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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20231212BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B29D30/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019113996
(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公開番号】P2021000855
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大田 和貴
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539047(JP,A)
【文献】特開2012-240680(JP,A)
【文献】特開2004-114788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを構成する複数のゴムのみからなる部材と、電子部品と、を備え、
少なくとも3つのゴムのみからなる部材の交わる位置に、前記電子部品が配置されており、
前記3つのゴムのみからなる部材はそれぞれ、円環状に形成された円環状ゴム部材であり、
カーカスプライの外表面側に配置され、かつ、トレッドゴムおよびサイドウォールゴムの内腔側に配置されているゴムのみからなる部材としてのショルダーパッドを備え、
前記電子部品は、前記ショルダーパッドと、前記トレッドゴムと、前記サイドウォールゴムの交わる位置に配置されている、タイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤを製造する製造方法であって、
前記電子部品は、少なくとも一部が被覆ゴムシートに被覆されており、
前記被覆ゴムシートを、前記ショルダーパッド前記トレッドゴムの境界部において、前記ショルダーパッド前記トレッドゴムを跨ぐように貼り付ける工程と、
前記サイドウォールゴムを、前記ショルダーパッド前記トレッドゴムの境界部に貼り付けられた前記被覆ゴムシートを覆うように貼り付ける工程と、を含むタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が埋設されたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム構造体内にRFID等の電子部品を埋設したタイヤが知られている。このようなタイヤは、タイヤに埋設されたRFIDタグと、外部機器としてのリーダとが通信を行うことにより、タイヤの製造管理、使用履歴管理等を行うことができる。
例えば特許文献1には、アンテナを有する電気部品と組み合わされたパッチを、インナーライナーに近接した部分に配置したタイヤが開示されている。また、電気部品を、カーカスとサイドウォールの間や、カーカスとトレッド部分の間に配置することもできることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-335384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される技術において、例えばカーカスとサイドウォールの間に電気部品を配置した場合は、カーカスとサイドウォールは物性が大きく違うため、その物性の違い、例えば線膨張係数や弾性率等の違いに起因して、加硫時や使用時において両部材間で相対的な動きが生じ、電気部品が応力を受ける可能性がある。そして、許容応力を超えると、電気部品がその機能を保てなくなる可能性がある。
また、電気部品を単に2つのゴム部材の間に挟むようにして配置する場合は、その配置位置の基準を設定することが難しく、電気部品の配置位置がばらつく可能性がある。その結果、電気部品が、応力や歪等の面から好ましくない位置に配置され、その機能を保てなくなる可能性等もある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、埋設されている電子部品がその機能を保つことができるタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のタイヤ(例えば、タイヤ1)は、タイヤを構成する複数のゴム部材と、電子部品(例えば、RFIDタグ40)と、を備え、少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に、前記電子部品が配置されている。
【0007】
(2)(1)のタイヤにおいて、前記3つのゴム部材はそれぞれ、円環状に形成された円環状ゴム部材であってもよい。
【0008】
(3)(2)のタイヤにおいて、カーカスプライ(例えば、カーカスプライ23)の外表面側に配置され、かつ、トレッドゴム(例えば、トレッドゴム28)およびサイドウォールゴム(例えば、サイドウォールゴム30)の内腔側に配置されているゴム部材としてのショルダーパッド(例えば、ショルダーパッド38)を備え、前記電子部品は、前記ショルダーパッドと、前記トレッドゴムと、前記サイドウォールゴムの交わる位置に配置されていてもよい。
【0009】
(4)(1)~(3)のタイヤにおいて、前記電子部品は、少なくとも一部が被覆ゴムシート(例えば、被覆ゴムシート431、432)に被覆されており、前記電子部品を被覆した被覆ゴムシートが、少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されていてもよい。
【0010】
(5)(4)のタイヤにおいて、前記3つのゴム部材は、第1ゴム部材と、前記第1ゴム部材上の一部を覆うように配置された、タイヤ幅方向断面視における端部が先細り形状の第2ゴム部材と、少なくとも前記第1ゴム部材と前記第2ゴム部材の境界部を覆う第3ゴム部材と、を備え、前記被覆ゴムシートは、前記第1ゴム部材と前記第2ゴム部材の境界部において、前記第1ゴム部材と前記第2ゴム部材を跨ぐように配置され、かつ前記第3ゴム部材に覆われていてもよい。
【0011】
(6)(5)のタイヤを製造する製造方法であって、前記被覆ゴムシートを、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部において、第1ゴム部材と第2ゴム部材を跨ぐように貼り付ける工程と、前記第3ゴム部材を、前記第1ゴム部材と前記第2ゴム部材の境界部に貼り付けられた前記被覆ゴムシートを覆うように貼り付ける工程と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、埋設されている電子部品がその機能を保つことができるタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤのタイヤ幅方向の半断面を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係るタイヤにおける、保護部材によって保護された、RFIDタグを示す図である。
図3B図3Aのb-b断面を示す図である。
図3C図3Aのc-c断面を示す図である。
図4A】本発明の第1実施形態に係るタイヤの製造工程中における保護部材の周辺部を、タイヤ幅方向外側から見たときの図である。
図4B】本発明の第1実施形態に係るタイヤの製造工程の変形例における保護部材の周辺部を、タイヤ幅方向外側から見たときの図である。
図4C】本発明の第1実施形態に係るタイヤにおける、保護部材の変形例としての円環状のゴムシートを示す図である。
図5】本発明の第1実施形態の第1変形例に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図6】本発明の第1実施形態の第2変形例に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図8】タイヤをリムに組み付け、100%荷重負荷を与えた場合の、歪エネルギーの面内分布シミュレーションの結果を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図10】本発明の第3実施形態の第1変形例に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図11】本発明の第3実施形態の第2変形例に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図12図11のタイヤの製造工程中におけるビードフィラー、ゴムシート、保護部材を、タイヤ幅方向外側から見たときの図である。
図13】本発明の第3実施形態の第3変形例に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図14】スプリングアンテナ内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグをゴムシートで挟み込む前の断面を示す図である。
図15】スプリングアンテナ内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグをゴムシートで挟み込んだ後の断面を示す図である。
図16】スプリングアンテナ内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグをゴムシートで挟み込んだ後の断面を示す図である。
図17】本発明の第4実施形態に係るタイヤにおける、スプリングアンテナ内にゴムを充填する前のRFIDタグを示す図である。
図18】本発明の第4実施形態に係るタイヤにおける、スプリングアンテナ内にゴムを充填した後のRFIDタグを示す図である。
図19】本発明の第4実施形態に係るタイヤにおける、ゴムシートで挟み込まれる前のRFIDタグを示す図である。
図20】本発明の第4実施形態に係るタイヤにおける、ゴムシートで挟み込まれたRFIDタグを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ1のタイヤ幅方向の半断面を示す図である。タイヤの基本的な構造は、タイヤ幅方向の断面において左右対称となっているため、ここでは、右半分の断面図を示す。図中、符号S1は、タイヤ赤道面である。タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で、かつタイヤ幅方向中心に位置する面である。
