(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】携帯型浄水器
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20230101AFI20231212BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20231212BHJP
C02F 1/68 20230101ALI20231212BHJP
【FI】
C02F1/28 G
C02F1/44 A
C02F1/68 520V
C02F1/68 510B
C02F1/68 530B
C02F1/68 540A
C02F1/68 540D
C02F1/68 540Z
(21)【出願番号】P 2019211896
(22)【出願日】2019-11-24
【審査請求日】2022-11-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 びわ湖環境ビジネスメッセ2019 2019年10月16日~18日
(73)【特許権者】
【識別番号】396015208
【氏名又は名称】ベーシック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/207440(WO,A1)
【文献】特許第4379529(JP,B1)
【文献】特開2017-196603(JP,A)
【文献】特開2008-279450(JP,A)
【文献】登録実用新案第3076457(JP,U)
【文献】特開平10-66968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00-78
B01D24/00-37/04、61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と底部を有し
浄化前の水を入れる柔軟な筒状の容器本体と、
該容器本体の開口部側に着脱自在に装着され得、外方に突出し内部に第1貫通孔が設けられた第1浄水流出部を有する内蓋体と、
該内蓋体に着脱自在に装着され得る外蓋体と、
軸方向に中空部が設けられたろ材とそれを収容する筒状のろ材収容体を有し、該ろ材収容体は一端面から外方に突出し内部に前記ろ材の前記中空部に連通する第2貫通孔が設けられた第2浄水流出部を有しており、該第2浄水流出部が前記内蓋体の前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着され得る浄水カートリッジと、
前記内蓋体に取り付けられ、空気を外部から前記内蓋体の内側への一方向のみに流し得る空気逆止弁と、
を備え、
前記ろ材収容体は、
内壁面にスペーサを有してそれにより前記ろ材との間に内部流水路を形成し、かつ、該内部流水路に連通する細長い浄化前水流入孔が
周面の前記一端面の近傍に偏在して設けられていることを特徴とする携帯型浄水器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型浄水器において、
前記浄化前水流入孔は、一周上又はニ周上に複数個設けられていることを特徴とする携帯型浄水器。
【請求項3】
開口部と底部を有し柔軟な筒状の容器本体と、
該容器本体の開口部側に着脱自在に装着され得、外方に突出し内部に第1貫通孔が設けられた第1浄水流出部を有する内蓋体と、
該内蓋体に着脱自在に装着され得る外蓋体と、
軸方向に中空部が設けられたろ材とそれを収容する筒状のろ材収容体を有し、該ろ材収容体は一端面から外方に突出し内部に前記ろ材の前記中空部に連通する第2貫通孔が設けられた第2浄水流出部を有しており、該第2浄水流出部が前記内蓋体の前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着され得る浄水カートリッジと、
前記内蓋体に取り付けられ、空気を外部から前記内蓋体の内側への一方向のみに流し得る空気逆止弁と、
を備え、
前記ろ材収容体は、
内壁面にスペーサを有してそれにより前記ろ材との間に内部流水路を形成し、かつ、該内部流水路に連通する細長い浄化前水流入孔が前記一端面の近傍に偏在して設けられており、
前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔には、一対の支持片が対向して内壁面に設けられ、
