(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】同期モータの位置決め方法、位置決め装置、フォークリフトおよび荷役システム
(51)【国際特許分類】
H02P 25/022 20160101AFI20231212BHJP
【FI】
H02P25/022
(21)【出願番号】P 2021179142
(22)【出願日】2021-11-02
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 雅之
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-110215(JP,A)
【文献】特開2020-100472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/022
H02P 6/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突極性を有するロータを含む同期モータの位置決め方法であって、
直流励磁の励磁角と当該励磁角で直流励磁を行った場合の前記ロータの停止角とのずれ量に関するずれ量データを記憶部に格納するデータ格納ステップと、
高周波により前記ロータの電気角の推定値である推定電気角を算出する電気角推定ステップと、
前記同期モータに対して前記推定電気角を前記励磁角として直流励磁を行う直流励磁ステップと、
前記ずれ量データを参照して、前記推定電気角で直流励磁を行った場合における前記ずれ量を決定するずれ量決定ステップと、
前記ずれ量決定ステップで決定した前記ずれ量に基づいて、前記停止角を検出するためのセンサの位置合わせを行う位置合わせステップと、
を含
み、
前記同期モータは、前記ずれ量が前記励磁角を0度から180度まで変化させると所定の範囲で周期的に変化し、
前記データ格納ステップにおいて、前記ずれ量データは、前記励磁角の所定の刻み角度毎の前記ずれ量で構成したものであり、前記ずれ量は、前記同期モータを用いて予め測定したものであることを特徴とする位置決め方法。
【請求項2】
突極性を有するロータを含む同期モータと、
前記ロータのロータ位置を検出するセンサと、
前記同期モータおよび前記センサを制御する制御装置と、
を備える位置決め装置であって、
前記制御装置は、
直流励磁の励磁角と当該励磁角で直流励磁を行った場合の前記ロータの停止角とのずれ量に関するずれ量データが格納された記憶部と、
高周波により前記ロータの電気角の推定値である推定電気角を算出する推定部と、
前記同期モータに対して前記推定電気角を前記励磁角として直流励磁を行う直流励磁部と、
前記ずれ量データを参照して、前記推定電気角で直流励磁を行った場合における前記ずれ量を決定し、前記ずれ量に基づいて前記センサの位置合わせを行うセンサ制御部と、
を備え
、
前記同期モータは、前記ずれ量が前記励磁角を0度から180度まで変化させると所定の範囲で周期的に変化し、
前記ずれ量データは、前記励磁角の所定の刻み角度毎の前記ずれ量で構成したものであり、前記ずれ量は、前記同期モータを用いて予め測定したものであることを特徴とする位置決め装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置決め装置を備えることを特徴とするフォークリフト。
【請求項4】
複数のフォークリフトと、
前記フォークリフトと通信可能に構成された通信装置と、
を含む荷役システムであって、
前記フォークリフトは、
突極性を有するロータを含む同期モータと、
前記ロータのロータ位置を検出するセンサと、
前記同期モータおよび前記センサを制御する制御装置と、
を備え、
前記通信装置は、
直流励磁の励磁角と当該励磁角で直流励磁を行った場合の前記ロータの停止角とのずれ量に関するずれ量データが格納された記憶部を備え、
前記フォークリフトの前記制御装置は、
高周波により前記ロータの電気角の推定値である推定電気角を算出する推定部と、
前記同期モータに対して前記推定電気角を前記励磁角として直流励磁を行う直流励磁部と、
前記通信装置と通信を行うことにより、前記ずれ量データを参照して前記推定電気角で直流励磁を行った場合における前記ずれ量を決定し、前記ずれ量に基づいて前記センサの位置合わせを行うセンサ制御部と、
を備え
、
前記同期モータは、前記ずれ量が前記励磁角を0度から180度まで変化させると所定の範囲で周期的に変化し、