ここで、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向であり、図1の断面図における紙面左右方向である。図1においては、タイヤ幅方向Xとして図示されている。
そして、タイヤ幅方向内側とは、タイヤ赤道面S1に近づく方向であり、図1においては、紙面左側である。タイヤ幅方向外側とは、タイヤ赤道面S1から離れる方向であり、図1においては、紙面右側である。
また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向であり、図1における紙面上下方向である。図1においては、タイヤ径方向Yとして図示されている。
そして、タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸から離れる方向であり、図1においては、紙面上側である。タイヤ径方向内側とは、タイヤ回転軸に近づく方向であり、図1においては、紙面下側である。
図2、5~7、9~11、13についても同様である。
【0015】
タイヤ1は、例えばトラック、バス用のタイヤであり、タイヤ幅方向両側に設けられた一対のビード11と、路面との接地面を形成するトレッド12と、一対のビード11とトレッド12との間を延びる一対のサイドウォール13とを備える。
【0016】
ビード11は、ゴムが被覆された金属製のビードワイヤを複数回巻いて形成した環状のビードコア21と、ビードコア21のタイヤ径方向外側に延出している、先細り形状のビードフィラー22とを備える。ビードフィラー22は、ビードコア21の外周を覆う第1ビードフィラー221と、第1ビードフィラー221のタイヤ径方向外側に配置されている第2ビードフィラー222とにより構成されている。第2ビードフィラー222は、後述するインナーライナー29、サイドウォールゴム30よりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。そして、第1ビードフィラー221は、第2ビードフィラー222よりもさらに高いモジュラスのゴムにより構成されている。なお、第1ビードフィラー221は、少なくともその一部がビードコア21のタイヤ径方向外側に配置されていれば、ビードコア21の外周を覆っていない態様であってもよい。また、ビードフィラー22は、一つの種類のゴムから形成されていてもよい。すなわち、第1ビードフィラー221と第2ビードフィラー222とに分かれていなくてもよい。
ビードコア21は、空気が充填されたタイヤを、図示しないホイールのリムに固定する役目を果たす部材である。ビードフィラー22は、ビード周辺部の剛性を高め、高い操縦性および安定性を確保するために設けられている部材である。
【0017】
タイヤ1の内部には、タイヤの骨格となるプライを構成するカーカスプライ23が埋設されている。カーカスプライ23は、一方のビードコアから他方のビードコアに延びている。すなわち、一対のビードコア21間を、一対のサイドウォール13およびトレッド12を通過する態様で、タイヤ1内に埋設されている。
図1に示されるように、カーカスプライ23は、一方のビードコアから他方のビードコアに延び、トレッド12とビード11との間を延在するプライ本体24と、ビードコア21の周りで折り返されているプライ折り返し部25とを備える。ここで、プライ折り返し部25の折り返し端25Aは、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。
カーカスプライ23は、タイヤ幅方向に延びる複数のプライコードにより構成されている。また、複数のプライコードは、タイヤ周方向に並んで配列されている。
このプライコードは、金属製のスチールコード、あるいはポリエステルやポリアミド等の絶縁性の有機繊維コード等により構成されており、ゴムにより被覆されている。
【0018】
トレッド12において、カーカスプライ23のタイヤ径方向外側には、複数層のスチールベルト26が設けられている。スチールベルト26は、ゴムで被覆された複数のスチールコードにより構成されている。スチールベルト26を設けることにより、タイヤの剛性が確保され、トレッド12と路面の接地状態が良くなる。本実施形態においては、4層のスチールベルト26が設けられているが、積層されるスチールベルト26の枚数はこれに限らない。
【0019】
スチールベルト26のタイヤ径方向外側には、トレッドゴム28が設けられている。トレッドゴム28の外表面には、図示しないトレッドパターンが設けられており、この外表面が、路面と接触する接地面となる。
【0020】
トレッド12のタイヤ幅方向外側付近において、すなわち、スチールベルト26およびトレッドゴム28のタイヤ幅方向の端部領域において、カーカスプライ23と、スチールベルト26およびトレッドゴム28の間の領域には、パッドとしてのショルダーパッド38が設けられている。このショルダーパッド38は、サイドウォール13のタイヤ径方向外側領域まで延出しており、その一部は、後述のサイドウォールゴム30との間で界面を形成している。すなわち、サイドウォール13のタイヤ径方向外側領域において、サイドウォールゴム30のタイヤ幅方向内側に、ショルダーパッド38の一部が存在している。
換言すれば、ショルダーパッド38の延出部において、タイヤの内腔側からタイヤの外表面側に向かって、カーカスプライ23の上に、ショルダーパッド38の延出部と、サイドウォールゴム30とが順に積層されている。すなわち、カーカスプライ23の一部において、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30とが積層されている。
ショルダーパッド38はクッション性を有するゴム部材からなり、カーカスプライ23とスチールベルト26との間において、クッション機能を発揮する。また、ショルダーパッド38は低発熱性の特性を有するゴムからなるため、サイドウォール13まで延出させることにより、効果的に発熱を抑制することができる。
このように、ショルダーパッド38は、カーカスプライ23のタイヤ外表面側であって、かつ、トレッドゴム28およびサイドウォールゴム30のタイヤ内腔側に配置されている。
【0021】
ビード11、サイドウォール13、トレッド12において、カーカスプライ23のタイヤ内腔側には、タイヤ1の内壁面を構成するゴム層としてのインナーライナー29が設けられている。インナーライナー29は、耐空気透過性ゴムにより構成されており、タイヤ内腔内の空気が外部に漏れるのを防ぐ。
【0022】
サイドウォール13において、カーカスプライ23のタイヤ幅方向外側には、タイヤ1の外壁面を構成するサイドウォールゴム30が設けられている。このサイドウォールゴム30は、タイヤがクッション作用をする際に最もたわむ部分であり、通常、耐疲労性を有する柔軟なゴムが採用される。
【0023】
ビード11のビードコア21周りに設けられたカーカスプライ23のタイヤ径方向内側には、カーカスプライ23の少なくとも一部を覆うように補強プライとしてのスチールチェーハー31が設けられている。スチールチェーハー31は、カーカスプライ23のプライ折り返し部25のタイヤ幅方向外側にも延在しており、そのスチールチェーハー31の端部31Aは、カーカスプライ23の折り返し端25Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。
このスチールチェーハー31は、金属製のスチールコードにより構成された金属補強層であり、ゴムにより被覆されている。
【0024】
スチールチェーハー31のタイヤ径方向内側には、リムストリップゴム32が設けられている。このリムストリップゴム32は、タイヤの外表面に沿って配置されており、サイドウォールゴム30と連接している。このリムストリップゴム32とサイドウォールゴム30は、タイヤの外表面を構成しているゴム部材である。
【0025】
そして、スチールチェーハー31の端部31Aのタイヤ径方向外側であって、カーカスプライ23の折り返し部25およびビードフィラー22のタイヤ幅方向外側には、第1のパッド35が設けられている。この第1のパッド35は、少なくともカーカスプライ23の折り返し端25Aのタイヤ幅方向外側に設けられている。第1のパッド35のタイヤ径方向外側は、タイヤ径方向外側に向かうほど、先細りとなるように形成されている。
【0026】
さらに、第1のパッド35のタイヤ幅方向外側を覆うように、第2のパッド36が設けられている。より詳細には、スチールチェーハー31の一部、第1のパッド35、第2ビードフィラー222の一部、カーカスプライ23のプライ本体24の一部のタイヤ幅方向外側を覆うように、第2のパッド36が設けられている。
そして、第2のパッド36のタイヤ径方向外側領域におけるタイヤ幅方向外側には、サイドウォールゴム30が配置されており、第2のパッド36のタイヤ径方向内側領域におけるタイヤ幅方向外側には、リムストリップゴム32が配置されている。
換言すると、第2のパッド36は、第1のパッド35等と、タイヤの外表面を構成する部材であるリムストリップゴム32およびサイドウォールゴム30との間に設けられている。
【0027】
第1のパッド35および第2のパッド36は、パッド部材34を構成し、このパッド部材34は、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側部分(第2ビードフィラー222)のモジュラスよりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。
より詳細には、第2のパッド36は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムにより構成されており、第1のパッド35は、第2のパッド36よりもさらに高いモジュラスのゴムにより構成されている。第1のパッド35、第2のパッド36は、カーカスプライ23の折り返し端25Aおよびスチールチェーハー31の端部31Aにおける局所的な剛性の変化点に起因する急激な歪みを緩和する機能を有する。
【0028】
ビードフィラー22とパッド部材34との間には、カーカスプライ23の折り返し端25A付近において、補強ゴムシートとしてのゴムシート37が配置されている。ゴムシート37は、カーカスプライ23の折り返し端25Aをタイヤ幅方向内側から覆うように配置されている。
