(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】光学系および光学機器
(51)【国際特許分類】
G02B 13/02 20060101AFI20231212BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G02B13/02
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2022532333
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2021015136
(87)【国際公開番号】W WO2021256065
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2020105549
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】山下 雅史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晶乃
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-223754(JP,A)
【文献】国際公開第2019/097716(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/135000(WO,A1)
【文献】特開2014-102462(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220614(WO,A1)
【文献】特開2017-211489(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194113(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群と、第4レンズ群とから構成され、
無限遠物体から近距離物体への合焦の際、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが光軸に沿って互いに異なる軌跡で移動し、
前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが合わせて3個以下のレンズから構成され、
前記第4レンズ群は、像ブレを補正するために光軸と垂直な方向の変位成分を有するように移動可能な負の屈折力を有する防振群を有し、
以下の条件式を満足する光学系。
-3.00<Δx2/Δx3≦-0.22
-8.50<f1/fVR<-4.25
0.20<1/β3≦0.42
但し、Δx2:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の前記第2レンズ群の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
Δx3:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の前記第3レンズ群の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fVR:前記防振群の焦点距離
β3:無限遠物体合焦時の前記第3レンズ群の倍率
【請求項2】
前記防振群は、2個以上のレンズから構成される請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
以下の条件式を満足する請求項
1または2に記載の光学系。
-0.20<Δx2/f2<0.00
但し、Δx2:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の前記第2レンズ群の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項1~
3のいずれか一項に記載の光学系。
-0.20<Δx3/f3<0.00
但し、Δx3:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の前記第3レンズ群の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
【請求項5】
以下の条件式を満足する請求項1~
4のいずれか一項に記載の光学系。
1.00<f2/(-f3)<4.00
但し、f2:前記第2レンズ群の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
【請求項6】
以下の条件式を満足する請求項1~
5のいずれか一項に記載の光学系。
0.45<β2<0.80
但し、β2:無限遠物体合焦時の前記第2レンズ群の倍率
【請求項7】
以下の条件式を満足する請求項1~
6のいずれか一項に記載の光学系。
{β2+(1/β2)}
-2<0.25
但し、β2:無限遠物体合焦時の前記第2レンズ群の倍率
【請求項8】
以下の条件式を満足する請求項1~
7のいずれか一項に記載の光学系。
{β3+(1/β3)}
-2<0.18
【請求項9】
前記第1レンズ群は、以下の条件式を満足する正レンズを有する請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学系。
ndL1+(0.01425×νdL1)<2.12
νdL1<35.00
0.702<θgFL1+(0.00316×νdL1)
但し、ndL1:前記正レンズのd線に対する屈折率
νdL1:前記正レンズのd線を基準とするアッベ数
θgFL1:前記正レンズの部分分散比であり、前記正レンズのg線に対する屈折率をngL1とし、前記正レンズのF線に対する屈折率をnFL1とし、前記正レンズのC線に対する屈折率をnCL1としたとき、次式で定義される
θgFL1=(ngL1-nFL1)/(nFL1-nCL1)
【請求項10】
以下の条件式を満足するレンズを有する請求項1~
9のいずれか一項に記載の光学系。
80.00<νdL2
但し、νdL2:前記レンズのd線を基準とするアッベ数
【請求項11】
以下の条件式を満足する請求項1~
10のいずれか一項に記載の光学系。
3.50°<2ω<8.50°
但し、2ω:前記光学系の全画角
【請求項12】
無限遠物体から近距離物体への合焦の際、前記第2レンズ群が光軸に沿って物体側へ移動し、前記第3レンズ群が光軸に沿って像面側へ移動する請求項1~
11のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項13】
前記第2レンズ群は、1個のレンズから構成される請求項1~
12のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項14】
前記第3レンズ群は、1個のレンズ成分から構成される請求項1~
13のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項15】
前記第2レンズ群よりも像面側に配置された絞りを有する請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項16】
前記絞りが前記第3レンズ群よりも像面側に配置される請求項
15に記載の光学系。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれか一項に記載の光学系を備えて構成される光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等に適した光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような光学系においては、無限遠合焦時から近距離合焦時まで優れた光学性能を維持することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の本発明に係る光学系は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群と、第4レンズ群とから構成され、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが光軸に沿って互いに異なる軌跡で移動し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが合わせて3個以下のレンズから構成され、前記第4レンズ群は、像ブレを補正するために光軸と垂直な方向の変位成分を有するように移動可能な負の屈折力を有する防振群を有し、以下の条件式を満足する。
-3.00<Δx2/Δx3≦-0.22
-8.50<f1/fVR<-4.25
0.20<1/β3≦0.42
但し、Δx2:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の前記第2レンズ群の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
Δx3:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の前記第3レンズ群の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fVR:前記防振群の焦点距離
β3:無限遠物体合焦時の前記第3レンズ群の倍率
【0006】
本発明に係る光学機器は、上記光学系を備えて構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図2】
図2(A)、
図2(B)はそれぞれ、第1実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図3】第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)はそれぞれ、第2実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図5】第3実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図6】
図6(A)、
図6(B)はそれぞれ、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図7】第4実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図8】
図8(A)、
図8(B)はそれぞれ、第4実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図9】第5実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図10】
図10(A)、
図10(B)はそれぞれ、第5実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図11】各実施形態に係る光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【
