(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
(21)【出願番号】P 2023525659
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2022018560
(87)【国際公開番号】W WO2022254996
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021090926
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 雄彦
(72)【発明者】
【氏名】古樋 知重
(72)【発明者】
【氏名】川野 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】牧野 純
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-175496(JP,A)
【文献】特開2013-208362(JP,A)
【文献】特開2012-254206(JP,A)
【文献】特開2016-66127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0193864(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0084869(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0021653(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 69/00
A63B 60/42
A63B 71/06
A63B 53/00
A63B 102/32
A63B 102/02
A63B 102/04
A63B 102/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイングすることによって被打撃物を打撃するための打撃部材に取り付けられるセンサであって、前記打撃部材のスイング時の変形を検知するセンサから取得した第1信号を基にスイング開始時刻を判定する演算回路、
を備え、
基準値と前記第1信号の値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、
前記第1差分値が第1判定値以上になった1以上の時刻に基づいてインパクト時刻を判定する第1判定ステップと、
前記インパクト時刻よりも前の時刻に取得された前記第1信号において、前記第1差分値が第2判定値を基準時間にわたって下回った1以上の期間の中から、前記インパクト時刻に最も近い最近期間を特定する第1特定ステップと、
前記最近期間に基づいてスイング開始時刻を特定する第2特定ステップと、
を実行する、
処理装置。
【請求項2】
スイングすることによって被打撃物を打撃するための打撃部材に取り付けられるセンサであって、前記打撃部材のスイング時の変形を検知するセンサから取得した第1信号を基にスイング開始時刻を判定する演算回路、
を備え、
前記第1信号の値が基準値を上回っている状態から下回っている状態へ変化する時刻、又は、前記第1信号の値が基準値を下回っている状態から上回っている状態へ変化する時刻をクロス時刻と定義し、
基準値と前記第1信号の値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、
前記第1差分値が第1判定値以上になった1以上の時刻に基づいてインパクト時刻を判定する第1判定ステップと、
前記インパクト時刻よりも前の時刻に取得された前記第1信号において、1以上の前記クロス時刻を特定する第1特定ステップと、
1以上の前記クロス時刻のうち、前記インパクト時刻に基準数番目に近い前記クロス時刻に基づいてスイング開始時刻を特定する第2特定ステップと、
を実行する、
処理装置。
【請求項3】
前記演算回路は、
前記インパクト時刻に最も近い最近期間において前記インパクト時刻から最も遠い時刻を前記スイング開始時刻として特定する第3特定ステップを更に実行する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記演算回路は、
前記インパクト時刻よりも前の時刻に取得された前記第1信号において、前記第1差分値が前記第2判定値を基準時間にわたって下回らなかった場合に、前記インパクト時刻に最も近い最近期間を特定しない、
請求項1又は請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記打撃部材は、ゴルフクラブ、バット及びラケットの少なくとも1つを含む、
請求項1から請求項
3のいずれかに記載の処理装置。
【請求項6】
前記処理装置は、通信部を更に備えており、
前記処理装置は、前記打撃部材に取り付けられており、
前記通信部は、前記処理装置と異なる第2処理装置に前記スイング開始時刻を送信する、
請求項1から請求項
3のいずれかに記載の処理装置。
【請求項7】
前記処理装置は、
前記スイング開始時刻よりも前の時刻に取得された前記第1信号を削除する削除ステップを実行する、
請求項1から請求項
3のいずれかに記載の処理装置。
【請求項8】
前記演算回路は、
前記第1判定ステップにおいて、前記第1差分値が、前記第1判定値以上になった1以上の時刻の内の、前記第1差分値が最も大きくなった時刻を前記インパクト時刻と判定する、
請求項1から請求項
3のいずれかに記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがゴルフクラブ等の打撃部材を振り始める瞬間を検知する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによるゴルフクラブのスイングを解析する発明として、特許文献1に記載のスイング解析装置が知られている。特許文献1に記載のスイング解析装置において、ゴルフクラブのシャフトにセンサが取り付けられている。スイング解析装置は、センサから取得した信号を基に、ユーザのスイングを解析する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスイング解析装置において、ユーザがゴルフクラブ等の打撃部材を振り始める瞬間を精度よく特定することが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが打撃部材を振り始める瞬間を精度よく特定する処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、ユーザが打撃部材を振り始める瞬間を精度よく特定する手法として、取得した信号が判定値を超えた時刻をスイング開始時刻と特定する手法について検討した。この場合、判定値は、スイングによって発生する信号の値に基づいて設定される。そして、処理装置は、センサから得られた信号の値が判定値を超えた時刻を、スイング開始時刻として検知する。
【0007】
しかし、本願発明者は、ユーザによるスイング以外の動作でも打撃部材に衝撃が加わる可能性があることに気が付いた。スイング以外の動作とは、例えば、ユーザが誤って打撃部材を倒してしまう動作である。この場合、スイングによって発生する力と同程度の力が打撃部材に加わる可能性があることに、本願発明者は気が付いた。結果、処理装置が、スイング以外の動作をスイング開始時として誤検知する可能性があることに、本願発明者は気が付いた。
【0008】
そこで、本願発明者は、打撃部材の使用状況を考察した。考察の結果、本願発明者は、打撃部材に最も強い衝撃が加わる瞬間が、打撃部材と被打撃物とが衝突するインパクトの瞬間であることに気が付いた。すなわち、本願発明者は、インパクトの瞬間の衝撃よりも大きい衝撃は、打撃部材に加わらないことに気が付いた。結果、本願発明者は、インパクトの瞬間の信号値に基づいて第1判定値を設定した場合、処理装置が、インパクトの瞬間を誤検知する可能性は低いことに気が付いた。
【0009】
