(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】パープル・コーンフラワー搾汁液を含む医薬およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20231212BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20231212BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20231212BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20231212BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/35
A61K8/49
A61K8/9794
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2017561859
(86)(22)【出願日】2016-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2016061825
(87)【国際公開番号】W WO2016189046
(87)【国際公開日】2016-12-01
【審査請求日】2019-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2015-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】クルトマン, ジーン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー, イムケ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンクック, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン, マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】シュマウス, ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ル メール, マリエール
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】宮崎 大輔
【審判官】井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-536933(JP,A)
【文献】特表2003-528904(JP,A)
【文献】特表2014-532068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0118458(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0251730(US,A1)
【文献】特開2000-319154(JP,A)
【文献】特開2007-145790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
A61K31/00-31/80
A61K36/00-36/9068
A61P17/00-17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パープル・コーンフラワー搾汁液、およびショウガ
根CO2抽出物とのその二元混合物からなる群から選択される
薬剤を含む、ヒトの皮膚および/または毛髪を
(a)大気汚染誘発
POMCおよび/またはIL-6遺伝子発現、および/また
は
(b)POMC遺伝子発現および/またはIL-6遺伝子発現の誘発に関連する大気汚染で誘発されるかまたは大気汚染で誘発可能な皮膚のダメージ
から保護、治療および/または治癒させるための医薬。
【請求項2】
パープル・コーンフラワー搾汁液、およびショウガ
根CO2抽出物とのその二元混合物からなる群から選択される少なくとも一つの
薬剤の有効量を塗布することによって、ヒトの皮膚および/または毛髪を
POMC遺伝子発現および/またはIL-6遺伝子発現の誘発に関連する大気汚染で誘発されたダメージから保護するための非治療的方法。
【請求項3】
前記
薬剤をヒトの皮膚および/または毛髪に0.1~5mg/cm
2の有効量で塗布する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
パープル・コーンフラワー搾汁液または請求項1に記載の二元混合物の
、ヒトの皮膚および/または毛髪を
POMC遺伝子発現および/またはIL-6遺伝子発現の誘発に関連する大気汚染で誘発されたダメージから保護するための非治療的な使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品の分野に属し、大気汚染によって誘発される疾患からヒトの皮膚および毛髪を予防し治療するのに有効な特定の薬剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は身体の外部被膜である。ヒトにおいて、皮膚は外皮系の最大の器官である。皮膚は外胚葉性組織の多層を有し、下にある筋肉、骨、靭帯および内臓を保護する。ヒトの皮膚は、毛皮によって保護されていないことを除いては、他のほとんどの哺乳動物の皮膚と類似している。ほぼすべてのヒトの皮膚は毛包で覆われているが、無毛に見える可能性がある。しわ(rhytide)の別名でも知られるしわは、皮膚のひだ、うね、または折り目である。皮膚のしわは、典型的には糖化などの老化のプロセス、常習的な睡眠時の体勢、体重減少の結果として、または一時的には、長時間水に浸漬した結果として現れる。皮膚における老化によるしわは、習慣的な顔の表情、老化、日光によるダメージ、喫煙、不十分な水分補給、および様々な他の要因によって促進される。皮膚の老化を抑制できるか、または少なくとも減速させ得る因子を特定するために多くの研究がおこなわれている。実際、化粧品市場では、老化防止またはしわ防止活性物質として宣伝されることが多い製品が多数ある。
【0003】
一方で、皮膚の老化、しわの形成に至り、そして炎症や、おそらくは皮膚がんも引き起こす可能性がある別の重要な因子、すなわち大気汚染に関してはほとんど試みられていない。
【0004】
大気汚染という語は交通の排ガスを含むが、これに限定されるものではなく、これに関連して工業の排ガスを忘れてはならない。大気汚染は、放出されたガス汚染物質を意味するが、この文脈では放出された粒子も意味する。ゴムタイヤの摩耗による粒子も含まれる。大気汚染に含まれる粒子は多環式芳香族炭化水素(PAH)に結合し得るが、これらのPAHを多く含むものに限定されない。プリンターにより放出されるカーボンブラック粒子も、屋内で起こる大気汚染問題である。別の問題は、石炭または薪を用いた屋内調理による大気汚染の発生である。
【0005】
ヒトの皮膚を繰り返し大気汚染に曝露することは、しみおよびしわに関連する外因性皮膚老化を支援することが疫学研究で示された[Vierkoetter et al.,J Invest Dermatol 130 (12), 2719-26, 2010]。しみの形成は、ケラチノサイトと皮膚のメラニン産生細胞であるメラノサイトとのクロストークに起因する。ケラチノサイトは、とりわけメラノサイトにおけるメラニン形成を刺激するPOMC(プロオピオメラノコルチン)を放出する。POMC遺伝子の誘発を抑制することによって、皮膚細胞は過度のメラニン形成から保護される。しわの形成の増加は、皮膚における、コラーゲン分解の一因となる酵素であるMMP1(マトリックスメタロプロテイナーゼ-1)の増強された活性に起因する。MMP1遺伝子の誘発を抑制することによって、皮膚細胞はしわの形成から保護される。たとえばIL-6(インターロイキン-6)のような異なるサイトカインによって炎症が起こるが、炎症後の色素過剰を介しても年齢によるしみが生じる。IL-6遺伝子の誘発を抑制することによって、皮膚細胞はしみの形成と同様に炎症からも保護される。
【0006】
アリール炭化水素受容体(AhR)(NCBI遺伝子受入番号BC0700800)は、外因性汚染物質の解毒において中心的役割を果たす。AhRは、ベンズ[a]ピレンなどの多環式芳香族炭化水素(PAH)および2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)などのハロゲン化PAHに対する生物学的応答を媒介する。AhRは、リガンドと結合した後、細胞核中に移行し、そこで別の転写因子、すなわちアリール炭化水素受容体核輸送体(ARNT)と二量体を形成するリガンド活性化転写因子であり、調節遺伝子配列と結合し、そして様々な遺伝子、例えばCYP1A1およびCYP1B1の転写を誘発する。AhR活性化の結果は、皮膚腫瘍(Shimizu et al.(2000)97,779)、刺激および炎症の発症、アレルギー、アトピー性皮膚炎および掻痒の発症、ならびに皮膚統合性のかく乱(Tauchi et al.(2005)Mol.Cell Biol.25,9360-8;Henley at al.,Arch.Biochem.Biophys.(2004)422,42-51)、ならびにMMP-1(コラゲナーゼ-1)の誘発(Murphy et al.(2004)J.Biol.Chem.279,25284-2593)である。
【0007】
UVB光は、ヒトケラチノサイトおよびリンパ球ならびにマウス肝癌細胞株Hepa-1におけるCYP1A1発現を誘発する(Wei et al.,Chem.Biol.Interact.(1999)118,127-40)。しかしながら、Hepa-1細胞についてCYP1A1誘発はAhR依存性であることが実証されているに過ぎず、以下で説明するように、AhR活性化は細胞型に依存し、したがってマウス肝癌細胞に対する作用からヒトの皮膚細胞に対する作用を推定することはできない。さらに、CYP1A1はAhR非依存性経路によっても誘発され得る(Guigal et al.(2001)Life Sci.68(18),2141-50;Tijet et al.(2006)Mol.Pharmacol.69(1),140-153)。したがって、UVBとケラチノサイトにおけるAhRおよびCYP1A1との間に必ずしも関連はない。
【0008】
大気汚染がヒトの皮膚や毛髪とどのように相互作用し、障害や機能不全を引き起こすかについてはある特定のメカニズムがあるが、ダメージを受けたヒトの皮膚や毛髪を予防し治癒させることができる活性物質についてはほとんどわかっていない。したがって、本発明の目的は、大気汚染物質がヒトの皮膚および毛髪にもたらすマイナスの結果に同時に対抗するため、特にPOMC遺伝子の誘発を抑制し、したがって皮膚細胞を過度のメラニン形成から保護するために有用な好適な活性物質および活性な混合物を特定することである。大気汚染物質がヒトの皮膚および毛髪にもたらすマイナスの結果に対する闘いのもう一つの焦点は、皮膚におけるMMP1(マトリックスメタロプロテイナーゼ-1)の誘発を特に抑制して皮膚をしわの形成から保護する活性物質および活性混合物を提供することであった。さらなる目的は、特に、IL-6(インターロイキン-6)の誘発を抑制して、皮膚細胞を炎症ならびにしみの形成から保護する活性物質および活性混合物を提供することであった。最後に、CYP1A1(シトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーA、ポリペプチド1)遺伝子上方調節の誘発、特に粒子で誘発されたCYP1A1遺伝子発現として測定されるAhR(アリール炭化水素受容体)の活性化を抑制する活性物質および活性混合物を提供し、かくして粒子で誘発されたAhR活性化、特に大気汚染から生じる粒子と関連する疾患を回避することが目的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】Vierkoetter et al.,J Invest Dermatol 130(12),2719-26,2010
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、ショウガ根CO2抽出物、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン、またはそれらの混合物からなる群から選択される汚染防止剤、好ましくはパープル・コーンフラワー搾汁液を、
(a)大気汚染誘発遺伝子発現の軽減もしくは予防、および/または
(b)多環式芳香族炭化水素によって誘発されるかもしくは誘発可能な遺伝子発現の軽減もしくは予防、および/または
(c)大気汚染により誘発されるかまたは大気汚染により誘発可能な皮膚ダメージ、特に皮膚がん、皮膚の老化、皮膚炎症および色素過剰の軽減もしくは予防
ために充分な作用量で含む化粧品組成物である。
【0011】
驚くべきことに、
・パープル・コーンフラワー搾汁液および/または
・スクラレオリドおよび/または
・ショウガ根CO2抽出物および/または
・E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン
は、単独で、好ましくは二元または三元混合物で、真正街路粒子の研究に関して適切な代用物として記載されているモデル粒子(Danielsen et al,Particle and Fibre Toxicology 2008,5:6)とともにインキュベーションした後にインビトロでヒト表皮ケラチノサイトに関して皮膚老化に関与する遺伝子の上方調節を抑制することが観察された。しかしながら、粒子に結合するPAHの量がより少ない屋内粒子とともにインキュベーションした後にも、遺伝子発現が誘発された。特に、パープル・コーンフラワー搾汁液はこの上方調節も抑制することができた。
【0012】
好ましくは、本発明の化粧品組成物は汚染防止剤としてパープル・コーンフラワー搾汁液を
(a)大気汚染誘発遺伝子発現の軽減もしくは予防、および/または
(b)多環式芳香族炭化水素によって誘発されたかもしくは誘発可能な遺伝子発現の軽減もしくは予防、および/または
(c)大気汚染で誘発されたかもしくは大気汚染で誘発可能な皮膚のダメージ、特に皮膚がん、皮膚の老化、皮膚炎症および色素過剰の軽減または予防
のために充分な作用量で含む。
【0013】
二元および三元混合物
【0014】
好ましい実施形態において、本発明の化粧品組成物は前記薬剤の二元混合物を含み、二元混合物は特に以下の二元混合物の1つから選択される:
(i)パープル・コーンフラワー搾汁液およびスクラレオリド、
(ii)パープル・コーンフラワー搾汁液およびショウガ根CO2抽出物、
(iii)パープル・コーンフラワー搾汁液およびE/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン
【0015】
前記二元混合物は、皮膚および/または毛髪を保護するために、特に前記効果(a)~(c)の態様において、好適な薬物または非薬物(特に化粧品形態で)として特に有利である。
【0016】
したがって、本発明のさらなる態様は上述の好ましい二元混合物自体に関する。
【0017】
パープル・コーンフラワー搾汁液とE/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンとの二元混合物中、パープル・コーンフラワー搾汁液は、好ましくは10重量%~70重量%の量で存在し、この場合、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンは好ましくは30重量%~90重量%の量で存在し、ただし、両物質を合計すると100重量%になるものとする(混合物III)。パープル・コーンフラワー搾汁液とショウガ根CO2抽出物との別の二元混合物(混合物ii)またはパープル・コーンフラワー搾汁液とスクラレオリドとの別の二元混合物(混合物i)中、これらの活性物質の各々の量は、組成物中、好ましくは20重量%~80重量%であり、ただしすべての活性物質をあわせると100重量%になるものとする。
【0018】
パープル・コーンフラワー搾汁液とショウガ根CO2抽出物またはスクラレオリドとを含む二元混合物であって、ショウガ根CO2抽出物またはスクラレオリドが、好ましくは化粧品または医薬製品である最終製品中、0.05重量%~0.2重量%、さらに好ましくは0.1重量%~0.2重量%の量で存在し、そしてパープル・コーンフラワー搾汁液が最終製品中、0.01重量%~2.0重量%、さらに好ましくは0.05重量%~0.1重量%の量で存在する二元混合物が最も好ましい。
【0019】
別の好ましい実施形態において、組成物は、
(i)パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリドおよびショウガ根CO2抽出物、または
(ii)パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、およびE/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン;または
(iii)パープル・コーンフラワー搾汁液、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンおよびショウガ根CO2抽出物
などの前記薬剤の三元混合物を含む。
【0020】
前記三元混合物は、皮膚および/または毛髪を保護するために、特に前記効果(a)~(c)の態様において、混合物の特性に対して相加的および/または相乗的効果を及ぼすのが特に有利である。
【0021】
したがって、本発明のさらなる態様は、上述の好ましい三元混合物(i)~(iii)自体に関する。
【0022】
三元混合物(i)において、好ましくは、パープル・コーンフラワー搾汁液は12.5重量%~75重量%の量で存在し、この場合、スクラレオリドは12.5重量%~75重量%の量で存在し、そしてショウガ根CO2抽出物は好ましくは12.5重量%~75重量%の量で存在し、ただし、3つの化合物すべてをあわせると100重量%となるものとする。
【0023】
三元混合物(ii)において、好ましくは、パープル・コーンフラワー搾汁液は5重量%~60重量%の量で存在し、この場合、スクラレオリドは5重量%~60重量%の量で存在し、そしてE/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンは好ましくは20重量%~90重量%の量で存在し、ただし、3つの化合物すべてをあわせると100重量%となるものとする。
【0024】
三元混合物(ii)において、好ましくは、パープル・コーンフラワー搾汁液は5重量%~60重量%の量で存在し、この場合、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンは好ましくは20重量%~90重量%の量で存在し、そしてショウガ根CO2抽出物は好ましくは5重量%~60重量%の量で存在し、ただし、3つの化合物すべてをあわせると100重量%となるものとする。
