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特許7401222液体材料塗布機構および液体材料塗布装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液体材料塗布機構および液体材料塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/02 20060101AFI20231212BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05C11/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019146305
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021023906
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 航平
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-268354(JP,A)
【文献】国際公開第2007/049350(WO,A1)
【文献】特開2016-059908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00-21/00
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象材に液体材料を塗布するための塗布針と、
前記液体材料を収納保持し、底面に前記塗布針が貫通可能な貫通孔が形成された液体材料容器と、
前記液体材料容器を加熱および吸熱可能な加熱吸熱部と、
前記加熱吸熱部の温度を調節する温度調節器と
前記液体材料容器内の前記液体材料の温度を直接検出可能な第1の温度検出手段とを備え、
前記温度調節器は、前記第1の温度検出手段で検出された前記液体材料の温度が設定温度になるよう前記液体材料の温度を調節する、液体材料塗布機構。
【請求項2】
前記加熱吸熱部の温度を検出可能な第2の温度検出手段をさらに備え、
前記温度調節器は、前記第2の温度検出手段で検出された前記加熱吸熱部の温度が設定温度になるよう前記加熱吸熱部の温度を調節する、請求項1に記載の液体材料塗布機構。
【請求項3】
前記液体材料容器は、前記加熱吸熱部が接触する高熱伝導部材、および前記高熱伝導部材に重なるように取り付けられた断熱材に囲まれており、
前記高熱伝導部材および前記断熱材は前記加熱吸熱部よりも面積が大きい、請求項1または2に記載の液体材料塗布機構。
【請求項4】
前記液体材料容器の前記貫通孔に隣接する領域に前記加熱吸熱部が配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の液体材料塗布機構。
【請求項5】
前記加工対象材を、前記貫通孔と間隔をあけて前記貫通孔の真下に配置することが可能な、請求項1~のいずれか1項に記載の液体材料塗布機構。
【請求項6】
前記液体材料容器は、前記加熱吸熱部および前記温度調節器が取り付けられるユニット固定治具をさらに備え、
前記液体材料容器は、前記ユニット固定治具に対して着脱可能である、請求項1~のいずれか1項に記載の液体材料塗布機構。
【請求項7】
体材料塗布機構と、
持台とを備える液体材料塗布装置であって、
前記液体材料塗布機構は、
加工対象材に液体材料を塗布するための塗布針と、
前記液体材料を収納保持し、底面に前記塗布針が貫通可能な貫通孔が形成された液体材料容器と、
前記液体材料容器を加熱および吸熱可能な加熱吸熱部と、
前記加熱吸熱部の温度を調節する温度調節器とを有し、
前記液体材料容器は、前記加熱吸熱部および前記温度調節器が取り付けられるユニット固定治具を有し、
前記液体材料容器は、前記ユニット固定治具に対して着脱可能であり、
前記保持台は、前記加工対象材を保持し、
前記液体材料容器と前記加熱吸熱部とが保持された前記ユニット固定治具は、前記温度調節器によって前記液体材料の温度が調節される際には前記液体材料塗布機構に含まれる塗布ヘッド部から取り外された状態とすることが可能であり、前記液体材料が塗布される際には前記塗布ヘッド部に取り付けられた状態とすることが可能である、液体材料塗布装置。
【請求項8】
前記加工対象材に塗布される前記液体材料のパターンの径よりも、前記加工対象材に付着する前記液体材料の曳糸の長さが短い状態で前記曳糸が切れることが可能な、請求項に記載の液体材料塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体材料塗布機構および液体材料塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグなどの微細な回路を印刷(塗布)方式で形成するプリンテッドエレクトロニクス技術が急速に発展してきている。プリンテッドエレクトロニクス技術において、塗布針を用いた方式は、広範囲の粘度の材料を用いて微細な塗布が可能な点で、その選択肢の一つである。
【0003】
塗布針を用いて微細な塗布を行う方法として、特開2007-268353号公報(特許文献1)に記載のような塗布ユニットを用いて行う方法がある。当該塗布ユニットにおいては、液体材料容器の底面に貫通孔が設けられる。貫通孔を上下方向に動くことが可能な、液体材料を塗布するための塗布針が配置される。塗布針の先端に付着した、液体材料容器内の液体材料が、塗布対象物である基板の表面に転写される。これにより、当該液体材料により形成される微細な回路のパターンの欠陥が修正できる。
【0004】
また、パターンの欠陥の修正に用いられる液体材料は、その粘性がばらつき、結果として転写される量がばらつく可能性がある。このようなばらつきを低減するためには、液体材料容器内の液体材料を適正温度に保つことが重要であると考えられている。そこでたとえば実開平5-22062号公報(特許文献2)には、液体材料を加熱または冷却することでその温度を調節する温度調節器を備える塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-268353号公報
【文献】実開平5-22062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、高分子材料を含む液体材料を高速塗布する場合、以下の問題が生じ得る。高分子材料を含む液体材料は、塗布針の先端が加工対象材である基板などの上に接触したあと引き上がる際に、液体材料が塗布針と基板との間の領域を長く糸状に延びる、いわゆる曳糸性を示すことがある。この場合、塗布針の先端が接触した基板上の位置からこれとは異なる次に塗布すべき基板上の位置へと移動する際に、基板の表面上に余分な液体材料の糸曳き跡を残す恐れがある。糸曳き跡の形成を防ぐためには、実開平5-22062号公報のように液体材料の粘度を調節しただけでは不十分である。そもそも実開平5-22062号公報では、液体材料の曳糸性および糸曳き跡の形成を防ぐ思想については何ら考慮されていない。また特開2007-268353号公報においても、液体材料の曳糸性について考慮されていない。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものである。その目的は、曳糸性が大きい液体材料を、糸曳き跡の形成を抑制するように安定に高速塗布可能な液体材料塗布機構および液体材料塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従った液体材料塗布機構は、塗布針と、液体材料容器と、加熱吸熱部と、温度調節器とを備える。塗布針は、加工対象材に液体材料を塗布する。液体材料容器は、液体材料を収納保持し、底面に塗布針が貫通可能な貫通孔が形成されている。加熱吸熱部は、液体材料容器を加熱および吸熱可能である。温度調節器は、加熱吸熱部の温度を調節する。
