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特許7401084リンスシステムと一体化したミルクを準備するための装置およびそれのリンス方法
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  • 特許-リンスシステムと一体化したミルクを準備するための装置およびそれのリンス方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】リンスシステムと一体化したミルクを準備するための装置およびそれのリンス方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/60 20060101AFI20231212BHJP
   B67D 1/07 20060101ALI20231212BHJP
   B67D 1/14 20060101ALI20231212BHJP
   A47J 31/40 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A47J31/60
B67D1/07
B67D1/14 Z
A47J31/40
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019122733
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2020049201
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】18189239.9
(32)【優先日】2018-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517452338
【氏名又は名称】カップ・ウント・チーノ カッフェーシステム-フェアトリーブ ゲーエムベーハー ウント コンパニー コマンディット ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CUP&CINO Kaffeesystem-Vertrieb GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Paderborner Strasse 33,33161 Hovelhof,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヨーゼフ パウル エピング
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-122864(JP,A)
【文献】特表2017-518779(JP,A)
【文献】特表2009-543584(JP,A)
【文献】特表2011-522660(JP,A)
【文献】特開2008-094499(JP,A)
【文献】特開2013-085968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
B67D 1/07
B67D 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンスシステムと一体化した、ミルクを準備するための装置(1)であって、
冷却ユニット(10)内に配置された、前記ミルクを格納するための少なくともひとつのリザーバ(12、14)と、
ひとつのポンプ(18)と、
ラインシステムであって、
ミルク吸引ライン(16)であって、それを通じて前記少なくともひとつのリザーバ(12、14)が前記ポンプ(18)に結合可能である、ところのミルク吸引ライン(16)と、
アウトレットライン(22)であって、それを通じて前記ポンプ(18)が少なくともひとつのアウトレット(24)に結合可能である、ところのアウトレットライン(22)と、
リンスライン(42)であって、それを通じて前記ミルク吸引ライン(16)にリンス液が充填される、ところのリンスライン(42)と
を有するラインシステムと、
空気体積コントローラ(28)であって、空気供給ライン(26)を介して、空気が計量されて前記ミルク吸引ライン(16)へのインレットポイントへ導かれるところの空気体積コントローラ(28)と
連続フローヒータとして設計された加熱エレメント(34)であって、前記アウトレットライン(22)内に配置され、かつ、厚膜ヒータとして設計された、加熱エレメント(34)と、
を備え、
前記インレットポイントおよび前記ポンプ(18)は、前記冷却ユニットの外側にあり、
