IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7401192車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラム
<>
  • -車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラム 図1
  • -車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラム 図2
  • -車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラム 図3
  • -車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/30 20060101AFI20231212BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20231212BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01C21/30
G08G1/0968 B
G08G1/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019073925
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020173127
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-02-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】尾股 宣忠
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 博幸
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109815(JP,A)
【文献】特開2013-186638(JP,A)
【文献】特開2012-063274(JP,A)
【文献】特開2001-351113(JP,A)
【文献】特開2014-168137(JP,A)
【文献】特開2018-097574(JP,A)
【文献】特開2015-087320(JP,A)
【文献】特開2007-121226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS電波受信不可能な屋内空間を有する建物の車両入口付近に設置された制御装置および入口標識物体と、前記建物内の所定位置に設置された屋内標識物体と、前記建物を利用する車両に積載された車載器とを備え、
前記制御装置は、
固有の座標系である特殊座標系で示される、前記入口標識物体の特殊座標系位置情報および前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、
前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、
前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を前記車載器に無線送信するマップ情報送信制御部とを有し、
前記車載器は、
前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得部と、
前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測部と、
前記ベクトル計測部で前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得部で取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の特殊座標系位置情報を算出し、
前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度および走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定特殊座標系位置情報を所定時間間隔で算出し、
前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測部で計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の特殊座標系位置情報を算出する車両位置情報算出部と、
前記車両がGPS電波受信可能な場所にあるときには、GPS電波を受信することで取得した前記車両の絶対位置情報に対応するGPS座標系マップ情報上の位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報を生成し、
前記車両が前記屋内空間にあるときには、前記3次元マップ情報を予め取得したGPS座標系マップ情報上に重畳させ、重畳させた3次元マップ情報上の、前記車両の特殊座標系位置情報または推定特殊座標系位置情報に対応する位置に所定のマークを付加した重畳マップ表示情報を生成する表示情報生成部とを有することを特徴とする車両位置提示システム。
【請求項2】
前記表示情報生成部で生成されたマップ表示情報を表示することで、前記車両の現在位置情報を提示する表示情報出力装置をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の車両位置提示システム。
【請求項3】
GPS電波受信不可能な屋内空間を有し、車両入口付近に設置された入口標識物体および所定位置に設置された屋内標識物体を有する建物の前記車両入口付近に設置され、
固有の座標系である特殊座標系で示される、前記入口標識物体の特殊座標系位置情報および前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、