ゴムシート37は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。より好ましくは、第1のパッド35と略等しいモジュラスのゴムにより構成されている。
【0029】
一般に、カーカスプライ23の折り返し端25Aは、応力が集中しやすい。しかしながら、上述の補強ゴムシートとしてのゴムシート37を設けることにより、応力の集中を効果的に抑えることが可能となる。
なお、本実施形態においては、パッド部材34が、第1のパッド35と第2のパッド36とにより構成されているが、パッド部材34は、一つの部材により構成されていてもよい。但し、上述のように、パッド部材34を、第1のパッド35と第2のパッド36とにより構成し、さらにゴムシート37を配置する構成を採用することにより、より効果的に応力の集中を抑えることができる。
【0030】
なお、本実施形態においては、ゴムシート37のタイヤ径方向外側端37Aの位置は、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。但し、ゴムシート37のタイヤ径方向外側端37Aの位置を、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aの位置と略一致させてもよい。
なお、ゴムシート37は、図1に示されるように、カーカスプライ23の折り返し端25Aを、タイヤ幅方向内側から覆うように配置する態様を採用することが好ましいが、カーカスプライ23の折り返し端25Aを、タイヤ幅方向外側から覆う構成を採用してもよい。この場合であっても、応力の集中を緩和することができる。
【0031】
本実施形態のタイヤ1には、電子部品としての、RFIDタグ40が埋設されている。
RFIDタグ40は、RFIDチップと、外部機器と通信を行うためのアンテナとを備えた、パッシブ型のトランスポンダであり、外部機器としての図示しないリーダとの間で無線通信を行う。アンテナとしては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状の各種のアンテナが用いられる。例えば、フレキシブル基板に対して所定のパターンをプリントすることによって形成したアンテナであってもよい。アンテナは、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。RFIDチップ内の記憶部には、製造番号、部品番号等の識別情報が格納されている。
【0032】
図2は、図1のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
RFIDタグ40(後述の保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本実施形態のタイヤ1は、本実施形態における第1ゴム部材としてのショルダーパッド38と、ショルダーパッド38上の一部を覆うように配置された、本実施形態における第2ゴム部材としてのトレッドゴム28と、少なくともショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部を覆う、本実施形態における第3のゴム部材としてのサイドウォールゴム30と、を備えており、RFIDタグ40は、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。
【0033】
より好ましくは、RFIDタグ40は後述する被覆ゴムシートからなる保護部材43によって一体的に被覆されており、この保護部材43は、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部において、ショルダーパッド38とトレッドゴム28を跨ぐように配置されている。すなわち、この保護部材43は、タイヤ幅方向断面視におけるタイヤ径方向内側端が先細り形状のトレッドゴム28のタイヤ径方向内側端28Bをタイヤ外表面側から押え付けるように貼り付けられている。そして、この保護部材43は、サイドウォールゴム30によってタイヤ外表面側が覆われている。
【0034】
ここで、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のゴム部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30と面接触するように配置されている。
【0035】
RFIDタグ40をこのような位置に配置すれば、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、ショルダーパッド38、トレッドゴム28、サイドウォールゴム30によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本実施形態においては、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0036】
また、RFIDタグ40をショルダ部、すなわちサイドウォールのタイヤ径方向外側付近に配置することで、RFIDタグ40を、通信に対して悪影響をおよぼす可能性のある、金属製のビードコア21から十分離れた位置に配置することができる。ここで、ビードコア21は、金属製のビードワイヤを積層巻回して環状に形成されていることから、通信に対して悪影響をおよぼす可能性が特に高い金属部材である。
また、通信品質を考慮すれば、RFIDタグ40は、できるだけタイヤ1の外表面に近い部分に配置することが好ましい。仮に、RFIDタグ40をカーカスプライ23の内腔側に配置すると、タイヤ1の外表面からの離れるため、通信品質が落ちる。さらに、カーカスプライ23が金属である場合、RFIDタグ40をカーカスプライ23の内腔側に配置すると、通信品質は顕著に低下する。
これらの点を考慮すると、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0037】
また、タイヤの製造工程中にRFIDタグ40を埋め込むことを考慮すれば、タイヤを構成する3つのゴム部材の交わる位置にRFIDタグ40を配置することが好ましい。例えば、巻回されるリボン状のゴム部材の積層間にRFIDタグ40を挟み込む場合、RFIDタグ40をリボン状のゴム部材に貼り付けるタイミングなどが煩雑となる。また、RFIDタグ40を単に2つのゴム部材の間に挟むようにして配置する場合は、その配置位置の基準を設定することが難しく、電気部品の配置位置がばらつく可能性がある。その一方、本実施形態のように、3つのゴム部材の交わる位置に配置するのであれば、タイヤの成型工程において、精度よくRFIDタグ40を第1ゴム部材(本実施形態においては、ショルダーパッド38)と第2ゴム部材(本実施形態においては、トレッドゴム28)の境界部に貼り付けた上で、第3ゴム部材(本実施形態においては、サイドウォールゴム30)をそれに重ね合わせて、RFIDタグ40を挟み込む事ができる。
これらの点を考慮しても、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0038】
また、RFIDタグ40をカーカスプライ23などのプライ間に挟み込んで配置した場合においても、例えば挟み込んでいるプライ同士がお互い異なる方向に動いたとき、RFIDタグ40に応力がかかる可能性がある。また、RFIDタグ40がカーカスプライ23などのプライとサイドウォールゴムなどのゴム部材の間に挟み込まれている場合においても、プライとゴム部材は物性が大きく違うため、その物性の違い、例えば線膨張係数や弾性率、硬度等の違いに起因して、加硫時や使用時において両部材間で相対的な動きが生じ、RFIDタグ40が応力を受ける可能性がある。そして、許容応力を超えると、RFIDタグ40がその機能を保てなくなる可能性がある。
ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30はいずれもゴム部材であり、これらの点を考慮しても、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0039】
なお、ショルダーパッド38は、クッション性を有する。よって、この部分にRFIDタグ40を配置すれば、RFIDタグ40の周辺に生じる歪を吸収することができる。
また、ショルダーパッドは低発熱性である。よって、このような位置に設けられたRFIDタグ40は、使用時におけるゴムの発熱による影響を受けにくい。
これらの点を考慮しても、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0040】
さらに、RFIDタグ40がショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されていれば、リトレッドを行う場合においても、RFIDタグ40が除去されることがない。すなわち、リトレッドにおいて除去される部分はトレッドゴム28のうち、少なくともスチールベルト26よりもタイヤ径方向外側であるため、RFIDタグ40をショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置しておけば、RFIDタグ40が除去されることはなく、継続して使用可能である。この点でも、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0041】
なお、ショルダーパッド38のモジュラスを基準とすると、サイドウォールゴム30は、ショルダーパッド38の0.4~0.7倍のモジュラスとすることが好ましい。また、トレッドゴム28は、ショルダーパッド38の0.4~0.9倍のモジュラスとすることが好ましい。
このようなモジュラスとすることで、タイヤとしての柔軟性と剛性のバランスを保つことができる。
なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0042】
ここで、RFIDタグ40は、保護部材43を構成する被覆ゴムシート431、432によって被覆されている。
この点について、図3A~3Cを参照しながら説明する。
【0043】
図3Aは、ゴムシートにより構成される保護部材43によって被覆された、RFIDタグ40を示す図である。図3Aでは、RFIDタグ40は後述する被覆ゴムシート431に覆われて隠れている。図3B図3Aのb-b断面図、図3C図3Aのc-c断面図である。