そこで、本願発明者は、以下の手法によって、誤検知の可能性が低い処理装置が提供できると考えた。処理装置は、インパクト時刻を検知した場合、ユーザがスイングの動作をしたと判定する。そして、インパクト時刻よりも前に信号が取得された時刻の中からスイング開始時刻を特定する。
【0010】
上記の検討を基に、本願発明者は、ユーザがゴルフクラブ等の打撃部材を振り始める瞬間を精度よく検知する手法を再度検討した。結果、本願発明者は、以下の発明に思い至った。
【0011】
本発明の一形態に係る処理装置は、
スイングすることによって被打撃物を打撃するための打撃部材に取り付けられるセンサであって、前記打撃部材のスイング時の変形を検知するセンサから取得した第1信号を基にスイング開始時刻を判定する演算回路、
を備え、
基準値と前記第1信号の値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、
前記第1差分値が第1判定値以上になった1以上の時刻に基づいてインパクト時刻を判定する第1判定ステップと、
前記インパクト時刻よりも前の時刻に取得された前記第1信号において、前記第1差分値が第2判定値を基準時間にわたって下回った1以上の期間の中から、前記インパクト時刻に最も近い最近期間を特定する第1特定ステップと、
前記最近期間に基づいてスイング開始時刻を特定する第2特定ステップと、
を実行する。
【0012】
本発明の一形態に係る処理装置は、
スイングすることによって被打撃物を打撃するための打撃部材に取り付けられるセンサであって、前記打撃部材のスイング時の変形を検知するセンサから取得した第1信号を基にスイング開始時刻を判定する演算回路、
を備え、
前記第1信号の値が基準値を上回っている状態から下回っている状態へ変化する時刻、又は、前記第1信号の値が基準値を下回っている状態から上回っている状態へ変化する時刻をクロス時刻と定義し、
基準値と前記第1信号の値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、
前記第1差分値が第1判定値以上になった1以上の時刻に基づいてインパクト時刻を判定する第1判定ステップと、
前記インパクト時刻よりも前の時刻に取得された第1信号において、1以上の前記クロス時刻を特定する第1特定ステップと、
1以上の前記クロス時刻のうち、前記インパクト時刻に基準数番目に近い前記クロス時刻に基づいてスイング開始時刻を特定する第2特定ステップと、
を実行する。
【0013】
本明細書において、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材である。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材である。
【0014】
以下では、第1部材及び第2部材とは、センサ装置が備えている構造物である。本明細書において、第1部材が第2部材の上に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材の少なくとも一部は、第2部材の真上に位置している。従って、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっている。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0015】
本明細書において、第1部材が第2部材より上に配置されるとは、第1部材の少なくとも一部が第2部材の真上に位置している場合、及び、第1部材が第2部材の真上に位置せずに第1部材が第2部材の斜め上に位置している場合を含む。この場合、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっていなくてもよい。斜め上とは、例えば、左上、右上である。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0016】
本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る処理装置は、ユーザが打撃部材を振り始める瞬間を精度よく特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、センサ10、ADコンバータ20及び処理装置30が取り付けられた打撃部材1の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、センサ10、ADコンバータ20及び処理装置30のブロック図である。
【
図3】
図3は、センサ10の背面図及び左側面図である。
【
図4】
図4は、センサ10から処理装置30へ出力された第1信号DSig1の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、処理装置30が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、処理装置30aが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、演算回路300aの実行する第3特定ステップの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、処理装置30bが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、演算回路300cの処理によって特定されたスイング開始時刻の一例を示すグラフである。
【
図10】
図10は、処理装置30cが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、処理装置30dと第2処理装置40との通信の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、処理装置30eが実行した削除ステップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る処理装置30について図面を参照しながら説明する。
図1は、センサ10、ADコンバータ20及び処理装置30が取り付けられた打撃部材1の一例を示す図である。
図2は、センサ10、ADコンバータ20及び処理装置30のブロック図である。
図3は、センサ10の背面図及び左側面図である。
図3に示す背面図において、第1電極101F及び第2電極101Bの記載は省略した。
図4は、センサ10から処理装置30へ出力された第1信号DSig1の一例を示す図である。
図4において、縦軸は、信号の出力を示す。
図4において、横軸は、時間を示す。
図5は、処理装置30が実行する処理を示すフローチャートである。
【0020】
本実施形態において、
図1に示すように、上下方向、左右方向及び前後方向を定義する。具体的には、打撃部材1のシャフトが延びる方向を上下方向と定義する。打撃部材1のヘッドのフェースが向く方向を左方向と定義する。上下方向、左右方向に直交する方向を前後方向と定義する。ただし、上下方向、左右方向及び前後方向は、説明のために定義した方向である。従って、打撃部材1の実際の使用時における上下方向、左右方向及び前後方向は、
図1に示す上下方向、左右方向及び前後方向と一致しなくてよい。
【0021】
打撃部材1は、被打撃物を打撃するための部材である。本実施形態では、打撃部材1は、ゴルフクラブである。従って、本実施形態では、打撃部材1は、上下方向に延びる棒形状を有している。ユーザは、打撃部材1をスイングすることによって被打撃物を打撃する。ユーザのスイング時に、打撃部材1は、変形をする。具体的には、ユーザが打撃部材1をスイングするときに慣性力や外力によって打撃部材1は変形する。打撃部材1は、例えば、スイングのときに左右方向に変形する。
【0022】
センサ10、ADコンバータ20及び処理装置30は、スイングすることによって、被打撃物を打撃するための打撃部材1に取り付けられる。
図1に示すように、本実施形態において、打撃部材1には、センサ10、ADコンバータ20及び処理装置30が固定されている。
【0023】
