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特許7401088医用画像処理装置、医用画像処理方法および医用画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法および医用画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231212BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20231212BHJP
   A61B 8/08 20060101ALI20231212BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61B6/03 360M
A61B6/03 330A
A61B6/03 360G
A61B6/03 375
A61B5/055 380
A61B5/055 370
A61B8/08
G01T1/161 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019222540
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2020093095
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2018229633
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391039313
【氏名又は名称】株式会社根本杏林堂
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】七戸 金吾
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-350726(JP,A)
【文献】特開2011-069965(JP,A)
【文献】特開2018-140227(JP,A)
【文献】特表2018-503419(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0036399(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055、6/00-6/14、8/00-8/15
G01T 1/161-1/166
G06T 1/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイスと、画像表示制御部とを備える医用画像処理装置であって、
前記画像表示制御部は、
解剖学的構造体を三次元画像として表示する処理と、
その解剖学的構造体の大きさを示すスケールインジケータを、操作者からの所定の入力により選択された前記解剖学的構造体の一部を中心に、前記解剖学的構造体の表面に沿うように表示させる処理と、
を行う、医用画像処理装置。
【請求項2】
操作者からの前記所定の入力があったときに前記スケールインジケータが表示されるように構成されている、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記所定の入力が、前記表示デバイスの画面をタッチすることによりまたはカーソルでの指示により前記解剖学構造体の一部を選択することである、請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
操作者からの前記所定の入力が音声入力である、請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記画像表示制御部は、
第1の範囲で前記スケールインジケータを表示させる処理と、
その後、操作者からの表示変更の入力があったときに、前記スケールインジケータを表示させる範囲を第2の範囲に変更する処理と、
を行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記スケールインジケータは格子状の表示である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記解剖学的構造体が臓器であり、
前記画像表示制御部は、
臓器の画像とともにその内部の腫瘍の画像を表示させる処理と、
前記腫瘍を中心として前記スケールインジケータを表示させる処理と、
を行う、
請求項1~6のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記解剖学的構造体が血管であり、
前記画像表示制御部は、
前記血管の表面に沿うように前記スケールインジケータを表示する処理を行う、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
解剖学的構造体の前記三次元画像が、前記表示デバイスに実寸表示される、請求項1~のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
解剖学的構造体を三次元画像として表示するステップと、
その解剖学的構造体の大きさを示すスケールインジケータを、操作者からの所定の入力により選択された前記解剖学的構造体の一部を中心に、前記解剖学的構造体の表面に沿うように表示させるステップと、
を有し、上記各ステップはコンピュータによって行われる、医用画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
解剖学的構造体を三次元画像として表示するステップと、
その解剖学的構造体の大きさを示すスケールインジケータを、操作者からの所定の入力により選択された前記解剖学的構造体の一部を中心に、前記解剖学的構造体の表面に沿うように表示させるステップと、
を実行させる、医用画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置、医用画像処理方法および医用画像処理プログラムに関し、特には、被検者の解剖学的構造体の特定部位の大きさを適切に確認することができる医用画像処理装置、医用画像処理方法および医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医用画像撮像装置として、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等が知られている。
【0003】
従来、例えば肝臓などの臓器において腫瘍部分の切除を行う手術に関し、画像処理装置によって被検者の臓器構造を三次元画像として表示し、その中で、どの部分を切除すべきかを決定して表示する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-165910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術のように、術前に三次元医用画像を確認することで患部をどのような範囲で切除するかを確認できることは、切除領域をできるだけ小さくして健康な臓器をで多く残すことができる点で好ましい。切除領域の把握に関し、画面上にスケールを表示させることで臓器等の形状や大きさを確認することが可能とも思われるが、そのスケールが例えば画面端に表示される二次元的な表示であると、三次元画像として表示されている臓器等の形状や大きさを正確に把握しにくい場合が想定される。
【0006】
そこで本発明の目的は、被検者の解剖学的構造体の特定部位の大きさを適切に確認することができる医用画像処理装置、医用画像処理方法および医用画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一形態の医用画像処理装置は下記の通りである:
表示デバイスと、画像表示制御部とを備える医用画像処理装置であって、
上記画像表示制御部は、
解剖学的構造体を三次元画像として表示する処理と、
その解剖学的構造体の大きさを示すスケールインジケータを上記解剖学的構造体の表面に沿うように表示させる処理と、