【0044】
RFIDタグ40は、RFIDチップ41と、外部機器と通信を行うためのアンテナ42とを備えている。アンテナ42としては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状の各種のアンテナが用いられる。例えば、フレキシブル基板に対して所定のパターンをプリントすることによって形成したアンテナであってもよい。通信性をおよび柔軟性を考慮すると、コイル状のスプリングアンテナが最も好ましい。アンテナは、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。
【0045】
保護部材43は、RFIDタグ40を挟み込んで保護する2枚の被覆ゴムシート431、432により構成されている。
【0046】
保護部材43は、例えば所定のモジュラスのゴムにより構成されている。
ここで、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0047】
保護部材43に採用するゴムとしては、少なくともサイドウォールゴム30よりもモジュラスが高いゴムを用いる。例えば、サイドウォールゴム30よりもモジュラスが高く、かつショルダーパッド38よりもモジュラスが低いゴムを用いる。
【0048】
例えば、保護部材43に用いられるゴムとしては、サイドウォールゴム30のモジュラスを基準として、その1.1倍~1.8倍のモジュラスのゴムを用いることがより好ましい。このとき、ショルダーパッド38のゴムとしては、サイドウォールゴムの1.6~3倍のモジュラスのゴム、例えば2倍程度のモジュラスのゴムを用いてもよい。
なお、RFIDタグ40の保護の強化を重視すれば、保護部材43に用いられるゴムとして、ショルダーパッド38よりも高いモジュラスのゴムを採用してもよい。
【0049】
なお、図1~2に示されるように、RFIDタグ40は、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置の領域に配置されている。そこで、保護部材43のモジュラスを、サイドウォールゴム30よりもモジュラスが高く、かつショルダーパッド38よりもモジュラスが低い値に設定することにより、タイヤが変形した場合において、RFIDタグ40埋設部においてゴム構造体内に過度な応力が発生することを防ぐことができる。すなわち、応力の発生を抑制することができる。
【0050】
また、保護部材43を、短繊維フィラー混合ゴムにより構成してもよい。短繊維フィラーとしては、例えば、アラミド短繊維やセルロース短繊維といった有機短繊維、アルミナ短繊維等のセラミックス短繊維やガラス短繊維といった無機短繊維のような、絶縁性の短繊維を用いることができる。ゴムにこのような短繊維フィラーを混合することにより、ゴムの強度を高めることができる。
また、保護部材43として、加硫後の状態のゴムシートを用いてもよい。加硫後の状態のゴムシートは、生ゴムのように塑性変形しないため、RFIDタグ40を適切に保護することができる。但し、製造工程時における貼り付け作業性や、加硫時における他のゴム部材との一体化によるゴム構造体の安定化を考慮すれば、保護部材43として、加硫前の状態の所定の厚みのゴムシートを用いることがより好ましい。
【0051】
また、保護部材43として、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等による有機繊維層を設けてもよい。2枚の被覆ゴムシート431、432に、有機繊維層を埋設することも可能である。
【0052】
次に、タイヤ1の製造工程について説明する。
図4Aは、製造工程中における保護部材43の周辺部を、タイヤ幅方向外側から見たときの図であり、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部Bに、RFIDタグ40を被覆している保護部材43を貼り付けたときの図である。
【0053】
保護部材43により被覆されたRFIDタグ40は、タイヤの製造工程において、加硫工程の前に取り付けられている。
図4Aに示すように、本実施形態におけるタイヤ1の製造工程においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43を、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部Bにおいて、ショルダーパッド38とトレッドゴム28を跨ぐように貼り付ける。すなわち、タイヤ幅方向断面視(図1図2)におけるタイヤ径方向内側端が先細り形状のトレッドゴム28のタイヤ径方向内側端28Bを押え付けるように、この保護部材43を貼り付ける。保護部材43をこのような位置に貼り付けることにより、ゴム部材間の接合、具体的には、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の接合を部分的に補助することができる。
【0054】
また、複数のゴム部材間の境界部、本実施形態においては、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部BをRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0055】
その後、図4Aにおいては不図示のサイドウォールゴム30(図1図2参照)を、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部Bに貼り付けられた保護部材43を覆うように貼り付ける。これにより、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置、本実施形態においては、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置される。
【0056】
このとき、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30は加硫前の生ゴムの状態であるため、その粘着性を利用して、保護部材43により被覆された保護部材43をこれらの部材に貼り付けてもよい。あるいは、粘着性が低い場合などにおいては、接着剤等を用いて貼り付けてもよい。
【0057】
このようにしてタイヤを構成する各ゴム部材等が組み付けられ、生タイヤが形成される。
その後、RFIDタグ40を含む各構成部材が組み付けられた生タイヤを、加硫工程において加硫し、タイヤを製造する。
【0058】
このように、本実施形態においては、タイヤ製造時において、生ゴム状態のショルダーパッド38およびトレッドゴム28に保護部材43により被覆されたRFIDタグ40を貼り付けることができるため、タイヤの製造工程におけるRFIDタグ40の組み付け作業が容易である。特に、ショルダーパッド38は、生ゴム状態であってもある程度の剛性を有しているため、保護部材43により被覆されたRFIDタグ40の取り付け作業が容易である。
【0059】
なお、タイヤ1の製造工程の変形例として、以下のような製造工程を採用してもよい。
すなわち、サイドウォールゴム30側に、RFIDタグ40が被覆している保護部材43を貼り付け、その後、保護部材43が貼り付けられているサイドウォールゴム30を、ショルダーパッド38およびトレッドゴム28に貼り付ける。ここで、サイドウォールゴム30をショルダーパッド38およびトレッドゴム28に貼り付けたときに、保護部材43がショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部Bに配置されるように、保護部材43をサイドウォールゴム30に貼り付けておく。
このような工程を採用した場合であっても、保護部材43により被覆されたRFIDタグ40は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置、すなわち、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置される。よって、RFIDタグ40が複数のゴム部材に囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部は、RFIDタグ40の配置位置の基準となっている。
【0060】
また、保護部材43を、2枚の被覆ゴムシート431、432によって構成すれば、保護部材43を含むRFIDタグ40を薄く形成できるので、タイヤ1に埋設する上で好適である。また、加硫前のタイヤ1の構成部材にRFIDタグ40を組み付けるときにおいて、被覆ゴムシートによって被覆されたRFIDタグ40は、非常に簡便に装着することができる。
例えば、加硫前の複数のゴム部材の境界部といった部材の所望の位置に、被覆ゴムシート431、432によって被覆されたRFIDタグ40を、生ゴムの粘着性を利用して適切に貼り付けることができる。また、被覆ゴムシート431、432も加硫前の生ゴムとすることにより、被覆ゴムシート自身の粘着性も用いて、より簡便に貼り付けることができる。
【0061】
ただし、保護部材43は、2枚の被覆ゴムシートによって構成される態様に限らず、種々の態様を採用することができる。例えば、保護部材を構成する被覆ゴムシートは、RFIDタグ40の少なくとも一部を覆っていれば、製造工程における作業性の向上や応力緩和などの効果が得られる。よって、RFIDタグ40の片面のみを、保護部材としての1枚の被覆ゴムシート431により覆う構成を採用してもよい。
また、例えば、RFIDタグ40の全周に亘って1枚のゴムシートを巻き付ける構成や、RFIDタグ40の全周に亘って、粘度の高いポッティング剤の態様の保護部材を付着させた構成であってもよい。このような被覆ゴムによる構成であっても、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
【0062】
なお、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40は、アンテナが伸びる方向、すなわち長手方向が、例えばタイヤ1の周方向に対して接線の方向、すなわち図1~2の断面図において紙面に直交する方向となるように、タイヤ1に埋設されている。また、被覆ゴムシート431、432は、タイヤ幅方向に並ぶような態様で、タイヤ1に埋設される。すなわち、製造工程において、被覆ゴムシート431、432のいずれか一方の一面が、加硫前のタイヤ1の構成部材、例えばショルダーパッド38およびトレッドゴム28に貼り付けられる。そして、保護部材43に覆われているRFIDタグ40は、ショルダーパッド38およびトレッドゴム28と、サイドウォールゴム30との間に配置される。
