(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】基板処理液
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 651B
(21)【出願番号】P 2020107623
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2019120655
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠太
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-106645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0155159(US,A1)
【文献】特開2018-107426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182646(US,A1)
【文献】特開2019-062004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0096704(US,A1)
【文献】特開平03-074308(JP,A)
【文献】特開昭63-215603(JP,A)
【文献】特開2000-044412(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00962140(EP,A1)
【文献】特表2018-538692(JP,A)
【文献】米国特許第04775449(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成面を有する基板上の液体の除去に用いる基板処理液であって、
昇華性物質としてのシクロヘキサノンオキシムと、
アルコール類、ケトン類、エーテル類、シクロアルカン類及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒と、
を含む基板処理液。
【請求項2】
前記シクロヘキサノンオキシムの含有量が、基板処理液の全体積に対し0.1vol%以上10vol%以下の範囲である請求項1に記載の基板処理液。
【請求項3】
前記溶媒が、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、シクロヘキサノール、アセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の基板処理液。
【請求項4】
前記シクロヘキサノンオキシムが前記溶媒中に溶解し存在し、又は前記シクロヘキサノンオキシムが融解状態で前記溶媒中に存在する請求項1~3の何れか1項に記載の基板処理液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の各種基板に付着した液体の除去に用いられる基板処理液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板等の基板に形成されるパターンの微細化に伴い、凹凸を有するパターンの凸部におけるアスペクト比(パターン凸部における高さと幅の比)が大きくなってきている。このため、乾燥処理の際、パターンの凹部に入り込んだ洗浄液やリンス液等の液体と、液体に接する気体との境界面に作用する表面張力が、パターン中の隣接する凸部同士を引き寄せて倒壊させる、いわゆるパターン倒壊の問題がある。
【0003】
この様なパターンの倒壊の防止を目的とした乾燥技術として、例えば、特許文献1には、表面に凹凸のパターンが形成された基板上の液体を除去し、基板を乾燥させる基板乾燥方法が開示されている。この基板乾燥方法によれば、基板に昇華性物質の溶液を供給して、パターンの凹部内に前記溶液を充填し、前記溶液中の溶媒を乾燥させて、前記パターンの凹部内を固体の状態の前記昇華性物質で満たし、基板を昇華性物質の昇華温度より高い温度に加熱して、昇華性物質を基板から除去することが行われる。これにより、特許文献1では、基板上の液体の表面張力に起因して生じ得るパターンの凸状部を倒壊させようとする応力が、パターンの凸状部に作用するのを抑制し、パターン倒壊を防止することができるとされている。
【0004】
また、特許文献2には、微細なパターンが形成された半導体基板の表面の昇華乾燥を行うにあたって、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸等の析出物質を脂肪族炭化水素等の溶媒に溶解させた溶液を用いる半導体装置の製造方法が開示されている。この半導体装置の製造方法によれば、液体処理後の半導体基板の乾燥時に、パターン倒壊を抑制することが可能とされている。
【0005】
これらの特許文献に開示の昇華乾燥方法であると、例えば、基板を高速回転させることによって、基板表面に付着した液体を除去するスピンドライによる方法や、当該基板表面に付着した液体をIPA(イソプロピルアルコール)に置換し、当該IPAを昇華乾燥させて除去する乾燥方法と比較して、パターンの倒壊率を低減させることができる。しかし、パターンの機械的強度が極めて低い場合には、従来の昇華乾燥方法であっても、パターンが倒壊する領域が局所的に発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-243869号公報
【文献】特開2017-76817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記課題を鑑みなされたものであり、基板の表面に形成されたパターンの部分的又は局所的な倒壊を防止しつつ、基板の表面に付着した液体を除去することが可能な基板処理液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基板処理液は、前記の課題を解決するために、パターン形成面を有する基板上の液体の除去に用いる基板処理液であって、昇華性物質としてのシクロヘキサノンオキシムと、アルコール類、ケトン類、エーテル類、シクロアルカン類及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒と、を含む。
【0009】
