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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】気体式マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61H7/00 322E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022519946
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2021017063
(87)【国際公開番号】W WO2021225110
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2020082608
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390006286
【氏名又は名称】株式会社テクノ高槻
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 一真
(72)【発明者】
【氏名】石井 英樹
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0135895(US,A1)
【文献】米国特許第05245990(US,A)
【文献】特開平07-116211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0010212(US,A1)
【文献】特開2015-047207(JP,A)
【文献】米国特許第04865020(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧気体を使用して身体をマッサージする気体式マッサージ機であって、
前記気体式マッサージ機は、
前記身体に装着されるマッサージ具であって、前記高圧気体を受容して膨張し、前記高圧気体を排出して収縮する複数の気体室を有するマッサージ具と、
前記複数の気体室に前記高圧気体を供給し、前記複数の気体室から前記高圧気体を排出する気体給排システムと
を備え、
前記気体式マッサージ機は、前記複数の気体室として、
前記身体の一方の脚部に対応する部位に設けられた脚部気体室と、
前記身体の股間部に対応する部位に設けられた股間部気体室と
を備え、
前記気体給排システムは、前記脚部気体室、前記股間部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成され
前記マッサージ具は、前記複数の気体室として、
前記脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた遠位側腹部気体室と、
前記脚部気体室から近位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた近位側腹部気体室と
をさらに備え、
前記気体給排システムは、前記股間部気体室に前記高圧気体を供給した後に、前記遠位側腹部気体室、前記近位側腹部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成される、気体式マッサージ機。
【請求項2】
高圧気体を使用して身体をマッサージする気体式マッサージ機であって、
前記気体式マッサージ機は、
前記身体に装着されるマッサージ具であって、前記高圧気体を受容して膨張し、前記高圧気体を排出して収縮する複数の気体室を有するマッサージ具と、
前記複数の気体室に前記高圧気体を供給し、前記複数の気体室から前記高圧気体を排出する気体給排システムと
を備え、
前記気体式マッサージ機は、前記複数の気体室として、
前記身体の一方の脚部に対応する部位に設けられた脚部気体室と、
前記身体の股間部に対応する部位に設けられた股間部気体室と
を備え、
前記気体給排システムは、前記脚部気体室、前記股間部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成され、
前記マッサージ具は、前記複数の気体室として、
脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた遠位側腹部気体室と、
脚部気体室から近位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた近位側腹部気体室と
をさらに備え、
前記遠位側腹部気体室は、前記脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部において、下側から順に、第1の遠位側腹部気体室と、第2の遠位側腹部気体室とを含み、
前記近位側腹部気体室は、前記脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部において、下側から順に、第1の近位側腹部気体室と、第2の近位側腹部気体室とを含み、
前記気体給排システムは、前記股間部気体室に前記高圧気体を供給した後に、前記第1の遠位側腹部気体室、前記第1の近位側腹部気体室、前記第2の遠位側腹部気体室、前記第2の近位側腹部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成される、気体式マッサージ機。
【請求項3】
前記脚部気体室は、
前記身体の一方の脚部の遠位に対応する部位に設けられた遠位脚部気体室と、
前記身体の一方の脚部の近位に対応する部位に設けられた近位脚部気体室と
を含み、
前記気体給排システムは、前記脚部気体室に前記高圧気体を供給する際に、前記遠位脚部気体室、前記近位脚部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成される、請求項1または2記載の気体式マッサージ機。
【請求項4】
前記マッサージ具は、
前記身体の股下に装着される第1のマッサージ具と、
前記身体の股上に装着される第2のマッサージ具と
を含み、
前記脚部気体室は、前記第1のマッサージ具に設けられ、
前記股間部気体室は、前記第2のマッサージ具に設けられ、
前記第1のマッサージ具および前記第2のマッサージ具は、互いに取り外し可能に設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載の気体式マッサージ機。
【請求項5】
前記マッサージ具は、前記身体と対向する側と反対側で、前記複数の気体室を覆うカバーを有し、
前記カバーは、
シート状の形状を有するカバー本体と、
前記カバー本体の前記身体の周方向の端部同士を締結することで、前記マッサージ具を略筒状に閉じる締結具と
を備え、
前記複数の気体室の少なくとも一部は、前記身体を囲むように設けられ、前記締結具を締結したときに、前記複数の気体室の少なくとも一部の同じ気体室同士または隣接する気体室同士が、前記身体の周方向においてオーバーラップする、請求項1~のいずれか1項に記載の気体式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
身体に装着されるマッサージ具に圧縮空気を供給し、マッサージ具から圧縮空気を排出することにより、マッサージ具を膨張および収縮させて、身体をマッサージするエアマッサージ機が知られている。マッサージ具内には、身体の各部位に対応するように、圧縮空気を受容する複数の空気室が設けられている。特許文献1のエアマッサージ機では、左右両脚部をマッサージするために、ズボン形状を有するマッサージ具が使用され、マッサージ具の空気室は、左右の鼠蹊部に対応する部位などに設けられている。これにより、リンパ管が集中する左右の鼠蹊部が圧迫されるので、リンパ液の流れを促進することができると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-19147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、鼠蹊部が左右の一方または両方で圧迫されると、鼠蹊部のリンパ液は、本来向かうべき身体の上方に向かって流れず、左右の鼠蹊部の間に位置する、圧迫されていない股間部に向かって流れる場合がある。そのため、リンパ液が股間部に滞留するおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みて、リンパ液を身体の上方にスムーズに流すことができる気体式マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る気体式マッサージ機は、高圧気体を使用して身体をマッサージする気体式マッサージ機であって、前記気体式マッサージ機は、前記身体に装着されるマッサージ具であって、前記高圧気体を受容して膨張し、前記高圧気体を排出して収縮する複数の気体室を有するマッサージ具と、前記複数の気体室に前記高圧気体を供給し、前記複数の気体室から前記高圧気体を排出する気体給排システムとを備え、前記気体式マッサージ機は、前記複数の気体室として、前記身体の一方の脚部に対応する部位に設けられた脚部気体室と、前記身体の股間部に対応する部位に設けられた股間部気体室とを備え、前記気体給排システムは、前記脚部気体室、前記股間部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成される。
【0007】
前記脚部気体室は、前記身体の一方の脚部の遠位に対応する部位に設けられた遠位脚部気体室と、前記身体の一方の脚部の近位に対応する部位に設けられた近位脚部気体室とを含み、前記気体給排システムは、前記脚部気体室に前記高圧気体を供給する際に、前記遠位脚部気体室、前記近位脚部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成されることが好ましい。
【0008】
前記マッサージ具は、前記複数の気体室として、前記脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた遠位側腹部気体室と、前記脚部気体室から近位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた近位側腹部気体室とをさらに備え、前記気体給排システムは、前記股間部気体室に前記高圧気体を供給した後に、前記遠位側腹部気体室、前記近位側腹部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成されることが好ましい。
【0009】
前記マッサージ具は、前記複数の気体室として、脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた遠位側腹部気体室と、脚部気体室から近位側の前記身体の側腹部に対応する部位に設けられた近位側腹部気体室とをさらに備え、前記遠位側腹部気体室は、前記脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部において、下側から順に、第1の遠位側腹部気体室と、第2の遠位側腹部気体室とを含み、前記近位側腹部気体室は、前記脚部気体室から遠位側の前記身体の側腹部において、下側から順に、第1の近位側腹部気体室と、第2の近位側腹部気体室とを含み、前記気体給排システムは、前記股間部気体室に前記高圧気体を供給した後に、前記第1の遠位側腹部気体室、前記第1の近位側腹部気体室、前記第2の遠位側腹部気体室、前記第2の近位側腹部気体室の順に前記高圧気体を供給するように構成されることが好ましい。
【0010】
前記マッサージ具は、前記身体の股下に装着される第1のマッサージ具と、前記身体の股上に装着される第2のマッサージ具とを含み、前記脚部気体室は、前記第1のマッサージ具に設けられ、前記股間部気体室は、前記第2のマッサージ具に設けられ、前記第1のマッサージ具および前記第2のマッサージ具は、互いに取り外し可能に設けられることが好ましい。
【0011】
前記マッサージ具は、前記身体と対向する側と反対側で、前記複数の気体室を覆うカバーを有し、前記カバーは、シート状の形状を有するカバー本体と、前記カバー本体の前記身体の周方向の端部同士を締結することで、前記マッサージ具を略筒状に閉じる締結具とを備え、前記複数の気体室の少なくとも一部は、前記身体を囲むように設けられ、前記締結具を締結したときに、前記複数の気体室の少なくとも一部の同じ気体室同士または隣接する気体室同士が、前記身体の周方向においてオーバーラップすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態に係る気体式マッサージ機によれば、本発明の一実施形態に係る気体式マッサージ機によれば、リンパ液を身体の上方にスムーズに流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機を示す模式図である。
図2A】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機のマッサージ具を示す前方斜視図である。
図2B】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機のマッサージ具を示す後方斜視図である。
図2C】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の第2のマッサージ具を詳細に示す前方斜視図である。
図2D図2A中のIID-IID線における断面図である。
図2E図2A中のIIE-IIE線における断面図である。
図2F図2A中のIIF-IIF線における断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の気体給排システムを示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の電磁弁ユニットを示す模式図である。
図5A】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の電磁弁ブロックを示す正面図である。
図5B】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の電磁弁ブロックを示す上面図である。
図6A】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の電磁弁ユニットを示す斜視図である。
図6B】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の電磁弁ユニットを示す正面図である。
図6C】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の電磁弁ユニットを示す背面図である。
図6D】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の共通タンクを示す上面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機のマッサージ具と電磁弁ユニットの接続状態を示す概略ブロック図である。
図8A】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機のマッサージ具による揉みパターンの一例(ウェーブモード)を示す模式図である。
図8B図8Aから続く、揉みパターンの一例(ウェーブモード)を示す模式図である。
図9A】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機のマッサージ具による揉みパターンの他の例(スクイーズモード)を示す模式図である。
図9B図9Aから続く、揉みパターンの他の例(スクイーズモード)を示す模式図である。
図10A】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の緊急停止構造を示す正面図である。
図10B】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の緊急停止構造を示す、図10A中のXB-XB線における断面図である。
図11A】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の緊急停止構造を示す正面図である。
図11B】本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機の緊急停止構造を示す、図11A中のXIB-XIB線における断面図である。
図12】本発明の第1実施形態の変形例に係る気体式マッサージ機の緊急停止構造を示す斜視図である。
図13】本発明の第1実施形態の変形例に係る気体式マッサージ機の緊急停止構造を示す斜視図である。
図14図12中のJ1部の拡大図である。
図15図13中のJ2部の拡大図である。
図16】本発明の第2実施形態に係る気体式マッサージ機を示す斜視図である。
図17】本発明の第2実施形態に係る気体式マッサージ機を示す分解図である。
図18】本発明の第2実施形態に係る気体式マッサージ機を示す断面図である。
図19】本発明の第2実施形態に係る気体式マッサージ機を示す断面図である。
図20】本発明の第2実施形態に係る気体式マッサージ機を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る気体式マッサージ機を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまで例示であり、本発明の気体式マッサージ機は、以下の例に限定されることはない。
【0015】
図1図15は、本発明の第1実施形態に係る気体式マッサージ機1を示している。本実施形態の気体式マッサージ機1は、高圧気体を使用して被施術者の身体をマッサージする機器である。気体式マッサージ機1は、たとえば、被施術者の静脈やリンパの滞りを改善し、その流れを促進するなど、身体状態を改善することを目的に、被施術者の身体を「揉む」など、被施術者の身体に刺激を与えるために用いられる。ここで、本明細書において、「高圧気体」は、大気圧より高い気圧を有する気体を指す。本実施形態では、気体は、利便性の観点から、空気である。しかしながら、気体は、特に限定されず、He(ヘリウム)およびN2(窒素)などの不活性ガス、ならびにO2(酸素)などのその他のガスであってもよい。
【0016】
気体式マッサージ機1は、図1に示されるように、マッサージ具2と、気体給排システム3とを備えている。
【0017】
マッサージ具2は、被施術者の身体にマッサージを施すために、身体に装着される器具である。マッサージ具2は、図1に示されるように、ホースHおよびコネクタCを介して気体給排システム3に流体接続される。マッサージ具2は、気体給排システム3から高圧気体を受容して膨張し、気体給排システム3を介して高圧気体が排出されて収縮する。マッサージ具2は、膨張することで身体を圧迫し、収縮することで身体の圧迫を解除する。マッサージ具2は、身体の圧迫と圧迫解除を繰り返すことで、被施術者の身体をマッサージする。
【0018】
図2Aおよび図2Bは、本実施形態で用いられるマッサージ具2を示しており、図2Cは、マッサージ具2の一部をより詳細に示している。図2D図2Fはそれぞれ、図2AにおけるIID-IID線、IIE-IIE線、およびIIF-IIF線の断面図である。マッサージ具2は、本実施形態では、図2Aおよび図2Bに示されるように、被施術者の身体Bを囲むように装着されて、身体Bの周囲から身体Bを圧迫し、その後その圧迫を解除するように構成される。具体的には、マッサージ具2は、身体Bの股下に装着される第1のマッサージ具21と、身体Bの股上に装着される第2のマッサージ具22とを含み、第1のマッサージ具21および第2のマッサージ具22は、互いに取り外し可能に設けられている。このように、マッサージ具2を互いに取り外し可能な第1のマッサージ具21および第2のマッサージ具22によって構成することで、身体Bにマッサージ具2を装着しやすくなる。また、マッサージ具2を左右に入れ替えて装着しやすくなる。図2Aおよび図2Bでは、第1のマッサージ具21は、身体Bの一方の脚部を囲んで装着されるようにブーツ形状を有し、第2のマッサージ具22は、身体Bの胴回りを囲んで装着されるように半ズボン形状を有する。ただし、マッサージ具2は、図示されたような2つに分かれたブーツ形状および半ズボン形状に限定されない。たとえば、マッサージ具2は、身体Bの下半身全体にマッサージを施すために、左右の両脚部用および腰回り用に一体となったズボン形状を有していてもよいし、身体Bの略全体をマッサージするために、左右の両脚部、腰回り、および上半身用に一体となった全身スーツ形状を有していてもよい。
【0019】
マッサージ具2は、高圧気体を受容して膨張し、高圧気体を排出して収縮する複数の気体室211~218、221~228を有している。マッサージ具2はさらに、複数の気体室211~218、221~228を覆うカバー20を有している。マッサージ具2は、図2Aおよび図2Bに示されるように、気体室211~218、221~228が気体給排システム3(図1参照)に流体接続されることにより、気体給排システム3に流体接続される。また、マッサージ具2は、気体室211~218、221~228のそれぞれが膨張および収縮することにより、膨張および収縮するように構成される。マッサージ具2は、気体室211~218、221~228を複数備えることにより、それぞれに対応する場所毎に膨張および収縮することができる。
【0020】
マッサージ具2は、複数の気体室211~218、221~228として、脚部気体室211~218、221と、股間部気体室222と、脚部気体室211~218、221から遠位の遠位側腹部気体室223、225、227と、脚部気体室211~218、221から近位の近位側腹部気体室224、226、228とを備えている。脚部気体室211~218、221、遠位側腹部気体室223、225、227、および近位側腹部気体室224、226、228はそれぞれ、本実施形態では、複数の気体室によって構成されているが、単一の気体室によって構成されてもよい。本実施形態では、脚部気体室211~218、221のうちの遠位脚部気体室211~218は、第1のマッサージ具21に設けられている。脚部気体室211~218、221のうちの近位脚部気体室221、股間部気体室222、遠位側腹部気体室223、225、227、および近位側腹部気体室224、226、228は、第2のマッサージ具22に設けられている。
【0021】
