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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】キャパシタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 201N
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019038894
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020088370
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0151034
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ドュ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ソク キョン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ハエ スク
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0174756(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0184143(US,A1)
【文献】特開2018-137286(JP,A)
【文献】特開2017-191880(JP,A)
【文献】特開2017-028013(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084876(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を有し、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、及び前記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の外側に配置され、前記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される前記第1内部電極及び第2内部電極を含むことで容量が形成される容量形成部、前記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部、及び前記容量形成部の両側面に形成されたマージン部を含み、
前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数のグラフェンを含み、前記容量形成部はグラフェンを含まない、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数の誘電体結晶粒と、隣接する前記誘電体結晶粒間に形成された結晶粒界と、を含み、
前記複数のグラフェンは前記結晶粒界に配置される、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記複数のグラフェンの一面が前記複数の誘電体結晶粒の表面に沿って配置される、請求項に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記複数のグラフェンのうち、10層以上積層されるグラフェンはグラフェン全体の5%以下である、請求項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記複数のグラフェン含有量は、前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上に含まれたチタン酸バリウム(BaTiO)に対して0.05wt%以上2.0wt%未満である、請求項1からのいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出される、請求項1からのいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記容量形成部では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)で同時にピークが検出されない、請求項1からのいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記複数のグラフェンの一部は、酸化グラフェン(graphene oxide)又は還元型酸化グラフェン(reduced graphene oxide)である、請求項1からのいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
前記第1内部電極及び第2内部電極の厚さは1μm未満であり、前記誘電体層の厚さは2.8μm未満である、請求項1からのいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項10】
前記内部電極の厚さをte、前記誘電体層の厚さをtdと定義するとき、td>2×teを満たす、請求項1からのいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項11】
前記第1外部電極及び第2外部電極は、電極層と、前記電極層上に配置される導電性樹脂層と、を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項12】
前記電極層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された複数の導電性金属及びガラスを含む、請求項11に記載のキャパシタ部品。
【請求項13】
前記導電性樹脂層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された複数の導電性金属及びベース樹脂を含む、請求項11又は12に記載のキャパシタ部品。
【請求項14】
前記第1外部電極は、前記第3面に配置され、前記第1面及び第2面の一部まで延びるバンド部を含み、
前記第3面から前記電極層のバンド部の先端までの距離が、前記第3面から前記導電性樹脂層のバンド部の先端までの距離よりも短い、請求項11から13のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項15】
誘電体層を有し、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、及び前記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の外側に配置され、前記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される前記第1内部電極及び第2内部電極を含むことで容量が形成される容量形成部、前記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部、及び前記容量形成部の両側面に形成されたマージン部を含み、
前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出され、前記容量形成部では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)で同時にピークが検出されない、キャパシタ部品。
【請求項16】
