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特許7400977情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/18 20220101AFI20231212BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231212BHJP
【FI】
G06V40/18
G06T7/00 510D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022536063
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2020027641
(87)【国際公開番号】W WO2022014001
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】指原 利之
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044944(WO,A1)
【文献】特開平10-171994(JP,A)
【文献】特開2002-279402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 40/00-40/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得する取得手段と、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索する検索手段と、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する虹彩画像判定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物の同一性を判定する人物判定手段を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記対象虹彩画像と同一人物の生体情報を取得し、
前記人物判定手段は、前記対象虹彩画像と同一人物の生体情報と、前記類似登録済虹彩画像と同一人物の生体情報とを用いて、前記人物の同一性を判定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生体情報は、顔画像、指紋画像、掌紋画像、声の音声データの少なくとも1つを含む請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象虹彩画像をデータベースに登録する登録手段を備え、
前記登録手段は、前記対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを示す属性を、前記対象虹彩画像に関連付けて前記データベースに登録する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記登録手段は、前記対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズであるか否かを示す2値の情報を前記属性として登録する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記登録手段は、前記類似登録済虹彩画像の数、又は、前記類似登録済虹彩画像の数に応じた値を前記属性として登録する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記登録手段は、前記対象虹彩画像が前記データベースに登録されていない場合に、虹彩画像の登録を促す表示及び音声出力の少なくとも一方を行う請求項5乃至7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検索手段は、前記対象虹彩画像及び前記登録済虹彩画像の一方を他方に対して相対的に回転させて、両者が類似するか否かを判定する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得し、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索し、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する情報処理方法。
【請求項11】
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得し、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索し、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似する登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、虹彩画像の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証の1つとして虹彩認証が知られている。一般的に、虹彩認証では、対象者の虹彩パターンをデータベースに登録しておき、認証時に対象者から取得した虹彩パターンと、データベースに登録済の虹彩パターンとを照合して認証を行う。
【0003】
近年、若者を中心にカラーコンタクトレンズの使用が増えている。カラーコンタクトレンズを装着していると、対象者から得られる虹彩パターンがカラーコンタクトレンズのパターンにより影響を受ける。このため、カラーコンタクトレンズを識別しないまま虹彩認証を行うと、同一のカラーコンタクトレンズを装着した人物の虹彩パターンと一致し、異なる人物を同一人物と誤判定してしまう可能性があり、何らかの対策が必要となる。
【0004】
この点、特許文献1は、虹彩の領域のパターンが均一又は所定のパターンの繰り返しである場合に、ユーザがカラーコンタクトレンズを装着していると判断する方法を記載している。また、特許文献2は、カラーコンタクトレンズから特徴データを抽出し、カラーコンタクトレンズの辞書を作成する方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-124733号公報
【文献】特開2002-279402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法は、均一のパターンや繰り返しパターンを有するカラーコンタクトレンズしか検出することができない。また、特許文献2の方法は、個々のカラーコンタクトレンズのパターンを登録することができるが、近年、カラーコンタクトレンズの種類は多岐にわたり、その1つ1つのパターンを予め登録するのは現実的ではない。
【0007】
