(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】すくい上げ装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20231212BHJP
B65B 25/18 20060101ALI20231212BHJP
B65B 35/50 20060101ALI20231212BHJP
B65G 47/90 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
B65B25/18
B65B35/50
B65G47/90 Z
(21)【出願番号】P 2019117215
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506111354
【氏名又は名称】大和サービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592209755
【氏名又は名称】金城機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】川添 晃
(72)【発明者】
【氏名】木村 功
(72)【発明者】
【氏名】亀山 武彦
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144400(JP,A)
【文献】特開2014-161975(JP,A)
【文献】特開2018-012577(JP,A)
【文献】特開平10-236433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65B 25/16 - 25/18
35/00 - 35/58
B65G 47/90 - 47/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の箇所に載置されている移載対象物の上面に接触して前記移載対象物の姿勢の変化を抑制する押え板と、前記移載対象物の上面に前記押え板が接触している状態で前記移載対象物の下側に抜き差しされる薄板とを備えているすくい上げ装置であって、
前記押え板は、前記押え板における前記移載対象物側の面に、前記押え板の板厚方向に窪んで前記移載対象物の上面との間に空間を形成する凹部と、前記凹部の周囲に形成されたエッジ部とを備え、
前記移載対象物の周縁部に前記エッジ部が接触して前記凹部が前記移載対象物の上
面を押圧しないように構成され、さらに
前記押え板における前記凹部が形成された残厚部分に、前記板厚方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記押え板から前記移載対象物を離すときに、前記貫通孔を介して前記凹部内に空気を供給する空気供給装置を備えている
ことを特徴とするすくい上げ装置。
【請求項2】
請求
項1に記載のすくい上げ装置であって、
前記押え板を取り付けてあるベースプレートを有し、
前記ベースプレートに、上下方向に向けたレールが設けられ、
前記押え板は、前記レールに上下方向に移動できるように取り付けられ、
前記押え板を前記レールの下方向に弾性的に押すリターンスプリングが、前記押え板と前記レールとの間に設けられている
ことを特徴とするすくい上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移載対象物を移載する装置に関し、特に、所定の箇所に載置された移載対象物の下側に薄板を挿入して移載対象物をすくい上げて移載する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンベヤによって搬送されてくるサンドイッチなどの柔軟な材料(以下、移載対象物と記す。)をすくい上げて移載するときに、移載対象物の上下両側から移載対象物を把持するように構成された把持装置が記載されている。その装置は、移載対象物の下側に抜き差し可能に構成された薄板と、移載対象物の上面に接触して移載対象物の姿勢の変化を抑制するアッパーガイドとを備えている。アッパーガイドはフレームと、移載対象物側に突出するように湾曲した複数の帯状体とを有しており、フレームに各帯状体の一方の端部が固定されかつフレームに形成された貫通孔の内部に他方の端部が配置されている。アッパーガイドは薄板に対して上下方向にスライド可能に構成されている。