(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電磁式燃料噴射弁用の連結管
(51)【国際特許分類】
F02M 51/06 20060101AFI20231212BHJP
F02M 61/10 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F02M51/06 K
F02M51/06 U
F02M61/10 Z
(21)【出願番号】P 2020132356
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕和
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-261093(JP,A)
【文献】国際公開第2009/107293(WO,A1)
【文献】特開2011-121683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 51/06
F02M 61/10
B21D 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ハウジング(Ih)に固定される固定コア(5)と、その固定コア(5)を囲繞するコイル(30)と、前記弁ハウジング(Ih)に摺動可能に収納されて前記コイル(30)への通電時に前記固定コア(5)に吸引される可動コア(12)と、前記弁ハウジング(Ih)の前端部に設けた弁孔(7)を開閉し得る弁体(14)とを備えた電磁式燃料噴射弁(I)において、前記可動コア(12)及び前記弁体(14)間を結合するために用いられる連結管(C)であって、
前記弁ハウジング(Ih)内に該弁ハウジング(Ih)と同心状に配置されて直線状に延びる管本体(13)を備え、前記管本体(13)は、これの中心軸線(X)と平行な一条のスリット(13s)を長手方向全域に亘り有して円筒状に形成され、前記管本体(13)の軸方向一端部には前記可動コア(12)が結合可能な第1結合部(131)が、また軸方向他端部には前記弁体(14)が結合可能な第2結合部(132)がそれぞれ設けられるものにおいて、
前記管本体(13)の、周方向で前記スリット(13s)を挟んで相対向する第1,第2側端面(S1,S2)のうち第1側端面(S1)は、第1凸部(a1)とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部(b1)とよりなる第1凹凸ペア(P1)を、該管本体(13)の前記第1結合部(131)寄りの第1所定部位(13e1)と前記第2結合部(132)寄りの第2所定部位(13e2)とにおいて各々有する一方、前記第2側端面(S2)は、第2凹部(b2)とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部(a)とよりなる第2凹凸ペア(P2)を、前記第1所定部位(13e1)と前記第2所定部位(13e2)とにおいて各々有しており、
各々の前記第1凹凸ペア(P1)の第1凹部(b1)・第1凸部(a1)は、該第1凹凸ペア(P1)と対応する前記第2凹凸ペア(P2)の第2凸部(a2)・第2凹部(b2)にそれぞれ対向するように配置されることを特徴とする、電磁式燃料噴射弁用の連結管。
【請求項2】
前記第1,第2凸部(a1,a2)は、前記スリット(13s)の中心線(13sx)と平行な頂面(a1f,a2f)を先端に各々有しており、
前記各々の第1凹凸ペア(P1)と、その第1凹凸ペア(P1)に対応する前記第2凹凸ペア(P2)とにおいて、前記第1凸部(a1)と前記2凸部(a2)の前記頂面(a1f,a2f)相互の周方向距離(w)は、前記管本体(13)の板厚(t)よりも小さく設定されることを特徴とする請求項1に記載の電磁式燃料噴射弁用の連結管。
【請求項3】
前記管本体(13)の、前記第1,第2所定部位(13e1,13e2)の中間において、前記第1側端面(S1)は、軸方向に隣り合う第1中間凸部(am1)及び第1中間凹部(bm1)よりなる第1中間凹凸ペア(P1′)を少なくとも1組有する一方、前記第2側端面(S2)は、前記第1中間凸部(am1)と対向する第2中間凹部(bm2)及び前記第1中間凹部(bm1)と対向する第2中間凸部(am2)よりなる第2中間凹凸ペア(P2′)を少なくとも1組有することを特徴とする、請求項1に記載の電磁式燃料噴射弁用の連結管。
【請求項4】
前記第1,第2所定部位(13e1,13e2)において、一対ある前記第1凹凸ペア(P1)は、前記第1凹部(b1)の軸方向外端と、これと対応する前記管本体(13)の外端との間の軸方向距離(d)が同じに設定されると共に、一対ある前記第2凹凸ペア(P2)は、前記第2凸部(a2)の軸方向外端と、これと対応する前記管本体(13)の外端との間の軸方向距離(d′)が同じに設定されることを特徴とする、請求項1に記載の電磁式燃料噴射弁用の連結管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁ハウジングに固定される固定コアと、その固定コアを囲繞するコイルと、弁ハウジングに摺動可能に収納されてコイルへの通電時に固定コアに吸引される可動コアと、弁ハウジングの前端部に設けた弁孔を開閉し得る弁体とを備えた電磁式燃料噴射弁において、可動コア及び弁体間を結合するために用いられる連結管に