センサ10は、打撃部材1のスイング時の変形を検知する。具体的には、センサ10は、打撃部材1の変形に応じた電荷を発生する。センサ10は、電荷を電圧信号である第1信号Sig1に変換する。従って、本実施形態では、第1信号Sig1の値は、打撃部材1の左右方向の変形量に応じた値である。また、打撃部材1は弾性変形をする。従って、打撃部材1の左右方向の変形量は、ユーザのスイング時に打撃部材1に加わった力に比例する。換言すれば、第1信号Sig1の値は、ユーザが打撃部材1をスイングしたときに加わった力を間接的に示している。これにより、第1信号Sig1の値からユーザが打撃部材1のスイングを開始した時刻を推測可能である。例えば、ユーザが、スイングを開始した直後は、打撃部材1の変形量が少ない。従って、スイング開始前後においてセンサ10が検知する第1信号Sig1の値は小さい。換言すれば、第1信号Sig1の値が小さい期間にユーザがスイングを開始した時刻が含まれると推測可能である。以下、ユーザが打撃部材1のスイングを開始した時刻をスイング開始時刻SwTと称する。
【0024】
同様にして、第1信号Sig1の値から打撃部材1が被打撃物をインパクトした時刻を推測可能である。例えば、ユーザが打撃部材1によって被打撃物を打撃する瞬間は、打撃部材1の変形量が大きい。従って、センサ10が検知する第1信号Sig1の値が大きい。換言すれば、センサ10が検知した第1信号Sig1の値が大きい期間に打撃部材1が被打撃物をインパクトした時刻が含まれると推測可能である。以下、打撃部材1が、被打撃物を打撃した時刻をインパクト時刻InTと称する。
【0025】
以下、センサ10の構造を説明する。センサ10は、圧力を検知する圧電センサである。センサ10は、
図3に示すように、圧電フィルム100、第1電極101F、第2電極101B、チャージアンプ102及び電圧増幅回路103を備えている。圧電フィルム100は、シート形状を有している。従って、圧電フィルム100は、
図3に示すように、第1主面F1及び第2主面F2を有している。圧電フィルム100の上下方向の長さは、圧電フィルム100の左右方向の長さより長い。本実施形態では、圧電フィルム100は、前後方向に見て、上下方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。圧電フィルム100は、圧電フィルム100の変形量に応じた電荷を発生する。本実施形態では、圧電フィルム100は、PLAフィルムである。以下、圧電フィルム100についてより詳細に説明する。
【0026】
圧電フィルム100は、圧電フィルム100が上下方向に伸張されるように変形したときに発生する電荷の極性が、圧電フィルム100が左右方向に伸張されるように変形したときに発生する電荷の極性と逆となる特性を有している。具体的には、圧電フィルム100は、キラル高分子から形成されるフィルムである。キラル高分子とは、例えば、ポリ乳酸(PLA)、特にL型ポリ乳酸(PLLA)である。キラル高分子からなるPLLAは、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸されて分子が配向する圧電性を有する。圧電フィルム100は、d14の圧電定数を有している。圧電フィルム100の一軸延伸方向(配向方向)は、上下方向及び左右方向のそれぞれに対して45度の角度を形成している。この45度は、例えば、45度±10度程度を含む角度を含む。これにより、圧電フィルム100は、圧電フィルム100が上下方向に伸張されるように変形すること又は上下方向に伸張されるように変形することにより、電荷を発生する。圧電フィルム100は、例えば、上下方向に伸張されるように変形すると正の電荷を発生する。圧電フィルム100は、例えば、左右方向に伸張されるように変形すると負の電荷を発生する。電荷の大きさは、伸張又は圧縮による圧電フィルム100の変形量に依存する。電荷の大きさは、伸張又は圧縮による圧電フィルム100の変形量の微分値に比例する。
【0027】
第1電極101Fは、信号電極である。第1電極101Fは、第1主面F1に設けられている。第1電極101Fは、第1主面F1を覆っている。第1電極101Fは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の有機電極、蒸着、メッキによる金属皮膜、銀ペーストによる印刷電極膜である。
【0028】
第2電極101Bは、グランド電極である。第2電極101Bは、グランド電位に接続される。第2電極101Bは、第2主面F2に設けられている。これにより、圧電フィルム100は、第1電極101Fと第2電極101Bとの間に位置している。第2電極101Bは、第2主面F2を覆っている。第2電極101Bは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の有機電極、蒸着、メッキによる金属皮膜、銀ペーストによる印刷電極膜である。
【0029】
このようなセンサ10は、図示しない接着層を介して、打撃部材1に固定される。具体的には、接着層は、打撃部材1と第1電極101Fとを固定する。これにより、例えば、打撃部材1が左右方向に曲がるとき、打撃部材1が上下方向に伸び縮みする。従って、圧電フィルム100が上下方向に伸縮する。その結果、圧電フィルム100が電荷を発生する。すなわち、本実施形態では、打撃部材1が右方向に曲がった場合、圧電フィルム100は、負の電荷を発生する。また、本実施形態では、打撃部材1が左方向に曲がった場合、圧電フィルム100は、正の電荷を発生する。
【0030】
チャージアンプ102は、圧電フィルム100が発生した電荷を電圧信号である第1信号Sig1に変換する。例えば、チャージアンプ102は、電荷を0.0V~3.0Vの範囲の電圧値に変換する。変換後、チャージアンプ102は、第1信号Sig1を電圧増幅回路103に出力する。電圧増幅回路103は、第1信号Sig1を増幅して、ADコンバータ20に出力する。
【0031】
ADコンバータ20は、第1信号Sig1をAD変換する。これにより、ADコンバータ20は、第1信号Sig1をデジタル信号に変換する。具体的には、ADコンバータ20は、ADコンバータ20の分解能に応じて第1信号Sig1の変換を行う。例えば、ADコンバータ20の分解能が12bitである場合、ADコンバータ20は、
図4に示すように、第1信号Sig1を4096段階のバイナリ値に変換する。以下、デジタル信号に変換された第1信号Sig1を第1信号DSig1と称す。また、ADコンバータ20は、基準電圧を取得する。ADコンバータ20は、基準電圧を基に第1信号DSig1の基準値SiVを設定する。例えば、
図4に示すように、ADコンバータ20は、基準値SiVとして、バイナリ値=2048を設定する。そして、ADコンバータ20は、第1信号DSig1を処理装置30へ出力する。
【0032】
処理装置30は、第1信号DSig1を基にユーザによる打撃部材1のスイング開始時刻SwTを判定する。具体的には、処理装置30は、
図2に示すように、演算回路300及び記憶装置301を備える。記憶装置301は、スイング開始時刻SwTを判定する処理のプログラムを記憶する。記憶装置301は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでいる。演算回路300は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出す。これにより、演算回路300は、スイング開始時刻SwTを判定する処理を行う。このような、演算回路300は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。
【0033】
以下、処理装置30におけるスイング開始時刻SwTの特定に係る処理の詳細を説明する。本処理は、処理装置30がセンサ10から第1信号DSig1を取得することにより開始される。具体的には、まず、演算回路300は、センサ10から第1信号DSig1を取得する(
図5:ステップS10)。
【0034】
次に、演算回路300は、基準値SiVと第1信号DSig1の値との差の絶対値が第1判定値1stTh以上となる1以上の時刻の有無を判定する(