を行う、医用画像処理装置。
【0008】
(用語の説明)
・「三次元画像」とは、本明細書において、被検者を撮像して得られたボリュームデータに基づき、ボリュームレンダリングを行って生成された三次元的なモデルのことをいう。
・「制御部」とは、例えば、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)とメモリとインターフェース等を有し、メモリ内に格納されたコンピュータプログラムを実行することで様々な機能を実現するコンピュータユニットであってもよい。一例で、コンピュータユニットは、CPU、ROM、RAM、およびI/F等のハードウェアを有しプログラムが実装されたいわゆるワンチップマイコンであってもよい。
・「コンピュータプログラム」に関し、その実施主体は単数であってもよいし複数であってもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させてもよい。コンピュータプログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は特に限定されず、例えば、メモリーカード、CD-ROM等の記録媒体であってもよい。記録媒体に記憶されたコンピュータプログラムは、適宜のリーダーを介してコンピュータユニットに実装することができる。適宜のリーダーとは、例えば、記録媒体がメモリーカードである場合はカードリーダ、記録媒体がCD-ROMである場合はCDドライブ、などが挙げられる。
・「部(「セクション」、「ユニット」または「モジュール」等としても表現できる)」に関し、本明細書で例えば「(機能の名称)」+「部」で表わされるものは、コンピュータの機能として実現可能なものである。このような「部」は、システムにおけるいずれの機器に備わっていてもよい。また、必ずしも1つの機器内に備わっている必要はなく、相当する機能が2つ以上の機器に分散して備えられていてもよい。さらに、通信ネットワーク(例えばインターネット)を介して、所定の1つまたは複数の「部」のみが外部の機器に備えられていてもよい。このような「部」は、コンピュータが論理的に有する各種の機能であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被検者の解剖学的構造体の特定部位の大きさを適切に確認することができる医用画像処理装置、医用画像処理方法および医用画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態の医用画像処理装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2】三次元医用画像のオブジェクトの関係を示す模式図である。
図3】本発明の一形態の医用画像処理装置の動作の一例のフローチャートである。
図4】三次元医用画像(臓器)にスケールインジケータを表示させた一例を示す図である。
図5】スケールインジケータの表示範囲の変更の一例を示す図である。
図6】三次元医用画像(臓器)にスケールインジケータを表示させた別の例を示す図である。
図7】スケールインジケータの他の態様の一例を示す図である。
図8】三次元医用画像(血管)にスケールインジケータを表示させた一例を示す図である。
図9】三次元医用画像とともにバーチャルスケールを表示させた一例を示す図である。
図10】バーチャルスケールの動きやサイズ変更を説明するための図である。
図11】バーチャルスケールを湾曲表示させた例を示す図である。
図12】腫瘍を焼灼によって除去する手技を説明するための図である。
図13】対象物に対する最小外接球およびそれより大きいマージン球を示す図である。
図14】焼灼や凍結のためにプローブが複数回挿入される手技に対応した画像の表示例である。
図15】解剖学的構造体の性質を加味して球体を異なる形状および/またはサイズで表示させる例について説明するための模式図である。
図16】実質臓器の外部に球体がはみ出るケースにおける表示態様について説明するための図である。
図17】具体的な画像の一例である。
図18】プローブオブジェクトの表示態様について説明するための模式図である。
図19】治療領域の外周部に焼灼または凍結により影響を受け得る領域が表示される例、および、焼灼または凍結の経時的な拡がり範囲を示す例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の医用画像処理システム1は、画像表示制御部11と、データ格納部12と、表示デバイス13と、入力デバイス14とを備えている。また、データ入出力インターフェース15、医用情報管理装置21、薬液注入装置22、および、撮像装置23をさらに有していてもよい。
【0013】
本発明の一形態において、図1の符号10で示した範囲が医用画像処理装置として構成されていてもよく、医用画像処理装置10は、画像表示制御部11、データ格納部12、表示デバイス13、入力デバイス14およびデータ入出力インターフェース15を有するコンピュータ装置であってもよい。より具体的には、それらを1つの筐体に収め、表示デバイス13および入力デバイス14としてタッチパネルを備えた可搬型の端末(例えばタブレット端末)であってもよい。
【0014】
画像表示制御部11は、三次元医用画像(単に三次元画像ともいう)の表示に関する制御を行うものであり、データ格納部12は種々のデータを保存する部分である(詳細後述)。表示デバイス13は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなど、画像表示制御部11で作成された画像を表示できる任意のディスプレイであってよい。
【0015】
入力デバイス14は、例えば、キーボードやマウス(3Dマウスを含む)など、操作者による入力操作を受け付け、画像表示制御部11にデータを入力できる任意のデバイスであってよい。ディスプレイとタッチスクリーンとを組み合わせたタッチパネルを表示デバイス13および入力デバイス14として用いることもできる。入力デバイス14としては、さらに、非接触で入力を行うことのできる非接触入力ユニットを組み合わせることもできる。
【0016】
非接触入力ユニットは、ジェスチャ認識技術を利用したものと音声認識技術を利用したものに分けることができる。ジェスチャ認識技術を利用した非接触入力ユニットの一例として、「Leapセンサ」(Leap Motion社製)が挙げられる。「Leapセンサ」は、操作者の指の動き等を非接触で認識できる入力デバイスであり、赤外線照射部と、赤外線カメラ等を有する。同センサは、赤外線照射部から照射された赤外線が操作者の手に当たったときの反射光を赤外線カメラで撮影し、画像解析を行う機能を有する。これにより、三次元空間内での操作者の手および指の位置、動作および形状等をリアルタイムで検出することが可能となっている。
【0017】
ジェスチャ認識技術を利用した非接触入力ユニットの他の例として、「リアルセンス」(インテル社製)が挙げられる。「リアルセンス」は、RGBカメラおよび赤外線カメラから構成された3Dカメラ、赤外線センサ等をモジュール化したものである。色情報の他に奥行情報を取得でき、操作者の指等の動作を三次元で認識可能である。本形態では、Leapセンサおよびリアルセンスのいずれも利用可能である。いずれにおいても、入力のための操作者の動作は、タッチパネル上での操作者の動作(例えば、タップ、ダブルタップ、スワイプ、フリック、ピンチイン、ピンチアウトなど)と同じ動作に加え、奥行方向の動作も利用可能である。
【0018】
音声認識技術を利用した非接触入力ユニットの例として、音声認識ユニットを挙げることができる。音声認識ユニットは、操作者が発生した音声を取得するマイクロフォンと、マイクロフォンが取得した音声を認識して操作用信号に変換する音声認識装置とを有するものであってもよい。音声認識装置の設置場所は任意であってよいが、マイクロフォンは、操作者の近くに設置することが好ましい。
【0019】
