IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電信電話株式会社の特許一覧

特許7400969情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム
<>
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図1
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図3
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図4
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図5
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図6
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図7
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図8
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図9
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図10
  • 特許-情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20231212BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20231212BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20231212BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20231212BHJP
【FI】
H04W64/00
H04W24/10
H04W24/08
H04W84/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022530380
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2020022571
(87)【国際公開番号】W WO2021250755
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中平 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】アベセカラ ヒランタ
(72)【発明者】
【氏名】石原 浩一
(72)【発明者】
【氏名】守山 貴庸
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-508895(JP,A)
【文献】特開2009-081486(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022723(WO,A1)
【文献】特開2020-80489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局がそれぞれ送信して複数の測定位置で測定された無線信号情報を、測定位置ごとに基地局のセルに関連付ける関連付け工程と、
基地局のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局のセル間の干渉を計算する干渉計算工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
前記関連付け工程は、
所定値以上の受信強度の無線信号情報を得られる測定位置を基地局のセルそれぞれに対して関連付ける第1処理工程と、
関連付けた測定位置の数が0である基地局のセルに対し、無線信号情報の受信強度が最も高い測定位置を関連付ける第2処理工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記関連付け工程は、
所定値以上で受信強度が最大である基地局のセルを測定位置それぞれに対して関連付ける第1処理工程と、
関連付けた測定位置の数が0である基地局のセルに対し、無線信号情報の受信強度が最も高い測定位置を関連付ける第2処理工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記干渉計算工程は、
基地局のセルに関連付けられた無線信号情報のうち、干渉源となる基地局からの被干渉電力が最も高い測定位置の受信強度を用いてセル間の干渉をそれぞれ計算すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
複数の基地局がそれぞれ送信して複数の測定位置で測定された無線信号情報を、測定位置ごとに基地局のセルに関連付ける関連付け部と、
前記関連付け部が基地局のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局のセル間の干渉を計算する干渉計算部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
複数の基地局と、前記基地局がそれぞれ送信して複数の測定位置で測定された無線信号情報を収集して処理する情報処理装置とを備えた無線通信システムにおいて、
前記情報処理装置は、