【0025】
二元または三元混合物の各々について、汚染防止剤の作用量は、二元または三元混合物の場合最終組成物に関して計算して、混合物中の全汚染防止剤の合計で、0.01重量%~2.5重量%の量、好ましくは約0.05重量%~1.0重量%の前記(1つもしくは複数の)汚染防止剤の量を意味する。
【0026】
パープル・コーンフラワー搾汁液
【0027】
パープル・コーンフラワーは、Asteraceae科の顕花植物エキナセア(Echinacea purpurea)の一般名である。
【0028】
エキナセアは北米東部原産である。エキナセアは、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、折衷式医薬の基本的な抗菌ハーブの1つであり、その使用は、ヘビ咬傷、炭疽菌、および疼痛緩和に関して記録があった。1930年代において、エキナシアは欧州および米国の両方で植物薬として広まった。エキナシア調製物の主な使用は、今日では、上部呼吸器感染(風邪およびインフルエンザ)の予防および治療のためである。パープル・コーンフラワー搾汁液の有益な構成要素は、コーヒー酸誘導体(主にシコル酸(cichoric acid)およびカフタル酸(caftaric aci))、ポリサッカリド、ミネラル、有機酸、タンパク質およびアミノ酸である。製品は、登録商標SymFinity(登録商標)1298でSymrise AG(独国ホルツミンデン)から入手可能である。
【0029】
ショウガ根CO2抽出物
【0030】
高含量の辛味成分を有するショウガ根抽出物は食品および飲料の香味料としてよく知られている。HPLC、GCおよび他の分析法によるショウガ根抽出物の特性評価はよく説明されている。ジンジェロール、ショウガオールおよびジンゲロンのような辛味成分の定量化は医薬品安全性試験実施基準である。しかしながら、42~50重量%の高含量の辛味成分によって特徴づけられるショウガ抽出物は、以前には化粧品用途に関して記載されていない。
【0031】
組成がわかっていないショウガの根の水および/またはエタノールおよび/または水/エタノール抽出物は、抗酸化剤および老化防止剤として記載され、多くの場合、これらの用途に好ましい抽出物として開示されることが多い。これらの抽出物の使用は、とりわけ、しわの改善については日本国特許出願公開第2009-073777(A1)号で、エラスターゼ阻害剤として日本国特許出願公開第2000-319189(A1)号で、エラスターゼ活性の阻害によるしわの改善についてはFujimura et al.(Fragrance Journal(2002),30(6),38-42)によって記載されている。日本国特許出願公開第2007-008847号において、請求される抽出物は、20%エタノールで調製し、結果として有効成分としてフルクトシルジペプチドの濃度が得られる。
【0032】
毛髪および頭皮への塗布については、ショウガチンキ、ショウガ汁およびショウガの根の前記水および/またはエタノールおよび/または水/エタノール抽出物がよく知られている。毛髪および頭皮に対するこれら抽出物の活性として、とりわけ増強された微小循環が記載されている。例えば、中国特許出願公開第102451128(A1)号は、脱毛を予防するとされるシャンプーが5%ショウガ汁を含むことを示唆している。日本国特許出願公開第63-091315(A1)号は、育毛刺激のためのシャンプー配合物中の微小循環を増強するショウガ汁を記載している。欧州特許第1281402(B1)号(Kao)は、育毛阻害のジンジェロールが実質的にないショウガ抽出物について言及している。
【0033】
国際公開第2009/087578(A1)号(Foamix)において、化粧品配合物中で鎮静剤、緩和剤または温化剤としてショウガ油を使用した。しかしながら、この文献はショウガ油の組成を開示していなかった。ショウガの精油は、揮発性構成要素に起因する強い刺激臭および味で知られ、本発明によるショウガ刺激性抽出物とは比べものにならない。
【0034】
ショウガの辛味成分の単離は様々な文献で記載されている。Ficker et al.(Phytotherapy Research(2003),17(8),897-902)はショウガ構成要素の抗真菌活性を評価した。
【0035】
ショウガの辛味成分の抗炎症活性の評価は様々な文献で、とりわけLantz et al.(Phytomedicine(2007),14(2-3),123-128)によって提示されている。さらに、腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性および増殖阻害活性は、様々なグループ、とりわけSang et al.(Journal of Agricultural and Food Chemistry(2009),57(22),10645-10650)によって評価された。
【0036】
中国特許出願公開第1840162(A1)号において、ショウガ根CO2抽出物は、ジンジェロールおよびショウガオールのような辛味成分の含有量を特定することなく記載されている。抽出物は抗炎症抽出物として開示されている。適用例は、経口消費用錠剤、ピルおよびカプセルである。皮膚上への局所適用例は記載されていない。
【0037】
本発明に関して特に好ましいショウガ根CO2抽出物は、
(a)25~30重量%[6]-ジンジェロール
(b)5~10重量%[8]-ジンジェロール
(c)5~10重量%[10]-ジンジェロール
(d)1.5~4重量%[6]-ショウガオール
(e)0.3~1.3重量%[8]-ショウガオール;
(f)0.03~1重量%[10]-ショウガオール;
(g)0.01~1重量%ジンゲロン、
ただし、ジンジェロールの量は合計すると35~50重量%になり、ショウガオールの量は合計すると1.5~6重量%となるものとする。この種類の抽出物は、欧州特許出願公開第2772245(A1)号(SYMRISE)の対象であり、これは、抽出物の性質およびそれらを得る方法に関して参照により本明細書中で援用される。製品は商標SymVital(登録商標)AgeRepair 3040でSymrise AG, Holzminden(DE)から入手可能である。
【0038】
E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン
【0039】
E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンはUVB放射線によるAhRの活性化を防止することが知られ、次式によって表される。
【化1】
【0040】
製品は、Symrise AG(独国ホルツミンデン)から商標SymUrbanで入手可能である。
【0041】
スクラレオリド
【0042】
【0043】
は、ラブダン(labdan)型ジテルペンスクラレオールの化学修飾または生体内変換によって調製される化合物である。スクラレオールはクラリーセージ(Salvia sclarea L.)の茎、葉および開花部分に存在し、この供給源からの単離は記載されている(米国特許第3,060,172号)。本発明によると、スクラレオリド源は、サルビア属のいずれかの種から天然に誘導(抽出)することができるか、または実質的に純粋なスクラレオリドとして合成により得ることができる。実質的に純粋なスクラレオリドは、本発明によると70パーセントを超えるスクラレオリドを含む。
【0044】
スクラレオリドの異名は、(3aR,5aS,9aS,9bR)-デカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフサ[2,1-b]フラン-2(1H)-オン;3a,4,5,5aα,6,7,8,9,9a,9bα-デカヒドロ-3aβ,6,6,9aβ-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン-2(1H)-オン;[3aR-(3aα,5aβ,9aα,9bβ)]-デカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン-2(1H)-オン;ノルアンブレイノリド;(+)-ノルアンブレイノリド;(+)-スクラレオリド、(R)-(+)-スクラレオリド;13,14,15,16-テトラノルラブダノ-8α,12-ラクトン;ノルアンブレイノリドである。
【0045】
スクラレオリドは、アンブロキサン(ambroxan)、すなわち香水製造業で使用される高価な竜涎香の前駆体である。しかしながら、スクラレオリドはそれ自体が香料材料として使用されるので、化粧品配合物の成分であることが多い。
【0046】
スクラレオールおよびスクラレオリドの抗炎症活性は、国際公開第2002/30385(A2)号(Henkel)で記載されている。抗炎症活性は、5-リポキシゲナーゼならびにシクロオキシゲナーゼ-1活性の阻害により証明される。挫創を治療するための5つの成分の天然の組み合わせでのスクラレオリドの使用は米国特許出願公開第2003/072777号(Color Access)で提示されている。とりわけスクラレオリドおよびスクラレオールの抗菌活性は国際公開第1999/063978(A1)号(Reynolds)で既に記載されており、スクラレオリドおよびスクラレオールは挫創、皮膚炎および望ましくない体臭を治療するのに有用であると結論づけている。国際公開第2001/074327(A2)号(Color Access)では、とりわけスクラレオリドの細胞分化エンハンサーとしての使用が開示されている。この特許によると、スクラレオリドのような分化エンハンサーを使用して、表皮細胞からの脂質の産生を刺激し、同時にバリアの脂質含量を増加させる。記載された組成物の使用として、セルフタンニング製品の増強および延長が言及されている。また、スクラレオリド単独使用ならびに白樺抽出物との併用によるバリアの強化が国際公開第2002/060381(A2)号(Color Access)で記載されている。角質層機能を向上させるために使用する化粧品配合物におけるスクラレオリドの使用は、米国特許出願公開第2010/247692A1号(Color Access)で記載されている。国際公開第2008/155048(A1)号(Cognis)は、スクラレオリドを単独またはヘスペリジンメチルカルコンと組み合わせて含む化粧品組成物を開示する。化粧品組成物は、皮膚の日焼け、毛髪の黒色化、または毛髪の白色化の防止のために使用されることが記載されている。
【0047】
化粧品組成物
【0048】
本発明の別の目的は、前記活性物質を含む化粧品組成物を包含する。本発明による組成物は、例えば、ローション、クリーム、エマルジョン、フォーム、ムース、オイルまたはスティックの形態のパーソナルケア組成物、スキンケア組成物、ヘアケア組成物またはサンケア組成物であり得る。前記組成物は、前記薬剤、二元または三元混合物を、最終組成物に関して計算して、約0.01重量%~約2.5重量%、好ましくは約0.05重量%~約1.0重量%の量で含み得る。
【0049】
好ましくは、組成物は、化粧品的に許容される担体、例えば、水、C2-C4アルコール、2~6個の炭素原子を有するポリオールおよび/または油体をさらに含み得る。
【0050】
本発明による調製物は、研磨剤、抗ニキビ剤、皮膚の老化に対する薬剤、脂肪沈着防止剤、フケ防止剤、抗炎症薬、刺激防止剤(irritation-preventing agent)、刺激抑制剤(irritation-inhibiting agent)、抗酸化剤、収斂剤、制汗剤、防腐剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝液、担体材料、キレート剤、細胞賦活剤、洗浄剤、ケア剤(care agent)、脱毛剤、界面活性物質、脱臭剤、発汗抑制剤、柔軟剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、フィルム形成剤、固定剤、泡形成剤、泡安定剤、発泡防止物質、フォームブースター(foam booster)、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアセット剤(hair-setting agent)、直毛化剤(hair-straightening agent)、水分付与剤(moisture-donating agent)、保湿物質、水分保持物質、漂白剤、強化剤、染み抜き剤、蛍光増白剤(optically brightening agent)、含浸剤、防汚剤、減摩剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、ポリッシュ、光沢剤、ポリマー、パウダー、タンパク質、リオイリング剤(re-oiling agent)、研磨剤(abrading agent)、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚ヒーリング剤、皮膚美白剤(skin lightening agent)、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、育毛促進剤(hair promotion agent)、冷却剤、皮膚冷却剤、温化剤、皮膚温化剤、安定剤、UV吸収剤、UVフィルター、洗剤、衣類の柔軟仕上剤、懸濁化剤、皮膚日焼け剤(skin-tanning agent)、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、一価または多価不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤(liquefier)、染料、着色防止剤、顔料、防食剤、アロマ、香味物質、臭気物質、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶媒またはシリコーン誘導体などをさらなる補助剤および添加剤として含有し得る。
【0051】
界面活性剤
【0052】
好ましい補助剤および添加剤はアニオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤の典型例は、セッケン、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノアルキルスルホサクシネートおよびジアルキルスルホサクシネート、モノアルキルスルホサクシナメートおよびジアルキルスルホサクシナメート、スルホトリグリセリド、アミドセッケン、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド(tauride)、N-アシルアミノ酸、例えば、アシルラクチレート、アシルタータレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に小麦系植物性産物)およびアルキル(エーテル)ホスフェートである。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、それらは通常のホモログ分布を有し得るが、好ましくは狭い範囲のホモログ分布を有する。両性または双性イオン性界面活性剤の典型例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。上記界面活性剤はすべて公知化合物である。それらの構造および製造に関する情報は関連する総観研究(synoptic work)で見出すことができ、例えば、J.Falbe(ed.),“Surfactants in Consumer Products”,Springer Verlag,Berlin,1987,pages 54 to 124またはJ.Falbe(ed.),“Katalysatoren, Tenside und Mineralol添加剤 (Catalysts,Surfactants and Mineral Oil Additives)”,Thieme Verlag,Stuttgart,1978,pages 123-217を参照のこと。調製物中の界面活性剤の含量パーセンテージは、調製物基準で、0.1~10重量%であり得、好ましくは0.5~5重量%である。
【0053】
油体
【0054】
O/Wエマルジョンの構成要素を形成する好適な油体は、例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくGuerbetアルコール、線状C6~C22脂肪酸と線状もしくは分岐C6~C22脂肪アルコールとのエステルまたは分岐C6~C13カルボン酸と線状もしくは分岐C6~C22脂肪アルコールとのエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートである。線状C6~C22脂肪酸の分岐アルコールと、特に2-エチルヘキサノールとのエステル、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸の線状もしくは分岐C6~C22脂肪アルコールとのエステル、特にジオクチルマレート、線状および/または分岐脂肪酸の多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはGuerbetアルコールとのエステル、C6~C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6~C18脂肪酸に基づく液体モノグリセリド/ジグリセリド/トリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコールおよび/またはGuerbetアルコールの芳香族カルボン酸と、特に安息香酸とのエステル、C2~C12ジカルボン酸の1~22個の炭素原子を有する線状もしくは分岐アルコールまたは2~10個の炭素原子および2~6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分岐第一アルコール、置換シクロヘキサン、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づく、線状および分岐C6~C22脂肪アルコールカーボネート、例えば、ジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)、Guerbetカーボネート、安息香酸の線状および/または分岐C6~C22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標)TN)、アルキル基あたり6~22個の炭素原子を有する線状または分岐、対称または不斉ジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、ポリオールとのエポキシ化脂肪酸エステルの開環産物、シリコーン油(シクロメチコン、シリコーンメチコン等級など)および/または脂肪族もしくはナフテン炭化水素、例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサンも好適である。
