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特許7401074測量支援用の携帯表示端末、測量支援システム、測量支援方法、及び測量支援プログラム
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  • 特許-測量支援用の携帯表示端末、測量支援システム、測量支援方法、及び測量支援プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】測量支援用の携帯表示端末、測量支援システム、測量支援方法、及び測量支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G01C15/00 105Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020048771
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148602
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】一里山 海洋
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 基広
(72)【発明者】
【氏名】西 義弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮介
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6488470(JP,B1)
【文献】特開2005-30789(JP,A)
【文献】特開2017-156139(JP,A)
【文献】特開平10-332362(JP,A)
【文献】特開2002-174518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
G06F 3/01
3/048-3/04895
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量支援用の携帯表示端末であって、
前記携帯表示端末の画面部及び選択部と、
設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得部と、
前記設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、前記設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約部と、
前記設計情報要約部が生成した前記各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示部と、
前記選択部により選択された前記要約図の組み合わせに紐づけられた前記設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を前記携帯表示端末の前記画面部に表示する画面表示部、を備える測量支援用の携帯表示端末。
【請求項2】
前記設計図は路線の設計図であり、
前記要約図は路線の始点から終点までが1画像内に表示された画像である、請求項1に記載の測量支援用の携帯表示端末。
【請求項3】
前記設計情報選択表示部は、前記設計情報に含まれる平面図、縦断面図、横断面図のいずれかの設計図が存在しない場合に、その旨の表示を行う、請求項1又は2に記載の測量支援用の携帯表示端末。
【請求項4】
測量装置と、被測量装置と、携帯表示端末とを備えた測量支援システムであって、
前記携帯表示端末の画面部及び選択部と、
設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得部と、
前記設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、前記設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約部と、
前記設計情報要約部が生成した前記各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示部と、
前記選択部により選択された前記要約図の組み合わせに紐づけられた前記設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を前記携帯表示端末の前記画面部に表示する画面表示部と、
前記測量装置と離れて設置される前記被測量装置の位置情報である3次元座標を測量する前記測量装置の測量部と、
前記被測量装置の前記位置情報を前記携帯表示端末へ送信する前記測量装置の測量通信部と、
前記位置情報を受信する前記携帯表示端末の端末通信部と、
前記端末通信部が受信した位置情報に基づき、前記画面部に表示される前記設計図上に前記被測量装置の位置を表示する位置情報表示部、を備える測量支援システム。
【請求項5】
前記設計図は路線の設計図であり、
前記要約図は路線の始点から終点までが1画像内に表示された画像である、請求項4に記載の測量支援システム。
