IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7400994エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末
<>
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図1
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図2
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図3
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図4
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図5
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図6
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図7
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図8
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図9
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図10
  • 特許-エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20231212BHJP
   B66B 1/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B66B3/00 Q
B66B3/00 G
B66B1/06 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022570954
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048767
(87)【国際公開番号】W WO2022137512
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】大槻 祐也
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-120578(JP,A)
【文献】特開2019-189399(JP,A)
【文献】国際公開第2020/065762(WO,A1)
【文献】特開2012-140232(JP,A)
【文献】特開2016-190709(JP,A)
【文献】特開2004-059297(JP,A)
【文献】特開2005-119847(JP,A)
【文献】特開2013-001500(JP,A)
【文献】国際公開第2020/065763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00 - 3/02
B66B 1/00 - 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータが設けられた建物においてエレベータの利用者が所持する携帯端末を利用して目的のエレベータ乗場まで向かうエレベータへの誘導を行うエレベータシステムに用いられるエレベータ制御装置であって、
前記携帯端末が前記エレベータ乗場に設けられた発信装置の発する無線信号から受信した前記エレベータ乗場の情報を含む信号を前記携帯端末から受信する通信部と、
前記通信部が受信する前記エレベータ乗場の情報に基づいて前記利用者を誘導するための判断を行う判断部と、を備え、
前記通信部は、前記利用者が利用する階床のエレベータ乗場である階床登録エレベータ乗場の情報を登録する階床登録モードに設定された前記携帯端末が、前記発信装置の無線信号のエリア内において受信した階床登録エレベータ乗場情報を含む第1信号を前記携帯端末から受信し、
前記第1信号の受信後、前記利用者が前記階床登録エレベータ乗場に帰還する際に利用する階床のエレベータ乗場である登録階床帰還エレベータ乗場の情報を送信する登録階床帰還モードに設定された前記携帯端末が、前記登録階床帰還エレベータ乗場に設けられた発信装置の無線信号のエリア内において受信した登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む第2信号を前記携帯端末から受信し、
前記階床登録エレベータ乗場情報は、前記階床登録エレベータ乗場に設けられた前記発信装置の位置を示す第1位置情報を含み、
前記登録階床帰還エレベータ乗場情報は、前記登録階床帰還エレベータ乗場に設けられた前記発信装置の位置を示す第2位置情報を含み、
前記判断部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであるか否かを判断し、前記登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータである場合は、前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場まで向かう前記エレベータであることを前記携帯端末に通知するエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場の前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであるか否かを判断し、当該エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータでない場合は前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場まで向かう前記エレベータではないことを前記携帯端末に通知する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場の前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであるか否かを判断し、当該エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータでない場合は前記階床登録エレベータ乗場まで向かう前記エレベータの前記エレベータ乗場の情報を前記携帯端末に通知する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場の前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであるか否かを判断し、当該エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータでない場合は前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータまでの経路を前記携帯端末に表示する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記階床登録エレベータ乗場情報は、前記階床登録エレベータ乗場に設けられた前記発信装置の位置を示す第1位置情報を含み、