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような燃料噴射弁用の連結管が、弁ハウジング内にこれと同心状に配置されて直線状に延びる管本体を備え、その管本体が、これの中心軸線と平行な一条のスリットを長手方向全域に亘り有して円筒状に形成され、管本体の軸方向一端部には可動コアが結合可能な第1結合部が、また軸方向他端部には弁体が結合可能な第2結合部がそれぞれ設けられる構造のものは、例えば特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の連結管では、管本体の、周方向でスリットを挟んで相対向する第1,第2側端面のうち第1側端面に、凸部を第1,第2結合部寄りにそれぞれ配設すると共に、第2側端面に、凸部と対向する凹部をそれぞれ配設している。そして、それら凸部及び凹部の特設によれば、例えば組立工程前に多数の連結管を容器内に纏めて収容した場合(例えば連結管のバレル研磨時等)でも、1つの連結管にそれのスリットを通して他の連結管の側端縁が入り込むことで連結管相互が絡んでしまう事態の発生を抑制できるようにしている。
【0005】
ところで上記した従来の連結管では、両端部に存する第1,第2結合部の外観が比較的似ているため、たとえ連結管外端と、これに対応する凸部との軸方向距離L3,L4に違いがあったとしても、連結管の両端部が第1,第2結合部の何れであるかの判別を簡単的確には行いにくい問題があり、その判別を間違えると、可動コア及び弁体を連結管に誤組みしてしまい、組立品質や組立作業性の低下させる虞れがある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で従来構造の上記問題を解決可能とした電磁式燃料噴射弁用の連結管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、弁ハウジングに固定される固定コアと、その固定コアを囲繞するコイルと、前記弁ハウジングに摺動可能に収納されて前記コイルへの通電時に前記固定コアに吸引される可動コアと、前記弁ハウジングの前端部に設けた弁孔を開閉し得る弁体とを備えた電磁式燃料噴射弁で、前記可動コア及び前記弁体間を結合するために用いられる連結管であって、前記弁ハウジング内に該弁ハウジングと同心状に配置されて直線状に延びる管本体を備え、前記管本体は、これの中心軸線と平行な一条のスリットを長手方向全域に亘り有して円筒状に形成され、前記管本体の軸方向一端部には前記可動コアが結合可能な第1結合部が、また軸方向他端部には前記弁体が結合可能な第2結合部がそれぞれ設けられるものにおいて、前記管本体の、周方向で前記スリットを挟んで相対向する第1,第2側端面のうち第1側端面は、第1凸部とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部とよりなる第1凹凸ペアを、該管本体の前記第1結合部寄りの第1所定部位と前記第2結合部寄りの第2所定部位とにおいて各々有する一方、前記第2側端面は、第2凹部とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部とよりなる第2凹凸ペアを、前記第1所定部位と前記第2所定部位とにおいて各々有しており、各々の前記第1凹凸ペアの第1凹部・第1凸部は、該第1凹凸ペアと対応する前記第2凹凸ペアの第2凸部・第2凹部にそれぞれ対向するように配置されることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記第1,第2凸部は、前記スリットの中心線と平行な頂面を先端に各々有しており、前記各々の第1凹凸ペアと、その第1凹凸ペアに対応する前記第2凹凸ペアとにおいて、前記第1凸部と前記2凸部の前記頂面相互の周方向距離は、前記管本体の板厚よりも小さく設定されることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記管本体の前記第1,第2所定部位の中間において、前記第1側端面は、軸方向に隣り合う第1中間凸部及び第1中間凹部よりなる第1中間凹凸ペアを少なくとも1組有する一方、前記第2側端面は、前記第1中間凸部と対向する第2中間凹部及び前記第1中間凹部と対向する第2中間凸部よりなる第2中間凹凸ペアを少なくとも1組有していることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記第1,第2所定部位において、一対ある前記第1凹凸ペアは、前記第1凹部の軸方向外端と、これと対応する前記管本体の外端との間の軸方向距離が同じに設定されると共に、一対ある前記第2凹凸ペアは、前記第2凸部の軸方向外端と、これと対応する前記管本体の外端との間の軸方向距離が同じに設定されることを第4の特徴とする。
【0011】
本発明において、「管本体の第1結合部寄りの第1所定部位」とは、管本体の軸方向中央位置より第1結合部側に寄った部位をいう。また「管本体の第2結合部寄りの第2所定部位」とは、管本体の軸方向中央位置より第2結合部側に寄った部位をいう。
【0012】