【請求項6】
前記設計情報選択表示部は、前記設計情報に含まれる平面図、縦断面図、横断面図のいずれかの設計図が存在しない場合に、その旨の表示を行う、請求項4又は5に記載の測量支援システム。
【請求項7】
測量支援方法であって、
携帯表示端末の設計情報取得部が、設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、
設計情報要約部が、前記設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、前記設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約ステップと、
設計情報選択表示部が、前記設計情報要約部が生成した前記各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示ステップと、
画面表示部が、選択部により選択された要約図の組み合わせに紐づけられた前記設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を前記携帯表示端末の画面部に表示する画面表示ステップと、を備える測量支援方法。
【請求項8】
さらに、測量装置の測量部が、前記測量装置と離れて位置する被測量装置の位置情報として3次元座標を測量する測量ステップと、
前記測量装置の測量通信部が、前記被測量装置の位置情報を携帯表示端末の通信部へ送信する位置情報送信ステップと、
前記携帯表示端末の位置情報表示部が、端末通信部が受信した位置情報に基づき、前記画面部に表示される設計図上に前記被測量装置の位置を表示する位置情報表示ステップ、を備える請求項7に記載の測量支援方法。
【請求項9】
測量支援プログラムであって、
携帯表示端末の設計情報取得部が、設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、
設計情報要約部が、前記設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約ステップと、
設計情報選択表示部が、前記設計情報要約部が生成した各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示ステップと、
画面表示部が、選択部により選択された要約図の組み合わせに紐づけられた設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を前記携帯表示端末の画面部に表示する画面表示ステップと、をコンピュータに実行させる測量支援プログラム。
【請求項10】
さらに、測量装置の測量部が、前記測量装置と離れて位置する被測量装置の位置情報として3次元座標を測量する測量ステップと、
前記測量装置の測量通信部が、前記被測量装置の位置情報を携帯表示端末の通信部へ送信する位置情報送信ステップと、
前記携帯表示端末の位置情報表示部が、端末通信部が受信した位置情報に基づき、前記画面部に表示される設計図上に前記被測量装置の位置を表示する位置情報表示ステップ、をコンピュータに実行させる請求項9に記載の測量支援プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量支援用の携帯表示端末、測量支援システム、測量支援方法、及び測量支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
路線等の工事においては、施工計画図が作成され、切土、盛土の土量を考慮しつつ施工計画が立てられる。また、施工計画を作成するにあたり、施工計画の基準とするために工事箇所の現状が測量される。路線測量においては、縦断測量、横断測量が行われる。縦断測量は路線の中心線に沿って行う水準測量であり、横断測量は中心線(路線方向)に直交する方向の水準測量である。
【0003】
従来、丁張設置などの作業現場において携帯して、平面線形データ、縦断面線形データ、横断面線形データ、設計データを画面部により確認することができる丁張設定装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4210167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す丁張設定装置では、予め記憶された設計データを現場で呼び出して参照するにあたり、呼び出し画面において、路線の設計データのファイル名等の文字情報があるのみであった。そのため、ユーザである作業者は、路線の形状をイメージすることができず、ファイル名をもとに都度データを呼び出して参照しなければその設計データに含まれる路線の要素データを確認することができなかった。
【0006】
