(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】水底形状測定装置
(51)【国際特許分類】
G01S 15/89 20060101AFI20231212BHJP
G01S 15/86 20200101ALI20231212BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20231212BHJP
G01S 17/86 20200101ALI20231212BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01S15/89 Z
G01S15/86
G01S17/89
G01S17/86
B64C39/02
(21)【出願番号】P 2019111792
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光男
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073160(JP,A)
【文献】特開2017-085263(JP,A)
【文献】特開2010-132073(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192805(WO,A1)
【文献】特開2009-122119(JP,A)
【文献】特開2017-219514(JP,A)
【文献】特開2018-176905(JP,A)
【文献】特開2019-077293(JP,A)
【文献】特開2016-031235(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2012-0138985(KR,A)
【文献】特開2001-280957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0078123(US,A1)
【文献】中国実用新案第208110037(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00-17/95
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底の形状を測定する水底形状測定装置であって、
遠隔制御される無人飛行体と、
前記無人飛行体に支持部材を介して吊り下げられ水中に位置した状態で前記水底の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成する3次元形状測定部と、
前記無人飛行体に搭載され測位衛星から受信した測位信号に基づいて前記無人飛行体の位置を測位し測位情報として生成する測位部と、
前記3次元形状情報および前記測位情報に基づいて前記水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成する水底形状情報生成部とを備え、
前記支持部材は、水面の上方における前記無人飛行体の飛行状態で、水中において前記3次元形状測定部を前記無人飛行体に対して移動不能に支持している、
ことを特徴とする水底形状測定装置。
【請求項2】
前記無人飛行体から離れた箇所に管理装置が設けられ、
前記無人飛行体に無人飛行体側通信部が設けられ、
前記管理装置に、前記水底形状情報生成部と、前記無人飛行体側通信部と無線回線により通信を行なう管理装置側通信部とが設けられ、
前記水底形状情報生成部による前記水底形状情報の生成は、前記無線回線を介して供給される前記3次元形状情報および前記測位情報に基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の水底形状測定装置。
【請求項3】
前記3次元形状測定部は、超音波を前記水底に照射すると共に、前記水底からの反射波を受信し、前記受信波に基づいて前記3次元形状情報を生成するソナーを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の水底形状測定装置。
【請求項4】
前記3次元形状測定部は、レーザー光を前記水底に照射すると共に、前記水底から反射された反射光を受信し、受信した反射光に基づいて前記3次元形状情報を生成するレーザー測定機を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の水底形状測定装置。
【請求項5】
前記3次元形状測定部が前記
無人飛行体の真下に位置するように、前記支持部材は、前記3次元形状測定部を支持している、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の水底形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水底形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海底、湖底、河床などに対する浚渫作業や構造物の構築作業に際しては、海底、湖底、河床の底の水底形状を正確に測定することが必要である。
