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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】搬送システム、制御方法、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231212BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022522431
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2020019244
(87)【国際公開番号】W WO2021229746
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 太一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕志
(72)【発明者】
【氏名】安田 真也
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-219734(JP,A)
【文献】特開2019-218197(JP,A)
【文献】特開2012-208782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物資搬送る第1搬送装置と、前記第1搬送装置を制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
ステーションにおいて実施される作業が完了した前記物資の数を示す進捗情報に基づいて、前記作業が完了した物資を搬送する第2搬送装置の走行状況を予測する予測手段と、
前記予測手段が予測した前記第2搬送装置の走行状況に応じて、前記第1搬送装置の走行計画を決定する決定手段と、
前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する制御手段と、を備える
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記予測手段は、前記ステーションの次に前記物資が搬送される第2ステーションにおいて第2作業が完了した前記物資の数に関する第2の進捗情報に基づいて、前記第2搬送装置の走行状況を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記第2搬送装置は、前記制御装置とは異なる他の制御装置により制御される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記予測手段は、前記走行状況として、各搬送経路において前記第2搬送装置が走行中である確率を予測する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記予測手段は、前記走行状況として、前記第2搬送装置の現在位置を予測する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
ステーションにおいて実施される作業が完了した物資の数を示す進捗情報に基づいて、前記作業が完了した物資を搬送する第2搬送装置の走行状況を予測し、
前記走行状況に応じて、前記物資を搬送する第1搬送装置の走行計画を決定し、
前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
前記ステーションの次に前記物資が搬送される第2ステーションにおいて第2作業が完了した前記物資の数に関する第2の進捗情報に基づいて、前記第2搬送装置の走行状況を予測する、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記第2搬送装置は、前記第1搬送装置を制御する制御装置とは異なる制御装置に制御されることを特徴とする請求項6または7に記載の制御方法。
【請求項9】
ステーションにおいて実施される作業が完了した物資の数を示す進捗情報に基づいて、前記作業が完了した物資を搬送する第2搬送装置の走行状況を予測する予測手段と、
前記走行状況に応じて、前記物資を搬送する第1搬送装置の走行計画を決定する決定手段と、
前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項10】
前記予測手段は、前記ステーションの次に前記物資が搬送される第2ステーションにおいて第2作業が完了した前記物資の数に関する第2の進捗情報に基づいて、前記第2搬送装置の走行状況を予測する、
ことを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置を制御する搬送システム、制御方法、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場における生産や倉庫における物流など、物資の搬送を伴う作業においては、AGV(Automated Guided Vehicle)などの搬送装置が広く利用されている。このような搬送装置は、通常、搬送装置を制御する制御装置と共に搬送システムを構成する。この場合、搬送装置は、制御装置から提供された走行計画に従って物資の搬送を行う。このような搬送システムを開示した文献としては、例えば、特許文献1~5などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/123660号
【文献】特開2018‐147306号公報
【文献】特開2005‐352862号公報
【文献】特開平9‐225783号公報
【文献】特開平6‐102931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場や倉庫などにおいては、異なる製造者により製造された複数の搬送システムが導入されることがある。異なる製造者により製造された搬送システムの間では、制御装置が搬送装置の走行計画を決定するアルゴリズム(「搬送政策」とも呼ばれる)の同一性が保証されない。また、異なる製造者により製造された複数の搬送システムの間では、搬送装置の走行計画等の情報を共有する仕組みも整えられていない。
【0005】