図5:ステップS11)。まず、演算回路300は、基準値SiVと第1信号DSig1の値との差の絶対値を算出する。以下、第1信号DSig1の値が“3”である場合、且つ、基準値SiVが“2048”である場合を例に説明する。この場合、第1信号DSig1から基準値SiVの値を引いた値は、“-2045”である。従って、演算回路300は、差の絶対値を“2045”と算出する。以下、基準値SiVと第1信号DSig1の値との差の絶対値を第1差分値DV1と定義する。
【0035】
次に、演算回路300は、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上であるかを判定する。第1判定値1stThは、処理装置30に記憶される値である。以下、
図4を例に説明する。
図4において、第1信号DSig1が、“3”以下である時刻TTが存在する。このとき、基準値SiVは、“2048”である。従って、第1差分値DV1は、“2045”である。一方、
図4において、第1判定値1stThは、“2045”である。従って、時刻TTにおいて第1差分値DV1は第1判定値1stTh以上である。結果、演算回路300は、時刻TTを基準値SiVと第1信号DSig1の値との差の絶対値が第1判定値1stTh以上になった時刻と判定する。以下、第1差分値DV1が、第1判定値1stTh以上になった時刻を第1時刻と称する。
【0036】
演算回路300が、1以上の時刻において第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上となる1以上の時刻がないと判定した場合(
図5:ステップS11 No)、処理装置30は、ステップS10の前まで処理を戻す。
【0037】
演算回路300が、1以上の時刻において第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上となる1以上の時刻があると判定した場合(
図5:ステップS11 Yes)、演算回路300は、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上になった1以上の時刻の内の、第1差分値DV1が最も大きくなった時刻をインパクト時刻InTと判定する第1判定ステップを実行する(
図5:ステップS12)。
図4において、演算回路300は、時刻TTを第1時刻と判定している。演算回路300は、時刻TT以外の時刻を第1時刻として判定していない。従って、1以上の時刻の内の、第1差分値DV1が最も大きくなった時刻は、時刻TTである。結果、演算回路300は、時刻TTを、インパクト時刻InTと判定する。
【0038】
次に、演算回路300は、インパクト時刻InTよりも前の時刻BeTimeに取得された第1信号DSig1を調べることによって、スイング開始時刻SwTを特定する。具体的には、演算回路300は、インパクト時刻InTよりも前の時刻BeTimeに取得された第1信号DSig1において、第1差分値DV1が第2判定値2ndThを基準時間にわたって下回った1以上の期間PEの中から、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEを特定する第1特定ステップを実行する(
図5 ステップS13)。以下、第1特定ステップについて、詳細に説明する。
【0039】
図4に示すように、演算回路300は、インパクト時刻InTよりも前の時刻BeTimeにおいて、第1差分値DV1が第2判定値2ndThを基準時間にわたって下回った1以上の期間PEを特定する。第2判定値2ndThの値は、第1判定値1stThの値よりも小さい。例えば、
図4に示すように、処理装置30は、第2判定値2ndThを“200”と記憶する。この場合、第1差分値DV1が、“200”以下であれば、演算回路300は、第1差分値DV1が第2判定値2ndThを下回ったと判定する。基準時間は、例えば、0.2秒、0.3秒等と設定される。例えば、処理装置30において基準時間が、“0.2秒”と設定された場合、演算回路300は、第1差分値DV1が、第2判定値2ndThを0.2秒間下回った期間を期間PEとして特定する。演算回路300は、1以上の期間PEを特定する。具体的には、1つ目の期間PEを特定した後、演算回路300は、1つ目に特定した期間PEよりも後の時刻において期間PEが存在するかを特定する。例えば、
図4に示すように、演算回路300は、期間PEとして期間PE1を特定する。
図4に示す例において、期間PE1よりも後の時刻において期間PEが存在する。この場合、演算回路300は、期間PE1よりも後の時刻に存在した期間PEを期間PE2として特定する。
【0040】
次に、演算回路300は、1以上の期間PEの中から、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEを特定する。例えば、
図4に示す例では、演算回路300は、期間PE1,PE2を特定している。
図4に示すように、期間PE2は、期間PE1よりもインパクト時刻InTに近い。従って、演算回路300は、期間PE2を最近期間MPEと特定する。
【0041】
最後に、演算回路300は、最近期間MPEに基づいてスイング開始時刻SwTを特定する第2特定ステップを実行する(
図5 ステップS14)。例えば、演算回路300は、最近期間MPEにおける最も前の時刻から最も後の時刻までをスイング開始時刻SwTとして特定する。具体的には、最近期間MPEにおいて最も前の時刻が5.0秒であり、且つ、最も後ろの時刻が5.2秒であった場合、演算回路300は、スイング開始時刻SwTを5.0秒~5.2秒の間と特定する。
【0042】
以上の処理によって、処理装置30は、スイング開始時刻SwTを特定する。演算回路300は、ステップS10からステップS14の処理を繰り返す。
【0043】
以下、処理装置30において、上記に示す処理が実行されたか否かを立証する方法について説明する。立証において、第1判定値1stTh、第2判定値2ndTh及び基準時間のそれぞれが特定された場合に、上記に示す処理が実行されたと考えることができる。以下、第1判定値1stTh、第2判定値2ndTh及び基準時間を特定する方法について詳細に説明する。まず、処理装置30は、第1信号DSig1を模した第2信号を入力する。第2信号は、インパクト期間と予備動作期間とを有する。インパクト期間は、予備動作期間よりも後の時刻に位置する期間である。
【0044】
最初に、第1判定値1stThを特定する方法について説明する。まず、予備動作期間における第2信号の値を基準値SiVに設定する。具体的には、
図4に示した例のように、第2信号の値を、基準値SiVである“2048”等に設定する。次に、インパクト期間における第2信号の値を徐々に増加させる。そして、第2信号の値が所定の値以上となったときに、処理装置30が、スイング開始時刻SwTを特定する。具体的には、インパクト期間における第2信号の値を増加させた場合、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上の大きさとなる。このとき、予備動作期間における第2信号の値は基準値SiVである。すなわち、予備動作期間において第2信号の値は、基準時間にわたって第2判定値2ndTh以下となる。従って、処理装置30が、第1特定ステップ及び第2特定ステップを実行する条件を満たす。結果、処理装置30は、スイング開始時刻SwTを特定する。すなわち、処理装置30がスイング開始時刻SwTを特定したときの第2信号の値を特定することによって、第1判定値1stThが特定される。
【0045】
次に、第2判定値2ndThを特定する方法について説明する。第2判定値2ndThの特定は、第1判定値1stThの特定後に行われる。具体的には、第1判定値1stThの特定後、予備動作期間における第2信号の値の大きさを徐々に大きくする。そして、第2信号の値が所定の大きさ以上となったときに、処理装置30が、スイング開始時刻SwTを特定しなくなる。具体的には、予備動作期間における第2信号の値を小さくした場合、第1差分値DV1が、第2判定値2ndTh以上の大きさとなる。従って、処理装置30が第1特定ステップを実行する条件を満たさなくなる。結果、処理装置30は、スイング開始時刻SwTを特定しなくなる。すなわち、処理装置30がスイング開始時刻SwTを特定しなくなったときの第2信号の値を特定することによって、第2判定値2ndThが特定される。
