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特許7401220白色発光材料、高演色性発光素子ならびに高色再現性表示装置
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  • 特許-白色発光材料、高演色性発光素子ならびに高色再現性表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】白色発光材料、高演色性発光素子ならびに高色再現性表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/66 20060101AFI20231212BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20231212BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20231212BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C09K11/66
H05B33/14 Z
H05B33/12 E
H05B33/12 B
G09F9/30 365
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019142460
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2021024909
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡部 一貴
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 啓人
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110039(JP,A)
【文献】R. J. Haskell et al.,Host Precipitates for Trace Analysys of Heavy Metal Ions by Laser Excited Fluorescence,Journal of Luminescence,1987年,36,311-337
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
H05B 33/
H10K 59/10
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Rb Sn Br からなる、単一材料である白色発光材料。
【請求項2】
請求項1に記載の白色発光材料を用いた、発光素子。
【請求項3】
請求項に記載の発光素子を備えた表示装置。
【請求項4】
Rb Sn Br からなる、単一材料である白色発光材料を用いた、陰極、発光層、及び陽極を有する白色発光素子。
【請求項5】
カラーフィルターをさらに用いる、請求項に記載の白色発光素子。
【請求項6】
副画素を用いて多原色化が行われる、請求項に記載の白色発光素子。
【請求項7】
絶縁層をさらに用いる、請求項からのいずれか一項に記載の白色発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色発光材料、高演色性発光素子ならびに高色再現性表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白色有機発光ダイオード(白色OLED)を使用した表示装置では、通常3種類以上の発光色を組み合わせて白色を再現している。各色の発光源には異なる材料が使用されている。各色の発光材料によって表示素子の使用に伴う劣化率が異なるため、同一パネル内で画素によって色度変化が一定ではない問題が生じることがある。
【0003】
特許文献1では、CHNHPbCl及びクマリン153を使用したエレクトロルミネッセンスが開示されているが、青や赤の輝度が不足しており、白色発光材料には不適であった。
【0004】
特許文献2では、複数のペロブスカイト化合物を併用した材料の光ルミネッセンスが開示されているが、スペクトルの広がりは不十分であり、白色発光材料には不適であった。
【0005】
さらに、非特許文献1では、CsAg0.60Na0.40InClを用いたエレクトロルミネッセンスが開示されているが、スペクトルの広がりは不十分であり、白色発光材料には不適であった。
【0006】
また、表示装置においては、臨場感を高めることが期待されており、視感覚の一つとして、色再現性を高める必要がある。色再現性の向上は、例えば、表示装置上における印刷物の色再現性を向上する観点からも必要性が高い。
【0007】
しかしながら従来の一般的な表示装置と同様に三原色を用いて自然界に存在する物体色を表現するためには、発光波長幅が非常に狭い光源が必要であり、複雑な機構を要していた。
【0008】
この課題を解決するため、例えば特許文献3では、多原色化による色域拡大技術が示さている。しかしながら、液晶表示装置に使用される白色LED光源では可視光の波長域全域に幅広く強度が分布する光を得ることはできず、この効果は限られていた。またより多くの発光材料の組み合わせにより白色光を再現した場合には、表示可能な色域は拡大するが、各発光材料の劣化傾向が異なっていたり、温度変化による特性の変化の傾向が異なっていることから、色の再現性を高めることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2019/039174号パンフレット