このような態様とすることで、タイヤ1が変形したときにおいても、RFIDタグ40に応力がかかりにくい。また、製造工程において、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を取り付ける作業が簡便となる。
【0063】
ここで、RFIDタグ40の取り付け工程においては、複数のゴム部材の境界部、本実施形態においては、図4Aに示される、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部Bの円周形状(トレッドゴム28のタイヤ径方向内側端28Bの内周形状)を基準とすることにより、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を上述の方向に簡単に配置することができる。すなわち、図4Aに示されるように、境界部Bの円周形状を基準として、RFIDタグ40を被覆した被覆ゴムシート431、432の長手方向を、境界部Bの円周形状の接線方向と略一致するように貼り付けてもよい。
【0064】
図4Bは、製造工程の変形例を示す図であり、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部Bの円周形状に沿うように、RFIDタグ40を被覆した被覆ゴムシート431、432を曲げながら貼り付けた場合を示す図である。このとき、生ゴムによって形成された被覆ゴムシート431、432は、境界部Bの円周方向に沿うように変形させながら貼り付けることも可能である。RFIDタグ40のアンテナとして、柔軟なコイル状のスプリングアンテナなどを用いて、被覆ゴムシート431、432の変形に追従して、アンテナも変形するような態様としてもよい。
これらの方法により、特別な目印を付与することもなく、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を上述の方向に簡単かつ正確に配置することができる。
【0065】
図4Cは、保護部材の変形例としての、円環状のゴムシート50を示す図である。例えば、2枚の円環状の被覆ゴムシートにより、RFIDタグ40を挟み込み、保護部材を構成する。この場合は、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部Bの全周を、円環状のゴムシート50によって覆う態様とすることが好ましい。これにより、ゴム部材間の接合、具体的には、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の接合を全体的に補助することができる。
【0066】
図5図6に、本実施形態のタイヤ1の変形例を示す。
図5に示す第1変形例においても、RFIDタグ40を被覆している保護部材43は、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。そして、本変形例においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43が、サイドウォールゴム30とトレッドゴム28の境界部において、サイドウォールゴム30とトレッドゴム28を跨ぐように配置されている。すなわち、タイヤ幅方向断面視におけるタイヤ径方向内側端が先細り形状のトレッドゴム28のタイヤ径方向内側端28Bをタイヤ内腔側から押え付けるように、保護部材43が貼り付けられている。そして、保護部材43は、ショルダーパッド38によってタイヤ内腔側が覆われている。
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、ショルダーパッド38、トレッドゴム28、サイドウォールゴム30によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本変形例においては、サイドウォールゴム30とトレッドゴム28の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
また、3つのゴム部材間であれば、加硫後においてもRFIDタグ40の配置位置を無理なく確保することができ、ユニフォミティが良好となる。
【0067】
図6に示す第2変形例においても、RFIDタグ40を被覆している保護部材43は、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。そして、本変形例においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43が、タイヤ幅方向断面視におけるタイヤ径方向内側端が先細り形状のトレッドゴム28のタイヤ径方向内側端28Bと接触するように配置されている。
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、ショルダーパッド38、トレッドゴム28、サイドウォールゴム30によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本変形例においては、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部BをRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0068】
なお、RFIDタグ40は、上述のような保護部材43により被覆された状態で、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置することが好ましいが、保護部材43により被覆することなく、直接ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置してもよい。
無被覆のRFIDタグ40を直接ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置すれば、RFIDタグ40が配置される部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤのユニフォミティが向上する。また、このような位置にRFIDタグ40を埋設する作業において、埋設する物体の体積が小さい分、空気の除去も容易となる。また、RFIDタグ40を保護部材で覆う工程が無くなることにより、作業時間が短縮する。
【0069】
なお、本実施形態においては、電子部品として、RFIDタグ40がタイヤに埋設されているが、タイヤに埋設される電子部品は、RFIDタグに限らない。例えば、無線通信を行うセンサ等の各種の電子部品であってもよい。また、電子部品は、電気信号の送受信等、電気的な情報を扱うことから、近傍に金属部品が存在することにより性能が低下する可能性がある。また、電子部品は、過度な応力がかかることにより、破損する可能性がある。よって、種々の電子部品をタイヤに埋設する場合においても、本発明の効果を得ることができる。例えば電子部品は、圧電素子や、歪センサであってもよい。
【0070】
本実施形態のタイヤ1によれば、以下の効果を奏する。
【0071】
(1)本実施形態に係るタイヤ1は、タイヤ1を構成する複数のゴム部材と、RFIDタグ40と、を備え、少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
これにより、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくくなる。そして、複数のゴム部材の境界部、本実施形態においては、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の境界部BをRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0072】
(2)本実施形態に係るタイヤ1は、3つのゴム部材はそれぞれ、円環状に形成された円環状ゴム部材である。
このように、3つのゴム部材が、円環状のタイヤ1を構成するタイヤ構成部材である円環状ゴム部材であっても、上述の効果を得ることができる。
【0073】
(3)本実施形態に係るタイヤ1は、カーカスプライ23の外表面側に配置され、かつ、トレッドゴム28およびサイドウォールゴム30の内腔側に配置されているゴム部材としてのショルダーパッド38を備え、RFIDタグ40は、ショルダーパッド38と、トレッドゴム28と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。
このような構成であっても、上述の効果を得ることができる。またこのような位置にRFIDタグ40を配置すれば、良好な通信性能等も得られる。
【0074】
(4)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40の少なくとも一部が被覆ゴムシート431、432に被覆されており、RFIDタグ40を被覆した被覆ゴムシート431、432が、少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。
これにより、ゴム部材間の接合、本実施形態においては、ショルダーパッド38とトレッドゴム28の接合を補助することもできる。
【0075】
(5)本実施形態に係るタイヤ1の3つのゴム部材は、第1ゴム部材と、第1ゴム部材上の一部を覆うように配置された、タイヤ幅方向断面視における端部が先細り形状の第2ゴム部材と、少なくとも第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部を覆う第3ゴム部材と、を備え、被覆ゴムシート431、432は、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部において、第1ゴム部材と第2ゴム部材を跨ぐように配置され、かつ第3ゴム部材に覆われている。
これにより、ゴム部材間の接合、本実施形態においては、第1ゴム部材としてのショルダーパッド38と第2ゴム部材としてのトレッドゴム28の接合を補助することもできる。
