(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2023005702
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2021196038の分割
【原出願日】2018-12-21
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-078785(JP,A)
【文献】特表2018-520967(JP,A)
【文献】米国特許第03386563(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 47/52
B65G 47/24
B60P 1/04
B61D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体と、前記台車本体に搭載されて物品を移載する移載装置と、を備えた物品搬送車であって、
前記移載装置は、物品を下方から支持する
支持台と伝動部とを備えた物品支持部と、前記物品支持部
を下方から押圧する連結支持部と、前記物品支持部を傾斜させる傾斜駆動を行う駆動部と、を有し、
水平方向に沿う一方向を基準軸方向として、
前記連結支持部は、前記台車本体に対して、前記基準軸方向に沿う第1軸周りに揺動可能に連結された第1軸支部を有し、
前記物品支持部は、
前記台車本体に対して、前記基準軸方向に沿う第2軸周りに揺動可能に連結された第2軸支部を有し、
前記支持台は、前記基準軸方向、及び前記基準軸方向に直交する方向、に沿って平面的に広がる板状部材により構成され、
前記駆動部は、第1駆動部と第2駆動部とを有し、
前記第1駆動部は、前記連結支持部に対して駆動力を伝達することで、前記連結支持部
を揺動させると共に揺動する前記連結支持部によって下方から押圧される前記支持台を前記第1軸周りに揺動させて、
前記支持台を第1傾斜方向に傾斜させ、
前記第2駆動部は、前記物品支持部に
おける前記伝動部に対して駆動力を伝達することで、
前記支持台を前記第2軸周りに揺動させて、
前記支持台を前記第1傾斜方向とは異なる第2傾斜方向に傾斜させ
る、物品搬送車。
【請求項2】
前記第1駆動部は、前記台車本体に連結された第1アーム部と、前記第1アーム部に連結されて前記連結支持部を下方から押圧する第1押圧部と、前記第1アーム部を駆動する第1駆動源と、を有し、
前記第2駆動部は、前記台車本体に連結された第2アーム部と、前記第2アーム部に連結されて
前記伝動部を下方から押圧する第2押圧部と、前記第2アーム部を駆動する第2駆動源と、を有している、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記第1アーム部は、前記基準軸方向に沿う第3軸周りに回転可能に前記台車本体に連結され、
前記第2アーム部は、前記基準軸方向に沿う第4軸周りに回転可能に前記台車本体に連結され、
前記第3軸と前記第4軸とが共通の共通軸とされ、
前記共通軸は、上下方向視で、前記第1軸と前記第2軸との間に配置され、
前記第1アーム部と前記第2アーム部とが、前記共通軸周りに一体的に回転するように連結されていると共に、前記共通軸から互いに異なる方向に延在するように配置され、
前記第1駆動源と前記第2駆動源とが共通の共通駆動源であり、
前記共通駆動源は、前記連結支持部を前記第1軸周りに揺動させる場合と前記物品支持部を前記第2軸周りに揺動させる場合とで、前記第1アーム部及び前記第2アーム部を前記共通軸周りの互いに反対方向に回転駆動する、請求項
2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記第1押圧部は、前記第1アーム部における前記第3軸から離れた位置に連結され、前記第1アーム部と共に前記第3軸周りに回転しつつ前記連結支持部に対して摺動することにより、前記連結支持部を押圧するように構成され、
前記第2押圧部は、前記第2アーム部における前記第4軸から離れた位置に連結され、前記第2アーム部と共に前記第4軸周りに回転しつつ前記物品支持部に対して摺動することにより、前記物品支持部を押圧するように構成され、
前記第1押圧部が前記第1軸支部に接近する方向に前記連結支持部に対して摺動するように、前記第1駆動源が前記第1アーム部を回転駆動し、
前記第2押圧部が前記第2軸支部に接近する方向に前記物品支持部に対して摺動するように、前記第2駆動源が前記第2アーム部を回転駆動し、
前記連結支持部における前記第1押圧部が摺動する第1摺動部に、下方に膨出する第1膨出部が形成され、
前記伝動部が、第2摺動部であり、
前記物品支持部における前記第2押圧部が摺動する
前記第2摺動部に、下方に膨出する第2膨出部が形成されている、請求項3に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車本体と、前記台車本体に搭載されて物品を移載する移載装置と、を備えた物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開平06-298348号公報(特許文献1)には、物品を搬送及び仕分先別に仕分けする設備が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に付す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に記載された設備には、軸部材(17)周りに傾斜可能な荷台(13)を有する運搬車(1)が備えられている。この運搬車(1)は、荷台(13)により荷物(4)を支持した状態で軌道(2)に沿って走行して、仕分先に対応する荷物搬出装置(7)まで当該荷物(4)を搬送するように構成されている。荷台(13)における走行方向の一方側端部には、運搬車(1)の走行軌道(19)に沿って設置された案内溝(22a)によって案内される傾転ガイド(14)が取り付けられている。そして、運搬車(1)が走行軌道(19)上における荷物搬出装置(7)に隣接する位置において、傾転ガイド(14)が案内溝(22a)によって下方に案内されることにより、荷台(13)が荷物搬出装置(7)の側に傾斜するように構成されている。これにより、特許文献1の運搬車(1)は、荷台(13)に支持された荷物(4)を荷物搬出装置(7)へ移載できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された運搬車(1)は、走行方向に直交する方向の一方側、すなわち片側にのみ物品を移載する構成となっている。また、特許文献1に記載された運搬車(1)は、傾転ガイド(14)を案内する案内溝(22a)を、走行軌道(19)の全体に亘って設置する必要があるため、運搬車(1)の走行経路の設定自由度が低く、また、設備全体のコストも高くなり易いものとなっていた。
