(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】乗場ボタン装置及び呼び登録システム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20231212BHJP
B66B 3/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B66B1/46 A
B66B3/02 H
B66B3/02 N
(21)【出願番号】P 2023069279
(22)【出願日】2023-04-20
【審査請求日】2023-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真壁 立
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-186136(JP,A)
【文献】特開2013-124166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/46
B66B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェースプレートと、
前記フェースプレートに設けられ、エレベーターの乗場側を向く表面を有する1つの乗場ボタンと、
前記表面の一部である第1領域への指の近接及び前記表面の他の一部である第2領域への指の近接を検知可能な第1検知器と、
前記乗場ボタンが押されたことを検知する第2検知器と、
を備え
、
前記第1検知器は、前記第1領域への指の近接と前記第2領域への指の近接とを同時に検知しない乗場ボタン装置。
【請求項2】
フェースプレートと、
前記フェースプレートに設けられ、エレベーターの乗場側を向く表面を有する1つの乗場ボタンと、
前記表面の一部である第1領域への指の近接及び前記表面の他の一部である第2領域への指の近接を検知可能な第1検知器と、
前記乗場ボタンが押されたことを検知する第2検知器と、
前記第1領域への指の近接を前記第1検知器が検知している時に前記乗場ボタンが押されたことを前記第2検知器が検知すると、上方向の乗場呼び登録要求を送信し、前記第2領域への指の近接を前記第1検知器が検知している時に前記乗場ボタンが押されたことを前記第2検知器が検知すると、下方向の乗場呼び登録要求を送信する要求部と、
を備えた乗場ボタン装置。
【請求項3】
前記第1検知器は、前記第1領域への指の近接及び前記第2領域への指の近接を非接触で検知し、
前記第2検知器は、前記乗場ボタンが変位することによって前記乗場ボタンが押されたことを検知する請求項1
又は請求項2に記載の乗場ボタン装置。
【請求項4】
前記フェースプレートに設けられた表示器と、
前記表示器を制御する表示制御部と、
を更に備え、
前記乗場から見た前記表示器の正面の輪郭は、前記乗場から見た前記乗場ボタンの正面の輪郭と同じである請求項1又は請求項2に記載の乗場ボタン装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記乗場にかごが到着することを前記表示器に表示する請求項
4に記載の乗場ボタン装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記乗場に停止可能なかごの現在位置と移動方向とを前記表示器に表示する請求項
4に記載の乗場ボタン装置。
【請求項7】
前記第1領域は、前記第2領域より上方に配置された請求項1又は請求項2に記載の乗場ボタン装置。
【請求項8】
前記表面は、
上方に向かうに従って前記フェースプレートからの突出量が小さくなるように傾斜する第1傾斜面と、
前記第1傾斜面より下方に配置され、下方に向かうに従って前記フェースプレートからの突出量が小さくなるように傾斜する第2傾斜面と、
を備え、
前記第1領域は、前記第1傾斜面の一部であり、
前記第2領域は、前記第2傾斜面の一部である請求項
7に記載の乗場ボタン装置。
【請求項9】
請求項
2に記載の乗場ボタン装置と、
前記乗場ボタン装置と通信する制御盤と、
を備え、
前記制御盤は、前記要求部から上方向の乗場呼び登録要求を受信すると上方向の乗場呼びを登録し、前記要求部から下方向の乗場呼び登録要求を受信すると下方向の乗場呼びを登録する呼び登録システム。
【請求項10】
フェースプレートと、
前記フェースプレートに設けられ、エレベーターの乗場側を向く表面を有する1つの乗場ボタンと、