【0076】
(6)本実施形態に係るタイヤ1を製造する製造方法は、被覆ゴムシート431、432を、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部において、第1ゴム部材と第2ゴム部材を跨ぐように貼り付ける工程と、第3ゴム部材を、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部に貼り付けられた被覆ゴムシート431、432を覆うように貼り付ける工程と、を含む。
これにより、ゴム部材間の接合、本実施形態においては、第1ゴム部材としてのショルダーパッド38と第2ゴム部材としてのトレッドゴム28の接合を補助することもできる。
【0077】
(7)本実施形態に係るタイヤ1は、電子部品としてのRFIDタグ40が、円環状のゴムシート50により被覆されており、円環状の第1ゴム部材と円環状の第2ゴム部材の境界部を、全周に亘って円環状のゴムシート50が覆う。
これにより、第1ゴム部材と第2ゴム部材の間の接合を全体的に補助することができる。例えば、第1ゴム部材としてのショルダーパッド38と第2ゴム部材としてのトレッドゴム28の接合を全体的に補助することができる。
【0078】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0079】
図7は、本実施形態のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図7に示されるように、RFIDタグ40(保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本実施形態のタイヤ1は、本実施形態における第1ゴム部材としての第2のパッド36と、第2のパッド36のタイヤ外表面側の一部を覆うように配置された、本実施形態における第2ゴム部材としてのリムストリップゴム32と、少なくとも第2のパッド36とリムストリップゴム32の境界部を覆う本実施形態における第3ゴム部材としてのサイドウォールゴム30と、を備えており、RFIDタグ40は、第2のパッド36と、リムストリップゴム32と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。
【0080】
そして、本実施形態においても、より好ましくは、RFIDタグ40は被覆ゴムシートからなる保護部材43によって被覆されて保持されており、この保護部材43は、第2のパッド36とリムストリップゴム32の境界部において、第2のパッド36とリムストリップゴム32の境界部を跨ぐように配置されている。すなわち、この保護部材43は、タイヤ幅方向断面視におけるタイヤ径方向外側端が先細り形状のリムストリップゴム32のタイヤ径方向外側端32Aを押え付けるように貼り付けられている。そして、この保護部材43は、サイドウォールゴム30によってタイヤ外表面側が覆われている。
【0081】
ここで、第2のパッド36と、リムストリップゴム32と、サイドウォールゴム30はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のゴム部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、第2のパッド36、リムストリップゴム32、サイドウォールゴム30と面接触するように配置されている。
【0082】
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、第2のパッド36、リムストリップゴム32、サイドウォールゴム30によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本実施形態においては、第2のパッド36とリムストリップゴム32の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0083】
なお、第2のパッド36のモジュラスを基準とすると、サイドウォールゴム30は、第2のパッド36の0.4~0.6倍のモジュラスとすることが好ましい。また、第1のパッド35は、第2のパッド36の1.1倍~1.2倍のモジュラスとすることが好ましい。また、第2ビードフィラー222は第2のパッドの0.7~0.8倍のモジュラスとすることが好ましい。そして、リムストリップゴム32は、第2のパッド36のモジュラスを基準とすると、第2のパッド36の0.8~1倍のモジュラスとすることが好ましい。そして、ゴムシート37は、第2のパッド36の1.1倍~1.2倍のモジュラスとすることが好ましい。すなわち、ゴムシート37のモジュラスは、パッド部材34のうち、少なくともカーカスプライ23の折り返し端25Aを覆う部分(第1のパッド35)のモジュラスと略等しいモジュラスとすることが好ましい。このようなモジュラスとすることで、タイヤとしての柔軟性とビード11付近の剛性のバランスを保つことができる。
なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0084】
図8は、本実施形態のタイヤ1をリムに組み付け、100%荷重負荷を与えた場合の、歪エネルギーの面内分布シミュレーションの結果を示す図である。
図8に示される拡大断面図においては、歪エネルギーの大きさに応じて、領域を5つに分けて表示している。ここで、歪エネルギーが最も高い領域はレベル5、歪エネルギーが高い領域はレベル4、歪エネルギーがやや下がる領域はレベル3、歪エネルギーがさらに下がる領域はレベル2、歪エネルギーが最も下がる領域はレベル1としている。図8においては、太い点線を境界に、領域を分けて表示している。
【0085】
第2のパッド36と、リムストリップゴム32と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、概ねレベル1~2の領域となっており、歪エネルギーが少なく、RFIDタグ40を配置する上で、非常に好ましい領域となっている。
【0086】
なお、タイヤ1の製造工程において、被覆ゴムシートとしての保護部材43を、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部において、第1ゴム部材と第2ゴム部材を跨ぐように貼り付ける工程と、第3ゴム部材を、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部に貼り付けられた被覆ゴムシートを覆うように貼り付ける点などについては、第1実施形態と同様である。
【0087】
本実施形態のタイヤ1によれば、上記(1)~(2)、(4)~(7)に加えて以下の効果を奏する。
【0088】
(8)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、第2のパッド36と、リムストリップゴム32と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。
これにより、RFIDタグ40は、過度な歪の影響を受けることもなく、その機能を保つことができる。
【0089】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第2実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0090】
図9は、本実施形態のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図9に示されるように、RFIDタグ40(保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本実施形態のタイヤ1は、第1ゴム部材としての第2のパッド36と、第2ゴム部材としての第1のパッド35と、第3ゴム部材としての第2ビードフィラー222と、を備えており、RFIDタグ40は、第2のパッド36と、第1のパッド35と、第2ビードフィラー222の交わる位置に配置されている。
【0091】
そして、本実施形態においても、より好ましくは、RFIDタグ40は被覆ゴムシートからなる保護部材43によって被覆されて保持されており、この保護部材43は、第2のパッド36と第1のパッド35の境界部において、第2のパッド36と第1のパッド35を跨ぐように配置されている。すなわち、タイヤ幅方向断面視におけるタイヤ径方向外側端が先細り形状の第1のパッド35のタイヤ径方向外側端35Aを押え付けるように、保護部材43が貼り付けられている。そして、保護部材43は、第2ビードフィラー222によってタイヤ内腔側が覆われている。
【0092】
ここで、第2のパッド36と、第1のパッド35と、第2ビードフィラー222はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のゴム部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、第2のパッド36と、第1のパッド35と、第2ビードフィラー222と面接触するように配置されている。
【0093】
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、第2のパッド36、第1のパッド35、第2ビードフィラー222によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本変形例においては、第2のパッド36と第1のパッド35の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0094】
なお、タイヤ1の製造工程において、被覆ゴムシートとしての保護部材43を、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部において、第1ゴム部材と第2ゴム部材を跨ぐように貼り付ける工程と、第3ゴム部材を、第1ゴム部材と第2ゴム部材の境界部に貼り付けられた被覆ゴムシートを覆うように貼り付ける点などについては、第1実施形態と同様である。
【0095】
図10~13に、本実施形態のタイヤ1の変形例を示す。これらの変形例は、RFIDタグ40を囲む3つのゴム部材を異ならせた場合の例である。但し、そのうち一つのゴム部材として、第2のパッド36を用いている点については共通している。