前記第2浄水流出部には、一対の被支持片が外壁面に設けられ、
該一対の被支持片が前記一対の支持片に重なり合うことにより、前記第2浄水流出部が前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着されることを特徴とする携帯型浄水器。
【請求項4】
開口部と底部を有し柔軟な筒状の容器本体と、
該容器本体の開口部側に着脱自在に装着され得、外方に突出し内部に第1貫通孔が設けられた第1浄水流出部を有する内蓋体と、
該内蓋体に着脱自在に装着され得る外蓋体と、
軸方向に中空部が設けられたろ材とそれを収容する筒状のろ材収容体を有し、該ろ材収容体は一端面から外方に突出し内部に前記ろ材の前記中空部に連通する第2貫通孔が設けられた第2浄水流出部を有しており、該第2浄水流出部が前記内蓋体の前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着され得る浄水カートリッジと、
前記内蓋体に取り付けられ、空気を外部から前記内蓋体の内側への一方向のみに流し得る空気逆止弁と、
セラミックス材とそれを収容する筒状のセラミックス材収容体を有し、前記セラミックス材は水に溶出するミネラルを含有しており、前記セラミックス材収容体は一端部に装着部を有しているミネラル溶出カートリッジ
と、
を備え、
前記ろ材収容体は、
内壁面にスペーサを有してそれにより前記ろ材との間に内部流水路を形成し、かつ、該内部流水路に連通する細長い浄化前水流入孔が前記一端面の近傍に偏在して設けられており、
前記ろ材収容体は、前記一端面の反対側の他端面に、前記ミネラル溶出カートリッジの前記装着部が装着され得る被装着部を有していることを特徴とする携帯型浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型浄水器は、容器とそれに取り付けられた浄水カートリッジとを有しており、水道水などの水を容器に入れ、その浄化前の水を浄水カートリッジにより浄化(浄水)するものである。携帯型浄水器の中には、加圧手段を有するものが有る。加圧手段を有する携帯型浄水器では、柔軟な加圧手段を把持して圧縮すると、浄化前の水は浄水カートリッジの浄化材(ろ材)を通過し、そのときその水に含まれる塩素や有機物などの不純物が捕捉されることによって浄水となる。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される携帯型浄水器は、浄化前の水を貯留する筒状の容器本体が加圧手段となっており、使用時に逆さにして又は逆さ近くに傾けてこの容器本体を圧縮すると、中の空気及び浄化前の水が加圧され、加圧された水は、浄水カートリッジのろ材の外側から内側に通過し、ろ材の内側の一方側に設けた浄水流出部(adapter)から外部(口内など)に浄水として流出する。このように容器本体が加圧手段となっている携帯型浄水器は、コンパクトな構造であり、屋外などでの使用に好適である。
【0004】
また、特許文献2に開示される携帯型浄水器は、特許文献1と同様に容器本体が加圧手段となっており、浄水流出部に浄水カートリッジを装着することで外部に浄水が流出するようにできる。更には、この携帯型浄水器は、浄水カートリッジを一旦取り外して水道水を容器本体に注入し、浄水流出部に浄水カートリッジを逆向きに装着し、それから逆さにして又は逆さ近くに傾けて容器本体を圧縮すると、加圧された水道水が浄水流出部、そして、浄水カートリッジのろ材の内側から外側に通過する。そうすることによって、浄水カートリッジを洗浄してそれに補足され蓄積された不純物を排出するようにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6004460号公報
【文献】国際公開WO2018/207440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、容器本体が加圧手段となっている携帯型浄水器は、特許文献1及び2を含め従来のものでは、容器本体内の浄化前の水が少なくなると、使用時に逆さにして又は逆さ近くに傾けて容器本体を圧縮したとき、浄水に空気が混じったり浄水が流出し難くなったりする。
【0007】
