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特許7401227画像形成装置、その制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231212BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231212BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J29/38 104
G03G21/00 388
G03G21/00 398
H04N1/00 885
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019160642
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037705
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】小幡 修司
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221708(JP,A)
【文献】特開2017-188044(JP,A)
【文献】特開2006-159808(JP,A)
【文献】特開2017-203993(JP,A)
【文献】特開2017-201456(JP,A)
【文献】特開2017-083870(JP,A)
【文献】特開2015-194600(JP,A)
【文献】特開2015-185074(JP,A)
【文献】特開2013-123159(JP,A)
【文献】特開2012-008241(JP,A)
【文献】特開2010-194811(JP,A)
【文献】特開2017-118255(JP,A)
【文献】特開2019-031101(JP,A)
【文献】特開2018-165057(JP,A)
【文献】特開2016-015696(JP,A)
【文献】特開平08-187919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0058214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御手段と、前記第1制御手段と異なる第2制御手段とを備える画像形成装置であって、少なくとも通常動作モードと当該通常動作モードより低消費電力の低消費電力動作モードとを有する画像形成装置において、
前記低消費電力動作モードは、少なくとも第1低消費電力動作モードと、前記第1低消費電力動作モードとは異なる第2低消費電力動作モードとを有し、
前記第1制御手段は、
前記画像形成装置が前記通常動作モードから前記低消費電力動作モードへ移行する際に、前記第1低消費電力動作モード及び前記第2低消費電力動作モードの何れに移行するかを示すモード指示情報を前記第2制御手段へ送信し、
前記第2制御手段は、
前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードからの1又は複数の復帰要因を予め記憶し、
前記モード指示情報及び記憶された前記1又は複数の復帰要因に基づいて、前記画像形成装置が前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードの間に受信した復帰要因によって前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードから復帰するか否かを判別し、
前記第1低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の電源スイッチがオフ操作された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは電力が供給されない電源オフ状態に移行するモードであり、
前記第2低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の節電ボタンが押下された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは必要な電力が供給されている通常状態を維持するモードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1制御手段は、前記画像形成装置が前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードに移行した場合、電力の供給を制限される節電状態に移行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2制御手段は、前記第1制御手段より省電力で動作し、前記節電状態の前記第1制御手段を起動することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記復帰要因は、前記第2制御手段のシステムを起動する際に読み込まれるファームウェアに記憶されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記復帰要因は、前記画像形成装置にて生成される複数の割り込み信号の各々が前記復帰要因となる割り込み信号であるか否かを示す情報を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