図10に示す第1変形例においても、RFIDタグ40を被覆している保護部材43は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本変形例の実施形態のタイヤ1は、第2のパッド36と、第1のパッド35と、第2ビードフィラー222の交わる位置に配置されている。そして、本変形例においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43が、第2ビードフィラー222と第1のパッド35の境界部において、第2ビードフィラー222と第1のパッド35を跨ぐように配置されている。すなわち、タイヤ幅方向断面視におけるタイヤ径方向外側端が先細り形状の第1のパッド35のタイヤ径方向外側端35Aを押え付けるように、保護部材43が貼り付けられている。そして、保護部材43は、第2のパッド36によってタイヤ外表面側が覆われている。
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、第2のパッド36、第1のパッド35、第2ビードフィラー222によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本変形例においては、第2ビードフィラー222と第1のパッド35の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0096】
図11に示す第2変形例においても、RFIDタグ40を被覆している保護部材43は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本変形例の実施形態のタイヤ1は、第2ビードフィラー222と、ゴムシート37と、第2のパッド36の交わる位置に配置されている。そして、本変形例においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43が、第2ビードフィラー222とゴムシート37の境界部において、第2ビードフィラー222とゴムシート37を跨ぐように配置されている。すなわち、ゴムシート37のタイヤ径方向外側端37Aを押え付けるように、保護部材43が貼り付けられている。そして、保護部材43は、第2のパッド36によってタイヤ外表面側が覆われている。なお、ゴムシート37は、図10に示す第1変形例よりも、タイヤ径方向外側方向に少し大きめに形成されている。
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、第2ビードフィラー222、ゴムシート37、第2のパッド36によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本変形例においては、第2ビードフィラー222とゴムシート37の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0097】
図12は、図11のタイヤ1の製造工程中のビードフィラー22、ゴムシート37、保護部材43を、タイヤ幅方向外側から見たときの図である。ゴムシート37は、ビードフィラー22に貼り付けられており、ジョイント部37Cでジョイントされて円環状に形成されている。この図に示すように、円環状の第2ビードフィラー222とゴムシート37の境界部には、RFIDタグ40を被覆している保護部材43が貼り付けられている。
また、図12に示すように、ビードフィラー22とゴムシート37の接合を補助することを考慮すれば、第2ビードフィラー222とゴムシート37の境界部に、追加のゴムシート51を貼り付けてもよい。追加のゴムシート51は1つでもよいし、2個以上でもよい。保護部材43と追加のゴムシート51は、等間隔で配置されていることが好ましい。本実施形態においては、1つの保護部材43と2つの追加のゴムシート51が、120°間隔で配置されている。また、タイヤ1に複数の電子部品を埋設する場合は、追加のゴムシート51は、電子部品を被覆しているゴムシートとしてもよい。追加のゴムシートは、保護部材43を同様、貼り付け時においては未加硫の生ゴムであることが好ましい。このような追加のゴムシート51を貼り付ける構成は、第1~第2実施形態においても適用可能である。
【0098】
図13に示す第3変形例においても、RFIDタグ40を被覆している保護部材43は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本変形例の実施形態のタイヤ1は、第2のパッド36と、第1のパッド35と、ゴムシート37の交わる位置に配置されている。そして、本変形例においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43が、第2のパッド36と第1のパッド35の境界部において、第2のパッド36と第1のパッド35を跨ぐように配置されている。すなわち、タイヤ幅方向断面視におけるタイヤ径方向外側端が先細り形状の第1のパッド35のタイヤ径方向外側端35Aを押え付けるように、保護部材43が貼り付けられている。そして、保護部材43は、ゴムシート37によってタイヤ内腔側が覆われている。
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のゴム部材、具体的には、第2のパッド36、第1のパッド35、ゴムシート37によって囲まれるため、RFIDタグ40が応力の影響を受けにくい。そして、複数のゴム部材の境界部、本変形例においては、第2のパッド36と第1のパッド35の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0099】
なお、図8の歪エネルギーの面内分布シミュレーションの結果に示されるように、図9~13に示す変形例においても、RFIDタグ40を配置する位置は、概ねレベル2の領域となっており、歪エネルギーが少なく、RFIDタグ40を配置する上で、非常に好ましい領域となっている。
【0100】
本実施形態のタイヤ1によれば、上記(1)~(2)、(4)~(7)に加えて以下の効果を奏する。
【0101】
(9)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、第2のパッド36を含む3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。
これにより、RFIDタグ40は、過度な歪の影響を受けることもなく、その機能を保つことができる。
【0102】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係るタイヤについて、図14~20を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第3実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
本実施形態は、RFIDタグ40のアンテナが、コイル状のスプリングアンテナである場合に特に好適な実施形態である。
【0103】
本実施形態のRFIDタグ40は、アンテナとして、通信性および柔軟性の高いコイル状のスプリングアンテナ421が用いられている。スプリングアンテナ421は、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。
【0104】
本実施形態においては、保護部材43を構成する2枚の被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む前に、スプリングアンテナ421内にゴムを配置する。より好ましくは、空気がなるべく残らないように、スプリングアンテナ内にゴムを充填する。図14~20を用いて、その工程およびその工程を採用する理由を説明する。
【0105】
まず、図14図17を用いて、参考例として、スプリングアンテナ421内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグ40周辺の状態について説明する。図14は、RFIDタグ40を被覆ゴムシート431、432で挟み込む前の、スプリングアンテナ421、被覆ゴムシート431、432の断面を示す図である。図15は、RFIDタグ40を被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後の、スプリングアンテナ421、被覆ゴムシート431、432の断面を示す図である。
【0106】
図15に示されるように、この参考例においては、スプリングアンテナ421内に予めゴムが充填されていないため、被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後において、スプリングアンテナ421内に空気45がある程度残ってしまう場合がある。このように空気が残ってしまうと、被覆ゴムシート431、432とスプリングアンテナ421との一体性が不十分となり、タイヤが変形したときに、ゴムの動きにスプリングアンテナ421が追従せず、スプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40が破損するおそれがある。
【0107】
なお、ここでは被覆ゴムシート431、432として、加硫前の生ゴムを使用している。よって、被覆ゴムシート431、432を両側から押しつけることにより、図15に示されるように、スプリングアンテナ内に被覆ゴムシート431、432がある程度はめり込んでいる。しかしながら、スプリングアンテナ内が完全に埋まるまで被覆ゴムシート431、432をめり込ませるためには、非常に多くの時間と手間がかかる。
【0108】
そして、仮に時間をかけてスプリングアンテナ内が埋まるまでゴムシートをめり込ませた場合であっても、図16に示されるように、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが非常に短くなる。また、その距離Lを安定させることは困難であり、局所的に薄い部分が発生し得る。よって、被覆ゴムシート431、432によるRFIDタグ40の保護が不十分となり、加硫時において、被覆ゴムシート431、432が破損する可能性がある。
【0109】
