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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】成分分析システムおよび成分検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/76 20060101AFI20231212BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20231212BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01N21/76
G01N30/88 G
G01N31/00 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022206085
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2020559681の分割
【原出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2023052048
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/045623
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】李 思旭
(72)【発明者】
【氏名】小櫻 優
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特許第7207422(JP,B2)
【文献】特開2015-059876(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139920(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/083794(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168599(WO,A1)
【文献】AGILENT TECHNOLOGIES,INC.,Agilent 8355 化学発光硫黄検出器 / Agilent 8255 化学発光窒素検出器 ユーザーマニュアル [オンライン],第3版,2015年12月,第35-60頁,[検索日 2019.02.25] インターネット: <URL:https://www.agilent.com/cs/library/usermanuals/public/Cop
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/75-G01N 21/84
G01N 30/00-G01N 30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離カラムを有するガスクロマトグラフと、
成分検出装置とを備え、
前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、
前記成分検出装置は、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを含み、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、
前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され
前記酸化還元炉は一方向に延びる長手形状を有し、
前記酸化還元炉と前記反応セルとは前記酸化還元炉の長手方向に交差する方向に並び、
前記酸化還元炉の長手方向に平行な方向において、前記反応セルは酸化還元炉の両端部の範囲内に位置する、成分分析システム。
【請求項2】
分離カラムを有するガスクロマトグラフと、
成分検出装置とを備え、
前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、
前記成分検出装置は、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを含み、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、
前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され、
前記酸化還元炉は、前記反応セルよりも上方に位置する、成分分析システム。
【請求項3】
前記化学反応は、前記分離カラムにより分離された試料成分に硫黄が含まれる場合に、前記酸化還元炉により還元された硫黄成分をオゾンで励起する化学反応である、請求項1または2記載の成分分析システム。
【請求項4】
前記酸化還元炉は、前記第1の流路が上流端から前記下流端にかけて第1の方向に延びるように形成され、
前記反応セルは、前記酸化還元炉に対して前記第1の方向に交差する第2の方向に並ぶように配置され、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、前記第2の流路を介して接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載の成分分析システム。
【請求項5】
前記反応セルは、前記導入部が前記第1の方向に向くように配置される、請求項記載の成分分析システム。
【請求項6】
前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記第1の流路の前記下流端と前記反応セルの前記導入部とが前記第1の方向に直交する共通の面内に位置するように配置される、請求項記載の成分分析システム。
【請求項7】
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、前記第2の流路を介して接続され、
前記第2の流路は、前記第1の流路の前記下流端および前記反応セルの前記導入部に着脱可能に設けられた、請求項1~3のいずれか一項に記載の成分分析システム。
【請求項8】
前記酸化還元炉は、前記第1の流路が上流端から前記下流端にかけて一方向に延びるように形成され、
前記反応セルは、前記酸化還元炉に対して前記一方向に並ぶようにかつ前記導入部が前記第1の流路の前記下流端に対向するように配置される、請求項2または3記載の成分分析システム。
【請求項9】
前記第1の流路の前記下流端と前記反応セルの前記導入部とは、前記第2の流路を介して接続され、
前記第2の流路の長さは、100cm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の成分分析システム。
【請求項10】
分離カラムを有するガスクロマトグラフとともに用いられる成分検出装置であって、
前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを備え、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、
前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され
前記酸化還元炉は一方向に延びる長手形状を有し、