前記表面の一部である第1領域への指の近接及び前記表面の他の一部である第2領域への指の近接を検知可能な第1検知器と、
前記乗場ボタンが押されたことを検知する第2検知器と、
前記フェースプレートに設けられた表示器と、
前記表示器を制御する表示制御部と、
を備え
、
前記乗場から見た前記表示器の正面の輪郭は、前記乗場から見た前記乗場ボタンの正面の輪郭と同じであり、
前記表示制御部は、前記乗場に停止可能なかごの現在位置及び移動方向、又は前記乗場に停止可能なかごに関する情報を前記表示器に表示する乗場ボタン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗場ボタン装置及び呼び登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エレベーターのインジケータを交換する方法が記載されている。なお、特許文献1には、インジケータを交換する方法が記載されているだけであり、乗場ボタンを交換することは記載されていない。即ち、特許文献1に記載された乗場ボタン装置には、従来の乗場ボタンがそのまま用いられる。従来の乗場ボタン装置には、上方向及び下方向の2つの乗場ボタンが備えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗場ボタン装置には、内部機器を覆うためのフェースプレートが備えられる。フェースプレートの大きさは、乗場ボタン装置の機種によって決まっている。従来の乗場ボタン装置は上方向の乗場ボタンと下方向の乗場ボタンとを備えるため、フェースプレートに、乗場ボタンを設置するための広い面積が必要になるといった問題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、乗場ボタンを設置するために必要な面積を小さくできる乗場ボタン装置を提供することである。本開示の他の目的は、そのような乗場ボタン装置を備えた呼び登録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乗場ボタン装置は、フェースプレートと、フェースプレートに設けられ、エレベーターの乗場側を向く表面を有する1つの乗場ボタンと、上記表面の一部である第1領域への指の近接及び上記表面の他の一部である第2領域への指の近接を検知可能な第1検知器と、乗場ボタンが押されたことを検知する第2検知器と、を備える。第1検知器は、第1領域への指の近接と第2領域への指の近接とを同時に検知しない。
本開示に係る乗場ボタン装置は、フェースプレートと、フェースプレートに設けられ、エレベーターの乗場側を向く表面を有する1つの乗場ボタンと、上記表面の一部である第1領域への指の近接及び上記表面の他の一部である第2領域への指の近接を検知可能な第1検知器と、乗場ボタンが押されたことを検知する第2検知器と、第1領域への指の近接を第1検知器が検知している時に乗場ボタンが押されたことを第2検知器が検知すると、上方向の乗場呼び登録要求を送信し、第2領域への指の近接を第1検知器が検知している時に乗場ボタンが押されたことを第2検知器が検知すると、下方向の乗場呼び登録要求を送信する要求部と、を備える。
本開示に係る乗場ボタン装置は、フェースプレートと、フェースプレートに設けられ、エレベーターの乗場側を向く表面を有する1つの乗場ボタンと、上記表面の一部である第1領域への指の近接及び上記表面の他の一部である第2領域への指の近接を検知可能な第1検知器と、乗場ボタンが押されたことを検知する第2検知器と、フェースプレートに設けられた表示器と、表示器を制御する表示制御部と、を備える。乗場から見た表示器の正面の輪郭は、乗場から見た乗場ボタンの正面の輪郭と同じである。表示制御部は、乗場に停止可能なかごの現在位置及び移動方向、又は乗場に停止可能なかごに関する情報を表示器に表示する。
【0007】
本開示に係る呼び登録システムは、上記乗場ボタン装置と、乗場ボタン装置と通信する制御盤と、を備える。制御盤は、要求部から上方向の乗場呼び登録要求を受信すると上方向の乗場呼びを登録し、要求部から下方向の乗場呼び登録要求を受信すると下方向の乗場呼びを登録する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、乗場ボタン装置において、乗場ボタンを設置するために必要な面積を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における乗場ボタン装置を備えたエレベーター装置の例を示す図である。