そこで、本実施形態においては、図17~20に示されるように、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む前に、スプリングアンテナ421内にゴムを配置する。より好ましくは、空気がなるべく残らないように、スプリングアンテナ内にゴムを充填する。なお、図17~20の右側に示す図は、スプリングアンテナ421およびその周囲の横断面を示す図である。
【0110】
図17は、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填する前の状態を示す図、図18は、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填した後の状態を示す図である。
ゴム46は、スプリングアンテナ421の外周面と略同じ外径となるように埋め込まれる。そして、スプリングアンテナ421の外周面からゴム46がはみ出ている場合には、その部分を拭き取って除去することが好ましい。すなわち、ゴム46の外周面は、スプリングアンテナ421の外周面と略同一面となるように成形されることが好ましい。
なお、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填すると共に、スプリングアンテナ421の外周をゴム46で薄く包み込んでもよい。一方、スプリングアンテナ421をゴム46によって厚く包み込んでしまうと、スプリングアンテナ421の柔軟性が損なわれる上に、RFIDタグ40を挟み込んだ後の被覆ゴムシート431、432により形成される幅方向の寸法が大きくなってしまうため、好ましくない。
なお、スプリングアンテナ421の内周面と略同じ外径となるように、ゴム46を埋め込んでもよい。ゴム46の外周部は、スプリングアンテナ421の内周面~外周面の範囲内に位置していることが望ましい。
【0111】
ここで、スプリングアンテナ421の柔軟性を確保するために、ゴム46としては、柔軟性を有するゴムを用いる。但し、作業性等を考慮して、ゴム46として、被覆ゴムシート431、432よりも高いモジュラスのゴムを用いることが好ましい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46としては、好ましくは未加硫のゴムを用いる。ゴム46、被覆ゴムシート431、432を未加硫のゴムとし、同時に加硫することにより、ゴム46、被覆ゴムシート431、432、スプリングアンテナ421の一体性が高まる。また、ゴム46、被覆ゴムシート431、432は、同種のゴムとすることがより好ましい。
なお、スプリングアンテナ421の柔軟性を重視して、ゴム46として、被覆ゴムシート431、432よりも低いモジュラスのゴムを用いてもよい。また、略同一のモジュラスのゴム、同じ材質のゴムを用いてもよい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46として、加硫後のゴムを用いてもよい。また、ゴム系接着剤、ゴム系充填剤などを用いることも可能である。柔軟性を確保しつつ、スプリングアンテナ421内に空気をなるべく残らないようにすることを考慮して、各種のゴム系材料を採用することができる。
ゴム46の配置作業としては、各種の方法が採用可能であるが、例えば、注射器を用いてスプリングアンテナ421内にゴムを注入することも可能である。この場合、注射器を用いて、設定された適切な量のゴム46を充填してもよい。また、ゴム46を多めに充填後、スプリングアンテナ421の外周からはみ出た部分を拭き取ってもよい。
【0112】
図19は、スプリングアンテナ421にゴム46が充填されたRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で挟み込む前の状態を示す図、図20は、被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後の状態を示す図である。
【0113】
図20に示されるように、本実施形態によれば、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されていたため、被覆ゴムシート431、432の間に空気溜まりが存在していない。よって、空気溜まりを気にしなくてもよいため、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む工程も簡便となる。
また、スプリングアンテナ421内にゴム46が配置されていることにより、スプリングアンテナ421、ゴム46、被覆ゴムシート431、432の一体性が高まり、タイヤが変形したときに、ゴムの動きにスプリングアンテナ421が追従する。よって、スプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40の耐久性も向上する。
【0114】
また、本実施形態によれば、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが安定する。すなわち、この距離Lとして、被覆ゴムシート431、432の肉厚に近い距離が概ね確保される。よって、RFIDタグ40は、被覆ゴムシート431、432によって十分保護される。
本実施形態において被覆ゴムシート431、432で挟み込まれたRFIDタグ40は、ゴム部材間に配設され、その後生タイヤは加硫される。
【0115】
なお、本実施形態においては、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されたRFIDタグ40が、被覆ゴムシート431、432に被覆された上で、ゴム部材間に配置されている。
しかしながら、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されたRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で被覆することなく、ゴム部材間に配置してもよい。
このように、無被覆のRFIDタグ40を直接ゴム部材間に配置することにより、RFIDタグ40を挟み込まれる部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤ1のユニフォミティが向上する。また、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されているため、ゴムシート37がスプリングアンテナ内に過度にめり込むようなこともない。
【0116】
本実施形態に係るタイヤによれば、上記(1)~(10)に加えて以下の効果を奏する。
【0117】
(11)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40がスプリングアンテナ421を有し、ゴム部材にRFIDタグ40を貼り付ける工程の前に、スプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程を備える。
これにより、RFIDタグ40のスプリングアンテナ421をゴム部材間に挟み込む工程の際に、空気溜まりを気にしなくてもよくなるため、組み立て性が良好となる。
(12)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40のスプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程と、ゴム46が配置されたスプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で挟み込む工程と、被覆ゴムシート431、432で挟み込まれたRFIDタグ40を、ゴム部材間に配設する配設工程と、を備える。
これにより、スプリングアンテナ421内に空気45が残ってしまうことがない。また、空気溜まりを気にしなくてもよいため、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む作業も簡便となる。
また、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが安定するため、RFIDタグ40は、被覆ゴムシート431、432によって十分保護される。
【0118】
(13)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40のスプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程と、ゴム部材間に無被覆のRFIDタグ40を挟み込むように、ビードフィラー22にゴムシート37を貼り付ける工程と、を含む。
このように、無被覆の電子部品を直接ゴム部材間に挟み込むことにより、RFIDタグ40を挟み込まれる部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤ1のユニフォミティが向上する。また、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されているため、ゴムシート37がスプリングアンテナ内に過度にめり込むようなこともない。
【0119】
なお、本発明のタイヤは、乗用車、ライトトラック、トラック、バス等の各種タイヤとして採用することができるが、特にトラック、バス等のタイヤとして好適である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良などを行っても、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1…タイヤ
11…ビード
12…トレッド
13…サイドウォール
21…ビードコア
22…ビードフィラー
221…第1ビードフィラー
222…第2ビードフィラー
23…カーカスプライ
24…プライ本体
25…プライ折り返し部
26…スチールベルト
28…トレッドゴム
28B…タイヤ径方向内側端
29…インナーライナー
30…サイドウォールゴム
31…スチールチェーハー
32…リムストリップゴム
32A…タイヤ径方向外側端
34…パッド部材
35…第1のパッド
35A…タイヤ径方向外側端
36…第2のパッド
37…ゴムシート
37A…タイヤ径方向外側端
38…ショルダーパッド
40…RFIDタグ
41…RFIDチップ
42…アンテナ
421…スプリングアンテナ
43…保護部材
431、432…ゴムシート
46…ゴム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20