この開示の1つの目的は、レンズのパターンを予め登録する必要なく、虹彩画像からカラーコンタクトレンズを検出することが可能な情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この開示の一つの観点では、情報処理装置は、
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得する取得手段と、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索する検索手段と、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する虹彩画像判定手段と、を備える。
【0009】
この開示の他の観点では、情報処理方法は、
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得し、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索し、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する。
【0010】
本発明の他の観点では、プログラムは、
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得し、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索し、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似する登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する処理をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る虹彩画像登録装置の全体構成を示す。
図2】虹彩画像登録装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】虹彩画像登録装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】登録データベースに登録されている登録データの例を示す。
図5】第1実施形態による虹彩画像登録処理のフローチャートである。
図6】カラーコンタクトレンズ判定処理のフローチャートである。
図7】第5変形例によるカラーコンタクトレンズ虹彩画像の生成方法を示す。
図8】第2実施形態に係る認証装置の機能構成を示すブロック図である。
図9】第2実施形態による虹彩画像登録処理のフローチャートである。
図10】第2実施形態による認証処理のフローチャートである。
図11】第3実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図12】第3実施形態による判定処理のフローチャートである。
図13】第4実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図14】第4実施形態による判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この開示の好適な実施形態について説明する。
<カラーコンタクトレンズ>
以下の実施形態は、カラーコンタクトレンズの虹彩画像を検出し、データベースに登録する。「カラーコンタクトレンズ」とは、装着することにより虹彩画像のパターンが変化してしまうタイプのコンタクトレンズであり、いわゆる色付きのコンタクトレンズや、レンズにドーナツ状の縁取りを施すことで瞳を大きく見せる効果がある「サークルレンズ」と呼ばれるコンタクトレンズなどを含む。
【0013】
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、第1実施形態に係る虹彩画像登録装置の全体構成を示す。虹彩画像登録装置100は、虹彩画像と顔画像のペアが入力され、それらを登録データベース(以下、「データベース」を「DB」と記す。)2に登録する。その際、虹彩画像登録装置100は、虹彩画像と顔画像のペアを用いて、その虹彩画像が、カラーコンタクトレンズを装着した状態の虹彩画像(以下、「カラーコンタクトレンズ虹彩画像」とも呼ぶ。)であるか否かを判定する。そして、虹彩画像登録装置100は、虹彩画像について、その虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であるか否かを示す属性を付加して登録DB2に登録する。登録DB2に登録された虹彩画像は、虹彩画像を用いた虹彩認証に使用される。
【0014】
[ハードウェア構成]
図2は、虹彩画像登録装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図示のように、虹彩画像登録装置100は、インタフェース(IF)11と、プロセッサ12と、メモリ13と、記録媒体14と、表示部15とを備える。
【0015】
IF11は、外部装置との間でデータの入出力を行う。具体的に、登録の対象者から得られた虹彩画像と顔画像のペアはIF11を介して虹彩画像登録装置100に入力される。また、虹彩画像登録装置100により生成された登録データは、IF11を通じて登録DB2に出力される。
【0016】
プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータであり、予め用意されたプログラムを実行することにより、虹彩画像登録装置100の全体を制御する。プロセッサ12は、GPU(Graphics Processing Unit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよい。具体的に、プロセッサ12は、後述する虹彩画像登録処理、カラーコンタクトレンズ判定処理などを実行する。
【0017】
メモリ13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。メモリ13は、プロセッサ12による各種の処理の実行中に作業メモリとしても使用される。
【0018】
記録媒体14は、ディスク状記録媒体、半導体メモリなどの不揮発性で非一時的な記録媒体であり、虹彩画像登録装置100に対して着脱可能に構成される。記録媒体14は、プロセッサ12が実行する各種のプログラムを記録している。虹彩画像登録装置100が各種の処理を実行する際には、記録媒体14に記録されているプログラムがメモリ13にロードされ、プロセッサ12により実行される。
【0019】
表示部15は、液晶ディスプレイなどであり、虹彩画像の登録時や、虹彩画像を用いた認証時などに必要な情報やメッセージを表示する。なお、虹彩画像登録装置100は、さらに管理者などが指示や入力を行うためのキーボード、マウスなどの入力部、及び、音声メッセージを出力するためのスピーカなどの音声出力部を備えていてもよい。
【0020】
[機能構成]