以上により、本発明の目的は、作業現場において作業者が適切な設計データを円滑に呼び出して参照することができる測量支援用の携帯表示端末、測量支援システム、測量支援方法、及び測量支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、測量支援用の携帯表示端末であって、携帯表示端末の画面部及び選択部と、設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得部と、設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約部と、設計情報要約部が生成した各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示部と、選択部により選択された要約図の組み合わせに紐づけられた設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を携帯表示端末の画面部に表示する画面表示部、を備える。
【0008】
また、上記した目的を達成するために、測量装置と、被測量装置と、携帯表示端末とを備えた測量支援システムであって、携帯表示端末の画面部及び選択部と、設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得部と、設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約部と、設計情報要約部が生成した各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示部と、選択部により選択された要約図の組み合わせに紐づけられた設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を携帯表示端末の画面部に表示する画面表示部と、測量装置と離れて設置される被測量装置の位置情報である3次元座標を測量する測量装置の測量部と、被測量装置の位置情報を携帯表示端末へ送信する測量装置の測量通信部と、位置情報を受信する携帯表示端末の通信部と、端末通信部が受信した位置情報に基づき、画面部に表示される設計図上に被測量装置の位置を表示する位置情報表示部、を備える。
【0009】
また、上記した目的を達成するために、測量支援方法であって、携帯表示端末の設計情報取得部が、設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、設計情報要約部が、設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約ステップと、設計情報選択表示部が、設計情報要約部が生成した各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示ステップと、画面表示部が選択部により選択された要約図の組み合わせに紐づけられた設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を携帯表示端末の画面部に表示する画面表示ステップと、を備える。
【0010】
また、上記した目的を達成するために、測量支援プログラムであって、携帯表示端末の設計情報取得部が、設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、設計情報要約部が、設計情報取得部が取得した設計情報に基づき、設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する設計情報要約ステップと、設計情報選択表示部が、設計情報要約部が生成した各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示する設計情報選択表示ステップと、画面表示部が、選択部により選択された要約図の組み合わせに紐づけられた設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を携帯表示端末の画面部に表示する画面表示ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、路線も設計データを構成する要素を視覚化して表示することで、作業現場において作業者が適切な設計データを円滑に呼び出して参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の測量支援システムの構成図である。
図2】測量の様子を示す模式図である。
図3】本実施形態にかかる要約図の説明である。
図4】本実施形態の処理の流れを示すフローチャート図である。
図5】本実施形態にかかる携帯表示端末に表示される画面の一例である。
図6】本実施形態にかかる携帯表示端末に表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1には本発明の一実施形態にかかる測量支援用の形態表示端末、及びそれを含む測量支援システムの構成図を、図2には測量支援システムを用いた測量の様子を表す模式図を示している。
【0014】
図1、2に示すように本実施形態の測量支援システム1は、測量装置200、測量支援用の携帯表示端末100、被測量装置300を有している。
【0015】