前記酸化還元炉と前記反応セルとは前記酸化還元炉の長手方向に交差する方向に並び、
前記酸化還元炉の長手方向に平行な方向において、前記反応セルは酸化還元炉の両端部の範囲内に位置する、成分検出装置。
【請求項11】
分離カラムを有するガスクロマトグラフとともに用いられる成分検出装置であって、
前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを備え、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、
前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され、
前記酸化還元炉は、前記反応セルよりも上方に位置する、成分検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料成分を検出する成分分析システムおよび成分検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光を伴う化学反応を利用して試料中の硫黄(S)成分を検出する化学発光硫黄検出器(SCD:Sulfur Chemiluminesence Detector)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたSCDにおいては、ガスクロマトグラフの分離カラムにより分離された試料中の硫黄成分を含む気体が、酸化装置(酸化還元炉)により酸化されて還元される。これにより、試料中の硫黄成分から一酸化硫黄(SO)が生成される。生成された一酸化硫黄は、酸化装置から移送管を通して反応セルに導入される。
【0004】
ここで、酸化装置は、ガスクロマトグラフのケーシングの上面上に取り付けられ、その上面から上方に向かって延びるように設けられている。一方、反応セルはガスクロマトグラフのケーシングの側方に設けられている。移送管は、140cm~200cm程度の長さを有し、酸化装置の上端部と反応セルとをつなぐように設けられている。
【0005】
反応セルにおいては、一酸化硫黄とともにオゾン(O)が導入され、一酸化硫黄とオゾンとが反応することにより、二酸化硫黄(SO)の励起種が生成される。その二酸化硫黄が基底状態に遷移する際に発生する光が光検出器により検出される。検出された光の強度に基づいて、試料中の硫黄含有量が定量される。
【文献】特開2015-59876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、試料成分を高い精度で検出することを可能にする成分分析システムおよび成分検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、分離カラムを有するガスクロマトグラフと、成分検出装置とを備え、前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、前記成分検出装置は、前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを含み、前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され、前記酸化還元炉は一方向に延びる長手形状を有し、前記酸化還元炉と前記反応セルとは前記酸化還元炉の長手方向に交差する方向に並び、前記酸化還元炉の長手方向に平行な方向において、前記反応セルは酸化還元炉の両端部の範囲内に位置する、成分分析システムに関する。
【0008】
本発明の第2の態様は、分離カラムを有するガスクロマトグラフと、成分検出装置とを備え、前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、前記成分検出装置は、前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを含み、前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され、前記酸化還元炉は、前記反応セルよりも上方に位置する、成分分析システムに関する。
【0009】
本発明の第3の態様は、分離カラムを有するガスクロマトグラフとともに用いられる成分検出装置であって、前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを備え、前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され、前記酸化還元炉は一方向に延びる長手形状を有し、前記酸化還元炉と前記反応セルとは前記酸化還元炉の長手方向に交差する方向に並び、前記酸化還元炉の長手方向に平行な方向において、前記反応セルは酸化還元炉の両端部の範囲内に位置する、成分検出装置に関する。
【0010】
本発明の第4の態様は、分離カラムを有するガスクロマトグラフとともに用いられる成分検出装置であって、前記分離カラムは、複数の外面を有するカラムケーシング内に収容され、前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを備え、前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続され、前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記カラムケーシングの前記複数の外面のうちの一の外面に、ともに対向配置され、前記酸化還元炉は、前記反応セルよりも上方に位置する、成分検出装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試料成分を高い精度で検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施の形態に係る成分分析システムの構成を示す図である。
図2図2は実施例および比較例に係るSCDの絶対感度の比較結果を示す図である。
図3図3は実施例および比較例に係るSCDのS/N比の比較結果を示す図である。
図4図4は実施例および比較例に係るSCDの最小検出量の比較結果を示す図である。
図5図5は実施例および比較例に係るSCDの硫黄成分の選択性の比較結果を示す図である。
図6図6は酸化還元炉および反応セルの第1の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図7図7は酸化還元炉および反応セルの第2の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図8図8は酸化還元炉および反応セルの第3の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図9図9は酸化還元炉および反応セルの第4の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図10図10は酸化還元炉および反応セルの第5の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図11図11は酸化還元炉および反応セルの第6の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図12図12は酸化還元炉および反応セルの第7の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図13図13は酸化還元炉および反応セルの第8の配置例を説明するための模式的斜視図である。