このため、第1の搬送システムに属する搬送装置と第2の搬送システムに属する搬送装置とで、搬送経路が交差したり現在位置が近接したりする事態が容易に生じ得る。搬送装置が衝突回避機能を有している場合、このような事態が生じても搬送装置の衝突は避けられる。しかしながら、搬送装置の衝突回避機能が働いた場合、当初の想定より搬送時間が余計にかかり、搬送効率が低下する。例えば、2つの搬送装置が互いの衝突回避機能により停止した場合、現場に駆け付けた作業者が復旧作業を完了するまでデッドロック状態が解消されず、生産や物流に深刻な遅滞をもたらす場合がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、搬送効率の低下が生じ難いように、搬送装置を制御する技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る搬送システムは、物資の搬送を伴う作業に利用される第1搬送装置と、制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、前記作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測する予測手段と、前記予測手段が予測した前記第2搬送装置の走行状況に応じて、前記第1搬送装置の走行計画を決定する決定手段と、前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する制御手段と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る制御方法は、制御装置が、物資の搬送を伴う作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、前記作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測し、前記走行状況に応じて、前記作業に利用される第1搬送装置の走行計画を決定し、前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する。
【0009】
本発明の一態様に係る制御装置は、物資の搬送を伴う作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、前記作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測する予測部と、前記走行状況に応じて、前記作業に利用される第1搬送装置の走行計画を決定する決定部と、前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、搬送効率の低下が生じ難いように第1搬送装置を制御することが可能な搬送システム、制御方法、及び制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る搬送システムが導入された工場の概要を示す平面図である。
図2図1に示す搬送システムで利用される管理情報の一例を示す図である。
図3図1に示す搬送システムの構成を示すブロック図である。
図4図1に示す搬送システムにおける制御方法を示すフローチャートである。
図5図1に示す進捗情報の一具体例を示すデータ構造図である。
図6図4に示す予測ステップの第1の具体例を示すフローチャートである。
図7図4に示す予測ステップの第2の具体例を示すフローチャートである。
図8図1に示す搬送システムにおける制御装置として動作するコンピュータのブロック図である。
図9】本発明の実施形態2に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
(搬送システムの構成)
本発明の実施形態1に係る搬送システム1が導入された工場Fの構成について、図1を参照して説明する。図1は、工場Fの概要を示す平面図である。
【0013】
工場Fには、物資の搬送を担う搬送システム1及び搬送システム2と、生産を統括管理する生産管理装置3(請求の範囲における「管理装置」の一例)と、が導入されている。
【0014】
搬送システム1は、工場Fにおける生産に利用される一又は複数の搬送装置11(請求の範囲における「第1搬送装置」の一例)と、搬送装置11を制御する制御装置12(請求の範囲における「制御装置」の一例)と、を含んでいる。搬送装置11は、制御装置12と無線通信可能に構成されている。搬送装置11は、無線通信により制御装置12から提供された走行計画に従って、原料、中間生成物、製品などの物資を工場F内に設けられた或るステーションから別のステーションに搬送する。本実施形態においては、搬送装置11として、AGV(Automated Guided Vehicle)、すなわち、無人搬送車が用いられている。
【0015】
ここで、走行計画とは、搬送装置11が物資を搬送するためにどのように走行すべきかを示す情報である。走行計画は、例えば、物資をピックアップする場所を示す情報(例えば、当該場所の名称、位置等)を含む。また、走行計画は、例えば、走行の開始時点または終了時点を示す情報を含む。また、走行計画は、例えば、物資を搬送する搬送経路を示す情報(経路の名称、1または複数の目的地、目的地の経由順序)を含む。また、走行計画は、例えば、一時停止に関する情報(一時停止する場所、停止期間等)を含む。また、走行計画は、走行方向の変更に関する情報(走行方向を変更する場所または時点、旋回角度・右左折・直進等といった走行方向変更内容、走行方向変更後の目的地、変更後に走行方向を維持して走行する期間)等を含む。また、走行計画は、例えば、走行中の姿勢、速度等を示す情報を含む。
【0016】
本実施形態において、搬送装置11は、ステーションA1からステーションA2への物資の搬送、及び、ステーションA2からステーションA3への物資の搬送に利用される。ステーションA1からステーションA2への搬送経路σ1、及び、ステーションA2からステーションA3への搬送経路σ2は、予め定められた搬送経路であってもよいし、搬送装置11が自律的に定めた搬送経路であってもよい。以下、搬送装置11が利用するi番目のステーションのことを、ステーションAiとも記載し、ステーションAiとステーションAi+1とを繋ぐ搬送経路のことを、搬送経路σiとも記載する。
【0017】
搬送システム2は、工場Fにおける生産に利用される一又は複数の搬送装置21(請求の範囲における「第2搬送装置」の一例)と、搬送装置21を制御する制御装置22(請求の範囲における「他の制御装置」の一例)と、を含んでいる。搬送装置21は、制御装置22と無線通信可能に構成されている。搬送装置21は、無線通信により制御装置22から提供された走行計画に従って、原料、中間生成物、製品などの物資を工場F内に設けられた或るステーションから別のステーションに無人搬送する。本実施形態においては、搬送装置21として、AGV、すなわち、無人搬送車が用いられている。
【0018】
本実施形態において、搬送装置21は、ステーションB1からステーションB2への物資の搬送、ステーションB2からステーションB3への物資の搬送、及び、ステーションB3からステーションB4への物資の搬送に利用される。ステーションB1からステーションB2への搬送経路τ1、ステーションB2からステーションB3への搬送経路τ2、及び、ステーションB3からステーションB4への搬送経路τ3は、予め定められた搬送経路であってもよいし、搬送装置21が自律的に定めた搬送経路であってもよい。以下、搬送装置21が利用するi番目のステーションのことを、ステーションBiとも記載し、ステーションBiとステーションBi+1とを繋ぐ搬送経路のことを、搬送経路τiとも記載する。
【0019】
生産管理装置3は、制御装置12及び制御装置22の各々と無線通信又は有線通信可能に構成されており、無線通信又は有線通信により制御装置12及び制御装置22の各々に工場Fにおける生産の進捗状況を示す進捗情報31を提供する。制御装置12は、生産管理装置3から取得した進捗情報31に基づいて、搬送システム1に含まれる搬送装置11、換言すると、自装置(制御装置12)の制御下にある搬送装置11の走行計画を決定する。また、制御装置22は、生産管理装置3から取得した進捗情報31に基づいて、搬送システム2に含まれる搬送装置21、換言すると、自装置(制御装置22)の制御下にある搬送装置21の走行計画を決定する。進捗情報31の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0020】