【0009】
本開示に従った液体材料塗布機構は、液体材料容器が、加熱吸熱部および温度調節器が取り付けられるユニット固定治具をさらに備える。液体材料容器は、ユニット固定治具に対して着脱可能である。本開示に従った液体材料塗布装置は、上記のユニット固定治具を備える液体材料塗布機構と、加工対象材を保持する保持台とを備える。液体材料容器と加熱吸熱部とが保持されたユニット固定治具は、温度調節器によって液体材料の温度が調節される際には液体材料塗布機構に含まれる塗布ヘッド部から取り外された状態とすることが可能であり、液体材料が塗布される際には塗布ヘッド部に取り付けられた状態とすることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本開示に従えば、貫通孔が形成された液体材料容器を加熱および吸熱可能な加熱吸熱部により、曳糸性が大きい液体材料を、糸曳き跡の形成を抑制するように安定に高速塗布できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に従った液体材料塗布装置の模式図である。
図2図1に示した液体材料塗布装置の塗布ユニットを示す模式図である。
図3図2に示した塗布ユニットのカム部材を説明するための模式図である。
図4】実施の形態1における液体材料塗布機構に含まれる液体材料容器およびそれに隣接する領域の構成を示す概略断面図である。
図5図4の塗布ユニットから液体材料容器が取り外された態様を示す模式図である。
図6図4の塗布ユニットからユニット固定治具が取り外された態様を示す模式図である。
図7】比較例における液体材料塗布装置の動作を説明するための模式図である。
図8】比較例における液体材料塗布装置による液体材料の塗布時に基板の表面上に形成されるパターンを示す概略図である。
図9】実施の形態2における液体材料塗布機構に含まれる液体材料容器およびそれに隣接する領域の構成を示す概略断面図である。
図10】実施の形態2の変形例における液体材料塗布機構に含まれる液体材料容器およびそれに隣接する領域の構成を示す概略断面図である。
図11】本実施の形態の塗布ユニットを含む液体材料塗布装置を用いて、液体材料の温度と曳糸性との関係を評価する際の評価基準を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお説明の便宜上、X方向、Y方向およびZ方向が導入されている。
【0013】
(はじめに)
後に繰り返すが、まず本実施の形態の特徴について概略的に説明する。図4を参照して、本実施の形態に係る本開示に従った液体材料塗布機構としての塗布ユニット4は、塗布針24と、液体材料容器21と、加熱吸熱部としてのペルチェ素子31と、温度調節器33とを備える。塗布針24は、加工対象材としての基板5に液体材料70を塗布する。液体材料容器21は、液体材料70を収納保持し、底面に塗布針24が貫通可能な貫通孔25が形成されている。ペルチェ素子31は、液体材料容器21を加熱および吸熱可能である。温度調節器33は、ペルチェ素子31の温度を調節する。
【0014】
(実施の形態1)
(塗布装置の全体構成)
図1は、本実施の形態に従った液体材料塗布装置の模式図である。図1を参照して、本発明の実施形態である液体材料塗布装置100は、処理室と、当該処理室の内部に配置されたY軸テーブル2と、X軸テーブル1と、Z軸テーブル3と、塗布ユニット4と、観察光学系6と、当該観察光学系6に接続されたCCDカメラ7と、制御部とを主に備えている。制御部は、モニタ9と、制御用コンピュータ10と、操作パネル8とを含む。
【0015】
処理室の内部においては、当該処理室の底部上にY軸テーブル2が設置されている。このY軸テーブル2は、Y軸方向に移動可能になっている。具体的には、Y軸テーブル2の下面にガイド部が設置されている。当該ガイド部は、処理室の底面に設置されたガイドレールに摺動可能に接続されている。また、Y軸テーブル2の下面にはボールねじが接続されている。当該ボールねじをモータなどの駆動部材により動作させることにより、Y軸テーブル2はガイドレールに沿って(Y軸方向に)移動可能になっている。また、Y軸テーブル2の上部表面上は、加工対象材である基板5を搭載する搭載面となっている。つまりY軸テーブル2は、液体材料塗布装置100において、加工対象材である基板5を保持する保持台として機能する。
【0016】
Y軸テーブル2上には、X軸テーブル1が設置されている。X軸テーブル1は、Y軸テーブル2をX軸方向に跨ぐように設置された構造体上に配置されている。X軸テーブル1には、Z軸テーブル3が接続された移動体がX軸方向に移動可能に設置されている。移動体は、たとえばボールねじを用いてX軸方向に移動可能となっている。なお、X軸テーブル1は上記構造体を介して処理室の底面に固定されている。そのため、上述したY軸テーブル2は、X軸テーブル1に対してY軸方向に移動可能になっている。
【0017】
X軸テーブル1に接続された移動体には、上述のようにZ軸テーブル3が設置されている。Z軸テーブル3には、観察光学系6および塗布ユニット4が接続されている。観察光学系6は塗布対象の基板5の塗布位置を観察するためのものである。CCDカメラは、観察した画像を電気信号に変換する。Z軸テーブル3は、これらの観察光学系6および塗布ユニット4をZ軸方向に移動可能に保持している。
【0018】
これらのY軸テーブル2、X軸テーブル1、Z軸テーブル3、観察光学系6および塗布ユニット4を制御するための制御用コンピュータ10および操作パネル8、さらに制御用コンピュータに付随するモニタ9は、処理室の外部に設置されている。モニタ9は、上述したCCDカメラ7で変換された画像データや、制御用コンピュータ10からの出力データを表示する。操作パネル8は、制御用コンピュータ10への指令を入力するために用いられる。
【0019】
(塗布ユニットの構成)
上述した塗布ユニット4は、Y軸テーブル2上に載置された基板5に液体材料を供給する。以下に塗布ユニット4に関して、図2および図3を参照してより詳しく説明する。図2は、図1に示した液体材料塗布装置の塗布ユニットを示す模式図である。図3は、図2に示した塗布ユニットのカム部材を説明するための模式図である。図2および図3を参照して、図1に示したZ軸テーブル3に固定された塗布ユニット4は、液体材料塗布装置100に含まれる液体材料塗布機構である。塗布ユニット4は、サーボモータ41と、カム43と、軸受44と、カム連結板45と、可動部46と、塗布針ホルダ20と、当該塗布針ホルダ20に保持された塗布針24と、液体材料容器21とを主に含んでいる。サーボモータ41は、図1に示したZ軸方向に沿った方向に回転軸が延びるように設置されている。サーボモータ41の回転軸にはカム43が接続されている。カム43は、サーボモータ41の回転軸を中心として回転可能になっている。なお図2(B)での液体材料容器21の形状は、後述する本実施の形態での液体材料容器21の形状と若干異なる場合がある。