図3は、虹彩画像登録装置100の機能構成を示すブロック図である。虹彩画像登録装置100は、虹彩画像取得部21と、顔画像取得部22と、登録部23と、カラーコンタクトレンズ判定部24と、を備える。
【0021】
虹彩画像取得部21は、登録対象者の虹彩画像(以下、「対象虹彩画像」とも呼ぶ。)を取得する。具体的には、虹彩画像取得部21は、赤外線により登録対象者の瞳の部分を撮影する虹彩カメラなどに接続され、虹彩カメラによる撮影画像を対象虹彩画像として取得する。その代わりに、虹彩画像取得部21は、予め虹彩カメラを用いて撮影された虹彩画像を保存したデータベースなどから登録対象者の対象虹彩画像を取得してもよい。虹彩画像取得部21は、取得した対象虹彩画像を登録部23へ出力する。
【0022】
顔画像取得部22は、登録対象者の顔画像(以下、「対象顔画像」とも呼ぶ。)を取得する。なお、顔画像は少なくとも顔認証ができるものであればよい。具体的には、顔画像取得部22は、登録対象者の顔を撮影するカメラ(「顔画像カメラ」とも呼ぶ。)などによる撮影画像を対象顔画像として取得する。その代わりに、顔画像取得部22は、予め撮影された顔画像を保存したデータベースなどから登録対象者の対象顔画像を取得してもよい。顔画像取得部22は、取得した対象顔画像を登録部23へ出力する。
【0023】
ここで、虹彩画像取得部21が取得する虹彩画像と、顔画像取得部22が取得する顔画像は、同一の登録対象者のものであることが必要である。よって、例えばカメラからの撮影画像を取得する場合には、同一の登録対象者の虹彩画像と顔画像を虹彩カメラと顔画像カメラで順に撮影し、虹彩画像取得部21と顔画像取得部22へ入力する。また、データベースなどから画像を取得する場合には、虹彩画像取得部21及び顔画像取得部22は、対象者を特定するIDなどに基づいて、同一人物に対応する虹彩画像と顔画像をそれぞれ取得する。
【0024】
登録部23は、取得した対象虹彩画像と対象顔画像を登録DB2に登録する際に、その対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であるか否かを確認する。このため、登録部23は、取得した対象虹彩画像と対象顔画像をカラーコンタクトレンズ判定部24に出力する。
【0025】
カラーコンタクトレンズ判定部24は、入力された対象虹彩画像及び対象顔画像と、登録DB2に登録されている虹彩画像及び顔画像とを用いて、その対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であるか否かを判定し、判定結果を登録部23に出力する。カラーコンタクトレンズ虹彩画像であるか否かの基本的な判定方法は以下の通りである。
【0026】
虹彩認証の前提として知られているように、人間の虹彩パターンは人物毎に固有であり、異なる人物の虹彩パターンは一致しない。しかし、対象者がカラーコンタクトレンズを装着している場合、虹彩画像から検出される虹彩パターンはほぼカラーコンタクトレンズのパターンに近いものとなるので、同一のカラーコンタクトレンズを装着した別人から取得した虹彩パターンは類似する。言い換えると、別人から取得した虹彩パターンが類似している場合、それらの虹彩パターンは同一のカラーコンタクトレンズのパターンである可能性が高い。
【0027】
そこで、カラーコンタクトレンズ判定部24は、まず、登録DB2に既に登録されている虹彩画像(以下、「登録済虹彩画像」とも呼ぶ。)のうち、対象虹彩画像と類似する登録済虹彩画像(以下、「類似登録済虹彩画像」とも呼ぶ。)を検索する。そして、類似登録済虹彩画像が見つかった場合、カラーコンタクトレンズ判定部24は、見つかった類似登録済虹彩画像が登録対象者と同一人物のものであるか否かを判定する。具体的には、カラーコンタクトレンズ判定部24は、類似登録済虹彩画像に対応する登録済の顔画像(以下、「登録済顔画像」とも呼ぶ。)と、登録対象者の対象顔画像とを比較し、それらが同一人物のものであるか否かを判定する。見つかった類似登録済虹彩画像に対応する登録済顔画像と、登録対象者の対象顔画像が異なる場合、即ち、それらが別人のものである場合、カラーコンタクトレンズ判定部24は、その類似登録済虹彩画像と対象虹彩画像はともにカラーコンタクトレンズ虹彩画像であると判定する。一方、見つかった類似登録済虹彩画像に対応する登録済顔画像と、登録対象者の対象顔画像が一致する場合、即ち、それらが同一人物のものである場合、カラーコンタクトレンズ判定部24は、その類似登録済虹彩画像と対象虹彩画像をカラーコンタクトレンズ虹彩画像とは判定しない。なお、この場合は、既に登録DB2に登録済の人物が、再度登録を試みたものと推測される。
【0028】
このように、対象虹彩画像に類似する類似登録済虹彩画像があり、かつ、それらが顔画像に基づき別人のものと判断される場合、カラーコンタクトレンズ判定部24は、それらの虹彩画像をカラーコンタクトレンズ虹彩画像であると判定する。そして、カラーコンタクトレンズ判定部24は、判定結果を登録部23に出力する。具体的に、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像でない場合、カラーコンタクトレンズ判定部24は単にその旨を判定結果として登録部23に出力する。一方、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像である場合、カラーコンタクトレンズ判定部24は、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であることに加え、見つかった1又は複数の類似登録済虹彩画像も全てカラーコンタクトレンズ虹彩画像であることを示す判定結果を登録部23に出力する。例えば、カラーコンタクトレンズ判定部24は、見つかった1又は複数の類似登録済虹彩画像の虹彩画像IDを登録部23に出力する。
【0029】
登録部23は、カラーコンタクトレンズ判定部24から入力された判定結果に基づいて、対象虹彩画像及び対象顔画像を登録DB2に登録する。この際、登録部23は、虹彩画像について、その虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であるか否かを示す属性を付加する。図4は、登録DB2に登録されている登録データの例を示す。各登録データは、虹彩画像IDと、虹彩画像データと、カラーコンタクトレンズ属性と、顔画像データとを含む。ここで、「虹彩画像ID」は虹彩画像の識別情報である。なお、虹彩画像IDの代わりに、登録済の人物を識別する人物IDなどを用いてもよい。「虹彩画像データ」は登録された虹彩画像データのファイル名を示す。「カラーコンタクトレンズ属性」は、本例では、2値(ブール値)が用いられており、その虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像である場合は「True」がセットされ、カラーコンタクトレンズ虹彩画像でない場合は「False」がセットされる。「顔画像データ」は、虹彩画像データとペアになっている顔画像データのファイル名を示す。
