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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231212BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019141178
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021027075
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】細川 正己
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3169460(JP,U)
【文献】特開2007-116059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に伸縮するアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結されるアーム支持部と、前記アーム支持部を昇降可能に保持する門型の門型フレームとを備え、
前記アームは、前記アーム支持部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、前記第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結されるとともに前記ハンドが先端側に回動可能に連結される第2アーム部とを備え、
水平方向のうちの所定の方向を左右方向とし、上下方向と左右方向とに直交する方向を前後方向とすると、
前記門型フレームは、左右方向に間隔をあけた状態で配置される2本の支柱を備え、
前記ハンドおよび前記アームは、左右方向において2本の前記支柱の間に配置され、
前記アーム支持部に対する前記第1アーム部の回動中心を第1回動中心とし、前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動中心を第2回動中心とし、前記第2アーム部に対する前記ハンドの回動中心を第3回動中心とし、左右方向における2本の前記支柱の間の中心位置を支柱間中心とすると、
前記第1回動中心と前記第2回動中心との距離と、前記第2回動中心と前記第3回動中心との距離とは等しくなっており、
前記アーム支持部に対して前記第1アーム部が回動して前記第2回動中心が前後方向において前記第1回動中心と同じ位置に配置されるときに、前記第2回動中心は、前記支柱間中心よりも左右方向の一方側に配置され、
前記第1回動中心は、前記支柱間中心よりも左右方向の他方側に配置され
前記ハンドは、縮んでいる状態の前記アームが伸びるときに前記ハンドの先端が前後方向の一方側を向いている一定の姿勢で前後方向の一方側に直線的に移動し、
前記門型フレームの前後方向の中心位置をフレーム中心とすると、
前記第1回動中心は、前記フレーム中心よりも前後方向の他方側に配置されていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記ハンドの前後方向の長さは、前記第1アーム部の長さおよび前記第2アーム部の長さよりも長くなっていることを特徴とする請求項記載の産業用ロボット。
【請求項3】
上下方向を回動の軸方向とする前記門型フレームの回動が可能となるように前記門型フレームが載置されるベース部材を備え、
前記ハンドは、前記アームの伸縮時に前記ハンドの先端が前後方向の一方側を向いている一定の姿勢で前後方向に直線的に移動し、
前記ベース部材に対する前記門型フレームの回動中心を第4回動中心とし、前記ハンドの左右方向の中心位置をハンド中心とすると、
前記第1回動中心は、左右方向において前記第4回動中心とずれた位置に配置され、
前記ハンド中心は、左右方向において前記第4回動中心と同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送する搬送装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の搬送装置は、門型フレームと、門型フレームに昇降可能に保持される移動体とを備えている。門型フレームは、左右方向に間隔をあけた状態で配置される2個の支柱と、2個の支柱の上下の両端部同士を繋ぐ2個の連結部とを備えている。移動体は、多関節アームである搬送アームと、搬送アームの先端側に回動可能に連結されるハンド(エンドエフェクタ)と、搬送アームの基端側が回動可能に連結される基台とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の搬送装置では、搬送アームは、基端側が基台に回動可能に連結される第1アーム部と、第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部とから構成されている。ハンドは、第2アーム部の先端側に回動可能に連結されている。ハンドには、半導体ウエハが搭載される。基台は、2個の支柱に昇降可能に取り付けられている。移動体は、左右方向において2個の支柱の間に配置されている。特許文献1に記載の搬送装置では、半導体ウエハの搬送時に、ハンドの先端が前後方向の一方側を向いている一定の姿勢でハンドが前後方向に直線的に移動するようにアームが伸縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-118229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された搬送装置のような搬送装置では、第1アーム部および第2アーム部の長さを長くすれば、搬送アームが伸びているときの搬送アームの前後方向の長さを長くすることができるため、ハンドに搭載される半導体ウエハを前後方向において門型フレームからより離れている位置まで搬送することが可能になる。