ、トランジスタTX12,TX13がオン状態とされる。この動作により、1行目の画素PXのコンデンサCHに保持されていた信号電荷(当該画素PXのフォトダイオードPDaからコンデンサCHに転送された電荷)が当該画素PXのフローティング容量部FDに転送されて保持される。
【0215】
期間T205の終了時点と期間T201の終了時点との間の所定タイミングにおいて、1行目の画素PXの増幅トランジスタAMPのゲートに現れる電位が、当該画素PXの増幅トランジスタAMPで増幅された後に当該画素PXの選択トランジスタSELを経由して、当該画素PXに対応する垂直信号線24に出力され、カラムアンプ26で増幅された後に、光信号としてCDS回路27によりサンプリングされる。
【0216】
その後に、CDS回路27は、先程サンプリングした暗信号と先程サンプリングした光信号との差分に応じた信号を出力する。A/D変換器28は、この差分に応じた信号をデジタル信号に変換して保持する。各A/D変換器28に保持されたデジタル信号は、水平読み出し回路29によって水平走査され、デジタル焦点検出用信号として外部(図1中のデジタル信号処理部6)へ出力される。
【0217】
同様に、期間T192において2行目の読み出しを行う。期間T192における2行目の制御信号は、期間T191における1行目の制御信号と同様である。同様にして、すべての行から焦点検出用信号が出力されると、前記一連の期間を終了する。
【0218】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態における固体撮像素子によれば、焦点検出用信号を得ることができる。焦点検出用信号を得る場合には、画素PXの行毎にフォトダイオードPDa,PDbの露光期間がずれていくとともに、同じ行の画素PXであれば、フォトダイオードPDaの露光期間とフォトダイオードPDbの露光期間とが一致する。
【0219】
このように、本実施の形態によっても、図6及び図7を参照して説明した前記比較例と同様に、グローバル電子シャッタによる撮像を実現することができるとともに焦点検出用信号を得ることができる。
【0220】
そして、本実施の形態では、焦点検出用信号を得る場合には、画素PXの行毎にフォトダイオードPDa,PDbの露光期間がずれていくのに対し、前記比較例では、全画素PXの露光のタイミングを同一にしたグローバル電子シャッタにより焦点検出用信号を取得することができる。したがって、前記比較例では、本実施の形態に比べて、被写体の動きが速くても、焦点検出の精度が高まる。
【0221】
しかし、前記比較例では、各画素PXにおいて2つのコンデンサCHa,CHbを要するのに対し、本実施の形態では、各画素PXにおいて1つのコンデンサCHで済み、各画素PXの構成要素として前記比較例に比べて1つのコンデンサを削減することができる。したがって、本実施の形態によれば、前記比較例に比べて、各画素PXにおけるフォトダイオードPDa,PDbの面積の比率(すなわち、開口率)を大きくすることができ、ひいては、SN比のより高い画像を撮像することができる。なお、図13図6との比較からわかるように、本実施の形態も前記比較例も、各画素PXにおいて要するトランジスタの数は同数である。
【0222】
このように、本実施の形態によれば、グローバル電子シャッタによる撮像を実現することができるとともに焦点検出用信号を得ることができる上に、前記比較例に比べて、動きの速い被写体に対する焦点検出精度はやや低下するものの、開口率をより大きくしてSN比のより高い画像を撮像することができる。
【0223】
なお、図3図6との比較からわかるように、本実施の形態では、前記第1の実施の形態に比べて各画素PXの構成要素として1つのトランジスタを多く要する。しかし、前記第1の実施の形態では、焦点検出用信号を得る場合には、同じ行の画素PXであっても、フォトダイオードPDaの露光期間とフォトダイオードPDbの露光期間とがずれるのに対し、本実施の形態では、焦点検出用信号を読み出す場合、同じ行の画素PXであれば、フォトダイオードPDaの露光期間とフォトダイオードPDbの露光期間とが一致する。したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べて、被写体の動きが速くても、焦点検出の精度が高まる。
【0224】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明では、固体撮像素子は、単一のチップで構成されたものに限らず、複数のチップを接合した構造を有していてもよい。
【符号の説明】
【0225】
1 電子カメラ
4 固体撮像素子
22 垂直走査回路(制御部)
PX 画素
PD フォトダイオード
TXa1,TXb1,TX2,TXa2,TXb2,TX11~TX12 トランジスタ(スイッチ)
AMP 増幅トランジスタ
RST リセットトランジスタ
CH コンデンサ(第1の電荷保持部)
FD フローティング容量部(第2の電荷保持部)
SEL 選択トランジスタ
図1
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