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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ポンプシステム及びそれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20231212BHJP
   B66F 9/22 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
F15B11/02 A
B66F9/22 G
B66F9/22 X
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022153387
(22)【出願日】2022-09-27
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 祐介
(72)【発明者】
【氏名】本田 拓
(72)【発明者】
【氏名】竹本 翔一
(72)【発明者】
【氏名】北本 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀生
(72)【発明者】
【氏名】淺坂 雅史
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特許第7160009(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/039791(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0018329(US,A1)
【文献】特開昭54-64273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路に接続されたポンプユニットと、
エネルギー回生用の蓄圧器と、
第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、
前記ポンプユニットと前記蓄圧器を接続する第1流路と、
前記第1チャンバと前記第1流路を接続する第2流路と、
前記第2流路と流体用タンクを接続する第3流路と、
前記ポンプユニットと前記第2チャンバを接続する第4流路と、
前記第2流路と前記第3流路の接続箇所に設けられた三方弁と、
前記三方弁による流路の切り替えを制御する制御部と、を備え、
前記三方弁は、前記制御部からの制御信号に基づいて、
前記ポンプユニットから前記第1チャンバに流体を送出する場合、前記三方弁よりも前記第1流路側の前記第2流路から前記三方弁よりも前記第1チャンバ側の前記第2流路へ流体が流れるように流路を切り替えられ、
前記ポンプユニットから前記第2チャンバに流体を送出する場合、前記三方弁よりも前記第1チャンバ側の前記第2流路から前記第3流路へ流体が流れるように流路を切り替えられる、
ポンプシステム。
【請求項2】
さらに、前記第3流路上に、前記三方弁に向かう方向の流れを規制する逆止弁を備える、
請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のポンプシステムを備えた車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポンプシステム及びそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ機能及びモータ機能を備えた多系統のポンプが知られている。このような多系統のポンプは、ポンプに接続された複数の系統の流量を制御可能であり、搭載する機器に備わる油圧シリンダや油圧モータ、蓄圧器などの数に応じて、ポンプの系統数を決定する必要がある。
【0003】
ここで、図5及び図6を用いて、多系統のポンプをフォークリフトに適用した場合の従来例について説明する。図5に示す車両101は、図6に示すポンプシステム200を備えたフォークリフトである。図6は、従来例に係るポンプシステム200を示す油圧回路図であり、ポンプシステム200をフォークリフトに搭載した場合の例である。
【0004】
従来例のポンプシステム200は、モータ部11及びポンプ部12を有するポンプユニット10と、ポンプユニット10と接続される流体用タンク70と、ポンプユニット10を制御する制御部160と、を備える。また、ポンプユニット10は、流路L13を介して蓄圧器30と接続され、流路L14を介してリフト用の単動型シリンダ40と接続され、流路L15を介してタイヤ駆動用の油圧モータ50と接続されている。また、ポンプユニット10は、流路L11及び流路L12という2つの系統を使用してチルト用の複動型シリンダ20を駆動するよう構成されている。
【0005】
