(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】米飯成形装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20231212BHJP
【FI】
A23L7/10 G
(21)【出願番号】P 2023152084
(22)【出願日】2023-09-20
【審査請求日】2023-09-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202022(JP,A)
【文献】特開2018-14893(JP,A)
【文献】特開2016-202041(JP,A)
【文献】特開2009-89619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に予備的に成形され上面に具材が載置されたシート状米飯塊を折り畳んでおにぎり状米飯塊に成形する米飯成形装置であって、
搬送部により搬送された前記シート状米飯塊を受ける取り込みコンベアと、
前記取り込みコンベアの搬送方向の後方に設けられ、前記取り込みコンベアとともに前記シート状米飯塊を受け、前記シート状米飯塊を折り曲げるための折り曲げ動作を行うように構成された米飯折畳部と、
前記折り曲げ動作時に前記シート状米飯塊の移動を規制する移動防止プレートと、
前記米飯折畳部の前記折り曲げ動作を制御する折畳ユニット制御部と、を有し、
前記米飯折畳部は、
前記取り込みコンベアの搬送方向の後方側に設けられ、前記取り込みコンベアの搬送面に対して直角状態となって前記シート状米飯塊の具材載置部に対して前記シート状米飯塊の具材非載置部を直角状に折り曲げ可能とした折畳プレートと、
前記取り込みコンベアの搬送方向に対して前記折畳プレートの後方側に設けられ、前記折畳プレートに対して鋭角をなす状態となって前記具材非載置部を前記具材載置部に接触させるまで前記シート状米飯塊を折り曲げ可能とした折重ねプレートと、を含み、
前記折畳ユニット制御部は、
前記折畳プレートを平面視で取り込みコンベアの搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第1ギヤケースと、
前記搬送方向に直交する方向を回動軸方向として前記第1ギヤケースに回動可能に支持されるとともに、前記折重ねプレートを前記搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第2ギヤケースと、を備えた
ことを特徴とする米飯成形装置。
【請求項2】
前記取り込みコンベア、前記折畳プレート、および前記折重ねプレートにより、前記搬送部により搬送された前記シート状米飯塊を受けるセット面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の米飯成形装置。
【請求項3】
前記第2ギヤケースは、
前記第1ギヤケースに対して平行状態から前記第1ギヤケースと直交する直交状態となるまでは前記第1ギヤケースに連動して回動し、前記直交状態から前記第1ギヤケースとともに鋭角状をなす状態までは前記第1ギヤケースから独立して回動するように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の米飯成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の密度で形成されたシート状の米飯塊をおにぎり状米飯塊に折り畳むための米飯成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
おにぎり成形装置は、米飯を所定量ずつの米飯塊に分けて例えばシート状に形成された一食分の米飯塊を折り畳み、おにぎり状米飯塊を成形するシート状米飯の成形装置を有する。この種の成形装置においては、シート状米飯に載置された具材が米飯に包み込まれるようにシート状米飯を折り畳むことにより、おにぎり状米飯塊を形成し、具材を内包したおにぎり状米飯塊がベルトコンベア等の搬送部に乗せられ、搬送部によって、おにぎり状米飯塊をおにぎり塊に成形するおにぎり成形部に送り出される。
【0003】
このような成形装置においては、シート状の米飯塊から成形されるおにぎり塊があたかも人の手で握ったかのようなふっくら感のあるおにぎり塊となることが望まれる。この種の成形装置には、3枚のプレートを用いてシート状の米飯塊をおにぎり状米飯塊に成形するものがある(例えば、特許文献1。)。この成形装置は、シート状の米飯塊の略中央部を支持する可動支持部と、可動支持部の長辺側両端部に連結した左右の折込片と、左右の折込片を可動支持部に対して直交する態様に変態した際、左右の折込片の上方に形成される開口部を閉塞する折込口閉止装置と、を備えている。この成形装置は、可動支持部、左右の折込片、および折込口閉止装置により形成される成形空間に具材を載置したシート状米飯を折り畳み収納することにより、シート状の米飯塊をおにぎり状米飯塊に成形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシート状の米飯塊をおにぎり状米飯塊とする成形装置においては、米飯が収納される成形空間が常に一定であるため、シート状の米飯塊に載置した具材の大きさに応じて次のような問題を生じていた。例えば、シート状の米飯塊に載置した具材が大きい場合、シート状の米飯塊をおにぎり状米飯塊に成形した際、具材が米飯に押圧されて潰れる虞があった。また、シート状の米飯塊に載置した具材が小さい場合、シート状の米飯塊からおにぎり状米飯塊に成形した際におにぎり状米飯塊の内部に形成される具材の収納空間内において米飯と具材との間に隙間が生起され、シート状の米飯塊からおにぎり状米飯塊に成形した際におにぎり状米飯塊の所定位置に具材が位置しない虞があった。
【0006】