第1制御手段と、前記第1制御手段と異なる第2制御手段とを備える画像形成装置の制御方法であって、少なくとも通常動作モードと当該通常動作モードより低消費電力の低消費電力動作モードとを有する画像形成装置の制御方法において、
前記低消費電力動作モードは、少なくとも第1低消費電力動作モードと、前記第1低消費電力動作モードとは異なる第2低消費電力動作モードとを有し、
前記第1制御手段は、
前記画像形成装置が前記通常動作モードから前記低消費電力動作モードへ移行する際に、前記第1低消費電力動作モード及び前記第2低消費電力動作モードの何れに移行するかを示すモード指示情報を前記第2制御手段へ送信し、
前記第2制御手段は、
前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードからの1又は複数の復帰要因を予め記憶し、
前記モード指示情報及び記憶された前記1又は複数の復帰要因に基づいて、前記画像形成装置が前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードの間に受信した復帰要因によって前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードから復帰するか否かを判別し、
前記第1低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の電源スイッチがオフ操作された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは電力が供給されない電源オフ状態に移行するモードであり、
前記第2低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の節電ボタンが押下された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは必要な電力が供給されている通常状態を維持するモードであることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
第1制御手段と、前記第1制御手段と異なる第2制御手段とを備える画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、少なくとも通常動作モードと当該通常動作モードより低消費電力の低消費電力動作モードとを有する画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記低消費電力動作モードは、少なくとも第1低消費電力動作モードと、前記第1低消費電力動作モードとは異なる第2低消費電力動作モードとを有し、
前記第1制御手段に、
前記画像形成装置が前記通常動作モードから前記低消費電力動作モードへ移行する際に、前記第1低消費電力動作モード及び前記第2低消費電力動作モードの何れに移行するかを示すモード指示情報を前記第2制御手段へ送信させ、
前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードからの1又は複数の復帰要因を予め記憶した前記第2制御手段に、
前記モード指示情報及び記憶された前記1又は複数の復帰要因に基づいて、前記画像形成装置が前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードの間に受信した復帰要因によって前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードから復帰するか否かを判別させ
前記第1低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の電源スイッチがオフ操作された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは電力が供給されない電源オフ状態に移行するモードであり、
