(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】FET制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H03K 17/687 20060101AFI20231212BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H03K17/687 A
H02J7/00 A
(21)【出願番号】P 2021549356
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 KR2020017002
(87)【国際公開番号】W WO2021107653
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0153701
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヤン-スー
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン-ジン
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06559689(US,B1)
【文献】特開平02-158212(JP,A)
【文献】実開平02-021931(JP,U)
【文献】特開2003-079058(JP,A)
【文献】特開2019-115166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレイン端子、ゲート端子及びソース端子を含むFETの動作状態を制御するFET制御装置であって、
放電ラインを通じて前記ゲート端子と前記ソース端子との間に前記FETと並列で接続されるように構成されたキャパシタと、
充電ラインを通じて前記キャパシタに電気的に接続され、前記充電ラインが通電されれば前記キャパシタを充電するように構成された電圧源と、
前記ソース端子の電圧及び前記キャパシタの
両端の電圧を測定するように構成された測定部と、
前記測定部から前記ソース端子の電圧及び前記キャパシタの
両端の電圧を受信し、前記ソース端子の電圧に基づいて目標電圧を設定し、前記キャパシタの
両端の電圧
差が前記目標電圧以上になるまで前記充電ラインを通電させて前記電圧源によって前記キャパシタを充電させ、前記キャパシタの充電が完了した後、前記放電ラインを通電させて前記FETの動作状態を制御するように構成された制御部と、を含み、
前記制御部は、
予め設定された臨界電圧と前記ソース端子の電圧とを足して前記目標電圧を設定するように構成され、
前記ソース端子の電圧が変更された場合、変更されたソース端子の電圧に対応するように前記目標電圧を再設定するように構成され、
前記臨界電圧は、
前記FETの動作状態をターンオン状態にする、前記ゲート端子と前記ソース端子との電圧差に予め設定された、FET制御装置。
【請求項2】
前記放電ラインは、
前記ゲート端子と前記キャパシタの一端とを接続するように構成された第1スイッチが備えられた第1単位ラインと、
前記ソース端子と前記キャパシタの他端とを接続するように構成された第2スイッチが備えられた第2単位ラインと、を含むように構成された、請求項1に記載のFET制御装置。
【請求項3】
前記測定部は前記ソース端子と前記第2スイッチとの間に設けられたセンシングラインに接続され、前記ソース端子の電圧を測定するように構成される、請求項2に記載のFET制御装置。
【請求項4】
前記充電ラインは、
前記キャパシタの前記一端と前記電圧源の正極端子とを接続するように構成された第3スイッチが備えられた第3単位ラインと、
前記キャパシタの前記他端と前記電圧源の負極端子とを接続するように構成された第4スイッチが備えられた第4単位ラインと、を含むように構成され、
前記キャパシタの前記一端は、前記第1スイッチと前記第3スイッチとの間に接続されるように構成され、
前記キャパシタの前記他端は、前記第2スイッチと前記第4スイッチとの間に接続されるように構成された、請求項2に記載のFET制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの動作状態を同時に制御し、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチの動作状態を同時に制御するように構成された、請求項4に記載のFET制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記キャパシタの充電が完了した後、所定の制御周期毎に、前記充電ライン及び前記放電ラインのいずれか一方を通電させ、他方を遮断させるように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のFET制御装置。
【請求項7】
前記所定の制御周期は、
前記キャパシタの
両端の電圧
差が前記目標電圧以上に維持されるように設定された周期である、請求項6に記載のFET制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記再設定された目標電圧に基づいて前記所定の制御周期を変更するように構成された、請求項6または7に記載のFET制御装置。
【請求項9】
前記測定部は、前記ドレイン端子の電圧をさらに測定するように構成され、
前記制御部は、前記測定部から前記ドレイン端子の電圧を受信し、前記FETの動作状態に基づいて前記ドレイン端子の電圧と前記ソース端子の電圧とを比較して、前記FETの故障を診断するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のFET制御装置。
【請求項10】
請求項1から9のうちいずれか一項に記載のFET制御装置を含むバッテリーパック。
【請求項11】
ドレイン端子、ゲート端子及びソース端子を含むFETの動作状態を制御するFET制御方法であって、
前記ソース端子の電圧、及び前記FETに並列で接続されたキャパシタの
両端の電圧を測定する電圧測定段階と、
前記電圧測定段階で測定された前記ソース端子の電圧に基づいて目標電圧を設定する目標電圧設定段階と、
前記キャパシタの
両端の電圧
差が前記目標電圧以上になるように前記キャパシタを充電するキャパシタ充電段階と、
前記キャパシタ充電段階で充電が完了したキャパシタを用いて前記FETの動作状態を制御するFET動作状態制御段階と、
前記ソース端子の電圧が変更された場合、変更されたソース端子の電圧に対応するように前記目標電圧を再設定する段階と、を含み、
前記目標電圧は、予め設定された臨界電圧と前記ソース端子の電圧とを足したものであり、
前記臨界電圧は、前記FETの動作状態をターンオン状態にする、前記ゲート端子と前記ソース端子との電圧差に予め設定される、FET制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)制御装置及び方法に関し、より詳しくは、FETの動作状態を正確に制御するFET制御装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2019年11月26日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0153701に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能バッテリーに対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどのバッテリーが商用化しているが、中でもリチウムバッテリーはニッケル系列のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