図14図14は第2の配置例において第1の導入部が酸化還元炉を向くように設けられた状態を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
SCDにおいては、試料中の硫黄成分が酸化および還元されることにより一酸化硫黄(SO)が生成される。ここで生成される一酸化硫黄は、化学的に不安定である。本発明者は、この点に着目し、酸化還元炉から反応セルに到達するまでの一酸化硫黄の変質についてシミュレーションを行った。その結果、生成された一酸化硫黄は、酸化還元炉から反応セルに至る流路(上記の移送管)を通過する時間(以下、移送時間と呼ぶ。)が長いほど、硫化水素(HS)等の他の硫黄化合物へ変質することがわかった。
【0014】
変質により得られる他の硫黄化合物は、反応セルに導入されてオゾン(O)と反応しても、一酸化硫黄に比べて励起状態になりにくい。そのため、反応セルにおいて、一酸化硫黄以外の硫黄化合物は光の発生にほとんど寄与しない。これらのシミュレーションおよび検討の結果、本発明者は、酸化還元炉から反応セルに至るガスの移送時間を短くすることにより、より多くの一酸化硫黄を反応セルに導入することが可能となるという知見を得た。本発明者は、この知見から、特許文献1に記載された構成を有するSCDには、硫黄成分の検出精度を向上させる余地があることを見出した。
【0015】
以下、実施の形態に係る成分分析システムおよび成分検出装置について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
[1]成分分析システムの基本構成
図1は実施の形態に係る成分分析システムの構成を示す図である。本実施の形態に係る成分分析システム1は、試料中の硫黄成分(硫黄化合物)を分析可能に構成され、ガスクロマトグラフ2および成分検出装置3を備える。
【0017】
ガスクロマトグラフ2は、試料導入部10およびカラムオーブン11を含む。カラムオーブン11は、カラムケーシング11C内に分離カラム12および図示しない加熱装置が設けられた構成を有する。分離カラム12の上流端は試料導入部10に接続されている。分離カラム12の下流端は、カラムケーシング11Cの外部に引き出されている。試料導入部10は、いわゆる気化室であり、分離カラム12へ供給されるキャリアガスに硫黄成分および溶剤を含む試料を注入する。
【0018】
本実施の形態に係る成分検出装置3は、化学発光硫黄検出器(SCD:Sulfur Chemiluminesence Detector)である。成分検出装置3は、酸化還元炉20、反応セル30、光検出器40、制御部50、フローコントローラ60、オゾン発生器70、スクラバ80およびポンプ90を含む。また、成分検出装置3は、これらの複数の構成要素を収容する検出装置ケーシング3Cを含む。
【0019】
酸化還元炉20は、流路形成部材21および図示しない加熱装置を含む。流路形成部材21は、複数の管状部材により一方向に直線状に延びるように構成され、上流端21Uおよび下流端21Lを有する。流路形成部材21により形成されるガス流路が、第1の流路に相当する。流路形成部材21の上流端21Uは、分離カラム12の下流端に接続されている。酸化還元炉20においては、上流端21Uに硫黄成分を含む試料が導入されることにより、一酸化硫黄(SO)が生成される。酸化還元炉20において発生する化学反応の詳細は後述する。なお、酸化還元炉20は、図示しない断熱材により覆われた状態で検出装置ケーシング3C内に配置される。
【0020】
反応セル30は、第1の導入部31、第2の導入部32および導出部33を有する。第1の導入部31は、移送管TL0を介して流路形成部材21の下流端21Lに接続されている。移送管TL0により形成されるガス流路が、第2の流路に相当する。移送管TL0は、例えばフレキシブル性を有する樹脂配管により形成されている。
【0021】
本実施の形態において、移送管TL0の長さは、酸化還元炉20において生成される一酸化硫黄が酸化還元炉20から反応セル30に到達するまでの間に許容される程度を超えて変質しないように定められ、例えば100cm以下である。移送管TL0の長さは、70cm以下であることが好ましく、55cm以下であることがより好ましい。また、移送管TL0の長さは、流路形成部材21の長さよりも短くなるように定められてもよい。
【0022】
なお、図1の例では、移送管TL0が検出装置ケーシング3Cの外部に位置するように設けられているが、移送管TL0は、少なくとも一部が検出装置ケーシング3Cの内部に位置するように設けられてもよい。さらに、本実施の形態においては、流路形成部材21の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とが直接接続されてもよい。この場合、移送管TL0は不要となる。
【0023】
第2の導入部32は、移送管TL1を介してオゾン発生器70に接続されている。導出部33には、排気管ELが接続されている。排気管ELには、上流から下流に向かってスクラバ80およびポンプ90がこの順で設けられている。ポンプ90は、ガスクロマトグラフ2の分離カラム12において分離された試料成分を、排気管EL、反応セル30、移送管TL0および流路形成部材21を通してキャリアガスとともに吸引する。スクラバ80は、排気管ELを流れるガスからオゾンを除去する。
【0024】
フローコントローラ60には、図示しない窒素供給源、酸素供給源および水素供給源から、窒素(N)、酸素(O)および水素(H)が供給される。フローコントローラ60は、供給された窒素、酸素および水素を酸化還元炉20の互いに異なる部分に供給する。流路形成部材21においては、上流から下流に向かって窒素の供給部分、酸素の供給部分および水素の供給部分がこの順に並ぶ。以下の説明では、流路形成部材21における酸素の供給部分および水素の供給部分をそれぞれ酸化部22および還元部23と呼ぶ。
【0025】
フローコントローラ60は、さらに酸素供給源から供給された酸素をオゾン発生器70に供給する。この場合、オゾン発生器70は、供給された酸素からオゾン(O)を生成し、生成されたオゾンを移送管TL1を通して反応セル30の第2の導入部32に供給する。
【0026】
反応セル30に近接するように光検出器40が設けられている。反応セル30と光検出器40との間には、光学フィルタFが設けられている。光学フィルタFは、特定の波長領域の光を透過させ、他の波長領域の光を透過させない。本実施の形態において、特定の波長領域は、オゾンと一酸化硫黄とが反応することにより発生する光(二酸化硫黄が基底状態に遷移する際に発生する光)の波長を含むように定められる。
【0027】
光検出器40は、例えば光電子倍増管(PMT:Photomultiplier Tube)であり、反応セル30で発生しかつ光学フィルタFを通過する光を検出する。また、光検出器40は、検出した光の光量に応じた検出信号を制御部50に与える。
【0028】