複数の気体室211~218、221~228はそれぞれ、袋状の部材であり、マッサージ対象となる身体Bのそれぞれの部位に対応するように設けられている。気体室211~218、221~228の少なくとも一部は、身体Bの周方向CDで、身体Bを囲むように設けられている。本実施形態では、気体室211~218、221~228の少なくとも一部は、身体Bの周方向CDで、身体Bの下半身の所定の部位を囲むように設けられている。ここで、本明細書において、「下半身」は、身体Bの腰部から下の部分を指し、「上半身」は、身体Bの腰部より上の部分を指す。気体室211~218、221~228の配置や数は、マッサージする身体Bの部位や実施するマッサージの制御モードに応じて、適宜設定することが可能で、たとえば後述するウェーブモードによるマッサージを実施するためには、気体室として、連続して設けられた4つの気体室(たとえば気体室221~気体室224)を少なくとも備えていればよい。気体室211~218、221~228は、膨張して身体Bの対応部位を圧迫し、収縮して身体Bの対応部位の圧迫を解除できるような大きさに形成される。気体室211~218、221~228の形状および大きさは、装着される身体Bの部位に応じて適宜決定することができる。気体室211~218、221~228の材料は、高圧気体を蓄える気密性を有し、高圧気体の受容および排出によって変形可能であれば、特に限定されず、たとえば樹脂材料によって形成される。気体室211~218、221~228は、膨張させる順番が前後する気体室間で流体接続していてもよい。このようすれば、高圧気体を最初に膨張させる気体室に供給すれば、膨張させる順番が次の気体室へと順に高圧気体が供給される。
【0022】
複数の気体室211~218、221~228は、本実施形態では、カバー20を開閉する締結具21A~23Aの締結を解除することで展開可能に構成されている。締結具21A~23Aを締結したときに、複数の気体室211~218、221~228の少なくとも一部の同じ気体室同士(図2D中の気体室215参照)または隣接する気体室同士(図2E中の気体室222~224、および図2F中の気体室227、228参照)は、身体Bの周方向CDにおいてオーバーラップする。気体室211~218、221~228同士がオーバーラップすると、気体室211~218、221~228は、周方向CDにおいて端部から所定の長さ範囲の端部領域同士が重なるので、気体室211~218、221~228は、周方向CDにおいて隙間なく配置される。そのため、気体室211~218、221~228は、膨張した際に、締結具21A~23Aの設置位置に関係なく、身体Bを均一に圧迫することができる。このようなオーバーラップを可能にするために、本実施形態では、気体室211~218、221~228は、周方向CDにおいて、カバー20より長くなるように形成されている。通常、マッサージ具に締結具が設けられる場合、締結具を締結する際に障害とならないように、締結具の設置部分には、気体室は設けられないので、気体室間に隙間を生じる。そのため、気体室と対向せずに締結具と対向する身体Bの部位は、気体室が膨張しても圧迫されず、マッサージ具による身体Bへの圧迫に不均一が生じる。しかし、本実施形態では、気体室211~218、221~228同士が周方向CDでオーバーラップするので、身体Bへの圧迫の不均一が生じなくなる。気体室211~218、221~228の端部同士がオーバーラップする位置は、図2Dおよび図2Eに示されるように、締結具21A~23Aの近傍でもよく、図2Fに示されるように、締結具22A、23Aから離間した位置でもよい。しかし、図2Fの身体Bの一側方(背側)のように、気体室211~218、221~228(図2Fでは、気体室227、228のみが示されている)同士は、必ずしもオーバーラップしなくてもよく、通常はオーバーラップせずに、マッサージ具2の周方向CDの長さを調整する周長調整機構21B、22B(図2Fでは、周長調整機構22Bのみが示されている)によりマッサージ具2の周方向CDの長さを調整した後に、オーバーラップするようにしてもよい。
【0023】
脚部気体室211~218、221は、身体Bの一方の脚を圧迫する気体室である。脚部気体室211~218、221は、マッサージ具2において、身体Bの一方の脚に対応する部位に設けられる。脚部気体室211~218、221は、本実施形態では、図2Aおよび図2Bに示されるように、一方の脚部の全体に対応するように設けられている。ただし、特に、リンパ浮腫は、被施術者の両方の脚部ではなく一方の脚部のみに発生している場合や、一方の脚部の付け根部分のみに発生する場合もあるので、リンパ浮腫の発生部分に対応して、一方の脚部または一方の脚部の一部にのみに脚部気体室が設けられれば十分な場合もある。本実施形態では、図2Dに示されるように、脚部気体室211~218、221(図2Dでは、第5の遠位脚部気体室215のみが示されている)は、後述する第1の締結具21Aを締結したときに、第1の締結具21Aの近傍において同じ気体室の一端側と他端側でオーバーラップする。脚部気体室211~218、221は、両方の脚部を全体的にマッサージするために、両方の脚部の全体に設けられてもよい。脚部気体室211~218、221は、本実施形態では、身体Bの一方の脚部の遠位に対応する部位に設けられた遠位脚部気体室211~218と、身体Bの一方の脚部の近位に対応する部位に設けられた近位脚部気体室221とを含んでいる。リンパ液を連続的に上方に流す効果を増大させるため、遠位脚部気体室211~218は、近位脚部気体室221と隣接するように設けられることが好ましい。ただし、遠位脚部気体室211~218と近位脚部気体室221との位置は、遠位脚部気体室211~218が近位脚部気体室221よりも身体Bの胴体から遠位側であれば、特に限定されない。たとえば、遠位脚部気体室211~218は、近位脚部気体室221から離間して設けられてもよい。また、遠位脚部気体室211~218および近位脚部気体室221が有する気体室の数はそれぞれ、1以上であれば、特に限定されない。本実施形態では、遠位脚部気体室211~218は、一方の脚部の先端に対応する部位から上腿部の中央に対応する部位に向かって、第1の遠位脚部気体室211から第8の遠位脚部気体室218の順に8つの気体室を有する。第1の遠位脚部気体室211~第8の遠位脚部気体室218はそれぞれ、身体Bの周方向CDで、一方の脚部を囲むように設けられている。本実施形態では、近位脚部気体室221は、両方の脚部の上腿部の付け根に対応する部位にそれぞれ1つの気体室(合計2つの気体室)を有する。近位脚部気体室221は、2つの気体室が互いに流体接続されるか、または2つの気体室が1つのホースHから分岐された分岐ホースに個別に流体接続されることで、2つの気体室に高圧気体が同時に供給され、2つの気体室から高圧気体が同時に排出されるように構成されている。しかし、近位脚部気体室221は、一方の脚部のみを囲むように設けられてもよいし、両方の脚部に設けられる場合であっても、互いに独立して高圧気体が供給および排出されるように構成されてもよい。
【0024】
股間部気体室222は、身体Bの股間部を圧迫する気体室である。股間部気体室222は、マッサージ具2において、身体Bの股間部に対応する部位に設けられる。なお、本明細書において、「股間部」は、一対の脚が胴体から分岐する分岐部分における一方の脚と他方の脚との間を指す。本実施形態では、股間部気体室222は、股間部に対応する部位だけでなく、身体Bの腹側において、下腹部に対応する部位と、身体Bの背側において、臀部の中央部に対応する部位とにも設けられている。なお、本明細書では、身体Bの腹部を上下に3分割した場合に、3分割された3つの部分のうちの下部を「下腹部」と呼び、中部を「中腹部」と呼び、上部を「上腹部」と呼ぶ。たとえば、中腹部は、身体Bの臍部付近であり、下腹部は、身体Bの臍部より下の部分であり、上腹部は、身体Bの臍部より上の部分である。股間部気体室222は、下腹部に対応する部位から股間部に対応する部位を通って臀部の中央部に対応する部位に延在するように設けられている。特に女性の場合、リンパ浮腫により、股間部の中でも外陰部付近にリンパ液が滞留する場合があるので、股間部気体室222を膨張させて股間部を圧迫することにより、外陰部において、リンパ液の滞留を防止するとともに、リンパ液の流れを促進することができる。また、股間部気体室222を膨張させて下腹部をも圧迫することにより、下腹部においてもリンパ液の滞留を防止するとともに、リンパ液の流れを促進することができる。さらに、股間部気体室222を膨張させて臀部の中央部も圧迫することにより、身体Bの背側においても、リンパ液の流れを促進することができる。本実施形態では、図2Eに示されるように、股間部気体室222は、後述する第2の遠位側締結具22Aおよび第2の近位側締結具23Aを締結したときに、第2の遠位側締結具22Aおよび第2の近位側締結具23Aの近傍において、隣接する第1の遠位側腹部気体室223の端部および第1の近位側腹部気体室224の端部とオーバーラップする。
【0025】
脚部気体室211~218、221の膨張により脚部のリンパ液が上方に流れる際に、股間部気体室222を膨張させれば、股間部が圧迫されて股間部へのリンパ液の流れが防止される。これにより、身体Bの上方に、リンパ液がスムーズに流れる。そして、以下で詳しく述べるように、脚部気体室211~218、221および股間部気体室222に続けて遠位側腹部気体室223、225、227および近位側腹部気体室224、226、228を順に膨張させることで、身体Bのより上方にリンパ液をスムーズに流すことができる。
【0026】
遠位側腹部気体室223、225、227は、脚部気体室211~218、221を装着した一方の脚部から遠位側の身体Bの側腹部を圧迫する気体室である。遠位側腹部気体室223、225、227は、マッサージ具2において、脚部気体室211~218、221から遠位側の身体Bの側腹部に対応する部位に設けられる。近位側腹部気体室224、226、228は、脚部気体室211~218、221を装着した一方の脚部から近位側の身体Bの側腹部を圧迫する気体室である。近位側腹部気体室224、226、228は、マッサージ具2において、脚部気体室211~218、221から近位側の身体Bの側腹部に対応する部位に設けられる。本実施形態では、遠位側腹部気体室223、225、227および近位側腹部気体室224、226、228は、身体Bの下腹部から中腹部の側方に対応する部位に設けられ、遠位側腹部気体室223、225、227および近位側腹部気体室224、226、228はそれぞれ、身体Bの上下方向において分割された3つの気体室を含んでいる。遠位側腹部気体室223、225、227は、脚部気体室211~218、221から遠位側の身体Bの側腹部において、下側から順に、第1の遠位側腹部気体室223と、第2の遠位側腹部気体室225と、第3の遠位側腹部気体室227とを含んでいる。近位側腹部気体室224、226、228は、脚部気体室211~218、221から近位側の身体Bの側腹部において、下側から順に、第1の近位側腹部気体室224と、第2の近位側腹部気体室226と、第3の近位側腹部気体室228とを含んでいる。第1の遠位側腹部気体室223と第1の近位側腹部気体室224、第2の遠位側腹部気体室225と第2の近位側腹部気体室226、および第3の遠位側腹部気体室227と第3の近位側腹部気体室228とはそれぞれ、身長方向BLにおいて、概略、同じ位置に設けられ、身体Bの腹側から背側に延在するように設けられている。第1の遠位側腹部気体室223は、具体的には、脚部気体室211~218、221に対して遠位側において、鼠蹊部を含んで、下腹部側方から臀部の外側に延在する1つの気体室として設けられている。第1の近位側腹部気体室224は、具体的には、脚部気体室211~218、221に対して近位側において、鼠蹊部を含んで、下腹部側方から臀部の外側に延在する1つの気体室として設けられている。第2の遠位側腹部気体室225は、具体的には、脚部気体室211~218、221に対して遠位側において、中腹部の下部の側方から腰部の下部の側方に延在する1つの気体室として設けられている。第2の近位側腹部気体室226は、具体的には、脚部気体室211~218、221に対して近位側において、中腹部の下部の側方から腰部の下部の側方に延在する1つの気体室として設けられている。第3の遠位側腹部気体室227は、具体的には、脚部気体室211~218、221に対して遠位側において、中腹部の上部の側方から腰部の上部の側方に延在する1つの気体室として設けられている。第3の近位側腹部気体室228は、具体的には、脚部気体室211~218、221に対して近位側において、中腹部の上部の側方から腰部の上部の側方に延在する1つの気体室として設けられている。本実施形態では、図2Fに示されるように、第2の遠位側腹部気体室225および第3の遠位側腹部気体室227(図2Fでは、第3の遠位側腹部気体室227のみが示されている)はそれぞれ、後述する第2の遠位側締結具22Aおよび第2の近位側締結具23Aを締結したときに、第2の遠位側締結具22Aおよび第2の近位側締結具23Aとの間において、第2の近位側腹部気体室226および第3の近位側腹部気体室228(図2Fでは、第3の近位側腹部気体室228のみが示されている)の端部とオーバーラップする。
【0027】
カバー20は、気体室211~218、221~228を保護し、かつ、マッサージ具2の内部空間を画定して気体室211~218、221~228の外側への拡がりを抑制する部材である。カバー20は、図2D図2Fに示されるように、身体Bと対向する側と反対側で、気体室211~218、221~228(気体室211~218、221~228のうち、図2Dでは気体室215のみ、図2Eでは気体室222~224のみ、図2Fでは気体室227、228のみがそれぞれ示されている)を覆うように設けられる。カバー20は、マッサージ具2が身体Bに装着されたときに、マッサージ具2と身体Bとの間の空間の容量を画定する。これにより、気体室211~218、221~228は、膨張した際に、身体Bを圧迫する。ただし、気体室211~218、221~228が膨張した際に身体Bを圧迫するように、気体室211~218、221~228の膨張を規制するベルトなど、その他の手段があれば、カバー20は必ずしも設けられなくてもよい。カバー20は、図2A図2D図2Fに示されるように、カバー20の主要部分であるカバー本体200と、カバー本体200の端部同士を締結する締結具21A~23A(締結具21Aは図2D参照、締結具22A、23Aは図2Eおよび図2F参照)と、身体Bの周方向CDにおけるマッサージ具2の長さを調整可能な周長調整機構21B、22B(周長調整機構21Bは、図2D参照、周長調整機構22Bは、図2Cおよび図2F参照)を備えている。
【0028】
カバー本体200は、気体室211~218、221~228を覆い、マッサージ具2の外形を構成する部分である。カバー本体200は、シート状の形状を有する。カバー本体200は、マッサージ具2が身体Bに装着されたときに、気体室211~218、221~228を覆うことができれば、その大きさは特に限定されないが、身体Bの平均的な周長に対して、一回り長い周長に形成されている。また、カバー本体200は、身体Bの形状に応じて変形可能であり、気体室211~218、221~228が膨張したときに、気体室211~218、221~228の外側への拡がりを抑制することができる強度を有していれば、特に限定されないが、たとえば、合成繊維などよって構成されている。
【0029】
締結具21A~23Aは、カバー本体200の端部同士を締結する部材である。締結具21A~23Aによってカバー本体200の端部同士が締結されることで、展開されたマッサージ具2(図2D図2Fの二点鎖線参照)を略筒状に閉じることができる(図2D図2Fの実線参照)。締結具21A~23Aは、本実施形態では、図2Aに示されるように、身長方向BLに延在するように設けられ、図2D図2Fに示されるように、身体Bの周方向CDのカバー本体200の一端および他端を締結する。締結具21A~23Aは、図2Aおよび図2C図2Fでは、線ファスナであるが、身長方向BLに沿って並設された複数のボタンなど、その他の締結具であってもよい。マッサージ具2に締結具21A~23Aが設けられることで、マッサージ具2を展開した状態で身体Bにマッサージ具2を沿わせた後に、マッサージ具2を閉じて締結具21A~23Aを締結することができる。これにより、マッサージ具2を展開した状態から身体Bに装着することができるので、たとえば、身体Bが不自由な被施術者であっても、マッサージ具2を身体Bに装着しやすくなる。締結具21A~23Aは、被施術者自身が締結および締結の解除を容易に行えるように、身体Bの背側ではなく腹側に対応するカバー本体200に設けられることが好ましい。締結具21A~23Aは、カバー本体200の端部同士を締結することができれば、設けられる数や位置は、特に限定されない。本実施形態では、図2Aに示されるように、第1のマッサージ具21および第2のマッサージ具22には、カバー本体200の端部同士を締結する第1の締結具21Aおよび第2の締結具22A、23Aがそれぞれ設けられている。第1の締結具21Aは、第1のマッサージ具21において、身長方向BLに延びるように設けられている。第2の締結具22A、23Aは、第2のマッサージ具22において、第1のマッサージ具21から遠位側および近位側でそれぞれ身長方向BLに延びる第2の遠位側締結具22Aおよび第2の近位側締結具23Aとして設けられている。
【0030】
周長調整機構21B、22Bは、マッサージ具2の大きさが身体Bの大きさと合致するように、身体Bの周方向CDにおいて、マッサージ具2の長さを調整して固定する機構である。マッサージ具2に周長調整機構21B、22Bが設けられることで、被施術者の体形の違いにより、身体Bへの圧迫力が異なることが防止される。周長調整機構21B、22Bは、マッサージ具2の長さを調整して固定することができれば、設けられる数や位置は、特に限定されない。本実施形態では、第1のマッサージ具21には、第1のマッサージ具21の周方向CDの長さを調整する第1の周長調整機構21B(図2D参照)が設けられ、第2のマッサージ具22には、第2のマッサージ具22の周方向CDの長さを調整する第2の周長調整機構22B(図2Cおよび図2F参照)が設けられている。
【0031】
第1の周長調整機構21Bは、第1のマッサージ具21の大きさが身体Bの脚部の大きさと合致するように、脚部の周方向CDにおいて、第1のマッサージ具21の長さを調整して固定する機構である。第1の周長調整機構21Bは、図2Dに示されるように、第1のマッサージ具21の大きさが身体Bの大きさと合致するように、周方向CDにおいて部分的に折り込んだ状態で、カバー本体200を固定することができる。本実施形態では、カバー本体200の折り込みを可能とするために、第1の周長調整機構21Bが設けられる部分では、カバー本体200と脚部気体室211~218(図2Dでは、第5の遠位脚部気体室215のみが示されている)とは、互いに固定されずに分離されている。本実施形態では、第1の周長調整機構21Bは、図2Dに示されるように、カバー本体200が周方向CDの所定の部分から身体B側および身体Bと反対側にそれぞれ分岐した内側カバー201および外側カバー202と、内側カバー201および外側カバー202に設けられ、内側カバー201と外側カバー202とを固定する第1の固定具203を備えている。内側カバー201は、身体Bの脚部の全周を取り囲むように設けられ、内側カバー201の周長が、第1のマッサージ具21の周長を画定している。内側カバー201は、第1のマッサージ具21の周長を調整する際に、内側カバー201と外側カバー202との分岐部の近傍で、部分的に折り込まれる。外側カバー202は、折り込まれた内側カバー201を覆うことが可能な長さに設定されている。第1の固定具203は、内側カバー201および外側カバー202の、互いに対向する面にそれぞれ設けられた、一対の面ファスナによって構成することができる。ただし、第1の固定具203は、周方向CDで部分的に折り込んだ状態でカバー本体200を固定可能であれば、特に限定されず、内側カバー201および外側カバー202を互いに固定する、紐、ボタン、ベルトなどによって構成されてもよい。
【0032】
第2の周長調整機構22Bは、第2のマッサージ具22の大きさが身体Bの胴体部の大きさと合致するように、胴体部の周方向CDにおいて、第2のマッサージ具22の長さを調整して固定する機構である。第2の周長調整機構22Bは、図2Cおよび図2Fに示されるように、身長方向BLに延びるようにカバー本体200に設けられるスリット200Sと、スリット200Sを跨いで周方向CDに延びるベルト221Bと、ベルト221Bを所定の長さで固定する第2の固定具222Bとを備えている。スリット200Sを設けることで、スリット200Sを挟んで対向するカバー本体200の端部同士をオーバーラップさせれば、第2のマッサージ具22の周長を容易に調整することができる。スリット200Sは、カバー本体200において周長を調整すべき身長方向BLの位置に設けられれば、特に限定されないが、本実施形態では、第2のマッサージ具22の上端から身長方向BLに延びるように設けられている。ベルト221Bは、その周方向CDの長さを調整可能であれば、特に限定されないが、本実施形態では、スリット200Sを挟むカバー本体200の両側に一端側がそれぞれ固定され、他端側が互いに向き合う方向にそれぞれ延びる一対のベルトによって構成されている。第2の固定具222Bは、ベルト221Bを周方向CDの長さを調整した状態で固定することができれば、特に限定されないが、本実施形態では、挟持によりベルト221Bを固定するバックルによって構成されている。ただし、第2の固定具222Bは、面ファスナ、ボタンなどによって構成されてもよい。
【0033】
気体給排システム3は、複数の気体室211~218、221~228に高圧気体を供給し、複数の気体室211~218、221~228から高圧気体を排出する。本実施形態では、気体給排システム3は、図3に示されるように、電磁弁により高圧気体の供給および排出を制御する。気体給排システム3は、マッサージ具2の気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)と流体接続される電磁弁ユニット5と、電磁弁ユニット5と流体接続される気体供給装置4と、電磁弁ユニット5を制御する制御装置6とを備えている。ただし、気体給排システム3は、気体室211~218、221~228に高圧気体を供給し、気体室211~218、221~228から高圧気体を排出するように構成されていればよく、その目的のために、電動弁などのその他のアクチュエータにより、高圧気体の供給および排出を制御してもよい。また、上述されたように、膨張させる順番が前後する気体室間の流体接続により、気体室211~218、221~228を膨張させる順番が決定される場合には、気体給排システム3は、電磁弁ユニット5および制御装置6を必ずしも備えなくてもよい。
【0034】