【0055】
乳化剤
【0056】
例えば:
・2~30molのエチレンオキシドおよび/または0~5molのプロピレンオキシドを線状C8~22脂肪アルコール、C12~22脂肪酸およびアルキル基中に8~15個の炭素原子を含むアルキルフェノールを付加させた生成物;
・1~30molのエチレンオキシドのグリセロールへの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステル;
・6~22個の炭素原子を含む飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールモノエステルおよびジエステルならびにソルビタンモノエステルおよびジエステルならびにそのエチレンオキシド付加生成物;
・15~60molのエチレンオキシドのヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への付加生成物;
・ポリオールエステルおよび、特にポリグリセロールエステル、例えば、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレートまたはポリグリセロールジメレート(dimerate)イソステアレート。これらのクラスのいくつかに由来する化合物の混合物も好適である;
・2~15molのエチレンオキシドのヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への付加生成物;
・線状、分岐、不飽和または飽和C6/22脂肪酸、リシノール酸および12-ヒドロキシステアリン酸およびグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、-ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)に基づく部分エステル;
・モノアルキルホスフェート、ジアルキルホスフェートおよびトリアルキルホスフェートならびにモノ-PEG-アルキルホスフェート、ジ-PEG-アルキルホスフェートおよび/またはトリ-PEG-アルキルホスフェート、ならびにその塩;
・羊毛脂アルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキルポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
・ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/またはC6~22脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールの混合エステル、
・ポリアルキレングリコールおよび
・グリセロールカーボネート
を含む他の界面活性剤も乳化剤として調製物に添加することができる。
【0057】
エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、脂肪酸のグリセロールモノエステルおよびジエステルならびにソルビタンモノエステルおよびジエステルまたはヒマシ油への付加生成物は公知の市販製品である。それらは、その平均アルコキシル化度が、付加反応が行われるエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと基質との量の比に相当するホモログ混合物である。エチレンオキシドのグリセロールへの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは化粧品配合物用の脂質層エンハンサーとして知られている。好ましい乳化剤を以下でさらに詳細に記載する:
【0058】
部分グリセリド。好適な部分グリセリドの典型例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリドおよび、製造過程に由来する少量のトリグリセリドを依然として含み得るその工業用混合物である。1~30mol、好ましくは5~10molのエチレンオキシドの上記部分グリセリドへの付加生成物も好適である。
【0059】
ソルビタンエステル。好適なソルビタンエステルは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタータレート、ソルビタンセスキタータレート、ソルビタンジタータレート、ソルビタントリタータレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートおよびその工業用混合物である。1~30molおよび好ましくは5~10molのエチレンオキシドの前記ソルビタンエステルへの付加生成物も好適である。
【0060】
ポリグリセロールエステル。好適なポリグリセロールエステルの典型例は、ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls(登録商標)PGPH)、ポリグリセリン-3-ジイソステアレート(Lameform(登録商標)TGI)、ポリグリセリル-4イソステアレート(Isolan(登録商標)GI34)、ポリグリセリル-3オレエート、ジイソステアロイルポリグリセリル-3ジイソステアレート(Isolan(登録商標)PDI)、ポリグリセリル-3メチルグルコースジステアレート(Tego Care(登録商標)450)、ポリグリセリル-3ミツロウ(Cera Bellina(登録商標))、ポリグリセリル-4カプレート(ポリグリセロールカプレートT2010/90)、ポリグリセリル-3セチルエーテル(Chimexane(登録商標)NL)、ポリグリセリル-3ジステアレート(Cremophor(登録商標)GS 32)およびポリグリセリルポリリシノレエート(Admul(登録商標)WOL1403)、ポリグリセリルジメレートイソステアレートならびにその混合物である。他の好適なポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールのラウリン酸、ココ脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとのモノエステル、ジエステルおよびトリエステルであって、任意選択的に1~30モルのエチレンオキシドと反応させたものである。
【0061】
アニオン性乳化剤。典型的なアニオン性乳化剤は、脂肪族C12~22脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、およびC12~22ジカルボン酸、例えばアゼライン酸またはセバシン酸である。
【0062】
両性乳化剤。他の好適な乳化剤は両性または双性イオン性界面活性剤である。双性イオン性界面活性剤は、少なくとも一つの第四アンモニウム基と少なくとも一つのカルボキシレートおよび一つのスルホネート基とを分子中に含む界面活性化合物である。特に好適な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、およびアルキルまたはアシル基中に8~18個の炭素原子を含む2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリンおよびココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で知られている脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。両性界面活性剤も好適な乳化剤である。両性界面活性剤は、C8/18アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも一つの遊離アミン基と少なくとも一つの-COOH-または-SO3H基とを分子中に含み、内塩を形成できる界面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8~18個の炭素原子を含む、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキル-アミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。
【0063】
過脂肪剤および稠度因子
【0064】
過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチンならびにポリエトキシル化またはアシル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの物質から選択することができ、脂肪酸アルカノールアミドは泡安定剤としての役割も果たす。
【0065】
主に使用される稠度因子は、12~22個および好ましくは16~18個の炭素原子を含む脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコールならびに部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。これらの物質とアルキルオリゴグルコシドおよび/または同じ鎖長の脂肪酸N-メチルグルカミドおよび/またはポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組み合わせを使用するのが好ましい。
【0066】
増粘剤およびレオロジー添加剤
【0067】
好適な増粘剤は、ポリマー増粘剤、例えばAerosil(登録商標)タイプ(親水性シリカ)、ポリサッカリド、さらに詳細にはキサンタンガム、グアー-グアー、寒天-寒天、アルギネートおよびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、また脂肪酸の比較的高分子量のポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート(例えばCarbopols(登録商標)[Goodrich]またはSynthalens(登録商標)[Sigma])、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド、脂肪酸のポリオールと、例えばペンタエリスリトールまたはトリメチロールプロパンとのエステル、狭い範囲の脂肪アルコールエトキシレートおよび電解質、例えば塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムである。
【0068】
ポリマー
【0069】
好適なカチオン性ポリマーは、例えば、カチオン性セルロース誘導体、例えば、AmercholからPolymer JR400(登録商標)の名称で入手可能な四級化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミドのコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えば、Luviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールおよびアミンの縮合生成物、四級化コラーゲンポリペプチド、例えば、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L、Grunau)、四級化小麦ポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、例えば、アモジメチコン、アジピン酸およびジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretine(登録商標)、Sandoz)、アクリル酸のジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(Merquat(登録商標)550、Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびその架橋した水溶性ポリマー、カチオン性キチン誘導体、例えば、任意選択的に微結晶分布の四級化キトサン、ジハロアルキル、例えばジブロモブタンのビス-ジアルキルアミンと、例えばビス-ジメチルアミノ-1,3-プロパンとの縮合生成物、カチオン性グアーガム、例えば、CelaneseのJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)C-16、四級化アンモニウム塩ポリマー、例えば、MiranolのMirapol(登録商標)A-15、Mirapol(登録商標)AD-1、Mirapol(登録商標)AZ-1および市場で商品名Rheocare(登録商標)CCまたはUltragel(登録商標)300で見出すことができる様々なポリクオタニウムタイプ(例えば6、7、32または37)である。
【0070】
好適なアニオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、ビニルアセテート/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、非架橋およびポリオール架橋ポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび部分誘導体化セルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0071】
真珠光沢ワックス(PEARLIZING WAX)
【0072】
好適な真珠光沢ワックスは、例えば、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にココ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性で、任意選択的にヒドロキシ置換されたカルボン酸と6~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;脂肪族化合物、例えば、すべてにおいて少なくとも24個の炭素原子を含む、脂肪アルコール、脂肪族ケトン、脂肪族アルデヒド、脂肪族エーテルおよび脂肪族カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸、12~22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドの12~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールおよび/または2~15個の炭素原子と2~10個のヒドロキシル基とを含むポリオールでの開環生成物ならびにその混合物である。
【0073】
シリコーン
【0074】
好適なシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーンならびにアミノ修飾シリコーン化合物、脂肪酸修飾シリコーン化合物、アルコール修飾シリコーン化合物、ポリエーテル修飾シリコーン化合物、エポキシ修飾シリコーン化合物、フッ素修飾シリコーン化合物、グリコシド修飾シリコーン化合物および/またはアルキル修飾シリコーン化合物であり、室温で液状およびレジン様の両方であり得る。他の好適なシリコーン化合物は、200~300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコンと水素化シリケートとの混合物であるシメチコンである。好適な揮発性シリコーンの詳細な概説は、Todd et al.Cosm.Toil.91,27(1976)で見出すことができる。
【0075】
ワックスおよび安定剤
【0076】
使用した天然油以外に、ワックスも調製物中に存在してもよく、さらに詳細には、天然ワックス、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、エスパルト繊維ワックス、コルクワックス、ガラナ(guaruma)ワックス、米油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリ(ouricury)ワックス、モンタンワックス、ミツロウ、シェラックワックス、鯨ろう、ラノリン(羊毛脂)、尾脂肪(uropygial fat)、セレシン、オゾケライト(地ろう)、ワセリン、パラフィンワックスおよびマイクロワックス;化学的に修飾されたワックス(硬ろう)、例えば、モンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックス、水素化ホホバワックスおよび合成ワックス、例えば、ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。
【0077】
脂肪酸の金属塩、例えば、マグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛のステアリン酸塩またはリシノール酸塩を安定剤として使用してもよい。
【0078】
第一太陽光保護因子
【0079】
本発明の関連で、第一太陽光保護因子とは、例えば室温で液体または結晶質であり、紫外線放射を吸収することができ、また熱など、より長波長の放射線の形態で吸収されたエネルギーを放出することができる有機物質(光フィルター)である。
【0080】
本発明による配合物は、有利には、少なくとも一つのUV-Aフィルターおよび/または少なくとも一つのUV-Bフィルターおよび/または広帯域フィルターおよび/または少なくとも一つの無機顔料を含有する。本発明による配合物は、好ましくは、少なくとも一つのUV-Bフィルターまたは広帯域フィルター、更に特に好ましくは少なくとも一つのUV-Aフィルターおよび少なくとも一つのUV-Bフィルターを含む。
【0081】
好ましい化粧品組成物、好ましくは本発明による局所配合物は、4-アミノ安息香酸および誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート、3-イミダゾール-4-イルアクリル酸およびそのエステル、ベンゾフラン誘導体、ベンジリデンマロネート誘導体、一つ以上の有機ケイ素ラジカルを含むポリマーUV吸収剤、桂皮酸誘導体、カンファー誘導体、トリアニリノ-s-トリアジン誘導体、2-ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸誘導体およびその塩、アントラニル酸メンチルエステル、ベンゾトリアゾール誘導体ならびにインドール誘導体からなる群から選択される1、2、3またはそれ以上の太陽光保護因子を含む。
【0082】
加えて、式(I)の化合物と、皮膚に浸透し、日光で誘発されたダメージから皮膚細胞を内部から保護し、そして皮膚マトリックスメタロプロテアーゼのレベルを低下させる活性成分とを組み合わせることが有利である。好ましい個々の成分、いわゆるアリール炭化水素受容体アンタゴニストは、参照することにより本明細書中で援用される、国際特許公開第2007/128723号に記載されている。好ましいのは、2-ベンジリデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンである。