図12】各実施形態に係る光学系の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について説明する。まず、各実施形態に係る光学系を備えたカメラ(光学機器)を
図11に基づいて説明する。このカメラ1は、
図11に示すように、本体2と、本体2に装着される撮影レンズ3により構成される。本体2は、撮像素子4と、デジタルカメラの動作を制御する本体制御部(不図示)と、液晶画面5とを備える。撮影レンズ3は、複数のレンズ群からなる光学系OLと、各レンズ群の位置を制御するレンズ位置制御機構(不図示)とを備える。レンズ位置制御機構は、レンズ群の位置を検出するセンサと、レンズ群を光軸に沿って前後に移動させるモータと、モータを駆動する制御回路などにより構成される。
【0010】
被写体からの光は、撮影レンズ3の光学系OLにより集光されて、撮像素子4の像面I上に到達する。像面Iに到達した被写体からの光は、撮像素子4により光電変換され、デジタル画像データとして不図示のメモリに記録される。メモリに記録されたデジタル画像データは、ユーザの操作に応じて液晶画面5に表示することが可能である。なお、このカメラは、ミラーレスカメラでも、クイックリターンミラーを有した一眼レフタイプのカメラであっても良い。また、
図11に示す光学系OLは、撮影レンズ3に備えられる光学系を模式的に示したものであり、光学系OLのレンズ構成はこの構成に限定されるものではない。
【0011】
次に、第1実施形態に係る光学系について説明する。第1実施形態に係る光学系(撮影レンズ)OLの一例としての光学系OL(1)は、
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とを有して構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦(フォーカシング)の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが光軸に沿って互いに異なる軌跡で移動する。また、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが合わせて3個以下のレンズから構成される。
【0012】
第1実施形態によれば、無限遠合焦時から近距離合焦時まで優れた光学性能を有する光学系、およびこの光学系を備えた光学機器を得ることが可能になる。第1実施形態に係る光学系OLは、
図3に示す光学系OL(2)でも良く、
図5に示す光学系OL(3)でも良く、
図7に示す光学系OL(4)でも良く、
図9に示す光学系OL(5)でも良い。
【0013】
次に、第2実施形態に係る光学系について説明する。第2実施形態に係る光学系(撮影レンズ)OLの一例としての光学系OL(1)は、
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とを有して構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦(フォーカシング)の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが光軸に沿って互いに異なる軌跡で移動する。
【0014】
上記構成の下、第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(1)を満足する。
0.010<(Δx2A+Δx3A)/D1<0.200 ・・・(1)
但し、Δx2A:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第2レンズ群G2の移動量の絶対値
Δx3A:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第3レンズ群G3の移動量の絶対値
D1:第1レンズ群G1の光軸上の長さ
【0015】
第2実施形態によれば、無限遠合焦時から近距離合焦時まで優れた光学性能を有する光学系、およびこの光学系を備えた光学機器を得ることが可能になる。第2実施形態に係る光学系OLは、
図3に示す光学系OL(2)でも良く、
図5に示す光学系OL(3)でも良く、
図7に示す光学系OL(4)でも良く、
図9に示す光学系OL(5)でも良い。
【0016】
条件式(1)は、合焦の際の第2レンズ群G2の移動量と第3レンズ群G3の移動量の和と、第1レンズ群G1の光軸上の長さとの適切な関係を規定するものである。条件式(1)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の収差変動を抑えることができる。
【0017】
条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、合焦を行う第2レンズ群G2および第3レンズ群G3の移動量が小さくなることで、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3のパワーが強くなる傾向になるため、合焦の際の収差変動を抑えることが困難になる。条件式(1)の下限値を、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、さらに0.042に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0018】
条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群G1が短くなることで、第1レンズ群G1のパワーが強くなる傾向になるため、軸上色収差や球面収差等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(1)の上限値を、0.175、0.160、0.150、0.125、0.115、0.110、さらに0.100に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0019】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
-0.20<Δx2/f2<0.00 ・・・(2)
但し、Δx2:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第2レンズ群G2の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
【0020】
条件式(2)は、合焦の際の第2レンズ群G2の移動量と、第2レンズ群G2の焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(2)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の収差変動を抑えることができる。
【0021】
条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、合焦を行う第2レンズ群G2のパワーが強くなることで、合焦の際の収差変動を抑えることが困難になる。また、合焦を行う第2レンズ群G2の移動量が大きくなることで、光学系OLの全長の増大を招く。光学系OLの全長の増大を抑えるため、例えば第1レンズ群G1を短くして、第1レンズ群G1のパワーを強くする必要があることから、軸上色収差や球面収差等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(2)の下限値を、-0.18、-0.15、-0.13、-0.10、-0.09、さらに-0.08に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0022】
条件式(2)の対応値が上限値に達すると、合焦を行う第2レンズ群G2のパワーもしくは移動量を確保することが困難になり、好ましくない。条件式(2)の上限値を-0.01、さらに-0.02に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0023】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
-0.20<Δx3/f3<0.00 ・・・(3)
但し、Δx3:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第3レンズ群G3の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
f3:第3レンズ群G3の焦点距離
【0024】
条件式(3)は、合焦の際の第3レンズ群G3の移動量と、第3レンズ群G3の焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(3)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の収差変動を抑えることができる。
【0025】
条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、合焦を行う第3レンズ群G3のパワーが強くなることで、合焦の際の収差変動を抑えることが困難になる。また、合焦を行う第3レンズ群G3の移動量が大きくなることで、光学系OLの全長の増大を招く。光学系OLの全長の増大を抑えるため、例えば第1レンズ群G1を短くして、第1レンズ群G1のパワーを強くする必要があることから、軸上色収差や球面収差等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(3)の下限値を、-0.18、-0.16、さらに-0.15に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0026】
条件式(3)の対応値が上限値に達すると、合焦を行う第3レンズ群G3のパワーもしくは移動量を確保することが困難になり、好ましくない。条件式(3)の上限値を-0.01に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0027】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
1.00<f2/(-f3)<4.00 ・・・(4)
但し、f2:第2レンズ群G2の焦点距離
f3:第3レンズ群G3の焦点距離
【0028】
条件式(4)は、第2レンズ群G2の焦点距離と、第3レンズ群G3の焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(4)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の収差変動を抑えることができる。
【0029】
条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、合焦を行う第2レンズ群G2のパワーが強くなるため、合焦の際の収差変動を抑えることが困難になる。条件式(4)の下限値を、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、さらに1.35に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0030】