尚、「第1所定部位」としては、後述する実施形態のように、管本体の軸方向中央位置と第1結合部側の外端との間の距離の二等分位置(即ち第1の二等分位置)よりも第1結合部側の外端に寄った部位であることが望ましいが、本発明においては、上記第1の二等分位置よりも中央位置に寄った部位であってもよい。また「第2所定部位」としては、後述する実施形態のように、管本体の軸方向中央位置と第2結合部側の外端との間の距離の二等分位置(即ち第2の二等分位置)よりも第2結合部側の外端に寄った部位であることが望ましいが、本発明においては、上記第2の二等分位置よりも中央位置に寄った部位であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、管本体の、周方向でスリットを挟んで相対向する第1,第2側端面のうち第1側端面は、第1凸部とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部とよりなる第1凹凸ペアを、管本体の第1結合部寄りの第1所定部位と第2結合部寄りの第2所定部位とにおいて各々有する一方、第2側端面は、第2凹部とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部とよりなる第2凹凸ペアを、第1所定部位と第2所定部位とにおいて各々有しており、各々の第1凹凸ペアの第1凹部・第1凸部は、該第1凹凸ペアと対応する第2凹凸ペアの第2凸部・第2凹部にそれぞれ対向するように配置される。従って、それら凸部及び凹部は、多数の連結管を容器内に纏めて収容した場合でも1つの連結管にスリットを通して他の連結管の側端縁が入り込むことを阻止できて、連結管相互が絡む事態の発生を抑制することができる。
【0014】
また上記第1,第2凹凸ペアの特設によれば、容器から取り出した連結管の端部が第1,第2結合部の何れであるかの判別を、次に述べる理由から的確に行い得て、可動コア及び弁体を連結管に誤組みする事態の発生を回避できるため、組立品質や組立作業性が向上する。即ち、本発明では、第1凸部とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部とよりなる第1凹凸ペアが第1側端面に、また第2凹部とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部とよりなる第2凹凸ペアが第2側端面にそれぞれ配置されるが、このように各側端面で凹部・凸部を軸方向に並べて凹凸ペアとしておけば、凸部又は凹部が単独の(即ち凹凸ペアでない)場合よりも凹部・凸部であることの認識(例えばカメラ画像による認識)が容易であるばかりか、その認識した凹部・凸部の何れが軸方向外方側に位置するかの配列パターンの識別(例えばカメラ画像による識別判定)も容易となる。従って、例えば、スリットを正面側にして管本体を所定方向にセットした状態で、スリット中心線から見て特定方向側に存する側端面の凹凸ペアが、第1,第2凹凸ペアの何れであるか(換言すれば、凹凸ペアとして並ぶ凹部・凸部の何れが外側すなわち軸端寄りであるか)の判定結果に基づいて、管本体の端部が第1,第2結合部の何れであるかの判別を容易且つ的確に行える。
【0015】
また第2の特徴によれば、第1,第2凸部は、スリットの中心線と平行な頂面を先端に各々有し、各々の第1凹凸ペアとそれに対応する第2凹凸ペアとにおいて、第1凸部と2凸部の頂面相互の周方向距離は、管本体の板厚よりも小さく設定されるので、1つの連結管にスリットを通して他の連結管の側端縁が入り込んで連結管相互が絡む事態の発生をより効果的に抑制可能となる。従って、その連結管相互の絡みに因り連結管表面に傷が生じたりバリが残ったりするのをより確実に回避可能となる。
【0016】
また第3の特徴によれば、管本体の第1,第2所定部位の中間において、第1側端面は、軸方向に隣り合う第1中間凸部及び第1中間凹部よりなる第1中間凹凸ペアを少なくとも1組有する一方、第2側端面は、第1中間凸部と対向する第2中間凹部及び第1中間凹部と対向する第2中間凸部よりなる第2中間凹凸ペアを少なくとも1組有するので、第1,第2中間凹凸ペアの設置位置や数、設置範囲を調整することで、連結管相互が絡みにくい状態を、連結管の板厚や管長、直径、スリット幅等に応じて適宜設定し易くなり、その設定作業が容易となる。
【0017】
また第4の特徴によれば、第1,第2所定部位において、一対ある第1凹凸ペアは、第1凹部の軸方向外端と、これと対応する管本体外端との間の軸方向距離が同じに設定されると共に、一対ある第2凹凸ペアは、第2凸部の軸方向外端と、これと対応する管本体外端との間の軸方向距離が同じに設定される。この場合、個々の連結管の外端は、認識(例えばカメラ画像による認識)が容易であるため、連結管外端からの上記軸方向距離を画像認識手段に予め記憶させておけば、その軸方向距離に在る凹部又は凸部の認識がより行い易くなって、凹部又は凸部の判別も容易化する。これにより、上記した配列パターンの判別をより容易且つ的確に行うことができるため、連結管の端部が第1,第2結合部の何れであるかの判定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る連結管の第1実施形態を具備した電磁式燃料噴射弁の一例を示す縦断面図
【
図2】(A)は
図1の2A矢視部の拡大断面図、(B)は
図1の2B矢視部の拡大断面図、(C)は
図1の2C-2C線切断端面図
【
図3】(A)は、
図1の紙面と直交する方向で
図1とは反対方向から見た連結管単体の背面図(
図2(C)の3A矢視図)であって、連結管の向きが、可動コア及び弁体を誤組みなく組付け可能な場合を示す。また(B)は、