【
図3】エレベーター装置の機能を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1における乗場ボタン装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】乗場ボタン装置のハードウェア資源の例を示す図である。
【
図11】乗場ボタン装置のハードウェア資源の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における乗場ボタン装置を備えたエレベーター装置の例を示す図である。
図1に示すエレベーター装置は、かご1、及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。つり合いおもり2は、かご1が移動する方向とは逆の方向に昇降路3を上下に移動する。
【0012】
ロープ4は、巻上機5に巻き掛けられる。巻上機5は、かご1を駆動する。制御盤6は、巻上機5を制御する。即ち、かご1の移動は、制御盤6によって制御される。また、制御盤6は、かご1に備えられた機器を制御する。
図1は、巻上機5及び制御盤6が昇降路3の上方の機械室7に設けられる例を示す。巻上機5及び制御盤6は、昇降路3に設けられても良い。
【0013】
図1は、かご1が乗場8に停止している状態を示す。制御盤6は、乗場8に設けられた機器と通信し、当該機器を制御する。
図2は、かご1が停止する乗場8の例を示す図である。乗場8に、昇降路3に通じる出入口9が形成される。乗場8に、出入口9を形成する三方枠10が設けられる。出入口9は、ドア11によって開閉される。乗場8の壁12に、乗場ボタン装置13が設けられる。乗場ボタン装置13は、三方枠10に設けられても良い。乗場ボタン装置13が壁12に設けられる場合、乗場ボタン装置13は、三方枠10に隣接するように配置される。
【0014】
図3は、エレベーター装置の機能を説明するための図である。乗場ボタン装置13は、制御盤6と通信する。乗場ボタン装置13は、上方向の乗場呼び登録要求を送信する機能、下方向の乗場呼び登録要求を送信する機能、上方向の乗場呼びが登録済みであることを報知する機能、及び下方向の乗場呼びが登録済みであることを報知する機能を備える。
【0015】
図4は、乗場ボタン装置13の例を示す図である。
図3及び
図4に示すように、乗場ボタン装置13は、エンクロージャー(図示せず)、フェースプレート20、乗場ボタン21、ランプ22、ランプ23、検知器24、検知器25、及び制御器26を備える。
【0016】
エンクロージャーは、乗場8のフェースプレート20、壁12、或いは三方枠10に設けられる。制御器26等の機器は、エンクロージャーに保護される。制御器26等の機器は、フェースプレート20によって覆われる。フェースプレート20は、表面20aを有する。表面20aは、乗場8に対向するように乗場8側を向く。フェースプレート20 は、表面20aと平行でない表面を有しても良い。フェースプレート20は、個別の表示装置としても良い。例として図示しないが、液晶パネル、エレクトロルミネッセンスパネル、LED表示器、光源を背にした透過、半透過、或いは不透過させる表示器などが挙げられる。また、フェースプレート20は、個別の操作装置としても良い。例として図示しないが、静電容量型タッチパネル、圧力検出型タッチパネルなどが挙げられる。上記個別の表示装置及び上記個別の操作装置は組み合わせても良い。上記個別の表示装置及び上記個別の操作装置は、上記例に限定されない。さらに、エンクロージャーは、上記個別の表示装置、上記個別の操作装置によって代替されても良い。エンクロージャーは、表面20aと平行でない表面を有しても良い。
【0017】
乗場ボタン21は、利用者が乗場呼びを登録するために操作する部分である。乗場ボタン装置13には、乗場ボタン21が1つしか備えられていない。乗場ボタン21は、フェースプレート20に設けられる。乗場ボタン21は、表面21aを有する。表面21aは、乗場8に対向するように乗場8側を向く。
【0018】
検知器24は、第1領域24aに利用者の指が近接していることを検知する。第1領域24aは、表面21aの一部である。
図4は、第1領域24aが表面21aの上部の更に一部に設定された例を示す。また、検知器24は、第2領域24bに利用者の指が近接していることを検知する。第2領域24bは、表面21aの他の一部である。