【0046】
最後に、基準時間を特定する方法について説明する。基準時間の特定は、第2判定値2ndThの特定後に行う。具体的には、予備動作期間における第2信号の値を第2判定値2ndThより小さくした状態で、予備動作期間において第2信号が出力される時間を徐々に短くする。以下、予備動作期間において第2信号が出力される時間を、第2時間と称する。そして、第2時間の長さが所定の長さ以下になった場合、処理装置30が、スイング開始時刻SwTを特定しなくなる。具体的には、第2時間を短くした場合、第2時間が、基準時間より短くなる。この場合、第1差分値DV1が、基準時間にわたって第2判定値2ndTh以下になるという条件を満たさなくなる。すなわち、処理装置30が第1特定ステップを実行する条件を満たさなくなる。結果、処理装置30は、スイング開始時刻SwTを特定しなくなる。すなわち、処理装置30がスイング開始時刻SwTを特定しなくなったときの、第2時間の長さを特定することによって、基準時間が特定される。
【0047】
以上に示す方法により、第1判定値1stTh、第2判定値2ndTh及び基準時間を特定できる。第1判定値1stTh、第2判定値2ndTh及び基準時間が特定された場合に、本実施形態に示す処理が実行されたと考えることができる。
【0048】
(第1実施形態の効果)
処理装置30によれば、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。具体的には、処理装置30は、演算回路300を備える。演算回路300は、打撃部材1のスイング時の変形を検知するセンサ10から取得した第1信号Sig1を基にスイング開始時を判定する。より詳細には、演算回路300は、第1信号DSig1の値が第1判定値1stTh以上になった時刻をインパクト時刻InTと判定する第1判定ステップを実行する。次に、演算回路300は、インパクト時刻InTよりも前の時刻BeTimeに取得された第1信号DSig1において、第1信号DSig1の値が第2判定値2ndThを基準時間下回った1以上の期間PEの中から、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEを特定する第1特定ステップを実行する。最後に、演算回路300は、最近期間MPEに基づいてスイング開始時刻SwTを特定する第2特定ステップを実行する。以下、取得した信号が判定値を超えた時刻をスイング開始時刻と特定する処理装置(以下、比較例1と称す)と、処理装置30とを比較して説明する。
【0049】
比較例1において、判定値は、スイング開始時において発生する信号の大きさに基づいて設定される。これにより、センサから得られた信号の値が判定値を超えた時刻を、スイング開始時刻として検知する。しかし、ユーザがスイング以外の動作でも打撃部材に衝撃を与える可能性がある。例えば、ユーザが誤って打撃部材を倒してしまう動作によって打撃部材に衝撃が加わる。この場合、スイングによって発生する力と同程度の力が打撃部材に加わる可能性がある。このとき、比較例1は、スイング以外の動作をスイング開始時として誤判定する可能性がある。従って、比較例1は、ユーザが打撃部材を振り始める瞬間を精度よく検知することができない。
【0050】
一方、処理装置30は、インパクト時刻InTを特定した後に、スイング開始時刻SwTを特定する。打撃部材1に最も大きな力が加わるときは、インパクトの瞬間である。従って、インパクトの大きさに合わせて第1判定値1stThを設定した場合、インパクト時刻InTが誤判定される可能性が低い。処理装置30は、インパクト時刻InTを判定した後に、スイング開始時刻SwTを特定する。従って、スイング以外の動作によって打撃部材1に力が加わった場合であっても、処理装置30が、スイング動作を誤判定する可能性が低い。従って、処理装置30は、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。
【0051】
処理装置30によれば、処理装置30は、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。より詳細には、演算回路300は、インパクト時刻InTよりも前の時刻BeTimeに取得された第1信号DSig1において、第1差分値DV1が第2判定値2ndThを基準時間下回った1以上の期間PEの中から、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEを特定する第1特定ステップを実行する。また、演算回路300は、最近期間MPEに基づいてスイング開始時刻SwTを特定する第2特定ステップを実行する。スイング開始時刻SwTは、インパクト時刻InTよりも前に位置する。スイング開始時刻SwTにおいて、打撃部材1には大きな力が加わらない。従って、インパクト時刻InTよりも前の時刻において、第1差分値DV1が小さい期間を特定すれば、スイング開始時刻SwTを特定できる。但し、このとき、演算回路300は、インパクト時刻InTよりも前の時刻において、1以上の期間PEを特定する可能性がある。この場合、スイング開始時刻SwTよりも前の期間PEは、打撃部材1が静止していることによって第1差分値DV1が小さい期間である。すなわち、インパクト時刻InTから遠い期間PEは、スイング開始時刻SwTでない可能性が高い。従って、演算回路300が、インパクト時刻InTから最も近い最近期間MPEを特定する処理を行う。これにより、インパクト時刻InTから遠い期間PEが、スイング開始時刻SwTと特定されなくなる。従って、演算回路300が、スイング開始時刻SwTを誤特定する可能性が低減する。結果、処理装置30は、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。
【0052】
処理装置30によれば、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。処理装置30は、打撃部材1の変形に応じてスイング開始時刻SwTを特定する。すなわち、打撃部材1が変形しやすい場合、処理装置30は、スイング開始時刻SwTを特定しやすい。ゴルフクラブは、スイング時に変形しやすい打撃部材1である。すなわち、打撃部材1がゴルフクラブである処理装置30は、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を特に精度よく検知することができる。
【0053】
(第1実施形態の変形例1)
以下、第1実施形態の変形例1に係る処理装置30aについて図を参照して説明する。
図6は、処理装置30aが実行する処理を示すフローチャートである。
図7は、演算回路300aの実行する第3特定ステップの一例を示す図である。
【0054】
処理装置30aは、第2特定ステップの後に第3特定ステップを実行する点において、処理装置30と異なる。具体的には、処理装置30aは、演算回路300aを備える。演算回路300aは、第2特定ステップを実行した後(
図6:ステップS14の後)、第3特定ステップを更に実行する(
図6:ステップS21)。第3特定ステップは、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEにおいてインパクト時刻InTから最も遠い時刻MTTをスイング開始時刻SwTとして特定するステップである。
【0055】
例えば、
図7に示すように、最近期間MPEにおいて演算回路300aが、第1信号DSig1の値を時刻T1~T6のそれぞれにおいて取得したとする。
図7において、演算回路300aは、第1信号DSig1の値を、時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6の順に取得している。この場合、時刻T1は、時刻T1~T6の中で最もインパクト時刻InTから遠い。換言すれば、最近期間MPEにおいて時刻T1は、インパクト時刻InTから最も遠い。この場合、演算回路300aは、時刻T1をスイング開始時刻SwTとして特定する。第3特定ステップを実行するプログラムは、処理装置30aが備える図示しない記憶装置301aに記憶される。