図3(A)対応図であって、連結管の向きが、
図3(A)とは上下逆向きである場合(即ち上記誤組みが生じる場合)を示す
【
図4】連結管の第2実施形態を示す
図3(A)対応図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して以下に説明する。尚、本明細書において、「軸方向」「径方向」「周方向」は、電磁式燃料噴射弁Iの中心軸線Xを基準とするものであって、例えば、中心軸線Xに沿う方向が軸方向であり、中心軸線Xを中心とした半径方向が径方向であり、中心軸線Xを中心とした円周方向が周方向である。また本発明及び本明細書では、電磁式燃料噴射弁Iにおいて、燃料噴射側を前方、その反対側即ち燃料入口筒側を後方という。
【0020】
先ず、
図1~
図3を参照して、第1実施形態について説明する。内燃機関用の電磁式燃料噴射弁Iの弁ハウジングIhは、有底円筒状の弁座部材3と、この弁座部材3の後端部に前端部内周が嵌合して液密に結合(例えば溶接)される磁性円筒体4と、この磁性円筒体4の後端に前端を突き当てて液密に結合(例えば溶接)される非磁性円筒体6と、この非磁性円筒体6の後部内周面に前端部を嵌合して液密に結合(例えば溶接)される円筒状且つ磁性材製の固定コア5と、この固定コア5の後端に結合(例えば圧入又は溶接)に連設される燃料入口筒26とを前端から後端に向かって順次連ねて構成される。
【0021】
尚、燃料入口筒26は、固定コア5に同一素材で一体に形成されてもよい。尚また、固定コア5は、実施形態では弁ハウジングIhの一部を構成する構成材としたものを示したが、固定コア5を、これと別部品化した弁ハウジングに後付けで固定してもよい。
【0022】
弁座部材3、磁性円筒体4及び非磁性円筒体6は、後述する弁組立体Vを収容する弁ケーシング2を構成する。そして、この弁ケーシング2、固定コア5及び燃料入口筒26よりなる弁ハウジングIhは、燃料入口筒26及び弁座部材3の各一部を除いて、外周面が同一直径に形成される。
【0023】
弁座部材3は、その前端壁に開口する弁孔7と、この弁孔7の内端に連なる円錐状の弁座8と、この弁座8の大径部に連なる円筒孔状のガイド孔9とを備えている。弁座部材3の前端面には、弁孔7と連通する複数の燃料噴孔11を有する鋼板製のインジェクタプレート10が液密に接合(例えば溶接)される。
【0024】
非磁性円筒体6は、これの後部が固定コア5に嵌合、固定される一方、前部が固定コア5から前方に延出しており、その延出部から弁座部材3に至る弁ケーシング2内に、弁部材としての弁組立体Vが前後摺動可能に収納される。
【0025】
弁組立体Vは、弁座8と協働して弁孔7を開閉するよう前記ガイド孔9を摺動し得る概ね球状の弁体14と、この弁体14に前端が結合(例えば溶接)される連結管Cと、連結管Cよりも大径に形成されて連結管Cの後部に結合(例えば圧入又は溶接)された可動コア12とで構成される。
【0026】
弁体14の外周面には、周方向に並ぶ複数の平坦面14fが形成される。それら平坦面14fとガイド孔9の内周面との間に、弁体14の周囲で燃料の軸方向通過を許容する複数の油路が画成される。
【0027】
また、可動コア12は、連結管Cよりも軸方向で短く且つ径方向で厚肉の磁性材製の円筒体より構成される。しかも可動コア12は、磁性円筒体4及び非磁性円筒体6の内周面に摺動自在に嵌合、支承されていて、後端面12rが固定コア5の前端面5fに対向するよう配置(
図2(A)を参照)される。
【0028】
また連結管Cは、弁ハウジングIh内にこれと同心状に配置されて直線状に延びる(具体的には弁ケーシング2内を縦通する)金属製の管本体13を主要部又は全部とする。この管本体13は、これの中心軸線(弁ハウジングIhの中心軸線Xと一致)と平行な一条のスリット13sを長手方向全域に亘り有して薄肉円筒状に形成される。管本体13の軸方向一端部即ち後端部には、可動コア12が結合(圧入)可能な第1結合部131が設けられ、また軸方向他端部即ち前端部には、弁体14が結合(溶接)可能な第2結合部132が設けられる。
【0029】
本実施形態の第1結合部131は、可動コア12の縦孔12hの小径部に圧入可能な円筒面で構成され、その円筒面は、これの固定コア5側に先細り状のテーパ部を有していて、第1結合部131(円筒面)の、可動コア12の縦孔12hへの圧入を容易に行えるようにしている。一方、第2結合部132は、球状弁体14との接合面となるテーパ状端面で構成され、そのテーパ状端面を弁体14の外周面に突き合わせた状態で管本体13と弁体14との外周面相互間が溶接16される。
【0030】
また管本体13の後端は、可動コア12の縦孔12hに臨んでいて、後述する弁ばね22の前端を受けるばね座13aを構成する。
【0031】
ところで管本体13の、周方向でスリット13sを挟んで相対向する第1,第2側端面S1,S2のうち第1側端面S1は、
図2、
図3で明らかなように第1凸部a1とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部b1とよりなる第1凹凸ペアP1を、管本体13の第1結合部131寄りの第1所定部位13e1と第2結合部132寄りの第2所定部位13e2とにおいて各々有している。一方、第2側端面S2は、第2凹部b2とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部aとよりなる第2凹凸ペアP2を、上記した第1所定部位13e1と第2所定部位13e2とにおいて各々有している。