【0083】
本発明の関連で使用することができる下記UVフィルターが好ましいが、当然ながらこれらに限定されるものではない。
【0084】
好ましく用いられるUVフィルターは以下のものからなる群から選択される:
・p-アミノ安息香酸
・p-アミノ安息香酸エチルエステル(25mol)エトキシル化(INCI名:PEG-25PABA)
・p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシルエステル
・p-アミノ安息香酸エチルエステル(2mol)N-プロポキシル化
・p-アミノ安息香酸グリセロールエステル
・サリチル酸ホモメンチルエステル(ホモサラート)(Neo Heliopan(登録商標)HMS)
・サリチル酸-2-エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)OS)
・トリエタノールアミンサリチレート
・4-イソプロピルベンジルサリチレート
・アントラニル酸メンチルエステル(Neo Heliopan(登録商標)MA)
・ジイソプロピル桂皮酸エチルエステル
・p-メトキシ桂皮酸-2-エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)AV)
・ジイソプロピル桂皮酸メチルエステル
・p-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル(Neo Heliopan(登録商標)E1000)
・p-メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン塩
・p-メトキシ桂皮酸イソプロピルエステル
・2-フェニルベンズイミダゾールスルホン酸および塩(Neo Heliopan(登録商標)Hydro)
・3-(4´-トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボラン-2-オンメチルスルフェート
・β-イミダゾール-4(5)-アクリル酸(ウロカニン酸)
・3-(4´-スルホ)ベンジリデンボラン-2-オンおよび塩
・3-(4´-メチルベンジリデン)-D,L-カンファー(Neo Heliopan(登録商標)MBC)
・3-ベンジリデン-D,L-カンファー
・N-[(2および4)-[2-(オキソボルン-3-イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドポリマー
・4,4´-[(6-[4-(1,1-ジメチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ジイミノ]-ビス-(安息香酸-2-エチルヘキシルエステル)(Uvasorb(登録商標)HEB)
・ベンジリデンマロネートポリシロキサン(Parsol(登録商標)SLX)
・グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート
・ジプロピレングリコールサリチレート
・トリス(2-エチルヘキシル)-4,4´,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリベンゾエート(=2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2´-エチルヘキシル-1´-オキシ)-1,3,5-トリアジン)(Uvinul(登録商標)T150)。
【0085】
好ましくは本発明による調製物において一つ以上の式(I)の化合物と組み合わせて用いられる広帯域フィルターは、以下のものからなる群から選択される:
・2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(Neo Heliopan(登録商標)303)
・エチル-2-シアノ-3,3´-ジフェニルアクリレート
・2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(Neo Heliopan(登録商標)BB)
・2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸
・ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン
・2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン
・テトラヒドロキシベンゾフェノン
・2,2´-ジヒドロキシ-4,4´-ジメトキシベンゾフェノン
・2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン
・2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4´-メチルベンゾフェノン
・ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム
・二ナトリウム-2,2´-ジヒドロキシ-4,4´-ジメトキシ-5,5´-ジスルホベンゾフェノン
・フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-メチル-3(1,3,3,3-テトラメチル-1-(トリメチルシリル)オキシ)ジシロキサニル)プロピル)(Mexoryl(登録商標)XL)
・2,2´-メチレンビス-(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb(登録商標)M)
・2,4-ビス-[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-1,3,5-トリアジン
・2,4-ビス-[{(4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinosorb(登録商標)S)
・2,4-ビス-[{(4-(3-スルホナト)-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンナトリウム塩
・2,4-ビス-[{(3-(2-プロピルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン
・2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-[4-(2-メトキシエチルカルボニル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン
・2,4-ビス-[{4-(3-(2-プロピルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-[4-(2-エチルカルボキシル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン
・2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(1-メチルピロール-2-イル)-1,3,5-トリアジン
・2,4-ビス-[{4-トリス-(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン
・2,4-ビス-[{4-(2”-メチルプロペニルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン
・2,4-ビス-[{4-(1´,1´,1´,3´,5´,5´,5´-ヘプタメチルシロキシ-2”-メチルプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン。
【0086】
組成物は、さらなる典型的な洗剤を含むことができ、好ましくは本発明による調製物において式(I)の一つ以上の化合物と組み合わせられるUV-Aフィルターなどのクレンジング組成物成分は、以下のものからなる群から選択される:
・4-イソプロピルジベンゾイルメタン
・テレフタリリデンジボランスルホン酸および塩(Mexoryl(登録商標)SX)
・4-t-ブチル-4´-メトキシジベンゾイルメタン(アヴォベンゾン)/(Neo Heliopan(登録商標)357)
・フェニレンビス-ベンズイミダジルテトラスルホン酸二ナトリウム塩(Neo Heliopan(登録商標)AP)
・2,2´-(1,4-フェニレン)-ビス-(1H-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸)、モノナトリウム塩
・2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A Plus)
・独国特許出願公開第10055940(A1)号明細書(=国際公開第2002038537(A1)号)によるインダニリデン化合物
【0087】
組成物は、さらなる典型的な洗剤を含むことができ、より好ましくは、本発明による調製物中の式(I)の一つ以上の化合物と組み合わせられるUVフィルターなどのクレンジング組成物成分は、以下のものからなる群から選択される:
・p-アミノ安息香酸
・3-(4´-トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボラン-2-オンメチルスルフェート
・サリチル酸ホモメンチルエステル(Neo Heliopan(登録商標)HMS)
・2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(Neo Heliopan(登録商標)BB)
・2-フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Neo Heliopan(登録商標)Hydro)
・テレフタリリデンジボルナンスルホン酸および塩(Mexoryl(登録商標)SX)
・4-tert-ブチル-4´-メトキシジベンゾイルメタン(Neo Heliopan(登録商標)357)
・3-(4´-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オンおよび塩
・2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(Neo Heliopan(登録商標)303)
・N-[(2および4)-[2-(オキソボルン-3-イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドポリマー
・p-メトキシ桂皮酸-2-エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)AV)
・p-アミノ安息香酸エチルエステル(25mol)エトキシル化(INCI名:PEG-25 PABA)
・p-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル(Neo Heliopan(登録商標)E1000)
・2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2´-エチルヘキシル-1´-オキシ)-1,3,5-トリアジン(Uvinul(登録商標)T150)
・フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-メチル-3(1,3,3,3-テトラメチル-1-(トリメチルシリル)オキシ)ジシロキサニル)プロピル)(Mexoryl(登録商標)XL)
・4,4´-[(6-[4-(1,1-ジメチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ジイミノ]-ビス-(安息香酸-2-エチルヘキシルエステル)(Uvasorb HEB)
・3-(4´-メチルベンジリデン)-D,L-カンファー(Neo Heliopan(登録商標)MBC)
・3-ベンジリデンカンファー
・サリチル酸-2-エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)OS)
・4-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシルエステル(Padimate O)
・ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびNa塩
・2,2´-メチレンビス-(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb(登録商標)M)
・フェニレンビス-ベンズイミダジルテトラスルホン酸二ナトリウム塩(Neo Heliopan(登録商標)AP)
・2,4-ビス-[{(4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinosorb(登録商標)S)
・ベンジリデンマロネートポリシロキサン(Parsol(登録商標)SLX)
・メンチルアントラニレート(Neo Heliopan(登録商標)MA)
・2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A Plus)
・独国特許出願公開第10055940号(=国際公開第02/38537号)によるインダニリデン化合物。
【0088】
有利な第一および第二の太陽光保護因子は国際公開第2005/123101(A1)号で言及されている。有利には、これら調製物は、少なくとも一つのUVAフィルターおよび/または少なくとも一つのUVBフィルターおよび/または少なくとも一つの無機顔料を含む。調製物は、太陽光保護調製物用に通常用いられるものなど様々な形態で存在し得る。したがって、それらは溶液、油中水タイプ(W/O)または水中油タイプ(O/W)または多エマルジョン、例えば水中油中水タイプ(W/O/W)のエマルジョン、ゲル、ヒドロ分散液、固体スティックまたはエアロゾルの形態であってよい。
【0089】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による配合物は、本発明による配合物の光保護指数が2以上(好ましくは5以上)となるような総量の日焼けどめ剤、すなわち特にUVフィルターおよび/または無機顔料(UVフィルタリング顔料)を含む。本発明によるそのような配合物は皮膚および毛髪の保護に特に適している。
【0090】
第二の太陽光保護因子
【0091】
上記第一太陽光保護因子の群以外に、抗酸化剤タイプの第二太陽光保護因子も使用することができる。抗酸化剤タイプの第二太陽光保護因子は、UV線が皮膚に浸透すると開始される光化学的反応連鎖を妨害する。典型例は、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えばα-カロテン、β-カロテン、リコピン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポン酸(liponic acid)およびその誘導体(例えばジヒドロリポン酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、α-リノレイル、コレステリルおよびそのグリセリルエステル)およびそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)ならびにごく少量の適合性用量のスルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニン(butionine)スルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタチオニンスルホキシイミン、ヘキサチオニンスルホキシイミンおよびヘプタチオニンスルホキシイミン)、また(金属)キレータ(例えばα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えばリノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えばアスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、トコフェロールおよび誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)ならびにベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸(rutinic acid)およびその誘導体、グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアイアレチン酸(guaiaretic acid)、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ,二酸化チタン(例えばエタノール中分散液)、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレンメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランススチルベンオキシド)ならびに本発明の目的に適したこれらの活性物質の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。
【0092】
有利な第二の無機光保護顔料は微細分散した金属酸化物および金属塩であり、これらは国際公開第2005/123101(A1)号でも言及されている。本発明による完成した化粧品調製物中の無機顔料、特に疎水性無機ミクロ顔料の総量は、有利には、各々の場合に製剤の総重量基準で0.1~30重量%、好ましくは0.5~10.0重量%である。
【0093】
任意選択的に疎水化することができ、使用することができる微粒子UVフィルターまたは無機顔料、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化マンガン(例えば、MnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化セリウム(例えば、Ce2O3)および/またはその混合物も好ましい。
【0094】
皮膚および/または毛髪色素沈着を調節する活性物質
【0095】