前記第2低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の節電ボタンが押下された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは必要な電力が供給されている通常状態を維持するモードであることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スリープモードやクイックオフモードといった復帰契機が異なる複数の低消費電力動作モードを備える画像形成装置が知られている。スリープモードは、例えば、ユーザが節電ボタンを押下した際に画像形成装置が移行するモードである。スリープモードでは、画像形成装置が備える複数のユニットの中の一部のユニット、例えば、スキャン部、操作部が電力の供給を制限されて節電状態に移行する。クイックオフモードは、通常起動処理より速やかに起動可能なクイック起動機能がオンに予め設定された状態でユーザが電源スイッチをオフ操作した際に画像形成装置が移行するモードである。クイックオフモードでは、電源スイッチがオフ操作されたにも関わらず画像形成装置の各ユニットへの電力の供給が停止されない。クイックオフモードでは、画像形成装置は、電源スイッチがオン操作された際に速やかに起動処理を実行できるように、一部のユニットを節電状態に移行させて待機する。画像形成装置では、スリープモードやクイックオフモードといった低消費電力動作モードにおいて、省電力動作を実現するために、比較的消費電力の大きいメインCPUを節電状態に移行させ、メインCPUより消費電力が小さいサブCPUを起動させている。画像形成装置において特定のイベントが発生した際に生成される割り込み信号をサブCPUが受信し、受信した割り込み信号が復帰契機となる割り込み信号である場合、サブCPUはメインCPUを起動させ、画像形成装置が低消費電力動作モードから通常動作モードへ復帰する。
【0003】
画像形成装置では、スリープモードやクイックオフモードといった低消費電力動作モードの種別毎に復帰契機となる割り込み信号の種別が異なる。例えば、スリープモードからの復帰契機となる割り込み信号は、USBケーブルを介して外部装置が画像形成装置に接続された際に生成される割り込み信号や、画像形成装置のプリント部に用紙がセットされた際に生成される割り込み信号である。これに対し、クイックオフモードからの復帰契機となる割り込み信号は、例えば、ユーザが電源スイッチをオン操作した際に生成される割り込み信号である。このように、復帰契機となる割り込み信号の種別が異なる複数の低消費電力動作モードを備える画像形成装置において、通常動作モードから低消費電力動作モードへ移行する際に、メインCPUが、割り込み信号を受信するサブCPUに対し、当該低消費電力動作モードからの復帰契機となる割り込み信号の種別に関する情報を通知する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-259906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、復帰契機となる割り込み信号の種別数が多数である場合、低消費電力動作モードに切り替わる際にメインCPUがサブCPUに送信する情報量が増え、通信時間が増加する。その結果、通常動作モードから低消費電力動作モードへの移行処理の実行に必要以上に時間を要してしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、通常動作モードから低消費電力動作モードへの移行処理の実行時間を短縮することができる画像形成装置、その制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、第1制御手段と、前記第1制御手段と異なる第2制御手段とを備える画像形成装置であって、少なくとも通常動作モードと当該通常動作モードより低消費電力の低消費電力動作モードとを有する画像形成装置において、前記低消費電力動作モードは、少なくとも第1低消費電力動作モードと、前記第1低消費電力動作モードとは異なる第2低消費電力動作モードとを有し、前記第1制御手段は、前記画像形成装置が前記通常動作モードから前記低消費電力動作モードへ移行する際に、前記第1低消費電力動作モード及び前記第2低消費電力動作モードの何れに移行するかを示すモード指示情報を前記第2制御手段へ送信し、前記第2制御手段は、前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードからの1又は複数の復帰要因を予め記憶し、前記モード指示情報及び記憶された前記1又は複数の復帰要因に基づいて、前記画像形成装置が前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードの間に受信した復帰要因によって前記第1低消費電力動作モード又は前記第2低消費電力動作モードから復帰するか否かを判別し、前記第1低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の電源スイッチがオフ操作された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは電力が供給されない電源オフ状態に移行するモードであり、前記第2低消費電力動作モードは、前記画像形成装置の節電ボタンが押下された際に、電力の供給が停止されずに前記画像形成装置における一部への電力の供給が制限されるとともに、前記電源スイッチは必要な電力が供給されている通常状態を維持するモードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通常動作モードから低消費電力動作モードへの移行処理の実行時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図2図1の画像形成装置がスリープモードへ移行した際の画像形成装置における各ユニットの給電状態を説明するためのブロック図である。