【0020】
カム43は、サーボモータ41の回転軸に接続された中心部と、当該中心部の一方端部に接続されたフランジ部とを含む。図3(A)に示すように、フランジ部の上部表面(サーボモータ41側の表面)はカム面61となっている。このカム面61は、中心部の外周に沿って円環状に形成されているとともに、フランジ部の底面からの距離が変動するようにスロープ状に形成されている。具体的には、図3(B)に示すように、カム面61はフランジ部の底面からの距離が最も大きくなっている上端フラット領域62と、この上端フラット領域62から間隔を隔てて配置され、フランジ部の底面からの距離が最も小さい下端フラット領域63と、上端フラット領域62と下端フラット領域63との間を接続するスロープ部とを含む。ここで、図3(B)は、中心部を囲むように環状に配置されたカム面61を含むフランジ部を側面から見た展開図である。
【0021】
このカム43のカム面61に接するように軸受44が配置されている。軸受44は、図2(A)に示すようにカム43から見て特定の方向(サーボモータ41の右側)に配置されており、サーボモータ41の回転軸が回転することでカム43が回転したとき、カム面61に接触した状態を保つ。この軸受44にカム連結板45が接続されている。カム連結板45において、軸受44と接続された一方端部と反対側の他方端部は可動部46に固定されている。可動部46には、塗布針ホルダ固定部47および塗布針ホルダ収納部48が接続されている。この塗布針ホルダ収納部48に塗布針ホルダ20が収納されている。
【0022】
塗布針ホルダ20は塗布針24を含む。塗布針24は、塗布針ホルダ20の下面(サーボモータ41が位置する側と反対側である下側)において塗布針ホルダ20から突出するように配置されている。塗布針ホルダ20下には液体材料容器21が配置されている。液体材料容器21に塗布針24は挿入された状態で保持されている。
【0023】
可動部46には固定ピン52が設置されている。また、サーボモータ41を保持している架台には他方の固定ピン51が設置されている。この固定ピン51、52の間を繋ぐようにバネ50が設置されている。このバネ50により、可動部46は液体材料容器21側に向けた引張り力を受けた状態になっている。また、このバネ50による引張り力は、可動部46およびカム連結板45を介して軸受44に作用する。このバネ50の引張り力によって、軸受44はカム43のカム面61に押圧された状態を維持している。
【0024】
また、可動部46、塗布針ホルダ固定部47、塗布針ホルダ収納部48は、上記架台に設置されたリニアガイド49に接続されている。リニアガイド49は、Z軸方向に延びるように配置されている。そのため、可動部46、塗布針ホルダ固定部47、塗布針ホルダ収納部48はZ軸方向に沿って移動可能になっている。
【0025】
(塗布ユニットの動作)
次に、上述した塗布ユニット4の動作について説明する。上述した塗布ユニット4においては、サーボモータ41を駆動することにより当該サーボモータ41の回転軸を回転させてカム43を回転させる。この結果、カム43のカム面61は、Z軸方向における高さが変化するため、図2(A)におけるカム43の右側においてカム面61に接触している軸受44のZ軸方向における位置もサーボモータ41の駆動軸の回転に応じて変動する。そして、この軸受44のZ軸方向での位置変動に応じて、可動部46、塗布針ホルダ固定部47、塗布針ホルダ収納部48がZ軸方向に移動する。この結果、塗布針ホルダ収納部48に保持されている塗布針ホルダ20もZ軸方向に移動するので、当該塗布針ホルダ20に設置されている塗布針24のZ軸方向における位置を変化させることができる。
【0026】
(液体材料塗布装置の動作)
次に、図1に示した液体材料塗布装置の動作を説明する。
【0027】
図1に示した液体材料塗布装置100において、回路パターンを描画する場合は、まず、塗布対象(加工対象材)である基板5を準備する(工程(S10))。そして、基板5を液体材料塗布装置のY軸テーブル2上に搭載した後、基板5における描画する領域を観察光学系6の直下までX軸テーブル1およびY軸テーブル2を動作させて移動させる。そして、観察光学系6で描画開始位置を観察・確認し、描画開始位置を決定する。決定した描画開始位置を基準にして、Z軸テーブル3を動作させることにより、塗布ユニット4を、塗布針24が突出した時に塗布針24先端が基板5に接触する基板5上方まで下降させ、この状態で、サーボモータ41を動作させて塗布針24を突出させることで、表面に液体材料が付着した塗布針24を基板5の表面に接触させる。具体的には、描画開始位置から、描画するべき位置が塗布ユニット4の直下に位置するようにX軸テーブル1およびY軸テーブル2を用いて基板5を移動させる。そして、移動が完了した時点で、Z軸テーブル3により塗布ユニット4を下降させて(基板5側へ塗布ユニット4を移動させて)、塗布ユニット4のサーボモータ41を駆動して塗布針24を突出させることで、塗布針24により基板5へ液体材料の塗布を行う。その後、Z軸テーブル3を用いて塗布ユニット4を上昇させる。連続して塗布する場合は、Z軸テーブル3で塗布ユニット4を下降させた後、基板5の描画位置が順次、塗布ユニット4の直下にくるようにX軸テーブル1およびY軸テーブル2を用いて移動させ、移動完了後、塗布ユニット4のサーボモータ41を駆動して塗布針24を突出させて塗布を行う。このような動作を連続して繰り返すことで、基板5表面に回路パターンを描画する(工程(S20))。このとき、基板5へ塗布針24を接触させる前に前もって塗布針24の移動速度を下げておく制御を行なうことが好ましい。
【0028】
(液体材料容器およびそれに隣接する領域の構成)
図4は、実施の形態1における液体材料塗布機構に含まれる液体材料容器およびそれに隣接する領域の構成を示す概略断面図である。図4を参照して、塗布ユニット4は、塗布針24と、液体材料容器21と、加熱吸熱部としてのペルチェ素子31と、温度調節器33とを主に備えている。液体材料容器21は、塗布されるべき液体材料70をその内部に収納保持している。液体材料容器21は、そのZ方向の最下部に位置する底面に貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、塗布針24による液体材料70の塗布の際に、下降した塗布針24が貫通し液体材料容器21から露出するための孔部である。したがって塗布針24により液体材料70が塗布されるべき基板5は、貫通孔25と間隔をあけて貫通孔25の真下に配置されることが可能である。言い換えれば、基板5は、貫通孔25をZ方向から平面視したときに貫通孔25と重なる領域を含むように配置される。なお液体材料容器21内の液体材料70は貫通孔25から漏出することはない。これは液体材料容器21内の液体材料70に対しては、貫通孔25の縁部における表面張力と、液体材料容器21内の液体材料70の重量による圧力とが釣り合うことによる。
【0029】
液体材料容器21は、その外側の壁面が、Z方向の比較的上側の領域においては鉛直方向に沿って延びている。液体材料容器21は、その外側の壁面が、Z方向の比較的下側の領域においては鉛直方向に対して傾斜するように延びている。これにより液体材料容器21は、Z方向の下側の領域では、Z方向から平面視したときのX方向およびY方向のサイズが、Z方向の下方に向かうにつれて小さくなるような態様となっている。