気体給排システム3は、図3に示されるように、気体供給装置4、電磁弁ユニット5、および制御装置6を収容するための筐体3aを備えていてもよい。本実施形態では、筐体3aには、制御装置6に接続される表示装置31が設けられている。表示装置31は、ユーザが気体給排システム3を操作し、ユーザに気体給排システム3の動作状況を知らせる表示画面を有する装置であり、たとえばタッチパネル式液晶ディスプレイ装置により構成されている。また、筐体3aには、コネクタC1、C2のうちの電磁弁ユニット側コネクタC11、C21が設けられている。電磁弁ユニット側コネクタC11、C21は、気体室側コネクタC12、C22と接続されることで、電磁弁ユニット5と気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)とを流体接続するように構成されている。さらに、筐体3aには、停電時などの緊急時にユーザによって押圧される押圧部材71が設けられている。押圧部材71は、気体式マッサージ機1の緊急停止構造の一部を構成している。緊急停止構造の一部を構成する押圧部材71およびコネクタCの詳細については後述する。
【0035】
気体供給装置4は、電磁弁ユニット5に高圧気体を供給する装置である。気体供給装置4は、電磁弁ユニット5に流体接続されている。気体供給装置4は、電磁弁ユニット5に高圧気体を供給可能であれば、特に限定されることはなく、たとえば、高圧気体を送出するポンプや、バルブを開放するだけで高圧気体が噴出するボンベなどによって構成することができる。本実施形態では、気体供給装置4は、利便性の観点から、高圧空気を送出する空気ポンプである。気体供給装置4は、気体給排システム3とは別体で、筐体3aの外部に設けられてもよい。
【0036】
電磁弁ユニット5は、マッサージ具2の気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)に高圧気体を供給し、マッサージ具2の気体室211~218、221~228から高圧気体を排出するように、高圧気体の流路を切り替える装置である。気体給排システム3は、本実施形態では、図3および図6Aに示されるように、2つの電磁弁ユニット51、52を備えている。しかし、電磁弁ユニットの数は、流体接続される気体室の数や身体Bをマッサージするための制御モードに応じて適宜決定することができ、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0037】
電磁弁ユニット5は、図4に模式的に示されるように、気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)に供給する高圧気体を収容する中間チャンバRと、中間チャンバRに接続され、中間チャンバRと気体室211~218、221~228とを流体接続する接続ポートP0と、中間チャンバRに接続され、中間チャンバRと気体供給装置4とを流体接続する給気ポートP1と、中間チャンバRに接続され、中間チャンバRから高圧気体を排出する排気ポートP2とを備えている。そして、電磁弁ユニット5は、接続ポートP0を開閉するための接続用電磁弁V0と、排気ポートP2を開閉するための排気用電磁弁V2とを備えている。また、電磁弁ユニット5は、給気ポートP1を開閉するための給気用電磁弁V1をさらに備えていてもよい。
【0038】
本実施形態では、電磁弁ユニット5では、給気用電磁弁V1によって給気ポートP1が開放され、排気用電磁弁V2によって排気ポートP2が閉鎖されることにより、気体供給装置4から中間チャンバRに高圧気体が供給され、接続用電磁弁V0によって接続ポートP0が開放されることによって、中間チャンバR内の高圧気体が気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)に供給されて、気体室211~218、221~228が高圧状態とされる。気体室211~218、221~228に高圧気体が供給された後に、接続用電磁弁V0によって接続ポートP0が閉鎖された状態が維持されると、気体室211~218、221~228内の圧力が高圧に保持される。また、本実施形態では、給気用電磁弁V1によって給気ポートP1が閉鎖され、排気用電磁弁V2によって排気ポートP2が開放され、接続用電磁弁V0によって接続ポートP0が開放されると、気体室211~218、221~228内の高圧気体が中間チャンバRおよび排気ポートP2を介して排出される。ただし、給気ポートP1を開閉するための給気用電磁弁V1は、必ずしも設けられなくてもよい。給気用電磁弁V1がない場合、排気用電磁弁V2によって排気ポートP2が閉塞され、接続用電磁弁V0によって接続ポートP0が開放されると、給気ポートP1および中間チャンバRを介して、高圧気体が気体室211~218、221~228に供給される。また、排気用電磁弁V2によって排気ポートP2が開放され、接続用電磁弁V0によって接続ポートP0が開放されると、給気ポートP1から高圧気体が供給されるものの、排気ポートP2から高圧気体が同様に排出されるので、気体室211~218、221~228からも中間チャンバRに高圧気体が排出される。
【0039】
電磁弁ユニット5では、以上に示したように、接続用電磁弁V0は、接続ポートP0を開閉する弁体Vbを有する2方弁であり、弁体Vbは、接続ポートP0を閉鎖する閉鎖状態と、接続ポートP0を開放する開放状態との間で切り替わるように、中間チャンバRの内部で移動可能に構成されている。したがって、高圧気体を気体室に供給し続けなくとも、気体室の気圧を高圧に保持することができる。また、電磁弁ユニット5では、弁体Vbが、中間チャンバRの外部で移動して、中間チャンバRの外側面で接続ポートP0を開閉するのではなく、中間チャンバRの内部で移動して、中間チャンバRの内側面で接続ポートP0を開閉する。したがって、弁体Vbの開閉動作のストロークの長さの分、電磁弁ユニット5をコンパクトに作製することができる。なお、給気用電磁弁V1および排気用電磁弁V2はそれぞれ、本実施形態では、給気ポートP1および排気ポートP2をそれぞれ閉鎖する閉鎖状態と、給気ポートP1および排気ポートP2をそれぞれ開放する開放状態との間で切り替わる2方弁である。しかし、給気ポートP1および排気ポートP2については、その両方が同時に開放または閉鎖される必要はなく、一方が閉鎖され、他方が開放されてもよいので、給気用電磁弁V1および排気用電磁弁V2は、中間チャンバRと給気ポートP1とを流体接続するか、中間チャンバRと排気ポートP2とを流体接続するかを切り替えるための共通の3方弁により構成されてもよい。
【0040】
1つの電磁弁ユニット5は、特に限定されないが、本実施形態では、図4に示されるように、同じ構造の複数(図示された例では2つ)の電磁弁ブロック500によって構成されている。以下では、図4図5Aおよび図5Bを参照しながら、電磁弁ブロック500を詳細に説明する。
【0041】
電磁弁ブロック500は、1つの電磁弁ユニット5の単位構造となる装置である。本実施形態では、図4に示されるように、電磁弁ブロック500は、別の電磁弁ブロック500と流体接続されて、1つの電磁弁ユニット5を構成する。ただし、電磁弁ブロック500は、1つでも3つ以上でも電磁弁ユニット5を構成することができる。
【0042】
電磁弁ブロック500は、図4に示されるように、気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)に供給する高圧気体を収容する中間チャンバRaと、中間チャンバRaに接続され、中間チャンバRaと気体室211~218、221~228とを流体接続する接続ポートP0と、中間チャンバRaに接続され、中間チャンバRaと気体供給装置4(中間チャンバRaの外部)とを流体接続する給排気ポートP1(P2)と、中間チャンバRaに接続され、中間チャンバRaと中間チャンバRaの外部とを流体接続する開放ポートP3とを備えている。そして、電磁弁ブロック500は、接続ポートP0を開閉するための接続用電磁弁V0と、給排気ポートP1(P2)を開閉するための給排気用電磁弁V1(V2)とを備えている。しかし、給排気ポートP1(P2)および給排気ポートP1(P2)を備えていない電磁弁ブロック500があってもよく、この場合、当該電磁弁ブロック500と流体接続される別の電磁弁ブロックが、給排気ポートP1(P2)および給排気用電磁弁V1(V2)を備えることができる。また、図4では、電磁弁ブロック500は、中間チャンバRaを1つのみ有しているが、中間チャンバRaを複数有していてもよい。また、図4では、中間チャンバRaは、複数の電磁弁ブロック500間で流体接続されているが、単一の電磁弁ブロック500の中間チャンバRaのみが用いられてもよい。
【0043】
本実施形態では、図4に示されるように、一方の電磁弁ブロック500(図4中下側)の開放ポートP3と、他方の電磁弁ブロック500(図4中上側)の開放ポートP3とが、後述する共通タンク53を介して流体接続されることで、両方の電磁弁ブロック500、500が互いに流体接続されて、1つの電磁弁ユニット5が形成される。このとき、一方の電磁弁ブロック500の中間チャンバRaおよび他方の電磁弁ブロック500の中間チャンバRaが、両方の開放ポートP3、P3を介して流体接続されて、1つの電磁弁ユニット5の中間チャンバRを形成する。また、一方の電磁弁ブロック500の給排気ポートP1が、1つの電磁弁ユニット5の給気ポートP1を構成し、他方の電磁弁ブロック500の給排気ポートP2が、1つの電磁弁ユニット5の排気ポートP2を構成する。両方の電磁弁ブロック500、500の接続ポートP0、P0は、1つの電磁弁ユニット5の接続ポートP0を構成する。そして、1つの電磁弁ユニット5は、上述されるように、給気ポートP1、排気ポートP2、および接続ポートP0を開閉することにより、気体室211~218、221~228に高圧気体を供給し、気体室211~218、221~228から高圧気体を排出するように、高圧気体の流路を切り替える。ただし、1つの電磁弁ブロック500のみで1つの電磁弁ユニット5が形成されてもよい。このとき、1つの電磁弁ブロック500の中間チャンバRaが、1つの電磁弁ユニット5の中間チャンバRを構成する。また、このとき、1つの電磁弁ブロック500の開放ポートP3が、気体供給装置4と流体接続されることで、1つの電磁弁ユニット5の給気ポートP3を構成し、1つの電磁弁ブロック500の給排気ポートP1(P2)が、1つの電磁弁ユニット5の排気ポートP1(P2)を構成する。この場合には、1つの電磁弁ユニット5は、排気ポートP1(P2)および接続ポートP0を開閉することにより、気体室211~218、221~228に高圧気体を供給し、気体室211~218、221~228から高圧気体を排出するように、高圧気体の流路を切り替える。
【0044】
図5Aおよび図5Bは、上述した電磁弁ブロック500の具体的な構造を示している。電磁弁ブロック500は、ポートP0、P1(P2)、P3および中間チャンバRaが設けられたブロック本体MBと、ブロック本体MBに取り付けられた電磁弁V0、V1(V2)とを備えている。
【0045】
ブロック本体MBは、図5Aおよび図5Bに示されるように、第1の本体部材501および第2の本体部材502と、第1の本体部材501と第2の本体部材502との間に介在するシール部材503とを備えている。ブロック本体MBは、図示しない公知の結合手段(嵌合、ネジ止めなど)により、シール部材503を介して第1の本体部材501および第2の本体部材502が互いに結合されることにより形成される。第1の本体部材501および第2の本体部材502は、互いに結合されたときに中間チャンバRaおよび後述する流路F0、F1をブロック本体MB内部に形成するように構成されている。第1の本体部材501および第2の本体部材502は、高圧気体による押圧力や電磁弁によるポートの開閉に伴う押圧力に対して変形が抑制され得るような剛性を有していればよく、特に限定されることはないが、樹脂材料、セラミック材料、金属材料などの剛性を有する材料により形成することができる。また、シール部材503は、ブロック本体MB内部に形成される中間チャンバRaや流路F0、F1に所定の気密性を付与することができればよく、特に限定されることはないが、たとえば公知の環状パッキンを用いることができる。
【0046】
第1の本体部材501は、図5Aおよび図5Bに示されるように、一方側の第1面501aおよび他方側の第2面501bを有する略矩形の板状に形成されている。第1の本体部材501は、第2面501bが第2の本体部材502に面するように、第2の本体部材502に結合される。第1の本体部材501の第1面501aには、第1面501aに対して略垂直に突出する接続ポートP0および第1面501aに対して略平行に突出する給排気ポートP1(P2)が設けられている。また、第1の本体部材501の第2面501bには、接続ポートP0から中間チャンバRaに延びる流路F0を形成するための凹部D0が設けられている。第1の本体部材501と第2の本体部材502とが互いに結合されることで、第2の本体部材502によって凹部D0が密封されて、流路F0が形成される。
【0047】
第2の本体部材502は、図5Aおよび図5Bに示されるように、一方側の第1面502aおよび他方側の第2面502bを有する略矩形の板状に形成されている。第2の本体部材502の第2面502bには、第2面502bから突出し、電磁弁V0、V1(V2)を支持するための電磁弁支持部502cが設けられている。第2の本体部材502は、第1面502aが第1の本体部材501の第2面501bに面するように、第1の本体部材501に結合される。第2の本体部材502の第1面502aには、給排気ポートP1(P2)から中間チャンバRaに延びる流路F1を形成するための凹部D1と、中間チャンバRaを形成するための凹部D2とが設けられ、第2の本体部材502の第2面502bには、凹部D2の底部を貫通して開放ポートP3が設けられている。第1の本体部材501と第2の本体部材502とが互いに結合されることで、凹部D1が密封されて、流路F1が形成され、凹部D2が密封されて、中間チャンバRaが形成される。なお、流路F1は、中間チャンバRaに含まれる。
【0048】
第2の本体部材502にはさらに、図5Aおよび図5Bに示されるように、第2面502bにおいて、接続用電磁弁V0を挿入するための凹部D3および給排気用電磁弁V1(V2)を挿入するための凹部D4が設けられている。凹部D3、D4は、凹部D1、D2と連通し、中間チャンバRaの一部を構成する。第2の本体部材502は、凹部D3、D4に第2面502b側から接続用電磁弁V0および給排気用電磁弁V1(V2)が挿入されて、接続用電磁弁V0および給排気用電磁弁V1(V2)が取り付けられる。このとき、凹部D3、D4が第2面502b側から密封されながら、凹部D1、D2との連通が維持されることで、中間チャンバRaが形成される。第2の本体部材502にはさらに、凹部D3の底部において第1面502aから第2面502bに向かって貫通し、流路F0と中間チャンバRaとを流体接続させる貫通孔T0と、凹部D4の底部において第1面502aから第2面502bに向かって貫通し、中間チャンバRaと給排気ポートP1(P2)とを連通する貫通孔T1とが設けられる。以下で詳しく述べるように、接続用電磁弁V0および給排気用電磁弁V1(V2)によって貫通孔T0およびT1が開閉されることで、接続ポートP0および給排気ポートP1(P2)が開閉される。
【0049】
接続ポートP0および給排気ポートP1(P2)はそれぞれ、上述したように、流路F0、F1を介して中間チャンバRaに接続されている。したがって、流路F0、F1を自在に配置することで、中間チャンバRaや電磁弁V0、V1(V2)の配置に関わらず、接続ポートP0および給排気ポートP1(P2)を自在に配置することができる。本実施形態では、1つの電磁弁ブロック500に接続ポートP0が4つ設けられているが、マッサージ具2の気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)と接続する際にホースHを集約して配置するために(図3参照)、4つの接続ポートP0を密集して配置することができる。特に、第1の本体部材501の第1面501aの一片側に局在して配置することで、別の電磁弁ブロック500と隣接して配置した時に、別の電磁弁ブロック500の接続ポートP0と隣接して配置することが可能となる(図6A参照)。
【0050】
電磁弁V0、V1(V2)は、電気で駆動されて、ポートP0、P1(P2)を開閉する弁である。図5Aおよび図5Bに示されるように、本実施形態では、電磁弁V0、V1(V2)は、開閉が必要なポートP0、P1(P2)に対応して、ブロック本体MBに取り付けられる。より具体的には、電磁弁V0、V1(V2)は、ポートP0、P1(P2)を開閉するために、第2の本体部材502の第2面502bに設けられた凹部D3、D4に挿入されて、第2の本体部材502に取り付けられる。本実施形態では、開放ポートP3は、電磁弁が設けられておらず、常時開状態となっている。開放ポートP3は、上述したように、2つの電磁弁ブロック500、500を互いに流体接続する際の中間ポートとして機能する。また、1つの電磁弁ブロック500で電磁弁ユニット5を構成する場合には、開放ポートP3は、気体供給装置4と接続されるための給気ポートとして機能する。ただし、1つの電磁弁ブロック500で電磁弁ユニット5を構成する場合であっても、開放ポートP3に対応して電磁弁が設けられてもよい。
【0051】
接続用電磁弁V0および給排気用電磁弁V1(V2)は、特に限定されることはないが、すべて同じ電磁弁を用いることができる。以下では、接続用電磁弁V0について説明するが、他の電磁弁も同様の構成を有している。電磁弁V0は、図5Bに示されるように、弁座Vaと、弁体Vbと、電磁石Vcと、付勢体Vdとを備えている。電磁弁V0は、上述したように、2方弁を構成している。
【0052】
弁座Vaは、開閉対象となる流路(貫通孔T0)に隣接して設けられ、弁体Vbが当接される部位である。弁座Vaは、弁体Vbが当接された際に流路(貫通孔T0)が閉鎖されるように形成される。弁座Vaは、本実施形態では、図5Bに示されるように、第2の本体部材502の第2面502bに設けられた凹部D3において、凹部D3の底部の貫通孔T0の周縁から、貫通孔T0の延びる方向に沿って突出する略筒状の部位として形成されている。
【0053】
弁体Vbは、弁座Vaと協同して、開閉対象となる流路(貫通孔T0)を開閉する部材である。弁体Vbは、弁座Vaに当接して流路を閉鎖する閉鎖位置と、弁座Vaから離間して流路を開放する開放位置との間で動作可能に構成される。弁体Vbは、本実施形態では、一方向に延びる棒状部材として形成され、電磁石Vcの電磁力および付勢体Vdの付勢力によって、棒状部材の延びる方向に沿って移動可能に構成される。弁体Vbは、電磁石Vcの電磁力によって駆動されるように、鉄などの磁性体を含んでいる。弁座Vaに当接する弁体Vbの先端部は、ゴムなどの弾性体によって構成されることが好ましい。この場合、弁体Vbの先端部が弁座Vaに当接する際に、弁体Vbの先端部が弁座Vaの形状に追従して変形することができるので、気密度が高い状態で流路(貫通孔T0)を閉鎖することができる。
【0054】
電磁石Vcは、電力が供給されることによって、弁体Vbに電磁力を印可する。電磁石Vcは、本実施形態では、電力が供給された際に、弁座Vaから離間する方向に弁体Vbを付勢する電磁力を弁体Vbに印可することができるように構成される。しかし、電磁石Vcは、電力が供給された際に、弁座Vaに向かって弁体Vbを付勢する電磁力を弁体Vbに印可することができるように構成されてもよい。電磁石Vcは、特に限定されることはないが、構造の簡易性の観点から、弁体Vbを内部に収容する円筒状のソレノイドコイルを採用することができる。
【0055】
付勢体Vdは、電磁弁V0の開状態または閉状態を維持するために、弁体Vbを所定の方向に付勢する。本実施形態では、付勢体Vdは、電磁弁V0の閉状態を維持するために、弁体Vbを弁座Vaに向かって付勢するように構成される。この場合は、電磁弁V0は、電力が供給されないときに閉状態が維持される常時閉弁を構成することができる。しかし、付勢体Vdは、電磁弁V0の開状態を維持するために、弁体Vbを弁座Vaから離間する方向に付勢するように構成されてもよい。この場合は、電磁弁V0は、電力が供給されないときに開状態が維持される常時開弁を構成することができる。付勢体Vdは、弁体Vbを所定の方向に付勢することができれば、特に限定されることはなく、公知のバネなどを採用することができる。
【0056】
本実施形態では、電磁弁ユニット5は、以上のように構成された電磁弁ブロック500を複数組み合わせることによって構成されている。図6A図6Dは、複数の電磁弁ブロック500が組み合わされて構成された電磁弁ユニット5を示している。本実施形態では、気体給排システム3は、図示されるように、電磁弁ユニット5として、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52を備えている。第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52は、それぞれ複数(図示された例では2つ)の電磁弁ブロック500によって構成されている。4つの電磁弁ブロック500は、第2の電磁弁ユニット52の2つの電磁弁ブロック500が隣接して配置され、第1の電磁弁ユニット51の2つの電磁弁ブロック500が第2の電磁弁ユニット52の2つの電磁弁ブロック500を挟むように配置されるように、並列配置されている。4つの電磁弁ブロック500は、隣接する電磁ブロック500間で、正面視において、180°回転させた向きで配置されている。
【0057】
電磁弁ユニット5は、本実施形態では、図6A図6Dに示されるように、第1および第2の電磁弁ユニット51、52が流体接続される共通タンク53を備えている。第1および第2の電磁弁ユニット51、52は、本実施形態では、共通タンク53を介して、気体供給装置4に流体接続される。ただし、第1および第2の電磁弁ユニット51、52は、共通タンク53を介さずに、気体供給装置4に直接流体接続されてもよい。共通タンク53の詳細は後述する。
【0058】
第1の電磁弁ユニット51は、図6A図6Dに示されるように、中間チャンバR1と、第1~第8の接続ポートP11~P18と、給気ポートP10と、排気ポートP19と、第1~第8の接続用電磁弁V11~V18と、給気用電磁弁V10と、排気用電磁弁V19とを備えている。また、第2の電磁弁ユニット52は、中間チャンバR2と、第1~第8の接続ポートP21~P28と、給気ポートP20と、排気ポートP29と、第1~第8の接続用電磁弁V21~V28と、給気用電磁弁V20と、排気用電磁弁V29とを備えている。
【0059】
中間チャンバR1、R2は、気体室211~218、221~228に供給する高圧気体を蓄える部位である。中間チャンバR1、R2のそれぞれは、上述されたように、電磁弁ブロック500の中間チャンバRaが、電磁弁ブロック500と流体接続する共通タンク53(具体的には、図6Dに示される第2のタンク内流路534bおよび第3のタンク内流路534c)を介して流体接続されることで形成されている。ただし、中間チャンバR1、R2のそれぞれは、共通タンク53を介さずに、電磁弁ブロック500の中間チャンバRaを直接流体接続することによって形成されてもよい。