制御部50は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータからなり、成分検出装置3の各構成要素を制御する。制御部50は、さらに、光検出器40から与えられる検出信号に基づいてクロマトグラムを生成する。これにより、生成されたクロマトグラムを用いてガスクロマトグラフ2に注入された試料中の硫黄成分の濃度等を算出することが可能になる。
【0029】
上記の成分検出装置3においては、ポンプ90が動作することにより、分離カラム12により分離された硫黄成分を含むキャリアガス(以下、対象ガスと呼ぶ。)が酸化還元炉20の流路形成部材21内に導入される。流路形成部材21に導入された対象ガスは、上流端21Uの近傍でフローコントローラ60から供給される窒素と混合されつつ酸化部22へ流れる。窒素は、対象ガスについての後述する酸化還元反応を促進するため、および成分検出装置3内のガス流路の汚染を低減するために用いられる。なお、酸化還元炉20には、窒素は供給されなくてもよい。あるいは、酸化還元炉20には、窒素に代えてアルゴン(Ar)等の他の不活性ガスが供給されてもよい。
【0030】
酸化部22においては、フローコントローラ60から供給される酸素により対象ガスの硫黄成分が高温(例えば約1000℃)で酸化される。それにより、二酸化硫黄(SO)が生成される。二酸化硫黄を含む対象ガスは還元部23へ流れる。還元部23においては、フローコントローラ60から供給される水素により二酸化硫黄が高温(例えば約850℃)で還元される。それにより、不安定な一酸化硫黄(SO)が生成される。一酸化硫黄を含む対象ガスは、流路形成部材21の下流端21Lから移送管TL0を通して反応セル30の第1の導入部31へ流れる。
【0031】
反応セル30においては、第1の導入部31から導入される対象ガスと、オゾン発生器70により第2の導入部32から導入されるオゾンとが混合される。そこで、一酸化硫黄とオゾンとの反応により、二酸化硫黄(SO)の励起種が生成される。生成された二酸化硫黄は、基底状態に遷移する。この際に発生する光が、光学フィルタFを通して光検出器40により検出される。光検出器40から出力される検出信号に基づいて、ガスクロマトグラフ2に導入された試料についてのクロマトグラムが生成される。
【0032】
反応セル30内の雰囲気にはオゾンが含まれる。そこで、反応セル30内の雰囲気は、スクラバ80によりオゾンが除去されて無害化されつつ排気管ELを通して成分検出装置3の外部に排出される。
【0033】
[2]酸化還元炉20から反応セル30に至るガス流路の長さ
上記のように、本実施の形態に係る成分検出装置3においては、酸化還元炉20の上流端21Uと反応セル30の第1の導入部31とが、100cm以下の長さを有する移送管TL0を介して接続されるかまたは直接接続される。
【0034】
この構成によれば、成分検出装置3による試料の硫黄成分の検出時に、酸化還元炉20において発生される一酸化硫黄が比較的短時間で反応セル30に導入される。それにより、酸化還元炉20において生成される一酸化硫黄が、許容される程度を超えて変質することなく反応セル30に到達する。その結果、試料中の硫黄成分を高い精度で検出することが可能になる。本発明者は、この効果を確認するために、以下の試験および評価を行った。
【0035】
本発明者は、酸化還元炉と反応セルとが55cmの長さを有する移送管で接続されたSCDを実施例に係るSCDとして用意した。一方、本発明者は、酸化還元炉と反応セルとが150cmの長さを有する移送管で接続されたSCDを比較例に係るSCDとして用意した。
【0036】
次に、本発明者は、同一の試料について硫黄成分の検出を、実施例および比較例に係るSCDを用いて10回ずつ繰り返し行った。各検出結果から以下の評価を行った。
【0037】
まず、本発明者は、実施例および比較例に係るSCDの検出結果から、両者の絶対感度を比較した。図2は実施例および比較例に係るSCDの絶対感度の比較結果を示す図である。図2のグラフにおいては、縦軸が絶対感度を表し、横軸が検出回数を表す。また、図2では、丸印が実施例に対応し、×印が比較例に対応する。絶対感度は、各SCDによる硫黄成分の検出ごとに、各SCDにより生成されるクロマトグラムから試料中の硫黄成分に対応するピークを抽出し、そのピークの面積値を算出することにより求めた。図2のグラフによれば、実施例のSCDの絶対感度は、1回目から10回目までの全ての回において比較例のSCDの絶対感度よりも高い。
【0038】
また、本発明者は、実施例および比較例に係るSCDの検出結果から、両者の光検出器により出力される検出信号についてS/N(信号/ノイズ)比を比較した。図3は実施例および比較例に係るSCDのS/N比の比較結果を示す図である。図3のグラフにおいては、縦軸がS/N比を表し、横軸が検出回数を表す。また、図3では、丸印が実施例に対応し、×印が比較例に対応する。S/N比は、各SCDによる硫黄成分の検出ごとに、生成されたクロマトグラムについてASTM(American Society for Testing and Materials)に規定されるノイズの算出方法を適用することにより算出した。図3のグラフによれば、実施例のSCDにより得られる検出信号のS/N比は、1回目から10回目までの全ての回において比較例のSCDにより得られる検出信号のS/N比よりも高い。
【0039】
また、本発明者は、実施例および比較例に係るSCDの各検出結果から、両者において単位時間当たりに検出可能と考えられる硫黄成分の最小量(以下、最小検出量と呼ぶ。)を比較した。図4は実施例および比較例に係るSCDの最小検出量の比較結果を示す図である。図4のグラフにおいては、縦軸が最小検出量を表し、横軸が検出回数を表す。また、図4では、丸印が実施例に対応し、×印が比較例に対応する。最小検出量は、各SCDによる硫黄成分の検出ごとに、生成されたクロマトグラムに基づいて算出した。図4のグラフによれば、実施例のSCDの最小検出量は、1回目から10回目までの全ての回において比較例のSCDの最小検出量よりも低い。
【0040】
さらに、本発明者は、実施例および比較例に係るSCDの各検出結果から、両者における硫黄成分の選択性を比較した。図5は実施例および比較例に係るSCDの硫黄成分の選択性の比較結果を示す図である。図5のグラフにおいては、縦軸が選択性を表し、横軸が検出回数を表す。また、図5では、丸印が実施例に対応し、×印が比較例に対応する。選択性は、各SCDによる硫黄成分の検出ごとに、生成されたクロマトグラムから硫黄成分および試料の溶媒成分にそれぞれ対応するピークを抽出し、硫黄成分のピークの面積値を溶媒成分のピークの面積値で除算することにより求めた。図5のグラフによれば、実施例のSCDにおける硫黄成分の選択性は、1回目から10回目までの全ての回において比較例のSCDにおける硫黄成分の選択性よりも高い。
【0041】
上記の試験および評価結果から、55cmの移送管を用いる場合には、150cmの移送管を用いる場合に比べて、硫黄成分の検出感度、S/N比、最小検出量および選択性に関する特性が向上することが確認された。
【0042】
[3]酸化還元炉20および反応セル30の複数の配置例