【0030】
ペルチェ素子31は、液体材料容器21を加熱および吸熱可能な部材である。この加熱および吸熱を可能とするために、ペルチェ素子31にはたとえば加熱面31Aと冷却面31Bとが設けられている。たとえばペルチェ素子31が直方体状である場合、加熱面31Aは図4においてY方向負側すなわち液体材料容器21が配置される側を向く矩形の面であり、冷却面31Bは図4においてY方向正側すなわち液体材料容器21と反対側を向く矩形の面である。ただしこれとは逆に、たとえば冷却面31Bが液体材料容器21の配置される側を向き、加熱面31Aが液体材料容器21と反対側を向いてもよい。
【0031】
温度調節器33は、ペルチェ素子31の温度を調節する。具体的には、温度調節器33からはたとえば、第1の温度検出手段32Aと、第2の温度検出手段32Bとが延びている。また温度調節器33からは金属線32Cが延びている。第1の温度検出手段32Aと金属線32Cとにより第1の熱電対をなし、第2の温度検出手段32Bと金属線32Cとにより第2の熱電対をなす。つまり第1の温度検出手段32Aおよび第2の温度検出手段32Bは熱電対の一部をなす金属線である。金属線32Cはたとえば液体材料容器21の外部の、ファン部35と小型ペルチェユニット37とに挟まれた金属部材の部分に接触している。
【0032】
第1の温度検出手段32Aは液体材料容器21内の液体材料70の温度を検出可能である。また第2の温度検出手段32Bはペルチェ素子31に接触しており、ペルチェ素子31の温度を検出可能である。なお第1の温度検出手段32Aは液体材料容器21内に差し込まれることで液体材料70に直接触れ、直接的に液体材料70の温度を測定することがより好ましい。ただし第1の温度検出手段32Aは液体材料容器21に触れることで液体材料70の温度を間接的に測定してもよい。このように間接的に測定する場合は、特に液体材料70から液体材料容器21への熱伝導の影響を考慮すればよい。
【0033】
温度調節器33は、第1の温度検出手段32Aで検出された液体材料70の温度が設定温度になるよう、液体材料70の温度を調節する。また温度調節器33は、第2の温度検出手段32Bで検出されたペルチェ素子31の温度が設定温度になるよう、ペルチェ素子31の温度を調節する。このために、温度調節器33は、第1の温度検出手段32Aおよび第2の温度検出手段32Bを含む熱電対が検出した温度を、温度調節器33自体に設定された温度に調節するよう、ペルチェ素子31を制御する。より具体的には、このような温度制御のために、温度調節器33はペルチェ素子31に対し、第1の温度検出手段32Aで検出された液体材料70があらかじめ設定された温度となるようにペルチェ素子31に印加する電圧の大きさおよび当該電圧の印加時間を調節する。言い換えれば温度調節器33は、第1の温度検出手段32Aによる液体材料70の検出温度とその設定温度とに応じてペルチェ素子31への通電方向を変えることで、ペルチェ素子31の加熱と冷却とを切り替える。つまり温度調節器33は、たとえば第1の温度検出手段32Aによる液体材料70の温度検出と、その検出される温度の調節とを繰り返す機能を有する。
【0034】
ただしそのような機能に限らず、温度調節器33は以下の第1、第2および第3のいずれかの機能を有してもよい。第1に、温度調節器33はペルチェ素子31に一定の電圧を印加し続けてもよい。具体的には、たとえばあらかじめペルチェ素子31に印加する電圧の大きさと、第1の温度検出手段32Aが検出する温度との関係を測定し、その測定結果をもとに決められた一定の電圧が印加し続けられる。第2に、温度調節器33はペルチェ素子31に電圧を印加し、第1の温度検出手段32Aなどの検出温度が一定温度まで上がれば電圧印加を止め、当該検出温度が一定温度以下になれば電圧印加を再開するものであってもよい。上記一定温度はあらかじめ決められた温度である。第3に、温度調節器33は第1の温度検出手段32Aなどの検出温度と無関係に決められた時間だけ決められた電圧印加を決められた時間間隔で行なってもよい。具体的には、あらかじめペルチェ素子31に印加する電圧の大きさおよび印加する時間と第1の温度検出手段32Aの検出温度との関係が導き出される。当該関係から決められた電圧が決められた時間だけ、決められた時間間隔で、第1の温度検出手段32Aに温度検出させずに印加される。
【0035】
液体材料容器21の温度を制御するペルチェ素子31は、高熱伝導部材26に接触するように配置されている。より詳しくは、ペルチェ素子31は、たとえば加熱面31Aが、高熱伝導部材26の液体材料容器21と反対側である外側の表面上に接触するように取り付けられている。このようにペルチェ素子31の加熱面31Aが高熱伝導部材26に接触し、高熱伝導部材26が液体材料容器21に接触する。これにより、ペルチェ素子31の熱が速やかに高熱伝導部材26に伝わり、高熱伝導部材26内を拡散してから液体材料70および液体材料容器21に伝わる。これにより液体材料70および液体材料容器21が均一に加熱される。
【0036】
言い換えれば液体材料容器21は、その外側の壁面が、たとえば高熱伝導部材26に囲まれている。高熱伝導部材26は、たとえばアルミニウムのような熱伝導率が高い部材により形成されている。高熱伝導部材26は、液体材料容器21の外側の壁面のほぼ全面を覆うように配置されている。高熱伝導部材26は、少なくともペルチェ素子31よりも平面視における面積が大きくなるように配置されている。断熱材27は、たとえば樹脂材料のような断熱性に優れた部材により形成されている。さらに液体材料容器21は、その外側の壁面が断熱材27に囲まれている。断熱材27は、高熱伝導部材26のたとえば外側に巻かれるように配置されている。これにより断熱材27は高熱伝導部材26に重なるように取り付けられている。
【0037】
このように、液体材料容器21の外側の壁面上において、液体材料70に近い内側に高熱伝導部材26が巻かれ、高熱伝導部材26の外側に断熱材27が巻かれることが好ましい。このようにすれば、液体材料70への伝熱および液体材料70からの吸熱が、液体材料70に近い高熱伝導部材26により良好になされる。高熱伝導部材26が液体材料70の温度を調節する熱媒体として機能するためである。またこのようにすれば、液体材料70に伝わる熱または液体材料70から奪われる熱が断熱材27から外側に伝わることが抑制される。断熱材27が液体材料容器21などからその外側への伝熱を抑制するためである。このため液体材料容器21の外側の領域が意図せず加熱され、それによりたとえば冷却面31Bが加熱される不具合を抑制できる。
【0038】
なお図4においては高熱伝導部材26の外側の表面上の領域のうち、ペルチェ素子31が配置される領域においては断熱材27が配置されず、断熱材27が空洞を形成するようにくり抜かれた態様を有している。このような態様とすれば、断熱材27のうち図4の冷却面31Bは断熱材27から露出するため、冷却面31Bはファン部35から放熱作用を受けやすくなり、冷却効率が高められる。ただし高熱伝導部材26の外側の表面上に配置されるペルチェ素子31の外側の表面すなわち図4の冷却面31Bを覆うように断熱材27が配置されてもよい。このようにすれば、ペルチェ素子31の熱がその外側に伝わることが、断熱材27によりいっそう確実に抑制される。ペルチェ素子31の外側の表面が断熱材27に覆われるためである。その結果、ペルチェ素子31の加熱面31A側をより確実に加熱し、ペルチェ素子31の冷却面31B側をより確実に冷却できる。なお断熱材27は上記のペルチェ素子31が配置されることによりくり抜かれる領域を除く、液体材料容器21の外側の壁面上のほぼ全体に配置されることが好ましい。断熱材27は、少なくともペルチェ素子31よりも平面視における面積が大きくなるように配置されている。