【0056】
(第1実施形態の変形例1の効果)
処理装置30aによれば、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を更に精度よく検知することができる。より詳細には、演算回路300aは、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEにおいてインパクト時刻InTから最も遠い時刻MTTをスイング開始時刻SwTとして特定する第3特定ステップを更に実行する。これにより、スイング開始時刻SwTを1つの時刻に絞り込むことができる。従って、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を更に精度よく検知することができる。
【0057】
処理装置30aによれば、ユーザのスイングを正確に解析できる。より詳細には、演算回路300aは、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEにおいてインパクト時刻InTから最も遠い時刻MTTをスイング開始時刻SwTとして特定する第3特定ステップを更に実行する。これにより、スイング開始時刻SwTからインパクト時刻InTまでの時間を精度よく特定することができる。従って、ユーザがスイングを開始してから被打撃物を打撃するまでの間に発生した第1信号DSig1を正確に特定できる。結果、演算回路300aが、正確に特定した第1信号DSig1をユーザのスイングの解析に用いることによって、ユーザのスイングを正確に解析することができる。
【0058】
(第1実施形態の変形例2)
以下、第1実施形態の変形例2に係る処理装置30bについて図を参照して説明する。
図8は、処理装置30bが実行する処理を示すフローチャートである。
【0059】
処理装置30bは、第1判定ステップと第1特定ステップの間に処理が追加された点で処理装置30と異なる。具体的には、処理装置30bは、図示しない演算回路300bを備える。演算回路300bは、インパクト時刻InTよりも前の時刻BeTimeに取得された第1信号DSig1の値が第2判定値2ndThを基準時間下回らなかった場合に、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEを特定しない。
【0060】
具体的には、演算回路300bは、第1特定ステップを実行した後(
図8:ステップS13の後)、第1信号DSig1の値が第2判定値2ndThを基準時間下回っているかを判定する(
図8:ステップS31)。第1信号DSig1の値が第2判定値2ndThを基準時間下回っている場合(
図8:ステップS31 Yes)、演算回路300bは、第1特定ステップを実行する(
図8:ステップS13)。第1信号DSig1の値が第2判定値2ndThを基準時間下回っていない場合(
図8:ステップS31 No)、演算回路300bは、ステップS10の前まで処理を戻す。
【0061】
(変形例2の効果)
処理装置30bによれば、処理装置30bは、処理装置30bの処理速度を向上できる。より詳細には、演算回路300bは、インパクト時刻InTよりも前の時刻BeTimeに取得された第1信号DSig1の値が第2判定値2ndThを基準時間下回らなかった場合に、インパクト時刻InTに最も近い最近期間MPEを特定しない。第1信号DSig1の値が第2判定値2ndThを基準時間下回らなかった場合は、処理装置30bがインパクト時刻InTを誤検知した可能性がある。この場合、処理装置30bは、第2特定ステップを実行しない。従って、処理装置30bは、誤検知により発生した処理を速やかに終了させることができる。すなわち、処理装置30bの処理速度が向上する。
【0062】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る処理装置30cについて図を参照して説明する。
図9は、演算回路300cの処理によって特定されたスイング開始時刻SwTの一例を示すグラフである。
図9において、縦軸は、信号の出力を示す。
図9において、横軸は、時間を示す。
図10は、処理装置30cが実行する処理を示すフローチャートである。
【0063】
処理装置30cは、スイング開始時刻SwTを特定する手法が異なる点で処理装置30と異なる。具体的には、処理装置30cは、演算回路300cを備える。そして、演算回路300cは、演算回路300と異なる手法によってスイング開始時刻SwTを特定する。以下、処理装置30cの構成において処理装置30と同じ構成は、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0064】
演算回路300cは、第1信号DSig1が、基準値SiVと交差した時刻を特定することによってスイング開始時刻SwTを特定する。第1信号DSig1が、基準値SiVと交差するとは、具体的には、第1信号DSig1の値が基準値SiVを上回っている状態から下回っている状態へ変化すること、又は、第1信号DSig1の値が基準値SiVを下回っている状態から上回っている状態へ変化することである。以下、第1信号DSig1の値が基準値SiVを上回っている状態から下回る状態へ変化する時刻、又は、第1信号DSig1の値が基準値SiVを下回っている状態から上回っている状態へ変化する時刻をクロス時刻XTと定義する。
【0065】
以下、演算回路300cの処理について詳細に説明する。第1判定ステップの後(
図10 ステップS12の後)、演算回路300cは、インパクト時刻InTよりも前の期間BeTimeに取得された第1信号DSig1において、1以上のクロス時刻XTを特定する第1特定ステップを実行する(
図10 ステップS43)。
図9に示す例の場合、時刻X1~X6において、第1信号DSig1が、基準値SiVと交差している。この場合、演算回路300cは、時刻X1~X6をクロス時刻XTとして特定する。時刻X6~X1は、この順にインパクト時刻InTに近い。
【0066】
次に、演算回路300cは、1以上のクロス時刻XTのうち、インパクト時刻InTに基準数番目に近いクロス時刻XTに基づいてスイング開始時刻SwTを特定する第2特定ステップを実行する。以下、
図9に示す処理装置30cにおいて基準数番目=4番目と設定されていた場合を例に説明する。この場合、
図9に示すように、クロス時刻XTのうちインパクト時刻InTから4番目に近いクロス時刻XTは、時刻X3である。従って、演算回路300cは、時刻X3をスイング開始時刻SwTとして特定する。
【0067】
演算回路300cは、
図10に示すように、ステップS10~S12,S43,S44の処理を繰り返す。
【0068】
(第2実施形態の効果)
処理装置30cによれば、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。具体的には、処理装置30cは、演算回路300cを備える。演算回路300cは、打撃部材1のスイング時の変形を検知するセンサ10から取得した第1信号DSig1を基にスイング開始時を判定する。より詳細には、演算回路300cは、第1信号DSig1の値が第1判定値1stTh以上になったときに、インパクト時刻InTと判定する第1判定ステップを実行する。演算回路300cは、インパクト時刻InTよりも前の期間BeTimeに取得された第1信号DSig1において、1以上のクロス時刻XTを特定する第1特定ステップを実行する。演算回路300cは、1以上のクロス時刻XTのうち、インパクト時刻InTに基準数番目に近いクロス時刻XTに基づいてスイング開始時刻SwTを特定する第2特定ステップを実行する。この場合、処理装置30cは、インパクト時刻InTを特定した後に、スイング開始時刻SwTを特定する。打撃部材1に最も大きな力が加わるときは、インパクトの瞬間である。従って、インパクトの大きさに合わせて第1判定値1stThを設定した場合、インパクト時刻InTが誤判定される可能性が低い。処理装置30cは、インパクト時刻InTを判定した後に、スイング開始時刻SwTを特定する。従って、スイング以外の動作によって打撃部材1に力が加わった場合であっても、処理装置30cが、スイング動作を誤判定する可能性が低い。従って、処理装置30cは、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。