一方、このようなバッテリーがバッテリーパックに備えられる場合、バッテリーパックのメイン充放電経路上には、バッテリーから出力された電流またはバッテリーに流れ込む電流が流れるメインリレーが配置される。
【0006】
例えば、ドレイン端子、ソース端子及びゲート端子を含むNチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)がメインリレーに適用された場合、ソース端子とゲート端子との電圧差が一定水準以上である場合のみ、ドレイン端子とソース端子とが通電できる。この場合、ソース端子とゲート端子とが共通接地に接続された場合であれば、ゲート端子に印加される電圧を調節してFETの動作状態を制御することができる。ただし、ソース端子とゲート端子とが共通接地に接続されていない場合、ソース端子に印加される電圧を考慮しなければFETの動作状態を制御できないという問題がある。すなわち、FETの動作状態を正確に制御するため、ゲート端子に印加される電圧をソース端子に印加される電圧に適応的に調節する技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、FETに印加される電圧をFETのソース端子の電圧に対応するように調節して、FETの動作状態を正確に制御するFET制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるFET制御装置は、ドレイン端子、ゲート端子及びソース端子を含むFETの動作状態を制御する装置であって、放電ラインを通じてゲート端子とソース端子との間にFETと並列で接続されるように構成されたキャパシタと、充電ラインを通じてキャパシタに電気的に接続され、充電ラインが通電されればキャパシタを充電するように構成された電圧源と、ソース端子の電圧及びキャパシタの電圧を測定するように構成された測定部と、測定部からソース端子の電圧及びキャパシタの電圧を受信し、ソース端子の電圧に基づいて目標電圧を設定し、キャパシタの電圧が目標電圧以上になるまで充電ラインを通電させて電圧源によってキャパシタを充電させ、キャパシタの充電が完了した後、放電ラインを通電させてFETの動作状態を制御するように構成された制御部と、を含む。
【0010】
制御部は、予め設定された臨界電圧とソース端子の電圧とを足して目標電圧を設定するように構成され得る。
【0011】
臨界電圧は、FETの動作状態をターンオン状態にする、ゲート端子とソース端子との間の電圧差に予め設定され得る。
【0012】
放電ラインは、ゲート端子とキャパシタの一端とを接続するように構成された第1スイッチが備えられた第1単位ラインと、ソース端子とキャパシタの他端とを接続するように構成された第2スイッチが備えられた第2単位ラインと、を含むように構成され得る。
【0013】
充電ラインは、キャパシタの一端と電圧源の正極端子とを接続するように構成された第3スイッチが備えられた第3単位ラインと、キャパシタの他端と電圧源の負極端子とを接続するように構成された第4スイッチが備えられた第4単位ラインと、を含むように構成され得る。
【0014】
キャパシタの一端は、第1スイッチと第3スイッチとの間に接続されるように構成され得る。
【0015】
キャパシタの他端は、第2スイッチと第4スイッチとの間に接続されるように構成され得る。
【0016】
制御部は、第1スイッチ及び第2スイッチの動作状態を同時に制御し、第3スイッチ及び第4スイッチの動作状態を同時に制御するように構成され得る。
【0017】
制御部は、キャパシタの充電が完了した後、所定の制御周期毎に、充電ライン及び放電ラインのいずれか一方を通電させ、他方を遮断させるように構成され得る。
【0018】
所定の制御周期は、キャパシタの電圧が目標電圧以上に維持されるように設定された周期である。
【0019】
制御部は、ソース端子の電圧が変更された場合、変更されたソース端子の電圧に対応するように目標電圧を再設定し、再設定された目標電圧に基づいて所定の制御周期を変更するように構成され得る。
【0020】
測定部は、ドレイン端子の電圧をさらに測定するように構成され得る。
【0021】
制御部は、測定部からドレイン端子の電圧を受信し、FETの動作状態に基づいてドレイン端子の電圧とソース端子の電圧とを比較して、FETの故障を診断するように構成され得る。
【0022】
本発明の他の態様によるバッテリーパックは、本発明の一態様によるFET制御装置を含む。
【0023】
本発明のさらに他の態様によるFET制御方法は、ドレイン端子、ゲート端子及びソース端子を含むFETの動作状態を制御する方法であって、ソース端子の電圧、及びFETに並列で接続されたキャパシタの電圧を測定する電圧測定段階と、電圧測定段階で測定されたソース端子の電圧に基づいて目標電圧を設定する目標電圧設定段階と、キャパシタの電圧が目標電圧以上になるようにキャパシタを充電するキャパシタ充電段階と、キャパシタ充電段階で充電が完了したキャパシタを用いてFETの動作状態を制御するFET動作状態制御段階と、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、キャパシタを用いてゲート端子に印加される電圧をソース端子の電圧に合わせて適応的に制御することができる。したがって、ソース端子が、接地ではなく、外部負荷に接続された場合であっても、FETの動作状態を円滑且つ正確に制御することができる。
【0025】
また、本発明の一態様によれば、FETのゲート端子に一定範囲内の電圧を印加することができる。
【0026】
本発明の効果は上記の効果に制限されず、他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、発明の詳細な説明ともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態によるFET制御装置を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるFET制御装置を含むバッテリーパックの構成を例示的に示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるFET制御装置を含むバッテリーパックにおいて、キャパシタが充電されるときの例示的構成を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるFET制御装置を含むバッテリーパックにおいて、キャパシタが放電するときの例示的構成を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるFET制御装置において、キャパシタの電圧変化の例を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるFET制御装置において、キャパシタの電圧変化の他の例を示した図である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるFET制御方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