前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数の誘電体結晶粒と、隣接する前記誘電体結晶粒間に形成された結晶粒界と、を含み、
前記結晶粒界では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出される、請求項15に記載のキャパシタ部品。
【請求項17】
前記Dバンド(D-band)では1300~1400cm-1でピークが検出され、前記Gバンド(G-band)では1500~1600cm-1でピークが検出される、請求項15または16に記載のキャパシタ部品。
【請求項18】
前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、核磁気共鳴分光法の分析時の120~140ppmでピークが検出される、請求項15から17のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項19】
前記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数のグラフェンを含み、前記複数のグラフェンの一部は、酸化グラフェン(graphene oxide)又は還元型酸化グラフェン(reduced graphene oxide)である、請求項15から18のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項20】
前記第1外部電極及び第2外部電極は、電極層と、前記電極層上に配置される導電性樹脂層と、を含み、
前記電極層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された複数の導電性金属及びガラスを含み、
前記導電性樹脂層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された複数の導電性金属及びベース樹脂を含む、請求項15から19のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品のうちの一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)やプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着されて、電気を充電又は放電させる重要な役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。また、コンピュータ、モバイル機器などの各種の電子機器が小型化、高出力化されるにつれて、積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化に対する要求が増大している。
【0004】
なお、最近の電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタに対しても、自動車やインフォテインメントシステムに最適化するための研究が活発に進められている。電装用積層セラミックキャパシタは、IT用の積層セラミックキャパシタに比べて厳しい環境下で用いられ、人的被害に関わるおそれも大きいため、高寿命、高信頼性、及び高強度特性が要求されるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的のうちの一つは、高強度特性を有するキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、誘電体層を有し、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、及び上記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される上記第1内部電極及び第2内部電極を含むことで容量が形成される容量形成部、及び上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部、及び上記容量形成部の両側面に形成されたマージン部を含み、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数のグラフェンを含むキャパシタ部品を提供する。
【0007】
一実施形態において、上記容量形成部はグラフェンを含まなくてもよい。
【0008】
一実施形態において、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数の誘電体結晶粒と、隣接する上記誘電体結晶粒間に形成された結晶粒界と、を含み、上記複数のグラフェンは上記結晶粒界に配置されることができる。
【0009】
一実施形態において、上記グラフェンの一面が上記結晶粒の表面に沿って配置されることができる。
【0010】
一実施形態において、上記複数のグラフェンのうち、10層以上積層されるグラフェンはグラフェン全体の5%以下であることができる。
【0011】
一実施形態において、上記複数のグラフェン含有量は、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上を基準に0.05wt%以上2.0wt%未満であることができる。
【0012】
一実施形態において、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出されることができる。
【0013】
一実施形態において、上記容量形成部では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)で同時にピークが検出されなくてもよい。
【0014】
一実施形態において、上記複数のグラフェンの一部は、酸化グラフェン(graphene oxide、GO)であってもよく、又は還元型酸化グラフェン(reduced graphene oxide、RGO)であってもよい。
【0015】
一実施形態において、上記第1内部電極及び第2内部電極の厚さは1μm未満であり、上記誘電体層の厚さは2.8μm未満であることができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1内部電極及び第2内部電極の厚さをte、上記誘電体層の厚さをtdと定義するとき、td>2×teを満たすことができる。
【0017】
一実施形態において、上記第1外部電極及び第2外部電極は、電極層と、上記電極層上に配置される導電性樹脂層と、を含むことができる。
【0018】
一実施形態において、上記電極層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上の導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0019】
一実施形態において、上記導電性樹脂層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上の導電性金属及びベース樹脂を含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記第1外部電極は、上記第3面に配置され、上記第1面及び第2面の一部まで延びるバンド部を含み、上記第3面から上記電極層のバンド部の先端までの距離が、上記第3面から上記導電性樹脂層のバンド部の先端までの距離よりも短くてもよい。
【0021】