【文献】国際公開第2018/235948号パンフレット
【文献】国際公開第2003/088203号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【文献】Jiajun Luo他,Nature, 563(7732)541―545 (2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、可視光の波長領域に幅広く発光強度を有する、白色発光材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、無機ハロゲン化物からなることを特徴とする単一の白色発光材料により、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。但し、本発明における単一の白色発光材料とは、発光色の異なる材料を意図的に混合することによって白色発光を得る従来の方法と異なることを意味し、例えばホスト中にドーパントがドープされた半導体膜の様に、局所的に組成が不均一である場合を除外するものではない。
【0013】
本発明の白色発光材料の無機ハロゲン化物は、Rb及びSnを含み、Cl、Br、Iからなる群から選択される陰イオンからなることが好ましい。陰イオンは任意の比率の2種以上の混合であってもよい。
【0014】
本発明の白色発光材料の無機ハロゲン化物は、式Aで表される金属ハロゲン化物である(式中、AはRbであり、BはSn2+であり、XはCl、Br、Iからなる群から選択される陰イオンである。mおよびnは正の整数、pは3以上の整数である。)ことが好ましい。
【0015】
なお、m、n、pは分数または小数で記すことも可能であるが、整数で表示した形式に読み替えるものとする。また、一般に金属ハロゲン化物の元素組成は組成のばらつきなどにより厳密に整数にならない場合があるが、本発明の金属ハロゲン化物はこれらのばらつきや誤差を許容する。
【0016】
本発明の白色発光材料において、無機ハロゲン化物がRbSnBr、RbSnBr及びRbSn2Br5のいずれかであることがより好ましい。
【0017】
また本発明は、上記の白色発光材料を用いた、白色発光素子にも関する。白色発光素子の例としては、エレクトロルミネッセンス素子、カソードルミネッセンス素子、フォトルミネッセンス素子が例示できる。
【0018】
さらに本発明は、上記の発光素子を備えた装置にも関する。本発明の装置とは、発光装置、表示装置が例示できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の白色発光材料は、塗布及び蒸着で製膜できるため、既存の成膜技術を用いて簡便に発光素子を作製することができる。
【0020】
本発明の白色発光材料は、多原色化により、色再現性の高い表示装置を提供することができる。カラーフィルターと組み合わせて自発光型表示装置の画素に用いても良いし、液晶表示装置に代表される光シャッターを利用した表示装置のバックライトに用いても良い。
【0021】
本発明の表示装置は、単一の発光材料を用いることにより画素の劣化の推定が容易であり、劣化に対する補償回路を要する場合にも、その構造を簡易にすることができる。
【0022】
また本発明は、本発明の白色発光材料を用いた、白色発光素子にも関する。
【0023】
本発明の白色発光素子は、カラーフィルターをさらに用いることが可能である。
【0024】
また、本発明の白色発光素子は、副画素を用いて多原色化を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の白色発光材料を用いた、カソードルミネッセンスの測定結果と、対応する色温度のCIE昼光を示す図である。
図2】本発明の白色発光素子の構造例を示す図である。
図3】本発明の白色発光材料を用いた白色発光素子と、カラーフィルターを用いて構成された表示装置の構造例を示す図である。
図4】本発明の白色発光材料を用いた白色発光素子と、カラーフィルターを用いて構成された表示装置パネルの構造例を説明する図である。
図5】本発明の白色発光素子から得られた発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
【0027】
[白色発光材料]
図1は、本発明の単一材料である無機ハロゲン化物からなる白色発光材料を用いたカソードルミネッセンスの測定結果と、カソードルミネッセンスの測定結果に対する相関色温度と同じ色温度のCIE昼光を示す図である。図1に示される通り、本発明の白色発光材料は、広い波長領域に渡り発光強度が得られる白色発光を実現している。
【0028】
本発明の白色発光材料の無機ハロゲン化物は、Rb及びSnを含み、Cl、Br、Iからなる群から選択される陰イオンからなることが好ましい。陰イオンは任意の比率の2種以上の混合であってもよい。
【0029】
本発明の白色発光材料の無機ハロゲン化物は、式Aで表される金属ハロゲン化物である(式中、AはRbであり、BはSn2+であり、XはCl、Br、Iからなる群から選択される陰イオンである。mおよびnは正の整数、pは3以上の整数である。)ことが好ましい。
【0030】
なお、m、n、pは分数または小数で記すことも可能であるが、整数で表示した形式に読み替えるものとする。また、一般に金属ハロゲン化物の元素組成は組成のばらつきなどにより厳密に整数にならない場合があるが、本発明の金属ハロゲン化物はこれらのばらつきや誤差を許容する。