前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、
前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を無線送信するマップ情報送信制御部とを有する制御装置に無線接続されて、前記建物を利用する車両に積載され、
前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得部と、
前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測部と、
前記ベクトル計測部で前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得部で取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の特殊座標系位置情報を算出し、
前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度および走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定特殊座標系位置情報を所定時間間隔で算出し、
前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測部で計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の特殊座標系位置情報を算出する車両位置情報算出部と、
前記車両がGPS電波受信可能な場所にあるときには、GPS電波を受信することで取得した前記車両の絶対位置情報に対応するGPS座標系マップ情報上の位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報を生成し、
前記車両が前記屋内空間にあるときに、前記3次元マップ情報を予め取得したGPS座標系マップ情報上に重畳させ、重畳させた3次元マップ情報上の、前記車両の特殊座標系位置情報または推定特殊座標系位置情報に対応する位置に所定のマークを付加した重畳マップ表示情報を生成する表示情報生成部とを有することを特徴とする車載器。
【請求項4】
前記3次元マップ情報には、前記屋内空間内の所定の少なくとも3点に関する緯度・経度情報が含まれ、
前記表示情報生成部は、前記3次元マップ情報内の少なくとも3点の緯度・経度情報で示される位置を、前記GPS座標系マップ情報内の該当位置に合わせることで、前記重畳マップ表示情報を生成することを特徴とする請求項に記載の車載器。
【請求項5】
前記入口標識物体および屋内標識物体は光発信器で構成されて、それぞれ自発信器の識別情報を含む光ID信号を所定範囲内に発信し、
前記ベクトル計測部は、いずれかの標識物体から発信された光ID信号を受信したときに、該当する標識物体までのベクトルを計測することを特徴とする請求項3または4に記載の車載器。
【請求項6】
前記入口標識物体および屋内標識物体は、それぞれ他の標識物体と識別可能な形状で構成され、
前記ベクトル計測部は、カメラ装置で構成され、撮影した撮像情報からいずれかの形状の標識物体を検出したときに、該当する標識物体までのベクトルを計測することを特徴とする請求項3または4に記載の車載器。
【請求項7】
前記屋内標識物体は、前記屋内空間に所定間隔ごとに複数個設置され、
前記車両位置情報算出部は、いずれかの標識物体までのベクトル計測値に基づいて前記車両の特殊座標系位置情報を算出した後、前記ベクトル計測部で次の屋内標識物体までのベクトルが計測されるまでの間、所定時間間隔で、前記車両の移動先の推定特殊座標系位置情報を算出することを特徴とする請求項3~6いずれか1項に記載の車載器。
【請求項8】
GPS電波受信不可能な屋内空間を有し、車両入口付近に設置された入口標識物体および所定位置に設置された屋内標識物体を有する建物の前記車両入口付近に設置され、
固有の座標系である特殊座標系で示される、前記入口標識物体の特殊座標系位置情報および前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、
前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、
前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を無線送信するマップ情報送信制御部とを有する制御装置に無線接続されて、前記建物を利用する車両に積載された車載器が、
前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得ステップと、
前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測ステップと、
前記ベクトル計測ステップで前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得ステップで取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の特殊座標系位置情報を算出し、
前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度および走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定特殊座標系位置情報を所定時間間隔で算出し、
前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測ステップで計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の特殊座標系位置情報を算出する車両位置情報算出ステップと、