本発明の他の一実施形態は、誘電体層を有し、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、及び上記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される上記第1内部電極及び第2内部電極を含むことで容量が形成される容量形成部、上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部、及び上記容量形成部の両側面に形成されたマージン部を含み、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出されるキャパシタ部品を提供する。
【0022】
一実施形態において、上記容量形成部では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)で同時にピークが検出されなくてもよい。
【0023】
一実施形態において、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数の誘電体結晶粒と、隣接する上記誘電体結晶粒間に形成された結晶粒界と、を含み、上記結晶粒界では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)で同時にピーク(Peak)が検出されることができる。
【0024】
一実施形態において、上記Dバンド(D-band)では1200~1400cm-1でピークが検出され、上記Gバンド(G-band)では1500~1700cm-1でピークが検出されることができる。
【0025】
一実施形態において、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、核磁気共鳴分光法の分析時の120~140ppmでピークが検出されることができる。
【0026】
一実施形態において、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上は、複数のグラフェンを含み、上記複数のグラフェンの一部は、酸化グラフェン(graphene oxide)であってもよく、還元型酸化グラフェン(reduced graphene oxide)であってもよい。
【0027】
一実施形態において、上記第1外部電極及び第2外部電極は、電極層と、上記電極層上に配置される導電性樹脂層と、を含み、上記電極層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上の導電性金属及びガラスを含み、上記導電性樹脂層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上の導電性金属及びベース樹脂を含むことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態によると、カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上に複数のグラフェンを含ませることにより、高強度を効率的に確保することができるキャパシタ部品を提供することができる。また、曲げ強度だけでなく、機械的剛性を確保することができ、キャパシタ部品の寿命も向上させることができる。
【0029】
但し、本発明の多様且つ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った概略断面図である。
図3図1のII-II'線に沿った概略断面図である。
図4a】第1内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示す図である。
図4b】第2内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示す図である。
図5】グラフェンを含むカバー部の一部を拡大した図である。
図6図5のP3領域の拡大図である。
図7】結晶粒界にグラフェンが分布された形状を示す模式図である。
図8】グラフェンの構造式を示す図である。
図9】グラフェン(graphene)を含む誘電体結晶粒界(実施例1から3)及びグラファイト(graphite)を含む誘電体結晶粒界(比較例1)に対するラマン(Raman)分析結果を示すグラフである。
図10】グラフェン(graphene)を含む誘電体結晶粒界に対する核磁気共鳴分光法の分析結果を示すグラフである。
図11図2のP1領域の拡大図である。
図12図2のP2領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0032】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
図面において、X方向は、第2方向、L方向又は長さ方向、Y方向は、第3方向、W方向又は幅方向、Z方向は、第1方向、積層方向、T方向又は厚さ方向と定義されることができる。
【0034】
キャパシタ部品
図1は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿った概略断面図であり、図3図1のII-II'線に沿った概略断面図であり、図4aは第1内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示す図であり、図4bは第2内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示す図である。
【0035】
以下、図1から図4bを参照して、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100について説明する。
【0036】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、誘電体層111を有し、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極121、122を含み、互いに対向する第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面3、4、及び上記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面5、6を含む本体110と、上記本体110の外側に配置され、上記第1内部電極及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極131、132と、を含み、上記本体110は、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される上記第1内部電極及び第2内部電極121、122を含むことで容量が形成される容量形成部A、上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部112、113、及び上記容量形成部の両側面に形成されたマージン部114、115を含み、上記カバー部112、113及びマージン部114、115のうち選択された一つ以上は、複数のグラフェンを含む。
【0037】
本体110は、誘電体層111と内部電極121、122とが交互に積層されて形成されたものであってもよい。
【0038】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図面に示されているように、本体110は、六面体形状やそれと類似した形状を有することができる。本体110は、焼成過程における本体110に含まれるセラミック粉末の収縮により、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0039】