前記ずれ量データは、前記励磁角の所定の刻み角度毎の前記ずれ量で構成したものであり、前記ずれ量は、前記同期モータを用いて予め測定したものであることを特徴とする荷役システム。
【請求項5】
前記通信装置は、パソコン、タブレットまたはスマートフォンであることを特徴とする請求項4に記載の荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期モータの位置決め方法、位置決め装置、フォークリフトおよび荷役システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリフォークリフト等のフォークリフトには、ロータおよびステータを含む同期モータが備えられており、同期モータを制御するためには、ステータに対するロータのロータ位置(ロータの電気角)を正確に検出する必要がある。ロータ位置の検出は、同期モータに取り付けられたレゾルバまたはエンコーダ等のセンサによって行われる。
【0003】
しかしながら、センサの取り付け位置のずれにより、センサで検出されるロータ位置と実際のロータ位置とにずれが生じる。そのずれ量を修正するために、センサの位置合わせが行われる。例えば、センサがインクリメンタル型のロータリーエンコーダの場合、電源投入時に毎回位置合わせを行う必要がある。
【0004】
センサの位置合わせでは、一般に直流励磁が行われ、直流励磁の励磁角(電気角)とセンサで検出したロータの停止角(電気角)とが一致するように、物理的にセンサの取り付け位置を修正するか、またはソフト的に電気角のずれ量を修正する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
直流励磁はロータの初期位置とは無関係に特定の励磁角で行われるため、ロータの初期位置によってはロータの移動量が大きくなる。ロータの移動量が大きくなると、ロータが停止するまでの時間が長くなり、ロータの移動に伴う動作音が大きくなるという問題が生じる。
【0006】
例えば、
図6(A)に示すように、Aの位置に磁束が発生するように直流励磁が行われた場合、ロータはほぼ動かない。一方で、
図6(B)に示すように、Bの位置に磁束が発生するように直流励磁が行われた場合、ロータは大きく(例えば、機械角で45度)動く。なお、
図6(A)と
図6(B)とは、直流励磁の励磁角は共通し、ロータの初期位置が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、直流励磁においてロータが停止するまでの時間を短縮し、ロータの動作音を低減することが可能な同期モータの位置決め方法、位置決め装置、フォークリフトおよび荷役システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る位置決め方法は、
突極性を有するロータを含む同期モータの位置決め方法であって、
直流励磁の励磁角と当該励磁角で直流励磁を行った場合の前記ロータの停止角とのずれ量に関するずれ量データを記憶部に格納するデータ格納ステップと、
高周波により前記ロータの電気角の推定値である推定電気角を算出する電気角推定ステップと、
前記同期モータに対して前記推定電気角を前記励磁角として直流励磁を行う直流励磁ステップと、
前記ずれ量データを参照して、前記推定電気角で直流励磁を行った場合における前記ずれ量を決定するずれ量決定ステップと、
前記ずれ量決定ステップで決定した前記ずれ量に基づいて、前記停止角を検出するためのセンサの位置合わせを行う位置合わせステップと、
を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る位置決め装置は、
突極性を有するロータを含む同期モータと、
前記ロータのロータ位置を検出するセンサと、
前記同期モータおよび前記センサを制御する制御装置と、
を備える位置決め装置であって、
前記制御装置は、
直流励磁の励磁角と当該励磁角で直流励磁を行った場合の前記ロータの停止角とのずれ量に関するずれ量データが格納された記憶部と、
高周波により前記ロータの電気角の推定値である推定電気角を算出する推定部と、
前記同期モータに対して前記推定電気角を前記励磁角として直流励磁を行う直流励磁部と、
前記ずれ量データを参照して、前記推定電気角で直流励磁を行った場合における前記ずれ量を決定し、前記ずれ量に基づいて前記センサの位置合わせを行うセンサ制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るフォークリフトは、