また、従来の米飯成形装置においては、シート状の米飯塊を折り曲げておにぎり状米飯塊とする際、具材の大きさによっては、折り曲げられたシート状の米飯塊の周縁部同士が非接触状態となり、シート状の米飯塊に載置した具材が折り曲げられた米飯内に収納されない虞があった。このように、おにぎり状米飯塊において、周縁部が非接触状態であると、成形されたおにぎり塊の周縁部に隙間が生起され、収納した具材が隙間を介して外部から視認でき、おにぎり塊としての美観を損なう虞があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、シート状の米飯塊に載置した具材がおにぎり状米飯塊への成形時および成形後に移動することなく具材を所定の位置に留まらせることができ、また、成形時に具材を押圧して潰すことなく、ふっくら感を維持して美観を損なうことのないおにぎり状米飯塊を成形することができる米飯成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、所定の形状に予備的に成形され上面に具材が載置されたシート状米飯塊を折り畳んでおにぎり状米飯塊に成形する米飯成形装置であって、搬送部により搬送された前記シート状米飯塊を受ける取り込みコンベアと、前記取り込みコンベアの搬送方向の後方に設けられ、前記取り込みコンベアとともに前記シート状米飯塊を受け、前記シート状米飯塊を折り曲げるための折り曲げ動作を行うように構成された米飯折畳部と、前記折り曲げ動作時に前記シート状米飯塊の移動を規制する移動防止プレートと、前記米飯折畳部の前記折り曲げ動作を制御する折畳ユニット制御部と、を有し、前記米飯折畳部は、前記取り込みコンベアの搬送方向の後方側に設けられ、前記取り込みコンベアの搬送面に対して直角状態となって前記シート状米飯塊の具材載置部に対して前記シート状米飯塊の具材非載置部を直角状に折り曲げ可能とした折畳プレートと、前記取り込みコンベアの搬送方向に対して前記折畳プレートの後方側に設けられ、前記折畳プレートに対して鋭角をなす状態となって前記具材非載置部を前記具材載置部に接触させまで前記シート状米飯塊を折り曲げ可能とした折重ねプレートと、を含み、前記折畳ユニット制御部は、前記折畳プレートを平面視で取り込みコンベアの搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第1ギヤケースと、前記搬送方向に直交する方向を回動軸方向として前記第1ギヤケースに回動可能に支持されるとともに、前記折重ねプレートを前記搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第2ギヤケースと、を備えた、ものである。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記取り込みコンベア、前記折畳プレート、および前記折重ねプレートにより、前記搬送部により搬送された前記シート状米飯塊を受けるセット面を形成した、ものである。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記第2ギヤケースは、前記第1ギヤケースに対して平行状態から前記第1ギヤケースと直交する直交状態となるまでは前記第1ギヤケースに連動して回動し、前記直交状態から前記第1ギヤケースとともに鋭角状をなす状態までは前記第1ギヤケースから独立して回動するように設けられている、ものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定の形状に予備的に成形され上面に具材が載置されたシート状米飯塊を折り畳んでおにぎり状米飯塊に成形する米飯成形装置であって、搬送部により搬送された前記シート状米飯塊を受ける取り込みコンベアと、前記取り込みコンベアの搬送方向の後方に設けられ、前記取り込みコンベアとともに前記シート状米飯塊を受け、前記シート状米飯塊を折り曲げるための折り曲げ動作を行うように構成された米飯折畳部と、前記折り曲げ動作時に前記シート状米飯塊の移動を規制する移動防止プレートと、前記米飯折畳部の前記折り曲げ動作を制御する折畳ユニット制御部と、を有し、前記米飯折畳部は、前記取り込みコンベアの搬送方向の後方側に設けられ、前記取り込みコンベアの搬送面に対して直角状態となって前記シート状米飯塊の具材載置部に対して前記シート状米飯塊の具材非載置部を直角状に折り曲げ可能とした折畳プレートと、前記取り込みコンベアの搬送方向に対して前記折畳プレートの後方側に設けられ、前記折畳プレートに対して鋭角をなす状態となって前記具材非載置部を前記具材載置部に接触させまで前記シート状米飯塊を折り曲げ可能とした折重ねプレートと、を含み、前記折畳ユニット制御部は、前記折畳プレートを平面視で取り込みコンベアの搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第1ギヤケースと、前記搬送方向に直交する方向を回動軸方向として前記第1ギヤケースに回動可能に支持されるとともに、前記折重ねプレートを前記搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第2ギヤケースと、を備えた構成により、シート状米飯塊に載置した具材を移動させることなくおにぎり状米飯塊に成形でき、成形後のおにぎり状米飯塊の所定位置に具材を位置させることができる。また、折重ねプレートを折畳プレートに対して鋭角をなす態様まで折れ曲がって前記具材非載置部を前記具材載置部に接触させる態様まで折り曲げ可能としたことにより、シート状米飯塊に載置した具材がシート状米飯塊を折り曲げておにぎり状米飯塊に成形した際に米飯内に確実に具材を内包することができる。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、前記取り込みコンベア、前記折畳プレート、および前記折重ねプレートにより搬送された前記シート状米飯塊を受けるセット面を形成したことにより、成形されたおにぎり状米飯塊が取り込みコンベア上に載置された態様となり、取り込みコンベアを駆動させるだけでおにぎり状米飯塊を次工程に搬送することができる。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、前記第2ギヤケースは、前記第1ギヤケースに対して平行状態から前記第1ギヤケースと直交する直交状態となるまでは前記第1ギヤケースに連動して回動し、前記直交状態から前記第1ギヤケースとともに鋭角状をなす状態までは前記第1ギヤケースから独立して回動するように設けられていることにより、シート状米飯塊を折り畳む過程において米飯塊に局所的な荷重をかけることなく所望の形態に変態できる。