皮膚美白および/または毛髪光沢(hair lightening)のための好ましい活性成分は、以下のものからなる群から選択される:コウジ酸(5-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-4-ピラノン)、コウジ酸誘導体、好ましくはコウジ酸ジパルミテート、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、好ましくはアスコルビルリン酸マグネシウム、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、好ましくは4-アルキルレゾルシノールおよび4-(1-フェニルエチル)1,3-ジヒドロキシベンゼン(フェニルエチルレゾルシノール)、シクロヘキシルカーバメート(好ましくは、国際公開第2010/122178号および国際公開第2010/097480号で開示されている一つ以上のシクロヘキシルカーバメート)、硫黄含有分子、好ましくはグルタチオンまたはシステイン、α-ヒドロキシ酸(好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、その塩およびエステル、N-アセチルチロシンおよび誘導体、ウンデセノイルフェニルアラニン、グルコン酸、クロモン誘導体、好ましくはアロエシン、フラボノイド、1-アミノエチルホスフィン酸、チオ尿素誘導体、エラグ酸、ニコチンアミド(ナイアシンアミド)、亜鉛塩、好ましくは塩化亜鉛またはグルコン酸亜鉛、ツヤプリシンおよび誘導体、トリテルペン、好ましくはマスリン酸、ステロール、好ましくはエルゴステロール、ベンゾフラノン、好ましくはセンキュノリド、ビニルギアコール、エチルギアコール、ジオン酸(dionic acid)、好ましくはオクトデセン(octodecene)ジオン酸および/またはアゼライン酸、窒素酸化物合成の阻害剤、好ましくはL-ニトロアルギニンおよびその誘導体、2,7-ジニトロインダゾールまたはチオシトルリン、金属キレータ(好ましくはα-ヒドロキシ脂肪酸、フィチン酸、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、EDTA、EGTAおよびその誘導体)、レチノイド、豆乳および抽出物、セリンプロテアーゼ阻害剤またはリポ酸あるいは皮膚美白および毛髪光沢のための他の合成もしくは天然活性成分であって、後者は好ましくは植物からの抽出物、好ましくはベアベリー抽出物、コメ抽出物、パパイヤ抽出物、ウコン抽出物、クワ抽出物、ベンコアン(bengkoang)抽出物、ナッツグラス(nutgrass)抽出物、甘草抽出物またはそれから濃縮もしくは単離された構成要素、好ましくはグラブリジンまたはリコカルコンA、パンノキ抽出物、スイバおよびラムルス(ramulus)種の抽出物、マツ種(マツ属)の抽出物、ブドウ種の抽出物またはそれから単離もしくは濃縮されたスチルベン誘導体、ユキノシタ抽出物、タツナミソウ抽出物、ブドウ抽出物および/または微細藻類抽出物、特にテトラセミス・セチカ(Tetraselmis suecica)抽出物の形態で用いられる。
【0096】
成分(b)として好ましい皮膚美白剤は、チロシナーゼ阻害剤としてのコウジ酸およびフェニルエチルレゾルシノール、β-およびα-アルブチン、ヒドロキノン、ニコチンアミド、二酸、MgアスコルビルホスフェートならびにビタミンCおよびその誘導体、クワ抽出物、ベンコアン抽出物、パパイヤ抽出物、ウコン抽出物、ナッツグラス抽出物、カンゾウ抽出物(グリチルリチンを含有)、α-ヒドロキシ酸、4-アルキルレゾルシノール、4-ヒドロキシアニソールである。これらの皮膚美白剤は、それらの非常に良好な活性のために、特に本発明によるスクラレオリドとの組み合わせで好ましい。加えて、前記好ましい皮膚美白剤は容易に入手可能である。
【0097】
この点で有利な皮膚および毛髪黒化活性成分は、L-チロシン、N-アセチルチロシン、L-DOPAまたはL-ジヒドロキシフェニルアラニンなどのチロシナーゼの基質または基質アナログ、カフェイン、テオブロミンならびにテオフィリンおよびその誘導体などのキサンチンアルカロイド、ACTH、α-MSH、そのペプチドアナログおよびメラノコルチン受容体と結合する他の物質などのプロオピオメラノコルチンペプチド、Val-Gly-Val-Ala-Pro-Gly、Lys-Ile-Gly-Arg-LysまたはLeu-Ile-Gly-Lysなどのペプチド、プリン、ピリミジン、葉酸、グルコン酸銅、塩化銅またはピロリドン酸銅(pyrrolidonate)などの銅塩、1,3,4-オキサジアゾール-2-チオール、例えば5-ピラジン-2-イル-1,3,4-オキサジアゾール-2-チオール、クルクミン、ジグリシン酸亜鉛(Zn(Gly)2)、例えば欧州特許第0584178号で記載されているような重炭酸マンガン(II)錯体(「シュードカタラーゼ(pseudocatalase)」)、例えば国際公開第2005/032501号で記載されているようなテトラ置換シクロヘキサン誘導体、国際公開第2005/102252号および国際公開第2006/010661号で記載されているようなイソプレノイド、Melasyn-100およびMelanZeなどのメラニン誘導体、ジアシルグリセロール、脂肪族または環状ジオール、プソラレン、プロスタグランジンおよびそれらのアナログ、アデニル酸シクラーゼの活性化剤およびメラノソームのケラチノサイトへの移動を活性化する化合物、例えばセリンプロテアーゼまたはPAR-2受容体のアゴニスト、キク種、ワレモコウ種の植物および植物部分の抽出物、クルミ抽出物、ウルクム(urucum)抽出物、ダイオウ抽出物、微細藻類抽出物、特にイソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)、トレハロース、エリスルロース(erythrulose)およびジヒドロキシアセトンである。皮膚および毛髪の着色または褐色化をもたらすフラボノイド(例えば、ケルセチン、ラムネチン、ケンフェロール、フェセチン、ゲニステイン、ダイゼイン、クリシンおよびアピゲニン、エピカテキン、ジオスミンおよびジオスメチン、モリン、クエルシトリン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、フロリジンおよびフロレチン)も使用することができる。
【0098】
本発明による生成物中の皮膚および毛髪色素沈着の調節用のさらなる活性成分(一つ以上の化合物)の前記例の量は、したがって調製物の総重量基準で、好ましくは0.00001~30重量%、好ましくは0.0001~20重量%、特に好ましくは0.001~5重量%である。
【0099】
老化防止活性物質
【0100】
本発明の関連で、老化防止剤または生物起源剤(biogenic agent)は、例えば抗酸化剤、マトリックス-メタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPI)、皮膚保湿剤、グリコサミノグリカン(glycosaminglycan)刺激剤(stimulkator)、抗炎症剤、TRPV1アンタゴニストおよび植物抽出物である。
【0101】
抗酸化剤。好適な抗酸化剤は、アミノ酸(好ましくはグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(好ましくはウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、好ましくはD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびその誘導体(好ましくはアンセリン)、カルニチン、クレアチン、マトリカインペプチド(好ましくはリシル-トレオニル-トレオニル-リシル-セリン)およびパルミトイル化ペンタペプチド、カロテノイド、カロテン(好ましくはα-カロテン、β-カロテン、リコピン)およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(好ましくはジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(好ましくはチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル、グリセリルおよびそのオリゴグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(好ましくは、エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)およびごくわずかの耐量(例えば、pmolからμmol/kg)のスルホキシイミン化合物(好ましくはブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタチオニンスルホキシイミン、ヘキサチオニンスルホキシイミン、ヘプタチオニンスルホキシイミン)、また(金属)キレータ(好ましくはα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、α-ヒドロキシ酸(好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、タンニン、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体)、不飽和脂肪酸およびその誘導体(好ましくはγ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびその誘導体、ユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(好ましくはアスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート、アスコルビルグルコシド)、トコフェロールおよび誘導体(好ましくはビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)および安息香酸樹脂(benzoic resin)コニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、フラボノイドおよびそのグリコシル化前駆体、特にケルセチンおよびその誘導体、好ましくはα-グルコシルルチン、ロスマリン酸、カルノソール、カルノソル酸、レスベラトル、コーヒー酸およびその誘導体、シナピン酸およびその誘導体、フェルラ酸およびその誘導体、クルクミノイド、クロロゲン酸およびその誘導体、レチノイド、好ましくはレチニルパルミテート、レチノールまたはトレチノイン、ウルソル酸、レブリン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(好ましくはZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(好ましくはセレンメチオニン)、スーパーオキシドジスムターゼ,スチルベンおよびその誘導体(好ましくはスチルベンオキシド、トランススチルベンオキシド)ならびに本発明にしたがって好適であるこれらの記載した活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)または抗酸化効果を有する植物の抽出物もしくはフラクション、好ましくは緑茶、ルイボス、ハニーブッシュ、ブドウ、ローズマリー、セージ、メリッサ、タイム、ラベンダー、オリーブ、オート麦、ココア、イチョウ、チョウセンニンジン、甘草、ハニーサックル、エンジュ、クズ属、マツ属、柑橘類、ユカン(Phyllanthus emblica)またはセントジョーンズワート、ブドウ種子、小麦胚芽、ユカン、コエンザイム、好ましくはコエンザイムQ10、プラストキノンおよびメナキノンを包含する。好ましい抗酸化剤は、ビタミンAおよび誘導体、ビタミンCおよび誘導体、トコフェロールおよび誘導体、好ましくはトコフェリルアセテート、ならびにユビキノンからなる群から選択される。
【0102】
ビタミンEおよび/またはその誘導体を抗酸化剤として使用する場合、その濃度を配合物の総重量に基づいて約0.001~約10重量%の範囲から選択することが有利である。ビタミンAもしくはビタミンA誘導体またはカロテンもしくははその誘導体を抗酸化剤として使用する場合、その濃度を配合物の総重量に基づいて約0.001~約10重量%の範囲から選択することが有利である。
【0103】
マトリックス-メタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPI)。好ましい組成物は、マトリックス-メタロプロテイナーゼ阻害剤、特に、以下のものからなる群から選択されるコラーゲンを酵素により切断するマトリックス-メタロプロテイナーゼを阻害するものを含む:ウルソル酸、レチニルパルミテート、プロピルガレート、プレコセン、6-ヒドロキシ-7-メトキシ-2,2-ジメチル-1(2H)-ベンゾピラン、3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-7-メトキシ-2,2-ジメチル-1(2H)-ベンゾピラン、ベンズアミジン塩酸塩、システインプロテイナーゼ阻害剤N-エチルマレミドおよびセリンプロテアーゼ阻害剤のε-アミノ-n-カプロン酸:フェニルメチルスルホニルフルオリド、コルヒビン(collhibin)(Pentapharm社;INCI:加水分解コメタンパク質)、オエノセロール(oenotherol)(Soliance社;INCI:プロピレングリコール、アクア、メマツヨイグサ(Oenothera biennis)根抽出物、例えばザクロからのエラグ酸およびエラジタンニン)、ホスホルアミドンヒノキチオール、EDTA、ガラルジン(galardin)、EquiStat(Collaborative Group社;リンゴ果実抽出物、ダイズ種子抽出物、ウルソル酸、ダイズイソフラボンおよびダイズタンパク質)、セージ抽出物、MDI(Atrium社;INCI:グリコサミノグリカン)、フェルミスキン(fermiskin)(Silab/Mawi社;INCI:水およびシイタケ(lentinus edodes)抽出物)、アクチム(actimp)1.9.3(Expanscience/Rahn社;INCI:加水分解ハウチワマメタンパク質)、リポベル(lipobelle)ダイズアグリコン(Mibelle社;INCI:アルコール、ポリソルベート80、レシチンおよびダイズイソフラボン)、国際公開第02/069992(A1)号(参照することにより本明細書中で援用するこの文献中の表1~12を参照)で列挙されている緑茶および紅茶からの抽出物ならびにさらなる植物抽出物、ダイズからのタンパク質または糖タンパク質、コメ、マメまたはハウチワマメからの加水分解タンパク質、MMPを阻害する植物抽出物、好ましくはシイタケ(shitake mushroom)からの抽出物、バラ科、バラ亜科の葉からの抽出物、特に、ブラックベリー葉の抽出物(好ましくは参照することにより本明細書中で援用される国際公開第2005/123101(A1)号で記載されているとおり)、例えばSymMatrix(Symrise社、INCI:マルトデキストリン、セイヨウヤブイチゴ(Rubus Fruticosus)(ブラックベリー)葉抽出物)。好ましい活性物質は、レチニルパルミテート、ウルソル酸、バラ科、バラ亜科の葉からの抽出物、ゲニステインおよびダイゼインからなる群から選択される。
【0104】
皮膚保湿剤。好ましい皮膚保湿剤は、3~12個の炭素原子を含むアルカンジオールまたはアルカントリオール、好ましくはC3~C10アルカンジオールおよびC3~C10アルカントリオールからなる群から選択される。さらに好ましくは、皮膚保湿剤は、グリセロール、1,2-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールおよび1,2-デカンジオールからなる群から選択される。
【0105】
グリコサミノグリカン刺激剤。好ましい組成物は、ヒアルロン酸および誘導体または塩、Subliskin(Sederma、INCI:シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium Meliloti)発酵濾液(Ferment Filtrate)、セチルヒドロキシエチルセルロース、レシチン)、Hyalufix(BASF、INCI:水、ブチレングリコール、ナンキョウ(Alpinia galanga)葉抽出物、キサンタンガム、カプリル/カプリン酸トリグリセリド)、Stimulhyal(Soliance、INCI:ケトグルコン酸カルシウム)、Syn-Glycan(DSM、INCI:テトラデシルアミノブチロイルバリルアミノ酪酸(butyric)尿素トリフルオロアセテート、グリセリン、塩化マグネシウム)、Kalpariane(Biotech Marine)、DC Upregulex(Distinctive Cosmetic Ingredients、INCI:水、ブチレングリコール、リン脂質、加水分解セリシン)、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、レチノイド、好ましくはレチノールおよびビタミンA、ゴボウ(Arctium lappa)果実抽出物、ビワ(Eriobotrya japonica)抽出物、ゲンクワニン、N-メチル-1-セリン、(-)-α-ビスアボロールまたは合成α-ビスアボロール、例えばSymrise製のDragosantolおよびDragosantol100、オート麦グルカン、エキナセア抽出物およびダイズタンパク質加水分解物からなる群から選択されるグリコサミノグリカンの合成を刺激する物質を含む。好ましい活性物質は、ヒアルロン酸および誘導体または塩、レチノールおよび誘導体、(-)-α-ビスアボロールまたは合成α-ビスアボロール、例えばSymrise製のDragosantolおよびDragosantol100、オート麦グルカン、エキナセア抽出物、シノリゾビウム・メリロティ発酵濾液、ケトグルコン酸カルシウム、ナンキョウ葉抽出物およびテトラデシルアミノブチロイルバリルアミノ酪酸尿素トリフルオロアセテートからなる群から選択される。
【0106】
抗炎症剤。組成物は、抗炎症および/または発赤および/またはかゆみ改善成分も含んでもよく、特にヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンホスフェート、メチルプレドニゾロンまたはコルチゾンからなる群から選択される、コルチコステロイドタイプのステロイド物質が発赤およびかゆみを和らげるための抗炎症活性成分または活性成分として有利に使用され、そのリストは、他のステロイド系抗炎症薬を加えて拡大することができる。非ステロイド系抗炎症薬も使用することができる。本明細書中で挙げることができる例は、オキシカム、例えばピロキシカムまたはテノキシカム;サリチレート、例えばアスピリン、ジサルシド(disalcid)、ソルプリン(solprin)またはフェンドサル;酢酸誘導体、例えばジクロフェナック、フェンクロフェナック、インドメタシン、スリンダック、トルメチンまたはクリンダナック(clindanac);フェナメート、例えばメフェナミック、メクロフェナミック、フルフェナミックまたはニフルミック;プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)またはピラゾール、例えばフェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、フェブラゾン(febrazone)またはアザプロパゾンである。アントラニル酸誘導体、特に国際公開第2004/047833(A1)号で記載されているアベナンスラマイドが本発明による組成物中の好ましいかゆみ止め成分である。