前記構成の基板処理液は、例えば、基板のパターン形成面上に液体が存在する場合に、昇華乾燥(又は凍結乾燥)の原理により、パターンの倒壊を防止しつつ当該液体の除去を可能にする。特に、前記構成の基板処理液は、昇華性物質としてのシクロヘキサノンオキシムと、アルコール類等の溶媒とを含むことで、従来の昇華性物質を用いた基板処理液と比べ、基板のパターン形成面の部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊を良好に抑制することができる。さらに、前記構成の基板処理液は、表面特性が疎水性のパターン形成面を備えた基板だけでなく、親水性の場合であっても、従来の基板処理液と比べ、部分的又は局所的な領域でのパターンの倒壊を抑制することができる。さらに、微細かつアスペクト比が大きいパターンを備えた基板に対しても、従来の基板処理液と比べ、部分的又は局所的な領域でのパターンの倒壊を抑制することができる。
【0010】
前記構成においては、前記シクロヘキサノンオキシムの含有量が、基板処理液の全体積に対し0.1vol%以上10vol%以下の範囲であることが好ましい。シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し0.1vol%以上にすることにより、基板のパターン形成面の部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊を良好に抑制することができる。その一方、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%以下にすることにより、常温での溶媒に対するシクロヘキサノンオキシムの溶解性を良好にし、均一に溶解させることができる。
【0011】
前記構成においては、前記溶媒が、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、シクロヘキサノール、アセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】
また、前記の構成においては、前記シクロヘキサノンオキシムが前記溶媒中に溶解し存在し、又は前記シクロヘキサノンオキシムが融解状態で前記溶媒中に存在することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の基板処理液は、従来の昇華性物質を含有した基板処理液と比較して、基板のパターン形成面におけるパターンの倒壊を抑制することができ、特にパターン形成面の部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊を良好に抑制することができる。さらに、表面特性が親水性のパターン形成面を備えた基板や、微細かつアスペクト比が大きいパターンを備えた基板に対しても、従来の基板処理液と比べ、部分的又は局所的な領域でのパターンの倒壊を良好に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(基板処理液)
本発明の実施の形態に係る基板処理液について、以下に説明する。
【0015】
先ず、本明細書において「基板」とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の各種基板をいう。また、本明細書において「パターン形成面」とは、平面状、曲面状又は凹凸状の何れであるかを問わず、基板において、任意の領域に凹凸パターンが形成されている面を意味する。さらに、本明細書において「昇華性」とは、単体、化合物若しくは混合物が液体を経ずに固体から気体、又は気体から固体へと相転移する特性を有することを意味し、「昇華性物質」とはそのような昇華性を有する物質を意味する。
【0016】
本実施の形態の基板処理液は、シクロヘキサノンオキシムと、溶媒とを少なくとも含む。本実施の形態の基板処理液は、基板のパターン形成面に存在する液体を除去するための乾燥処理において、当該乾燥処理を補助する機能を果たす。
【0017】
シクロヘキサノンオキシムは以下の化学式(1)で表され、本実施の形態の基板処理液では昇華性物質として機能することができる。
【0018】
【0019】
また、シクロヘキサノンオキシムは、凝固点が90.5℃、沸点が210℃、蒸気圧が0.00717Torr~251.458Torr(0.96Pa~33.52kPa)、融解エントロピーΔSが30.0J/mol・K、n-オクタノール/水分配係数が+1.2の物性値を有する。シクロヘキサノンオキシムが有する凝固点であると、パターン形成面における狭所での凝固点降下による凝固(凍結)不良を防止することができる。また、凝固させる際の冷媒を不要にすることができる。
【0020】
シクロヘキサノンオキシムは、基板処理液中において、溶媒に溶解した状態で存在するのが好ましい。
【0021】
シクロヘキサノンオキシムの含有量は、例えば、基板処理液を基板のパターン形成面上に供給する際の供給条件等に応じて適宜設定され得るものであるが、基板処理液の全体積に対し0.1vol%以上10vol%以下であることが好ましく、1.25vol%以上5vol%以下であることがより好ましく、2vol%以上4vol%以下であることが特に好ましい。シクロヘキサノンオキシムの含有量を0.1vol%以上にすることにより、微細かつアスペクト比が大きいパターンを備えた基板に対しても、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊を一層良好に抑制することができる。その一方、シクロヘキサノンオキシムの含有量を10vol%以下にすることにより、常温での溶媒に対するシクロヘキサノンオキシムの溶解性を良好にし、均一に溶解させることが可能になる。ここで、本明細書において「常温」とは5℃~35℃の温度範囲にあることを意味する。また、本明細書において「溶解性」とは、シクロヘキサノンオキシムが、例えば、23℃の溶媒100gに対し、10g以上溶解することを意味する。
【0022】
前記溶媒は、シクロヘキサノンオキシムを溶解させる溶媒として機能することができる。前記溶媒は、具体的には、アルコール類、ケトン類、エーテル類、シクロアルカン類及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0023】
前記アルコール類としては特に限定されず、例えば、メチルアルコール(融点:-98℃、n-オクタノール/水分配係数:-0.82~-0.66)、エチルアルコール(融点:-117℃、n-オクタノール/水分配係数:-0.32)、イソプロピルアルコール(融点:-90℃、n-オクタノール/水分配係数:+0.05)、n-ブチルアルコール(融点:-90℃、n-オクタノール/水分配係数:+0.88)、tert-ブチルアルコール(融点:25℃、n-オクタノール/水分配係数:+0.3)、シクロヘキサノール(融点:23℃~25℃、n-オクタノール/水分配係数:+1.2)等が挙げられる。