なお、本実施形態において、搬送システム1と搬送システム2とは、互いに異なる製造者によって設計及び製造されたシステムである。このため、制御装置12が搬送装置11の走行計画を決定するアルゴリズム(「搬送政策」と呼ばれることもある)と制御装置22が搬送装置21の走行計画を決定するアルゴリズムとの同一性は保証されていない。また、制御装置12と制御装置22との間で搬送装置11の管理情報と搬送装置21の管理情報とを共有する仕組みは設けられていない。
【0021】
換言すると、制御装置12及び制御装置22は、上述のように互いに異なる製造者によって設計及び製造されている。これにより、例えば、制御装置12及び制御装置22は、互いに異なるオペレータによる操作を受け付ける場合がある。また、例えば、制御装置12及び制御装置22では、制御対象との通信に用いる通信プロトコルが互いに異なる場合がある。また、例えば、制御装置12及び制御装置22では、システムの系統が互いに異なる場合がある。
【0022】
なお、本実施形態において、搬送システム1と搬送システム2とは、異なる製造者によって設計及び製造されたシステムであるが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、搬送システム1と搬送システム2とは、同じ製造者によって設計及び製造されたシステムであってもよい。このような態様においても、バージョンの違い等によって、搬送システム1と搬送システム2との間で、操作体系の相違や通信プロトコルの相違を生じる場合があり得る。したがって、搬送装置11が制御装置22の制御下にない状況、及び、搬送装置21が制御装置12の制御下にない状況は、搬送システム1と搬送システム2とが異なる製造者によって設計及び製造されたシステムである場合のみならず、搬送システム1と搬送システム2とがバージョンの異なるシステムである場合にも生じ得る。
【0023】
なお、搬送装置11の管理情報及び搬送装置21の管理情報について説明する。図2は、管理情報の具体例を説明する図である。図2に示すように、搬送装置11の管理情報とは、例えば、搬送装置11の現在位置、バッテリ残量、移動速度、及びステイタス(走行中、作業中、タスク待ち、交差点待ち、障害物停止、エラーなど)を含む情報である。搬送装置21の管理情報も同様である。
【0024】
(搬送システムの構成及び制御方法の流れ)
搬送システム1の構成について、図3を参照して説明する。図3は、搬送システム1の構成を示すブロック図である。
【0025】
搬送システム1は、搬送装置11と、制御装置12とを含む。制御装置12は、予測部121と、決定部122と、制御部123と、を備えている。
【0026】
予測部121は、生産管理装置3から取得された進捗情報31に基づいて、制御装置12の制御下にない搬送装置21の走行状況を予測するための構成である。
【0027】
決定部122は、生産管理装置3から取得された進捗情報31、及び、予測部121が予測した搬送装置21の走行状況に応じて、制御装置12の制御下にある搬送装置11の走行計画を決定するための構成である。
【0028】
制御部123は、決定部122が決定した搬送装置11の走行計画を搬送装置11に提供するための構成である。
【0029】
制御装置12が搬送装置11を制御する制御方法S12の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、制御方法S12の流れを示すフローチャートである。
【0030】
制御方法S12は、予測ステップS121と、決定ステップS122と、制御ステップS123と、を含んでいる。予測ステップS121は、生産管理装置3から取得された進捗情報31に基づいて、制御装置12の制御下にない搬送装置21の走行状況を予測するための処理であり、予測部121により実行される。決定ステップS122は、生産管理装置3から取得された進捗情報31、及び、予測ステップS121にて予測した搬送装置21の走行状況に応じて、制御装置12の制御下にある搬送装置11の走行計画を決定するための処理であり、決定部122により実行される。制御ステップS123は、決定ステップS122にて決定した走行計画を搬送装置11に提供するための処理であり、制御部123により実行される。
【0031】
ここで、決定ステップS122において、決定部122は、例えば、予測した搬送装置21の走行を妨げないように、搬送装置11の走行計画を決定する。例えば、決定部122は、後述するように、搬送装置21が走行している可能性が高い搬送経路、又は、その搬送経路と交差する搬送経路を搬送装置11が走行しないよう、搬送装置11の走行計画を決定する。或いは、決定部122は、後述するように、搬送装置21の現在位置(x,y)を含む領域を搬送装置11が走行しないよう、搬送装置11の走行計画を決定する。或いは、決定部122は、搬送装置21が走行している可能性の低い搬送経路を搬送装置11が走行するよう、搬送装置11の走行計画を決定する。或いは、決定部122は、所定の搬送経路について、その搬送経路を搬送装置21が走行している可能性が高い時刻を推定し、搬送装置11がその搬送経路をその時刻に走行しないよう、搬送装置11の走行計画を決定する。なお、搬送装置11がある搬送経路を走行しないよう、搬送装置11の走行計画を定める態様には、例えば、搬送装置11にその搬送経路以外の搬送経路を使用させる態様や、搬送装置11がその搬送経路に侵入する前に搬送装置11を停止させる態様などが含まれる。
【0032】
また、制御ステップS123において、制御部123は、走行計画を搬送装置11に提供することにより搬送装置11を制御する。搬送装置11を制御するとは、提供した走行計画にしたがって搬送装置11が自律的に判断して稼働することを含む。また、搬送装置11を制御するとは、走行計画に基づく命令を搬送装置11に対して発行することにより搬送装置11が稼働することを含む。
【0033】
なお、生産管理装置3から進捗情報31を取得する処理は、制御方法S12が開始される前に実行されてもよいし、予測ステップS121の前に予測部121によって実行されてもよい。
【0034】
ここで、搬送装置21の走行状況は、搬送装置21の状況を表す。搬送装置21の走行状況は、走行中の搬送装置21の状況を表す各種の情報によって表現することができる。各種の情報の例としては、後述する確率Pi、現在位置等が挙げられるが、これらに限られない。
【0035】
例えば、搬送装置21の走行状況は、予測ステップS121の第1の具体例として後述するように、各搬送経路τiにおいて搬送装置21が走行中である確率Piとして予測される。この場合、決定ステップS122において、決定部122は、搬送装置11が利用する搬送経路σ1~σ3のうち、搬送装置21が走行中である確率Piが予め定められた閾値以上である搬送経路τiと交差する搬送経路を走行禁止経路に設定する。一例として、搬送経路τ2において搬送装置21が走行中である確率P2が予め定められた閾値以上である場合、搬送装置11が利用する搬送経路σ1~σ3のうち、搬送経路τ2と交差する搬送経路σ2が走行禁止経路に設定される(図1参照)。そして、決定ステップS122において、決定部122は、「走行禁止経路を搬送装置11が走行しない」という拘束条件の下で、制御装置12の制御下にある搬送装置11の走行計画を決定する。なお、上記の拘束条件の下で搬送装置11の走行計画を決定するアルゴリズムeについては、上記のアルゴリズムに限られない。走行計画を決定するアルゴリズムとしては、例えば、線形計画法、動的計画法、遺伝的アルゴリズムなどが挙げられる。