条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、合焦を行う第3レンズ群G3のパワーが強くなるため、合焦の際の収差変動を抑えることが困難になる。条件式(4)の上限値を、3.80、3.50、3.25、3.00、2.85、2.80、2.75、さらに2.70に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0031】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
-3.00<Δx2/Δx3<-0.20 ・・・(5)
但し、Δx2:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第2レンズ群G2の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
Δx3:無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第3レンズ群G3の移動量(像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする)
【0032】
条件式(5)は、合焦の際の第2レンズ群G2の移動量と、合焦の際の第3レンズ群G3の移動量との適切な関係を規定するものである。条件式(5)を満足することで、軸上色収差や球面収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0033】
条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、合焦を行う第2レンズ群G2の移動量が大きくなることで、光学系OLの全長の増大を招く。光学系OLの全長の増大を抑えるため、例えば第1レンズ群G1を短くして、第1レンズ群G1のパワーを強くする必要があることから、軸上色収差や球面収差等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(5)の下限値を、-2.85、-2.70、-2.60、-2.50、-2.45、さらに-2.40に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0034】
条件式(5)の対応値が上限値を上回ると、合焦を行う第3レンズ群G3の移動量が大きくなることで、光学系OLの全長の増大を招く。光学系OLの全長の増大を抑えるため、例えば第1レンズ群G1を短くして、第1レンズ群G1のパワーを強くする必要があることから、軸上色収差や球面収差等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(5)の上限値を、-0.25、-0.30、-0.35、-0.40、-0.45、さらに-0.50に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0035】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、第4レンズ群G4は、像ブレを補正するために光軸と垂直な方向の変位成分を有するように移動可能な負の屈折力を有する防振群を有することが望ましい。これにより、像ブレを補正する際の収差変動を抑えることができる。
【0036】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、防振群は、2個以上のレンズから構成されることが望ましい。これにより、像ブレを補正する際の収差変動を抑えることができる。
【0037】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
-8.50<f1/fVR<-3.00 ・・・(6)
但し、f1:第1レンズ群G1の焦点距離
fVR:防振群の焦点距離
【0038】
条件式(6)は、第1レンズ群G1の焦点距離と、防振群の焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(6)を満足することで、像ブレを補正する際の収差変動を抑えることができる。
【0039】
条件式(6)の対応値が下限値を下回ると、防振群のパワーが強くなるため、像ブレを補正する際の収差変動を抑えることが困難になる。条件式(6)の下限値を、-8.25、-8.10、-8.00、-7.85.-7.70、-7.50、-7.30、さらに-7.25に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0040】
条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群G1のパワーが強くなるため、軸上色収差や球面収差等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(6)の上限値を、-3.15、-3.30、-3.50、-3.65、-3.80、-4.00、-4.10、-4.20、さらに-4.25に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0041】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
0.45<β2<0.80 ・・・(7)
但し、β2:無限遠物体合焦時の第2レンズ群G2の倍率
【0042】
条件式(7)は、無限遠物体合焦時の第2レンズ群G2の倍率について適切な範囲を規定するものである。条件式(7)を満足することで、合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。
【0043】
条件式(7)の対応値が下限値を下回ると、合焦の際の諸収差の変動を抑えることが困難になる。条件式(7)の下限値を、0.46、0.47、0.48、さらに0.49に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0044】
条件式(7)の対応値が上限値を上回ると、合焦の際の諸収差の変動を抑えることが困難になる。条件式(7)の上限値を、0.78、0.75、0.73、さらに0.70に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0045】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
0.20<1/β3<0.50 ・・・(8)
但し、β3:無限遠物体合焦時の第3レンズ群G3の倍率
【0046】
条件式(8)は、無限遠物体合焦時の第3レンズ群G3の倍率について適切な範囲を規定するものである。条件式(8)を満足することで、合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。
【0047】
条件式(8)の対応値が下限値を下回ると、合焦の際の諸収差の変動を抑えることが困難になる。条件式(8)の下限値を、0.22、0.24、0.25、さらに0.26に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0048】
条件式(8)の対応値が上限値を上回ると、合焦の際の諸収差の変動を抑えることが困難になる。条件式(8)の上限値を、0.48、0.46、0.45、さらに0.44に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0049】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
{β2+(1/β2)}-2<0.25 ・・・(9)
但し、β2:無限遠物体合焦時の第2レンズ群G2の倍率
【0050】
条件式(9)は、無限遠物体合焦時の第2レンズ群G2の倍率について適切な範囲を規定するものである。条件式(9)を満足することで、合焦の際の球面収差、歪曲収差、およびコマ収差等の諸収差の変動を抑えつつ、フォーカス群の移動量を小さくすることができる。
【0051】
条件式(9)の対応値が条件式範囲内にあることが好ましく、条件式(9)の下限値を仮に、0.10、0.12、0.14、さらに0.15に設定するならば、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0052】
条件式(9)の対応値が上限値を上回ると、合焦の際の諸収差の変動を抑えることが困難になる。条件式(9)の上限値を0.24、さらに0.23に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0053】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
{β3+(1/β3)}-2<0.18 ・・・(10)
但し、β3:無限遠物体合焦時の第3レンズ群G3の倍率
【0054】
条件式(10)は、無限遠物体合焦時の第3レンズ群G3の倍率について適切な範囲を規定するものである。条件式(10)を満足することで、合焦の際の球面収差、歪曲収差、およびコマ収差等の諸収差の変動を抑えつつ、フォーカス群の移動量を小さくすることができる。
【0055】
条件式(10)の対応値が条件式範囲内にあることが好ましく、条件式(10)の下限値を仮に、0.03、さらに0.05に設定するならば、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0056】
条件式(10)の対応値が上限値を上回ると、合焦の際の諸収差の変動を抑えることが困難になる。条件式(10)の上限値を、0.16、0.15、さらに0.14に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0057】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、第1レンズ群G1は、以下の条件式(11)~(13)を満足する正レンズ(L15)を有することが望ましい。
ndL1+(0.01425×νdL1)<2.12 ・・・(11)
νdL1<35.00 ・・・(12)
0.702<θgFL1+(0.00316×νdL1)・・・(13)
但し、ndL1:正レンズのd線に対する屈折率
νdL1:正レンズのd線を基準とするアッベ数
θgFL1:正レンズの部分分散比であり、正レンズのg線に対する屈折率をngL1とし、正レンズのF線に対する屈折率をnFL1とし、正レンズのC線に対する屈折率をnCL1としたとき、次式で定義される
θgFL1=(ngL1-nFL1)/(nFL1-nCL1)
なお、正レンズのd線を基準とするアッベ数νdL1は、次式で定義される
νdL1=(ndL1-1)/(nFL1-nCL1)
【0058】
