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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】肺呼吸デバイス
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20231212BHJP
   G09B 23/34 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
G09B23/34
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019093628
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2019200421
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】62/673,665
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/101,043
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・エル・パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ジャラルド・ヴイ・ラップ
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル・エス・ハグ
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-511000(JP,A)
【文献】特表2015-501911(JP,A)
【文献】特開2002-113101(JP,A)
【文献】米国特許第08631790(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0310694(US,A1)
【文献】ナースのための 人工呼吸器 超入門編 教育教材,インターネット,国立保健医療科学院,2018年03月23日,5-7,https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2017/173011/201721030A_upload/201721030A201806081625303070010.pdf
【文献】術後合併症の制御-DIC、循環不全、呼吸不全-,臨牀外科,8,株式会社医学書院,1999年08月20日,1064
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00
G09B 23/28-23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
空気圧ポンプと、
弁であって、
前記空気圧ポンプに空気的に連結された第1のポートと、
人工肺又は天然肺のうちの少なくとも一方と空気的に連通するように構成された第2のポートと、
通気用の第3のポートと、を備える、弁と、
前記弁に、前記第1のポートを前記第2のポートに接続することと、前記第2のポートを前記第3のポートに接続することとを交互に行わせるように構成されたコントローラと、を備え、
圧力値を生成し、前記圧力値を前記コントローラに送るように構成された圧力センサを更に備え、前記圧力センサが、前記第2のポートと前記人工肺又は前記天然肺との間に位置し、
前記コントローラが、前記圧力値が第1の閾値を下回った場合、前記第1のポートを前記第2のポートに接続するように前記弁に指示し、
前記コントローラが、前記圧力値が第2の閾値を上回った場合、前記第2のポートを前記第3のポートに接続するように前記弁に指示し、
記弁が、通気用の第4のポートを更に備え、
前記コントローラが、前記圧力値が前記第2の閾値を上回った場合、前記第1のポートを前記第4のポートに接続するように前記弁に更に指示する、
システム。
【請求項2】
ユーザが前記第1の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第1のユーザ制御デバイスを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のユーザ制御デバイスが、電位差計又はデジタルスイッチのうちの少なくとも一方を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ユーザが前記第2の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第2のユーザ制御デバイスを更に備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のユーザ制御デバイスが、電位差計又はデジタルスイッチのうちの少なくとも一方を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ユーザが前記空気圧ポンプによって生成される空気流の量を変更することを可能にするように構成されたポンプ速度制御デバイスを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポンプ速度制御デバイスが、電位差計又はデジタルスイッチのうちの少なくとも一方を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