本発明は係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器本体が加圧手段となっている携帯型浄水器において、容器本体内の浄化前の水が少なくなっても、多いときと同様な状態の浄水を流出することができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の携帯型浄水器は、開口部と底部を有し浄化前の水を入れる柔軟な筒状の容器本体と、該容器本体の開口部側に着脱自在に装着され得、外方に突出し内部に第1貫通孔が設けられた第1浄水流出部を有する内蓋体と、該内蓋体に着脱自在に装着され得る外蓋体と、軸方向に中空部が設けられたろ材とそれを収容する筒状のろ材収容体を有し、該ろ材収容体は一端面から外方に突出し内部に前記ろ材の前記中空部に連通する第2貫通孔が設けられた第2浄水流出部を有しており、該第2浄水流出部が前記内蓋体の前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着され得る浄水カートリッジと、前記内蓋体に取り付けられ、空気を外部から前記内蓋体の内側への一方向のみに流し得る空気逆止弁と、を備え、前記ろ材収容体は、内壁面にスペーサを有してそれにより前記ろ材との間に内部流水路を形成し、かつ、該内部流水路に連通する細長い浄化前水流入孔が周面の前記一端面の近傍に偏在して設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の携帯型浄水器は、請求項1に記載の携帯型浄水器において、前記浄化前水流入孔は、一周上又はニ周上に複数個設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の携帯型浄水器は、開口部と底部を有し柔軟な筒状の容器本体と、該容器本体の開口部側に着脱自在に装着され得、外方に突出し内部に第1貫通孔が設けられた第1浄水流出部を有する内蓋体と、該内蓋体に着脱自在に装着され得る外蓋体と、軸方向に中空部が設けられたろ材とそれを収容する筒状のろ材収容体を有し、該ろ材収容体は一端面から外方に突出し内部に前記ろ材の前記中空部に連通する第2貫通孔が設けられた第2浄水流出部を有しており、該第2浄水流出部が前記内蓋体の前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着され得る浄水カートリッジと、前記内蓋体に取り付けられ、空気を外部から前記内蓋体の内側への一方向のみに流し得る空気逆止弁と、を備え、前記ろ材収容体は、内壁面にスペーサを有してそれにより前記ろ材との間に内部流水路を形成し、かつ、該内部流水路に連通する細長い浄化前水流入孔が前記一端面の近傍に偏在して設けられており、前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔には、一対の支持片が対向して内壁面に設けられ、前記第2浄水流出部には、一対の被支持片が外壁面に設けられ、該一対の被支持片が前記一対の支持片に重なり合うことにより、前記第2浄水流出部が前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の携帯型浄水器は、開口部と底部を有し柔軟な筒状の容器本体と、該容器本体の開口部側に着脱自在に装着され得、外方に突出し内部に第1貫通孔が設けられた第1浄水流出部を有する内蓋体と、該内蓋体に着脱自在に装着され得る外蓋体と、軸方向に中空部が設けられたろ材とそれを収容する筒状のろ材収容体を有し、該ろ材収容体は一端面から外方に突出し内部に前記ろ材の前記中空部に連通する第2貫通孔が設けられた第2浄水流出部を有しており、該第2浄水流出部が前記内蓋体の前記第1浄水流出部の前記第1貫通孔に装着され得る浄水カートリッジと、前記内蓋体に取り付けられ、空気を外部から前記内蓋体の内側への一方向のみに流し得る空気逆止弁と、セラミックス材とそれを収容する筒状のセラミックス材収容体を有し、前記セラミックス材は水に溶出するミネラルを含有しており、前記セラミックス材収容体は一端部に装着部を有しているミネラル溶出カートリッジと、を備え、前記ろ材収容体は、内壁面にスペーサを有してそれにより前記ろ材との間に内部流水路を形成し、かつ、該内部流水路に連通する細長い浄化前水流入孔が前記一端面の近傍に偏在して設けられており、前記ろ材収容体は、前記一端面の反対側の他端面に、前記ミネラル溶出カートリッジの前記装着部が装着され得る被装着部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯型浄水器によれば、容器本体が加圧手段となっており、容器本体内の浄化前の水が少なくなっても、多いときと同様な状態の浄水を流出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る携帯型浄水器を示す断面図である。