なお、本出願において、機器への任意の入力は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において上述したような各種の入力手段を用いることができる。
【0020】
データ格納部12は、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)および各種メモリの少なくとも一種を含むことができる。データ格納部12には、被検者の体を撮像して得たデータに基づいて作成された三次元医用画像のデータ等が格納される。データ格納部12には、他に、画像表示制御部11が行う処理に必要な少なくとも1つのプログラム、テーブル等が格納されていてもよい。データ格納部12に格納されるデータの一部は、データ入出力インターフェース15を通じて医用情報管理装置21から取得することもできる。
【0021】
医用情報管理装置21としては、PACS(picture Archiving and CommunicationSystems)、RIS(Radiology Information System)およびHIS(Hospital Information System)等の1つまたは複数が挙げられる。医用情報管理装置21は、一例で、薬液注入装置22によって薬液(例えば造影剤)が注入され、撮像装置23によって撮像された被検者の医用画像データを管理する。
【0022】
薬液注入装置22としては、シリンジや薬液バッグ等に充填された造影剤等の薬液を、予め設定された注入条件に従って自動的に被検者に注入する任意の注入装置を用いることができる。
【0023】
撮像装置23は、CT(Computed Tomography)装置、MRI(MaganeticResonance Imaging)装置、アンギオグラフィ装置、PET(Positoron Emission Tomography)装置、超音波診断装置等、画像データで構成された医用画像を撮像することのできる任意の装置であってよい。データ格納部12に格納されるデータは、撮像装置23から取得することもできる。
【0024】
データ格納部12に格納されるデータセットの例としては、撮像装置23からのボリュームデータや、そのボリュームデータに対して所定の処理を施して得られた三次元医用画像等が挙げられる。ボリュームデータは、撮像装置23によって被検者に対して特定の方向(例えば、体軸方向、左右方向、前後方向、これらの少なくとも1つに対して傾斜した方向など)に一定の間隔(例えば1mm間隔)で連続的に撮影された複数(例えば300)のスライス画像データを体軸方向に配列して得られるデータセットである。ボリュームデータは複数のボクセルを含み、各ボクセルのボクセル値に基づく所定の処理により、複数の解剖学的構造を抽出することができる。各ボクセルに対して、抽出した解剖学的構造ごとに透過率や色相が設定されてもよく、そのために、各ボクセルは、座標情報、透過率情報および色相情報を含んでいてもよい。ボリュームデータにレンダリング処理を行うことによって、視認可能な三次元医用画像を作成することができる。
【0025】
三次元医用画像は、図2に簡略的に示すように、複数の独立したオブジェクト(解剖学的構造)18a~18cを含むデータであってもよい。ここでは一例として、臓器のオブジェクト18a、血管のオブジェクト18b、腫瘍部分のオブジェクト18cが含まれている。各オブジェクトをどのような形状で、どのように抽出(セグメンテーション化)するかに関しては、従来公知の手法を用いることができる。オブジェクトに関する色の設定や透過率の設定に関しても従来公知の手法を用いることができる。
【0026】
図1から明らかなように、医用画像処理装置10は医用画像処置システム1として構成することができる。データ入出力インターフェース15と医用情報管理装置21との接続は有線接続でもよいし無線接続でもよい。医用画像処理装置10は、表示デバイス13および入力デバイス14の一部が画像表示制御部11と別体のユニットで構成されたワークステーションとして構成されていてもよい。
【0027】
画像表示制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備えたコンピュータユニットで構成することができる。画像表示制御部11は、入力デバイス14によって受け付けられた入力に従って表示デバイス13への画像の表示を制御する種々の処理を実行する。画像表示制御部11で行われる処理は、コンピュータプログラムで実現してもよいし、論理回路によるハードウェアで実現してもよいし、それらの組合せであってもよい。
【0028】
画像表示制御部11は、具体的には次のような処理を行うものであってもよい:
(a)入力判定処理
画像表示制御部11は、入力デバイス14が受け付けた入力を、入力を受け付けた入力デバイス14の種類、入力された信号の変化などに基づき認識する。
(b)表示処理
画像表示制御部11は、表示デバイス13の表示領域についての処理および表示領域内での画像表示についての処理を行う。三次元医用画像を表示デバイス13に表示させる処理や、表示された画像の移動、拡大・縮小、回転等を行う処理がこの表示処理に含まれる。
(c)スケールインジケータ表示処理
画像表示制御部11は、三次元医用画像として表示されている被検者の解剖学的構造体の大きさを示すスケールインジケータを表示する処理を行う。このスケールインジケータは、平面的に表示されるものではなく、解剖学的構造体の表面に沿うような態様(別の言い方をすれば、3Dオブジェクトの表面にマッピング表示した態様で)で表示されるものであることが好ましい。スケールインジケータの具体的な例については、以下の医用画像処理装置10の動作の説明の中で別途説明するものとする。
【0029】
(動作の一例)
図3のフローチャートを参照しつつ医用画像処理装置10の動作について説明する。医用画像処理装置10の電源が入れられ、医用画像処理プログラムが起動されると、以下に述べる一連の処理が、画像表示制御部11によって行われる。
【0030】
まず、ステップS11において、医用画像処理装置10は、被検者を撮像して得られたボリュームデータに基づいて三次元医用画像を作成するかまたは予め用意された三次元医用画像を取得する。そして、ステップS12において、医用画像処理装置10はその三次元医用画像を表示デバイス13に表示する。三次元医用画像を作成については従来公知の方法で実施可能であるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
図4は、三次元医用画像の一例であり、ここでは、腎臓61、腹部大動脈51および腎動脈53が表示され、さらに、腎臓61内に1つの腫瘍部分(患部)65が表示されている。腫瘍部分65およびその周辺部が手術において切除されるべき部分である。それぞれのオブジェクト(腎臓、血管、腫瘍部分)は独立して操作できるようになっており、ここではそれぞれのオブジェクトごとが異なる色で表示され、また、透過度を変更できるように設定されている。腫瘍部分65は腎臓61の内部に存在しているが、腎臓61のオブジェクトが半透明状態で表示されていることにより、内部の腫瘍部65が視認できるようになっている。
【0032】
次いで、ステップS13において操作者が例えば腫瘍部分65を選択すると、医用画像処理装置10はそれを認識する。選択は、操作者がタッチパネル(不図示)を介して腫瘍部分65(またはその付近)をタッチすることによって行われるものであってもよいし、または、画面上のカーソルを動かして同部分を指示するもの等であってもよい。他にも、操作者が例えば「腫瘍」と言った場合に、音声入力機能によりそれを認識して選択が行われるものであってもよい。
【0033】
次いで、ステップS14において、医用画像処理装置10はスケールインジケータ71を表示させる。スケールインジケータ71を表示させるための入力としては、特に限定されるものではないが、例えば、操作者によるタッチパネル(不図示)上でのタッチ動作、画面上のカーソルを使用した入力、ジェスチャ入力、音声入力であってもよい。なお、ステップS13とステップS14とで、選択と表示のステップが別々になっているが、これらが1つのステップとして実施されてもよい。