前記位置決め装置を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る荷役システムは、
複数のフォークリフトと、
前記フォークリフトと通信可能に構成された通信装置と、
を含む荷役システムであって、
前記フォークリフトは、
突極性を有するロータを含む同期モータと、
前記ロータのロータ位置を検出するセンサと、
前記同期モータおよび前記センサを制御する制御装置と、
を備え、
前記通信装置は、
直流励磁の励磁角と当該励磁角で直流励磁を行った場合の前記ロータの停止角とのずれ量に関するずれ量データが格納された記憶部を備え、
前記フォークリフトの前記制御装置は、
高周波により前記ロータの電気角の推定値である推定電気角を算出する推定部と、
前記同期モータに対して前記推定電気角を前記励磁角として直流励磁を行う直流励磁部と、
前記通信装置と通信を行うことにより、前記ずれ量データを参照して前記推定電気角で直流励磁を行った場合における前記ずれ量を決定し、前記ずれ量に基づいて前記センサの位置合わせを行うセンサ制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
前記荷役システムにおいて、
前記通信装置は、パソコン、タブレットまたはスマートフォンであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、直流励磁においてロータが停止するまでの時間を短縮し、ロータの動作音を低減することが可能な同期モータの位置決め方法、位置決め装置、フォークリフトおよび荷役システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る位置決め装置のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る同期モータの平面図である。
【
図3】直流励磁の励磁角(電気角)に対するロータの停止角(電気角)のずれ量を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る位置決め方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るフォークリフトおよび荷役システムのブロック図である。
【
図6】直流励磁におけるロータの初期位置とロータの移動量との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る同期モータの位置決め方法、位置決め装置、フォークリフトおよび荷役システムの実施形態について説明する。
【0017】
[位置決め装置]
図1に、本発明の一実施形態に係る位置決め装置10のブロック図を示す。位置決め装置10は、同期モータ11と、センサ12と、制御装置13とを備える。位置決め装置10は、例えば、バッテリフォークリフト等のフォークリフトに搭載される。
【0018】
同期モータ11は、例えば、三相同期モータである。同期モータ11は、
図2に示すように、シャフト11aを有するロータ11bと、ロータ11bを回転させるステータ11cとを含む。ロータ11bは、突極性を有する。ステータ11cには、複数のスロット11dが形成されており、スロット11d内には図示しないコイルが配置されている。
【0019】
センサ12は、同期モータ11(例えば、シャフト11a)に取り付けられ、ステータ11cに対するロータ11bのロータ位置(電気角)を検出するよう構成されている。センサ12として、例えば、ロータリーエンコーダやレゾルバを用いる。
【0020】
制御装置13は、
図1に示すように、記憶部13aと、推定部13bと、直流励磁部13cと、センサ制御部13dとを備える。
【0021】
記憶部13aは、直流励磁の励磁角(電気角)と当該励磁角で直流励磁を行った場合のロータ11bの停止角(電気角)とのずれ量に関するずれ量データを格納するよう構成されている。本実施形態に係る同期モータ11のずれ量を、
図3に示す。
【0022】
本実施形態に係る同期モータ11の場合、直流励磁の励磁角を0度から180度まで変化させると、励磁角に対するロータ11bの停止角のずれ量は所定の範囲(-4度から+4度の範囲)で周期的に変化する。例えば、励磁角7.5度で直流励磁を行った場合、ずれ量は+4度であるため、ロータ11bの停止角は11.5度(=7.5度+4度)となる。なお、ずれ量は、同期モータ11の設計によって決まるため、設計が異なる同期モータ11毎に予め測定しておく必要がある。