図3図1の画像形成装置がコールドオフモードへ移行した際の画像形成装置における各ユニットの給電状態を説明するためのブロック図である。
図4図1の画像形成装置がクイックオフモードへ移行した際の画像形成装置における各ユニットの給電状態を説明するためのブロック図である。
図5図1の画像形成装置の各ユニットからメインSoCへの割り込み信号の送信を説明するための接続図である。
図6図1の画像形成装置が低消費電力動作モードから復帰する際に用いられる復帰契機情報の一例を示す図である。
図7図1の画像形成装置が通常動作モードから低消費電力動作モードへ移行する処理の手順を示すフローチャートである。
図8図1の画像形成装置100が低消費電力動作モードから通常動作モードへ復帰する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。なお、本実施の形態では、通常動作モード及び低消費電力動作モードを切り替え可能な画像形成装置に本発明を適用した場合について説明するが、本発明は画像形成装置に限られない。例えば、スキャナ、FAX装置、PC、スマートフォン、タブレット端末といった通常動作モード及び低消費電力動作モードを備える装置であって通常動作モード及び低消費電力動作モードを切り替え可能な装置に本発明を適用してもよい。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100の構成を概略的に示すブロック図である。図1において、画像形成装置100は、プリント部101、スキャン部102、USB接続部103、NW通信部104、MODEM105、電源スイッチ106、操作部107、及びコントローラ基板108を備える。画像形成装置100では、コントローラ基板108のメインSoC109にプリント部101、スキャン部102、USB接続部103、NW通信部104、MODEM105、電源スイッチ106、及び操作部107が接続されている。なお、SoCは、System on a Chipの略称である。
【0012】
プリント部101は、画像を用紙に印字するプリンタエンジンである。プリント部101は、図示しないレーザースキャンユニット、感光体ドラム、紙搬送ユニット等を含む。スキャン部102は、用紙上の画像や文字を図示しないCCDセンサやCISセンサで読み取って画像データに変換する。USB接続部103は、図示しないUSBデバイスコントローラ及びUSBデバイスI/F(例えば、TypeB)からなる。USB接続部103は、PC等の外部装置のUSBホストI/F(例えば、TypeA)とUSBケーブルを介して接続され、当該外部装置と通信を行う。NW通信部104は、図示しないネットワークコントローラ及び有線LANI/Fからなる。NW通信部104は、LANケーブルを介して接続された外部装置とネットワーク通信を行う。MODEM105は、公衆回線に接続され、画像データを送受信するための変調復調処理を行う。電源スイッチ106は、ユーザが画像形成装置100の電源をオン又はオフするためのスイッチである。操作部107は、画像形成装置100のユーザインターフェースであり、タッチパネル式の液晶ディスプレイ及びハードキー等で構成される。
【0013】
コントローラ基板108は、メインSoC109、eMMC115、RAM116、及びROM117を備える。メインSoC109は、eMMC115、RAM116、及びROM117と接続されている。メインSoC109は、集積回路部品であり、メインCPU110、サブCPU111、メインINTC112、サブINTC113、及び画像処理ハードロジック114を含む。メインCPU110は、画像形成装置100全体を制御するための中央処理装置である。画像形成装置100が低消費電力動作モードに移行した場合、メインCPU110への電力の供給が、通常動作モードより制限される。低消費電力動作モードは、後述するクイックオフモード及びスリープモードを含む。一方、画像形成装置100が低消費電力動作モードに移行しても、サブCPU111への電力の供給は制限されず、通常動作モードと同程度の電力がサブCPU111へ供給される。サブCPU111は、画像形成装置100の低消費電力動作モード時にメインCPU110を起動する役割を持つ。メインINTC112は、特定のイベントが発生した際に各ユニットから送信された割り込み信号を受信したことを示す割り込み検知通知をメインCPU110へ送信する。サブINTC113は、特定のイベントが発生した際に各ユニットから送信された割り込み信号を受信したことを示す割り込み検知通知をサブCPU111へ送信する。