【0034】
この例では、スケールインジケータ71は、格子状であり、腫瘍部分65を中心とした所定の範囲に表示されている。グリッドの態様は限定されるものではないが、具体的には四角形を複数並べたようなグリッド表示の態様であってもよい。グリッドの四角形は任意のサイズとすることができ、例えば、1mm角、2mm角、3mm角、5mm角、または10mm角であってもよい。また、このようなサイズが複数用意されており、その中から1つをデフォルトの表示とすることができるように設定変更可能となっていることも好ましい。それぞれのグリッド形状に関し、四角形に替えて例えば六角形等の多角形形状を採用するようにしてもよい。
【0035】
本実施形態では、スケールインジケータ71は三次元的に表示された解剖学的構造体(ここでは腎臓61)の表面に沿うように、すなわち、3Dオブジェクトの表面にマッピング表示した態様で表示される。この種の医用画像の表示においては、対象物の寸法を知るために平面的なスケールを画面に表示することも考えられる。このような平面的なスケールの場合、大凡のサイズを把握するには特に問題はない。しかしながら、腫瘍部分65を含んだ臓器(腎臓61)の一部領域を切除する本実施形態の手技のよう場合には、臓器全体に対する切除領域を正確に把握できることが望ましく、そのために本実施形態のような表示態様がより好ましい。つまり、本実施形態のようにスケールが対象物の表面にマッピング表示されている場合、対象物の表面上の長さをより正確に知ることができる。対象物の表面上の長さは、換言すれば、切除用デバイスを移動させるべき距離と捉えることができるので、このような長さを確認可能な本実施形態の構成によれば、より正確な切除手術を行うことができるものとなる。
【0036】
スケールインジケータ71は、必ずしも、対象の解剖学的構造体の全体に表示される必要はない。腫瘍部分65およびその周辺の一定領域のみに表示されるようになっていてもよい。スケールインジケータ71を対象の解剖学的構造体の全体に表示させてしまうとその対象物の形状や大きさを確認し難くなるような場合、このように一部にのみスケールインジケータ71を表示させる構成とすることが、確認のし易さを損なわない点で好ましい。
【0037】
医用画像処理装置10がスケールインジケータ71の表示範囲の変更機能を備えている場合、必要に応じ、さらにステップS15で、医用画像処理装置10はスケールインジケータ71の表示範囲を変更する(図5参照)。この例では、4×4のグリッド表示のスケールインジケータ71が、それよりも一回り大きい6×6のスケールインジケータ71′(中心Oは共通)に変更され、表示範囲が拡大されている。なお、変更後のスケールインジケータ71も、やはり、腎臓61の表面に沿うように表示される。
【0038】
表示範囲を変更するための入力としては、特に限定されるものではないが、上記同様、例えば、操作者によるタッチパネル(不図示)上でのタッチ動作、画面上のカーソルを使用した入力、ジェスチャ入力、音声入力等であってもよい。特には1回の入力操作のみで表示範囲が変更されることが一形態において好ましい(例えば1回のタッチ動作、1回のカーソルでのクリック、1回のジェスチャ入力等。なお、ここで「1回」とは、連続した2度のタッチやダブルクリックのように連続して行われる動作も含む)。
【0039】
例えば、カーソルを動かして操作者が切除範囲を指定する入力方式は、複雑な形状の切除範囲を入力する場合に有用であるが、入力の手間が比較的かかるものとなる。これに対して、上記のような操作で変更できる構成によれば、表示範囲の変更を簡単に行うことができ有用である。デフォルトとして表示される第1の範囲から第2の範囲へと、表示領域が拡大される設定であってもよいし、逆に、表示領域が縮小される設定であってもよい。また、第1の範囲から第2の範囲へと表示変更を行うための入力を繰り返すことで、図5に示すように、一旦変更された表示範囲が元の表示範囲に戻るようになっていてもよい。図5の例では、変更可能な範囲が2つのみであるが、3つ以上の範囲に変更できるようになっていてもよい。
【0040】
画面に表示されている三次元医用画像は、任意の方向への回転、移動、拡大・縮小が可能である。このような画像の表示変更があった場合、スケールインジケータ71も、表示されている他のオブジェクトと一緒に動くこととなる。このように、立体的に表示された三次元医用画像がスケールインジケータ71と共に表示され、所望の角度から観察することができるようになっていることで、切除すべき領域をより正確に確認することが可能となる。
【0041】
スケールインジケータ71に関し、例えば実際に表示デバイス13に表示する際に、被検者の実際の臓器サイズと同じスケールとなるように、サイズを調整して表示が行われるようになっていることも一形態において好ましい(実寸表示機能)。三次元画像の基となるデータセットがボリュームデータである場合、そのボリュームデータが持つ座標情報から各ボクセルの実際の寸法を求めることができる。表示デバイス13での表示に関しては、表示される画像のサイズを表示デバイス13の画素ピッチに応じて適宜変更することで、画像を実寸で表示させることができる。
【0042】
具体的には次のようなものであってもよい。すなわち、ボリュームデータの1ボクセル当たりの実際の寸法を求め、求められた1ボクセル当たりの実際の寸法と表示デバイス13の画素ピッチとを対応させることで、表示デバイス13に画像を実寸大で表示させることができる。限定されるものではないが、実寸表示処理の実行後、表示画像のサイズ変更、回転および移動のうち少なくとも1つあるいは2つ以上の任意の組合せをロックする機能(変更を不可とする機能)が備えられていてもよい。
【0043】
以上説明したように本実施形態の医用画像処理装置10によれば、三次元医用画像として表示された被検者の解剖学的構造体の表面に沿うようにスケールインジケータ71が表示されるものであるため、単に画面上に二次元的なスケールを表示するだけの態様に比べ、被検者の解剖学的構造体の形状や大きさを適切に確認することができる。特に、簡単な入力操作で図5に示すようにスケールインジケータ71、71′の表示範囲を変更できる構成の場合、煩雑な入力を行うことなく切除範囲を拡大または縮小することができ有用である。
【0044】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である:
(1)スケールインジケータ
図5のスケールインジケータ71は、4×4のグリッド表示で全体として四角形の領域に表示されるものであったが、表示範囲は任意の形状であってもよい。また、スケールインジケータは必ずしも格子状(メッシュ状)に限定されるものではなく、図6に示すように、対象物の長さを示す直線状のスケールインジケータ72であってもよい。図示は省略するが、一軸ではなく、直行する二軸のスケールインジケータが表示されるものであってもよい。このようなスケールインジケータであっても、それが解剖学的構造体の表面にマッピング表示されるものであれば、上記同様、本発明の一形態に係る作用効果を得ることができるためである。
【0045】
また、例えば図7に示すようなものを用いてもよい。図7(a)のスケールインジケータ75aは、同心円状のスケールである。解剖学的構造体のうち指定された任意の位置を中心にこのようなスケールインジケータ75aが表示されるようになっていてもよい。また、図7(b)は二軸のスケールインジケータ75bの例を示している。図4に示したような格子状のインジケータを表示するのに比べ、このようなインジケータの場合、表示のための計算量が少なくて済み実装が容易であるという利点がある。
【0046】
(2)血管上のスケールインジケータ表示