また、前記直交状態から前記第1ギヤケースとともに鋭角状をなす状態までは前記第1ギヤケースから独立して回動するように設けられていることにより、シート状米飯塊に載置した具材の大きさに応じて折畳プレートに対する折重ねプレートの角度を調整でき、折り畳まれるシート状米飯塊の押圧力を調整して、ふっくら感を維持しつつ、美観を保持したおにぎり状米飯塊を成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る米飯成形装置を示す正面側斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る米飯成形装置を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る米飯成形装置の米飯折畳部を示す斜視図であり(a)は前側の上方から見た斜視図であり、(b)は後側の上方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る米飯成形装置の米飯成形部の動作を示す模式図であり、(a)は折り畳む前の状態を示す図であり、(b)は折畳途中段階を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る米飯成形装置の米飯成形部の動作を示す模式図であり、(a)はシート状米飯塊をおにぎり状米飯塊に成形した状態を示す図であり、(b)は成形したおにぎり状米飯塊の搬送状態を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る米飯成形部の動きを示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る米飯成形部の動きを示す模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る折畳ユニット制御部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、供給されたシート状米飯塊をおにぎり状米飯塊に成形する米飯成形装置において、搬送部から供給された米飯塊の折り畳み方を工夫することにより、成形されたおにぎり状米飯塊の所定位置に具材が収納され、また、米飯塊に収納された具材が圧潰することなくふっくら感を維持したおにぎり状米飯塊を提供できる米飯成形装置である。以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る米飯成形装置Mの全体構成について
図1から
図8を用いて説明する。
図1は、米飯成形装置Mの斜視図である。
図2は、米飯成形装置Mの平面図である。また、
図3は、米飯折畳部21を示す斜視図である。
図4および
図5は、シート状米飯塊Rをおにぎり状米飯塊Bに変態させる様子を示す模式図である。
図6および
図7は、折畳プレート40および折重ねプレート50の動作を示す模式図である。
図8は、折畳ユニット制御部3を示す平面図である。なお、本実施形態を説明する上で
図2における左右方向を米飯成形装置Mにおける左右方向として説明し、
図2における上下方向を米飯成形装置Mにおける前後方向として説明する。また、本実施形態における米飯成形装置Mに供給されるシート状米飯塊Rは、扁平平板状に形成されたシート状の米飯塊である。本実施形態では、平面視で略菱形形状のシート状米飯塊Rを例示して説明する。
【0017】
本実施形態におけるシート状米飯塊Rは、
図2に示すように、おにぎり形状に変態した際の底面部をなす中央面部R3と、中央面部R3の前後端縁部を底辺とする略三角形状に形成された具材載置部R1および具材非載置部R2とを含み、これらの部分によって平面視で略菱形形状(略六角形状)をなすシート状の米飯塊である。シート状米飯塊Rは、平面視において、中央面部R3に対する具材載置部R1および具材非載置部R2の配置側を長手方向とするとともに、長手方向に直交する方向を短手方向とし、長手方向および短手方向の各方向について対称または略対称の形状を有する。シート状米飯塊Rは、具材載置部R1に具材が載置され、搬送部1を右側から左側に向けて搬送される。
【0018】
米飯成形装置Mは、所定の形状に予備的に成形され、具材載置部R1に具材が載置されたシート状米飯塊Rを所定の場所まで搬送する搬送部1により搬送されたシート状米飯塊Rを受ける取り込みコンベア60と、取り込みコンベア60とともに搬送部1により搬送されたシート状米飯塊Rを受け、シート状米飯塊Rをおにぎり状米飯塊Bに成形する米飯成形部2と、米飯成形部2の折り畳み動作を制御する折畳ユニット制御部3とを有する。
【0019】
搬送部1は、左右方向に沿って配設された搬送コンベア10と、搬送コンベア10の搬送方向の終端部近傍に設けた米飯送出具14とを有する。
【0020】
搬送コンベア10は、図示しない米飯塊成形部により平面視で略菱形形状に成形されたシート状米飯塊Rを搬送して取り込みコンベア60および米飯成形部2に送り出すための構成である。搬送コンベア10は、搬送方向を左右方向に沿わせ、右側から左側に向かう方向を搬送方向としている。
【0021】
搬送コンベア10は、その搬送方向(以下「コンベア搬送方向」という。)の前後両端に設けられた支持ローラ11(コンベア搬送方向の下手側の支持ローラ11のみ図示)と、これらの支持ローラ11に対して巻回状態で設けられた無端状のコンベアベルト12とを有し、コンベアベルト12により略水平状の搬送面13をなしている。コンベアベルト12は、その搬送面13の幅寸法を搬送面13に載置するシート状米飯塊Rの長手方向の長さよりも若干長めに形成している。すなわち、コンベアベルト12は、具材載置部R1の先端部(前端部)から具材載置部R1に重ね合わされる具材非載置部R2の先端部(後端部)までの長さよりも若干長めに形成されている。シート状米飯塊Rは、搬送コンベア10の搬送面13上に長手方向を前後方向(搬送面13の幅方向)に沿わせるように載置され、コンベアベルト12の駆動により間欠的に左方に向けて搬送される。搬送面13上において、シート状米飯塊Rは、コンベア搬送方向について所定のピッチで配置されており、搬送コンベア10は、シート状米飯塊Rの配置のピッチに応じて間欠的な搬送動作を行うように構成されている。
【0022】
米飯送出具14は、支持ブラケット15を介して、米飯成形装置MのハウジングH内に配設した駆動手段に支持されている。支持ブラケット15は、下側の基端部を駆動手段に連結させて上方に向けて鉛直状に伸延している。米飯送出具14は、略L字状に屈曲した板状の部分である送出具本体14Aを有する。送出具本体14Aは、下部を支持ブラケット15に連結させた鉛直部14aと、鉛直部14aの上端部から搬送コンベア10側に直角に屈曲して水平状に伸延した水平部14bとを有する(
図1参照)。ハウジングH内に収納された駆動手段は、昇降動作および左右揺動動作が可能に構成されている。支持ブラケット15は、駆動手段の動作によって昇降動作および左右揺動可能に設けられている。
【0023】
米飯送出具14は、その動作範囲について、水平部14bを搬送コンベア10の搬送面13上に沿わせた搬送位置から、搬送コンベア10の搬送面13に対して平行状態としつつ搬送位置に対して一定距離上方に移動した待機位置までの範囲で上下方向および左右方向(コンベア搬送方向)に平行移動可能に設けられている。つまり、米飯送出具14は、駆動手段により、水平部14bを搬送コンベア10の搬送面13に対して常に平行状態を維持しつつ、搬送位置と待機位置のいずれかの位置で一時的に停止しながら両位置間を移動するように設けられている。
【0024】