本体110は、厚さ方向(Z方向)において互いに対向する第1面及び第2面1、2と、上記第1面及び第2面1、2と連結され、長さ方向(X方向)において互いに対向する第3面及び第4面3、4と、第1面及び第2面1、2と連結され、第3面及び第4面3、4と連結され、且つ幅方向(Y方向)において互いに対向する第5面及び第6面5、6と、を有することができる。
【0040】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認できないほど一体化していることができる。
【0041】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する材料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0042】
また、上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0043】
複数の内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される。
【0044】
内部電極121、122は、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121と、第2内部電極122と、を含むことができる。
【0045】
第1内部電極及び第2内部電極121、122は、本体110の第3面及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0046】
図2を参照すると、第1内部電極121は、第4面4と離隔し、且つ第3面3に露出し、第2内部電極122は、第3面3と離隔し、且つ第4面4に露出することができる。また、本体の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0047】
第1内部電極及び第2内部電極121、122は、中央に配置された誘電体層111によって電気的に分離されることができる。本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシート(図4a)と、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシート(図4b)とを厚さ方向(Z方向)に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0048】
上記内部電極をセラミックグリーンシートに印刷する方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことで容量が形成される容量形成部A、上記容量形成部Aの上部及び下部に形成されたカバー部112、113、及び上記容量形成部の側面に形成されたマージン部114、115を含む。
【0050】
上記容量形成部Aは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1内部電極及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成することができる。
【0051】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は二つ以上の誘電体層を容量形成部Aの上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができる。
【0052】
上記マージン部114、115は、上記本体110の第6面6に配置されたマージン部114と、第5面5に配置されたマージン部115と、を含む。
【0053】
すなわち、上記マージン部114、115は、上記本体110の幅方向両側面に配置されることができる。
【0054】
上記カバー部112、113及びマージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止するとともに、外部からの衝撃に対してキャパシタ部品の信頼性を維持する役割を果たすことができる。
【0055】
本発明では、カバー部112、113及びマージン部114、115のうち選択された一つ以上に複数のグラフェンが含まれる。すなわち、カバー部112、113にのみ複数のグラフェンが含まれるか、又はマージン部114、115にのみ複数のグラフェンが含まれることができ、カバー部112、113及びマージン部114、115のすべてに複数のグラフェンが含まれることもできる。
【0056】
図8はグラフェンの構造式を示す図である。
【0057】
図8を参照すると、グラフェン11cは、炭素原子からなり、原子1個の厚さからなる薄い膜の形態である。すなわち、グラフェン11cは、2次元板状の構造を有する。グラフェンは、約0.2nmの厚さを有し、物理的且つ化学的安定性が非常に高く、銅よりも導電率が100倍以上高く、機械的強度も鋼より200倍以上強いことで知られている。
【0058】
そこで、本発明では、カバー部112、113及びマージン部114、115のうち選択された一つ以上に複数のグラフェンを含ませることにより、強度を向上させることができる。また、曲げ強度だけでなく、機械的剛性を確保することができ、キャパシタ部品の寿命も向上させることができる。
【0059】
一方、グラフェンは様々な利点を有する物質であるものの、セラミックグリーンシートを成形するためのスラリー作製時に誘電体組成物のグラフェン含有量が高くなるにつれて、分散性を確保すべく固形分を低くする必要がある。しかし、これが、成形及び乾燥後に、セラミックグリーンシートの不均一性をもたらす可能性がある。
【0060】
また、容量形成部Aに含まれる誘電体層がグラフェンを含む場合には、誘電率向上などといった一部有利な効果をもたらすこともあるが、分散性を確保しても、すべてのグラフェンが所望のところに存在するよう制御することは難しいため、耐湿信頼性や破壊電圧などが劣化するという問題が生じ得る。
【0061】
本発明では、従来のキャパシタ製作工法を大きく変更することなく、カバー部112、113及びマージン部114、115のうち選択された一つ以上に複数のグラフェンを含ませることにより、本体110の強度を向上させることができる。また、容量形成部Aの組成物はそのまま維持され、グラフェンの使用量は減少させることができるため、技術的アクセスに優れるだけでなく、商業的アクセスにも優れる。
【0062】
したがって、本発明によると、容量形成部Aはグラフェンを含まなくてもよい。
【0063】
また、容量形成部Aに含まれる誘電体層におけるグラフェンの含有量及び位置を制御するためにはバインダーや添加物などを変更する必要があるため、従来の工法をそのまま用いることは難しいという問題がある。
【0064】
例えば、容量形成部Aに含まれる誘電体層におけるグラフェンの含有量及び位置を制御するためには、誘電体組成物として一般的に用いられるポリビニルブチラール(PVB、polyvinyl butyral)系バインダーの代わりにアクリルコポリマー/グラフェン複合体で構成されたアクリル系バインダーを用いる方法があり得る。
【0065】
しかし、本発明の一実施形態では、容量形成部Aにグラフェンが含まれず、カバー部112、113及びマージン部114、115のうち選択された一つ以上にグラフェンを含ませるため、従来一般に用いられたPVB系バインダーを用いることができるとともに、従来の工法を大きく変更することなくキャパシタ部品を製作することができる。
