(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/19 20220101AFI20231212BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231212BHJP
【FI】
G06V40/19
G06T7/00 510D
G06T7/00 660A
(21)【出願番号】P 2022175963
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2020548539の分割
【原出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2018181027
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】蝶野 慶一
(72)【発明者】
【氏名】塚田 正人
(72)【発明者】
【氏名】舟山 知里
(72)【発明者】
【氏名】赤司 竜一
(72)【発明者】
【氏名】荻野 有加
(72)【発明者】
【氏名】柴田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】谷内田 尚司
(72)【発明者】
【氏名】今井 浩
(72)【発明者】
【氏名】北川 恵美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】森 祐輔
【審査官】小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0018516(US,A1)
【文献】特開2007-257040(JP,A)
【文献】特開2016-113772(JP,A)
【文献】特開2004-086614(JP,A)
【文献】特開平11-015972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/19
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔画像を受け付ける受付手段と、
前記顔画像に基づき、前記顔画像に写る人物の虹彩の虹彩データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記虹彩データに基づき、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定する判定手段と、
認証に使用可能な虹彩データを取得できないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する出力手段と、
を備え
、
前記判定手段は、前記人物のまぶたの形状または位置の少なくともいずれか一方に基づき、前記人物が目を一杯に開いても認証に使用可能な虹彩データが取得できないと推定することで、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定する、情報提供装置。
【請求項2】
時間的に連続する複数の顔画像を受け付ける受付手段と、
前記顔画像から虹彩データの取得を試みる虹彩データ取得手段と、
前記虹彩データ取得手段により虹彩データが取得されたか、および、前記虹彩データ取得手段により取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分であるか、の判定を行う成功判定手段と、
前記虹彩データ取得手段により虹彩データが取得できなかった場合、または取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分でないと前記成功判定手段により判定された場合に、前記顔画像に写る人物の動きを複数の前記顔画像から特定し、前記動きが虹彩データの取得に適していないと判定する判定手段と、
前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する出力手段と
を備え、
前記成功判定手段は、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった場合に、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった原因の深刻さを、前記成功判定手段の判定に用いた情報に基づいて算出し、当該深刻さを表す深刻さ情報をメモリに記録し、
前記判定手段は、前記深刻さ情報の履歴に基づいて、前記人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する、情報提供装置。
【請求項3】
撮影により顔画像を生成する撮影手段と、
品質が虹彩データを利用した認証処理のための所定の基準を満たす虹彩データが取得された場合に、取得された虹彩データと前記人物の識別情報との組をデータベースに登録する登録手段と、
をさらに備える請求項
1または2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
顔画像を受け付け、
前記顔画像に基づき、前記顔画像に写る人物の虹彩の虹彩データを取得し、
前記取得された虹彩データに基づき、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定し、
認証に使用可能な虹彩データを取得できないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力
し、
前記判定において、前記人物のまぶたの形状または位置の少なくともいずれか一方に基づき、前記人物が目を一杯に開いても認証に使用可能な虹彩データが取得できないと推定することで、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定する、
情報提供方法。
【請求項5】
時間的に連続する複数の顔画像を受け付け、
前記顔画像から虹彩データの取得を試み、
前記虹彩データが取得されたか、および、前記取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分であるか、の判定を行い、
認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった場合に、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった原因の深刻さを、前記判定に用いた情報に基づいて算出し、
当該深刻さを表す深刻さ情報をメモリに記録し、
前記虹彩データが取得できなかった場合、または前記取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分でないと判定された場合に、前記顔画像に写る人物の動きを複数の前記顔画像から特定し、前記深刻さ情報の履歴に基づいて、前記動きが虹彩データの取得に適していないと判定し、
前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する、
情報提供方法。
【請求項6】
顔画像を受け付ける受付処理と、
前記顔画像に基づき、前記顔画像に写る人物の虹彩の虹彩データを取得する取得処理と、
前記取得された虹彩データに基づき、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定する判定処理と、
認証に使用可能な虹彩データを取得できないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する出力処理と
をコンピュータに実行させ、
前記判定処理において、前記人物のまぶたの形状または位置の少なくともいずれか一方に基づき、前記人物が目を一杯に開いても認証に使用可能な虹彩データが取得できないと推定することで、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かをコンピュータに判定させる、
プログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
時間的に連続する複数の顔画像を受け付ける受付処理と、
前記顔画像から虹彩データの取得を試みる虹彩データ取得処理と、
前記虹彩データが取得されたか、および、前記取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分であるか、の判定を行う成功判定処理と、
認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった場合に、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった原因の深刻さを、前記成功判定処理の判定に用いた情報に基づいて算出する算出処理と、
当該深刻さを表す深刻さ情報をメモリに記録する記録処理と、