米飯送出具14の水平部14bには、シート状米飯塊Rに接触し、押出し作用する送出具16を連結している。送出具16は、上下方向を板厚方向とした矩形板状の外形を有し、シート状米飯塊Rと接触する側の面部を作用部17としている。送出具16は、下側の板面を平坦な底面とし、米飯送出具14の搬送位置にある状態において、底面を搬送面13に接触ないし略接触させる。作用部17は、搬送面13上に載置されたシート状米飯塊Rに対して右側(コンベア搬送方向の上手側)から長手方向について側面部の略全体にわたる範囲に接触できるように形成されている。また、送出具16は、板厚方向の寸法をシート状米飯塊Rの厚さよりも大きくし、シート状米飯塊Rの厚さ方向については、シート状米飯塊Rの側面部の全体にわたる範囲に作用部17を接触させる。
【0025】
米飯送出具14は、シート状米飯塊Rに対する作用部17において、シート状米飯塊Rの側面部の平面視形状に沿う形状を有する。具体的には、米飯送出具14は、上下方向を板厚方向とする板状部分である送出具16を有し、この送出具16の左側の側面部を、平面視でシート状米飯塊Rの側面部の突形状に合致する凹形状をなす凹部とし、かかる凹部を作用部17としている。詳細には、送出具16は、凹形状をなす部分として、前後両側に平面視で前後外側を直角側とし、左側を斜辺側とする略直角三角形状に沿う係止突起部16a、16aを有する。送出具16は、前後両側の係止突起部16a、16aの斜面と、これらの間の平面部16bとにより、シート状米飯塊Rの右側の側面部に沿った形状部をなし、かかる部分をシート状米飯塊Rに対する作用部17としている。
【0026】
また、米飯送出具14は、駆動手段により、左右方向に往復移動可能に設けられている。米飯送出具14を左右方向に移動させるための構成としては、例えばエアシリンダ等のシリンダ機構の伸縮動作によって米飯送出具14を前後往復移動させる構成が用いられる。なお、米飯送出具14の左右方向に対する移動手段は、上述した構成に限定されず、米飯送出具14が左右方向に揺動可能であれば、どのように構成されていてもよい。
【0027】
米飯送出具14は、後進端の位置である後退位置から、前進端の位置である前進位置までの範囲で、左右方向に移動可能に設けられている。米飯送出具14は、後退位置にある状態で、送出具16を、搬送コンベア10の搬送面13上の端部停止位置にあるシート状米飯塊Rの右方の直近に位置させる(
図2参照)。また、米飯送出具14は、前進位置にある状態で、米飯折畳部21のセット面20上にシート状米飯塊Rを位置させるように、送出具16の少なくとも一部をセット面20上に位置させる。
【0028】
以上のような構成を備えた米飯送出具14は、次のように動作する。米飯送出具14は、水平状態の送出具16の後進端から前進端への移動である送出動作により、搬送面13上からシート状米飯塊Rを左方に向けて押し出し、シート状米飯塊Rを米飯成形装置Mに供給する。搬送コンベア10によって搬送されてくるシート状米飯塊Rを連続的に送り出すために連続的に繰り返される米飯送出具14のサイクル動作において、米飯送出具14が搬送コンベア10の上方の待機位置かつ後退位置にある状態を開始状態とする。この開始状態において、搬送面13上のコンベア搬送方向の下手側の端部停止位置には、シート状米飯塊Rが存在している。米飯成形装置Mにおいては、シート状米飯塊Rが折畳状態となっておにぎり状米飯塊Bへの成形動作がなされる。
【0029】
搬送コンベア10の終端側には、搬送コンベア10と、取り込みコンベア60および米飯折畳部21との間に、介装部材18が設けられている。介装部材18は、コンベアベルト12の搬送面13と略面一状となる位置、または搬送面13よりも低位置に位置する水平状の案内面18aを有する。案内面18aは、前後方向を長手方向とする矩形状の面であり、長手方向について搬送面13の幅寸法と略同じ長さを有し、取り込みコンベア60および米飯折畳部21によって形成されるセット面20に連続またはわずかな隙間を隔てて略連続する。すなわち、搬送面13の下流側の端部とセット面20との間に案内面18aが介在しており、搬送面13、案内面18a、およびセット面20により、シート状米飯塊Rがスライド移動する面として略連続した水平な面一状の面が形成される。本実施形態のセット面20は、取り込みコンベア60の搬送面と、米飯折畳部21を構成する折畳プレート40の上面と、折重ねプレート50の上面とにより形成された面であり、シート状米飯塊Rをおにぎり状米飯塊Bに成形するためのシート状米飯塊Rの設置面である。
【0030】
米飯成形装置Mは、これらの各部を動作させるための駆動源や駆動機構等を収納したボックス状のハウジングHを有する。ハウジングHは、水平状の上面部(以下「ハウジング上面部」という。)H1を有し、ハウジング上面部H1上に、米飯成形部2および折畳ユニット制御部3が設けられている。ハウジングHは、その下側に所定の脚部を有し、床面G上に設置されている。
【0031】
米飯成形部2は、
図3~5に示すように、具材載置部R1に具材が乗せられたシート状米飯塊Rをその長手方向について略半分に折り畳み、平面視で略三角形状ないし略台形状をなすおにぎり状米飯塊Bに成形する装置部分であり、おにぎり塊を形成するための予備成形装置部分である。
【0032】
米飯成形部2は、搬送コンベア10の下流側に設けられ、米飯送出具14の動作により、搬送コンベア10の下流側端部(終端部)から送り出されたシート状米飯塊Rの供給を受け、そのシート状米飯塊Rを長手方向の略中央部から2つ折りにすることで、具材を包み込んだおにぎり状米飯塊Bを形成する。本実施形態において、米飯成形部2は、搬送コンベア10における搬送姿勢を保持した状態のシート状米飯塊Rを載置状態で受け入れ、シート状米飯塊Rの具材非載置部R2を具材載置部R1の上側に折り重ねるようにしてシート状米飯塊Rを折り畳み、これをおにぎり状米飯塊Bとする。
【0033】
米飯成形部2は、折畳プレート40、折重ねプレート50、および取り込みコンベア60によりセット面20を形成するとともに、セット面20の上方に移動防止プレート30を有する。また、折畳プレート40と折重ねプレート50は、シート状米飯塊Rに成形作用する米飯折畳部21を構成している。米飯折畳部21は、その上面部を平面状とするように平板状の形態をなす状態を、シート状米飯塊Rの供給を受ける平坦状態とし、かかる平坦状態から、シート状米飯塊Rを折畳成形すべく、全体として屈曲状の形態をなすように折り畳まれた折畳状態となる。
【0034】
米飯折畳部21の平坦状態は、搬送コンベア10から送り出されたシート状米飯塊Rの供給を受けてこれを載置させる平坦なセット面20の一部をなすように開いた状態である。米飯折畳部21は、平坦状態において、取り込みコンベア60とともにセット面20を形成する。米飯折畳部21の折畳状態は、セット面20の一部(後部)を屈曲させることで、セット面20上にセットされたシート状米飯塊Rを折り畳み、取り込みコンベア60とともにシート状米飯塊Rを挟持するように閉じた状態である。