取付具であって、
前記人工肺又は前記天然肺に連結されるように構成された第1の開口部と、
前記弁の前記第2のポートに接続された第2の開口部と、
第3の開口部と、を備え、
前記人工肺又は前記天然肺が、前記第1の開口部に接続されているとき、前記取付具が、医療デバイスが前記第1及び第3の開口部を介して前記人工肺又は前記天然肺内を通過することを可能にするように構成されている、取付具を更に備える、請求項1に記載のシ
ステム。
【請求項9】
前記第3の開口部に連結されたエアロックデバイスを更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
デバイスであって、
ハウジングであって、
人工肺又は天然肺のうちの少なくとも一方を受容するように構成され、かつ周囲環境と同一圧力である、プラットフォームと、
1つ以上の内部空洞と、を備える、ハウジングと、
前記ハウジングの前記1つ以上の内部空洞内に位置し、かつ前記人工肺又は前記天然肺を正圧で膨張させるように構成されている、給気構成要素と、を備え、
前記給気構成要素が、
空気圧ポンプと、
弁であって、
前記空気圧ポンプに空気的に連結された第1のポートと、
前記人工肺又は前記天然肺と空気的に連通するように構成された第2のポートと、
通気用の第3のポートと、を備える、弁と、
前記弁に、前記第1のポートを前記第2のポートに接続することと、前記第2のポートを前記第3のポートに接続することとを交互に行わせるように構成されたコントローラと、を備え、
前記給気構成要素は、
最小空気圧を第1の閾値として設定可能に構成されている最小肺サイズ制御デバイスと、
最大空気圧を第2の閾値として設定可能に構成されている最大肺サイズ制御デバイスと、
前記空気圧ポンプの制御速度を設定可能に構成されている呼吸速度制御デバイスと、
を更に備え、
前記給気構成要素は、前記最大肺サイズ制御デバイスが最大に設定され、前記呼吸速度制御デバイスを十分に低く設定することで、低空気量操作モードを設定可能に構成されている
デバイス
【請求項11】
前記給気構成要素が、圧力値を生成し、前記圧力値を前記コントローラに送るように構成された圧力センサを更に備え、前記圧力センサが、前記第2のポートと前記人工肺又は前記天然肺との間に位置し、
前記コントローラが、前記圧力値が第1の閾値を下回った場合、前記第1のポートを前記第2のポートに接続するように前記弁に指示し、
前記コントローラが、前記圧力値が第2の閾値を上回った場合、前記第2のポートを前記第3のポートに接続するように前記弁に指示する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記給気構成要素が、ユーザが前記第1の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第1のユーザ制御デバイスを更に備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記給気構成要素が、ユーザが前記第2の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第2のユーザ制御デバイスを更に備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記給気構成要素が、ユーザが前記空気圧ポンプによって生成される空気流の量を変更することを可能にするように構成されたポンプ速度制御デバイスを更に備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記給気構成要素が、取付具であって、
前記人工肺又は前記天然肺に連結されるように構成された第1の開口部と、
前記弁の前記第2のポートに接続された第2の開口部と、
第3の開口部と、を備え、
前記人工肺又は前記天然肺が、前記第1の開口部に接続されているとき、前記取付具が、医療デバイスが前記第1及び第3の開口部を介して前記人工肺又は前記天然肺内を通過することを可能にするように構成されている、取付具を更に備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記給気構成要素が、前記第3の開口部に連結されたエアロックデバイスを更に備える、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記弁が、前記空気圧ポンプの方に空気を通気させるための第4のポートを更に備え、
前記コントローラが、前記圧力値が前記第2の閾値を上回った場合、前記第1のポートを前記第4のポートに接続するように前記弁に更に指示する、請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2018年5月18日に出願された米国特許仮出願第62/673,665号の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に援用される。
本発明は、正の空気圧を使用して、様々な異なる膨張状態に肺を置くためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