一方で、この搬送装置の場合、第1アーム部および第2アーム部の長さを長くすると、伸びている搬送アームが縮まるときに、第1アーム部と第2アーム部との連結部分や第2アーム部とハンドとの連結部分が門型フレームの支柱に干渉するおそれが生じる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、左右方向に間隔をあけた状態で配置される2本の支柱を有する門型の門型フレームを備える産業用ロボットにおいて、ハンドに搭載される搬送対象物を前後方向において門型フレームからより離れている位置まで搬送することが可能であっても、アームと支柱との干渉を防止することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に伸縮するアームと、アームの基端側が回動可能に連結されるアーム支持部と、アーム支持部を昇降可能に保持する門型の門型フレームとを備え、アームは、アーム支持部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結されるとともにハンドが先端側に回動可能に連結される第2アーム部とを備え、水平方向のうちの所定の方向を左右方向とし、上下方向と左右方向とに直交する方向を前後方向とすると、門型フレームは、左右方向に間隔をあけた状態で配置される2本の支柱を備え、ハンドおよびアームは、左右方向において2本の支柱の間に配置され、アーム支持部に対する第1アーム部の回動中心を第1回動中心とし、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心を第2回動中心とし、第2アーム部に対するハンドの回動中心を第3回動中心とし、左右方向における2本の支柱の間の中心位置を支柱間中心とすると、第1回動中心と第2回動中心との距離と、第2回動中心と第3回動中心との距離とは等しくなっており、アーム支持部に対して第1アーム部が回動して第2回動中心が前後方向において第1回動中心と同じ位置に配置されるときに、第2回動中心は、支柱間中心よりも左右方向の一方側に配置され、第1回動中心は、支柱間中心よりも左右方向の他方側に配置され、ハンドは、縮んでいる状態のアームが伸びるときにハンドの先端が前後方向の一方側を向いている一定の姿勢で前後方向の一方側に直線的に移動し、門型フレームの前後方向の中心位置をフレーム中心とすると、第1回動中心は、フレーム中心よりも前後方向の他方側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の産業用ロボットでは、アーム支持部に対する第1アーム部の回動中心を第1回動中心とし、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心を第2回動中心とし、第2アーム部に対するハンドの回動中心を第3回動中心とすると、第1回動中心と第2回動中心との距離と、第2回動中心と第3回動中心との距離とは等しくなっている。また、本発明では、左右方向における2本の支柱の間の中心位置を支柱間中心とすると、アーム支持部に対して第1アーム部が回動して第2回動中心が前後方向において第1回動中心と同じ位置に配置されるときに、第2回動中心が支柱間中心よりも左右方向の一方側に配置されている一方で、第1回動中心は、支柱間中心よりも左右方向の他方側に配置されている。
【0009】
そのため、本発明では、第1アーム部および第2アーム部の長さを長くして、アームが伸びているときのアームの前後方向の長さを長くしても、伸びているアームが縮まるときに、第1アーム部と第2アーム部との連結部分や第2アーム部とハンドとの連結部分が支柱に干渉するのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、ハンドに搭載される搬送対象物を前後方向において門型フレームからより離れている位置まで搬送することが可能であっても、アームと支柱との干渉を防止することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、ハンドは、縮んでいる状態のアームが伸びるときにハンドの先端が前後方向の一方側を向いている一定の姿勢で前後方向の一方側に直線的に移動し、門型フレームの前後方向の中心位置をフレーム中心とすると、第1回動中心は、フレーム中心よりも前後方向の他方側に配置されている。そのため、たとえば、産業用ロボットによって搬送対象物が搬送される所定の装置から、ハンドに搭載される搬送対象物およびハンドを前後方向においてより離れている位置まで退避させることが可能になる。
【0011】
本発明において、ハンドの前後方向の長さは、第1アーム部の長さおよび第2アーム部の長さよりも長くなっていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、産業用ロボットによって搬送対象物が搬送される所定の処理装置のカバーに、ハンドは出入りすることはできるが、アームは出入りすることはできない大きさの開口部が形成されている場合に、処理装置のカバーとアームとの干渉を防止しつつ、ハンドに搭載される搬送対象物を処理装置のより奥側まで搬送することが可能になる。
【0012】