条件式(11)は、第1レンズ群G1における正レンズのd線に対する屈折率と、正レンズのd線を基準とするアッベ数との適切な関係を規定するものである。条件式(11)を満足することで、球面収差、コマ収差等の基準収差の補正と、1次の色収差の補正(色消し)を良好に行うことができる。
【0059】
条件式(11)の対応値が上限値を上回ると、例えばペッツバール和が小さくなることで、像面湾曲の補正が困難になるため、好ましくない。条件式(11)の上限値を、2.11、2.10、2.09、2.08、2.07、さらに2.06に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0060】
条件式(11)の下限値を1.83に設定してもよい。条件式(11)の対応値がこの下限値を下回ると、基準収差および色収差の補正が過剰となり、好ましくない。条件式(11)の下限値を、1.85、1.90、1.95、さらに1.98に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0061】
条件式(12)は、第1レンズ群G1における正レンズのd線を基準とするアッベ数の適切な範囲を規定するものである。条件式(12)を満足することで、球面収差、コマ収差等の基準収差の補正と、1次の色収差の補正(色消し)を良好に行うことができる。
【0062】
条件式(12)の対応値が上限値を上回ると、例えば正レンズより像面側に配置されたレンズ群において軸上色収差の補正が困難となるため、好ましくない。条件式(12)の上限値を、32.50、32.00、31.50、31.00、30.50、30.00、さらに29.50に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0063】
条件式(12)の下限値を18.00に設定してもよい。条件式(12)の対応値がこの下限値を下回ると、基準収差および色収差の補正が過剰となり、好ましくない。条件式(12)の下限値を、18.50、19.00、19.50、さらに20.00に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0064】
条件式(13)は、第1レンズ群G1における正レンズの異常分散性を適切に規定するものである。条件式(13)を満足することで、色収差の補正において、1次の色消しに加え、2次スペクトルを良好に補正することができる。
【0065】
条件式(13)の対応値が下限値を下回ると、正レンズの異常分散性が小さくなるため、色収差の補正が困難となる。条件式(13)の下限値を、0.704、0.708、0.710、0.712、さらに0.715に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0066】
条件式(13)の上限値を0.900に設定してもよい。条件式(13)の対応値がこの上限値を上回ると、色収差の補正が過剰となり、好ましくない。条件式(13)の上限値を、0.880、0.850、0.825、さらに0.800に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0067】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(14)を満足するレンズ(L12,L13)を有することが望ましい。なお、他のレンズと区別するため、条件式(14)を満足するレンズを特定レンズと称する場合がある。
80.00<νdL2 ・・・(14)
但し、νdL2:特定レンズのd線を基準とするアッベ数
【0068】
条件式(14)は、特定レンズのd線を基準とするアッベ数の適切な範囲を規定するものである。条件式(14)を満足することで、軸上色収差や倍率色収差を良好に補正することができる。
【0069】
条件式(14)の対応値が下限値を下回ると、軸上色収差や倍率色収差を補正することが困難になる。条件式(14)の下限値を、81.00、81.80、82.50、84.00、85.50、87.00、さらに90.00に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0070】
条件式(14)の上限値を110.00に設定してもよい。条件式(14)の対応値がこの上限値を上回ると、軸上色収差や倍率色収差の補正が過剰となり、好ましくない。条件式(14)の上限値を、107.50、105.00、102.50、100.00、さらに98.00に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0071】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
3.50°<2ω<8.50° ・・・(15)
但し、2ω:光学系OLの全画角
【0072】
条件式(15)は、光学系OLの全画角の適切な範囲を規定するものである。条件式(15)を満足することで、焦点距離の長い望遠型の光学系が得られるので好ましい。条件式(15)の下限値を3.80°、さらに4.00°に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(15)の上限値を、8.00°、7.50°、7.00°、さらに6.50°に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0073】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側へ移動し、第3レンズ群G3が光軸に沿って像面側へ移動することが望ましい。これにより、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の収差変動を良好に補正することが可能になる。また、光学系OLのスペースを有効に使うことができ、良好な光学性能を保ちつつ光学系OLの全長を短く抑えることが可能になる。
【0074】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、第2レンズ群G2は、1個のレンズから構成されることが望ましい。これにより、第2レンズ群G2が軽量になるため、無限遠物体から近距離物体への合焦を高速で行うことが可能になる。また、フォーカス群の軽量化のためにレンズ径を小さくする必要がないため、例えば第1レンズ群G1のパワーが強くなりすぎることがなく、軸上色収差や球面収差等の諸収差を良好に補正することが可能である。
【0075】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、第3レンズ群G3は、1個のレンズ成分から構成されることが望ましい。これにより、第3レンズ群G3が軽量になるため、無限遠物体から近距離物体への合焦を高速で行うことが可能になる。また、フォーカス群の軽量化のためにレンズ径を小さくする必要がないため、例えば第1レンズ群G1のパワーが強くなりすぎることがなく、軸上色収差や球面収差等の諸収差を良好に補正することが可能である。なお、各実施形態において、レンズ成分は、単レンズ又は接合レンズを示すものである。
【0076】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、第2レンズ群G2よりも像面側に配置された絞り(開口絞りS)を有することが望ましい。これにより、光学系OLにおいて光束の径が小さくなる箇所に絞りが配置されるため、鏡筒の外径を小型化することが可能になる。
【0077】
さらに、絞り(開口絞りS)が第3レンズ群G3よりも像面側に配置されることが望ましい。これにより、光学系OLにおいて光束の径が小さくなる箇所に絞りが配置されるため、鏡筒の外径を小型化することが可能になる。
【0078】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、第2レンズ群G2が合焦の際に移動する第1の合焦レンズ群であるが、第1の合焦レンズ群は、正の屈折力を有してもよく、負の屈折力を有してもよい。また、第3レンズ群G3が合焦の際に移動する第2の合焦レンズ群であるが、第2の合焦レンズ群は、正の屈折力を有してもよく、負の屈折力を有してもよい。
【0079】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、第2レンズ群G2が合焦の際に移動する第1の合焦レンズ群であり、第3レンズ群G3が合焦の際に移動する第2の合焦レンズ群であるが、第1の合焦レンズ群と第2の合焦レンズ群との間に、正または負の屈折力を有するレンズが1つ以上設けられてもよい。
【0080】
続いて、
図12を参照しながら、第1実施形態に係る光学系OLの製造方法について概説する。まず、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とを配置する(ステップST1)。次に、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが光軸に沿って互いに異なる軌跡で移動するように構成する(ステップST2)。また、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが合わせて3個以下のレンズから構成されるように、レンズ鏡筒内に各レンズを配置する。このような製造方法によれば、無限遠合焦時から近距離合焦時まで優れた光学性能を有する光学系を製造することが可能になる。続いて、第1実施形態の場合と同様に
図12を参照しながら、第2実施形態に係る光学系OLの製造方法について概説する。まず、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とを配置する(ステップST1)。次に、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが光軸に沿って互いに異なる軌跡で移動するように構成する(ステップST2)。また、少なくとも上記条件式(1)を満足するように、レンズ鏡筒内に各レンズを配置する。このような製造方法によれば、無限遠合焦時から近距離合焦時まで優れた光学性能を有する光学系を製造することが可能になる。
【実施例】
【0081】
以下、各実施形態の実施例に係る光学系OLを図面に基づいて説明する。
図1、
図3、
図5、
図7、
図9は、第1~第5実施例に係る光学系OL{OL(1)~OL(5)}の構成及び屈折力配分を示す断面図である。第1~第5実施例に係る光学系OL(1)~OL(5)の断面図では、無限遠から近距離物体へ合焦する際の第2レンズ群および第3レンズ群の光軸に沿った移動方向を、「合焦」という文字とともに矢印で示している。また、第4レンズ群の一部が防振群として像ブレを補正する際の移動方向を、「防振」という文字とともに矢印で示している。
【0082】
これら
図1、
図3、
図5、
図7、