水底形状測定装置として、観測船から支持フレームを介してソナーを水中に配置し、ソナーによって測定した水底の3次元形状情報と、観測船に搭載したGPS測位装置で測位された測位情報に基づいて水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
上記従来技術では、波浪による観測船の揺れによって生じる測定誤差を補正するために、観測船側に三次元位置センサを設けて観測船の三次元位置を取得すると共に、地上側にトータルステーションを設け、トータルステーションによって観測船の位置を測定して測位データを求め、これら観測船の三次元位置と測位データを用いて水底形状情報を補正するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、そもそも水底形状情報を得るために観測船と観測船を運行するための船舶免許資格者が必要となり、設備コスト、運用コストが高いものとなっている。
また、波浪による観測船の揺れによって生じる測定誤差を補正するために三次元位置センサ、トータルステーションといった装置が必要となり、また、測定誤差の補正を行なうための演算処理が必要となり、構成の簡素化、コストの低減を図る上で不利となる。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、コストを抑制しつつ構成の簡素化を図る上で有利な水底形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、水底の形状を測定する水底形状測定装置であって、遠隔制御される無人飛行体と、前記無人飛行体に支持部材を介して吊り下げられ水中に位置した状態で前記水底の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成する3次元形状測定部と、前記無人飛行体に搭載され測位衛星から受信した測位信号に基づいて前記無人飛行体の位置を測位し測位情報として生成する測位部と、前記3次元形状情報および前記測位情報に基づいて前記水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成する水底形状情報を生成する水底形状情報生成部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記無人飛行体から離れた箇所に管理装置が設けられ、前記無人飛行体に無人飛行体側通信部が設けられ、前記管理装置に、前記水底形状情報生成部と、前記無人飛行体側通信部と無線回線により通信を行なう管理装置側通信部とが設けられ、前記水底形状情報生成部による前記水底形状情報の生成は、前記無線回線を介して供給される前記3次元形状情報および前記測位情報に基づいてなされることを特徴とする。
また、本発明は、前記3次元形状測定部は、超音波を前記水底に照射すると共に、前記水底からの反射波を受信し、前記受信波に基づいて前記3次元形状情報を生成するソナーを含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記3次元形状測定部は、レーザー光を前記水底に照射すると共に、前記水底から反射された反射光を受信し、受信した反射光に基づいて前記3次元形状情報を生成するレーザー測定機を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記支持部材は、前記3次元形状測定部を前記飛行体に対して移動不能に支持していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無人飛行体に支持部材を介して吊り下げた3次元形状測定部を水中に位置させて水底の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成すると共に、測位部により無人飛行体の位置を測位し測位情報として生成し、それら3次元形状情報および測位情報に基づいて水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成するようにした。
したがって、従来のようにソナーを設けた観測船が不要となるため、観測船と観測船を運行するための船舶免許資格者が必要となり、設備コスト、運用コストを低減する上で有利となる。
また、3次元形状測定部を支持する無人飛行体は、波浪の影響を受けることがなく、従来のように観測船の揺れを補正するための設備が不要となり、構成の簡素化、コストの低減を図る上で有利となる。
また、無人飛行体から離れた管理装置に水底形状情報生成部を設け、水底形状情報生成部による水底形状情報の生成を、無線回線を介して供給される3次元形状情報および測位情報に基づいて行なうようにすると、無人飛行体の省電力化、軽量化を図れることから、無人飛行体の飛行継続時間を確保でき、したがって、無人飛行体の一回の飛行によってより広い範囲の水底の3次元形状の測定を行なうことができ、測定の効率化を図る上で有利となる。
また、3次元形状測定部を、超音波を水底に照射すると共に、水底からの反射波を受信し、受信波に基づいて3次元形状情報を生成するソナーを含んで構成すると、水中の透明度の影響を受けることなく、正確な3次元形状情報を得る上で有利となり、水底形状情報の精度を確保する上で有利となる。