【0035】
米飯折畳部21を構成する折畳プレート40、折重ねプレート50は、幅寸法(左右方向の寸法)を略一定とし、平坦状態の米飯折畳部21(以下単に「平坦状態」ともいう。)において、後側から前側にかけて折重ねプレート50、折畳プレート40の順に並んでいる。
【0036】
移動防止プレート30は、シート状米飯塊Rの長手方向の一側(前側)の部分に沿う外形を有する板状の部分である移動防止部33を有する。移動防止プレート30は、米飯折畳部21を制御するボックス状に形成された制御ボックス70の右側面から左右方向に沿って右方向に伸延した回動支持軸31に支持ステー32を介して移動防止部33を支持している。移動防止部33は、支持ステー32の先端部に設けられている。
【0037】
回動支持軸31は、左右方向を軸方向とする軸部材である。支持ステー32は、回動支持軸31に対して固定状態で支持されている。移動防止部33は、支持ステー32に対して固定状態で支持されている。移動防止プレート30を構成する回動支持軸31、支持ステー32および移動防止部33は、回動支持軸31の軸回りに一体的に回動する。
【0038】
移動防止プレート30は、その回動範囲について、移動防止部33を取り込みコンベア60の搬送面61上に沿わせた移動規制状態から、移動防止部33を前斜め下方に向くように搬送面61に対して上方に離隔させた傾斜状態までの範囲で回動するように設けられている。つまり、移動防止プレート30は、その回動動作により、移動規制状態または傾斜状態のいずれかの状態となる。
【0039】
移動防止部33は、平坦な底面33aを有し、移動防止部33の移動規制状態において、底面33aを取り込みコンベア60の搬送面61に接触ないし略接触させる。また、移動防止部33は、シート状米飯塊Rに接触する部分となる作用部34を有する。作用部34は、少なくとも搬送面61上のシート状米飯塊Rの前端部を受け入れる切欠き状の凹部である。作用部34は、シート状米飯塊Rの略台形状の平面視形状に沿う外形をなす側面として、右側斜面34aと、左側斜面34bと、左右の斜面を滑らかに連結する曲面である中間面34cとを有する(
図2参照)。
【0040】
折畳プレート40は、左右方向を長手方向とする略矩形板状の部分であって、短手方向(平坦状態における前後方向)について、折重ねプレート50の略半分の寸法を有する。折畳プレート40は、移動防止プレート30の後側において、左右方向を回動軸方向として回動可能に設けられている。
【0041】
折畳プレート40は、一方の板面(上面)を、平坦状態において、上側を向く成形面41とし、成形面41により、セット面20の前後中間部を形成する。折畳プレート40は、取り込みコンベア60に対して、成形面41を取り込みコンベア60の搬送面61と略面一状とする水平状態から、取り込みコンベア60とともに直角状をなすように搬送面61に対して垂直状となる垂直状態までの範囲(略90°の回動範囲)で回動するように設けられている。
【0042】
折畳プレート40の成形面41には、シート状米飯塊Rの中央面部R3を位置させる凹部41aが形成されている。凹部41aは、折畳プレート40の長手方向の両端部を除いた中間部の全体にわたって形成されており、平坦な底面と左右の側面とを有するとともに成形面41の幅方向の両側を開放させた形状を有する。
【0043】
折畳プレート40は、他方の板面である底面42側を支持ブラケット82に支持させている。支持ブラケット82は、折畳ユニット制御部3を構成する第1ギヤケース80の底面81から左右方向に沿って右方向に伸延している。つまり、折畳プレート40は、底面42を支持ブラケット82に対する固定面として支持ブラケット82に支持され、支持ブラケット82を介して第1ギヤケース80に連結されている。支持ブラケット82は、略方形状に形成された板状の部分であり、前後幅員を折畳プレート40と略同一長に形成されている。支持ブラケット82の基端部は、第1ギヤケース80の底面81にボルト等の締結部材により固定されている。すなわち、支持ブラケット82は、第1ギヤケース80と一体に設けられている。なお、第1ギヤケース80の詳細については、後述する。
【0044】
折重ねプレート50は、一方の板面(上面)を、平坦状態において上側を向く成形面51とし、成形面51により、セット面20の後側の部分を形成する。折重ねプレート50は、折畳プレート40に対して、成形面51を水平状態の折畳プレート40の成形面41と略面一状とする水平状態から、垂直状態の折畳プレート40の成形面41に対して鋭角状をなす態様までの範囲で回動するように設けられている。
【0045】
折重ねプレート50は、その成形面51によってセット面20の一部を形成する水平状態から、折畳プレート40に対する相対回動をともなって成形面51を取り込みコンベア60の搬送面61に上方から対向させて平行状態となるまでの範囲で回動し、その後、折畳プレート40から独立して折重ねプレート50が回動して、折畳プレート40に対して鋭角状をなす態様まで回動可能に設けられている。折重ねプレート50の成形面51が後端部から前端部にかけて下方傾斜状(前下がりの傾斜状)となるまで折畳プレート40および折重ねプレート50を回動した状態が、米飯折畳部21の折り畳み状態に相当する。
【0046】
折重ねプレート50の成形面51には、シート状米飯塊Rの具材非載置部R2の平面視形状である略台形状に沿う凹部52が形成されている。凹部52は、平面視において、折重ねプレート50の左右方向について対称的に形成されており、前側を開放させている(
図3参照。)。凹部52は、米飯折畳部21の平坦状態において、折畳プレート40の凹部41aと連続してシート状米飯塊Rの具材非載置部R2および中央面部R3の下面側の部分を嵌合させた態様で位置させる位置決め用の凹部をなす。
【0047】
折重ねプレート50は、他方の板面(下面)側を支持ブラケット92に支持させている。支持ブラケット92は、第2ギヤケース90の下面から左右方向に沿って右方向に伸延した平板状に形成されている。折重ねプレート50は、支持ブラケット92により、第2ギヤケース90に連結されている。支持ブラケット92の基端部は、第2ギヤケース90の底面91にボルト等の締結部材で固定されている。折重ねプレート50は、第2ギヤケース90と支持ブラケット92を介して一体に変位する。すなわち、第2ギヤケース90は、折重ねプレート50と一体的に回動する。
【0048】