図9において、各レンズ群を符号Gと数字の組み合わせにより、各レンズを符号Lと数字の組み合わせにより、それぞれ表している。この場合において、符号、数字の種類および数が大きくなって煩雑化するのを防止するため、実施例毎にそれぞれ独立して符号と数字の組み合わせを用いてレンズ群等を表している。このため、実施例間で同一の符号と数字の組み合わせが用いられていても、同一の構成であることを意味するものでは無い。
【0083】
以下に表1~表5を示すが、この内、表1は第1実施例、表2は第2実施例、表3は第3実施例、表4は第4実施例、表5は第5実施例における各諸元データを示す表である。各実施例では収差特性の算出対象として、d線(波長λ=587.6nm)、g線(波長λ=435.8nm)を選んでいる。
【0084】
[全体諸元]の表において、fはレンズ全系の焦点距離、FNОはFナンバー、2ωは画角(単位は°(度)で、ωが半画角である)、Yは像高を示す。TLは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最前面からレンズ最終面までの距離にBfを加えた距離を示し、Bfは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最終面から像面Iまでの距離(バックフォーカス)を示す。また、[全体諸元]の表において、fVRは、防振群の焦点距離を示す。Δx2は、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第2レンズ群の移動量を示す。Δx3は、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の第3レンズ群の移動量を示す。なお、レンズ群の移動量については、像面側への移動量の符号を+とし、物体側への移動量の符号を-とする。β2は、無限遠物体合焦時の第2レンズ群の倍率を示す。β3は、無限遠物体合焦時の第3レンズ群の倍率を示す。
【0085】
[レンズ諸元]の表において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を示し、Rは各光学面の曲率半径(曲率中心が像側に位置する面を正の値としている)、Dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材料のd線に対する屈折率、νdは光学部材の材料のd線を基準とするアッベ数、θgFは光学部材の材料の部分分散比をそれぞれ示す。曲率半径の「∞」は平面又は開口を、(絞りS)は開口絞りSをそれぞれ示す。空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。
【0086】
光学部材の材料のg線(波長λ=435.8nm)に対する屈折率をngとし、光学部材の材料のF線(波長λ=486.1nm)に対する屈折率をnFとし、光学部材の材料のC線(波長λ=656.3nm)に対する屈折率をnCとする。このとき、光学部材の材料の部分分散比θgFは次式(A)で定義される。
【0087】
θgF=(ng-nF)/(nF-nC) …(A)
【0088】
[可変間隔データ]の表には、[レンズ諸元]の表において面間隔が(Di)となっている面番号iでの面間隔を示す。[可変間隔データ]の表において、fはレンズ全系の焦点距離を、βは撮影倍率をそれぞれ示す。
【0089】
[レンズ群データ]の表には、各レンズ群のそれぞれの始面(最も物体側の面)と焦点距離を示す。
【0090】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0091】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での重複する説明は省略する。
【0092】
(第1実施例)
第1実施例について、
図1~
図2および表1を用いて説明する。
図1は、第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。第1実施例に係る光学系OL(1)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側へ移動し、第3レンズ群G3が光軸に沿って像側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間に配設される。各レンズ群記号に付けている符号(+)もしくは(-)は各レンズ群の屈折力を示し、このことは以下の全ての実施例でも同様である。
【0093】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と、両凸形状の正レンズL15と、両凹形状の負レンズL16と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17とが接合された接合レンズと、から構成される。
【0094】
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31から構成される。すなわち、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが合わせて2個のレンズから構成される。
【0095】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL41と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL42と両凹形状の負レンズL43とが接合された接合レンズと、両凸形状の正レンズL44と、両凸形状の正レンズL45と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL46と両凸形状の正レンズL47とが接合された接合レンズと、両凹形状の負レンズL48と、から構成される。第4レンズ群G4における正レンズL45と(接合レンズの)負メニスカスレンズL46との間に、光学フィルタFLが配置される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0096】
本実施例では、第4レンズ群G4の負レンズL41と、正メニスカスレンズL42および負レンズL43とが、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振群を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。第1レンズ群G1の正レンズL15が、前述の条件式(11)~(13)を満足する正レンズに該当する。第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL12、正レンズL13、および正メニスカスレンズL17と、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL21と、第4レンズ群G4の負レンズL43とが、前述の条件式(14)を満足するレンズ(特定レンズ)に該当する。
【0097】
以下の表1に、第1実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0098】
(表1)
[全体諸元]
f=390.00001 fVR=-65.65418
FNO=2.90297 Δx2=-11.7496
2ω=6.29588 Δx3=7.7093
Y=21.60 β2=0.63393
TL=405.3186 β3=2.52874
Bf=54.0003
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 439.8093 8.2000 1.518600 69.89 0.532
2 -1741.2521 0.1000
3 222.5379 12.0000 1.433852 95.25 0.540
4 1393.9654 97.1809
5 139.4073 11.0000 1.433852 95.25 0.540
6 -380.4635 0.1050
7 -416.7878 3.0000 1.683760 37.64 0.578
8 192.2903 59.0562
9 102.4273 6.6000 1.663820 27.35 0.632
10 -401.4769 0.1362
11 -360.0793 1.8000 1.737999 32.26 0.590
12 58.7393 8.8000 1.497820 82.57 0.539
13 1167.4655 (D13)
14 83.8395 6.2000 1.497820 82.57 0.539
15 10090.0640 (D15)
16 690.6259 1.8000 1.755000 52.33 0.548
17 60.0805 (D17)
18 ∞ 7.0861 (絞りS)
19 -246.8276 1.8000 1.910822 35.25 0.582
20 116.7166 3.8112
21 -73.3878 4.1000 1.846663 23.78 0.619
22 -39.7299 1.8000 1.497820 82.57 0.539
23 433.0885 4.6000
24 89.2307 3.8000 1.612660 44.46 0.564
25 -1734.6597 40.2586
26 55.6338 5.5000 1.696800 55.52 0.543
27 -779.8112 10.0000
28 ∞ 1.5000 1.516800 63.88 0.536
29 ∞ 0.1000
30 63.5589 1.5000 1.804000 46.60 0.557
31 26.0339 8.8000 1.612660 44.46 0.564
32 -212.3772 4.7866
33 -69.8293 1.5000 2.000694 25.46 0.614
34 198.2621 Bf
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=390.00001 β=-0.0333 β=-0.1682
D13 16.0689 13.7323 23.5588
D15 4.1000 8.0022 23.4588
D17 14.2286 12.6630 6.5193
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 282.01395
G2 14 169.78939
G3 16 -87.26627
G4 19 310.88872
【0099】
図2(A)は、第1実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図2(B)は、第1実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。無限遠合焦時の各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高をそれぞれ示す。近距離合焦時の各収差図において、NAは開口数、Yは像高をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーまたは開口数の値を示し、非点収差図および歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。dはd線(波長λ=587.6nm)、gはg線(波長λ=435.8nm)をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0100】