【0023】
ずれ量データは、例えば、励磁角の所定の刻み角度毎のずれ量で構成することができる。刻み角度は、記憶部13aの容量に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、本実施形態に係る同期モータ11のように30度周期の特性をもつ場合、記憶部13aの容量が大きいのであれば、刻み角度0.1度として300点のずれ量でずれ量データを構成してもよいし、記憶部13aの容量が小さいのであれば、刻み角度5度として6点のずれ量でずれ量データを構成してもよい。また、励磁角の所定の刻み角度毎のずれ量でずれ量データを構成する代わりに、励磁角とずれ量との関係を表した関数または近似式でずれ量データを構成してもよい。
【0024】
推定部13bは、高周波によりロータ11bの電気角の推定値である推定電気角を算出するよう構成されている。推定部13bは、センサレス制御で一般的に用いられている高周波位置推定を実行して、推定電気角を算出する。
【0025】
例えば、突極性を有するロータ11bは、ロータ位置(ロータ11bの電気角)によってインダクタンスが異なるため、高周波電圧を印加した際にコイルに流れる高周波電流の振幅値が電気角によって変化する。d-q座標系においてd軸にのみ高周波電圧を印加した場合、高周波電圧を印加するd軸とロータ11bの実際のd軸とが一致していると、q軸に高周波電流は流れないが、高周波電圧を印加するd軸とロータ11bの実際のd軸とがずれていると、そのずれ量に応じた高周波電流がq軸に流れる。推定部13bは、q軸の高周波電流がゼロとなる角度を探すことで、推定電気角を算出することができる。
【0026】
直流励磁部13cは、同期モータ11に対して、推定電気角を励磁角として直流励磁を行うよう構成されている。例えば、推定部13bで推定した推定電気角が7.5度の場合、直流励磁部13cは、励磁角7.5度で直流励磁を行う。推定電気角で直流励磁を行うことにより、ロータ11bの移動量を最小限(ほぼゼロ)にすることができるため、ロータ11bが停止するまでの時間を短縮し、ロータ11bの動作音を低減することができる。
【0027】
センサ制御部13dは、ずれ量データを参照して、推定電気角で直流励磁を行った場合のずれ量を決定し、当該ずれ量に基づいてセンサ12の位置合わせを行うよう構成されている。例えば、直流励磁部13cが推定電気角である7.5度の励磁角で直流励磁を行った場合、センサ制御部13dは、記憶部13aに格納されているずれ量データに基づいて、ずれ量を+4度と決定し、センサ12の検出角度が11.5度(=7.5度+4度)となるように、センサ12の位置合わせを行う。
【0028】
センサ制御部13dは、ソフトウエアによりセンサ12の検出角度誤差を補正することで、ソフト的にセンサ12の位置合わせを行ってもよい。あるいは、センサ12の取り付け位置を変更できる位置変更手段が備えられている場合、当該位置変更手段によりセンサ12の取り付け位置を変更することで、物理的にセンサ12の位置合わせを行ってもよい。
【0029】
位置決め装置10が搭載されたフォークリフトにおいては、例えば、センサ12がインクリメンタル型のロータリーエンコーダの場合、位置決め装置10に電源電圧が供給される度に(例えば、フォークリフトの電源が投入される度に)、センサ12の位置合わせを行う。一方、センサ12がレゾルバの場合、製造時に一度だけセンサ12の位置合わせを行えばよい。
【0030】
[位置決め方法]
図4に、本発明の一実施形態に係る位置決め方法のフローチャートを示す。本実施形態に係る位置決め方法は、データ格納ステップS1と、電気角推定ステップS2と、直流励磁ステップS3と、ずれ量決定ステップS4と、位置合わせステップS5とを含む。各ステップS1~S5は、位置決め装置10により実行される。
【0031】
データ格納ステップS1は、直流励磁の励磁角と当該励磁角で直流励磁を行った場合のロータ11bの停止角とのずれ量(例えば、
図3参照)に関するずれ量データを、記憶部13aに格納するステップである。
【0032】