以上のような構成を備えた米飯折畳部21は、シート状米飯塊Rの折り畳み動作を行う。米飯折畳部21の折り畳み動作は、米飯折畳部21の左方であってハウジング上面部H1に載置した折畳ユニット制御部3により制御される。
【0049】
折畳ユニット制御部3は、米飯折畳部21に折り曲げ動作をさせるための構成であり、折畳プレート40および折重ねプレート50を回動操作するための操作機構部を備える。折畳ユニット制御部3は、ボックス状に形成された制御ボックス70を備えるとともに、操作機構部において、制御ボックス70の右側面から左右方向に沿って右方向に伸延した中空状の第1回動軸83と、第1回動軸83の先端部に連結した第1ギヤケース80と、第1回動軸83の中空部内に設けられ先端部を第1ギヤケース80に挿通した第2回動軸84と、第1ギヤケース80に回動可能に支持された第2ギヤケース90とを有する。
【0050】
第1回動軸83は、
図8に示すように、先端部に第1ギヤケース80と連結するためのフランジ部83aを有する。フランジ部83aは、第1回動軸83の先端部を半径方向外側に張り出させた円板状の拡径部分であり、第1回動軸83の一部として形成されている。フランジ部83aは、ボルト等の締結部材を介して第1ギヤケース80に連結固定されている。
【0051】
第1ギヤケース80は、略ボックス状に形成されており、直方体状の外形を有し、制御ボックス70内に設けたモータ等の動作により、折畳プレート40を水平状態から垂直状態に変位させるための部分である。支持ブラケット82は、先端側の上面を折畳プレート40の底面42に連結固定している。
【0052】
また、第1ギヤケース80は、折り畳み制御ボックス70の右側面から左右方向に沿って右方向に伸延した第1回動軸83の先端部に形成したフランジ部83aに連結固定されている。第1回動軸83は、折り畳み制御ボックス70内に設けたモータ等の動作により、取り込みコンベア60に直交する方向を回動軸方向として回動可能に設けられている。第1ギヤケース80は、第1回動軸83の軸心C1回りに第1回動軸83と一体的に回動する。第1回動軸83の中空部には、折り畳み制御ボックス70にモータ等の駆動部を備えた第2回動軸84を挿通している。第2回動軸84は、その軸心を第1回動軸83の軸心C1と一致させるように配置されている。
【0053】
第1ギヤケース80は、第2回動軸84の先端部に連結した第1ギヤ85と、第1ギヤ85に噛合した状態で第1ギヤ85の外周面に沿って回動する第2ギヤ86とを収納している。第1ギヤ85および第2ギヤ86は、遊星ギヤとしての第2ギヤ86が太陽ギヤとしての第1ギヤ85の外周面を回動する遊星歯車装置を構成している。
【0054】
第1ギヤ85は、第2回動軸84の先端部に連結支持されている。つまり、第1ギヤ85は、第2回動軸84の右側の端部に固設されている。第1ギヤ85は、第2ギヤ86に噛合するギヤ面をなすギヤ部85aを有する。
【0055】
第2ギヤ86は、第1ギヤ85のギヤ部85aに噛合するギヤ部86aと、第2ギヤ86の左右側面の中心部に形成され左右両側に突出した支持軸部86bとを有する。第2ギヤ86は、左側の支持軸部86bにより、第1ギヤケース80の左側壁面部に回動可能に支持されている。第2ギヤ86の右側(セット面20側)の支持軸部86bは、第1ギヤケース80の右側壁面から外部に突出しており、その突出部分に第2ギヤケース90を相対回転不能に連結している。したがって、第2ギヤケース90は、第1ギヤケース80に対して、第2ギヤ86の軸心C2を中心として、第2ギヤ86と一体的に回動する。
【0056】
第2ギヤケース90は、セット面20の平坦状態において、前後方向を長手方向とする略ボックス状に形成され、直方体状の外形を有している。第2ギヤケース90は、その長手方向の一側の端部である前端部近傍に支持軸部86bを連結させている。第2ギヤケース90は、第1ギヤケース80の回動に連動して回動する。すなわち、第2ギヤケース90は、第1回動軸83による第1ギヤケース80の回動と、第1ギヤケース80の回動にともなう第2ギヤ86の回動により、取り込みコンベア60の搬送面61に対して第1ギヤケース80の略2倍の回動量で回動する。したがって、第1ギヤケース80および第2ギヤケース90が長手方向を前後方向に沿わせた状態から同じ向きに連動して回動する構成において、第2ギヤケース90の回動速度(角速度)が第1ギヤケース80の略2倍となり、第1ギヤケース80が搬送面61に対して直角をなすように略90度回動した時点で、第2ギヤケース90は、搬送面61に対して略180度回動して、搬送面61に対して平行をなす態様に変位する。
【0057】
また、第2ギヤケース90は、第2回動軸84の回動に連動して、第1ギヤケース80に対して相対回動する。その動作を詳細に説明すると、第2回動軸84が右方からの回動軸方向視(右側面視)で反時計回りに回動することにともない(
図6(b)、矢印A1参照)、第1ギヤ85が第2回動軸84と一体的に回動する。この第1ギヤ85の回動により、第1ギヤ85に噛合した第2ギヤ86が第1ギヤ85の回動方向と反対方向に回動する(
図6(b)、矢印A2参照)。この第2ギヤ86の回動にともない、第2ギヤ86の右側の支持軸部86bに連結固定された第2ギヤケース90が第2ギヤ86と同一の回動方向に回動する。このような第2回動軸84の回動にともなう第2ギヤケース90の回動は、折畳プレート40と一体的に軸心C1回りに回動する第1ギヤケース80とは無関係に行われる。つまり、第2回動軸84の回動が第1ギヤ85および第2ギヤ86を介して第2ギヤケース90に伝わり、第2ギヤケース90と一体的に軸心C2回りに回動する折重ねプレート50を、折畳プレート40から独立して回動させることができる。
【0058】
以上のような構成を備えた米飯成形部2および折畳ユニット制御部3によれば、
図4(a)に示すように、米飯折畳部21では、シート状米飯塊Rを平坦状態から折畳状態に変位させる際に、シート状米飯塊Rの具材載置部R1の先端部を移動防止プレート30の移動防止部33に係合することにより、シート状米飯塊Rの前方への移動が規制される。
【0059】
その後、
図4(b)に示すように、米飯折畳部21では、折畳ユニット制御部3の第1ギヤケース80および第2ギヤケース90を回動させることによりシート状米飯塊Rを2つ折りに折り畳んだ米飯塊rを形成する。ここで、第1ギヤケース80を回動させる第1回動軸83、および第2ギヤケース90を第1ギヤケース80に対して相対回動させる第2回動軸84は、同一の回転方向・回動量で回動する。
【0060】
その後、