【0030】
前述のように、カラーコンタクトレンズ判定部24は、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であると判定した場合、それと類似するとして見つかった類似登録済虹彩画像の虹彩画像IDなどを登録部23に出力する。よって、登録部23は、対象虹彩画像の登録に加えて、類似登録済虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性を「False」から「True」に変更する。これにより、対象虹彩画像と類似するとして見つかった全ての登録済虹彩画像が、カラーコンタクトレンズ虹彩画像に修正される。
【0031】
以上のように、第1実施形態の虹彩画像登録装置100によれば、対象虹彩画像と類似する登録済の虹彩画像を検出し、それが同一人物のものであるか否かを判定することにより、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であるか否かを判定することが可能となる。また、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像と判定されるときには、それと類似する全ての登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズ虹彩画像として設定し直すことができる。
【0032】
上記の構成において、虹彩画像取得部21及び顔画像取得部22は取得手段の一例であり、カラーコンタクトレンズ判定部24は検索手段、人物判定手段及び虹彩画像判定手段の一例であり、登録部23は登録手段の一例である。
【0033】
[虹彩画像登録処理]
次に、第1実施形態による虹彩画像登録処理について説明する。図5は、第1実施形態に係る虹彩画像登録処理のフローチャートである。この処理は、図2に示すプロセッサ12が予め用意されたプログラムを実行し、図3に示す各要素として動作することにより実現される。
【0034】
まず、虹彩画像取得部21が対象虹彩画像を取得し、顔画像取得部22が対象顔画像を取得し、登録部23は対象虹彩画像と対象顔画像をそれぞれ虹彩画像取得部21及び顔画像取得部22から取得する(ステップS11)。次に、登録部23は、取得した対象虹彩画像と対象顔画像をカラーコンタクトレンズ判定部24に出力し、カラーコンタクトレンズ判定部24はカラーコンタクトレンズ判定処理を行う(ステップS12)。
【0035】
図6は、カラーコンタクトレンズ判定処理のフローチャートである。カラーコンタクトレンズ判定部24は、登録部23から対象虹彩画像と対象顔画像を取得し(ステップS21)、登録DB2において、対象虹彩画像と類似する類似登録済虹彩画像を検索する(ステップS22)。類似登録済虹彩画像が見つからなかった場合(ステップS23:No)、カラーコンタクトレンズ判定部24は、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像でないことを示す判定結果を登録部23に通知する(ステップS24)。そして、処理は図5のメインルーチンに戻る。
【0036】
一方、類似登録済虹彩画像が1以上見つかった場合(ステップS23:Yes)、カラーコンタクトレンズ判定部24は、見つかった類似登録済虹彩画像に対応する1以上の登録済顔画像と、登録部23から入力された対象顔画像とを比較する(ステップS25)。
【0037】
比較の結果、対象顔画像と別人の登録済顔画像が無い場合(ステップS26:No)、その対象虹彩画像と類似登録済虹彩画像は同一人物の虹彩画像であると考えられる。即ち、既に登録済の人物が再度虹彩画像の登録を行ったと考えられる。よって、カラーコンタクトレンズ判定部24は、その対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像ではないことを示す判定結果を登録部23に通知する(ステップS24)。そして、処理は図5のメインルーチンに戻る。
【0038】
一方、対象顔画像と別人の登録済顔画像が1以上あった場合(ステップS26:Yes)、その対象虹彩画像はカラーコンタクトレンズ虹彩画像と考えられるので、カラーコンタクトレンズ判定部24は、その旨を示す判定結果を登録部23に通知する。具体的には、カラーコンタクトレンズ判定部24は、その対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であること、及び、ステップS26で見つかった1以上の別人の登録済顔画像に対応する登録済虹彩画像の虹彩画像IDを、判定結果として登録部23に通知する(ステップS27)。そして、処理は図5のメインルーチンに戻る。
【0039】
なお、ステップS26において、対象顔画像と別人の登録済顔画像があるか否かの判定を正確に行うためには、例えば、顔画像が別の人物であるという判定結果が誤りである第1の確率と、虹彩パターンが同一であるという判定結果が正しい第2の確率(=確からしさ)とを比較した場合に、第2の確率が第1の確率よりも大きいことが必要となる。
【0040】
図5に戻り、カラーコンタクトレンズ判定部24から通知された判定結果が、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像でないことを示している場合(ステップS13:No)、登録部23は、対象虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性を「False」にセットし、対象虹彩画像と対象顔画像を登録DB2に登録する(ステップS14)。一方、カラーコンタクトレンズ判定部24から通知された判定結果が、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であることを示している場合(ステップS13:Yes)、登録部23は、対象虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性を「True」にセットし、対象虹彩画像と対象顔画像を登録DB2に登録する(ステップS15)。さらに、登録部23は、カラーコンタクトレンズ判定部24から通知された虹彩画像IDに基づいて、対象虹彩画像と類似する全ての類似登録済虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性を「True」にセットする(ステップS16)。即ち、対象虹彩画像と類似する類似登録済虹彩画像があった場合、登録部23は全ての類似登録済虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性を「True」にセットする。これにより、既に登録済の虹彩画像についても、カラーコンタクトレンズ属性が変更される。そして、虹彩画像登録処理は終了する。