また、本発明の説明において、関連公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0032】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちある一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これら用語によって構成要素が限定されることはない。
【0033】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
また、明細書に記載された制御部のような用語は少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せで具現され得る。
【0035】
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されるとするとき、これは「直接的な連結(接続)」だけではなく、他の素子を介在した「間接的な連結(接続)」も含む。
【0036】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態によるFET制御装置100を概略的に示した図である。
図2は、本発明の一実施形態によるFET制御装置100を含むバッテリーパック1の構成を例示的に示した図である。
【0038】
ここで、FET20とは、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor)であって、
図2を参照すると、FET20はドレイン端子D、ゲート端子G及びソース端子Sを含むことができる。
【0039】
望ましくは、FET20としてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が適用され得る。望ましくは、FET20としてNチャネルMOSFETが適用され得る。以下、FET20がNチャネルMOSFETであると仮定して説明する。
【0040】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるFET制御装置100は、キャパシタ110、電圧源120、測定部130及び制御部140を含むことができる。
【0041】
キャパシタ110は、放電ラインを通じてゲート端子Gとソース端子Sとの間にFET20と並列で接続されるように構成され得る。ここで、放電ラインとは、キャパシタ110の一端C1とFET20のゲート端子Gとの間を接続するライン、及びキャパシタ110の他端C2とFET20のソース端子Sとを接続するラインを称する。すなわち、放電ラインは、キャパシタ110が放電するとき、キャパシタ110に貯蔵された電流がFET20に向かって出力されるラインを称する。
【0042】
図2を参照すると、バッテリーパック1は、バッテリーセル10、FET20及びFET制御装置100を含むことができる。FET20は、バッテリーパック1の正極端子P+とバッテリーセル10の正極端子との間に直列で接続され得る。
【0043】
具体的には、FET20のドレイン端子Dがバッテリーセル10の正極端子に直接接続され、FET20のソース端子Sがバッテリーパック1の正極端子P+に直接接続され得る。そして、キャパシタ110の一端C1がFET20のゲート端子Gに接続され、キャパシタ110の他端C2がFET20のソース端子Sに接続され得る。すなわち、
図2に示されたように、キャパシタ110は、FET20のゲート端子Gとソース端子Sとの間で、FET20と電気的に並列で接続され得る。したがって、キャパシタ110、FET20のゲート端子G及びソース端子Sは閉回路を形成することができる。
【0044】
一方、
図2に示されたバッテリーパック1において、バッテリーセル10とは、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例として、一つのパウチ型リチウムポリマーセルをバッテリーセル10として見なし得る。また、
図2の図示と異なって、バッテリーパック1には一つ以上のバッテリーセル10が直列及び/または並列で接続されて備えられてもよい。すなわち、バッテリーパック1には一つ以上のバッテリーセル10を備えるバッテリーモジュールが含まれてもよい。
【0045】
電圧源120は、充電ラインを通じてキャパシタ110に電気的に接続されるように構成され得る。ここで、充電ラインとは、キャパシタ110の一端C1と電圧源120の正極端子とを接続するライン、及びキャパシタ110の他端C2と電圧源120の負極端子とを接続するラインを称する。すなわち、充電ラインは、キャパシタ110が充電されるとき、電圧源120からの電流が印加されるラインを示す。
【0046】
例えば、電圧源120は、12[V]の直流電流を出力可能な電圧源であって、バッテリーパック1に備えられたバッテリーセル10とは独立した電圧源であり得る。
【0047】
図2を参照すると、電圧源120の正極端子はキャパシタ110の一端C1に接続され、電圧源120の負極端子はキャパシタ110の他端C2に接続され得る。キャパシタ110と電圧源120とは閉回路を形成することができる。
【0048】
また、電圧源120は、充電ラインが通電されれば、キャパシタ110を充電するように構成され得る。
【0049】
例えば、
図2の実施形態において、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態がターンオン状態に制御されれば、電圧源120によってキャパシタ110が充電できる。具体的には、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態がターンオン状態に制御されれば、電圧源120から出力された電流は、第3スイッチSW3、キャパシタ110、第4スイッチSW4及び電圧源120から形成された閉回路を流れ得る。したがって、充電ラインが通電されれば、キャパシタ110が充電される。
【0050】
測定部130は、ソース端子Sの電圧(Vs)及びキャパシタ110の電圧を測定するように構成され得る。
【0051】
例えば、
図2を参照すると、測定部130は、第2センシングラインSL2、第3センシングラインSL3及び第4センシングラインSL4と接続され得る。測定部130は、第2センシングラインSL2を通じてFET20のソース端子Sの電圧(Vs)を測定することができる。そして、測定部130は、第3センシングラインSL3及び第4センシングラインSL4を通じてキャパシタ110の電圧を測定することができる。このとき、測定部130は、第3センシングラインSL3を通じてキャパシタ110の一端C1の電圧を測定し、第4センシングラインSL4を通じてキャパシタ110の他端C2の電圧を測定し得る。そして、測定部130は、測定したキャパシタ110の両端電圧の差を算出することで、キャパシタ110の電圧を測定し得る。
【0052】
制御部140は、測定部130からソース端子Sの電圧(Vs)及びキャパシタ110の電圧を受信するように構成され得る。
【0053】
制御部140と測定部130とは互いに接続されて信号を送受信することができる。
【0054】
例えば、
図2を参照すると、制御部140と測定部130とは有線ラインを通じて互いに接続され、互いに信号を送受信し得る。
【0055】
他の例として、
図2の図示と異なって、制御部140と測定部130とは無線通信を通じて互いに接続され、互いに信号を送受信してもよい。
【0056】
