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特許7401083画像生成装置、画像生成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/58 20060101AFI20231212BHJP
   G01S 15/89 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01S7/58
G01S15/89 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019079539
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2020176926
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】畠山 康義
(72)【発明者】
【氏名】茂木 敏信
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018036(JP,A)
【文献】特開平07-063852(JP,A)
【文献】特開平11-153667(JP,A)
【文献】特開2002-286835(JP,A)
【文献】特開平09-043350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72- 1/82
G01S 3/80- 3/86
G01S 5/18- 5/30
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーナーから水底へ向けて発射したビームが水中の目標物又は前記水底によって形成される反射面で反射した反射ビームに基づいて、上方から前記水中を見たときの前記反射面の画像を生成する画像生成装置であって、
前記ソーナーによって受信される前記反射ビームの受信角度と、前記ソーナーにおける前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離と、を含む受信ビームデータを取得し、取得した前記受信ビームデータに基づいて、前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離を検出する検出部と、
前記距離と前記受信角度とに基づいて、前記水底からの垂直方向の距離を示す高度が最も高い前記目標物の頂点から前記水底までを対象範囲として設定する範囲設定部と、
反射された前記ビームに基づく、上方から前記水中を見たときの所定範囲の前記反射面の画像であって、前記対象範囲を前記高度に応じて階層化した場合のそれぞれの階層を異なる態様で表示した前記画像を生成する画像生成部と、
を備える画像生成装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記発射位置を原点とする極座標における前記反射面の位置を直交座標に変換して表したときの、前記発射位置を含み鉛直方向に直交する水平面と前記反射面との距離に基づいて、前記対象範囲を階層化する、
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記受信ビームデータは、前記反射ビームの振幅値をさらに含み、
前記画像生成部が所定の広さを対象とする前記画像を生成し、反射した前記ビームの振幅値が所定の閾値以上となるデータを有効データとする場合、
前記範囲設定部は、前記発射位置から前記反射面までの距離が短い方から順に、前記画像を構成する画素ごとに前記有効データに対応する画素の数を累積し、その累積した値が所定の範囲内となる前記距離の上限値と下限値を検出する、
請求項1から請求項2の何れか1項に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記範囲設定部は、前記画素に複数の異なる前記距離で反射した前記ビームが対応する場合、最も遠い位置で反射した前記ビームに基づいて、前記有効データか否かを判定する、
請求項3に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、前記対象範囲以外を、前記対象範囲の何れの階層とも異なる態様で表示する画像を生成する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
ソーナーから水底へ向けて発射したビームが水中の目標物又は前記水底によって形成される反射面で反射した反射ビームに基づいて、上方から前記水中を見たときの前記反射面の画像を生成する画像生成方法であって、
前記ソーナーによって受信される前記反射ビームの受信角度と、前記ソーナーにおける前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離と、を含む受信ビームデータを取得し、取得した前記受信ビームデータに基づいて、前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離を検出するステップと、
前記距離と前記受信角度とに基づいて、前記水底からの垂直方向の距離を示す高度が最も高い前記目標物の頂点から前記水底までを対象範囲として設定するステップと、
反射された前記ビームに基づく、上方から前記水中を見たときの所定範囲の前記反射面の画像であって、前記対象範囲を前記高度に応じて階層化した場合のそれぞれの階層が異なる態様で表示された前記画像を生成するステップと、
を有する、画像生成方法。
【請求項7】
コンピュータに、