【0036】
また、搬送装置21の走行状況は、予測ステップS121の第2の具体例として後述するように、搬送装置21の現在位置(x,y)として予測される。この場合、決定ステップS122において、決定部122は、搬送装置21の現在位置(x,y)を含む領域、例えば、搬送装置21の現在位置(x,y)からの距離が予め定められた閾値以下となる円状領域を走行禁止領域に設定する。そして、決定ステップS122において、決定部122は、「走行禁止領域を搬送装置11が走行しない」という拘束条件の下で、制御装置12の制御下にある搬送装置11の走行計画を決定する。なお、上記の拘束条件の下で搬送装置11の走行計画を決定するアルゴリズムについては、上記のアルゴリズムに限られない。走行計画を決定するアルゴリズムとしては、例えば、線形計画法、動的計画法、遺伝的アルゴリズムなどが挙げられる。
【0037】
ここで、搬送装置21の現在位置(x,y)は、一部または全部が取得不可能であり、予測ステップS121により予測される。詳細は後述するが、具体的な予測手法としては、生産管理装置3から取得する手法、天井等に設置されたカメラ(図示せず)によって撮影される画像を基に推定する手法、搬送装置11が有するカメラ(図示せず)によって撮影される画像を基に推定する手法等が挙げられる。
【0038】
(進捗情報の具体例)
生産管理装置3から提供される進捗情報31の一具体例について、図5を参照して説明する。図5は、進捗情報31の一具体例を示すデータ構造図である。
【0039】
本具体例において、進捗情報31は、工場F内に設けられた各ステーションにおける作業の進捗状況を示す情報であり、例えば、各ステーションのIDと、そのステーションにおける作業の進捗状況と、を関連付けて格納したテーブルである。本具体例においては、各ステーションにおける作業の進捗状況を、そのステーションにおける作業を完了し、次のステーションへの搬送を待つ物資の数量により表現している。
【0040】
図5に例示した進捗情報31は、以下のことを示している。なお、以下の説明におけるステーションA1~A3及びステーションB1~B4としては、図1に例示したものを想定している。
・IDが101であるステーションA1には、ステーションA1における作業を完了し、次のステーションA2への搬送を待つ31個の物資が蓄積されている。
・IDが102であるステーションA2には、ステーションA2における作業を完了し、次のステーションA3への搬送を待つ2個の物資が蓄積されている。
・IDが103であるステーションA3には、ステーションA3における作業を完了した40個の物資が蓄積されている。
・IDが201であるステーションB1には、ステーションB1における作業を完了し、次のステーションB2への搬送を待つ15個の物資が蓄積されている。
・IDが202であるステーションB2には、ステーションB2における作業を完了し、次のステーションB3への搬送を待つ38個の物資が蓄積されている。
・IDが203であるステーションB3には、ステーションB3における作業を完了し、ステーションB4への搬送を待つ4個の物資が蓄積されている。
・IDが204であるステーションB4には、ステーションB4における作業を完了した48個の物資が蓄積されている。
【0041】
図5に例示した進捗情報31を用いた予測処理の一例について説明する。制御装置12は、ステーションB2における作業を完了し、次のステーションB3への搬送を待つ物資の個数(38個)は多いと判断する。この情報は、ステーションB2における作業が完了直前であり、ステーションB2において物資を積み込んだ搬送装置21の次のステーションB3への移動が生じ易いことを意味する。また、この情報から、制御装置12は、ステーションB2において物資を積み降ろした搬送装置21の前のステーションB1への移動(帰還)が生じ易い状態であると推測する。制御装置12は、ステーションB2において物資を積み降ろした搬送装置21の前のステーションB1への移動(帰還)が生じ易い状態であるという判断に基づいて、搬送装置21の走行状況を予測する。
【0042】
また、図5に例示した進捗情報31を用いた予測処理の他の一例について説明する。制御装置12は、ステーションB3における作業を完了し、次のステーションB4への搬送を待つ物資の個数(4個)は少ない(0に近い)、と判断する。この情報は、ステーションB3における作業が開始直後であり、ステーションB3において物資を積み込んだ搬送装置21の次のステーションB4への移動が生じ難いことを意味する。また、この情報から、制御装置12は、ステーションB3において物資を積み降ろした搬送装置21の前のステーションB2への移動(帰還)が生じ難い状態であると推測する。制御装置12は、ステーションB3において物資を積み降ろした搬送装置21の前のステーションB2への移動(帰還)が生じ難い状態であるという判断に基づいて、搬送装置21の走行状況を予測する。
【0043】
なお、制御装置12が、物資の個数が多いまたは少ないと判断する条件として、例えば、個数の閾値を設けても良いし、蓄積可能な物資の最大数量の占有率に基づいて判断しても良い。
【0044】
生産管理装置3は、進捗情報31を定期的に更新すると共に、更新された進捗情報31を定期的に制御装置12及び制御装置22の各々に提供する。生産管理装置3が進捗情報31を提供する周期は、生産管理装置3が進捗情報31を更新する周期と同一であってもよいし、生産管理装置3が進捗情報31を更新する周期よりも長くてもよい。制御装置12は、更新された進捗情報31を取得する度に、更新された進捗情報31に基づく予測ステップS121を実行する。
【0045】
(予測処理の第1の具体例)
制御装置12の予測部121が実行する予測ステップS121の第1の具体例について説明する。本具体例に係る予測ステップS121は、各搬送経路τiにおいて搬送装置21が走行中である確率Piを予測する処理である。
【0046】
図6は、本具体例に係る予測ステップS121の流れを示すフローチャートである。本具体例に係る予測ステップS121は、図6に示すように、数量読出ステップS121aと、前進移動確率予測ステップS121bと、後進移動確率予測ステップS121cと、移動確率予測ステップS121dと、を含んでいる。各ステップにおける予測部121の動作について説明すれば、以下のとおりである。
【0047】
数量読出ステップS121aは、各ステーションBiにおける作業を完了し、次のステーションBi+1への搬送を待つ物資の数量ziを進捗情報31から読み出すステップである。
【0048】