測定部130は、測定したソース端子Sの電圧(Vs)及びキャパシタ110の電圧をデジタル信号の形態に変換し得る。そして、測定部130は、変換したデジタル信号を制御部140と接続されたラインに出力することができる。制御部140は、測定部130からデジタル信号を受信し、受信したデジタル信号を読み出して測定部130が測定したソース端子Sの電圧(Vs)及びキャパシタ110の電圧を取得することができる。
【0057】
制御部140は、ソース端子Sの電圧(Vs)に基づいて目標電圧(Vt)を設定するように構成され得る。
【0058】
FET20の場合、ゲート端子Gに印加される電圧がソース端子Sに印加される電圧よりも所定の大きさ以上になる場合のみに、ドレイン端子Dからソース端子Sに電流が流れ得る。すなわち、FET20は、ゲート電圧(Vgs)が予め設定された臨界電圧(Vth)以上である場合のみに、ドレイン端子Dからソース端子Sに電流が流れ得る。ここで、ゲート電圧(Vgs)とは、ゲート端子Gの電圧(Vg)からソース端子Sの電圧(Vs)を引いた電圧値である。また、ここで、臨界電圧(Vth)とは、FET20の動作状態がターンオン状態になるように予め設定された電圧値である。すなわち、臨界電圧(Vth)は、FET20の仕様に応じて異なるように設定され得る。このようなFET20の特性を考慮すれば、目標電圧(Vt)は、FET20のドレイン端子Dとソース端子Sとが通電されるようにゲート端子Gに印加されるべき最小要求電圧であり得る。
【0059】
制御部140は、測定部130から受信したソース端子Sの電圧(Vs)に基づいて、FET20のゲート端子Gに印加されるべき目標電圧(Vt)を設定することができる。
【0060】
例えば、FET20のドレイン端子Dとソース端子Sとが通電されるために必要な臨界電圧(Vth)が3[V]であり、測定されたソース端子Sの電圧(Vs)が1[V]であると仮定する。もし、予め設定された臨界電圧(Vth)3[V]に合わせてゲート端子Gに3[V]電圧を印加すれば、ゲート端子Gの電圧(Vg)とソース端子Sとの電圧差であるゲート電圧(Vgs)が2[V]になるため、FET20の動作状態がターンオン状態に切り換えられないことがあり得る。このような場合は、ソース端子S側が接地に接続されていない場合であって、例えば、
図2の実施形態においてバッテリーパック1に1[V]の電圧を有する負荷が接続された場合であり得る。したがって、制御部140は、ソース端子Sが接地だけでなく、他の負荷に接続された場合(例えば、ソース端子Sの電圧(Vs)が0[V]ではない場合)まで考慮して、ゲート端子Gに印加されるべき目標電圧(Vt)を4[V]に設定し得る。すなわち、制御部140は、予め設定された臨界電圧(Vth)とソース端子Sの電圧(Vs)とを足して目標電圧(Vt)を設定するように構成され得る。
【0061】
制御部140は、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)以上になるまで充電ラインを通電させ、電圧源120によってキャパシタ110を充電させるように構成され得る。
【0062】
図2を参照すると、電圧源120は、充電ラインを通じてキャパシタ110に電気的に接続され、充電ラインが通電されればキャパシタ110を充電するように構成され得る。したがって、制御部140は、キャパシタ110の電圧が設定した目標電圧(Vt)以上になるまで充電ラインを通電させることができる。
【0063】
例えば、上述した実施形態のように、臨界電圧(Vth)が3[V]であり、ソース端子Sの電圧(Vs)が1[V]であり、設定された目標電圧(Vt)が4[V]であると仮定する。制御部140は、充電ラインを通電させて、電圧源120によってキャパシタ110を充電させ得る。そして、制御部140は、測定部130からキャパシタ110の電圧を受信し続け、キャパシタ110の電圧が4[V]以上になったか否かを判断し得る。
【0064】
制御部140は、キャパシタ110の充電が完了した後、放電ラインを通電させてFET20の動作状態を制御するように構成され得る。
【0065】
望ましくは、制御部140は、充電ラインの接続を遮断してから放電ラインを通電させることができる。この場合、キャパシタ110に貯蔵された電流が放電ラインに流れながら、キャパシタ110の電圧がFET20のゲート端子Gに印加され得る。キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)以上であるため、ゲート電圧(Vgs)は予め設定された臨界電圧(Vth)以上になり得る。したがって、FET20の動作状態がターンオン状態に切り換えられ、バッテリーセル10から出力された電流がドレイン端子Dからソース端子Sに流れることができる。
【0066】
例えば、
図2の実施形態において、バッテリーパック1の正極端子P+と負極端子P-とに負荷が接続されていると仮定する。制御部140が放電ラインを通電させれば、目標電圧(Vt)以上に充電されたキャパシタ110によってFET20の動作状態がターンオン状態に切り換えられ、バッテリーセル10から出力された電流がFET20を通過して負荷に印加できる。
【0067】
本発明の一実施形態によるFET制御装置100は、キャパシタ110を用いてゲート端子Gに印加される電圧をソース端子Sの電圧(Vs)に応じて制御することができる。すなわち、FET制御装置100は、ソース端子Sの電圧(Vs)を考慮して、ゲート端子Gに印加されるべき目標電圧(Vt)を設定することができる。したがって、ソース端子Sが、接地ではない外部負荷に接続された場合であっても、FET20の動作状態を円滑且つ正確に制御することができる。
【0068】
一方、充電状態推定装置100に備えられた制御部140は、本発明で実行される多様な制御ロジックを実行するため、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジックがソフトウェアとして具現されるとき、制御部140はプログラムモジュールの集合として具現され得る。このとき、プログラムモジュールはメモリに保存され、制御部140によって実行され得る。メモリは、制御部140の内部または外部に備えられ得、周知の多様な手段で制御部140と接続され得る。
【0069】
以下、本発明の一実施形態によるFET制御装置100の例示的構成についてより詳しく説明する。
【0070】
放電ラインは、ゲート端子Gとキャパシタ110の一端C1とを接続するように構成された第1スイッチSW1が備えられた第1単位ライン、及びソース端子Sとキャパシタ110の他端C2とを接続するように構成された第2スイッチSW2が備えられた第2単位ラインを含むように構成され得る。
【0071】
具体的には、放電ラインは、第1単位ライン及び第2単位ラインから構成され得る。第1単位ラインには、FET20のゲート端子Gとキャパシタ110の一端C1との接続をターンオン又はターンオフする第1スイッチSW1が配置され得る。そして、第2単位ラインには、FET20のソース端子Sとキャパシタ110の他端C2との接続をターンオン又はターンオフする第2スイッチSW2が配置され得る。
【0072】
例えば、
図2の実施形態において、第1単位ラインは、ゲート端子Gとキャパシタ110の一端C1との間のラインであり得る。第1単位ラインには、ゲート端子G及びキャパシタ110の一端C1と直列で接続された第1スイッチSW1が配置され得る。そして、第2単位ラインは、ソース端子Sとキャパシタ110の他端C2との間のラインであり得る。第2単位ラインには、ソース端子S及びキャパシタ110の他端C2と直列で接続された第2スイッチSW2が配置され得る。
