IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートサービスヤマグチの特許一覧

<>
  • 特許-運搬車両 図1
  • 特許-運搬車両 図2
  • 特許-運搬車両 図3
  • 特許-運搬車両 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】運搬車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/04 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B60P1/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023142331
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-09-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523334408
【氏名又は名称】株式会社オートサービスヤマグチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸将
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-292341(JP,A)
【文献】特開平05-032380(JP,A)
【文献】特開2004-257405(JP,A)
【文献】特開2009-154782(JP,A)
【文献】特開2014-019223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置と制御部と操作部を備え、
前記駆動装置は、部材を動かすものであり、
前記制御部は、ハザードランプまたは駐車灯の送電線から分岐した分岐送電線から電力の供給を受けて、点灯することで作動するものであり、前記操作部を有しており、
前記操作部は前記駆動装置の動作を操作するものであることを特徴とする運搬車両。
【請求項2】
前記駆動装置は、ダンプシリンダおよび/またはリアゲートである請求項1記載の運搬車両。
【請求項3】
前記駆動装置は、流体圧駆動である請求項1記載の運搬車両。
【請求項4】
さらにリモートコントロールユニットを備え、
前記リモートコントロールユニットは、前記制御部と通信する通信部を備えており、前記制御部を介して、前記リモートコントロールユニットの操部の操作により前記駆動装置の動作を制御するものである請求項1記載の運搬車両。
【請求項5】
前記制御部は、さらに前記リモートコントロールユニットとの通信をON/OFFする通信スイッチを備えている請求項4記載の運搬車両。
【請求項6】
前記制御部の前記操作部および/または前記リモートコントロールユニットの前記操縦部は、前記駆動装置を動作させる作動スイッチを備えており、前記作動スイッチを押し続けることで前記駆動装置の動作がなされるものである請求項4記載の運搬車両。
【請求項7】
前記運搬車両は、トレーラである請求項1~6いずれか1項に記載の運搬車両。
【請求項8】
前記運搬車両は、トラクタに装着されたトレーラである請求項1~6いずれか1項に記載の運搬車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプトラックのような運搬車両や、ダンプシリンダを荷台に装着したトレーラ(運搬車両)やトラクタに装着したトレーラ(運搬車両)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬車両は、特許文献1のように荷台の昇降をリモートコントロールで動かしたいという要望が寄せられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4634473号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に荷台を昇降するリモートコントロールユニットを備えた運搬車両において、作業者がリモートコントロールユニットをポケットにしまうなどしたとき、誤ってスイッチが作動し、予期しないタイミングで荷台が動くなど問題があった。
また、リモートコントロールユニットを備えていない運搬車両でも、作業者が点検をしているときに、別の作業者がダンプシリンダの起動スイッチを操作してしまい、点検中の作業者に危険が及ぶなどのことがあった。
【0005】
本発明は、運搬車両のダンプシリンダなどの駆動装置を安全に操作することができるシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