【0060】
接続ポートP11~P18、P21~P28は、中間チャンバR1、R2とマッサージ具2の気体室211~218、221~228とを流体接続するポートである。本実施形態では、接続ポートP11~P18、P21~P28は、上述されたように、複数の電磁弁ブロック500における接続ポートP0によって構成される。本実施形態では、上述のように、電磁弁ブロック500内で接続ポートP0を密に配置した結果、接続ポートP11~P14、P21~P24を一群とし、また、接続ポートP15~P18、P25~P28を一群として、接続ポートP11~P18、P21~P28は密に配置されている。そのため、第1のコネクタC1および第2のコネクタC2(図3参照)と、接続ポートP11~P14、P21~P24の接続ポート群および接続ポートP15~P18、P25~P28の接続ポート群との接続が容易になる。
【0061】
給気ポートP10、P20は、中間チャンバR1、R2に高圧気体を供給するポートである。給気ポートP10、P20は、中間チャンバR1、R2に接続され、中間チャンバR1、R2と気体供給装置4とを流体接続する。給気ポートP10、P20は、本実施形態では、共通タンク53(具体的には、図6Dに示される第1のタンク内流路534a)を介して、気体供給装置4と流体接続される。給気ポートP10、P20は、上述されたように、2つの電磁弁ブロック500のうちの一方における給排気ポートP1によって構成される。
【0062】
排気ポートP19、P29は、中間チャンバR1、R2から高圧気体を排出するポートである。排気ポートP19、P29は、中間チャンバR1、R2に接続され、中間チャンバR1、R2と大気とを流体接続する。排気ポートP19、P29は、上述されたように、2つの電磁弁ブロック500のうちの一方における給排気ポートP2によって構成される。
【0063】
なお、本実施形態において、第1の電磁弁ユニット51を構成する2つの電磁弁ブロック500の開放ポートP3、P3は、2つの電磁弁ブロック500を流体接続する中間ポートP100、P190となる。また、本実施形態において、第2の電磁弁ユニット52を構成する2つの電磁弁ブロック500の開放ポートP3、P3は、2つの電磁弁ブロック500を流体接続する中間ポートP200、P290となる。
【0064】
接続用電磁弁V11~V18、V21~V28は、接続ポートP11~P18、P21~P28を開閉する電磁弁である。接続用電磁弁V11~V18、V21~V28は、接続ポートP11~P18、P21~P28と対応するように、電磁弁ユニット51、52に設けられる。接続用電磁弁V11~V18、V21~V28は、上述したように、接続ポートP11~P18、P21~P28を閉鎖する閉鎖状態と、接続ポートP11~P18、P21~P28を開放する開放状態とに切り替わる2方弁である。
【0065】
従来のように、3方弁を接続ポートに設けた場合、接続ポートは、給気ポートまたは排気ポートのいずれかと接続される。つまり、接続ポートが給気ポートと接続されていれば、高圧気体が気体室に供給され、接続ポートが排気ポートと接続されていれば、高圧気体が気体室から排出される。換言すれば、接続ポートがいずれのポートとの接続をも解除される状態が存在しない。そのため、接続ポートが給気ポートと接続されていなければ、高圧気体を気体室に保持することができない。これに対し、本実施形態のように、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28として2方弁を採用すれば、上述のように、対応する接続ポートP11~P18、P21~P28をそれぞれ閉鎖することができる。これにより、高圧気体を気体室211~218、221~228に供給し続けなくとも、高圧気体を気体室211~218、221~228に保持することができる。
【0066】
また、1つの3方弁は、1つの接続ポートに対して2つのポート(給気ポートおよび排気ポート)を必要とする。換言すれば、1つの3方弁は、3つのポートを必要とするので、各接続ポートに3方弁を設けた場合、ポートの数が多くなる。たとえば、図6Aに示されるように接続ポートを16個設ける際に、それぞれの接続ポートに3方弁で開閉すると、ポートの総数は、48(3×16)個となる。この場合、電磁弁ユニットには、48個のポートを設けるスペースが要求されるので、電磁弁ユニットが大型化し、さらに電磁弁ユニットの流路設計も煩雑になる。これに対し、2方弁は、1つの接続ポートに対して、1つのポート(給排気ポート)しか必要としない。たとえば、図4Aに示されるように接続ポートを16個設ける際に、それぞれの接続ポートに2方弁で開閉すると、ポートの総数は、単純に計算すれば、32(2×16)個となる。さらに、本実施形態では、接続ポートP11~P18、P21~P28および給排気ポートP10、P19、P20、P29は、高圧気体を送出および受容する空間として中間チャンバR1、R2を共有している。そのため、本実施形態では、ポートの総数は、20(16(接続ポートの数)+4(給排気ポートの数))個となる。このように、本実施形態では、2方弁を用いることによって必要とされるポート数が削減されるので、電磁弁ユニット5が小型化し、さらに電磁弁ユニット5の流路設計も簡単になる。
【0067】
さらに、2方弁を用いれば、上述されたように、接続ポートP11~P18、P21~P28を閉鎖することにより、気体室211~218、221~228内に高圧気体を保持することができる。この特徴を利用して、以下のように、電磁弁ユニット5を制御することもできる。接続用電磁弁V11~V18、V21~V28を開状態または閉状態に切り替えたときに、気体室211~218、221~228の気圧が中間チャンバR1、R2の気圧と同じ気圧となるには、ある程度の時間を要する。そのため、たとえば中間チャンバR1、R2に高圧気体が蓄えられ、気体室211~218、221~228に高圧気体が蓄えられていないときに、上記時間より短い時間で、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28を開放し、その後、閉鎖する。また、たとえば中間チャンバR1、R2に高圧気体が蓄えられておらず、気体室211~218、221~228に高圧気体が蓄えられているときに、上記時間より短い時間で、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28を開放し、その後、閉鎖する。このようにすれば、大気圧よりは高いが、供給される高圧気体の気圧よりは低い、中レベルの気圧に気体室211~218、221~228をそれぞれ保持するができる。そのため、本実施形態では、複数の気体室211~218、221~228の気圧をそれぞれ自在に制御することできる。
【0068】
給気用電磁弁V10、V20は、給気ポートP10、P20を開閉する電磁弁である。給気用電磁弁V10、V20は、給気ポートP10、P20と対応して設けられている。本実施形態において、給気用電磁弁V10、V20は、上述されるように、給気ポートP10、P20を閉鎖する閉鎖状態と、給気ポートP10、P20を開放する開放状態とに切り替わる2方弁である。つまり、給気用電磁弁V10、V20が開放状態にあるとき、中間チャンバR1、R2に高圧気体が供給され、給気用電磁弁V10、V20が閉鎖状態にあるとき、中間チャンバR1、R2に高圧気体が供給されない。
【0069】
排気用電磁弁V19、V29は、排気ポートP19、P29を開閉する電磁弁である。排気用電磁弁V19、V29は、排気ポートP19、P29に対応して設けられている。本実施形態において、排気用電磁弁V19、V29は、上述されるように、排気ポートP19、P29を閉鎖する閉鎖状態と、排気ポートP19、P29を開放する開放状態とに切り替わる2方弁である。つまり、排気用電磁弁V19、V29が開放状態にあるとき、中間チャンバR1、R2から高圧気体が排出され、排気用電磁弁V19、V29が閉鎖状態にあるとき、中間チャンバR1、R2内に高圧気体が保持される。
【0070】
本実施形態では、電磁弁ユニット51、52において、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28だけでなく、給気用電磁弁V10、V20および排気用電磁弁V19、V29をも2方弁としている。この場合、電磁弁ユニット51、52の流路設計が、さらに簡単になる。また、電磁弁ユニット51、52において、給気用電磁弁V10、V20を設けずに排気用電磁弁V19、V29のみに2方弁を設ける場合には、給気用電磁弁V10、V20が不要な分、電磁弁ユニット51、52の部品点数をそれぞれ削減することができる。しかしながら、給気用電磁弁V10、V20および排気用電磁弁V19、V29は、2方弁に限定されない。たとえば、給気用電磁弁V10、V20および排気用電磁弁V19、V29は、給気ポートP10、P20と中間チャンバR1、R2との流体接続と、排気ポートP19、P29と中間チャンバR1、R2との流体接続とを一体的に切り替える1つの3方弁であってよい。このようにすれば、2つの電磁弁ではなく、1つの電磁弁によって、高圧気体を中間チャンバR1、R2に供給し、高圧気体を中間チャンバR1、R2から排出することができる。そのため、この場合においても、電磁弁ユニット51、52の部品点数をそれぞれ削減することができる。
【0071】
接続用電磁弁V11~V18、V21~V28は、電力が供給されないときに接続ポートP11~P18、P21~P28を閉鎖する常時閉弁であることが好ましい。常時閉弁によって接続用電磁弁V11~V18、V21~V28を構成する場合、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28に電力を供給しなくとも、接続ポートP11~P18、P21~P28が密閉される。この場合、接続ポートP11~P18、P21~P28と流体接続する気体室211~218、221~228の気圧を維持することができる。これにより、気体式マッサージ機1を省電力で動作させることができる。ただし、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28は、電力が供給されないときに接続ポートP11~P18、P21~P28を開放する常時開弁であってもよい。
【0072】
共通タンク53は、電磁弁ユニット51、52に供給される高圧気体を一括して収容する。本実施形態では、共通タンク53は、気体供給装置4と流体接続されている。これにより、気体供給装置4から共通タンク53に高圧気体が供給される。また、共通タンク53は、図6A図6Dに示されるように、電磁弁ユニット51、52の給気ポートP10、P20を介して、電磁弁ユニット51、52の中間チャンバR1、R2と流体接続するように構成されている。これにより、共通タンク53に収容された高圧気体が、電磁弁ユニット51、52の給気ポートP10、P20を介して、電磁弁ユニット51、52の中間チャンバR1、R2に供給される。このように、共通タンク53は、電磁弁ユニット51、52の中間チャンバR1、R2と流体接続することができるので、共通タンク53によって第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52に一括して高圧気体を供給することができる。そのため、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52のそれぞれを気体供給装置4に接続する必要がなく、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52と気体供給装置4との接続を簡便化することができる。
【0073】
本実施形態では、共通タンク53は、図6A図6Dに示されるように、高圧気体を収容する第1のタンク内流路534aと、第1のタンク内流路534a内に高圧気体を受容するための受容ポート531と、第1のタンク内流路534aから高圧気体を送出するための第1の送出ポート532aおよび第2の送出ポート532bとを備えている。受容ポート531は、気体供給装置4に接続され、第1の送出ポート532aおよび第2の送出ポート532bはそれぞれ、第1および第2の電磁弁ユニット51、52の給気ポートP10、P20に接続される。共通タンク53では、受容ポート531を介して気体供給装置4から供給された高圧気体が第1のタンク内流路534a内に収容され、第1のタンク内流路534a内に収容された高圧気体が第1の送出ポート532aおよび第2の送出ポート532bを介して第1および第2の電磁弁ユニット51、52の中間チャンバR1、R2に送出される。なお、給気ポートP10、P20は、本実施形態では、嵌合によって第1の送出ポート532aおよび第2の送出ポート532bに直接接続される。それによって、両者の接続を簡便化することができる。しかし、両者は、公知のホースなどを介して間接的に接続されてもよい。
【0074】
共通タンク53はさらに、電磁弁ユニット51、52を構成する電磁弁ブロック500を互いに流体接続させる。本実施形態では、電磁弁ブロック500のそれぞれの開放ポート(中間ポートP100、P190、P200、P290に対応)が、共通タンク53を介して接続されることで、電磁弁ブロック500のそれぞれの中間チャンバRaが互いに流体接続される。
【0075】
本実施形態では、共通タンク53は、図6A図6Dに示されるように、高圧気体の流路を中継する第1の中継ポート533aおよび第2の中継ポート533bと、第1の中継ポート533aと第2の中継ポート533bとを流体接続する第2のタンク内流路534bとを備えている。第1の電磁弁ユニット51を構成する一方の電磁弁ブロック500の開放ポート(中間ポートP100に対応)は、ホースH3を介して第2の中継ポート533bと流体接続され、第1の電磁弁ユニット51を構成する他方の電磁弁ブロック500の開放ポート(中間ポートP190に対応)は、ホースH4を介して第1の中継ポート533aと流体接続される。それによって、2つの電磁弁ブロック500、500が流体接続されて、第1の電磁弁ユニット51が形成される。また、共通タンク53は、高圧気体の流路を中継する第3の中継ポート533cおよび第4の中継ポート533dと、第3の中継ポート533cと第4の中継ポート533dとを流体接続する第3のタンク内流路534cとを備えている。第2の電磁弁ユニット52を構成する一方の電磁弁ブロック500の開放ポート(中間ポートP200に対応)は、ホースH5を介して第4の中継ポート533dと流体接続され、第2の電磁弁ユニット52を構成する他方の電磁弁ブロック500の開放ポート(中間ポートP290に対応)は、ホースH6を介して第3の中継ポート533cと流体接続される。それによって、2つの電磁弁ブロック500、500が流体接続されて、第2の電磁弁ユニット52が形成される。
【0076】
なお、本実施形態では、第1の中継ポート533aと第1の電磁弁ユニット51の中間ポートP190との接続、第2の中継ポート533bと第1の電磁弁ユニット51の中間ポートP100との接続、第3の中継ポート533cと第2の電磁弁ユニット52の中間ポートP290との接続、および第4の中継ポート533dと第2の電磁弁ユニット52の中間ポートP200との接続はそれぞれ、ホースH3~H6を介して間接的に行われる。しかし、これらの接続は、嵌合によって直接的に行われてもよい。
【0077】
共通タンク53は、図6A図6Dに示されるように、内部に第1~第3のタンク内流路534a~534cを有する略直方体形状を有している。共通タンク53の一方側の面は、電磁弁ユニット51、52を取り付けるための設置面としての役割を果たしており、共通タンク53の他方側の面は、気体給排システム3の筐体3a(図3参照)内に共通タンク53を取り付けるための設置面としての役割を果たしている。共通タンク53は、高圧気体の圧力によって変形が抑制され得る剛性を有し、好ましくは電磁弁ユニット51、52の重量によって変形が抑制され得る剛性を有していれば、特に限定されることはなく、樹脂材料、セラミック材料、金属材料などの剛性を有する材料により形成することができる。
【0078】
図7は、本実施形態の気体式マッサージ機1内のマッサージ具2と電磁弁ユニット5との流体接続の一例を示している。マッサージ具2と電磁弁ユニット5との流体接続は、流体接続される気体室の数や身体をマッサージするための制御モードなどに応じて適宜決定することができ、図示された例に限定されることはない。本実施形態では、後述されるように、気体室211~218および気体室221~228の符号は、膨張させる順番を昇順で示している。図示された例では、第1の電磁弁ユニット51の一方の電磁弁ブロック500が備える第1~第4の接続ポートP11~P14、および、第2の電磁弁ユニット52の一方の電磁弁ブロック500が備える第1~第4の接続ポートP21~P24が、第1のマッサージ具21の気体室211~218の膨張させる順番に対して、2つおきに交互に流体接続されている。具体的には、第1の電磁弁ユニット51の第1の接続ポートP11は、第1のマッサージ具21の第1の遠位脚部気体室211に接続され、第1の電磁弁ユニット51の第2の接続ポートP12は、第1のマッサージ具21の第2の遠位脚部気体室212に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第1の接続ポートP21は、第1のマッサージ具21の第3の遠位脚部気体室213に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第2の接続ポートP22は、第1のマッサージ具21の第4の遠位脚部気体室214に接続され、第1の電磁弁ユニット51の第3の接続ポートP13は、第1のマッサージ具21の第5の遠位脚部気体室215に接続され、第1の電磁弁ユニット51の第4の接続ポートP14は、第1のマッサージ具21の第6の遠位脚部気体室216に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第3の接続ポートP23は、第1のマッサージ具21の第7の遠位脚部気体室217に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第4の接続ポートP24は、第1のマッサージ具21の第8の遠位脚部気体室218に接続されている。なお、図7では特に示されていないが、第1の電磁弁ユニット51の第5の接続ポートP15は、第2のマッサージ具22の近位脚部気体室221に接続され、第1の電磁弁ユニット51の第6の接続ポートP16は、第2のマッサージ具22の股間部気体室222に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第5の接続ポートP25は、第2のマッサージ具22の第1の遠位側腹部気体室223に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第6の接続ポートP26は、第2のマッサージ具22の第1の近位側腹部気体室224に接続され、第1の電磁弁ユニット51の第7の接続ポートP17は、第2のマッサージ具22の第2の遠位側腹部気体室225に接続され、第1の電磁弁ユニット51の第8の接続ポートP18は、第2のマッサージ具22の第2の近位側腹部気体室226に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第7の接続ポートP27は、第2のマッサージ具22の第3の遠位側腹部気体室227に接続され、第2の電磁弁ユニット52の第8の接続ポートP28は、第2のマッサージ具22の第3の近位側腹部気体室228に接続されている。
【0079】
図1に戻ると、上述したように、気体給排システム3は、電磁弁ユニット5を制御する制御装置6を備えている。制御装置6は、電磁弁ユニット5の電磁弁V10~V19、V20~V29を駆動させることにより、電磁弁ユニット5の接続ポートP11~P18、P21~P28、給気ポートP10、P20、および排気ポートP19、P29の開閉を制御し、気体式マッサージ機1内の高圧気体の流れを制御する。このように、制御装置6が電磁弁ユニット5を制御することにより、気体室211~218、221~228に対する高圧気体の供給および排出が制御される。制御装置6は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read-Only Memory)とを備えている。制御装置6は、たとえば、ROMに格納されている制御プログラムを実行することができるように構成されている。制御プログラムは、たとえば、気体室211~218、221~228を膨張および収縮させる所望の順番に基づいて、電磁弁ユニット5の電磁弁V10~V19、V20~V29を動作させるように記述されている。図3中では、制御装置6は、気体給排システム3の筐体3a内に設けられているが、気体給排システム3の筐体3aの外部に設けられてもよい。
【0080】
つぎに、本実施形態の気体式マッサージ機1の動作を、図7および図8A図9Bを参照しながら説明する。なお、以下に示す気体式マッサージ機1の動作の実施形態はあくまで一例であり、本発明の気体式マッサージ機1の動作は、以下の実施形態に限定されない。本明細書では、マッサージ具2の気体室211~218、221~228に高圧気体を供給し、または気体室211~218、221~228から高圧気体を排出することにより、気体室211~218、221~228を膨張または収縮させる順序を「揉みパターン」と呼ぶ。
【0081】
図8A図9Bは、図2Aおよび図2Bに示されるマッサージ具2を用いた揉みパターンの例を示している。血液および/またはリンパ液の流れを良くするために身体にマッサージを施す場合、四肢の先端部から胴体に向かう順番で身体を圧迫していくことがある。これに対応するマッサージ具2による揉みパターンとして、図8Aおよび図8B図2Aおよび図2Bも参照)に示されるように、第1の遠位脚部気体室211から第3の近位側腹部気体室228まで順に気体室211~218、221~228を膨張させ、膨張させた気体室211~218、221~228の膨張状態を保持した後に(膨張させた気体室211~218、221~228を一旦保圧した後に)、膨張させた順に収縮させるように、第1の遠位脚部気体室211から第3の近位側腹部気体室228まで順に気体室211~218、221~228を収縮させるような揉みパターンが考えられる。本明細書では、このような揉みパターンのモードおよびこれに類する揉みパターンのモードを「ウェーブモード(wave-mode)」と呼ぶ。また、図9Aおよび図9B図2Aおよび図2Bも参照)に示されるように、第1の遠位脚部気体室211から第3の近位側腹部気体室228まで順に気体室211~218、221~228を膨張させ、第3の近位側腹部気体室228を膨張させ終わるまで、それまでに膨張させた気体室211~218、221~227の膨張を保持するような揉みパターンが考えられる。本明細書では、このような揉みパターンのモードおよびこれに類する揉みパターンのモードを「スクイーズモード(squeeze-mode)」と呼ぶ。