腫瘍部分の切除手術においては、腫瘍周辺の血管の走行状態を事前に確認できるようになっていることが好ましい。図8は腫瘍部分とその周辺の血管を模式的に示す図である。この例では、動脈55から延び出した血管56がさらに血管S1、S2に分岐している。血管S2が腫瘍部分65に繋がっており、今回の手術で切除すべき血管であるものとする。一方の血管S1は切除不要の血管である。このような場合、血管56の起始部から分岐部までの距離が事前に分かっていれば、手術を行う際に、血管S1およびS2を把握する手がかりとなり、誤って血管S1を切除してしまう可能性を低減することができる。
【0047】
そこで、本発明の一形態では、血管56にスケールインジケータ73が表示されるようになっていてもよい。スケールインジケータ73は、血管56の起始部から末端側へと、血管表面に沿うように表示されている。スケールインジケータ73の目盛り間隔は特に限定されるものではないが、例えば、1mm間隔、2mm間隔、5mm間隔、10mm間隔等であってもよい。対象部位の構造にも依存するが、目盛りの間隔が狭すぎると、目視での計測が行い難くなるおそれがあるので、5mm以上または10mm以上の間隔で表示するようにしてもよい。このようにスケールインジケータ73が表示される構成によれば、血管分岐部までの距離dを確認し易くなり、その結果、より適切に血管の処理を行うことが可能となる。
【0048】
以上、本発明について幾つかの実施態様を例に説明してきたが、本明細書に開示される個々の技術的特徴は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組合せ可能である。
【0049】
腎臓や血管にスケールインジケータを表示する例について説明したが、本発明は当然ながら他の解剖学的構造体(臓器、血管、管)にスケールインジケータを表示させることを含む。
【0050】
スケールインジケータの解剖学的構造体表面への表示に関し、例えば図6ではインジケータ72が解剖学的構造体表面に張り付いたような表示となっているが、このインジケータオブジェクトを操作者が操作するとそのサイズが変更(伸縮)されるように構成されていてもよい。この場合の操作としては、種々のものが可能であるが一例としてピンチ操作であってもよい。解剖学的構造体の表面上に表示されたスケールインジケータ(例えば71、72、73等)については、一旦表示された後に、操作者がそれを操作すると、解剖学的構造体の表面にマッピングされた状態のままスケールインジケータが移動する(換言すれば、スケールインジケータが解剖学的構造体の表面に沿って移動する)ように構成されていてもよい。このような操作が可能となっていることで、例えば、図7の構成に関して言えばスケールインジケータ73の目盛り位置の調整や開始位置の変更などを行うことができるものとなる。スケールインジケータは、また、一例として、最初は解剖学的構造体表面に張り付いたような状態ではなく、対象の解剖学的構造体から離れた状態で表示されており(操作者が、適宜、移動および/またはサイズ調整できる状態であってもよい)、それをタッチ(一例)することで、解剖学的構造体の表面に張り付くように表示されるものであってもよい。再びタッチ(一例)することで、解剖学的構造体から離れた状態に戻すことができるようになっていてもよい。
【0051】
(他の実施形態)
一実施形態において、医用画像処理装置10は、解剖学的構造体とともにその長さを示すためのスケールを画面上に表示する機能を有していてもよい。図9を参照して具体例について説明する。図9の画面では、上述した実施形態同様、腎臓61、腹部大動脈51および腎動脈53のオブジェクトが表示されている。この例では、医用画像処理装置10は、画面上にバーチャルスケール171を表示する。
【0052】
バーチャルスケール171の形状は特に限定されるものではないが、一例として、細長い四角形型(直線定規タイプ)、三角形型(三角定規タイプ)などであってもよいし棒状のものであってもよい。バーチャルスケール171には、一定の長さごとに目盛りが振られていてもよい。このようなバーチャルスケール171によれば、仮想空間内にスケールが直線定規(一例)のような態様で表示され、それを用いて対象の解剖学的構造体の長さを確認することができるため、直感的な計測を行うことができる点で有利である。
【0053】
バーチャルスケール171の表示に関し、例えば、画面上に所定の画像ボタン(アイコン)が表示されておりそれを選択することでバーチャルスケール171が表示される構成や、所定の音声が入力されたことを検知してそれに応じてバーチャルスケール171が表示される構成などとすることができる。あるいは、画面から離れた位置でのジェスチャ入力等であってもよい。
【0054】
また、バーチャルスケール171は図10(a)に示すように、画面内での位置を移動させたり(図の例では矢印d1方向に移動)、向きを変更したり(図示の例では矢印d2方向に回転)できるように構成されている。一例として、バーチャルスケール171は、回転中心O周りに二次元的にまたは三次元的に回転するものであってもよい。限定されるものではないが、回転中心Oは、バーチャルスケール171の重心またはその周辺部(例えば長さ方向の中点付近)に設定されるものであってもよい。画面に表示されているバーチャルスケール171を操作者がタッチパネル上で触れて操作することにより、移動および/または回転が行われるように構成されていてもよいし、マウスやトラックボール等の入力手段の操作によるものであってもよい。当然ながら、バーチャルスケール171の重心またはその周辺部に回転中心を設定するのではなく、任意の点(一例としてスケールの端部付近など)を中心として回転させてもよい(他のスケールやプローブ等についても同様である)。
【0055】
バーチャルスケール171は、図10(b)に示すように、拡大・縮小されるようになっていてもよい。例えば、表示されている三次元医用画像を拡大または縮小した場合に、それに合わせてバーチャルスケール171も同じ縮尺比率で拡大または縮小されてもよい。他の態様としては、三次元医用画像の拡大・縮小に関わらず、単独でバーチャルスケール171のみを拡大縮小できるようになっていてもよい。バーチャルスケール171は、一例で、目盛りが振られた長さ方向(図示横方向)のみが伸縮し、図示縦方向の長さについては一定のままの表示とされる構成としてもよい。
【0056】
バーチャルスケール171は、また、図11に示すように湾曲した状態で表示されるようになっていてもよい。対象の解剖学的構造体の表面のカーブに合わせてスケールが湾曲するようになっていてもよく、例えば、臓器表面のカーブになだらかに沿うようにスケールが円弧状に表示されてもよい。
【0057】
図9のグラフィカルユーザインターフェースに関し、一例として画面上にスライドバーSbが表示されており、これを操作することで、バーチャルスケール171の奥行方向の位置を変更できるように構成されていてもよい。具体的な例として、例えば表示されている腎臓(一例)に対して、バーチャルスケール171を手前側から奥へと、腎臓に埋入していくような態様で動かすことができるようになっていてもよい。なお、当然ながらスライドバーSbは上下に移動するものであっても左右に移動するものであってもよいし、それに限らず、スライドバー以外の他の画面上の入力手段(アイコン等)も利用することができる。
【0058】
バーチャルスケールやプローブ(後述)の表示に関し、解剖学的構造体の表示の場合と同様、表示の色および/または透過度を変更できるように構成されていることも好ましい。タッチ(タップ)することで、透過状態、不透過状態を切替え可能となっていてもよい。また、所定の入力(例えば、タッチ、タップによる選択等)によって、バーチャルスケールの操作アクティブ、非アクティブが切替え可能となっていてもよい。
【0059】
続いて、医用画像処理装置10の最小外接球体表示機能について説明する。従来、腫瘍を除去するために対象の腫瘍部分を焼灼または凍結させて除去する手技が知られている。例えば図12のように肝臓内部に腫瘍165が存在するとして、この腫瘍165を除去するために電極針190が挿入され、その状態で針先端部から加熱を行うことで腫瘍165を熱凝固させることができる。腫瘍165を十分に取り除くために、腫瘍165に対して一定のマージンをもたせて腫瘍165よりも一回り大きい領域が焼灼されることとなる。