なお、以下では、サブCPU111及びサブINTC113で構成されるユニットを制御ユニット120とする。画像処理ハードロジック114は、スキャン部102から読み込んだ入力画像データに対して、補正、加工、編集等の画像処理を施す。また、画像処理ハードロジック114は、プリント部101へ出力する出力画像データに対して、色変換、フィルタ処理、解像度変換等の画像処理を施す。eMMC115は、データを記録する不揮発性のNAND型フラッシュメモリである。eMMC115は、例えば、メインCPU110を起動する際に読み込まれるメインCPUFW(Firmware)118や、サブCPU111を起動する際に読み込まれるサブCPUFW119(ファームウェア)を格納する。RAM116は、メインCPU110が動作するためのシステムワークメモリであり、メインCPU110の演算データやプログラムを格納する。また、RAM116は、画像処理ハードロジック114が画像処理を施した画像データを保持する画像メモリとして利用される。ROM117は、ブートROMであり、画像形成装置100のブートプログラムを格納する。
【0014】
次に、画像形成装置100における主なモードであるスリープモード、コールドオフモード、及びクイックオフモードについて説明する。以下では、ユニットに必要な電力を供給している状態を「通常状態」とし、ユニットに限られた電力のみを供給している状態を「節電状態」とし、ユニットに電力を供給していない状態を「電源オフ状態」とする。
【0015】
図2は、図1の画像形成装置100がスリープモードへ移行した際の画像形成装置100における各ユニットの給電状態を説明するためのブロック図である。画像形成装置100は、例えば、操作部107がユーザによって所定の時間操作されなかった場合や、ユーザが操作部107の節電ボタン(不図示)を押下した場合に、スリープモードへ移行する。画像形成装置100がスリープモードへ移行すると、図2に示すように、一部のユニット、具体的に、プリント部101、スキャン部102、操作部107が通常状態から節電状態に移行する。また、コントローラ基板108において、メインCPU110、画像処理ハードロジック114、及びRAM116が通常状態から節電状態に移行する。スリープモードの画像形成装置100では、サブCPU111が復帰契機となる割り込み信号を受信すると、サブCPU111は節電状態のメインCPU110を起動させ、画像形成装置100はスリープモードから通常動作モードに復帰する。
【0016】
図3は、図1の画像形成装置100がコールドオフモードへ移行した際の画像形成装置100における各ユニットの給電状態を説明するためのブロック図である。画像形成装置100は、ユーザが電源スイッチ106をオンからオフに操作した場合、画像形成装置100への電力の供給が停止されるコールドオフモードへ移行する。画像形成装置100がコールドオフモードへ移行すると、図3に示すように、画像形成装置100における全てのユニットが電源オフ状態へ移行する。
【0017】
図4は、図1の画像形成装置100がクイックオフモードへ移行した際の画像形成装置100における各ユニットの給電状態を説明するためのブロック図である。画像形成装置100は、通常起動処理より速やかに起動可能なクイック起動機能が操作部107にてオンに予め設定された状態でユーザが電源スイッチ106をオンからオフに操作した場合、クイックオフモードへ移行する。画像形成装置100がクイックオフモードへ移行すると、図4に示すように、電源スイッチ106が、電源オフ状態へ移行し、一部のユニット、具体的に、プリント部101、スキャン部102、操作部107が通常状態から節電状態へ移行する。また、コントローラ基板108において、メインCPU110、画像処理ハードロジック114、及びRAM116が通常状態から節電状態へ移行する。このように、クイックオフモードでは、電源スイッチ106をオンからオフに操作した後も、各ユニットへ電力が供給され続けている。これにより、画像形成装置100は、ユーザが電源スイッチ106をオフからオンに操作した際に前回の起動状態の情報を使って、コールドオフモードから復帰する場合よりも速やかに通常動作モードへ復帰することができる。
【0018】
本実施の形態において、スリープモード及びクイックオフモードは、モードに移行する条件は異なるが、移行した後の画像形成装置100内の各ユニットの給電状態は、電源スイッチ106を除き、全て同じ状態である。
【0019】
図5は、図1の画像形成装置100の各ユニットからメインSoC109への割り込み信号の送信を説明するための接続図である。画像形成装置100の各ユニットは、特定のイベントの発生に基づいて割り込み信号をメインSoC109へ送信する。例えば、プリント部101は、画像データを印字するための用紙がプリント部101にセットされた際に割り込み信号である印字用紙検知信号501をメインSoC109へ送信する。スキャン部102は、原稿がスキャン部102にセットされた際に割り込み信号である読取用紙検知信号502をメインSoC109へ送信する。USB接続部103は、USBケーブル(不図示)を介して接続されたPCが起動してVBUS(電源)がUSBデバイス(不図示)へ供給された際に割り込み信号であるVBUS検知信号503をメインSoC109へ送信する。