【0066】
以下、カバー部112、113に複数のグラフェンが含まれる場合について説明するが、マージン部114、115に複数のグラフェンが含まれる場合にも同様に適用されることができ、さらには、カバー部112、113及びマージン部114、115のすべてに複数のグラフェンが含まれる場合にも同様に適用されることができる。
【0067】
図5はグラフェンを含むカバー部112、113の一部を拡大した図であり、図6図5のP3領域の拡大図である。
【0068】
図5及び図6を参照すると、カバー部112、113は、複数の誘電体結晶粒11aと、隣接する上記誘電体結晶粒間に形成された結晶粒界11bと、結晶粒界内に均一に分布された複数のグラフェン11cと、を含むことができる。
【0069】
図7は結晶粒界内にグラフェンが分布された形状を示す模式図である。図7では、誘電体結晶粒11aとの関係に関する分布形態を明確にするために結晶粒界を省略して示しており、誘電体結晶粒11aは多面体で簡単に表現して多面体の上面及び側面を示した。
【0070】
図7に示すように、グラフェン11cの一面は誘電体結晶粒11aの上面及び側面に沿って配置されることができる。すなわち、グラフェン11cの一面は誘電体結晶粒11aの表面に沿って配置されることができる。
【0071】
複数のグラフェンの一部が互いに積層される形で存在してもよいが、10層以上積層されるグラフェンはグラフェン全体の5%以下であることができる。これは、10層以上積層されるグラフェンがグラフェン全体の5%を超えると、グラフェンの分散性が劣化し、強度上昇効果が不均一になるおそれがあるためである。
【0072】
複数のグラフェンを含むカバー部112、113を形成する材料には、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に複数のグラフェンを添加し、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0073】
一方、グラフェンの含有量は、目標強度、キャパシタ部品のサイズ、積層数を考慮して設定することができ、特に限定する必要はない。
【0074】
但し、カバー部に含まれるグラフェンの含有量は、カバー部に含まれるチタン酸バリウム(BaTiO)に対して0.05wt%以上2.0wt%未満であることが好ましい。
【0075】
グラフェンの含有量が0.05wt%未満の場合には、強度上昇効果が不十分となる可能性があり、2.0wt%を超えると、材料混合過程でグラフェンの分散性が悪化し、且つ粘度が上昇してグラフェンが均一に分布されにくいという問題点がある。
【0076】
このとき、グラフェンが均一に分散されるようにすべく、グラフェンの表面を改質してグラフェンの不安定指数(instability index)が0.1以下となるように制御することができる。これは、エタノールとトルエンの混合溶媒環境下のスラリーに、グラフェンを均一に分散した状態で適用しなければ、焼成後に、結晶粒界に均一に分布されたグラフェンを得ることができないためである。
【0077】
不安定指数(instability index)とは、分散性を評価することができる尺度であって、分散安定性分析器(LUMiSizer Dispersion Analyzer)を用いて測定した値のことである。
【0078】
外部電極131、132は、本体110の外側に配置され、第1内部電極及び第2内部電極121、122と連結される。換言すると、図2に示す形態のように、第1内部電極121と連結された第1外部電極131と、第2内部電極122と連結された第2外部電極132と、を含むことができる。
【0079】
上記第1外部電極及び第2外部電極131、132は、静電容量を形成するために上記第1内部電極及び第2内部電極121、122とそれぞれ電気的に連結されることができる。また、上記第2外部電極132は、上記第1外部電極131と異なる電位に連結されることができる。
【0080】
外部電極131、132は、上記内部電極121、122と連結される電極層131a、132aと、上記電極層上に配置された導電性樹脂層131b、132bと、を含むことができる。
【0081】
導電性樹脂層131b、132bは、応力を分散させることで、延性が不足する本体が破壊することを防止する役割を果たすことができる。つまり、上述のように、カバー部112、113及びマージン部114、115のうち選択された一つ以上に複数のグラフェンを含ませることにより強度を向上させ、外部電極131、132に導電性樹脂層131b、132bを形成させることにより曲げ強度だけでなく、機械的剛性を確保するとともに、キャパシタ部品の寿命も向上させることができる。
【0082】
すなわち、本体の剛性を増加させるだけでなく、導電性樹脂層を適用すると、キャパシタ本体の信頼性をさらに向上させることもできる。
【0083】
また、外部電極131、132は、上記導電性樹脂層131b、132b上に配置されたNiめっき層131c、132cと、上記Niめっき層上に配置されたSnめっき層131d、132dと、をさらに含むことができる。
【0084】
外部電極131、132が第1外部電極131及び第2外部電極132を含む場合、第1外部電極131は、第1電極層131aと、第1導電性樹脂層131bと、第1Niめっき層131cと、第1Snめっき層131dと、を含むことができる。同様に、第2外部電極132は、第2電極層132aと、第2導電性樹脂層132bと、第2Niめっき層132cと、第2Snめっき層132dと、を含むことができる。
【0085】
上記電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0086】
上記電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量を形成するために上記内部電極と電気的に連結されることができる物質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上であることができる。
【0087】
上記電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0088】
上記導電性樹脂層131b、132bは、電極層131a、132a上に形成され、電極層131a、132aを完全に覆う形で形成されることができる。
【0089】
導電性樹脂層131b、132bは、導電性金属及びベース樹脂を含むことができる。
【0090】
上記導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0091】
上記導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、電極層131a、132aと電気的に連結されることができる物質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上を含むことができる。
【0092】
上記Niめっき層131c、132cは、導電性樹脂層131b、132b上に形成され、導電性樹脂層131b、132bを完全に覆う形で形成されることができる。
【0093】
上記Snめっき層131d、132dは、Niめっき層131c、132c上に形成され、Niめっき層131c、132cを完全に覆う形で形成されることができる。
【0094】
上記Snめっき層131d、132dは実装特性を向上させる役割を果たす。