本実施の形態では、酸化還元炉20の上流端21Uと反応セル30の第1の導入部31との間のガス流路の長さを短くするために、酸化還元炉20および反応セル30が一の検出装置ケーシング3C内に収容されている。
【0043】
ここで、本例の検出装置ケーシング3Cは、略直方体形状を有し、互いに異なる方向を向く6つの外面を有する。検出装置ケーシング3Cの6つの外面のうち1つの外面は、成分分析システム1の使用時に、使用者に対向するように配置される。この外面を検出装置ケーシング3Cの前面と呼び、前面に平行でかつ前面に対向する外面を後面と呼ぶ。また、検出装置ケーシング3C内の中心部から前面を見た状態で、当該中心部の右方に位置する外面を右側面と呼び、当該中心部の左方に位置する外面を左側面と呼ぶ。さらに、検出装置ケーシング3Cにおいて、上方を向く外面を上面と呼び、下方を向く外面を下面と呼ぶ。
【0044】
また、以下の説明では、検出装置ケーシング3C内の中心部を基準として、前面を向く方向、後面を向く方向、右側面を向く方向、左側面を向く方向、上面を向く方向および下面を向く方向を、それぞれ成分検出装置3の前方、後方、右方、左方、上方および下方と呼ぶ。
【0045】
以下、検出装置ケーシング3C内部における酸化還元炉20および反応セル30の複数の配置例について説明する。
【0046】
(a)第1の配置例
図6は酸化還元炉20および反応セル30の第1の配置例を説明するための模式的斜視図である。図6および後述する図7図14においては、検出装置ケーシング3Cが一点鎖線で示されるとともに、酸化還元炉20および反応セル30が実線で示される。また、成分検出装置3における前方DF、後方DB、右方DR、左方DL、上方DUおよび下方DDを示す3つの矢印が示される。
【0047】
第1の配置例においては、酸化還元炉20および反応セル30は、検出装置ケーシング3C内で前後方向に並ぶ。具体的には、酸化還元炉20は、反応セル30の前方DFに位置する。また、酸化還元炉20は、上流端21Uが右方DRを向き、下流端21Lが左方DLを向くように左右方向に延びる。このように、第1の配置例では酸化還元炉20および反応セル30が並ぶ方向に対して、酸化還元炉20の長手方向が交差している。反応セル30は、第1の導入部31が左方DLを向く。この配置によれば、下流端21Lの向く方向と第1の導入部31の向く方向とが一致するので、移送管TL0の長さをより短くすることができる。
【0048】
また、酸化還元炉20の上流端21Uが右方DRを向くので、成分検出装置3の右方DRにガスクロマトグラフ2を配置することにより、ガスクロマトグラフ2および成分検出装置3間のガス流路の長さを短くすることができる。
【0049】
また、第1の配置例においては、酸化還元炉20の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とが酸化還元炉20の長手方向に直交する共通の面(本例では、左側面sd)内に配置される。それにより、移送管TL0の長さをさらに短くすることができる。
【0050】
第1の配置例においては、酸化還元炉20が反応セル30と同じ高さに位置する。この場合、酸化還元炉20において発生する熱により加熱された雰囲気が上昇する場合でも、反応セル30に近接して設けられる光検出器40(図1)が酸化還元炉20において発生する熱の影響を受けにくい。したがって、熱による光検出器40の検出精度の低下が抑制されるとともに短寿命化が抑制される。
【0051】
移送管TL0は、検出装置ケーシング3Cの外部において酸化還元炉20の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とに着脱可能に設けられることが好ましい。この場合、検出装置ケーシング3Cの外部から酸化還元炉20および反応セル30のメンテナンスを行うことが可能になる。具体的には、流路形成部材21内部の洗浄、流路形成部材21の交換または反応セル30内の洗浄等を行うことができる。したがって、成分検出装置3のメンテナンス性が向上する。
【0052】
ここで、酸化還元炉20において、酸化に適した温度(約1000℃)は還元に適した温度(約850℃)よりも高い。この点に関して、第1の配置例においては、酸化還元炉20の流路形成部材21が左右方向に延びるので、酸化還元炉20における酸化部22および還元部23が左右方向に並ぶ。この場合、還元部23が酸化部22の上方DUに位置しないので、還元部23の温度環境が酸化部22の周囲で加熱された雰囲気の影響を受けにくい。すなわち、還元部23の温度が酸化部22の温度により過剰に上昇しない。したがって、流路形成部材21における酸化還元反応が適切に行われる。
【0053】
なお、第1の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が左右方向に直交する鉛直面を基準として反転されてもよい(左右方向の反転)。この場合、酸化還元炉20の上流端21Uが左方DLを向く。それにより、成分検出装置3の左方DLにガスクロマトグラフ2を配置することにより、ガスクロマトグラフ2および成分検出装置3間のガス流路の長さを短くすることができる。
【0054】
また、第1の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が前後方向に直交する鉛直面を基準として反転されてもよい(前後方向の反転)。すなわち、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0055】
(b)第2の配置例
図7は酸化還元炉20および反応セル30の第2の配置例を説明するための模式的斜視図である。第2の配置例は、酸化還元炉20が上下方向に延びるように設けられる点が第1の配置例と異なる。具体的には、酸化還元炉20は、反応セル30の前方DFの位置で、上流端21Uが下方DDを向き、下流端21Lが上方DUを向くように上下方向に延びる。本例においても、酸化還元炉20および反応セル30が並ぶ方向に対して、酸化還元炉20の長手方向は交差している。反応セル30は、第1の導入部31が上方DUを向く。この配置によれば、下流端21Lの向く方向と第1の導入部31の向く方向とが一致するので、移送管TL0の長さをより短くすることができる。
【0056】
また、酸化還元炉20の上流端21Uが下方DDを向くので、成分検出装置3の下方DDにガスクロマトグラフ2を配置することにより、ガスクロマトグラフ2および成分検出装置3間のガス流路の長さを短くすることができる。
【0057】
本例においても、第1の配置例と同様に、酸化還元炉20の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とが酸化還元炉20の長手方向に直交する共通の面(本例では、上面se)内に配置される。それにより、移送管TL0の長さをさらに短くすることができる。
【0058】
また、第1の配置例と同様に、移送管TL0は、検出装置ケーシング3Cの外部において酸化還元炉20の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とに着脱可能に設けられることが好ましい。それにより、成分検出装置3のメンテナンス性が向上する。
【0059】