【0020】
NW通信部104は、NW通信部104のネットワークコントローラがPC等からネットワーク経由で印刷ジョブを受信した際に割り込み信号であるLink信号504をネットワークコントローラからメインSoC109へ送信する。MODEM105は、電話回線を通じて画像データの印刷要求を受信した際に割り込み信号であるMODEM_INT信号505をメインSoC109へ送信する。電源スイッチ106は、ユーザが電源スイッチをオンからオフ又はオフからオンに操作した際に割り込み信号である電源スイッチ信号506をメインSoC109へ送信する。操作部107は、ユーザが操作部107の節電ボタンを押下した際に割り込み信号である節電信号507をメインSoC109へ送信する。
【0021】
画像形成装置100では、図5に示すように、各ユニットから送信された割り込み信号を、メインSoc109のメインINTC112及びサブINTC113が受信する。メインINTC112は、受信した割り込み信号の種別を示す割り込み検知通知をメインCPU110に送信する。サブINTC113は、上記割り込み検知通知をサブCPU111に送信する。ここで、上述したように、画像形成装置100がスリープモード又はクイックオフモードである場合、メインCPU110は節電状態であり、メインINTC112から割り込み検知通知を受信できない状態である。このため、メインINTC112は、何れかのユニットから割り込み信号を受信しても、割り込み検知通知をメインCPU110へ送信せず、メインCPU110が節電状態から通常状態に復帰するまで待機する。
【0022】
一方、画像形成装置100がスリープモード又はクイックオフモードである場合、サブCPU111は通常状態であり、サブINTC113から割り込み検知通知を受信可能な状態である。このため、サブINTC113は、何れかのユニットから割り込み信号を受信すると、割り込み検知通知をサブCPU111に送信する。割り込み検知通知を受信したサブCPU111は、メインCPU110を起動させ、節電状態から通常状態に移行させる。通常状態に移行したメインCPU110は、メインINTC114から取得した割り込み検知通知に基づいて受信した割り込み信号の種別を特定し、特定した割り込み信号の種別に基づいて復帰シーケンスを実施する。本実施の形態では、サブINTC113は、図6の復帰契機情報600に復帰契機であることが設定された割り込み信号を受信した際にサブCPU111へ割り込み検知通知を送信する。また、サブINTC113は、復帰契機情報600に復帰契機でないことが設定された割り込み信号を受信した際にサブCPU111へ割り込み検知通知を送信しない。これにより、復帰に無関係なイベントの発生に起因して低消費電力動作モードから通常動作モードへ意図せず復帰するのを防止することができる。
【0023】
図6は、図1の画像形成装置100が低消費電力動作モードから復帰する際に用いられる復帰契機情報600の一例を示す図である。復帰契機情報600は、eMMC115に格納されたサブCPUFW119に記憶され、サブCPU111の起動時やサブCPU111のリセット解除時にサブCPU111のメモリ(不図示)に展開される。復帰契機情報600には、各ユニットから送信される割り込み信号が復帰契機であるか否かを示す情報がモード毎に設定されている。復帰契機情報600では、復帰契機である割り込み信号に対して「検知」が設定され、復帰契機でない割り込み信号に対して「マスク」が設定される。
【0024】
例えば、復帰契機情報600のスリープモードにおいて全ての割り込み信号に対して「検知」が設定されている。この設定に基づいて、画像形成装置100は、プリント部101、スキャン部102、USB接続部103、NW通信部104、MODEM105、電源スイッチ106、及び操作部107の何れかが割り込み信号を生成する特定のイベントが発生した際に、スリープモードから通常動作モードに復帰する。例えば、画像形成装置100は、電源スイッチ106において特定のイベントが発生した際に、スリープモードから通常動作モードに復帰する。ここで、画像形成装置100がスリープモードである場合、電源スイッチ106はオン状態である。画像形成装置100は、ユーザが電源スイッチ106をオンからオフに操作した際に生成された電源スイッチ信号506に基づいてスリープモードから通常動作モードに復帰する。その後、画像形成装置100は、即座にシャットダウンシーケンスを開始する。
【0025】