前記虹彩データが取得できなかった場合、または前記取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分でないと判定された場合に、前記顔画像に写る人物の動きを複数の前記顔画像から特定し、前記深刻さ情報の履歴に基づいて、前記動きが虹彩データの取得に適していないと判定する判定処理と、
前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する出力処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、虹彩を用いて認証を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証(バイオメトリクス認証)の一つに、虹彩を用いた認証がある。
【0003】
特許文献1は、読み取られた虹彩のデータの品質の良否を判定するステップと、品質が良好であるデータを用いて照合処理を行うステップと、を含む処理を行うバイオメトリクス認証装置を開示している。品質の良否を判定するステップでは、制御部が、虹彩のデータの一部が障害物等により欠けていること、目が充分に開いていないこと、および、虹彩読取時の利用者の動きにより焦点が合わず虹彩が確認できないこと等を検知する。品質が不良であるデータが取得された回数または照合が失敗した回数が規定回数を超えた場合、認証に失敗したことが利用者に通知される。そして、利用者によりボタンが押下されると、認証に失敗した原因が、表示部により表示される。特許文献1の技術は、このような処理により、利用者の認証の成功率を向上させようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のバイオメトリクス認証装置は、認証が失敗した原因が解消可能な原因によるものであることを前提としているため、利用者への原因の通知が行われる。
【0006】
しかし、良好な品質のデータが取得できない原因の中には、解消される見込みが低い原因もある。例えば、利用者が適切な品質のデータを取得することが不可能かまたは困難であるような人物である場合、利用者へ原因を通知しても、原因が解消される見込みは低く、利用者の認証の成功率が向上しない可能性がある。
【0007】
そのような利用者に対しては、装置が虹彩データの取得を繰り返し試みても、認証に適した虹彩データを取得することができないため、虹彩データの取得の試みは無駄になってしまう。虹彩データを取得しようとする装置の処理時間が無駄になるだけでなく、利用者にとっても無駄に労力と時間を費やすという不利益がある。
【0008】
本発明は、虹彩データを取得するシーンにおいて発生し得る無駄な行動や無駄な処理等を低減することに供する装置及び方法等を提供することを、目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る情報提供装置は、顔画像を受け付ける受付手段と、前記顔画像に基づき、前記顔画像に写る人物の虹彩の虹彩データを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記虹彩データに基づき、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定する判定手段と、認証に使用可能な虹彩データを取得できないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する出力手段と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る情報提供装置は、時間的に連続する複数の顔画像を受け付ける受付手段と、前記顔画像に写る人物の動きを複数の前記顔画像から特定し、前記動きが虹彩データの取得に適していないと判定する判定手段と、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する出力手段と、を備える。
【0011】
本発明の一態様に係る情報提供方法は、顔画像を受け付け、前記顔画像に基づき、前記顔画像に写る人物の虹彩の虹彩データを取得し、前記取得された虹彩データに基づき、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定し、認証に使用可能な虹彩データを取得できないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する。
【0012】
本発明の一態様に係るプログラムは、顔画像を受け付ける受付処理と、前記顔画像に基づき、前記顔画像に写る人物の虹彩の虹彩データを取得する取得処理と、前記取得された虹彩データに基づき、認証に使用可能な虹彩データを取得できるか否かを判定する判定処理と、認証に使用可能な虹彩データを取得できないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、虹彩データを取得するシーンにおいて発生し得る無駄な行動や無駄な処理等を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る情報提供方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る虹彩データ取得装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】第2の実施形態に係る虹彩データ取得装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の各実施形態の各部を構成するハードウェアの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
<<第1の実施形態>>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、第1の実施形態に係る情報提供装置10の構成を示すブロック図である。
【0018】
情報提供装置10は、受付部101と、判定部102と、出力部103と、を備える。
【0019】
受付部101は、顔画像を入力として受け付ける。顔画像は、少なくとも目の領域を含む、人物の顔の一部または全部を写した画像である。
【0020】
判定部102は、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないかを、受付部101が受け付けた顔画像に基づいて判定する。虹彩データは虹彩のデータのことである。
【0021】
出力部103は、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないと判定されたことに基づく情報を出力する。
【0022】
情報提供装置10による動作の流れを、
図2のフローチャートを参照しながら説明する。まず、受付部101が、顔画像を受け付ける(ステップS101)。
【0023】
次に、判定部102が、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないかを、受付部101が受け付けた顔画像に基づいて判定する(ステップS102)。
【0024】
そして、出力部103は、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないと判定されたことに基づく情報を出力する(ステップS103)。出力部103は、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないと判定されなかった場合は、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に出力される情報を出力しない。その代わりに、出力部103は、顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に出力される情報とは異なる情報を出力してもよい。
【0025】
情報提供装置10によれば、虹彩データを取得するシーンにおいて発生し得る無駄な行動や無駄な処理等を低減することができる。その理由は、虹彩データの取得に適していない人物が顔画像に写っている場合、判定部102が、その人物が虹彩データの取得に適していない人物であるということを判定するからである。そして、出力部103がその人物が虹彩データの取得に適していない人物であるということに基づく情報を出力するからである。出力部103により出力される情報により、その情報を受け取る装置または人が、虹彩データの取得に適していない人物が虹彩データを装置に取得させようとしているということに基づく処理、行動または判断を行うことで、その人物が虹彩データを装置に取得させることを試みることをやめさせたり、抑制したりすることが可能となる。
【0026】
<<第2の実施形態>>
以下、第1の実施形態の具体例を説明する。
【0027】
情報提供装置10の具体例の1つは、