測量装置200の一実施例は、例えば、既知である位置座標上に設けられているトータルステーション(TS)等光波方式による測量機器である。「TS等光波方式」とは、TSに加え、自動追尾機能を有するTSと同等の測定ができるものでかつ望遠鏡を搭載しない光波方式を用いる測定機器等を含むものである。測量装置200は、ターゲットである被測量装置300を自動追尾して、ターゲットが設けられた所定位置を測量することが可能である。被測量装置300は、測量装置200より放射された光を再び測量装置200へ反射する光学素子を備えたものであり、光学素子はいわゆる再帰反射プリズムである。また、被測量装置300は、再帰反射プリズムを備えた既知の長さの測量用ポールであってよい。
【0016】
測量装置200は、三脚に支持された水平方向に回転駆動可能な水平回転駆動部と、水平回転駆動部上にて鉛直方向に回転可能な鉛直回転駆動部を介して望遠鏡部が設けられている。図示しないが、測量装置200には、測角部212として、水平方向の回転角を検出する水平角検出部と、には鉛直方向の回転角を検出する鉛直角検出部が設けられている。これら水平角検出部及び鉛直角検出部により、望遠鏡部で視準している方向の鉛直角及び水平角を測角可能である。
【0017】
さらに、望遠鏡部には、測距部211として被測量装置300までの斜距離を測定する構成として、例えば光波距離計が設けられている。便宜上、これら測角部212と測距部211をあわせて測量部210と呼ぶ。また、図示しないが、被測量装置300を追尾するための追尾光を照射及び受光可能な追尾部が設けられている。
【0018】
また、測量装置200は、測量制御部240、追尾制御部250、測量記憶部220、測量通信部230を有している。
【0019】
測量制御部240は、測量装置200による測量を制御する機能を有している。具体的には、自動又は手動で被測量装置300を視準し、上記した測角部212(水平角検出部、鉛直角検出部)、測距部211により、測量装置200と被測量装置300との水平角、鉛直角、斜距離を検出する。ここで、被測量装置300の一例である再帰反射プリズムは棒状のポールに取り付けられ、プリズムからポールの末端までの距離は既知であることから、測量制御部240は測角部212、測距部211により検出された水平角、鉛直角、斜距離を補正して、ポールの末端位置(上端位置、又は下端位置)を測量結果として算出する。
【0020】
追尾制御部250は、追尾部により追尾光を照射し、被測量装置300により反射された追尾光を受光し続けるよう水平回転駆動部及び鉛直回転駆動部の駆動を制御することで被測量装置300を追尾する。
【0021】
測量記憶部220は、予め上記の測量制御や追尾制御等の各種プログラムや、切土、盛土を行う土地のデータ(標高等)や設計データ等が記憶されている。
【0022】
測量通信部230は、携帯表示端末100等の外部機器と通信可能な部分であり、例えば無線通信手段である。
【0023】
また、測量装置200の他の実施例はGNSS測量装置である。この場合、被測量装置300としてGNSS受信装置を用いて測量を行う。
【0024】
携帯表示端末100は、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例として、PDA(Personal Digital Assistant)等)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、等を含む。汎用の端末にアプリケーションソフトウェアをインストールすることで本実施形態にかかる携帯表示端末として用いることができる。これらの携帯表示端末100は、画面部150を備え、作業現場に携帯して容易に持ち運びできる。また、ハンズフリーや、片手での保持により画面部150を視認することができる。また、電池等の内部電源を備え、外部電源を必要とすることなく一定時間動作することができる。
【0025】
携帯表示端末100は、端末通信部130、端末記憶部120、端末処理部110、選択部140、画面部150を有している。
【0026】
端末処理部110は、図示しないが端末記憶部120に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能、及び/又は方法を実行する。端末処理部110は、例として、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、図示しないが、端末記憶部120から読み出したプログラムを一時的に記憶し、端末処理部110に対して作業領域を提供する主記憶部を備えてもよい。
【0027】
端末通信部130は、測量装置200の測量通信部230と通信可能であり、測量装置200により被測量装置300を測量した測量結果又は測量制御部240によって算出された位置情報(ポール先端までの水平角、鉛直角、斜距離)等を受信可能である。測量結果に基づく位置情報の演算は、測量装置200側で行ってもよく、携帯表示端末100側で行ってもよい。通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0028】