【
図2】同上の携帯型浄水器の容器本体を示す正面図である。
【
図3】同上の携帯型浄水器の内蓋体(空気逆止弁付き)を示すものであって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【
図4】同上の携帯型浄水器の外蓋体を示すものであって、(a)が正面図、(b)が底面図である。
【
図5】同上の携帯型浄水器の浄水カートリッジを示すものであって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【
図6】同上の携帯型浄水器の浄水カートリッジを示すものであって、(a)が左側面図、(b)が正面斜め上から見た斜視図である。
【
図7】同上の携帯型浄水器の浄水カートリッジを示すものであって、(a)が
図5(a)のA-Aで示す面で切断した断面図、(b)が
図5(a)のB-Bで示す面で切断した断面図である。
【
図8】同上の携帯型浄水器の浄水カートリッジを示すものであって、(a)が
図5(b)のC-Cで示す面で切断した断面図、(b)が
図5(b)のD-Dで示す面で切断した断面図である。
【
図9】同上の携帯型浄水器の空気逆止弁を拡大して示す断面図であって、(a)が逆止弁体の摺動部分が含まれる切断面で切断した空気が導入されない状態の断面図、(b)が逆止弁体の摺動部分が含まれない切断面で切断した空気が導入されない状態の断面図、(c)が逆止弁体の摺動部分が含まれない切断面で切断した空気が導入される状態の断面図である。
【
図10】同上の携帯型浄水器を飲料に使用するときの状態を示す断面図である。
【
図11】同上の携帯型浄水器の浄水カートリッジを洗浄するとの状態を示す断面図である。
【
図12】同上の携帯型浄水器がミネラル溶出カートリッジを更に備えた場合を示す断面図であす。
【
図13】同上の携帯型浄水器がミネラル溶出カートリッジを更に備えた場合のミネラル溶出カートリッジのセラミックス材収容体を示すものであって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【
図14】同上の携帯型浄水器がミネラル溶出カートリッジを更に備えた場合の浄水カートリッジ(ろ材収容体)の他端面を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る携帯型浄水器1は、
図1に示すように、容器本体2と内蓋体3と外蓋体4と浄水カートリッジ5と空気逆止弁6とを備えている。
【0015】
容器本体2は、
図1及び
図2に示すように、柔軟なものであって、開口部と底部を有する筒状のものである。詳しくは、柔軟なものとは、容器本体2を把持して力を入れると圧縮変形し、力を緩めると形状が復元するようなものである。それにより、容器本体2は、加圧手段となる。容器本体2の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、柔軟なポリエチレンなどを用いることができる。容器本体2は、水道水などの浄化前の水を入れるように、一方側(
図1及び
図2においては上側)に開口部を有し、他方側に底部を有している。容器本体2の底部は、携帯型浄水器1全体の底部となる。携帯型浄水器1は、
図1に示すように、その底部を下にして直立することができる。
【0016】
容器本体2は、その一方側(開口部側)において、後に詳述する内蓋体3が着脱自在に装着される。そのため、容器本体2は、一方側の端部近傍の外側部に雄ねじ2aが形成されている。
【0017】
容器本体2は、側部に2個以上の環状の窪み部2b、2b’が形成されているのが好ましい。そうすると、容器本体2は、窪み部2b、2b’から底部の間の部分を把持して圧縮したときに、窪み部2b、2b’から一方側の端までの間の部分及び内蓋体3の装着部近傍が変形し難くなる。それにより、内蓋体3の装着部での漏水等の不具合の可能性をなくすようにすることができる。
【0018】
内蓋体3は、上記のように、容器本体2の一方側(開口部側)に着脱自在に装着され得るものである。内蓋体3は、