前記登録階床帰還エレベータ乗場情報は、前記登録階床帰還エレベータ乗場に設けられた前記発信装置の位置を示す第2位置情報を含み、
前記判断部は、前記第1位置情報と前記第2位置情報とが一致するか否かにより前記登録階床帰還エレベータ乗場の前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであるか否かを判断する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記第1信号は、前記携帯端末を識別する第1識別情報を含み、
前記第2信号は、前記携帯端末を識別する第2識別情報を含み、
前記判断部は、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致する場合に前記第1位置情報と前記第2位置情報とが一致するか否かの判断を行う請求項5に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記通信部は、前記階床登録モードにおいて前記携帯端末から前記第1信号が前記エレベータ制御装置へ送信されると、前記エレベータ乗場に設けられた利用者情報取得装置から前記利用者を識別する第1利用者情報を取得し、
前記登録階床帰還モードにおいて前記携帯端末から前記第2信号が前記エレベータ制御装置へ送信されると、前記利用者情報取得装置から前記利用者を識別する第2利用者情報を取得し、
前記判断部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場の前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであると判断すると前記第1利用者情報と前記第2利用者情報とが一致するか否かの判断を行い、前記第1利用者情報と前記第2利用者情報とが一致すると判断すると前記階床登録エレベータ乗場へ向かう行先階登録を行う請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記判断部は、前記第1利用者情報と前記第2利用者情報とが一致すると判断すると、前記携帯端末に前記利用者の利用情報を通知する請求項7に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
前記判断部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場の前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであると判断すると前記階床登録エレベータ乗場へ向かう行先階登録を行う請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか1項に記載のエレベータ制御装置と、
前記エレベータ乗場に設けられ、前記携帯端末が受信する無線信号を発する前記発信装置と、を備えるエレベータシステム。
【請求項11】
前記エレベータ乗場に設けられ、前記利用者を識別する利用者情報を取得する利用者情報取得装置をさらに備え、
前記通信部は、前記階床登録モードにおいて前記携帯端末から前記第1信号が前記エレベータ制御装置へ送信されると、前記利用者情報取得装置から前記利用者を識別する第1利用者情報を取得し、
前記登録階床帰還モードにおいて前記携帯端末から前記第2信号が前記エレベータ制御装置へ送信されると、前記利用者情報取得装置から前記利用者を識別する第2利用者情報を取得し、
前記判断部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場の前記エレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであると判断すると、前記第1利用者情報および前記第2利用者情報に基づいて前記階床登録エレベータ乗場へ向かう行先階登録を行う請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項12】
エレベータの利用者が利用する階床のエレベータ乗場である階床登録エレベータ乗場の情報を登録する階床登録モードを設定する階床登録モード設定手段と、
前記階床登録モードにより前記利用者が所持する携帯端末が前記エレベータ乗場に設けられた発信装置の無線信号のエリア内において受信した階床登録エレベータ乗場情報を含む第1信号の送信指示を前記携帯端末に行う第1信号送信指示手段と、
前記第1信号の送信後、前記利用者が前記階床登録エレベータ乗場に帰還する際に利用する階床の前記エレベータ乗場である登録階床帰還エレベータ乗場の情報を登録する登録階床帰還モードを設定する登録階床帰還モード設定手段と、
前記登録階床帰還モードにより前記携帯端末が前記エレベータ乗場に設けられた発信装置の無線信号のエリア内において受信した登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む第2信号の送信指示を前記携帯端末に行う第2信号送信指示手段と、
前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであるか否かを判断した結果を報知する報知手段と、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムをインストールした携帯端末であって、
前記階床登録モードにより前記エレベータ乗場に設けられた前記発信装置の無線信号のエリア内において受信した前記階床登録エレベータ乗場情報と、前記登録階床帰還モードにより前記エレベータ乗場に設けられた前記発信装置の無線信号のエリア内において受信した前記登録階床帰還エレベータ乗場情報を受信する受信部と、
前記プログラムにより前記階床登録エレベータ乗場情報を含む前記第1信号の送信指示を受けて前記第1信号を送信し、前記登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む前記第2信号の送信指示を受けて前記第2信号を送信する送信部と、を備え、
前記受信部は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて前記登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが前記階床登録エレベータ乗場へ向かう前記エレベータであるか否かを判断した結果を受信する携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ制御装置、エレベータシステム、プログラムおよび携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場を備える大型の施設等においてエレベータを利用して施設内を移動する場合に、長時間にわたって駐車した際は、施設の入場時に利用した駐車階を忘れてしまい、車へ戻るのに時間を要することがある。
【0003】