【0073】
また、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、制御部140によって動作状態が制御され得る。
【0074】
例えば、
図2の実施形態において、制御部140は、第1制御ラインCL1を通じて第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2と接続され得る。そして、制御部140は、動作状態制御信号を第1制御ラインCL1に出力し、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態を制御することができる。ここで、動作状態制御信号には、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態をターンオン状態に切り換えるためのターンオン制御信号、及びターンオフ状態に切り換えるためのターンオフ制御信号が含まれ得る。
【0075】
充電ラインは、キャパシタ110の一端C1と電圧源120の正極端子とを接続するように構成された第3スイッチSW3が備えられた第3単位ライン、及びキャパシタ110の他端C2と電圧源120の負極端子とを接続するように構成された第4スイッチSW4が備えられた第4単位ラインを含むように構成され得る。
【0076】
具体的には、充電ラインは、第3単位ライン及び第4単位ラインから構成され得る。第3単位ラインには、電圧源120の一端とキャパシタ110の一端C1との接続をターンオン又はターンオフする第3スイッチSW3が配置され得る。そして、第4単位ラインには、電圧源120の他端とキャパシタ110の他端C2との接続をターンオン又はターンオフする第4スイッチSW4が配置され得る。ここで、電圧源120の一端は電圧源120の正極端子であり、電圧源120の他端は電圧源120の負極端子であり得る。
【0077】
例えば、
図2の実施形態において、第3単位ラインは、電圧源120の一端とキャパシタ110の一端C1との間のラインであり得る。第3単位ラインには、電圧源120の一端及びキャパシタ110の一端C1と直列で接続された第3スイッチSW3が配置され得る。そして、第4単位ラインは、電圧源120の他端とキャパシタ110の他端C2との間のラインであり得る。第4単位ラインには、電圧源120の他端及びキャパシタ110の他端C2と直列で接続された第4スイッチSW4が配置され得る。
【0078】
また、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4は、制御部140によって動作状態が制御され得る。
【0079】
例えば、
図2の実施形態において、制御部140は、第2制御ラインCL2を通じて第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4と接続され得る。そして、制御部140は、動作状態制御信号を第2制御ラインCL2に出力し、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態を制御することができる。ここで、動作状態制御信号には、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオン状態に切り換えるためのターンオン制御信号、及びターンオフ状態で切り換えるためのターンオフ制御信号が含まれ得る。
【0080】
望ましくは、キャパシタ110の一端C1は、第1スイッチSW1と第3スイッチSW3との間に接続されるように構成され得る。また、キャパシタ110の他端C2は、第2スイッチSW2と第4スイッチSW4との間に接続されるように構成され得る。
【0081】
例えば、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態がターンオン状態であって、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態がターンオフ状態であれば、キャパシタ110は放電できる。すなわち、キャパシタ110に貯蔵された電流がFET20に向かって出力できる。より具体的には、キャパシタ110に貯蔵された電流がFET20のゲート端子Gに向かって出力できる。
【0082】
他の例として、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態がターンオン状態であって、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態がターンオフ状態であれば、キャパシタ110は電圧源120によって充電できる。すなわち、電圧源120から出力された電流がキャパシタ110に印加できる。
【0083】
制御部140は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態を同時に制御し、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態を同時に制御するように構成され得る。
【0084】
すなわち、制御部140は、充電ラインを通電させるとき、放電ラインとキャパシタ110との間の接続を遮断させ、放電ラインを通電させるとき、充電ラインとキャパシタ110との間の接続を遮断させ得る。
【0085】
制御部140が第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態を制御する例は、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0086】
図3は、本発明の一実施形態によるFET制御装置100を含むバッテリーパック1において、キャパシタ110が充電されるときの例示的構成を示した図である。
図4は、本発明の一実施形態によるFET制御装置100を含むバッテリーパック1において、キャパシタ110が放電するときの例示的構成を示した図である。
【0087】
図3を参照すると、制御部140は、キャパシタ110を充電させようとするとき、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオン状態に制御し得る。具体的には、制御部140は、第2制御ラインCL2にターンオン制御信号を出力し、第1制御ラインCL1にターンオフ制御信号を出力し得る。この場合、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態はターンオフ状態に、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態はターンオン状態になる。電圧源120、第3スイッチSW3、キャパシタ110及び第4スイッチSW4が閉回路を形成し、電圧源120によってキャパシタ110を充電することができる。
【0088】
図4を参照すると、制御部140は、キャパシタ110を放電させてFET20の動作状態をターンオン状態に切り換えようとするとき、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態をターンオン状態に制御し得る。具体的には、制御部140は、第1ラインにターンオン制御信号を出力し、第2制御ラインCL2にターンオフ制御信号を出力し得る。この場合、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態はターンオン状態に、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態はターンオフ状態になる。キャパシタ110、第1スイッチSW1、FET20、第2スイッチSW2が閉回路を形成し、FET20の動作状態がターンオン状態に切り換えられる。