図4は、第2領域24bが表面21aの下部の更に一部に設定された例を示す。即ち、
図4に示す例では、第1領域24aは、第2領域24bより上方に配置される。より具体的に、第1領域24aは、第2領域24bの直上に配置される。また、ランプ22、ランプ23の表示位置に依存して、第1領域24aと第2領域24bの位置を変えても良い。
【0019】
好適な例では、検知器24は、第1領域24aへの指の近接と第2領域24bへの指の近接とを、例えば静電容量方式を用いて非接触で検知する。検知器24は、乗場ボタン21の変位を伴うことなく、各領域への指の近接を検知できる。かかる場合、検知器24は、静電容量の変化量に基づいて、指が第1領域24aに近接しているのか第2領域24bに近接しているのかを判定することが好ましい。例えば、静電容量のより強い計測をした一方を検知と判断する。検知器24は、第1領域24aへの指の近接又は第2領域24bへの指の近接の一方を検知していれば、他方を検知しない。即ち、検知器24は、第1領域24aへの指の近接及び第2領域24bへの指の近接の双方を同時に検知しない。
【0020】
図4は、乗場ボタン21の表面21aに、上向きの矢印21bと下向きの矢印21cとが付される例を示す。一例として、矢印21bは、第1領域24a内に配置される。矢印21cは、第2領域24b内に配置される。ランプ22は、点灯すると矢印21bが光るように、乗場ボタン21の裏側に設けられる。ランプ22が点灯すると、乗場ボタン21の上半分が点灯しても良い。ランプ23は、点灯すると矢印21cが光るように、乗場ボタン21の裏側に設けられる。ランプ23が点灯すると、乗場ボタン21の下半分が点灯しても良い。
【0021】
なお、利用者が矢印21bの点灯及び消灯を認識することが可能であれば、乗場ボタン装置13に、ランプ22以外の手段が備えられても良い。例えば、乗場ボタン21の表面21aに、矢印21bが画像で表示されても良い。同様に、利用者が矢印21cの点灯及び消灯を認識することが可能であれば、乗場ボタン装置13に、ランプ23以外の手段が備えられても良い。例えば、乗場ボタン21の表面21aに、矢印21cが画像で表示されても良い。
【0022】
検知器25は、乗場ボタン21が押されたことを検知する。検知器25は、乗場ボタン21が変位することによって、乗場ボタン21が押されたことを検知することが好ましい。検知器25は、乗場ボタン21がフェースプレート20に押し込まれるように変位することによって閉じる接点を備えても良い。他の例として、検知器25は、乗場ボタン21の変位を伴うことなく、乗場ボタン21が押されたこと、即ち指の接触を検知しても良い。
【0023】
制御器26は、点灯制御部31、及び要求部32を備える。点灯制御部31は、ランプ22及びランプ23を制御する。要求部32は、乗場呼び登録要求を制御盤6に送信する。具体的に、要求部32は、第1領域24aへの指の近接を検知器24が検知している時に乗場ボタン21が押されたことを検知器25が検知すると、上方向の乗場呼び登録要求を制御盤6に送信する。要求部32は、第2領域24bへの指の近接を検知器24が検知している時に乗場ボタン21が押されたことを検知器25が検知すると、下方向の乗場呼び登録要求を制御盤6に送信する。
【0024】
なお、制御盤6は、要求部32からの上方向の乗場呼び登録要求を受信すると、乗場呼び登録要求を送信してきた乗場ボタン装置13が設置されている階の上方向の乗場呼びを登録する。制御盤6は、要求部32からの下方向の乗場呼び登録要求を受信すると、当該階の下方向の乗場呼びを登録する。これにより、登録された呼びにかご1が応答する。本実施の形態に示す例では、乗場ボタン装置13、及び制御盤6によって、呼びを登録するためのシステムが構成される。
【0025】
次に、
図5も参照し、乗場ボタン装置13の動作について説明する。
図5は、実施の形態1における乗場ボタン装置13の動作例を示すフローチャートである。以下においては、検知器24が静電容量方式による検知を行い、且つ第1領域24aへの指の近接及び第2領域24bへの指の近接の双方を同時に検知しない例について、具体的に説明する。
【0026】