また、3次元形状測定部を、レーザー光を水底に照射すると共に、水底から反射された反射光を受信し、受信した反射光に基づいて3次元形状情報を生成するレーザー測定機を含んで構成すると、レーザー光が空気(大気)と水面との界面を通らないため、界面でレーザー光が散乱して光量が低下することが抑制されるので、より深度の大きな水底の水底形状情報を得る上で有利となる。
また、支持部材により3次元形状測定部を飛行体に対して移動不能に支持すると、波浪により3次元形状測定部が飛行体に対して相対的に揺れ動くことを抑制でき、3次元形状測定部による測定をより精度良く行なう上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の水底形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】無人飛行体によって3次元形状測定部が水中に配置された測定状態を示す説明図である。
【
図3】実施の形態の水底形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態の水底形状測定装置10は、管理装置12と、無人飛行体14とを含んで構成されている。
管理装置12は、水底22(
図2参照)の形状を測定する海、河川、湖などの近傍の地上に設けられている。
管理装置12は、遠隔操作司令部12Aと、管理装置側通信部12Bと、地図データベース部12Cと、表示部12Dと、管理装置側飛行制御部12Eと、水底形状情報生成部12Fと、情報処理部12Gと、記憶部12Hと、出力部12Iとを含んで構成されている。
【0009】
遠隔操作司令部12Aは、ジョイスティックなどの操作部材を作業者が操作することで無人飛行体14を遠隔操作するための飛行体操作指令情報を生成するものである。
また、遠隔操作司令部12Aは、操作ボタンなどの操作部材を作業者が操作することで無人飛行体14に搭載された測位部14Dおよび3次元形状測定部14Eの動作を開始させ、あるいは、停止させるための測位部14Dの操作指令情報、3次元形状測定部14Eの操作司令情報を生成するものである。
管理装置側通信部12Bは、無線回線Nを介して無人飛行体14と通信を行なうものであり、無人飛行体14に飛行体操作指令情報、測位部14Dの操作指令情報、3次元形状測定部14Eの操作司令情報を送信し、無人飛行体14から送信される画像情報、測位情報、3次元形状情報を受信するものであり、図中符号1202は管理装置側通信部12Bのアンテナを示す。
なお、画像情報、測位情報、3次元形状情報については後で詳述する。
【0010】
地図データベース部12Cは、水底22の形状を測定しようとする海、河川、湖などを含む地図情報を格納している。
【0011】
表示部12Dは、管理装置側通信部12Bで受信された画像情報、3次元形状情報を表示するものである。
したがって、作業者は、表示部12Dによって表示された画像情報、3次元形状情報に基づいて無人飛行体14の遠隔操作を行なうことが可能となっている。
また、表示部12Dは、管理装置側通信部12Bで受信された測位情報に基づいて、地図データベース部12Cに格納されている地図情報を読み出して表示すると共に、無人飛行体14の現在位置を表示部12Dの表示画面上に表示された地図の上に表示するように構成されている。
したがって、作業者は、表示部12Dによって表示された地図と無人飛行体14の現在位置とに基づいて無人飛行体14の遠隔操作を行なうことが可能となっている。
【0012】
管理装置側飛行制御部12Eは、作業者の遠隔操作に代えて、管理装置側通信部12Bで受信された測位情報と、予め定められた飛行ルートとに基づいて無人飛行体14を上記飛行ルートに沿って自動制御により飛行させるものである。
すなわち、地図データベース部12Cの地図情報に基づいて、無人飛行体14を測定すべき水底22に沿って飛行するような飛行コースを設定しておき、管理装置側飛行制御部12Eによって測位情報と飛行コースに基づいて飛行体操作指令情報を生成し、飛行体操作指令情報を管理装置側通信部12Bから無線回線Nを介して飛行体側通信部14Aに送信し、飛行体操作指令情報を飛行体側飛行制御部14Cに与えることで、無人飛行体14を自動制御することができる。
【0013】
水底形状情報生成部12Fは、管理装置側通信部12Bで受信された3次元形状情報および測位情報に基づいて水底22の形状を地球上の座標位置で示される、言い換えると、3次元座標で示される水底形状情報として生成するものである。
【0014】
情報処理部12Gは、水底形状情報を演算処理することで、水底22の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを生成するものである。
本実施の形態では、表示部12Dによる水底形状情報の表示は、情報処理部12Gによって生成された水底22の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを表示することでなされる。
【0015】
記憶部12Hは、水底形状情報生成部12Fで生成された水底形状情報、情報処理部12Gで生成された水底22の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを格納するものである。