移載対象物を把持するときには、移載対象物の上方にアッパーガイドを位置させ、移載対象物の上面にアッパーガイドを接触させるように装置の全体を下降させる。各帯状体は移載対象物側に突出するように湾曲しているので、移載対象物の上面のうちの幅方向での中央部に、各帯状体の中央部が接触する。アッパーガイドを更に下降させていくと、移載対象物に押されて各帯状体の他方の端部が貫通孔を通過し、各帯状体は次第に平坦な形状になる。つまり、移載対象物はその中央部から周縁部に向かって次第に押圧され、移載対象物の全体がアッパーガイドによってコンベヤに押し付けられた状態になる。このようにアッパーガイドによってコンベヤに移載対象物を押し付けた状態で、移載対象物の下側に薄板を挿入し、その後、移載対象物を移載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移載対象物がサンドイッチなどの柔軟な材料である場合に、上記の特許文献1に記載されているように、サンドイッチの中央部から周縁部に向かって押圧していくと、食パンによって挟まれている具材がはみ出てたり、食パンの表面における中央部に各帯状体の跡が付いたりする可能性がある。すなわち、商品としての見栄えが悪化してしまう可能性があり、未だ改良の余地があった。
【0005】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、移載対象物をすくい上げて移載するときに、移載対象物の見栄えを損なうことなく、移載対象物の姿勢の変化を抑制することのできるすくい上げ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、所定の箇所に載置されている移載対象物の上面に接触して前記移載対象物の姿勢の変化を抑制する押え板と、前記移載対象物の上面に前記押え板が接触している状態で前記移載対象物の下側に抜き差しされる薄板とを備えているすくい上げ装置であって、前記押え板は、前記押え板における前記移載対象物側の面に、前記押え板の板厚方向に窪んで前記移載対象物の上面との間に空間を形成する凹部と、前記凹部の周囲に形成されたエッジ部とを備え、前記移載対象物の周縁部に前記エッジ部が接触して前記凹部が前記移載対象物の上面を押圧しないように構成され、さらに前記押え板における前記凹部が形成された残厚部分に、前記板厚方向に貫通する貫通孔が形成されており、前記押え板から前記移載対象物を離すときに、前記貫通孔を介して前記凹部内に空気を供給する空気供給装置を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
この発明では、前記押え板を取り付けてあるベースプレートを有し、前記ベースプレートに、上下方向に向けたレールが設けられ、前記押え板は、前記レールに上下方向に移動できるように取り付けられ、前記押え板を前記レールの下方向に弾性的に押すリターンスプリングが、前記押え板と前記レールとの間に設けられていてよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、所定の箇所に載置されている移載対象物をすくい上げる過程で、移載対象物の上面に押え板が接触させられる。その押え板における移載対象物側の面には、板厚方向に窪んだ凹部が形成されており、その凹部の周囲に形成されたエッジ部が移載対象物の周縁部に接触するようになっている。したがって、移載対象物の中央部が押え板によって押圧されることが抑制されるため、移載対象物が複数の柔軟な材料を積層した積層体であったとしても、挟み込んだ材料が移載対象物の外部に押し出されることを抑制できる。また、移載対象物の周縁部がエッジ部によって押圧されてエッジ部の跡が移載対象物の周縁部に形成されるとしても、移載対象物の中央部に比較して目立ちにくい箇所であるので、いわゆる押し跡が形成されることによる見栄えの悪化を抑制できる。さらに、移載対象物の上面に押え板を接触させている状態で、移載対象物の下側に薄板を抜き差しするので、すくい上げる過程での移載対象物の姿勢あるいは向きの変化を抑制できると共に、後工程での処理に支障を来すなどの事態を未然に防止することができる。
【0009】