図3に示される虹彩データ取得装置11である。虹彩データ取得装置11は、虹彩データを取得するための装置である。虹彩データ取得装置11は、人物から虹彩を撮影して記録する処理の過程で、その人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する。
【0028】
図3に示されるように、虹彩データ取得装置11は、虹彩データベース21と通信可能に接続される。虹彩データベース21は、虹彩データを記憶するデータベースである。
【0029】
虹彩データベース21は、個人を識別する情報と、その個人の虹彩のデータとを、互いに関連づけられた形式で記憶する。
【0030】
個人を識別する情報は、例えば、氏名、生年月日、属性(性別、年齢、役職等)、および人ごとに付与されるユニークなID(Identifier)を含み得る。
【0031】
虹彩データは、例えば、虹彩コード(後述)である。
【0032】
<構成>
以下、虹彩データ取得装置11の構成要素について説明する。
【0033】
図3に示されるように、虹彩データ取得装置11は、制御部111と、撮影部112と、虹彩データ取得部113と、成功判定部114と、適性判定部115と、生成部116と、出力部117と、入力インタフェース118と、メモリ119と、を備える。
【0034】
===入力インタフェース118===
入力インタフェース118は、外部(例えば虹彩データ取得装置11のユーザ)から様々なコマンドの入力を受け付ける。入力インタフェース118は、例えば、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、および/または、入力装置(マウスやキーボード等)からの信号を受信するポート、等である。
【0035】
===メモリ119===
メモリ119は、虹彩データ取得装置11が扱うデータを一時的に、または非一時的に、記憶する。メモリ119は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、または可搬型記憶装置等によって実現され得る。メモリ119に対して、虹彩データ取得装置11に含まれる他の構成要素は、自由にデータを読み書き可能である。
【0036】
===制御部111===
制御部111は、虹彩データ取得装置11に含まれる構成要素の動作を制御する。
【0037】
また、制御部111は、虹彩データ取得装置11が扱うデータの流れを制御する。例えば、制御部111は、撮影部112により生成された画像を受け取り、受け取った画像をメモリ119に記録し得る。
【0038】
===撮影部112===
撮影部112は、虹彩を撮影することにより、虹彩を含む画像を生成する。撮影部112は、例えば、カメラである。撮影部112は、可視光カメラでもよいし、赤外線カメラでもよい。撮影部112は、例えば、制御部111から発せられる撮影指示に応じて、撮影を実行する。この撮影指示は、例えば、撮影部112により撮影されようとしている人物(すなわち、虹彩データの取得の対象者)が、虹彩データ取得装置11に対して入力するコマンドに基づいて、発せられる。対象者は、自身の虹彩のデータを虹彩データ取得装置11に取得させることを目的として、撮影部112の前に位置し、入力インタフェース118を介して虹彩データ取得装置11にコマンドを入力する。したがって、撮影部112が生成する画像には対象者が写ることが想定される。対象者は、特に、自身の虹彩が撮影されるように、撮影部112の方向または自身の顔の位置を調節し得る。
【0039】
===虹彩データ取得部113===
虹彩データ取得部113は、撮影部112によって生成された画像から、画像に含まれる対象者の虹彩のデータを取得するよう、構成される。具体的には、虹彩データ取得部113は、認証に使用可能な虹彩データを、画像の中の虹彩の領域の画素値から、生成するよう構成される。
【0040】
認証に使用可能な虹彩データとして代表的なものに、虹彩コードと呼ばれるデータがある。虹彩コードは、虹彩の領域の画像データを処理することで得られるデータである。虹彩コードは、個人に固有の生体情報(いわゆる、バイオメトリクス情報)であるため、適切に虹彩が撮影された場合には、認証に使用可能なデータである。
【0041】
虹彩データ取得部113が虹彩コードを生成する方法には、例えば次のステップが含まれる。
・画像から目の領域を検出するステップ
・目の領域のうちの、上まぶたの縁、下まぶたの縁、瞳孔と虹彩との境界、および虹彩と白目(強膜とも呼ばれる)との境界を検出するステップ
・虹彩が写っている領域における模様を帯状に展開するステップ
・展開された模様を符号化するステップ
虹彩データ取得部113は、以上のようなステップを実行することによって虹彩コードを生成するよう構成され得る。
【0042】
===成功判定部114===
成功判定部114は、虹彩データ取得部113による虹彩データの取得が成功したかを判定する。虹彩データの取得が成功したか否かは、言い換えれば、認証に使用可能な虹彩データが取得できたか否か、である。
【0043】
成功判定部114は、虹彩データ取得部113により認証に使用可能な虹彩データが取得できた場合は、虹彩データの取得が成功したと判定する。成功判定部114は、虹彩データ取得部113により認証に使用可能な虹彩データが取得できなかった場合は、虹彩データの取得が成功しなかった(すなわち、失敗した)と判定する。
【0044】
認証に使用可能な虹彩データが取得できなかった場合とは、例えば、虹彩の位置が特定できなかったり、画像に表れている虹彩の面積が小さすぎたりしていること等が原因で虹彩データ自体が取得できなかった場合である。上述の虹彩データ取得部113が行うステップの処理のいずれにおいてエラーが生じて、虹彩データの取得が正常に完了しなかった場合、成功判定部114は、虹彩データ取得部113による虹彩データの取得が成功しなかったと判定し得る。
【0045】
他に、認証に使用可能な虹彩データが取得できなかった場合とは、取得された虹彩データが、認証に使用可能でないと判定される場合である。
【0046】
成功判定部114は、虹彩データ取得部113が虹彩データの取得が正常に完了した場合において、取得された虹彩データが、認証に使用可能であるかを判定する。
【0047】
虹彩データが認証に使用可能であるとは、具体的には、虹彩データの品質が、虹彩データを利用した認証のための所定の基準を満たすことである。品質とは、虹彩データによって表されている情報に対する評価である。所定の基準は、その虹彩データを用いた認証が、求められる精度で実施可能であるための基準である。所定の基準は設計事項であるが、一例を挙げるならば、「その虹彩データを用いて他人受入率が0.001%以下であるような認証を実施可能であること」である。
【0048】
例えば、取得された虹彩データに、個人に特有の特徴が十分に表れていない場合、その虹彩データは認証に使用可能であるとはいえない。取得された虹彩データに、虹彩の特徴としては不自然な特徴がある場合、その虹彩データは認証に使用可能であるとはいえない。このようなことから、成功判定部114は、取得された虹彩データに表れる特徴に対し分析を行い、その分析に基づいて、虹彩データが認証に使用可能であるかを判定してもよい。
【0049】
成功判定部114は、虹彩データの取得が正常に完了し、かつ取得された虹彩データが認証に使用可能である場合に、虹彩データの取得が成功したと判定する。成功判定部114は、虹彩データ取得部113が虹彩データの取得を正常に完了できなかった場合、または、取得された虹彩データが認証に使用可能でない場合に、虹彩データの取得が成功しなかったと判定する。
【0050】
===適性判定部115===
適性判定部115は、対象者が虹彩データの取得に適していないかを判定する。
【0051】
虹彩データの取得に適していない人物とは、一つの観点では、認証に使用可能な虹彩データが取得できる見込みがない人物である。虹彩データの取得に適していない人物は、また一つの観点では、虹彩データの取得に支障をきたす要因を有している人物である。
【0052】
虹彩データの取得に支障をきたす要因の具体例を挙げる。
・目が義眼であること
・虹彩の特徴を十分に抽出できないほど虹彩の一部または全部を隠すようなカラーコンタクトが装着されていること
・眼瞼下垂の症状により虹彩の大部分がまぶたに隠れていること
・まぶたの開く度合いが極度に小さい(いわゆる目が細い)ために虹彩の大部分がまぶたに隠れていること
・虹彩がまつげによって隠されている程度が許容できないレベルであること
・震え等の動きにより十分な鮮明さで虹彩のデータが得られないこと
適性判定部115は、対象者が上記に挙げた要因のいずれかを有していることを顔画像から検出するように構成されればよい。ただし、適性判定部115を構成するにあたって、適性判定部115が検出する要因は、上記の複数の要因のうちの一部でもよい。また、上記具体例は一例であり、適性判定部115は虹彩データの取得に支障をきたす上記以外の要因を検出するよう構成されてもよい。