【0107】
天然または天然に存在する抗炎症物質混合物または発赤および/もしくはかゆみを和らげる物質の混合物、特に、カモミール、アロエベラ、コンミフォーラ(Commiphora)種、アカネ(Rubia)種、ヤナギ、ヤナギソウ、オート麦、キンセンカ、アルニカ、セントジョーンズワート、ハニーサックル、ローズマリー、チャボトケイソウ(Passiflora incarnata)、マンサク、ショウガまたはエキナセアからの抽出物またはフラクション;好ましくはカモミール、アロエベラ、オート麦、キンセンカ、アルニカ、ハニーサックル、ローズマリー、マンサク、ショウガまたはエキナセア、および/または純粋な物質、好ましくはα-ビスアボロール、アピゲニン、アピゲニン-7-グルコシド、ジンジェロール、ショウガオール、ジンジャージオール、デヒドロジンジャージオン(dehydrogingerdione)、パラドル、天然または天然に存在するアベナンスラマイド、好ましくはトラニラスト、アベナンスラマイドA、アベナンスラマイドB、アベナンスラマイドC、非天然もしくは天然に存在しないアベナンスラマイド、好ましくはジヒドロアベナンスラマイドD、ジヒドロアベナンスラマイドE、アベナンスラマイドD、アベナンスラマイドE、アベナンスラマイドF、ボスウェル酸、フィトステロール、グリチルリチン、グラブリジンおよびリコカルコンAからなる群から選択される抽出物またはフラクション;好ましくはα-ビスアボロール、天然アベナンスラマイド、非天然アベナンスラマイド、好ましくはジヒドロアベナンスラマイドD(国際公開第2004/047833(A1)号で記載されているとおり)、ボスウェル酸、フィトステロール、グリチルリチン、およびリコカルコンA,および/またはアラントイン、パンテノール、ラノリン、(シュード)セラミド[好ましくはセラミド2、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、セチルオキシプロピルグリセリルメトキシプロピルミリスタミド、N-(1-ヘキサデカノイル)-4-ヒドロキシ-L-プロリン(1-ヘキサデシル)エステル、ヒドロキシエチルパルミチルオキシヒドロキシプロピルパルミタミド]、スフィンゴ糖脂質、フィトステロール、キトサン、マンノース、ラクトースおよびβ-グルカン、特にオート麦由来の1,3-1,4´-グルカンからなる群から選択される抽出物またはフラクションも有用である。
【0108】
ビスアボロールを本発明の関連で使用する場合、ビスアボロールは天然または合成起源のものであり得、好ましくは「α-ビスアボロール」である。好ましくは、使用するビスアボロールは、合成により調製されるか、または天然の(-)-α-ビスアボロールおよび/もしくは合成混合異性体α-ビスアボロールである。天然の(-)-α-ビスアボロールを使用する場合、これは、精油または植物抽出物またはそのフラクションの構成要素として、例えばカモミールまたはバニロスモプシス(Vanillosmopsis)(特にバニロスモプシス・エリスロパッパ(Vanillosmopsis erythropappa)またはバニロスモプシス・アルボレア(Vanillosmopsis arborea))の油または抽出物(のフラクション)の構成要素として用いることもできる。合成α-ビスアボロールは、例えば、「Dragosantol」という名称でSymriseから入手可能である。
【0109】
ショウガ抽出物を本発明に関連して使用する場合において、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチルアセテート、二酸化炭素(CO2)、ヘキサン、メチレンクロリド、クロロホルムまたは匹敵する極性の他の溶媒もしくは溶媒混合物での抽出によって調製される新鮮または乾燥ショウガの根の抽出物を使用するのが好ましい。抽出物は、構成要素、例えばジンジェロール、ショウガオール、ジンジャージオール、デヒドロジンジャージオンおよび/またはパラドルなどの構成要素の活性な皮膚炎軽減量の存在によって特徴づけられる。
【0110】
TRPV1アンタゴニスト。TRPV1アンタゴニストとしてのそれらの作用に基づいて皮膚神経の過敏性を低下させる好適な化合物は、例えば、国際出願公開第2009/087242(A1)号に記載されているトランス-4-tert-ブチルシクロヘキサノールを含むか、またはμ-受容体、例えばアセチルテトラペプチド-15の活性化によるTRPV1の間接的モジュレータが好ましい。
【0111】
落屑剤(Desquamating agent)。組成物はまた、落屑剤(成分b5)を製剤の総重量基準で、約0.1~約30重量%、好ましくは約0.5~約15重量%、特に好ましくは約1~約10重量%の量で含み得る。「落屑剤」という表現は以下のように作用できるあらゆる化合物を意味すると理解される:
・β-ヒドロキシ酸、特にサリチル酸およびその誘導体(5-n-オクタノイルサリチル酸を含む);α-ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸;尿素;ゲンチシン酸;オリゴフコース;桂皮酸;エンジュ(Sophora japonica)の抽出物;レスベラトルおよびジャスコン酸のいくつかの誘導体などの、剥離を促進することによって落屑に対して直接作用することができる化合物;
・またはコルネオデスモソーム(corneodesmosome)、グリコシダーゼ、角質層キモトリプシン酵素(SCCE)または他のプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン様)の落屑または分解に関与する酵素に作用できる化合物。無機塩とキレート形成する薬剤:EDTA;N-アシル-N,N´,N´-エチレンジアミントリ酢酸;アミノスルホン酸化合物および特に(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)の誘導体;グリシンタイプのα-アミノ酸の誘導体(欧州特許第0852949号で記載されているとおり、およびBASFから商標名TRILON Mで販売されているメチルグリシンジ酢酸ナトリウム);ハチミツ;糖誘導体、例えばO-オクタノイル-6-D-マルトースおよびN-アセチルグルコサミン;Recoverine(登録商標)の名称でSILAB社によって販売されているクリ抽出物、SILAB社から名称Exfolactive(登録商標)で販売されているものなどのウチワサボテン抽出物、またはDegussa社によって販売されているPhytosphingosine SLC(登録商標)(サリチル酸でグラフトされたフィトスフィンゴシン)を挙げることができる。
【0112】
本発明に好適な落屑剤は、特に、スルホン酸、カルシウムキレータ、α-ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸;アスコルビン酸およびその誘導体、例えばアスコルビルグルコシドおよびアスコルビルリン酸マグネシウム;ニコチンアミド;尿素;(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES)、β-ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸およびその誘導体、レチノイド、例えばレチノールおよびそのエステル、レチナール、レチノイン酸およびその誘導体、文献仏国特許出願公開第2570377(A1)号、欧州特許出願公開第0199636(A1)号、欧州特許出願公開第0325540(A1)号、欧州特許出願公開第0402072(A1)号で記載されているもの、クリまたはウチワサボテン抽出物、特にSILABによって市販されているもの;還元化合物、例えばシステインまたはシステイン前駆体を含む群から選択することができる。
【0113】
使用することができる落屑剤はまた、特に欧州特許出願公開第1529522(A1)号で記載されているような、ニコチン酸およびそのエステルならびにビタミンB3またはビタミンPPとも呼ばれるニコチンアミド、およびアスコルビン酸およびその前駆体である。
【0114】
脂肪沈着防止剤。脂肪沈着防止剤および脂肪分解剤は、好ましくは、国際公開第2007/077541号で記載されているもの、およびβ-アドレナリン受容体アゴニスト、例えばシネフリンおよびその誘導体、ならびに国際公開第2010/097479号で記載されているシクロヘキシルカーバメートからなる群から選択される。脂肪沈着防止剤の活性を増強またはブーストする薬剤、特に、C神経線維を刺激および/または脱分極させる薬剤は、好ましくは、カプサイシンおよびその誘導体、バニリル-ノニルアミドおよびその誘導体、L-カルニチン、コエンザイムA、イソフラボノイド、ダイズ抽出物、アナナス抽出物および共役リノール酸からなる群から選択される。
【0115】
脂肪増強剤(fat enhancing agent)。本発明による配合物および製品は、一つ以上の脂肪増強剤および/または脂肪生成剤ならびに脂肪増強剤の活性を増強またはブーストする薬剤も含み得る。脂肪増強剤は、例えばヒドロキシメトキシフェニルプロピルメチルメトキシベンゾフラン(商標名:Sym3D(登録商標))である。
【0116】
育毛活性化剤または阻害剤
【0117】
本発明による配合物および生成物は、一つ以上の育毛活性化剤、すなわち、育毛を刺激する薬剤も含み得る。育毛活性化剤は、好ましくは、ピリミジン誘導体、例えば2,4-ジアミノピリミジン-3-オキシド(アミネキシル(Aminexil))、2,4-ジアミノ-6-ピペリジノピリミジン-3-オキシド(ミノキシジル)およびその誘導体、6-アミノ-1,2-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2-イミノ-4-ピペリジノピリミジンおよびその誘導体、キサンチンアルカロイド、例えばカフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンおよびその誘導体、ケルセチンおよび誘導体、ジヒドロケルセチン(タキシフォリン)および誘導体、カリウムチャンネル開口薬、抗アンドロゲン剤、合成または天然の5-還元酵素阻害剤、ニコチン酸エステル、例えばトコフェリルニコチネート、ベンジルニコチネートおよびC1-C6アルキルニコチネート、タンパク質、例えば、トリペプチドLys-Pro-Val、ジフェンシプレン(diphencypren)、ホルモン、フィナステライド、デュタステライド、フルタミド、ビカルタミド、プレグナン誘導体、プロゲステロンおよびその誘導体、シプロテロンアセテート、スピロノラクトンおよび他の利尿剤、カルシニューリン阻害剤、例えばFK506(Tacrolimus、Fujimycin)およびその誘導体、シクロスポリンAおよびその誘導体、亜鉛および亜鉛塩、ポリフェノール、プロシアニジン、プロアントシアニジン、フィトステロール、例えば、β-シトステロール、ビオチン、オイゲノール、(±)-β-シトロネロール、パンテノール、イガイ由来のグリコーゲン、微生物、藻類、例えばタンポポ(LeontodonまたはTaraxacum)、オルトシフォン(Orthosiphon)、バイテックス(Vitex)、コーヒーノキ(Coffea)、パウリニア(Paullinia)、テオブロマ(Theobroma)、サイシン(Asiasarum)、カボチャ(Cucurbita)またはスチフノロビウム(Styphnolobium)、ノコギリヤシ(Serenoa repens)(ソーパルメット)、クララ(Sophora flavescens)、ピジェム・アフリカナム(Pygeum africanum)、キビ(Panicum miliaceum)、サラシナショウマ(Cimicifuga racemosa)、ダイズ(Glycine max)、クローブ(Eugenia caryophyllata)、コチヌス・コギグリア(Cotinus coggygria)、ブッソウゲ(Hibiscus rosa-sinensis)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、イレックス・パラグアリエンシス(Ilex paraguariensis)、イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)、カンゾウ、ブドウ、リンゴ、オオムギもしくはホップ属の植物および植物部分からの抽出物または/およびコメもしくはコムギからの加水分解物からなる群から選択される。
【0118】
あるいは、本発明による配合物および製品は、一つ以上の育毛阻害剤(上記のとおり)、すなわち育毛を低減または防止する薬剤を含み得る。育毛阻害剤は、好ましくは、アクチビン、アクチビン誘導体またはアクチビンアゴニスト、オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤、例えばα-ジフルオロメチルオルニチンまたは、例えばウルソル酸、ベツリン、ベツリン酸、オレアノール酸およびその誘導体のようなペンタ環状トリテルペン、5α-還元酵素阻害剤、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、ダイズ由来のセリンプロテアーゼ阻害剤、微生物、藻類、異なる微細藻類、または例えばマメ(Leguminosae)、ナス(Solanaceae)、イネ(Graminae)、ガガイモ(Asclepiadaceae)またはウリ(Cucurbitaceae)科、ツノマタ(Chondrus)、グロイオペルティス(Gloiopeltis)、セラミウム(Ceramium)、デュルビレア(Durvillea)、ダイズ(Glycine max)、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)、キンセンカ(Calendula officinalis)、アメリカマンサク(Hamamelis virginiana)、アルニカ・モンタナ(Arnica montana)、サリックス・アルバ(Salix alba)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)またはジムネマ・シルベストレ(Gymnema sylvestre)属の植物および植物部分からの抽出物からなる群から選択される。
【0119】
冷却剤
【0120】
組成物は、好ましくは以下のリストから選択される、生理的冷却効果を有する一つ以上の物質(冷却剤)も含み得る:メントールおよびメントール誘導体(例えばL-メントール、D-メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)メンチルエーテル(例えば(l-メントキシ)-1,2-プロパンジオール、(l-メントキシ)-2-メチル-1,2-プロパンジオール、l-メンチル-メチルエーテル)、メンチルエステル(例えばメンチルホルミエート、メンチルアセテート、メンチルイソブチレート、メンチルラクテート、L-メンチル-L-ラクテート、L-メンチル-D-ラクテート、メンチル-(2-メトキシ)アセテート、メンチル-(2-メトキシエトキシ)アセテート、メンチルピログルタメート)、メンチルカーボネート(例えばメンチルプロピレングリコールカーボネート、メンチルエチレングリコールカーボネート、メンチルグリセロールカーボネートまたはそれらの混合物)、メントールのジカルボン酸またはその誘導体との半エステル(例えばモノ-メンチルスクシネート、モノ-メンチルグルタレート、モノ-メンチルマロネート、O-メンチルコハク酸エステル-N,N-(ジメチル)アミド、O-メンチルコハク酸エステルアミド)、メンタンカルボン酸アミド(この場合、好ましくは、米国特許第4,150,052号で記載されているようなメンタンカルボン酸-N-エチルアミド[WS3]またはNα-(メンタンカルボニル)グリシンエチルエステル[WS5]、国際公開第2005/049553(A1)号で記載されているようなメンタンカルボン酸-N-(4-シアノフェニル)アミドまたはメンタンカルボン酸-N-(4-シアノメチルフェニル)アミド、メンタンカルボン酸-N-(アルコキシアルキル)アミド)、メントンおよびメントン誘導体(例えばL-メントングリセロールケタール)、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-酪酸誘導体(例えば2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-酪酸-N-メチルアミド[WS23])、イソプレゴールまたはそのエステル(l-(-)-イソプレゴール、l-(-)-イソプレゴールアセテート)、メンタン誘導体(例えばp-メンタン-3,8-ジオール)、クベボールまたはクベボールを含む合成もしくは天然の混合物、シクロアルキルジオン誘導体のピロリドン誘導体(例えば、3-メチル-2(1-ピロリジニル)-2-シクロペンタン-1-オン)またはテトラヒドロピリミジン-2-オン(例えば国際公開第2004/026840号に記載されているようなイシリン(iciline)または関連化合物)、さらなるカルボキサミド(例えばN-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)-3-p-メタンカルボキサミドまたは関連化合物)、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-イソプロピル)シクロヘキサン-カルボキサミド[WS12]、オキサメート(好ましくは欧州特許出願公開第2033688(A2)号に記載されているもの)。
【0121】
抗菌剤
【0122】
好適な抗菌剤は、原則として、グラム陽性菌に対して有効なすべての物質、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ならびにその塩およびエステル、N-(4-クロロフェニル)-N´-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4´-トリクロロ-2´-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチル-フェノール、2,2´-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロ-フェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、クロルヘキシジン、3,4,4´-トリクロロカルバニリド(TTC)、殺菌性香料、チモール、タイム油、オイゲノール、クローブ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸N-アルキルアミド、例えば、n-オクチルサリチルアミドまたはn-デシルサリチルアミドである。