出力部12Iは、記憶部12Hに記憶された水底形状情報や断面図、斜視図、等深線図などを出力するものであり、例えば、メモリカードなどの半導体記録媒体にそれら水底形状情報や図を記録し、あるいは、ネットワークを介して端末装置にそれら水底形状情報や図を送信したり、あるいは、プリンタを用いて紙媒体にそれら水底形状情報や図を印刷したりするものである。
【0016】
無人飛行体14は、
図2に示すように、飛行体本体16と、飛行体本体16に設けられた複数のロータ18と、ロータ18毎に設けられロータ18を回転駆動する複数のモータ(不図示)とを備えている。
さらに、無人飛行体14は、
図1に示すように、飛行体側通信部14A、撮像部14B、飛行体側飛行制御部14C、測位部14D、3次元形状測定部14Eを含んで構成されている。
【0017】
飛行体側通信部14Aは、管理装置12の管理装置側通信部12Bと無線回線Nを介して通信を行なうものであり、撮像部14Bで撮像された画像情報、測位部14Dで生成された測位情報、3次元形状測定部14Eで生成された3次元形状情報を、管理装置側通信部12Bに送信すると共に、管理装置側通信部12Bから無人飛行体14操作指令情報を受信するものである。図中符号1402は飛行体側通信部14Aのアンテナを示す。
【0018】
撮像部14Bは、無人飛行体14の周囲を撮像して画像情報を生成するものである。
飛行体側飛行制御部14Cは、管理装置側通信部12Bから無線回線Nを介して飛行体側通信部14Aに送信された飛行体操作指令情報に基づいて各ロータ18を回転制御することで、無人飛行体14を飛行させるものである。
測位部14Dは、飛行体本体16に搭載され測位衛星から受信した測位信号に基づいて無人飛行体14の位置を測位し測位情報として生成するものである。
このような測位衛星は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)で用いられるものであり、それら測量システムで使用される測位衛星の1つを用いてもよく、あるいは、2つ以上の測位衛星を組み合わせて用いても良い。
【0019】
3次元形状測定部14Eは、飛行体本体16に支持部材20を介して吊り下げられ水中に位置した状態で水底22の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成するものである。
図2に示すように、支持部材20は、例えば、リジッドな金属製のロッドあるいはフレームで構成され、3次元形状測定部14Eを飛行体本体16に対して移動不能に支持している。
なお、ロッドやフレームに代えて可撓可能なワイヤやロープを用いてもよいが、ロッドあるいはフレームを用いて3次元形状測定部14Eを飛行体本体16に対して移動不能に支持すると、波浪により3次元形状測定部14Eが飛行体本体16に対して相対的に揺れ動くことを抑制でき、3次元形状測定部14Eによる測定をより精度良く行なう上でより有利となる。
【0020】
3次元形状測定部14Eとして、超音波を用いるソナー、あるいは、レーザー光を用いるレーザー測定機を用いることができる。
ソナーは、超音波を水底22に照射すると共に、水底22からの反射波を受信し、受信波に基づいて3次元形状情報を生成するものである。
ソナーとして、単一のビーム状の超音波26を水底22に向かってスキャン(走査)するもの、あるいは、広がりを持った複数のビーム状の超音波26(マルチビーム)を同時に水底22に向かって照射するものの何れを用いても良く、このようなソナーとして従来公知の様々なソナーが使用可能である。
【0021】
レーザー測定機は、レーザー光を水底22に照射すると共に、水底22から反射された反射光を受信し、受信した反射光に基づいて3次元形状情報を生成するものである。
レーザー測定機として、従来公知の単一のレーザー光28を水底22に向かってスキャン(走査)するものを使用することができる。
なお、形状測定に使用するレーザー光28としてはグリーンレーザーが用いられることが多く、これは、グリーンレーザーが水によって吸収されにくく水底22まで確実に届き、水底22からの反射光の強度を確保できるためである。
【0022】
次に、
図3のフローチャートを参照して水底形状測定装置10の動作について説明する。
まず、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を所定の待機場所から飛行させ、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、水底形状を測定する海、湖、河川の箇所に無人飛行体14を飛行させる(ステップS10)。
そして、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、無人飛行体14を水面24に向けて降下させ、3次元形状測定部14Eを空中から水中に移動させ、3次元形状測定部14Eが水面24から所定の深さに位置させた状態でホバリングさせその状態を維持する(ステップS12)。
次いで、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、測位部14Dおよび3次元形状測定部14Eの動作を開始させる(ステップS14)。