【0053】
以下、対象者が虹彩データの取得に適していないかを判定することを、「対象者の適性を判定する」とも表記する。また、以下、対象者が虹彩データの取得に適していないと判定することを、単に「対象者が不向きであると判定する」とも表記する。
【0054】
適性判定部115は、例えば、検出された目が義眼の特徴を有することを検出することにより、対象者が不向きであると判定してもよい。
【0055】
義眼の特徴は、例えば、目が生体でないことを表す特徴であってよい。目が生体ではないことを表す特徴は、瞳孔のサイズが変化しないことであってもよい。この場合、撮影部112は、対象者の目の領域を含む撮像の範囲に含む動画像を撮像してもよい。そして、適性判定部115は、瞳孔のサイズの変動を検出してもよい。撮影部112には、例えばLED(Light Emitting Diode)などの光源が取り付けられていてもよい。光源は、例えば制御部111の制御によって、光を照射するように構成されていてよい。撮影部112が動画像を撮像している間に、制御部111は、光源が対象者の顔に可視光を例えば所定時間の間照射するように光源を制御してもよい。適性判定部115は、得られた動画像において瞳孔のサイズの変動を検出してよい。適性判定部115は、検出された変動の大きさと、義眼ではない目において検出された瞳孔のサイズの変動の分布及び義眼において検出された瞳孔サイズの変動の分布とに基づいて、対象者の目が義眼である可能性の高さを判定してもよい。これらの分布はあらかじめ実験によって生成されていてよい。対象者の目が義眼である可能性が所定の基準よりも低い場合、適性判定部115は、目が生体でない、すなわち、目が義眼の特徴を有すると判定してよい。
【0056】
義眼の特徴は、虹彩の領域に瞳孔が検出されないことであってもよい。適性判定部115は、例えば、既存のいずれかの方法によって虹彩の領域と瞳孔の領域とを検出してよい。そして、虹彩の領域から瞳孔の領域が検出されなかった場合、適性判定部115は、撮影されている目が義眼であると判定してもよい。例えば、人間の目に対して近赤外光を照射した場合、網膜による近赤外光の反射光は、その近赤外光の光源に向かう方向において強くなる。対象者の顔に対して撮影部112の方向から近赤外光が照射されている場合、撮影部112が対象者の顔を撮像することによって得られる画像では、瞳孔の部分は虹彩の部分よりも明るい。このような状態の瞳孔は、明瞳孔とも呼ばれる。この特徴を使用して瞳孔を検出する方法は、明瞳孔法と呼ばれる。また、赤外光が撮影部112の光軸とは異なる方向から対象者の顔に対して照射されている場合、撮影部112が対象者の顔を撮像することによって得られる画像では、瞳孔の部分は虹彩の部分よりも暗い。このような状態の瞳孔は、暗瞳孔とも呼ばれる。この特徴を使用して瞳孔を検出する方法は、暗瞳孔法と呼ばれる。適性判定部115は、明瞳孔法及び暗瞳孔法の組み合わせ又はいずれか一方によって、瞳孔を検出してもよい。そして、瞳孔が検出されない場合、適性判定部115は、対象者の目が義眼であると判定してもよい。この場合、瞳孔を検出する方法に適した位置に、虹彩データ取得装置11に接続された近赤外光の光源が設置されていてよい。この場合、光源は、例えば制御部111の制御によって、撮影部112が撮像を行っている間に、例えば所定時間の間、赤外光を照射するよう構成されていてよい。適性判定部115は、得られた画像を使用して、瞳孔を検出してよい。適性判定部115は、例えば、近赤外光が照射されていない状態と、近赤外が照射されている状態とにおける、瞳孔の明るさの差に基づいて、対象者の目が義眼である可能性の高さを判定してもよい。適性判定部115は、明瞳孔の明るさと暗瞳孔の明るさとの差に基づいて、対象者の目が義眼である可能性の高さを判定してもよい。これらの場合、義眼ではない目における明るさの差の分布と、義眼である目における明るさの差の分布とを、あらかじめ例えば実験によって得ておいてよい。対象者の目が義眼である可能性が所定の基準よりも低い場合、適性判定部115は、目が生体でない、すなわち、目が義眼の特徴を有すると判定してよい。義眼の特徴を判定する方法は、以上の方法に限られない。
【0057】
適性判定部115は、例えば、カラーコンタクトの存在を検出し、カラーコンタクトの範囲が虹彩の範囲を狭めていることを検出することにより、対象者が不向きであると判定してもよい。
【0058】
適性判定部115は、例えば、テンプレートマッチングによって、虹彩の領域におけるカラーコンタクトの存在と、カラーコンタクトの範囲とを判定してもよい。この場合、適性判定部115は、さまざまなカラーコンタクトの虹彩部分のイメージを、テンプレートとして保持していてよい。このテンプレートマッチングにおいて、適性判定部115は、テンプレートに、平行移動、拡大、縮小、及び、回転を行ってよい。適性判定部115は、虹彩の領域にテンプレートがマッチした場合、マッチした場所におけるテンプレートに対する差の大きさを表す値に基づいて、カラーコンタクトの有無を判定してもよい。
【0059】
また、カラーコンタクトの虹彩の部分が、パターンの繰り返しによって描かれている場合、及び、虹彩の部分の模様が網点によって表されている場合、虹彩の部分の模様に周期性が生じる。適性判定部115は、虹彩の領域を検出し、検出した虹彩の領域において、画素値の周期性の有無を判定してもよい。適性判定部115は、虹彩の領域において、円周方向及び動径方向における周期性の有無を判定してもよい。この場合、適性判定部115は、例えば、動径方向が例えば縦軸になり、円周方向が例えば横軸になるように、虹彩の領域の画像を矩形の画像に変換してよい。適性判定部115は変換後の画像に対して例えばフーリエ変換などの変換を使用して、変換後の矩形の画像の縦方向及び横方向の周期的な変化の有無を判定してよい。適性判定部115は、対象者の顔が撮像された画像に直交する2軸を設定してもよい。適性判定部115は、その画像から、設定した2軸と平行な辺を持ち、虹彩の領域を囲む矩形内の画像を切り出してもよい。適性判定部115は、切り出した画像の軸方向の周期性の有無を判定してもよい。周期性があることが判定された場合、適性判定部115は、カラーコンタクトが存在すると判定してよい。適性判定部115は、虹彩の領域における画素値の色に基づいて、カラーコンタクトの存在を判定してもよい。
【0060】
カラーコンタクトの虹彩の部分の模様が、限られた数(例えば、3つ以内)の色の色素によって描かれている場合、カラーコンタクトの虹彩の部分の色の分布には、鋭いピークが発生することが考えられる。適性判定部115は、例えば、虹彩の領域に含まれる画素の画素値の分布を生成してもよい。そして、適性判定部115は、虹彩の領域における個数の割合が所定割合以上である画素値のピークを検出してよい。適性判定部115は、検出されたピークの鋭さを判定してもよい。ピークの鋭さは、例えば、半値幅によって表されていてもよい。適性判定部115は、所定の基準よりも鋭いピークが存在する場合、カラーコンタクトが存在すると判定してもよい。適性判定部115は、さらに、所定の基準よりも鋭いピークとして分布に現れている画素値を持つ画素の、虹彩の領域における分布を特定してもよい。適性判定部115は、そのような画素の、虹彩の領域の外周部における頻度の、虹彩の領域の内周部における頻度に対する高さが所定の基準を上回るか否かを判定してもよい。適性判定部115は、そのような画素の、虹彩の領域の外周部における頻度の、虹彩の領域の内周部における頻度に対する高さが所定の基準を上回る場合に、カラーコンタクトが存在していると判定してもよい。カラーコンタクトの存在を判定する方法は、以上の方法に限られない。
【0061】
適性判定部115は、対象者が目を一杯に開いても認証に使用可能な虹彩データが取得できないと推定される場合に、対象者が不向きであると判定してもよい。
【0062】
例えば、虹彩データの取得が成功しなかった場合において、受け付けられた画像が、対象者が目を一杯に開いた状態の画像であることがわかっている場合は、その適性判定部115は、対象者が不向きであると判定し得る。受け付けられた画像が対象者が目を一杯に開いた状態の画像であるかを知るため、例えば、虹彩データ取得装置11は、出力部117により対象者が目を一杯に開いた状態で撮影を受けたかを尋ね、「はい」または「いいえ」の入力を受け付けてもよい。「はい」と入力された場合、対象者が目を一杯に開いたにも関わらず虹彩データの取得が成功しなかったことから、適性判定部115は対象者が不向きであると判定してもよい。
【0063】
受け付けられた画像が対象者が目を一杯に開いた状態の画像であるかを知るため、適性判定部115は、目を一杯に開いている場合に生じる目または目の周りの特徴を検出してもよい。例えば、適性判定部115は、眉が上がっていること、おでこにしわが生じていること、等が検出される場合に、対象者が目を一杯に開いていると推定してもよい。