前記インレットポイントは、前記ミルク吸引ライン(16)において、前記ポンプ(18)の上流側にあり、
前記空気体積コントローラ(28)と前記ミルク吸引ライン(16)への前記インレットポイントとの間で前記空気供給ライン(26)に配置されるのは、第2チェックバルブ(32)および第1チェックバルブ(30)であり、前記空気供給ライン(26)は前記第1チェックバルブ(30)と前記第2チェックバルブ(32)との間でバルブ(44)を介して前記リンスライン(42)に結合され、
前記第1チェックバルブ(30)および前記第2チェックバルブ(32)は、重力によって、シートに押圧されて閉止する閉止エレメントを有する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記空気体積コントローラ(28)は、前記空気供給ライン(26)内に含まれ、前記第2チェックバルブ(32)および前記第1チェックバルブ(30)は、垂直構成で互いに上方に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記空気体積コントローラ(28)は、計量されて前記冷却ユニット(10)の外で空気を供給するように設定されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記リンスライン(42)は、リンスバルブ(40)を介して前記冷却ユニット(10)の外側の前記ミルク吸引ライン(16)へ結合可能である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ポンプ(18)から下流側の前記アウトレットライン(22)に配置されるのは、制限器(36)である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記アウトレットライン(22)に配置されるのは、マニホールドバルブ(23)であり、それは、リンス液を放出するためのノズル(25)および準備された液体が注がれる前記アウトレット(24)へ、前記アウトレットライン(22)を選択的に結合する、ことを特徴とする請求項1から3および5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記アウトレットライン(22)に配置されるのは、マニホールドバルブ(23)であり、それは、リンス液を放出するためのノズル(25)および準備された液体が注がれる前記アウトレット(24)へ、前記アウトレットライン(22)を選択的に結合する、ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記マニホールドバルブ(23)と前記アウトレット(24)との間のライン(27)は、2mlから3mlの充満体積を有する、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載のリンスシステムと一体化した、ミルクを準備するための装置(1)をリンスするための方法であって、
リンス操作をするべく、前記リンスライン(42)を通じて、リンス液が前記バルブ(44)を介して前記空気供給ライン(26)に供給され、前記ポンプ(18)の吸引力および重力によって前記第1チェックバルブ(30)が開放され、前記リンス液は、前記ミルク吸引ライン(16)の少なくとも一部、および、前記空気供給ライン(26)の少なくとも一部をリンスする、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記リンス操作は、前記アウトレット(24)までの準備された液体の各ディスペンスの後に実行される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リンス操作中に、前記ミルク吸引ライン(16)、前記空気供給ライン(26)および前記アウトレットライン(22)は少なくとも部分的に同時にリンスされる、ことを特徴とする請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項に記載のリンスシステムと一体化した、ミルクを準備するための装置(1)をリンスするための方法であって、