【0006】
上記実状に鑑みて、複数の方向に物品を移載可能であって、経路設定の自由度が高く、設備コストも低く抑えることが可能な物品搬送車の実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品搬送車は、
台車本体と、前記台車本体に搭載されて物品を移載する移載装置と、を備えた物品搬送車であって、前記移載装置は、物品を下方から支持する支持台と伝動部とを備えた物品支持部と、前記物品支持部を下方から押圧する連結支持部と、前記物品支持部を傾斜させる傾斜駆動を行う駆動部と、を有し、水平方向に沿う一方向を基準軸方向として、前記連結支持部は、前記台車本体に対して、前記基準軸方向に沿う第1軸周りに揺動可能に連結された第1軸支部を有し、前記物品支持部は、前記台車本体に対して、前記基準軸方向に沿う第2軸周りに揺動可能に連結された第2軸支部を有し、前記支持台は、前記基準軸方向、及び前記基準軸方向に直交する方向、に沿って平面的に広がる板状部材により構成され、前記駆動部は、第1駆動部と第2駆動部とを有し、前記第1駆動部は、前記連結支持部に対して駆動力を伝達することで、前記連結支持部を揺動させると共に揺動する前記連結支持部によって下方から押圧される前記支持台を前記第1軸周りに揺動させて、前記支持台を第1傾斜方向に傾斜させ、前記第2駆動部は、前記物品支持部における前記伝動部に対して駆動力を伝達することで、前記支持台を前記第2軸周りに揺動させて、前記支持台を前記第1傾斜方向とは異なる第2傾斜方向に傾斜させる。
【0008】
本構成によれば、第1駆動部によって、連結支持部を介して物品支持部を第1軸周りに揺動させて当該物品支持部を第1傾斜方向に傾斜させることができると共に、第2駆動部によって、物品支持部を第2軸周りに揺動させて当該物品支持部を第2傾斜方向に傾斜させることができる。従って、本構成によれば、物品支持部を異なる2つの方向に傾斜させることができ、物品支持部に支持された物品を異なる2つの方向に滑り落として移載することが可能となる。また、本構成によれば、物品搬送車が備える駆動部によって物品支持部の傾斜駆動を行うことができるため、物品支持部を傾斜させるための機構を物品搬送車の走行経路に沿って別途設置する必要がない。従って、物品搬送車の走行経路の設定自由度が高く、この物品搬送車を備える設備のコストも低く抑えることができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】物品支持部が第1傾斜方向に傾斜している状態を示す説明図
【
図4】物品支持部が第2傾斜方向に傾斜している状態を示す説明図
【
図5】物品支持部が第1傾斜方向に傾斜する際の動作を示す説明図
【
図6】物品支持部が第2傾斜方向に傾斜する際の動作を示す説明図
【
図7】その他の実施形態に係る物品搬送車の一部を示す図
【
図8】その他の実施形態に係る物品搬送車の一部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る物品搬送車について図面を参照して説明する。以下では、物品搬送車が、物品の搬送及び仕分けを行う物品搬送設備に適用される場合を例に説明する。
【0012】
〔物品搬送設備の概要〕
図1に示すように、物品搬送設備Fは、物品Wを搬送する物品搬送車Vと、物品搬送車Vによって搬送された物品Wが投入される物品投入部80と、を備えている。この物品搬送設備Fでは、例えば、物品Wの種類や出荷先などの特定情報に基づいて指定された物品投入部80に物品Wが投入されることによって、複数の物品Wが種類や出荷先などの特定情報ごとに仕分けられる。図示の例では、複数の物品投入部80が設備の床面70に設けられていると共に、床面70上に物品搬送車Vの走行経路が設定されている。そして、複数の物品搬送車Vのそれぞれが、走行経路に沿って走行して、種類や出荷先などの特定情報に基づいて指定された物品投入部80に物品Wを搬送するように構成されている。
【0013】
本実施形態では、物品搬送設備Fは、搬送対象である物品Wを物品搬送車Vに供給する物品供給部90と、複数の物品搬送車Vによる物品Wの搬送先を制御する統括制御装置Cfと、を備えている。
【0014】
物品供給部90では、例えば、種類や出荷先などの特定情報に基づいて特定の物品投入部80(搬送先)を指定された物品Wが、自動供給装置によって、物品搬送車Vに供給さ
れる。例えばこの場合には、統括制御装置Cfは、搬送先が指定された物品Wを物品搬送車Vに供給するように自動供給装置を制御すると共に、当該搬送先に物品Wを搬送するように物品搬送車Vに指令する。但し、物品供給部90では、搬送先が指定された物品Wを、作業者が物品搬送車Vに供給するようにしてもよい。例えばこの場合には、統括制御装置Cfによって、物品Wについて搬送先が指定されると共に、当該搬送先に対応して物品搬送車Vが指定される。そして作業者は、搬送先が指定された物品Wに対応する物品搬送車Vに、当該物品Wを供給する。物品Wの供給を受けた物品搬送車Vは、搬送先(特定の物品投入部80)に物品Wを搬送する。
【0015】
複数の物品投入部80のそれぞれの周囲には、各物品投入部80に対応する位置を示す位置情報を記憶する位置情報記憶部Sfが設けられている。物品搬送車Vは、搬送先として指定された特定の物品投入部80へ走行し、当該物品投入部80に対応する位置情報記憶部Sfに記憶された位置情報を位置情報検出部Sv(
図2参照)によって検出することで、その位置で停止して(或いは低速走行の状態で)当該物品投入部80に物品Wを投入する。位置情報記憶部Sfは、例えば、位置情報を記憶したバーコード(例えば二次元バーコード)又はRFIDタグ(radio frequency identifier tag)等として構成される。位置情報記憶部Sfがバーコードである場合には、位置情報検出部Svはバーコードリーダとして構成され、位置情報記憶部SfがRFIDタグである場合には、位置情報検出部SvはRFIDリーダとして構成される。なお、物品搬送車Vによる物品投入部80への物品Wの投入は、後述する移載装置3による移載によって行われる(
図2参照)。
【0016】
〔物品搬送車の概略的構成〕