これにより、測位部14Dで生成された測位情報および3次元形状測定部14Eで生成された3次元形状情報が無線回線Nを介して無人飛行体14から管理装置12の水底形状情報生成部12Fに送信され(ステップS16)、水底形状情報生成部12Fにより水底形状情報が生成される(ステップS18)。
さらに作業者は、表示部12Dに表示される画像情報、水底22の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを視認しつつ、まだ、形状測定がなされてない水底22の形状測定ができるように、遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を水平方向に飛行させ、測定箇所を移動させる(ステップS20)。
そして、作業者は、表示部12Dに表示される画像情報、水底22の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを視認することで、形状測定すべき水底22の領域の全域にわたって測定が終了したか否かを判断する(ステップS22)。
ステップS22が否定ならばステップS16に戻り同様の動作を行なう。
ステップS22が肯定ならば、作業者は遠隔制御により無人飛行体14を上昇させ、3次元形状測定部14Eを水中から空中に引き上げ、表示部12Dに表示される画像を視認しつつ、無人飛行体14を所定の待機場所に向かって飛行させ、待機場所に着陸させる(ステップS24)。
そして、記憶部12Hに格納されていた水底22の領域の全域の水底形状情報が出力部12Iから出力され(ステップS26)、一連の測定動作が終了する。
【0023】
以上説明したように本実施の形態によれば、無人飛行体14に支持部材20を介して吊り下げた3次元形状測定部14Eを水中に位置させて水底22の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成すると共に、測位部14Dにより無人飛行体14の位置を測位し測位情報として生成し、それら3次元形状情報および測位情報に基づいて水底形状情報生成部12Fにより水底22の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成するようにした。
したがって、従来のようにソナーを設けた観測船が不要となるため、観測船と観測船を運行するための船舶免許資格者が必要となり、設備コスト、運用コストを低減する上で有利となる。
また、3次元形状測定部14Eを支持する無人飛行体14は、水面24から離れた水面24の上方に位置しているので、波浪の影響を受けることがなく、従来のように観測船の揺れを補正するための三次元位置センサやトータルステーションといった設備が不要となり、構成の簡素化、コストの低減を図る上で有利となる。
【0024】
なお、水底形状情報生成部12Fを無人飛行体14に設け、水底形状情報生成部12Fで生成された水底形状情報を無線回線Nを介して無人飛行体14から離れた管理装置12へ送信するようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のように、無人飛行体14から離れた管理装置12に水底形状情報生成部12Fを設け、水底形状情報生成部12Fによる水底形状情報の生成を、無線回線Nを介して供給される3次元形状情報および測位情報に基づいて行なうようにすると、無人飛行体14に水底形状情報生成部12Fを設ける場合に比較して、無人飛行体14の省電力化、軽量化を図れることから、無人飛行体14の飛行継続時間を確保でき、したがって、無人飛行体14の一回の飛行によってより広い範囲の水底22の3次元形状の測定を行なうことができ、測定の効率化を図る上で有利となる。
【0025】
また、本実施の形態では、3次元形状測定部14Eを、超音波26を水底22に照射すると共に、水底22からの反射波を受信し、受信波に基づいて3次元形状情報を生成するソナーを含んで構成したので、海、湖、河川などの水中の透明度の影響を受けることなく、正確な3次元形状情報を得る上で有利となり、水底形状情報生成部12Fにより得られる水底形状情報の精度を確保する上で有利となる。
【0026】
また、本実施の形態では、3次元形状測定部14Eを、レーザー光28を水底22に照射すると共に、水底22から反射された反射光を受信し、受信した反射光に基づいて3次元形状情報を生成するレーザー測定機を含んで構成した。
したがって、レーザー測定機が空中から水中に照射される場合に比較して、レーザー光28が空気(大気)と水面24との界面を通らないため、界面でレーザー光28が散乱して光量が低下することが抑制されるので、より深度の大きな水底22の水底形状情報を得る上で有利となる。
【0027】
なお、本実施の形態では、作業者が無人飛行体14を遠隔制御する場合について説明したが、前述したように、自動制御により無人飛行体14を予め定められた飛行コースを飛行させ、飛行コースに沿った水底22の水底形状情報を得るようにしてもよく、その場合は、省人化を図りつつ水底形状の測定を効率的に行なう上で有利となる。
【符号の説明】
【0028】
10 水底形状測定装置
12 管理装置
14 無人飛行体
12B 管理装置側通信部
12F 水底形状生成部
14A 飛行体側通信部
14D 測位部
14E 3次元形状測定部
20 支持部材
22 水底
26 超音波
28 レーザー光
N 無線回線