前記車両がGPS電波受信可能な場所にあるときには、GPS電波を受信することで取得した前記車両の絶対位置情報に対応するGPS座標系マップ情報上の位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報を生成し、
前記車両が前記屋内空間にあるときに、前記3次元マップ情報を予め取得したGPS座標系マップ情報上に重畳させ、重畳させた3次元マップ情報上の、前記車両の特殊座標系位置情報または推定特殊座標系位置情報に対応する位置に所定のマークを付加した重畳マップ表示情報を生成する表示情報生成ステップと、
前記表示情報生成ステップで生成されたマップ表示情報を表示することで、前記車両の現在位置情報を提示する表示情報出力ステップとを有することを特徴とする車両位置提示方法。
【請求項9】
GPS電波受信不可能な屋内空間を有し、車両入口付近に設置された入口標識物体および所定位置に設置された屋内標識物体を有する建物の前記車両入口付近に設置され、
固有の座標系である特殊座標系で示される、前記入口標識物体の特殊座標系位置情報および前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、
前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、
前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を無線送信するマップ情報送信制御部とを有する制御装置に無線接続されて、前記建物を利用する車両に積載された車載器に、
前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得機能と、
前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測機能と、
前記ベクトル計測機能により前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得機能で取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の特殊座標系位置情報を算出し、
前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度および走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定特殊座標系位置情報を所定時間間隔で算出し、
前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測機能により計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の特殊座標系位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の特殊座標系位置情報を算出する車両位置情報算出機能と、
前記車両がGPS電波受信可能な場所にあるときには、GPS電波を受信することで取得した前記車両の絶対位置情報に対応するGPS座標系マップ情報上の位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報を生成し、
前記車両が前記屋内空間にあるときに、前記3次元マップ情報を予め取得したGPS座標系マップ情報上に重畳させ、重畳させた3次元マップ情報上の、前記車両の特殊座標系位置情報または推定特殊座標系位置情報に対応する位置に所定のマークを付加した重畳マップ表示情報を生成する表示情報生成機能と、
前記表示情報生成機能により生成されたマップ表示情報を表示することで、前記車両の現在位置情報を提示する表示情報出力機能とを実行させるための車両位置提示用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System)電波が受信できない屋内空間を移動する車両の位置を認識することが可能な車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及しているカーナビゲーションシステムでは、車両に積載された車載器でGPS電波を受信することで、自車両の現在位置情報を取得している。車載器で自車両の現在位置情報を取得することにより、車両に積載したモニタに表示された地図情報上に当該現在位置情報を運転手に提示したり、遠隔監視による自動運転を実行させるときの情報として用いたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-207821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したカーナビゲーションシステムは、GPS電波が届かない場所、例えば屋内の駐車場などでは利用できないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、GPS情報が取得できない屋内空間においても、車両の現在位置を認識することが可能な車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の車両位置提示システムは、GPS電波受信不可能な屋内空間を有する建物の車両入口付近に設置された制御装置および入口標識物体と、前記建物内の所定位置に設置された屋内標識物体と、前記建物を利用する車両に積載された車載器とを備え、前記制御装置は、前記入口標識物体の絶対位置情報および前記屋内標識物体の絶対位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を前記車載器に無線送信するマップ情報送信制御部とを有し、前記車載器は、前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得部と、前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測部と、前記ベクトル計測部で