【0095】
第1外部電極131は、上記本体の第3面に配置される接続部Cと、上記接続部から上記第1面及び第2面の一部まで延びるバンド部Bと、を含むことができる。同様に、第2外部電極132は、上記本体の第4面に配置される接続部と、上記接続部から上記第1面及び第2面の一部まで延びるバンド部と、を含むことができる。
【0096】
このとき、バンド部Bは、第1面及び第2面1、2の一部だけではなく、接続部Cから第5面及び第6面5、6の一部にも延びることができる。
【0097】
図11を参照すると、第1外部電極131は、本体110の第3面3から第1電極層131aのバンド部Bの先端までの距離l1が、第1導電性樹脂層131bのバンド部Bの先端までの距離l2よりも短くてもよい。
【0098】
同様に、第2外部電極132は、本体110の第4面4から第2電極層132aのバンド部の先端までの距離が、第2導電性樹脂層132bのバンド部の先端までの距離よりも短くてもよい。
【0099】
これにより、導電性樹脂層131b、132bが電極層131a、132aを完全に覆う形で形成されることができ、曲げ強度特性及び外部電極と本体の接着力を強化させることができる。
【0100】
図12を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品において、上記誘電体層111の厚さtdと上記内部電極121、122の厚さteの関係はtd>2×teを満たすことができる。
【0101】
すなわち、本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111の厚さtdは、上記内部電極121、122の厚さteの2倍よりも大きいことを特徴とする。
【0102】
一般に、高電圧電装用電子部品では、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下に伴う信頼性の問題が主要な問題となっている。
【0103】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品は、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下を防ぐために、上記誘電体層111の厚さtdを上記内部電極121、122の厚さteの2倍よりもさらに大きくすることにより、内部電極間の距離である誘電体層の厚さを増加させることで、絶縁破壊電圧特性を向上させることができる。
【0104】
上記誘電体層111の厚さtdが上記内部電極121、122の厚さteの2倍以下である場合には、内部電極間の距離である誘電体層の厚さが薄いため絶縁破壊電圧が低下する可能性がある。
【0105】
上記内部電極の厚さteは1μm未満であってもよく、上記誘電体層の厚さtdは2.8μm未満であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0106】
以下、本発明の他の一実施形態によるキャパシタ部品について詳細に説明する。但し、上述した説明と同一の構成については、重複する説明を避けるために省略する。
【0107】
本発明の他の一実施形態によるキャパシタ部品は、誘電体層を有し、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、及び上記第1面から第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される上記第1内部電極及び第2内部電極を含むことで容量が形成される容量形成部、上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部、及び上記容量形成部の両側面に形成されたマージン部を含み、上記カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出される。
【0108】
グラフェン(graphene)は、その大きさが非常に小さいため、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)などを用いても明確に観察することは難しく、グラファイト(graphite)などの他の炭素同素体との区別が難しいという問題点がある。
【0109】
図9はグラフェン(graphene)を含む誘電体スラリー(実施例1から3)及びグラファイト(graphite)を含む誘電体スラリー(比較例1)を熱処理して有機物を揮発させた後、ラマン(Raman)分析を行った結果を示すグラフである。
【0110】
図9を参照すると、グラフェン(graphene)を含む誘電体スラリーでは、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出される。
【0111】
これに対し、グラフェンの炭素同素体であるグラファイトを含む誘電体スラリーでは、Gバンドのみでピークが検出され、Dバンドではピークが検出されない。
【0112】
したがって、ラマン分析法により、グラフェンの存在の有無及び他の炭素同素体との区別が可能であり、本発明の他の一実施形態によるキャパシタ部品において、カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出されることによって、カバー部及びマージン部のうち選択された一つ以上にグラフェンが含まれることを確認できる。
【0113】
容量形成部では、ラマン(Raman)分析時のDバンド(D-band)及びGバンド(G-band)で同時にピークが検出されなくてもよい。すなわち、容量形成部はグラフェンを含まなくてもよい。
【0114】
また、上記Dバンド(D-band)では、1300~1400cm-1でピークが検出されることができ、上記Gバンド(G-band)では、1500~1600cm-1でピークが検出されることができる。
【0115】
図10はグラフェン(graphene)を含む誘電体に対する核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)分光法を分析した結果を示すグラフである。
【0116】
図10において、X軸は化学シフト(chemical shift)、Y軸は強度(intensity)を意味し、炭素の官能基(funtional group)に応じて強度(intensity)が異なって検出される。
【0117】
図10を参照すると、純粋なC-bondは120~140ppmでピークが観察される。換言すると、120~140ppmでピークが検出されることにより、グラフェン(graphene)の存在を確認することができる。
【0118】
また、本発明の複数のグラフェンの一部は酸化された領域を含むことができるため、C-O bond領域である50~80ppmの領域でも弱いピークが検出されることを確認することができる。
【0119】
すなわち、本発明の複数のグラフェンの一部は、酸化グラフェン(graphene oxide、GO)であってもよく、還元型酸化グラフェン(reduced graphene oxide、RGO)であってもよい。
【0120】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0121】
100 キャパシタ部品
110 本体
111 誘電体層
11a 誘電体結晶粒
11b 結晶粒界
11c グラフェン
A 容量形成部
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12