【0082】
気体給排システム3は、図8A図9Bに示されるように、脚部気体室211~218、221、股間部気体室222の順に高圧気体を供給するように構成されている。これにより、脚部気体室211~218、221が膨張した後に、股間部気体室222が膨張して股間部を圧迫するので、一方の脚部から流れてきたリンパ液は、股間部に流れずに身体Bの上方にスムーズに流れる。気体給排システム3はさらに、脚部気体室211~218、221に高圧気体を供給する際に、遠位脚部気体室211~218、近位脚部気体室221の順に高圧気体を供給するように構成することができる。これにより、脚部において、遠位から近位へのリンパ液の流れが促進されるので、脚部におけるリンパ液の上方への流れがスムーズになる。気体給排システム3はさらに、股間部気体室222に高圧気体を供給した後に、遠位側腹部気体室223、225、227、近位側腹部気体室224、226、228の順に高圧気体を供給するように構成することができる。このように、遠位側腹部気体室223、225、227を膨張させた後に、近位側腹部気体室224、226、228を膨張させることで、リンパ液が身体Bの近位側から遠位側への流れることを抑制しつつ、身体Bの近位側において、リンパ液の身体Bの上方への流れが促進される。遠位側腹部気体室223、225、227および近位側腹部気体室224、226、228がそれぞれ複数に分割されている場合には、気体給排システム3は、股間部気体室222に高圧気体を供給した後に、第1の遠位側腹部気体室223、第1の近位側腹部気体室224、第2の遠位側腹部気体室225、第2の近位側腹部気体室226の順に高圧気体を供給するように構成することができる。このように、脚部気体室211~218、221から遠位側の第1の遠位側腹部気体室223および第2の遠位側腹部気体室225がそれぞれ、近位側の第1の近位側腹部気体室224および第2の近位側腹部気体室226より先に膨張することで、身体Bの遠位側が近位側より先に圧迫されるので、一方の脚部から流れてきたリンパ液は、身体Bの内側(股間部側、下腹部側、または臍側)に流れずに身体Bの上方にスムーズに流れる。なお、本実施形態のように、遠位側腹部気体室223、225、227および近位側腹部気体室224、226、228のそれぞれの分割数が3以上の場合には、上述された順序に応じて、第3の遠位側腹部気体室227、第3の近位側腹部気体室228、・・・の順に高圧気体を供給する。
【0083】
制御装置6は、上述したウェーブモードやスクイーズモードに限らず、さまざまな揉みパターンのモードを実現するために、電磁弁ユニット5を制御して、複数の気体室211~218、221~228の膨張および収縮をそれぞれ制御することができる。制御装置6は、第1の電磁弁ユニット51の中間チャンバR1に高圧気体を供給する給気状態と、第1の電磁弁ユニット51の中間チャンバR1から高圧気体を排出する排気状態とのいずれかになるように第1の電磁弁ユニット51を制御可能に構成されている。具体的には、給気状態は、第1の電磁弁ユニット51の給気ポートP10を開放し、第1の電磁弁ユニット51の排気ポートP19を閉鎖することで形成され、排気状態は、第1の電磁弁ユニット51の給気ポートP10を閉鎖し、第1の電磁弁ユニット51の排気ポートP19を開放することで形成される。ただし、上述されるように、給気状態および排気状態は、給気ポートP10を開放したままの状態で、排気ポートP19の開閉を制御することで、形成することもできる。この場合、給気ポートP10の給気用電磁弁V10は設けられても、設けられなくてもよく、給気状態は、排気ポートP19を閉鎖することで形成され、排気状態は、排気ポートP19を開放することで形成される。このように、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18に流体接続された第1のマッサージ具21の気体室211、212、215、216および第2のマッサージ具22の気体室221、222、225、226は、接続用電磁弁V11~V18による接続ポートP11~P18の開閉により、高圧気体を受容および排出することができる。また、本実施形態では、制御装置6は、第2の電磁弁ユニット52の中間チャンバR2に高圧気体を供給する給気状態と、第2の電磁弁ユニット52の中間チャンバR2から高圧気体を排出する排気状態とのいずれかになるように第2の電磁弁ユニット52を制御可能に構成されている。具体的には、給気状態は、第2の電磁弁ユニット52の給気ポートP20を開放し、第2の電磁弁ユニット52の排気ポートP29を閉鎖することで形成され、排気状態は、第2の電磁弁ユニット52の給気ポートP20を閉鎖し、第2の電磁弁ユニット52の排気ポートP29を開放することで形成される。ただし、上述されるように、給気状態および排気状態は、給気ポートP20を開放したままの状態で、排気ポートP29の開閉を制御することで、形成することもできる。この場合、給気ポートP20の給気用電磁弁V20は設けられても、設けられなくてもよく、給気状態は、排気ポートP29を閉鎖することで形成され、排気状態は、排気ポートP29を開放することで形成される。このように、第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P28に流体接続された第1のマッサージ具21の気体室213、214、217、218および第2のマッサージ具22の気体室223、224、227、228は、接続用電磁弁V21~V28による接続ポートP21~P28の開閉により、高圧気体を受容および排出することができる。このように制御装置6が第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52の給気状態および排気状態を独立して制御することで、以下でさらに詳しく述べるように、第1のマッサージ具21の気体室211~218および第2のマッサージ具22の気体室221~228の膨張および収縮を制御することができる。
【0084】
本実施形態では、制御装置6は、電磁弁ユニット5を制御して、複数の気体室211~218、221~228の膨張状態または収縮状態をそれぞれ保持するように制御する。制御装置6は、高圧気体が供給された高圧状態、高圧気体が排出された低圧状態、および高圧状態と低圧状態との間の中間圧状態に、複数の気体室211~218、221~228の気圧をそれぞれ保持するように制御することも可能である。ここで、本明細書において、「高圧状態」は、ある気体室211~218、221~228に高圧気体を受容し終えた状態を指し、「低圧状態」は、ある気体室211~218、221~228から高圧気体を排出し終えた状態を指し、「中間圧状態」は、高圧状態より少なく、かつ、低圧状態より多い量で、ある気体室211~218、221~228に高圧気体が存在する状態を指す。具体的には、制御装置6は、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18をそれぞれ閉鎖することで、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18にそれぞれ流体接続された第1のマッサージ具21の気体室211、212、215、216および第2のマッサージ具22の気体室221、222、225、226に対する高圧気体の出入を遮断するように第1の電磁弁ユニット51を制御可能に構成されている。そのため、第1のマッサージ具21の気体室211、212、215、216および第2のマッサージ具22の気体室221、222、225、226は、第1の電磁弁ユニット51の接続用電磁弁V11~V18によって第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18を閉鎖とすることで、膨張状態または収縮状態を保持するだけでなく、上述されるように、供給される高圧気体の気圧よりは低い、中レベルの気圧を保持することもできる。また、制御装置6は、第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P28をそれぞれ閉鎖することで、第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P28にそれぞれ流体接続された第1のマッサージ具21の気体室213、214、217、218および第2のマッサージ具22の気体室223、224、227、228に対する高圧気体の出入を遮断するように第2の電磁弁ユニット52を制御可能に構成されている。そのため、第1のマッサージ具21の気体室213、214、217、218および第2のマッサージ具22の気体室223、224、227、228は、第2の電磁弁ユニット52の接続用電磁弁V21~V28によって第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P28を閉鎖とすることで、膨張状態または収縮状態を保持するだけでなく、上述されるように、供給される高圧気体の気圧よりは低い、中レベルの気圧を保持することもできる。
【0085】
表1は、本実施形態の気体式マッサージ機1により、図8Aおよび図8Bに示されるようなウェーブモードを実施するための、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52の動作の一例を示している。ウェーブモードを実行する場合、制御装置6は、以下のように、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52を制御することができる。ここでは、複数の気体室211~218、221~228のうち、連続して膨張させる第1~第4の気体室について説明する。なお、以下の説明では、第1のマッサージ具21の第1の遠位脚部気体室211~第4の遠位脚部気体室214に着目し、説明の便宜上、第1の遠位脚部気体室211~第4遠位脚部気体室214を単に「第1~第4の気体室211~214」と呼ぶ。
【0086】
まず、連続する第1期間および第2期間において、第1の電磁弁ユニット51を給気状態とし、第2の電磁弁ユニット52を排気状態とする。その上で、第1期間において、第1の気体室211と流体接続された第1の電磁弁ユニット51の第1の接続ポートP11を開放し(開放している場合、開放したままにする)、第2の気体室212と流体接続された第1の電磁弁ユニット51の第2の接続ポートP12を閉鎖したままにする(閉鎖していない場合には、閉鎖する)。この期間において、第1の気体室211は、高圧気体を徐々に受容し、第1の気体室211の気圧が増加する(図8A中、左側の上から1番目の図参照)。以後、この状態を「増圧状態」と呼ぶ。第1期間に続く第2期間において、第1の電磁弁ユニット51の第1の接続ポートP11を閉鎖し、第1の電磁弁ユニット51の第2の接続ポートP12を開放する。この期間において、第1の気体室211は、高圧気体を保持し、第1の気体室211の気圧が所定の範囲内で維持される。以後、この状態を「高圧保持状態」と呼ぶ。また、第2の気体室212は、増圧状態となる(図8A中、左側の上から2番目の図参照)。つぎに、第1期間および第2期間に続いて連続する第3期間および第4期間において、第1の電磁弁ユニット51を排気状態とし、第2の電磁弁ユニット52を給気状態とする。その上で、第3期間において、第1の電磁弁ユニット51の第1の接続ポートP11を開放し、第1の電磁弁ユニット51の第2の接続ポートP12を閉鎖し、第3の気体室213と流体接続された第2の電磁弁ユニット52の第1の接続ポートP21を開放し(開放している場合、開放したままにする)、第4の気体室214と流体接続された第2の電磁弁ユニット52の第2の接続ポートP22を閉鎖したままにする(閉鎖していない場合には、閉鎖する)。この期間において、第1の気体室211は、高圧気体を徐々に排出し、第1の気体室211の気圧が減少する。以後、この状態を「減圧状態」と呼ぶ。また、第2の気体室212は、高圧保持状態となり、第3の気体室213は、増圧状態となる(図8A中、左側の上から3番目の図参照、第1の気体室211は高圧気体が完全に排出しきらずに残った状態を示している)。第3期間に続く第4期間において、第1の電磁弁ユニット51の第1の接続ポートP11を閉鎖し、第1の電磁弁ユニット51の第2の接続ポートP12を開放し、第2の電磁弁ユニット52の第1の接続ポートP21を閉鎖し、第2の電磁弁ユニット52の第2の接続ポートP22を開放する。この期間において、第1の気体室211は、高圧気体を受容する前と同様に、高圧気体をほぼ排出し終えた状態を維持する。以後、この状態を「低圧保持状態」と呼ぶ。第2の気体室212は、減圧状態となり、第3の気体室213は、高圧保持状態となり、第4の気体室214は、増圧状態となる(図8A中、左側の上から4番目の図参照、第2の気体室212は高圧気体が完全に排出しきらずに残った状態を示している)。つぎに、第3期間および第4期間に続いて連続する第5期間および第6期間において、第2の電磁弁ユニット52を排気状態とする。その上で、第5期間において、第1の電磁弁ユニット51の第2の接続ポートP12を閉鎖し、第2の電磁弁ユニット52の第1の接続ポートP21を開放し、第2の電磁弁ユニット52の第2の接続ポートP22を閉鎖する。この期間において、第2の気体室212は、低圧保持状態となり、第3の気体室213は、減圧状態となり、第4の気体室214は、高圧保持状態となる(図8A中、右側の上から1番目の図参照、第3の気体室213は高圧気体が完全に排出しきらずに残った状態を示している)。第5期間に続く第6期間において、第2の電磁弁ユニット52の第1の接続ポートP21を閉鎖し、第2の電磁弁ユニット52の第2の接続ポートP22を開放する。この期間において、第3の気体室213は、低圧保持状態となり、第4の気体室214は、減圧状態となる(図8A中、右側の上から2番目の図参照、第4の気体室214は高圧気体が完全に排出しきらずに残った状態を示している)。
【0087】
【表1】
【0088】
このような一連の動作を、第1のマッサージ具21の他の気体室215~218と流体接続された第1の電磁弁ユニット51の第3の接続ポートP13および第4の接続ポートP14、ならびに第2の電磁弁ユニット52の第3の接続ポートP23および第4の接続ポートP24についても第5期間~第10期間において同様に行う。また、第2のマッサージ具22の気体室221~228と流体接続された第1の電磁弁ユニット51の第5~第8の接続ポートP15~P18および第2の電磁弁ユニット52の第5~第8の接続ポートP25~P28についても、第9期間~第18期間において、このような一連の動作を同様に行う。これにより、第1のマッサージ具21および第2のマッサージ具22において、ウェーブモードを実施することができる。
【0089】
図8Aおよび図8Bに示されるウェーブモードでは、第1期間~第18期間において、脚部から流れてきたリンパ液は、身体Bの股間部に滞留せず、身体Bの上方に流れることで、第3の遠位側腹部気体室227および第3の近位側腹部気体室228の位置に対応するか、または第3の遠位側腹部気体室227および第3の近位側腹部気体室228よりさらに上方の位置に対応し、リンパ管が合流する近位側の腋窩リンパ節に到達する。その際、第1の遠位側腹部気体室223、第1の近位側腹部気体室224、第2の遠位側腹部気体室225、第2の近位側腹部気体室226、第3の遠位側腹部気体室227、第3の近位側腹部気体室228の順に気体室が膨張することで、第2のマッサージ具22の遠位側の身体Bおよび近位側の身体Bの両方から同じタイミングではなく異なるタイミングで、近位側の腋窩リンパ節にリンパ液が流れ込む。そのため、身体Bの股上の左右から上方に流れてきたリンパ液は、近位側の腋窩リンパ節において衝突することなくスムーズに流れることが期待される。
【0090】
なお、制御装置6は、表1に示されるように、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18のいずれもが閉状態となる期間において、第1の電磁弁ユニット51の給気ポートP10および排気ポートP19の両方を閉鎖するように、第1の電磁弁ユニット51を制御してもよい(第1の電磁弁ユニット51における第17期間および第18期間参照)。このようにすれば、給気用電磁弁V10および排気用電磁弁V19を無駄に動作させることなく、第1の電磁弁ユニット51に流体接続される気体室211、212、215、216、221、222、225、226の気圧を保持することができる。また、給気用電磁弁V10および排気用電磁弁V19が常時閉弁である場合には、気体式マッサージ機1の電力消費が抑制される。これとは逆に、給気用電磁弁V10および排気用電磁弁V19が常時開弁である場合には、制御装置6は、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18のいずれもが閉状態となる期間において、第1の電磁弁ユニット51の給気ポートP10および排気ポートP19の両方を開放するように、第1の電磁弁ユニット51を制御してもよい。同様の理由から、制御装置6は、第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P28のいずれもが閉状態となる期間において、第2の電磁弁ユニット52の給気ポートP20および排気ポートP29の両方を閉鎖するか、または開放するように、第2の電磁弁ユニット52を制御してもよい。さらに、制御装置6は、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18および第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P28のいずれもが閉状態となる期間において、気体供給装置4から電磁弁ユニット5への高圧気体の供給を停止させてもよい。
【0091】
表2は、本実施形態の気体式マッサージ機1により、図9Aおよび図9Bに示されるようなスクイーズモードを実施するための、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52の動作の一例を示している。スクイーズモードを実行する場合、制御装置6は、以下のように、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52を制御することができる。ここでは、表1の説明と同様に、複数の気体室211~218、221~228のうち、連続して膨張させる第1~第4の気体室211~214について説明する。第1期間および第2期間において、第1の電磁弁ユニット51を給気状態とし、第3期間および第4期間において、第2の電磁弁ユニット52を給気状態とする。その上で、第1期間および第2期間において、第1の気体室211および第2の気体室212に接続された第1の電磁弁ユニット51の第1の接続ポートP11および第2の接続ポートP12の順に接続ポートを開放し、第3期間および第4期間において、第3の気体室213および第4の気体室214に接続された第2の電磁弁ユニット52の第1の接続ポートP21および第2の接続ポートP22の順に接続ポートを開放した後、接続ポートを順に閉鎖する。これにより、第1~第4の気体室211~214が順に、増圧状態、その後に高圧保持状態となる(図9A中、左側の上から1番目の図~4番目の図を参照)。
【0092】
第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52を排気状態にする前に、第1のマッサージ具21の他の気体室215~218と流体接続された第1の電磁弁ユニット51の第3の接続ポートP13および第4の接続ポートP14、ならびに第2の電磁弁ユニット52の第3の接続ポートP23および第4の接続ポートP24についても、第5期間~第8期間において、このような一連の動作を同様に行う。また、第2のマッサージ具22の気体室221~228と流体接続された第1の電磁弁ユニット51の第5~第8の接続ポートP15~P18および第2の電磁弁ユニット52の第5~第8の接続ポートP25~P28についても、第9期間~第16期間において、このような一連の動作を同様に行う。最後(第17期間)に、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52を排気状態とした上で、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52のすべての接続ポートP11~P18、P21~P28を同時に開放する。これにより、すべての気体室211~218、221~228は、同時に減圧状態となり、その後に低圧保持状態となる(図9B中、右側の最下図を参照)。これにより、第1のマッサージ具21および第2のマッサージ具22において、スクイーズモードを実施することできる。
【0093】
【表2】
【0094】
図9Aおよび図9Bに示されるスクイーズモードでは、第1期間~第16期間において、脚部から流れてきたリンパ液が、身体Bの内側(股間部、下腹部側、および臍側)に流れずに身体Bの上方に流れることで、リンパ液の正常な流れが促進される。
【0095】
このように、本実施形態の気体式マッサージ機1では、制御装置6は、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52の給気状態および排気状態をそれぞれ独立して制御可能に構成されている。また、制御装置6は、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P18および第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P28に対して、高圧気体の供給および排出をそれぞれ独立して制御し、高圧気体の出入をそれぞれ独立して遮断できるように構成されている。そのため、本実施形態の気体式マッサージ機1では、気体室211~218、221~228をそれぞれ、増圧状態、高圧保持状態、減圧状態、低圧保持状態のいずれかに設定することができる。これにより、本実施形態の気体式マッサージ機1は、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28として2方弁を採用しているにもかかわらず、たとえばウェーブモードおよびスクイーズモードなど、多様な揉みパターンのモードを実施することができる。
【0096】