【0024】
前記ケトン類としては特に限定されず、例えば、アセトン(融点:-95℃、n-オクタノール/水分配係数:-0.24)等が挙げられる。
【0025】
前記エーテル類としては特に限定されず、例えば、プロピレングリコールモノエチルエーテル(融点:-100℃、n-オクタノール/水分配係数:+0.3)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(融点:-87℃、n-オクタノール/水分配係数:+0.43)等が挙げられる。
【0026】
前記シクロアルカン類としては特に限定されず、例えば、シクロヘキサン(融点:7℃、n-オクタノール/水分配係数:+3.4)等が挙げられる。
【0027】
前記水としては特に限定されず、例えば、純水等が挙げられる。
【0028】
例示した溶媒は全て、それぞれ単独でシクロヘキサノンオキシムと組み合わせて用いることが可能である。また、例示した溶媒の2種以上と、シクロヘキサノンオキシムとを組み合わせて用いることも可能である。
【0029】
また前記溶媒は、シクロヘキサノンオキシムが良好な溶解性を示すものであることが好ましい。
【0030】
さらに、例示した溶媒のうち、部分的又は局所的な領域でのパターン倒壊を良好に抑制できるとの観点からは、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0031】
前記溶媒のn-オクタノール/水分配係数は、-0.85~+3.4の範囲が好ましく、-0.82~+2.2の範囲がより好ましく、-0.82~+1.2の範囲がさらに好ましく、0~+1.2の範囲が特に好ましい。
【0032】
前記溶媒の蒸気圧は、常温において500Pa以上であることが好ましく、1000Pa以上であることがより好ましく、5000Pa以上であることが特に好ましい。前述のシクロヘキサノンオキシムの蒸気圧との差が大きい程、シクロヘキサノンオキシムが低濃度の場合でも固化膜の成膜を可能にする。その結果、処理コストの削減及び残渣の低減を図ることができる。尚、蒸気圧による配管等への負荷軽減の観点からは、溶媒の蒸気圧は10kPa以下に設定するのが好ましい。
【0033】
(基板処理液の製造方法及び保管方法)
本実施の形態に係る基板処理液の製造方法は特に限定されず、例えば、常温・大気圧下において、一定の含有量となるようにシクロヘキサノンオキシムの結晶物を溶媒に添加する方法等が挙げられる。尚、「大気圧下」とは標準大気圧(1気圧、1013hPa)を中心に、0.7気圧以上1.3気圧以下の環境のことを意味する。
【0034】
基板処理液の製造方法においては、溶媒にシクロヘキサノンオキシムの結晶物を添加した後に、濾過を行ってもよい。これにより、基板処理液を基板のパターン形成面上に供給して、液体の除去に用いた際に、当該パターン形成面上に基板処理液由来の残渣が発生するのを低減又は防止することができる。濾過方法としては特に限定されず、例えば、フィルター濾過等を採用することができる。
【0035】
本実施の形態の基板処理液は常温での保管が可能である。但し、溶媒の蒸発に起因してシクロヘキサノンオキシムの濃度が変化するのを抑制するとの観点からは、低温(例えば、5℃程度)で保管しておくのが好ましい。低温で保管されている基板処理液を使用する際には、結露による水分の混入を防止するとの観点から、基板処理液の液温を使用温度又は室温等にした後に使用するのが好ましい。
【0036】
(基板処理液の使用方法)
本実施の形態の基板処理液は、例えば、パターン形成面を有する基板上の液体除去のために用いることができる。
【0037】
除去対象とする前記液体としては、例えば、基板のパターン形成面を洗浄するための洗浄液除去のために、当該洗浄液から置き換えられたIPA(イソプロピルアルコール)等が挙げられる。
【0038】
より具体的には、先ず、IPAが付着する基板のパターン形成面上に、本実施の形態の基板処理液を供給して、当該基板処理液の液膜を形成する。基板処理液の供給の際には、基板を、当該基板の中心における鉛直方向を回転軸として回転させながら行うのが好ましい。この場合、基板処理液の供給は、基板の中心の上方から行うことができる。これにより、基板の表面に供給された基板処理液は、基板が回転することにより生ずる遠心力によって、基板の表面中央付近から基板の周縁部に向かって流動し、基板の表面の全面に拡散させることができる。基板の回転速度は、基板処理液の供給量やシクロヘキサノンオキシムの基板処理液中における含有量、基板処理液の液膜の膜厚等に応じて変更することができる。基板の回転速度は、通常は、100rpm~3000rpmの範囲で適宜選択される。
【0039】
続いて、基板処理液の液膜を固化して、当該基板処理液(より具体的には、シクロヘキサノンオキシム)の固化膜を形成する。固化方法としては特に限定されず、例えば、基板の回転を継続させることで基板処理液中の溶媒を蒸発させシクロヘキサノンオキシムを析出させる方法が挙げられる。この方法の場合、基板の回転速度は、通常は、100rpm~3000rpmの範囲で適宜選択される。
【0040】
また、他の固化方法としては、例えば、窒素ガスを基板処理液の上方から吹き付け、基板上方に気体として存在する溶媒を排気へ導くことにより、基板処理液中の溶媒を蒸発(揮発)させる方法も挙げられる。この場合、窒素ガスの温度は、例えば、0℃~80℃の範囲内で設定することができる。窒素ガスの供給の際には、基板処理液の供給の場合と同様、基板を回転させながら行うのが好ましい。基板の回転速度は、窒素ガスの供給量等に応じて変更することができる。基板の回転速度は、通常は、100rpm~3000rpmの範囲で適宜選択される。尚、基板処理液の液膜に窒素ガスを直接接触させて冷却し凝固させてもよい。
【0041】
基板処理液の液膜の固化方法としては、前記の窒素ガスを用いた溶媒蒸発方法の他に、基板の裏面側に冷水を接触させて基板処理液の液膜を冷却する方法や、基板の裏面側に温水を接触させて基板処理液中の溶媒を蒸発させシクロヘキサノンオキシムを析出させる方法等も採用可能である。冷水を用いた冷却方法の場合、冷水の温度は、例えば、0℃~20℃の範囲内で設定することができる。また、温水を用いたシクロヘキサノンオキシムの析出方法の場合、温水の温度は、例えば、25℃~80℃の範囲内で設定することができる。