ソーナーから水底へ向けて発射したビームが水中の目標物又は前記水底によって形成される反射面で反射した反射ビームに基づいて、上方から前記水中を見たときの前記反射面の画像を生成する処理であって、
前記ソーナーによって受信される前記反射ビームの受信角度と、前記ソーナーにおける前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離と、を含む受信ビームデータを取得し、取得した前記受信ビームデータに基づいて、前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離を検出するステップと、
前記距離と前記受信角度とに基づいて、前記水底からの垂直方向の距離を示す高度が最も高い前記目標物の頂点から前記水底までを対象範囲として設定するステップと、
反射された前記ビームに基づく、上方から前記水中を見たときの所定範囲の前記反射面の画像であって、前記対象範囲を前記高度に応じて階層化した場合のそれぞれの階層が異なる態様で表示された前記画像を生成するステップと、
を有する処理、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水底へ向けて音波などのビームを発射し、水中の目標物や水底で反射したビームが到着するまでの時間によって水深や水底表面の形状などを探索する方法が知られている。例えば、特許文献1には、クロスファンビーム方式によって水中の目標物や水底の画像を表示する装置について開示がある。水底表面の探索結果は、白黒の陰影画像で表示されることが多い。陰影画像で表示すると、特に目標物の真上方向からビームを発射した場合に、目標物の陰影が付きにくく、目視による判別が困難な場合がある。
【0003】
これに対し、探索結果を、ビームを発射するソーナーから水底までの距離に応じたN階層(例えば、256階層)の色を付した画像で表示する方法が提供されている。このような表示方法は、魚探や測深儀の表示装置で使用されている。
関連する技術として、特許文献2には、目標物によって反射された音波の受信レベルに応じて色を付した画像を表示する水中画像ソーナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平08-5728号公報
【文献】特開2006-064524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ソーナーと水底までの距離に応じて色を付すと、ビームの進行方向における探索距離全体に対して目標物が小さいため、目標物での色の変化が小さく、目標物を鮮明に表示することが難しいことがある。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する画像生成装置、画像生成方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、画像生成装置は、ソーナーから水底へ向けて発射したビームが、水中の目標物又は前記水底によって形成される反射面で反射した反射ビームに基づいて、上方から前記水中を見たときの前記反射面の画像を生成する画像生成装置であって、前記ソーナーによって受信される前記反射ビームの受信角度と、前記ソーナーにおける前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離と、を含む受信ビームデータを取得し、取得した前記受信ビームデータに基づいて、前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離を検出する検出部と、前記距離と前記受信角度とに基づいて、前記水底からの垂直方向の距離を示す高度が最も高い前記目標物の頂点から前記水底までを対象範囲として設定する範囲設定部と、反射された前記ビームに基づく、上方から前記水中を見たときの所定範囲の前記反射面の画像であって、前記対象範囲を前記高度に応じて階層化した場合のそれぞれの階層を異なる態様で表示した前記画像を生成する画像生成部と、を備える。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、画像生成方法は、ソーナーから水底へ向けて発射したビームが、水中の目標物又は前記水底によって形成される反射面で反射した反射ビームに基づいて、上方から前記水中を見たときの前記反射面の画像を生成する画像生成方法であって、前記ソーナーによって受信される前記反射ビームの受信角度と、前記ソーナーにおける前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離と、を含む受信ビームデータを取得し、取得した前記受信ビームデータに基づいて、前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離を検出するステップと、前記距離と前記受信角度とに基づいて、前記水底からの垂直方向の距離を示す高度が最も高い前記目標物の頂点から前記水底までを対象範囲として設定するステップと、反射された前記ビームに基づく、上方から前記水中を見たときの所定範囲の前記反射面の画像であって、前記対象範囲を前記高度に応じて階層化した場合のそれぞれの階層が異なる態様で表示された前記画像を生成するステップと、を有する。