【0041】
[変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実施することができる。
(第1変形例)
上記の第1実施形態では、虹彩画像の登録時にカラーコンタクトレンズ虹彩画像の判定を行ったが、カラーコンタクトレンズ虹彩画像の判定は虹彩画像の登録時に限定されるものではない。例えば、1日1回決まった時刻などに、バッチ処理によりカラーコンタクトレンズ判定処理を実行するようにしてもよい。この場合のカラーコンタクトレンズ判定処理は、基本的に図6を参照して説明したものと同様である。但し、カラーコンタクトレンズ判定部24は、ステップS21において、既に登録DB2に登録済の虹彩画像と顔画像のペアを1つずつ順に取得し、対象虹彩画像及び対象顔画像として使用して図6に示す処理を実行する。
【0042】
(第2変形例)
図6に示すカラーコンタクトレンズ判定処理のステップS23においては、対象虹彩画像と類似する登録済虹彩画像が検索されるが、この際には虹彩画像を回転させて照合することが好ましい。これは、カラーコンタクトレンズは人によって様々な向きに装着されていることがあるからである。具体的には、カラーコンタクトレンズ判定部24は、照合の対象となる対象虹彩画像と登録済虹彩画像の一方を他方に対して相対的に回転させつつ照合を行い、得られた類似度の最大値を用いて、両者が類似するか否かを判定すればよい。
【0043】
(第3変形例)
上記の実施形態では、図4に例示するように、カラーコンタクトレンズ属性を「True」と「False」の2値(ブール値)としている。その代わりに、カラーコンタクトレンズ属性を、対象虹彩画像と類似する登録済虹彩画像の数、又は、その数に応じた値としてもよい。上記のカラーコンタクトレンズ判定処理では、対象虹彩画像と類似する別人の登録済虹彩画像がある場合に、その対象虹彩画像をカラーコンタクトレンズ虹彩画像であると判定している。この場合、対象虹彩画像に類似する登録済虹彩画像はカラーコンタクトレンズ虹彩画像であると考えられるので、対象虹彩画像に類似する登録済虹彩画像が多いほど、その対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像である確率は高いと考えられる。よって、対象虹彩画像と類似する別人の登録済虹彩画像の数、又は、その数に比例する値などを、カラーコンタクトレンズ属性として使用してもよい。この場合、カラーコンタクトレンズ属性は、その値が高いほど、カラーコンタクトレンズ虹彩画像である確率が高いことを示すことになる。
【0044】
(第4変形例)
上記の実施形態では、カラーコンタクトレンズ判定処理において、対象虹彩画像と類似登録済虹彩画像が同一人物のものであるか否かを、顔画像を用いて判定している。その代わりに、指紋画像、掌紋画像、声の音声データなどの他の生体情報を用いた生体認証を行って、対象虹彩画像と類似登録済虹彩画像が同一人物のものであるか否かを判定してもよい。その場合には、それらの生体情報を虹彩画像に対応付けて登録DB2に登録しておけばよい。また、いわゆる生体情報以外に、人物の身体的特徴に基づくもの(例;指紋、静紋、脈拍、顔、虹彩、網膜、耳介、外耳道、脳波、DNA、外見、等)、あるいは、人物の行動的特徴(例;筆跡、タイピング、声紋、口唇の動き、瞬き、歩容、等)に基づいて、同一人物か否かの判定を行ってもよい。
【0045】
(第5変形例)
カラーコンタクトレンズ虹彩画像を登録する際には、複数の虹彩画像を撮影し、それらを合成してカラーコンタクトレンズ虹彩画像を生成してもよい。具体的には、カラーコンタクトレンズ虹彩画像の登録時に、登録対象者に対して「瞬きをして下さい。」、「眼球を動かして下さい。」などのガイダンスを行い、所定周期で複数の虹彩画像を撮影する。この際、瞬きや眼球の運動によりカラーコンタクトレンズがずれるため、撮影画像においてカラーコンタクトレンズの影響を受けない虹彩領域が変化する。
【0046】
図7は、異なる時刻(t1~t4)におけるカラーコンタクトレンズ虹彩画像の例を示す。各画像においては、虹彩I上にカラーコンタクトレンズCが重なっている。しかし、図示のように、カラーコンタクトレンズCを装着している場合でも、カラーコンタクトレンズCに覆われていない領域が存在する。登録対象者が瞬きをしたり、眼球を動かしたりすると、虹彩Iの領域のうち、カラーコンタクトレンズCに覆われていない領域が変化する。よって、各時刻のカラーコンタクトレンズ虹彩画像から、カラーコンタクトレンズCに覆われていない領域の虹彩画像を抽出し、それらを合成することにより、カラーコンタクトレンズCによる影響を可能な限り低減したカラーコンタクトレンズ虹彩画像を生成し、登録することが可能となる。
【0047】
なお、上記のようにして生成したカラーコンタクトレンズ虹彩画像が、虹彩認証に適した精度までカラーコンタクトレンズの影響を低減したものとなった場合には、その虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性を「True」から「False」に変更してもよく、その代わりに、複数のカラーコンタクトレンズ虹彩画像を合成して生成した画像であることを示す第3のフラグ(例えば「Synthesized」など)を付与してもよい。
【0048】
(第6変形例)
図5のステップS16などにおいて、登録DB2に記憶されているカラーコンタクトレンズ属性が変更された場合には、その旨を示す通知を登録済人物の端末装置などに送信してもよい。例えば、ある登録済虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性が「True」に変更された場合、虹彩画像登録装置100は、その登録済人物の端末装置に「登録されている虹彩画像はカラーコンタクトレンズが装着されたものであるため、カラーコンタクトレンズを外した状態で登録しなおして下さい。」といった通知を行う。これにより、カラーコンタクトレンズ非装着での虹彩画像の登録を促進することができる。
【0049】
(第7変形例)
上記の実施形態では、カラーコンタクトレンズ判定部24がカラーコンタクトレンズ虹彩画像か否かの判定結果を登録部23へ出力し、登録部23がカラーコンタクトレンズ属性を変更している。その代わりに、カラーコンタクトレンズ判定部24は、判定結果を登録部23へ返すことなく、自らカラーコンタクトレンズ虹彩画像と判定した虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性を変更してもよい。
【0050】
[登録済データを用いた虹彩認証]