【0042】
次に、前記固化膜を、液体状態を経ることなく気体状態にして昇華させ、当該固化膜を除去する。昇華させる方法としては特に限定されず、例えば、窒素ガスを基板処理液の液膜に直接吹き付ける等して接触させる方法等が挙げられる。この場合、窒素ガスの温度は、例えば、0℃~80℃の範囲内で設定することができる。窒素ガスの供給の際には、基板処理液の液膜を固化させる場合と同様、基板を回転させながら行うのが好ましい。基板の回転速度は、窒素ガスの供給量等に応じて変更することができる。基板の回転速度は、通常は、100rpm~3000rpmの範囲で適宜選択される。尚、固化膜は、窒素ガスを吹き付けなくても自然昇華するが、乾燥時間(固化膜の形成後、当該固化膜が昇華により除去されるまでの時間)を短縮化しスループットを向上させるとの観点からは、当該窒素ガスの吹き付けを行う方が好ましい。
【0043】
以上のように、本実施の形態の基板処理液を用いて昇華乾燥処理を行うことにより、基板のパターン形成面における凹凸パターンの倒壊を抑制しつつ、IPA等の液体の除去を行うことができる。特に、本実施の形態の基板処理液は、従来の昇華性物質を含有した基板処理液と比べ、表面特性が親水性のパターン形成面を備えた基板や、微細かつアスペクト比が大きいパターンを備えた基板に対しても、部分的又は局所的な領域でのパターンの倒壊を抑制することができる。
【0044】
(その他の事項)
本実施の形態に於いては、シクロヘキサノンオキシムが基板処理液中に溶解した状態で存在する態様について説明した。しかし、本発明はこの態様に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキサノンオキシムが融解状態で基板処理液中に存在していてもよい。ここで、「融解状態」とは、シクロヘキサノンオキシムが完全に又は一部融解することにより流動性を有し、液状となっている状態を意味する。
【0045】
シクロヘキサノンオキシムを融解状態で基板処理液中に含有させる場合、溶媒としては、前記に例示した溶媒のうち、当該融解状態のシクロヘキサノンオキシムが相溶性を示すものであることが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、各実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0047】
(基板)
基板として、モデルパターンが表面に形成されたシリコン基板A及びBを準備した(何れも直径300mm)。シリコン基板Aには、アスペクト比が18.4の円柱が約17.7nmの間隔を空けて配列されたパターンが形成されており、シリコン基板Bには、アスペクト比が22.6の円柱が約16.7nmの間隔を空けて配列されたパターンが形成されている。
【0048】
(実施例1)
本実施例においては、以下に述べる手順にてシリコン基板Bの乾燥処理を行い、パターン倒壊の抑制効果を評価した。
【0049】
<洗浄工程・IPAリンス工程>
先ず、シリコン基板Bのパターン形成面(表面)に洗浄液としてのフッ酸水溶液(体積比;フッ化水素:水=1:10)を供給して、パターン形成面の洗浄を行った。次いで、洗浄後のシリコン基板Bのパターン形成面にDIW(Deionized Water)を供給し、洗浄液をDIWに置換してリンスした。
【0050】
さらに、シリコン基板Bのパターン形成面にIPAを供給した。IPAの供給の際には、シリコン基板Bを、当該シリコン基板Bの中心における鉛直方向を回転軸として回転させながら行った。また、IPAの供給は、シリコン基板Bの中心の上方から行った。これにより、シリコン基板Bのパターン形成面上のDIWをIPAに置換した。尚、シリコン基板Bの回転速度は500rpmとした。
【0051】
<基板処理液の供給工程>
次に、IPAが付着したシリコン基板Bのパターン形成面上に、基板処理液(液温23℃)を供給した。基板処理液の供給の際には、シリコン基板Bを、当該シリコン基板Bの中心における鉛直方向を回転軸として回転させながら行った。また、基板処理液の供給は、シリコン基板Bの中心の上方から行った。これにより、シリコン基板Bの表面に供給された基板処理液は、シリコン基板Bが回転することにより生ずる遠心力により、シリコン基板Bの表面中央付近からシリコン基板Bの周縁部に向かって流動し、シリコン基板Bの表面の全面に拡散させた。その結果、パターン形成面上に付着していたIPAを基板処理液に置換し、当該基板処理液からなる液膜を形成した。尚、シリコン基板Bの回転速度は300rpmとした。また、基板処理液の供給開始から当該基板処理液の液膜形成までの時間は、30秒とした。
【0052】
基板処理液としては、シクロヘキサノンオキシムが、溶媒としてのイソプロピルアルコールに溶解したものを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量は、当該基板処理液の全体積に対し0.76vol%とした。
【0053】
<固化膜形成工程>
続いて、基板処理液からなる液膜が形成されたシリコン基板Bの表面に、7℃の窒素ガスを供給した。窒素ガスの供給は、シリコン基板Bを、当該シリコン基板Bの中心における鉛直方向を回転軸として回転させながら行った。また、窒素ガスの供給は、シリコン基板Bの中心の上方から行った。これにより、シリコン基板Bの表面に供給した窒素ガスを、シリコン基板Bが回転することにより生ずる遠心力により、シリコン基板Bの表面中央付近からシリコン基板Bの周縁部に向かって拡散させ、パターン形成面上に形成された基板処理液からなる液膜に対する溶媒蒸発を行った。この液膜の溶媒蒸発により当該液膜を凝固(析出)させ、可視光における光透明性が高く、アモルファス状の固化膜を形成した。尚、シリコン基板Bの回転速度は300rpmとした。また、シリコン基板Bの回転は固化膜が形成されるまで行った。さらに、窒素ガスの供給量は40L/minとした。
【0054】
<昇華工程>
次に、基板処理液の凝固後も、シリコン基板Bを回転させながら7℃の窒素ガスの供給を継続し、固化膜の昇華を行った。シリコン基板Bの回転速度は1500rpmとした。また、窒素ガスの供給量は40L/min、窒素ガスの供給時間は300秒とした。以上により、シリコン基板Bのパターン形成面上から固化膜を除去し、昇華乾燥を行った。
【0055】
<パターン倒壊の抑制効果の評価>