表1および表2の揉みパターンの例において、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28の多数は、閉状態にある。そのため、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28が常時閉弁である場合には、第1の電磁弁ユニット51および第2の電磁弁ユニット52にあまり電力を供給しなくてもよいので、気体式マッサージ機1を省電力で動作させることができる。なお、図8A図9Bに示されるように、第1のマッサージ具21を右脚に装着するのではなく、左脚に装着する場合には、表1および表2の揉みパターンの例において、第2の電磁弁ユニット52の第5の接続ポートP25と第6の接続ポートP26との開閉の順番を入れ替え、第1の電磁弁ユニット51の第7の接続ポートP17と第8の接続ポートP18との開閉の順番を入れ替え、第2の電磁弁ユニット52の第7の接続ポートP27と第8の接続ポートP28との開閉の順番を入れ替えればよい。このようにすれば、第1のマッサージ具21を左脚に装着した場合も、右脚に装着した場合と同様に、ウェーブモードおよびスクイーズモードを実現することができる。
【0097】
本実施形態の気体式マッサージ機1は、図3図10A図11Bに示されるように、マッサージ具2の複数の気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)のそれぞれから高圧気体を強制的に排出するための緊急停止構造7をさらに備えていてもよい。本実施形態の気体式マッサージ機1において、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28として、常時閉状態の2方弁を使用する場合、停電などの非常時に電磁弁ユニット51、52に電源から電力が供給されなくなると、接続ポートP11~P18、P21~P28が閉鎖されたままとなり、マッサージ具2内の気体室211~218、221~228に高圧気体が蓄えられたままの状態となる可能性がある。そのため、マッサージを施されている被施術者は、気体室211~218、221~228から身体Bを圧迫されたままの状態となる。このとき、被施術者は、不快さを感じることがあり、身体Bを圧迫状態から迅速に解放することが求められることがある。本実施形態の気体式マッサージ機1は、このような場合でも、緊急停止構造7によって身体Bを圧迫された状態から解放することができる。
【0098】
緊急停止構造7は、図3図10A図11Bに示されるように、マッサージ具2の気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)と気体給排システム3とを接続するコネクタCと、コネクタCの結合を解除するための結合解除装置70とを備えている。緊急停止構造7は、結合解除装置70によりコネクタCの結合を解除し、マッサージ具2の気体室211~218、221~228から高圧気体を強制的に排出する。なお、図10Aおよび図10Bは、コネクタCが結合状態にある通常時を示し、図11Aおよび図11B、緊急停止構造7を動作させ、コネクタCが非結合状態となった非常時を示している。また、図10Aおよび図11Aは、図3中の方向X1から見た図であり、図10Bおよび図11Bはそれぞれ、図10A中のXB-XB線および図11A中のXIB-XIB線における断面図である。方向X1は、後に詳しく述べるように、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22とが結合する結合方向であり、方向X2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合が解除される結合解除方向である。
【0099】
コネクタCは、マッサージ具2の気体室211~218、221~228と、気体給排システム3の電磁弁ユニット5とを互いに対して流体接続させるためのコネクタである。本実施形態では、コネクタCは、図1に示されるように、2つの第1のマッサージ具21および第2のマッサージ具22を気体給排システム3とそれぞれ流体接続させるために、2つの第1のコネクタC1および第2のコネクタC2を備えている。しかし、コネクタの数は、流体接続されるべきマッサージ具2の気体室211~218、221~228の数や電磁弁ユニット5の数などに応じて適宜決定することができ、2つに限定されることはなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。なお、本実施形態では、第1のコネクタC1および第2のコネクタC2は、同じ構造を有している。そのため、以下では、第1のコネクタC1および第2のコネクタC2をまとめて説明する場合がある。
【0100】
第1および第2のコネクタC1、C2は、図3図10A図11Bに示されるように、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と、気体室側コネクタC12、C22とを有している。電磁弁ユニット側コネクタC11、C21および気体室側コネクタC12、C22は、互いに結合することで、マッサージ具2の気体室211~218、221~228と、気体給排システム3の電磁弁ユニット51、52とを互いに流体接続させるように構成される。本実施形態では、図示されるように、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21が、いわゆる雌型コネクタであり、気体室側コネクタC12、C22が、いわゆる雄型コネクタであるが、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21および気体室側コネクタC12、C22は、互いに結合して気体室211~218、221~228と電磁弁ユニット51、52とを互いに流体接続させることができればよく、その種類は特に限定されることはない。
【0101】
電磁弁ユニット側コネクタC11、C21は、電磁弁ユニット51、52に流体接続され、気体室側コネクタC12、C22と結合することで電磁弁ユニット51、52と気体室211~218、221~228とを流体接続させる。本実施形態では、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21は、図10Bおよび図11Bに示されるように、電磁弁ユニット51、52の接続ポートP11~P18、P21~P28(図6Aおよび図6B参照)のそれぞれと接続される接続ポートM11~M18、M21~M28(一部は図示を省略)を有している。本実施形態では、第1のコネクタC1の第1の電磁弁ユニット側コネクタC11の接続ポートM11~M18が、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP11~P14および第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP21~P24(図6Aおよび図6B参照)と流体接続され、第2のコネクタC2の第2の電磁弁ユニット側コネクタC21の接続ポートM21~M28が、第1の電磁弁ユニット51の接続ポートP15~P18および第2の電磁弁ユニット52の接続ポートP25~P28(図6Aおよび図6B参照)と流体接続されている。
【0102】
本実施形態では、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21は、図3に示されるように、気体給排システム3の筐体3aの一側面にそれぞれ固定して設けられている。また、本実施形態では、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21は、図10Bおよび図11Bに示されるように、気体室側コネクタC12、C22と結合した際に気体室側コネクタC12、C22を収容する収容部C110、C210を備えている。収容部C110、C210は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22とが結合する方向X1(電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22とが互いに近づく方向)に沿って延び、結合方向X1における気体室側コネクタC12、C22側で開口する有底筒状に形成されている。収容部C110、C210は、結合方向X1に延在する周壁C111、C211と、結合方向X1において気体室側コネクタC12、C22と対向する底壁C112、C212とを有している。周壁C111、C211および底壁C112、C212によって画定される空間は、気体室側コネクタC12、C22を収容する収容空間を構成している。底壁C112、C212には、接続ポートM11~M18、M21~M28(一部は図示を省略)が設けられている。
【0103】
本実施形態では、第1および第2の電磁弁ユニット側コネクタC11、C21は、図10Bおよび図11Bに示されるように、第1および第2の気体室側コネクタC12、C22と係合する第1および第2の係合部E1、E2を備えている。係合部E1、E2は、本実施形態では、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の周壁C111、C211に設けられた貫通孔T2、T3を囲む周壁によって構成されている。貫通孔T2、T3は、後述する被係合部G1、G2の係合位置と係合解除位置との間の移動方向Y1、Y2で被係合部G1、G2を挿入可能に構成されている。係合部E1、E2は、被係合部G1、G2が貫通孔T2、T3に挿入された状態で、被係合部G1、G2と係合する。ただし、係合部E1、E2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合状態が維持されるように気体室側コネクタC12、C22と係合可能であれば、図示された例に限定されることはない。
【0104】
気体室側コネクタC12、C22は、複数の気体室211~218、221~228のそれぞれに流体接続され、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と結合することで電磁弁ユニット51、52と複数の気体室211~218、221~228のそれぞれとを流体接続させる。本実施形態では、気体室側コネクタC12、C22は、図10Bおよび図11Bに示されるように、複数の気体室211~218、221~228のそれぞれと接続される接続ポートN11~N18、N21~N28(一部は図示を省略)を有している。本実施形態では、第1の気体室側コネクタC12の接続ポートN11~N18が、第1のホースH1を介して第1のマッサージ具21の気体室211~218(図2A参照)とそれぞれ流体接続され、第2の気体室側コネクタC22の接続ポートN21~N28が、第2のホースH2を介して第2のマッサージ具22の気体室221~228(図2A参照)とそれぞれ流体接続されている。
【0105】
本実施形態において、気体室側コネクタC12、C22は、図10Bおよび図11Bに示されるように、ホースH1、H2を収容する収容部C123、C223を備えている。収容部C123、C223は、結合方向X1に沿って延び、結合方向X1における電磁弁ユニット側コネクタC11、C21とは反対側で開口する有底筒状に形成されている。収容部C123、C223は、結合方向X1に延在する周壁C121、C221と、結合方向X1において電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と対向する底壁C122、C222とを有している。周壁C121、C221および底壁C122、C222によって画定される空間は、接続ポートN11~N18、N21~N28(一部は図示を省略)に接続されるホースH1、H2を収容する収容空間を構成している。底壁C122、C222には、接続ポートN11~N18、N21~N28が設けられている。
【0106】
本実施形態では、第1および第2の気体室側コネクタC12、C22は、図10Bおよび図11Bに示されるように、第1および第2の電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の第1および第2の係合部E1、E2と係合する第1および第2の被係合部G1、G2を備えている。気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の係合部E1、E2と係合可能な係合位置(図10Bおよび図11B中の実線位置)と、係合部E1、E2との係合が解除される係合解除位置(図11B中の二点鎖線位置)との間で移動可能なように気体室側コネクタC12、C22に接続されている。被係合部G1、G2は、係合位置と係合解除位置との間で移動可能であればよく、特に限定されることはないが、本実施形態では、弾性部材RS1、RS2を介して気体室側コネクタC12、C22に接続されている。弾性部材RS1、RS2は、気体室側コネクタC12、C22の周壁C121、C221に弾性変形可能に設けられ、係合解除位置から係合位置に被係合部G1、G2を付勢している。弾性部材RS1、RS2は、結合方向X1に延在する板ばね状の弾性片として形成されている(図13も参照)。被係合部G1、G2は、弾性部材RS1、RS2の自由端側に、弾性部材RS1、RS2から電磁弁ユニット側コネクタC11、C21に向かって結合方向X1に対して交差する方向に突出する突出部として設けられている。これにより、被係合部G1、G2の係合位置と係合解除位置との間で移動方向Y1、Y2は、結合方向X1に対して交差する方向(図示された例では略垂直方向)となっている。
【0107】
結合解除装置70は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する装置である。結合解除装置70は、図10A図11Bに示されるように、押圧方向Prに押圧可能な押圧部材71と、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する方向X2(電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22とが互いに離間する方向)に、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21および気体室側コネクタC12、C22を互いに対して付勢する付勢部材U1、U2とを備えている。結合解除装置70は、以下で詳しく述べるように、押圧部材71が押圧方向Prに押圧されるときの押圧力によって、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除するように構成されている。本実施形態では、図3に示されるように、気体式マッサージ機1が第1のコネクタC1および第2のコネクタC2を備えているため、結合解除装置70は、緊急停止構造7のコンパクト化のため、第1の電磁弁ユニット側コネクタC11と、第2の電磁弁ユニット側コネクタC21との間に設けられ、第1のコネクタC1および第2のコネクタC2の両方の結合を同時に解除するように構成されている。しかし、結合解除装置70は、1つのコネクタの結合を解除するように構成されていてもよいし、異なるタイミングで2つ以上のコネクタの結合を解除するように構成されていてもよい。
【0108】
本実施形態では、結合解除装置70は、図10A図11Bに示されるように、押圧部材71および付勢部材U1、U2に加えて、移動部材72、73と、方向転換機構74、75とを備えている。
【0109】
押圧部材71は、緊急停止構造7を外部から押圧操作するための部材であり、押圧方向Pr(図10Aおよび図11A参照)に押圧されて、押圧方向Prに沿って移動可能に構成されている。押圧部材71の一部は、図3に示されるように、気体給排システム3の筐体3aの一面(鉛直上方を向く面)から露出しており、露出した部分から押圧操作を行うことができる。押圧部材71の露出部分は、停電などの非常時でも押圧操作しやすい大きさを有する緊急停止ボタンとすることができる。
【0110】
移動部材72、73は、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2を係合位置から係合解除位置に移動させる部材である。移動部材72、73は、図10Bおよび図11Aに示されるように、押圧部材71に連結され、押圧部材71が押圧方向Prに押圧されたときの押圧力によって移動して、被係合部G1、G2を係合位置から係合解除位置に移動させる。より具体的には、移動部材72、73は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の貫通孔T2、T3に挿入可能な大きさに形成され、押圧部材71が押圧方向Prに押圧されることで、被係合部G1、G2の係合位置と係合解除位置との間の移動方向Y1、Y2に沿って、貫通孔T2、T3内に移動して、被係合部G1、G2を係合位置から係合解除位置へと移動させる。本実施形態では、上述したように、被係合部G1、G2が係合解除位置から係合位置に向かって弾性部材RS1、RS2によって付勢されているが、移動部材72、73が、弾性部材RS1、RS2の付勢力に抗して、被係合部G1、G2を押圧することで、被係合部G1、G2を貫通孔T2、T3から抜け出させ、係合部E1、E2と被係合部G1、G2との係合を解除する。
【0111】
方向転換機構74、75は、押圧部材71が押圧方向Prに沿って押圧されるときの押圧力を、被係合部G1、G2の係合位置から係合解除位置への移動方向Y1、Y2の成分を含む押圧力に転換して、移動部材72、73を被係合部G1、G2の移動方向Y1、Y2に移動させるための機構である。方向転換機構74、75は、本実施形態では、図10A図11Bに示されるように、第1のコネクタC1用の第1の方向転換機構74と、第2のコネクタC2用の第2の方向転換機構75とを含んでいる。第1の方向転換機構74は、押圧部材71に設けられた第1の案内部741と、第1のコネクタC1用の第1の移動部材72に設けられた第1の被案内部742と、第1の移動部材72を第1の被係合部G1の係合位置から係合解除位置への移動方向Y1に沿って案内する第1の移動部材案内部(図示せず)とを備えている。また、第2の方向転換機構75は、押圧部材71に設けられた第2の案内部751と、第2のコネクタC2用の第2の移動部材73に設けられた第2の被案内部752と、第2の移動部材73を被係合部G2の係合位置から係合解除位置への移動方向Y2に沿って案内する第2の移動部材案内部(図示せず)とを備えている。方向転換機構74、75は、被案内部742、752が案内部741、751により案内されることで、押圧部材71を押圧する押圧力が、被係合部G1、G2の移動方向Y1、Y2の成分を含む押圧力に変換され、移動部材案内部(図示せず)の案内によって、移動部材72、73を被係合部G1、G2の移動方向に移動させる。
【0112】
本実施形態では、案内部741、751は、押圧方向Prに進むにつれて被係合部G1、G2の移動方向で被係合部G1、G2から離間するように、押圧方向Prに対して傾斜して延び、被案内部742、752が挿入可能に凹んだ凹部として構成されている。また、被案内部742、752は、移動部材72、73から案内部741、751に向かって突出する突出部として構成されている。しかし、案内部741、751および被案内部742、752は、被案内部742、752が案内部741、751に案内されることで、押圧部材71が押圧されるときの押圧力の方向を転換することができればよく、その構成は、図示された例に限定されることはなく、クランクとシャフトとの組合せなど、他の構成を採用することができる。また、本実施形態では、案内部741、751が押圧部材71に設けられ、被案内部742、752が移動部材72、73に設けられているが、案内部741、751が移動部材72、73に設けられ、被案内部742、752が押圧部材71に設けられてもよい。
【0113】
付勢部材U1、U2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する方向に、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22とを互いに対して付勢する部材である。本実施形態では、付勢部材U1、U2は、第1のコネクタC1および第2のコネクタC2用に、第1の付勢部材U1および第2の付勢部材U2を含んでいる。ここで、「互いに対して付勢する」とは、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の位置が固定されて、気体室側コネクタC12、C22を電磁弁ユニット側コネクタC11、C21から離れる方向に付勢することを意味してもよく、気体室側コネクタC12、C22の位置が固定されて、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21を気体室側コネクタC12、C22から離れる方向に付勢することを意味してもよく、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21および気体室側コネクタC12、C22の双方を、互いに離れる方向に付勢することを意味してもよい。付勢部材U1、U2は、本実施形態では、図10A図11Bに示されるように、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との間に設けられている。より具体的には、付勢部材U1、U2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の底壁C112、C212に凹設されている。このように、付勢部材U1、U2が電磁弁ユニット側コネクタC11、C21内に設けられることによって、緊急停止構造7を小型化することができる。しかしながら、付勢部材U1、U2は、気体室側コネクタC12、C22側に設けられてもよいし、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21および気体室側コネクタC12、C22の外側に設けられてもよい。
【0114】
付勢部材U1、U2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する方向への付勢力を発生させる付勢力発生部U11、U21と、付勢力発生部U11、U21の付勢力により気体室側コネクタC12、C22を結合解除方向X2に付勢する付圧部U12、U22とを備えている。付勢力発生部U11、U21は、特に限定されないが、本実施形態では、弾性体であり、より具体的には、ばねである。付勢力発生部U11、U21は、ゴムなどの他の弾性体または同じ極性の一対の磁石であってもよい。付圧部U12、U22は、特に限定されないが、本実施形態では、剛性体、具体的には、金属材料によって構成されるピン状部材である。付圧部U12、U22は、付勢力発生部U11、U21と一体的に形成されてもよく、付勢力発生部U11、U21が、付圧部U12、U22を兼ねていてもよい。