【0032】
そして、管本体13の第1,第2所定部位13e1,13e2において、第1凹凸ペアP1,P1の第1凹部b1・第1凸部a1は、第2凹凸ペアP2,P2の第2凸部a2・第2凹部b2とそれぞれ対向するように配置される。
【0033】
しかも本実施形態において、第1,第2凸部a1,a2は、
図2(A)(B)で明らかなように、スリット13sの中心線13sxと平行な頂面a1f,a2fを先端に各々有している。そして、各々の第1凹凸ペアP1と、その第1凹凸ペアP1に対応する第2凹凸ペアP2とにおいて、第1凸部a1と2凸部a2の頂面a1f,a2f相互の周方向距離wは、管本体13の板厚tよりも小さく設定される。
【0034】
更に
図2(A)(B)で明らかなように、管本体13の第1,第2所定部位13e1,13e2において、一対ある第1凹凸ペアP1は、第1凸部a1の軸方向外方側に隣接する第1凹部b1の軸方向外端と、これと対応する管本体13の外端との間の軸方向距離dが同じに設定される。また同様に一対ある第2凹凸ペアP2は、第2凹部b2の軸方向外方側に隣接する第2凸部a2の軸方向外端と、これと対応する管本体13の外端との間の軸方向距離d′が同じに設定される。
【0035】
ところで弁組立体Vは、可動コア12の縦孔12hと、この縦孔12hに直接連通する管本体13の内部空間と、前記スリット13sとを含む内部油路18を備える。そして、この内部油路18は、弁ケーシング2と管本体13との対向周面間に画成される環状油路19に連通する。
【0036】
また固定コア5は、燃料入口筒26の中空部を固定コア5の前端面5f側に連通させる縦孔21を有する。その縦孔21は、燃料入口筒26の中空部より小径になっており、可動コア12の縦孔12h(従って弁組立体Vの内部油路18)と連通する。
【0037】
この固定コア5の縦孔21には、すり割り付きパイプ状のリテーナ23が圧入され、このリテーナ23と前記ばね座13aとの間に、可動コア12を弁体14の閉弁側に付勢する弁ばね22が縮設される。その際、リテーナ23の縦孔21への嵌合深さにより弁ばね22のセット荷重が調整される。
【0038】
また可動コア12には、これの後端面12rの内周端寄りに環状段部12bが凹設されており、その環状段部12bの内周面に、非磁性材製で短円筒状のストッパ部材37が固定(例えば圧入又は溶接)される。このストッパ部材37の後端面は、固定コア5の前端面5fと当接可能なストッパ面37aとして機能し、そのストッパ面37aは、可動コア12の後端面12rより若干突出している。
【0039】
上記したストッパ部材37は、固定及び可動コア5,12相互の磁気吸引時に、ストッパ面37aを固定コア5の前端面5fに当接させることで、固定コア5及び可動コア12の対向端面間に所定のギャップを残存させる。而して、固定コア5の前端面5fは、可動コア12に対し磁気吸引可能な吸引面を構成する。
【0040】
また、弁ハウジングIhの外周には、固定コア5及び可動コア12に対応して円筒状のコイル組立体28が嵌装される。このコイル組立体28は、磁性円筒体4の後端部から固定コア5にかけてそれらの外周面に嵌合するボビン29と、これに巻装されるコイル30とを備える。ボビン29及びコイル30は円筒状をなし、これらの中心軸線は、燃料噴射弁Iの中心軸線Xと一致する。
【0041】
ボビン29は、これの後端部に、ボビン29の一側方に突出する端子支持部29aを一体に有しており、その端子支持部29aにカプラ端子33の基端部33aが保持される。このカプラ端子33には、端子支持部29a内を通る配線を介してコイル30の端末が接続される。
【0042】
このコイル組立体28は、それの周囲を磁性体製のコイルハウジングHで囲繞される。このコイルハウジングHは、本実施形態では略半円筒状(換言すれば、横断面劣弧状)に各々形成されてコイル組立体28を挟むように対向配置される第1,第2コイルハウジング半体H1,H2より分割構成される。尚、
図1においては、断面位置の関係で、第1コイルハウジング半体H1のみが図示され、第2コイルハウジング半体H2の図示は省略される。
【0043】
その第1,第2コイルハウジング半体H1,H2は、コイル組立体28の外周部を覆う円筒状の胴部44と、胴部44の軸方向両端から半径内方に屈曲してボビン29の前後両端面に当接する前・後接続壁部45,46と、前・後接続壁部45,46の内周端から軸方向で互いに反対方向に延びる連結部としての前・後連結筒部47,48とを各々有する。そして、前・後連結筒部47,48は、弁ケーシング2(より具体的には磁性円筒体4)および固定コア5の外周面にそれぞれ密接、固定(例えば溶接)される。また第1,第2コイルハウジング半体H1,H2の、周方向で隣り合う端縁は、周方向に互いに間隔をおいて相対向している。
【0044】
而して、コイルハウジングHは、後述するようにコイル30への通電時に弁ケーシング2及び固定コア5間に磁気回路を形成して、固定コア5に可動コア12(従って弁組立体V)を弁ばね22に抗して磁気吸引させることができ、これにより、弁組立体Vの弁体14が開弁動作可能となる。尚、本実施形態では、第1,第2コイルハウジング半体H1,H2を別体としたものを示したが、両者を一体に構成してもよい。