生体外で、例えば、可塑化された又は動物の肺を人工呼吸するためのシミュレーションデバイスは、典型的には、肺を膨張させるために負圧を使用する。例えば、肺は、肺周囲の負圧(即ち、大気圧未満)を利用して人工呼吸されて、肺が大気圧又は大気圧付近の人工呼吸ガスで自然に満たされることを可能にし得る。この技術は、肺が密閉室内に維持されことを必要とする。これらのデバイスは、訓練なしで操作することが困難であり、有意義な訓練/ユーザ体験を提供することができない。代替技術は、システムに複雑性、サイズ、及びノイズを追加するタンク又は圧縮機からの圧縮された酸素又は空気の使用を必要とする弁を操作するために、高圧リザーバ(~50psi)を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、正の低圧空気を使用する肺呼吸を提示するためのデバイスを含む。例示的なデバイスは、ハウジング及び給気構成要素を含む。ハウジングは、人工肺又は天然肺のうちの少なくとも一方を受容するプラットフォームを含む。プラットフォームは、周囲環境と同一圧力である。給気構成要素は、ハウジングの1つ以上の内部空洞内に位置する。給気構成要素は、人工肺又は天然肺を正の低圧空気で膨張させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様において、給気構成要素は、空気圧ダイヤフラムポンプ、弁、及びコントローラを含む。ベーン、スクロール、及びピストン等の他のタイプのポンプもまた、使用され得る。弁は、空気圧ポンプに空気的に連結された第1のポートと、人工肺又は天然肺と空気的に連通するように構成された第2のポートと、通気用の第3のポートとを含む。コントローラは、弁に、第1のポートを第2のポートに接続することと、第2のポートを第3のポートに接続することとを交互に行わせる。
【0005】
本発明の別の態様では、給気構成要素は、圧力値を生成し、圧力値をコントローラに送るように構成された圧力センサを含む。圧力センサは、第2のポートと人工肺又は天然肺との間に位置する。コントローラは、圧力値が第1の閾値を下回った場合、第1のポートを第2のポートに接続するように弁に指示する。コントローラは、圧力値が第2の閾値を上回った場合、第2のポートを第3のポートに接続するように弁に指示する。
【0006】
本発明のまた別の態様では、給気構成要素は、ユーザが第1の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第1のユーザ制御を含む。
【0007】
本発明の更に別の態様では、給気構成要素は、ユーザが第2の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第2のユーザ制御を含む。
【0008】
本発明の他の態様では、給気構成要素は、可変吸気速度を可能にするために、ユーザが空気圧ポンプのモータの速度を変更することを可能にするように構成されたポンプ速度制御を含む。
【0009】
本発明の更に他の態様では、給気構成要素は、人工肺又は天然肺に連結されるように構成された第1の開口部と、弁の第2のポートに連結された第2の開口部と、第3の開口部と、を有する取付具を含む。人工肺又は天然肺は、第1の開口部に接続される。取付具は、医療デバイスが、第3及び第1の開口部を介して、人工肺又は天然肺内を通過することを可能にする。
【0010】
本発明のまた更に他の態様では、給気構成要素は、第3の開口部に連結されたエアロックデバイスを含む。エアロックデバイスは、オーダーメイドであってもよく、又は市販のデバイスであってもよい。
【0011】
更なる特徴、利点、及び適用分野は、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明及び具体的な例は、単に例示目的のために意図され、本開示の範囲を限定することは意図されないことを理解されたい。
【0012】
本明細書に説明される図面は、単に例示目的のためであり、決して本開示の範囲を制限することは意図されない。図面における構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明の原理を例示することに重点を置かれる。図面において:
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に従って形成されたシステムのブロック図を示す。
図2】第1の操作状態における図1のシステムの構成要素の図を示す。
図3】第2の操作状態における図1のシステムの構成要素の図を示す。
図4図1に示されるシステムによって実施されるプロセスの図を示す。
図5図1のシステムを収容するように構成された例示的なデバイスの斜視図を示す。
図6図5のデバイスの斜視図を示す。
図7図5のデバイスの部分斜視図を示す。
図8図5のデバイスの部分斜視図を示す。
図9-1】図5のデバイスの斜視図を示す。
図9-2】図9-1のデバイスの部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本開示、適用、又は使用を限定することは意図されない。以下の説明は、実例としてのみ、かつ限定することなく、相互作用的な肺呼吸デバイス並びにそれを操作及び使用する方法を提供するためのデバイスの様々な実施形態を説明する。本明細書に説明される様々な実施形態が、組織吸引のプロセスを単純化することを助け得ることが理解されるであろう。
【0015】