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、ソーナーから水底へ向けて発射したビームが、水中の目標物又は前記水底によって形成される反射面で反射した反射ビームに基づいて、上方から前記水中を見たときの前記反射面の画像を生成する処理であって、前記ソーナーによって受信される前記反射ビームの受信角度と、前記ソーナーにおける前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離と、を含む受信ビームデータを取得し、取得した前記受信ビームデータに基づいて、前記ビームの発射位置から前記反射面までの距離を検出するステップと、前記距離と前記受信角度とに基づいて、前記水底からの垂直方向の距離を示す高度が最も高い前記目標物の頂点から前記水底までを対象範囲として設定するステップと、反射された前記ビームに基づく、上方から前記水中を見たときの所定範囲の前記反射面の画像であって、前記対象範囲を前記高度に応じて階層化した場合のそれぞれの階層が異なる態様で表示された前記画像を生成するステップと、を有する処理、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水中の目標物を明確に表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による画像生成装置の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による画像生成処理を説明する第1の図である。
図3】本発明の一実施形態による画像生成処理を説明する第2の図である。
図4】本発明の一実施形態による画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による画像生成装置の最小構成を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による画像生成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態に係る画像生成装置について図1図6を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態による画像生成装置の一例を示すブロック図である。
画像生成装置10は、水底探索用のソーナー1と、表示装置2と接続されている。
【0013】
ソーナー1は、例えば、クロスファンビーム方式でマルチビームを発射し、水中の目標物や水底などで反射したビームを受信する。ソーナー1は、受信した反射ビームに基づいて受信ビームデータを生成し、受信ビームデータを画像生成装置10へ出力する。ソーナー1が出力する受信ビームデータには、受信した反射ビームのレンジ(ソーナー1と反射位置の間の距離)と、反射ビームの振幅値と、反射ビームの受信角度が含まれている。
【0014】
画像生成装置10は、水中の目標物又は水底によって形成される反射面がソーナー1のビームを反射した反射ビームに基づいて反射面の画像を生成する。以下、この画像を水中画像と記載する。水中画像は、所定範囲の水中を上から見た画像である。
表示装置2は、水中画像を表示するモニタである。
【0015】
以下、画像生成装置10について詳しく説明する。図1に示すように画像生成装置10は、データ取得部11と、範囲設定部12と、座標変換部13と、画像生成部14と、記憶部15と、出力部16と、を備える。
【0016】
データ取得部11は、ソーナー1が出力した受信ビームデータ(反射ビームのレンジ、振幅、角度)を取得する。
範囲設定部12は、受信ビームデータに基づいて、ソーナー1が発射したビームが届く範囲の中で対象を鮮明に表示すべき範囲(ビームの進行方向の範囲)を設定する。換言すれば、鮮明に表示すべき反射面が存在する位置の範囲を設定する。
座標変換部13は、受信ビームデータに含まれるレンジと受信角度で示されるビームの反射位置を極座標から直交座標に変換する。
画像生成部14は、範囲設定部12が設定した範囲を、水底からの高度(水底からの垂直方向の距離)に応じて階層化し、各階層を異なる色で表示する水中画像を生成する。
記憶部15は、受信ビームデータや閾値などの設定情報を記憶する。
出力部16は、画像生成部14が生成した水中画像を表示装置2に出力する。
【0017】
次に、本実施形態の画像生成処理について図2図4を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態による画像生成処理を説明する第1の図である。
図2にソーナー1が、水底に向かってマルチファンビームを発射する様子を示す。ソーナー1は、図2に例示するように紙面の横方向に長い扇形のビームを水底に向けて発射し、横方向に長く発射されたビームに対する反射ビームを受信する。ソーナー1は、例えば、船の底部に設けられ、船の移動方向と直交する方向に長いビームを発射する。船の移動とともにソーナー1からビームを発射し、その反射ビームを受信することで広範囲の探索が可能である。図2の実線の扇形は、発射されるビームが到達する範囲(探索範囲)を示している。レンジR0は、ビームの到達距離である。ソーナー1は、マルチファンビームが届く範囲に存在する反射面によって反射されるビームを受信する。ここで、レンジR0の全体をN層に階層化して、ソーナー1からの距離に応じて異なる色を付して表示するとする。すると、実線Nと破線N-1で挟まれた範囲に存在する反射面は同一の色で示される。同様に破線N-1と破線N-2で挟まれた範囲に存在する反射面、破線N-2と破線N-3で挟まれた範囲に存在する反射面も同一の色で示される。探索範囲の全体を階層化して表示すると、例えば、レンジR0に対して目標物Pが小さい場合には、目標物Pの全体が同じ色で表示され、目標物の形状を明確に表示することができない。また、目標物が大きい場合でも、分解能が荒いため、全体の正確な形状を明確に表示することができない。そこで、本実施形態では、ビームを反射する対象が存在する範囲を検出して、その範囲に限定してN層に階層化することで分解能を向上させ、水中の目標物Pや水底の形状を明確に表示できるようにする。