上記の虹彩画像登録処理により登録された虹彩画像は、その後の虹彩認証処理において使用される。この際、虹彩認証処理においては、カラーコンタクトレンズ属性に応じた虹彩認証を行う。具体的に、カラーコンタクトレンズ虹彩画像を虹彩認証に使用しないようにする場合には、虹彩認証装置は、登録DB2に登録されている虹彩画像のうち、カラーコンタクトレンズ属性がカラーコンタクトレンズ虹彩画像でないことを示しているもののみを照合に使用して認証を行う。例えば、上記の第1実施形態では、虹彩認証装置は、カラーコンタクトレンズ属性が「False」である虹彩画像のみを用いて虹彩認証を行う。また、上記の第3変形例では、虹彩認証装置は、カラーコンタクトレンズ属性の値が、所定の閾値より低い虹彩画像のみを用いて虹彩認証を行う。一方、カラーコンタクトレンズの種類が多種になり、カラーコンタクトレンズ虹彩画像同士の一致によってもある程度本人認証の効果が得られると考える場合には、カラーコンタクトレンズ属性が「True」である虹彩画像同士を照合して虹彩認証を実施してもよい。
【0051】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の構成によれば、対象虹彩画像と類似する登録済の虹彩画像を検出し、それが同一人物のものであるか否かを判定することにより、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像であるか否かを判定することが可能となる。また、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像と判定されるときには、それと類似する全ての登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズ虹彩画像として設定し直すことができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、この開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、ユーザにカラーコンタクトレンズ非装着での虹彩画像の登録を促すものである。なお、以下の第2実施形態は、例えばキャッシュレス決済などの目的で虹彩認証を利用する状況を想定している。第2実施形態による認証装置のハードウェア構成は、基本的に図1に示す第1実施形態のものと同様であるので説明を省略する。
【0053】
[機能構成]
図8は、第2実施形態による認証装置の機能構成を示す。認証装置200は、登録DB2に接続されており、虹彩画像取得部221と、顔画像取得部222と、登録部223と、カラーコンタクトレンズ判定部224と、個人認証部225と、決済処理部226とを備える。ここで、虹彩画像取得部221、顔画像取得部222、登録部223、カラーコンタクトレンズ判定部224は、それぞれ第1実施形態の虹彩画像取得部21、顔画像取得部22、登録部23、カラーコンタクトレンズ判定部24と同一である。
【0054】
個人認証部225は、入力された虹彩画像及び顔画像と、登録DB2に登録済の虹彩画像及び顔画像とを用いてユーザの個人認証を行い、その結果を決済処理部226へ出力する。決済処理部226は、ユーザの個人認証が成功した場合には決済処理を行い、個人認証が失敗した場合には決済処理を行わない。
【0055】
[虹彩画像登録処理]
次に、第2実施形態による虹彩画像登録処理について説明する。図9は、ユーザの初回来店時に行われる虹彩画像登録処理のフローチャートである。この処理は、図2に示すプロセッサ12が予め用意されたプログラムを実行し、図8に示す各要素として動作することにより実現される。
【0056】
まず、登録部223は対象虹彩画像と対象顔画像をそれぞれ虹彩画像取得部221及び顔画像取得部222から取得する(ステップS101)。次に、カラーコンタクトレンズ判定部224は、ステップS101で取得した虹彩画像及び顔画像を用いてカラーコンタクトレンズ判定処理を行う(ステップS102)。ステップS101で取得された虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像ではないと判定された場合(ステップS102:No)、登録部223は、虹彩画像と顔画像を登録DB220に登録し、カラーコンタクトレンズ属性を「False」にセットする(ステップS103)。
【0057】
一方、ステップS101で取得された虹彩画像がカラーコンタクトレンズ虹彩画像と判定された場合(ステップS102:Yes)、登録部223は、カラーコンタクトレンズ非装着での虹彩画像の登録を促すメッセージを表示する。(ステップS104)。例えば、登録部223は、「次回来店時にカラーコンタクトレンズ非装着状態での虹彩画像登録をお願いします。」などのメッセージを表示する。そして、登録部223は、そのカラーコンタクトレンズ虹彩画像を登録DB2に登録せず、顔画像のみを登録するとともに、カラーコンタクトレンズ属性を「True」にセットする(ステップS105)。こうして、初回来店時の処理は終了する。
【0058】
図10は、ユーザの2回目以降の来店時に行われる決済処理のフローチャートである。この処理は、図2に示すプロセッサ12が予め用意されたプログラムを実行し、図8に示す各要素として動作することにより実現される。
【0059】
キャッシュレス決済を行いたいユーザの虹彩画像及び顔画像が入力されると、個人認証部225は、虹彩画像取得部112から虹彩画像を取得し、顔画像取得部222から顔画像を取得する。そして、個人認証部225は、取得した虹彩画像及び顔画像を用いて虹彩認証及び顔認証を行い、それらの統合スコアを用いて個人認証を行う(ステップS111)。個人認証に失敗した場合(ステップS112:No)、処理は終了する。
【0060】
一方、個人認証に成功した場合(ステップS112:Yes)、決済処理部226は決済処理を実行する(ステップS113)。次に、登録部223は、登録DB2を参照し、そのユーザについて虹彩画像が未登録であるか否かを判定する(ステップS114)。虹彩画像が未登録である場合(ステップS114:Yes)、登録部223は、今回の個人認証でカラーコンタクトレンズを検出しなかったか否かを判定する(ステップS115)。
【0061】
今回の個人認証でカラーコンタクトレンズを検出しなかった場合(ステップS115:Yes)、登録部223は、虹彩画像の新規登録を促す表示を行う(ステップS116)。例えば、登録部223は、「虹彩画像が未登録です。虹彩画像を新規登録しますか?」とのメッセージを表示する。そして、登録部223は、ユーザの回答に応じた処理を行う(ステップS117)。具体的には、登録部223は、ユーザの回答次第で、今回撮影した虹彩画像を登録DB2に登録するか、新たに虹彩画像を撮影し直して登録するか、もしくは今回の虹彩画像の登録をスキップする。そして、処理は終了する。
【0062】
一方、今回の個人認証でカラーコンタクトレンズを検出した場合(ステップS115:No)、登録部223は、カラーコンタクトレンズ非装着での虹彩画像の新規登録を促す表示を行う(ステップS118)。例えば、登録部223は、「虹彩画像が未登録です。カラーコンタクトレンズ非装着時に虹彩画像の登録をお願いします。」とのメッセージを表示する。そして、処理は終了する。