乗場ボタン装置13では、先ず、検知器24が、第1領域24a及び第2領域24bに指が近接していない状態で静電容量を計測する(S101)。また、検知器24による静電容量の計測は、継続して行われる。検知器24は、静電容量の計測結果に基づいて、第1領域24aに利用者の指が近接しているか否かを判定する(S102)。検知器24が第1領域24aへの指の近接を検知すると、S102でYesと判定される。検知器24が第1領域24aへの指の近接を検知していなければ、S102でNoと判定される。
【0027】
S102でNoと判定されると、検知器24は、静電容量の計測結果に基づいて、第2領域24bに利用者の指が近接しているか否かを判定する(S103)。検知器24が第2領域24bへの指の近接を検知すると、S103でYesと判定される。検知器24が第2領域24bへの指の近接を検知していなければ、S103でNoと判定される。
【0028】
S102でYesと判定されると、点灯制御部31は、ランプ22を点滅する(S104)。これにより、乗場ボタン21の表面のうち矢印21bが付された部分が点滅する。利用者には、矢印21bが点滅しているように見える。
【0029】
また、S102でYesと判定されると、乗場ボタン21が押されたか否かが判定される(S105)。一例として、S102でYesと判定されてから一定時間が経過する前に乗場ボタン21が押されたことを検知器25が検知すると、S105でYesと判定される。S102でYesと判定されてから一定時間が経過するまでに乗場ボタン21が押されたことを検知器25が検知しなければ、S105でNoと判定される。S105でNoと判定されると、点灯制御部31は、ランプ22を消灯する(S106)。
【0030】
S105でYesと判定されると、要求部32は、上方向の乗場呼び登録要求を制御盤6に送信する(S107)。
【0031】
S107で送信された乗場呼び登録要求に基づいて制御盤6で乗場呼びが登録されると、点灯制御部31は、ランプ22を点灯する(S108)。これにより、乗場ボタン21の表面のうち矢印21bが付された部分が点灯する。利用者には、矢印21bが点灯しているように見える。
【0032】
一方、S103でYesと判定されると、点灯制御部31は、ランプ23を点滅する(S109)。これにより、乗場ボタン21の表面のうち矢印21cが付された部分が点滅する。利用者には、矢印21cが点滅しているように見える。
【0033】
また、S103でYesと判定されると、乗場ボタン21が押されたか否かが判定される(S110)。一例として、S103でYesと判定されてから一定時間が経過する前に乗場ボタン21が押されたことを検知器25が検知すると、S110でYesと判定される。S103でYesと判定されてから一定時間が経過するまでに乗場ボタン21が押されたことを検知器25が検知しなければ、S110でNoと判定される。S110でNoと判定されると、点灯制御部31は、ランプ23を消灯する(S111)。
【0034】
S110でYesと判定されると、要求部32は、下方向の乗場呼び登録要求を制御盤6に送信する(S112)。
【0035】
S112で送信された乗場呼び登録要求に基づいて制御盤6で乗場呼びが登録されると、点灯制御部31は、ランプ23を点灯する(S113)。これにより、乗場ボタン21の表面のうち矢印21cが付された部分が点灯する。利用者には、矢印21cが点灯しているように見える。
【0036】
S107或いはS112で乗場呼び登録要求が送信されると、ランプ22及びランプ23の双方が点灯しているか否かが判定される(S114)。S108の処理及びS113の処理の双方が行われていれば、S114でYesと判定される。S114でYesと判定されると、処理は終了する。S108の処理又はS113の処理の一方が行われていなければ、S114でNoと判定される。S114でNoと判定されると、S101の処理に戻る。
【0037】
本実施の形態に示す例では、検知器24は、第1領域24aへの指の近接と第2領域24bへの指の近接とを検知可能である。検知器25は、乗場ボタン21が押されたことを検知可能である。したがって、乗場ボタン装置13は、2つの乗場ボタンを備える必要がない。本実施の形態に示す例であれば、乗場ボタン21を設置するために必要な面積を小さくすることができる。
【0038】
エレベーター装置では、故障工事或いはリニューアル工事において、乗場ボタン装置を交換する場合がある。この場合、既設のエンクロージャーを交換することなく、フェースプレートに取り付けられている機器をフェースプレートごと交換できれば、工事の手間と時間とを大幅に短縮できる。本実施の形態に示す例であれば、乗場ボタン21をコンパクトにできるため、様々な大きさのフェースプレート20に乗場ボタン21を取り付けることができ、種々の機種での工事に対応できる。