そのため、例えば特許文献1に示されるように利用者が駐車階を忘れてしまった場合でも駐車階に戻るためにエレベータに利用者の携帯端末の識別情報を読み取らせることで当該識別情報と駐車階の階床情報とを関連付けて記憶しておき、駐車階に戻る際にエレベータが携帯端末の識別情報を読み取ると関連付けられた階床情報に基づいて行先階登録を行うエレベータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-1500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のエレベータにおいては、利用者がエレベータに乗車し、かご内の読取装置により携帯端末の識別情報を読み取り駐車階の階床情報と関連付けておき、その後利用者がエレベータを利用する際に識別情報と関連付けられた階床情報に基づいて行先階登録をするようにしているため、駐車階への行先階登録がされても目的のエレベータ乗場とは異なる乗場へ向かう場合がある。そのようなエレベータを利用した場合は、再度目的のエレベータ乗場へ向かうエレベータに乗り換えて移動する必要があり利用者に不便である。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、エレベータを備える施設においてエレベータの利用者が目的のエレベータ乗場まで容易に戻ることができるように利用者を目的のエレベータ乗場へ向かうエレベータへ誘導するエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエレベータ制御装置は、複数のエレベータが設けられた建物においてエレベータの利用者が所持する携帯端末を利用して目的のエレベータ乗場まで向かうエレベータへの誘導を行うエレベータシステムに用いられるエレベータ制御装置であって、携帯端末がエレベータ乗場に設けられた発信装置の発する無線信号から受信したエレベータ乗場の情報を含む信号を携帯端末から受信する通信部と、通信部が受信するエレベータ乗場の情報に基づいて利用者を誘導するための判断を行う判断部と、を備え、通信部は、利用者が利用する階床のエレベータ乗場である階床登録エレベータ乗場の情報を登録する階床登録モードに設定された携帯端末が、発信装置の無線信号のエリア内において受信した階床登録エレベータ乗場情報を含む第1信号を携帯端末から受信し、第1信号の受信後、利用者が階床登録エレベータ乗場に帰還する際に利用する階床のエレベータ乗場である登録階床帰還エレベータ乗場の情報を送信する登録階床帰還モードに設定された携帯端末が、登録階床帰還エレベータ乗場に設けられた発信装置の無線信号のエリア内において受信した登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む第2信号を携帯端末から受信し、階床登録エレベータ乗場情報は、階床登録エレベータ乗場に設けられた発信装置の位置を示す第1位置情報を含み、登録階床帰還エレベータ乗場情報は、登録階床帰還エレベータ乗場に設けられた発信装置の位置を示す第2位置情報を含み、判断部は、第1信号および第2信号に基づいて登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータであるか否かを判断し、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータである場合は、エレベータが階床登録エレベータ乗場まで向かうエレベータであることを携帯端末に通知するエレベータ制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエレベータ制御装置によれば、エレベータの利用者は目的のエレベータ乗場まで容易に戻ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベータシステムのブロック図である。
図2】実施の形態1に係るエレベータシステムの変形例のブロック図である。
図3】実施の形態1に係るエレベータシステムの建物における一例を示す図である。
図4】実施の形態1に係るエレベータシステムにおける携帯端末の表示部に示されたアプリケーション画面の一例である。
図5】実施の形態1に係るエレベータシステムにおけるアプリケーションの通知画面の例である。
図6】実施の形態1に係るエレベータシステムの階床登録モードでの動作を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係るエレベータシステムの登録階床帰還モードでの動作を示すフローチャートである。
図8】実施の形態2に係るエレベータシステムのブロック図である。
図9】実施の形態2に係るエレベータシステムの階床登録モードでの動作を示すフローチャートである。
図10】実施の形態2に係るエレベータシステムの登録階床帰還モードでの動作を示すフローチャートである。
図11】実施の形態1におけるエレベータ制御装置の処理回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。なお、以下に説明される実施の形態により本開示が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係るエレベータ制御装置4についてエレベータシステム100に基づいて図1および図2を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1のエレベータシステム100の構成を示すブロック図である。エレベータシステム100は、エレベータ1と、乗場釦2と、乗場制御装置3と、エレベータ制御装置4と、発信装置5を備える。エレベータシステム100には2台のエレベータ1が設けられており、各エレベータ1をエレベータ制御装置4が制御する。なお、エレベータ1の台数は2台に限られず、さらに多くの台数のエレベータ1が設けられていてもよい。また、図2に示すように複数台のエレベータ1を制御するエレベータ制御装置4が複数台設けられ、各エレベータ制御装置4を管理するエレベータ管理装置6が設けられたエレベータシステム100であってもよい。このような構成は以下で説明する他の実施の形態においても同様である。
【0013】
実施の形態1のエレベータシステム100は、図3に示すように4つの階床を備える建物においてAとBの2台のエレベータ1が設けられたエレベータシステム100である。なお、建物の構成はこれに限られない。各エレベータ1は建物の1階から4階までそれぞれの階床に停車するエレベータ1である。当該建物には各エレベータ1に対応して建物の1階から4階まで4つのエレベータ乗場が設けられており、合計8つのエレベータ乗場が設けられている。また、各エレベータ乗場には乗場釦2と発信装置5が設けられている。なお、発信装置5は全てのエレベータ乗場に設けられている必要はない。
【0014】
続いて、エレベータシステム100の構成に関し、まずエレベータ1について説明する。エレベータ1は、例えばかご1aおよびつり合いおもり1bを備える。かご1aは昇降路を上下に移動する。かご1aおよびつり合いおもり1bは、主ロープ1cによって昇降路に吊り下げられる。主ロープ1cは、巻上機の駆動綱車1dに巻き掛けられる。巻上機は、エレベータ制御装置4によって制御される。すなわち、エレベータ制御装置4は、かご1aの移動を制御する。かご1aは、かごドアを備える。かご1aが停止するエレベータ乗場には、乗場ドアが設けられる。エレベータ制御装置4は、かご1aをある乗場に停止させると、かごドアを開閉させる。またエレベータ制御装置4は、かごドアの開閉に連動して乗場ドアの開閉を制御する。このようにしてエレベータ制御装置4は、エレベータ1を制御する。
【0015】