図1は、例証及び相互作用的訓練の目的のための、相互作用的な肺呼吸システム20を示す。システム20は、空気的接続(即ち、ブロック間の実線)及び/又は有線若しくは無線信号通信接続(即ち、ブロック間の破線)のいずれかを介して結合される多数の構成要素を含む。システム20は、弁30と信号通信するコントローラ24と、圧力センサ32と、最小肺サイズ制御デバイス34と、最大肺サイズ制御デバイス36と、を含む。システム20はまた、呼吸速度制御デバイス42と有線又は無線信号通信する空気ポンプ40を含む。空気ポンプ40は、弁30と空気的に連通/接続している。弁30は、圧力センサ32及び肺44(例えば、動物又は人工肺)と空気的に連通している。圧力センサ32は、吸気及び呼気モード間の平滑な移行を可能にする所定のサンプリングレートでサンプリングする。
【0016】
コントローラ24は、最小肺サイズ制御デバイス34によって提供される最小肺サイズ値と、最大肺サイズ制御デバイス36によって提供される最大肺サイズ値と、圧力センサ32によって提供される空気圧値とに基づいて弁30に弁制御信号を提供する。コントローラ24は、プログラマブルロジックコントローラ、ハードワイヤード/ソリッドステートコントローラ、又は回路と関連付けられたマイクロプロセッサ等の同等の信号処理/制御デバイスを含み得る。制御34、36、42は、電位差計又は同等のデバイスを含み得る。
【0017】
空気ポンプ40は、呼吸速度制御デバイス42から呼吸速度信号を受信する。これは、空気ポンプ40によって生成される空気流の量を制御する。空気ポンプ40のモータの速度は、呼吸速度信号の値に基づく。空気ポンプ40は、弁30に給気する。一実施形態において、弁30は、コントローラ24によって生成された弁制御信号によって制御されるスプリングリターンソレノイドを含む四方向弁である。例示的な弁は、Humphrey Products Corporationによって製造される。弁制御信号は、弁30に、空気ポンプ40から受容した空気が肺44内に入ることを可能にするか、又は空気ポンプ40からの空気を第1の通気ポート54に迂回させ、肺44を第2の通気ポート56に接続させるかのいずれかを行わせる。一実施形態では、第1の通気ポート54、又は第1の通気ポート54に取り付けられた追加の管が、空気ポンプ40のモータに冷却効果を提供するために、空気を空気ポンプ40に向けるために位置付けられる。第1及び第2の通気ポート54、56に隣接する大気圧は、標準的な大気圧である。例示的な空気ポンプ40は、Parker-Hannifin Corporationによって製造されるもの等の高流量ダイヤフラムポンプである。
【0018】
図2は、システム20の第1の空気圧操作モードを示す。第1の空気圧操作モードは、肺吸気又は吸入モードである。第1の空気圧操作モードでは、弁30は、コントローラ24から受信された弁制御信号によって命令されて、ポンプポート50で空気ポンプ40から受容された空気を、肺44に接続する肺ポート52に向ける。圧力センサ32は、肺44と肺ポート52との間に接続される。第1の空気圧操作モードでは、肺44は、呼吸速度制御デバイス42から受信された呼吸制御信号によって決定された速度で膨張する。したがって、肺44は、正の空気圧を使用して膨張する。第1の空気圧操作モードは、システム20の始動時、又は圧力センサ32によって検知された圧力値が最小肺サイズ制御デバイス34によって提供される最小肺サイズ値を下回る度に開始される。最小肺サイズ値は、圧力値に等しい。
【0019】
図3は、システム20の第2の空気圧操作モードを示す。第2の空気圧操作モードは、肺収縮又は呼気モードである。第2の空気圧操作モードでは、弁30は、コントローラ24から受信された弁制御信号によって命令されて、ポンプ40から受容された空気を、第1の通気ポート54の外に通気されるように向ける。また、弁30は、弁制御信号によって命令されて、肺ポート52を第2の通気ポート56に接続する。膨張した肺44は、第2の通気ポート56でのより低圧(即ち、標準的な大気圧)へのこの空気的接続に起因して、収縮を開始する。
【0020】
第2の空気圧操作モードは、圧力センサ32によって検知された圧力値が、最大肺サイズ制御デバイス36によって提供される最大肺サイズ値を上回るときに開始される。最大肺サイズ値は、圧力値に等しい。
【0021】
システム20は、弁30と肺44との間に位置する圧力調整弁(図示せず)を含み得る。圧力調整弁は、弁30が吸気モードに留まっている場合において、肺44内の空気圧を調整するように設定されることになる。
【0022】
図2及び3に示されるように、密閉可能な入口又はアクセスポート60が、肺44と肺ポート52との間に提供される。密閉可能なアクセスポート60は、システム20が吸気及び呼気状態間を移行する際に、医療デバイス(例えば、スコープ、カメラ、ツール)を肺44内に挿入することを可能にする。密閉可能なアクセスポート60は、肺44内に挿入された医療デバイスの周囲にシール又は最小漏出シールを提供する。密閉可能なアクセスポート60は、ユーザが、肺での使用のために設計された設備上での試験及び/又は相互作用的な訓練を行うことを可能にする。例えば、肺弁(例えば、Spiration,Inc.によって製造されるIBV(登録商標))、撮像デバイス、送達カテーテル、組織サンプリング又は治療デバイス等の様々なタイプのスコープ又はツールを挿入することができる。
【0023】