なお、第2の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が前後方向に直交する鉛直面を基準として反転されてもよい(前後方向の反転)。すなわち、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0060】
また、第2の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が水平面を基準として反転されてもよい(上下方向の反転)。この場合、酸化還元炉20において、酸化部22が還元部23よりも上方に位置することになる。それにより、還元部23の温度環境が酸化部22の周囲で加熱された雰囲気の影響を受けにくい。したがって、流路形成部材21における酸化還元反応が適切に行われる。
【0061】
(c)第3の配置例
図8は酸化還元炉20および反応セル30の第3の配置例を説明するための模式的斜視図である。図8に示すように、第3の配置例は、酸化還元炉20および反応セル30が検出装置ケーシング3C内で上下方向に並ぶ点が第1の配置例と異なる。本例においても、酸化還元炉20および反応セル30が並ぶ方向に対して、酸化還元炉20の長手方向は交差している。具体的には、図8の例では、酸化還元炉20が反応セル30の上方に位置する。この場合、酸化還元炉20において発生する熱が光検出器40(図1)に及ぼす影響をより低減することができる。この点を除いて、図8に示される第3の配置例によれば、第1の配置例と同様の効果を得ることができる。
【0062】
なお、第3の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が左右方向に直交する鉛直面を基準として反転されてもよい(左右方向の反転)。
【0063】
また、第3の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が水平面を基準として反転されてもよい(上下方向の反転)。すなわち、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0064】
(d)第4の配置例
図9は酸化還元炉20および反応セル30の第4の配置例を説明するための模式的斜視図である。第4の配置例は、酸化還元炉20および反応セル30が検出装置ケーシング3C内で左右方向に並ぶ点が第2の配置例と異なる。本例においても、酸化還元炉20および反応セル30が並ぶ方向に対して、酸化還元炉20の長手方向は交差している。具体的には、酸化還元炉20が反応セル30の右方DRに位置する。本例においても、第2の配置例と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、第4の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が左右方向に直交する鉛直面を基準として反転されてもよい(左右方向の反転)。すなわち、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0066】
また、第4の配置例においては、検出装置ケーシング3C内における酸化還元炉20および反応セル30の位置が水平面を基準として反転されてもよい(上下方向の反転)。
【0067】
(e)第5の配置例
図10は酸化還元炉20および反応セル30の第5の配置例を説明するための模式的斜視図である。第5の配置例は、酸化還元炉20が左右方向に延びるように設けられる点が第4の配置例と異なる。本例では、酸化還元炉20および反応セル30が並ぶ方向と酸化還元炉20の長手方向とが平行であり一致している。さらに、本例では、反応セル30は、第1の導入部31が酸化還元炉20の下流端21Lに対向するように配置される。この構成によれば、移送管TL0の長さをより短くすることができる。なお、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0068】
(f)第6の配置例
図11は酸化還元炉20および反応セル30の第6の配置例を説明するための模式的斜視図である。第6の配置例は、酸化還元炉20が上下方向に延びるように設けられる点が第3の配置例と異なる。本例では、酸化還元炉20および反応セル30が並ぶ方向と酸化還元炉20の長手方向とが平行であり一致している。さらに、本例では、反応セル30は、酸化還元炉20に対して上下方向に並ぶようにかつ第1の導入部31が酸化還元炉20の下流端21Lに対向するように配置される。この構成によれば、移送管TL0の長さをより短くすることができる。なお、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0069】
(g)第7の配置例
図12は酸化還元炉20および反応セル30の第7の配置例を説明するための模式的斜視図である。第7の配置例は、酸化還元炉20の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とが直接接続される点が第5の配置例と異なる。この構成によれば、酸化還元炉20において生成される一酸化硫黄が変質することなく反応セル30に導入される。なお、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0070】
(h)第8の配置例
図13は酸化還元炉20および反応セル30の第8の配置例を説明するための模式的斜視図である。第8の配置例は、酸化還元炉20の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とが直接接続される点が第6の配置例と異なる。この構成によれば、酸化還元炉20において生成される一酸化硫黄が変質することなく反応セル30に導入される。なお、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。
【0071】
(i)その他
上記の第1~4の配置例において、反応セル30の第1の導入部31は、酸化還元炉20の下流端21Lが向く方向とは異なる方向に向くように設けられてもよい。この場合、第1の導入部31は、酸化還元炉20を向くように設けられることが好ましい。図14は第3の配置例において第1の導入部31が酸化還元炉20を向くように設けられた状態を示す模式的斜視図である。
【0072】
図14の例では、反応セル30が酸化還元炉20の下方に配置されている。また、反応セル30には、酸化還元炉20を向くように第1の導入部31が設けられている。これにより、第1の導入部31が酸化還元炉20を向かないように設けられる場合に比べて、移送管TL0の長さを短くすることができる。
【0073】
なお、本例においても、酸化還元炉20および反応セル30の位置が入れ替えられてもよい。また、本例においても、移送管TL0は、検出装置ケーシング3Cの外部において酸化還元炉20の下流端21Lに着脱可能に設けられることが好ましい。それにより、酸化還元炉20のメンテナンスが可能になる。
【0074】
上記の第1~第8の配置例では、酸化還元炉20は、検出装置ケーシング3C内で上下方向または左右方向に延びるように設けられているが、酸化還元炉20は検出装置ケーシング3C内で前後方向に延びるように設けられてもよい。この場合、左右方向および上下方向における検出装置ケーシング3Cのサイズを低減することができる。
【0075】