図5(a)に示すように、米飯折畳部21では、取り込みコンベア60の搬送面61に対して平行状態の折重ねプレート50を、折畳プレート40に対する相対動作として、搬送面61に対して折重ねプレート50の先端部から後端部にかけて下方傾斜状に変位させる。ここで、折畳プレート40に対する折重ねプレート50の相対回動は、停止状態の第1回動軸83に対する第2回動軸84の回動によって行われる。このような折重ねプレート50の追加的な回動動作により、シート状米飯塊Rを構成する具材載置部R1の周縁部と具材非載置部R2の周縁部とが接合したおにぎり状米飯塊Bを形成することができる。
【0061】
図5(b)に示すように、成形されたおにぎり状米飯塊Bは、平面視において、全体が取り込みコンベア60の搬送面61に載置された状態となり、取り込みコンベア60の搬送面61を下流側に移動させることにより、次工程のおにぎり成形部に搬送され、米飯成形部2における成形作業が終了する。なお、
図4(a)、(b)および
図5(a)、(b)においては、便宜上、移動防止部33についてのみ左右方向の中心位置の断面を示している。
【0062】
このように本実施形態の米飯成形装置Mは、取り込みコンベア60の搬送面61の搬送上手側の部分と、折畳プレート40および折重ねプレート50の成形面41,51とにより、シート状米飯塊Rのセット面20を形成しており、このセット面20に対して、シート状米飯塊Rのうち、具材載置部R1を取り込みコンベア60の搬送面61上に、具材非載置部R2を折畳プレート40および折重ねプレート50の成形面41,51上にそれぞれ載置させる。そして、折畳ユニット制御部3によって米飯折畳部21の動作を制御することにより、シート状米飯塊Rの成形時において、具材載置部R1に載置した具材を所定の位置から移動させることなく(ずらすことなく)おにぎり状米飯塊Bを成形することができる。
【0063】
また、米飯成形装置Mは、米飯折畳部21の平坦状態(
図4(a)参照)から、折重ねプレート50および折畳プレート40が側面視で直角状となる直角状態(
図4(b)参照)までは、折畳プレート40の回動に折重ねプレート50を連動させ、直角状態から、折重ねプレート50が折畳プレート40に対して鋭角状をなす鋭角状態(
図5(a)参照)までは、折畳プレート40から独立して折重ねプレート50を回動可能に構成している。
【0064】
すなわち、第2ギヤケース90は、第1ギヤケース80に対する平行状態から第1ギヤケース80とともに鋭角状をなす状態までの回動範囲について、第1ギヤケース80に連動して回動する第1の回動範囲と、第1ギヤケース80から独立して回動する第2の回動範囲とを有する。第1ギヤケース80と第2ギヤケース90とがなす角度は、右側面視において、第1ギヤケース80の長手方向に沿う第1の直線L1と、第2ギヤケース90の長手方向に沿う第2の直線L2とがなす角度αである。右側面視において、第1の直線L1は、折畳プレート40の成形面41に沿った方向であり、第2の直線L2は、折重ねプレート50の成形面51に沿った方向となる。
【0065】
第2ギヤケース90の第1ギヤケース80に対する平行状態は、角度αが180°または略180°の状態である。そして、第2ギヤケース90の第1ギヤケース80に対する平行状態から、角度αが90°または略90°となる直角状態までが、第1の回動範囲となり、直角状態から、第2ギヤケース90が第1ギヤケース80とともに鋭角状をなす鋭角状態となるまでが、第2の回動範囲となる。鋭角状態における角度αは、例えば80~89°である。
【0066】
このような構成によれば、おにぎり状米飯塊Bに収納される具材の大きさに応じて具材非載置部R2の押圧力を調整でき、シート状米飯塊Rからおにぎり状米飯塊Bに成形する際、具材を押圧して潰すことなく、また、おにぎり状米飯塊Bを構成する米飯を潰すことなくふっくら感を維持したおにぎり状米飯塊Bを成形できる。
【0067】
米飯折畳部21が直角状態から鋭角状態となるまでの折重ねプレート50の回動角度は、例えば、1~10°程度であり、好ましくは、2~5°程度である。
【0068】
上述した米飯成形部2において、搬送部1から米飯成形部2のセット面20に送り出されたシート状米飯塊Rをおにぎり状米飯塊Bに成形する際の米飯折畳部21の動作について説明する。
【0069】
米飯塊成形部により菱形形状に成形されたシート状米飯塊Rは、搬送部1の搬送コンベア10の搬送中に具材載置部R1に所定の具材の載置を受けつつ、左方の米飯成形部2に搬送される。ここで、搬送コンベア10は、隣り合うシート状米飯塊R間のピッチに応じた搬送動作を間欠的に行う。
【0070】
搬送コンベア10の間欠的な搬送動作によって搬送コンベア10の終端部まで搬送されたシート状米飯塊Rは、米飯送出具14の作用部17により、搬送コンベア10の終端部から左方に向けて払い出され、長手方向を前後方向に沿わせた態様を維持しつつコンベアベルト12の搬送面13上から介装部材18の案内面18aを介して米飯成形部2のセット面20上にスライド移動する。
【0071】
搬送面13からセット面20に移送されたシート状米飯塊Rは、折畳プレート40の成形面41、折重ねプレート50の成形面51、取り込みコンベア60の搬送面61に載置される。この際、シート状米飯塊Rは、セット面20において折畳プレート40の凹部41aおよび折重ねプレート50の凹部52によって形成された段差部分によって位置決めされる。詳細には、シート状米飯塊Rの中央面部R3が折畳プレート40において凹部41aの左右の側面をなす位置規制部43に接触するとともに、具材非載置部R2が折重ねプレート50の凹部52内に位置することで、シート状米飯塊Rが位置決めされる。これにより、シート状米飯塊Rの具材載置部R1の先端部と具材非載置部R2の先端部とを結ぶ直線が前後方向に沿う方向となる。すなわち、搬送面13からセット面20に移送されたシート状米飯塊Rは、送出具16の作用部17と折畳プレート40の位置規制部43により長手方向が前後方向に沿う向きでセット面20上に載置される。
【0072】
シート状米飯塊Rがセット面20に載置されると、折畳ユニット制御部3の制御ボックス70内に設けたモータ等の駆動装置が駆動して右側面視において、時計回りに第1回動軸83を回動させる。
【0073】
第1回動軸83の回動に伴い、フランジ部83aを介して第1回動軸83に連結した第1ギヤケース80が第1回動軸83と同一の方向に回動する。すなわち、第1ギヤケース80は、右側面視において、時計回りに回動する。ここで、第1回動軸83は、取り込みコンベア60の搬送面61に対して第1ギヤケース80が直交する状態となるまで第1ギヤケース80を回動させる。つまり、第1ギヤケース80は、その長手方向を前後方向に沿わせた状態から略90度回動する。
【0074】