【0045】
また、燃料噴射弁Iは、これの外郭が絶縁性の合成樹脂でモールド成形された樹脂被覆部32により構成される。樹脂被覆部32は、弁ハウジングIhと同心の段付き円筒状をなす被覆部本体32mと、その被覆部本体32mの外周部より一側方に突出するカプラ本体部32cとを備える。
【0046】
カプラ本体部32cは、これに前述のカプラ端子33を収容、保持する。そして、このカプラ本体部32cとカプラ端子33とによりカプラ34が構成される。カプラ34には、図示しないが、外部配線に連なる外部カプラが着脱可能に嵌合、接続される。
【0047】
而して、被覆部本体32mは、これに弁ケーシング2の一部(即ち磁性円筒体4の後半部及び非磁性円筒体6)、固定コア5、及び燃料入口筒26の大部分、並びにコイル組立体28及びコイルハウジングHを埋封するようにして、カプラ本体部32cと共にモールド成形される。
【0048】
次に前記実施形態の作用を説明する。
【0049】
燃料噴射弁Iの組立てに当たっては、例えば、弁組立体Vと、コイル組立体28と、弁ハウジングIhの、弁座部材3を除く主要部を別々に製作する。次いで、弁ハウジングIhの外周中間部にコイル組立体28を嵌装し、次いで第1,第2コイルハウジング半体H1,H2を、胴部44内にコイル組立体28を包み込むようにして弁ハウジングIhの外周に固定する。しかる後に、弁ハウジングIhの周囲に樹脂被覆部32をモールド成形する。その際、第1及び第2コイルハウジング半体H1,H2間の周方向間隙を通して溶融樹脂が、各コイルハウジング半体H1,H2及びコイル組立体28間の径方向空隙27に充填される。
【0050】
樹脂被覆部32の成形後は、磁性円筒体4内に弁組立体Vを前方より嵌装してから、弁座部材3を磁性円筒体4の前端部に溶接する。そして燃料入口筒26側から弁ハウジングIh内に弁ばね22及びリテーナ23を装着し、その後、燃料フィルタ43、シールリング51及びクッションリング53を取付けて燃料噴射弁Iの組立てが完了する。
【0051】
組立て後の燃料噴射弁Iは、被覆部本体32mの外周部が、例えば内燃機関の機関本体又はその付属品(例えば、スロットルボディ、吸気管等)に設けた段付きの弁支持孔に嵌装される。その際には、被覆部本体32mの外周と上記弁支持孔との嵌合部は、被覆部本体32mの前端部外周の前向き段部に嵌装したシールリング51を介してシールされる。また燃料入口筒26の後端開口部には、不図示の燃料ポンプに連なる燃料分配管が燃料フィルタ43を介して被着されて、燃料噴射弁Iの上記弁支持孔からの離脱が阻止される。その際に燃料分配管と燃料入口筒26との嵌合部は、燃料入口筒26の後部外周に嵌装したシールリング53を介してシールされる。かくして、燃料噴射弁Iが内燃機関の機関本体又はその付属品にセットされる。
【0052】
このような燃料噴射弁Iのセット状態で、燃料ポンプから燃料分配管を経て燃料入口筒26に圧送される燃料は、燃料フィルタ43を経て固定コア5及び弁ケーシング2の内部を満たす。そしてコイル30を消磁した状態では、弁ばね22の付勢力で弁組立体Vは前方に押圧され、弁体14を弁座8に着座させて弁孔7を閉じる(
図1参照)。
【0053】
また、上記閉弁状態よりコイル30が通電により励磁されると、磁束がコイルハウジングH、磁性円筒体4、可動コア12、固定コア5を順次走り、両コア5,12間に発生する磁気吸引力により可動コア12が弁ばね22の閉弁付勢力に抗して固定コア5に吸引され、弁体14が弁座8から離座するので、弁孔7が開放される。これにより、弁ケーシング2内の高圧燃料が弁孔7を出て、インジェクタプレート10の燃料噴孔11から霧状に噴射される。
【0054】
ところで弁組立体Vは、連結管C、弁体14及び可動コア12を別々に製造後、連結管Cの一端部及び他端部に弁体14及び可動コア12をそれぞれ結合するが、ここでは特に連結管Cの製造工程の一例を、次に説明する。
【0055】
即ち、金属板よりなる矩形平板の一側端縁に、それの両端近くの所定部位において、軸方向に相隣なる第1凸部a1及び第1凹部b1よりなる第1凹凸ペアP1,P1をそれぞれ機械加工し、またこの矩形平板の他側端縁に、それの両端近くの所定部位において、軸方向に相隣なる第2凸部a2及び第2凹部b2よりなる第2凹凸ペアP2,P2をそれぞれ機械加工する。しかる後に、この矩形平板を、上記一側端縁および他側端縁をスリット13sを挟んで相対向するようパイプ状に丸めて成形し、その成形後に、パイプの軸方向一端部および他端部に、第1結合部131となるべき被圧入面、および第2結合部132となるべきテーパ状端面を機械加工する。
【0056】
このようにして製造した多数の連結管Cを単一の容器内に研磨材等と一緒に入れて回転や振動を与えることで、連結管C表面の仕上げ加工(例えばバレル研磨)が行われるが、その際に1つの連結管Cにそれのスリット13sを通して他の連結管Cの側端縁が入り込んで連結管C相互が絡む等して連結管Cの表面が損傷する懸念がある。また上記仕上げ加工後に連結管Cに可動コア12及び弁体14を組付ける際に、連結管Cの端部が第1,第2結合部131,132の何れであるかを誤認して、可動コア12及び弁体14を誤組してしまう懸念もある。
【0057】