次に、物品搬送車Vの概略的構成について、物品搬送車Vの構成を概念的に示した
図2を参照して説明する。
【0017】
以下では、水平方向に沿う一方向を基準軸方向Aとし、基準軸方向Aに対して上下方向視で直交する方向を基準軸直交方向Cとして説明する。基準軸方向Aは、後述する第1軸A1~第4軸A4が配置される基準となる方向であり、本実施形態では、物品搬送車Vの走行方向に沿う方向とされている。なお
図2においては、基準軸方向Aは、紙面に直交する方向となっている。但し、これに限定されることなく、基準軸方向Aは、物品搬送車Vの走行方向に対して上下方向視で交差する方向とされていてもよい。
【0018】
図2に示すように、物品搬送車Vは、台車本体1と、台車本体1に搭載されて物品Wを移載する移載装置3と、を備えている。移載装置3は、物品Wを下方から支持する物品支持部32と、物品支持部32と台車本体1とを連結する連結支持部31と、物品支持部32を傾斜させる傾斜駆動を行う移載駆動部D(駆動部に相当)と、を有している。本実施形態では、物品搬送車Vは、複数の車輪2と、複数の車輪2のうち少なくとも1つを回転駆動する走行駆動部2D(走行モータ)と、を備えている。また、
図2に示す例では、物品搬送車Vは、物品搬送車Vの各機能部を制御する個別制御装置Cvを備えている。本例では、個別制御装置Cvは、走行駆動部2Dと移載駆動部Dとを制御するように構成されている。これにより、物品搬送車Vによる走行動作と移載動作とが制御される。
【0019】
本実施形態では、物品搬送車Vは、搬送先として指定された物品投入部80の位置情報を記憶する記憶部Mvと、物品投入部80の周囲に設けられた位置情報記憶部Sfに記憶された位置情報を検出する位置情報検出部Svと、を備えている。物品搬送車Vは、位置情報検出部Svによって検出した位置情報記憶部Sfの位置情報が、搬送先として指定された物品投入部80の位置情報と一致している場合には、当該物品投入部80に物品Wを投入(移載)する。
【0020】
図2に示すように、連結支持部31は、台車本体1に対して、基準軸方向Aに沿う第1
軸A1周りに揺動可能に連結されている。物品支持部32は、連結支持部31に対して、基準軸方向Aに沿う第2軸A2周りに揺動可能に連結されている。第1軸A1と第2軸A2とは、互いに平行に配置されている。そして、第1軸A1と第2軸A2とは、基準軸方向Aに沿う基準軸方向A視において互いに異なる位置に配置されている。本実施形態では、第1軸A1は、台車本体1に対する位置が固定されている。第2軸A2は、連結支持部31の揺動に伴って第1軸A1周りに旋回するため、台車本体1に対する位置が移動する。
【0021】
移載駆動部Dは、第1駆動部33Dと第2駆動部34Dとを有している。
図2に示すように、第1駆動部33Dは、連結支持部31に対して駆動力を伝達して、当該連結支持部31を第1軸A1周りに揺動させる。本実施形態では、第1駆動部33Dは、第1軸A1よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側から、連結支持部31を上方に揺動させる。これにより、第1駆動部33Dは、連結支持部31を、第1軸A1を中心とする
図2における反時計回りに揺動させる(
図5参照)。また、第2駆動部34Dは、物品支持部32に駆動力を伝達して、当該物品支持部32を第2軸A2周りに揺動させる。本実施形態では、第2駆動部34Dは、第2軸A2よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側から、物品支持部32を上方に揺動させる。これにより、第2駆動部34Dは、物品支持部32を、第2軸A2を中心とする
図2における時計回りに揺動させる(
図6参照)。
【0022】
図2に示すように、第2駆動部34Dは、物品支持部32に駆動力を伝達することで、物品支持部32のみを第2軸A2周りに揺動させて、当該物品支持部32を第2傾斜方向T2に傾斜させる。また、第1駆動部33Dは、連結支持部31に駆動力を伝達することで、連結支持部31とこれに連結されている物品支持部32との双方を第1軸A1周りに揺動させて、物品支持部32を第1傾斜方向T1に傾斜させる(
図3参照)。
【0023】
本実施形態において「第2傾斜方向T2」とは、物品支持部32における基準軸直交方向Cの一端部が、他端部よりも下方に配置された状態となる方向である。本例では、物品支持部32における第2軸A2側の連結端部(一端部:固定端部)が、それとは反対側の先端部(他端部:遊端部)よりも下方に配置された状態が、物品支持部32が第2傾斜方向T2に傾斜した状態であり、
図2において右下がりの状態として示されている。また、「第1傾斜方向T1」とは、物品支持部32における基準軸直交方向Cの他端部が、一端部よりも下方に配置された状態となる方向である。本例では、物品支持部32における先端部(他端部:遊端部)が、第2軸A2側の連結端部(一端部:固定端部)よりも下方に配置された状態が、物品支持部32が第1傾斜方向T1に傾斜した状態であり、
図3において左下がりの状態として示されている。
【0024】
例えば
図2に示すように、物品支持部32が物品Wを支持した状態で第2傾斜方向T2に傾斜することにより、物品Wが物品支持部32を滑り落ちて物品投入部80へ投入(移載)される。図示の例では、物品投入部80は、物品Wが投入される投入口81と、投入口81の周りに設けられて投入口81の中心部に向かって下方に傾斜する案内部82と、を有している。案内部82によって、物品支持部32から滑り落ちる物品Wを投入口81に対して適切に案内することが可能となっている。なお、図示は省略するが、第1軸A1に対して第2軸A2側とは反対側(
図2中、物品搬送車Vに対して左側)に物品投入部80が配置された状態では、物品支持部32が物品Wを支持した状態で第1傾斜方向T1に傾斜することにより、当該物品投入部80へ物品Wを投入(移載)することができる。
【0025】
〔移載装置の具体的構成〕
次に、移載装置3の具体的構成について説明する。移載装置3は、物品支持部32を第1傾斜方向T1又は第2傾斜方向T2に傾斜させることによって、物品Wを移載するよう
に構成されている。
図3は、物品支持部32が第1傾斜方向T1に傾斜している状態を示しており、
図4は、物品支持部32が第2傾斜方向T2に傾斜している状態を示している。
【0026】
上述のように、移載装置3は、物品Wを下方から支持する物品支持部32と、物品支持部32と台車本体1とを連結する連結支持部31と、物品支持部32を傾斜させる傾斜駆動を行う移載駆動部D(駆動部に相当)と、を有している。