また、各エレベータ乗場には、乗場釦2が設けられている。エレベータ1の利用者は乗場釦2を操作することでエレベータ1の乗場呼びを行うことができる。乗場釦2は乗場制御装置3と接続されており、乗場制御装置3は乗場釦2の操作により入力された信号をエレベータ制御装置4へ送信し、エレベータ1の乗場呼びに対応してエレベータ1の制御を行う。なお、図示しないが、かご1a内にはかご内釦が設けられており、エレベータ1の利用者はかご内釦を操作することで目的の階床を入力することができる。エレベータ制御装置4は、かご内釦の入力を受けてエレベータ1の動作を制御する。
【0016】
エレベータ制御装置4は、運転制御部7と、記憶部8と、通信部9と、判断部10を備える。運転制御部7は、エレベータ1の運転に関わる一連の制御を行う。記憶部8は、例えばエレベータ1の利用者が携帯する携帯端末11から受けた情報を記憶する。なお、記憶部8は、エレベータ制御装置4に備えられている必要はなく、外付けの記憶装置であってもよいし、エレベータ制御装置4とインターネット回線を通じて通信するサーバであってもよい。
【0017】
通信部9は、エレベータ1の利用者が携帯する携帯端末11と通信する機能を備えている。エレベータ制御装置4は、通信部9を介して携帯端末11から情報を受信する。また、エレベータ制御装置4は、通信部9を介して携帯端末11などの外部に情報を送信する。なお、通信部9は、エレベータ制御装置4に備えられている必要はなく、外付けの通信装置であってもよい。判断部10は、携帯端末11から受信した情報に基づいてエレベータシステム100による利用者の誘導に関する判断を行う。判断部10の詳細については後ほど説明する。
【0018】
発信装置5は、例えばビーコンであり、特定周波数帯の無線信号を発する。発信装置5は、一定の範囲内であるエリアに無線信号を発する。発信装置5は、かご1aが停止する乗場に設けられる。発信装置5は、かご1aが停止する全ての乗場に設けられてもよいし、一部の乗場に設けられてもよい。
【0019】
続いて、エレベータ制御装置4が携帯端末11とやり取りする情報について説明する。携帯端末11は、例えばスマートフォンであり、プログラムである特定のアプリケーションをインストールすることでエレベータ制御装置4との通信を行う。携帯端末11は、受信部12と、送信部13と、記憶部14と、表示部15とを備える。
【0020】
受信部12は、発信装置5が発する無線信号から情報を受信する。また、受信部12は、エレベータ制御装置4の通信部9から情報を受信する。送信部13は、エレベータ制御装置4に情報を送信する。記憶部14は、エレベータ制御装置4、発信装置5から受信する情報を記憶する。
【0021】
なお、携帯端末11は、スマートフォンに限られず、建物を利用する際に受け取る端末でもよい。図4は、携帯端末11の表示部15であるディスプレイに表示されたアプリケーションの画面の一例を示す図である。エレベータ利用者はアプリケーションから階床登録モードと登録階床帰還モードを選択することができる。すなわち、階床登録モードおよび登録階床帰還モードは、携帯端末11にインストールされたプログラムを実行することで実現される。
【0022】
まず、階床登録モードについて説明する。階床登録モードは、建物に到着した利用者がエレベータ1を利用する際にエレベータシステム100による誘導を開始する際に選択するモードである。階床登録モードは、プログラムの階床登録モード設定手段により設定される。
【0023】
階床登録モードでは、携帯端末11は、携帯端末11を識別する第1識別情報とエレベータ利用者が利用するエレベータ1の乗場情報をエレベータ制御装置4に送信する。このエレベータ1の乗場情報を階床登録エレベータ乗場情報とする。第1識別情報は、例えば携帯端末11に割り当てられた固有の識別番号を用いることができる。
【0024】
階床登録エレベータ乗場情報は、例えば当該エレベータに設けられた発信装置5の階床情報、発信装置5の位置を示す第1位置情報を含む情報である。なお、階床登録エレベータ乗場情報は、当該エレベータに設けられた発信装置5に割り当てられた固有の識別番号を用いてもよい。携帯端末11の識別情報については以下の説明においても同様である。
【0025】
アプリケーションから階床登録モードが選択されると、携帯端末11は無線信号を発する発信装置5と通信することが可能となる。すなわち、階床登録モードを選択した携帯端末11は、発信装置5の無線信号のエリア内に入ると発信装置5から無線信号を受信する。この無線信号は、例えば階床登録エレベータ乗場情報を含む信号である。すなわち、携帯端末11の受信部12は、階床登録エレベータ乗場情報を受信する。なお、階床登録エレベータ乗場情報は、記憶部14に記憶してもよい。
【0026】
階床登録モードを選択した携帯端末11が発信装置5から階床登録エレベータ乗場情報を含む無線信号を受信すると携帯端末11は、第1識別情報と階床登録エレベータ乗場情報を含む第1信号をエレベータ制御装置4に送信する。すなわち、携帯端末11の送信部13は、第1信号をエレベータ制御装置4に送信する。当該第1信号の送信は、プログラムの第1信号送信指示手段により携帯端末11が指示を受けて行われる。
【0027】
エレベータ制御装置4は、携帯端末11から第1信号を受信すると、記憶部8に第1信号に含まれる情報を記憶する。このようにしてエレベータシステム100は、携帯端末11を利用して携帯端末11の第1識別情報とエレベータ利用者が利用するエレベータ1の乗場情報をエレベータ制御装置4に登録する。なお、アプリケーションから終了を選択することで階床登録モードを終了することができる。
【0028】
続いて、登録階床帰還モードについて説明する。登録階床帰還モードは、建物の利用者が建物に到着した際に利用したエレベータ乗場まで戻るエレベータ1への誘導を開始する際に選択するモードである。登録階床帰還モードは、プログラムの登録階床帰還モード設定手段により設定される。
【0029】
登録階床帰還モードでは、携帯端末11は、携帯端末11を識別する第2識別情報とエレベータ利用者が利用するエレベータ1の乗場情報をエレベータ制御装置4に送信する。このエレベータ1の乗場情報を登録階床帰還エレベータ乗場情報とする。
【0030】
登録階床帰還エレベータ乗場情報は、例えば当該エレベータ1に設けられた発信装置5の階床情報や発信装置5の位置を示す第2位置情報を含む情報である。なお、登録階床帰還エレベータ乗場情報は、当該エレベータ1に設けられた発信装置5に割り当てられた固有の識別番号を用いてもよい。
【0031】
アプリケーションから登録階床帰還モードが選択されると、携帯端末11は無線信号を発する発信装置5と通信することが可能となる。すなわち、登録階床帰還モードを選択した携帯端末11は、発信装置5の無線信号のエリア内に入ると発信装置5から無線信号を受信する。この無線信号は、例えば登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む信号である。すなわち、携帯端末11の受信部12は、登録階床帰還エレベータ乗場情報を受信する。なお、登録階床帰還エレベータ乗場情報は、記憶部14に記憶してもよい。
【0032】