【0060】
このように、腫瘍165の除去においては対象の腫瘍部分よりも一回り大きい領域が除去されるため、医用画像処理装置10においても手術の前にどのような領域が除去されるのかを確認できるようになっていることが一形態において望ましい。
【0061】
そこで、本発明の一形態の医療画像処理装置10では、所定の対象物に対する最小外接球を表示することができるようになっている。図13は、血管153と腫瘍165が表示されており、この例では、腫瘍165は非球体であり、血管153には接しておらず離れた状態となっている。
【0062】
医療画像処理装置10は、一例として操作者からの所定の入力があった場合に、腫瘍165を取り囲む最小の外接球177を表示する(図13(a))。「所定の入力」としては、特に限定されるものではないが、画面上に表示された画像ボタン(アイコン)の選択や音声入力等であってもよいし、画面から離れた位置でのジェスチャ入力等であってもよい。
【0063】
さらに、外接球177に対して所定のマージン(例えば1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、10mm、15mmなど)を加えた一回り大きい除去予定領域球体178が表示される。この球体178は、外接球177と同心球である。マージンの値については、腫瘍除去のための手技や対象となる臓器等によって適切な値が異なるため、操作者が所望の値を設定できる構成となっていることが好ましく、例えば数値の入力および/または画面上のユーザインターフェースの操作でこの値を入力・変更できる構成としてもよい。または、選択された対象の臓器の情報、サイズ情報、および手技情報等の1つまたは組合せに基づいて、医用画像処理装置10が1つまたは複数の所定のマージン値を自動設定する構成としてもよい。除去予定領域球体178に関しては、内部が視認できるように、透過性をもたせた着色で表示されることが一形態において好ましい。
【0064】
図13(b)に示すように、除去予定領域球体178が、例えば近接する主要な血管153bに接していた場合、医療画像処理装置10は、その旨の警告表示を表示する、および/または、接する血管153bを強調表示するように構成されていてもよい。血管153bは、球体178が接する部分(その近傍をも含んでよい)を強調表示するものであってもよいし、または、血管153bの起始部から先端部までのすべてを強調表示するものであってもよい。このような構成によれば、腫瘍165の除去に際してどの血管の切除が必要となるのかを事前に確認することができるため有利である。
【0065】
強調表示としては例えば対象部分の色を他の部分と異ならせて表示したり、点滅表示させたりするものであってもよい。上記の例では血管を対象としたが、例えば肝臓などの臓器おける腫瘍除去においては、臓器の一部を除去する必要が生じ得る。したがって、医療画像処理装置10は、切除が必要となる臓器の一部(例えば肝臓のどの部分が切除対象となるのか)を表示する機能を有していてもよい。また、切除対象となる部分の割合(例えば対象臓器の体積の何%が切除対象となるのか)を表示するものであってもよい。
【0066】
図14は、複数回にわたって腫瘍を焼灼または凍結させる場合を想定した画像表示例である。腫瘍のサイズが大きい場合などには、例えば電極針(以下、プローブともいう)を異なる方向から挿入して複数回焼灼等が行われることもある。そこで、医療画像処理装置10は、複数のバーチャルプローブ190a~190cを表示できるように構成されていてもよい。なお、図14では3本のプローブが表示されているが2本または4本以上が表示されてもよい。
【0067】
具体的には、図14の例では、まずバーチャルプローブ190aの挿入が行われ、それに対応した焼灼または凍結範囲である領域球体179aが表示される。次いで、他の方向からのバーチャールブローブ190bの挿入が行われ、それに対応した焼灼または凍結範囲である領域球体179bが表示され、その後、さらに別の方向からのバーチャールブローブ190cの挿入が行われ、それに対応した焼灼または凍結範囲である領域球体179cが表示される。最終的にこの例では3つの領域球体179a~179cによって腫瘍165が取り囲まれ、複数回の焼灼または凍結によって腫瘍部分が除去可能であることを確認することができる。バーチャルプローブ190a~190c(単にバーチャルプローブ190ともいう)の操作に関しては、一例として「リアルセンス」(インテル社製、入力デバイスに関連して前述した説明も参照)や3Dマウスなどを用いてプローブを三次元空間内で移動させ配置することができる。
【0068】
医療画像処理装置10の一形態としては、単に焼灼または凍結の対象となる領域球体179a~179cや腫瘍165を表示するのみではなく、バーチャルプローブ190a~190c挿入に関する情報(挿入方向、挿入深さ、プローブ形状などのうち1つまたは2以上の組合せ)を表示するように構成されていてもよい。表示は、画像による視覚的な情報としての表示であってもよいし、テキストデータなどの数値的な情報の表示であってもよい。このような構成によれば、複数回のプローブ挿入が行われる場合であっても、例えば1回目のプローブ挿入の後、次回以降、どの方向からプローブを挿入すべきかを確認することができる点で有利である。
【0069】
このように複数回に分けて焼灼または凍結が行われることを考慮すると、医療画像処理装置10は次のような機能の1つまたは複数を備えていてもよい。例えば、前回のシミュレーションを記憶して呼び出すことができる機能である。このように複数のシミュレーションを記憶可能な構成によれば、現在のシミュレーションと以前のシミュレーションとを比較することができる点で有利である。
【0070】
また、超音波診断画像に関連し、擬似エコー表示への切り替え機能を有していてもよい。この場合、擬似エコーのプローブを三次元医用画像とともに表示し、それを操作することにより擬似的なエコースキャンができる構成としてもよい。エコープローブとしては、特に限定されるものではなく、セクター型(主に心臓や大血管の検査用)、リニア型(主に末梢血管や表在臓器の検査用)、またはコンベックス型(主に腹部の検査用)等であってもよい。
【0071】
ところで、バーチャルプローブ190の回転移動に関して、そのプローブの回転中心は任意の箇所に設定でき、プローブ長さ方向の中間部付近を中心として回転してもよいし、または、プローブの端部(先端部または基端部)を中心に回転するようになっていてもよい。実際の術中のプローブ190の動きを考慮すると、例えば図18のように、プローブ190が皮膚に穿刺されている場合において、その穿刺箇所Pを回転中心(回動中心)としてプローブ190を二次元的または三次元的に動かすことができるような表示態様も好ましい。こうした回転中心のロック機能(支点ロック機能)は、必要に応じ、バーチャルプローブ以外の任意のオブジェクト(例えばスケールや、不図示の他の手術用デバイスオブジェクト)に応用されてもよい。
【0072】
バーチャルプローブ190に関しては、プローブのうちエネルギー作用部分(例えば焼灼用であれば発熱する部分)が、画面上で視認できるような態様で表示されることも好ましい。模式的ではあるが、図18のように発熱部分193が表示されたプローブ190とすることで、医師または医療従事者は、このプローブ190を使用する際に発熱部分193が通過する穿刺ルートを確認することができ、事前に安全な手術手順の確認を行うことができる。
【0073】
本発明の一形態において、患者の三次元医用画像と使用するプローブの形状とに基づき、プローブを目的部位まで穿刺する際に適切なルートをガイドする機能が備わっていてもよい。この穿刺ルートガイド機能としては、例えば、骨や主要な血管を避けるように挿入ルートをシミュレーションし、画面表示するものであってもよい。
【0074】