【0031】
本発明の白色発光材料において、無機ハロゲン化物がRbSnBr、RbSnBr及びRbSn2Br5のいずれかであることがより好ましい。
【0032】
本発明の白色発光材料は、カソードルミネッセンス、フォトルミネッセンス、エレクトロルミネッセンスで発光させることができる。
【0033】
[発光素子]
本発明の発光素子は、広い波長領域に渡り発光強度が得られる白色発光素子を実現することができる。本発明の白色発光材料は半導体であり、エレクトロルミネッセンスによって発光させることができる。
【0034】
図2は、本発明の発光素子の一態様を示す図である。この態様では、上から順に、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、陽極で発光素子が構成されている。陰極と電子輸送層の間には電子注入層があってもよく、陽極と正孔輸送層の間には正孔注入層があっても良い。かつ、この他の複数の層を有していてもよい。なお輸送層や注入層という名称は便宜上用いているもので、その機能や作用機構が明確に区分できるものではない。
【0035】
陽極に高電位が印加されるとともに陰極に低電位が印加されると、正孔と電子がそれぞれ正孔輸送層と電子輸送層を介して発光層に移動し、発光層で互いに結合して発光する。
【0036】
電子輸送層は、電子輸送能力がある有機物質や、電子輸送能力がある有機ホスト物質にLi、Na、K、又はCsのようなアルカリ金属およびアルカリ金属からなる化合物、又はMg、Sr、Ba、又はRaのようなアルカリ土類金属およびアルカリ土類金属からなる化合物がドープされた有機層であってもよい。また、金属ハロゲン化物や金属酸化物からなる半導体であってもよい。無機物であっても、有機物であっても、有機無機複合化合物であってもよく、これらの例示した化合物に限定されない。
【0037】
なお本発明におけるアルカリ土類金属とはベリリウムとマグネシウムを含む第2族元素を表す。正孔輸送層は、正孔輸送能力を有する有機物質や、正孔輸送能力を有する有機ホスト物質にドーパントがドープされた有機層であってもよい。また、金属ハロゲン化物や金属酸化物からなる半導体であってもよい。無機物であっても、有機物であっても、有機無機複合化合物であってもよく、これらの例示した化合物に限定されない。
【0038】
電子注入層は、例えば、LiF又はLiO、あるいはLi、Na、Ca、Mg、Sr、Baなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属などの無機物から形成することができる。 正孔注入層は、正孔注入物質をホストとし、p型ドーパントを含むことができる。
【0039】
さらに、本発明の発光素子の電子注入層は、金属ナトリウムが有機溶媒に溶解した材料から作製される金属ナトリウム膜を要することができる。金属ナトリウムを溶解する有機溶媒としては、例えば、N,N’-ジメチルエチレン尿素、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N’-ジメチルプロピレン尿素が挙げられる。
【0040】
電極材料の例としては、Ag、Al、Mg、Caなどの金属、Mg-Agなどの合金、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)、IZO(In-ZnO)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの酸化物などが挙げられる。一般に透明金属酸化物が陽極に、金属が陰極に用いられるが、逆でもよく、透明金属酸化物を陰極に、金属を陽極に用いてもよい。
【0041】
MgやCaなどの仕事関数の低い金属は、電子注入層としての効果も有している。一方でMgやCaなどの金属は機械的強度が低く化学的な安定性も低いので、一般的にはAlなどで補強を行う。
【0042】
また、AlやAgは反射層を兼ねている。光の取出し方向は、一般に反射層と反対側に設計されるが、陰極側と陽極側のいずれでもよい。
【0043】
透明発光素子を作成する際には、Mg-Ag合金膜、Au-Ni合金膜、薄いAg膜などが用いられる。Ag膜の下に、ITOなどがあってもよく、Ag膜を上下からITO膜で挟み込んだ構造であってもよい。
【0044】
また、上記の材料による膜は、一般には真空成膜で製造されるが、ナノサイズに微細化し、溶媒に分散させたインクから製膜させることも可能である。特に金属ハロゲン化物はその多くが、原料を溶媒に溶解させることで得られたインクから製膜することが可能である。インクを用いることで、種々の塗布法の適用が可能になる。塗布法の例としては具体的には、スピンコート法、インクジェット法、静電塗布法、超音波霧化を用いる方法、スリットコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
【0045】
本発明の発光素子の発光層には、無機ハロゲン化物が発光材料として用いられる。無機ハロゲン化物としては、式Aで表される金属ハロゲン化物であることが好ましい(式中の記号は、前記と同じ意味である)。
【0046】
本発明の発光素子は、カソードルミネッセンスやフォトルミネッセンスによって発光させることができる。陰極線管や、プラズマに由来する紫外線を励起源に用いる発光素子、LEDによる発光を励起源に用いる発光素子などを挙げることができる。