固化膜の除去を確認した後、シリコン基板B上のパターンの倒壊率を算出し、当該倒壊率により、パターン形成面におけるパターン倒壊の抑制効果を評価した。具体的には、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、型番:S-4800)を用いて得たSEM画像により、当該SEM画像内における凸部の総数と、倒壊した凸部の数とを数えて、以下の式によりパターンの倒壊率を算出した。その結果、パターンの倒壊率は3.2%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。結果を表1に示す。
倒壊率(%)=(任意の領域における倒壊した凸部の数)÷(当該領域における凸部の総数)×100
【0056】
尚、表1中の処理に関する評価は、以下の評価基準に基づき行った。
非常に良好:パターン倒壊率が0%以上1%以下
良好:パターン倒壊率が1%より大きく5%以下
不合格:パターン倒壊率が5%より大きい
【0057】
(参考例1)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を0rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は100.00%であった。
【0058】
(実施例2)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.42%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0059】
(実施例3)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は1.28%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0060】
(実施例4)
本実施例においては、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Bのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Bの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Bの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.89%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0061】
(実施例5)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は1.47%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0062】
(実施例6)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は1.7%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0063】
(参考例2)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は100.00%であった。
【0064】
(参考例3)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し1.25vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を3000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は100.00%であった。
【0065】
(参考例4)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を0rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は100.00%であった。
【0066】
(参考例5)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は100.00%であった。
【0067】
(実施例7)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.56%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0068】
(実施例8)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.72%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0069】
(実施例9)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.52%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0070】
(実施例10)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は3.86%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0071】
(実施例11)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を3000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は2.16%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0072】
(参考例6)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を0rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は100.00%であった。
【0073】
(参考例7)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は99.80%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0074】
(参考例8)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は13.10%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0075】