前前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得部で取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の絶対位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の絶対位置情報を算出し、前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度や走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定絶対位置情報を所定時間間隔で算出し、前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測部で計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の絶対位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の絶対位置情報を算出する車両位置情報算出部と、前記3次元マップ情報上の、前記車両の絶対位置情報に対応する位置に所定のマークを付加したマップ表示情報を生成する表示情報生成部と、前記表示情報生成部で生成されたマップ表示情報を表示することで、前記車両の現在位置情報を提示する表示情報出力部とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の車載器は、GPS電波受信不可能な屋内空間を有し、車両入口付近に設置された入口標識物体および所定位置に設置された屋内標識物体を有する建物の前記車両入口付近に設置され、前記入口標識物体の絶対位置情報および前記屋内標識物体の絶対位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を前記車載器に無線送信するマップ情報送信制御部とを有する制御装置に無線接続されて、前記建物を利用する車両に積載され、前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得部と、前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測部と、前記ベクトル計測部で前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得部で取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の絶対位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の絶対位置情報を算出し、前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度や走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定絶対位置情報を所定時間間隔で算出し、前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測部で計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の絶対位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の絶対位置情報を算出する車両位置情報算出部と、前記3次元マップ情報上の、前記車両の絶対位置情報に対応する位置に所定のマークを付加したマップ表示情報を生成する表示情報生成部と、前記表示情報生成部で生成されたマップ表示情報を表示することで、前記車両の現在位置情報を提示する表示情報出力部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の車両位置提示方法は、GPS電波受信不可能な屋内空間を有し、車両入口付近に設置された入口標識物体および所定位置に設置された屋内標識物体を有する建物の前記車両入口付近に設置され、前記入口標識物体の絶対位置情報および前記屋内標識物体の絶対位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を無線送信するマップ情報送信制御部とを有する制御装置に無線接続されて、前記建物を利用する車両に積載された車載器が、前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得ステップと、前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測ステップと、前記ベクトル計測ステップで前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得ステップで取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の絶対位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の絶対位置情報を算出し、前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度や走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定絶対位置情報を所定時間間隔で算出し、前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測ステップで計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の絶対位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の絶対位置情報を算出する車両位置情報算出ステップと、前記3次元マップ情報上の、前記車両の絶対位置情報に対応