本発明において、産業用ロボットは、上下方向を回動の軸方向とする門型フレームの回動が可能となるように門型フレームが載置されるベース部材を備え、ハンドは、アームの伸縮時にハンドの先端が前後方向の一方側を向いている一定の姿勢で前後方向に直線的に移動し、ベース部材に対する門型フレームの回動中心を第4回動中心とし、ハンドの左右方向の中心位置をハンド中心とすると、第1回動中心は、左右方向において第4回動中心とずれた位置に配置され、ハンド中心は、左右方向において第4回動中心と同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、ハンド中心が左右方向において第4回動中心と同じ位置に配置されているため、第1回動中心が左右方向において第4回動中心とずれた位置に配置されていても、たとえば、ハンド中心が左右方向において第1回動中心と同じ位置に配置されている場合と比較して、搬送対象物を搬送する際の産業用ロボットの制御が容易になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、左右方向に間隔をあけた状態で配置される2本の支柱を有する門型の門型フレームを備える産業用ロボットにおいて、ハンドに搭載される搬送対象物を前後方向において門型フレームからより離れている位置まで搬送することが可能であっても、アームと支柱との干渉を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの斜視図である。
図2図1に示す産業用ロボットの平面図である。
図3図1に示す産業用ロボットのアームが縮んでいる状態の平面図である。
図4図1に示す産業用ロボットのアームの伸縮動作の途中の状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(産業用ロボットの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の斜視図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1の平面図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1のアーム4が縮んでいる状態の平面図である。図4は、図1に示す産業用ロボット1のアーム4の伸縮動作の途中の状態の平面図である。
【0018】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するための水平多関節型のロボットである。ロボット1は、たとえば、ウエハ2に対して所定の処理を行う処理装置(図示省略)からのウエハ2の搬出および処理装置へのウエハ2の搬入を行う。ウエハ2は、円板状に形成されている。
【0019】
ロボット1は、ウエハ2が搭載されるハンド3と、ハンド3が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に伸縮するアーム4と、アーム4の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部5と、アーム支持部5を昇降可能に保持する門型の門型フレーム6と、上下方向(図1等のZ方向)を回動の軸方向とする門型フレーム6の回動が可能となるように門型フレーム6が載置されるベース部材7とを備えている。また、ロボット1は、アーム支持部5に対してアーム4を伸縮させるとともにアーム4に対してハンド3を回動させる駆動機構(図示省略)と、門型フレーム6に対してアーム支持部5を昇降させる昇降機構(図示省略)と、ベース部材7に対して門型フレーム6を回動させる回動機構(図示省略)とを備えている。
【0020】
アーム4は、第1アーム部10と第2アーム部11とから構成されている。第1アーム部10の基端側は、アーム支持部5に回動可能に連結されている。第2アーム部11の基端側は、第1アーム部10の先端側に回動可能に連結されている。第2アーム部11の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。ハンド3は、ウエハ2が搭載されるハンドフォーク部12と、アーム4に連結されるハンド基部13とから構成されている。
【0021】
ハンドフォーク部12は、二股状に形成されており、ハンド3は、全体として略Y形状に形成されている。ハンドフォーク部12の基端部は、ハンド基部13の先端部に固定されている。ハンド基部13の基端側は、第2アーム部11の先端側に回動可能に連結されている。ハンド3、第2アーム部11および第1アーム部10は、上側からこの順番で配置されている。アーム支持部5は、中空のブロック状に形成されている。第1アーム部10の基端側は、アーム支持部5の上面に回動可能に連結されている。
【0022】
上述のように、ロボット1は、アーム支持部5に対してアーム4を伸縮させるとともにアーム4に対してハンド3を回動させる駆動機構を備えている。駆動機構は、アーム支持部5の内部に配置されるモータと、モータの動力をアーム4およびハンド3に伝達する動力伝達機構とを備えている。モータは、アーム支持部5と第1アーム部10との連結部分の下側に配置されている。動力伝達機構は、たとえば、アーム支持部5の内部に配置される減速機と、アーム4の内部に配置されるベルトおよびプーリとを備えている。
【0023】
駆動機構は、アーム支持部5に対して第1アーム部10を回動させ、かつ、第1アーム部10に対して第2アーム部11を回動させるとともに、第2アーム部11に対してハンド3を回動させる。また、駆動機構は、ハンド3が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム4を伸縮させる。
【0024】