ずれ量は、同期モータ11の設計によって決まるため、設計が異なる同期モータ11毎に測定する必要がある。したがって、設計が異なる同期モータ11が複数ある場合は、設計が異なる同期モータ11毎にずれ量データを生成し、記憶部13aに格納する必要がある。なお、データの格納は、記憶部13aと通信可能に構成された通信装置(例えば、オペレータのパソコン、タブレットまたはスマートフォン)により行うことができる。
【0033】
電気角推定ステップS2は、推定部13bにより、ロータ11bの電気角の推定値である推定電気角を算出するステップである。電気角推定ステップS2では、推定部13bが、センサレス制御で一般的に用いられている高周波位置推定を実行して、推定電気角を算出する。
【0034】
直流励磁ステップS3は、直流励磁部13cにより、推定電気角を励磁角として直流励磁を行うステップである。同期モータ11に対して推定電気角で直流励磁を行うことにより、ロータ11bの移動量を最小限にすることができるため、ロータ11bが停止するまでの時間を短縮し、ロータ11bの動作音を低減することができる。
【0035】
ずれ量決定ステップS4は、センサ制御部13dにより、推定電気角で直流励磁を行った場合におけるずれ量を決定するステップである。例えば、直流励磁部13cが推定電気角である7.5度の励磁角で直流励磁を行った場合、センサ制御部13dは、記憶部13aに格納されたずれ量データを参照して、ずれ量を+4度と決定する(
図3参照)。
【0036】
位置合わせステップS5は、センサ制御部13dにより、ずれ量決定ステップS4で決定したずれ量に基づいてセンサ12の位置合わせを行うステップである。例えば、励磁角が7.5度でずれ量が+4度の場合、センサ制御部13dは、センサ12の検出角度が11.5度(=7.5度+4度)でないときは、センサ12の検出角度が11.5度となるように、ソフト的または物理的にセンサ12の位置合わせを行う。
【0037】
[フォークリフトおよび荷役システム]
図5に、本発明の一実施形態に係る荷役システム1のブロック図を示す。荷役システム1は、本発明の一実施形態に係るN(Nは2以上の整数)台のフォークリフト2(2-1~2-N)と、通信装置3とを含む。
【0038】
フォークリフト2は、位置決め装置10’を備える。位置決め装置10’は、同期モータ11と、センサ12と、制御装置13’とを備える。制御装置13’は、記憶部13aを備えていない点を除いて、制御装置13と同様の構成である。
【0039】
通信装置3は、フォークリフト2と通信可能に構成されている。通信装置3は、例えば、オペレータのパソコン、タブレットまたはスマートフォンである。通信装置3は、記憶部14を備える。
【0040】
記憶部14は、記憶部13aと同様に、直流励磁の励磁角(電気角)と当該励磁角で直流励磁を行った場合のロータ11bの停止角(電気角)とのずれ量に関するずれ量データを格納するよう構成されている。
【0041】
フォークリフト2のセンサ制御部13dは、通信装置3と通信を行い、通信装置3の記憶部14に格納されたずれ量データを参照して、推定電気角で直流励磁を行った場合のずれ量を決定し、当該ずれ量に基づいてセンサ12の位置合わせを行う。
【0042】
本実施形態に係る荷役システム1によれば、通信装置3の記憶部14がずれ量データを格納しているので、各フォークリフト2にずれ量データを格納するための記憶部13aを設ける必要がなくなる。
【0043】
[変形例]
以上、本発明に係る同期モータの位置決め方法、位置決め装置、フォークリフトおよび荷役システムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0044】
例えば、本発明の同期モータは、高周波によりロータの電気角の推定値である推定電気角を算出することができるように、突極性を有するロータを含むのであれば、適宜構成を変更できる。
【0045】
本発明のセンサは、ロータのロータ位置を検出できるのであれば、インクリメンタル型のロータリーエンコーダや絶対角度を検出可能なレゾルバだけでなく、任意のセンサを用いることができる。
【0046】
本発明の位置決め装置は、フォークリフト以外の産業車両(例えば、無人搬送車)に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 荷役システム
2 フォークリフト
3 通信装置
10、10’ 位置決め装置
11 同期モータ
11a シャフト
11b ロータ
11c ステータ
11d スロット
12 センサ
13、13’ 制御装置
13a 記憶部
13b 推定部
13c 直流励磁部
13d センサ制御部
14 記憶部