【0039】
また、本実施の形態に示す例であれば、乗場ボタン21をコンパクトにできるため、乗場ボタン21以外の機器をフェースプレート20に取り付けることも可能になる。例えば、リニューアル工事前に乗場ボタン装置に備えられていなかった機器を、新規のフェースプレートに取り付けても良い。これにより、当該機器と乗場ボタンとの一括交換が可能になる。当該機器には、インジケータ(乗場表示器)、及びホールランタン等が含まれる。
【0040】
以下に、本エレベーターシステムが採用可能な他の機能について説明する。エレベーターシステムは、可能であれば、以下に示す複数の機能を組み合わせて採用しても良い。
【0041】
図6は、乗場ボタン装置13の他の例を示す図である。
図6に示す例では、乗場ボタン装置13は、インジケータ機能を更に備える。当該機能を実現するため、乗場ボタン装置13は、表示器27を更に備える。
図3に示すように、制御器26は、表示制御部33を更に備える。表示制御部33は、表示器27を制御する。
【0042】
表示器27は、フェースプレート20に設けられる。
図6は、表示器27が乗場ボタン21と同じ形である好適な例を示す。即ち、乗場8側から見た表示器27の正面の輪郭は、乗場8側から見た乗場ボタン21の正面の輪郭と同じである。
【0043】
また、
図6は、A号機のかご1に乗るための出入口9とB号機のかご1に乗るための出入口9との間の壁12に、乗場ボタン装置13が設けられる例を示す。例えば、表示器27の左半分には、A号機のかご1に関する情報が表示される。表示制御部33は、表示器27の左半分に、A号機のかご1の現在位置と現在の移動方向とを表示する。同様に、表示器27の右半分には、B号機のかご1に関する情報が表示される。表示制御部33は、表示器27の右半分に、B号機のかご1の現在位置と現在の移動方向とを表示する。
【0044】
図7は、乗場ボタン装置13の他の例を示す図である。
図7に示す例では、乗場ボタン装置13は、ホールランタン機能を更に備える。当該機能を実現するため、乗場ボタン装置13は、
図6に示す例と同様に、表示器27を更に備える。
図3に示すように、制御器26は、表示制御部33を更に備える。表示制御部33は、表示器27を制御する。
【0045】
図7は、
図6に示す例と同様に、A号機のかご1に乗るための出入口9とB号機のかご1に乗るための出入口9との間の壁12に、乗場ボタン装置13が設けられる例を示す。表示器27の左半分には、A号機のかご1に関する情報が表示される。表示制御部33は、表示器27の左半分に、A号機のかご1が乗場8に到着すること及び到着したことを表示する。
図7は、表示器27の左半分が点灯していることをハッチングで表している。同様に、表示器27の右半分には、B号機のかご1に関する情報が表示される。表示制御部33は、表示器27の右半分に、B号機のかご1が乗場8に到着すること及び到着したことを表示する。
【0046】
図8は、乗場ボタン装置13の他の例を示す図である。
図8は、
図4のC-C断面を示す。
図8は、乗場ボタン21のうちフェースプレート20の表面20aから突出する部分が、上端と下端が低い山形の形状である例を示す。
【0047】
図8に示す好適な例では、乗場ボタン21の表面21aに、上側の平坦な傾斜面21a-1と下側の平坦な傾斜面21a-2とが含まれる。傾斜面21a-1は、上方に向かうに従ってフェースプレート20からの突出量が小さくなるように傾斜する。即ち、傾斜面21a-1は、斜め上向きの傾斜面である。傾斜面21a-2は、傾斜面21a-1より下方に配置される。より具体的に、傾斜面21a-2は、傾斜面21a-1の直下に配置される。傾斜面21a-2は、下方に向かうに従ってフェースプレート20からの突出量が小さくなるように傾斜する。即ち、傾斜面21a-2は、斜め下向きの傾斜面である。
【0048】
また、
図8に示す例では、第1領域24aは、傾斜面21a-1の一部である。第2領域24bは、傾斜面21a-2の一部である。
図8に示す例であれば、乗場ボタン21を押そうとしている指が第1領域24a及び第2領域24bに対して同じように接近することを防止できる。なお、