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態による画像生成処理を説明する第2の図である。図3に本実施形態でN層に階層化する範囲を示す範囲R1を示す。本実施形態では、ソーナー1の探索距離(図2のレンジR0)に関係なく、目標物Pの水底からの高度に注目する。そして、目標物Pの頂点(水底からの高度が最も高い点)から水底までに距離範囲を絞って、この範囲をN階層で表示することにより目標の判別を容易にする。図3の破線S1~SNは、目標物Pの頂点から水底までの範囲R1をN階層化する境界線である。範囲設定部12は、目標物Pの頂点から水底までの範囲R1を階層化の対象範囲として設定する。ソーナー1からの距離ではなく、水底からの高度に応じた階層化を実行するために、座標変換部13は、受信ビームデータを極座標から直交座標に変換する。画像生成部14は、直交座標に変換した後の範囲R1をN個の層に階層化して各層に異なる色を割り当てた水中画像を生成する。図3の例によれば、目標物Pが水底からの高度に応じてN個の異なる色で表示されるので、目標物Pの全体像や凹凸がより鮮明に表現され、目標の目視による判別がより容易になる。
【0019】
このように、本実施形態では、直交座標変換を行って、ソーナー1からのレンジをソーナー1の音響水平面からの距離(あるいは、水底を基準とする高度値)に変換する。そして、ソーナー1からのレンジに関係なく目標頂点と水底の間をN個の層に分割してN色で表示する。この処理を実現するためには「目標頂点」と「水底」の高度値を検出する必要がある。次に「目標頂点」と「水底」の検出処理および水中画像の生成処理について説明する。
【0020】
図4は、本発明の一実施形態による画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部11が、ソーナー1から受信ビームデータを取得する(ステップS11)。
【0021】
次に範囲設定部12が、受信ビームデータを有効データと無効データに振り分ける(ステップS12)。具体的には、範囲設定部12は、受信ビームデータに含まれる反射ビームの振幅値がXdB以上(Xは所定の閾値)の受信ビームデータを有効データ、振幅値がXdB未満の受信ビームデータを無効データとして振り分ける。範囲設定部12は、この振り分け処理を画素単位で行う。例えば、所定範囲から反射された反射ビームに基づいて矩形の水中画像を作成する場合、水中画像の画素ごとに受信ビームデータに含まれるレンジ及び角度を対応付けることができる。例えば、記憶部15には、所定の画素数を有する水中画像の各画素と受信ビームデータの対応関係を示す情報が設定されている。範囲設定部12は、記憶部15が記憶する対応関係の情報に基づいて、画素ごとに、その画素に対応する受信ビームデータが有効データか、無効データかを振り分ける。1つの画素に複数の受信ビームデータが対応付けられている場合、範囲設定部12は、最もレンジの長い(ソーナー1から遠い)受信ビームデータに含まれる振幅値に基づいて、有効データ又は無効データの振り分けを行う。
【0022】
画素別の有効データ/無効データの振り分けが終わると、範囲設定部12は、有効データに振り分けた画素数をカウントして、有効データの総数Gを算出する(ステップS13)。
【0023】
次に範囲設定部12は、目標頂点のレンジを検出する(ステップS14)。目標頂点とは、ソーナー1に最も近い反射面、例えば、図3の例では、目標物Pの最上位面である。範囲設定部12は、レンジが短い(ソーナー1に近い)ものから順に、有効データとしてカウントした画素をカウントし、累積加算する。そして、範囲設定部12は、総数Gを100%としたときの累積加算した画素数がT%(Tは所定の定数、例えば5%)を超えると、その画素に対応する受信ビームデータのレンジを「目標頂点のレンジ(Rt)」とする。目標頂点のレンジ(Rt)とは、例えば、図2の例ではソーナー1から目標物Pの最上位面までの距離L1である。
【0024】
次に範囲設定部12は、水底のレンジを検出する(ステップS15)。具体的には、範囲設定部12は、有効データとしてカウントした画素の累積加算を継続し、累積加算した画素数が、総数GのB%(Bは所定の定数、例えば95%)を超えると、その画素に対応する受信ビームデータのレンジを「水底のレンジ(Rb)」とする。水底のレンジ(Rb)とは、例えば、図2の例ではソーナー1から水底までの距離L2である。
なお、範囲の検出に用いる閾値T、Bの関係は以下の式(1)を満たす。
0(%) ≦ T ≦ B ≦ 100(%)・・・(1)
【0025】
次に範囲設定部12は、無効データの再振り分けを行う(ステップS16)。具体的には、範囲設定部12は、画素に対応する受信ビームデータのレンジがRt~Rbの範囲に無い場合、その画素を無効データとして設定する。例えば、ステップS12で有効データとして振り分けられた画素のうち、Rtより近距離のものやRbより遠距離のものは、無効データとして振り分けられる。
【0026】
次に座標変換部13が、有効データ(レンジRt~Rbの範囲にあり、振幅値が閾値以上の受信ビームデータ)を直交座標へ変換する(ステップS17)。例えば、図2に例示するP1によって反射された反射ビームのレンジがr、反射ビーム角度がθの有効データは、以下の式(2)、(3)で直交座標へ変換される。
X =r×sinθ + α ・・・(2)
Y =r×cosθ + β ・・・(3)
Xは紙面横方向の位置、Yは深さ方向の位置を示し、α、βは任意のオフセット値である。P1の極座標が2次元ではなく紙面の奥行き方向を加味した3次元で与えられる場合であっても、同様の公知の直交座標変換の計算式により、直交座標における紙面の横方向(X方向)、縦方向(水の深さ方向:Y方向)、紙面の奥行き方向(Z方向)の座標値を得ることができる。