【0123】
酵素阻害剤
【0124】
好適な酵素阻害剤は、例えば、エステラーゼ阻害剤である。これらは好ましくはトリアルキルシトレート、例えば、トリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレートおよび、特に、トリエチルシトレート(Hydagen CAT)である。物質は酵素活性を阻害し、それによって臭気の形成を低減する。好適なエステラーゼ阻害剤である他の物質は、ステロールスルフェートまたはホスフェート、例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スティグマステロールおよびシトステロールスルフェートまたはホスフェート、ジカルボン酸およびそのエステル、例えば、グルタル酸、モノエチルグルタレート、ジエチルグルタレート、アジピン酸、モノエチルアジペート、ジエチルアジペート、マロン酸およびジエチルマロネート、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸またはジエチルタータレート、およびグリシン酸亜鉛である。
【0125】
臭気吸収剤および制汗活性剤
【0126】
好適な臭気吸収剤は、臭気形成化合物を吸収することができ、主に臭気形成化合物を保持することができる物質である。それらは個々の成分の分圧を低下させ、したがってその拡散速度も低下させる。香料はこのプロセスで損なわれないままでなければならないことが重要である。臭気吸収剤は細菌に対しては有効ではない。臭気吸収剤は、例えば、主な構成要素として、リシノール酸の亜鉛錯塩または特定の、当業者には「固定剤」として知られている、主に消臭(odour-neutral)香料、例えばラブダナムもしくはエゴノキの抽出物またはある特定のアビエチン酸誘導体を含む。臭気マスキング剤は、それらの臭気マスキング剤としての機能に加えて、デオドラントに各々の芳香ノートを与える香料または香油である。挙げられる香油は、例えば天然および合成香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果実の皮、根、木、ハーブおよび草、針状葉および枝からの抽出物、ならびに樹脂およびバルサムである。動物性産物、例えば、シベットおよび海狸香も好適である。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、および炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの香料化合物は、例えば、ベンジルアセテート、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネートおよびベンジルサリチレートである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば、8~18個の炭素原子を有する線状アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアールおよびブルゲオナール(bourgeonal)が含まれ、ケトンには、例えば、イオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール(linaool)、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれ、そして炭化水素は、主にテルペンおよびバルサムを含む。しかしながら、一緒になって快い芳香ノートを生じる異なる香料の混合物の使用が優先される。例えばセージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、桂皮油、シナノキ花精油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム(galbanum)油、ラブダナム油およびラベンダー油などの、たいていはアロマ成分として使用される、比較的低揮発性の精油も香油として好適である。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラル(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシル桂皮アルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイスアンブレネ・フォルテ(boisambrene forte)、アンブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール、ラバンジン油、クラリーセージ油、β-ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチレート、ベルトフィクス・カール(Vertofix coeur)、イソ-E-スーパー、フィクソリド(Fixolide)NP、エバーニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラト(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)を単独または混合物で使用することが優先される。
【0127】
好適な収斂剤制汗剤活性成分は、主に、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩である。そのような好適な制汗活性成分は、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレートおよび例えば1,2-プロピレングリコールとの複雑な化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタータレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレートおよび例えばグリシンなどのアミノ酸との複雑な化合物である。
【0128】
フィルム形成剤および抗フケ剤
【0129】
標準的フィルム形成剤は、例えば、キトサン、微結晶キトサン、四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、アクリル酸シリーズのポリマー、第四セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸ならびにその塩および類似の化合物である。
【0130】
好適なふけ防止剤は、Pirocton Olamin(1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2-(1H)-ピリジノンモノエタノールアミン塩)、Baypival(登録商標)(クリンバゾール(Climbazole))、Ketoconazol(登録商標)(4-アセチル-1-{4-[2-(2,4-ジクロロフェニル)r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}-ピペラジン、ケトコナゾール、エルビオール、二硫化セレン、コロイド硫黄、硫黄ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、硫黄リシノールポリエトキシレート、硫黄タール留分、サリチル酸(またはヘキサクロロフェンとの組み合わせ)、ウンデシレン酸、モノエタノールアミドスルホサクシネートNa塩、Lamepon(登録商標)UD(タンパク質/ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンおよびマグネシウムピリチオン/ジピリチオンマグネシウムスルフェートである。
【0131】
担体およびヒドロトロープ
【0132】
好ましい化粧品担体材料は、例えば、グリセロール、1,2-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エタノール、水および前記液体担体材料の2つまたはそれ以上と水との混合物などのように、25℃および1013mbar(高粘性物質を含む)で固体または液体である。任意選択的に、これらの本発明による調製物は、防腐剤または可溶化剤を用いて製造することができる。本発明による調製物の成分であり得る、他の好ましい液体担体物質は、植物油、中性油および鉱物油などの油からなる群から選択される。
【0133】
本発明による調製物の成分であり得る好ましい固体担体材料は、ヒドロコロイド、例えばデンプン、減成デンプン、化学的または物理的に修飾されたデンプン、デキストリン、(粉末)マルトデキストリン(好ましくは5~25、好ましくは10~20のデキストロース当量を有する)、ラクトース、二酸化ケイ素、グルコース、修飾セルロース、アラビアゴム、ガティガム、トラガント、カラヤ、カラギーナン、プルラン、カードラン、キサンタンガム、ゲランガム、グア粉、カロブビーン粉、アルギネート、寒天、ペクチンおよびイヌリンならびにこれらの固体の2つまたはそれ以上の混合物、特にマルトデキストリン(好ましくは15~20のデキストロース当量値を有する)、ラクトース、二酸化ケイ素および/またはグルコースである。
【0134】
加えて、ヒドロトロープ、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを使用して、流動挙動を改善することができる。好適なポリオールは、好ましくは2~15個の炭素原子と少なくとも2個のヒドロキシル基とを含む。ポリオールは、他の官能基、さらに詳細にはアミン基を含んでもよいか、または窒素で修飾してもよい。典型例は
・グリセロール;
・100~1000ダルトンの平均分子量を有するアルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコールおよびポリエチレングリコール;
・1.5~10の自己縮合度を有する工業用オリゴグリセロール混合物、例えば40~50重量%のジグリセロール含量を有する工業用ジグリセロール混合物;
・メチロール化合物、例えば、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基中に1~8個の炭素原子を含むもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
・5~12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール、
・5~12個の炭素原子を含む糖、例えばグルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、例えばグルカミン;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノプロパン-1,3-ジオール
である。
【0135】
防腐剤
【0136】
好適な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸およびAppendix6,Parts A and B of the Kosmetikverordnung(“Cosmetics Directive”)で列挙されている他のクラスの化合物である。
【0137】
香油および香料
【0138】
好適な香油は、天然および合成香料の混合物である。天然香料には、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実(アニス、コリアンダー、キャラウェイ、ジュニパー)、果実の皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ナツメグ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスツス、アヤメ、ショウブ(calmus))、木(マツ、サンダルウッド、グアヤク、スギ、シタン)、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、ハイマツ)、樹脂およびバルサム(ガルバナム(galbanum)、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)の抽出物が含まれる。例えばジャコウネコおよびビーバーなどの動物原料も使用できる。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの香料化合物の例は、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、ステアリルプロピオネートおよびベンジルサリチレートである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば、8~18個の炭素原子を含む線状アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアールおよびブルゲオナールが含まれる。好適なケトンの例は、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンである。好適なアルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールである。炭化水素は主にテルペンおよびバルサムを含む。しかしながら、一緒になって好ましい香料を生じる異なる香料化合物の混合物を使用することが好ましい。他の好適な香油は、たいていの場合アロマ成分として用いられる比較的低揮発性の精油である。例は、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、桂皮油、ライムの花精油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム(galbanum)油、ラダナム(ladanum)油およびラベンジン(lavendin)油である。以下のものが、好ましくは個別にまたは混合物の形態で用いられる:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラル(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシル桂皮アルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイスアンブレネ・フォルテ(Boisambrene Forte)、アンブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン、サンデリス(sandelice)、柑橘類油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール、ラベンジン(lavendin)油、クラリ(clary)油、ダマスコン、ゼラニウム油バーボン, シクロヘキシルサリチレート、ベルトフィクス・カール(Vertofix Coeur)、イソ-E-スーパー、フィクソリド(Fixolide)NP、エバーニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラト(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)。
【0139】
染料
【0140】
好適な染料は、例えば、刊行物“Kosmetische Farbemittel” of the Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft, Verlag Chemie, Weinheim,1984, pages 81 to 106で記載されているような好適かつ化粧品目的で認可された物質のいずれかである。例としては、コチニールレッドA(C.I.16255)、パテントブルーV(C.I.42051)、インディゴチン(indigotin)(C.I.73015)、クロロフィリン(C.I.75810)、キノリンイエロー(C.I.47005)、二酸化チタン(C.I.77891)、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)およびマダーレーキ(C.I.58000)が挙げられる。ルミノールが発光染料として存在してもよい。有利な着色顔料は、例えば二酸化チタン、マイカ、酸化鉄(例えば、Fe2O3Fe3O4、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカーマイン、ベルリンブルー、酸化クロムグリーン、群青および/またはマンガンバイオレットである。
【0141】
調製物
【0142】
本発明による好ましい組成物は、皮膚および/もしくは毛髪の治療、保護、ケアおよびクレンジング用、またはメイクアップ製品として、好ましくはリーブオン(leave-on)製品(その保湿および/または老化防止および/または創傷治癒促進作用がより顕著となるように、洗い流す製品と比べてより長期間、式(I)の一つ以上の化合物が皮膚および/または毛髪上にとどまることを意味する)としての製品の群から選択される。
【0143】
本発明による配合物は、好ましくは、エマルジョン、例えばW/O(油中水)、O/W(水中油)、W/O/W(水中油中水)、O/W/O(油中水中油)エマルジョン、PITエマルジョン、Pickeringエマルジョン、油含量が低いエマルジョン、ミクロエマルジョンまたはナノエマルジョン、製造方法および成分に応じて、溶液、例えば油中溶液(脂肪油または脂肪酸エステル、特にC6~C32脂肪酸C2~C30エステル)またはシリコーン油、分散液、懸濁液、クリーム(creme)、ローションまたはミルク、ゲル(ヒドロゲル、ヒドロ分散液ゲル(hydrodispersion gel)、オレオゲル(oleogel)を含む)、スプレー(例えば、ポンプスプレーまたはプロペラントを有するスプレー)または化粧用ワイプ用のフォームもしくは含浸液、洗剤、例えばセッケン、合成洗剤、洗浄液、シャワーおよび浴用調製物、入浴剤(カプセル、オイル、タブレット、塩、バスソルト、セッケンなど)、発泡性調製物、スキンケア製品、例えば、エマルジョン(上記のとおり)、軟膏、ペースト、ゲル(上記のとおり)、油、バルサム、セラム、パウダー(例えば、フェイスパウダー、ボディパウダー)、マスク、ペンシル、スティック、ロールオン、ポンプ、エアロゾル(発泡性、非発泡性、後発泡性(post-foaming))、デオドラントおよび/または制汗剤、マウスウォッシュおよびマウスリンス、フットケア製品(角質溶解薬、デオドラントを含む)、虫除け、日焼けどめ剤、アフターサン調製物、髭剃用製品、アフターシェーブバーム、髭剃前および髭剃後用ローション、脱毛剤、ヘアケア製品、例えばシャンプー(2-in-1シャンプー、フケ防止シャンプー、ベビー用シャンプー、乾性頭皮(dry scalp)用シャンプー、濃厚シャンプーを含む)、コンディショナー、ヘアトニック、ヘアウォータ、毛髪リンス、スタイリングクリーム(creme)、ポマード、パーマおよびセッティングローション、ヘアスプレー、スタイリングエイド(例えば、ゲルまたはワックス)、毛髪平滑剤(絡んだ髪をほぐす薬剤、縮毛矯正剤)、毛髪染料、例えば一時的直接染色毛髪染料、半永久毛髪染料、永久毛髪染料、ヘアコンディショナー、ヘアムース、アイケア製品、メイクアップ、メイクアップリムーバまたはベビー製品の形態である。