【0027】
図3及び
図4に示すように、連結支持部31は、台車本体1に対して、基準軸方向Aに沿う第1軸A1周りに揺動可能に連結された第1軸支部311を有している。本実施形態では、連結支持部31は、第1駆動部33Dの第1押圧部332によって押圧される被押圧部を有している。本例では、この被押圧部は、第1押圧部332による押圧中に当該第1押圧部332が摺動可能な第1摺動部312とされている。そして本実施形態では、
図5にも示すように、第1摺動部312には、第1軸支部311に接近するに従って下方に膨出する第1膨出部313が形成されている。なお、この場合の「下方に膨出する」とは、物品支持部32が傾斜していない状態(駆動されていない状態)を基準としている。以下の説明においても同様である。
【0028】
図5に示すように、本実施形態では、第1膨出部313は、基準軸方向A視の形状が、上に凸の円弧状である第1弧状部313aと、下に凸の円弧状である第2弧状部313bと、を有している。これらは、第1軸支部311に対して遠い側から、第1弧状部313a、第2弧状部313bの順に配置され、S字状に連続する曲面を形成している。そして、本例では、第1弧状部313aにおける第1軸支部311に対して遠い側の端部と、第2弧状部313bにおける第1軸支部311に対して近い側の端部とは、いずれも連結支持部31が傾斜していない状態で水平に沿う面となっている。詳細は後述するが、第1駆動部33Dの第1押圧部332は、第1弧状部313a及び第2弧状部313bを含んで構成される第1摺動部312を摺動しながら、連結支持部31を押圧するように構成されている。
【0029】
図3及び
図4に示すように、物品支持部32は、連結支持部31に対して、基準軸方向Aに沿う第2軸A2周りに揺動可能に連結された第2軸支部321を有している。本実施形態では、物品支持部32は、第2駆動部34Dの第2押圧部342によって押圧される被押圧部を有している。本例では、この被押圧部は、第2押圧部342による押圧中に当該第2押圧部342が摺動可能な第2摺動部322とされている。第2摺動部322は、第1摺動部312よりも、基準軸方向Aにおける台車本体1の外側に配置されている。そして本実施形態では、
図6にも示すように、第2摺動部322には、第2軸支部321に接近するに従って下方に膨出する第2膨出部323が形成されている。
【0030】
図6に示すように、本実施形態では、第2膨出部323は、基準軸方向A視の形状が、上に凸の円弧状である第3弧状部323aと、下に凸の円弧状である第4弧状部323bと、を有している。これらは、第2軸支部321に対して遠い側から、第3弧状部323a、第4弧状部323bの順に配置され、S字状に連続する曲面を形成している。そして、本例では、第3弧状部323aにおける第2軸支部321に対して遠い側の端部と、第4弧状部323bにおける第2軸支部321に対して近い側の端部とは、いずれも物品支持部32が傾斜していない状態で水平に沿う面となっている。詳細は後述するが、第2駆動部34Dの第2押圧部342は、第3弧状部323a及び第4弧状部323bを含んで構成される第2摺動部322を摺動しながら、物品支持部32を押圧するように構成されている。
【0031】
本実施形態では、物品支持部32は、物品Wを支持する支持台324を有している。図
3等に示すように、本例における支持台324は、基準軸方向Aに沿って平面的に広がる板状部材により構成されており、物品支持部32が傾斜していない状態において台車本体1の上面を覆うように形成されている。支持台324は、少なくとも基準軸直交方向Cにおける両端部(或いはその近傍)において、上方に突起する突起部を有さない。これにより、物品支持部32の傾斜状態において、支持台324に支持された物品Wを物品投入部80に対して適切に滑り落とすことが可能となっている。なお、図示の例では、支持台324は矩形板状に形成されているが、このような例に限定されることなく、支持台324は、円形板状や八角形板状など、物品Wを支持可能な様々な形状であってよい。
【0032】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、物品支持部32は、連結支持部31よりも上方であって、基準軸方向Aに連結支持部31を跨ぐように配置されている。すなわち、物品支持部32が第2軸A2周りに揺動していない状態では、物品支持部32が、連結支持部31に対して上方から当接するように構成されている。これにより物品支持部32は、連結支持部31よりも下方への揺動が、当該連結支持部31によって規制されている。そのため、物品支持部32は、連結支持部31が第1軸A1周りに上方へ揺動した場合には、当該連結支持部31により下方から押され、当該連結支持部31と共に第1軸A1周りに上方へ揺動する。また、連結支持部31は、第1軸A1周りに揺動していない状態(本例では水平状態)において、台車本体1の一部(不図示の被当接部)に上方から当接するように構成されている。これにより連結支持部31は、水平状態から下方への揺動が、台車本体1の被当接部によって規制されている。
【0033】
図3に示すように、第1駆動部33Dは、連結支持部31に対して駆動力を伝達することで、連結支持部31および当該連結支持部31に連結された物品支持部32を第1軸A1周りに揺動させて、物品支持部32を第1傾斜方向T1に傾斜させるように構成されている。本実施形態では、第1駆動部33Dは、第1軸A1よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側から、連結支持部31に対して上方に駆動力を伝達することで、当該連結支持部31を、上方且つ基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央から第1軸A1へ向かう側に揺動させる。
図3に示す例では、第1駆動部33Dは、第1軸A1を中心とする反時計回りに、連結支持部31を揺動させている。上述のように、物品支持部32は、連結支持部31よりも下方への揺動が規制されているため、連結支持部31が上方に揺動することに伴って物品支持部32も上方に揺動する。これにより、第1駆動部33Dは、物品支持部32を第1傾斜方向T1に傾斜させる。
【0034】
本実施形態では、第1駆動部33Dは、台車本体1に連結された第1アーム部331と、第1アーム部331に連結されて連結支持部31を下方から押圧する第1押圧部332と、第1アーム部331を駆動する第1駆動源M1と、を有している。