そこで上記問題が生じないよう、本実施形態の連結管Cは、次のような技術的特徴を有する。即ち、管本体13の、周方向でスリット13sを挟んで相対向する第1,第2側端面S1,S2のうち、第1側端面S1は、第1凸部a1とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部b1とよりなる第1凹凸ペアP1を、管本体13の第1結合部131寄りの第1所定部位13e1と第2結合部132寄りの第2所定部位13e2とにおいて各々有しており、且つ、第2側端面S2は、第2凹部b2とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部aとよりなる第2凹凸ペアP2を、上記した第1所定部位13e1と第2所定部位13e2とにおいて各々有している。しかも各々の第1凹凸ペアP1,P1の第1凹部b1・第1凸部a1は、対応する第2凹凸ペアP2,P2の第2凹部b2・第2凸部a2とそれぞれ対向するように配置される。
【0058】
このように第1凹凸ペアP1,P1を第1側端面S1の所定部位に、また第2凹凸ペアP2,P2を第2側端面S2の所定部位にそれぞれ設けたことにより、多数の連結管Cを容器内に纏めて収容して仕上げ加工(例えばバレル研磨等)等を行った場合でも、1つの連結管Cにそのスリット13sを通して他の連結管Cの側端縁が入り込むことを、各凹凸ペアP1,P2の第1,第2凸部a1,a2により阻止することができて、連結管C相互が絡む事態の発生を抑制可能となる。
【0059】
また上記した第1,第2凹凸ペアP1,P1;P2,P2の特設によれば、容器から取り出した連結管Cの端部が第1,第2結合部131,132の何れであるかの判別を、次に述べる理由から、的確に行うことができて、可動コア12及び弁体14を連結管Cに誤組みする事態の発生を回避できるため、組立品質や組立作業性を向上する。即ち、本発明では、第1凸部a1とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部b1とよりなる第1凹凸ペアP1,P1が第1側端面S1に、また第2凹部b2とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部aとよりなる第2凹凸ペアP2が第2側端面S2にそれぞれ配置されるが、このように各側端面S1(S2)の所定部位で凸部a1(a2)・凹部b1(b2)が軸方向に並ぶ凹凸ペアとしておけば、凸部又は凹部が単独の(即ち凹凸ペアでない)場合よりも凹部・凸部であることの認識(例えばカメラ画像による認識)が容易であるばかりか、その認識した凹部・凸部の何れが軸方向外方側に位置するかの配列パターンの識別(例えばカメラ画像による識別判定)も容易となる。
【0060】
これにより、スリット13sを正面側にして管本体13を所定方向にセットした場合、例えば、管本体13を
図3のように上下方向に延びる姿勢で治具にセットした状態で、スリット中心線13sxから見て特定方向側(
図3で左側)に存する側端面(
図3(A)では第1側端面S1,
図3(B)では第2側端面S2)の凹凸ペアが、第1,第2凹凸ペアP1,P2の何れであるか(換言すれば、凹凸ペアとして並ぶ凹部・凸部の何れが外側すなわち軸端寄りであるか)の判定結果に基づいて、管本体13の端部が第1,第2結合部131,132の何れであるかの判別を容易且つ的確に行うことができる。
【0061】
より具体的に言えば、管本体13の上記セット状態での向きが、例えば、
図3(A)に例示したように可動コア12及び弁体14を正しく組付け可能な向きである場合には、スリット中心線13sxから見て特定方向側(
図3で左側)に存する側端面(第1側端面S1)で軸方向一端より凹部b1・凸部a1・凸部a1・凹部b1の配列パターン(即ち第1凹凸ペアP1)であることが認識される。従って、このような認識が、例えばカメラ画像に基づいて得られれば、管本体13のセット状態が正しい向きであることが判り、そのときの管本体13の上端部・下端部がそれぞれ第1結合部131・第2結合部132であると判定可能となる。
【0062】
これに対し、管本体13の上記セット状態での向きが、例えば、
図3(B)に例示したように可動コア12及び弁体14を誤った組付けてしまう向きである場合には、スリット中心線13sxから見て特定方向側(
図3で左側)に存する側端面(第2側端面S2)で軸方向一端より凸部a2・凹部b2・凹部b2・凸部a2の配列パターン(即ち第2凹凸ペアP2)であることが認識される。従って、このような認識が、例えばカメラ画像に基づいて得られれば、管本体13のセット状態が誤った向きであることが判る。
【0063】
また実施形態の連結管Cでは、本実施形態において、第1,第2凸部a1,a2は、スリット13sの中心線13sxと平行な頂面a1f,a2fを先端に有しており、各々の第1凹凸ペアP1と、その第1凹凸ペアP1に対応する第2凹凸ペアP2とにおいて、第1凸部a1と2凸部a2の頂面a1f,a2f相互の周方向距離wは、管本体13の板厚tよりも小さく設定される。これにより、1つの連結管Cにそのスリット13sを通して他の連結管Cの側端縁が入り込んで連結管C相互が絡む事態の発生をより効果的に抑制可能となり、従って、その連結管C相互の絡みに因り連結管C表面に傷が生じたりバリが残ったりするのをより確実に回避可能となる。
【0064】