【0064】
適性判定部115は、対象者が目を一杯に開いても認証に使用可能な虹彩データが取得できないことを、まぶたの位置および/または形状に基づいて推定してもよい。
【0065】
例えば、適性判定部115は、対象者の目の動画を取得し、その動画を分析してもよい。動画において対象者が目を開いたり閉じたりしていれば、最もまぶたが上がっている時の状態が、対象者にとって目をある程度一杯に開いている時の状態であると推定される。適性判定部115は、目をある程度一杯に開いている時の状態から、対象者が目を一杯に開いた状態を推定し得る。
【0066】
あるいは、適性判定部115は、受け付けられた画像におけるまぶたの形状に基づいて、常に虹彩の大部分がまぶたに隠れるような特質を持つ人(眼瞼下垂の症状がある人や著しく目が細い人)の特徴があることを検出することで、対象者が目を一杯に開いても認証に使用可能な虹彩データが取得できないことを検出してもよい。すなわち、適性判定部115は、虹彩の大部分を隠しているまぶたの状態が、一時的なものではなく対象者の特質によって生じていることを、まぶたの形状に基づいて検出し得る。例えば、適性判定部115は、虹彩が隠れないようにまぶたを開くことができる人が一時的にまぶたを虹彩にかぶせている時のまぶたの形状と、常に虹彩の大部分がまぶたに隠れるような特質を持つ人のまぶたの形状とを、区別する識別器を学習によって用意し、対象者の目の画像に対してその識別器を用いてもよい。
【0067】
適性判定部115は、虹彩の領域の一部または全部を隠している障害物を検出し、その障害物がまつげであること、およびまつげが虹彩の領域を隠している程度が許容できないレベルであることを検出することにより、対象者が不向きであると判定してもよい。適性判定部115は、例えば、障害物の、形および顔画像における位置に基づき、その障害物がまつげであることを検出し得る。また、適性判定部115は、虹彩部分にかかっているまつげの面積を、まつげが虹彩の領域を隠している程度の尺度として使用し得る。適性判定部115は、面積が所定の基準値を超える場合、まつげが虹彩の領域を隠している程度が許容できないレベルであると判定すればよい。
【0068】
適性判定部115は、時間的に連続する複数の顔画像から、対象者の様子を分析することにより、対象者の適性を判定してもよい。例えば、適性判定部115は、対象者の目が小刻みに震えていることを検出してもよい。適性判定部115は、対象者の目だけでなく顔全体が小刻みに震えていること、または絶え間なく動いていること等を検出してもよい。適性判定部115は、複数の顔画像から特定される対象者の動きが、虹彩データの取得に支障をきたすレベルであると判定した場合に、対象者が不向きであると判定してもよい。
【0069】
適性判定部115は、上述した複数の判定方法のうちの一部または全部が実行されるように構成されてよい。
【0070】
なお、上述した判定方法のいくつかは、対象者が虹彩データの取得に支障をきたす特徴(または性質とも)を有していることを検出する方法であるといえる。
【0071】
なお、適性判定部115により虹彩データの取得に適していないと判定される人物は、上記に挙げた人物以外にも考えられる。上記に挙げた人物以外の、虹彩データの取得に適していないと判定され得る人物については、[補足]欄において説明する。
【0072】
===生成部116===
生成部116は、出力部117により出力される情報を生成する。生成される情報は、虹彩データ取得装置11による処理の結果または経過を示す情報である。生成される情報の具体例は、虹彩データ取得装置11の動作の説明の中で挙げる。
【0073】
===出力部117===
出力部117は、生成部116により生成された情報を出力する。
【0074】
出力部117による出力先は、例えば、情報の表示機能を持つ表示装置、または虹彩データ取得装置11以外の情報処理装置等である。
【0075】
<動作>
以下、虹彩データ取得装置11による処理の流れを、
図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、各処理は、各処理がプログラムを実行するプロセッサによって実行される場合においては、プログラムの中の命令の順序に従って実行されればよい。各処理が別個のデバイスによって実行される場合においては、処理を完了したデバイスが次の処理を実行するデバイスに通知を行うか、制御部111が各処理の終了の把握および開始の指示を行うことで、処理が順番に実行されればよい。なお、処理を行う各部は、めいめいの処理に必要なデータを、例えば、そのデータを生成した部から受け取り、および/またはメモリ119から読み出せばよい。
【0076】
なお、以下で説明される虹彩データ取得装置11による処理は、虹彩認証を利用しようとする人物が、その人物の虹彩のデータを虹彩データベース21に登録することを目的として虹彩データ取得装置11を利用する場合に開始され得る。虹彩データ取得装置11による処理は、虹彩認証を利用しようとする人物が、その人物の虹彩のデータを虹彩データベース21に登録されている虹彩データと照合する認証処理を受けることを目的として虹彩データ取得装置11を利用する場合に開始され得る。以下、虹彩データ取得装置11に自身の虹彩のデータを取得させようとしている人物を、「利用者」とも表記する。
【0077】
まず、撮影部112が、利用者の顔を撮影する(ステップS11)。例えば、利用者が撮影部112の前に立ち、入力インタフェース118を介して虹彩データ取得装置11に撮影のためのコマンドを入力し、そのコマンドに応じて制御部111が撮影部112に撮影指示を送ればよい。
【0078】
撮影部112が撮影を行うことで、利用者の顔が写された顔画像が生成される。ただし、顔画像は、必ずしも顔の全体が写されている必要は無い。顔画像は、虹彩が存在する範囲を写した画像であればよい。
【0079】
顔画像が生成されたら、虹彩データ取得部113が、顔画像からの虹彩データの取得を試みる(ステップS12)。
【0080】
次に、成功判定部114が、ステップS12の処理、すなわち虹彩データの取得が、成功したかを判定する(ステップS13)。
【0081】
虹彩データの取得が成功したと判定された場合は(ステップS13においてYES)、制御部111は、取得した虹彩データを認証に使用する虹彩データとして記録する(ステップS14)。虹彩データの取得が、虹彩データの登録を目的として行われている場合は、制御部111は、虹彩データベース21に、取得した虹彩データを登録すればよい。この場合、虹彩データ取得装置11は入力インタフェース118を介して利用者の個人識別情報の入力を受け付け(予め受け付けていてもよい)、受け付けた個人識別情報と取得された虹彩データとの組を虹彩データベース21に登録し得る。虹彩データの取得が、虹彩データベース21に登録されている虹彩データとの照合を目的として行われている場合は、制御部111は、照合のため、メモリ119に虹彩データを記録すればよい。この場合、虹彩データ取得装置11は、メモリ119に記録した虹彩データと、虹彩データベース21に登録されている虹彩データとの照合を行ってもよい。
【0082】
ステップS14の処理後、生成部116が虹彩データの取得の成功を示す情報を生成し、出力部117がその情報を出力する(ステップS15)。
【0083】
虹彩データの取得の成功を示す情報は、虹彩データの取得が虹彩データの登録を目的として行われている場合は、例えば、「正常に登録されました」というメッセージでもよい。虹彩データの取得が虹彩データベース21に登録されている虹彩データとの照合を目的として行われている場合は、虹彩データの取得の成功を示す情報は、照合が成功したか否かを表す情報でもよい。特に、照合が成功した場合(すなわち、取得された虹彩データに合致する虹彩データが虹彩データベース21から見つかった場合)、出力部117は、照合によって特定される利用者の個人識別情報を、虹彩データの取得の成功を示す情報として出力してもよい。照合が失敗したことを示す情報(例えば、「データベースに登録されたデータに合致しません」というメッセージ等)も、虹彩データの取得の成功を示す情報の一つとなり得る。
【0084】
虹彩データの取得が成功しなかったと判定された場合は(ステップS13においてNO)、適性判定部115が、利用者が虹彩データの取得に適していないかを、判定する(ステップS16)。
【0085】
利用者が虹彩データの取得に適していないと判定された場合(ステップS17においてYES)、生成部116が、利用者が虹彩データの取得に適していないことに基づいて出力情報を生成する(ステップS18)。そして、出力部117が、その出力情報を出力する(ステップS19)。この出力情報は、利用者が虹彩データの取得に適していないことに起因して出力される情報であり、ステップS15で出力される情報とも、後述のステップS21で出力される情報とも異なる。