また、この発明では、押え板から移載対象物を離すときに、凹部と移載対象物とによって形成された空間の内部に空気供給装置によって空気が供給され、その空気流によって移載対象物が押圧される。そのため、押え板から移載対象物をすみやかに離脱させることができる。また、空気によって移載対象物を押圧して押え板と移載対象物との接触状態を解消するため、押え板から移載対象物が離脱する過程で、移載対象物が特には損傷することがない。それらの結果、高速でしかも歩留まりのよい装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明に係るすくい上げ装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図2】押え板4の一例を模式的に示す上視図である。
【
図4】この発明における押え板の他の例を模式的に示す上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
次に、この発明をより具体的に説明する。この発明に係るすくい上げ装置は、移載対象物の姿勢を特には崩すことなくすくい上げるように構成されており、所定の箇所に載置されている移載対象物をすくい上げるときに、移載対象物の上面に接触することによって移載対象物の姿勢の変化を抑制する押え板を備えている。上記の移載対象物は、一例として食パンによって具材を挟み込んだサンドイッチであってよく、所定の箇所はベルトコンベヤなどのコンベヤやテーブルなどであってよい。
【0012】
図1は、この発明に係るすくい上げ装置1の一例を模式的に示す側面図である。
図1に示すように、すくい上げ装置1は当該すくい上げ装置1の長さ方向に延びる平板状のベースプレート2を備えており、すくい上げ装置1の上下方向でベースプレート2の上側に図示しない多関節型ロボットのアーム部が取り付けられる。多関節型ロボットは三次元方向に移動可能に構成されており、多関節型ロボットを動作させることによって図示しないコンベヤ上でのすくい上げ装置1の位置や姿勢、向き、高さなどを変更するように構成されている。多関節型ロボットによるすくい上げ装置1の位置や姿勢、向き、高さなどの変更は、例えば、カメラによってコンベヤ上に載置されたサンドイッチ(それぞれ図示せず)を撮影し、その画像データを図示しないコントローラーによって解析し、その解析結果に基づいて多関節型ロボットを制御することによって行う。
【0013】
長さ方向でベースプレート2の一方の端部に
図1での上下方向に延びるレール3が設けられている。レール3に沿ってスライド可能に
押え板4が取り付けられている。
押え板4はサンドイッチの下側に二枚の薄板を挿入する際に、サンドイッチの上面に接触してサンドイッチを軽く押さえることによってサンドイッチの姿勢の変化を抑制するものである。
【0014】
また、上下方向でレール3の下部に、押え板4を元の位置に戻すリターンスプリング5が設けられている。リターンスプリング5は押え板4を上下方向で下方に引き下げるように、押え板4に弾性力を付与している。なお、以下の説明では、すくい上げ装置1の長さ方向で押え板4が設けられている側をすくい上げ装置1の先端部側と称する。
【0015】
ベースプレート2の下側には、ベースプレート2の長さ方向と平行な方向に延びる図示しないリニヤガイドが取り付けられている。そのリニヤガイドを介してベースプレート2に移動可能に本体部6が取り付けられている。本体部6はケース7を備えており、そのケース7にモータ8が一体に取り付けられている。モータ8のロータ軸はケース7の内部に延び出ており、このロータ軸に駆動ローラ9の一方の端部が接続されている。駆動ローラ9の他方の端部はケース7の外側に延び出ており、その他方の端部にピニオンギヤ10が取り付けられている。これらモータ8と駆動ローラ9とピニオンギヤ10とは同一の軸線上に配置されている。また、駆動ローラ9の直径とピニオンギヤ10のピッチ円直径とはほぼ同じ径に設定されている。ピニオンギヤ10の少なくとも一部はギヤケース11によって覆われている。なお、モータ8は上述したコントローラーからの制御指令信号に基づいて動作するように構成されている。
【0016】
また、ベースプレート2にサイドプレート12が取り付けられている。サイドプレート12にピニオンギヤ10に噛み合う歯が形成されたラック13が設けられている。したがって、コントローラーによってモータ8が駆動されて駆動ローラ9と共にピニオンギヤ10が回転すると、ラック13に沿ってピニオンギヤ10が前後動し、これに伴って本体部6がすくい上げ装置1の長さ方向に前後動する。
【0017】
本体部6の下側にフィルムユニット14が着脱可能に取り付けられている。フィルムユニット14は、サンドイッチの下側に挿入される2枚の薄板15,16を保持すると共に、それらの薄板15,16に巻き掛けられたフィルムを保持するものであって、ここに示す例では、クランプ17によって本体部6に取り付けられている。