前進移動確率予測ステップS121bは、各ステーションBiにおいて物資を積み込んだ搬送装置21が次のステーションBi+1へと移動中である確率Pi→i+1を予測するステップである。この予測は、例えば、そのステーションBiにおける作業を完了し、次のステーションBi+1への搬送を待つ物資の数量ziを入力とし、確率Pi→i+1を出力とする関数P(zi)を用いて実行される。例えば、予測部121は、ステーションBiにおける作業を完了し、次のステーションBi+1への搬送を待つ物資の数量ziが多いほど、搬送装置21がそのステーションBiから次のステーションBi+1へと移動中である確率Pi→i+1が高いと予測する。なお、関数P(zi)は、一次関数や二次関数のような連続関数でもよいし、階段関数のような不連続関数でもよい。
【0049】
後進移動確率予測ステップS121cは、各ステーションBiにおいて物資を積み降ろした搬送装置21が前のステーションBi‐1へと移動中である確率Pi→i‐1を予測するステップである。この予測は、例えば、そのステーションBiにおける作業を完了し、前のステーションBi‐1への搬送を待つ物資の数量ziを入力とし、確率Pi→i‐1を出力とする関数P(zi)を用いて実行される。例えば、予測部121は、そのステーションBiにおける作業を完了し、前のステーションBi‐1への搬送を待つ物資の数量ziが多いほど、搬送装置21がそのステーションBiから前のステーションBi‐1へと移動中である確率Pi→i‐1が高いと予測する。なお、関数P(zi)は、一次関数や二次関数のような連続関数でもよいし、階段関数のような不連続関数でもよい。
【0050】
なお、予測部121は、搬送装置21の走行状況の予測処理を、搬送を待つ物資の数量ziの変化のタイミング及び当該タイミングからの経過時点に基づいて行ってもよい。例えば、予測部121は、数量ziが変化したタイミングからの経過時間が短いほど、搬送装置21が当該ステーションにいる確率が高いと推測することができる。
【0051】
移動確率予測ステップS121dは、各搬送経路τiにおいて搬送装置21が走行中である確率Piを予測するステップである。この予測は、例えば、確率Piを式Pi={(Pi→i+1)+(Pi+1→i)}/2に従って算出することによって行われる。ここで、確率Pi→i+1は、搬送経路τiの始点となるステーションBiにおいて物資を積み込んだ搬送装置21が次のステーションBi+1への移動中である確率であり、前進移動確率予測ステップS121bにて得られたものである。また、確率Pi+1→iは、搬送経路τiの終点となるステーションBi+1において物資を積み降ろした搬送装置21が前のステーションBiへと移動中である確率であり、後進移動確率予測ステップS121cにて得られたものである。
【0052】
なお、ここでは、前進移動確率予測ステップS121bを実行した後に後進移動確率予測ステップS121cを実行する形態について説明したが、これらのステップの実行順序はこれに限定されない。すなわち、後進移動確率予測ステップS121cを実行した後に前進移動確率予測ステップS121bを実行してもよいし、前進移動確率予測ステップS121bと後進移動確率予測ステップS121cとを同時並列的に実行しても良い。
【0053】
また、進捗情報31と各搬送経路τiにおいて搬送装置21が走行中である確率Piとの間には、一定の相関が存在する。したがって、進捗情報31を入力とし、各搬送経路τiにおいて搬送装置21が走行中である確率を出力とする学習済みモデルを、機械学習により構築することができる。予測部121は、このような学習済みモデルを用いて予測処理を実行してもよい。この場合、制御装置12は、このような学習済みモデルを構築する学習部を備えていてもよい。この機械学習は、教師あり学習であってもよいし、教師なし学習であってもよいし、強化学習であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。また、この機械学習は、深層学習であってもよい。すなわち、学習済みモデルは、中間層を有するニューラルネットワークであってもよい。
【0054】
(予測処理の第2の具体例)
制御装置12の予測部121が実行する予測ステップS121の第2の具体例について説明する。本具体例に係る予測ステップS121は、搬送装置21の現在位置(x,y)を予測する処理である。
【0055】
なお、本具体例においては、搬送装置21が利用する搬送経路τ1~τ3が予め制御装置12に与えられているものとする。或いは、搬送装置21が利用するステーションB1~B4、待機場所、及び充電場所等の位置を含む地図情報が予め制御装置12に与えられており、制御装置12は、ステーションB1~B4の位置から搬送経路τ1~τ3を推定可能であるものとする。例えば、ステーションBiからステーションBi+1への搬送経路τiは、ステーションBiから予め定められた大通りまでの最短経路と、その大通りを通る経路と、その大通りからステーションBi+1までの最短経路と、を組み合わせることにより構成することができる。また、本具体例においては、各ステーションBiにおいて蓄積される搬送待ち物資の最大数量wiが予め制御装置12に与えられているものとする。また、本具体例においては、搬送装置21の速度vが予め制御装置12に与えられているものとする。
【0056】
ここで、「大通り」について説明する。大通りとは、搬送装置11または搬送装置21の搬送経路のうち幹線となる通路であり、周囲の通路と比較して使用する搬送装置の多い通路のことである。搬送装置11の搬送経路、及び搬送装置21の搬送経路は、物資を搬送する空間(工場、倉庫等)に応じて、大通りを含んで、それぞれ設計される。搬送経路は、搬送装置11または搬送装置21ができるだけ大通りを走行するように設計されることが多い。その結果として、搬送装置11の搬送経路、及び搬送装置21の搬送経路は、それぞれ、ステーションから大通りまでの経路と、大通りを通る経路とで構成されることになる。
【0057】
また、本具体例においては、ステーションB1からステーションB2への移動に関して、搬送装置21がステーションB1を出発する時刻t1とステーションB2に到着する時刻t2とが推定され、時刻t1から時刻t2までの期間において搬送装置11の現在位置(x,y)が予測される。ステーションB2からステーションB3への移動、ステーションB3からステーションB4への移動に関しても、同様の予測が行われる。また、ステーションB2からステーションB1への帰還、ステーションB3からステーションB2への帰還、ステーションB4からステーションB3への帰還に関しても、同様の予測が行われる。ここでは、ステーションB2からステーションB3の移動に関する予測ステップS121の具体例について、図7を参照して説明する。
【0058】
図7は、本具体例に係る予測ステップS121の流れを示すフローチャートである。本具体例に係る予測ステップS121は、図7に示すように、数量読出ステップS121eと、数量判定ステップS121fと、出発時刻推定ステップS121gと、到着時刻推定ステップS121hと、現在位置推定ステップS121iと、を含んでいる。各ステップにおける予測部121の動作について説明すれば、以下のとおりである。
【0059】
数量読出ステップS121eは、ステーションB2における作業を完了し、次のステーションB3への搬送を待つ物資の数量z2を進捗情報31から読み出すステップである。
【0060】