【0144】
本発明による配合物は、特に好ましくは、エマルジョンの形態、特にW/O、O/W、W/O/W、O/W/Oエマルジョン、PITエマルジョン、Pickeringエマルジョン、油含量が低いエマルジョン、ミクロエマルジョンまたはナノエマルジョン、ゲル(ヒドロゲル、ヒドロ分散液ゲル、オレオゲルを含む)、例えば油(脂肪油または脂肪酸エステル、特にC6~C32脂肪酸C2~C30エステル))またはシリコーン油中溶液、またはスプレー(例えば、ポンプスプレーまたはプロペラントを有するスプレー)の形態である。
【0145】
補助物質および添加剤は、配合物の総重量に基づいて5~99重量%、好ましくは10~80重量%の量で含まれ得る。各々の場合で使用される化粧品または皮膚科学的補助剤および添加剤および香料の量は、特定の製品の性質に応じて、簡単な試行錯誤によって当業者が容易に決定することができる。
【0146】
調製物は、製剤の総重量基準で99重量%まで、好ましくは5~80重量%の量で水も含み得る。
【0147】
医薬
【0148】
本発明の別の目的は、
(a)大気汚染誘発遺伝子発現、および/または
(b)多環式芳香族炭化水素によって誘発されるかもしくは誘発可能な遺伝子発現,および/または
(c)大気汚染で誘発されるかまたは大気汚染で誘発可能な皮膚のダメージ
に関連する障害および機能不全からヒトの皮膚および/毛髪を保護、予防、治療および/または治癒させるための、パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、ショウガ根CO2抽出物、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン、特に好ましいパープル・コーンフラワー搾汁液または前記の好ましい二元もしくは三元混合物からなる群から選択される汚染防止剤を含む医薬である。
【0149】
特に、皮膚および/または毛髪に対する大気汚染で誘発された障害および機能不全からの保護および予防とは、特に、以下のものの誘発の阻害を指す:
1)POMC遺伝子、したがって過度のメラニン形成から皮膚細胞を保護する;および/または
2)しわの形成の増加から皮膚を保護するための皮膚中のMMP1(マトリックスメタロプロテイナーゼ-1);および/または
3)炎症ならびにしみ形成から皮膚細胞を保護するためのIL-6(インターロイキン-6)であって、炎症は特に真菌感染症に基づかない;および/または
4)AhR活性化に起因するダメージから皮膚細胞を保護するCYP1A1遺伝子発現、特に、粒子で誘発されたCYPA1遺伝子発現。
【0150】
非治療的方法
【0151】
本発明の別の目的は、パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、ショウガ根CO2抽出物、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン、特に好ましいパープル・コーンフラワー搾汁液または前記の好ましい二元もしくは三元混合物からなる群から選択される少なくとも一つの汚染防止剤の有効量を塗布することによって、ヒトの皮膚および/または毛髪を大気汚染で誘発されたダメージから保護するための非治療的方法である。
【0152】
好ましくは、約0.1重量%~0.5重量%、好ましくは0.3重量%~0.5重量%の本発明の前記活性剤を含む配合物の0.1mg/cm2~約5mg/cm2、好ましくは2mg/cm2~3mg/cm2をヒトの皮膚および/または毛髪に塗布し、これは、約8μg/cm2~約10μg/cm2の前記薬剤の有効量である。
【0153】
使用
【0154】
本発明の最後の目的は、パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、ショウガ根CO2抽出物E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン、特に好ましいパープル・コーンフラワー搾汁液または前記の好ましい二元もしくは三元混合物からなる群から選択される汚染防止剤の、ヒトの皮膚および/または毛髪を大気汚染から保護するための使用に関する。
【0155】
本発明の別の重要な目的は、パープル・コーンフラワー搾汁液または二元混合物もしくは三元混合物または前記の好ましい二元もしくは三元混合物のAhRアンタゴニストとしての使用である。
【0156】
特に、ヒトの皮膚および/または毛髪の大気汚染からの保護は、メラニン形成および/またはしわの形成および/または炎症に至り、各々、しみ形成に至るある遺伝子の誘発から誘発される大気汚染に関し、炎症は特に真菌感染症、および/またはCYP1A1遺伝子発現上方調節、特に粒子で誘発されたCYP1A1遺伝子発現として測定されるAhR活性化と関連する疾患に基づくものではない。
【0157】
したがって、さらに好ましくは、本発明は、パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、ショウガ根CO2抽出物、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン、特に好ましいパープル・コーンフラワー搾汁液または前記の好ましい二元もしくは三元混合物からなる群から選択される汚染防止剤の、POMC遺伝子および/または、MMP1遺伝子および/またはIL-6遺伝子、および/または粒子で誘発されたCYP1A1遺伝子発現の誘発に各々関連するヒトの皮膚および毛髪の障害および機能不全の保護および/または抑制および/または軽減のための使用に関し、ここで特に好ましいのはショウガ根CO2抽出物である。
【0158】
本発明の特に好ましい態様は、前記の好ましい二元または三元混合物の、POMC遺伝子発現および/または、MMP1遺伝子発現および/またはIL-6遺伝子発現、および/または粒子で誘発されたCYP1A1遺伝子発現の誘発に各々関連するヒトの皮膚および毛髪の障害および機能不全の保護および/または抑制および/または軽減のための使用であり、パープル・コーンフラワー搾汁液とショウガ根CO2抽出物またはスクラレオリドとを含む二元混合物が特に好ましく、またはパープル・コーンフラワー搾汁液とスクラレオリドとショウガ根CO2抽出物とを含む三元混合物も好ましい。
【0159】
好ましくは、約0.1重量%~0.5重量%、好ましくは0.3重量%~0.5重量%の本発明の前記活性剤を含む配合物の0.1mg/cm2~約5mg/cm2、好ましくは2mg/cm2~3mg/cm2をヒトの皮膚および/または毛髪に塗布し、これは約8μg/cm2~約10μg/cm2の前記薬剤の有効量である。
【0160】
本発明の別の目的は、パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、ショウガ根CO2抽出物、E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン、特に好ましいパープル・コーンフラワー搾汁液または前記二元混合物または前記三元混合物から選択される化合物の汚染防止剤、各々の汚染防止混合物としての、ヒトの皮膚および/または毛髪を保護するため、特に、POMC遺伝子発現および/または、MMP1遺伝子発現および/またはIL-6遺伝子発現および/または粒子で誘発されたCYP1A1遺伝子発現の誘発に各々関連するヒトの皮膚および毛髪の障害および機能不全の保護および/または抑制および/または軽減のための使用である。パープル・コーンフラワー搾汁液またはパープル・コーンフラワー搾汁液とショウガ根CO2抽出物またはスクラレオリドとを含む二元混合物が特に好ましく、またはパープル・コーンフラワー搾汁液とスクラレオリドとショウガ根CO2抽出物とを含む三元混合物も好ましい。
【0161】
本発明のさらなる目的は、パープル・コーンフラワー搾汁液、スクラレオリド、ショウガ根CO2抽出物、E/Z-2-ベンジリデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン、特に好ましいパープル・コーンフラワー搾汁液または前記薬剤の二元混合物もしくは三元混合物からなる群から選択される少なくとも一つの薬剤を化粧品組成物中、約0.01重量%~約2.5重量%、好ましくは約0.05重量%~約1.0重量%の量で、汚染防止剤、各々の汚染防止混合物として含む医薬の比との皮膚および毛髪を保護するため、特に、POMC遺伝子発現および/または、MMPl遺伝子発現および/またはIL-6遺伝子発現および/または粒子で誘発されたCYP1A1遺伝子発現の誘発と各々関連するヒトの皮膚および毛髪の障害および機能不全からヒトの皮膚および毛髪を保護および/または抑制および/または軽減するための非治療的使用である。パープル・コーンフラワー搾汁液またはパープル・コーンフラワー搾汁液とショウガ根CO2抽出物またはスクラレオリドとを含む二元混合物が特に好ましく、またはパープル・コーンフラワー搾汁液とスクラレオリドとショウガ根CO2抽出物とを含む三元混合物も好ましい。
以下に、本発明の態様を列挙する。
条項1.
パープル・コーンフラワー搾汁液、およびショウガ根CO2抽出物とのその二元混合物からなる群から選択される汚染防止剤を、
(a)大気汚染誘発遺伝子発現の軽減もしくは予防、および/または
(b)多環式芳香族炭化水素によって誘発されるかもしくは誘発可能な遺伝子発現の軽減もしくは予防、および/または
(c)大気汚染で誘発されるかもしくは大気汚染で誘発可能な皮膚のダメージの軽減もしくは予防
のための0.01~2.5重量%の作用量で含む化粧品組成物。
条項2.
前記皮膚のダメージが皮膚がん、皮膚炎症または色素過剰である、条項1に記載の組成物。
条項3.
パーソナルケア組成物、スキンケア組成物、ヘアケア組成物またはサンケア組成物である、条項1に記載の組成物。
条項4.
ローション、クリーム、エマルジョン、フォーム、ムース、オイルまたはスティックである、条項1に記載の組成物。
条項5.
前記汚染防止剤が、最終組成物に基づいて計算して0.01重量%~2.5重量%の量で存在する、条項1に記載の組成物。
条項6.
前記汚染防止剤が、最終組成物に基づいて計算して0.05重量%~1.0重量%の量で存在する、条項5に記載の組成物。
条項7.
化粧品的に許容される担体をさらに含む、条項1に記載の組成物。
条項8.
前記化粧品的に許容される担体が、水、C2~C4アルコール、2~6個の炭素原子を有するポリオールおよび油体からなる群から選択される、条項7に記載の組成物。
条項9.
パープル・コーンフラワー搾汁液、およびショウガ根CO2抽出物とのその二元混合物からなる群から選択される汚染防止剤を含む、ヒトの皮膚および/または毛髪を
(a)大気汚染誘発遺伝子発現、および/または
(b)多環式芳香族炭化水素によって誘発されるかもしくは誘発可能な遺伝子発現,および/または
(c)大気汚染で誘発されるかまたは大気汚染で誘発可能な皮膚のダメージ
から保護、治療および/または治癒させるための医薬。
条項10.
パープル・コーンフラワー搾汁液、およびショウガ根CO2抽出物とのその二元混合物からなる群から選択される少なくとも一つの汚染防止剤の有効量を塗布することによって、ヒトの皮膚および/または毛髪を大気汚染で誘発されたダメージから保護するための非治療的方法。
条項11.
前記汚染防止剤をヒトの皮膚および/または毛髪に0.1~5mg/cm2の有効量で塗布する、条項10に記載の方法。
条項12.
パープル・コーンフラワー搾汁液または条項1に記載の二元混合物の、汚染防止の薬剤としてのヒトの皮膚および/または毛髪を保護するための非治療的な使用。
条項13.
前記汚染防止がPOMC遺伝子発現および/またはMMP1遺伝子発現および/またはIL-6遺伝子発現および/または粒子で誘発されたCYP1A1遺伝子発現の誘発に各々関連するヒトの皮膚および毛髪の障害および機能不全の保護および/または抑制および/または軽減を対象とする、条項12に記載の非治療的な使用。
【0162】
実施例1
モデル粒子
【0163】
遺伝子発現を異なるモデル粒子によって誘発した。SRM1650bおよびSRM2975は真正街路粒状物質の代用物である(Danielson et al,2008)。微細なカーボンブラック、例えばレーザープリンターからの粒子は、屋内汚染のモデル粒子である。詳細を表1に記載する:
【0164】
【0165】
実施例2
E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンの大気汚染防止活性
【0166】
成人ヒト表皮ケラチノサイトを、BPEおよびEGFを含まないケラチノサイト培地中で24時間培養した後、モデル粒子を添加した(表1.1を参照)。モデル粒子をリン酸塩緩衝生理食塩水中に懸濁させ、1分間超音波処理し、次いでケラチノサイトに1.5μg/cm2で直接添加した。E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オン(BDDI)をDMSO中に溶解させ、培地中で希釈した。最大0.1%DMSOとともに化合物を含む溶液を2時間塗布した後、モデル粒子で処理した。遺伝子発現をqRT-PCRにより分析した。表2にまとめるように、各遺伝子について、特異的PCRプライマー対をデザインした:
【0167】
【0168】
以下の表3および4は屋外および屋内粒子での誘発後のCYP1A1遺伝子発現の結果を示し、表5はPOMC、IL-6およびMMP1発現の結果を示す。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンは粒子で誘発されたCyp1A1遺伝子発現を阻害することができた。それは屋内ならびに屋外モデル粒子について示された。E/Z-2-ベンジリンデン-5,6-ジメトキシ-3,3-ジメチルインダン-1-オンはまた、粒子で誘発されたPOMC、IL-6およびMMP1遺伝子発現を阻害することができた。
実施例3
スクラレオリドの大気汚染防止活性
【0173】
成人ヒト表皮ケラチノサイトを、BPEおよびEGFを含まないケラチノサイト培地中で24時間培養した後、モデル粒子を添加した(表1.1を参照)。モデル粒子をリン酸塩緩衝生理食塩水中に懸濁させ、1分間超音波処理し、次いでケラチノサイトに1.5μg/cm2で直接添加した。スクラレオリドをDMSO中に溶解させ、培地中で希釈した。最大0.1%DMSOとともに化合物を含む溶液を2時間塗布した後、モデル粒子で処理した。遺伝子発現をqRT-PCRにより分析した。各遺伝子について、特異的PCRプライマー対をデザインした(表2を参照)。表6は、スクラレオリドで改変されたPOMC遺伝子発現についての結果をまとめる。
【0174】
【0175】
スクラレオリドは粒子で誘発されたPOMC遺伝子発現を阻害することができた。
【0176】
実施例4
ショウガ根CO2抽出物の大気汚染防止活性
【0177】
成人ヒト表皮ケラチノサイトを、BPEおよびEGFを含まないケラチノサイト培地中で24時間培養した後、モデル粒子を添加した(表1.1を参照)。モデル粒子をリン酸塩緩衝生理食塩水中に懸濁させ、1分間超音波処理し、次いでケラチノサイトに1.5μg/cm2で直接添加した。ショウガ根CO2抽出物をDMSO中に溶解させ、培地中で希釈した。最大0.1%DMSOとともに化合物を含む溶液を2時間塗布した後、モデル粒子で処理した。遺伝子発現をqRT-PCRにより分析した。各遺伝子について、特異的PCRプライマー対をデザインした(表2を参照)。表7はショウガ根CO2抽出物で改変したPOMCおよびIL-6遺伝子発現についての結果をまとめる。
【0178】
【0179】
ショウガ根CO2抽出物は、粒子で誘発されたPOMCおよびIL-6遺伝子発現を抑制することができた。
【0180】
実施例5
パープル・コーンフラワー搾汁液の大気汚染防止活性
【0181】
成人ヒト表皮ケラチノサイトを、BPEおよびEGFを含まないケラチノサイト培地中で24時間培養した後、モデル粒子を添加した(表1.1を参照)。モデル粒子をリン酸塩緩衝生理食塩水中に懸濁させ、1分間超音波処理し、次いでケラチノサイトに1.5μg/cm2で直接添加した。パープル・コーンフラワー搾汁液を培地中に直接溶解させた。溶液を2時間塗布した後、モデル粒子で処理した。遺伝子発現をqRT-PCRにより分析した。各遺伝子について、特異的PCRプライマー対をデザインした(表2を参照)。表8はパープル・コーンフラワー搾汁液で改変されたPOMCおよびIL-6遺伝子発現の結果をまとめる。
【0182】
【0183】
パープル・コーンフラワー搾汁液は、粒子で誘発されたPOMCおよびIL-6遺伝子発現を阻害することができた。
【0184】
実施例6
二元混合物の大気汚染防止活性
【0185】
成人ヒト表皮ケラチノサイトを、BPEおよびEGFを含まないケラチノサイト培地中で24時間培養した後、モデル粒子を添加した(表1.1を参照)。モデル粒子をリン酸塩緩衝生理食塩水中に懸濁させ、1分間超音波処理し、1分間超音波処理し、次いでケラチノサイトに1.5mg/cm2で直接添加した。パープル・コーンフラワー搾汁液とショウガ根CO2抽出物との混合物をDMSO中にあらかじめ溶解させ、そして培地中で希釈した。溶液を2時間塗布した後、モデル粒子で処理した。遺伝子発現をqRT-PCRにより分析した。各遺伝子について、特異的PCRプライマー対をデザインした(表2を参照)。表9は、パープル・コーンフラワー搾汁液とショウガ根CO2抽出物との二元混合物で改変されたPOMCおよびIL-6遺伝子発現の結果をまとめる。
【0186】
【0187】
二元混合物は粒子で誘発されたPOMCおよびIL-6遺伝子発現を阻害することができた。
【0188】
実施例7~17
スキンおよびヘアケア調製物
【0189】
以下で、本発明を様々な配合物実施例によってさらに詳細に説明する:
7=スキンケアゲル(SPF6)
8=太陽光保護ローションSPF2(UVA/UVBバランス)
9=着色老化防止バーム、SPF15
10=ボディローション、SPF15
11=皮膚鎮静剤ナイトクリームO/W
12=クリームW/O
13=スキンケアアンプル
14=皮膚油
15=シャワー&シャンプー
16=着色スキンケアスティックSPF50
17=ヘアジェル
【0190】
配合物実施例7~17において、以下の二つの香油PFO1およびPFO2をそれぞれ香料として使用した(DPG=ジプロピレングリコール)。
【0191】
【0192】
【0193】
【配列表】