また、復帰契機情報600のクイックオフモードでは、上述したユニットが生成する割り込み信号のうち、電源スイッチ106が生成する割り込み信号のみに対して「検知」が設定されている。この設定に基づいて、画像形成装置100は、電源スイッチ106が割り込み信号を生成する特定のイベントが発生した場合のみ、クイックオフモードから通常動作モードに復帰する。ここで、画像形成装置100がクイックオフモードである場合、電源スイッチ106はオフ状態である。画像形成装置100は、ユーザが電源スイッチ106をオフからオンに操作した際に生成された電源スイッチ信号506に基づいてクイックオフモードから通常動作モードに復帰する。一方、画像形成装置100は、電源スイッチ106以外のユニットから割り込み信号が送信されても、クイックオフモードから通常動作モードに復帰しない。これにより、電源スイッチ106がオフ状態であるにも関わらず、電源スイッチ106以外のユニットで特定のイベントが発生したことに起因して画像形成装置100が通常動作モードに復帰してしまうのを防止することができる。
【0026】
図7は、図1の画像形成装置100が通常動作モードから低消費電力動作モードへ移行する処理の手順を示すフローチャートである。
【0027】
図7において、まず、通常動作モードである画像形成装置100のメインCPU110は、低消費電力動作モードへの移行を要求されるまで待機する(ステップS701)。ステップS701では、例えば、操作部107がユーザによって所定の時間操作されなかった場合、ユーザが操作部107の上記節電ボタンを押下した場合、クイック起動機能がオンに予め設定された状態でユーザが電源スイッチ106をオンからオフに操作した場合に、メインCPU110は、低消費電力動作モードへの移行を要求されたと判別する。低消費電力動作モードへの移行を要求されると(ステップS701でYES)、メインCPU110は、スリープモード及びクイックオフモードの何れに移行するかを示す状態遷移通知(モード指示情報)をサブCPU111に送信する(ステップS702)。ステップS702では、例えば、操作部107がユーザによって所定の時間操作されなかった場合、又はユーザが操作部107の上記節電ボタンを押下した場合、メインCPU110は、スリープモードに移行する旨を示す状態遷移通知をサブCPU111に送信する。一方、クイック起動機能がオンに予め設定された状態でユーザが電源スイッチ106をオンからオフに操作した場合、メインCPU110は、クイックオフモードに移行する旨を示す状態遷移通知をサブCPU111へ送信する。
【0028】
次いで、メインCPU110は、メインINTC112の割り込みマスク設定を行う(ステップS703)。これにより、メインINTC112は、外部信号の割り込みマスク解除状態から外部信号の割り込みマスク状態へ移行する(ステップS704)。外部信号の割り込みマスク状態に移行したメインINTC112は、画像形成装置100が低消費電力動作モードに滞在している間に各ユニットから受信した割り込み信号を保持する。このようにして、本実施の形態では、メインCPU110が電力の供給を制限されてメインINTC112から割り込み検知通知を受信できない期間に各ユニットから送信された割り込み信号が保持される。次いで、メインCPU110は、サブCPU111から節電状態移行指示を受信するまで待機する(ステップS705)。
【0029】
サブCPU111は、ステップS702にてメインCPU110から送信された状態遷移通知を受信すると(ステップS706でYES)、サブINTC113の割り込み設定を行う(ステップS707)。ステップS707では、サブCPU111は、サブCPUFW119に記憶された復帰契機情報600及び受信した状態遷移通知に基づいてサブINTC113の割り込み設定を行う。例えば、受信した状態遷移通知がスリープモードを示す場合、サブCPU111は、復帰契機情報600のスリープモードに対応する設定値に基づいてサブINTC113の割り込み設定を行う。これにより、全ての割り込み信号が復帰契機となる割り込み信号として設定される。また、受信した状態遷移通知がクイックオフモードを示す場合、サブCPU111は、復帰契機情報600のクイックオフモードに対応する設定値に基づいて割り込み設定を行う。これにより、電源スイッチ106からの割り込み信号のみが復帰契機となる割り込み信号として設定される。サブINTC113の割り込み設定に従って、サブINTC113は、割り込み未設定状態から割り込み設定状態へ移行する(ステップS708)。
【0030】
次いで、サブCPU111は、節電状態移行指示をメインCPU110へ送信する(ステップS709)。次いで、サブCPU111は、サブINTC113からの通知待ち状態へ移行し(ステップS710)、サブCPU111の処理を終了する。
【0031】
メインCPU110は、ステップS709にてサブCPU111から送信された節電状態移行指示を受信すると(ステップS705でYES)、節電状態へ移行し(ステップS711)、メインCPU110の処理を終了する。
【0032】