【0027】
次に画像生成部14が、有効データの直交座標変換後の座標位置群に基づいて、上から水中を見たときの所定範囲の水中画像を生成する。例えば、矩形の水中画像の横方向にX方向、縦方向にZ方向を割り当てるとする。その場合、画像生成部14は、直座標変換後の座標値が(X1,Y1,Z1)の有効データについて、水中画像の座標(X1,Z1)に対応する画素に、深さ方向のY1に応じた色を付した水中画像を生成する。その際、画像生成部14は、水平面M(図3参照)からの距離が、レンジRt~Rbに対応する高度となるY方向の範囲R1に限定してN層に階層化し、それぞれの階層を異なる色で表示する水中画像を生成する(ステップS18)。例えば、画像生成部14は、目標頂点から水底までの範囲R1を256階層に分け、各層に256種類の色の何れかを割り当てる。例えば、画像生成部14は、直座標変換後の座標値が(X1,Y1,Z1)の有効データについて、座標値(X1,Z1)に対応する画素を、256色のうちの座標値Y1が属する層に割り当てられた色で表示する。画像生成部14は、矩形画像の全画素について同様の処理を行う。また、直交座標変換後の座標値が無い画素は、無効データである。画像生成部14は、無効データに対応する画素を、例えば、黒で表示する。これにより、範囲R1に存在する反射面だけが抽出され、抽出された反射面が、深さ方向の細かな範囲ごとに色分けされた水中画像が生成される。
【0028】
次に出力部16が、画像生成部14の生成した水中画像を、表示装置2へ出力する(ステップS19)。表示装置2は、水中の深さ方向における目標頂点から水底までの範囲に存在する反射面のみを各々の反射面が位置する深さに応じた異なる色で表示し、それ以外を、所定範囲に存在する各々の反射面と区別可能に表示した水中画像を表示する。
【0029】
本実施形態によれば、水中に存在する一つまたは複数の目標物のうちの頂点から水底までの範囲に限定して、当該範囲を多層に階層化し、各階層に存在する反射面を、その深さに応じた色で表示する。かかる狭い範囲での多色表示により、目標の全体像や形状を明確に表示することができ、目標物の目視による判別がより容易になる。
【0030】
図5は、本発明の一実施形態による画像生成装置の最小構成を示す図である。
図5に示すように画像生成装置100は、少なくとも検出部110と、範囲設定部120と、画像生成部130とを備える。
検出部110は、ビームの発射位置からビームを反射する反射面までの距離を検出する。
範囲設定部120は、反射面の距離の分布に基づいて、一定の割合の反射面が存在する距離の範囲を設定する。
画像生成部130は、反射されたビームに基づいて対象面の画像を生成する。特に画像生成部130は、範囲設定部120が設定した距離の範囲に限定して階層化し、それぞれの階層を異なる態様で表示し、範囲設定部120が設定した範囲以外を、前記範囲の何れの階層とも異なる態様で表示する画像を生成する。
【0031】
ここで、距離の範囲とは、ビームの発射位置を原点とする極座標におけるビームの反射面の位置を直交座標に変換して表したときの、ビーム発射位置を含み鉛直方向に直交する水平面とビームの反射面との距離の範囲である。例えば、範囲設定部120は、水中に存在するビームの反射面のうち最もビーム発射位置に近い反射面の位置から水底までを距離の範囲として検出する。
【0032】
また、距離の範囲の検出方法について、画像生成部130が所定の広さを有する領域を対象とする画像を生成し、その画像を構成する各画素に対応する反射ビームの振幅値が所定の閾値以上となるデータを有効データとする場合、範囲設定部120は、ビームの発射位置から反射面までの距離が短い方から順に有効データに対応する画素の数を累積し、累積した画素数が所定の範囲内となる距離の上限値と下限値を検出する。検出した距離の下限値から上限値までの間が、距離の範囲である。
【0033】
なお、画像生成装置100、検出部110、範囲設定部120、画像生成部130は、それぞれ画像生成装置10、データ取得部11、範囲設定部12、画像生成部14に対応する。
【0034】
図6は、本発明の一実施形態による画像生成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の画像生成装置10、100は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0035】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態では、目標頂点から水底までを多層化して、各層を例えば256色でカラー表示することとしたが、白から黒までの濃淡で表示してもよい。あるいは、各層を異なるハッチングのパターンで区別可能に表示してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、目標頂点から水底までを多層化することとしたが、図4のステップS15で説明した閾値Bの値を調節して、水底を除く、水中の目標物だけを抽出して、当該目標物を多層化して表示してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1・・・ソーナー
2・・・表示装置
10・・・画像生成装置
11・・・データ取得部
12、120・・・範囲設定部
13・・・座標変換部
14、130・・・画像生成部
15・・・記憶部
16・・・出力部
100・・・画像生成装置
110・・・検出部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6