また、特許文献1には、蓄圧器と複動型シリンダの第1チャンバを連通路により接続し、さらに、ポンプとしての機能とモータとしての機能を切り替え可能な第1作動部の高圧ポートと上記連通路を連通させることが開示されている。また、特許文献1には、第1作動部をポンプとして機能させて、複動型シリンダの第2チャンバに流体を供給するとともに、第1チャンバ内の流体を連通路を介して蓄圧器に排出することで、複動型シリンダのピストンを一方向に移動させること、及び、第1作動部をモータとして機能させて、蓄圧器から上記連通路を介して第1チャンバへと流体を供給するとともに、第2チャンバ内の流体を外部に排出することで、複動型シリンダのピストンを他方向に移動することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-55693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポンプが備える系統数が多くなると、ポンプのサイズや部品(例えば、バルブ部品、配管部品、コントローラ、配線部品など)の数が増大し、製造コストも増加するという問題がある。そのため、なるべく少ない系統数でポンプを構成したいというニーズがある。
【0008】
系統数は搭載する機器に必要なシリンダやモータの数に応じて決められるが、中でも複動型シリンダは動作のために2つの系統を使用するため、複動型シリンダが多く備わる機器では必要な系統数が増加しやすい。特に、建設機械などでは複動型シリンダが多く備わるため、多系統のポンプを適用する場合に系統数の増加が起きやすい。
【0009】
特許文献1では、蓄圧器と複動型シリンダの第1チャンバをともに共通の連通路を介して第1作動部に接続することにより、系統数を削減している。しかし、特許文献1に記載の流体圧回路装置には、第1チャンバ内の流体を連通路を介して蓄圧器に排出して第1チャンバ側にピストンを動かす場合における圧力脈動の抑制という点において、改善の余地があった。
【0010】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示は、複数の流路に接続されたポンプユニットの系統数を減らしつつ、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施形態に係るポンプシステムは、
複数の流路に接続されたポンプユニットと、
エネルギー回生用の蓄圧器と、
第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、
前記ポンプユニットと前記蓄圧器を接続する第1流路と、
前記第1チャンバと前記第1流路を接続する第2流路と、
前記第2流路と流体用タンクを接続する第3流路と、
前記ポンプユニットと前記第2チャンバを接続する第4流路と、
前記第2流路と前記第3流路の接続箇所に設けられた三方弁と、
前記三方弁による流路の切り替えを制御する制御部と、を備え、
前記三方弁は、前記制御部からの制御信号に基づいて、
前記ポンプユニットから前記第1チャンバに流体を送出する場合、前記三方弁よりも前記第1流路側の前記第2流路から前記三方弁よりも前記第1チャンバ側の前記第2流路へ流体が流れるように流路を切り替えられ、
前記ポンプユニットから前記第2チャンバに流体を送出する場合、前記三方弁よりも前記第1チャンバ側の前記第2流路から前記第3流路へ流体が流れるように流路を切り替えられる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複数の流路に接続されたポンプユニットの系統数を減らしつつ、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る車両を示す模式図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係るポンプシステムを示す油圧回路図である。
図3図3は、図2に示すポンプシステムにおける複動型シリンダの動作の一例を示す模式図である。
図4図4は、図2に示すポンプシステムにおける複動型シリンダの動作の他の例を示す模式図である。
図5図5は、従来例に係るポンプシステムを搭載した車両の一例を示す模式図である。
図6図6は、従来例に係るポンプシステムの一例を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の一実施形態に係るポンプシステム及び車両について図面を参照しながら説明する。各図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、各図面に示された各構成要素の寸法は、説明の便宜上のものであって、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0015】
まず、図1及び図2を用いて、本開示の一実施形態に係るポンプシステム及び車両について説明する。図1に示す車両1は、図2に示すポンプシステム100を備えたフォークリフトである。フォークリフトは、ポンプシステム100を適用できる車両の一例である。ポンプシステム100は、油圧ショベル等の他の車両に適用することもできる。また、ポンプシステム100は、車両ではなく、工作機械や建設機械等の他の機械に適用してもよい。