【0047】
[発光装置]
本発明の発光装置は、広い波長領域に渡り発光強度が得られる白色発光装置を実現することができる。白色発光装置の例としては、照明装置が挙げられる。広い波長領域に渡り発光強度が得られているために、白色照明に求められる重要な指標の一つである演色性に優れた発光装置を実現することができる。
【0048】
本発明の発光装置は、液晶パネルと組み合わせて、液晶表示装置を構成することができる。
【0049】
[表示装置]
図3に、本発明の白色発光材料を用いた白色発光素子と、カラーフィルターを用いて構成された表示装置の構造例を示す。16は第1基板を示し、50は第2基板を示し、201、202は副画素を示し、211、212は画素電極を示し、22はゲート絶縁層を示し、23は発光部を示し、24は第一絶縁層を示し、25は共通電極を示し、26は第二絶縁層を示し、28はバンク層を示し、42は接着層を示し、111、112はゲート電極を示し、121、122は半導体層を示し、141、142はソース電極を示し、151、152はドレイン電極を示し、171、172はカラーフィルター層を示している。
【0050】
本発明の発光装置は、広い波長領域に渡り発光強度が得られる白色発光が得られる表示装置を実現することができる。また、種々の真空成膜法や塗布法で製造可能であり、素子の厚みが薄いことから、大面積で柔軟な表示装置の作製を可能にする。加えて、本発明の表示装置は、高精細、高応答速度、高コントラスト、広視野角、薄型などの有機ELディスプレイが備える特長を兼ね備える。
【0051】
本発明の表示装置は、色再現性の高い表示装置を実現することができる。図4は、本発明の白色発光素子と、カラーフィルターを用いて構成された表示装置パネルの構造例を説明する図である。副画素の数に制限は無く、任意のn個の副画素を用いることができる。このように多原色化を行うことにより、実在する物体色の広範な範囲を再現できるようになる。また、一般に使用される表示装置は条件等色の原理を用いて知覚される色を表現しているが、本発明の表示装置は、多原色化によって表示物のスペクトル形状の再現度を高められる。スペクトル形状の再現度が向上することによって、色情報をより忠実に表現することができるようになる。色情報のより忠実な再現によって、表示装置によって生じる色知覚の個人差の度合いを、低減することができる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な実施の形態が可能である。
【0053】
よって、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義される本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形や改良形態も本発明に含まれる。
【実施例
【0054】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
(白色発光材料、Rb―Sn―Br化合物の合成)
0.132gのRbBr及び0.222gのSnBrを3.0mlのN,N―ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。次いで、80℃で18時間撹拌した。得られた混合液を、室温下で減圧乾燥することでDMFを除去し、白色発光材料である、Rb―Sn―Br化合物を得た。
【0056】
(白色発光材料、Rb―Sn―Br化合物の評価)
得られたRb―Sn―Br化合物に室温下で電子線を照射し発光スペクトルを測定することで、カソードルミネッセンス測定を実施した。
【0057】
実施例1で得られたカソードルミネッセンススペクトルを図1に示す。図1には共に、カソードルミネッセンススペクトルから算出された相関色温度に対応するCIE昼光のスペクトルを示す。なお、算出された相関色温度は5377Kであった。
【0058】
図1に示す通り、実施例1で得られたRb―Sn―Br化合物は、非常に幅広い波長域に発光強度を有する。またそのスペクトルはCIE昼光に非常に似通っているため、白色照明としての高い演色性が得られることが明らかである。図1に示したカソードルミネッセンススペクトルから算出される演色性指数を、表1に示す。表1に示す通り、本発明の白色発光材料は極めて高い演色性を有する。
【0059】
【表1】
【0060】
[実施例2]
(発光素子の製造実施例)
[第1工程]第1電極としてITO付基板を準備し、UVによる洗浄を行った。
[第2工程]第1電極上に、正孔輸送層材料(PEDOT:PSS)をスピンコーティング法により塗布した後、130℃で15分保持した。
[第3工程]正孔注入層上に、実施例1で得られた白色発光材料0.245gを3.0mlのDMFに溶解し、スピンコーティング法により塗布した後、70℃で30分保持した。
[第4工程]電子輸送層としてバトフェナントロリンを蒸着した。
[第5工程]電子注入層材料としてフッ化リチウム及びアルミニウムをこの順番で順次蒸着した。
【0061】
〔測定〕
得られた発光素子に16Vの電圧を印加し、発光スペクトルを測定した。16Vの電圧印加時には、目視で白色の発光が確認された。得られた発光スペクトルを図5に示す。
【符号の説明】
【0062】
16 第1基板
50 第2基板
201、202、20n 副画素
211、212 画素電極
23 発光部
25 共通電極
28 バンク層
30 画素
42 接着層
図1
図2
図3
図4
図5