【0089】
すなわち、本発明の一実施形態によるFET制御装置100は、キャパシタ110を充電させるための単位回路及びキャパシタ110を放電させるための単位回路をそれぞれ備え得る。そして、FET制御装置100は、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)以上になるまでキャパシタ110を充電させることができる。したがって、ソース端子Sの電圧(Vs)に基づいた目標電圧(Vt)に対応するようにキャパシタ110の電圧を充電できるため、FET20の動作状態をソース端子Sの電圧(Vs)に適応的に制御することができる。
【0090】
制御部140は、キャパシタ110の充電が完了した後、所定の制御周期毎に、充電ライン及び放電ラインのいずれか一方を通電させ、他方を遮断させるように構成され得る。
【0091】
例えば、キャパシタ110を充電させてキャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)以上になった後、充電ラインを通電させてFET20の動作状態をターンオン状態に維持し続けば、キャパシタ110の電圧が徐々に低くなり得る。すなわち、キャパシタ110に貯蔵された電流が継続して出力されるため、キャパシタ110の電圧は徐々に低くなり、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)未満になり得る。この場合、FET20のゲート端子Gの電圧(Vg)とソース端子Sの電圧(Vs)との差であるゲート電圧(Vgs)が予め設定された臨界電圧(Vth)よりも低くなるため、FET20の動作状態がターンオフ状態に切り換えられ得る。
【0092】
したがって、制御部140は、所定の制御周期毎に充電ラインと放電ラインとを交互に通電させることで、FET20のゲート端子Gに印加される電圧を一定範囲内に維持させることができる。
【0093】
例えば、制御部140は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態をターンオン状態に制御すれば、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオフ状態に制御し得る。そして、制御部140は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態をターンオフ状態に制御すれば、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオン状態に制御し得る。すなわち、
図3及び
図4に示されたように、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態が所定の制御周期毎に切り換えられ得る。
【0094】
望ましくは、所定の制御周期は0.3ms(例えば、3kHzの周波数)~10ms(例えば、100Hzの周波数)のうちいずれか一つに設定され得る。より望ましくは、所定の制御周期は0.5ms(例えば、2kHzの周波数)に設定され得る。
【0095】
図5は、本発明の一実施形態によるFET制御装置100において、キャパシタ110の電圧変化の例を示した図である。
【0096】
以下では、
図5において、t0以前の時点では第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態がすべてターンオン状態であると仮定する。また、目標電圧(Vt)は、FET20のソース端子Sの電圧(Vs)及び予め設定された臨界電圧(Vth)に基づいてVtに設定されたと仮定する。
【0097】
図5を参照すると、t0でキャパシタ110の充電が開始される。例えば、t0において、制御部140は、第2制御ラインCL2にターンオン制御信号を出力して、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオン状態に切り換え得る。
【0098】
t0~t2において、キャパシタ110が充電される。ここで、制御部140は、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)より一定電圧(△V)以上になるまで充電ラインを通電させ得る。すなわち、t1でキャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)に到達するが、制御部140は、t2まで充電ラインを通電させることで、キャパシタ110の電圧を目標電圧(Vt)よりも一定電圧(△V)以上になるようにし得る。
【0099】
ここで、一定電圧(△V)は、制御部140によって予め設定された電圧値であり得る。例えば、一定電圧(△V)は、0[V]以上であり得る。望ましくは、一定電圧(△V)は0.1[V]であり得る。すなわち、制御部140は、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)よりも0.1[V]だけ大きくなるように充電ラインを通電させ得る。
【0100】
放電ラインが通電されてキャパシタ110が放電すれば、キャパシタ110の電圧が減少するため、FET20の動作状態が突然ターンオフ状態に切り換えられることを防止するために、制御部140は、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)より一定電圧(△V)以上になるまで充電ラインを通電させることができる。
【0101】
そして、t2~t3に亘って、キャパシタ110は放電し得る。t2において、制御部140は、第2制御ラインCL2にターンオフ制御信号を出力して第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオフ状態に切り換え、第1制御ラインCL1にターンオン制御信号を出力して第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の動作状態をターンオン状態に切り換え得る。
【0102】
図5に示されたように、キャパシタ110が充電されるとき(t0~t2)はキャパシタ110の電圧が指数的に増加し、キャパシタ110が放電するとき(t2~t3)はキャパシタ110の電圧が指数的に減少し得る。したがって、制御部140が充電ライン及び放電ラインを交互に通電させることで、t1~t3に亘ってキャパシタ110の電圧は一定電圧(△V)範囲内で目標電圧(Vt)以上に維持し得る。
【0103】
t3の後、制御部140は、充電ラインと放電ラインとを交互に通電させ得る。制御部140は、t3~t4に亘って充電ラインを通電させ、t4~t5に亘って放電ラインを通電させ、t5~t6に亘って充電ラインを通電させ、t6~t7に亘って放電ラインを通電させ得る。ここで、充電ラインが通電されるとき、放電ラインの接続は遮断され、放電ラインが通電されるとき、充電ラインの接続は遮断され得る。
【0104】
例えば、所定の制御周期が0.5msに設定されたと仮定すれば、制御部140は、0.5ms毎に充電ラインまたは放電ラインを通電させ得る。すなわち、