リンス操作をするべく、前記リンスライン(42)を通じて、リンス液が前記バルブ(44)を介して前記空気供給ライン(26)に供給され、前記ポンプ(18)および重力によって前記第1チェックバルブ(30)が開放され、前記リンス液は、前記ミルク吸引ライン(16)の少なくとも一部、および、前記空気供給ライン(26)の少なくとも一部をリンスする、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記リンス操作中に、前記アウトレット(22)内の前記マニホールドバルブ(23)は、前記アウトレット(24)までの前記アウトレットライン(22)および前記ライン(27)が前記リンス液で満たされるように、少なくとも部分的に開放されている、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アウトレット(24)での準備された液体の各ディスペンスの前に、前記装置(1)の前記リンスバルブ(40)および前記バルブ(44)から前記アウトレット(24)までがリンス液で満たされ、ディスペンスの開始時に前記マニホールドバルブ(23)が前記ノズル(25)を介して前記装置(1)から外へ前記リンス液を導くために開放され、その後、前記準備された液体が前記マニホールドバルブ(23)に達したとき閉止される、ことを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、リンス装置と一体化した、液体、特に、ミルクを準備するための装置、並びに、その装置のリンスおよびクリーニング方法に関する。準備で理解されるのは、泡立ておよび/または加熱であり、その結果、選択的に暖かいかまたは冷たいミルク泡、あるいは、暖かいか冷たいミルクが当該装置によって生成可能となる。
【背景技術】
【0002】
液体、特に、液体食品ミルクの準備で周知なものは、例えば、カプチーノ、ラテカプチーノ、カフェラテ、チョコレートまたはチャイのようなミルクを含むホット飲料の準備中にミルクを加熱しかつ泡立てるために使用される泡立てまたは気泡装置である。基本的に、ミルクはそれによって空気および/または蒸気と混合される。
【0003】
周知の欧州特許第1593330号には、ミルク吸引ラインを介して、コンテナのポンプアウトによってミルクを吸引し、それをアウトレットまで運ぶ装置が開示されている。吸引中に、当該ミルクは連続フローヒータを介して導かれ、加熱され、かつ、制御可能な量の空気またはガスが空気供給ラインを介して冷たいまたは加熱ミルクと混合される。その後、混合物は、制限ポイントを介して、アウトレットラインを通じてアウトレットへ運ばれる。計量済みの空気供給のために、空気供給ライン内に調節可能な空気体積コントローラ、または固定ジェットを配置することが知られている。ラインシステムは、さまざまなチェックバルブを有し、それは、運ぶ方向と逆方向へのミルクまたは空気あるいはガスの戻り流を回避する。リンスまたはクリーニングのために、リンスまたはクリーニング流体は、ラインを通じてリンスバルブを介してポンプによってミルク吸引ライン内へソースから運ばれる。
【0004】
周知の欧州特許第3281569号には、ポンプ、ミルク吸引ラインおよびポンプをアウトレットノズルに接続するための単一ライン、アウトレットライン、および空気濃縮ラインを有するモジュラー式気泡ユニットが開示されている。このユニットは、薄膜ヒータとして設計された連続フローヒータとして設計された加熱エレメントを有する。このモジュール式気泡ユニットは、コンパクトな方法でモジュールとして一体化され、冷却ユニット内に配置される。結合されたリンスシステムによってモジュールはクリーニングされ、冷却ユニットからアウトレットライン内のマニホールドへのすべての方向の間で、気泡ユニットをリンスし、それを介してリンス水が放出される。
【0005】
周知の気泡装置に関する問題は、これらのラインセクションがミルクまたは泡立てられたミルクに晒され、時間とともに乾燥したミルクによって詰まることである。機能的な問題の他に、これらの堆積物は、凝固ミルクタンパク質およびカゼイン分解による逆感覚効果を導く。しかし、特に、衛生的理由のため、好適には、各フォーミング、運搬、または動作の後に、装置のミルク運搬経路をリンスまたはクリーニングする必要がある。したがって、所望されるのは、できるだけ自動化されたリンスおよび/またはクリーニング操作であり、それは、迅速、安全かつ作業者とは独立に所望の再生可能なクリーン具結果をもたらす。リンス(すなわち、連続または各注入後のリンス)と、毎日の終わりに特に洗浄液によってリンスするクリーニングとの間には差が生じる。
【0006】