[4]効果
(a)本実施の形態に係る成分検出装置3においては、酸化還元炉20および反応セル30が一の検出装置ケーシング3Cに収容されるので、酸化還元炉20と反応セル30との間の距離を短くすることができる。それにより、酸化還元炉20の下流端21Lと反応セル30の第1の導入部31とを、互いに接続することまたは比較的短い長さを有する移送管TL0を介して接続することが可能である。この場合、酸化還元炉20において還元された一酸化硫黄の大部分が反応セル30に到達するまでの間に変質しないように、一酸化硫黄の移送時間を低減することができる。したがって、反応セル30において、硫黄成分の検出に要する化学反応を安定して発生させることが可能になる。その結果、分離カラム12により分離された硫黄成分を高い精度で検出することが可能になる。
【0076】
(b)酸化還元炉20においては、分離カラム12から多量の溶剤(有機物)が導入される際に、溶剤に起因してOHラジカルおよびCHラジカル等の化合物も生成される場合がある。OHラジカルおよびCHラジカルは、反応セル30においてオゾンと反応することにより、光を発生する。これらの光の波長は、一酸化硫黄がオゾンと反応することにより発生する光の波長に近い。そのため、OHラジカルおよびCHラジカルの反応により発生する光は、光学フィルタFを通して光検出器40により検出されることになる。したがって、反応セル30に到達する一酸化硫黄に比べてOHラジカルおよびCHラジカルが多いと、SCDのS/N比が低下する。
【0077】
また、本発明者は、酸化還元炉20により生成された一酸化硫黄およびOHラジカルの単位時間当たりの変質の程度についてシミュレーションを行った。その結果、一酸化硫黄の変質の程度は、OHラジカルの変質の程度に比べて大きいことが確認された。すなわち、一酸化硫黄は、酸化還元炉において溶剤に起因して生成されるOHラジカルに比べて反応セルへの移送中に変質しやすいことが確認された。このことは、酸化還元炉20から反応セル30までの移送時間が長くなるほど、硫黄成分の選択性が低下することを意味する。
【0078】
これらの点に関して、本実施の形態に係る成分検出装置3によれば、酸化還元炉20から反応セル30までの移送時間が十分に短くなる。したがって、移送時における一酸化硫黄の変質が抑制されるので、SCDにおける硫黄検出のS/N比の低下および硫黄成分の選択性の低下が抑制される。その結果、高い精度で試料中の硫黄成分を検出することが可能となっている。
【0079】
[5]他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、酸化還元炉20から反応セル30に至るガス流路を短くするために、酸化還元炉20と反応セル30とが一の検出装置ケーシング3C内に収容されるが、実施の形態はこれに限定されない。酸化還元炉20から反応セル30に至るガス流路の長さが100cm以下となるのであれば、酸化還元炉20と反応セル30とは、互いに異なるケーシングに収容されてもよい。この場合においても、酸化還元炉20から反応セル30に至るガス流路の長さが100cm以下であることにより、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
(b)上記実施の形態では、成分検出装置3がSCDである例について説明したが、本実施の形態に係る成分検出装置3は試料中の窒素成分を検出する化学発光窒素検出器(NCD:Nitrogen Chemiluminesence Detector)に適用することもできる。
【0081】
この場合、酸化還元炉20においては、試料中の窒素成分が酸化および還元されることにより一酸化窒素が生成される。生成された一酸化窒素が、上記の移送管TL0を通してまたは直接反応セル30に導入される。それにより、酸化還元炉20から反応セル30への移送時における一酸化窒素の変質が抑制される。その結果、試料中の窒素成分を高い精度で検出することが可能になる。
【0082】
なお、成分検出装置3がNCDに適用される場合、図1の光学フィルタFが透過させる特定の波長領域は、オゾンと一酸化窒素とが反応することにより発生する光(二酸化窒素が基底状態に遷移する際に発生する光)の波長を含むように定められる。
【0083】
(c)上記実施の形態では、一の検出装置ケーシング3C内に、酸化還元炉20、反応セル30、光検出器40、制御部50、フローコントローラ60、オゾン発生器70、スクラバ80およびポンプ90が収容されるが、実施の形態はこれに限定されない。制御部50、フローコントローラ60、オゾン発生器70、スクラバ80およびポンプ90のうち少なくとも一部が、検出装置ケーシング3Cの外部に設けられてもよい。
【0084】
[6]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明する。上記実施の形態においては、流路形成部材21により形成されるガス流路が第1の流路の例であり、反応セル30の第1の導入部31が反応セルの導入部の例であり、検出装置ケーシング3Cが保持部材の例であり、流路形成部材21の下流端21Lが第1の流路の下流端の例であり、移送管TL0により形成されるガス流路が第2の流路の例である。
【0085】
また、左方DLまたは右方DRが第1の方向および一方向の例であり、前方DFまたは後方DBが第2の方向の例であり、右側面sc、左側面sdまたは上面seが共通の面の例である。
【0086】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0087】
[7]態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0088】
(第1項)一態様に係る成分分析システムは、
分離カラムを有するガスクロマトグラフと、
成分検出装置とを備え、
前記成分検出装置は、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器と、
前記酸化還元炉および前記反応セルを保持する保持部材とを含み、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続されていてよい。
【0089】
その成分分析システムにおいては、分離カラムにより分離された試料成分が成分検出装置により検出される。成分検出装置においては、酸化還元炉および反応セルが保持部材により一体として保持されるので、酸化還元炉と反応セルとの間の距離を短くすることができる。それにより、第1の流路の下流端と反応セルの導入部とを、直接接続することまたは比較的短い長さを有する第2の流路を介して接続することが可能である。この場合、酸化還元炉において還元された試料成分が反応セルに到達するまでの間に変質しないように、酸化還元炉から反応セルに到達するまでに要する時間を低減することができる。したがって、反応セルにおいて、試料成分の検出に要する化学反応を安定して発生させることが可能になる。その結果、分離カラムにより分離された試料成分を高い精度で検出することが可能になる。
【0090】
(第2項)第1項に記載の成分分析システムにおいて、
前記化学反応は、前記分離カラムにより分離された試料成分に硫黄が含まれる場合に、前記酸化還元炉により還元された硫黄成分をオゾンで励起する化学反応であってもよい。