【0063】
ステップS114で虹彩画像が未登録でない、即ち、登録済と判定された場合(ステップS114:No)、登録部223は、登録済虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性が「True」であるか否かを判定する(ステップS119)。登録済虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性が「True」でない場合(ステップS119:No)、処理は終了する。一方、登録済虹彩画像のカラーコンタクトレンズ属性が「True」である場合(ステップS119:Yes)、登録部223は、今回の個人認証でカラーコンタクトレンズを検出しなかったか否かを判定する(ステップS120)。
【0064】
今回の個人認証でカラーコンタクトレンズを検出しなかった場合(ステップS120:Yes)、登録部223は、虹彩画像の再登録を促す表示を行う(ステップS121)。例えば、登録部223は、「前回撮影された虹彩画像からカラーコンタクトレンズが検出されました。虹彩画像を再登録しますか?」とのメッセージを表示する。そして、登録部223は、ユーザの回答に応じた処理を行う(ステップS122)。具体的には、登録部223は、ユーザの回答次第で、今回撮影した虹彩画像を登録DB2に再登録するか、新たに虹彩画像を撮影し直して再登録するか、もしくは今回の虹彩画像の登録をスキップする。そして、処理は終了する。
【0065】
一方、今回の個人認証でカラーコンタクトレンズを検出した場合(ステップS120:No)、登録部223は、カラーコンタクトレンズ非装着での虹彩画像の再登録を促す表示を行う(ステップS123)。例えば、登録部223は、「前回撮影された虹彩画像からカラーコンタクトレンズが検出されました。カラーコンタクトレンズ非装着時に虹彩画像の再登録をお願いします。」とのメッセージを表示する。そして、処理は終了する。
【0066】
なお、図9図10の処理では、登録部223はユーザに対してメッセージを表示しているが、その代わりにメッセージを音声出力してもよく、メッセージの表示と音声出力の両方を行ってもよい。
【0067】
[変形例]
図9の虹彩画像登録処理では、ステップS105において、カラーコンタクトレンズ虹彩画像を登録DB2に登録しないこととしているが、カラーコンタクトレンズ虹彩画像を登録DB2に登録してもよい。ステップS105の状況では、既に同一パターンのカラーコンタクトレンズ虹彩画像が登録DB2に登録済であるので、登録は必ずしも必須ではないが、ここでカラーコンタクトレンズ虹彩画像を登録DB2に登録しておくと、同じパターンのカラーコンタクトレンズを装着した別人が虹彩画像を登録する際に、同一パターンの登録済カラーコンタクトレンズ虹彩画像の数を増加させ、カラーコンタクトレンズ虹彩画像の判定精度の向上に寄与する効果がある。
【0068】
なお、この場合、図10に示す決済処理のステップS114では虹彩画像は登録済となる。よって、ステップS114で虹彩画像が未登録となるケースは、実際にユーザが虹彩を登録する行動を起こしていないケースのみとなる。
【0069】
[第2実施形態の効果]
以上のように、第2実施形態の構成によれば、登録部223は、虹彩画像が未登録の場合にはカラーコンタクトレンズ非装着状態での虹彩画像の登録を促す。また、登録部223は、虹彩画像が登録されているが、それがカラーコンタクトレンズ虹彩画像であると後に判明した場合には、カラーコンタクトレンズ非装着状態での虹彩画像の再登録を促す。これにより、カラーコンタクトレンズ非装着状態の虹彩画像の登録を促進することができる。
【0070】
<第3実施形態>
次に、この開示の第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置70は、入力される虹彩画像が、カラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを判定する。具体的に、情報処理装置70は、取得手段71と、検索手段72と、虹彩画像判定手段73とを備える。取得手段71は、処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得する。検索手段72は、登録済虹彩画像から、対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索する。虹彩画像判定手段73は、対象虹彩画像に対応する人物と、類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、対象虹彩画像及び類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する。
【0071】
図12は、第3実施形態による判定処理のフローチャートである。まず、取得手段71は、処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得する(ステップS31)。検索手段72は、複数の登録済虹彩画像から、対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索する(ステップS32)。虹彩画像判定手段73は、対象虹彩画像に対応する人物と、類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、対象虹彩画像及び類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する(ステップS33)。
【0072】
第3実施形態の構成によれば、取得手段71は処理対象の虹彩画像を取得し、検索手段72は処理対象の虹彩画像と類似する1以上の登録済虹彩画像を検索するので、カラーコンタクトレンズ虹彩画像の可能性のある登録済虹彩画像を画像の比較により抽出することができる。虹彩画像判定手段73は、対象虹彩画像に対応する人物と、類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、対象虹彩画像及び類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定するので、人物の同一性に基づいて、登録済みの虹彩画像から1以上のカラーコンタクトレンズの虹彩画像を検出することができる。
【0073】
<第4実施形態>