各諸収差図より、第1実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0101】
(第2実施例)
第2実施例について、
図3~
図4および表2を用いて説明する。
図3は、第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。第2実施例に係る光学系OL(2)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側へ移動し、第3レンズ群G3が光軸に沿って像側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間に配設される。
【0102】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と、両凸形状の正レンズL15と、両凹形状の負レンズL16と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17とが接合された接合レンズと、から構成される。
【0103】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と両凹形状の負レンズL32とが接合された(負の屈折力を有する)接合レンズから構成される。すなわち、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが合わせて3個のレンズから構成される。
【0104】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41と両凹形状の負レンズL42とが接合された接合レンズと、両凹形状の負レンズL43と、両凸形状の正レンズL44と、両凸形状の正レンズL45と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL46とが接合された接合レンズと、両凸形状の正レンズL47と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL48と、から構成される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0105】
本実施例では、第4レンズ群G4の正メニスカスレンズL41および負レンズL42と、負レンズL43とが、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振群を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。第1レンズ群G1の正レンズL15が、前述の条件式(11)~(13)を満足する正レンズに該当する。第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL12、正レンズL13、および正メニスカスレンズL17が、前述の条件式(14)を満足するレンズ(特定レンズ)に該当する。
【0106】
以下の表2に、第2実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0107】
(表2)
[全体諸元]
f=389.99986 fVR=-63.58427
FNO=2.90000 Δx2=-5.0000
2ω=6.31216 Δx3=11.7806
Y=21.60 β2=0.50377
TL=374.8074 β3=2.39339
Bf=40.8074
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 411.5072 9.6000 1.518600 69.89 0.532
2 -1780.5743 2.0000
3 176.8633 11.9000 1.433837 95.16 0.539
4 650.5128 88.9014
5 139.4073 11.2000 1.433837 95.16 0.539
6 -454.4554 3.8410
7 -416.7878 2.7000 1.770470 29.74 0.595
8 280.1935 40.5654
9 144.0688 8.0000 1.663820 27.35 0.632
10 -152.3486 0.1000
11 -156.0200 1.8000 1.749504 35.33 0.582
12 58.8242 9.0000 1.437001 95.10 0.534
13 808693.5500 (D13)
14 80.8416 6.0000 1.593190 67.90 0.544
15 -1732.6760 (D15)
16 -1283.1947 3.5000 1.850260 32.35 0.595
17 -277.4866 1.5000 1.517420 52.20 0.558
18 45.9700 (D18)
19 ∞ 6.6883 (絞りS)
20 -769.1919 3.0000 1.805181 25.46 0.616
21 -74.8338 1.2000 1.593190 67.90 0.544
22 88.8291 2.9101
23 -151.9699 1.2000 1.755000 52.33 0.548
24 133.0301 4.6000
25 78.5763 3.0000 1.654115 39.68 0.574
26 -531.2778 38.2139
27 106.4326 6.2000 1.654115 39.68 0.574
28 -65.3375 1.5000 1.922859 20.88 0.628
29 -494.2887 3.9085
30 214.9436 5.0000 1.770470 29.74 0.595
31 -127.9388 20.8915
32 -77.1790 1.5000 1.902650 35.77 0.581
33 -511.7909 Bf
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=389.99986 β=-0.0333 β=-0.1699
D13 9.4718 8.7870 4.4718
D15 4.0000 7.1614 20.7806
D18 20.1082 17.6315 8.3276
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 341.63982
G2 14 130.36832
G3 16 -93.23698
G4 20 491.53462
【0108】
図4(A)は、第2実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図4(B)は、第2実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第2実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0109】
(第3実施例)
第3実施例について、
図5~
図6および表3を用いて説明する。
図5は、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第3実施例に係る光学系OL(3)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側へ移動し、第3レンズ群G3が光軸に沿って像側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間に配設される。
【0110】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と、両凸形状の正レンズL15と、両凹形状の負レンズL16と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17とが接合された接合レンズと、から構成される。
【0111】
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31から構成される。すなわち、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが合わせて2個のレンズから構成される。
【0112】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と両凹形状の負レンズL43とが接合された接合レンズと、両凹形状の負レンズL44と、両凸形状の正レンズL45と、両凸形状の正レンズL46と両凹形状の負レンズL47とが接合された接合レンズと、両凸形状の正レンズL48と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL49と、から構成される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0113】
本実施例では、第4レンズ群G4の正レンズL42および負レンズL43と、負レンズL44とが、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振群を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。第1レンズ群G1の正レンズL15が、前述の条件式(11)~(13)を満足する正レンズに該当する。第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL12、正レンズL13、および正メニスカスレンズL17が、前述の条件式(14)を満足するレンズ(特定レンズ)に該当する。
【0114】
以下の表3に、第3実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0115】
(表3)
[全体諸元]
f=389.99987 fVR=-43.21297
FNO=2.93355 Δx2=-5.0178
2ω=6.31206 Δx3=10.3311
Y=21.63 β2=0.54598
TL=357.8074 β3=3.37032
Bf=40.8075
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 274.6094 9.6000 1.518600 69.89 0.532
2 1444.1407 3.0000
3 189.5245 11.9000 1.433837 95.16 0.539
4 876.8340 89.3809
5 139.4073 11.2000 1.433837 95.16 0.539
6 -496.1675 1.4595
7 -541.6390 2.7000 1.770470 29.74 0.595
8 350.5591 38.4092