図1に示すように、他方側(
図1においては下側)の端部近傍の内側部に雌ねじ3aが形成されており、その雌ねじ3aと容器本体2の雄ねじ2aの螺着により、内蓋体3は容器本体2の一方側の端部近傍の外側部を囲むように装着される。なお、内蓋体3(及び外蓋体4)は、容器本体2のように柔軟である必要はなく、通常は、硬い(変形し難い)ものである。内蓋体3(及び外蓋体4)の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンなどを用いることができる。
【0019】
また、内蓋体3は、
図1及び
図3(a)、(b)に示すように、浄水流出部(第1浄水流出部)3bを有する。浄水流出部3bは、外方(
図1及び
図3(b)においては上方)に突出している。また、浄水流出部3bは、端面の中央部に設けられている。第1浄水流出部3bは、円筒形又は角筒形とすることができる。
【0020】
第1浄水流出部3bの内部には、軸方向に貫通孔(第1貫通孔)3baが設けられている(
図3(a)参照)。第1貫通孔3baは、内蓋体3の内側から(
図1及び
図3(b)においては内蓋体3の下側から)浄水カートリッジ5の後述する第2浄水流出部52aが装着され得る構造になっている。例えば、第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baには、浄水カートリッジ5の第2浄水流出部52aの装着のために、一対の支持片3bbが対向して内壁面に設けられるようにし、第2浄水流出部52aには、後に詳述する一対の被支持片52aaが外壁面に設けられるようにすることができる。支持片3bbは、通常は薄板状である。
【0021】
外蓋体4は、螺着などにより、着脱自在に内蓋体3に装着され得るものである。外蓋体4は、内側に突起4aを設け、内蓋体3に装着されたときに第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baに栓がされるようにすることができる。また、外蓋体4は、
図1に示すように、第1浄水流出部3bより周辺の部分において装着されるようにすると、取りはずしたときコップとして使用することも可能である。また、コップとしての使用は難しいが、外蓋体4は、第1浄水流出部3bの外周面に装着されるようにすることも可能である。
【0022】
浄水カートリッジ5は、
図5(a)、(b)、
図6(a)、(b)、
図7(a)、(b)、
図8(a)、(b)、に示すように、ろ材51とろ材収容体52を有する。
【0023】
ろ材51は、軸方向に中空部51aが設けられている。ろ材51は、円筒状のものを用いることができる。ろ材51は、特に材料は限定されないが、活性炭成形フィルター、中空糸膜、平膜、セラミック膜、積層フィルター、糸巻フィルター、金属フィルターなどが可能である。また、ろ材51は、保護等の目的で、一般的に、薄い不織布等により外周面及び内周面が覆われている。
【0024】
ろ材収容体52は、ろ材51を収容する筒状のものである。ろ材収容体52は、円筒状のものを用いることができる。なお、ろ材収容体52は、図示は省略するが、一般的に、ろ材51を内部に配置した後、2個の部材が合体して出来上がっている。また、ろ材51は、一般的に、両端面(
図7(a)、(b)においては上側及び下側の面)がろ材収容体52に接着される。
【0025】
ろ材収容体52は、浄水流出部(第2浄水流出部)52aを有する。第2浄水流出部52aは、ろ材収容体52の一端面(
図5(b)等)においては上側の面)から外方(
図5(b)等においては上方)に突出している。第2浄水流出部52aは、ろ材収容体52の一端面の中央部に設けられている。第2浄水流出部52aの内部には、その軸方向に、ろ材51の中空部51aに連通する貫通孔(第2貫通孔)52bが形成されている。
【0026】