【0039】
ペルチェ素子31および温度調節器33は、ユニット固定治具55に取り付けられている。ユニット固定治具55は液体材料容器21に備えられているため液体材料容器21の一部と考えてもよい。ペルチェ素子31が接触された高熱伝導部材26、断熱材27に加え、ファン部35および小型ペルチェユニット37を固定している。ファン部35および小型ペルチェユニット37はいずれもペルチェ素子31の冷却面31Bが面する側であるY方向正側に配置されている。ファン部35はたとえばペルチェ素子31を冷却面31B側から冷却させる。小型ペルチェユニット37はたとえばペルチェ素子31を小型化したもののように、補助的にペルチェ素子31と同様の機能を有する。
【0040】
図5は、図4の塗布ユニットから液体材料容器が取り外された態様を示す模式図である。図5を参照して、液体材料容器21は、ユニット固定治具55に対して容易に着脱可能であることが好ましい。ユニット固定治具55は、液体材料容器21の外側の壁面上に巻かれる高熱伝導部材26および断熱材27を外側から取り囲む。ユニット固定治具55は、ファン部35および小型ペルチェユニット37と塗布ヘッド部53との間に挟まれることで、ファン部35、小型ペルチェユニット37および塗布ヘッド部53を固定している。図4でのユニット固定治具55は、温度調節器33から延びる熱電対としての第1の温度検出手段32A、第2の温度検出手段32Bおよび金属線32Cなどを囲むようにこれらを固定する。たとえばペルチェ素子31に向かうように延びる第1の温度検出手段32Aおよび第2の温度検出手段32Bの部分がその外側からユニット固定治具55に囲まれこれを固定する。これによりユニット固定治具55は温度調節器33を固定している。ただしこれは1例であり、ユニット固定治具55は温度調節器33に接するようにこれを固定する構成であってもよい。
【0041】
図6は、図4の塗布ユニットからユニット固定治具が取り外された態様を示す模式図である。図6を参照して、液体材料塗布装置100において、液体材料容器21とペルチェ素子31とが保持されたユニット固定治具55は、塗布ユニット4に含まれる塗布ヘッド部53に対して着脱可能である。具体的には、ユニット固定治具55は、温度調節器33によって液体材料70の温度が調節される際には塗布ヘッド部53から取り外された状態とすることが可能である。またユニット固定治具55は、液体材料70が塗布される際には塗布ヘッド部53に取り付けられた状態とすることが可能である。図6においてはユニット固定治具55は、液体材料容器21、高熱伝導部材26、断熱材27、ペルチェ素子31、温度調節器33、ファン部35および小型ペルチェユニット37が取り付けられた状態のまま、塗布ヘッド部53から取り外されている。
【0042】
(比較例およびその課題)
次に、上記の本実施の形態の背景となる比較例について、図7および図8を用いて説明する。図7は、比較例における液体材料塗布装置の動作を説明するための模式図である。図7を参照して、上記の液体材料塗布装置の動作と同様に基板5、およびその真上の塗布針24が準備される。(A)の状態においては塗布針24の先端は液体材料容器21内の液体材料70内に配置されている。(A)の状態においては図1の観察光学系6およびZ軸テーブル3により、塗布針24の先端部および貫通孔25が、基板5における描画する領域の真上に配置されるように準備される。その後たとえば図2の塗布ユニット4のサーボモータ41を動作させて塗布針24を突出させることで、(B)のように表面に液体材料70が付着した塗布針24を基板5の表面に接触させる。その後たとえば図2の塗布ユニット4のサーボモータ41を駆動して塗布針24を後退させ、(C)のように再度液体材料70内に浸漬させる。以上により、微細なパターンを塗布することによる欠陥修正ができる。広範囲な粘度の液体材料70を用いて微細な塗布を行なうことができる。
【0043】
しかし上記動作にて、高分子材料を含み曳糸性が大きい液体材料を塗布する場合、上記(C)に示すように、塗布針24の先端が基板5の表面に接触した後に引き上がる際に、液体材料70が塗布針24と基板5との間の領域を長く糸状に延びる曳糸72が形成される(曳糸性を示す)ことがある。
【0044】
図8は、比較例における液体材料塗布装置による液体材料の塗布時に基板の表面上に形成されるパターンを示す概略図である。図8を参照して、図7の比較例によれば、塗布針24により基板5に液体材料70のパターン71が間隔をあけて複数形成される場合、隣り合う1対のパターン71の間の領域に糸曳き跡73が形成される。糸曳き跡73は、1つのパターン71の塗布が終わり次の塗布位置へと塗布針24が移動する際に、塗布針24の先端部に付着した液体材料70がパターン71と塗布針24との間を糸状に延びるように形成された曳糸72によるものである。つまり曳糸72が、次のパターン71の塗布時に基板上に付着したものが糸曳き跡73である。
【0045】
図7の曳糸72は、たとえば液体材料70が加熱されておりその太さが非常に細い場合、時間の経過により表面張力および重力を受けて自然に切れる。このため次の塗布位置への塗布工程まである程度の時間を設けて塗布針24に付着した液体材料70を乾燥させることにより、図8の糸曳き跡73の形成が抑制できる。しかしこのようにすれば、塗布工程と次の塗布工程との時間が長くなるためタクトタイムが長くなる。したがって曳糸性が大きい液体材料70を高速で塗布するためには、塗布針24を基板5から引き上げる際に液切れを良くする、つまり曳糸72が小さくなる(曳糸72が形成しにくくなる)状態とすることが必要である。言い換えれば比較例においては、曳糸性が大きい液体材料70を安定して高速で塗布することが困難であった。
【0046】
(作用効果)
以上の比較例およびその課題に鑑み、本実施の形態においては以下のような液体材料塗布機構が開示される。本開示に従った液体材料塗布機構としての塗布ユニット4は、塗布針24と、液体材料容器21と、加熱吸熱部としてのペルチェ素子31と、温度調節器33とを備える。塗布針24は、加工対象材としての基板5に液体材料70を塗布する。液体材料容器21は、液体材料70を収納保持し、底面に塗布針24が貫通可能な貫通孔25が形成されている。ペルチェ素子31は、液体材料容器21を加熱および吸熱可能である。温度調節器33は、ペルチェ素子31の温度を調節する。
【0047】
ペルチェ素子31および温度調節器33により、液体材料70の温度を任意に調節可能である。後述するように液体材料70の曳糸性はその温度により大きく変換する。曳糸による問題は、単純に液体材料70の粘度を調節しただけでは解決できない。このため本願では、液体材料70の温度がその曳糸性に影響を与えることに着目した。このため液体材料70をその特性に応じた温度になるよう加熱または冷却の調節をすることで、曳糸72を形成し難くすることを実現した。また液体材料容器21の底面の貫通孔25から塗布針24を高速で貫通させることにより、塗布針24に付着した液体材料70は瞬時に基板などに供給される。したがって基板上に付着するまで液体材料70の温度は調節された温度から大きく変化することはない。以上により、液体材料容器21の底面の貫通孔25から塗布針24を高速で貫通させることで、常温であれば曳糸性の大きい液体材料70を、糸曳き跡73の形成を抑制するように安定に高速塗布できる。