【0115】
次に、図10A図11Bを参照し、本実施形態の気体式マッサージ機1の緊急停止構造7の一例の動作を説明する。なお、以下の例はあくまで一例であり、本発明の気体式マッサージ機における緊急停止構造の動作は、以下の一例に限定されるものではない。
【0116】
図10Aおよび図10Bに示される通常時において(コネクタCが結合状態にあるとき)、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の係合部E1、E2は、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2と係合している。このとき、付勢部材U1、U2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する方向へ付勢しているが、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の係合部E1、E2が、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2と係合しているので、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合が保持されている。
【0117】
停電などの非常時において、押圧部材71が押圧方向Prに押圧されると、結合解除装置70は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する。図10A図11Bの例では、結合解除装置70は、押圧部材71が押圧方向Prに押圧されることで、移動部材72、73が移動方向Y1、Y2に沿って貫通孔T2、T3内に移動し、被係合部G1、G2を係合位置から係合解除位置へと移動させる。このとき、まず、押圧部材71は、押圧されることで、押圧方向Prに移動する。これに伴い、移動部材72、73の被案内部742、752が押圧部材71の案内部741、751に沿って摺動し、移動部材72、73は、押圧方向Prと異なる移動方向Y1、Y2に移動する。移動部材72、73は、移動方向Y1、Y2に移動すると、被係合部G1、G2を押圧しながら貫通孔T2、T3に挿入される。その際、弾性部材RS1、RS2が弾性変形することにより、被係合部G1、G2が係合部E1、E2から離間して、係合部E1、E2と被係合部G1、G2との係合が解除される。
【0118】
係合部E1、E2と被係合部G1、G2との係合が解除されると、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する方向への付勢力が解放され、図11Aおよび図11Bに示されるように、気体室側コネクタC12、C22が電磁弁ユニット側コネクタC11、C21に対して相対的に結合解除方向X2へと離脱する。これにより、マッサージ具2の気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)と気体給排システム3の電磁弁ユニット5との流体接続が解除されて、気体室211~218、221~228に蓄えられた高圧気体が排出される。
【0119】
上述したように、気体式マッサージ機1において、接続用電磁弁V11~V18、V21~V28として常時閉状態の2方弁を使用する場合、停電時などに気体式マッサージ機1に電力が供給されなくなると、気体室211~218、221~228により身体Bが圧迫されたままの状態となってしまう可能性がある。これにより、被施術者は、不快さを感じることがある。本実施形態では、押圧部材71を押圧方向Prに押圧する1つの動作によって、高圧気体を気体室211~218、221~228から簡単に排出することができる。また、気体式マッサージ機1がコネクタを2つ以上有する場合であっても、同様に、押圧部材71を押圧方向Prに押圧する1つの動作によって、高圧気体を気体室211~218、221~228から簡単に排出することができる。これにより、被施術者は、身体Bを圧迫される不快さから迅速に解放される。
【0120】
図10A図11Bに示された例では、結合解除装置70は、押圧部材71が押圧方向Prに押圧されることで、移動部材72、73が移動方向Y1、Y2に沿って貫通孔T2、T3内に移動して、被係合部G1、G2を係合位置から係合解除位置へと移動させて、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除するように構成されている。しかしながら、気体式マッサージ機1の緊急停止構造7は、押圧部材71を押圧する押圧力によって電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除するように構成されていれば、上述した構成に限定されることはなく、以下で説明する図12図15に示された気体式マッサージ機1の緊急停止構造7の変形例など、他の構成を有するものであってもよい。以下では、図10A図11Bに示された例と異なる点を中心に、緊急停止構造7の変形例を説明し、図10A図11Bに示された例と同じ構成の説明は適宜省略する。
【0121】
本変形例では、図12および図13に示されるように、結合解除装置70が、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2と係合する係合部Z1、Z2を備えている。係合部Z1、Z2は、第1の気体室側コネクタC12の被係合部G1と係合する第1の係合部Z1および第2の気体室側コネクタC22の被係合部G2と係合する第2の係合部Z2を含んでいる。結合解除装置70は、本変形例では、以下で詳しく述べるように、係合部Z1、Z2が電磁弁ユニット側コネクタC11、C21に対して結合解除方向X2に移動しないように構成されており、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21および気体室側コネクタC12、C22は、結合解除装置70の係合部Z1、Z2と気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2とが係合することによって、互いに結合するように構成されている。
【0122】
結合解除装置70の係合部Z1、Z2は、図12および図13に示されるように、押圧部材71と連結されている。より具体的には、係合部Z1、Z2は、連結部材76を介して、押圧部材71と連結されている。連結部材76は、押圧部材71に固定されて、押圧部材71が押圧方向Prに沿って移動するときに押圧部材71とともに移動するように構成されている。連結部材76は、押圧部材71から第1の電磁弁ユニット側コネクタC11および第2の電磁弁ユニット側コネクタC21側に向かって延びるように形成されている。連結部材76は、押圧部材71から第1の電磁弁ユニット側コネクタC11側に向かって延びる第1のアーム部761と、押圧部材71から第2の電磁弁ユニット側コネクタC21側に向かって延びる第2のアーム部762とを備えている。第1および第2のアーム部761、762には、押圧方向Prに沿って延びる部位が設けられており、この押圧方向Prに沿って延びる部位が、第1および第2の係合部Z1、Z2として機能する。
【0123】
係合部Z1、Z2は、被係合部G1、G2と係合する位置(図12および図14に示された位置)と、被係合部G1、G2と係合解除する位置(図13および図15に示された位置)との間で移動可能である。係合部Z1、Z2は、上述したように、押圧部材71が移動することによって移動するように構成されており、押圧部材71が押圧方向Prに押圧されることで、被係合部G1、G2と係合する位置から、被係合部G1、G2と係合解除する位置に移動する。なお、係合部Z1、Z2の移動する方向は、本変形例では、押圧部材71の押圧方向Prと同じであるが、押圧部材71の押圧方向Prとは異なる方向となるように構成されてもよい。
【0124】
本変形例では、係合部Z1、Z2は、図12および図14に示されるように、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の貫通孔T2、T3に対して、係合部Z1、Z2の移動方向(図示された例では押圧方向Pr)に沿って挿通可能に形成されている。したがって、係合部Z1、Z2は、係合部Z1、Z2の移動方向に沿って、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21における気体室側コネクタC12、C22を収容するための収容空間内に侵入し、収容空間内から離脱することができる。係合部Z1、Z2は、気体室側コネクタC12、C22のための収容空間内に気体室側コネクタC12、C22が収容されている際に、収容空間内に侵入して、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2と係合することができる。一方、係合部Z1、Z2は、その収容空間内から離脱することによって、被係合部G1、G2と係合解除することができる。
【0125】
本変形例では、係合部Z1、Z2が、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21に対して結合解除方向X2に移動することが規制されている。これは、たとえば、押圧部材71を含む結合解除装置70全体が、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21が取り付けられた筐体3aに対して結合解除方向X2に移動することが規制されるように、筐体3aに取り付けられることによって実現可能である。あるいは、係合部Z1、Z2が、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の貫通孔T2、T3の周壁に結合解除方向X2で当接することによっても実現可能である。本変形例では、係合部Z1、Z2が、このようにして電磁弁ユニット側コネクタC11、C21に対して結合解除方向X2に移動することが規制されているので、係合部Z1、Z2と被係合部G1、G2とが結合解除方向X2で係合することによって、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との間の結合が保持される。
【0126】
次に、本変形例の気体式マッサージ機1の緊急停止構造7の一例の動作を説明する。なお、以下の例はあくまで一例であり、本発明の気体式マッサージ機における緊急停止構造の動作は、以下の一例に限定されるものではない。
【0127】
図12および図14に示される通常時において(コネクタCが結合状態にあるとき)、結合解除装置70の係合部Z1、Z2は、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の貫通孔T2、T3に挿通され、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2と係合している。このとき、係合部Z1、Z2が、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21に対して結合解除方向X2に移動することが規制されているので、係合部Z1、Z2と被係合部G1、G2とが結合解除方向X2で係合することによって、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との間の結合が保持されている。また、同時に、付勢部材U1、U2が、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する方向へ付勢しているが、係合部Z1、Z2と被係合部G1、G2とが結合解除方向X2で係合しているので、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合が保持されている。
【0128】
停電などの非常時において、結合解除装置70の押圧部材71が押圧方向Prに押圧されると、図13および図15に示されるように、結合解除装置70の係合部Z1、Z2は、押圧部材71とともに押圧方向Prに沿って移動する。係合部Z1、Z2は、押圧方向Prに沿って移動することで、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21の貫通孔T2、T3から離脱して、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2との係合が解除される。
【0129】
係合部Z1、Z2と被係合部G1、G2との係合が解除されると、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除する方向への付勢力が解放され、図13および図15に示されるように、気体室側コネクタC12、C22が電磁弁ユニット側コネクタC11、C21に対して相対的に結合解除方向X2へと離脱する。これにより、マッサージ具2の気体室211~218、221~228(図2Aおよび図2B参照)と気体給排システム3の電磁弁ユニット5との流体接続が解除されて、気体室211~218、221~228に蓄えられた高圧気体が排出される。
【0130】
本変形例では、結合解除装置70が、気体室側コネクタC12、C22の被係合部G1、G2と係合する係合部Z1、Z2を備えており、係合部Z1、Z2が、押圧部材71と連結されている。そのため、結合解除装置70に、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除するための複雑な機構を設けなくても、非常に簡単な構成で、しかも押圧部材71を押圧方向Prに移動させるだけで、電磁弁ユニット側コネクタC11、C21と気体室側コネクタC12、C22との結合を解除することができる。
【0131】
(第2実施形態に係る気体式マッサージ機)
図16図20は、本発明の第2実施形態に係る気体式マッサージ機10を示している。本実施形態の気体式マッサージ機10は、第1実施形態と比べて、特に、緊急停止構造8などが異なる。以下では、特に、本実施形態の気体式マッサージ機10の緊急停止構造8などを説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成の説明は適宜省略し、図中において、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付すことがある。
【0132】
本実施形態の気体式マッサージ機10は、たとえば、身体の上半身の少なくとも一部および下半身の少なくとも一部にマッサージを施すために用いられる。気体式マッサージ機10は、本実施形態では、図16に示されるように、第1実施形態と同様に、マッサージ具(図示せず)と、気体給排システム30とを備えており、マッサージ具と気体給排システム30とは、ホースH0およびコネクタC10、C20を介して流体接続される。本実施形態において、特に図示していないが、マッサージ具は、たとえば、下半身の少なくとも一部(たとえば、右足または左足)を囲むように装着される第1のマッサージ具と、上半身の少なくとも一部(たとえば、右腕または左腕)を囲むように装着される第2のマッサージ具とを備えている。第1および第2のマッサージ具はそれぞれ、第1および第2のコネクタC10、C20ならびに第1および第2のホースH10、H20を介して気体給排システム30に流体接続される。
【0133】
本実施形態において、気体給排システム30は、図16に示されるように、第1実施形態と同様に、マッサージ具の少なくとも一つと流体接続される少なくとも1つの電磁弁ユニット50と、電磁弁ユニット50と流体接続される気体供給装置40と、電磁弁ユニット50を制御する制御装置60とを備えている。気体供給装置40、電磁弁ユニット50、および制御装置60は、特に限定されることはないが、気体給排システム30の筐体30aに収容されている。電磁弁ユニット50、気体供給装置40、および制御装置60は、第1実施形態と同様であるため、ここでは、これらの説明を省略する。
【0134】
本実施形態において、緊急停止構造8は、図16に示されるように、第1実施形態と同様に、マッサージ具の少なくとも1つの気体室(図示せず)と気体給排システム30とを接続するコネクタC10、C20と、コネクタC10、C20の結合を解除するための結合解除装置80とを備えている。緊急停止構造8は、第1実施形態と同様に、結合解除装置80によりコネクタC10、C20の結合を解除し、マッサージ具の少なくとも1つの気体室から高圧気体を強制的に排出する。なお、図17は、本実施形態の緊急停止構造8の分解図であり、図18~20は、第2のコネクタC20を押圧方向Prおよび結合方向X1に平行な面で切断した断面図を示している。また、図18は、コネクタC10、C20が結合状態にある通常時を示し、図19および図20は、緊急停止構造8を動作させ、コネクタC10、C20が非結合状態となった非常時を示している。
【0135】
本実施形態では、第1実施形態と相違し、第1および第2のマッサージ具の気体室の数が互いに異なるため、図17に示されるように、第1および第2のコネクタC10、C20の接続ポートの数も互いに異なる。具体的には、第1のマッサージ具の気体室の数が第2のマッサージ具の気体室の数よりも多いため、気体室の数と対応して、図17では、第1のマッサージ具の気体室と流体接続される第1のコネクタC10の接続ポートの数(図示された例では12つ)は、第2のマッサージ具の気体室と流体接続される第2のコネクタC20の接続ポートの数(図示された例では4つ)よりも多い。しかし、第1および第2のコネクタC10、C20の接続ポートの数はそれぞれ、流体接続される第1および第2のマッサージ具の気体室の数に応じて、適宜変更され得る。
【0136】
本実施形態において、第1および第2のコネクタC10、C20は、第1実施形態と同様に、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と、気体室側コネクタC120、C220とを有している。電磁弁ユニット側コネクタC110、C210および気体室側コネクタC120、C220は、後述する回転部材821、822の係合部Z10、Z20と気体室側コネクタC120、C220の被係合部G10、G20とが係合することで、互いに結合するように構成されている。
【0137】
第1のコネクタC10の電磁弁ユニット側コネクタC110は、たとえば、第1実施形態の気体式マッサージ機1に関連して説明した電磁弁ユニット5の接続ポートP11~P16、P21~P26(図6A図6B、および図7参照)に対応する電磁弁ユニット50の接続ポートと流体接続され、第2のコネクタC20の電磁弁ユニット側コネクタC210は、たとえば、第1実施形態の気体式マッサージ機1の電磁弁ユニット5の接続ポートP17、P18、P27、P28(図6A図6B、および図7参照)対応する電磁弁ユニット50の接続ポートと流体接続することができる。なお、本実施形態では、後述するように、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210は、緊急停止構造8の支持部材83を介して電磁弁ユニット50と流体接続される。
【0138】
本実施形態では、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210は、図16および図17に示されるように、後述する気体給排システム30(図16参照)の支持部材83の一側面(結合解除方向X2を向く側面)に固定されている。本実施形態では、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210は、第1実施形態と同様に、図17に示されるように、気体室側コネクタC120、C220と結合した際に気体室側コネクタC120、C220を収容する収容部C1100、C2100を備えている。収容部C1100、C2100は、結合方向X1に延在する周壁C1101、C2101と、結合方向X1において気体室側コネクタC120、C220(具体的には、気体室側コネクタC120、C220の底壁C1202、C2202)と対向する底壁C1102、C2102によって画定されている。本実施形態では、後述する押圧部材81の差込部811p、812pが収容部C1100、C2100の外側から内側に挿入可能であるように、押圧方向Prと反対側の周壁C1101、C2101に貫通孔TH1、TH2が設けられている。
【0139】
本実施形態では、気体室側コネクタC120、C220は、図17に示されるように、後述する回転部材821、822の係合部Z10、Z20と係合する被係合部G10、G20を備えている。具体的には、被係合部G10、G20は、気体室側コネクタC120、C220に設けられる弾性部材RS10、RS20に接続されている。弾性部材RS10、RS20は、気体室側コネクタC120、C220の周壁C1201、C2201に弾性変形可能に設けられ、押圧方向Prと反対方向への弾性変形の復元力により、回転部材821、822の係合部Z10、Z20と気体室側コネクタC120、C220の被係合部G10、G20との係合を強固にすることができる。弾性部材RS10、RS20は、略U字状に折り曲げられた、弾性を有する板状部材(たとえば、金属板やプラスチック板)から構成され、略U字形状の開口が結合方向X1を向くように、気体室側コネクタC120、C220の周壁C1201、C2201に取り付けられている(図18図20も参照)。図17では、被係合部G10、G20は、弾性部材RS10、RS20の自由端側に、弾性部材RS10、RS20から押圧方向Prと反対方向に突出する突出部として設けられている。
【0140】
本実施形態において、結合解除装置80は、図17に示されるように、第1実施形態と同様に、押圧方向Prに押圧可能な押圧部材81と、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との結合解除方向X2に、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210および気体室側コネクタC120、C220を互いに対して付勢する付勢部材U10、U20とを備えている。本実施形態では、結合解除装置80は、後述する支持部材83に連結され、押圧部材81の移動に伴って所定の回転軸R0周りに回転する回転部材821、822を備えている。本実施形態では、結合解除装置80は、押圧部材81が押圧方向Prに押圧されることで、回転部材821、822が回転軸R0周りに回転して、後述するように、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210および気体室側コネクタC120、C220の結合を解除するように構成されている。また、本実施形態では、結合解除装置80は、押圧部材81が押圧方向Prに押圧されることで、後述するように、押圧部材81の一部(具体的には、後述する押圧部材81の差込部811p、812p)が、結合を解除された電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との間に差し込まれ、気体室側コネクタC120、C220の気体給排システム30(図16参照)からの離脱を促進するように構成されている。結合解除装置80は、押圧部材81および回転部材821、822を支持する支持部材83を備えていてもよい。