【0016】
図2に示すように、本開示の一実施形態に係るポンプシステム100は、ポンプユニット10と、複動型シリンダ20と、蓄圧器30と、単動型シリンダ40と、油圧モータ50と、制御部60と、流体用タンク70と、を備える。また、ポンプシステム100は、第1流路L1a,L1bと、第2流路L1c,L1dと、第3流路L1eと、第4流路L2と、流路L3~5と、三方弁24と、逆止弁25と、を備える。本実施形態において、ポンプシステム100は油圧式であり、流体として油を用いるものであるが、ポンプシステム100は、油以外の他の流体を用いてもよい。
【0017】
ポンプユニット10は、モータ部11と、ポンプ部12と、を有する。モータ部11は、ポンプ部12の駆動源となるエンジンである。ポンプ部12は、例えば、可変容量型のポンプであって、複数の流路に接続されている。ポンプユニット10は、制御部60からの制御信号に基づいて、ポンプユニット10に接続された各流路へのポンピングやモータリングを行う。
【0018】
蓄圧器30は、エネルギー回生用に設けられており、流体を高圧状態で貯留可能である。蓄圧器30は、第1流路L1a,L1bを介してポンプ部12と接続される。第1流路L1a,L1bは、第2流路L1c,L1dを介して第1チャンバ22と接続される。第1流路L1aは、第1流路L1a,L1bと第2流路L1dとの接続箇所よりもポンプユニット10側の流路である。第1流路L1bは、第1流路L1a,L1bと第2流路L1dとの接続箇所よりも蓄圧器30側の流路である。また、詳しくは後述するが、蓄圧器30は、複動型シリンダ20のピストン運動に関与する。
【0019】
単動型シリンダ40は、リフト用のシリンダであり、フォークリフトのフォークのリフト動作に関与する。単動型シリンダ40は、流路L4を介してポンプ部12と接続される。油圧モータ50は、フォークリフトのタイヤを駆動させるためのモータである。油圧モータ50は、流路L5を介してポンプ部12と接続される。流体用タンク70は、流体として用いる油を貯蔵する。本実施形態において、流体用タンク70は、複数の流路を介してポンプ部12に接続されている。
【0020】
複動型シリンダ20は、フォークリフトのフォークのチルト動作に関与する。複動型シリンダ20は、ピストン21と、第1チャンバ22と、第2チャンバ23と、を有する。第1チャンバ22は、三方弁24を有する第2流路L1c,L1dを介して第1流路L1a,L1bと接続される。第2流路L1cは、三方弁24よりも複動型シリンダ20側の流路である。第2流路L1dは、三方弁24よりもポンプユニット10側の流路である。第3流路L1eは、三方弁24に接続され、第2流路L1c,L1dと流体用タンク70を連通させる。逆止弁25は、第3流路L1e上に設けられる。第2チャンバ23は、第4流路L2を介してポンプ部12と接続される。
【0021】
三方弁24は、第2流路L1c,L1dと第3流路L1eの接続箇所に設けられている。三方弁24は、制御部60からの制御信号に基づいて、第2流路L1cと第2流路L1dを連通させた経路と、第2流路L1cと第3流路L1eを連通させた経路と、を切り替える。三方弁24の構造は、特に限定されず、従来公知の構造を適宜採用できる。逆止弁25は、流体用タンク70から三方弁24に向かう方向の流れを規制する。逆止弁25の構造は、特に限定されず、従来公知の構造を適宜採用できる。また、逆止弁25は、クラッキング圧力により流路内の最低圧力を規制している。逆止弁25のクラッキング圧力は、例えば、0.2~5MPaであることが好ましい。なお、逆止弁25が閉じた状態において、第3流路L1e内の圧力は、流体用タンク70内の圧力と同じであり、例えば、大気圧程度である。
【0022】
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有している。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働してポンプシステム100の各種の制御を行う。
【0023】
制御部60は、例えば、操作者によるフォークリフトの操作を入力情報とし、該入力情報等に基づいて、モータ部11、ポンプ部12、及び三方弁24の動作を制御する。制御部60は、例えば、ポンプ部12における各流路との接続ポートに設けられた電磁弁(図示せず)への電流供給を制御する制御信号を出力し、電磁弁の開閉を制御することで、各流路に対するポンピングやモータリングを個別に制御しうる。制御部60が入力情報等に基づいてモータ部11やポンプ部12の動作を制御することにより、フォークリフトは、操作者の操作に従った各種の動作を行う。また、制御部60は、例えば、三方弁24内の経路を切り替えるための制御信号を出力し、第2流路L1cと第2流路L1dを連通させた経路と、第2流路L1cと第3流路L1eを連通させた経路と、の切り替えを制御する。