【0035】
本実施形態では、第1アーム部331は、基準軸方向Aに沿う第3軸A3周りに回転可能に台車本体1に連結されている。例えば
図5に示されているように、本実施形態では、第1アーム部331は、第1押圧部332と第3軸A3との間に、第3軸A3側から第1押圧部332側へ向かうに従って連結支持部31側に向かうように屈曲する第1屈曲部331aを有している。これにより、第1押圧部332によって連結支持部31を押圧する際に曲げ応力として第1アーム部331に掛かる負荷の一部を、圧縮応力とすることができ、第1アーム部331の耐久性を向上させることができる。
【0036】
第1押圧部332は、第1アーム部331における第3軸A3から離れた位置に連結され、第1アーム部331と共に第3軸A3周りに回転しつつ連結支持部31に対して摺動することにより、連結支持部31を押圧するように構成されている。上述のように、第1押圧部332は、連結支持部31における第1摺動部312に沿って摺動するように構成されている。本例では、第1押圧部332は、基準軸方向Aに沿う軸周りに回転するロー
ラを備えている。
【0037】
第1駆動源M1は、電動モータとして構成されており、第1アーム部331を第3軸A3周りに回転駆動する。第1駆動源M1は、個別制御装置Cvからの指令に応じて動作する。
【0038】
本実施形態では、第1アーム部331の回転中心となる第3軸A3は、第1軸A1よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側に配置されている。更に、第3軸A3は、第2軸A2に対しても、基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側に配置されている。但し、上記のような構成に限定されることなく、第3軸A3は、第1軸A1よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の外側に配置されていてもよいし、或いは、第2軸A2よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の外側に配置されていてもよい。
【0039】
図4に示すように、第2駆動部34Dは、物品支持部32に対して駆動力を伝達することで、物品支持部32を第2軸A2周りに揺動させて、物品支持部32を第1傾斜方向T1とは異なる第2傾斜方向T2に傾斜させるように構成されている。本実施形態では、第2駆動部34Dは、第2軸A2よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側から、物品支持部32に対して上方に駆動力を伝達することで、当該物品支持部32を、上方且つ基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央から第2軸A2へ向かう側に揺動させる。
図4に示す例では、第2駆動部34Dは、第2軸A2を中心とする時計回りに、物品支持部32を揺動させている。上述のように、物品支持部32は、第2軸A2周りに揺動していない状態では、連結支持部31に対して上方から当接しているだけであるため、第2軸A2周りに揺動する際には、物品支持部32のみが上方に揺動する。これにより、第2駆動部34Dは、連結支持部31を傾斜(揺動)させることなく、物品支持部32のみを第2傾斜方向T2に傾斜させる。
【0040】
本実施形態では、第2駆動部34Dは、台車本体1に連結された第2アーム部341と、第2アーム部341に連結されて物品支持部32を下方から押圧する第2押圧部342と、第2アーム部341を駆動する第2駆動源M2と、を有している。
【0041】
本実施形態では、第2アーム部341は、基準軸方向Aに沿う第4軸A4周りに回転可能に台車本体1に連結されている。例えば
図6に示されているように、本実施形態では、第2アーム部341は、第2押圧部342と第4軸A4との間に、第4軸A4側から第2押圧部342側へ向かうに従って物品支持部32側に向かうように屈曲する第2屈曲部341aを有している。これにより、第2押圧部342によって物品支持部32を押圧する際に曲げ応力として第2アーム部341に掛かる負荷の一部を、圧縮応力とすることができ、第2アーム部341の耐久性を向上させることができる。
【0042】
第2押圧部342は、第2アーム部341における第4軸A4から離れた位置に連結され、第2アーム部341と共に第4軸A4周りに回転しつつ物品支持部32に対して摺動することにより、物品支持部32を押圧するように構成されている。上述のように、第2押圧部342は、物品支持部32における第2摺動部322に沿って摺動するように構成されている。本例では、第2押圧部342は、基準軸方向Aに沿う軸周りに回転するローラを備えている。
【0043】
第2駆動源M2は、電動モータとして構成されており、第2アーム部341を第4軸A4周りに回転駆動する。第2駆動源M2は、個別制御装置Cvからの指令に応じて動作する。
【0044】
本実施形態では、第2アーム部341の回転中心となる第4軸A4は、第2軸A2より
も基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側に配置されている。更に、第4軸A4は、第1軸A1に対しても、基準軸直交方向Cにおける台車本体1の中央側に配置されている。但し、上記のような構成に限定されることなく、第4軸A4は、第2軸A2よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の外側に配置されていてもよいし、或いは、第1軸A1よりも基準軸直交方向Cにおける台車本体1の外側に配置されていてもよい。
【0045】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、第3軸A3と第4軸A4とが共通の共通軸ASとされている。換言すれば、第3軸A3と第4軸A4とは、同じ位置に配置されている。また本実施形態では、共通軸ASは、上下方向視で、第1軸A1と第2軸A2との間に配置されている。本例では、共通軸ASは、上下方向視で、第1軸A1と第2軸A2との中間位置に配置されている。
【0046】
本実施形態では、第1アーム部331と第2アーム部341とが、共通軸AS周りに一体的に回転するように連結されていると共に、共通軸ASから互いに異なる方向に延在するように配置されている。本実施形態では、第1アーム部331と第2アーム部341とが、基準軸方向A視で反対方向(180°異なる方向)に延在するように配置されている。また、第1アーム部331と第2アーム部341とは、1つの部材により一体的に形成されている。