数量判定ステップS121fは、ステーションB2における作業を完了し、次のステーションB3への搬送を待つ物資の数量z2が予め定められた最大数量w2に到達しているか否かを判定するステップである。数量判定ステップS121fは、数量z2が最大数量w2に到達するまで繰り返し実行され、数量z2が最大数量w2に到達すると次の出発時刻推定ステップS121gが実行される。
【0061】
出発時刻推定ステップS121gは、搬送装置21がステーションB2を出発する時刻t2を推定するステップである。本ステップにおいては、例えば、出発時刻推定ステップS121gが実行されたときの現在時刻、すなわち、数量z2が最大数量w2に到達したときの現在時刻が、搬送装置21がステーションB2を出発する時刻t2であると推定される。
【0062】
到着時刻推定ステップS121hは、搬送装置21がステーションB3に到着する時刻t3を推定するステップである。本ステップにおいては、例えば、搬送経路τ2の長さをL2として、式t3=t2+L2/vに従って算出される時刻が、搬送装置21がステーションB3に到着する時刻t3であると推定される。
【0063】
現在位置推定ステップS121iは、時刻t2から時刻t3までの期間において搬送装置21の現在位置(x、y)を推定するステップである。本ステップにおいては、例えば、搬送経路τ2に沿ってステーションB2から距離v×(t-t2)だけ進んだ点の位置が、現在時刻tにおける搬送装置21の現在位置(x,y)であると推定される。
【0064】
なお、到着時刻推定ステップS121h及び現在位置推定ステップS121iにおいては、交差点や自動ドアなどにおいて生じ得る搬送装置21の一時停止を考慮に入れてもよい。すなわち、搬送経路τ2が交差点や自動ドアを通過するものである場合、到着時刻推定ステップS121hにおいては、一時停止に要する時間を、搬送装置21がステーションB3に到達する時刻t3に加算してもよい。また、現在位置推定ステップS121iにおいては、交差点や自動ドアなどにおいて生じる一時停止を考慮に入れて、搬送装置21の現在位置(x,y)を推定してもよい。
【0065】
また、進捗情報31及び現在時刻tと各搬送経路τiにおける搬送装置21の現在位置(x,y)との間には、一定の相関が存在する。したがって、進捗情報31及び現在時刻tを入力とし、各搬送経路τiにおける搬送装置21の現在位置(x,y)を出力とする学習済みモデルを、機械学習により構築することができる。予測部121は、このような学習済みモデルを用いて予測処理を実行してもよい。この場合、制御装置12は、このような学習済みモデルを構築する学習部を備えていてもよい。この機械学習は、教師あり学習であってもよいし、教師なし学習であってもよいし、強化学習であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。また、この機械学習は、深層学習であってもよい。すなわち、学習済みモデルは、中間層を有するニューラルネットワークであってもよい。
【0066】
(予測処理のその他の具体例)
制御装置22は、予め定められたアルゴリズム(「搬送政策」と呼ばれることもある)に従って、進捗情報31から搬送装置21の走行計画を決定する。このため、進捗情報31と制御装置22の走行計画との間には、一定の相関が存在する。したがって、進捗情報31を入力とし、搬送装置21の走行計画を出力とする学習済みモデルを、機械学習により構築することができる。予測部121は、このような学習済みモデルを用いて予測処理を実行してもよい。この場合、制御装置22は、このような学習済みモデルを構築する学習部を備えていてもよい。この機械学習は、教師あり学習であってもよいし、教師なし学習であってもよいし、強化学習であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。また、この機械学習は、深層学習であってもよい。すなわち、学習済みモデルは、中間層を有するニューラルネットワークであってもよい。このような学習済みモデルを教師あり学習により構築する場合、過去の進捗情報31と搬送装置21の過去の走行計画(走行実績)との組み合わせを、教師データとして用いればよい。

【0067】
(ハードウェア構成及びソフトウェアによる実現例)
本実施形態に係る搬送システム1に含まれる制御装置12の各ブロックは、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてプログラム(ソフトウェア)によって実現してもよい。後者の場合、与えられたプログラムに従って動作する汎用コンピュータ(電子計算機)を用いて、制御装置12を実現することができる。
【0068】
図8は、制御装置12を実現するコンピュータ100の構成を示すブロック図である。コンピュータ100は、バス101を介して互いに接続された演算装置(プロセッサ)102と、主記憶装置(メインメモリ)103と、補助記憶装置(サブメモリ)104と、入出力インターフェース105と、通信インターフェース106と、を備えている。演算装置102、主記憶装置103、および補助記憶装置104は、それぞれ、例えばCPU、RAM(random access memory)、ハードディスクドライブであってもよい。入出力インターフェース105には、例えば、ユーザがコンピュータ100に各種情報を入力するための入力装置120、及び、コンピュータ100がユーザに各種情報を出力するための出力装置130が接続される。入力装置120および出力装置130は、コンピュータ100に内蔵されたものであってもよいし、コンピュータ100に接続された(外付けされた)ものであってもよい。例えば、入力装置120は、キーボード、マウス、タッチセンサなどであってもよく、出力装置130は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどであってもよい。また、タッチセンサとディスプレイとが一体化されたタッチパネルのような、入力装置120および出力装置130の双方の機能を有する装置を適用してもよい。そして、通信インターフェース106は、コンピュータ100が外部の装置と通信するためのインターフェースである。制御装置12と搬送装置11との通信、及び、制御装置12と生産管理装置3との通信は、この通信インターフェース106を用いて行うことができる。
【0069】
補助記憶装置104には、コンピュータ100を制御装置12の各部として機能させるためのプログラムが格納されている。換言すると、補助記憶装置104には、制御方法S12の各ステップを実行するためのプログラムが格納されている。演算装置102は、主記憶装置103上に展開された当該プログラムに含まれる命令を実行することによって、コンピュータ100を制御装置12の各部として機能させる。なお、補助記憶装置104が当該プログラム等の情報の記録に用いる記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な「一時的でない有形の媒体」であればよく、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などであってもよい。
【0070】
なお、ここでは、単一の記憶装置に格納された上記プログラムを単一の演算装置が実行する構成について説明したが、これに限定されない。すなわち、上記プログラムは、複数の記憶装置に分散して格納されていてもよいし、複数の演算装置により分散して実行されてもよい。