【0018】
各薄板15,16はすくい上げ装置1の上下方向に僅かな隙間を空けて重ねられており、それらの薄板15,16の先端部15A,16Aを押え板4側に突出させた状態で、フィルムユニット14に薄板15,16の後端部15B,16Bが取り付けられている。各薄板15,16のそれぞれには、環状のフィルムが巻き掛けられている。各フィルムは上記の隙間で、テープや接着剤などの所定の接着手段によって互いに接着されている。なお、
図1では、図面を簡単にするため、各フィルムを省略している。また、以下の説明では、2枚の薄板15,16のうち、上下方向で下薄板16の上側に位置する薄板を上薄板15と称し、上薄板15の下側に位置する薄板を下薄板16と称する。上薄板15に巻き掛けられたフィルムを上フィルムと称し、下薄板16に巻き掛けられたフィルムを下フィルムと称する。
【0019】
サンドイッチの下側に薄板15,16を挿入する挿入長さと同じ長さ、サンドイッチの下側に各フィルムを送り込むようになっている。サンドイッチの下側に各フィルムを送り込む構成について説明すると、駆動ローラ9によって回転させられる従動ローラ18がフィルムユニット14に回転自在に取り付けられている。その従動ローラ18は本体部6にフィルムユニット14を取り付けることによって、駆動ローラ9にトルク伝達可能に係合される。この従動ローラ18に下フィルムが巻き掛けられている。したがって、駆動ローラ9に従動ローラ18が係合すると、それらのローラ9,18の間に下フィルムが挟み付けられ、各ローラ9,18の回転に伴って下薄板16に沿って下フィルムが走行させられる。
【0020】
従動ローラ18と互いに隣接してフリーローラ19がフィルムユニット14に回転自在に取り付けられている。フリーローラ19に上フィルムが巻き掛けられている。各フィルムは上述したように互いに接着されているため、下フィルムの走行に伴って上薄板15に沿って上フィルムが走行させられる。また、フィルムユニット14には、上薄板15から上フィルムが離隔することを抑制するテンションローラ20が回転自在に取り付けられている。
【0021】
ここで、上述した押え板4の構成について具体的に説明する。
図2は押え板4の一例を模式的に示す上視図であり、
図3は
図2に示すA-A線に沿う断面図である。押え板4は全体として矩形状を成しており、押え板4の板厚方向で一方側に、板厚方向に窪んだ凹部21が形成されている。凹部21は、ここに示す例では、押え板4の外形に倣った矩形状を成している。凹部21の周縁部分がいわゆるエッジ部22となっており、エッジ部22がサンドイッチWの上面に接触するようになっている。したがって、サンドイッチWの上面にエッジ部22が接触すると、サンドイッチWと押え板4との間に、
図3に示すように、凹部21の立体的な形状に倣った空間Sが形成される。
【0022】
押え板4の板厚方向で、押え板4のうちの凹部21が形成された部分に、つまり、押え板4における凹部21が形成された残厚部分23に、板厚方向に残厚部分23を貫通する貫通孔24が形成されており、貫通孔24にエアチューブ25を介してこの発明における空気供給装置に相当するブロワー26が連結されている。ブロワー26は上述したコントローラーからの制御指令信号に基づいて動作して上記の空間Sに空気を供給するように構成されている。
【0023】
上述した構成のすくい上げ装置1の作用について説明する。すくい上げ装置1が図示しないコンベヤの上方であってかつ所定の待機位置に配置されている状態で、サンドイッチWがコンベヤに載って搬送されてくると、カメラなどの適宜のセンサでサンドイッチWの位置や向きが取得される。取得した情報に基づいて多関節型ロボットが動作させられ、サンドイッチWの向きと押え板4の向きとを一致させ、かつ、サンドイッチWの直上に押え板4を位置させた状態で、すくい上げ装置1の下降が開始される。つまり、すくい上げ装置1はサンドイッチWと同速度で搬送方向で前方に移動しつつ下降する。サンドイッチWの上面に押え板4のエッジ部22が接触すると、押え板4の下降はサンドイッチWによって阻止あるいは停止されるが、すくい上げ装置1の下降は継続しているから、押え板4はレール3に沿って上下方向で上側にスライドする。サンドイッチWの周縁部は押え板4の重さやリターンスプリング5の弾性力に応じた荷重によってコンベヤに押し付けられた状態になる。そのため、サンドイッチWの姿勢の変化が抑制される。また、サンドイッチWの上面には、押え板4のエッジ部22が接触し、サンドイッチWの中央部に対応して凹部21が配置されるので、サンドイッチWの中央部分は押え板4によって特には押圧されない。したがって、サンドイッチWの具材がサンドイッチWの外部に押し出されることを抑制できる。