登録階床帰還モードを選択した携帯端末11が発信装置5から登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む無線信号を受信すると携帯端末11は、第2識別情報と登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む第2信号をエレベータ制御装置4に送信する。すなわち、携帯端末11の送信部13は、第2信号をエレベータ制御装置4に送信する。当該第2信号の送信は、プログラムの第2信号送信指示手段により携帯端末11が指示を受けて行われる。
【0033】
エレベータ制御装置4は、携帯端末11から第2信号を受信すると、第2信号に含まれる情報を記憶部8に記憶する。このようにしてエレベータシステム100は、携帯端末11を利用して携帯端末11の第2識別情報とエレベータ利用者が利用するエレベータ1の乗場情報をエレベータ制御装置4に受信させる。
【0034】
エレベータ制御装置4は、第2識別情報と登録階床帰還エレベータ乗場情報を受信すると、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録モードで登録された階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であるか否かを判断する。当該判断は、判断部10が行う。
【0035】
判断部10は、第2信号に含まれる第2識別情報が第1信号に含まれる第1識別情報と一致するか否かを判断する。第1識別情報と第2識別情報とが一致すると、判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録モードで登録された階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であるか否かを判断する。
【0036】
判断部10は、例えば登録階床帰還エレベータ乗場情報に含まれる第2位置情報が階床登録エレベータ乗場情報に含まれる第1位置情報と一致するか否かで判断を行う。第1位置情報と第2位置情報とが一致する場合は、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録モードで登録された階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断する。なお、第2信号に含まれる携帯端末11の識別情報が第1信号に含まれる携帯端末11の識別情報と一致しない場合は、判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場情報が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1の乗場に関する情報であるかを判断しない。また、判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場情報および階床登録エレベータ乗場情報に発信装置5に割り当てられた固有の識別番号を含んでいる場合は、当該固有の識別番号が一致するか否かで判断を行ってもよい。
【0037】
判断部10が、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断すると、エレベータ制御装置4は、目的のエレベータ乗場へ向かうエレベータ1であることを携帯端末11へ通知する。すなわち、携帯端末11の受信部12は、判断部10が判断した結果の通知を受ける。当該通知を携帯端末11が受けると、プログラムの報知手段により報知される。図5aに示すように、例えば「こちらのエレベータ乗場から3階まで乗車ください。」との通知が、アプリケーションを介して報知される。
【0038】
これにより、エレベータ制御装置4は、エレベータ1の乗場情報を用いて、携帯端末11を所持するエレベータ1の利用者に対して目的のエレベータ乗場へ向かうエレベータ1への誘導を行うことができる。
【0039】
また、判断部10が、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1でないと判断した場合は、エレベータ制御装置4は、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1でない旨を携帯端末11へ通知する。当該通知を携帯端末11が受けると、プログラムの報知手段により報知される。図5bに示すように、例えば「こちらのエレベータ乗場ではありません。」との通知が、アプリケーションを介して報知される。
【0040】
これにより、エレベータ1の利用者は、階床登録エレベータ乗場へ向かわないエレベータ1に誤って乗車することを回避することができる。また、その後アプリケーションから終了を選択することで登録階床帰還モードを終了することができる。
【0041】
また、判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1でないと判断した場合は、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1のエレベータ乗場の情報を通知するようにしてもよい。図3の建物において4階のエレベータBの乗場が階床登録エレベータ乗場である場合に、登録階床帰還エレベータ乗場が1階のエレベータAの乗場であった場合は、例えば「1階のエレベータBの乗場まで向かってください。」との通知を、アプリケーションを介して報知してもよい。
【0042】
これにより、エレベータ1の利用者は、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータのエレベータ乗場へ効率的に向かうことができる。
【0043】
また、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1までの経路を、アプリケーションを介して携帯端末11へ表示するようにしてもよい。図5cは、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1までの経路を示す図の一例である。図5cは、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1までの経路が携帯端末11の表示部15であるディスプレイにアプリケーションを介して表示されたものである。図5cに示すように、携帯端末11を所持する利用者は、現在のエレベータ乗場を示す地点Aから目的のエレベータ乗場である階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1を示す地点Bまでの経路に関する通知を受けることができる。これによりエレベータ1の利用者は容易に目的のエレベータ乗場まで移動することができる。
【0044】
また、判断部10は、第1信号および第2信号に基づいて登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断すると、エレベータ制御装置4は、階床登録エレベータ乗場へ向かう行先階登録を行うようにしてもよい。これによりエレベータ1の利用者の利便性が向上する。
【0045】
続いて、実施の形態1のエレベータ制御装置4の動作についてエレベータシステム100に基づいて図6を用いて説明する。
【0046】
図6は、実施の形態1に係るエレベータシステム100の動作を示すフローチャートである。まず、階床登録モードにおける動作について説明する。エレベータ1の利用者は所持する携帯端末11にインストールされたアプリケーションを用いて階床登録モードに設定すると階床登録モードが開始する(ST101)。階床登録モードに設定すると、携帯端末11は発信装置5の無線信号エリア内において無線信号を受信することができる。