【0086】
出力情報は、例えば、利用者に対するメッセージを含む情報であり得る。
【0087】
メッセージの内容は、例えば、虹彩データ取得装置11に虹彩データを取得させようとする努力を中止すべきであることを示唆するメッセージである。具体的なメッセージの例は、「あなたは虹彩データの取得に適していません。」、「残念ながら、あなたから虹彩データを取得することは困難です。」、「虹彩データの取得を中止してください。」等である。
【0088】
出力情報は、「係員が参ります。係員の指示に従ってください。」、「虹彩データの取得が困難であるため取得処理を終了します。」等、利用者がこれ以上虹彩データの取得のための行動を行えないことを示すメッセージを含む情報でもよい。
【0089】
出力情報が利用者に対するメッセージを含む情報である場合は、出力部117は利用者が視認可能な表示装置に出力情報を出力すればよい。
【0090】
出力情報は、例えば、利用者以外の者に、虹彩データの取得に適していない人物が虹彩データ取得装置11を利用していることを示すメッセージを含む情報であり得る。メッセージの例は、「現在利用中の方は虹彩データの取得に適していません。対応してください。」等である。
【0091】
出力情報が利用者以外の者へのメッセージを含む情報である場合は、出力部117は、その者が使用する端末に出力情報を出力(送信)すればよい。
【0092】
出力情報は、メッセージを含まなくてもよい。例えば、出力情報は、発光体を点灯させる信号でもよい。発光体が利用者または係員が視認可能な位置にあれば、利用者または係員は、発光体が点灯したことに基づき、利用者が虹彩データの取得に適していないことを理解し得る。この他、出力情報は、ブザーを鳴動させる信号、エラーの発生を感得させる画像、虹彩データ取得装置11に接続された情報処理装置に特定の処理を実行させる信号、等でもよい。
【0093】
虹彩データ取得装置11が、利用者が虹彩データの取得に適していないことに基づいて特定の処理を開始し、または特定の処理を終了する場合、虹彩データ取得装置11に特定の処理を開始したことを表す情報、および、特定の処理を終了したことを表す情報も、出力情報といえる。
【0094】
ステップS17における判定結果がYESである場合は、虹彩データの取得の試みは再び行わずに、制御部111は処理を終了させる。
【0095】
利用者が虹彩データの取得に適していないと判定されなかった場合(ステップS17においてNO)、制御部111は、虹彩データの取得の試みを継続してもよい。虹彩データの取得の試みを継続する場合は(ステップS20においてYES)、処理はステップS11に戻り、虹彩データ取得装置11は再び虹彩データの取得を試み得る。
【0096】
虹彩データの取得の試みを継続しない場合は(ステップS20においてNO)、生成部116が虹彩データの取得の失敗を示す情報を生成し、出力部117がその情報を出力する。
【0097】
虹彩データの取得の失敗を示す情報は、例えば、「虹彩データの取得に失敗しました。」というメッセージを含む情報である。虹彩データの取得の失敗を示す情報は、ステップS19で出力される出力情報とは異なるように設計される。
【0098】
制御部111は、例えば、ステップS11の処理が開始されてから所定の時間が経過した場合や、ステップS13でNOと判定された回数が所定の回数に達した場合等に、虹彩データの取得の試みを継続しないと判定してよい。
【0099】
あるいは、ステップS20の判定は、利用者の判断に基づいて行われてもよい。虹彩データ取得装置11は、ステップS20の判定の前にステップS21の処理を行い、利用者に「虹彩データの取得を再度試みるか」を尋ねるメッセージを表示し、利用者の判断の結果を受け付けてもよい。利用者が「虹彩データの取得を再度試みる」と判断したことを示す入力を受け付けた場合、制御部111は、虹彩データの取得の試みを継続すると判定すればよい。
【0100】
ステップS20でYESと判定された後の顔の撮影は、自動的に(利用者の撮影指示を待たずに)行われてもよい。ステップS20でYESと判定された後の顔の撮影は、再び利用者からの撮影指示を受け付けるのに応じて実行されてもよい。
【0101】
ステップS16の判定は、同じ利用者について1度目の処理であるときと、2度目以降の処理であるときとで異なる基準で行われてもよい。すなわち、ステップS16の判定の基準は、これまで同じ利用者について行われたステップS12またはS16の回数に応じて異なるよう、設計されてもよい。
【0102】
ステップS20でYESと判定された場合において、ステップS11の処理の前に、出力部117が、利用者に対するメッセージを出力してもよい。このメッセージは生成部116が生成すればよい。メッセージは、ステップS21で表示されるメッセージと同内容のメッセージでもよい。メッセージは、「目を見開いてください。」「髪が目にかかっている可能性があります。髪を除けてください。」等、より適切な虹彩データが取得できるようにするためのアドバイスを表すメッセージでもよい。生成部116は、このようなアドバイスを表すメッセージを、適性判定部115により実行された処理の結果の一部に基づいて生成してもよい。
【0103】
[補足]適性判定部115によるステップS16の判定の基準のさらなる例
適性判定部115によるステップS16の判定の基準の例は、既にいくつか説明されたが、さらに以下に挙げる。
【0104】
適性判定部115は、虹彩データの取得が成功していないまま同じ利用者から撮影指示を受け付けた回数が所定値を超えている場合に、ステップS16において利用者が虹彩データの取得に適さないと判定してもよい。このような構成は、利用者が撮影を繰り返し受けても虹彩データの取得が成功しない可能性が高いことを検出するものであり、利用者によるさらなる虹彩データの取得の試みを抑止することに寄与する。
【0105】
適性判定部115は、虹彩データの取得が成功していないまま同じ利用者に対してアドバイスを表すメッセージが出力された回数が所定値を超えている場合に、ステップS16において利用者が虹彩データの取得に適さないと判定してもよい。このような構成は、利用者が改善努力をしないか、利用者の改善努力が報われていない可能性が高いことを検出するものであり、利用者によるさらなる虹彩データの取得の試みを抑止することに寄与する。
【0106】
なお、上記の所定値は、虹彩データの取得の失敗の種類や程度等に応じて異なって設定されていてもよい。例えば、ステップS13において障害物が虹彩の一部を隠していると判定された場合は、所定値は“4”に設定され、ステップS13において虹彩の位置が特定できないと判定された場合は、所定値は“2”に設定されてもよい。なお、このような判定のため、成功判定部114は、ステップS13において、失敗の種類や程度をメモリ119に記録するよう構成され得る。
【0107】
失敗の程度とは、失敗に寄与した原因の深刻さの尺度であり、例えば、虹彩データの取得が成功するための指標からの乖離の程度である。例えば、失敗の種類が、画像において見えている虹彩の面積が少ないことである場合、失敗の程度は、画像において見えている虹彩の領域の面積を標準値(標準的な正常の虹彩データを元に設定され得る)から引いた値で表されてもよい。失敗の程度を表す情報の例としては、他には、例えば、目が義眼である可能性の高さを示す値、虹彩にかかる障害物(まつげ)の量を示す値、および画像の不鮮明さを示す評価値、等が考えられる。
【0108】
適性判定部115は、ステップS13において判定される失敗について、その失敗の程度を、ステップS13の判定において使用したデータに基づいて算出し得る。また、適性判定部115は、ステップS13において判定される失敗の程度に応じたスコアを累積加算し、累積値が所定値を超えた場合に、利用者が虹彩データの取得に適していないと判定してもよい。例えば、成功判定部114は、ステップS13において虹彩の領域が十分でない場合に、画像において見えている虹彩の領域の面積を標準値から引いた値をスコアとして、メモリ119に記憶させる。そして、成功判定部114は、ステップS13において虹彩の領域が十分でないと判定される度に、スコアを累積する。適性判定部115は、ステップS16の判定において、累積値が所定値を超えているかを判定し、累積値が所定値を超えている場合、利用者が虹彩データの取得に適していないと判定し得る。なお、スコアは、上記のように累積値が所定値と比較される態様であれば、失敗の程度が甚だしいほど高い値となるよう設定される。また、特定の種類の失敗については一律のスコアが設定されてもよい。失敗の種類ごとに一律のスコアが設定されてもよい。
【0109】