【0048】
上記本開示の塗布ユニット4において、第1の温度検出手段32Aをさらに備えてもよい。第1の温度検出手段32Aは、液体材料容器21内の液体材料70の温度を検出可能である。温度調節器33は、第1の温度検出手段32Aで検出された液体材料70の温度が設定温度になるよう液体材料70の温度を調節する。これにより、液体材料70の温度を任意に調節可能である。このため液体材料70の曳糸72を生じにくくすることで、常温であれば曳糸性の大きい液体材料70を、糸曳き跡73の形成を抑制するように安定に高速塗布できる。
【0049】
上記本開示の塗布ユニット4において、第2の温度検出手段32Bをさらに備えてもよい。第2の温度検出手段32Bは、ペルチェ素子31の温度を検出可能であってもよい。温度調節器33は、第2の温度検出手段32Bで検出されたペルチェ素子31の温度が設定温度になるようペルチェ素子31の温度を調節する。これにより、ペルチェ素子31により調節される液体材料70の温度を任意に調節可能である。このため液体材料70の曳糸72を生じにくくすることで、常温であれば曳糸性の大きい液体材料70を、糸曳き跡73の形成を抑制するように安定に高速塗布できる。
【0050】
上記本開示の塗布ユニット4において、液体材料容器21は、ペルチェ素子31が接触する高熱伝導部材26、および高熱伝導部材26に重なるように取り付けられた断熱材27に囲まれていてもよい。当該高熱伝導部材26および断熱材27は、ペルチェ素子31よりもたとえば平面視における面積が大きい。このようにすれば、ペルチェ素子31による液体材料容器21および液体材料70の加熱および冷却効率を向上できる。
【0051】
具体的には、温度調節器33により温度調節されたペルチェ素子31が高熱伝導部材26に接触しており、高熱伝導部材26が液体材料容器21を囲んでいる。これにより、ペルチェ素子31の温度を、高熱伝導部材26から液体材料容器21へ高精度に伝えることができる。また高熱伝導部材26の面積がペルチェ素子31より大きいため、高熱伝導部材26はペルチェ素子31の熱をその真下のみならずその外側に拡げるように伝えることができる。このため高熱伝導部材26が取り囲む、高熱伝導部材26の真下の液体材料容器21のより広い範囲(好ましくは全体)に対し、均一に加熱または冷却することができる。
【0052】
さらに断熱材27により、液体材料70に伝わる熱または液体材料70から奪われる熱がたとえば断熱材27から外側に伝わることが抑制される。ペルチェ素子31により加熱または冷却されるべき領域は液体材料容器21側のみである。このため断熱材27により、ペルチェ素子31により加熱または冷却されるべき領域のみを高効率に加熱または冷却することができる。断熱材27も、ペルチェ素子31より面積が大きいことにより、その効果を高められる。
【0053】
上記本開示の塗布ユニット4において、液体材料容器21は、ペルチェ素子31および温度調節器33が取り付けられるユニット固定治具55をさらに備えてもよい。液体材料容器21はユニット固定治具55に対して着脱可能であることが好ましい。このようにすれば、たとえば液体材料容器21を洗浄するためにユニット固定治具55から取り外す際に、容易に取り外しできる。このため液体材料容器21の洗浄作業などの所要時間を短縮できる。
【0054】
本開示に従った液体材料塗布装置100は、上記のいずれかの塗布ユニット4と、加工対象材としての基板5を保持する保持台としてのY軸テーブル2とを備える。ユニット固定治具55には、液体材料容器21とペルチェ素子31とが保持されている。ユニット固定治具55は、温度調節器33によって液体材料70の温度が調節される際には塗布ユニット4に含まれる塗布ヘッド部53から取り外された状態とすることが可能である。ユニット固定治具55は、液体材料70が塗布される際には塗布ヘッド部53に取り付けられた状態とすることが可能である。
【0055】
液体材料塗布装置100には液体材料容器21が2つ以上備えられる場合がある。液体材料塗布装置100において、複数の液体材料容器21のうちの1つである第1の液体材料容器21が、塗布ヘッド部53を含む塗布ユニット4に取り付けられ塗布作業に用いられている状態を考える。第1の液体材料容器21内の液体材料70が少なくなれば、塗布ヘッド部53に取り付けられている第1の液体材料容器21が、複数の液体材料容器21のうち上記第1の液体材料容器21とは異なる第2の液体材料容器21に交換される必要が生じる。このような交換が必要となる前の時点においては、第2の液体材料容器21には液体材料70が充填された状態でこれが適当な温度に調節されていることが好ましい。このため上記特徴により、第2の液体材料容器21および液体材料70が、使用前においては塗布ヘッド部53から取り外された状態で、温度調節器33およびペルチェ素子31により温度調節される。また第2の液体材料容器21の使用時には、温度調節された液体材料70を含む第2の液体材料容器21がユニット固定治具55に取り付けられ、これが塗布ヘッド部53に取り付けられる。このようにすれば、容易に液体材料容器21を交換でき、交換作業のタクトタイムを短縮できる。生産工程の段取り時に、液体材料70の設定温度とこれが載置される室温との差が大きい場合、液体材料70の温度調節に多くの時間を要する。このため交換前にあらかじめ所望の温度に調節された液体材料70を含む第2の液体材料容器21をユニット固定治具55に取り付けるよう交換し、その後すぐに第2の液体材料容器21を使用することで、タクトタイムを短縮できる。また交換後の第2の液体材料容器21を用いた塗布作業における糸曳き跡73の形成を抑制し、高速で安定に塗布できる。
【0056】
(液体材料70について)
液体材料70の曳糸性は、実際には液体材料70の特性および使用環境により変化する複雑な性質である。具体的には液体材料70の特性として、液体材料70の組成、分子量、表面張力、粘度および粘弾性が挙げられる。また液体材料70の使用環境として、液体材料70の温度、伸長速度、伸長機構が挙げられる。液体材料70の特性は、一般的に粘度と深い相関があるとされる。しかし液体材料70は同じ粘度でも曳糸性は異なる場合が多い。
【0057】
液体材料70としてはポリマー型導電材料が用いられることが好ましい。高分子材料を含み曳糸性が大きい液体材料70として、ポリマー型導電性ペーストなどが挙げられる。ポリマー型導電性ペーストは、近年、電子部品の小型化軽量化および電磁シールドの必要性が高まり、高生産性および低コスト化が要求されるなかで用いられる。ポリマー型導電性ペーストは、加工対象材である基板などに塗布または印刷しそれを硬化するだけで容易に導電性を付与できる。このためポリマー型導電性ペーストは、乾燥硬化工程が簡略で低コスト化が可能になり、その使用量を伸ばしている。
【0058】