図5の実施形態において、t1、t3、t5及びt7には0.5msずつの差があり得る。また、
図5の実施形態において、t2、t4及びt6には0.5msずつ差があり得る。
【0105】
したがって、本発明の一実施形態によるFET制御装置100は、充電ラインと放電ラインとを交互に通電させることで、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)以上になるように維持させることができる。また、FET制御装置100は、一定範囲内でキャパシタ110の電圧を一定に維持させて、FET20のゲート端子Gに印加される電圧を一定に維持させることができる。したがって、過電圧印加によるFET20の故障を予防することができる。
【0106】
望ましくは、所定の制御周期は、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)以上に維持されるように設定された周期であり得る。
【0107】
具体的には、所定の制御周期は、充電されたキャパシタ110が放電するとき、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)に到達するまでかかる時間に対応するように設定され得る。
【0108】
例えば、
図5を参照すると、t0~t2において、キャパシタ110は電圧が目標電圧(Vt)よりも一定電圧(△V)以上になるまで充電され得る。そして、制御部140は、充電が完了したキャパシタ110が放電するとき、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)に到達するまでかかる時間(t2~t3)を予め算出し、算出された時間を制御周期として設定し得る。ここで、制御部140は、キャパシタ110の時定数及び一定電圧(△V)の大きさに基づいて、制御周期を算出し得る。ここで、キャパシタ110の時定数とは、キャパシタ110の充電時間及び放電時間を算出するときに使われる一般的な用語であって、これについての詳しい説明は省略する。
【0109】
そして、制御部140は、所定の周期毎に充電ラインと放電ラインとを交互に通電させることで、キャパシタ110の電圧を目標電圧(Vt)以上に維持させることができる。
【0110】
例えば、
図5の実施形態において、制御部140は、t0、t3、t5及びt7で充電ラインを通電させ、放電ラインの接続を遮断させ得る。そして、制御部140は、t2、t4及びt6で放電ラインを通電させ、充電ラインの接続を遮断させ得る。
【0111】
したがって、本発明の一実施形態によるFET制御装置100は、FET20のゲート端子Gに一定範囲内の電圧を印加させることができる。すなわち、FET制御装置100は、ゲート電圧(Vgs)を臨界電圧(Vth)以上に維持させることで、FET20の動作状態が突然ターンオフ状態に切り換えられることを防止することができる。
【0112】
制御部140は、ソース端子Sの電圧(Vs)が変更された場合、変更されたソース端子Sの電圧(Vs)に対応するように目標電圧(Vt)を再設定するように構成され得る。
【0113】
図6は、本発明の一実施形態によるFET制御装置100において、キャパシタ110の電圧変化の他の例を示した図である。
【0114】
図6は、t3でソース端子Sの電圧(Vs)が変更されたときのキャパシタ110の電圧変化を示した図である。具体的には、
図6は、t3におけるソース端子Sの電圧(Vs)がt0におけるソース端子Sの電圧(Vs)よりも増加した場合を示した図である。
【0115】
ソース端子Sの電圧(Vs)が増加した場合とは、バッテリーパック1に接続される負荷の電圧が増加した場合、または、FET20のソース端子Sに接続された抵抗の大きさが減少してFET20のソース端子Sに印加される電圧が増加した場合であり得る。例えば、FET20の動作状態がターンオフ状態であるとき、バッテリーパック1の正極端子P+を通じてFET20のソース端子Sに印加される電圧が増加した場合であり得る。以下、ソース端子Sの電圧(Vs)が増加した場合のみについて説明するが、ソース端子Sの電圧(Vs)が減少した場合にも本発明の一実施形態によるFET制御装置100が適用可能なことは勿論である。
【0116】
図6の実施形態を参照すると、制御部140は、t0でソース端子Sの電圧(Vs)に対応して第1目標電圧(Vt1)を設定し得る。そして、t3でソース端子Sの電圧(Vs)が増加した場合、制御部140は、増加したソース端子Sの電圧(Vs)に対応して第2目標電圧(Vt2)を設定し得る。t3の後、制御部140は、キャパシタ110の電圧が設定した第2目標電圧(Vt2)よりも一定電圧(△V)以上になるように、充電ラインを通電させる時間を増加させることができる。
【0117】
例えば、FET20の臨界電圧(Vth)が3[V]であり、t0におけるソース端子Sの電圧(Vs)が1[V]であり、t3以後のソース端子Sの電圧(Vs)が2[V]であると仮定する。制御部140は、t0において、第1目標電圧(Vt1)を臨界電圧(Vth)とソース端子Sの電圧(Vs)との和である4[V]に設定し得る。そして、制御部140は、t3において、第2目標電圧(Vt2)を臨界電圧(Vth)と増加したソース端子Sの電圧(Vs)との和である5[V]に設定し得る。もし、t3以後に目標電圧(Vt)が変更されなければ、FET20のゲート電圧(Vgs)は臨界電圧(Vth)よりも低くなり得る。この場合、FET20の動作状態が突然ターンオフ状態に切り換えられ得るため、制御部140は、変更されたソース端子Sの電圧(Vs)に対応するように目標電圧(Vt)を再設定することができる。
【0118】
そして、制御部140は、再設定された目標電圧(Vt)に基づいて所定の制御周期を変更するように構成され得る。
【0119】
図6の実施形態において、t3の後、制御部140は、キャパシタ110の電圧が第2目標電圧(Vt2)よりも一定電圧(△V)以上になるまで充電ラインを通電させてキャパシタ110を充電し得る。そして、制御部140は、キャパシタ110の時定数を考慮して、充電が完了したキャパシタ110が第2目標電圧(Vt2)に到達するまでの時間を算出することができる。制御部140は、算出した時間で所定の制御周期を変更し得る。すなわち、t1~t3の時間は変更前の制御周期であり、t4~t6及びt6~t8の時間は変更された制御周期であり得る。例えば、変更前の制御周期は0.5msであり、変更後の制御周期は0.7msであり得る。
【0120】
t3の後、制御部140は、再設定された第2目標電圧(Vt2)及び変更された制御周期に基づいて、充電ライン及び放電ラインを交互に通電させることで、FET20の動作状態を制御することができる。
【0121】
したがって、本発明の一実施形態によるFET制御装置100は、FET20のソース端子Sに印加される電圧が変更されても、FET20のゲート端子Gに印加される電圧を適応的に変更させることで、FET20の動作状態を制御することができる。
【0122】
測定部130は、ドレイン端子Dの電圧(Vd)をさらに測定するように構成され得る。
【0123】
例えば、
図2を参照すると、測定部130は、第1センシングラインSL1を通じてFET20のドレイン端子Dと電気的に接続され得る。そして、測定部130は、第1センシングラインSL1を通じてドレイン端子Dの電圧(Vd)を測定することができる。
【0124】
制御部140は、測定部130からドレイン端子Dの電圧(Vd)を受信するように構成され得る。
【0125】