9 122.5377 8.4000 1.663820 27.35 0.632
10 -159.9948 0.1000
11 -161.0621 1.8000 1.720467 34.71 0.583
12 53.9862 8.5000 1.437001 95.10 0.534
13 268.4116 (D13)
14 69.4230 6.0000 1.593190 67.90 0.544
15 529.0836 (D15)
16 11438.0050 1.5000 1.696800 55.52 0.543
17 50.3745 (D17)
18 ∞ 22.9851 (絞りS)
19 497.7845 4.5000 1.729160 54.61 0.544
20 -104.8775 4.5000
21 135.7675 3.0000 1.922859 20.88 0.628
22 -574.7517 1.2000 1.593190 67.90 0.544
23 36.8702 4.6409
24 -98.5151 1.2000 1.729160 54.61 0.544
25 106.1474 4.6000
26 54.3694 4.0000 1.654115 39.68 0.574
27 -1515.8814 0.1000
28 53.4516 6.7000 1.620040 36.40 0.588
29 -53.9119 1.5000 1.808090 22.74 0.629
30 71.0492 15.0246
31 79.3722 6.5000 1.770470 29.74 0.595
32 -62.5659 6.1388
33 -46.9005 1.5000 1.903658 31.31 0.595
34 -495.5352 Bf
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=389.99987 β=-0.0333 β=-0.1714
D13 11.4406 10.6069 6.4228
D15 4.5919 7.4922 19.9407
D17 18.9286 16.8620 8.5975
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 310.67557
G2 14 134.05749
G3 16 -72.61779
G4 19 266.10963
【0116】
図6(A)は、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図6(B)は、第3実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第3実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0117】
(第4実施例)
第4実施例について、
図7~
図8および表4を用いて説明する。
図7は、第4実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第4実施例に係る光学系OL(4)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ
、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側へ移動し、第3レンズ群G3が光軸に沿って像側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第4レンズ群G4内に配設される。
【0118】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL15と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL16と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17とが接合された接合レンズと、から構成される。
【0119】
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31から構成される。すなわち、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが合わせて2個のレンズから構成される。
【0120】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と両凹形状の負レンズL43とが接合された接合レンズと、両凹形状の負レンズL44と、両凸形状の正レンズL45と、両凸形状の正レンズL46と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL47とが接合された接合レンズと、両凸形状の正レンズL48と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL49とが接合された接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL50と、から構成される。第4レンズ群G4における正レンズL41と(接合レンズの)正レンズL42との間に、開口絞りSが配置される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。第4レンズ群G4の負メニスカスレンズL50と像面Iとの間に、光学フィルタFLが配置される。
【0121】
本実施例では、第4レンズ群G4の正レンズL42および負レンズL43と、負レンズL44とが、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振群を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL15が、前述の条件式(11)~(13)を満足する正レンズに該当する。第1レンズ群G1の正レンズL12、正レンズL13、および正メニスカスレンズL17と、第4レンズ群G4の負メニスカスレンズL49とが、前述の条件式(14)を満足するレンズ(特定レンズ)に該当する。
【0122】
以下の表4に、第4実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0123】
(表4)
[全体諸元]
f=587.99970 fVR=-61.09024
FNO=4.09990 Δx2=-9.2038
2ω=4.15318 Δx3=2.0000
Y=21.70 β2=0.53805
TL=457.9999 β3=3.07318
Bf=33.4999
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 320.0114 9.4987 1.487490 70.32 0.529
2 1556.2771 70.0000
3 200.0000 14.7065 1.433837 95.16 0.539
4 -1850.8679 66.5961
5 112.1065 14.0539 1.433837 95.16 0.539
6 -411.9826 3.0994
7 -271.7122 2.6000 1.749504 35.33 0.582
8 273.2070 41.9524
9 -276.2752 2.9954 1.663820 27.35 0.632
10 -151.1038 0.1000
11 165.8791 1.9000 1.804400 39.61 0.572
12 56.1791 10.0000 1.437001 95.10 0.534
13 246.7321 (D13)
14 72.7085 5.0000 1.627496 59.24 0.556
15 437.2023 (D15)
16 608.4245 1.4000 1.804400 39.61 0.572
17 59.2420 (D17)
18 1662.7369 3.0000 1.808090 22.74 0.629
19 -268.2959 7.9411
20 ∞ 6.5000 (絞りS)
21 173.1949 4.4983 1.846663 23.78 0.619
22 -93.9126 1.2000 1.755000 52.33 0.548
23 68.9486 3.7146
24 -79.9737 1.2000 1.729160 54.61 0.544
25 319.8993 8.0984
26 65.6157 3.8964 1.647690 33.72 0.593
27 -6303.3612 57.0554
28 1057.7056 6.4549 1.770470 29.74 0.595
29 -30.5390 1.2600 1.922860 20.88 0.639
30 -363.6860 0.1000
31 143.0814 7.4994 1.595510 39.21 0.581
32 -33.2229 1.2000 1.497820 82.57 0.539
33 -1263.0104 19.8180
34 -48.8063 1.2000 1.848500 43.79 0.562
35 -70.0018 8.7649
36 ∞ 2.0000 1.516800 64.13 0.536
37 ∞ Bf
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=587.99970 β=-0.0333 β=-0.1450
D13 15.5701 13.4060 6.3663
D15 4.2356 6.8823 15.4394
D17 15.3905 14.9079 13.3905
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 348.13120
G2 14 138.25340
G3 16 -81.68490
G4 18 -6571.80060
【0124】
図8(A)は、第4実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図8(B)は、第4実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第4実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0125】
(第5実施例)
第5実施例について、
図9~
図10および表5を用いて説明する。
図9は、第5実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第5実施例に係る光学系OL(5)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側へ移動し、第3レンズ群G3が光軸に沿って像側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間に配設される。