概して、ラインを含む周知の気泡装置のリンスのために、リンス液は、リンスバルブを介してミルク吸引ラインのセクションに導入され、かつ、概してアウトレットノズルへのセクションは無いが、フォーミング装置に属するエレメントを通じて流れた後、他のバルブを介して、収集ベッセルまたはドレインに導かれる。アウトレットノズルへのセクションは、しばしば定期的に、例えば、設定に応じて10分毎にリンスされる。これは、このリンスフェーズの後にリンス液が受け皿内へ放出されるのが顧客に見えるので、特に問題である。リンスバルブとミルクコンテナとの間に伸長し、特に、その上からミルクコンテナ内に突出する、ミルク吸引ラインのセクションは、概して、特別のリンスまたはクリーニング操作で滅多に洗浄されない。このセクションは、概して、結果的に衛生的に影響を受けにくい冷却領域内に配置される。
【0007】
また、フォーミング装置のリンスの態様で上述した点に加え、考慮されるべきは、ミルクの温度および、例えば、脂肪含量、低温殺菌、pH値、プロテイン含量および保存期間などのミルクの特性であり、ミルクの泡形成はまた正確に計量された空気供給に依存する点である。正確に計量された空気供給は、高くかつ再生可能なミルク泡品質に不可欠なものである。しかし、実際には、一定の濃度のミルク泡を供給するためには、ミルクまたはミルク泡からの残留物が無いことおよび/またはリンス液および/またはクリーニング液が、特に、空気供給のセクション内で、正確な計量に関して負の効果を生じさせる任意で与えられるバルブを含むデバイス内部で乾燥することがさらに重要である点が示された。特に、完全にクリーニングされた空気供給ラインが正確な空気計量に必要である。
【0008】
ミルク泡製造のために正確に定義されかつパルス化された空気供給の重要性は、ドイツ国特許第102015117650号に示された。周知のデバイスは、スチームを生成するためのスチーム生成器、および圧縮ガスの圧縮パルスを生成するための加圧ガスソースを有するミルクを加熱および起泡用装置であり、それはまた、フォーミング液内に導入されるスチームガス混合物を形成するようされている。したがって、形成される泡の特性は、濃度、クリーム状態、気泡率、泡厚みおよび泡安定性に関して、ユーザによってフレキシブルな方法で設定可能でなければならない。定義されおよび/またはパルス化された空気インジェクションを達成するためにこの構成は非常に複雑かつ高価となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本願発明の目的は、液体、特にミルクの準備用の装置であって、冷たいかまたは暖かいミルク泡、または、冷たいかまたは暖かいミルクを選択的に準備するためのコンパクト、ロバストかつ効率的なデバイスを作成することであり、再生可能性および高い品質のミルク泡によって他者と差別化される。また、装置および対応する方法は、リンスおよびクリーニング効果に関して最適化されなければならない。
【0010】
これらの目的は、請求項1に記載の装置、および請求項9に記載の方法によって達成される。また、独立項から生じる有利な特徴は、以下の詳細な説明および添付図面を参照して得られる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明に従う、リンスシステムと一体化した、液体、特にミルクの準備用の装置は、冷却ユニット内に配置された液体の格納用の少なくともひとつのリザーバ、ポンプ、ミルク吸引ラインを含むラインシステムであって、それを介して少なくともひとつのリザーバがポンプに接続可能なラインシステムと、アウトレットラインであって、それを介してポンプが少なくともひとつのアウトレットに結合可能なアウトレットラインと、リンスラインであって、それを介してミルク吸引ラインがリンス液を搬入可能であるリンスラインと、空気体積コントローラであって、それによって、空気供給ラインを通じて空気が計量されてミルク吸引ライン内のインレットポイントへ導かれることができる空気体積コントローラと、連続フローヒータとして設計された加熱エレメントであって、アウトレットライン内に配置されかつ厚膜ヒータとして設計された加熱エレメントとを有する。空気体積コントローラと、ミルク吸引ライン内へのインレットポイントとの間の空気供給ラインに配置されるのは、第2チェックバルブおよび第1チェックバルブであり、空気供給ラインは、第1チェックバルブと第2チェックバルブとの間で、バルブを介してリンスラインと結合可能である。
【0012】
本願発明において、空気供給ラインに与えられるのは、計量された空気供給用の空気体積コントローラおよび第1および第2チェックバルブであり、空気体積コントローラは、比例バルブとして設計されてよい。空気供給ラインをリンスシステムに結合するための上述したバルブは、第1および第2チェックバルブの間に配置されている。第1チェックバルブは、導入ポイントの方向でバルブと空気供給ラインとの間でそのセクションを開閉し、第2チェックバルブは、空気体積コントローラの方向でバルブと空気供給ラインとの間でそのセクションを開閉する。第1および第2チェックバルブは、好適には、互いに独立に切替可能である。