【0047】
続いて、携帯端末11を所持するエレベータ利用者がエレベータ乗場の発信装置5に接近し、携帯端末11が無線信号エリア内に入ると、携帯端末11は発信装置5から階床登録エレベータ乗場情報を受信する(ST102)。階床登録エレベータ乗場情報は、利用者が建物に到着した際に利用したエレベータ1の乗場に設けられた発信装置5の階床情報および発信装置5の位置を示す第1位置情報を含む情報である。
【0048】
携帯端末11は、発信装置5から階床登録エレベータ乗場情報を受信すると、携帯端末11の第1識別情報と階床登録エレベータ乗場情報を含む第1信号をエレベータ制御装置4に送信する(ST103)。
【0049】
エレベータ制御装置4は、携帯端末11から第1信号を受信すると、携帯端末11の第1識別情報と階床登録エレベータ乗場情報を記憶部8に記憶する(ST104)。以上により、階床登録モードにおける一連の動作が終了する。
【0050】
続いて図7を用いて登録階床帰還モードにおける動作について説明する。エレベータ1の利用者は所持する携帯端末11にインストールされたアプリケーションを用いて登録階床帰還モードに設定すると登録階床帰還モードが開始する(ST111)。続いて、携帯端末11を所持するエレベータ利用者がエレベータ乗場の発信装置5に接近し、携帯端末11が発信装置5の無線信号エリア内に入ると、携帯端末11は発信装置5から登録階床帰還エレベータ乗場情報を受信する(ST112)。登録階床帰還エレベータ乗場情報は、登録階床帰還モードに設定した利用者が近づいたエレベータ1の乗場に設けられた発信装置5の階床情報および発信装置5の位置を示す第2位置情報を含む情報である。
【0051】
携帯端末11は、発信装置5から登録階床帰還エレベータ乗場情報を受信すると、携帯端末11の第2識別情報と登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む第2信号をエレベータ制御装置4に送信する(ST113)。
【0052】
エレベータ制御装置4は、携帯端末11から第2信号を受信すると、判断部10が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であるか否かを判断する(ST114)。ここで判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場情報に含まれる第2位置情報が階床登録エレベータ乗場情報に含まれる第1位置情報と一致するか否かで判断を行う。
【0053】
判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断すると(ST114のYES)、エレベータ制御装置4は、目的のエレベータ乗場へ向かうエレベータ1であることを、アプリケーションを介して携帯端末11へ通知する(ST115)。エレベータ制御装置4が当該通知を携帯端末11に行うと一連の動作が完了する。
【0054】
判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1ではないと判断した場合は(ST114のNO)、エレベータ制御装置4は、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1ではないことを、アプリケーションを介して携帯端末11へ通知する(ST116)。その後のST112以降の動作は同様であるため省略する。
【0055】
以上説明した通り、実施の形態1に係るエレベータ制御装置4は、携帯端末11がエレベータ乗場に設けられた発信装置5の発する無線信号から受信したエレベータ乗場の情報を含む信号を携帯端末11から受信する通信部9と、通信部9が受信するエレベータ乗場の情報に基づいて利用者を誘導するための判断を行う判断部10と、を備え、通信部は、利用者が利用する階床のエレベータ乗場である階床登録エレベータ乗場の情報を登録する階床登録モードに設定された携帯端末が、発信装置の無線信号のエリア内において受信した階床登録エレベータ乗場情報を含む第1信号を携帯端末から受信し、第1信号の受信後、利用者が階床登録エレベータ乗場に帰還する際に利用する階床のエレベータ乗場である登録階床帰還エレベータ乗場の情報を送信する登録階床帰還モードに設定された携帯端末が、発信装置の無線信号のエリア内において受信した登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む第2信号を携帯端末から受信し、判断部は、第1信号および第2信号に基づいて登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータであるか否かを判断し、当該エレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータである場合はエレベータが階床登録エレベータ乗場まで向かうエレベータであることを携帯端末に通知するエレベータ制御装置4である。
【0056】
このような構成によれば、エレベータ1の利用者は目的のエレベータ乗場まで容易に戻ることができる。
【0057】
また、エレベータ制御装置4は、判断部10が、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1ではないと判断した場合は、エレベータ制御装置4は、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1ではないことを通知する。
【0058】
この構成によれば、エレベータ1の利用者は、階床登録エレベータ乗場へ向かわないエレベータ1に誤って乗車することを回避することができる。
【0059】
また、エレベータ制御装置4は、判断部10が、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1でないと判断した場合は、階床登録エレベータ乗場まで向かうエレベータ1のエレベータ乗場の情報を通知する。
【0060】
この構成によれば、エレベータ1の利用者は、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータのエレベータ乗場へ効率的に向かうことができる。
【0061】
また、エレベータ制御装置4は、判断部10が、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1ではないと判断した場合は、階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1までの経路を、アプリケーションを介して携帯端末11へ表示する。
【0062】
この構成によれば、エレベータ1の利用者は目的のエレベータ乗場まで容易に移動することができる。
【0063】
また、エレベータ制御装置4は、判断部10が第1信号および第2信号に基づいて登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータが階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断すると、階床登録エレベータ乗場へ向かう行先階登録を行う。
【0064】
この構成によれば、エレベータ1の利用者の利便性が向上する。
【0065】
実施の形態2.