【0091】
試料に硫黄成分が含まれる場合には、酸化還元炉において生成される一酸化硫黄が反応セルでオゾンと反応することにより光が発生される。一酸化硫黄は、酸化還元炉において溶剤に起因して生成される他の化合物に比べて反応セルへの移送中に変質しやすい。しかしながら、上記の構成によれば反応セルへの移送中の一酸化硫黄の変質が抑制されるので、高い精度で試料中の硫黄成分を検出することが可能になる。
【0092】
(第3項)第1または第2項に記載の成分分析システムにおいて、
前記酸化還元炉は、前記第1の流路が上流端から前記下流端にかけて第1の方向に延びるように形成され、
前記反応セルは、前記酸化還元炉に対して前記第1の方向に交差する第2の方向に並ぶように配置され、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、前記第2の流路を介して接続されてもよい。
【0093】
上記の構成によれば、第1の方向における成分検出装置の大型化を抑制することができる。
【0094】
(第4項)第3項に記載の成分分析システムにおいて、
前記反応セルは、前記導入部が前記第1の方向に向くように配置されてもよい。
【0095】
上記の構成によれば、第1の流路の下流端と反応セルの導入部とを接続する第2の流路を短くすることができる。
【0096】
(第5項)第4項に記載の成分分析システムにおいて、
前記酸化還元炉および前記反応セルは、前記第1の流路の前記下流端と前記反応セルの前記導入部とが前記第1の方向に直交する共通の面内に位置するように配置されてもよい。
【0097】
この場合、第2の流路をより短くすることができる。
【0098】
(第6項)第1または第2項に記載の成分分析システムにおいて、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、前記第2の流路を介して接続され、
前記第2の流路は、前記保持部材の外部において前記第1の流路の前記下流端および前記反応セルの前記導入部に着脱可能に設けられてもよい。
【0099】
この場合、保持部材の外部において第2の流路を第1の流路の下流端および反応セルの導入部から取り外すことにより、保持部材の外部から酸化還元炉および反応セルのメンテナンスを行うことができる。
【0100】
(第7項)第1または第2項に記載の成分分析システムにおいて、
前記酸化還元炉は、前記第1の流路が上流端から下流端にかけて一方向に延びるように形成され、
前記反応セルは、前記酸化還元炉に対して前記一方向に並ぶようにかつ前記導入部が前記第1の流路の前記下流端に対向するように配置されてもよい。
【0101】
この場合、酸化還元炉から反応セルまでの試料成分の流路をより短くすることができる。
【0102】
(第8項)第1または第2項に記載の成分分析システムにおいて、
前記第1の流路の前記下流端と前記反応セルの前記導入部とは、前記第2の流路を介して接続され、
前記第2の流路の長さは、100cm以下であってもよい。
【0103】
これにより、酸化還元炉において還元された試料成分が、反応セルに到達するまでの間に、許容される程度を超えて変質しない。それにより、分離カラムにより分離された試料成分を高い精度で検出することが可能になる。
【0104】
(第9項)他の態様に係る成分検出装置は、
分離カラムを有するガスクロマトグラフとともに用いられる成分検出装置であって、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器と、
前記酸化還元炉および前記反応セルを保持する保持部材とを備え、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、直接接続されるかまたは第2の流路を介して接続されていてよい。
【0105】
その成分検出装置においては、酸化還元炉および反応セルが保持部材により一体として保持されるので、酸化還元炉と反応セルとの間の距離を短くすることができる。それにより、第1の流路の下流端と反応セルの導入部とを、直接接続することまたは比較的短い長さを有する第2の流路を介して接続することが可能である。この場合、酸化還元炉において還元された試料成分が反応セルに到達するまでの間に変質しないように、酸化還元炉から反応セルに到達するまでに要する時間を低減することができる。したがって、反応セルにおいて、試料成分の検出に要する化学反応を安定して発生させることが可能になる。その結果、分離カラムにより分離された試料成分を高い精度で検出することが可能になる。
【0106】
(第10項)さらに他の態様に係る成分分析システムは、
分離カラムを有するガスクロマトグラフと、
成分検出装置とを備え、
前記成分検出装置は、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを含み、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、互いに接続されるかまたは100cm以下の長さを有する第2の流路を介して接続されていてよい。
【0107】
その成分分析システムにおいては、分離カラムにより分離された試料成分が成分検出装置により検出される。成分検出装置においては、第1の流路の下流端と反応セルの導入部とが、互いに接続されるかまたは100cm以下の長さを有する第2の流路を介して接続される。この場合、酸化還元炉において還元された試料成分が、反応セルに到達するまでの間に、許容される程度を超えて変質しないように、酸化還元炉から反応セルに到達するまでに要する時間を低減することができる。したがって、反応セルにおいて、試料成分の検出に要する化学反応を安定して発生させることが可能になる。その結果、分離カラムにより分離された試料成分を高い精度で検出することが可能になる。
【0108】
(第11項)さらに他の態様に係る成分検出装置は、
分離カラムを有するガスクロマトグラフとともに用いられる成分検出装置であって、
前記分離カラムにより分離された試料成分を含むガスが流れる第1の流路を有し、前記第1の流路を流れるガス中の試料成分を酸化および還元させる酸化還元炉と、
前記還元された試料成分を含むガスの導入部を有し、前記導入部から導入される試料成分について発光を伴う化学反応を発生させる反応セルと、
前記反応セルにおいて発生される光を検出する光検出器とを備え、
前記第1の流路の下流端と前記反応セルの前記導入部とは、互いに接続されるかまたは100cm以下の長さを有する第2の流路を介して接続されていてよい。
【0109】
その成分検出装置においては、第1の流路の下流端と反応セルの導入部とが、互いに接続されるかまたは100cm以下の長さを有する第2の流路を介して接続される。この場合、酸化還元炉において還元された試料成分が、反応セルに到達するまでの間に、許容される程度を超えて変質しないように、酸化還元炉から反応セルに到達するまでに要する時間を低減することができる。したがって、反応セルにおいて、試料成分の検出に要する化学反応を安定して発生させることが可能になる。その結果、分離カラムにより分離された試料成分を高い精度で検出することが可能になる。
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