【0013】
ラインシステム内の2つの直列に配置されたチェックバルブの画定された開口部はシステム内に脈動を生じさせることをなくすのは困難であることがわかった。特に、その結果、ミルクの運搬で達成すべきミルク泡量に対して負の効果が生じる。したがって、空気供給ライン内の第1および第2チェックバルブは、それらが、互いに調和する方法で、開閉位置をとることができるような方法で、設計する必要がある。したがって、ミルク吸引ライン内の第3チェックバルブも考えられ、それは、運搬方向と逆方向の吸引ミルクの逆流を防止することができる。
【0014】
チェックバルブはしばしばバネ負荷チェックバルブとして設計され、それは、一つ方向の流れを許可する。バネ負荷チェックバルブのメカニズムは、戻りバネの弾性力によって対応して形成されたシート内にきつく押圧された閉止エレメントを有する。閉止エレメントと同時に作用する反作用力が戻りバネの弾性力を超えれば、通路がオープンとなる。開放圧力は、例えば戻りバネの弾性力を介して調節可能である。リンスシステムと一体化された液体の準備用の本願発明に従う装置によって、開放圧力は、ポンプの吸引側での負圧によって決定的に判定される。吸引側で生成された負圧が十分でなければ、空気供給ラインの第1および第2チェックバルブは開かないか、または完全には開かない。吸引側の負圧が空気供給ライン内の対応するチェックバルブを開放するのに十分に大きければ、チェックバルブで振動が生じ、その結果、正確に計量された空気供給が不可能となる。また、バネ負荷チェックバルブの動作モードは、進入するミルクおよび/またはミルク泡によって生じる汚染の疑いがある。
【0015】
本願発明の好適実施形態において、本願発明に従う装置の空気供給ライン内に配置される第1チェックバルブおよび第2チェックバルブは、チェックバルブをダイレクト閉止するように設計されている。このバルブのメカニズムは、閉止エレメントと同時に作用する重力によって、および/または媒体によって、シートに押圧される閉止エレメントを有し、それによってきつく閉止される。その結果、ダイレクト閉止するチェックバルブは、空気供給ライン内に少なくとも配置されることが可能であり、液体準備用の本願発明に従う装置内の空気供給ラインは、垂直方向に配置されることが予定されている。したがって、空気供給システム内に含まれる空気体積コントローラおよび第2および第1チェックバルブは、空気供給ライン内で上から下へ垂直方向に配置される。空気の供給に関して、この垂直方向は、対応するチェックバルブを開放し、その結果、これらのチェックバルブは完全に開放するし、かつ、正確に計量された空気供給が変動なく可能となる。この構成により、第1の非戻りバルブのみがミルクまたはミルク泡と接触可能となるが、特に、ミルク吸引バルブがリンスされるとき、少なくとも一方側から規則的にリンスされる。ミルクがミルク吸引ラインを介して水平方向に吸引されるように、ミルク吸引ラインは横方向に、すなわち、実質的に水平方向にデバイス内に配置される。
【0016】
リンスシステムと一体化された液体準備用の本願発明に従う装置の他の態様において、ミルクを泡立てるための空気が、空気体積コントローラを介して一定温度で計量されて供給されることが予定されている。好適には、これは、繰り返し可能な高いミルク泡品質の製造に特に適した低い温度の空気である。好適には、空気は冷却ユニットから得られ、その中にミルクが冷却された状態で格納されている。本願発明に従う装置は、モジュラー式の起泡ユニットとして冷却ユニット内に大部分が完全に収納されることが可能である。供給される冷却済み空気は、ミルク泡の品質の温度関連の変動を防止する。ミルク泡の品質は、季節的に変動する大気温度とは独立であり、したがって常に高品質である。
【0017】
また、アウトレットラインのポンプの下流側には制限器が配置されることが予定されており、本装置内に配置されるのは、リンス液の放出用のノズルに、および、ラインを介して、準備された液体が注がれるアウトレットに、アウトレットラインを選択的に結合させるマニホールドバルブである。特に、マニホールドバルブとアウトレットとの間のラインは、それが、小さい充満体積(好適には2mlと3mlとの間)のみを有するような寸法を有する。
【0018】