続いて実施の形態2に係るエレベータ制御装置4についてエレベータシステム100に基づいて説明する。図8は、実施の形態2に係るエレベータシステム100の構成を示すブロック図である。以下の説明では、実施の形態1とは異なる構成について主に説明し、実施の形態1と同様である構成については適宜説明を省略する。実施の形態2に係るエレベータシステム100は、実施の形態1のエレベータシステム100と比較して、利用者情報取得装置16を備える点で異なる。
【0066】
利用者情報取得装置16は、エレベータ利用者を識別するための情報を取得する。利用者情報取得装置16は、例えばエレベータ乗場に設けられたカメラである。カメラは、画像センサによりエレベータ乗場の利用者の画像を取得することができる。また、カメラの設置場所については、エレベータ乗場の天井に設置してエレベータ乗場を広範囲に撮像できるようにしてもよいし、エレベータ1の操作盤付近に設置してエレベータ利用者の画像を正面方向から撮像できるようにしてもよい。なお、利用者情報取得装置16は、カメラに限られず、エレベータ利用者の指紋情報を取得する指紋認証装置などを用いてもよい。
【0067】
利用者情報取得装置16であるカメラは、エレベータ制御装置4と接続される。カメラは、撮像したエレベータ利用者の画像情報をエレベータ制御装置4に送信することができる。カメラは、エレベータ制御装置4と有線で接続されてもよいし、無線通信により接続するようにしてもよい。また、カメラは、エレベータ乗場の発信装置や携帯端末11と通信ができるものであってもよい。また、カメラは、撮像した画像を処理する機能を備えるようにしてもよい。この場合カメラは、画像を処理することで利用者の画像情報を取得する。
【0068】
続いて、階床登録モードについて実施の形態1とは異なる点について主に説明する。階床登録モードでは、携帯端末11を識別する第1識別情報とエレベータ利用者が利用するエレベータ1の乗場情報(階床登録エレベータ乗場情報)をエレベータ制御装置4に送信すると、エレベータ制御装置4は利用者情報取得装置16を制御してエレベータ利用者から第1利用者情報を取得する。第1利用者情報は、例えばカメラが撮像したエレベータ利用者の画像情報である。第1利用者情報は、エレベータ利用者を識別するための情報である。
【0069】
第1利用者情報は、エレベータ制御装置4から携帯端末11に送信され、携帯端末11の記憶部14に記憶される。なお、第1利用者情報は、エレベータ制御装置4に記憶するようにしてもよい。また、第1利用者情報は、利用者情報取得装置16から直接携帯端末11に送信するようにしてもよいし、携帯端末11には送信せずエレベータ制御装置4に記憶するようにしてもよい。
【0070】
続いて、登録階床帰還モードについて実施の形態1とは異なる点について主に説明する。登録階床帰還モードでは、携帯端末11を識別する第2識別情報とエレベータ利用者が利用するエレベータ1の乗場情報(登録階床帰還エレベータ乗場情報)をエレベータ制御装置4に送信すると、エレベータ制御装置4は利用者情報取得装置16を制御してエレベータ利用者から第2利用者情報を取得する。第2利用者情報は、第1利用者情報と同様に、例えばカメラが撮像したエレベータ利用者の画像情報である。第2利用者情報は、エレベータ利用者を識別するための情報である。
【0071】
エレベータ制御装置4は、判断部10において第2識別情報と登録階床帰還エレベータ乗場情報を受信すると、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録モードで登録された階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であるか否かを判断する点は実施の形態1と同様である。
【0072】
続いて、判断部10が、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断すると、エレベータ制御装置4は、目的のエレベータ乗場へ向かうエレベータ1であることを、アプリケーションを介して携帯端末11へ通知する。
【0073】
さらに判断部10は、第1利用者情報と第2利用者情報に基づいて行先階登録を行う。判断部10は、例えば第1利用者情報と第2利用者情報とが一致するか否かにより判断する。判断部10は、第1利用者情報と第2利用者情報とが一致すると判断すると、エレベータ制御装置4は階床登録エレベータ乗場へ向かうための行先階登録を行う。なお、階床登録エレベータ乗場へ向かうための行先階登録は、第1識別情報と第2識別情報が一致するか否かの判断により行ってもよいし、識別情報と利用者情報の両方が一致するか否かの判断により行ってもよい。なお、第1利用者情報と第2利用者情報とが一致するか否かの判断は、例えばエレベータ利用者の画像情報を用いる場合のように画像情報からエレベータ利用者が一致すると判断するような利用者情報に含まれるデータが完全に一致しないものも含む。行先階登録に基づいて運転制御部7は、かご1aを制御してエレベータ1の運行を行う。
【0074】
このように利用者情報を用いて階床登録エレベータ乗場へ向かうための行先階登録を行うことで階床登録エレベータ乗場を利用した利用者は確実に階床登録エレベータ乗場へ戻ることができる。また、利用者情報を用いて階床登録エレベータ乗場へ向かうための行先階登録を行うことでエレベータ利用者が操作盤等へ接触して行先階登録することが不要となる。
【0075】
また、判断部10が、第1利用者情報と第2利用者情報とが一致すると判断すると、エレベータ制御装置4は携帯端末11にエレベータ1の利用者の利用情報を通知するようにしてもよい。エレベータ1の利用者の利用情報は、例えば階床登録エレベータ乗場の情報を登録してから登録階床帰還エレベータ乗場の情報を送信するまでの間の時間情報などである。また、利用情報は、時間情報の他に、当該時間に対応する駐車料金情報であってもよい。また、利用情報は、時間情報と駐車料金情報の両方を含む情報であってもよい。
【0076】
このようにエレベータ1の利用者は利用情報の通知を受けることで自らの利用時間や駐車料金などの利用情報を知ることができるので利便性が向上する。
【0077】
続いて、実施の形態2のエレベータ制御装置4の動作についてエレベータシステム100に基づいて図9および図10を用いて説明する。
【0078】
図9は、実施の形態2に係るエレベータシステム100の動作を示すフローチャートである。まずは、階床登録モードにおける動作について説明する。ここでST201からST204までの動作は、実施の形態1のST101からST104までの動作と同様であるため説明を省略する。エレベータ制御装置4は、携帯端末11の第1識別情報と階床登録エレベータ乗場情報を記憶部8に記憶すると、利用者情報取得装置16を制御してエレベータ利用者から第1利用者情報を取得し、利用者情報取得装置16は第1利用者情報をエレベータ制御装置4に送信する(ST205)。