しかも管本体13の端部近くの第1側端面S1上で第1凹凸ペアP1の凹部b1及び凸部a1が軸方向に隣り合う配列となり、また第2側端面S2上で第2凹凸ペアP2の凹部b2及び凸部a2が軸方向に隣り合う配列となることで、個々の凸部a1,a2の高さを比較的低くできるばかりか、個々の凹部b1,b2の深さを比較的浅くできるため、凹部b1,b2の形成に伴う、管本体13のスリット13s周辺部の強度低下を極力抑えることができる。
【0065】
さらに
図2でも明らかなように、管本体13の第1,第2所定部位13e1,13e2において、一対ある第1凹凸ペアP1は、第1凹部b1の軸方向外端と、これと対応する管本体13の外端との間の軸方向距離dが同じに設定され、また一対ある第2凹凸ペアP2は、第2凸部a2の軸方向外端と、これと対応する管本体13の外端との間の軸方向距離d′が同じに設定されている。この場合、個々の連結管Cの外端は、認識(例えばカメラ画像による認識)が容易であるため、画像認識手段(例えば画像の認識処理が可能な検査装置、コンピュータ等)に、連結管Cの外端からの上記軸方向距離d(d′)を予め記憶させておけば、その軸方向距離d(d′)に存する第1凹部b1(第2凸部a2)の認識がより行い易くなって、凹部又は凸部の判別も容易化する。これにより、上記した配列パターンの判別をより容易且つ的確に行うことができるため、連結管Cの端部が第1,第2結合部131,132の何れであるかの判定精度を高めることができる。
【0066】
次に
図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態の連結管Cでも、第1実施形態と同様、管本体13の第1側端面S1は、第1凸部a1とこれの軸方向外方側に並ぶ第1凹部b1とよりなる第1凹凸ペアP1を、管本体13の第1,第2結合部131,132寄りの第1,第2所定部位13e1,13e2において各々有し、また第2側端面S2は、第2凹部b2とこれの軸方向外方側に並ぶ第2凸部aとよりなる第2凹凸ペアP2を上記第1,第2所定部位13e1,13e2において各々有している。
【0067】
その上、第2実施形態では、管本体13の第1側端面S1が、第1,第2所定部位13e1,13e2の中間(換言すれば、第1,第2所定部位13e1,13e2に各々存する第1凹凸ペアP1,P1の中間)に、軸方向に隣り合う第1中間凸部am1及び第1中間凹部bm1よりなる第1中間凹凸ペアP1′を少なくとも1組有する。また管本体13の第2側端面S2は、第1,第2所定部位13e1,13e2の中間(換言すれば、第1,第2所定部位13e1,13e2に各々存する第2凹凸ペアP2,P2の中間)に、第1中間凸部am1と対向する第2中間凹部bm2及び第1中間凹部bm1と対向する第2中間凸部am2よりなる第2中間凹凸ペアP2′を少なくとも1組有する。
【0068】
そして、この第2実施形態によれば、第1,第2中間凹部bm1,bm2及び第1,第2中間凸部am1,am2の設置位置や数、設置範囲を調整することで、連結管C相互が絡みにくい状態を、連結管Cの板厚tや管長、直径、スリット幅等に応じて適宜設定し易くなり、その設定作業が容易となる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0070】
例えば、連結管Cの一端部及び他端部にそれぞれ設けられる第1,第2結合部131,132の構造は、前記第1,第2実施形態に限定されず、即ち、第1,第2結合部131,132にそれぞれ結合すべき可動コア12及び弁体14の形状や結合手段に応じて適宜に選定可能である。
【0071】
また前記第1,第2実施形態では、連結管Cに設けた第1,第2凸部a1,a2が、スリット13sの中心線13sxと平行な頂面a1f,a2fを先端に各々有するものを示したが、少なくとも一部の凸部a1,a2の先端は、これらの頂面a1f,a2fを必ずしも上記中心線13sxと平行させる必要はなく、例えば、その少なくとも一部の頂面a1f,a2fを円弧状の曲面としてもよい。
【0072】
また前記第1,第2実施形態では、管本体13の第1,第2所定部位13e1,13e2で第1側端面S1に設けた一対の第1凹凸ペアP1は、第1凹部b1の軸方向外端と、これと対応する管本体13の外端との間の軸方向距離dが同じに設定され、また第2側端面S2に設けた一対の第2凹凸ペアP2は、第2凸部a2の軸方向外端と、これと対応する管本体13の外端との間の軸方向距離d′が同じに設定されるものを示したが、上記軸方向距離d(又はd′)を、管本体13の一端部側と他端部側とで異なる設定としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
C・・・・・・連結管
I・・・・・・電磁式燃料噴射弁
Ih・・・・・弁ハウジング
P1,P2・・第1,第2凹凸ペア
P1′,P2′・・第1,第2中間凹凸ペア
S1,S2・・管本体の第1,第2側端面
X・・・・・・中心軸線
a1,a2・・・・第1,第2凸部
a1f,a2f・・第1,第2凸部の頂面
am1,am2・・第1,第2中間凸部
b1,b2・・・・第1,第2凹部
bm1,bm2・・第1,第2中間凹部
d,d′・・・軸方向距離
w・・・・・・周方向距離
5・・・・・・固定コア
7・・・・・・弁孔
12・・・・・可動コア
13・・・・・管本体
13e1,13e2・・第1,第2所定部位
13s・・・・スリット
13sx・・・スリットの中心線
14・・・・・弁体
30・・・・・コイル
131,132・・第1,第2結合部