収集した無線信号情報を、測定位置ごとに基地局のセルに関連付ける関連付け部と、
前記関連付け部が基地局のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局のセル間の干渉を計算する干渉計算部と
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、2.4GHz帯又は5GHz帯の電波を用いた無線通信システムとして、IEEE802.11a規格、及びIEEE802.11g規格などに基づくものがある。ここで、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用いることにより、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させて、最大54Mbit/sの伝送速度を実現することが可能である。
【0003】
また、IEEE802.11n規格に基づく無線通信システムでは、2.4GHz帯又は5GHz帯において、複数アンテナを用いて同一の無線チャネルで空間分割多重を行うMIMO(Multiple Input Multiple Output)や、20MHzの周波数チャネルを2つ同時に利用して40MHzの周波数チャネルを利用するチャネルボンディング技術を用いて、最大600Mbit/sの伝送速度を実現している。
【0004】
また、IEEE802.11ac規格に基づく無線通信システムでは、5GHz帯において、20MHzの周波数チャネルを8つまで同時に利用し、最大160MHzの周波数チャネルとして利用するチャネルボンディング技術や、同一の無線チャネルで複数の宛先に対して異なる信号を同時伝送するマルチユーザMIMO技術等を利用し、IEEE802.11n規格より高速かつ高効率な無線通信を実現している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】IEEE Standard for Information technology- Telecommunications and information exchange between systems Local and metropolitan area networks- Specific requirements Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications, IEEE Std 802.11-2016, Dec. 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線通信システムにおいては、基地局それぞれのセル間干渉を計算する場合、各基地局が取得したビーコンなどの無線信号情報を利用することがある。しかしながら、基地局と端末との間が離れている場合や、指向性の高いアンテナを利用している場合などには、基地局が取得した無線信号情報が端末側の無線信号情報と必ずしも同じにならず、結果としてセル間の電波干渉を正しく計算することができないことがあった。
【0007】
本発明は、無線通信を行う複数の基地局それぞれのセル間干渉を精度よく計算することを可能にする情報処理方法、情報処理装置、無線通信システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる情報処理方法は、複数の基地局がそれぞれ送信して複数の測定位置で測定された無線信号情報を、測定位置ごとに基地局のセルに関連付ける関連付け工程と、基地局のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局のセル間の干渉を計算する干渉計算工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様にかかる情報処理装置は、複数の基地局がそれぞれ送信して複数の測定位置で測定された無線信号情報を、測定位置ごとに基地局のセルに関連付ける関連付け部と、前記関連付け部が基地局のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局のセル間の干渉を計算する干渉計算部とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様にかかる無線通信システムは、複数の基地局と、前記基地局がそれぞれ送信して複数の測定位置で測定された無線信号情報を収集して処理する情報処理装置とを備えた無線通信システムにおいて、前記情報処理装置は、収集した無線信号情報を、測定位置ごとに基地局のセルに関連付ける関連付け部と、前記関連付け部が基地局のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局のセル間の干渉を計算する干渉計算部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線通信を行う複数の基地局それぞれのセル間干渉を精度よく計算することを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】カバーエリア内に配置された基地局の位置を模式的に示す図である。
図3】カバーエリア内で基地局が送信する電波の強度を測定する測定位置を模式的に示す図である。
図4】一実施形態にかかる情報処理装置が有する機能を例示する機能ブロック図である。
図5】記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図6】第1処理部が第1処理(第1動作)を行った結果を例示する図である。