次に、この開示の第4実施形態について説明する。図13は、第4実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置80は、入力される虹彩画像が、カラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを判定し、その結果を登録する。具体的に、情報処理装置80は、取得手段81と、検索手段82と、虹彩画像判定手段83と、登録手段84とを備える。取得手段81は、処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得する。検索手段82は、複数の登録済虹彩画像から、対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索する。虹彩画像判定手段83は、対象虹彩画像に対応する人物と、類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、対象虹彩画像及び類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する。登録手段84は、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを示す属性を、対象虹彩画像に関連付けてデータベースに登録する。
【0074】
図14は、第4実施形態による判定処理のフローチャートである。まず、取得手段81は、処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得する(ステップS41)。検索手段82は、複数の登録済虹彩画像から、対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索する(ステップS42)。虹彩画像判定手段83は、対象虹彩画像に対応する人物と、類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、対象虹彩画像及び類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する(ステップS43)。登録手段84は、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを示す属性を、対象虹彩画像に関連付けてデータベースに登録する(ステップS44)。
【0075】
第4実施形態の構成によれば、登録手段84は、対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを示す属性を対象虹彩画像に関連付けてデータベースに登録するので、この属性を参照することにより、データベースに登録済みの各虹彩画像がカラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを容易に判別することができる。
【0076】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0077】
(付記1)
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得する取得手段と、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の登録済虹彩画像を検索する検索手段と、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する虹彩画像判定手段と、
を備える情報処理装置。
【0078】
(付記2)
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物の同一性を判定する人物判定手段を備える付記1に記載の情報処理装置。
【0079】
(付記3)
前記取得手段は、前記対象虹彩画像と同一人物の生体情報を取得し、
前記人物判定手段は、前記対象虹彩画像と同一人物の生体情報と、前記類似登録済虹彩画像と同一人物の生体情報とを用いて、前記人物の同一性を判定する付記2に記載の情報処理装置。
【0080】
(付記4)
前記生体情報は、顔画像、指紋画像、掌紋画像、声の音声データの少なくとも1つを含む付記3に記載の情報処理装置。
【0081】
(付記5)
前記対象虹彩画像をデータベースに登録する登録手段を備え、
前記登録手段は、前記対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズの虹彩画像であるか否かを示す属性を、前記対象虹彩画像に関連付けて前記データベースに登録する付記1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0082】
(付記6)
前記登録手段は、前記対象虹彩画像がカラーコンタクトレンズであるか否かを示す2値の情報を前記属性として登録する付記5に記載の情報処理装置。
【0083】
(付記7)
前記登録手段は、前記類似登録済虹彩画像の数、又は、前記類似登録済虹彩画像の数に応じた値を前記属性として登録する付記5に記載の情報処理装置。
【0084】
(付記8)
前記登録手段は、前記対象虹彩画像が前記データベースに登録されていない場合に、虹彩画像の登録を促す表示及び音声出力の少なくとも一方を行う付記5乃至7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0085】
(付記9)
前記検索手段は、前記対象虹彩画像及び前記登録済虹彩画像の一方を他方に対して相対的に回転させて、両者が類似するか否かを判定する付記1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0086】
(付記10)
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得し、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索し、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する情報処理方法。
【0087】
(付記11)
処理対象の虹彩画像である対象虹彩画像を取得し、
登録済虹彩画像から、前記対象虹彩画像と類似する1以上の類似登録済虹彩画像を検索し、
前記対象虹彩画像に対応する人物と、前記類似登録済虹彩画像に対応する人物とが別人である場合に、前記対象虹彩画像及び前記類似登録済虹彩画像をカラーコンタクトレンズの虹彩画像であると判定する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した、一時的でない記録媒体。
【0088】
以上、実施形態及び実施例を参照してこの開示を説明したが、この開示は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。この開示の構成や詳細には、この開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0089】
2 登録データベース
12 プロセッサ
21 虹彩画像取得部
22 顔画像取得部
23 登録部
24 カラーコンタクトレンズ判定部
100 虹彩画像登録装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14