(実施例12)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.44%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0076】
(実施例13)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を3000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.56%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0077】
(結果1)
表1~表3に示す通り、実施例1~13の各基板処理液においては、昇華性物質としてシクロヘキサノンオキシム、溶媒としてイソプロピルアルコールを用いたが、昇華性物質の含有量、基板処理液の供給量及び基板処理液の供給工程でのシリコン基板の回転速度について適切な条件下で基板処理を行うことにより、パターン形成面における部分的又は局所的にパターンの倒壊が発生するのを抑制することができ、パターン倒壊率も低減できることが確認された。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
(参考例9)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は12.22%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0082】
(参考例10)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は22.91%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0083】
(参考例11)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は12.19%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0084】
(実施例14)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0085】
(参考例12)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は98.80%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0086】
(実施例15)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は3.92%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0087】
(実施例16)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0088】
(実施例17)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0089】
(参考例13)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は99.14%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0090】
(参考例14)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は13.41%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0091】
(参考例15)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は87.19%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0092】
(参考例16)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をn-ブチルアルコールに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は66.60%であった。但し、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生は確認されなかった。
【0093】
(結果2)
表4~表6に示す通り、実施例14~17の各基板処理液においては、昇華性物質としてシクロヘキサノンオキシム、溶媒としてn-ブチルアルコールを用いたが、昇華性物質の含有量、基板処理液の供給量及び基板処理液の供給工程でのシリコン基板の回転速度について適切な条件下で基板処理を行うことにより、パターン形成面における部分的又は局所的にパターンの倒壊が発生するのを抑制することができ、パターン倒壊率も低減できることが確認された。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
(実施例18)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は4.32%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0098】
(参考例17)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は91.90%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0099】
(参考例18)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は13.36%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0100】
(参考例19)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し10vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は76.49%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0101】