【0141】
本実施形態では、押圧部材81は、図17に示されるように、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との間に差し込まれることで、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220とを離間させる差込部811p、812pを備えている。具体的には、図17に示されるように、差込部811p、812pは、押圧部材81において、押圧方向Prの端部に設けられ、押圧方向Prに向かって結合方向X1(結合解除方向X2)で幅狭となる略くさび形状を有している。図17では、差込部811p、812pは、回転部材821、822を回転軸R0に沿う方向の両側方で挟むように一対設けられている。しかし、差込部811p、812pの形状は、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との間に差し込むことができれば、特に限定されることはなく、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210および気体室側コネクタC120、C220の形状などに応じて、適宜変更され得る。
【0142】
差込部811p、812pは、押圧部材81が押圧方向Prに押圧されることで、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210および気体室側コネクタC120、C220と離間する離間位置(図18参照)から、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との間に介在する介在位置(図19参照)に移動するように構成される。具体的には、図18に示されるように、差込部811p、812pは、押圧部材81が押圧される前の離間位置では、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210の収容部C1100、C2100の外部に位置付けられ、図19に示されるように、押圧部材81が押圧された後の介在位置では、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210の貫通孔TH1、TH2から挿入されて、収容部C1100、C2100の内部に位置付けられる。
【0143】
本実施形態では、押圧部材81は、図17に示されるように、押圧方向Prに押圧されることで、回転部材821、822と当接して回転部材821、822を回転軸R0周りに回転させる当接部811a、812aを備えている(図18図20も参照)。図17では、押圧部材81は、押圧方向Prに押圧されたときに、回転部材821、822を収容する収容凹部811、812を有しており、図18図20に示されるように、当接部811a、812aは、収容凹部811、812に向かって押圧方向Prに突出する突出部として設けられている。
【0144】
本実施形態では、押圧部材81は、図17に示されるように、押圧されたときに、押圧方向Prに案内される被案内部810g、811g、812gをさらに備えている。押圧部材81が被案内部810g、811g、812gを有することで、押圧部材81に押圧力を加える方向が押圧方向Prから外れている場合であっても、押圧部材81が被案内部810g、811g、812gによって押圧方向Prに容易に案内される。これにより、正規の押圧方向Pr以外の方向への無理な押圧力による緊急停止構造8の損傷などが抑制される。図17では、被案内部810g、811g、812gは、後述する支持部材83の案内部830g、831g、832gによって押圧方向Prに案内されるように、押圧部材81の支持部材83との対向面から押圧方向Prに沿って延びるガイド溝またはガイド孔として設けられ、押圧方向Prに沿って延びるガイド突条としての支持部材83の案内部830g、831g、832gと押圧方向Prで移動可能に嵌合する。しかし、押圧部材81の押圧方向Prへの案内手法は、特に限定されることはなく、たとえば、被案内部810g、811g、812gがガイド突条として設けられ、案内部830g、831g、832gがガイド溝またはガイド孔として設けられてもよい。図17では、押圧方向Prおよび結合方向X1に略垂直な長手方向を有する長尺形状の押圧部材81を押圧方向Prに安定して案内することができるように、被案内部810g、811g、812gは、押圧部材81の長手方向の両端部および中央部に設けられている。しかし、案内部830g、831g、832gの配置は、押圧部材81を押圧方向Prに案内することができれば、特に限定されることはなく、押圧部材81の形状などに応じて適宜変更され得る。
【0145】
回転部材821、822は、図18および図19に示されるように、回転軸R0周りの回転によって、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220とを係合および係合解除させる(図18では、第1のコネクタC10に関連する部分は図示せず)。回転部材821、822の回転軸R0が延びる方向は、押圧方向Prおよび結合方向X1と交差する方向であれば、特に限定されることはないが、本実施形態では、押圧方向Prおよび結合方向X1に略垂直な方向である。本実施形態において、回転部材821、822は、押圧方向Prおよび結合方向X1に延びる略L字状に形成されており、略L字形状の屈曲部分に、回転軸R0となる軸部821r、822rを有している。具体的には、図17に示されるように、軸部821r、822rは、回転部材821、822の略L字形状の屈曲部分に、回転軸R0に沿って突出する嵌合凸部として設けられ、後述する嵌合凹部としての支持部材83の軸支部831r、832rと回転軸R0周りに回転可能に嵌合する。しかし、軸部821r、822rが嵌合凹部として設けられ、軸支部831r、832rが嵌合凸部として設けられてもよい。
【0146】
本実施形態では、回転部材821、822は、図17図19に示されるように、気体室側コネクタC120、C220と係合する係合部Z10、Z20を備えている。具体的には、係合部Z10、Z20は、気体室側コネクタC120、C220の被係合部G10、G20(被係合部G10は図示を省略)と係合可能な係合位置(図18参照)と、被係合部G10、G20との係合が解除される係合解除位置(図19参照)との間で移動可能なように、回転部材821、822に設けられている。図18および図19では、係合部Z10、Z20は、回転部材821、822において、略L字状の押圧方向Prに延びる部分の押圧方向Pr側の端部に設けられている。本実施形態では、係合部Z10、Z20は、気体室側コネクタC120、C220の被係合部G10、G20と結合方向X1で当接して係合する。特に図示していないが、コネクタC10、C20が結合状態にある通常時において、係合部Z10、Z20と被係合部G10、G20とが係合するように、たとえば、回転部材821、822は、係合部Z10、Z20と被係合部G10、G20とが係合する向き(以下、この方向を「係合方向」と呼び、当該方向と反対方向を「係合解除方向」と呼ぶ)で、回転軸R0周りに付勢されている。そうすることで、押圧部材81の押圧方向Prへの移動に伴い、回転軸R0周りの係合解除方向に回転した回転部材821、822が付勢力によって係合方向に付勢されて元の位置に戻ることができる。回転軸R0周りに付勢力を付与するために、たとえば、軸部821r、822rに付勢部材(たとえば、ねじりバネなど)が設けられる。また、結合解除装置80が、押圧部材81の押圧方向Prへの移動に伴って、回転部材821、822を回転軸R0周りの係合解除方向に回転させ、押圧部材81の押圧方向Prと反対方向への移動に伴って、回転部材821、822を回転軸R0周りの係合方向に回転させるように、回転部材821、822と押圧部材81とを連結する連結部材(たとえば、回転部材821、822と押圧部材81との間に設けられ、回転部材821、822と押圧部材81とを連結するフックなど)をさらに備えていてもよい。この場合、押圧部材81および支持部材83を互いに離間する方向に押圧するように、案内部830gと被案内部810gとの間に付勢部材(たとえば、コイルバネなど)が設けられる。そうすることで、押圧部材81を押圧方向Prに押圧されたときに、当該付勢部材の付勢力(たとえば、弾性変形の復元力)が作用し、押圧部材81が押圧方向Prと反対方向に移動し、押圧部材81の押圧方向Prと反対方向への移動に伴い、回転部材821、822が連結部材によって回転軸R0周りの係合方向に回転することで、元の位置に戻ることができる。
【0147】
本実施形態では、図18および図19に示されるように、回転部材821、822は、押圧部材81の当接部811a、812aと当接する被当接部821a、822aを備えている(回転部材821、当接部811a、および被当接部821aは図示を省略)。本実施形態では、被当接部821a、822aは、押圧部材81が押圧方向Prに押圧されたときに、押圧部材81の当接部811a、812aに押圧方向Prで押圧されて回転部材821、822が回転軸0周りに回転するように、略L字状の回転部材821、822において、結合方向X1に延びる部分の結合方向X1側の端部に設けられている。
【0148】
支持部材83は、図17に示されるように、押圧部材81を押圧方向Prで移動可能に支持し、かつ、回転部材821、822を回転軸R0周りに回転可能に支持する。本実施形態では、支持部材83は、押圧部材81の被案内部810g、811g、812gを押圧方向Prに案内する案内部830g、831g、832gと、回転部材821、822の軸部821r、822rを回転可能に支持する軸支部831r、832rを備えている。案内部830g、831g、832gは、具体的には、押圧部材81を押圧方向Prに案内可能であるように、支持部材83の押圧方向Prと反対方向を向く面から押圧方向Pと反対方向に突出するように設けられている。軸支部831r、832rは、押圧部材81が押圧方向Prに押圧されたときに、回転部材821、822が押圧部材81の収容凹部811、812に収容されるように、押圧方向Prで収容凹部811、812に対応するように配置される、支持部材83の一対の壁部831w、832wにおいて、回転軸R0に沿う方向で互いに対向する内側面に設けられている。
【0149】
本実施形態では、特に図示していないが、支持部材83は、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体給排システム30とを流体接続する流路を備えている。電磁弁ユニット50として、第1実施形態の気体式マッサージ機1の電磁弁ユニット5が採用される場合、たとえば、第1のコネクタC10の電磁弁ユニット側コネクタC110(図17参照)の接続ポートと、第1実施形態の気体式マッサージ機1の電磁弁ユニット5の接続ポートP11~P16、P21~P26(図6A参照)とを流体接続させ、第2のコネクタC20の電磁弁ユニット側コネクタC210(図17参照)の接続ポートと、第1実施形態の気体式マッサージ機1の電磁弁ユニット5の接続ポートP17、P18、P27、P28(図6A参照)とを流体接続させるように、支持部材83の流路が設けられる。
その結果、電磁弁ユニット5の接続ポートP11~P18、P21~P28の配置が電磁弁ユニット側コネクタC110、C210の接続ポートの配置と一致していない場合であっても、支持部材83の流路によって、互いの接続ポートが流体接続される。
【0150】
本実施形態では、付勢部材U10、U20は、図17に示されるように、第1実施形態と同様に、付勢力発生部U110、U210と、付圧部U120、U220とを備えている。本実施形態では、第1のコネクタC10が第2のコネクタC20よりも大きいので、第1の電磁弁ユニット側コネクタC110と第1の気体室側コネクタC120との間に、第2の電磁弁ユニット側コネクタC210と第2の気体室側コネクタC220との間と同等の付勢圧を発生させるために、第1のコネクタC10に対する付勢部材U10は、第2のコネクタC20に対する付勢部材U20よりも数が多い(図示された例では、付勢部材U10は複数(3つ)であり、付勢部材U20は1つである)。付勢部材U10、U20のその他の構成については、第1実施形態と同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0151】
次に、本実施形態の気体式マッサージ機10の緊急停止構造8の一例の動作を説明する。なお、以下の例はあくまで一例であり、本発明の気体式マッサージ機における緊急停止構造の動作は、以下の一例に限定されるものではない。
【0152】
図18に示される通常時において(コネクタC10、C20が結合状態にあるとき)、回転部材821、822の係合部Z10、Z20は、気体室側コネクタC120、C220の被係合部G10、G20と係合している(一部は図示を省略)。このとき、係合部Z10、Z20と被係合部G10、G20とが結合解除方向X2で係合することによって、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210の結合解除方向X2への移動が規制されているので、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との間の結合が保持されている(一部は図示を省略)。同時に、付勢部材U10、20が、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220を互いの結合を解除する方向に付勢しているが、係合部Z10、Z20と被係合部G10、G20とが結合解除方向X2で係合しているので、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との結合が保持されている(一部は図示を省略)。
【0153】
停電などの非常時において、結合解除装置80の押圧部材81が押圧方向Prに押圧されると、図18に示されるように、押圧部材81の押圧方向Prへの移動に伴って、押圧部材81の当接部811a、812aが押圧方向Prに移動して回転部材821、822の被当接部821a、822aと当接する。さらに、押圧部材81が押圧方向Prに押圧されると、図19に示されるように、押圧部材81の当接部811a、812aが押圧方向Prにさらに移動し、回転部材821、822が、回転軸R0周りに回転し、回転部材821、822の係合部Z10、Z20は、押圧方向Prと反対方向に移動する(一部は図示を省略)。これにより、気体室側コネクタC120、C220の被係合部G10、G20との係合が解除される(一部は図示を省略)。
【0154】
係合部Z10、Z20と被係合部G10、G20との係合が解除されると、付勢部材U10、U20の付勢力が解放され、図19に示されるように、気体室側コネクタC120、C220が電磁弁ユニット側コネクタC110、C210に対して相対的に結合解除方向X2へと離脱する(一部は図示を省略)。
【0155】
また、結合解除装置80の押圧部材81が押圧方向Prに押圧されると、図19に示されるように、押圧部材81の差込部811p、812pが、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210の周壁C1101、C2101の貫通孔TH1、TH2から収容部C1100、C2100の内部に挿入される(一部は図示を省略)。差込部811p、812pは、収容部C1100、C2100の内部に挿入されると、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210の底壁C1102、C2102および気体室側コネクタC120、C220の底壁C1202、C2202を互いに離間する方向に押圧するように、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との間に差し込まれる(一部は図示を省略)。これにより、図20に示されるように、気体室側コネクタC120、C220の結合解除方向X2へと離脱がさらに促進される(一部は図示を省略)。
【0156】
本実施形態では、結合解除装置80が、回転部材821、822を備えており、押圧部材81を押圧方向Prに押圧すると、回転部材821、822が回転軸R0周りに回転する。このように、回転部材821、822を用いると、たとえば、押圧部材81への押圧方向Prの力が回転部材821、822に加わる力点(具体的には、回転部材821、822の被当接部821a、822a)と、回転部材821、822の回転の支点(具体的には、回転部材821、822の軸部821r、822r)との間隔によって、回転部材821、822に加わる回転軸R0周りの回転モーメントの大きさを調整することができる。これにより、結合解除装置80による電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との結合の解除し易さも調整することができる(本実施形態では、回転部材821、822において、軸部821r、822rと被当接部821a、822aとを回転部材821、822の結合方向X1の両端部に設けることで、回転モーメントを大きくし、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との結合を解除しやすいように設定されている)。
【0157】
さらに、本実施形態では、結合解除装置80が、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との結合の解除の際に、気体室側コネクタC120、C220が付勢部材U10、U20によって結合解除方向X2に付勢されるとともに、電磁弁ユニット側コネクタC110、C210および気体室側コネクタC120、C220を互いに離間する方向に押圧するように、押圧部材81の差込部811p、812pが電磁弁ユニット側コネクタC110、C210と気体室側コネクタC120、C220との間に差し込まれる。そうすることで、気体室側コネクタC120、C220が電磁弁ユニット側コネクタC110、C210の収容部C1100、C2100内に留まるなど、気体室側コネクタC120、C220が電磁弁ユニット側コネクタC110、C210から不完全に離脱する事態を抑制することができるので、高圧気体をマッサージ具の気体室からより迅速に排出することができる。
【0158】
なお、上述された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。たとえば、上述された実施形態における構成要素は、複数個として示されても、1個で実施可能であることがあり、1個として示されても、複数個で実施可能であることがある。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【符号の説明】
【0159】
1 気体式マッサージ機
2 マッサージ具
21 第1のマッサージ具
22 第2のマッサージ具
20 カバー
200 カバー本体
200S スリット
201 内側カバー
202 外側カバー
203、222B 固定具
21A~23A 締結具
21B、22B 周長調整機構
221B ベルト 211~218、221 脚部気体室
222 股間部気体室
223、225、227 遠位側腹部気体室
224、226、228 近位側腹部気体室
3、30 気体給排システム
3a、30a 筐体
31 表示装置
4、40 気体供給装置
5、50 電磁弁ユニット
51 第1の電磁弁ユニット
52 第2の電磁弁ユニット
500 電磁弁ブロック
501 第1の本体部材
501a 第1面
501b 第2面
502 第2の本体部材
502a 第1面
502b 第2面
502c 電磁弁支持部
503 シール部材
53 共通タンク
534a~534c タンク内流路
531 受容ポート
532a、532b 送出ポート
533a~533d 中継ポート
6、60 制御装置
7、8 緊急停止構造
70、80 結合解除装置
71、81 押圧部材
72、73 移動部材
74、75 方向転換機構
741、751 案内部
742、752 被案内部
76 連結部材
761、762 アーム部
810g、811g、812g 被案内部
811、812 収容凹部
811a、812a 当接部
811p、812p 差込部
821、822 回転部材
821a、822a 被当接部
821r、822r 軸部
83 支持部材
830g、831g、832g 案内部
831r、832r 軸支部
831w、832w 壁部
B 身体
C、C1、C2、C10、C20 コネクタ
C11、C21、C110、C210 電磁弁ユニット側コネクタ
C12、C22、C120、C220 気体室側コネクタ
C110、C210、C1100、C2100 収容部
C111、C211、C1101、C2101 周壁
C112、C212、C1102、C2102 底壁
C121、C221、C1201、C2201 周壁
C122、C222、C1202、C2202 底壁
C123、C223 収容部
D0~D4 凹部
E1、E2、Z1、Z2、Z10、Z20 係合部
F0、F1 流路
G1、G2、G10、G20 被係合部
H、H1~H6、H0、H10、H20 ホース
MB ブロック本体
M11~M18、M21~M28、N11~N18、N21~N28 接続ポート
R、Ra、R1、R2 中間チャンバ
P0、P11~P18、P21~P28 接続ポート
P1、P2 給排気ポート
P10、P20 給気ポート
P19、P29 排気ポート
P100、P190、P200、P290 中間ポート
P3 開放ポート
R0 回転軸
RS1、RS2、RS10、RS20 弾性部材
V0、V11~V18、V21~V28 接続用電磁弁
V1、V2 給排気用電磁弁
V10、V20 給気用電磁弁
V19、V29 排気用電磁弁
Va 弁座
Vb 弁体
Vc 電磁石
Vd 付勢体
T0~T3、TH1、TH2 貫通孔
U1、U2、U10、U20 付勢部材
U11、U21、U110、U210 付勢力発生部
U12、U22、U120、U220 付圧部
CD 周方向
BL 身長方向
Pr 押圧方向
X1 結合方向
X2 結合解除方向
Y1、Y2 移動方向
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20