選択部140は、ユーザすなわち作業者からの入力を受け付けて、その入力にかかる情報を端末処理部110に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、又は、その組み合わせにより実現される。例えば、ボタン等によるハードウェア入力手段に加え、タッチパネル等の表示部上に表示されたソフトウェア入力手段、リモートコントローラ、マイク等の音声入力手段を含む。
【0029】
画面部150は、画面を表示することができる全ての種類の装置のいずれか又はその組み合わせにより実現される。例えば、液晶やOLED等の平面ディスプレイ、曲面ディスプレイ、折畳可能なフォルダブル端末に設けられた折畳画面、ヘッドマウントディスプレイ、又は小型プロジェクタを用いた物質への投影により表示可能な装置を含む。
【0030】
端末記憶部120は、必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。その他、端末通信部130にて受信した測量結果、及びその測量結果に基づき算出された位置情報を記憶可能である。例えば、端末記憶部120には、切土又は盛土を行う土地のデータ(標高等)や設計データ等が記憶されている。記憶部15は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。
【0031】
端末記憶部120に記憶された情報と、アプリケーションソフトウェアのプログラムによって実現される機能について説明する。
【0032】
設計情報は、路線等の工事において必要な設計図を含む情報である。路線等の工事とは、例えば道路、線路、トンネル、橋梁、溝、水路、河川等の構造物の工事である。設計図には、路線の線系図データ等が含まれている。線系図データには、少なくとも路線の3要素といわれる平面図データ、縦断面図データ、横断面図データが含まれている。また、各図のデータには、構成点データ、任意の点のデータ等が含まれている。これらのデータは設計図データの識別子に紐づけられて記憶されている。設計図データの識別子は設計図ファイル名、設計図ID、設計図番号などの電子的な識別子のデータである。縦断面図データは、例えば路線の中心線に沿った縦断面図をあらわすデータである。横断面図データは、例えば路線の中心線に対して垂直な方向の断面図をあらわすデータである。平面図データは、例えば路線を真上から見下ろした状態の平面図をあらわすデータである。構成点データは例えば現場において目印となる杭を打つ点を示すデータである。任意の点のデータは、路線上の任意の点であり、例えば任意の構成点から所定の距離追加した点である。道路中心線に沿って配置される杭を中心杭という。特に、路線の開始地点の中心杭をBP、終了地点の中心杭をEPという。道路の幅方向の境界位置を示す杭を幅杭という。なお、中心杭と幅杭の間に補助的な構成点を設けられることもある。
【0033】
設計情報取得部123は、端末記憶部120、又は携帯表示端末100の外部の記憶装置等から、設計図の識別子と、この識別子に紐づけられた平面図、縦断面図、及び横断面図を含む設計情報を取得する機能を有する。
【0034】
設計情報要約部125は、設計情報取得部123が取得した設計情報に基づき、設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成する機能を有する。
【0035】
図3は、設計情報要約部125によって生成される、設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図について説明する図である。この図において、要約図H0は平面図の要約図を、要約図V0は縦断面図の要約図を、要約図X0は横断面図の要約図を示している。これらの要約図H0、要約図V0、要約図X0は同一の識別子に紐づけられ、設計図データに基づき生成された互いに関連のある要約図である。
【0036】
平面図の要約図H0は、平面図と同様に路線を真上から見下ろした状態を示しており、上下左右方向は水平方向をあらわしている。水平方向は例えば東西南北方向であってよい。この図において、路線の始点から終点までを示す線図が1画像内に表示されている。設計情報要約部125は、路線の始点から終点までを示す線図が1画像内に収まるように全体の縮尺を調整して要約図データを生成している。したがって、路線の全長等が異なる2つの平面図の要約図がある場合に、全体の縮尺が互いに異なることがある。
【0037】
縦断面図の要約図V0は、縦断面図と同様に例えば道路中心線に沿った縦断面をあらわしており、上下方向は標高を、左右方向は縦断面における路線の進行方向をあらわしている。この図において、路線の始点から終点までを示す線図が1画像内に表示されている。設計情報要約部125は、路線の始点から終点までを示す線図が1画像内に収まるように全体の縮尺を調整して要約図データを生成している。したがって、路線の全長等が異なる2つの縦断面図の要約図がある場合に、全体の縮尺が互いに異なることがある。
【0038】