【0047】
上記のとおり、物品支持部32の第2摺動部322は、連結支持部31の第1摺動部312よりも、基準軸方向Aにおける台車本体1の外側に配置されている。そして、第1アーム部331に連結された第1押圧部332は、第1摺動部312に対して摺動するように構成されており、第2アーム部341に連結された第2押圧部342は、第2摺動部322に対して摺動するように構成されている。そのため本例では、
図3及び
図4に示すように、第1摺動部312に接触(摺動)する第1押圧部332が、第2摺動部322に接触(摺動)する第2押圧部342よりも基準軸方向Aにおける台車本体1の内側(図中奥側)に配置されている。この配置を実現するために、本実施形態では、第1アーム部331の第1押圧部332側が、当該第1アーム部331の共通軸AS側に対して基準軸方向Aにおける台車本体1の内側に位置するように、第1アーム部331が屈曲している。これにより、第1アーム部331と第2アーム部341とが共通軸ASに連結された構成であって、第1押圧部332が第1摺動部312に対して摺動し、かつ、第2押圧部342が第2摺動部322に対して摺動する構成となっている。
【0048】
本実施形態では、第1駆動源M1と第2駆動源M2とが共通の共通駆動源MSとなっている。共通駆動源MSによって共通軸ASに回転力が付与されることにより、共通軸ASに連結された第1アーム部331と第2アーム部341とが回転する。本例では、共通駆動源MSは、電動モータとして構成されている。
【0049】
〔物品支持部の動作〕
次に、物品支持部32の動作について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0050】
図5は、物品支持部32が第1傾斜方向T1に傾斜する際の動作を示している。物品支持部32を第1傾斜方向T1に傾斜させる場合には、第1駆動部33Dによって連結支持部31に駆動力を伝達することにより、連結支持部31と共に物品支持部32を傾斜させる。
【0051】
第1駆動部33Dは、物品支持部32が傾斜していない水平状態から(
図5左図参照)、第1押圧部332が第1軸支部311に接近する方向に連結支持部31に対して摺動するように、第1駆動源M1によって第1アーム部331を回転駆動する。本実施形態では、共通駆動源MSによって第1アーム部331及び第2アーム部341を共通軸AS周り
に回転駆動する。これにより、第1アーム部331が第3軸A3(共通軸AS)周りに揺動され、連結支持部31が第1押圧部332によって下方から押圧されて、連結支持部31及び物品支持部32が上方に持ち上げられる(
図5中央図参照)。
【0052】
そして、第1アーム部331が第3軸A3周りに更に揺動されることにより、第1押圧部332が、第1膨出部313における第1弧状部313a、第2弧状部313bを順番に摺動しながら、連結支持部31を押圧する。これにより、物品支持部32が第1傾斜方向T1に傾斜した状態となる(
図5右図参照)。従って、物品支持部32の支持台324によって支持されていた物品Wを物品投入部80(
図1参照)に対して滑り落とすことができ、その結果、物品投入部80に対して物品Wを移載することができる。
【0053】
ここで、第1摺動部312に第1膨出部313が形成されていることにより、第1アーム部331の長さに対して物品支持部32の傾斜角度を大きく確保できている。また、第1膨出部313が、第1弧状部313aと第2弧状部313bとを有しているため、物品支持部32が第1傾斜方向T1へ傾斜している途中での傾斜速度が適切に変化する構成となっている。すなわち、第1押圧部332が上に凸の円弧状である第1弧状部313aを摺動している間は、物品支持部32の傾斜速度は次第に増加する。次に、第1押圧部332が下に凸の円弧状である第2弧状部313bを摺動している間は、物品支持部32の傾斜速度は次第に減少する。これにより、物品支持部32を第1傾斜方向T1へ傾斜させる場合の平均傾斜速度を高く確保しつつ、傾斜角度の変化の開始時と終了時の傾斜速度を低く抑えることができる。従って、物品Wを移載する際のサイクルタイムを短縮することができると共に、物品支持部32に支持された物品Wが物品支持部32から浮き上がることを抑制して物品Wの移載を適切に行うことが可能となっている。
【0054】
図6は、物品支持部32が第2傾斜方向T2に傾斜する際の動作を示している。物品支持部32を第2傾斜方向T2に傾斜させる場合には、第2駆動部34Dによって物品支持部32に駆動力を伝達することにより、物品支持部32を傾斜させる。
【0055】
第2駆動部34Dは、物品支持部32が傾斜していない水平状態から(
図6左図参照)、第2押圧部342が第2軸支部321に接近する方向に物品支持部32に対して摺動するように、第2駆動源M2によって第2アーム部341を回転駆動する。本実施形態では、共通駆動源MSによって第1アーム部331及び第2アーム部341を共通軸AS周りに回転駆動する。これにより、第2アーム部341が第4軸A4(共通軸AS)周りに揺動され、物品支持部32が第2押圧部342によって下方から押圧されて上方に持ち上げられる(
図6中央図参照)。
【0056】
そして、第2アーム部341が第4軸A4周りに更に揺動されることにより、第2押圧部342が、第2膨出部323における第3弧状部323a、第4弧状部323bを順番に摺動しながら、物品支持部32を押圧する。これにより、物品支持部32が第2傾斜方向T2に傾斜した状態となる(
図6右図参照)。従って、物品支持部32の支持台324によって支持されていた物品Wを物品投入部80(
図1参照)に対して滑り落とすことができ、その結果、物品投入部80に対して物品Wを移載することができる。
【0057】
ここで、第2摺動部322に第2膨出部323が形成されていることにより、第2アーム部341の長さに対して物品支持部32の傾斜角度を大きく確保できている。また、第2膨出部323が、第3弧状部323aと第4弧状部323bとを有しているため、物品支持部32が第2傾斜方向T2へ傾斜している途中での傾斜速度が適切に変化する構成となっている。すなわち、第2押圧部342が上に凸の円弧状である第3弧状部323aを摺動している間は、物品支持部32の傾斜速度は次第に増加する。次に、第2押圧部342が下に凸の円弧状である第4弧状部323bを摺動している間は、物品支持部32の傾