適性判定部115は、最近の失敗の程度と、それ以前の失敗の程度との比較に基づき、ステップS16の判定を行ってもよい。例えば、撮影し直したにも関わらず失敗の程度が変化しない場合、取得に成功する見込みがないといえる。そこで、成功判定部114は、例えば、ステップS13において判定される失敗の程度をメモリ119に記録し得る。そして、適性判定部115は、ステップS16において、例えば、最近の失敗の程度と、その1つ前の失敗の程度とを比較し、その差が基準未満である(小さい)場合に、利用者が虹彩データの取得に適していないと判定してもよい。
【0110】
<効果>
第2の実施形態に係る虹彩データ取得装置11によれば、虹彩データを取得するシーンにおいて発生し得る無駄な行動や無駄な処理等を低減することができる。その理由は、第1の実施形態の説明で説明した理由と同様である。
【0111】
また、第2の実施形態では、利用者が虹彩データの取得に適していないかの判定が、利用者から取得される虹彩データの記録前に行われる。虹彩データ取得装置11が虹彩データベース21への虹彩データの登録時に利用される場合、利用者は虹彩データベース21に虹彩データが登録される前に、自身が虹彩データの取得に適していないことを知ることができる。それによって、早い段階で、虹彩データの取得に適していない利用者に虹彩認証の利用を諦めさせることができる。虹彩データ取得装置11が認証時に利用される場合、利用者には虹彩認証以外の別の認証方法による認証を早期に促すことができる。
【0112】
<実施形態の各部を実現するハードウェアの構成>
以上で説明された本発明の各実施形態において、各装置の各構成要素を示すブロックは、機能単位で示されている。しかし、構成要素を示すブロックは、各構成要素が別個のモジュールにより構成されることを必ずしも意味していない。
【0113】
各構成要素の処理は、例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体により記憶された、その処理をコンピュータシステムに実行させるプログラムを、読み出し、実行することによって、実現されてもよい。「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、および不揮発性半導体メモリ等の可搬媒体、ならびに、コンピュータシステムに内蔵されるROM(Read Only Memory)およびハードディスク等の記憶装置である。「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、コンピュータシステム内部の揮発性メモリのようにプログラムを一時的に保持可能なもの、および、ネットワークや電話回線等の通信回線のように、プログラムを伝送するものも含む。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0114】
「コンピュータシステム」とは、一例として、
図5に示されるようなコンピュータ900を含むシステムである。コンピュータ900は、以下のような構成を含む。
・1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)901
・ROM902
・RAM903
・RAM903へロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記憶媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
例えば、各実施形態における各装置の各構成要素は、その構成要素の機能を実現するプログラム904をCPU901がRAM903にロードして実行することで実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め、記憶装置905やROM902に格納される。そして、必要に応じてCPU901がプログラム904を読み出す。記憶装置905は、例えば、ハードディスクである。プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記憶媒体906に格納されており、ドライブ装置907に読み出され、CPU901に供給されてもよい。なお、記憶媒体906は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、および不揮発性半導体メモリ等の、可搬媒体である。
【0115】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ別個のコンピュータ900とプログラムとの可能な組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータ900とプログラムとの可能な組み合わせにより実現されてもよい。
【0116】
また、各装置の各構成要素の一部または全部は、その他の汎用または専用の回路、コンピュータ等やこれらの組み合わせによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。
【0117】
各装置の各構成要素の一部または全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合には、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、コンピュータや回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0118】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0119】
<<付記>>
[付記1]
顔画像を受け付ける受付手段と、
前記顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないかを、前記顔画像に基づいて判定する判定手段と、
前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定されたことに基づく情報を出力する出力手段と、
を備える情報提供装置。
[付記2]
前記出力手段は、前記情報として、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する、
付記1に記載の情報提供装置。
[付記3]
前記判定手段は、前記人物が虹彩データの取得に支障をきたす要因を有していることを前記顔画像から検出し、前記人物が虹彩データの取得に支障をきたす要因を有していることが検出された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記1または2に記載の情報提供装置。
[付記4]
前記判定手段は、前記人物のまぶたの形状に基づき、まぶたを開けることに関する前記要因を前記人物が有していることを検出することで、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記3に記載の情報提供装置。
[付記5]
前記顔画像から虹彩データの取得を試みる虹彩データ取得手段と、
前記虹彩データ取得手段により虹彩データが取得されたか、および、前記虹彩データ取得手段により取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分であるか、の判定を行う成功判定手段と、をさらに備え、
前記判定手段は、前記虹彩データ取得手段により虹彩データが取得できなかった場合、または取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分でないと前記成功判定手段により判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する、
付記1から4のいずれか一つに記載の情報提供装置。
[付記6]
前記出力手段は、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定されなかった場合、当該人物に対するメッセージを出力し、
前記メッセージの出力後に新たな顔画像が入力された場合、前記虹彩データ取得手段は当該新たな顔画像から虹彩データの取得を試み、前記成功判定手段は前記判定を行い、
前記判定手段は、前記人物から認証に使用するために十分な品質の虹彩データが一度も取得されていない場合において、前記人物に対して前記メッセージが出力された回数が閾値を超えている場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記5に記載の情報提供装置。
[付記7]
前記成功判定手段は、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった場合に、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった原因の深刻さを、前記判定に用いた情報に基づいて算出し、当該深刻さを表す深刻さ情報をメモリに記録し、
前記判定手段は、前記深刻さ情報の履歴に基づいて、前記人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する、