横断面図の要約図X0は、横断面図と同様に路線の中心線に対して垂直な方向の断面図、上下方向は標高を、左右方向は路線の中心線に垂直な方向をあらわしている。この図において、路線の始点から終点までを示す線図が1画像内に表示されている。設計情報要約部125は、路線の始点から終点までを示す線図が1画像内に収まるように全体の縮尺を調整して要約図データを生成している。したがって、路線の全長等が異なる2つの平面図の要約図がある場合に、全体の縮尺が互いに異なることがある。横断面図の要約図は、基本的に路線の始点における横断面図の要約を示しているが、任意の横断面図データに基づき、横断面図の要約図を生成してもよい。
【0039】
なお、これらの要約図H0、要約図V0、要約図X0からなる要約図の組み合わせの中においても、上記のように縮尺が調整されていることにより、標高や水平距離など距離をあらわす軸が異なることにより、互いに縮尺が異なることがある。
【0040】
設計情報選択表示部126は、設計情報要約部125が生成した各々の要約図の組み合わせを複数並べて選択可能に表示する機能を有する。
【0041】
また、設計情報選択表示部126は、設計情報に含まれる平面図、縦断面図、横断面図のいずれかの設計図が存在しない場合に、その旨の表示を行う機能を有する。例えば、横断面図の設計図データそのものが端末記憶部120に記憶されていない場合には、「No Data」のように設計図が存在しない旨の表示をすることができる。
【0042】
画面表示部121は、選択部140により選択された要約図の組み合わせに紐づけられた設計図の平面図、縦断面図、又は横断面図のうち少なくともいずれか1つの画像を前記携帯表示端末の画面部150に表示する機能を有する。
【0043】
位置情報表示部122は、測量装置200より受信した被測量装置300の位置情報に基づき、画面部150に表示される設計図上に被測量装置300の位置を表示する機能を有する。
【0044】
さらに、位置情報表示部122は、設計情報に含まれる平面図、縦断面図、横断面図のうち、2つの設計図を同時に画面部150に表示する機能を有していてもよい。
【0045】
図3に本実施形態にかかる測量支援用の携帯表示端末、この測量支援用の携帯表示端末を含む測量支援システムを用いた測量支援方法の処理の流れを説明するフローチャートを示す。
【0046】
まず、ステップS101では、携帯表示端末100の設計情報取得部123が、端末記憶部120に記憶されている設計情報より、路線の設計図データの識別子と、この識別子に紐づけられた平面図データ、縦断面図データ、及び横断面図データを含む設計情報を取得する。
【0047】
ステップS102では、取得した設計図データとして、各識別子に紐づけられる平面図データ、縦断面図データ、及び横断面図データのうち、データが存在しているかどうか、欠落があるかどうかを判定する。平面図データ、縦断面図データ、横断面図データが存在する場合(Noの場合)には、ステップS104に進む。
【0048】
ステップS103では、各識別子に紐づけられる平面図データ、縦断面図データ、及び横断面図データのうち、設計図データが存在していないものがある場合、すなわち欠落している場合(Yesの場合)、設計図データが存在していない旨の表示を行うことを決定する。
【0049】
ステップS104では、設計情報要約部125が、各識別子に紐づけられる平面図データ、縦断面図データ、及び横断面図データを用いて、平面図、縦断面図、及び横断面図の要約図画像データを生成する。
【0050】
ステップS105では、平面図の要約図、縦断面図の要約図、横断面図の要約図、又は設計図が存在しない旨の画像、からなる要約図の組み合わせを、複数並べて表示し、ユーザに選択可能に提示する。
【0051】
図5は、設計図の選択の際に携帯表示端末100の画面部150に表示される画面の一例である。この図において、画面部150には複数の路線の設計図に関する要約図の組み合わせの画像が複数並べて表示されている。
【0052】
例えば、「R01」という路線の設計図データの識別子ID1に紐づけられた平面図の要約図画像H1、縦断面図の要約図画像V1、横断面図の要約図画像X1を示す画像領域、及びその画像が示されており、そのうちX1の設計図データが存在しないために、「No Data」との表示による設計図画像の存在しない旨の表示がされている。また、これらの要約図画像等に関連した設計図を選択するためのラジオボタンRB1が示されている。
【0053】
平面図の要約図画像H1、縦断面図の要約図画像V1、横断面図の要約図画像X1、はこのように携帯表示端末100の画面内において一覧して表示可能なサイズに調整されて表示されている。例えばこの画面例においては、縦型表示状態の画面部150にあって、3枚の画像が横一列に並べられている。なお、図示しないが、横型表示状態の画面部150にあって縦一列、又は横一列に並べることもできる。
【0054】
同様に、「R02」という路線の設計図データの識別子ID2に紐づけられた平面図の要約図画像H2、縦断面図の要約図画像V2、横断面図の要約図画像X2を示す画像領域、及びその画像が表示されている。また、これらの要約図画像等に関連した設計図を選択するためのラジオボタンRB2が示されている。
【0055】
これらの要約図等の組み合わせが、縦型表示状態の画面部150にあって、縦方向に並べられている。ユーザは、画面部150を縦スクロール操作して、多数の設計図データを閲覧することができる。なお、図示しないが、横型表示状態の画面部150にあって縦一列に並べることもできる。