する位置に所定のマークを付加したマップ表示情報を生成する表示情報生成ステップと、前記表示情報生成ステップで生成されたマップ表示情報を表示することで、前記車両の現在位置情報を提示する表示情報出力ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車両位置提示用プログラムは、GPS電波受信不可能な屋内空間を有し、車両入口付近に設置された入口標識物体および所定位置に設置された屋内標識物体を有する建物の前記車両入口付近に設置され、前記入口標識物体の絶対位置情報および前記屋内標識物体の絶対位置情報を含む、前記建物内の3次元マップ情報を記憶する3次元マップ情報記憶部と、前記建物に入場する車両を検知する車両検知部と、前記車両検知部で前記建物に入場する車両が検知されると、前記3次元マップ情報記憶部に記憶された3次元マップ情報を無線送信するマップ情報送信制御部とを有する制御装置に無線接続されて、前記建物を利用する車両に積載された車載器に、前記制御装置から送信された前記3次元マップ情報を取得する3次元マップ情報取得機能と、前記入口標識物体および前記屋内標識物体のうち、所定距離内にある標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測するベクトル計測機能と、前記ベクトル計測機能により前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルが計測されたときには、前記3次元マップ情報取得機能で取得された3次元マップ情報に含まれる前記入口標識物体の絶対位置情報と、計測された前記入口標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて前記車両の絶対位置情報を算出し、前記車両が前記建物内に入場して走行すると、前記車両のハンドルの操作角度や走行速度に基づいて、前記車両の移動先の推定絶対位置情報を所定時間間隔で算出し、前記屋内標識物体に近づいて前記屋内標識物体までのベクトルが前記ベクトル計測機能により計測されると、前記3次元マップ情報に含まれる前記屋内標識物体の絶対位置情報と、計測された前記屋内標識物体までの距離および方向を示すベクトルとに基づいて、前記車両の絶対位置情報を算出する車両位置情報算出機能と、前記3次元マップ情報上の、前記車両の絶対位置情報に対応する位置に所定のマークを付加したマップ表示情報を生成する表示情報生成機能と、前記表示情報生成機能により生成されたマップ表示情報を表示することで、前記車両の現在位置情報を提示する表示情報出力機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両位置提示システム、これに利用する車載器、車両位置提示方法、および車両位置提示用プログラムによれば、GPS情報が取得できない屋内空間においても、車両の現在位置を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1および第2実施形態による車両位置提示システムの構成を示す全体図である。
図2】第1および第2実施形態による車両位置提示システムの構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態による車両位置提示システムで用いる車載器で実行される動作を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態による車両位置提示システムで用いる車載器で実行される動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による車両位置提示システムの構成〉
本発明の第1実施形態による車両位置提示システムの構成について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態による車両位置提示システム1Aは、GPS電波受信不可能な屋内空間に駐車スペースを有する駐車場Xを利用する車両Yの位置を認識するものであり、駐車場Xの車両入口付近に設置された駐車場制御装置10および入口標識物体20a-1、20a-2と、駐車場X内に所定間隔ごと(例えば5mごと)に設置された屋内標識物体20b-1~20b-4と、車両Yに積載された車載器30Aとを備える。図1においては駐車場X内に屋内標識物体が4個設置された場合を示しているが、この数には限定されず、これよりも少ない数、またはさらに多数の屋内標識物体を設置してもよい。
【0013】
駐車場制御装置10は、3次元マップ情報記憶部11と、制御装置無線通信部12と、車両検知部13と、マップ情報送信制御部14とを有する。3次元マップ情報記憶部11は、緯度・経度情報を用いたGPS座標系で構成された駐車場X内の3次元マップ情報を記憶する。当該3次元マップ情報には、駐車場X内の入口標識物体20a-1、20a-2および屋内標識物体20b-1~20b-4それぞれの緯度、経度情報で示される絶対位置情報が含まれる。制御装置無線通信部12は、車両Yの車載器30Aとの通信を行う。車両検知部13は、制御装置無線通信部12による車載器30Aとの通信状態に基づいて、駐車場Xに入場する車両Yを検知する。マップ情報送信制御部14は、車両検知部13で駐車場Xに入場する車両Yが検知されると、3次元マップ情報記憶部11に記憶された駐車場Xの3次元マップ情報を取得して、制御装置無線通信部12から車載器30Aに無線送信させる。
【0014】
入口標識物体20a-1、20a-2および屋内標識物体20b-1~20b-4はそれぞれ光発信器で構成され、自発信器の識別情報を光源の点滅で示す光ID信号を所定範囲内に発信する。
【0015】
車載器30Aは、GPS情報取得部31と、車載器無線通信部32と、3次元マップ情報取得部33と、ベクトル計測部34と、車両位置情報算出部35Aと、表示情報生成部36Aと、表示情報出力部37とを有する。