【0069】
処理装置30cによれば、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を容易に検知することができる。具体的には、処理装置30cは、演算回路300cを備える。演算回路300cは、打撃部材1のスイング時の変形を検知するセンサ10から取得した第1信号DSig1を基にスイング開始時を判定する。より詳細には、演算回路300cは、インパクト時刻InTよりも前の期間BeTimeに取得された第1信号DSig1において、1以上のクロス時刻XTを特定する第1特定ステップを実行する。演算回路300cは、1以上のクロス時刻XTのうち、インパクト時刻InTに基準数番目に近いクロス時刻XTに基づいてスイング開始時刻SwTを特定する第2特定ステップを実行する。例えば、処理装置30cにおいて、基準数番目は、以下の様に設定される。ユーザがスイングを開始してから被打撃物を打撃するまでの間に発生するクロス時刻XTの数を基準数番目として設定する。この場合、インパクト時刻InTから基準数番目に近いクロス時刻XTを逆算することによって、スイング開始時刻SwTを容易に特定することができる。従って、処理装置30cは、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を容易に検知することができる。
【0070】
(第1実施形態又は第2実施形態の変形例3)
以下、第1実施形態又は第2実施形態の変形例3に係る処理装置30dについて図を参照して説明する。
図11は、処理装置30dと第2処理装置40との通信の一例を示す図である。
【0071】
図11に示すように、処理装置30dは、通信部302を備える点で処理装置30,30bと異なる。通信部302は、
図11に示すように、処理装置30dと異なる第2処理装置40にスイング開始時刻SwTを送信する。第2処理装置40とは、例えば、スイング解析装置である。スイング解析装置は、例えば、第1信号DSig1を基にユーザのスイングを解析する。変形例3において、処理装置30dは、打撃部材1に取り付けられている。第2処理装置40は、打撃部材1に取り付けられていない。すなわち、通信部302は、打撃部材1に取り付けられている処理装置30dと、打撃部材1に取り付けられていない第2処理装置40との通信を行う。通信部302による通信は、例えば、無線による通信である。無線による通信とは、例えばBluetooth(登録商標)を用いた通信等である。
【0072】
(変形例3の効果)
処理装置30dによれば、処理装置30dは、ユーザのスイングを正確に解析できる。より詳細には、処理装置30dは、通信部302を備えている。処理装置30dは、打撃部材1に取り付けられている。通信部302は、処理装置30dと異なる第2処理装置40にスイング開始時刻SwTを送信する。この場合、第2処理装置40は、正確に特定されたスイング開始時刻SwT及びインパクト時刻InTを取得することができる。そして、第2処理装置40は、スイング開始時刻SwTとインパクト時刻InTとの間に位置する第1信号DSig1を、ユーザのスイング時に発生した第1信号DSig1であると推測可能である。換言すれば、第2処理装置40が、スイング以外の動作により発生した第1信号DSig1を基にユーザのスイング解析を行う可能性が低減する。結果、処理装置30dによって、第2処理装置40は、ユーザのスイングを正確に解析できる。
【0073】
(第1実施形態又は第2実施形態の変形例4)
以下、第1実施形態又は第2実施形態の変形例4に係る処理装置30eについて図を参照して説明する。
図12は、処理装置30eが実行した削除ステップの一例を示す図である。
図12において、ドットパターンは、第1信号DSig1が削除された期間を示す。
【0074】
処理装置30eは、取得された第1信号DSig1において不要な信号を削除する点で処理装置30,30bと異なる。具体的には、処理装置30eは、スイング開始時刻SwTよりも前の時刻に取得された第1信号DSig1を削除する削除ステップを実行する。処理装置30eの記憶装置301e(図示せず)は、削除ステップを実行するプログラムを記憶する。
【0075】
例えば、
図12に示すように、処理装置30eは、スイング開始時刻SwTが含まれる最近期間MPEを特定する。この場合、スイング開始時刻SwTよりも前の時刻に取得された第1信号DSig1は、最近期間MPEよりも前の時刻に取得される。従って、処理装置30eは、
図12に示すように、最近期間MPEよりも前の期間DeAに取得された第1信号DSig1を削除する。
【0076】
(変形例4の効果)
処理装置30eによれば、処理装置30eの処理速度が向上する。具体的には、処理装置30eは、スイング開始時刻SwTよりも前の時刻に取得された第1信号DSig1を削除する削除ステップを実行する。この場合、ユーザのスイングを解析するために必要な信号以外の第1信号DSig1は、削除される。以下、処理装置30eが、第1信号DSig1をスイング解析装置に送信する場合を例に説明する。この場合、処理装置30eは、第1信号DSig1をスイング解析装置へ送信可能なデータへ変換する。このとき、削除ステップを実行することによって、スイング解析装置へ送信するデータの大きさを小さくすることができる。従って、処理装置30eにおけるスイング解析装置へのデータの送信を完了させるまでの時間が短縮できる。すなわち、処理装置30eの処理速度が向上する。
【0077】
(その他の実施形態)
本発明に係る処理装置30~30eは、処理装置30~30eに限らず、その要旨の範囲において変更可能である。なお、処理装置30~30eの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0078】
なお、処理装置30~30c,30eは、必ずしも打撃部材1に取り付けられていなくてもよい。例えば、打撃部材1に打撃部材用通信部を取り付ける。そして、打撃部材用通信部が、センサ10から取得した第1信号DSig1を処理装置30~30c,30eに送信してもよい。この場合、処理装置30~30c,30eとは、例えば、サーバー、スマートホン等の端末であってもよい。処理装置30~30c,30eが、例えば、サーバー、スマートホン等である場合、サーバー、スマートホン等が、第1判定ステップ、第1特定ステップ及び第2特定ステップを実行する。
【0079】
なお、打撃部材1は、必ずしもゴルフクラブでなくてよい。打撃部材1は、野球のバットや、テニス,バドミントン等のラケット等の棒形状を有する部材であってもよい。換言すれば、打撃部材1は、ゴルフクラブ、バット及びラケットの少なくとも1つを含んでいてもよい。ゴルフクラブと同様にして、バット、ラケットは、スイング時に変形しやすい打撃部材1である。すなわち、打撃部材1がバット又はラケットである場合、処理装置30は、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を特に精度よく検知することができる。
【0080】
なお、処理装置30~30eは、第1判定ステップにおいて、第1差分値DV1を基にインパクト時刻InTを判定する。第1差分値DV1は、第1信号DSig1の値と基準値SiVとの差の絶対値である。すなわち、処理装置30~30eは、第1信号DSig1の波形が、基準値SiVに対して反転した場合でもスイング開始時刻SwTを判定できる。従って、処理装置30~30eは、ユーザがスイング毎に打撃部材1を反転させた場合でも、スイング開始時刻SwTを判定することができる。例えば、打撃部材1が、バット、ラケット等である場合、ユーザはスイング毎に、打撃部材1を反転させる可能性がある。この場合も、処理装置30~30eは、それぞれのスイングにおけるスイング開始時刻SwTを精度よく検知可能である。同様にして、処理装置30~30eは、ユーザがスイング毎に、打撃部材1をスイングする方向を変えた場合でも、スイング開始時刻SwTを精度よく判定することができる。