図8に示すように、表面21aのうち第1領域24aを含む部分と第2領域24bを含む部分とは、同一平面上になくても良い。他の例として、表面21aのうち第1領域24aを含む部分と第2領域24bを含む部分とは、一続きでなくても良い。例えば、第1領域24aを含む部分と第2領域24bを含む部分との間に隙間が形成されていても良い。
【0049】
図9は、乗場ボタン装置13の他の例を示す図である。
図9は、
図6のD-D断面を示す。なお、
図9に示す断面は、インジケータ機能を備える表示器27の断面を示すが、ホールランタン機能を備える表示器27の断面であっても良い。
図9は、表示器27のうちフェースプレート20の表面20aから突出する部分が、左右の端が低い山形の形状である例を示す。
【0050】
表示器27は、乗場8側を向く表面27aを有する。
図9に示す好適な例では、表示器27の表面27aに、乗場8側から見て左側の平坦な傾斜面27a-1と右側の平坦な傾斜面27a-2とが含まれる。傾斜面27a-1は、左に向かうに従ってフェースプレート20からの突出量が小さくなるように傾斜する。傾斜面27a-2は、右に向かうに従ってフェースプレート20からの突出量が小さくなるように傾斜する。
【0051】
傾斜面27a-1に、A号機のかご1に関する情報が表示される。A号機のかご1を待つ利用者は、乗場ボタン装置13の左側にいる。このため、当該利用者は、乗場ボタン装置13の正面に移動しなくても、傾斜面27a-1に表示された、A号機のかご1に関する情報を確認することができる。同様に、傾斜面27a-2に、B号機のかご1に関する情報が表示される。B号機のかご1を待つ利用者は、乗場ボタン装置13の右側にいる。このため、当該利用者は、乗場ボタン装置13の正面に移動しなくても、傾斜面27a-2に表示された、B号機のかご1に関する情報を確認することができる。
【0052】
図10は、乗場ボタン装置13のハードウェア資源の例を示す図である。乗場ボタン装置13の制御器26は、ハードウェア資源として、プロセッサ41とメモリ42とを含む処理回路40を備える。処理回路40に複数のプロセッサ41が含まれても良い。処理回路40に複数のメモリ42が含まれても良い。
【0053】
本実施の形態において、符号31~33に示す各部は、制御器26が有する機能を示す。符号31~33に示す各部の機能は、プログラムとして記述されたソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現できる。当該プログラムは、メモリ42に記憶される。制御器26は、メモリ42に記憶されたプログラムをプロセッサ41(コンピュータ)によって実行することにより、符号31~33に示す各部の機能を実現する。
【0054】
プロセッサ41は、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System on Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、或いはDSPともいわれる。メモリ42として、半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、或いはDVDを採用しても良い。採用可能な半導体メモリには、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、及びEEPROM等が含まれる。
【0055】
図11は、乗場ボタン装置13のハードウェア資源の他の例を示す図である。
図11に示す例では、乗場ボタン装置13の制御器26は、プロセッサ41、メモリ42、及び専用ハードウェア43を含む処理回路40を備える。
図11は、制御器26が有する機能の一部を専用ハードウェア43によって実現する例を示す。制御器26が有する機能の全部を専用ハードウェア43によって実現しても良い。専用ハードウェア43として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0056】
制御盤6のハードウェア資源は、
図10或いは
図11に示す例と同様である。制御盤6は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。制御盤6は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサ(コンピュータ)によって実行することにより、各機能を実現する。制御盤6は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。制御盤6が有する機能の一部或いは全部が専用ハードウェアによって実現されても良い。