上記の例では、外接球177や除去予定領域球体178を球体として表示することを前提としたが、必ずしも厳密な球体に限らず、球体の一部を切り取ったような形状、楕円体、多面体など任意の立体形状で表示してもよい。この意味において、本明細書で「球体」または「球」と説明している用語は例えば楕円体、多面体、または立体形状といった用語に置き換えられてもよい。
【0075】
ところで、外接球177や領域球体178をどのような形状および/またはサイズとすべきかについては、腫瘍165が存在している解剖学的構造体の性質にも依存する。つまり、外接球177や領域球体178が、概ね均質とみなすことができる実質臓器(例えば肝臓)の中で収まるような場合には、プローブから焼灼または凍結が拡がっていくスピードはいずれの方向も同等と考えることができ、結果として外接球177や領域球体178を球体で表示しても差し支えない。一方で、図15に模式的に示すように、プローブ190の先端近傍に異なる解剖学的構造体(この例では、焼灼や凍結が比較的進展しやすい第1の領域166aと進展しにくい第2の領域166b)が存在しているような場合には、それらの特性を加味して、表示する球体(一例)の大きさや形状を変更するようにしてもよい。ここでは、第1の領域166a内の球体177aのサイズが大きく表示され、第2の領域166b内の球体177bは小さく表示されている。このような構成によれば、焼灼や凍結の対象となる解剖学的構造体の物理特性をも加味し、より適切な範囲で焼灼予定領域もしくは凍結予定領域を描くことができる点で有利である。
【0076】
また、本発明の一形態においては、血管や骨などの腫瘍以外の構造物の物理特性を考慮し、焼灼または凍結の拡がりをシミュレーションし、それに応じた領域で焼灼予定領域もしくは凍結予定領域を表示するようにしてもよい。また、実際には、焼灼や凍結のために利用するデバイスの特性に応じて焼灼または凍結の拡がりは異なることとなる。そこで、本発明の一形態においては、デバイスごとに特性を事前に登録し、メニューからどのデバイスを利用されるかを選択可能であり、選択されたデバイスの特性(一例として、プローブの形状、デバイスの出力値、デバイスの機種名等)を考慮した態様で焼灼予定領域もしくは凍結予定領域を表示するようにしてもよい。
【0077】
図16のように、例えば腫瘍166が実質臓器である肝臓161の周縁近傍に存在しており、外接球177の一部が肝臓161の外側にはみ出すようなケースも想定される。この場合、外側の領域177aについては、表示してもよいし、非表示としてもよい。なお、外接球177を例示しているが、除去予定領域球体178に関しても同様である。
【0078】
図13では最小外接球などを模式的な図で示したが、一例として、図17のような画面表示を行うものであってもよい。この例では、医用画像処理装置10は、第1の表示領域181と第2の表示領域182とを含む画面を表示する。第1の表示領域181では三次元医用画像が表示され、第2の表示領域では断層画像155が表示されている。第1の表示領域181では、血管153および肝臓161のオブジェクトが表示されるとともに、上述したような除去予定領域球体178が表示されている。また、肝臓161のうち切除が必要となる領域161aが認識できるように表示されている。
【0079】
このような構成によれば、操作者は、除去予定領域球体178を見ることでどの領域が焼灼や凍結の対象領域となるのかを確認することができ、また、肝臓161のうちどの領域の切除が必要となるのかを視覚的に確認することも可能となる。
【0080】
さらに他の実施形態として、例えば除去予定領域球体178(マージン領域)が所定の解剖学的構造体のオブジェクト(ボリューム)と重なっている場合に、マージン領域を境界として、当該ボリュームを分割できるようになっていてもよい。図16の例で言えば、例えば、符号177(178)で示される球体と肝臓161のボリュームとが重なる部分を独立したオブジェクトして特定可能に構成され、具体的な処理の一態様として、その部分を肝臓161から削り取るような表示処理を行えるようになっていてもよい。当然ながら、重複している部分を非表示にするのではなく、透過性を有する着色状態で表示するようにしてもよい。本発明の一形態の構成では、除去予定領域球体(マージン領域)の容積の情報が表示されたり、また、マージン領域に対する腫瘍容積の比率の情報が表示されたりする機能を持たせてもよい。また、肝臓の一部の切除に関し、予定残肝容積の情報(Future Liver Remnant、FLP、一例でパーセント表示)が表示されるようになっていてもよい。
【0081】
本発明の一態様において、一旦表示された外接球177や除去予定領域球体178、179を、必要に応じて移動(位置調整)できるようになっていることも好ましい。例えば、プローブ190を移動させた場合に、それに併せて外接球177や除去予定領域球体178、179が移動するようになっていてもよい。このような構成によれば、仮に、球内に腫瘍が適切に含まれていないと判断されるような場合(視覚的な確認手法としては、適切に含まれていない部分について、色を変えて表示するなどの強調表示を行うものなどが挙げられる)に、位置の微調整によって、適切なプローブ190の挿入位置、挿入方向などを確認することができる。また、除去予定領域球体の容積に対する腫瘍容積の比率を算出、表示できる機能を有するものであれば、シミュレーション時に効率的な焼灼または凍結範囲を設定することができ、これは、患者への負担軽減や作業時間の短縮化等の観点からも好ましい。
【0082】
図14に説明したように複数回の焼灼または凍結を行う場合においては以下のようなシミュレーションを行うことができるように構成されていてもよい(以下では焼灼を例として説明する)。すなわち、複数回焼灼を行う場合には、個々の領域球体179a~179c(球体に限定されるものではないことは前述のとおりである)の容積や形状というよりも、領域球体179a~179c全体で包囲される領域の容積や形状が、適切な腫瘍の焼灼または凍結の観点からは重要となる。
【0083】
そこで、本発明の一形態では、例えば2つの領域球体179a、179bの段階で、腫瘍165のどれくらいの部分が包囲されているか(または腫瘍165の残りどれくらいの部分が包囲されていないか)の情報が、画像データ、テキストデータ、またはそれらの組合せで表示されるようになっていてもよい。一例として、2つの領域球体179a、179bの段階で、腫瘍165の約70%が治療対象となっていることが分かるような表示がされてもよい。腫瘍165のうち治療対象となっている部分とそうではない残りの部分とを視覚的に区別できるような表示態様(異なる色での表示、異なる透過度での表示、またはそれらの組合せ)としてもよく、また、それぞれの部分を独立のオブジェクトとして選択できるように構成されていてもよい。腫瘍165に関しては、腫瘍である本来のオブジェクトに対して、所定の厚みのマージン(例えば1mm、2mm、3mm、5mm、10mmなど)をもたせて一回り大きくした腫瘍オブジェクトを作成し、それに基づいて上記のような処理を行ってもよい。
【0084】
上記のように2つの領域球体179a、179bの段階で腫瘍165の約70%が治療対象であることが分かるような構成において、例えば、プローブ190cを操作することにより3つ目の領域球体179cが形成および/または移動されることとなるが、領域球体179cを動かすのに合わせて、3つの領域球体179a~179cで包囲される容積と腫瘍165(もしくはそれより一回り大きい上記腫瘍オブジェクト)の容積との関係の情報が表示されることも好ましい。具体的には、領域球体179cを動かすと、リアルタイムで、例えば、腫瘍165が「90%」包囲されている、「98%」包囲されている、「100%」包囲されているといった情報が表示される構成としてもよい。当然ながら残領域の割合(残り「10%」、「2%」、「0%」等)を表示してもよい。
【0085】