第1ギヤケース80が、右側面視において時計回りに回動すると、第1ギヤケース80の左側壁面に支持された第2ギヤ86が第1ギヤ85に噛合した状態を保持しながら第1ギヤ85の周面に沿って移動する。ここで、第2ギヤ86は、第1ギヤケース80の軸心C1回りの回動方向と同一方向に、軸心C2回りに回動する。これにより、第2ギヤケース90は、第2ギヤ86と一体的に軸心C2回りに回動する。
【0075】
第1ギヤケース80および第2ギヤケース90が、回動軸方向視において両ギヤケースが長手方向同士を略直交させる直角状態まで回動した後、第1回動軸83の中空部に挿通した第2回動軸84を、右側面視において反時計回りに回動させる。第2回動軸84が反時計回りに回動することにより、第1ギヤ85および第2ギヤ86を介して、第2ギヤケース90が、右側面視において時計回りに回動し、折重ねプレート50を前下がりとなる下方傾斜状に変位させる。これにより、米飯折畳部21が鋭角状態となる。
【0076】
このように、米飯成形装置Mは、セット面20に載置されたシート状米飯塊Rから、第1回動軸83の回動に伴い、折り畳んだ米飯塊rを形成し、折り畳んだ米飯塊rの形態から、さらに、第2回動軸84を回動して第2ギヤケース90を前方に向けて下方傾斜状に変位させることにより、おにぎり状米飯塊Bを形成する。
【0077】
米飯折畳部21の各部の動作により形成されたおにぎり状米飯塊Bは、取り込みコンベア60の搬送面61を前方に移動させることにより、おにぎり製造工程に搬送される。これにより、米飯成形部2による、シート状米飯塊Rをおにぎり状米飯塊Bとする成形作業が終了する。
【0078】
本実施形態に係る米飯成形装置Mによれば、搬送部1により搬送されたシート状米飯塊Rを受ける取り込みコンベア60と、取り込みコンベア60の搬送方向の後方に設けられ、取り込みコンベア60とともにシート状米飯塊Rを受け、シート状米飯塊Rを折り曲げるための折り曲げ動作を行うように構成された米飯折畳部21と、折り曲げ動作時にシート状米飯塊Rの移動を規制する移動防止プレート30と、米飯折畳部21の折り曲げ動作を制御する折畳ユニット制御部3と、を有することにより、シート状米飯塊Rに載置した具材を移動させることなくおにぎり状米飯塊Bに成形でき、成形後のおにぎり状米飯塊Bの所定位置に具材を位置させることができる。
【0079】
また、米飯折畳部21は、取り込みコンベア60の搬送方向の後方側に設けられ、取り込みコンベア60の搬送面61に対して直角状態となってシート状米飯塊Rの具材載置部R1に対してシート状米飯塊Rの具材非載置部R2を直角状に折り曲げ可能とした折畳プレート40と、取り込みコンベア60の搬送方向に対して折畳プレート40の後方側に設けられ、折畳プレート40に対して鋭角をなす状態となって具材非載置部R2を具材載置部R1に接触させるまでシート状米飯塊Rを折り曲げ可能とした折重ねプレート50と、を含む構成により、シート状米飯塊Rに載置した具材がシート状米飯塊Rを折り曲げておにぎり状米飯塊Bに成形した際に米飯内に確実に具材を内包することができる。
【0080】
また、折畳ユニット制御部3は、折畳プレート40を平面視で取り込みコンベア60の搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第1ギヤケース80と、取り込みコンベア60の搬送方向に直交する方向を回動軸方向として第1ギヤケース80に回動可能に支持されるとともに、折重ねプレート50を搬送方向に直交する方向を回動軸方向として回動可能に支持する第2ギヤケース90と、を備えたことにより、折畳プレート40と折重ねプレート50の平行状態を保ちつつ回動することができ、シート状米飯塊Rから具材載置部R1と具材非載置部R2の周縁部同士が重なり合ったおにぎり状米飯塊Bを成形できる。
【0081】
また、取り込みコンベア60、折畳プレート40、および折重ねプレート50により、搬送部1により搬送されたシート状米飯塊Rを受けるセット面20を形成したことにより、シート状米飯塊Rの具材載置部R1がセット面20の取り込みコンベア60に、シート状米飯塊Rの具材非載置部R2がセット面20の折重ねプレート50に、シート状米飯塊Rの中央面部R3がセット面20の折畳プレート40に支持され、米飯成形部2にてシート状米飯塊Rをおにぎり状米飯塊Bに成形した際、成形後のおにぎり状米飯塊Bが取り込みコンベア60上に載置された状態となり、取り込みコンベア60を駆動させるだけでおにぎり状米飯塊Bを次工程に搬送することができる。
【0082】
また、第2ギヤケース90は、第1ギヤケース80に対して平行状態から第1ギヤケース80と直交する直交状態となるまでは第1ギヤケース80に連動して回動し、直交状態から第1ギヤケース80とともに鋭角状をなす状態までは第1ギヤケース80から独立して回動するように設けられていることにより、シート状米飯塊Rを折り畳む過程においてシート状米飯塊Rに局所的な荷重がかかることなく所望の形態に変態できる。また、直交状態から第1ギヤケース80とともに鋭角状をなす状態までは第1ギヤケース80から独立して回動するように設けられていることにより、シート状米飯塊Rに載置した具材の大きさに応じて折畳プレート40に対する折重ねプレート50の角度を調整でき、折り畳まれるシート状米飯塊Rの押圧力を調整して、成形後のおにぎり状米飯塊Bのふっくら感を保持しつつ、美観も保持したおにぎり状米飯塊Bを成形できる。
【0083】
本発明の一実施の形態を説明したが、上述した説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0084】
1 搬送部
2 米飯成形部
3 折畳ユニット制御部
20 セット面
21 米飯折畳部
30 移動防止プレート
40 折畳プレート
50 折重ねプレート
60 取り込みコンベア
70 制御ボックス
80 第1ギヤケース
90 第2ギヤケース
B おにぎり状米飯塊
R シート状米飯塊
r 米飯塊
M 米飯成形装置
【要約】
【課題】シート状の米飯塊に載置した具材がおにぎり状米飯塊への成形時および成形後に移動することなく具材を所定の位置に留まらせることができ、また、成形時に具材を押圧して潰すことなく、ふっくら感を維持して美観を損なうことのないおにぎり状米飯塊を成形する米飯成形装置を提供する。
【解決手段】米飯成形装置Mは、搬送部1により搬送されたシート状米飯塊Rを受ける取り込みコンベア60と、シート状米飯塊Rを折り曲げるための米飯折畳部21と、シート状米飯塊Rの移動を規制する移動防止プレート30と、折り曲げ動作を制御する折畳ユニット制御部3と、を有し、米飯折畳部21は、折畳プレート40と、折重ねプレート50と、を含み、折畳ユニット制御部3は、折畳プレート40を回動可能に支持する第1ギヤケース80と、折重ねプレート50を回動可能に支持する第2ギヤケース90と、を備えたものである。
【選択図】
図2