【0071】
また、コンピュータ100の外部の記録媒体に記録されている上記プログラム、或いは、任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介してコンピュータ100に供給された上記プログラムを用いてコンピュータ100を機能させる構成を採用してもよい。そして、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0072】
(倉庫における物流への適用)
本実施形態に係る搬送システム1は、工場における生産に利用されるものであるが、本発明は、これに限定されない。すなわち、本発明に係る搬送システムは、物資の搬送を伴う任意の作業に利用することができる。
【0073】
例えば、本発明に係る搬送システムは、倉庫における物流に利用することができる。倉庫においては、例えば、本実施形態に係る搬送システム1に相当する第1搬送システムと、本実施形態の搬送システム2に相当する第2搬送システムと、本実施形態に係る生産管理装置3に相当する物流管理装置が導入される。この場合、第1搬送システムの制御装置及び第2搬送システムの制御装置の各々に対して、倉庫における物流を統括管理する物流管理装置から進捗情報が提供される。第1搬送システムの制御装置は、本実施形態に係る制御装置12と同様、物流管理装置から提供された進捗情報に基づき、第2搬送システムの搬送装置の走行状況を予測することができる。また、第1搬送システムの制御装置は、本実施形態に係る制御装置12と同様、物流管理装置から提供された進捗情報と、予測した第2搬送システムの搬送装置の走行状況とに基づき、第1搬送システムの搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0074】
なお、倉庫における物流では、各搬送システムの制御装置に対するピッキング指示が物流管理装置からブロードキャストされる場合がある。この場合、第1搬送システムの制御装置は、第2搬送システムの制御装置に対するピッキング指示を取得することができる。このピッキング指示には、荷姿、搬送物の生産進捗、搬送物のロケーション、指定製品(搬送物)の納品数・納期、ロット管理等の情報が含まれる。この場合、第1搬送システムの制御装置は、第2搬送システムの搬送装置が移動を開始するタイミングを、第2搬送システムの制御装置に対するピッキング指示から特定することができる。すなわち、前述した予測ステップS121の第2の具体例を適用する場合、生産管理装置3から取得した進捗情報31に基づき搬送システム2の搬送装置21の出発時刻を推定するステップ(出発時刻推定ステップS121g)を、物流管理装置から取得したピッキング指示に基づき第2搬送システムの搬送装置の出発時刻を推定するステップに置き換えることができる。
【0075】
また、倉庫における物流では、曜日毎に物資の集積場所が設定されている場合がある。この場合、第1搬送システムの制御装置は、その日の曜日から第2搬送システムの搬送装置が走行する搬送経路を推定することができる。
【0076】
<実施形態2>
本発明の実施形態2に係る制御装置1000について、図面を参照して説明する。
【0077】
図9は、制御装置1000の構成を示すブロック図である。
【0078】
(制御装置1000の構成)
制御装置1000は、予測部1021と、決定部1022と、制御部1023と、を備えている。予測部1021は、物資の搬送を伴う作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、当該作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測する。決定部1022は、走行状況に応じて、当該作業に利用される第1搬送装置の走行計画を決定する。制御部1023は、走行計画に基づいて、第1搬送装置を制御する。
【0079】
なお、制御装置1000は、実施形態1における制御装置12と同様に、図8に示すコンピュータ100によって構成可能である。
【0080】
(制御装置1000の動作)
以上のように構成された制御装置1000では、予測部1021が、物資の搬送を伴う作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、当該作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測する予測ステップと、決定部1022が、走行状況に応じて、前記作業に利用される第1搬送装置の走行計画を決定する決定ステップと、制御部1023が、走行計画に基づいて、第1搬送装置を制御する制御ステップとを実行する。
【0081】
(制御装置1000の効果)
本実施形態に係る制御装置1000は、物資の搬送を伴う作業に利用される第1搬送装置及び第2搬送装置のうち、自装置の制御下にある第1搬送装置の走行計画を、第1搬送装置及び第2搬送装置の搬送効率が低下し難いように決定することができる。
【0082】
(付記事項)
各実施形態においては、搬送システム、制御方法、及び制御装置に関して、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0083】
付記1:物資の搬送を伴う作業に利用される第1搬送装置と、制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、前記作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測する予測手段と、前記予測手段が予測した前記第2搬送装置の走行状況に応じて、前記第1搬送装置の走行計画を決定する決定手段と、前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする搬送システム。
【0084】
上記の構成によれば、第2搬送装置の走行状況に応じて、自装置の制御下にある第1搬送装置の走行計画を決定することができる。したがって、例えば、第2搬送装置が走行中の搬送経路と交差する搬送経路を第1搬送装置が走行するといった事態や、第2搬送装置の現在位置の近傍を第1搬送装置が走行するといった事態が生じ難いように、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。したがって、第1搬送装置及び第2搬送装置の一方又は両方の衝突回避機能が働くこと等により搬送効率の低下が生じ難いように、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0085】
付記2:前記進捗情報は、前記作業を統括管理する管理装置から取得した情報である、ことを特徴とする付記1に記載の搬送システム。
【0086】
上記の構成によれば、管理装置から取得した進捗情報に基づいて、第2搬送装置の走行状況を予測することができる。したがって、第2搬送装置の走行状況を、より簡単に予測することができる。
【0087】
付記3:前記第2搬送装置は、前記制御装置とは異なる他の制御装置により制御される、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の搬送システム。