図4は、図1に示されるシステム20によって実施されるプロセス70の例示的なフロー図を示す。まず、ステップ72において、システム20が起動され、空気が、空気ポンプ40によって取り付けられた肺に供給され、したがって肺を膨張させ、呼吸を行うことをシミュレーションする。空気ポンプ40は、事前選択された速度(即ち、呼吸速度制御デバイス42)又はデフォルト速度(即ち、空気ポンプのモータ速度(空気の体積/秒))で給気する。次に、判断ステップ74において、コントローラ24は、圧力センサ32から受信された空気圧値(Plung)に基づいて弁30に命令を提供する。Plungが所定の最大空気圧閾値(Pmax)(最大肺サイズ制御デバイス36によって設定される)未満である場合、プロセス70は、ステップ72に戻る。PlungがPmaxよりも大きい場合、プロセス70は、ステップ76に進む。ステップ76において、弁30は、コントローラ24によって命令されて、肺の空気を通気させ、したがって、肺を収縮させ、呼気をシミュレートする。
【0024】
次に、判断ブロック78において、Plungが所定の最小空気圧閾値(Pmin)(最小肺サイズ制御デバイス34によって設定される)よりも大きい場合、プロセス70は、ステップ76の肺呼気モードに留まる。PlungがPmin未満である場合、プロセス70は、ステップ72の肺吸気に戻る。
【0025】
一実施形態では、ステップ80に示されるように、低空気流操作モードでは、最大肺制御デバイス36は、最大(又は、始動されることになるよりも高いもの)に設定され、呼吸速度制御デバイス42は、十分に低く設定され、それによって、空気ポンプ速度が設定漏出率(肺側の空気システムの孔)に一致して、呼吸速度制御(空気ポンプ出力)に応じて、肺を特定のサイズで膨張させたままにする。空気圧は、始動点に決して到達しないため、肺は、特定のサイズで膨張したままになる。これは、肺が無期限に可変の膨張した状態に保持されることを可能にする。
【0026】
図5及び6は、図1のシステム20の構成要素を収容するように構成された肺ボックス100の斜視図である。肺ボックス100は、ハウジング102及び透明カバー106を含む。ハウジング102は、肺を支持するプラットフォーム104を含む。透明カバー106は、受容された肺の視認を可能にするためにプラットフォーム104を覆う。透明カバー106は、ハウジング102の受容縁上に載置される。図7のように、操作のために、透明カバー106が除去された後、次いで、肺44がプラットフォーム104上に配置される。図8のように、次に、肺44は、取付具108(例えば、有刺取付具)に接続され、漏れを防止するためにクランプデバイス112と固設される。透明カバー106は、置換されるが、システム20が機能するためには、置換される必要はない。
【0027】
図9-1は、複数の制御エリア122を明らかにするために、制御カバー120が除去された肺ボックス100の斜視図を示す。図9-2は、複数の制御エリア122の正面図である。複数の制御エリア122は、呼吸速度制御ノブ42-1、最大肺サイズ制御ノブ36-1、及び最小肺サイズ制御ノブ34-1を含む。制御ノブ42-1、36-1、34-1は、事前較正された電位差計(図示せず)又は複数の異なる信号を生成することができる他のデバイスに接続される。
【0028】
一実施形態では、コントローラ24は、入口ポート110の周囲の余分な空気漏出を管理するように構成されている。入口ポート110は、密閉可能なアクセスポート60を受容する。しかしながら、いくつかの空気は、様々な理由に起因して、密閉可能なアクセスポート60から漏れ出る場合がある。コントローラ24は、所定量の漏出を補償するために呼吸速度を変更し得る。
【0029】
実施形態
A.システムであって、空気圧ポンプと、弁であって、空気圧ポンプに空気的に連結された第1のポートと、人工肺又は天然肺のうちの少なくとも一方と空気的に連通するように構成された第2のポートと、通気用の第3のポートと、を備える、弁と、弁に、第1のポートを第2のポートに接続することと、第2のポートを第3のポートに接続することとを交互に行わせるように構成されたコントローラと、を備える、システム。
【0030】
B.圧力値を生成し、圧力値をコントローラに送るように構成された圧力センサを更に備え、圧力センサが、第2のポートと人工肺又は天然肺との間に位置し、コントローラが、圧力値が第1の閾値を下回った場合、第1のポートを第2のポートに接続するように弁に指示し、コントローラが、圧力値が第2の閾値を上回った場合、第2のポートを第3のポートに接続するように弁に指示する、実施形態Aに記載のシステム。
【0031】
C.弁が、通気用の第4のポートを更に備え、コントローラが、圧力値が第2の閾値を上回った場合、第1のポートを第4のポートに接続するように弁に更に指示する、実施形態Bに記載のシステム。
【0032】
D.ユーザが第1の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第1のユーザ制御デバイスを更に備える、実施形態Bに記載のシステム。
【0033】
E.第1のユーザ制御デバイスが、電位差計又はデジタルスイッチのうちの少なくとも一方を備える、実施形態Dに記載のシステム。
【0034】
F.ユーザが第2の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第2のユーザ制御デバイスを更に備える、実施形態B、C、D又はEに記載のシステム。
【0035】
G.第2のユーザ制御デバイスが、電位差計又はデジタルスイッチのうちの少なくとも一方を備える、実施形態Fに記載のシステム。
【0036】