【0016】
GPS情報取得部31は、車両YがGPS電波受信可能な場所にあるときに、GPSを利用して車両Yの現在の絶対位置情報を取得する。車載器無線通信部32は、駐車場制御装置10との無線通信を行う。3次元マップ情報取得部33は、駐車場制御装置10から送信された駐車場Xの3次元マップ情報を取得する。ベクトル計測部34は、ステレオカメラ等の複眼式カメラや、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)技術を用いて構成され、入口標識物体20a-1、20a-2、屋内標識物体20b-1~20b-4のうち、所定距離内にある標識物体から発信された光ID信号を受信すると、該当する標識物体までの距離および方向を示すベクトルを計測する。車両位置情報算出部35Aは、3次元マップ情報取得部33で取得された3次元マップ情報に含まれる標識物体20a-1、20a-2、20b-1~20b-4のGPS座標系の絶対位置情報と、ベクトル計測部34で計測されたベクトル計測値とに基づいて、車両Yの絶対位置情報を算出する。
【0017】
表示情報生成部36Aは、緯度・経度情報に基づいて予め取得されたGPS座標系マップ情報上の、車両Yの絶対位置情報に対応する位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報を生成する。その際、車両YがGPS電波受信可能な場所にありGPS情報取得部31で車両Yの現在の絶対位置情報が取得されているときには、当該絶対位置情報を用いてGPS座標系マップ表示情報を生成する。また、車両YがGPS電波受信不可能な場所にあり、3次元マップ情報取得部33で駐車場Xの3次元マップ情報が取得されるとともに車両位置情報算出部35Aで車両Yの絶対位置情報が算出されたときには、当該3次元マップ情報および算出された車両Yの絶対位置情報を用いてGPS座標系マップ表示情報を生成する。
【0018】
表示情報出力部37は、モニタで構成され、表示情報生成部36Aで生成された表示情報を表示することで車両Yの現在位置情報を提示する。
【0019】
〈第1実施形態による車両位置提示システムの動作〉
次に、本実施形態による車両位置提示システム1Aの動作について、図3のシーケンス図を参照して説明する。本実施形態において、車両Yが屋外のGPS電波受信可能な位置にあるときには、車両Yの車載器30AのGPS情報取得部31において所定時間間隔で、GPS電波を受信して車両Yの現在の絶対位置情報P1が取得される(S1)。そして、表示情報生成部36Aにおいて、予め取得されたGPS座標系マップ情報上の、車両Yの絶対位置情報P1の対応位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報が生成され、表示情報出力部37に表示される(S2)。このGPS座標系マップ表示情報の生成および表示処理は所定時間間隔で繰り返され、車両Yの移動に伴って情報が更新される。
【0020】
そして、車両Yが駐車場Xを利用するために入口に近づくと、駐車場制御装置10の制御装置無線通信部12で車載器30Aとの通信が可能になり、これにより車両検知部13で車両Yが検知される。車両検知部13で車両Yが検知されると、マップ情報送信制御部14により3次元マップ情報記憶部11に記憶された駐車場Xの3次元マップ情報が取得され、制御装置無線通信部12から車載器30Aに無線送信される。
【0021】
車載器30Aでは、駐車場制御装置10から送信された駐車場Xの3次元マップ情報が、車載器無線通信部32を介して3次元マップ情報取得部33で取得される(S3の「YES」)。また、車両Yが駐車場Xの入口に近づくと、ベクトル計測部34で入口標識物体20a-1、20a-2から送信されている光ID信号が受信される(S4の「YES」)。入口標識物体20a-1、20a-2の光ID信号が受信されると、ベクトル計測部34により、入口標識物体20a-1、20a-2それぞれまでの距離および方向を示すベクトルが計測される(S5)。このベクトル計測値は、ベクトル計測部34から見た入口標識物体20a-1、20a-2の相対位置を示す。
【0022】
次に、車両位置情報算出部35Aにより、3次元マップ情報取得部33で取得された3次元マップ情報に含まれる入口標識物体20a-1、20a-2の絶対位置情報と、ベクトル計測部34で計測されたベクトル計測値とに基づいて、車両Yの絶対位置情報P2が算出される(S6)。車両Yの絶対位置情報P2が算出されると、表示情報生成部36AでのGPS座標系マップ表示情報の生成処理において、車両Yの絶対位置情報が、GPSを利用して取得された絶対位置情報P1から、車両位置情報算出部35Aで算出された絶対位置情報P2に切り替えられる。車両Yの絶対位置情報が切り替えられて新たなGPS座標系マップ表示情報が生成されると、当該GPS座標系マップ表示情報が表示情報出力部37から出力される(S7)。
【0023】
このように車両Yの絶対位置情報が切り替えられることにより、車両YがGPS電波受信不可能な駐車場X内に入場しても、車載器30Aのモニタに車両Yの現在位置情報が表示される。
【0024】
車両Yが駐車場Xに入場し、GPS電波受信不可能な状況で(S8の「NO」)駐車場X内を走行して移動し、次に近づく屋内標識物体20b-1の光ID信号がベクトル計測部34で受信されるまでの間(S9の「NO」)、車両位置情報算出部35Aにおいて、車両Xのハンドルの操作角度や走行速度に基づいて、車両Xの移動先の推定絶対位置情報Qが所定時間間隔で算出される(S10)。車両Yの推定絶対位置情報Qが算出されると、表示情報生成部36AでのGPS座標系マップ表示情報の生成処理において、車両Yの絶対位置情報が、ステップS6で算出された絶対位置情報P2から、ステップS10で算出された推定絶対位置情報Qに切り替えられる。車両Yの絶対位置情報が切り替えられて新たなGPS座標系マップ表示情報が生成されると、当該GPS座標系マップ表示情報が表示情報出力部37から出力される(S11)。