ポリマー型導電性ペーストは、導電性フィラーとバインダ樹脂とにより構成されている。バインダ樹脂は導電性フィラーを転写物に密着させると同時に、導電性フィラーを鎖状に連結して導電性を持たせ、導電性被膜の物理的特性と科学的安定性とを付与する。バインダ樹脂として、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ビニル系樹脂などが用いられる。バインダ樹脂は、蒸発乾燥型をそのまま使用できる。しかしバインダ樹脂はその配合成分を変えることにより低温硬化型またはUV硬化型とすることができる。またバインダ樹脂は高分子量化により、強靭性、耐屈曲性、ヒートサイクル性に優れた樹脂が得られる。ウェアラブルデバイスの事業展開とともに開発されている伸縮性導電ペーストも、バインダ樹脂を高分子量化することで耐屈曲性を高めている。
【0059】
バインダ樹脂を用いたペーストとしては導電性ペーストだけではなく、絶縁体フィラーと組み合わせた絶縁ペースト、顔料と組み合わせたジェルネイルペーストなども挙げられる。
【0060】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2における液体材料塗布機構に含まれる液体材料容器およびそれに隣接する領域の構成を示す概略断面図である。図9を参照して、本実施の形態においても塗布ユニット4およびこれを構成する液体材料容器21は実施の形態1のそれらと基本的に同一の構成を有する。このため図9において実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0061】
本実施の形態の塗布ユニット4においては、加熱吸熱部としての流路ブロック39が、液体材料容器21の貫通孔25に隣接する領域に配置されている。流路ブロック39は、その配置される位置が、貫通孔25に隣接する液体材料容器21のZ方向の下方である。つまり流路ブロック39は、液体材料容器21のZ方向の下側の、鉛直方向に対して傾斜する方向に延びる領域に隣接または接触するように配置されている。この点において流路ブロック39は、実施の形態1において液体材料容器21の外側面に巻かれる高熱伝導部材26上に接合されるように配置される加熱吸熱部としてのペルチェ素子31と異なっている。しかし基本的な流路ブロック39の機能は実施の形態1のペルチェ素子31と同様である。つまり流路ブロック39は液体材料容器21を加熱および吸熱可能である。
【0062】
図9においては、温度調節器33からは流入経路33Aおよび流出経路33Bの2つの経路が延びている。本実施の形態では、熱媒体である水38は温度調節器33から流入経路33Aを経由して、温度調節器33の図示されない流入口から流路ブロック39内に入る。次に流路ブロック39内に形成された図示されない流路を水38が流れる。その後温度調節器33の図示されない流出口から水38が流路ブロック39の外に出て、そこから流出経路33Bを経由して温度調節器33に戻る。このように水38は温度調節器33と流路ブロック39との間を循環する。水38の温度は温度調節器33で調節され、その調節された水38の温度により流路ブロック39の温度が調節される。これにより、貫通孔25に隣接する領域および塗布針24の先端部の液体材料70の温度が任意に調節できる。
【0063】
なお流路ブロック39は、熱伝導率が高いアルミニウムなどの材料により形成されることが好ましい。また流路ブロック39は、液体材料容器21の貫通孔25の周辺部に嵌合可能な形状を有することが好ましい。たとえば液体材料容器21は、貫通孔25の周辺部において、Z方向下方に向かうにつれX方向およびY方向の間隔が狭まるようなテーパ形状の外側面を有している。このため液体材料容器21の上記の外側面に接触するように、流路ブロック39は、たとえばZ方向上側の面が、Z方向下方に向かうにつれX方向およびY方向の間隔が狭まるようなテーパ形状の内壁面を有している。これにより、水38により調節された流路ブロック39の温度が、液体材料容器21およびそのZ方向下方の液体材料70に伝わりやすくなる。
【0064】
なお熱媒体として水38を用いれば、流路ブロック39は0℃以上100℃以下の範囲で温度調節可能である。ただし熱媒体は、流路ブロック39に対して制御したい温度範囲に応じてその種類を適宜変更してもよい。たとえば熱媒体として水の代わりにシリコーン油、アセトンまたは液体窒素を用いることができる。なおシリコーン油は高温領域の熱媒体として用いられる。アセトンまたは液体窒素は低温領域の熱媒体として用いられる。
【0065】
図9においても、液体材料容器21内の液体材料70の温度を検出可能な第1の温度検出手段32Aと、流路ブロック39の温度を検出可能な第2の温度検出手段32Bとをさらに備える。またその他の金属線32Cを備える。これらの第1の温度検出手段32Aと、第2の温度検出手段32Bと金属線32Cとは温度調節器33から延びている。図示されていないが金属線32Cは2本延びていることが好ましい。温度調節器33は、第1の温度検出手段32Aで検出された液体材料70の温度が設定温度になるよう液体材料70の温度を調節する。また温度調節器33は、第2の温度検出手段32Bで検出された流路ブロック39の温度が設定温度になるよう流路ブロック39の温度を調節する。このために、温度調節器33は、第1の温度検出手段32Aおよび第2の温度検出手段32Bを含む熱電対が検出した温度を、温度調節器33自体に設定された温度に調節するよう、流路ブロック39を制御する。より具体的には、このような温度制御のために、温度調節器33は流路ブロック39に対し、第1の温度検出手段32Aで検出された液体材料70があらかじめ設定された温度となるように流路ブロック39に供給する水38の温度を調節する。そのために温度調節器33は、温度調節器33内の熱制御素子(たとえばペルチェ素子)に印加する電圧の大きさおよび当該電圧の印加時間を調節する。言い換えれば温度調節器33は、第1の温度検出手段32Aによる液体材料70の検出温度とその設定温度とに応じて当該熱制御素子への通電方向を変えることで、当該熱制御素子の加熱と冷却とを切り替える。つまり温度調節器33は、たとえば第1の温度検出手段32Aによる液体材料70の温度検出と、その検出される温度の調節とを繰り返す機能を有する。なお水38の温度は温度調節器33により測定される。
【0066】
ただしそのような機能に限らず、温度調節器33は以下の第1、第2および第3のいずれかの機能を有してもよい。第1に、温度調節器33は熱制御素子に一定の電圧を印加し続けてもよい。具体的には、たとえばあらかじめ熱処理素子に印加する電圧の大きさと、第1の温度検出手段32Aが検出する温度との関係を測定し、その測定結果をもとに決められた一定の電圧が印加し続けられる。第2に、温度調節器33は熱処理素子に電圧を印加し、第1の温度検出手段32Aなどの検出温度が一定温度まで上がれば電圧印加を止め、当該検出温度が一定温度以下になれば電圧印加を再開するものであってもよい。上記一定温度はあらかじめ決められた温度である。第3に、温度調節器33は第1の温度検出手段32Aなどの検出温度と無関係に決められた時間だけ決められた電圧印加を決められた時間間隔で行なってもよい。具体的には、あらかじめ熱処理素子に印加する電圧の大きさおよび印加する時間と第1の温度検出手段32Aの検出温度との関係が導き出される。当該関係から決められた電圧が決められた時間だけ、決められた時間間隔で、第1の温度検出手段32Aに温度検出させずに印加される。
【0067】