図7】第1処理部が第1処理(第2動作)を行った結果を例示する図である。
図8】情報処理装置が第1処理(第1動作)を伴って行う情報処理の具体例を示すフローチャートである。
図9】情報処理装置がセル間干渉計算処理を行う場合の動作例を示すフローチャートである。
図10】情報処理装置が第1処理(第2動作)を伴って行う情報処理の具体例を示すフローチャートである。
図11】一実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を用いて無線通信システムの一実施形態を説明する。図1は、一実施形態にかかる無線通信システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1は、例えば、複数の端末局2が無線通信によって接続可能な9台の基地局3-1~3-9と、ネットワーク4に接続された情報処理装置5とを有する。なお、基地局3-1~3-9のように複数ある構成のいずれかを特定しない場合には、単に基地局3などと略記する。
【0014】
端末局2は、無線通信端末であり、基地局3との間で無線通信を行う。また、端末局2は、信号測定器としての機能も備えているものとする。例えば、端末局2は、基地局3が送信するビーコンの信号強度(受信強度)を測定する信号強度測定機能、ビーコンを受信した位置を信号強度の測定位置として経度及び緯度などを取得するGPS(Global Positioning System)機能、及びビーコンに含まれるMACアドレス(Media Access Control address)を取得する機能を兼ね備えていることとする。
【0015】
基地局3-1~3-9は、例えばセルそれぞれが他の基地局3のセルと重なるように設置されていてもよく、ネットワーク4に接続されている。このとき、基地局3-1~3-9の少なくともいずれかは、所定の領域(カバーエリア)100内に位置する端末局2との間で無線通信を可能にされている。さらに、基地局3-1~3-9は、端末局2が測定した信号強度と、取得した測定位置及びMACアドレスを端末局2それぞれから受信可能にされていている。
【0016】
図2は、カバーエリア100内に配置された基地局3-1~3-9の位置を模式的に示す図である。図2に示すように、基地局3-1~3-9は、カバーエリア100を形成するように、所定の範囲内に所定の間隔を空けて配置されている。ここでは、基地局3-1~3-9それぞれは、送信電力等の性能が同一であるとは限らず、セルの形状(アンテナの指向性)及び大きさも同一ではないとする。
【0017】
また、基地局3-1~3-9それぞれが設置されている位置は、例えば経度及び緯度を含む基地局位置情報として予め情報処理装置5が記憶していることとする。また、基地局3と、当該基地局3の基地局位置情報とを対応付けた情報を基地局特定情報(基地局配置情報)とする。
【0018】
図3は、カバーエリア100内で基地局3-1~3-9が送信する電波の強度を測定する測定位置10-1~10-16を模式的に示す図である。図3に示すように、例えば端末局2は、カバーエリア100内で所定の間隔を空けられた16箇所の測定位置10-1~10-16において、基地局3が送信するビーコンを受信する。そして、端末局2は、測定した信号強度と、取得した測定位置及びMACアドレスを接続可能な基地局3に対して送信する。なお、測定位置10-1~10-16は、カバーエリア100内であれば、位置は限定されない。また、測定した信号強度と、取得した測定位置及びMACアドレスを接続可能な基地局3に対して送信する装置は、端末局2に限定されることなく、他の装置であってもよい。
【0019】
次に、情報処理装置5が有する機能について説明する。図4は、一実施形態にかかる情報処理装置5が有する機能を例示する機能ブロック図である。図4に示すように、情報処理装置5は、例えば、通信部50、収集部51、記憶部52、関連付け部53、干渉計算部54、及び制御部55を有する。
【0020】
そして、情報処理装置5は、複数の基地局3がそれぞれ送信して複数の測定位置10で測定された無線信号情報(ビーコンなど)を収集し、複数の基地局3それぞれのセル間干渉を精度よく計算する機能を備える。
【0021】
具体的には、通信部50は、ネットワーク4を介して基地局3-1~3-9それぞれとの間で通信を行う通信インターフェースである。
【0022】
収集部51は、通信部50を介して、基地局3-1~3-9が端末局2から受信する信号強度(受信強度)、測定位置及びMACアドレス(ビーコンMACアドレス)を収集し、記憶部52に記憶させる。
【0023】
図5は、記憶部52が記憶する情報の一例を示す図である。図5に示すように、記憶部52は、収集部51が収集した信号強度(受信強度)、測定位置及びMACアドレス(ビーコンMACアドレス)を記憶する。
【0024】
関連付け部53(図4)は、第1処理部56及び第2処理部57を有し、記憶部52が記憶した情報を用いて関連付けする処理を行い、処理結果を干渉計算部54に対して出力する。例えば、関連付け部53は、複数の基地局3がそれぞれ送信して複数の測定位置10で測定された無線信号情報を、測定位置10ごとに基地局3のセルに関連付ける処理を行う。
【0025】
具体的には、第1処理部56は、所定値以上の受信強度の無線信号情報を得られる測定位置10を基地局3のセルそれぞれに対して関連付ける第1処理(第1動作)を行い、処理結果を第2処理部57に対して出力する。
【0026】