【0024】
下薄板15がコンベヤとほぼ同じ高さまで下降すると、すくい上げ装置1の下降が停止される。また、モータ8が正回転方向に回転させられ、それによって駆動ローラ9およびピニオンギヤ10がモータ8と同様に正回転方向に回転させられる。ここで、正回転方向とは、サンドイッチWに対して各薄板15,16を接近させる場合におけるモータ8の回転方向を意味している。ピニオンギヤ10はラック13に噛み合っているため、ラック13に沿ってピニオンギヤ10が移動する。これによってサンドイッチWに向かって本体部6が前進する。また、モータ8の正回転に伴って駆動ローラ9が正回転し、それによって駆動ローラ9に係合している従動ローラ18が駆動ローラ9とは反対方向に回転する。
図1に示す構成では、モータ8および駆動ローラ9が時計回りに回転し、従動ローラ18が反時計回りに回転する。また、駆動ローラ9の直径はピニオンギヤ10のピッチ円直径とほぼ同じに設定されている。そのため、本体部6が移動する長さとほぼ同じ長さ、つまり、各上薄板15,16を挿入する挿入長さと同じ長さ、上薄板15の下側から上側に上薄板15の先端部を通って上フィルムが走行し、下薄板16の上側から下側に下薄板16の先端部を通って下フィルムが走行する。
【0025】
このようにしてサンドイッチWの下側に各薄板15,16が挿入されると共に各薄板15,16に巻き掛けられたフィルムが送り込まれ、コンベヤの上から上薄板15の上にサンドイッチWが移載される。また、サンドイッチWの下側に各薄板15,16を挿入している場合であっても、サンドイッチWの上面に押え板4が接触しており、サンドイッチWは上記の荷重によってコンベヤや上薄板15に押し付けられた状態になっている。そのため、サンドイッチWの下側に各薄板15,16を挿入している場合であっても、サンドイッチWの姿勢の変化が抑制される。また、サンドイッチWの中央部分は押え板4によって特には押圧されないので、サンドイッチWの具材がサンドイッチWの外部に押し出されることを抑制できる。なお、モータ8の駆動量や各薄板15,16の挿入長さ、各フィルムの送り長さなどは、上述したカメラなどの各種のセンサによって取得した情報に基づいて設定することができる。
【0026】
そして、上薄板15の上にサンドイッチWが移載されると、モータ8が停止させられる。この状態では、サンドイッチWは押え板4と上薄板15との間に挟み付けられており、サンドイッチWの姿勢は特には変化しない。また、サンドイッチWの中央部は押え板4によって特には押圧されないので、具材がはみ出ることはない。次いで、すくい上げ装置1をサンドイッチWの移動速度と同じ速度で搬送方向で前方に移動させつつ、予め定めた高さまで一旦、コンベヤに対して垂直に上昇させる。その理由について説明すると、コンベヤによってサンドイッチWを繰り返し搬送し、また上記のようにして移載すると、サンドイッチWの油分や水分によってコンベヤに下フィルムが張り付いてしまう可能性がある。コンベヤに下フィルムが張り付いた状態ですくい上げ装置1を旋回させると、下フィルムと下薄板16との間にせん断力が生じて下フィルムが損傷する可能性があるのでこれを避けるためである。なお、すくい上げ装置1の上昇高さは予め定めることができる。
【0027】
その後、すくい上げ装置1の位置や姿勢、向き、高さなどが変更されると共に、他のサンドイッチや、後工程のコンベヤ(それぞれ図示せず)などの上方に移動させられる。すくい上げたサンドイッチWを他のサンドイッチの上に重ねる場合には、すくい上げたサンドイッチWと他のサンドイッチWとの向きを一致させ、かつ、他のサンドイッチの直上に押え板4を位置させた状態ですくい上げ装置1が下降させられる。そして他のサンドイッチの上面に下薄板16の下面が接触すると、すくい上げ装置1の下降が停止される。またモータ8を逆回転させてサンドイッチWの下側から各薄板15,16が引き抜かれる。それに伴って、上薄板15の上側から下側に上薄板15の先端部を通って上フィルムが走行し、下薄板16の下側から上側に下薄板16の先端部を通って下フィルムが走行する。このようにして他のサンドイッチの上に最初にすくい上げたサンドイッチWが積み重ねられる。押え板4は未だ最初にすくい上げたサンドイッチWの上面に接触している。そのため、積み重ねられたサンドイッチWは押え板4によってコンベヤに押し付けられた状態となっており、積み重ねられたサンドイッチWの姿勢の変化は抑制されている。また、それらのサンドイッチWの中央部は押え板4によって特には押圧されないので、具材がはみ出ることはない。