これに加えて、リンスバルブによって、ミルク吸引ラインは、冷却ユニットの外側で一体化リンスシステムと結合可能である。好適に準備されたミルクの注ぎの2つの動作の間に実行されるリンス動作中に、冷却ユニットおよび空気供給ラインの外側の領域内でミルクまたはミルク泡に直接さらされたラインおよびエレメントは、少なくとも部分的にリンスされかつ洗浄される。特に高温でミルクの泡立て中にミルク泡が空気供給ラインの方向へ拡張することができるので、これはとりわけ重要であり、その結果、正確に計量された空気供給とインターフェースする空気供給ラインに変更された条件が生じる。また、空気供給ラインに配置されかつミルクまたはミルク泡と接触するチェックバルブは、汚染されかつ変動ケイパビリティで逆効果を受けることから有利に防止されうる。
【0019】
それを介して、空気供給ラインがリンスシステムに結合可能でかつリンスおよび/またはクリーニング液によって充填可能な上述したバルブは、空気供給ラインの導入ポイントからミルク吸引ラインの方向へかなりの距離に配置されており、その結果、ミルク泡が進入する空気供給ラインのセクションはリンス液によってリンスされることが保証される。好適には、バルブは、導入ポイントに関してより高いレベルに配置され、その結果、リンス液は、重力によってクリーニングされるべきセクションへ流れる。
【0020】
一体化されたリンスシステムは、空気供給ラインを含む、ミルクまたはミルク泡と接触するエレメントを完全にクリーニングするのに適した流体泡形式の任意の媒体を、リンスおよび/またはクリーニング液として使用可能である。代替的に、気体媒体によるクリーニングまたはリンスもまた考えることができる。特に適しているのは、冷たいかまたは加熱された水、または、化学添加剤を有する溶液によるリンスおよびさらなるリンスであえる。開放された空気インレットおよび作動ポンプによる乾燥に加え、スチームまたは圧縮空気もまたエレメントおよびラインの乾燥を完了するために使用されてよい。
【0021】
リンスシステムと一体化した、液体、特にミルクの準備用の装置をリンスするための本願発明に従う方法は、リンス動作のために、リンス液がリンスラインを介して供給され、リンス液は、連続フローヒータ、特に厚膜ヒータとして設計された加熱エレメントに、およびポンプのミルク吸引ラインを少なくとも部分的に介してアウトレットラインに運ばれ、リンス液はまたバルブを介して空気供給ラインへ導入され、空気供給ラインがリンスされる。
【0022】
クリーニングまたはリンス動作のトリガーは、時間コントロールを介して生じ、準備したミルクのアウトレットへの各ディスペンスの後、または、所定の回数のディスペンス動作後にリンスが自動的にアクティベートされる。リンス動作は、制御システムによって制御可能であり、システムの充填に関するデータおよび充填のタイプに関するデータを捕捉しかつそれらを制御システムに転送するセンサーが配置されている。リンスシステムに割り当てられるのは、ミルク吸引ライン内のリンスバルブおよび空気供給ライン内のバルブであり、それらは、一方では、冷却ユニットからのミルク吸引ラインを介してリンス液を導入するために、他方では、空気供給ラインを介してリンス液を導入するために、選択的に切替可能である。同時リンスが同様に可能である。リンスは逆方向でも可能である。準備したミルクの各ディスペンス後のリンスに関して、リンス液はミルク泡準備の開始時に本願発明に従う装置内に配置される。本願発明に従う装置は、リンス液、好適にはアウトレット(すなわち、マニホールドバルブとアウトレットまたはミルクまたはミルク泡用のアウトレットノズル)から冷却領域へのボーダーまで水で満たされる。閉止したマニホールドバルブによって、水は、このバルブとアウトレットとの間のセクション内に残り、ミルクまたはミルク泡の後続の流れのためにこれをブロックする。リンス液の放出のために、アウトレットライン内に与えられたマニホールドバルブは開放され、水またはリンス液がコンテナまたはノズル内へ導かれる。同時に、ポンプが始動され、空気体積コントローラが開放される。吸引されたミルクまたはミルク泡がマニホールドバルブに達したときと同じ時間ポイントで、これは、対応して配置されたセンサーを介して検出され、時間遅延を有して、このバルブは、準備されたミルクまたはミルク泡がアウトレットに導かれるように、切り替えられる。マニホールドバルブとアウトレットとの間のセクション内に存在した水は、同様にアウトレット方向に押圧される。しかし、この量は非常に小さいので、水は処理すべき飲用ミルクまたはミルク泡に対して逆効果は示さない。準備したミルクのディスペンスの終了が検出されると、バルブが開放され、それを介して空気供給ラインがリンスシステムに結合可能となり、リンス液が供給される。