以下の説明では、水平方向のうちの、ハンド3の往復移動方向(図1等のX方向)を前後方向とし、前後方向と上下方向とに直交する図1等のY方向を左右方向とする。また、以下の説明では、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側とし、前後方向の他方側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とし、左右方向の一方側である図1等のY2方向側を「左」側とし、左右方向の他方側である図1等のY1方向側を「右」側とする。
【0025】
本形態では、ハンド3は、アーム4の伸縮時にハンド3の先端(すなわち、ハンドフォーク部12の先端)が前側を向いている一定の姿勢で前後方向に直線的に移動する。具体的には、ハンド3は、縮んでいる状態のアーム4(図3参照)が伸びるときにハンド3の先端が前側を向いている一定の姿勢で前側に直線的に移動し、伸びている状態のハンド3(図2参照)が縮むときにハンド3の先端が前側を向いている一定の姿勢で後ろ側に直線的に移動する。
【0026】
なお、図2では、アーム4が最も伸びてハンド3が最も前側まで移動している状態が図示されている。ウエハ2に対して所定の処理を行う処理装置は、ロボット1の前側に配置されており、図2に示す状態では、ハンド3は、処理装置の中に配置されている。また、図3では、アーム4が縮んでハンド3が最も後ろ側まで移動している状態が図示されている。本形態では、この状態で、ベース部材7に対して門型フレーム6が回動する。すなわち、この状態で、ロボット1が旋回する。また、この状態のときに、ロボット1の旋回半径が最も小さくなる。
【0027】
門型フレーム6は、左右方向に間隔をあけた状態で配置される2本の支柱16を備えている。支柱16は、上下方向を長手方向とする柱状に形成されている。ハンド3およびアーム4は、左右方向において2本の支柱16の間に配置されている。また、門型フレーム6は、2本の支柱16の上端部同士を繋ぐ連結部17と、2本の支柱16の下端部が固定されるとともに門型フレーム6の下端部を構成するフレーム下部18とを備えている。ベース部材7は、ロボット1の下端部を構成している。ベース部材7は、平板状に形成されている。フレーム下部18は、ベース部材7の上面に回動可能に連結されている。
【0028】
上述のように、ロボット1は、門型フレーム6に対してアーム支持部5を昇降させる昇降機構を備えている。昇降機構は、モータと、モータの動力をアーム支持部5に伝達する動力伝達機構と、アーム支持部5を上下方向に案内するガイド機構とを備えている。昇降機構の動力伝達機構は、たとえば、支柱16の内部に配置されるボールねじを備えている。あるいは、昇降機構の動力伝達機構は、支柱16の内部に配置されるベルトおよびプーリを備えている。ガイド機構は、支柱16に沿って配置されるガイドレールと、ガイドレールに係合するとともにアーム支持部5に固定されるガイドブロックとを備えている。
【0029】
また、上述のように、ロボット1は、ベース部材7に対して門型フレーム6を回動させる回動機構を備えている。回動機構は、モータと、モータの動力をフレーム下部18に伝達する動力伝達機構とを備えている。回動機構の動力伝達機構は、たとえば、フレーム下部18の内部に配置されるベルトおよびプーリを備えている。
【0030】
本形態では、アーム支持部5に対する第1アーム部10の回動中心C1と第1アーム部10に対する第2アーム部11の回動中心C2との距離L1(図2参照)と、第2アーム部11に対するハンド3の回動中心C3と回動中心C2との距離L2(図2参照)とが等しくなっている。本形態の回動中心C1は第1回動中心であり、回動中心C2は第2回動中心であり、回動中心C3は第3回動中心である。
【0031】
また、本形態では、上述のように、ハンド3は、アーム4の伸縮時にハンド3の先端が前側を向いている一定の姿勢で前後方向に直線的に移動するため、回動中心C1と回動中心C3とは、左右方向において常に同じ位置に配置されている。また、本形態では、第1アーム部10の長さと第2アーム部11の長さとが等しくなっている。また、アーム4の伸縮時にハンド3の先端が前側を向いている一定の姿勢で前後方向に直線的に移動するハンド3の前後方向の長さは、第1アーム部10の長さおよび第2アーム部11の長さよりも長くなっている。
【0032】
アーム支持部5に対して第1アーム部10が回動すると、回動中心C2は、図4に示すように、上下方向から見たときに、回動中心C1を曲率中心にするとともに左側に向かって膨らむ半円弧状の仮想線VL上を通過する。左右方向における2本の支柱16の間の中心位置を支柱間中心CL1とすると、図4に示すように、アーム支持部5に対して第1アーム部10が回動して回動中心C2が前後方向において回動中心C1と同じ位置に配置されるときに、回動中心C2は、支柱間中心CL1よりも左側に配置されている。すなわち、回動中心C2が前後方向において回動中心C1と同じ位置に配置されるときには、第1アーム部10と第2アーム部11との連結部分が支柱間中心CL1よりも左側に配置されるようにアーム4が縮んでいる。なお、このときには、上下方向から見たときに、回動中心C1と回動中心C3とが重なっている。
【0033】
また、回動中心C1は、支柱間中心CL1よりも右側に配置されている。すなわち、アーム支持部5と第1アーム部10との連結部分は、支柱間中心CL1よりも右側に配置されている。また、図2に示すように、門型フレーム6の前後方向の中心位置をフレーム中心CL2とすると、回動中心C1は、フレーム中心CL2よりも後ろ側に配置されている。また、回動中心C1は、左右方向において、ベース部材7に対する門型フレーム6の回動中心C4とずれた位置に配置されている。具体的には、回動中心C1は、回動中心C4よりも右側に配置されている。また、回動中心C1は、回動中心C4よりも後ろ側に配置されている。回動中心C4は、支柱間中心CL1よりも右側に配置されるとともに、フレーム中心CL2よりも後ろ側に配置されている。本形態の回動中心C4は、第4回動中心である。