測定部130は、測定したドレイン端子Dの電圧(Vd)をデジタル信号の形態で変換し得る。そして、測定部130は、変換したデジタル信号を制御部140と接続されたラインに出力することができる。制御部140は、測定部130からデジタル信号を受信し、受信したデジタル信号を読み出して測定部130が測定したドレイン端子Dの電圧(Vd)を取得することができる。
【0126】
また、制御部140は、FET20の動作状態に基づいてドレイン端子Dの電圧(Vd)とソース端子Sの電圧(Vs)とを比較して、FET20の故障を診断するように構成され得る。
【0127】
具体的には、制御部140は、充電ラインを通電させた後、ドレイン端子Dの電圧(Vd)とソース端子Sの電圧(Vs)とを比較し得る。このとき、ドレイン端子Dの電圧(Vd)とソース端子Sの電圧(Vs)とが等しければ、制御部140は、FET20の動作状態がターンオン状態に正常に切り換えられたと判断することができる。すなわち、この場合、制御部140は、FET20の状態を正常状態と診断することができる。もし、ドレイン端子Dの電圧(Vd)とソース端子Sの電圧(Vs)とが等しくなければ、制御部140は、FET20の状態を故障状態と診断することができる。特に、制御部140はFET20の状態を、動作状態がターンオン状態に切り換えられないターンオン故障状態と診断することができる。
【0128】
したがって、本発明の一実施形態によるFET制御装置100は、FET20のドレイン端子Dの電圧(Vd)とソース端子Sの電圧(Vs)とを比較して、FET20の故障を診断することができる。
【0129】
また、本発明によるFET制御装置100は、バッテリーパック1に備えられ得る。すなわち、本発明によるバッテリーパック1は、上述したFET制御装置100及び一つ以上のバッテリーセル10を含むことができる。また、バッテリーパック1は、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含むことができる。
【0130】
例えば、
図2を参照すると、バッテリーパック1にはバッテリーセル10、FET20及びFET制御装置100が含まれ得る。ここで、FET20のドレイン端子Dはバッテリーセル10の正極端子に接続され、FET20のソース端子Sはバッテリーパック1の正極端子P+に接続され、FET20のゲート端子Gとソース端子Sとの間にはキャパシタ110が接続され得る。
【0131】
図7は、本発明の他の実施形態によるFET制御方法を概略的に示した図である。
【0132】
FET制御方法は、本発明の一実施形態によるFET制御装置100によって実行できる。
【0133】
図7を参照すると、FET制御方法は、電圧測定段階S100、目標電圧設定段階S200、キャパシタ充電段階S300及びFET動作状態制御段階S400を含むことができる。
【0134】
電圧測定段階S100は、ソース端子Sの電圧(Vs)及びFET20に並列で接続されたキャパシタ110の電圧を測定する段階であって、測定部130によって実行できる。
【0135】
例えば、
図2の実施形態において、測定部130は、第2センシングラインSL2を通じてFET20のソース端子Sの電圧(Vs)を測定することができる。そして、測定部130は、第3センシングラインSL3及び第4センシングラインSL4を通じてキャパシタ110の電圧を測定することができる。
【0136】
目標電圧設定段階S200は、電圧測定段階S100で測定されたソース端子Sの電圧(Vs)に基づいて目標電圧(Vt)を設定する段階であって、制御部140によって実行できる。
【0137】
制御部140は、測定部130が測定したソース端子Sの電圧(Vs)と予め設定されたFET20の臨界電圧(Vth)とを足して目標電圧(Vt)を設定することができる。
【0138】
キャパシタ充電段階S300は、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)以上になるようにキャパシタ110を充電する段階であって、制御部140によって実行できる。
【0139】
具体的には、制御部140は、目標電圧(Vt)を設定した後、充電ライン上に配置された第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオン状態に制御してキャパシタ110を充電させることができる。
【0140】
そして、制御部140は、測定部130からキャパシタ110の電圧を受信し、キャパシタ110の電圧が目標電圧(Vt)より一定電圧(△V)以上になるまで第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の動作状態をターンオン状態に維持し得る。
【0141】
FET動作状態制御段階S400は、キャパシタ充電段階S300で充電が完了したキャパシタ110を用いてFET20の動作状態を制御する段階であって、制御部140によって実行できる。
【0142】
制御部140は、充電ライン及び放電ラインを交互に通電させることで、FET20の動作状態を制御することができる。このとき、制御部140は、所定の制御周期で充電ライン及び放電ラインを交互に通電させることで、キャパシタ110の電圧を目標電圧(Vt)以上に維持し得る。
【0143】
また、制御部140は、FET20の動作状態の制御中に、ソース端子Sに印加される電圧が変更された場合、変更されたソース端子Sの電圧(Vs)に対応するように目標電圧(Vt)を再設定し、再設定された目標電圧(Vt)に基づいて所定の制御周期を変更し得る。その後、制御部140は、変更された制御周期に基づいて充電ライン及び放電ラインを交互に通電させることで、キャパシタ110の電圧を再設定された目標電圧(Vt)以上に維持し得る。
【0144】
本発明によるFET制御装置100は、BMS(Battery Management System:バッテリー管理システム)に適用され得る。すなわち、本発明によるBMSは、上述したFET制御装置100を含むことができる。このような構成において、FET制御装置100の各構成要素のうち少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完するか又は追加することで具現され得る。例えば、FET制御装置100のキャパシタ110、電圧源120、測定部130及び制御部140はBMSの構成要素として具現され得る。
【0145】
上述した本発明の実施形態は、装置及び方法のみによって具現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じても具現され得、このような具現は上述した実施形態の記載から当業者であれば容易に具現できるであろう。
【0146】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0147】
また、上述した本発明は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であって、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、多様な変形のため各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
【符号の説明】
【0148】
1:バッテリーパック
10:バッテリーセル
20:FET
100:FET制御装置
110:キャパシタ
120:電圧源
130:測定部
140:制御部