【0057】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
【0058】
[付記1]
フェースプレートと、
前記フェースプレートに設けられ、エレベーターの乗場側を向く表面を有する1つの乗場ボタンと、
前記表面の一部である第1領域への指の近接及び前記表面の他の一部である第2領域への指の近接を検知可能な第1検知器と、
前記乗場ボタンが押されたことを検知する第2検知器と、
を備えた乗場ボタン装置。
[付記2]
前記第1検知器は、前記第1領域への指の近接及び前記第2領域への指の近接を非接触で検知し、
前記第2検知器は、前記乗場ボタンが変位することによって前記乗場ボタンが押されたことを検知する付記1に記載の乗場ボタン装置。
[付記3]
前記フェースプレートに設けられた表示器と、
前記表示器を制御する表示制御部と、
を更に備え、
前記乗場から見た前記表示器の正面の輪郭は、前記乗場から見た前記乗場ボタンの正面の輪郭と同じである付記1又は付記2に記載の乗場ボタン装置。
[付記4]
前記表示制御部は、前記乗場にかごが到着することを前記表示器に表示する付記3に記載の乗場ボタン装置。
[付記5]
前記表示制御部は、前記乗場に停止可能なかごの現在位置と移動方向とを前記表示器に表示する付記3に記載の乗場ボタン装置。
[付記6]
前記第1領域は、前記第2領域より上方に配置された付記1から付記5の何れか1つに記載の乗場ボタン装置。
[付記7]
前記表面は、
上方に向かうに従って前記フェースプレートからの突出量が小さくなるように傾斜する第1傾斜面と、
前記第1傾斜面より下方に配置され、下方に向かうに従って前記フェースプレートからの突出量が小さくなるように傾斜する第2傾斜面と、
を備え、
前記第1領域は、前記第1傾斜面の一部であり、
前記第2領域は、前記第2傾斜面の一部である付記6に記載の乗場ボタン装置。
[付記8]
前記第1検知器は、前記第1領域への指の近接と前記第2領域への指の近接とを同時に検知しない付記1から付記7の何れか1つに記載の乗場ボタン装置。
[付記9]
前記第1領域への指の近接を前記第1検知器が検知している時に前記乗場ボタンが押されたことを前記第2検知器が検知すると、上方向の乗場呼び登録要求を送信し、
前記第2領域への指の近接を前記第1検知器が検知している時に前記乗場ボタンが押されたことを前記第2検知器が検知すると、下方向の乗場呼び登録要求を送信する要求部を更に備えた付記1から付記8の何れか1つに記載の乗場ボタン装置。
[付記10]
付記9に記載の乗場ボタン装置と、
前記乗場ボタン装置と通信する制御盤と、
を備え、
前記制御盤は、前記要求部から上方向の乗場呼び登録要求を受信すると上方向の乗場呼びを登録し、前記要求部から下方向の乗場呼び登録要求を受信すると下方向の乗場呼びを登録する呼び登録システム。
【符号の説明】
【0059】
1 かご、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 4 ロープ、 5 巻上機、 6 制御盤、 7 機械室、 8 乗場、 9 出入口、 10 三方枠、 11 ドア、 12 壁、 13 乗場ボタン装置、 20 フェースプレート、 20a 表面、 21 乗場ボタン、 21a 表面、 21a-1 傾斜面、 21a-2 傾斜面、 21b~21c 矢印、 22~23 ランプ、 24~25 検知器、 24a 第1領域、 24b 第2領域、 26 制御器、 27 表示器、 27a 表面、 27a-1 傾斜面、 27a-2 傾斜面、 31 点灯制御部、 32 要求部、 33 表示制御部、 40 処理回路、 41 プロセッサ、 42 メモリ、 43 専用ハードウェア
【要約】
【課題】乗場ボタンを設置するために必要な面積を小さくできる乗場ボタン装置を提供する。
【解決手段】乗場ボタン装置13は、フェースプレート20、1つの乗場ボタン21、検知器24、及び検知器25を備える。乗場ボタン21は、乗場8側を向く表面21aを有する。検知器24は、表面21aの一部である第1領域24aへの利用者の指の近接及び表面21aの他の一部である第2領域24bへの指の近接を検知可能である。検知器25は、乗場ボタン21が押されたことを検知する。
【選択図】
図4