図8は、図1の画像形成装置100が低消費電力動作モードから通常動作モードへ復帰する処理の手順を示すフローチャートである。
【0033】
図8において、制御ユニット120のサブINTC113は、復帰契機情報600及びステップS702にてメインCPU110から送信された状態遷移通知に基づいて、受信した割り込み信号が復帰契機となる割り込み信号であるか否かを判別する(ステップS801)。復帰契機となる割り込み信号を受信すると(ステップS801でYES)、割り込み検知通知をサブCPU111へ送信し(ステップS802)、サブINTC113の処理を終了する。
【0034】
サブCPU111は、サブINTC113から割り込み検知通知を受信すると(ステップS803でYES)、節電状態から通常状態への復帰指示をメインCPU110へ送信し(ステップS804)、サブCPU111の処理を終了する。
【0035】
メインCPU110は、サブCPU111から復帰指示を受信すると(ステップS805でYES)、節電状態から通常状態に復帰する(ステップS806)。次いで、メインCPU110は、メインINTC112にアクセスし、保持された割り込み信号の種別を特定する(ステップS807)。次いで、メインCPU110は、復帰シーケンスを行う。復帰シーケンスでは、特定した種別に対応付けして予め設定された優先順位に従って各処理が実行される。また、メインCPU110は、メインINTC112の割り込みマスク解除設定を行う(ステップS808)。その後、メインCPU110は、メインCPU110の処理を終了する。
【0036】
メインINTC112は、メインCPU110による割り込みマスク解除設定に従って、保持された割り込み信号をクリアする。また、メインINTC112は、割り込みマスク状態から割り込みマスク解除状態へ移行して(ステップS809)、メインINTC112の処理を終了する。
【0037】
上述した実施の形態によれば、メインCPU110は、通常動作モードから低消費電力動作モードへ移行する際に状態遷移通知をサブCPU111へ送信する。制御ユニット120は、復帰契機情報600を予め記憶し、状態遷移通知及び復帰契機情報600に基づいて、画像形成装置100が低消費電力動作モードに滞在している間に受信した割り込み信号が復帰契機となる割り込み信号であるか否かを判別する。これにより、通常動作モードから低消費電力動作モードへ移行する際に、受信した割り込み信号が復帰契機となる割り込み信号であるか否かを判別するためにメインCPU110からサブCPU111へ送信する必要がある情報量を最小限に抑えて通信時間を抑制することができる。その結果、通常動作モードから低消費電力動作モードへの移行処理の実行時間を短縮することができる。
【0038】
上述した実施の形態では、メインCPU110は、画像形成装置100が低消費電力動作モードに移行した場合、電力の供給を制限される節電状態に移行する。また、サブCPU111は、メインCPU110より省電力で動作し、節電状態のメインCPU110を起動する。これにより、低消費電力動作モードから復帰する際にサブCPU111がメインCPU110を起動する構成の画像形成装置100において、通常動作モードから低消費電力動作モードへの移行処理の実行時間を短縮することができる。
【0039】
上述した実施の形態では、複数の低消費電力動作モードは、画像形成装置100の電源スイッチ106がオフ操作された際に画像形成装置100における電力の供給が停止されずに画像形成装置100の一部のユニットへの電力の供給が制限されるクイックオフモードを含む。これにより、通常動作モードからクイックオフモードへの移行処理の実行時間を短縮することができる。
【0040】
上述した実施の形態では、復帰契機情報600は、サブCPU111のシステムを起動する際に読み込まれるサブCPUFW119に記憶されている。これにより、受信した割り込み信号が復帰契機となる割り込み信号であるか否かを判別する際に、復帰契機情報600を確実に使用することができる。
【0041】
上述した実施の形態では、復帰契機情報600は、画像形成装置100にて生成される複数の割り込み信号の各々が復帰契機となる割り込み信号であるか否かを示す情報を含む。これにより、通常動作モードから低消費電力動作モードへ移行する際に、メインCPU110からサブCPU111へ送信する情報量を抑えても、受信した割り込み信号が復帰契機となる割り込み信号であるか否かを判別することができる。
【0042】
本発明は、上述の実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、該システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0043】
100 画像形成装置
106 電源スイッチ
110 メインCPU
111 サブCPU
120 制御ユニット
600 復帰契機情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8