【0024】
次に、図3及び図4を用いて、図2に示すポンプシステム100における複動型シリンダ20の動作について説明する。図3は、図2に示すポンプシステムにおける複動型シリンダの動作の一例を示す模式図である。具体的には、図2は、ピストン21を第1チャンバ22側へ移動させる場合の動作例である。
【0025】
図3の例において、ポンプユニット10は、第4流路L2へポンピングを実施して流体を送り出し、第2チャンバ23側の圧力を第1チャンバ22側の圧力よりも高めている。第4流路L2へポンピングを実施する場合、制御部60からの制御信号に基づいて、三方弁24は、第2流路L1cと第3流路L1eを連通させた経路に切り替えられる。そして、第1チャンバ22内の流体は、第1チャンバ22側と第2チャンバ23側との圧力差によって第2流路L1cへと押し出され、逆止弁25のクラッキング圧力に到達した段階で、第3流路L1eを通って流体用タンク70へ送られる。これらの動作で生じる差圧によって、ピストン21は第1チャンバ22側へ移動することになる。
【0026】
図3の例において、第1チャンバ22側の流体は、ポンプユニット10のモータリングによって抜かれるのではなく、第1チャンバ22と流体用タンク70との差圧によって、流体用タンク70に送られる。そのため、ポンプユニット10によるモータリングを実施する場合よりも、第1チャンバ22内の急な圧力変化が生じにくく、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生を抑制することができる。また、その結果として、シリンダ動作がギクシャクしたり、シリンダが振動したりすることを抑制でき、同様に、ピストン21の作動損失を増加させにくくすることができる。
【0027】
また、逆止弁25を備えることにより、第1チャンバ22内の圧力が必要以上に低くなってしまうことを抑制でき、結果として、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生をさらに抑制することができる。その結果として、シリンダ動作がギクシャクしたり、シリンダが振動したりすることをさらに抑制でき、同様に、ピストン21の作動損失をさらに増加させにくくすることができる。
【0028】
図4は、図2に示すポンプシステム100における複動型シリンダ20の動作の他の例を示す模式図である。具体的には、図4は、ピストン21を第2チャンバ23側へ移動させる場合の動作例である。
【0029】
図4の例において、ポンプユニット10は、第4流路L2へモータリングを実施して流体を抜き、第2チャンバ23側の圧力を第1チャンバ22側の圧力よりも低くする。また、第4流路L2へモータリングを実施する場合、制御部60からの制御信号に基づいて、三方弁24は、第2流路L1cと第2流路L1dを連通させた経路に切り替えられる。そして、例えば、ポンプユニット10が第1流路L1aへポンピングを実施して流体を送り出し、第2流路L1cと第2流路L1dを通って、流体が第1チャンバ22へと供給される。これらの動作で生じる差圧によって、ピストン21は第2チャンバ23側へ移動することになる。
【0030】
また、図4の例において、ポンプユニット10が第1流路L1aへポンピングを実施すると、流体の一部は第1流路L1bを通って蓄圧器30へと送られる。蓄圧器30に十分に流体が十分に貯留されている場合、ポンプユニット10による第1流路L1aへポンピングを実施せずに、蓄圧器30から第1チャンバ22へと流体を供給してもよい。蓄圧器30から流体を供給することで、圧力脈動の発生を抑制しやすくなる。また、複動型シリンダ20を動作させていないとき等に、三方弁24を第2流路L1cと第3流路L1eを連通させた経路に切り替えて、ポンプユニット10から第1流路L1aへポンピングを実施することで、事前に蓄圧器30内に流体が十分に貯留されている状態にしておいてもよい。流体の供給先をポンプユニット10にするか蓄圧器30にするかは、例えば、蓄圧器30に貯留された流体の量、言い換えると、蓄圧器30に蓄積されたエネルギー量に応じて、制御部60によって制御されうる。
【0031】
以上、本開示に係る一実施形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。例えば、ポンプシステム100は、単動型シリンダ40、及び油圧モータ50のうちの1以上を備えていなくともよいし、他の構成要素を含んでいてもよい。本発明には、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0032】
[付記]
以上のとおり、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 複数の流路に接続されたポンプユニットと、
エネルギー回生用の蓄圧器と、