【0126】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凹形状の負レンズL14と、両凸形状の正レンズL15と、両凹形状の負レンズL16と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17とが接合された接合レンズと、から構成される。
【0127】
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31から構成される。すなわち、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが合わせて2個のレンズから構成される。
【0128】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と両凹形状の負レンズL43とが接合された接合レンズと、両凹形状の負レンズL44と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL45と両凸形状の正レンズL46とが接合された接合レンズと、両凸形状の正レンズL47と両凹形状の負レンズL48とが接合された接合レンズと、両凸形状の正レンズL49と両凹形状の負レンズL50とが接合された接合レンズと、から構成される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0129】
本実施例では、第4レンズ群G4の正レンズL42および負レンズL43と、負レンズL44とが、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振群を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。第1レンズ群G1の正レンズL15が、前述の条件式(11)~(13)を満足する正レンズに該当する。第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL12、正レンズL13、および正メニスカスレンズL17と、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL21と、第4レンズ群G4の負レンズL43とが、前述の条件式(14)を満足するレンズ(特定レンズ)に該当する。
【0130】
以下の表5に、第5実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0131】
(表5)
[全体諸元]
f=587.99791 fVR=-34.34884
FNO=4.10847 Δx2=-6.1704
2ω=4.19942 Δx3=6.3894
Y=21.63 β2=0.67768
TL=438.8073 β3=3.63831
Bf=49.6725
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 320.9434 9.6000 1.518600 69.89 0.532
2 1936.3786 40.0000
3 197.3125 12.4000 1.433837 95.16 0.539
4 1249.9826 92.9991
5 139.4073 11.2000 1.433837 95.16 0.539
6 -595.5149 0.1000
7 -679.6046 2.7000 1.770470 29.74 0.595
8 257.1482 46.6155
9 111.7807 8.9000 1.663820 27.35 0.632
10 -211.8183 0.1000
11 -214.3458 1.8000 1.720467 34.71 0.583
12 63.9295 8.0000 1.437001 95.10 0.534
13 643.8176 (D13)
14 78.4833 5.5000 1.497820 82.57 0.539
15 379.7982 (D15)
16 1600.8170 1.5000 1.772500 49.62 0.552
17 54.9089 (D17)
18 ∞ 46.4752 (絞りS)
19 149.0722 3.5000 1.552981 55.07 0.545
20 -96.2480 4.5000
21 114.2466 3.0000 1.922859 20.88 0.628
22 -195.3936 1.2000 1.497820 82.57 0.539
23 27.7113 4.6409
24 -60.3668 1.2000 1.729160 54.61 0.544
25 78.7651 4.9250
26 43.5209 1.5000 1.696800 55.52 0.543
27 26.5639 5.7000 1.654115 39.68 0.574
28 -233.7026 0.1000
29 71.9613 5.0000 1.654115 39.68 0.574
30 -41.4429 1.5000 1.808090 22.74 0.629
31 171.1519 25.5905
32 63.7147 7.5000 1.603420 38.03 0.583
33 -38.1075 1.5000 1.910822 35.25 0.582
34 300.4346 Bf
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=587.99791 β=-0.0333 β=-0.1485
D13 11.7675 10.1988 5.5971
D15 4.7905 7.6839 17.3503
D17 13.3307 12.0060 6.9412
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 282.59807
G2 14 197.51986
G3 16 -73.63528
G4 19 2049.50489
【0132】
図10(A)は、第5実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図10(B)は、第5実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第5実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0133】
次に、[条件式対応値]の表を下記に示す。この表には、各条件式(1)~(15)に対応する値を、全実施例(第1~第5実施例)について纏めて示す。
条件式(1) 0.010<(Δx2A+Δx3A)/D1<0.200
条件式(2) -0.20<Δx2/f2<0.00
条件式(3) -0.20<Δx3/f3<0.00
条件式(4) 1.00<f2/(-f3)<4.00
条件式(5) -3.00<Δx2/Δx3<-0.20
条件式(6) -8.50<f1/fVR<-3.00
条件式(7) 0.45<β2<0.80
条件式(8) 0.20<1/β3<0.50
条件式(9) {β2+(1/β2)}-2<0.25
条件式(10) {β3+(1/β3)}-2<0.18
条件式(11) ndL1+(0.01425×νdL1)<2.12
条件式(12) νdL1<35.00
条件式(13) 0.702<θgFL1+(0.00316×νdL1)
条件式(14) 80.00<νdL2
条件式(15) 3.50°<2ω<8.50°
【0134】
[条件式対応値](第1~第3実施例)
条件式 第1実施例 第2実施例 第3実施例
(1) 0.094 0.089 0.082
(2) -0.07 -0.04 -0.04
(3) -0.09 -0.13 -0.14
(4) 1.95 1.40 1.85
(5) -0.66 -2.36 -2.06
(6) -4.30 -5.37 -7.19
(7) 0.63 0.50 0.55
(8) 0.40 0.42 0.30
(9) 0.20 0.16 0.18
(10) 0.12 0.13 0.07
(11) 2.054 2.054 2.054
(12) 27.35 27.35 27.35
(13) 0.718 0.718 0.718
(14) 95.25 95.16 95.16
82.57 ― ―
(15) 6.296 6.312 6.312
[条件式対応値](第4~第5実施例)
条件式 第4実施例 第5実施例
(1) 0.044 0.054
(2) -0.07 -0.03
(3) -0.02 -0.09
(4) 1.69 2.68
(5) -0.22 -1.04
(6) -5.70 -8.23
(7) 0.54 0.68
(8) 0.33 0.27
(9) 0.17 0.22
(10) 0.09 0.07
(11) 2.054 2.054
(12) 27.35 27.35
(13) 0.718 0.718
(14) 95.16 95.16
82.57 82.57
(15) 4.153 4.199
【0135】
上記各実施例によれば、無限遠合焦時から近距離合焦時まで優れた光学性能を有した、焦点距離が長くて明るい光学系を実現することができる。
【0136】
上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0137】
以下の内容は、本実施形態の光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0138】
本実施形態の光学系の実施例として4群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、5群等)の光学系を構成することもできる。具体的には、本実施形態の光学系の最も物体側や最も像面側にレンズ又はレンズ群を追加した構成や、第2レンズ群(第1の合焦レンズ群)と第3レンズ群(第2の合焦レンズ群)との間にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、合焦時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0139】
本実施形態の光学系の実施例として防振機能を有する構成のものを示したが、本願はこれに限られず、防振機能を有していない構成とすることもできる。
【0140】
レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。
【0141】
レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0142】
開口絞りは、第3レンズ群と第4レンズ群との間、もしくは第4レンズ群内に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
【0143】
各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し、コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。
【符号の説明】
【0144】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群 G4 第4レンズ群
I 像面 S 開口絞り