第2浄水流出部52aは、上記のように、内蓋体3の内側から第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baに装着できる構造になっている。例えば、上記のように、第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baには、一対の支持片3bbが対向して内壁面に設けられるようにし、第2浄水流出部52aには、一対の被支持片52aaが外壁面に設けられるようにすることができる。一対の被支持片52aaが一対の支持片3bbに重なり合うことにより、第2浄水流出部52aが第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baに装着される。詳細には、装着のとき、一対の被支持片52aaは、内蓋体3の内側から外側に向かって移動させられて一対の支持片3bbの間を通過し、それから略90度(平面視で略90度)回動させられて一対の支持片3bbの外側(
図1においては、上側)で重なり合う。また、一対の被支持片52aaは、回って重なり易くするように回る側の端部はテーパが形成され、また、回り過ぎないようにその反対側の端部はストッパ52abが設けられている。また、第2浄水流出部52aは、その外壁面にOリング52acを設けて、後述するように携帯型浄水器1を逆さにして又は逆さ近くに傾けて容器本体2を圧縮したときに第1貫通孔3baの内壁面との隙間で漏水しないようにしてある。
【0027】
ろ材収容体52は、内壁面にスペーサ52c(
図7(b)参照)を有して、それにより、ろ材51(詳細には、その外側面)との間に内部流水路52dを形成する。
【0028】
ろ材収容体52は、その周面に、浄化前の水が流入する細長い浄化前水流入孔52eを有する。浄化前水流入孔52eは、周方向に形成されている。浄化前水流入孔52eは、内部流水路52dに連通する。また、浄化前水流入孔52eは、第2浄水流出部52aが設けられたろ材収容体52の一端面の近傍に、偏在して設けられている。浄化前水流入孔52eは、例えば、少なくともろ材収容体52の高さの半分(更に、好ましくは1/3)以下の部分に設けられている。また、浄化前水流入孔52eは、例えば、
図5(b)等に示すように一周上にのみ複数個設けられている(つまり、複数個が一周のみを形成している)ようにしたり二周上に複数個設けられているようにしたりできる。場合によっては、三以上の周上に複数個設けられるようにすることも可能である。
【0029】
空気逆止弁6は、内蓋体3に取り付けられている。空気逆止弁6は、空気を外部から内蓋体3の内側への一方向のみに流し得るものである。空気逆止弁6は、特に構造が限定されるものではないが、
図9(a)に示すように、逆止弁室部材61により形成される逆止弁室61aの中に逆止弁体62が設けられているものを用いることができる。逆止弁室部材61には、外部と逆止弁室61aとを連通し得る第1空気路61bが形成され、また、空気逆止弁6が取り付けられる部材側(つまり内蓋体3側)に第2空気路61cが形成されている。内蓋体3には、第2空気路61cに対応する位置に空気路3cが形成され、それにより内蓋体3の内側と逆止弁室61aとが連通されている。また、逆止弁体62は、逆止弁室部材61の内壁に沿って摺動するように摺動部分62aが複数箇所(例えば、4箇所)設けられている。
図9(b)に示すのは摺動部分62aが含まれない切断面で切断した断面図である。
【0030】
逆止弁体62は、内蓋体3の内側の空気圧が外部と等しい或いは外部よりも大きいと、第1空気路61bを塞ぐ(
図9(a)、(b)参照)。逆止弁体62は、第1空気路61bを塞いで逆止弁室部材61に密接し易い材質のものであり、例えば、シリコーンゴムなどを用いることができる。逆止弁体62は、内蓋体3の内側の空気圧が外部よりも小さいと、
図9(c)に示すように、第1空気路61bを開放し、空気は、外部から逆止弁室61aを通って内蓋体3の内側に導入される。
【0031】
このような構成の携帯型浄水器1は、以下のようにして使用することができる。すなわち、先ず、浄水カートリッジ5付きの内蓋体3(及び外蓋体4)を容器本体2から取り外して水道水などの浄化前の水を注入する。その後、内蓋体3及び外蓋体4を装着すると、携帯型浄水器1は持ち運びが可能である。
【0032】
飲料時には、外蓋体4を内蓋体3から取り外し、携帯型浄水器1を逆さにして又は逆さ近くに傾けて容器本体2を圧縮すると、中の空気及び浄化前の水が加圧され、加圧された水は、浄水カートリッジ5の浄化前水流入孔52eから流入して内部流水路52dを通り、それからろ材51を通過する。そのとき、浄化前の水に塩素や有機物などの不純物が含まれた場合、それらがろ材51に捕捉され、浄水となる。浄水は、中空部51a及び第2貫通孔52bを通って第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baから流出する。