【0034】
アーム4の伸縮時にハンド3の先端が前側を向いている一定の姿勢で前後方向に直線的に移動するハンド3の左右方向の中心位置をハンド中心CL3とすると、ハンド中心CL3は、左右方向において回動中心C4と同じ位置に配置されている。すなわち、アーム4の伸縮時に上下方向から見ると、ハンド中心CL3は、回動中心C4上を通過していく。
【0035】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、回動中心C1と回動中心C2との距離L1と、回動中心C2と回動中心C3との距離L2とが等しくなっている。また、本形態では、アーム支持部5に対して第1アーム部10が回動して回動中心C2が前後方向において回動中心C1と同じ位置に配置されるときに、回動中心C2は、支柱間中心CL1よりも左側に配置されている一方で、回動中心C1は、支柱間中心CL1よりも右側に配置されている。
【0036】
そのため、本形態では、第1アーム部10および第2アーム部11の長さを長くして、アーム4が伸びているときのアーム4の前後方向の長さを長くしても、伸びているアーム4が縮まるときに、第1アーム部10と第2アーム部11との連結部分や第2アーム部11とハンド3との連結部分が2本の支柱16に干渉するのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、ハンド3に搭載されるウエハ2を前側に向かって門型フレーム6からより離れている位置まで搬送することが可能であっても、アーム4と支柱16との干渉を防止することが可能になる。
【0037】
本形態では、回動中心C1は、フレーム中心CL2よりも後ろ側に配置されている。そのため、本形態では、図3に示す状態までアーム4を縮めたときに、ロボット1の前側に配置される処理装置から、ハンド3に搭載されるウエハ2およびハンド3を前後方向においてより離れている位置まで退避させることが可能になる。したがって、本形態では、ロボット1が旋回するときに、ウエハ2およびハンド3と、処理装置との干渉を防止しやすくなる。
【0038】
本形態では、ハンド3の前後方向の長さは、第1アーム部10の長さおよび第2アーム部11の長さよりも長くなっている。そのため、本形態では、たとえば、処理装置の後面を構成するカバーに、ハンド3は出入りすることはできるが、アーム4は出入りすることはできない大きさの開口部が形成されている場合に、処理装置のカバーとアーム4との干渉を防止しつつ、ハンド3に搭載されるウエハ2を処理装置のより奥側(前側)まで搬送することが可能になる。
【0039】
本形態では、ハンド中心CL3は、左右方向において回動中心C4と同じ位置に配置されている。そのため、本形態では、回動中心C1が左右方向において回動中心C4とずれた位置に配置されていても、たとえば、ハンド中心CL3が左右方向において回動中心C1と同じ位置に配置されている場合と比較して、ウエハ2を搬送する際のロボット1の制御が容易になる。
【0040】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0041】
上述した形態において、回動中心C1は、前後方向においてフレーム中心CL2と同じ位置に配置されていても良いし、フレーム中心CL2より前側に配置されていても良い。また、上述した形態において、ハンド3の前後方向の長さは、第1アーム部10、第2アーム部11の長さと同じであっても良いし、第1アーム部10、第2アーム部11の長さより短くなっていても良い。
【0042】
上述した形態において、回動中心C1は、左右方向において回動中心C4と同じ位置に配置されていても良いし、回動中心C4より左側に配置されていても良い。また、回動中心C1は、前後方向において回動中心C4と同じ位置に配置されていても良いし、回動中心C4より前側に配置されていても良い。また、上述した形態において、ハンド中心CL3は、左右方向において回動中心C4とずれた位置に配置されていても良い。
【0043】
上述した形態において、回動中心C4は、左右方向において支柱間中心CL1と同じ位置に配置されていても良いし、前後方向においてフレーム中心CL2と同じ位置に配置されていても良い。また、上述した形態において、回動中心C4は、支柱間中心CL1より左側に配置されていても良いし、フレーム中心CL2より前側に配置されていても良い。また、上述した形態において、ウエハ2以外の搬送対象物がロボット1で搬送されても良い。たとえば、ガラス基板がロボット1で搬送されても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
3 ハンド
4 アーム
5 アーム支持部
6 門型フレーム
7 ベース部材
10 第1アーム部
11 第2アーム部
16 支柱
C1 回動中心(第1回動中心)
C2 回動中心(第2回動中心)
C3 回動中心(第3回動中心)
C4 回動中心(第4回動中心)
CL1 支柱間中心
CL2 フレーム中心
CL3 ハンド中心
L1 第1回動中心と第2回動中心との距離
L2 第2回動中心と第3回動中心との距離
X 前後方向
Y 左右方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4