図6は、第1処理部56が第1処理(第1動作)を行った結果を例示する図である。図6に示すように、第1処理部56は、第1処理(第1動作)において、所定値以上の受信強度の無線信号情報を得られる測定位置10を基地局3のセルそれぞれに対して関連付ける。ここでは、基地局3のビーコンMACアドレスが基地局3のセルに対応することとする。
【0027】
また、第1処理部56は、所定値以上で受信強度が最大である基地局3のセルを測定位置10それぞれに対して関連付ける処理を第1処理(第2動作)として行い、処理結果を第2処理部57に対して出力してもよい。
【0028】
図7は、第1処理部56が第1処理(第2動作)を行った結果を例示する図である。図7に示すように、第1処理部56は、第1処理(第2動作)において、所定値以上で受信強度が最大である基地局3のセルを測定位置10それぞれに対して関連付ける。ここでも、基地局3のビーコンMACアドレスが基地局3のセルに対応することとする。
【0029】
第2処理部57は、第1処理部56が関連付けた測定位置10の数が0である基地局3のセルに対し、無線信号情報の受信強度が最も高い測定位置10を関連付ける第2処理を行い、処理結果を干渉計算部54に対して出力する。このとき、情報処理装置5は、重複を許して測定位置10を関連付ける。
【0030】
干渉計算部54は、基地局3のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局3のセル間の干渉を計算し、計算結果を記憶部52に記憶させる。より具体的には、干渉計算部54は、基地局3のセルごとに他の基地局3のセルからの干渉の強度が最も高い測定位置10の受信強度を用いてセル間の干渉を計算(セル間干渉計算処理)し、計算結果を記憶部52に記憶させる。
【0031】
また、干渉計算部54は、各測定位置10の希望波/干渉波の受信強度情報を用いて、セル間の干渉を計算してもよい。
【0032】
制御部55は、情報処理装置5を構成する各部を制御する。例えば、制御部55は、収集部51が収集した情報に基づいて、関連付け部53が処理を行い、干渉計算部54がセル間の干渉を計算するように制御を行う。
【0033】
次に、情報処理装置5が行う情報処理の具体例について、図8~10を用いて説明する。図8は、情報処理装置5が第1処理(第1動作)を伴って行う情報処理の具体例を示すフローチャートである。
【0034】
図8に示すように、情報処理装置5は、基地局3それぞれの全てのセルに対して第1処理(第1動作)が済んだか否かを判定する(S100)。情報処理装置5は、全てのセルに対して第1処理(第1動作)が済んでいないと判定した場合(S100:No)にはS102の処理に進み、全てのセルに対して第1処理(第1動作)が済んだと判定した場合(S100:Yes)にはS104の処理に進む。
【0035】
S102の処理において、情報処理装置5は、未処理のセルを1つ選択し、所定値以上の受信強度が得られた測定位置10を関連付け(第1処理:図6参照)、S100の処理に戻る。
【0036】
S104の処理において、情報処理装置5は、関連付けた測定位置10の数が0であるセルが存在するか否かを判定する。情報処理装置5は、関連付けた測定位置10の数が0であるセルが存在すると判定した場合(S104:Yes)にはS106の処理に進み、関連付けた測定位置10の数が0であるセルが存在しないと判定した場合(S104:No)には処理を終了する。
【0037】
S106の処理において、情報処理装置5は、該当するセルそれぞれに対し、受信強度が最も高い測定位置10を関連付ける(第2処理)。例えば、図6に示したように、ビーコンMACアドレスがGG:GG:GG:GG:GG:GGであるセルには、所定値以上の受信強度が得られた測定位置10が存在しないため、情報処理装置5は、記憶部52が記憶している情報に基づいて、所定値未満で受信強度が最も高い測定位置10を関連付ける。
【0038】
図9は、情報処理装置5がセル間干渉計算処理を行う場合の動作例を示すフローチャートである。図9に示すように、情報処理装置5は、複数の基地局3に対し、セル間干渉を未計算のセルの組合せが存在するか否かを判定する(S200)。情報処理装置5は、セル間干渉を未計算のセルの組合せが存在すると判定した場合(S200:Yes)にはS202の処理に進み、セル間干渉を未計算のセルの組合せが存在しないと判定した場合(S200:No)には処理を終了する。
【0039】
S202の処理において、情報処理装置5は、未処理のセル組合せを1つ選択し、被干渉値が最大である測定位置10の受信強度をセル間干渉値とする(セル間干渉計算処理)。
【0040】
次に、第1処理部56が第1処理(第2動作)を行う場合について説明する。図10は、情報処理装置5が第1処理(第2動作)を伴って行う情報処理の具体例を示すフローチャートである。
【0041】
図10に示すように、情報処理装置5は、関連付け先のセルが未選択である測定位置10が存在するか否かを判定する(S300)。情報処理装置5は、関連付け先のセルが未選択である測定位置10が存在すると判定した場合(S300:Yes)にはS302の処理に進み、関連付け先のセルが未選択である測定位置10が存在しないと判定した場合(S300:No)にはS304の処理に進む。
【0042】
S302の処理において、情報処理装置5は、未処理の測定位置10を1つ選択し、所定値以上の受信強度が最も高いセルを関連付けて、当該測定位置10をカバーする基地局3とし(第1処理:図7参照)、S300の処理に戻る。
【0043】