斜速度は次第に減少する。これにより、物品支持部32を第2傾斜方向T2へ傾斜させる場合の平均傾斜速度を高く確保しつつ、傾斜角度の変化の開始時と終了時の傾斜速度を低く抑えることができる。従って、物品Wを移載する際のサイクルタイムを短縮することができると共に、物品支持部32に支持された物品Wが物品支持部32から浮き上がることを抑制して物品Wの移載を適切に行うことが可能となっている。
【0058】
このように、本実施形態では、共通駆動源MSが第1アーム部331を第1回転方向(
図5における反時計回り方向)に回転駆動することにより物品支持部32を第1傾斜方向T1に傾斜させることができ、共通駆動源MSが第2アーム部341を第1回転方向とは反対方向の第2回転方向(
図6における時計回り方向)に回転駆動することにより物品支持部32を第2傾斜方向T2に傾斜させることができる。すなわち本実施形態では、共通駆動源MSは、連結支持部31を第1軸A1周りに揺動させて物品支持部32を第1傾斜方向T1に傾斜させる場合と、物品支持部32を第2軸A2周りに揺動させて物品支持部32を第2傾斜方向T2に傾斜させる場合とで、第1アーム部331及び第2アーム部341を共通軸AS周りの互いに反対方向に回転駆動するように構成されている。本実施形態では、連結支持部31を揺動させる構成と物品支持部32を揺動させる構成とを共通化することで、物品搬送車V全体の小型化が可能となっている。
【0059】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0060】
(1)上記の実施形態では、第1アーム部331の回転中心である第3軸A3と第2アーム部341の回転中心である第4軸A4とが、互いに共通する共通軸ASとされ、また、第1アーム部331を回転駆動する第1駆動源M1と第2アーム部341を回転駆動する第2駆動源M2とが、互いに共通する共通駆動源MSとされている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図7に示すように、第3軸A3と第4軸A4とは、互いに別軸であってもよく、第1駆動源M1と第2駆動源M2とは、互いに独立の駆動力源として設けられていてもよい。
【0061】
(2)上記の実施形態では、第1駆動部33Dが、第3軸A3周りに回転する第1アーム部331を有して構成され、第2駆動部34Dが、第4軸A4周りに回転する第2アーム部341を有して構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図8に示すように、第1駆動部33D及び第2駆動部34Dが、伸縮駆動を行う直動アクチュエータとして構成されていてもよい。このような直動アクチュエータとしては、例えば、物品搬送車Vに搭載されたバッテリから電力の供給を受けて動作する電動モータと、当該電動モータの回転駆動力をシリンダ軸の直線駆動力に変換するボールねじやウォームギア等の変換機構と、を備えた直動シリンダ型のアクチュエータを好適に用いることができる。この場合において、連結支持部31を第1軸A1周りに揺動させる第1直動アクチュエータ(第1駆動部33D)は、その一端部が、連結支持部31における基準軸直交方向Cの中心CCよりも第2軸A2側において当該連結支持部31に対して揺動可能に連結されているとよい。また、第1直動アクチュエータ(第1駆動部33D)の他端部は、台車本体1対して揺動可能に連結されているとよい。これにより、第1直動アクチュエータ(第1駆動部33D)によって連結支持部31に伝達される駆動力を、連結支持部31を第1軸A1周りに揺動させる駆動力として適切に伝達することができる。同様に、物品支持部32を第2軸A2周りに揺動させる第2直動アクチュエータ(第2駆動部34D)は、その一端部が、物品支持部32における基準軸直交方向Cの中心CCよりも第1軸A1側において当該物品支持部32に対して揺動可能に連結されているとよい。また、第2直動アクチュエータ(第2駆動部34D)の他端部は、台車本体1対して揺動可能に連結されているとよい。これにより、第2直動アクチュエータ(第2駆動部34D)によって物品支持部32に伝達される駆動力を、物品支持部32を第2軸A2周
りに揺動させる駆動力として適切に伝達することができる。なお、
図8では、第1駆動部33D及び第2駆動部34Dの双方が、直動アクチュエータとして構成されている例を示しているが、第1駆動部33Dと第2駆動部34Dとが異なる形式の駆動部とされていてもよい。
【0062】
(3)上記の実施形態では、
図2において、支持台324の基準軸直交方向Cの幅が台車本体1の基準軸直交方向Cの幅と同等である構成を例として説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図9に示すように、支持台324の基準軸直交方向Cの幅が、台車本体1における基準軸直交方向Cの幅よりも大きく構成されていてもよい。この構成によれば、物品支持部32を傾斜させた状態での支持台324下端部を床面70及び物品投入部80に近づけることができる。従って、
図2に示すような案内部82を介することなく、物品投入部80の投入口81に直接物品Wを投入することも可能となる。
【0063】
(4)上記の実施形態では、第1摺動部312に第1膨出部313が形成され、第2摺動部322に第2膨出部323が形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1摺動部312及び第2摺動部322は、基準軸方向A視の形状が直線状に形成されていてもよい。
【0064】
(5)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0065】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送車について説明する。
【0066】
本開示に係る物品搬送車は、