【0033】
ここで、浄水カートリッジ5の浄化前水流入孔52eは、ろ材収容体52の一端面の近傍に偏在して設けられているため、
図10に示すように、容器本体2内の浄化前の水(
図10において符号W1で示す)が少なくなっても、浄化前水流入孔52eの外側に水が有る限り、浄水カートリッジ5の外側の空気は、浄水カートリッジ5内には入ってこない。そうすると、容器本体2内の浄化前の水が少なくなっても、浄水に空気が混じったり浄水が流出し難くなったりすることなく、浄化前の水が多いときと同様な状態の浄水を流出することができる。浄水カートリッジの外側の空気が混じらない浄水は、衛生的でもある。これに対し、従来の携帯型浄水器では、浄水カートリッジの浄化前水流入孔は、ろ材収容体の側面の全体に設けられているため、容器本体内の浄化前の水が少なくなると、浄水カートリッジの外側の空気は、浄水カートリッジ5内に入り込み、ろ材を通過して浄水に混じることになる。また、そのとき、浄化前の水を加圧する空気の圧力は小さくなるので、浄水が流出し難くなる。
【0034】
第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baから流出する浄水は、第1浄水流出部3bを口に含んで飲むことが可能である。また、外蓋体4をコップとして使用する場合は、浄水を外蓋体4に注いで飲むことが可能である。浄水を外蓋体4に注いで飲むと、より衛生的になる。なお、容器本体2の圧縮前及び圧縮時には、空気逆止弁6の第1空気路61bは、塞がった状態であり、内部の空気或いは浄化前の水は、第1空気路61bを通って外部に流出することはない。
【0035】
容器本体2の圧縮を終えると、浄水の流出が止まる。また、そうすると、容器本体2の形状が復元し、空気逆止弁6の第1空気路61bが開放されて容器本体2(及び内蓋体3)の内側に空気が導入される。
【0036】
携帯型浄水器1は、以下のようにすると、浄水カートリッジ5のろ材51を洗浄可能にすることができる。
【0037】
第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baは、内蓋体3の内側からのみならず外側からも(
図1においては内蓋体3の上側からも)、つまり逆向きでも、浄水カートリッジ5の第2浄水流出部52aが装着できるような構造とする。例えば、上記のように、第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baには、一対の支持片3bbが対向して内壁面に設けられるようにし、第2浄水流出部52aには、一対の被支持片52aaが外壁面に設けられるような構造でそれが可能である。第2浄水流出部52aが内蓋体3の外側から第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baに装着されるときは、一対の被支持片52aaは、内蓋体3の外側から内側に向かって移動させられて一対の支持片3bbの間を通過し、それから略90度回動させられて一対の支持片3bbの内側で重なり合う。
【0038】
ここで、一対の被支持片52aが略90度回動させられて一対の支持片3bbに重なり合うことで、浄水カートリッジ5が内蓋体3にその内側から及び外側から装着されると、浄水カートリッジ5を保持する指はそのままに手首を略90度回すだけでよい。よって、浄水カートリッジ5と指とは最小限の接触で済むことになるので、浄水カートリッジのろ材51を洗浄する際の不意な汚れ等の浄水カートリッジ5への付着を抑制することができる。
【0039】
携帯型浄水器1を浄水が得られる通常の状態から、浄水カートリッジ5が洗浄可能な状態にするには、先ず、外蓋体4及び内蓋体3を容器本体2から取り外し、水道水を容器本体2注入する。浄水カートリッジ5を内蓋体3から分離させる。そして、浄水カートリッジ5の第2浄水流出部52aを内蓋体3の第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baに逆向きに(つまり、浄水カートリッジ5を内蓋体3に逆向きに)取り付けて、内蓋体3を容器本体2に装着する。そして、シンク等の場所で、
図11に示すように、携帯型浄水器1を逆さに又は斜めに傾けて容器本体2を圧縮すると、加圧された水道水(