【0028】
次いで、すくい上げ装置1をサンドイッチWの移動速度と同じ速度で搬送方向で前方に移動させつつ、すくい上げ装置1を予め定めた高さまで一旦、コンベヤに対して垂直に上昇させる。これと同時に、ブロワー26が動作させられ、貫通孔24を介して空間Sに空気流が噴射される。これは、空気流によってサンドイッチWの上面を押圧することによって、エッジ部22からサンドイッチWを離隔しやすくするためである。その後、所定の待機位置にすくい上げ装置1が戻される。なお、上述した空間Sに空気流を噴射する時間や空気量、空気の噴射速度などは実験によって予め定めることができる。
【0029】
したがって、上記構成のすくい上げ装置1では、サンドイッチWをすくい上げ、また移載する過程の全体に亘って、サンドイッチWの上面に押し付けた押え板4によってサンドイッチWの中央部を特には押圧することがない。そのため、具材が押し出されて商品としての見栄えを損なうことを抑制できる。また、サンドイッチWの周縁部をエッジ部22によって押さえるため、いわゆる押し跡が付くとしても、サンドイッチWの中央部に比較して目立ちにくい箇所になるので、これによっても見栄えの悪化を抑制できる。さらに、サンドイッチWの姿勢の変化を抑制できるため、後工程での処理に支障を来すなどの事態を未然に防止することができる。そして、ブロワー26から供給される空気流によってサンドイッチWと押え板4との離隔がアシストされるので、押え板4にサンドイッチWが張り付く事態を回避することができる。それらの結果、装置の全体として高速でしかも歩留まりを向上することができる。
【0030】
(第2実施例)
なお、本発明は上述した実施例に限定されないのであり、この発明の目的を達成する範囲で適宜に変更してよい。押え板4は、要は、サンドイッチWを押えるときに、具材が押圧されてはみ出ないように、少なくともサンドイッチWの周縁部の一部を押さえるように構成されていればよい。
図4は、この発明における押え板の他の例を模式的に示す上視図であり、
図5は
図4に示すB-B線に沿う断面図であり、
図6は
図4に示すC-C線に沿う断面図である。
図4ないし
図6に示すように、
押え板4の中央部に板厚方向に窪んだ第1凹部27が形成されている。また、
押え板4の縦方向と横方向とのうち、少なくともいずれか一方の方向で、第1凹部27の両側に第1凹部27よりも板厚方向に測った深さあるいは長さが短く、第1凹部27よりも幅が狭い第2凹部28が形成されている。各凹部27,28の周辺の部分がエッジ部22となっている。したがって、サンドイッチWの上面に押え板4のエッジ部22を接触させた場合には、サンドイッチWと
押え板4との間に形成される空間Sは外部に対して連通する。
【0031】
図4ないし
図6に示す構成では、サンドイッチWの上面に押え板4を接触させた場合には、サンドイッチWの上面における周縁部にエッジ部22が接触し、サンドイッチWの中央部に対応して第1凹部27と第2凹部28とが配置される。そのため、第1実施例と同様に、サンドイッチWの中央部は特には押圧されることがない。また、
押え板4のエッジ部22によってサンドイッチWをコンベヤなどの載置面に押し付けることができるため、サンドイッチWの姿勢の変化を抑制できる。さらに、第2実施例では、第2凹部27が形成される分、第1実施例と比較してサンドイッチWに接触するエッジ部22の面積を低減することができる。つまり押し跡が形成されるとしても、その面積を低減することができ、サンドイッチWの商品としての見栄えを更に向上できる。そして、
押え板4からサンドイッチWを離隔させるときには、第1実施例と同様にブロワー26が動作させられ、ブロワー26から供給された空気流によってサンドイッチWを押圧してそれらを離隔することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…すくい上げ装置、 4…押え板、 15…上薄板(薄板)、 16…下薄板(薄板)、 21,27,28…凹部、 22…エッジ部、 W…サンドイッチ(移載対象物)。