【0088】
上記の構成によれば、他の制御装置により制御される第2搬送装置の走行状況を予測することができる。
【0089】
付記4;前記予測手段は、前記走行状況として、各搬送経路において前記第2搬送装置が走行中である確率を予測する、ことを特徴とする付記1~3の何れか一項に記載の搬送システム。
【0090】
上記の構成によれば、第2搬送装置が各搬送経路を走行中である確率に基づいて、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0091】
付記5:前記予測手段は、前記走行状況として、前記第2搬送装置の現在位置を予測する、ことを特徴とする付記1~3の何れか一項に記載の搬送システム。
【0092】
上記の構成によれば、第2搬送装置の現在位置に基づいて、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0093】
付記6:前記決定手段は、前記走行状況に基づいて、走行禁止経路を特定し、前記走行禁止経路の情報と前記進捗情報とに基づいて前記第1搬送装置の走行計画を決定する、ことを特徴とする付記1~5の何れか一項に記載の搬送システム。
【0094】
上記の構成によれば、走行禁止経路を走行する事態が生じ難いように、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0095】
なお、前記第2搬送装置は、前記制御装置の制御下にないことを特徴とする付記1~6の何れか一項に記載の搬送システムも、本発明の範疇に含まれる。
【0096】
上記の構成によれば、第2搬送装置が自装置の制御下にない場合であっても、搬送効率が低下し難いように、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0097】
付記7:制御装置が、物資の搬送を伴う作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、前記作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測し、前記走行状況に応じて、前記作業に利用される第1搬送装置の走行計画を決定し、前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御することを特徴とする制御方法。
【0098】
上記の構成によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0099】
付記8:前記進捗情報は、前記作業を統括管理する管理装置から取得した情報である、
ことを特徴とする付記7に記載の制御方法。
【0100】
上記の構成によれば、付記2と同様の効果を奏する。
【0101】
付記9: 前記第2搬送装置は、他の制御装置に制御されることを特徴とする付記7または8に記載の制御方法。
【0102】
上記の構成によれば、付記3と同様の効果を奏する。
【0103】
付記10:前記走行状況として、各搬送経路において前記第2搬送装置が走行中である確率を予測する、ことを特徴とする付記7~9の何れか一項に記載の制御方法。
【0104】
上記の構成によれば、付記4と同様の効果を奏する。
【0105】
付記11:前記走行状況として、前記第2搬送装置の現在位置を予測する、ことを特徴とする付記7~9の何れか一項に記載の制御方法。
【0106】
上記の構成によれば、付記5と同様の効果を奏する。
【0107】
付記12:前記走行状況に基づいて、走行禁止経路を特定し、前記走行禁止経路の情報と前記進捗情報とに基づいて前記第1搬送装置の走行計画を決定する、ことを特徴とする付記7~11の何れか一項に記載の制御方法。
【0108】
上記の構成によれば、付記6と同様の効果を奏する。
【0109】
なお、前記第2搬送装置は、前記制御装置の制御下にないことを特徴とする付記8~12の何れか一項に記載の制御方法も、本発明の範疇に含まれる。
【0110】
上記の構成によれば、第2搬送装置が自装置の制御下にない場合であっても、搬送効率が低下し難いように、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0111】
付記13:物資の搬送を伴う作業の進捗を表す進捗情報に基づいて、前記作業に利用される第2搬送装置の走行状況を予測する予測手段と、前記走行状況に応じて、前記作業に利用される第1搬送装置の走行計画を決定する決定手段と、前記走行計画に基づいて、前記第1搬送装置を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする制御装置。
【0112】
上記の構成によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0113】
付記14:前記進捗情報は、前記作業を統括管理する管理装置から取得した情報である、ことを特徴とする付記13に記載の制御装置。
【0114】
上記の構成によれば、付記2と同様の効果を奏する。
【0115】
付記15:前記第2搬送装置は、前記制御装置とは異なる他の制御装置により制御される、ことを特徴とする付記13または14に記載の制御装置。
【0116】
上記の構成によれば、付記3と同様の効果を奏する。
【0117】
付記16: 前記予測手段は、前記走行状況として、各搬送経路において前記第2搬送装置が走行中である確率を予測する、ことを特徴とする付記13~15の何れか一項に記載の制御装置。
【0118】
上記の構成によれば、付記4と同様の効果を奏する。
【0119】
付記17:前記予測手段は、前記走行状況として、前記第2搬送装置の現在位置を予測する、ことを特徴とする付記13~15の何れか一項に記載の制御装置。
【0120】
上記の構成によれば、付記5と同様の効果を奏する。
【0121】
付記18:前記決定手段は、前記走行状況に基づいて、走行禁止経路を特定し、前記走行禁止経路の情報と前記進捗情報とに基づいて前記第1搬送装置の走行計画を決定する、ことを特徴とする付記13~17の何れか一項に記載の制御装置。
【0122】
上記の構成によれば、付記6と同様の効果を奏する。
【0123】
なお、前記第2搬送装置は、前記制御装置の制御下にないことを特徴とする付記15~18の何れか一項に記載の制御装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0124】
上記の構成によれば、第2搬送装置が自装置の制御下にない場合であっても、搬送効率が低下し難いように、第1搬送装置の走行計画を決定することができる。
【0125】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。上述した実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
1 搬送システム
11 搬送装置(第1搬送装置)
12 制御装置
121 予測部
122 決定部
123 制御部
2 搬送システム(他の搬送システム)
21 搬送装置(第2搬送装置)
22 制御装置
3 生産管理装置(管理装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9