次に、本実施の形態の作用効果を説明する。本実施の形態は実施の形態1と同様の作用効果の他に以下の作用効果を奏する。本実施の形態では、液体材料容器21の貫通孔25に隣接する領域に加熱吸熱部としての流路ブロック39が配置される。このような構成であっても、流路ブロック39が実施の形態1のペルチェ素子31と同様に機能する。本実施の形態は、塗布針24が突出する貫通孔25に隣接する比較的下方の液体材料70さえ局所的に加熱または冷却されれば、少なくとも曳糸性を改善できることを利用したものである。本実施の形態によれば、ペルチェ素子31を用いる実施の形態1に比べて、熱交換部分の小型化を図ることができる。言い換えれば本実施の形態によれば、小スペースで局所的な液体材料70などの温度調節が可能となる。
【0068】
なお以上においては、液体材料70を加熱および冷却可能な加熱吸熱部として、ペルチェ素子31および流路ブロック39を用いる例について説明した。しかし加熱吸熱部としてはこれらに限らず、冷却および加熱の双方が可能な冷却加熱ジャケットなどが用いられてもよい。
【0069】
図10は、実施の形態2の変形例における液体材料塗布機構に含まれる液体材料容器およびそれに隣接する領域の構成を示す概略断面図である。図10を参照して、実施の形態2の変形例においても塗布ユニット4およびこれを構成する液体材料容器21は実施の形態2の図9と基本的に同一の構成を有する。このため図10において図9と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし図10においては、加熱吸熱部として流路ブロック39の代わりにペルチェ素子31が配置されている。図10においては、図9での流路ブロック39の位置に、つまり貫通孔25に隣接する領域に、Z方向からの平面視においてたとえば円環形状を有するペルチェ素子31が配置されている。ペルチェ素子31は、図10中のZ方向についての最上面が加熱面31A、最下面が冷却面31B(図4参照)であってもよいし、その逆でもよい。図10のペルチェ素子31の性能は、図4のペルチェ素子31の性能と基本的に同様である。本実施の形態ではこのような構成が適用されてもよい。
【実施例1】
【0070】
以下、液体材料70の温度に対する曳糸性を評価する試験結果について説明する。
【0071】
曳糸性は、使用環境が限定的な場合、特定の温度範囲で発生する。そのことを検証する試験の結果を以下に示す。実機で液体材料70の伸長速度と伸長機構を限定し、本実施の形態の塗布ユニット4を含む液体材料塗布装置100を用いて、液体材料70の温度と曳糸性との関係を評価した。図11は本実施の形態の塗布ユニットを含む液体材料塗布装置を用いて、液体材料の温度と曳糸性との関係を評価する際の評価基準を示す模式図である。図11を参照して、(A)のように塗布後に曳糸72が残っている好ましくない状態をAとしている。(B)のように塗布針の引き上げ動作時に曳糸72が切れた場合をBとしている。(C)のように、基板5に塗布された液体材料70のパターン71の径Dよりも、基板5に付着する液体材料70の曳糸72が短い長さLの状態で切れる、好ましい場合をCとしている。ここで基板5に塗布されるパターン71の径Dとは、塗布された液体材料70の平面視における寸法の最大値(たとえば楕円形であれば長軸の長さ)を意味している。言い換えればパターン71の径Dは、塗布される液体材料70が外接する仮想円の直径を意味する。これにより、長く形成された糸曳き跡73に起因する、隣り合う1対のパターン71同士の電気的な短絡などの不具合を抑制できる。このため上記(C)は好ましい状態であるといえる。つまり液体材料塗布装置100は、(C)のように曳糸72が切れるように液体材料70の温度を調整可能な特徴を有している。
【0072】
上記各実施の形態の塗布ユニット4を含む液体材料塗布装置100は、上記径Dより曳糸72の長さLが短い状態で曳糸72が切れることを可能とする。液体材料塗布装置100は、このように曳糸72が切れるように、液体材料70の温度が調整可能である。
【0073】
ここでの曳糸評価において、液体材料70はポリマー型導電材料が用いられた。そのポリマー型導電材料の温度別による曳糸性評価の結果を以下の表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の評価においては、塗布針24の突出(下降)および引き上げの速度は最大で150mm/秒とした。表1の評価においては、基板5と液体材料容器21の先端の貫通孔25の部分との距離は2mmとした。なお表中のAは図11(A)のような結果を示し、表中のBは図11(B)のような結果を示している。また表中のCは図11(C)のような結果を示している。
【0076】
表1の結果より、液体材料70は室温付近の温度(たとえば25℃前後)において最も曳糸72を発生しやすく、室温付近の温度から加熱および冷却のいずれがなされても曳糸72が形成されにくくなることがわかった。これは曳糸性は、使用環境が限定的な場合、特定の温度範囲で発生することを示している。つまり当該特定の温度範囲より低い温度では、液体材料の流動性が悪くなり、急激な伸長挙動に追いつけなくなるため、早期に液体材料同士が分断される。また当該特定の温度範囲より高い温度では、液体材料70の粘性が低下し、変化に対する抵抗力が表面張力より弱まるために、伸長した瞬間に曳糸が切れる。また液体材料70の温度を調整することにより、ある塗布条件における曳糸性を調整でき、塗布性を良くできることが分かった。
【0077】
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。たとえば実施の形態1においてペルチェ素子31の配置される位置に実施の形態2の流路ブロック39が配置されてもよいし、逆に実施の形態2において流路ブロック39の配置される位置に実施の形態1のペルチェ素子31が配置されてもよい。また実施の形態2において実施の形態1の塗布ユニット4が有する特徴を適宜組み合わせてもよい。さらに各実施の形態において、液体材料70を加熱または冷却するに際し、液体材料容器21の代わりにたとえば塗布針24が直接加熱または冷却されてもよい。
【0078】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1 X軸テーブル、2 Y軸テーブル、3 Z軸テーブル、4 塗布ユニット、5 基板、6 観察光学系、7 CCDカメラ、8 操作パネル、9 モニタ、10 制御用コンピュータ、20 塗布針ホルダ、21 液体材料容器、24 塗布針、26 高熱伝導部材、27 断熱材、31 ペルチェ素子、31A 加熱面、31B 冷却面、32A 第1の温度検出手段、32B 第2の温度検出手段、32C 金属線、33A 流入経路、33B 流出経路、35 ファン部、37 小型ペルチェユニット、38 水、39 流路ブロック、41 サーボモータ、43 カム、44 軸受、45 カム連結板、46 可動部、47 塗布針ホルダ固定部、48 塗布針ホルダ収納部、49 リニアガイド、50 バネ、51,52 固定ピン、53 塗布ヘッド部、55 ユニット固定治具、61 カム面、62 上端フラット領域、63 下端フラット領域、70 液体材料、71 パターン、72 曳糸、73 糸曳き跡、100 液体材料塗布装置。
図1
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図11