付記5に記載の情報提供装置。
[付記8]
撮影により顔画像を生成する撮影手段と、
品質が虹彩データを利用した認証処理のための所定の基準を満たす虹彩データが取得された場合に、取得された虹彩データと前記人物の識別情報との組をデータベースに登録する登録手段と、
をさらに備える付記1から7のいずれか一つに記載の情報提供装置。
[付記9]
顔画像を受け付け、
前記顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないかを、前記顔画像に基づいて判定し、
前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定されたことに基づく情報を出力する、
情報提供方法。
[付記10]
前記情報として、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する、
付記9に記載の情報提供方法。
[付記11]
前記人物が虹彩データの取得に支障をきたす要因を有していることを前記顔画像から検出し、前記人物が虹彩データの取得に支障をきたす要因を有していることが検出された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記9または10に記載の情報提供方法。
[付記12]
前記人物のまぶたの形状に基づき、まぶたを開けることに関する前記要因を前記人物が有していることを検出することで、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記11に記載の情報提供方法。
[付記13]
前記顔画像から虹彩データの取得を試み、
前記取得により虹彩データが取得されたか、および、前記取得により取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分であるかの判定を行い、
虹彩データが取得できなかった場合、または取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分でないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する、
付記9から12のいずれか一つに記載の情報提供方法。
[付記14]
前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定されなかった場合、当該人物に対するメッセージを出力し、
前記メッセージの出力後に新たな顔画像が入力された場合、当該新たな顔画像から虹彩データの取得を試み、前記判定を行い、
前記人物から認証に使用するために十分な品質の虹彩データが一度も取得されていない場合において、前記人物に対して前記メッセージが出力された回数が閾値を超えている場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記13に記載の情報提供方法。
[付記15]
認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった場合に、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった原因の深刻さを、前記判定に用いた情報に基づいて算出し、当該深刻さを表す深刻さ情報をメモリに記録し、
前記深刻さ情報の履歴に基づいて、前記人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する、
付記13に記載の情報提供方法。
[付記16]
品質が虹彩データを利用した認証処理のための所定の基準を満たす虹彩データが取得された場合に、取得された虹彩データと前記人物の識別情報との組をデータベースに登録する、
付記9から15のいずれか一つに記載の情報提供方法。
[付記17]
顔画像を受け付ける受付処理と、
前記顔画像に写る人物が虹彩データの取得に適していないかを、前記顔画像に基づいて判定する判定処理と、
前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定されたことに基づく情報を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記憶媒体。
[付記18]
前記出力処理は、前記情報として、前記人物が虹彩データの取得に適していないことを示す情報、および、前記人物による当該人物の虹彩データを取得させるための行動の中止を促す情報の、少なくともいずれかを出力する、
付記17に記載の記憶媒体。
[付記19]
前記判定処理は、前記人物が虹彩データの取得に支障をきたす要因を有していることを前記顔画像から検出し、前記人物が虹彩データの取得に支障をきたす要因を有していることが検出された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記17または18に記載の記憶媒体。
[付記20]
前記判定処理は、前記人物のまぶたの形状に基づき、まぶたを開けることに関する前記要因を前記人物が有していることを検出することで、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記19に記載の記憶媒体。
[付記21]
前記プログラムは、
前記顔画像から虹彩データの取得を試みる虹彩データ取得処理と、
前記虹彩データ取得処理により虹彩データが取得されたか、および、前記虹彩データ取得処理により取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分であるか、の判定を行う成功判定処理と、をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記判定処理は、前記虹彩データ取得処理により虹彩データが取得できなかった場合、または取得された虹彩データの品質が認証に使用するために十分でないと前記成功判定処理により判定された場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する、
付記17から20のいずれか一つに記載の記憶媒体。
[付記22]
前記出力処理は、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定されなかった場合、当該人物に対するメッセージを出力し、
前記メッセージの出力後に新たな顔画像が入力された場合、前記虹彩データ取得処理は当該新たな顔画像から虹彩データの取得を試み、前記成功判定処理は前記判定を行い、
前記判定処理は、前記人物から認証に使用するために十分な品質の虹彩データが一度も取得されていない場合において、前記人物に対して前記メッセージが出力された回数が閾値を超えている場合に、前記人物が虹彩データの取得に適していないと判定する、
付記21に記載の記憶媒体。
[付記23]
前記成功判定処理は、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった場合に、認証に使用するために十分な品質の虹彩データが取得されなかった原因の深刻さを、前記判定に用いた情報に基づいて算出し、当該深刻さを表す深刻さ情報をメモリに記録し、
前記判定処理は、前記深刻さ情報の履歴に基づいて、前記人物が虹彩データの取得に適していないかを判定する、
付記21に記載の記憶媒体。
[付記24]
前記プログラムは、
撮影により顔画像を生成する撮影処理と、
品質が虹彩データを利用した認証処理のための所定の基準を満たす虹彩データが取得された場合に、取得された虹彩データと前記人物の識別情報との組をデータベースに登録する登録処理と、
をさらに前記コンピュータに実行させる付記17から23のいずれか一つに記載の記憶媒体。
【0120】
本願発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。以上に説明した実施形態の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0121】
この出願は、2018年9月26日に出願された日本出願特願2018-181027を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0122】
10 情報提供装置
101 受付部
102 判定部
103 出力部
11 虹彩データ取得装置
111 制御部
112 撮影部
113 虹彩データ取得部
114 成功判定部
115 適性判定部
116 生成部
117 出力部
118 入力インタフェース
119 メモリ
21 虹彩データベース
900 コンピュータ
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 プログラム
905 記憶装置
906 記憶媒体
907 ドライブ装置
908 通信インタフェース
909 通信ネットワーク
910 入出力インタフェース
911 バス