駆動装置と制御部と操作部を備え、前記駆動装置は、部材を動かすものであり、前記制御部は、ハザードランプまたは駐車灯の送電線から分岐した分岐送電線から電力の供給を受けて、点灯することで作動するものであり操作部を有しており、前記操作部は前記駆動装置の動作を操作するものであることを特徴とする運搬車両。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、運搬車両のダンプシリンダなどの駆動装置を安全に操作することができる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例の説明図である。図1(A)は、トラクタに装着されたトレーラの側面図である。図1(B)は、トラクタの運転部の説明図である。図1(C)は、制御部への電力供給経路の説明図である。
図2図2は、制御部の概要図である。
図3図3は、リモートコントロールユニットの説明図である。
図4図4は、実施例の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
(実施例)
実施例は、トラクタ1に荷台22(部材)を備えたトレーラ2を装着した運搬車両を例としたものである。本発明は、トラクタ1とトレーラ2に分離していない、ダンプトラックなどの運搬車両も包含するものである。
実施例は、運搬車両の一例に過ぎない。
【0011】
(トレーラの概略)
図1は、実施例の説明図である。図1(A)は、トラクタ1に装着されたトレーラ2の側面図である。この例は、トラクタ1とトレーラ2を併せて運搬車両となる。
なお、トレーラ2は、トラクタ1と接続されていなくても運搬車両となる。
トラクタ1は、トレーラ2を装着している。ハザードランプ21は、トラクタ1の前面の左右に一対、トラクタ1の背面に左右に一対及びトレーラ2の背面に左右に一対設けられている。
トレーラ2は、荷台22(部材)を有し、荷台22(部材)の後方にはリアゲート23(部材)を有する。
トレーラ2の機台下には、制御部3と電動モータ41(図示せず)や油圧ポンプ42(図示せず)などを収納した駆動源4が取り付けられている。
【0012】
(運転部)
図1(B)は、トラクタ1の運転部11の説明図である。運転部11は、ハンドルやブレーキ、アクセルなどの運転操作装置と共に、ハザードランプスイッチ12または駐車灯スイッチなどが装備されている。そして、光で危険を知らせる警告灯13及び音で危険を知らせる警報器14が装備されている。警告灯13と警報器14の詳細は、後述する。
【0013】
(制御部への電力供給)
図1(C)は、制御部3への電力供給経路の説明図である。制御部3は、ハザードランプ21を点灯させる送電線211から電力の供給を受ける。送電線211は、制御部3の近くで分岐送電線212に分岐される。分岐送電線212は、接続端子213が取り付けられており、制御部3の側にある接続端子213と接続することができる。このように、制御部3は、ハザードランプ21を点灯する送電線211から電力の供給を受ける。
したがって、制御部3は、運転部11にあるハザードランプスイッチ12を押下しない限り電力が供給されないように構成されている。
【0014】
制御部3の詳細は後述するが、制御部3は、駆動源4、ダンプシリンダ51(駆動装置5)やリアゲートシリンダ52(駆動装置5)の駆動を制御するものである。
そのため、ハザードランプ21を点灯しない限り、制御部3は一切機能しない。ハザードランプ21を点灯し、送電線211から電力の供給を受けた時のみ、制御部3は機能する。
【0015】
(ハザードランプ消灯時)
ハザードランプ21を消灯した状態で、作業者は、点検作業に入る。他の作業者が、制御部3を操作して駆動装置5を駆動しようとしても、制御部3が機能しないため、安全に作業ができる。
【0016】
(ハザードランプ点灯時)
作業者が、ダンプシリンダ51(駆動装置5)を操作しようとしたとき、ハザードランプ21を点灯する。ハザードランプ21の点灯により、制御部3は分岐送電線212を介して送電線211から電力供給を受け、ダンプシリンダ51(駆動装置5)の操作が可能となる。
以上のように、実施例は、安全の確保ができる。
【0017】
(制御部)
図2は、制御部3の概要図である。前述したように、制御部3は、送電線211から電力の供給を受けるべく、接続端子213を備えた分岐送電線212を有する。
メインスイッチ31は、制御部3を起動するスイッチである。制御部3は、送電線211から電力の供給を受けただけでは、直ちに起動しない。制御部3は、メインスイッチ31をONにしたときに起動する。
ハザードランプ21が消えているとき、送電線211から電力の供給が無いため制御部3はメインスイッチ31をONにしても起動しない。
【0018】
(操作部)
実施例は、駆動装置5を駆動するダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)とリアゲート操作スイッチ34(操作部)の2種類の操作部を備えている。なお、操作部は、駆動装置5の種類が増えれば、それに比例して増えることは言うまでもない。
【0019】
ダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)は、真ん中を中立位置331とし、ダンプシリンダ51(駆動装置5)を動かさない状態にできる。ダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)は、右に傾けるとダンプシリンダ伸長位置332(荷台上昇)になり荷台22(部材)が上昇を開始する。ダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)は、左に傾けるとダンプシリンダ収縮位置333(荷台降下)になり荷台22(部材)が降下を開始する。ダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)は、常に中立位置331になるようにバネ等で付勢されている。そのため、作業者がダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)から手を離すと、中立位置331に戻り、上昇又は降下が止まるように構成されている。
常に作業者が、ダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)を操作しているときのみ、ダンプシリンダ51(駆動装置5)が動くため、非常に安全である。
【0020】
リアゲート操作スイッチ34(操作部)は、ダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)と同じ構成を採用しており、作業者が手で操作しない限り、リアゲートシリンダ52(駆動装置5)が動くことはない。
【0021】
なお、図2の実施例は、説明のためレバーのような操作部としたが、操作部は押圧ボタンでもよい。リアゲート23(部材)を開放させるリアゲート開放ボタンと閉鎖させるリアゲートシリンダ閉鎖ボタンがあり、両ボタンは、押圧したときに開放、閉鎖の信号がリアゲートシリンダ52(駆動装置5)に送られる。両ボタンは、バネなどの弾性部材が組み込まれており、力を入れて押圧したときに、スイッチが入り、手を離すと戻るように構成されている。
【0022】
(アンテナ・通信部・通信スイッチ)
通信スイッチ32は、後述するリモートコントロールユニット6へアンテナ35(通信部)から通信を行うためのスイッチである。通信スイッチ32は、ONになることで、リモートコントロールユニット6と送受信ができる。
作業者は、リアゲート23(部材)を開放して荷台22(部材)を上昇させ、積んでいる穀物などを下すときに、後方から安全を確認したいときがある。従来の操作は、制御部3の操作部を利用するしかなく、作業者は、制御部3のある位置からしか操作ができなかった。リモートコントロールユニット6は、この制約を無くし、作業者がどこからでも駆動装置5を操縦することが可能になる。作業者は、安全が確認できる位置まで移動し、リモートコントロールユニット6で駆動装置5を操縦する。
【0023】
(リモートコントロールユニット)
図3は、リモートコントロールユニット6の説明図である。
起動スイッチ61は、スライド式であり、左に突起611を移動させるとONになり、右に突起611を移動させるとOFFになる。リモートコントロールユニット6は、手のひらに載るほど小さく、作業者はポケットに入れることができる。起動スイッチ61は、スライド式のスイッチであるため、押しボタンスイッチと異なり、ポケットに入れても意図せず起動スイッチ61がONにならないように工夫されている。
【0024】
リモートコントロールユニット6は、押しボタンスイッチである、ダンプシリンダ操縦スイッチ62(操縦部)とリアゲートシリンダ操縦スイッチ63(操縦部)を備えている。
押しボタンスイッチは、前述したようにバネなどの弾性部材が組み込まれており、力を入れて押圧したときに、スイッチが入り、手を離すと戻るように構成されている。
【0025】
(多重安全)
リモートコントロールユニット6は、作業差者のポケットなどに収納されるため、ポケット内でダンプシリンダ操縦スイッチ62(操縦部)とリアゲートシリンダ操縦スイッチ63(操縦部)の押しボタンが押圧されるなど、誤作動を起こしやすい。
【0026】
第1の安全策は、運転部11にあるハザードランプスイッチ12である。制御部3は、ハザードランプスイッチ12がONにならない限り、送電線211を介して電力供給を受けることができない。
【0027】
第2の安全策は、制御部3のメインスイッチ31である。メインスイッチ31がONにならない限り制御部3は起動しない。
【0028】
第3の安全策は、制御部3の通信スイッチ32である。通信スイッチ32がONにならない限り、リモートコントロールユニット6と通信できない。
【0029】
第4の安全策は、リモートコントロールユニット6の起動スイッチ61である。起動スイッチ61がONにならない限り、リモートコントロールユニット6は機能しない。
【0030】
第5の安全策は、制御部3のダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)及びリアゲート操作スイッチ34(操作部)や、リモートコントロールユニット6のダンプシリンダ操縦スイッチ62(操縦部)及びリアゲートシリンダ操縦スイッチ63(操縦部)の構造にある。