【0081】
なお、第1実施形態において処理装置30は、第1差分値DV1が第2判定値2ndThを基準時間にわたって下回った1以上の期間PEを特定する。しかし、処理装置30は、基準時間の代わりに基準サンプリング数を用いて期間PEを特定してもよい。この場合、演算回路300は、第1特定ステップにおいて第1差分値DV1が第2判定値2ndThを連続した下回った回数を特定する。そして、演算回路300は、第1差分値DV1が第2判定値2ndThを連続して下回った回数が基準サンプリング数を超えた期間を期間PEとして特定する。基準サンプリング数は、処理装置30に設定される。基準サンプリング数は、例えば、処理装置30において5回、6回等と設定される。例えば、処理装置30においてサンプリング数が5回と設定された場合、処理装置30は、第1差分値DV1が第2判定値2ndThを5回連続して下回った期間を期間PEとして特定する。
【0082】
なお、第1実施形態又は第2実施形態において打撃部材1は、ゴルフクラブである。従って、第1実施形態又は第2実施形態における被打撃物は、例えば、ゴルフボールである。
【0083】
なお、通信部302による通信は有線による通信であってもよい。
【0084】
なお、処理装置30dは、必ずしも最近期間MPEを基に削除ステップを実行しなくてもよい。例えば、処理装置30dが、第3特定ステップを実行する場合、処理装置30dは、第3特定ステップにより特定されたスイング開始時刻SwTより前の時刻に取得された第1信号DSig1を削除してもよい。
【0085】
なお、処理装置30~30eが、必ずしも、ADコンバータ20によってAD変換された信号を入力しなくてもよい。例えば、処理装置30~30eが、AD変換処理を実行してもよい。この場合、処理装置30~30eは、センサ10からアナログ信号を入力する。処理装置30~30eは、アナログ信号をAD変換する。そして、処理装置30~30eは、AD変換によって得られた第1信号DSig1を基にインパクト時刻InT及びスイング開始時刻SwTを特定する。
【0086】
なお、打撃部材1の変形方向は、上下方向のみに限定されない。例えば、打撃部材1は、上下方向に見て、打撃部材1の中心を軸とした回転方向に変形する場合がある。すなわち、打撃部材1は回転方向にねじれる場合がある。この場合、センサ10は、回転方向のねじれを検知してもよい。
【0087】
なお、第1信号DSig1の値は、必ずしも打撃部材1の変形量の微分値でなくてもよい。第1信号DSig1の値は、打撃部材1の変形量であってもよい。この場合、センサ10は、歪センサを含む。
【0088】
なお、第1信号DSig1の値が、打撃部材1の変形量である場合、第1信号DSig1の値は、左右方向以外の方向の変形量であってもよい。
【0089】
なお、演算回路300の特定する期間PEの数は、
図4に示した2個の例に限定されない。演算回路300が特定した期間PEは1つであってもよい。この場合、1つの期間PEが最近期間MPEである。また、演算回路300の特定した期間PEは3以上であってもよい。この場合、演算回路300は、3以上の期間PEの中から最もインパクト時刻InTに近い最近期間MPEを特定する。
【0090】
なお、第1判定値1stThは、必ずしも“2045”でなくてもよい。
【0091】
なお、第2判定値2ndThは、必ずしも“200”でなくてもよい。
【0092】
なお、演算回路300は、bit値に変換された第1信号DSig1を基にスイング開始時刻SwTを特定しなくてもよい。例えば、演算回路300は、0-3Vの電圧値に変換された第1信号DSig1を基にスイング開始時刻SwTを特定してもよい。この場合、0-3Vの範囲において第1判定値1stTh及び第2判定値2ndThが、設定される。
【0093】
なお、演算回路300は、インパクト時刻InTから近い順に期間PEを特定してもよい。例えば、1つ目の期間PEを特定した後、演算回路300は、1つ目に特定した期間PEよりも前の時刻において期間PEが存在するかを特定してもよい。この場合、例えば、演算回路300は、期間PEとして期間PE1を特定する。そして、期間PE1よりも前の時刻において期間PEが存在した場合、演算回路300は、期間PE1よりも前の時刻に存在した期間PEを期間PE2として特定してもよい。
【0094】
なお、演算回路300,300a,300c~300eは、必ずしも第3特定ステップを実行しなくてもよい。
【0095】
処理装置30~30c,30eは、必ずしも通信部302を備えなくてよい。
【0096】
なお、通信部302は、複数の第2処理装置40にスイング開始時刻SwTを送信してもよい。
【0097】
なお、通信部302は、必ずしも第2処理装置40にスイング開始時刻SwTを送信しなくてもよい。
【0098】
なお、演算回路300~300dは、削除ステップを必ずしも実行しなくてもよい。
【0099】
演算回路300~300eは、必ずしも、CPUでなくてもよい。演算回路300~300eは、例えば、MPU(Micro Processing unit)等であってもよい。
【0100】
なお、記憶装置301は、必ずしも、ROMを含んでいなくてもよい。記憶装置301は、ROMの代わりに、例えば、フラッシュメモリを含んでいてもよい。
【0101】
なお、チャージアンプ102は、電荷を必ずしも0.0V~3.0Vの範囲の電圧値に変換しなくてもよい。チャージアンプ102は、電荷を0.0V~3.0V以外の範囲の電圧値に変換してもよい。チャージアンプ102は、例えば、電荷を0.0V~1.5Vの範囲,0.0V~5.0Vの範囲等に変換してもよい。
【0102】
なお、ADコンバータ20の分解能は12bitの例のみに限定されない。ADコンバータ20の分解能は12bit以外のbit値であってもよい。ADコンバータ20の分解能は、例えば、10bit値,16bit値等であってもよい。
【0103】
なお、処理装置30~30eは、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上になった1以上の時刻に基づいてインパクト時刻InTを判定する第1判定ステップを実行してよい。換言すれば、処理装置30e~30eは、必ずしも、第1判定ステップにおいて、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上になった1以上の時刻の内の、第1差分値DV1が最も大きくなった時刻をインパクト時刻InTと判定しなくてもよい。処理装置30e~30eは、例えば、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上になった時刻をインパクト時刻InTとして判定してもよい。より詳細には、処理装置30e~30eが、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上になった時刻を特定した場合、処理装置30e~30eは、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上になった時刻をインパクト時刻InTとして判定してもよい。この場合も、処理装置30~30eは、ユーザが打撃部材1を振り始める瞬間を精度よく検知することができる。
【符号の説明】
【0104】
1:打撃部材
10:センサ
100:圧電フィルム
101F:第1電極
101B:第2電極
102:チャージアンプ
103:電圧増幅回路
20:ADコンバータ
30~30e:処理装置
300~300e:演算回路
301:記憶装置
Sig1,DSig1:第1信号
PE,PE1,PE2:期間
MPE:最近期間
InT:インパクト時刻
SwT:スイング開始時刻
1stTh:第1判定値
2ndTh:第2判定値
DV1:第1差分値
XT:クロス時刻