供給されたリンス液の圧力のおかげで、第1チェックバルブおよび第2チェックバルブは、空気体積コントローラの方向でセクションを閉じ、第3チェックバルブがミルク吸引ラインを閉じて、ポンプの吸引圧力が補償される。好適には、リンス液は少なくとも1バール、好適には2バールの圧力を有する。時間遅延に関して、好適には、約0.5秒の範囲であり、空気体積コントローラは閉止ポジションに設定される。リンス液がマニホールドバルブに到達すれば、リンス液を放出するために、バルブが開放される。リンスまたはクリーニング動作に関して、アウトレット側のマニホールドバルブと当該バルブとの間の本願発明に従う装置のコンポーネントがリンスされる。代替的に、マニホールドバルブとアウトレットとの間のセクションが循環的にリンスされてもよい。
【0023】
リンスシステムと一体化した本願発明に従うデバイスは、有利に厚膜ヒータとして設計された加熱エレメントが使用される。2つのミルクまたはミルク泡ディスペンス動作の間で連続フローヒータとして考慮された厚膜ヒータがリンス液、例えば水で満たされるので、この水は、続いて流れるミルク泡に影響を及ぼすことなく高いエネルギーで加熱されてよい。したがって、短時間のヒートアップ間隔が得られる。
【0024】
本願発明の実施形態の例が、図面を参照して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、リンスシステムが一体化した液体食料、特に、ミルクを準備するための本願発明に従う装置の略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示されるのは、本願発明に従う液体、特にミルクを準備するための装置1であり、当該装置は、第1リザーバ12内に格納されたひとつのタイプのミルクと、第2リザーバ14内に格納された他のタイプのミルクまたはその代替物を有する。第1および第2リザーバ12、14は、図示の例において3/2方向コントロールバルブ15を介して、ポンプ18の吸引側でミルク吸引ライン16へ結合され、その結果、ミルクまたはミルク代替物は、第1および/または第2リザーバ12、14から外に出される。ミルク吸引ライン16に配置されているのは、第3のチェックバルブ20として設計されたチェックバルブであり、それが、ポンプ18の方向に開放されている。ポンプ18は、単一のアウトレットライン22を介してその圧力側でアウトレット24に結合され、そこで、準備されたミルクまたはミルク泡が分配される。アウトレット24の前でアウトレットライン22に配置されるのはマニホールドバルブ23であり、その結果、選択的に、ライン27を介して流れがアウトレット24の方向へ開放されるか、流れがノズル25の方向へ開放される。
【0027】
ポンプ18の吸引側から出てミルク吸引ライン16内に入るのは、空気供給ライン26であり、その中に空気体積コントローラ28が与えられる。空気体積コントローラ28は比例バルブとして設計可能であり、その結果空気は外部環境から正確に計量されて供給される。特に、空気は、冷却ユニット10から得ることが可能であり、したがって、空気は、大気温度と独立の一定の温度を有する。ミルクは、空気供給ライン26を介して計量された量の空気と混合可能である。ミルク/空気混合物が形成され、それがポンプ18によって吸引される。空気供給ライン26内に配置されるのは第1および第2チェックバルブ30、32であり、それらは以下でさらに詳細に説明する。
【0028】
ポンプ18の圧力側に配置されるのは、連続フローヒータとして設計されたアウトレットライン22上の加熱エレメント34である。加熱エレメント34は、電気加熱抵抗がサポート上の加熱エレメント34にインストールされた厚膜ヒータとして設計され、その上に流路が与えられる。流路に沿って流れる間、アクティベートされた加熱エレメント34によって、液体、すなわち、ミルクまたはミルク/空気の混合物が所定の温度にされ、それは、温度センサ(図示せず)によって制御可能である。加熱エレメント34がスイッチオンされた状態で、暖かいまたはホットミルク/ミルク泡が生成され、加熱エレメントがスイッチオフされた状態で、冷たいミルクまたはミルク泡がアウトレット24に導かれうる。これは、特に、反応時間が短くかつ最小の熱損失を有する厚膜ヒータによって達成される。
【0029】