プローブ190の焼灼によりどれくらいの領域が焼灼対象となるかは、プローブのデバイス性能等にも依存するが、時間の関数として捉えることが可能である。したがって、プローブ190の焼灼時間をシミュレーションしたり、時間に対応させて領域球体を徐々に大きくしていくような表示態様としたりしてもよい。焼灼に限らず凍結の場合にも当該手法を応用してもよい。
【0086】
具体的な表示態様は種々のものを採用し得るが、例えば図19のようなものであってもよい。図19(a)では、腫瘍165に対して治療の対象となる領域178が表示されている。この領域178は、一例として完全に焼灼または凍結が行われる箇所である。本発明の一形態においては、その焼灼または凍結により影響を受け得る領域179-1が領域178の周辺部に表示されている。影響を受けうる影響とは熱的な作用により対象の解剖学的構造体に影響が及ぶ可能性がある部分を言い、図19(a)のように段階的に領域179-1、179-2(1つまたは複数の領域)が表示されていてもよい。または、影響を受け得る領域を無段階的に表示するようにしてもよい(一例としてグラデーション表示等)。焼灼または凍結により影響を受け得る領域の情報については、三次元ボリュームにおける情報としてだけではなく、その元データである二次元情報に対して反映されるようになっていることも一形態において好ましい。
【0087】
図19(b)はあるプローブ(不図示)を所定時間にわたって通電させた場合に焼灼または凍結の範囲が符号178-1、178-2、178-3のように拡がっていく様子を模式的に表したものである。当然ながら円形や球状の表示に限らず、プローブの特性や組織の物理的な性質に応じた拡がりをシミュレーションし、視覚的に確認できるように構成されていてもよい。
【0088】
(付記1)
本出願は以下の発明を開示する:
1.表示デバイスと、画像表示制御部とを備える医用画像処理装置であって、
上記画像表示制御部は、
解剖学的構造体を三次元画像として表示する処理と、
その解剖学的構造体の大きさを示すスケールインジケータを上記解剖学的構造体の表面に沿うように表示させる処理と、
を行う、医用画像処理装置。
【0089】
2.操作者からの上記所定の入力があったときに上記スケールインジケータが表示されるように構成されている、上記記載の医用画像処理装置。
【0090】
3.上記所定の入力が、上記表示デバイスの画面をタッチすることによりまたはカーソルでの指示により上記解剖学構造体の一部を選択することである、上記記載の医用画像処理装置。
【0091】
4.操作者からの上記所定の入力が音声入力である、上記記載の医用画像処理装置。
【0092】
5.上記画像表示制御部は、
第1の範囲で上記スケールインジケータを表示させる処理と、
その後、操作者からの表示変更の入力があったときに、上記スケールインジケータを表示させる範囲を第2の範囲に変更する処理と、
を行う、上記記載の医用画像処理装置。
【0093】
6.上記スケールインジケータは格子状の表示である、上記記載の医用画像処理装置。
【0094】
7.上記スケールインジケータは、選択された解剖学的構造体の一部を中心に表示される、上記記載の医用画像処理装置。
【0095】
8.上記解剖学的構造体が臓器であり、
上記画像表示制御部は、
臓器の画像とともにその内部の腫瘍の画像を表示させる処理と、
上記腫瘍を中心として上記スケールインジケータを表示させる処理と、
を行う、
上記記載の医用画像処理装置。
【0096】
9.上記解剖学的構造体が血管であり、
上記画像表示制御部は、
上記血管の表面に沿うように上記スケールインジケータを表示する処理を行う、上記記載の医用画像処理装置。
【0097】
10.解剖学的構造体の上記三次元画像が、上記表示デバイスに実寸表示される、上記記載の医用画像処理装置。
【0098】
A1.解剖学的構造体を三次元画像として表示するステップと、
その解剖学的構造体の大きさを示すスケールインジケータを上記解剖学的構造体の表面に沿うように表示させるステップと、
を有し、上記各ステップはコンピュータによって行われる、医用画像処理方法。
【0099】
A2.操作者からの上記所定の入力があったときに上記スケールインジケータが表示されるように構成されている、上記記載の医用画像処理方法。
【0100】
A3.上記所定の入力が、表示デバイスの画面をタッチすることによりまたはカーソルでの指示により上記解剖学構造体の一部を選択することである、上記記載の医用画像処理方法。
【0101】
A4.操作者からの上記所定の入力が音声入力である、上記記載の医用画像処理方法。
【0102】
A5.さらに、
第1の範囲で上記スケールインジケータを表示させるステップと、
その後、操作者からの表示変更の入力があったときに、上記スケールインジケータを表示させる範囲を第2の範囲に変更するステップと、
を有する、上記記載の医用画像処理方法。
【0103】
A6.上記スケールインジケータは格子状の表示である、上記記載の医用画像処理方法。
【0104】
A7.上記スケールインジケータは、選択された解剖学的構造体の一部を中心に表示される、上記記載の医用画像処理方法。
【0105】
A8.上記解剖学的構造体が臓器であり、
さらに、
臓器の画像とともにその内部の腫瘍の画像を表示させるステップと、
上記腫瘍を中心として上記スケールインジケータを表示させるステップと、
を有する、上記記載の医用画像処理方法。
【0106】
A9.上記解剖学的構造体が血管であり、
さらに、
上記血管の表面に沿うように上記スケールインジケータを表示するステップを有する、上記記載の医用画像処理方法。
【0107】
A10.解剖学的構造体の上記三次元画像が、表示デバイスに実寸表示される、上記記載の医用画像処理方法。
【0108】
コンピュータに、上記医用画像処理方法を実行させるための医用画像処理プログラム。
【0109】
(付記2)
本出願はさらに以下の発明を開示する:
B1.表示デバイスと、画像表示制御部とを備える医用画像処理装置であって、上記画像表示制御部は、
解剖学的構造体を三次元画像として表示する処理と、
その解剖学的構造体の大きさを示すバーチャルスケールを表示させる処理と、
を行う、医用画像処理装置。
【0110】
B2.前記バーチャルスケールは、直線定規を模した態様で表示される、上記記載の装置。
【0111】
C1.表示デバイスと、画像表示制御部とを備える医用画像処理装置であって、上記画像表示制御部は、
所定の解剖学的構造体(腫瘍を含む)が選択されたことを特定する処理と、
その解剖学的構造体を囲む球体を表示する処理と、
を行うように構成されている、医用画像処理装置。
【0112】
C2.前記球体は、前記解剖学的構造体に外接する球、および、その外接球に対して所定のマージンをもたせた一回り大きい球(1つまたは複数)の少なくともいずれかを含む、上記記載の装置。
【0113】
C3.さらに、
前記外接球またはそれより一回り大きい球が、所定の解剖学的構造体に接しているか否かを判定する処理と、
接していた場合に、所定の警告メッセージを表示する、または、当該解剖学構造体の少なくとも一部を強調表示する、上記記載の装置。
【0114】
なお、本明細書は、上記で装置の発明として開示した内容を方法の発明、コンピュータプログラムの発明、およびプログラム媒体のカテゴリーで表現したものをも開示する。
【符号の説明】
【0115】
1 医用画像処理システム
11 画像表示制御部
12 データ格納部
13 表示デバイス
14 入力デバイス
15 データ入出力インターフェース
21 医用情報管理装置
22 薬液注入装置
23 撮像装置
51、53、55、56 血管
61 腎臓
65 腫瘍部分(腫瘍)
71、71′、72、73、75a、75b スケールインジケータ
S1、S2 血管
153 血管
155 断層画像
161 肝臓
165 腫瘍
166a、166b 領域
171 バーチャルスケール
177 最小外接球
178 除去予定(治療予定)領域球体
179a~179c 領域球体
181、182 表示領域
190 電極針
193 発熱部位
図1
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