第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、
前記ポンプユニットと前記蓄圧器を接続する第1流路と、
前記第1チャンバと前記第1流路を接続する第2流路と、
前記第2流路と流体用タンクを接続する第3流路と、
前記ポンプユニットと前記第2チャンバを接続する第4流路と、
前記第2流路と前記第3流路の接続箇所に設けられた三方弁と、
前記三方弁による流路の切り替えを制御する制御部と、を備え、
前記三方弁は、前記制御部からの制御信号に基づいて、
前記ポンプユニットから前記第1チャンバに流体を送出する場合、前記三方弁よりも前記第1流路側の前記第2流路から前記三方弁よりも前記第1チャンバ側の前記第2流路へ流体が流れるように流路を切り替えられ、
前記ポンプユニットから前記第2チャンバに流体を送出する場合、前記三方弁よりも前記第1チャンバ側の前記第2流路から前記第3流路へ流体が流れるように流路を切り替えられる、
ポンプシステム。
このポンプシステムによれば、複数の流路に接続されたポンプユニットの系統数を減らしつつ、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生を抑制することができる。
具体的には、蓄圧器と第1チャンバとを、三方弁によって分岐させた流路でポンプユニットに接続したことで、系統数を1つ減らした構成としている。よって、ポンプシステムのコンパクト化、軽量化、低コスト化を実現できる。
また、ポンプユニットから第2チャンバに流体を送出する場合、三方弁よりも第1チャンバ側の第2流路から第3流路へ流体が流れるように流路を切り替えることにより、第1チャンバ側の流体は、ポンプユニットのモータリングによって抜かれるのではなく、第1チャンバと流体用タンクとの差圧によって、流体用タンクに送られることになる。そのため、ポンプユニットによるモータリングを実施する場合よりも、第1チャンバ内の急な圧力変化が生じにくく、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生を抑制することができる。また、その結果として、例えば、シリンダ動作がギクシャクしたり、シリンダが振動したりすることを抑制でき、同様に、ピストンの作動損失を増加させにくくすることができる。
【0033】
(2) さらに、前記第3流路上に、前記三方弁に向かう方向の流れを規制する逆止弁を備える、
上記(1)に記載のポンプシステム。
このポンプシステムによれば、三方弁よりも第1チャンバ側の第2流路から第3流路へ流体が流れるように流路を切り替えた場合に、第1チャンバ内の圧力が必要以上に低くなってしまうことを抑制でき、結果として、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生をさらに抑制することができる。
【0034】
(3) 上記(1)又は(2)に記載のポンプシステムを備える車両。
この車両によれば、系統数を少なくしてコンパクト化、軽量化、低コスト化が可能なポンプシステムを備えているので、車両のコンパクト化、軽量化、低コスト化が可能である。また、上記のポンプシステムは複動型シリンダにおける圧力脈動の発生を抑制できるものなので、車両の操作中にシリンダ動作のギクシャクやシリンダの振動が生じにくく、また、複動型シリンダでの作動損失が増加しにくくなる。
【符号の説明】
【0035】
1,101:車両
10:ポンプユニット
11:モータ部
12:ポンプ部
20:複動型シリンダ
21:ピストン
22:第1チャンバ
23:第2チャンバ
24:三方弁
25:逆止弁
30:蓄圧器
40:単動型シリンダ
50:油圧モータ
60,160:制御部
70:流体用タンク
100,200:ポンプシステム
L1a,L1b:第1流路
L1c,L1d:第2流路
L1e:第3流路
L2:第4流路
L3~5,L11~15:流路

【要約】      (修正有)
【課題】複数の流路に接続されたポンプユニットの系統数を減らしつつ、複動型シリンダを駆動する際の圧力脈動の発生を抑制する。
【解決手段】ポンプシステム100は、ポンプユニット10と、蓄圧器30と、第1チャンバ22及び第2チャンバ23を有する複動型シリンダ20と、第1流路L1a,L1bと、第2流路L1c,L1dと、第2流路L1c,L1dと流体用タンク70を接続する第3流路L1eと、第4流路L2と、第2流路L1c,L1dと第3流路L1eの接続箇所に設けられた三方弁24と、制御部60と、を備える。三方弁24は、ポンプユニット10から第1チャンバ22に流体を送出する場合、第2流路L1dから第2流路L1cへ流体が流れるように流路を切り替えられ、ポンプユニット10から第2チャンバ23に流体を送出する場合、第2流路L1cから第3流路L1eへ流体が流れるように流路を切り替えられる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6