図1において加熱エレメント34から下流側のアウトレットライン22内にさらに配置されるのは、制限器36であり、それは、すでに存在し、加熱されたミルク/空気混合物から安定かつ均一なミルク泡を製造する。制限器36は、ジェット、バッフル、固定または調節可能なノズルとして設計可能であり、貫流断面積の狭窄が制限ポイントにおいて与えられる。特に、制限器36は、コントロールユニット(図示せず)または他のデバイスによって調節可能なスロットルとして設計されうる。制限器36は、逆圧を生成し、それは、加熱エレメント34内に含まれる流路内で自分自身を顕著化する。したがって反作用は、より高温をもたらす傾向がある増加する膨張であり、ミルク/空気混合物内のより小さい気泡がこの混合物の加熱を促進し、そうでなければ、不十分な熱伝達として空気によって負の影響を受ける。
【0030】
調節可能な制限器36、ならびに正確に計量された空気量および調節可能温度は、空気およびミルクをミルク/空気混合物に最適な混合、および混合物内の小さい気泡の分散を可能にし、それが、高い泡品質を表す。
【0031】
液体を準備するための装置1は、モジュールとしてハウジング内に一体化可能であり、それは、冷却ユニット10内に組み込まれてよい。本願発明に従う装置1の実質的にすべてのコンポーネントは、冷却ユニット10内に一体化可能であり、冷却ユニット10は、コーヒーマシンへのアドオンデバイスとして、または、コーヒーマシンの一体化コンポーネントとして設計可能である。
【0032】
本願発明に従う装置1は、本願発明に従う装置1内に含まれるエレメントのリンスまたはクリーニング用の一体化リンスシステムをさらに有する。リンスバルブ40によって、ミルク吸引ライン16は、リンスシステムに結合可能であり、特に、リンスライン42に結合可能である。よって、ミルク導入エレメント、例えば、ミルク吸引ライン16、ポンプ18、加熱エレメント34、制限器36、およびアウトレット24およびアウトレット24それ自身までのライン27を含むアウトレットライン22は、リンス液によって充填され、リンスバルブ40の開放と同時に、第3チェックバルブ20がミルク吸引ライン16をアンブロックする。第3チェックバルブ20は、したがって、少なくとも1バールのリンス流体の圧力で開放可能である。泡膜の製造用装置の周知のクリーニングまたはリンスシステムとは対照的に、本願発明に従うリンスシステムと一体化した装置は、乳酸およびカゼインの成長が低温のおかげで最小であるところの冷却領域が十分にリンスされるという点を与える。
【0033】
本願発明に従うリンスシステムが一体化した装置によって、空気供給ライン26もリンスされる点が重要である。この目的のために、このラインは、バルブ44を介してリンスライン42へ、ひいてはリンス液のソースに結合可能である。したがって、ミルクに晒されたラインセクションだけでなく空気供給ライン26もまた、任意の時にリンスまたはクリーニングの可能性が存在する。リンスライン42は、バルブ44が配置されるところのセクションを有し、それは、第1チェックバルブ30と第2チェックバルブ32の間の空気供給ライン26に出てくる。リンス液によるリンスライン42の充填中に、第2チェックバルブ32は閉止位置にあり、一方第1チェックバルブ30は開放位置にある。
【0034】
図1に示すように、特に重要なのは、空気体積コントローラ28を有する空気供給ライン26、第2チェックバルブ32、および第1チェックバルブ30が垂直方向の構成によって得られるという点である。したがって、第1および第2チェックバルブ30、32をダイレクト閉止チェックバルブとして設計することができ、空気供給に関して垂直方向のアライメントにより、それらのバルブは閉止エレメントに作用する重力によって開放される。したがって、その後、空気供給ライン26内でポンプ18によって生成される負圧が単独で第1チェックバルブ30を開放するのに十分でないときにも、空気供給ライン26のリンスまたはクリーニングは可能である。
【0035】
要するに、リンスシステムと一体化した、液体、特にミルクを準備するための本願発明に従う装置1は、空気供給ライン26のリンスまたはクリーニングによって、および、空気供給ライン26内のダイレクト閉止チェックバルブ30、32の垂直構成によって、衛生的かつ感覚条件の改善が達成され、空気供給が正確に計量された方法で供給可能となるという点で、利点を有する。これは、空気供給ライン26がミルクに晒されるエレメントと同じリンスサイクルでリンスかつクリーニングされるので、付加的な時間および努力なしで達成可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【文献】欧州特許第1593330号公報
【文献】欧州特許第3281569号公報
【文献】ドイツ国特許第102015117650号公報
図1