【0056】
ユーザは、これらの要約図等の組み合わせが複数並べて表示されている状態を一覧し、表示させたい設計図を選択する。この例において、設計図データを選択するための選択部140は、画面部150がタッチパネルディスプレイによって構成され、画面上に表示されているラジオボタンRB1、RB2…、のいずれかをタッチして選択することでその機能を実現されるものである。
【0057】
ステップS106では、上記したように、ユーザが選択部140を操作して、表示したい設計図を選択する。
【0058】
ステップS107では、画面表示部121は、ユーザの選択に基づき、選択された設計図の表示を行う。設計情報取得部123は、ユーザが選択部140を用いて行った指示に応じて、選択された路線の設計図データを取得し、その設計図データに基づいて、要約図ではなく、測量作業及びその支援用の詳細な設計図を画面部150に表示する。表示される設計図は、例えば平面図のみならず、平面図と横断面図の両方であってもよい。
【0059】
ステップS108において、位置情報取得部124は、端末通信部130が取得した被測量装置300の位置情報、又は端末通信部130が取得した測量結果に基づき端末処理部110により算出した位置情報を取得する。
【0060】
ステップS109において、位置情報表示部122は、位置情報取得部124が取得した被測量装置300の位置情報に基づき、設計図上で示すべき位置を算出し、画面部150に表示された平面図や横断面図の図上に重ねて表示する。
【0061】
図6は、ユーザに選択された設計図を用いて、携帯表示端末100の画面部150に表示された平面図、横断面図、及び被測量装置300の位置を示すマーキングを含む画面の一例である。
【0062】
この図において、画面の中央に表示されているのが、平面図をあらわす平面図画像G1である。平面図画像G1は、いわゆる地図表示のように、東西南北を示す方位表示DC、縮尺を示す縮尺表示SCとともに表示されている。
【0063】
平面図画像G1上には、設計された路線のデータが示されており、この図においては路線の中心線が曲線で示されている。また、要約図と異なり、中心線上の構成点として構成点CP1(No.1)、構成点CP2(No.2)、構成点CP3(No.3)も示されている。
【0064】
平面図画像G1上には、被測量装置300の平面図上の位置を示すマーキングM1が示されている。
【0065】
また、画面部150には、平面図画像G1と並んで、横断面図画像G2が表示されている。横断面図画像G2は、例えば、設計線DLによって設計された横断面図を示しており、G2の中心には横断面図の中心線CLが示されている。
【0066】
平面図画像G1上には、同時に表示される横断面図画像G2がいずれの位置に対応する横断面図であるか示すためのマーキングSMが重ねて表示されている。また、横断面図画像G2上には、この図上における被測量装置300の位置を示すマーキングM2が重ねて表示されている。
【0067】
このように、本実施形態にかかる測量支援用の携帯表示端末、測量支援方法、測量支援プログラムを用いると、設計情報取得部123が取得した設計情報に基づき、設計情報要約部125が設計図の平面図、縦断面図、及び横断面図の各々の要約図を生成し、設計情報選択表示部126が、各々の要約図の組み合わせを複数並べて表示する選択可能に表示することで、ユーザは設計図を選択するに際し、ファイル名などの設計図の識別子だけに頼らずに、設計図の3次元的な内容を直感的に認識しながら、設計情報を呼び出すことができる。
【0068】
また、本実施形態にかかる測量支援システム、測量支援方法、測量支援プログラムを用いると、要約図の組み合わせに基づいて選択し、画面部150に表示されたた設計図上に、被測量装置300の位置を表示することができ、作業者は測点の位置を現場で把握しながら測量作業を行うことができる。
【0069】
また、設計図は路線の設計図であり、設計図の要約図は路線の始点から終点までが1画像内に表示された画像であることにより、ユーザは選択すべき路線の全体像を直感的に把握することができる。
【0070】
また、設計情報選択表示部126は、前記設計情報に含まれる平面図、縦断面図、横断面図のいずれかの設計図が存在しない場合に、その旨の表示を行うことにより、路線の各要素のデータの有無が一目でわかる。
【0071】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
1 測量支援システム
2 ユーザ
100 携帯表示端末
110 端末処理部
120 端末記憶部
121 画面表示部
122 位置情報表示部
123 設計情報取得部
124 位置情報取得部
130 端末通信部
140 選択部
150 画面部
200 測量装置
210 測量部
211 測距部
212 測角部
220 測量記憶部
230 測量通信部
240 測量制御部
250 追尾制御部
300 被測量装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6