操作部や操縦部の構造は、押し続けないと中立位置331に戻り、荷台22(部材)やリアゲート23(部材)などの部材が動かないようになっている。操作部や操縦部から手を離すことで、部材は直ちに動きを停止する。
【0031】
これらの操作をすべて行って初めて、作業者は、リモートコントロールユニット6を使って操縦が可能となる。
【0032】
(第6の安全策)
図1(B)を参照して説明する。制御部3のメインスイッチ31をONにしたまま、ハザードランプスイッチ12をOFFにすると、警告灯13が光り作業者は注意を受ける。さらに、警報器14が鳴り、音声で制御部3のメインスイッチ31をOFFにすることを促す。
【0033】
(油圧回路)
実施例の駆動源4は、油圧を採用している。電動モータ41は、トレーラ2又はトラクタ1に搭載されたバッテリーから電力供給を受けている。電動モータ41は、油圧ポンプ42を駆動し、油圧タンクT内のオイルを加圧しダンプシリンダ切換弁44とリアゲートシリンダ切換弁45に油圧を送る。ダンプシリンダ切換弁44とリアゲートシリンダ切換弁45は、ソレノイドが動くことで油圧ポンプ42からダンプシリンダ51(駆動装置5)への流路やダンプシリンダ51(駆動装置5)から油圧タンクTに戻る流路が開かれる。ダンプシリンダ切換弁44とリアゲートシリンダ切換弁45は、バネで切換弁42の中立位置331になるように付勢されており、ソレノイドが作動していない状況では、常に中立位置331に戻るようになっている。
切換弁42の中立位置331にあるとき、油圧ポンプ42で加圧されたオイルは、リリーフ弁43の設定圧を超えると、油圧タンクTに排出されるように構成されている。
なお、駆動源4は、油圧に限らず電気でもよく適宜である。
【0034】
なお、トラクタ1に装着したトレーラ2を運搬車両とするときは、駆動源4や制御部3はトラクタ1にあってもよい。
【0035】
ダンプシリンダ切換弁44とリアゲートシリンダ切換弁45のソレノイドは、制御部3のダンプシリンダ操作スイッチ33(操作部)やリアゲート操作スイッチ34(操作部)の操作を受け動く。
また、作業者が制御部3の通信スイッチ32をONにしてリモートコントロールユニット6による操作を行うことができる。作業者は、リモートコントロールユニット6にある、起動スイッチ61をONにして、リモートコントロールユニット6を起動する。そして、作業者はダンプシリンダ操縦スイッチ62(操縦部)とリアゲートシリンダ操縦スイッチ63(操縦部)を動かし、ダンプシリンダ切換弁44とリアゲートシリンダ切換弁45のソレノイドを作動させることができる。
【0036】
(実施例の効果)
以上のように、実施例は、多重な安全策を備えており、事故を未然に防ぐことができる。
【0037】
以上、本発明に係る実施の態様を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の態様に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施の態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 トラクタ
11 運転部
12 ハザードランプスイッチ
13 警告灯
14 警報器
2 トレーラ
21 ハザードランプ
211 送電線
212 分岐送電線
213 接続端子
22 荷台(部材)
23 リアゲート(部材)
3 制御部
31 メインスイッチ
32 通信スイッチ
33 ダンプシリンダ操作スイッチ(操作部)
331 中立位置
332 ダンプシリンダ伸長位置(荷台上昇)
333 ダンプシリンダ収縮位置(荷台降下)
34 リアゲート操作スイッチ(操作部)
35 アンテナ(通信部)
4 駆動源
41 電動モータ
42 油圧ポンプ
43 リリーフ弁
44 ダンプシリンダ切換弁
45 リアゲートシリンダ切換弁
5 駆動装置
51 ダンプシリンダ(駆動装置)
52 リアゲートシリンダ(駆動装置)
6 リモートコントロールユニット
61 起動スイッチ
611 突起
62 ダンプシリンダ操縦スイッチ(操縦部)
63 リアゲートシリンダ操縦スイッチ(操縦部)
T 油圧タンク
【要約】
【課題】本発明は、運搬車両のダンプシリンダなどの駆動装置を安全に操作することができるシステムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、課題を解決するために、駆動装置5と制御部3と操作部(33・34)を備え、前記駆動装置5は、部材を動かすものであり、前記制御部3は、ハザードランプ21または駐車灯の送電線211から分岐した分岐送電線212から電力の供給を受けて作動するものであり、前記操作部(33・34)を有しており、
前記操作部(33・34)は前記駆動装置5の動作を操作するものであることを特徴とする運搬車両1。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4