S304の処理において、情報処理装置5は、関連付けた測定位置10の数が0であるセルが存在するか否かを判定する。情報処理装置5は、関連付けた測定位置10の数が0であるセルが存在すると判定した場合(S304:Yes)にはS306の処理に進み、関連付けた測定位置10の数が0であるセルが存在しないと判定した場合(S304:No)には処理を終了する。
【0044】
S306の処理において、情報処理装置5は、該当するセルそれぞれに対し、受信強度が最も高い測定位置10を関連付ける。なお、図7に示したように、例えば測定位置10-8には、受信強度が所定値以上であるセルが存在しない。よって、情報処理装置5は、記憶部52が記憶している情報に基づいて、所定値未満で受信強度が最も高いセルを測定位置10-8に関連付けてS306の処理としてもよい。
【0045】
なお、上述した説明では、ビーコンMACアドレスが基地局配置情報におけるいずれかの基地局3に該当することとしたが、無線通信システム1の動作は、この場合に限定されない。例えば、カバーエリア100内において、カバーエリア100内に配置されていない基地局からのビーコンMACアドレスが検出される場合には、情報処理装置5は、当該基地局からのビーコンMACアドレスを区別する。
【0046】
この場合、情報処理装置5は、ビーコンMACアドレスに含まれるその他の情報(例えば基地局の製造メーカを特定する製造メーカ情報)、又は、無線信号情報に含まれる基地局の性能(ケーパビリティ)を示す性能情報等に基づいて、基地局を識別する。
【0047】
このように、実施形態にかかる無線通信システム1は、複数の基地局3がそれぞれ送信して複数の測定位置10で測定された無線信号情報を、測定位置10ごとに基地局3のセルに関連付け、基地局3のセルに関連付けた無線信号情報に基づいて、複数の基地局3のセル間の干渉を計算するので、複数の基地局3それぞれのセル間干渉を精度よく計算することを可能にすることができる。このとき、端末局2側におけるセル間干渉も考慮されることとなる。
【0048】
なお、端末局2、基地局3、及び情報処理装置5が有する各機能は、それぞれ一部又は全部がPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアによって構成されてもよいし、CPU等のプロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。
【0049】
例えば、本発明にかかる情報処理装置5は、コンピュータとプログラムを用いて実現することができ、プログラムを記憶媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0050】
図11は、一実施形態にかかる情報処理装置5のハードウェア構成例を示す図である。図11に示すように、例えば情報処理装置5は、入力部500、出力部510、通信部520、CPU530、メモリ540及びHDD550がバス560を介して接続され、コンピュータとしての機能を備える。また、情報処理装置5は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体570との間でデータを入出力することができるようにされている。
【0051】
入力部500は、例えばキーボード及びマウス等である。出力部510は、例えばディスプレイなどの表示装置である。通信部520は、例えば有線のネットワークインターフェースである。
【0052】
CPU530は、情報処理装置5を構成する各部を制御し、所定の処理等を行う。メモリ540及びHDD550は、データを記憶する記憶部を構成する。特に、メモリ540は、上述した処理に用いる各データを記憶する。記憶媒体570は、情報処理装置5が有する機能を実行させる情報処理プログラム等を記憶可能にされている。なお、情報処理装置5を構成するアーキテクチャは図11に示した例に限定されない。
【0053】
すなわち、ここでいう「コンピュータ」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体等の記憶装置のことをいう。
【0054】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するものや、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータ内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含んでもよい。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明してきたが、上述の実施形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明が上述の実施形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、省略、置換、その他の変更が行われてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1・・・無線通信システム、2・・・端末局、3-1~3-9・・・基地局、4・・・ネットワーク、5・・・情報処理装置、10-1~10-16・・・測定位置、50・・・通信部、51・・・収集部、52・・・記憶部、53・・・関連付け部、54・・・干渉計算部、55・・・制御部、56・・・第1処理部、57・・・第2処理部、100・カバーエリア、500・・・入力部、510・・・出力部、520・・・通信部、530・・・CPU、540・・・メモリ、550・・・HDD、560・・・バス、570・・・記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11