H.ユーザが空気圧ポンプによって生成される空気流の量を変更することを可能にするように構成されたポンプ速度制御デバイスを更に備える、実施形態A~Gのいずれか1つに記載のシステム。
【0037】
I.ポンプ速度制御デバイスが、電位差計又はデジタルスイッチのうちの少なくとも一方を備える、実施形態Hに記載のシステム。
【0038】
J.取付具であって、人工肺又は天然肺に連結されるように構成された第1の開口部と、弁の第2のポートに接続された第2の開口部と、第3の開口部と、を備え、人工肺又は天然肺が、第1の開口部に接続されているとき、取付具が、医療デバイスが第1及び第3の開口部を介して人工肺又は天然肺内を通過することを可能にするように構成されている、取付具を更に備える、実施形態A~Iのいずれか1つに記載のシステム。
【0039】
K.第3の開口部に連結されたエアロックデバイスを更に備える、実施形態Jに記載のシステム。
【0040】
L.デバイスであって、ハウジングであって、人工肺又は天然肺のうちの少なくとも一方を受容するように構成され、かつ周囲環境と同一圧力である、プラットフォームと、1つ以上の内部空洞と、を備える、ハウジングと、ハウジングの1つ以上の内部空洞内に位置し、かつ人工肺又は天然肺を正圧で膨張させるように構成されている、給気構成要素と、を備える、デバイス。
【0041】
M.給気構成要素が、空気圧ポンプと、弁であって、空気圧ポンプに空気的に連結された第1のポートと、人工肺又は天然肺と空気的に連通するように構成された第2のポートと、通気用の第3のポートと、を備える、弁と、弁に、第1のポートを第2のポートに接続することと、第2のポートを第3のポートに接続することとを交互に行わせるように構成されたコントローラと、を備える、実施形態Lに記載のデバイス。
【0042】
N.給気構成要素が、圧力値を生成し、圧力値をコントローラに送るように構成された圧力センサを更に備え、圧力センサが、第2のポートと人工肺又は天然肺との間に位置し、コントローラが、圧力値が第1の閾値を下回った場合、第1のポートを第2のポートに接続するように弁に指示し、コントローラが、圧力値が第2の閾値を上回った場合、第2のポートを第3のポートに接続するように弁に指示する、実施形態Mに記載のデバイス。
【0043】
O.給気構成要素が、ユーザが第1の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第1のユーザ制御デバイスを更に備える、実施形態Nに記載のデバイス。
【0044】
P.給気構成要素が、ユーザが第2の閾値の値を変更することを可能にするように構成された第2のユーザ制御デバイスを更に備える、実施形態N又はOに記載のデバイス。
【0045】
Q.給気構成要素が、ユーザが空気圧ポンプのモータの速度を変更することによって、空気流の量を変更することを可能にするように構成されたポンプ速度制御デバイスを更に備える、実施形態L~Pのいずれか1つに記載のデバイス。
【0046】
R.給気構成要素が、取付具であって、人工肺又は天然肺に連結されるように構成された第1の開口部と、弁の第2のポートに接続された第2の開口部と、第3の開口部と、を備え、人工肺又は天然肺が、第1の開口部に接続されているとき、取付具が、医療デバイスが第1及び第3の開口部を介して人工肺又は天然肺内を通過することを可能にするように構成されている、取付具を更に備える、実施形態L~Qのいずれか1つに記載のデバイス。
【0047】
S.給気構成要素が、第3の開口部に連結されたエアロックデバイスを更に備える、実施形態Rに記載のデバイス。
【0048】
T.弁が、空気圧ポンプの方に空気を通気させるための第4のポートを更に備え、コントローラが、圧力値が第2の閾値を上回った場合、第1のポートを第4のポートに接続するように弁に更に指示する、実施形態Mに記載のデバイス。
【0049】
本発明の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明の趣旨から逸脱しない変形が、本発明の範囲内にあることが意図される。かかる変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱するものとしてみなされない。
【0050】
本発明の好ましい実施形態が、ここまで記載されたにもかかわらず、本発明は、これらの実施例に限定されない。追加、省略、置換、及び他の変形を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0051】
加えて、本発明は上記の記載によって限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0052】
20 ・・・肺呼吸システム
24 ・・・コントローラ
30 ・・・弁
32 ・・・圧力センサ
34 ・・・最小肺サイズ制御デバイス
36 ・・・最大肺サイズ制御デバイス
40 ・・・空気ポンプ
44 ・・・肺
50 ・・・ポンプポート
52 ・・・肺ポート
54 ・・・第1の通気ポート
56 ・・・第2の通気ポート
60 ・・・アクセスポート
100 ・・・肺ボックス
102 ・・・ハウジング
104 ・・・プラットフォーム
106 ・・・透明カバー
108 ・・・取付具
110 ・・・入口ポート
112 ・・・クランプデバイス
120 ・・・制御カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】