【0025】
そして、GPS電波受信不可能な状況下でさらに車両Yが駐車場X内を走行し(S8の「NO」)、屋内標識物体20b-1に近づいて車載器30Aのベクトル計測部34で屋内標識物体20b-1の光ID信号が受信されると(S9の「YES」)、屋内標識物体20b-1までのベクトルが計測され(S12)、当該ベクトル計測値に基づいて新たな車両Yの絶対位置情報P3が算出される(S13)。車両Yの絶対位置情報P3が算出されると、表示情報生成部36AでのGPS座標系マップ表示情報の生成処理において、車両Yの絶対位置情報が、ステップS10で算出された推定絶対位置情報Qから、ステップS13で算出された絶対位置情報P3に切り替えられる。車両Yの絶対位置情報が切り替えられることで車両Yの現在位置情報が予測値から実測値に補正されて、新たなGPS座標系マップ表示情報が生成される。生成された新たなGPS座標系マップ表示情報は、表示情報出力部37から出力される(S14)。
【0026】
このステップS9~S14の処理は、車両Yが駐車場Xの外に出てGPS電波が受信可能な状況になるまで繰り返される(S8の「NO」)。車両Yが駐車場Xの外に出てGPS電波が受信可能な状況になると(S8の「YES」)、ステップS1に戻る。
【0027】
以上の第1実施形態によれば、GPS情報が取得できない屋内空間においても、車両の現在位置情報を精度よく取得し、車両に積載されたモニタに表示させて運転手に提示することができる。また、上述した車載器を、自動走行機能を有する車両に搭載し、生成されたマップ表示情報を駐車場制御装置等の監視員が操作する装置のモニタに表示させることで、無人状態で駐車場内を走行する車両を遠隔で監視しながら駐車場内の所定の駐車スペースに駐車させることができる。
【0028】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による車両位置提示システムの構成〉
本発明の第2実施形態による車両位置提示システムの構成について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態による車両位置提示システム1Bは、車載器30Aに替えて車載器30Bを有する他は、第1実施形態で説明した車両位置提示システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0029】
本実施形態において駐車場制御装置10の3次元マップ情報記憶部11に記憶される3次元マップ情報は、当該マップ情報固有の座標系である特殊座標系で構成されている。当該3次元マップ情報には、駐車場X内の入口標識物体20a-1、20a-2および屋内標識物体20b-1~20b-4それぞれの特殊座標系内での位置情報(特殊座標系位置情報)が含まれる。また、当該3次元マップ情報には、駐車場X内の所定の3点に関する絶対位置情報(緯度、経度情報)が含まれる。この所定の3点は、入口標識物体20a-1、20a-2および屋内標識物体20b-1~20b-4内のいずれかの位置を用いてもよい。
【0030】
車載器30Bの車両位置情報算出部35Bは、3次元マップ情報取得部33で取得された3次元マップ情報に含まれる標識物体20a-1、20a-2、20b-1~20b-4の特殊座標系位置情報と、ベクトル計測部34で計測されたベクトルの情報とに基づいて、車両Yの特殊座標系位置情報を算出する。
【0031】
表示情報生成部36Bは、車両YがGPS電波受信可能な屋外にあるときには、GPS座標系マップ情報上の、車両Yの絶対位置情報に対応する位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報を生成する。また、車両YがGPS電波受信不可能な駐車場X内にあり、3次元マップ情報取得部33で駐車場Xの3次元マップ情報が取得されるとともに車両位置情報算出部35Bで車両Yの特殊座標系位置情報が算出されているときには、当該3次元マップ情報の表示情報をGPS座標系マップ表示情報上に重畳させた重畳マップ情報を生成する。そして、車両Yの特殊座標系位置情報に対応する駐車場X内の位置に所定マークを付加した重畳マップ表示情報を生成する。
【0032】
表示情報出力部37は、表示情報生成部36Bで生成されたGPS座標系マップ表示情報または重畳マップ表示情報を表示することで車両Yの現在位置情報を提示する。
【0033】
〈第2実施形態による車両位置提示システムの動作〉
次に、本実施形態による車両位置提示システム1Bの動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、車両Yが屋外のGPS電波受信可能な位置にあるときには、第1実施形態と同様に、車両Yの車載器30BのGPS情報取得部31において所定時間間隔で、GPS電波を受信して車両Yの現在の絶対位置情報P1が取得され(S21)、車両Yの絶対位置情報P1の対応位置に所定のマークを付加したGPS座標系マップ表示情報が生成されて表示情報出力部37に表示される(S22)。
【0034】
そして、車両Yが駐車場Xを利用するために入口に近づくと車両検知部13で車両Yが検知され、マップ情報送信制御部14により3次元マップ情報記憶部11に記憶された駐車場Xの3次元マップ情報が車載器30Bに無線送信される。
【0035】
車載器30Bでは、駐車場制御装置10から送信された駐車場Xの3次元マップ情報が、車載器無線通信部32を介して3次元マップ情報取得部33で取得される(S23の「YES」)。そして、表示情報生成部36Bにおいて、当該3次元マップ情報をGPS座標系マップ表示情報上に重畳させた重畳マップ情報が生成される(S24)。ここで用いられるGPS座標系マップ表示情報は、表示情報生成部36Bで予め取得されたGPS座標系マップ情報に基づいて生成された情報であり、3次元マップ情報内の3点の絶対位置情報で示される位置がGPS座標系マップ内の該当位置に合わされることで、3次元マップ情報が重畳される。本実施形態においては、3次元マップ情報内の所定の3点の絶対位置情報を用いて重畳マップ情報を生成する場合について説明したが、3次元マップ情報内の所定の4点以上に関する絶対位置情報を予め保持しておき、これら4点以上の絶対位置情報を用いて重畳マップ情報を生成するようにしてもよい。