(参考例20)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は83.27%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認された。
【0102】
(実施例19)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は4.85%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生も確認されなかった。
【0103】
(実施例20)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は0.00%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生が確認されなかった。
【0104】
(実施例21)
本実施例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は4.98%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生が確認されなかった。
【0105】
(参考例21)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は25.43%であった。但し、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生が確認されなかった。
【0106】
(参考例22)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は99.14%であった。但し、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生は確認されなかった。
【0107】
(参考例23)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は100%であった。
【0108】
(参考例24)
本参考例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液の溶媒をPGMEAに変更した。さらに、シクロヘキサノンオキシムの含有量を基板処理液の全体積に対し2.5vol%に変更した。また、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を2000rpmに変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は99.07%であった。但し、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)の発生は確認されなかった。
【0109】
(結果3)
表7~表9に示す通り、実施例18~21の各基板処理液においては、昇華性物質としてシクロヘキサノンオキシム、溶媒としてPGMEAを用いたが、昇華性物質の含有量、基板処理液の供給量及び基板処理液の供給工程でのシリコン基板の回転速度について適切な条件下で基板処理を行うことにより、パターン形成面における部分的又は局所的にパターンの倒壊が発生するのを抑制することができ、パターン倒壊率も低減できることが確認された。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
(比較例1)
本比較例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液として、イソプロピルアルコールに樟脳(融点:175℃~180℃、n-オクタノール/水分配係数:2.34)を溶解させ、かつ、樟脳の含有量が基板処理液の全体積に対し0.99vol%であるものを用いた。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は約40%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)が確認された。
【0114】
(比較例2)
本比較例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液として、イソプロピルアルコールにシクロヘキサノール(融点:約24℃、n-オクタノール/水分配係数:1.25)を溶解させ、かつ、シクロヘキサノールの含有量が基板処理液の全体積に対し10vol%であるものを用いた。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は86.9%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)が確認された。
【0115】
(比較例3)
本比較例においては、基板としてシリコン基板Aを用いた。また、基板処理液として、イソプロピルアルコールにシクロヘキサノール(融点:約24℃、n-オクタノール/水分配係数:1.25)を溶解させ、かつ、シクロヘキサノールの含有量が基板処理液の全体積に対し20vol%であるものを用いた。さらに、基板処理液をシリコン基板Aのパターン形成面上に供給する際のシリコン基板Aの回転速度を1500rpmに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、シリコン基板Aの乾燥処理を行った。また、実施例1と同様の方法により、パターン倒壊の抑制効果の評価も行った。その結果、パターンの倒壊率は87.4%であった。また、パターン形成面において、部分的又は局所的な領域におけるパターンの倒壊(倒壊ムラ)が確認された。
【0116】
【0117】
(結果4)
昇華性物質として樟脳を用い、溶媒としてイソプロピルアルコールを用いた比較例1の基板処理液では、パターン形成面において、部分的又は局所的にパターンが倒壊する領域が多数発生するのが確認された。さらに、パターンの倒壊率も約40%であった。また、昇華性物質としてシクロヘキサノールを用い、溶媒としてイソプロピルアルコールを用いた比較例2及び3の基板処理液でも、パターン形成面で部分的又は局所的にパターンが倒壊する領域が多数確認され、パターンの倒壊率もそれぞれ86.9%、87.4%であった。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、基板の表面に付着する液体を除去する乾燥技術、及び当該乾燥技術を用いて基板の表面を処理する基板処理技術全般に適用することができる。