台車本体と、前記台車本体に搭載されて物品を移載する移載装置と、を備えた物品搬送車であって、前記移載装置は、物品を下方から支持する物品支持部と、前記物品支持部と前記台車本体とを連結する連結支持部と、前記物品支持部を傾斜させる傾斜駆動を行う駆動部と、を有し、水平方向に沿う一方向を基準軸方向として、前記連結支持部は、前記台車本体に対して、前記基準軸方向に沿う第1軸周りに揺動可能に連結された第1軸支部を有し、前記物品支持部は、前記連結支持部に対して、前記基準軸方向に沿う第2軸周りに揺動可能に連結された第2軸支部を有し、前記第1軸と前記第2軸とは、前記基準軸方向に沿う基準軸方向視において互いに異なる位置に配置され、前記駆動部は、第1駆動部と第2駆動部とを有し、前記第1駆動部は、前記連結支持部に対して駆動力を伝達することで、前記連結支持部および当該連結支持部に連結された前記物品支持部を前記第1軸周りに揺動させて、前記物品支持部を第1傾斜方向に傾斜させ、前記第2駆動部は、前記物品支持部に対して駆動力を伝達することで、前記物品支持部を前記第2軸周りに揺動させて、前記物品支持部を前記第1傾斜方向とは異なる第2傾斜方向に傾斜させる。
【0067】
本構成によれば、第1駆動部によって、連結支持部を介して物品支持部を第1軸周りに揺動させて当該物品支持部を第1傾斜方向に傾斜させることができると共に、第2駆動部によって、物品支持部を第2軸周りに揺動させて当該物品支持部を第2傾斜方向に傾斜させることができる。従って、本構成によれば、物品支持部を異なる2つの方向に傾斜させることができ、物品支持部に支持された物品を異なる2つの方向に滑り落として移載することが可能となる。また、本構成によれば、物品搬送車が備える駆動部によって物品支持部の傾斜駆動を行うことができるため、物品支持部を傾斜させるための機構を物品搬送車の走行経路に沿って別途設置する必要がない。従って、物品搬送車の走行経路の設定自由度が高く、この物品搬送車を備える設備のコストも低く抑えることができる。
【0068】
ここで、
前記第1駆動部は、前記台車本体に連結された第1アーム部と、前記第1アーム部に連結されて前記連結支持部を下方から押圧する第1押圧部と、前記第1アーム部を駆動する第1駆動源と、を有し、前記第2駆動部は、前記台車本体に連結された第2アーム部と、前記第2アーム部に連結されて前記物品支持部を下方から押圧する第2押圧部と、前記第2アーム部を駆動する第2駆動源と、を有していると好適である。
【0069】
本構成によれば、第1アーム部を駆動する第1駆動源、及び、第2アーム部を駆動する第2駆動源のそれぞれによって、物品支持部を第1軸又は第2軸周りに、互いに異なる方向に傾斜させることができる。従って、物品支持部に支持された物品を異なる2つ方向に移載可能な構成を適切に実現することができる。
【0070】
また、
前記第1アーム部は、前記基準軸方向に沿う第3軸周りに回転可能に前記台車本体に連結され、前記第2アーム部は、前記基準軸方向に沿う第4軸周りに回転可能に前記台車本体に連結され、前記第1押圧部は、前記第1アーム部における前記第3軸から離れた位置に連結され、前記第1アーム部と共に前記第3軸周りに回転しつつ前記連結支持部に対して摺動することにより、前記連結支持部を押圧するように構成され、前記第2押圧部は、前記第2アーム部における前記第4軸から離れた位置に連結され、前記第2アーム部と共に前記第4軸周りに回転しつつ前記物品支持部に対して摺動することにより、前記物品支持部を押圧するように構成され、前記第1押圧部が前記第1軸支部に接近する方向に前記連結支持部に対して摺動するように、前記第1駆動源が前記第1アーム部を回転駆動し、前記第2押圧部が前記第2軸支部に接近する方向に前記物品支持部に対して摺動するように、前記第2駆動源が前記第2アーム部を回転駆動すると好適である。
【0071】
本構成によれば、第1押圧部を介して連結支持部に伝達される駆動力を、連結支持部を第1軸周りに回転させるために必要な駆動力として適切に伝達することができる。同様に、第2押圧部を介して物品支持部に伝達される駆動力を、物品支持部を第2軸周りに回転させるために必要な駆動力として適切に伝達することができる。
【0072】
また、
前記第3軸と前記第4軸とが共通の共通軸とされ、前記共通軸は、上下方向視で、前記第1軸と前記第2軸との間に配置され、前記第1アーム部と前記第2アーム部とが、前記共通軸周りに一体的に回転するように連結されていると共に、前記共通軸から互いに異なる方向に延在するように配置され、前記第1駆動源と前記第2駆動源とが共通の共通駆動源であり、前記共通駆動源は、前記連結支持部を前記第1軸周りに揺動させる場合と前記物品支持部を前記第2軸周りに揺動させる場合とで、前記第1アーム部及び前記第2アーム部を前記共通軸周りの互いに反対方向に回転駆動すると好適である。
【0073】
本構成によれば、連結支持部を第1軸周りに揺動させる構成と物品支持部を第2軸周りに揺動させる構成とを共通化でき、物品搬送車全体として小型化を図ることができる。
【0074】
また、
前記連結支持部における前記第1押圧部が摺動する第1摺動部に、前記第1軸支部に接近するに従って下方に膨出する第1膨出部が形成され、
前記物品支持部における前記第2押圧部が摺動する第2摺動部に、前記第2軸支部に接近するに従って下方に膨出する第2膨出部が形成されていると好適である。
【0075】
本構成によれば、第1押圧部によって、第1膨出部を介して連結支持部を押圧すること
ができるため、第1膨出部が設けられない場合に比べて、前記物品支持部の傾斜角度を確保しつつ、第1アーム部の長さを短く設定することができる。同様に、第2押圧部によって、第2膨出部を介して物品支持部を押圧することができるため、第2膨出部が設けられない場合に比べて、前記物品支持部の傾斜角度を確保しつつ、第2アーム部の長さを短く設定することができる。従って、本構成によれば、第1アーム部および第2アーム部の長さを比較的短く設定できる分、物品搬送車の大型化を抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示に係る技術は、台車本体と、前記台車本体に搭載されて物品を移載する移載装置と、を備えた物品搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
V :物品搬送車
D :移載駆動部(駆動部)
W :物品
1 :台車本体
3 :移載装置
31 :連結支持部
32 :物品支持部
33D :第1駆動部
34D :第2駆動部
311 :第1軸支部
312 :第1摺動部
313 :第1膨出部
321 :第2軸支部
322 :第2摺動部
323 :第2膨出部
331 :第1アーム部
332 :第1押圧部
341 :第2アーム部
342 :第2押圧部
M1 :第1駆動源
M2 :第2駆動源
MS :共通駆動源
A1 :第1軸
A2 :第2軸
A3 :第3軸
A4 :第4軸
AS :共通軸
A :基準軸方向
C :基準軸直交方向
T1 :第1傾斜方向
T2 :第2傾斜方向