図11において符号W2で示す)が、第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baから逆向きに浄水カートリッジ5の第2貫通孔52b及び中空部51aに流入し、ろ材51を内側から外側に向かって通過して、浄水カートリッジ5の外に排出される。このとき、ろ材51に補足され蓄積された不純物は浄水カートリッジ5の外に排出され、それとともに、ろ材51の内側近傍は、水道水に含まれる塩素によって殺菌される。
【0040】
携帯型浄水器1は、また、以下のようにして浄水にミネラルを付加することができる。ここで、浄水カートリッジ5のろ材51は、塩素や有機物などは捕捉するが、ミネラル(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)は捕捉されないものを用いる。
【0041】
携帯型浄水器1は、
図12に示すように、ミネラル溶出カートリッジ7を更に備えるようにし、浄水カートリッジ5のろ材収容体52にミネラル溶出カートリッジ7が装着できるようにする。ミネラル溶出カートリッジ7は、セラミックス材71とそれを収容する筒状のセラミックス材収容体72を有する。セラミックス材71は水に溶出するミネラルを含有している。セラミックス材収容体72は、
図13(a)、(b)に示すように、一端部に装着部72aを有している。ろ材収容体52は、
図14に示すように、一端面の反対側の他端面に、ミネラル溶出カートリッジ7の装着部72aが装着され得る被装着部52fを有している。ミネラルを含有するセラミックス材71は、例えば、海底の土類から作られた自然由来のものとすることができる。また、セラミックス材収容体72は、セラミックス材71に浄化前の水が接触することができるように、通水孔72bが多数設けられている。
【0042】
ろ材収容体52の被装着部52fは、例えば、一対の被装着部片52faが設けられ、セラミックス材収容体72の装着部72aは、孔部72aaとそれに連続して内部で周方向に一定区間だけ形成された一対の差し込み部72abが設けられるようにすることができる。一対の被装着部片52faが一対の差し込み部72abに差し込まれることにより、ろ材収容体52にミネラル溶出カートリッジ7が装着される。
【0043】
ミネラル溶出カートリッジ7は、容器本体2内に貯留された浄化前の水に漬かると、セラミックス材71からミネラル(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)が溶出する。ミネラルは、浄水カートリッジ5のろ材51を通過することができ、従って、第1浄水流出部3bの第1貫通孔3baから流出する浄水に含まれるようにすることができる。ミネラルを含む浄水は、熱中症対策として有効である。
【0044】
以上、本発明の実施形態に係る携帯型浄水器について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 携帯型浄水器
2 容器本体
2a 容器本体の雄ねじ
2b、2b’ 容器本体の窪み部
3 内蓋体
3a 内蓋体の側部の雌ねじ
3b 内蓋体の浄水流出部(第1浄水流出部)
3ba 第1浄水流出部の貫通孔
3bb 第1浄水流出部の支持片
3c 内蓋体の空気路
4 外蓋体
4a 外蓋体の突起
5 浄水カートリッジ
51 ろ材
51a ろ材の中空部
52 ろ材収容体
52a ろ材収容体の浄水流出部(第2浄水流出部)
52aa 第2浄水流出部の被支持片
52ab 第2浄水流出部のストッパ
52ac 第2浄水流出部のOリング
52b ろ材収容体の貫通孔(第2貫通孔)
52c ろ材収容体のスペーサ
52d ろ材収容体とろ材との間の内部流水路
52e ろ材収容体の浄化前水流入孔
52f ろ材収容体の被装着部
52fa ろ材収容体の被装着部の被装着部片
6 空気逆止弁
61 逆止弁室部材
61a 逆止弁室
61b 逆止弁室部材の第1空気路
61c 逆止弁室部材の第2空気路
62 逆止弁体
62a 逆止弁体の摺動部分
7 ミネラル溶出カートリッジ
71 セラミックス材
72 セラミックス材収容体
72a セラミックス材収容体の装着部
72aa セラミックス材収容体の装着部の孔部
72ab セラミックス材収容体の装着部の差し込み部
72b セラミックス材収容体の通水孔
W1 浄化前の水
W2 水道水