【0036】
このとき、ステップS21およびS22の処理が継続されており、GPS情報取得部31で取得された車両Yの絶対位置情報P1に基づいて、重畳マップ情報上の、車両Yの絶対位置情報P1の対応位置(入口付近の位置)に所定のマークが付加されて表示されている。
【0037】
また、車両Yが駐車場Xの入口に近づくと、ベクトル計測部34で入口標識物体20a-1、20a-2から送信されている光ID信号が受信される(S25の「YES」)。入口標識物体20a-1、20a-2の光ID信号が受信されると、ベクトル計測部34により、入口標識物体20a-1、20a-2それぞれまでの距離および方向を示すベクトルが計測され、車両位置情報算出部35Bで取得される(S26)。
【0038】
次に、3次元マップ情報に含まれる入口標識物体20a-1、20a-2の特殊座標系位置情報と、ステップS26で取得された入口標識物体20a-1、20a-2までのベクトル計測値とに基づいて車両Yの特殊座標系位置情報P4が算出される(S27)。そして、重畳マップ表示情報上のマークの位置が、車両Yの絶対位置情報P1の対応位置から、車両Yの特殊座標系位置情報P4に変更される(S28)。
【0039】
その後、車両Yが駐車場Xに入場し、GPS電波受信不可能な状況で(S29の「NO」)駐車場X内を走行して移動すると、次に近づく屋内標識物体20b-1の光ID信号が受信されるまでの間(S30の「NO」)、車両位置情報算出部35Bにおいて、車両Xのハンドルの操作角度や走行速度に基づいて、車両Xの移動先の推定特殊座標系位置情報Rが所定時間間隔で算出される(S31)。車両Yの推定特殊座標系位置情報Rが算出されると、表示情報生成部36Bでの重畳マップ表示情報の生成処理において、車両Yの特殊座標系位置情報が、ステップS27で算出された特殊座標系位置情報P4から、ステップS31で算出された推定特殊座標系位置情報Rに切り替えられる。車両Yの特殊座標系位置情報が切り替えられて新たな重畳マップ表示情報が生成されると、当該重畳マップ表示情報が表示情報出力部37から出力される(S32)。
【0040】
そして、GPS電波受信不可能な状況下でさらに車両Yが駐車場X内を走行し(S29の「NO」)、屋内標識物体20b-1に近づいて車載器30Bのベクトル計測部34で屋内標識物体20b-1の光ID信号が受信されると(S30の「YES」)、屋内標識物体20b-1までのベクトルが計測され(S33)、当該ベクトル計測値に基づいて新たな車両Yの特殊座標系位置情報P5が算出される(S34)。車両Yの特殊座標系位置情報P5が算出されると、表示情報生成部36Bでの重畳マップ表示情報の生成処理において、車両Yの特殊座標系位置情報が、ステップS31で取得された推定特殊座標系位置情報Rから、ステップS34で算出された特殊座標系位置情報P5に切り替えられる。車両Yの特殊座標系位置情報が切り替えられることで車両Yの現在位置情報が予測値から実測値に補正されて、新たな重畳マップ表示情報が生成される。生成された新たな重畳マップ表示情報は、表示情報出力部37から出力される(S35)。
【0041】
このステップS30~S35の処理は、車両Yが駐車場Xの外に出てGPS電波が受信可能な状況になるまで繰り返される(S29の「NO」)。車両Yが駐車場Xの外に出てGPS電波が受信可能な状況になると(S29の「YES」)、表示情報生成部36Bにおいて、重畳マップ情報を用いた表示情報の生成処理から、GPS座標系マップ情報を用いた表示情報の生成処理に切り替えられ(S36)、ステップS21に戻る。
【0042】
以上の第2実施形態によれば、GPS情報が取得できない屋内空間においても、第1実施形態と同様に、車両の現在位置情報を精度よく取得し、車両に積載されたモニタに表示させて運転手に提示したり、自動運転処理に用いたりすることができる。
【0043】
上述した第1および第2実施形態においては、駐車場Xの入口標識物体20a-1、20a-2、屋内標識物体20b-1~20b-4それぞれが光発信器で構成され、車載器30A、30Bのベクトル計測部34がこれらの光発信器から発信された光ID信号を受信したときに、該当する標識物体までのベクトルを計測する場合について説明した。しかし、この形態には限定されず、入口標識物体20a-1、20a-2、屋内標識物体20b-1~20b-4それぞれを他の標識物体と識別可能な形状、例えば丸型、正方形型、星形等で構成し、カメラ装置で構成したベクトル計測部34で撮影された撮像情報からいずれかの形状の標識物体を検出したときに、該当する標識物体までのベクトルを計測するようにしてもよい。
【0044】
上述した車両位置提示システムの車載器に搭載される機能をプログラム化してコンピュータに組み込むことにより、当該コンピュータを車載器として機能させるための車両位置提示用プログラムを構築することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1A,1B 車両位置提示システム
10 駐車場制御装置
11 3次元マップ情報記憶部
12 制御装置無線通信部
13 車両検知部
14 マップ情報送信制御部
20a-1、20a-2 入口標識物体
20b-1~20b-4 屋内標識物体
30A,30B 車載器
31 GPS情報取得部
32 車載器無線通信部
33 3次元マップ情報取得部
34 ベクトル計測部
35A,35B 車両位置情報算出部
36A,36B 表示情報生成部
37 表示情報出力部
図1
図2
図3
図4