【0079】
エレベータ制御装置4は、利用者情報取得装置16から第1利用者情報を受信すると受信した第1利用者情報を記憶する(ST206)。以上により、階床登録モードの一連の動作が終了する。なお、エレベータ制御装置4は、利用者情報取得装置16から第1利用者情報を受信すると携帯端末11に第1利用者情報を送信し、携帯端末11が受信した第1利用者情報を記憶するようにしてもよい。
【0080】
続いて図10を用いて登録階床帰還モードにおける動作について説明する。ここでST211からST213までの動作およびST218の動作は、実施の形態1のST111からST113までの動作およびST116の動作と同様であるため説明を省略する。携帯端末11は、発信装置5から登録階床帰還エレベータ乗場情報を受信すると、携帯端末11の第2識別情報と登録階床帰還エレベータ乗場情報を含む第2信号をエレベータ制御装置4に送信する(ST213)。
【0081】
エレベータ制御装置4は、携帯端末11から第2信号を受信すると、利用者情報取得装置16を制御してエレベータ利用者から第2利用者情報を取得し、利用者情報取得装置16は、第2利用者情報をエレベータ制御装置4に送信する(ST214)。ここで判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場情報に含まれる第2位置情報が階床登録エレベータ乗場情報に含まれる第1位置情報と一致するか否かで判断を行う。
【0082】
判断部10は、登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断すると(ST215のYES)、エレベータ制御装置4は、目的のエレベータ乗場へ向かうエレベータ1であることを、アプリケーションを介して携帯端末11へ通知する(ST216)。
【0083】
さらに判断部10は、第1利用者情報と第2利用者情報とが一致すると判断すると階床登録エレベータ乗場へ向かうための行先階登録を行う(ST217)。以上により、登録階床帰還モード一連の動作が終了する。
【0084】
以上説明した通り、実施の形態2に係るエレベータシステム100は、利用者情報取得装置16をさらに備え、判断部10が第1信号と第2信号とが一致するか否かにより登録階床帰還エレベータ乗場のエレベータ1が階床登録エレベータ乗場へ向かうエレベータ1であると判断すると、第1利用者情報および第2利用者情報に基づいて階床登録エレベータ乗場へ向かう行先階登録を行い、当該行先階登録に基づいてかご1aを制御するエレベータシステム100である。
【0085】
このような構成によれば、エレベータシステム100は、利用者情報を用いて階床登録エレベータ乗場へ向かうための行先階登録を行うことでエレベータ利用者の利便性を向上するとともにエレベータ利用者が操作盤等へ接触して行先階登録することが不要となる。
【0086】
続いて、図11を用いて、エレベータ制御装置4の例を説明する。図11は実施の形態1におけるエレベータ制御装置4の処理回路の構成例を示す図である。なお、エレベータ制御装置4の処理回路の構成例は実施の形態2においても同様である。また、携帯端末11の処理回路の構成例についても同様である。
【0087】
エレベータ制御装置4の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ20aと少なくとも1つのメモリ20bとを備える。また、例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア21を備える。
【0088】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ20aと少なくとも1つのメモリ20bとを備える場合、エレベータ制御装置4の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ20bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ20aは、少なくとも1つのメモリ20bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベータ制御装置4の機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ20aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ20bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0089】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア21を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、エレベータ制御装置4の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、エレベータ制御装置4の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0090】
エレベータ制御装置4の各機能について、一部を専用のハードウェア21で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。
【0091】
このように、処理回路は、ハードウェア21、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベータ制御装置4の各機能を実現する。
【0092】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示のエレベータ制御装置4、エレベータシステム100、プログラム、携帯端末11は、実施の形態1および実施の形態2で説明した形態には限られず、本開示の内容の一部を示すものである。本開示のエレベータ制御装置4、エレベータシステム100、プログラム、携帯端末11は、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、適宜、組み合わせる等、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 エレベータ、1a かご、1b つり合いおもり、1c 主ロープ、1d 駆動綱車、2 乗場釦、3 乗場制御装置、4 エレベータ制御装置、5 発信装置、6 エレベータ管理装置、7 運転制御部、8 記憶部、9 通信部、10 判断部、11 携帯端末、12 受信部、13 送信部、14 記憶部、15 表示部、16 利用者情報取得装置、20a プロセッサ、20b メモリ、21 ハードウェア、100 エレベータシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11